参加者募集「タイ・スタディツアー(9月1日~)」(会員・一般)

NGO野毛坂グローカルでは、非営利事業として主に学生を対象にタイへのスタディツアーを実施しています。

今回、9月上旬に実施するスタディツアーの参加者を募集します。ご関心のありそうな学生へのご案内をよろしくお願いします。

実施日程

1)一般学生対象

  • 9月1日から8日まで

2)医療・福祉関係学生対象

  • 9月1日から11日まで

特徴

  • 分野横断型で政策レベルからコミュニティまで
  • 少人数で毎日のディスカッション
  • 国際協力経験が深いスタッフが同行
  • 野毛坂グローカルが実施するプロジェクト(下記)訪問
  • 比較的安価

訪問先例

  • 国連機関/中央省庁/援助機関
  • 国際協力プロジェクト
  • メディア
  • NGO/地方自治体
  • コミュニティ(保健福祉、環境、コミュニティビジネス)
  • 外国人コミュニティ

詳細は参加者の希望も踏まえ今後決まります

募集人数

1)一般学生対象      4名程度
2)医療・福祉関係学生対象 4名程度

参加費用(概算)

航空賃(東京ーバンコク往復)6万0000円程度(そのときによって異なる)
宿泊費:1泊4000円程度
タイ国内交通費(自己負担分):1日1000円程度
食費:1日1000円程度
旅行保険:3000円程度
その他個人的経費

詳細はウェブサイトを参照

仮申し込み方法

以下のフォームよりお申込みください。


野毛坂グローカルが実施するプロジェクトについて

タイ自治体ネットワークによる統合型高齢者ケアプロジェクト(略称:スマート&ストロングプロジェクト)は、コミュニティにおける医療・保健・福祉・介護を統合型で実施するプロジェクトです。
日タイの学びあいを掲げ、現在タイの26の自治体が加盟しています。

参加者報告例

都留文科大学:内海元太さん

今、人生が変わる学びをしている。今回のタイスタディツアー中に何度もそう思った。「政策レベルからコミュニティまで体験できる」とホームページに記載されていたが、まさにその通りであった。日本ではお伺いすることのできない機関や団体に訪問させていただいて広い視点での学びを実践できた。その中でも、このスタディツアーで私の人生が変わるほどの得られたものを3点紹介したい。

1つ目は、国際協力への覚悟である。私は過去2回の海外ボランティアの経験から将来国際協力に携わりたいと考えている。貧困地域の子供たちへのボランティアに参加をして、日本との違いに衝撃を受け、この子達が幸せになれる世界にしたいと思ったことがきっかけである。このような経験から、現場で活躍できる国際協力に携わりたいと考えていた。いや正しくはそれしか知らなかった。私は国際協力を目指していたにもかかわらず、国際協力に対して無知であった。無意識に避けていた自分がいた。情けないが怖かったのである。自分は今までなんとなく公務員にでもなれればいいかと考えていた。それがひょんなことから参加した海外ボランティアにより、生まれて初めて心からやりたい仕事に出会えた。それに伴い東南アジア経済学の勉強にも興味が湧いた。国際協力に関連した勉強は楽しく、どうしても叶えたいと思えるようになった。しかし、簡単になれる職業ではないことぐらい知っていた。大した語学力も学歴もない自分がなれるのだろうか。不安であった。自分の初めてできた国際協力の夢が壊れるのが怖くて潜在的に逃げていた。とても情けないがこれが渡航前の私のリアルな思いであった。だが、この旅は私を大きく変えた。初日に私が働きたいと考えていたJICAでの仕事内容と働きたい理由を述べた際に、奥井さんは考えが甘いとはっきり言ってくださった。この言葉から国際協力と真剣に向きあおうと思った。今回の旅の自分のテーマを「自分の目指す国際協力とは何か」に決めた。実際に国連、JICA、NHK、丸紅など様々な視点から国際協力を学ぶことができた。その中でも、JICAの川合さんが仰っていた日本に誇りを持ち、日本代表としての国際協力に魅力を感じた。自国だけの利益を追求するのではなく、世界の問題に取り組む考えは共感した。現場で活躍する以外にも多種多様な国際協力の形を知ることができた。現実的な話である雇用形態やこれまでの経歴も同時に知り改めて夢を叶えるハードルの高さも知れた。しかし、もうネガティブな感情はない。むしろ、どうやって世界を変えよう!と熱い思いがみなぎっている。

2つ目は、クリティカルシンキングである。私たちは今回の旅の中で何度もミーティングをした。朝、夜、訪問後絶えず議論を繰り返した。その中で成長したと感じることがあった。それがクリティカルシンキング(批判的思考)である。ミャンマー人学校を経営しているミンミンさんの涙が出るほどの自己犠牲やカオプラガム市の革新的な高齢者支援には大きく感心した。しかし、感心して思考を止めてはいけない。その自己犠牲の活動に持続可能性はどれほどあるのか、市民の賛同を十分に得られた政策なのか疑問点は存在する。一見正しいと見えることにも一歩足を止めて考えなければならない。私は去年の夏にカンボジアへ貧困地域の小学校に校舎を建てるボランティアに参加した。子供たちは喜んでくれていたし、きっといいことをしたんだと思っていた。しかし、この旅を終えて改めて考え直した。あの校舎は今どうなっているのか。校舎の維持は誰がしているのか。維持が負担にはなっていないだろうか。隣の町はどうなのだろうか。小学校でよかったのか。そもそもあの小学校に校舎は必要だったのだろうか。当時、自分のボランティアが正しいと思い込んでいた時には、思いつかなかったことばかりである。カンボジアのボランティアを主催された方と今度会う機会がある。この新しく生まれた疑問と主催の方の思いを共感と冷静の思考で伺い、新たな学びに繋げたい。

3つ目は、尊敬できる仲間である。今回の旅のメンバー全員を心の底から尊敬している。それぞれの興味分野に対して行動を起こしていて、自分の目標を堂々と語っていた。訪問先では質問が絶えなかった。それぞれが助け合い、かつ切磋琢磨し学び合っていた。同年代の尊敬できる人たちと学び合うことは何よりも自分を成長させてくれると感じた。それと同時に負けたくない、この仲間にすごいと思わせたいと感じた。勝手にライバルのように思っている。こんなにも将来が気になるメンバーと出会えたのは初めてである。将来、国際協力を目指しているメンバーもそうでないメンバーもいる。しかし、将来何かの機会で出会うことがあるかもしれない。その時にはまたお互いを助け合い、高め合えるような大人になっていたいと強く思う。

最後にILO川崎さんの大学時代にやらずに後悔したことをみなさんに共有したい。それは「夢や目標を人に伝えること」である。自分の内に秘めているだけでは、誰も助けてくれない。自分の考え、夢を言語化することの重要性を強調していた。ここで私の夢を皆さんにお伝えしたい。私の夢は、「当たり前が当たり前じゃない暮らしを、可能性、選択肢の少ない世界を変えたい」である。そのために、日本代表としての国際協力に携わりたい。これが現在の私の夢である。そして私の夢はまだ始まったばかりだ。今回の旅を通して世界の課題は複雑に繋がっていて永遠に答えはないのだと思った。私の夢も同じだ。だからこそ、私は今後も自分の夢を、世界の課題を考えることを止めずに学び続けようと思う。

早稲田大学:藤原梨乃さん

私は、今回のスタディツアーを通じて、タイだけに留まらず、世界と、特に現在急速に発展している東南アジア諸国と日本の間に、これまでの継承ではない新しい「助け合い方」を自分たちが創っていかなければいけないことを強く自覚した。そして、自分たちが、そのような助け合い方をつくっていく主体であるという自覚がこれまでの私のように、私たち20代の若者には足りていないことにとても危機感を抱いた。①新しい助け合い方を、②私たちがつくっていくという二つの視点から、この結論にいたるまでの経緯を述べたい。

スタディーツアーでは、前半に国連、障害局、タイアジア太平洋障害者センター、NHKアジア総局、民間企業、後半にNGO、JICA、自治体を訪問した。法整備支援という仕事に個人的な興味があり、その点法整備に携わるUNDPの佐藤弁護士のお話はとても興味深いと同時に、自分の根底にある「途上国支援」という概念は大きく変わることとなった。私は法整備支援に携わることを目的にこれまで法学部で学んできた一方で、法整備がカンボジアを代表する多くの国で進んできた話を耳にして、これから自分が法整備に対してできることがあるのか疑問に思うこともあった。他国の法整備に携わるのに、日本の法を学ぶことが本当に必要なのか、法整備を行う主体は日本である必要があるとすれば、日本の法律は進んでいるのかという疑問をぶつけることができた。お話の中で、「進んでいる・遅れているという考えはとても危険で、日本の法整備の背景や体系を踏まえ、日本が法整備に携わる可能性があるというだけで、日本が進んでいるから支援をしているという訳では必ずしもない」上に、「確かに多くの国で法整備は進んできていて、これからは新しい法整備支援のあり方を考えていかなければならない」とおっしゃっていたことがとても印象的だった。  似たような新しさは、NHKや民間企業でも実感した。日本の学校の教育では、東南アジアには途上国が多く、インフラが未整備で、教育や福祉制度も不十分だと教えられるが、急成長するタイではそのイメージは全く実態に沿っていない。その例として、タイでは少子高齢化が進んでいることが挙げられ、その対策については、同じ問題に直面する日本と共に考える取り組みがされているそうだ。このように共通課題を抱える日本とタイの関係においては、共助が重要であり、法整備同様に新しい関わり方を考える必要があると感じた。私企業では、タイの雇用事情については、タイ人が日本に稼ぎに来るという印象が強かったが、タイでの給料が上がった今ではタイ企業で働く日本人が急速に増えているという話があり、これまで習ってきたイメージは通用しないということを実感した。

さらに、今回見てきた中で、日本ではあまり一般的ではないが、必要な視点や、制度を目の当たりにし、一層両国間の共助の余地があると感じた。その一つとして、アジア太平洋障害者センターで伺った障害者の話が挙げられる。障害者の障害は、その身体にあるのではなく、社会にあるという考え方は私には斬新なものに思われた。表面的に「障がい者は害ではないから、害という文字を使うのはおかしい」という考え方が日本では広く広まっているが、その考えが世界での主流を無視した浅い考えである可能性は考えてこなかった。  もう一つの例として、法政策の弱点という視点について、タイのカオプラガム市の取り組みを例に挙げたい。この市では高齢者一人一人に住民カルテが作られ、認知症の人はリストバンドで管理されているそうだ。市が住宅改修に入ったある高齢女性は、自宅が洪水で崩壊しても自宅を離れたくないという希望したそうだが、女性を施設に避難させるのではなく、自宅の改修という方法を市が選択しており、一人一人に対してその人に必要な支援を行っていることがよくわかった。日本では、ある基準を設けて安全のため危険な場所から市民を遠ざける選択が取られがちなように感じる。リストバンドについても、社会で認知症の人を見守るには最適解であるはずだが、プライバシーの侵害の観点から日本では制度化されにくいために、実施が進んでいない。法を固めてしまうと、国や市が定めた基準で汲み取ることができない指標は無視されてしまう。こうした法整備の穴を、カオプラガム市の取り組みを通じて実感した。最初に挙げたもう一つの点、「自分が」周りを変える主体となるという意識の重要性も今回のスタディツアーで得た重要な視点の一つである。様々な立場の人の話を聞く中で、行動の動き始めは、やはり市民の何かを変えたい、という意識から始まっているという共通点を見つけることができた。特に、自身がミャンマーからの移民でミャンマー人学校を運営している方がタイにいるミャンマー人のために自分ができることを考え行動している姿はとても印象に残った。また、カオプラガム市では、市民が自分が携わっている実感を感じることで、ますますよりよい市をつくりたいとエンパワーされる好循環が生まれていた。同じように今自分が生きているコミュニティも、そして広い目で見れば世界も、変えることができるのは自分たち一人一人しかいないということを改めて実感するきっかけとなった。その点、日本では、自分を含め自分たちが世界に関わっているという意識がとても低いことを痛感した。自治体が政策をうつ際に、意見収集が大事、とよく言うが、意見収集という感覚自体が奇妙かもしれない。当たり前に聞き慣れた言葉だが、なぜ意見を言う側と、収集する側に分かれているのか、初めて疑問を抱いた。

最後に、タイや、同じように過去のやり方が通用しない東南アジアの他の国との助け合うことができる可能性を、私の周りではそもそも知らない人が多いが、それはなぜなのか、NHKでの話を通じて考えた。ニュースでその国の「今」を見ない限り、国の印象は習った通りのままである。考えてみれば、日本の歴史やテレビニュースはどちらかというと欧米中心で、東南アジアが登場することは割合で見れば極めて少ないと思う。実際にNHKは東南アジア全体を1〜2人で取材しているそうで、日本人が関心を持つのは欧米や東アジアが中心で、関心に基づくトピックを取り上げるとさらに関心が薄れてしまう。そのような悪循環が存在していることに問題意識を感じた。まずは自分自身が、世界の国の「今」と、自分自身のコミュニティの実態を知って、新しいボーダレスな助け合い方を考える主体にならなければいけないと感じた。


本件にかんするお問い合わせ先

NGO野毛坂グローカル

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