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NL35巻2号 [2024.08]

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2024年8月)

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」活動報告

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」の2024年6月末までの活動について以下に報告いたします。

今年度は川中薫さん(国際ファッション専門職大学)、久保田和之さん(神戸大学経済経営研究所)の2名をお招きし、ものづくり研究の「インド編」と称して、12月16日に研究会を開催しました。川中さんは「グローバルファッション産業のなかのインド・デリーのアパレル―縫製工ネットワークと状況適応的生産」をテーマとして報告を行いました。

川中さんは、デリーのアパレル製品輸出の背景には縫製工のネットワークの存在があることに着目し、長期の参与観察と聞き取り調査から、縫製工のネットワークに支えられた熟練形成や、縫製技術に関する学習の仕組みがあることを具体的事例とともに報告しました。報告後は、縫製工の移動やカーストによって細分化された分業に関しての質疑応答がなされました。

久保田さんは「現代インド・ムンバイーの革製品産業—スラム工房ネットワークを通じたイノベーション—」をテーマに報告を行いました。

ムンバイのダーラーヴィーにおいて革製品がどのように発展したのかという問いに対して、①多様な社会集団による工房ネットワークの存在、②高級品開発をも可能にするようなイノベーションの仕組み、③多様な社会集団を結びつける媒介者の存在、の3つの視座から報告を行いました。

報告後は、アフリカとの比較からスラムとインフォーマルの捉え方の違い、工房ネットワークの関係性の変化などについて質疑応答がなされました。

お二人の報告後は、特別コメンテーターとして、神戸大学経済経営研究所の佐藤隆広先生に2つの発表に対してコメントをいただきました。また、インドの産業全体の特徴および、カーストによって細分化された分業の仕組みについて参加者全体にご説明いただきました。

会員からは「ものづくり研究に関して多くの示唆を得ることができ、インド社会の複雑さを知った」「アフリカ、インド、東南アジアと地域を超えて研究者と議論する機会が少なかったので大変勉強になった」などの声が聞かれ有意義な研究会となりました。

開催要領

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」第9回研究会

  • 開催日時:2023年12月16日(土曜)15:00~18:00
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド(オンサイトの会場は京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室)

報告テーマ

「グローバルファッション産業のなかのインド・デリーのアパレルー縫製工ネットワークと状況適応的生産」
川中薫(国際ファッション専門職大学)

「現代インド・ムンバイーの革製品産業—スラム工房ネットワークを通じたイノベーション—」
久保田和之(神戸大学)

※ 特別コメンテーター:佐藤隆広(神戸大学)


『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)

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