『アグロエコロジーと食農システム』研究部会(2025年2月)

アグロエコロジーと食農システム
代表者:池上甲一(近畿大学名誉教授)
- 副代表:牧田りえ(学習院大学)
研究部会の目的と期待される成果
本研究部会は2021年~2024年度に活動してきた「倫理的食農システムと農村発展」の成果を継承しつつ、それをさらに発展させるためにアグロエコロジーによる食農システムの変革を課題として設定することとした。
アグロエコロジーとは、連帯経済やサーキュラーエコノミーなど10の要素からなるFAOの定義やアグロエコロジストの共通理解から分かるように、単に農業の技術的側面を表すものではない。長年アグロエコロジー研究に携わってきたグリースマンは、アグロエコロジーをフードシステムに⽣態学的、経済的、社会的な永続可能性をもたらすための科学、実践、社会運動の統合として位置づけている(グリースマン『アグロエコロジー』農文協、2023年参照)。
食農システムは農業と食を全体的に結び付けて把握しようとする。したがって、アグロエコロジーによるその変革とは生産、流通、消費はもとより、この過程における労働や分配、食農システムを成り立たせている制度、科学(ファンデルプルーフのいう「食の帝国」)までを射程に取り込むことになる。この点で、前身の研究部会が追究してきた貧困削減や環境保全に結びつく倫理的食農システムの構築と関連している。
本研究部会によって明らかになる主な成果は以下の3点である。
- アグロエコロジー的食農システムへの変革の具体的実践と実現条件
- 貧困削減を含む農村の総合的な発展に結びつく食農システムのあり方
- アグロエコロジー的食農システムにおける連帯経済の役割
2025年度(2024年10月~2025年9月)の活動計画
研究会を7回開催する。そのうち4回は会員外からゲストスピーカーを招聘する。メンバーによるクローズド研究会のうち1回は国際開発学会春季大会時に開催する。
- 2024年11月:第1回研究会(オンライン、クローズド)
主要メンバーで研究方向を確認する。 - 2024年12月:第2回研究会(オンライン、オープン)
- 2025年2月:第3回研究会(オンライン、オープン)
- 2025年4月:第4回研究会(オンライン、オープン)
- 2025年6月:第5回研究会(大会会場、クローズド)
秋季大会に向けた自由報告を念頭においた議論 - 2025年8月:第6回研究会(オンライン、オープン)
- 2025年9月:第7回研究会(オンライン、クローズド)
2年目に向けた打ち合わせ:研究成果の中間報告として、秋季大会または2026年の春季大会におけるラウンドテーブルを企画することを前提に、メンバーによるクローズドの研究会を3回程度開催する。ゲストスピーカーを招聘する研究会については2年目の募集開始時に検討する。
2年目のラウンドテーブルをベースに、学会誌「開発学研究」の特集企画を前提として研究会を開催する。
成果の公表予定
- 1年目:国際開発学会秋季大会または関連学会で口頭報告。
- 2年目:国際開発学会秋季大会または春季大会でラウンドテーブルを開催。
- 3年目:国際開発学会「開発学研究」に特集を企画する。
合理的配慮
公開の研究会は基本的にオープンなので、特に予定していない。
『アグロエコロジーと食農システム』研究部会
池上甲一(近畿大学名誉教授)