新刊案内:SDGsと地域社会ーあなたのまちで人間の安全保障指標をつくろう!

高須幸雄・峯陽一編『SDGsと地域社会―あなたのまちで人間の安全保障指標をつくろう!』(明石書店、B5判/並製/304頁、定価3,200円+税)が刊行されました。

SDGsも折り返し地点を迎えました。SDGsには17の目標、169のターゲット、247の指標があります。これらの指標は困難を抱える途上国を主として想定して設定されているので、日本はすでに多くの指標を達成しているようです。

では、私たちは何をしたらいいのでしょうか。SDGsのバッジを身につけて、なんとなく「エコ」の雰囲気を出して、「やってる感」を出すだけでいいのでしょうか。

私たちは、基本に立ち返るべきだと思います。SDGsの最上位の目標は「誰も取り残されない社会をつくる」ことです。日本では、そのような社会を実現できているでしょうか。

「誰も取り残されない社会をつくる」という目標は、人間の安全保障の目標でもあります。様々な脅威に直面し、その影響を受けやすい一人ひとりの人間の命、生活、尊厳を守り抜こうとする人間の安全保障の目標は、根っこのところでは、SDGsと同じものです。

私たちは、東日本大震災の甚大な被害を受けた宮城県の皆さんと力をあわせて、人間の安全保障指標<宮城モデル>を作成しました。この本で、その全体像を示します。地域社会が抱える問題を、県の平均値ではなく、市町村に脱集計化(アマルティア・セン)することで、一人ひとりが抱える問題に接近します。震災が残した課題、そしてコロナ禍をふまえ、どこで誰が困っているのか、問題点をあぶりだしていきます。

<宮城モデル>は、客観データと主観データを組み合わせ、NPOの視点をふまえ、ビッグデータをとりいれ、命、生活、尊厳の領域に分けて、合計99個の指標で構成されています(人間開発指数の計算方法を応用)。そして、市町村ごとにレーダーチャートを作成し、課題を示し、具体的な提言を行っています。さらに、被災者、子ども、女性、多文化共生などについて、宮城県在住の皆さんを中心に考察を寄せていただき、問題を深く掘り下げています。

SDGs、そして国際開発学会の活動においては、足元の日本国内の課題と、世界各地の開発課題を水平的に等しく扱い、片方の問題にかかわることで、他の問題にも想像力と応用力を広げていくことが問われています。

この本では、他の地域、地方自治体でも手法を応用していただけるように、<宮城モデルから全国へ>の広がりも意識しました。ぜひ本書を手元に置いて参照していただきながら、皆さんのそれぞれの場所で、SDGsの真の課題に取り組む人間の安全保障指標をつくってみてください。

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編者

  • 高須幸雄(人間の安全保障に関する国連事務総長特別顧問、NPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事長、日本ユニセフ協会副会長、中部大学客員教授)
  • 峯陽一(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授)

本件にかんするお問い合わせ先

峯陽一 

  • ymine [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

なお、全国データを都道府県に脱集計化した『全国データ SDGsと日本』も販売中です。

JICA(国際協力機構)による『全国データ』の英語版もあります。こちらは無料でダウンロードしていただけます。