新刊案内『ミャンマー クーデターの謎~カギは中国にあり~』
吉田鈴香『ミャンマー クーデターの謎~カギは中国にあり~』2022年、218頁、三恵社
ミャンマーの少数民族と軍事政権との紛争を含めミャンマーの国家建設を研究して久しくなりますが、ようやくたどり着いた研究成果を、昨年のクーデターの経緯と背景とともにまとめました。疑問を追求していく考察の過程が重要と考え、一人称で書き進めました。
ミャンマーはどうにも不明な点が数多く、始めは私の疑問は星雲状態(事柄の大小もわからない、原因と結果の因果も不明という意味)でしたが、不可解なことを「謎」5つに集約することができました。とくに、理解を阻む壁となっていた「定説」を、当事者へのインタビューによって覆すことができました。5つの疑問のどれにも、中国の存在が直接的間接的に影響をしていました。これが、国軍がアウンサンスーチーさんに伝えたかったことだと思います。
とはいえ、クーデターしか方法はなかったのか、銃を取る国民をテロリストと断じて一切の対話を拒否する行動でよいのか、現在のミャンマー国軍の残虐な行いを報道などを通じて見るにつれ、暗澹たる思いです。早く事態が収拾されることを願いつつ、ご案内です。
目次
序文 (現地英字新聞に掲載した拙論考を転載)
はじめに
第一章 謎その一「国軍はなぜクーデターを起こしたのか」
1.クーデター
2.国軍の行動と法律
3.アウンサンスーチーが行ったこと
第二章 謎その二「なぜ国軍は分裂しないか」
1.結束強い国軍と国軍OB
2.誰と戦っているの?
3.地政学的見地から
4.ミャンマーの決定的な弱さ
第三章 謎その三「第一回停戦合意の定説は矛盾だらけ」
1.つじつまが合わない一九八九年の停戦合意
2.国軍の戦略を聴く
3.停戦協議の真実
第四章 謎その四「なぜ廃貨令が発令されたのか」
1.廃貨令の謎
2.そうだったのか、国内政治と国防の交差点
3.コラム
第五章 謎その五「なぜ中国は攻めてこないか」
1.歴史的関係から
2.中国が抱くミャンマーへの関心
3.中国改革開放への大転換をもたらしたミャンマー
おわりに
本件にかんするお問い合わせ先
- 三恵社 https://www.sankeisha.com/
book-search/detail/20220315095659 - 吉田鈴香 yoshida-suzuka [at] hotmail.com(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
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本書執筆の余波と言えるでしょうか、国軍の元将校に質問を繰り返しているうちに、国軍上層部に私の存在が知られるに至り、昨年の民主化運動の記念日8月8日に、政府系新聞にコラムを掲載しました。(8~9ページ掲載)https://uzo.sakura.ne.jp/burma/nlm/nlm_data/gnlm_2021/gnlm_08_2021/gnlm_08_08_2021.pdf
現在は同紙に定期的に経済社会コラムを書いております。最近のSDGsについて書いたコラムはこれです。
https://cdn.myanmarseo.com/