『開発途上国における働きかたの質に関する』研究部会(2025年2月)

『開発途上国における働きかたの質に関する』研究部会
代表者:高橋基樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
- 幹事:黒川基裕(高崎経済大学)
- 幹事:渡邉松男(立命館大学)
- 副代表:井手上和代(明治学院大学)
研究部会の目的と期待される成果
2021年度から2023年度まで学会の助成をいただいた「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」においては、学会内外の多数の研究者を招き、開発途上国における製造業を中心とする事象について議論を行った。この部会の活動を通じて、アフリカ・アジアのものづくりについての知見を広げ、理解を深めることができた。
今回申請する研究部会では、上記ものづくり研究部会の成果を十二分に踏まえつつ、参加者の間で考察の枠組みと明確な論点を共有し、学術書の共同執筆を進めたい。この共同事業にあたっては、研究部会に集う経済学者、経営学者、社会学者、人類学者、地域研究者、さらには工学者など多様な学術分野の研究者が関心を分かちあえるテーマとして「働きかたの質」を中心におき、研究報告や学術書の取りまとめに向けた議論を行っていきたい。
ここで「働きかたの質」とは、賃金などの雇用条件、労働の物理的な環境など従来の学問によって問題にされてきたことがらに加えて、働き手が充実感や自己肯定感を感じられる仕事のやりがい、あるいはおもしろさを意味する。
やりがいやおもしろさを考察する際には、働き手が仕事に対してどのような価値を見出しているのか、また彼・彼女の仕事は周囲(仲間・同僚、使用者、顧客、社会一般)からどのように評価されているのかを当然問題にしなければならないだろう。
本研究部会では、働きかたの質をめぐるこれらのことがらを議論していく。また、対象として、開発途上国で行われているものづくりを中心としつつも、サービス業から農業までを含み、また肉体労働から管理労働に至るさまざまな仕事を対象としたい。
人がどのようにして働くことにやりがいを感じ、充実感を得られるかは、選択肢の拡大等、生の充実という意味での開発を考えるうえできわめて重要であろう。しかし、これまで働きがいとその要因と背景は、開発研究のみならず、経済学などにおいても、十分議論されてはこなかった。この点の研究を深化させることは、国際開発研究の進展にとって大いに意義があることだと考える。
2025年度(2024年10月~2025年9月)の活動計画
HPにて発信、各研究部会を公開(3回目の研究会で総括し、HP等に掲げる。)
2026年度(2025年10月~2026年9月)の活動計画
国際開発学会全国大会で企画セッションを行う
2027年度(2026年10月~2027年9月)の活動計画
HPにて発信、各研究部会を公開、部会報告に関わる論文の雑誌掲載とまとめての書籍刊行を目指す。
成果の公表予定
- 定例研究会の実施
- 研究部会による調査・研究の実施
- 共同執筆者間での書籍刊行に向けた考察の枠組みと論点の共有 ・定例研究会の実施
- シンポジウム、企画セッションの開催 ・研究部会による調査/研究の実施
- 共同執筆者間での書籍刊行に向けた考察の枠組みと論点の共有 ・定例研究会の実施
- 学術書の執筆および刊行
合理的配慮
本研究部会は開催形式をハイブリッド形式で実施することで、対面形式では参加が難しかった育児中や遠方からの出席者、海外赴任中の研究者等にも幅広く参加を呼び掛けたい。
『開発途上国における働きかたの質に関する』研究部会
代表:高橋基樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)