第34回全国大会(上智大学)開催のお知らせ

現在、11月の大会に向けて準備を進めております。久しぶりの対面による全国大会であり、遠い昔のように思える過去の対面開催を思い出しながら進めています。

コロナやインフルエンザが流行していますが、健康にご留意頂き、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

以下のページに情報を掲載していきますので、ご覧いただければ幸いです。

第34回全国大会・実行委員会
実行委員長:小松太郎(上智大学)




第4回・国際開発論文コンテストのお知らせ

第4回・国際開発論文コンテスト

国際開発及び国際協力に関心を持つ学生の人材育成という観点から、学部生の研究を奨励し、研究成果の顕彰を目的として、国際開発学会では本コンテストを実施する。

対象は2024年3月時点で学部生が書いた論文で、応募には国際開発学会員の推薦が必要。

2023年 6月開催予定の国際開発学会春季大会で公表・表彰の予定。

応募受付期間

  • 2024年3月1~24日

詳細は、以下のページをご参照ください。

人材育成委員会
委員長:松本悟(法政大学)




追悼:内海成治先生(本会元副会長)

JASID名誉会員で、2011年から14年まで副会長としても活躍された内海成治先生(大阪大学名誉教授)が2023年9月16日に急逝されました。

JICAの国際協力専門員(教育分野)、アフガニスタン教育大臣のアドバイザー、大阪大学、お茶の水女子大学、京都女子大学等で教授を歴任され、日本の国際開発分野で大きな足跡を残されました。ここに生前の内海先生のご貢献に感謝し、安らかな眠りをお祈りいたします。 

佐藤仁


アフリカでの教育開発研究を先導された内海先生との思い出

1998年から始まった私のケニア通いにフィールド調査の要素が加味されたのは、内海先生が2000年にJSPSナイロビ連絡センターに赴任されことが契機になっています。

広島大学に着任したのが1997年で、その前にJICAに勤めていたこともあり、少なくないお付き合いはありました。大学で働くことになったものの、私にはフィールドでの調査経験が圧倒的に不足していました。

今のように大学が忙しくない時、先生が泊まる場所もあるというので、2000年9~10月の3週間ほどケニアへ行くことにしました。これが、今につながるケニアでのフィールド研究の始まりです。基本的に学生を含めた合宿調査でしたので、研究のことや世間話、朝から晩まで、話が尽きることはありませんでした。

この初期の頃、アフリカの教育研究と言えば、日本では援助に関わる研究者の一部が細々と行っていました。学会で発表すると珍しがられたぐらいです。今日のようにアフリカの分科会が立ち上がるなど、考えられないことでした。

内海先生は、当時、センターのニュースレター「ふくたーな」(2000年6月発行)の編集後記に、「アフリカ研究の中では教育は非常にマイナーな分野ですが、国際協力では非常に重要な分野です」と書かれています。

時代は移り変わり、教育開発研究の中で、アフリカはメジャーな地域になりました。そのようなフィールド経験を経て、多くの学生が巣立っていきました。

2000年から2010年代前半までは、マサイの人々の暮らすナロック県の小学校をベースに調査をしてきました。2006年には「ケニア教育開発研究合宿」と称して、8名ほどの本学会会員の参加も得て(今では皆さん50代以上になっています)、1週間ほどの調査を合同で行いました。

ナイロビでの合宿生活に加え、平原にポツリとある小学校の寄宿舎に1泊した経験は、特に忘れがたい思い出です。シマウマやキリンが近くで見られることもありました。その後、イスラム圏のラム島や難民キャンプのあるカクマにもフィールドを広げていきました。

内海先生の訃報に接したのは、ちょうどナイロビで定宿としているアパートに滞在していた時でした。そこには、様々な調査用具に加え、一緒に購入した洗濯用のバケツや炊飯器もあります。

ケニアのご友人たちも一様に驚き、深く悲しまれていました。20年以上にわたるケニアでの調査生活を思い出すと寂しくてなりません。私自身を研究者として育ててくれたのも先生とのこの生活があったからこそです。

内海先生のまかれた種は、立派に成長しています。これからも私たちを温かく見守って下さい。本当にありがとうございました。

澤村信英




会長からの手紙(2023年11月)

あっという間の3年間でした。Visible, Inclusive, Entertaining をスローガンに、常任理事の皆さんと事務局スタッフに助けられながら、ここまで来られたことに感謝の気持ちで一杯です。

特に、任期前半の大会がすべてオンラインになってしまったために、Entertaining な側面を十分に展開できなかったことは心残りでした。それでもHPの全面改訂や学会管理システムの導入、学会誌のデザインとコンテンツの刷新、学部生論文コンテストの導入、若手による選管PR動画の配信、学会費の割引制度、学会としての科研費の獲得や英文ジャーナルの充実など、それなりに visible な成果を出すことができました。

「学会」と呼ばれる集団の多くが会員数を減らしている中で、どうにか会員数を維持できた背景には、3年会費未納で自動退会になりそうな人に声をかけて踏みとどまらせるという、きわめて地味な活動もありました。

どれほど visible な活動にも、このように、それを下支えしてくれた皆さんの invisible な貢献があります。日々の理事会の日程調整や議題の整理なども、事務局長、総務委員長をはじめとするスタッフの献身的な努力があったからこそ円滑に進められました。

とかくアイディア先行で、実施となると周りを振り回しがちな私をサポートし、着実に成果に結びつけてくれた常任理事、理事の皆様にも厚く御礼申し上げます。

これまでの大会実行委員の先生方、そして大会に参加してくれて活動を盛り上げてくださった会員のみなさんにも厚く御礼を申し上げます。

次の会長が山田肖子さんになったことは本当に喜ばしいことです。彼女は、大会組織委員長として大会のホスト校を口説くという、まさに invisible 仕事をやってきた学会の大黒柱です。

山田さんのつくる新しいチームの下、学会が新しい時代を切り開く推進力になることを祈って、私の退任のあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございました!

2023年11月
第11期会長 佐藤仁(東京大学)




学会誌編集委員会からのお知らせ(2023年11月)

30巻1号(2021年6月発刊)から始まった現在の執行部の任期は、この11月で終了します。

編集委員の先生方の多くは、すでに3年の任期を大幅に超えており、いつも多忙な中で特集の企画や論文審査にご協力いただいてきました。

また、この3年の間、査読に多くの先生方にご協力をいただきましたこと、ここに感謝申し上げます。 この3年間、佐藤仁会長の”Visible, Inclusive, and Entertaining”のスローガンのもと、誌上セミナーという取り組みを行ったり、討論というセクションを始めたり、グローバル連携委員会と共に学会誌の表紙を新たにしました。

手探りで前進してきましたが、多くの皆様のご協力と支援のおかげです。

また、任期の途中から以前は独立して行われていた大会におけるブックトークを編集委員会として実施し、書評との連携を図ってきました。

これは学会誌の編集とは異なる仕事ですが、「本をつくる」という側面から国際開発を見るのは新しい発見があり、楽しい経験でした。

編集委員会の仕事を通じて、個人的には専門分野を超えて考えることの楽しさと難しさを感じています。

次回の33巻からは新しい編集委員会のメンバーでの編集になります。今後も会員の皆様からのご協力とご支援をお願いいたします。

学会誌編集委員会
委員長:島田剛(明治大学)




【会員限定】常任理事会議事録(第239・240・241回)

第239回常任理事会

  • 日時:2023年8月19~22日
  • 方法:メール審議

議題

(1) 審議事項

  1. 第33回全国大会(@明治大学)の大会運営予算に係る留保金の取り扱いが審議された。
  2. 3名の新規入会希望者が承認された。

第240回常任理事会

  • 日時:9月3日(日曜)13時00分~15時15分
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 出席:佐藤仁(会長)、高田(副会長)、池上、佐野、島田、小林、杉田、川口、三重野(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、秋保(事務局次長)

議題

(1)審議事項

  1. 総務委員会より、2024年度の支部・研究部会の設置について説明があり、了承された。
  2. 人材育成委員会より、2024年の第4回国際開発論文コンテストの開催案について説明があり、了承された。
  3. 本部事務局より、現行定款の改正の検討状況について説明があり、改正する方向性について了承された。
  4. 本部事務局より、2年間連続して会費を未納としている会員の退会処分について提案があり、了承された。

(2)報告事項

  1. 社会連携委員会より、国際協力キャリアセミナーの開催について報告があった。
  2. 賞選考委員会より、春季大会のポスター発表の表彰結果および今年度の学会賞選考の進展状況について報告があった。

第241回常任理事会

  • 日時:2023年10月5~7日
  • 方法:メール審議

議題

(1)審議事項

  • 15名の新規入会希望者が承認された。

(2)報告事項

  • 39名の退会者、25名の休会申請者、58名の会費減額申請者が報告された。

本部事務局
事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




【会員限定】理事会議事録(第120・121回)

第120回理事会

  • 日時:2023年8月5~8日
  • 方法:メールによる開催

(1)審議事項

以下が提案され、いずれも了承された。

  1. 小國和子会員(日本福祉大学)および松本悟会員(法政大学)を副会長候補として、小山田英治会員(同志社大学)、狩野剛会員(金沢工業大学)、北村友人会員(東京大学)、木全洋一郎会員(国際協力機構)、工藤尚悟会員(国際教養大学)、澤田康幸会員(東京大学)、島田剛会員(明治大学)、杉田映理会員(大阪大学)、関谷雄一会員(東京大学)を常任理事候補として、2023年11月11日開催予定の会員総会に提案すること。
  2. 星野晶成会員(名古屋大学)を本部事務局長候補として上記会員総会に提案すること。
  3. 萱島信子会員(国際協力機構)および佐藤峰会員(横浜国立大学)を監査役候補として上記会員総会に提案すること。

第121回理事会

  • 日時:2023年9月4~7日
  • 方法:メールによる開催

(1)審議事項

  • 38名の会員について、会費を連続して2年間未納としていることを理由とする退会処分に付することが提案され、了承された。

(2)報告事項

  • 2024年度支部・研究部会の申請状況が報告された。

本部事務局
事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




横浜支部(2023年11月)

報告提出なし

横浜支部
支部長:林薫(文教大学)




東海支部(2023年11月)

活動報告

1-1 若手研究者報告会の開催(JASID Tokai 2023 Conference for Young Researchers)

  • 日時:2023年9月29日(土要)13:00~15:00
  • 場所:名古屋大学国際開発研究科8階オーディトリアム

JIASIDのメーリングリストを活用して広く公募し3名の応募があり、スクリーニングで次の3名を選択した。

(1) 13:00 – 13:45 Nilaphy Phommachanh Nagoya Univ. Economics
Beyond Boundaries: Investigating Special Economic Zone Spillover Effects in Laos

(2) 13:45 – 14:30 Yuniasih Purwanti Kobe Univ. Education
The Effects of Drought on Education Expenses: Comparative Studies of Rural Areas in Java Islands, Indonesia

(3) 14:30 – 15:15 Masahiko Jin Nagoya City Univ. Econoics
An reconsideration of vulnerability in developing countries from a methodological perspective

※ただし(2)については辞退となった。

1-2 国際ビジネス研究学会(JAIBS)・JASID東海共催講演会(予定)

  • 日時: 令和5年10月7日(土曜)16:05~17:05
  • 開催方法:対面のみで開催
  • 場所: 中京大学名古屋キャンパス センタービル8階0805教室

「現地での事業展開を通して見たインド・中国ビジネス比較-‐現地法人設立・経営の経験より‐」

  • 講師:武藤裕幸 氏(愛知大学大学院中国研究科、元豊田自動織機)
  • 司会:林尚志 (南山大学)

東海支部
代表:梅村哲夫(名古屋大学)

副支部長:染矢将和(名古屋大学)
副支部長:林尚志(南山大学)




広島支部(2023年11月)

活動報告

本年度、九州大学と共同で西日本地域の国際開発・協力に関わる研究者、実務者、学生を集めて議論するJASID第10回西日本地区研究発表会(於:九州大学伊都キャンパス)を対面開催した。

参加大学は九州大学、広島大学であった。

開催日時は8月18日午後1時~午後4時半、発表者39名、広島大学教員6名、九州大学教員5名、九大側スタッフ4名の合計54名だった。

本年度は、発表者全員によるショートプレゼンテーションとポスターセッションによる報告形態をとり、例年と異なる開催形式とした。

報告の内容は経済政策関連、農業科学関連のものが中心であった。

ポスターセッションの後、ベストプレゼンテーション賞を決めるための全参加者による投票を行ない、広大側4名、九大側3名の合計7名に賞状と記念品を渡した。

広島支部
支部長:市橋勝(広島大学)




京滋支部(2023年11月)

2023年度の京滋支部の活動は以下のとおりです。

京滋支部研究報告会

2023 年4月23日(日曜)、京都大学稲盛財団記念館にて、若手研究者を対象にした研究報告会をハイブリッドで開催しました。

当日は、学生会員(博士前・後期課程)および PD、助教レベルの会員による 15 の研究成果および中間報告が対面で行われました。

本年の特徴として、関西圏だけでなく、関東地区の学生会員数名が学会の交通費助成を利用し対面で報告を行いました。所属大学の地域を越えて、若手研究者に研究成果や進捗状況を共有する機会を提供し、互いに議論し交流する場となりました。

これも支部の重要な役割の一つと認識しています。

京滋支部研究会

2023年6月24日(土要)、「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」との共催で、研究会を京都大学稲盛財団記念館にてハイブリッドで開催しました。

当日は、同研究部会および京滋支部からそれぞれ一つずつ発表を行いました。京滋支部として江崎グリコ株式会社尾崎隼人氏を招き、「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」をテーマに発表してもらいました。

尾崎氏が海外青年協力隊員として赴任時に撮影したビデオも交えたブラックソープの製造過程、生産現場のカイゼンによる効率化の紹介と、製造過程で生じる廃棄物の再利用という環境配慮への含意も示されました。

本発表は「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」のテーマにも通じるもので、発表に続く質疑応答では活発な意見交換がなされ、相互にとって有意義な研究会となりました。

なお本支部では、2023年度から、龍谷大学斎藤文彦会員が副支部長に就任しました。

京滋支部
支部長:渡邉松男(立命館大学)




関西支部(2023年11月)

2023年度、関西支部ではハイブリット形式またはオンライン形式による定期的な研究会の開催を計画しました。

本支部が開催する研究会では、国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を招聘し、現在世界的な問題となっているコロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力に関する議論を精力的に展開していくことを目的としています。

研究会の開催によって期待される成果は主に次の2点です。第一に、研究会が開催する最先端のトピックに関する講演や議論に参加することにより、とりわけ若い学生会員が研究意欲を刺激され、積極的に国内外の学会での発表や査読付きのジャーナルへの投稿を行うようになることで、国際開発研究が活性化されていくことです。

第二に、研究会を通して、国内外の第一線で活躍されている講師と若手研究者が学術的なネットワークを構築し、若手研究者の将来の国際開発の分野における活躍につながることが期待されます。

活動報告

上記活動計画に基づき、2022年10月から2023年9月まで、計4回の研究会を開催したため、その内容について以下の通り報告します。

第164回研究会

日時:2023年6月22日(木曜)15:00-17:00、言語:英語

  • 発表テーマ:International Cooperation in Education Research: Insights from RISE-Ethiopia Research on Teacher Value-Added Analysis
  • 発表者:Dr. Moses Oketch, Professor, Institute of Education, University College London
  • 討論者:Dr. Nozomi Sakata, Assistant Professor, Hiroshima University
  • 言語: English
  • 場所:神戸大学大学院国際協力研究科大会議室(ハイブリット)
  • 参加人数:24名(講演者、司会者含む)

概要

本研究会ではロンドン大学教育研究所(Institute of Education, University College London)のOketch教授を招聘し、「International Cooperation in Education Research: Insights from RISE-Ethiopia Research on Teacher Value-Added Analysis」と題した講演をしていただきました。

Oketch教授は、まず教育改革による教育の公平性(equity)の向上に着目し、その達成における教員の役割の重要性を述べました。

生徒の学力レベルを問わず個々の学力を上げる教師こそが、公平性を高める良い教師(effective teacher)であるとの見解を述べました。

また、そのように生徒の学力を高める教員の働きをTeacher Value-Addedと定義しました。

近年実施されたResearch on Improving Systems of Education (RISE)に基づく学力調査と、その前身であるYoung Livesの学力調査結果を用いて、エチオピアにおけるTeacher Value-Addedに焦点を当てた分析結果が報告しました。

まず、Young Livesのデータを用いて、エチオピアの初等教育に在籍する大多数の生徒が求められている学力に達していないという現状を示しました。

次に、Teacher Value-Addedの観点から、学力の高い生徒の学力向上に寄与する教員と、学力の低い生徒の学力の向上に寄与する教員、全ての学力レベルの生徒の学力向上する教員、学力向上にほとんど寄与しない教員がいることをグラフとともに示しました。

今後、Teacher Value-Addedの高い教員に着目し、それらの教員がどのような教員であるかをより詳細に探ることが教育の公平性を高めるうえで重要であるとし、更なる研究の必要があると締めくくりました。

講演後には、討論者の坂田博士(広島大学)をお招きし、教授法の観点から分析の限界や今後の期待を共有いただきました。加えて、参加者からも積極的に質疑が挙がり、活発な議論を持つことができました。

本研究会はOketch教授の講演及びその後の議論を通じて教育の公平性を達成するための教員の重要性、とりわけ、Teacher Value-Addedの重要性を知る大変意義深い機会となりました。

第165回研究会

日時:2023年6月30日(金曜)13:00-15:00、言語:英語

  • 発表テーマ: Examining the Technical Efficiency of Higher Education Institutions in China: A Multistage Dynamic Network DEA Approach
  • 発表者:Dr. Kok Fong See, Associate Professor, Economics Program, School of Distance Education, Universiti Sains Malaysia
  • 言語: English
  • 場所:神戸大学大学院国際協力研究科大会議室(ハイブリット)
  • 参加人数:20名 (講演者、司会者含む)

概要

本研究会ではUniversiti Sains Malaysiaの教授である See博士を招聘し、「Examining the Technical Efficiency of Higher Education Institutions in China: A Multistage Dynamic Network DEA Approach」と題した講演をしていただきました。

講演のはじめに、See博士は世界大学ランキングに代表されるように、高等教育機関の質を数値化・可視化することの重要性を述べました。

高等教育機関の質は様々な尺度にて測られるが、See博士は中でも特に大学の効率性に着目し、その効率性をTechnical Efficiencyと定義しました。

効率性を最大化する方法として、アウトプットに合わせたインプットの最小化、インプットに合わせたアウトプットの最大化の2つの方法があるが、高等教育機関においてインプットである教員や施設の縮小はできないことからアウトプットの最大化が命題であるとSee博士説明しました。

また、その高等教育機関のアウトプットとなる指標として①Researching (パブリケーション数、研究用施設数等), ②Teaching(教員数、教育用施設数等), ③Grant Application(研究費の申請数等)の3点を挙げ、Data Envelopment Analysis (DEA) Approachを用いて、その3点を指標化し、中国の高等教育機関の効率性を数値化したことを、See博士自信の研究を基に設営しました。

See博士の本研究は、その3点から構成される総合点による中国国内の高等教育機関の効率性の比較を可能にした他、効率性を高めるために注力すべき点の可視化に成功したことを示しました。

今後より多くの指標をTechnical Efficiencyとして組み入れられること、他の教育レベルでも適応可能であること、国内のみならず国際比較へも発展させられる可能性があること、高等教育機関のマネジメントや政策提言に利用可能であることを述べ、更なる研究の発展可能性と意義を共有しました。

本研究会はSee博士の講演及びその後の議論を通じて、高等教育機関の効率性を測るDEA Approachについて学び、高等教育機関の効率最大化について考える大変意義深い機会となりました。

第166回研究会

日時:2023年8月22日(火曜)15:00-17:00、言語:英語

  • 発表テーマ:Challenges of Sustainable World Heritage Tourism: Case of Luang Prabang in Lao PDR
  • 発表者:Dr. Vilayphone Somsamone, Vice Dean, Department of Economics and Tourism, Souphanouvong University
  • 言語: English
  • 参加人数:23名 (オンライン)

概要

本研究会ではSouphanouvong Universityの教授である Somsamone博士を招聘し、「Challenges of Sustainable World Heritage Tourism: Case of Luang Prabang in Lao PDR」をテーマに講演していただいた。

本講演は、ラオス北部に位置する「世界遺産の街」ルアンパバーンの観光業の現状と課題に焦点を当てて進められた。現状として、古都ルアンパバーンは、その文化的重要性から街全体がユネスコにより世界遺産登録されている。

また、手つかずの山々や滝等、豊かな自然にも恵まれており、欧州をはじめとする世界各国から観光先としての注目も浴びている。

一方で、海外観光客にとってルアンパバーン内の交通の利便性の低さや、宿泊先の少なさが課題となっている。課題の背景として、海外観光客に対する宿泊サービスに関する法の制限や、世界遺産保持のための都市開発に制限があることが挙げられる。

特に、世界遺産の街として景観を保つ必要性から、過度な道路の拡張や建物の建築はできず、観光業の発展を期待する市民や、訪れる観光客の需要との間にずれが生じている。

現在、ルアンパバーンでは「ずれ」への対応として、ハイキングや、自転車でのツーリング等、自然に優しいエコツーリズムに力を入れている。

本研究会はSomsamone博士の講演及びその後の議論を通じて、世界遺産の維持と都市開発との両立について考える大変意義深い機会となった。

第167回研究会

日時:2023年9月28日(木曜)17:00-19:00、言語:英語

  • 発表テーマ:Will trade liberalization help to reduce poverty and inequality in LDCs?
  • 発表者:Dr. Phouphet Kyophilavong, Dean/Professor, Faculty of Economics and Business Management, National University of Laos
  • 討論者:Dr. Viriyasack Sisouphanthong, Associate Professor, Faculty of Economics and Business Management, National University of Laos
  • 言語: English 参加人数:48名 (オンライン)

概要

本研究会では、ラオス国立大学経済経営学部のPhouphet Kyophilavong教授を招聘し、「Will trade liberalization help to reduce poverty and inequality in LDCs?」をテーマとした講演が行われました。

本講演でPhouphet教授は、世界貿易分析プロジェクト(GTAP)モデルを使用して、WTO加盟後のサービス自由化がラオスの経済、貧困、所得格差に及ぼす影響を分析し、その結果を説明しました。

Phouphet教授は、WTO加盟とサービスの自由化が実質GDPと福祉との間に統計的に有意な相関があることを推定しました。

さらに、単純労働者の賃金上昇が不平等を軽減することも示した。したがって、ラオス政府は、ラオス経済を改善し、貧困と不平等を削減する上で、WTO加盟、特にサービスの自由化に取り組むべきであることを強調しました。

講演後は同大学のViriyasack Sisouphanthong准教授を討論者としてお招きし、世界貿易分析プロジェクト(GTAP)モデル、間接的な観光業の影響、ラオスにおけるこれからの貿易自由化など、いくつかの重要な質問を提起しました。

また、参加者からも活発に質問が挙げられ、Phouphet教授の研究プロジェクトや貿易自由化について議論を深めました。本講演は、後発開発途上国の貿易自由化と貧困と不平等の削減との関係について理解を深める貴重な機会となりました。

関西支部
支部長:小川啓一(神戸大学)
副支部長:關谷武司(関西学院大学)




『ジェンダーと開発』研究部会(2023年11月)

研究部会代表・田中由美子先生を追悼して

2023年9月26日、本研究部会の代表を務められた田中由美子先生が急逝されました。あまりにも突然の訃報に、未だに現実のこととは思えません。

9月15日に本研究部会の定例会をオンラインで行いましたが、3名の発表に対して田中先生がコメンテーターを務めてくださいました。

そのコメントは鋭く深く、そして温かみと優しさがあり、いつもの田中先生でした。そのわずか2週間後に、この悲しい知らせを受け取るとは誰も想像していませんでした。

田中先生はJICAにおいて社会開発部長、国際協力専門員(ジェンダーと開発分野)、シニア・ジェンダーアドバイザーを歴任され、城西国際大学(招聘教授)など多くの大学で教鞭をとられるとともに、国連女性の地位委員会の日本代表としても活躍され、日本におけるジェンダーと開発分野の先駆者として大きな足跡を国際開発分野に残されました。

JICAにおいてカンボジアやアフガニスタンをはじめ、アジア、アフリカ、中南米で女性省支援や女性のエンパワメントを目指した案件に関わられ、タイを中心に人身取引対策やジェンダーに基づく暴力への取り組みにもご尽力されました。

近年は災害とジェンダーの課題にも精力的に関わられていらっしゃいました。

田中先生のご功績は、この紙面にはとても書ききれないほどです。多くの関係者の方々が、様々な場で田中先生のご功績を語られることと思います。

そこで、もしかしたら私たちが最も詳しいかと思われる、田中先生のご功績の一つである後進の指導についてご紹介したいと思います。

田中先生は後輩の指導に熱心で、ジェンダーと開発分野の実務者・研究者を何人も育成してくださいました。

私たちは、田中先生より20歳くらい年下の世代ですが、30代前半に田中先生に仕事を通して出会い、以降、公私にわたり大変お世話になってきました。

いつも「大丈夫よ。あなたなら出来るから」と温かく励ましてくださり、時には厳しく指導してくださり、私たちの代わりに矢面に立ってくださり、私たちの成長を見守ってくださいました。

私たちは田中先生のジェンダーと開発に対する情熱と仕事に対する真摯な姿勢を側で拝見しながら切磋琢磨し、ジェンダーと開発分野の実務者・研究者として現在まで歩んできました。

本研究部会は2022年8月から活動を開始していますが、何年も前から、田中先生を中心に有志で集まり、ジェンダーと開発の企画セッションを行ったり、個別の発表を行ったりしてきました。

「国際開発学会からジェンダーと開発が消えてしまわないようにね」と、田中先生は常日頃おっしゃっていました。

そして「若手が代表をしなさい」と私たちを励ましてくれましたが、田中先生に頼っていた私たちは固辞し、結局、「仕方ないわね。最初だけよ」と、ご多忙な中で快く代表を引き受けてくださいました。

田中先生からたくさんのご指導と思い出をいただきました。これからは私たちが田中先生の築かれたジェンダーと開発分野を引き継いでいきたいと思います。

心よりご冥福をお祈り申し上げます

ジェンダーと開発研究部会を代表して
(甲斐田きよみ、高松香奈、本間まり子)


ジェンダーと開発研究部会の活動報告

「ジェンダーと開発」研究部会は、実務者と研究者が活動報告や情報共有、調査や啓発活動のためのアプローチなどを紹介することにより、ジェンダーと開発を考えるうえでの課題や可能性について検討することを目的に、2022年8月より活動をしてきました。

主な活動は、月例の勉強会の開催及び開発学会大会での企画セッションの開催です。特集号の作成に向けた準備も始めています。

2023年度は、月例の勉強会(第3金曜日にZoom開催)を開催し、メンバーの研究報告を通じて、研究部会の方向性と2年次以降の共通研究テーマを検討してきました。

横断的なテーマを持つメンバーの研究を共有するにあたり、「危機への対応 」という共通の視点を用いています。

月例勉強会の参加者は12人程度で、発表者、司会者、記録者を順番に担当し、質疑応答を含めた記録を残しています。

毎回1時間半程度ですが、毎月オンラインで集まることで、お互いの研究関心を知り、発表や質疑応答から刺激を受け、活発な月例勉強会となっています。

2023年度の勉強会のテーマ(実績)

  • 8月22日:キックオフミーティング
  • 9月16日:安全保障とジェンダー、開発
  • 10月21日:人類学とジェンダー(インドの事例)
  • 11月18日:企画セッションの準備(セッションでの報告内容の検討)
  • 12月16日:COVID-19による障害女性の日常生活への影響(バングラデシュの事例)
  • 1月20日:シリア内戦とジェンダー
  • 2月17日:無国籍女性の安全保障(パキスタンの事例)
  • 3月17日:研究部会の活動に関する検討会
  • 4月21日:月経と国際開発とグローバルな動向
  • 5月19日:EmpowermentとAgencyを考える
  • 6月16日:月経対処の実態とMHM支援(パプアニューギニアの事例)
  • 7月21日:前半は国立女性教育会館の活動、後半は2年次の活動内容の検討
  • 8月18日:Covid19パンデミックのジェンダー規範への影響(バングラデシュの事例)
  • 9月15日:ラウンドテーブル「研究・実務・実践者のキャリアパスとジェンダー」

2022年12月の第33回国際開発学会において、研究部会の有志による企画セッションを「ジェンダーと開発」のテーマで開催しました。

3名が次の報告を行いました。「バングラデシュにおけるマイクロファイナンスと女性のエンパワメント」、「南スーダンでの全国スポーツ大会を通じたスポーツとジェンダー」、「ネパールの家族農業における変化への対応」。

この企画セッションでは、家父長制下で制約を受けている女性に焦点をあて、研究部会の有志会員が関わってきた女性のエンパワメントの促進事例を紹介しました。

コロナ禍の影響を受ける女性たちを、受動的な弱者として位置付けるのではなく、変化を引き起こす主体として位置付けるために国際協力を通じ何が出来るのか検討しました。

2年次にあたる2024年度も、基本的には第3金曜日に開催するZoomでの勉強会を中心に、活動をしていく予定です。

また、2023年11月の第34回国際開発学会において、「危機への対応」というテーマでの企画セッションを申請しており、準備を進めています。

セッションの内容は、特集号の掲載に向けて深めていく予定です。招聘スピーカーによる公開セミナーの開催なども予定しています。

ご興味のある方は、事務局までご連絡ください。

『ジェンダーと開発』研究部会
事務局:本間まり子(早稲田大学)




『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2023年11月)

2023年活動報告

学会の全国大会・春季大会においてラウンドテーブルの開催をそれぞれ1回ずつ行った。

全国大会(2022年12月4日、5日開催)

全国大会(2022年12月4日、5日開催)では、本研究部会による第4回目のラウンドテーブルを実施した。テーマは「食のレジリエンスとSDGs」ということで、専門家を招聘し、オンラインのラウンドテーブル議論を行った。

SDGs17 の目標の1 つが2030 年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

基調講演として山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズ・コロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

春季大会(2023年6月10日開催)

春季大会(2023年6月10日開催)では本研究部会最後のラウンドテーブルとして国際開発学会会員が多数執筆に携わっている、『SDGs を問い直す』の刊行(2023 年5 月、法律文化社、野田真里編著)が取り上げられた。

COVID-19 パンデミックは、スペイン風邪以来の100 年ぶりの大規模な感染症による危機とされ、SDGs に大きな影響を与えている。また、新型コロナ禍は、国家の枠組みをこえて人々の生存を脅かす、人間の安全保障上の危機でもある。

ポスト/ウィズ・コロナを見据えて、2030年までのSDGs の中間年である2023 年に、SDGs の真価を問い直す試みを行った。本セッションは東京大学グローバル地域研究機構持続的開発研究センターおよび早稲田大学国際平和戦略研究所が共催した。

ラウンドテーブルでは野田真里会員を座長に、執筆を担当した大門毅会員、大谷順子会員、そして関谷雄一が登壇し、1)新型コロナ危機を踏まえてSDGs を問い直す意義、2)新型コロナ危機が資本主義経済そしてSDGsにおいて「取り残される」脆弱な人々」とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、3)SDGs の加速化にむけた人間の安全保障の再考、4)SDGs とポスト/ウィズ・コロナへの展望などを論点に議論を交わした。

SDGs を問い直すうえで、新型コロナ危機をふまえた資本主義経済および「取り残される」脆弱な人々(災害弱者や女性・女子)の課題、今後の展望、そして人間の安全保障との関係等が議論された。また、今後の当学会を中心とする新型コロナ危機、SDGs や人間の安全にかかる共同研究の加速化や、ネットワーク強化が約束された。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




『社会的連帯経済』研究部会(2023年11月)

夏以降、以下の公開研究会を行った。

1)SSE研究部会、特別公開セミナー(英語での研究会)

「UNRISD(国連社会開発研究所)によるSSE(社会的連帯経済)関連の活動と最新情報」

  • 開催日時:2023年9月5日(火曜)17:30~19:00 JST 
  • オンラインzoom開催
  • 報告者:Ilcheong Yi さん(UNRISD:国連社会開発研究所)、オンライン参加 Senior Research Coordinator leading Alternative Economies for Transformation at UNRISD.  

内容は下記4点となる。

  1. UN Inter-Agency Task Force on SSEの活動、特にKnowledge Hub 
  2. Encyclopedia of the SSE
  3. Guidelines for local governments on policies for SSE
  4. Sustainable Development Performance Indicator project

2)SSE研究部会、公開研究会

「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」

  • 日時:2023年9月25日(月曜)17時~19時 
  • オンラインzoom

プログラム

  1. 報告:「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」栗本 昭 氏
  2. コメント:富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏   
  3. その後、全体討論・質疑

司会進行:古沢広祐(SSE研究部会)  

前回の特別セミナーで論点となった、世界的にSSEが認知され重要度が高まる中で、日本で認知度が低い現状の理由と取り組み課題点について研究会が企画された。

協同組合、NPO、社会開発活動が世界的にも活発であるにも関わらず、それらの連携や交流が弱い。

相互の情報交流やネットワーク形成、さらにSSE関連の諸団体や活動を統合していくような社会的連帯経済の結節点の必要性が強調された。

*詳細は、SSE究部会のHP(note)でも掲載中:

『社会的連帯経済』研究部会
代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)
副代表:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)




『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2023年11月)

2023年度活動報告

活動2年目にあたる2023年度は、計4回の研究部会に加え、全国大会でのセッション開催を企画・実施しました。以下に、活動の詳細をご報告いたします。

毎回の研究部会を通じてアフリカ・アジアにおけるものづくりの多様性を再確認するとともに、両地域間の共通性や差異性を知ることが出来ました。

参加者は大学院生や若手研究者を含む大学に所属する研究者のほか、開発機関や民間企業の実務者など幅広く、毎回20名を超える参加者がありました。

また、今年度は、研究会を通じて得られた繋がりを活かして、日本を代表するものづくりのまちとして知られる東大阪市を一部の会員とともに訪問し(市役所のモノづくり支援室/三和鋲螺製作所)、ものづくりに関する知見を深めました。

以上の取り組みを通じて、研究者間の交流に繋がるとともに、ものづくり研究のすそ野が着実に広がってることを実感しています。

第4回研究会

  • 開催日時:2022年10月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「モザンビーク都市部における小規模金属加工業の動態:南部マトラ市の金属建具製造に着目して(仮)」
畔柳理(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程、オンライン参加)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「鉄鋼産業の技術移転研究:韓国ポスコの技術導入からインドネシア移転まで」
辺成祐(近畿大学経営学部准教授)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第5回研究会

  • 開催日時:2023年3月18日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05 
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10 
自己紹介

15:10-16:10
「デジタル・グローバル時代の人材育成:アジア・アフリカの現場から考える」
栗田匡相 会員(関西学院大学経済学部教授)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ケニア西部グシイ地方におけるソープストーン彫刻産業の現状」
板久梓織(東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第6回研究会

  • 開催日時:2023年4月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「ケニアにおける小規模農家のアグリプラットフォーム利用状況の検討」
井上直美 会員(東京外国語大学大学院博士後期課程、アジ研連携研究員)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ナイロビの都市インフォーマルセクターにおけるオンライン・マーケティングの利用」
福西隆弘 会員(アジア経済研究所 開発研究センター/開発スクール)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第7回研究会 (共催:京滋支部)

  • 開催日時:2023年6月24日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「南アフリカに進出した中国系製造業企業における人事管理の現状(仮)」
シ ゲンギン(立教大学異文化コミュニケーション学部助教)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」
尾崎隼人(江崎グリコ株式会社)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

国際開発学会第33回全国大会企画セッション
「包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から」

  • 開催日時:2022年12月4日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 場所:明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー 9F 1093

企画の背景:

アフリカにおける製造業・ものづくりについては、少数の大企業と大多数の小規模零細企業からなる二重構造、また、政府と小規模零細企業の断絶などが議論されてきた。

しかし、これらの議論では把握できない状況も指摘されており、ものづくりの現場に立ち返り、担い手の課題や営為の詳細を理解しておく必要がある。本セッションでは、実証調査に基づく研究成果を報告し、既往の議論の問い直しを図る。

報告者

  1. 高橋基樹(京都大学)
    「アフリカにおける製造業の「失われた中間」を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から」
  2. 井手上和代(明治学院大学)
    「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達―企業者的能力に着目して」
  3. 松原加奈(東京理科大学)
    「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響」
  4. 日下部美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して」

座長報告:高橋基樹(京都大学)

本セッションには、対面で11名、オンラインで11名の参加があった。本セッションは、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」研究部会の活動を踏まえ、その成果を学会に還元することを念頭に置いて企画したものである。

アフリカ諸国が21世紀初頭からの高度成長を経てかえって強まった資源・一次産品への依存からの構造転換のために、ものづくり・製造業の現状を、実証研究を通じて考察することが要請されている。そこで必要なことは、多くの人が経済活動の担い手として参加する包摂的な開発が実現されてゆくことである。

最初の報告「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」(高橋基樹会員・京都大学)では、ケニア・ナイロビのソファ製造の複数のクラスターを取り上げ、製品について生じた革新的な知識が異なる業者の間で容易に共有される開放的なケースと知識が秘匿される閉鎖的なケースがあることが指摘された。

それは従来の「失われた中間」=二重構造論では捉えきれない多系的な発展とそれに応じた包摂が生じている可能性を示唆するものである。

続く「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」(井手上和代会員・明治学院大学)では、ナイロビの金属加工業の資金調達と企業者能力について、製品と技術(機械化の程度)が異なる二つの地区の業者への聞き取り調査に基づき論じた。

長期資金需要の相対的多さにもかかわらず、金融市場における機会が狭められており、機械化の進んだ事業者も自己資金への依存率が高く、金融機関からの借り入れが限られていることが分かった。

事業者の企業者能力はそうした生産環境の負の要因を補うために発揮されている。

「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」(松原加奈会員・東京理科大学)は、最初にエチオピアの革靴産業と産業政策の歴史を跡付けた。

それを踏まえて、異なる3つの規模の企業が受けてきた支援を詳述し、小企業にも政府による外国援助を活用した支援が及んでいることを指摘する。

各企業は異なる複数の支援を渡りつつ恩恵を受けるものの、逆に支援を渡ることができずに廃業に追い込まれる場合があり、包摂が不均等なかたちで生じていることが示された。

「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」(日下部美佳会員・京都大学博士課程)は、福祉用具に携わる障害者団体の活動に着目し、個々人の技能の熟練及び多能工化と活動参加前の教育や技能の習得とがどのように関わっているかについて考察した。技能形成とものづくりという障害者の開発への主体的な参加が団体の存在によって可能となっている。

各報告に対して黒川基裕会員(高崎経済大学)、渡邉松男会員(立命館大学)から、理論的枠組みを踏まえた議論の陶冶に向けた助言や、考察をさらに深めるための問題の提起がなされた。これらは上記研究部会での議論を進展させるために非常に有益なものであり、本セッションを開催した意義を確認することができた。


2024年度活動計画

今年度はアフリカのものづくりに関する研究成果の発表が多かったため、次年度はアジアのものづくりの事例についても取り上げたいと考えています。

また、2024年度は最終年度にあたるため、ものづくりに関する議論を体系的に整理し、研究成果をまとめていきたいと考えています。

今後の研究会の予定として、ものづくり研究のインド編として2023年12月16日(土曜)に京都大学にて研究会の開催を企画しており、準備を進めています。

詳細については、改めてメーリングリストを通じて皆様にご案内を差し上げます。

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2023年11月)

2023年度活動報告(Oct. 2022-Sept. 2023)

This year will be the second year since the establishment of our research group, IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems). Based on the activities conducted in the FY 2022, we discussed the directions of research, examined research progress of our group members, organized an oral session at the 24th JASID Spring Conference, and made presentations to share research findings of our group members.

In Dec. 2022 and Jan. 2023, we consulted with member representatives about the directions of research.

In Feb. 2023, we reviewed research progress of our group members, organized an oral session for the 24th JASID Spring Conference, prepared abstracts of papers for presentations and also of our session, and submitted a plan of our session to the conference secretariat. We also elected a commentator for our session.

In March and April 2023, designated presenters prepared full papers.
In May 2023, full papers from presenters were collected and submitted to the conference secretariat. In the meantime, we were consolidating research activities for the next year.

In June 2023, our session we held at the 24th JASID Spring Conference.

Title: Learning from Current Practices in Sustainable Society

  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)

Presenter:

  1. Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
    “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.”
  2. Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
    “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.”
  3. 〇Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
    “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability
    Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
  4. 〇Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)
    “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”

This session was conducted virtually, while some presenters presented in person. We received constructive suggestions during the session, and we could deepen our understanding of sustainable society by integrating our research findings.

In August and September 2023, we were consolidating research activities for the next year.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




『倫理的食農システムと農村発展』研究部会(2023年11月)

1. 研究部会概要

本研究部会は2021年度から活動している。目的は、いわゆるフェアトレードとエシカル消費を柱とする倫理的取引に基づく食農システム(これを倫理的食農システムとする)が生み出す農村発展の成果と課題を解明することにある。

その参照枠組みとして、「食への権利」や「食料主権」、オーガニックや地産地消といった食料運動の観点も利用することとしている。理論的研究と実践からの学びとを二本の柱にしている。

代表者は池上甲一(近畿大学名誉教授)、副代表は牧田りえ(学習院大学教授)で、25人ほどが賛同者リストに名を連ねている。

主な活動としてはオンラインによるオープン研究会(会員、一般)を行っている。副代表の牧田が研究代表者になっている科学研究費と合同で開催する場合もある。参加者は平均して20名程度であるが、テーマによっては50名を数えることもある。

2. 活動実績

2-1 ラウンド・テーブルの開催

秋季大会において研究部会として「倫理的食農システムの構築に向けて―アグロエコロジーの観点から―」と題したラウンド・テーブルを開催した。この準備会合として2回の内部研究会を設定し、コメンテーターを交えて議論を交わした。

まず、11月3日に座長として池上が企画の趣旨を説明し、座長解題の基本方針を報告した。ラウンド・テーブルの2つの柱になる倫理的食農システムとアグロエコロジーについての理解をめぐり、食農システムの上流から下流に向けた各段階、すなわち、種子、農業生産、流通、消費のそれぞれからテーマに迫ることを確認した。

ついで、11月23日に2回目の内部研究会をもち、それぞれの報告者が説明した報告のアウトラインと予定コメントについて議論を行った。

以上の準備会合を踏まえて、12月3日にラウンド・テーブルを開催した。

第1報告は西川芳昭「アグロエコロジー研究から見たタネをめぐる主体者の多様性」、第2報告は受田宏之「ミルパ、有機市、農民学校:メキシコにおけるアグロエコロジーの実践と課題」、第3報告は牧田りえ「有機とローカルはなぜ接近するのか」、第4報告は坂田裕輔「生産過程の倫理性に対する消費者の関心」せある。

報告の構成は、食農システムの流れに沿っている。これらの報告に対して、加藤珠比氏と妹尾裕彦氏がそれぞれコメントを行い、このコメントを中心に議論が行われた。
対面とオンラインのハイブリッド形式の開催だったので、全体としての参加者数は不明であるが、対面式の会場参加は20名強だった。

2-2 研究会

2023年度は、オンラインによる研究会を当初の計画通り4回開催した。そのうち、2回は公開、残りの2回はラウンド・テーブルに向けた打ち合わせ(前述)のためのクローズドとして開催した。以下、公開分についてまとめる。

第1回

本年度公開研究会第1回は、2022年10月14日に日本スローフード協会・代表理事の渡邉めぐみ氏を講師として、「スローフード運動の今」を報告してもらった(オンライン)。

まず、スローフード運動がイタリアで始まった背景と経緯を、運動創設者のカルロ・ペトリーニの考え方、伝統的な食を守る運動から検討された。ついで、食の総合性と食をめぐる諸問題がスローフードのミッション(おいしい、きれい、正しい)を生み出したことが説明された。

次に、「味の箱舟」プロジェクトなどの取組が紹介された。世界の動きが中心であるが、その中でも生物的・文化的多様性が強調されている点が示唆的であった。またガストロノミー大学の取組は、運動論と変革への実践を科学が媒介しているという点で、まさにアグロエコロジーの目指すところと共通している。

第2回

研究会第2回は7月1日に、大皿一寿 氏(株式会社ナチュラリズム 代表取締役)を講師として「神戸有機農家チームbio creatorsのCSA」をテーマに報告してもらった(オンライン)。

ナチュラリズムは有機野菜のCSAだけでなく、兼業しながらでもできる有機農家の育成やファーマーズマーケット、ケールの加工などさまざまな活動に取り組んでいる。

また仲間たちとつくったBio creatorsは、ピックアップ・ステーションを利用するCSA以外に、企業(職場)と連携するCSAの新たな可能性に挑戦している。また、耕作放棄地でお米をつくったり、都会の空き地を利用したアーバンファーミングを実施したりしている。

さらに、高齢化が進展して、コミュニティ機能が弱っている団地をCSAで活性化させる取り組みも始めている。消費者の安全な食料確保と有機農家の経営の視点からだけでなく、ネットワーキングや職場のつながり、コミュニティ再生など、CSAのもつさまざまな可能性を展望することができた。

2-3 視察ツアー

愛媛県今治市の有機農業と地産地消をおもな内容とする視察ツアーを実施した。2022年度に講師として招いた愛媛大学の胡柏氏の紹介により、2022年度に企画されたものがコロナで延期となっていたものを本年度に実施することができた。

期間は8月21日~23日、参加者は本研究部会の賛同者を中心に6人~8人(最終日に松山在住者が天候不順によるJR遅延のため参加できず)。

視察場所は今治市役所(地産地消・有機学校給食)、地産地消カフェ・地域振興グループ、JA越智今治農産物直売所、学校給食用有機農産物生産グループ、イノシシ活用隊、大三島自然農法グループなど。今治市のJA、自治体、有機農業グループ、新規就農受け入れ態勢などたいへん参考になる点が多かった。

『倫理的食農システムと農村発展』研究部会
代表:池上甲一(近畿大学名誉教授)




『若手による開発研究』研究部会(2023年11月)

活動報告

活動最終年度である本年度は、第33回全国大会におけるラウンドテーブル発表に加えて、1回のオンラインイベントと、4回のオンライン研究会を開催しました。

それに加えて、開発学会京滋支部が主催する大学院生向けの研究会にて若手部会のメンバー複数人が研究発表を行いました。  

全国大会でのラウンドテーブルでは、それぞれ異なる研究分野を持つ若手研究者が集まる本研究部会の特徴を生かし、個別事例とその一般化のバランスをどのようにとるかという問題意識を持って発表を行いました。

オンライン研究会では、昨年度から行ってきた学会発表セッションの内容についての議論などに加えて、メンバーの単著の出版経験をシェアする会も行いました。

さらに、昨年度に引き続き、研究部会メンバーだけでなく開発学会の会員全体に開かれた研究会も開催し、活動の幅を広げてきていました。  

研究部会の活動最終年度に初めて対面での活動ができたことで、若手メンバー同士の交流を促進するという研究会の目標もある程度達成することができました。

さらに、来年度以降も引き続き若手メンバーによる研究部会活動を行うために、来年度以降の若手メンバーを中心とした新規研究部会立ち上げのためのノウハウの伝達も行いました。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(上智大学)




『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会(2023年11月)

研究部会概要

「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。

そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するために保護をいかに進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにエンパワーメント(empowerment)をいか進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進めてきた。

近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。

SDGsへの取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。

「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。

国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。

年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案してきた。

しかし、2023年度については、十分な活動を実施することができなかった。

活動実績(2022年11月から2023年11月)

なし

『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会
代表:勝間靖(早稲田大学)




【会員限定】入退会員のお知らせと会員数動向について(2023年11月)

(同不順・敬称略)

第239回・常任理事会承認

正会員

米山 泰揚(世界銀行)、長辻 貴之(早稲田大学)、松田 葉月(東京大学)

学生会員

新規入会者なし

第240回・常任理事会承認

入退会審査なし

第241回・常任理事会承認

正会員

渡辺 広毅(国際協力機構)、德永 健太郎(神奈川県庁)、藤田 輔(千葉商科大学)、武藤 亜子(独立行政法人国際協力機構)、相川 明子(独立行政法人国際協力機構)、原 昌平(独立行政法人国際協力機構)、川崎 典子(宮崎大学)

学生会員

中田 茉衣(SOAS University of London)、手島 宗宏(オックスフォード大学)、佐藤 佑樹(宇都宮大学大学院)、ヤオジーリン(神戸大学大学院)、GAO Yinkan(神戸大学大学院)、PHOMMACHAH Nilaphy(名古屋大学大学院)、ANDRIANI Vania Putri(東京大学大学院)、小田島 ナウラ(筑波大学)


退会者

内海 成治、久保田 真弓、中川 淳司、降幡 博亮、中山 祐介、大宮(里見) 陽子、辻 一人、福田 能文、元持 幸子、JITSUTTHIPHAKORN Utumporn、鈴木 智良、近藤 裕基、梅野 知子、中富真理子、畑 杏奈、ZOHRA Khanam、田口博之、谷田貝 ほなみ、余 劲、内藤早百合、飯塚 敦、土岐 典広、藤本厚、河口 真一郎、田中 由美子、稲葉 和夫、川北 菜月、EDLER Kenna Lee、鄭 翔太、Pham Thi Lac Thu、SAY Sokunpharoth、INTHAVONGSA Souksamay、李 影周、KHAN Agha Babar Ali、吉 心語、孫 暢、XU Caihua、MI Moe Thuzar、VANH Leego、吉田 圭助、小林 正一、西田(宇山)かや子、伊藤 拓次郎、青柳 恵太郎、三次 啓都、堀江 新子、吉田 明子、藤家 雅子、石川 広久、古賀 俊行、上野 修平、前田 康雄、米良 彰子、伊藤 早百合、津江 篤典、山田 均、大芝 博明、平林 淳利、西尾 彰泰、山田 英嗣、森 裕介、AKKEMIK Kucuk Ali、増見 エミ、中村 二朗、MAHMOOD Md Sultan、柿﨑 恵、田村 哲也、WIRYAWAN Bangkit Aditya、松崎 成義、DELGERMAA Jargal Saikhan、MUCHETU Rangarirai Gavin、李 淑敏

*なお、退会者のうち33名については、2年間会費未納を理由とする退会処分による。


会員数

合計:1589名(2023 年 10月 18日現在)

(内訳:正会員 1400名、名誉会員 7名、学生会員 182名)

*上記人数には初年度会費を未入金の新入会員、および休会中の会員を含まない。


住所など不明会員について

以下の会員は住所などが不明となっており、現在本部事務局よりご連絡が取れない会員の方々です。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご本人に本部事務局まで連絡するようお伝えください。よろしくお願い申し上げます。(2023年7月15日現在。以下、敬称略)

郵便物不達・住所不明(11名)

森本 佳月、中村 史、島部 惠子、中川 真帆、工藤 正樹、辻本 温史、李 嘉悦、諾 明、金 恩昊、KIM Seil、CHANSOMBUTH Soulivanh

*郵便物の送付を希望しない方は本部事務局までお知らせください(すべての情報は会員マイページまたはウェブサイト上でデータ公開しています)

メールアドレス不明(10名)

広田 秀樹、齋藤 哲也、宮本 寿美、近藤 清夫、神代 ちひろ、加藤 恵実、中澤 芽衣、岡室 美恵子、宮澤 尚里、細井 義孝

*会員マイページの利用にはメールアドレスが必須となります(年会費の支払いも会員マイページから決済可能です)。重要なお知らせも配信されますので、必ず受信できるメールアドレスのご登録をお願いします。メール配信を希望しない方は本部事務局まで文書でお知らせください

本部事務局
事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




第3回「国際開発論文コンテスト」受賞者のことば(2023年11月)

学部論文を対象とした第3回国際開発論文コンテストで優秀論文賞を受賞した方々の「受賞の言葉」です。

これまでは学会の大会でビデオメッセージを流していましたが、2023年春季大会は時間の関係で受賞者の紹介しかできませんでしたので、ニューズレターを通じて、皆さんの声をお伝え致します。

なお、所属は応募時(2023年3月時点)のものです。  

国際開発学会では2024年も学部生対象の国際開発論文コンテストを実施致します。詳しくは学会ホームページをご覧下さい。

意欲的な学生からの多くの応募をお待ちしております。

中西勇太(釧路公立大学)

「カンボジア農家の作物栽培と食料消費の実態―CSES2014を用いた計量経済分析―」

この度は、第3回国際開発論文コンテストにおいて優秀論文賞を頂き、大変光栄です。 研究当初はデータの整理や回帰分析に苦労し、執筆時もなかなか論理性を持った文章を書くことができませんでしたが、三輪加奈先生の丁寧で熱心なご指導のおかげで、この賞を受賞することができました。

私は、国際開発という研究分野は非常に重要であり、途上国の開発問題だけでなく、先進国においてもジェンダー問題や貧困格差など研究が必要な課題が山積みだと考えております。

一見、私たち個人が国際開発に対して貢献できることはとても少ないように思えますが、先行研究を読み、自分なりの解釈をし、論文を執筆するということは大きな一歩ではないでしょうか。

そして、学部生は他大学の方に自分の論文を読んでもらう機会があまりない中で、本コンテストに応募して、審査委員の方に読んで頂くのは非常に良い機会だと思います。

私は、受賞論文においてカンボジア農家の作物栽培と食料消費の現状について家計調査データを用いて明らかにしましたが、カンボジアの農業や栄養不足はまだまだ改善の余地があると考えます。

また、研究を進めるにつれ、カンボジアの人々の伝統的な食文化や生活習慣にも興味を持ちました。途上国の暮らしは日本で過ごす私たちからは想像し難いものではありますが、そこから学べることは多いと考えており、今後より一層理解を深めていきたいと考えております。


中本絢子、中泉澄美、棚橋愛梨咲(関西学院大学)

「マダガスカル農民のコメ生産性に男女のネットワークが与える影響~性格特性に着目した2段階推計を用いて~」

この度は、拙著『マダガスカル農民のコメ生産性に男女のネットワークが与える影響–性格特性に着目した2段階推計を用いて–』を第三回国際開発論文コンテストにて、優秀論文賞に選んでいただきまして、心より御礼申し上げます。

本論文は、2022年8月に、マダガスカルにて私達が独自に取得したデータを用い、執筆いたしました。本研究の舞台であるマダガスカルという国は、世界最貧国家のひとつであり、貧困脱却や今後の人口増加に備えるために、国の主要産業である農林水産業の早急な発展が必要だといわれています。

現在のマダガスカルにおいては、伝統的な農法が主流であり、化学肥料等も効果的に使用されていません。そこで、本研究ではマダガスカルの主食であるコメの生産性向上に着目し、ネットワークの構築と、それを促す性格特性についての研究を行いました。

国際開発論文コンテストでは、私たちのような学生が国際開発という観点から、論文執筆を行い、コンテストに出場することで自身の知見を深めるとともに、さらなる国際開発をめぐる研究の発展に貢献できるのではないかと考えます。

本論文の執筆と本コンテストで栄誉ある賞を頂けたことが、今後のマダガスカルにおいて、より良い政策の実行、また国の発展に貢献できることを心より願っております。私たちも、この度の経験を糧に国際発展という大きな目標に向かい日々精進してまいります。今後ともどうぞよろしくお願い致します。


任百香、石橋由唯、塚本真世(関西学院大学)

「子どもの認知・非認知能力を促すピア効果の影響~マダガスカル農村で行った介入実証実験をもとに~」

この度は『子どもの認知・非認知能力を促すピア効果の影響〜マダガスカル農村で行った介入実証実験をもとに〜』を2023年度国際開発学会賞という栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。

私たちは、最貧国家マダガスカルの農村地域で現地調査を行い研究を行いました。本研究の舞台であるマダガスカルは、世界の中でも特に貧困問題が深刻な国で、経済はもちろん、生活環境や教育環境なども決して良いとは言えません。

特に農村部の教育に注目して研究しました。マダガスカル農村では、学校に通えない子どもがいることはもちろん、教育免許を持っていない村人も教えていること、教科書が教室に数冊しかなく勉強道具も十分でないこと、十分な授業が提供されていないことなどの問題があり、小学校高学年でも四則演算ができない子どもがたくさんいます。

さらにその子どもたちの親世代となると、多くの親が子どもたちより計算問題ができない、字が読めない、字が書けないという現状があり、いかに昔から教育が不十分だったかがうかがえます。

そのような農村の教育の現状の中で、教育レベルを向上させるために「ピア効果」に着目して大規模な実証実験を行いました。ピア効果とはある個人が周囲の人々から受ける影響のことを言い、意識や能力の高い集団の中に身を置くことで切磋琢磨しお互いを高め合う効果やその逆もあります。

ピア効果によって、経験の豊富な教師を頼りにせず、しっかりした教科書を用いて子どもたちがグループ学習をすることによって、短期間で大きな学習効果があることを立証することができました。

本研究が少しでも途上国開発研究の貢献材料となればと幸いに存じます。最後に研究や調査に協力してくださったマダガスカル農村の皆さまに感謝を述べるとともに、皆さまの生活に少しでも貢献できることを願って受賞の言葉と変えさせていただきます。ありがとうございます。


渡辺彩(法政大学)

「ソ連崩壊後のロシアの開発協力―英文学術誌の研究サーベイをもとに―」

この度は優秀賞をいただき、心より感謝申し上げます。本コンテストに応募するということは私にとって「挑戦」でしたので、賞をいただくことができ、大変嬉しく思っております。 本論文は、冷戦後のロシアの開発協力に着目したサーベイ論文です。

冷戦期、東側の旗頭だったソ連を引き継いだロシアは、冷戦終結後、どのような開発協力を行い、新冷戦と呼ばれる状況に至る過程で、どのように変化しているのかという問いを探究しました。

本コンテストは、賞を受賞する機会があるだけではなく、応募者全員が講評をもらうことができます。書いたものを誰かに読んでもらうということは非常に重要だと論文執筆の過程で強く感じました。

なぜなら、執筆者本人では気がつくことができない指摘を得ることができるからです。その過程を踏むことにより、論文をより洗練されたものにすることができます。

講評をもらう機会はさほど多くありません。そのため、応募者全員が講評をもらうことができるというのは、本コンテストの特徴の一つであり、意義なのではないかと思います。

本論文を執筆するにあたり、たくさんの方に支えていただきました。これまでご指導、ご尽力いただきました、先生やゼミ生、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 いただいた講評を踏まえ、賞をいただいたことを励みに、より研究に努めてまいります。この度は誠にありがとうございます。


人材育成委員会
委員長:松本悟(法政大学)




地方展開委員会からのお知らせ(2023年11月)

地方展開委員会 2023年度活動報告(2023年11月)

2023年6月10日に国際教養大学を開催校として実施された第24回春季大会で「地方展開委員会RT地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」を主催し、参加者と内なる国際化を中長期的、短期的どのように位置づけるのか、移民社会にむけて検討すべき課題は何かについて意見交換を行った。

国際開発学会出前講座の今後の運営について考えるために登録してくださった会員にアンケートを実施し今後の在り方について検討した。

地方展開委員会
委員長:佐野麻由子(福岡県立大学)




社会連携委員会からのお知らせ(2023年11月)

2023年10月1日(日曜)にグローバルフェスタにて「国際開発キャリアセミナー」を開催しました。

本事業は今年で3年目になりますが、毎年、若手の方を対象に本学会の会員が自身のキャリアについて経験をお話し、その後、質疑応答を行う形式で実施しています。今年は佐藤仁会長、本委員会の委員でもある大橋正明会員、上智大学の荻巣崇世会員にご登壇頂きました。

質疑応答では「なぜ開発の世界に入ったのか」、「実務と研究の関係性について」、「ワークライフバランスの取り方」等について質問が出され、お3人に率直なところをお答え頂きました。

オンラインで時間も限られていましたので、1往復のやり取りだけになってしまいましたが、本来はもっとじっくりとお酒でも飲みながら聞きたい内容でした。今後のご参考にして頂けますと幸いです。本事業は3年件で11名の方にご登壇頂きました。改めて全ての登壇者、参加者の皆様に御礼申し上げます。

また、この3年間で本委員会主催のシンポやセミナーに多くの方にご参加頂き、充実した委員会活動をして頂きました。ご尽力頂きました委員を初め、関係各位にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。本当にどうも有難うございました。

 

社会連携委員会
委員長:川口純(筑波大学)




「研究×実践」委員会からのお知らせ(2023年11月)

研究×実践委員会では、研究と実践の交わり方を論じる機会を提供すべく、学会大会にてラウンドテーブルの企画を継続して実施してきました。

今般、第11期における委員会の最後の大会であり、委員会の総括として当委員会から三つのラウンドテーブルセッションを企画しました。

1.ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性―インドの離島エリアにおけるe-Healthビジネスの事例から―

  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 紀-115(紀尾井坂ビル115)

当委員会からは、狩野剛委員、功能聡子委員、佐藤峰委員が報告者や討論者を務めます。

2.国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―

  • 2023年11月12日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 紀-B108(紀尾井坂ビルB108)

当委員会からは、佐藤峰委員、小林誉明委員が報告者や討論者を務めます。

3.大国間競争の時代にODA で「普遍的価値」を促進することの意味を問う

  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 紀-115(紀尾井坂ビル115)

当委員会からは、志賀裕朗委員、小林誉明委員が報告者や討論者を務めます。

 

このうち、「国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―」は、地方展開委員会との共催による、「研究×実践×地方展開ラウンドテーブル」として企画されたものです。

地方展開委員会からは木全洋一郎委員が報告者として、梶英樹委員が討論者として参画されます。 みなさまと会場で議論できることを楽しみにしております。

「研究×実践」委員会
委員長:小林誉明(横浜国立大学)