新刊案内:大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』
大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』九州大学出版会 2023年
- A5判 234ページ 並製
- 価格:2,200円 (消費税:200円)
- ISBN978-4-7985-0353-0 C3036
https://kup.or.jp/booklist/ss/customs/1353.html
内容紹介
超少子高齢化がすすむ日本では、女性は多くを期待されている。出産育児とキャリア形成は両立できるのか。子育ては個人が負うべきものなのか。男女の別や世代を問わず、社会の構成員がおのおのの生を充実させるには、社会はどうあるべきか。
本書では、国際保健学・母子保健学、国際開発教育の背景を持つ研究者らが、身近な例からこの課題について論じる。キャリアと次世代育成の両方を尊重しながらどのように人生設計に取り組むべきか、若い世代に示唆を与える。
帯より
自分らしく生きるために、SDGsのもと「誰一人取り残さない」社会を目指す現代(いま)、新しい人生設計を考える若い世代へ―― 悪戦苦闘しながら子育てとキャリア形成を両立してきた著者たちが贈る、未来を切り開くためのメッセージ。
https://kup.or.jp/booklist/ss/customs/1353.html
目次
まえがき
第1部 授かる
第1章 人口学からみる少子高齢化社会と共生
はじめに
1.子育てと共生
2.人口学からみる
3.女性の就労と出産・育児の選択と子育て支援
おわりに ペアレンティング(parenting)と子育て(child rearing)
- コラム1:少子化をとりまくデータ
第2章 グローバルヘルスとSDGs–コロナ禍の妊娠・出産・子育て
1.ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へ–「誰ひとりとして取り残さない」というSDGsの理念
2.SDGSと性差
3.日本発、世界に拡がる母子健康手帳
4.多文化共生–エスニック・マイノリティのヘルス
5.新型コロナ感染拡大時代–2020年初めから
おわりに
- コラム2:UNESCOによる包括的性教育(CSE)
第3章 東京、上海、香港の独身女性の結婚、家族、道徳観
はじめに
1.東アジアにおける結婚の特徴
2.各都市の国家政策–結婚の2つのモデル/3都市で出会った女性の具体例/3つの都市における異なる
結婚モデルの説明/独身女性、家族の責任と道徳的価値
おわりに
第2部 支える
第4章 日本における乳幼児期の子育て支援–当事者研究・参与観察
はじめに
1.参加事例–公共イベント/商業イベント
2.超少子高齢化社会で子どもを持つ
3.産後うつ病
4.母乳育児
5.働く母親の子どものための保育園
おわりに
- コラム3:妊娠と出産の人類学
- コラム4:防災と母親
第5章 発達障害を日本社会がどう扱うか–生産性、インクルージョン(包摂性)、人間の価値に関する視点から
はじめに
1.政府の見解
2.メディアの見解
3.アドボケート(支持者)と教育者
4.母親の見解
おわりに
- コラム5:幼保園 就学前の子育て環境
- コラム6:現代の多様化する幼児教育
第3部 育てる
第6章 「ユニバーサル社会」の子育てとは–With-Coronaの状況に直面した教育学者である父親としての雑感
はじめに 子育てのプロって誰?
1.子育ての中で「褒められる男」?!
2.急変する社会状況がもたらす教育課題
3.深刻な教育格差
4.子どもたちは幸福なのか?
おわりに 固定観念にとらわれない子育て
第7章 医師の職場環境とキャリア形成–大学病院における女性医師の環境を通して日本における育児と医療を考える
はじめに
1.社会の年齢構成の変化に伴う医療への要請
2.医師の働き方と女性医師–医師の年齢と男女の比率/医師の男女の比率と就業/育児中の医師の職場環境/医師の働き方の改善に向けた課題/医師の働きがい・モチベーション/医師の勤務と家族構成
3.無意識の思い込み(バイアス)–Unconscious Bias
おわりに
第8章 台湾における女性専門職のワーク・ライフ・バランス–葛藤、心身の健康状態を中心に
はじめに
1.統計学における男女格差–高等教育機関における学生の性別分布/医学生の性別分布/高等教育機関における教員の性別分布/医師の性別分布
2.男女格差が生じる原因と影響–家庭教育の過程/学校教育の過程/キャリア形成/仕事と家庭の間での葛藤/夫婦関係、独身と独身女性への潜在的差別/妊娠と出産
3.結論と提言–職場における母性保護(maternal protection)制度の改善/労働時間管理/育児・介護制度
第9章 多様な社会における共生–或る女性のライフストーリー
はじめに
1.多様な社会における共生:或る女性のライフストーリーと気づき–大学時代:アジア諸国を歴訪/専門家の経験:ラオスでの保健医療協力/留学の経験:ベルギー/出産の経験:米国/子育ての経験:スウェーデン/ワーク・ライフ・バランスの経験:沖縄/学校教育の経験:沖縄
2.多様な社会と日本の若者
3.共生のための助言
おわりに 他者と繋がるきっかけとしてのボランティア
あとがき
編著者
大谷順子(おおたに じゅんこ)
まえがき、第1章、第2章、第4章、コラム2-6、あとがき
大阪大学大学院人間科学研究科教授・国際交流室室長。
ハーバード大学公衆衛生大学院MPH(国際保健学)・MS(人口学)。ロンドン大学経済政治大学院・同衛生熱帯医学大学院PhD。世界銀行、世界保健機関(WHO)、九州大学を経て、2008年に大阪大学に着任。2014-2017年、大阪大学東アジアセンター長(上海拠点)兼任。
主な著書
- 『事例研究の革新的方法‐阪神淡路大震災被災高齢者の五年と高齢化社会の未来像』九州大学出版会、2006年
- 『国際保健政策からみた中国―政策実施の現場から』九州大学出版会、2007年
- Older People in Natural Disasters, Kyoto University Press, and Trans Pacific Press, 2010
- 『四川大地震から学ぶ―復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』九州大学出版会、2021年
- Reconstructing Resilient Communities after the Wenchuan Earthquake, Lexington: Roman & Littlefield, 2023.
- Handbook of Disaster Studies in Japan, MHM Limited & Amsterdam University Press, 2023.
分担執筆者
小川寿美子(おがわ すみこ)
第9章
名桜大学人間健康学部教授。大阪大学大学院医学研究科修士課程修了(ウィルス学)、アントワープ熱帯医学研究所修士課程修了(公衆衛生学)。博士(人間科学、大阪大学)。琉球大学医学部保健医療学講座助手、JICA/WHOプライマリ・ヘルスケア(PHC)専門家(ラオス)等を経て現職。
主な著書
- Okinawa’s Post-War Health Recovery and Development 青山社、2009年
- 『国際保健医療のキャリアナビ』南山堂、2016年
- 『やんばる 世界を拓く』沖縄タイムス社、2022年
北村友人(きたむら ゆうと)
第6章
東京大学大学院教育学研究科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学大学院Ph.D.(教育学)。国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局教育担当官補、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授、上智大学総合人間科学部准教授を経て、現職。
主な著書
- 『国際教育開発の研究射程─「持続可能な社会」のための比較教育学の最前線』東信堂、2015年
- Memory in the Mekong: Regional Identity, Schools, and Politics in Southeast Asia (co-editor), Teachers College Press, 2022
城戸瑞穂(きど みずほ)
第7章
佐賀大学医学部教授。博士(歯学、九州大学)。九州大学大学院歯学研究院准教授を経て現職。2016~2017年、佐賀大学男女共同参画室室長、2017~2019年、同大学ダイバーシティ推進室室長、2020~2022年、同大学附属図書館副館長をそれぞれ兼任。2007年、資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞。2017年、厚生労働省女性医師キャリア支援モデル普及推進事業、2019-2024年、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」にそれぞれ参画。
馬場幸子(ばば さちこ)
コラム1
大阪母子医療センター母子保健調査室室長、大阪大学大学院医学系研究科招へい准教授。博士(医学、大阪大学)。カロリンスカ研究所PD。大阪大学大学院医学系研究科医学科国際交流センター副センター長を経て現職。
Nakano, Lynne Yukie(中野幸江)
第3章、第5章
香港中文大学文学院日本研究学系教授・系主任、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授。イェール大学Ph.D.(人類学)。
主な著書
- Community Volunteers in Japan: Everyday Stories of Social Change, Routledge, 2004
- Making Our Own Destiny: Single Women, Opportunity, and Family in Shanghai, Hong Kong, and Tokyo, University of Hawaii Press, 2022
鄭雅文(Yawen CHENG)
第8章
国立台湾大学公共衛生学院公共衛生学系教授、同学院健康政策・管理研究所所長・公共衛生学部長・教授、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授、台湾公共衛生学会理事。ハーバード大学公衆衛生大学院ScD(疫学)。2012年、ドイツ連邦共和国労働安全衛生研究所研究員。
主な著書
- 《致命粉塵 : 石綿疾病,工業發展史中的職業病風暴》台北: 台灣職業安全健康連線、2017年
- 《職災之後 : 補償的意義、困境與出路》高雄 : 巨流圖書公司、2019年。
瞿瑞瑩(Jui-Ying CHU)
第8章
国立台湾大学公共衛生学院健康政策・管理研究所修士。台北馬偕紀念医院漢方・産婦人科・小児科医師。社団法人台湾中医臨床医学会常務監事。
本件にかんするお問い合わせ先
大阪大学大学院人間科学研究科
大谷順子
- https://kup.or.jp/booklist/ss/customs/1353.html
- ootani.junko.hus [at] osaka-u.ac.jp (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)