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人材育成委員会からのお知らせ

学部生対象の「第2回国際開発論文コンテスト」の応募論文は6編(和文5編、英文1編、2022年3月時点の所属大学は東京大学、共立女子大学、宇都宮大学、都留文科大学、関西学院大学、東洋学園大学)で、人材育成委員会での審査の結果、入賞者は以下の通りとなりました。

なお、審査結果は常任理事会で審議・承認の後、理事会での報告し、春季大会では動画による受賞者挨拶を含む表彰式を行いました。

【最優秀論文賞】

該当者なし

【優秀論文賞】

橘知里(たちばな・ちさと)「地震がカースト制度下の人々の幸福度に与える影響〜ネパール農村の2時点パネルデータを用いて〜」(執筆時の所属は関西学院大学経済学部)。

※選出理由

本論文が「優秀論文」に入選された理由は、まず問題意識と課題設定が明確で、全体の構成に整合性、一貫性がとれていること、本論文のテーマに関連する分野の先行研究を広くレビューしていること、目的に沿った調査方法が明確に述べられていることが高評を得ました。

また2020年2、3月という時期・期間に筆者も含めた学部生がチームで現地に入り、標高の高低差が激しい地形の中を歩き回りネパールの人々に26の質問項目に基づく調査を実施したこと、そして1910人ものサンプル数を自らの足で採取してきたデータを基に分析を行っていることも高く評価されました。

さらに、住まいをコントロールすると低位カーストの人も幸福度が回復しているという分析結果は、当該研究分野における新たな知の蓄積に寄与するものであったと言えます。

一方、本論文が「最優秀論文」に至らなかった理由としては、まず関連する分野の先行研究を広くレビューしていたとはいえ、それぞれの先行研究における知見が本研究とどう繋がっているかが明示的に書かれていなかった点が挙げられます。先行研究で明らかになったこと、なっていないことを丁寧に分析して、自身の研究に繋げることが十分にできていればもっとよかったと思いました。

また災害、カースト、幸福度という3つの分析要素を結び付けたことに新規性を見出し、本研究のユニークさを主張していますが、その研究をする積極的な意義が明確ではありませんでした。そもそもこの3つを繋げた実証研究が今までなかったのは、それを明らかにする意義があまりないからかもしれません。

先行研究の不足は研究の条件になり得ますが、だからといって自動的にその研究が必要であるとはならないため、本研究の意義についてもう少し説得力ある説明が論文の中で欲しかったです。さらに結論自体も、一般的に想定されることや推察し得る分析結果で、新規性や独創性はやや弱いと言わざるを得ない印象を受けました。

例えば筆者は、高位カーストの人ほど幸福の回復が高いという仮説や、震災復興において金銭面だけでなく非金銭面での回復に着目した点を強調していました。しかしながら、カーストが高い人ほど所得や物理的・精神的満足度が高い傾向があり、逆にカーストが低い人ほどそれらが全て低い傾向にあることはある程度自明なため、幸福度や震災からの回復度を測った本研究の結論も概ね想定内であったのではと言えます。

以上より、審査員で総合的に評価・判断した結果、本論文を優秀論文とすることと致しました。

人材育成委員会
委員長:松本悟(法政大学)

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