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NL32巻3号 [2021.08]

活動報告『市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発 』研究部会(2021年8月)

第6回研究会(国際開発学会第22回春季大会 企画セッション)

  • 日時:6月12日(土曜)9時30分~11時30分
  • 場所:オンライン(文教大学・東京あだちキャンパス)
  • テーマ:「多遍性」(pluriversality)実現への道筋―地域コミュニティから近代的「普遍性」(universality)の超克を探る―

報告

  • 「多遍性(pluriversality)研究の背景・意義―企画の趣旨」真崎克彦(甲南大学)
  • 「地域コミュニティのレジリエンスの多遍性(pluriversality)―バヌアツの離島における自然災害からの考査―」藤枝絢子(京都精華大学)/コメンテーター:藍澤淑雄(拓殖大学)
  • 「地域の取り組みから考える多遍的(pluriversal)な社会づくり―スペイン・バルセロナと日本・二本松との比較を通じて―」斎藤文彦(龍谷大学)/コメンテーター:飯塚明子(宇都宮大学)

概要

最初の座長による趣旨説明では、西洋近代型の「普遍的」とされる進歩観と一線を画した「多遍的」な世界各地の社会づくりに関する研究動向が紹介された。

藤枝報告では、バヌアツの離島村落にて、自然災害時にどのような被害軽減や復興が果たされるのかが検証された。その際、地域在来の生活様式(住居や農業の形態、共同体の紐帯など)で培われてきたレジリエンスが発揚される。一般的に「小」島嶼国が持つとされる脆弱性では測り切れない。

つづく斎藤報告によると、バルセロナでは資本主義経済から社会連帯経済への転換が進み、市民政党が生まれて意思決定過程に影響を与えている。福島県二本松市の東和地区では東日本大震災の後、多様な外部関係者との連携が推進されており、バルセロナと同じく、政治経済的な主体性復権がその成果の重要な鍵を握る。

藍澤会員と飯塚会員からは両報告を踏まえて、「普遍的」とされるレジリエンスや経済発展についての従来の見方から離れて、地域固有の「多遍性」からとらえ直す必要性が指摘された。


第7回研究会

  • 日時: 7月31日(土曜)15時:00分~17時30分
  • 場所: オンライン

報告

『ポスト福祉国家にみる「新たな公共」と地域社会―「官・民/公・私」関係の再検討を通じて地域社会の公共性を考える』中西典子(立命館大学)/コメンテーター:秋吉 恵(立命館大学)

概要

とりわけ2000年代以降、「分権型社会」「新しい公共」「地方自治体と住民との協働」という言葉が取り上げられるようになった。不透明な未来社会への不安や危機意識の拡大など、揺らぐ現代社会のなかで、「自助」と「公助」をつなぐ「共助」として、地域の住民主体による「新たな支え合い」が期待されている。

他方で、いわゆる「地域社会の解体」はとどまる気配がなく、今あらためて公共とは何か、なぜ地域社会なのか、が問われている。本研究会ではこうした点を踏まえて、中西先生の報告では日本やイギリスの現状が取り上げられた。

その後、秋吉会員に本学会への示唆を引き出していただき、参加者どうしで世界各地の現況に照らして、地域社会の公共性のあり方について話し合った。

『市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発 』研究部会
代表:真崎克彦(甲南大学)

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