新刊案内:山田肖子編著「持続可能性の言説分析-知識社会学の視点を中心として」
ひとは「持続可能性」という言葉が何を指すと考えて、それを用いて何を議論し、何を達成しようとしているのでしょうか。
本書は、持続可能性もしくはSDGsについて理解を深めてもらうための指南書ではありません。また、執筆者が読者に「こういう社会を達成すべき」と説諭する目的でも書かれていません。
そうではなく、ひとびとがこの言葉を用いて文章を書き、発言する際に、その思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いて描き出そうとしました。
いかに国連で多くの国家や国際機関の代表が合意した国際目標であっても、その背景には異なる価値観や問題認識が共存しています。そして、「持続可能性」という言葉の含意は、それを用いる集団によって、時代によって変化しています。実は不変の前提ではなく、インターアクションの中で常に変化しているこの概念の本質を問うことから、まずは始めてみませんか。
<目次>
はじめに 山田 肖子
1. グローバル・ナラティブとしての持続可能性(山田肖子)
2. 批判的言説分析-言葉の分析から社会の構造と力学を知る(山田肖子)
コラム1「教育哲学の視点から」(松浦良充)
3. 「持続可能性」概念と教育の接続-ネット上の言説が示すもの(山田肖子)
4. 「サステナビリティ=持続可能性」と「経済」言説の接合をめぐって―新聞記事とCSRレポートの計量テキスト分析の試み(仁平典宏・中藤哲也・大賀哲)
5. 「企業ブランディングとしてのSDGs関連活動が消費者の認知と行動に及ぼす影響―社会心理学的な実証研究に向けて―」(唐沢穣・杉谷陽子・柳田航)
コラム2「倫理学・情報哲学の観点から」(久木田水生)
おわりに―私たちは持続可能性という言葉を通して何を見ているのか(山田肖子)
本件にかんするお問い合わせ先
東信堂