国際開発学会『第23回・春季大会』実行委員長挨拶
今日、先進国が途上国を支援する一方向的な国際協力の時代から、先進国が途上国の開発経験から学ぶ、そして、SDGsのように先進国と途上国が同じ目線で共通する社会課題を考える時代を迎えつつあります。日本国内では、SDGsを原動力とした地方創生を推進するために、地方公共団体におけるSDGsの達成に向けた取組の普及・促進が重視されるようになりました。
他方で、数多くの解説本が出版されていることからもわかるように、SDGsの達成は、多くの人にとって日常生活の一部になりつつあるとは言い難い状況です。また、企業や行政の上辺だけの欺瞞的なSDGsの取り組みを懸念する声も少なくありません。
2030年に真の持続可能な社会をつくるために、行政、民間事業者、市民等はどのように協働し、何に取り組む必要があるのでしょうか。そして、国際開発学会は、どのようなアジェンダのもと知見や経験の集約をはかり情報発信をしていくことが求められるのでしょうか。
福岡県立大学が立地する福岡県田川市は、旧産炭地として日本の近代化、戦後復興を支えてきたものの、1960年代のエネルギー転換を受け急激な衰退を経験し、鉱害からの復旧、新たな産業づくりによる安定した生活基盤の確保など地域再建を続けてきた「課題先進地域」です。プレナリーセッションでは、地方創生のもとSDGsの理念にそった地域づくりに奮闘する関係者を招き、本音で語り合うことを通して、参加者の皆様と次の時代の開発、国際協力を考えたいと思います。
今大会では、大学を超えて「チーム福岡」として実行委員会を組織し、現地開催の方向で準備を進めてまいりましたが、昨今の新型コロナウイルスの感染状況と本学のキャパシティを鑑み、WEB会議システム(Zoom)を用いた「完全オンライン開催」に変更することにいたしました。プレナリーセッションでは、パネラーと参加者をカメラでつなぐハイブリッド形式を採用し、可能な限り活気ある議論を交わせるような工夫を凝らしたいと思います。どうぞご期待ください。
大会ホームページは近日中に公開予定です。
- 日程:2022年6月18日(土曜)
- 会場:福岡県立大学(全面オンライン開催)
- テーマ: 「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs*」
*田川市SDGs推進協議会の発案による(使用の許可済)
第23回春季大会実行委員長
佐野麻由子(福岡県立大学)
本件にかんするお問い合わせ先
国際開発学会 第23回春季大会実行委員会
Email:jasid2022spring [at] gmail.