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NL32巻4号 [2021.11]

会長からの手紙(2021年11月)

第11期、最初の1年を振り返って

国際開発学会の皆様、こんにちは。この間、コロナに関連して様々な経済的、精神的苦境に立たされてきた皆様には心よりお見舞い申し上げます。コロナ禍の中で会長に就任し、いまだに会員の皆さんに対面でご挨拶をさせていただけないことをとても心苦しく思いつつ、Visible, Inclusive, Entertaining の旗印を掲げてどうにか走り出し、あっという間に1年が過ぎました。

この間、オンラインではあるものの、例年と劣らない規模の参加者を経て、春季大会(文教大学)⇒秋季大会(金沢大学)の開催ができていることは、各実行委員長を中心とする開催校のご尽力もさることながら、発表の場をもとめる会員のエネルギーが落ちていないことを示すもので、大いに励まされます。大会運営関係者の皆様には改めて感謝申し上げます。

さて、コロナの「お陰」で常任理事会はオンライン会議が活発化し、学会全体の組織・運営に及ぶ議論が例年以上に深められたことは大きな収穫でした。こうした議論の結果として、私が第11期の会長として掲げたスローガンであるVisible, Inclusive, Entertainingに即して、さまざまな取り組みが少しずつ実を結び始めています。時間の関係で、総会の場でそれを逐一ご紹介する時間がありません。そこで、ここ1年間に執行部が行ってきた新たな取り組みのハイライトを一望できるように、このお手紙を書きました。


Visibilityについては、学会の「顔」であるウェブサイト(と会員管理システム)を全面的にリニューアルしました。会員管理システムについては業者を選定しなおし、 ウェブサイトの更新については学会事務局でタイムリーな更新ができるようWord Pressをつかったシステムを導入しました。申すまでもなく、ウェブサイトは更新の頻度と質によって価値が変わってきます。ようやく基本的な設計ができましたので、ぜひ皆さんからインプットいただき、更新の体制を固めていきたいと思っております。


また、賞選考委員会主導で、日本学術振興会・育志賞への学会推薦を実施しました。育志賞はあらゆる分野の博士課程の大学院生に与えられる国内で最も栄誉ある賞であり、こうした賞への参加は「国際開発」という分野を世に知らしめる重要な回路となります。

さらには、学生会員主導のツイッター発信を11月から開始しました。これは長年の課題である理事選挙の投票率を向上させる一環として選挙管理委員会が主導で行う事業ですが、単なる選挙対策を超えて、広く一般社会に対しても学会が何をしているのかをより visible にしていく新しい試みでもあります。社会への発信という点では、今年初めて外務省主催のグローバルフェスタにも出展し、「国際協力におけるキャリア形成」というセッションを設けて、若いみなさんを中心に100名の参加者を得ることができました。

Inclusive については、若手による開発研究部会(通称:若手部会、旧・院生部会)を新設し、部会の主査には理事会にオブザーバー参加してもらうことで200名以上の学生会員との有機的な連帯を確認するところから始めました。また、学会として5支部、10研究部会の活動を奨励し、地方と執行部の風通しを良くするために各支部長にも理事会にオブザーバー出席してもらうことにしました。若手部会は独自のウェブサイトをつくり、異なる大学に属する学生が交流できる稀有な場として活発に活動しています。

また、学会として初めて申請した科研(国際情報発信強化)が採択され、5年間で合計1400万円程度の予算をもらえることになりました。この予算を用いて、これまで年間2号だった学会誌に英文特集号を追加します。この特集を組むための国際諮問委員会を編成し、アジア各地でのワークショップと執筆者の開拓を始めます。あわせて、日本国内にいる留学生や英語で論文を書いてみたい日本人のために英語論文執筆チュートリアルを実施し、英文校閲などもサポートして学会の英語発信を一層強化してまいります。

くわえて、学会のコロナ対応の一環として、経済的な困窮者や学生への会費減免措置を実施しました。同時に、これまでの紙による申請から電子申請へと移行し、入会手続きを簡略化しました。これらの措置も学会をより開かれたものする試みの一環であると考えます。

Entertaining については、学会誌の魅力を高めるための新たなコンテンツ(座談会)を導入し、来年からはデザインも一新します。学会誌は、学会の学問的な「顔」であり、学会の水準を内外に示す重要な回路でありますが、やはり多くの人に手に取ってもらえるような見栄えとコンテンツが揃っていることは大前提だと思っています。査読論文の応募を奨励して、国際開発分野のゲートキーパーの役割を維持しつつ、書評や討論、実務家による実践報告、座談会など、読み物として楽しめるコンテンツを充実させていきます。

今年から導入した学部生向けの国際開発論文コンテストは、Inclusiveness に貢献する活動としても位置付けています。初年度は10篇の応募があり、幸い、入賞者の選定も終えました。学部生の開拓は未来の開発研究者・実務者を育てるうえで大切な事業であります。今年はいろいろな意味で「試行」の年となりましたが、来年度にはさらに制度の知名度を上げたいと思っています。


こうした一連の変革を持続的なものにするためには、事務局が無理なく稼働できる体制が不可欠です。そこで、11期からは事務局業務を事務局と総務委員会に分離し、事務局には次長としてサポートしてくれる非常勤スタッフを配置し、作業の一部をデジタル化することによって、どなたが事務局長を引き受けても仕事が回るような体制にしつつあります。そうはいっても、今年度の事務局、常任理事の皆様には例年以上の業務負荷がかかったことは否定できません。また、このお手紙では触れることができなかった裏方の地味なルーティンワークを粛々と担ってくださっている皆さんには感謝の言葉もありません。

2021年11月からの任期2年目は、着手済みの変革をさらに定着させつつ、研究と実践の密な関係、地方展開など、ここでご報告できなかった領域に力をいれて、来年はさらによい報告ができるよう努力してまいります。会員の皆様の一層のご支援をお願いする次第です。

2021年11月
第11期会長 佐藤仁(東京大学)

Letter from the President
Reflecting on the First Year as the 11th President

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