2022年度・活動報告『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2022年11月)

初年度である2022年度は、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」に関して、合計で3回(3月、5月、8月)の研究部会を開催しました。さまざまな分野の研究者によって、「ものづくり」を考察する多角的な切り口が提示され、ものづくり研究のすそ野の広がりを感じる1年となりました。

第1回研究会

第1回目の研究会では、研究部会代表者の高橋基樹会員より本研究会の目的が説明されました。その後、以下の4名に研究成果を発表していただきました。労働研究や教育研究など、多角的な視点から途上国の「ものづくり」を考察することができ、発表後の議論も大いに盛り上がりました。

  • 「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」(神公明会員)
  • 「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」(町北朋洋氏)
  • 「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」(朴聖恩会員)
  • 「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」(松本愛果会員)
  • 「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成 -ものと人の関係に着目して-」(山崎裕次郎会員)

第2回研究会

第2回目の研究会では、牛久晴香さんより、ガーナのボルガバスケット産業の概要およびデザインや技術の考案に関わる主体、技術の地域分化の要因について発表をいただきました。また、黒川基裕会員より、ミャンマーで現在進行中のBOPビジネスのものづくりプロジェクトについて、Field-based Approachの採用とその効果、開発経済学の視点からのものづくり研究の考察、BOPビジネスのモデリングなど幅広い見地から報告がありました。

  • 「ガーナのボルガバスケット産業におけるかご編み技術の共有とその広がり―産地内の地域分化に着目して」(牛久晴香会員)
  • 「BOPビジネスの実現に向けたField-based approachの実践」 (黒川基裕会員)

第3回研究会

第3回目の研究会では、前田夢子さんより徒弟制の変容が生じている現在の沖縄県窯業界およびセネガルのグラフィティ制作に携わる若者の日常と実践について報告いただきました。また、JICAの専門員として途上国の民間セクター開発支援に携わっておられる本間徹さんより、現在の4つの潮流(GVC、I4.0、コロナ、環境社会)時代における産業開発支援とものづくりの今後の示唆について報告がありました。

  • 「沖縄県の焼物業界における職人・見習いの日常と実践: セネガルのグラフィティ集団を射程に入れて」(前田夢子氏)
  • 「激動する4つの潮流:ポストコロナ時代の産業開発支援とものづくり」(本間徹会員)

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)