『国際開発学事典』

この度、国際開発学会創立30周年記念事業(丸善出版開業150周年記念事業を兼ねています)の一環として『国際開発学事典』を刊行することができました。

この事典は、現在の国際開発研究の到達点を示すとともに、今後国際開発研究を学習し、推進し、牽引していく若い皆さんの役に立つために編集したものです。

国際開発研究も最近では、カバーする分野が多様化するとともに、それぞれの分野でかなり深い議論が行われることが多くなりました。

ご自分の研究テーマに関わる諸分野での議論を知るために、学生さんに追究したい研究の糸口をつかんでもらうために、是非机上において、あるいは図書館に配架してご利用いただければ幸いです。


  • 国際開発学会(編集)
  • 発行:丸善出版
  • A5判・640ページ
  • 定価:20,000円+税
  • ISBN:9784621303405

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刊行にあたって

グローバル化のもと、国境を超えた人々の接触と交流が増え、国際的な理念の共有の努力が進む一方、異文化間の軋轢や対立も深まり、一国家の単位では対処しきれない数々の困難な問題が顕在化しつつある。そこで不可欠なことのひとつは、開発途上国をはじめとする異なる社会の開発状況の知的理解を広げ、深めることであろう。

国際開発の理念と実践は、近代西欧の思想家たちが発展ないし開発の概念を形成してから今日まで、多くの有為転変を遂げてきた。とりわけ第2次世界大戦後の開発途上国の政治的独立と主権国家体制の世界への広がりを受け、いわゆる南北問題が顕在化すると、「南」の開発途上国における社会変動や開発に向けた営為とともに「北」から「南」への政府開発援助が、国際開発の主軸の一つとなっていった。

今日ではグローバル化が進む中、国際開発に関わる領域は広く、経済・産業から、社会関係、あるいは人々の健康・知識や、日々の生活実践、文化にまで多岐にわたり、国際開発支援に関わる主体も、先進国の政府関係機関ばかりでなく、営利企業はもちろん、自治体、教育研究機関、NGO・民間財団、草の根組織、インフォーマルな事業体など多様になっている。

また、かつて先進国から開発途上国へと一方的に供与されるだけだった開発援助ないし開発協力も、近年では開発途上国の中から立ち現れた新興国によって供与されるようになった。さらには、経済停滞、少子高齢化、国内格差の拡大などの問題の深刻化によって、先進国社会も再び自らの開発課題に真剣に向き合わなければならなくなっている。国際開発はさらに多元化の様相を呈しているのである。

将来世代を含めた個々の人々を開発の中心に据えるべく理念構築の営みも積み重ねられてきた。2015年には、人間貧困の削減を掲げる「ミレニアム開発目標(MDGs)」を受け継ぎ、包括的な「持続可能な開発目標(SDGs)」が各国首脳によって合意された。そこでは、持続可能性に加え、包摂性、強靭性を根本的な理念とする開発のあり方が、先進国・途上国の別なく世界のすべての人々が享受すべきものとして共有されることになった。批判は多くあるものの、SDGsは多面化してきた国際開発をめぐる議論と実践の一つの集大成と言ってよいだろう。

国際開発研究は、今日まで、こうした国際開発と開発途上国、さらには先進国・新興国の絶えざる変動に向き合い、従来の日本の学界にない新しい研究の地平を切り開いてきた。そして、国際開発研究が対象とするテーマや知的領域も大きく広がり、自然科学から人文科学、社会科学に至る極めて多くの専門分野によって扱われるものとなっている。

本事典は、この複雑化・多様化した国際開発研究の成果を日本の社会内外に広く届け、国際開発研究という大海原に初学者が漕ぎ出すための海図の役割を果たすことを目指している。また専門を異にする研究者や実務家が互いを理解し合い、国際開発研究にふさわしい学際的な交流を進め、新しい発想を生み出すための、よすがになることも企図している。そのために19の章を設け、多くの事項をカバーしつつも、関心の高い重要なテーマ一つ一つについて丁寧な説明を行うべく1項目2ページで読み切る中項目主義事典のスタイルとした。

この事典の各項目の執筆にあたっては、国際開発学会内外の専門家の熱心な参加を得た。数多い各項目の執筆者が、皆さん快諾下さり、さらに喜ばしいことに非常に短期間に全ての原稿が集まった。各章の編集委員、各執筆者の意欲と努力の賜物であり、この場を借りて心より御礼を申し上げる。

また、丸善出版の小林秀一郎、松平彩子、南葉真理の皆さんには、言葉で言い表せないほど、数々のお世話になった。御三人をはじめ丸善出版の皆さんの膨大で煩雑な編集作業の支えがなければ、この事典は決して世に出ることはなかったであろう。

国際開発学会は、2020年に創立30周年を迎える。創立から今日までの間に、本学会では多くの議論や活動が重ねられてきた。それは、開発と途上国、そして世界をめぐる様々な変動に即応し、あるいは対峙しつつ、自ら研究の新しい地平を切り開いてきた歴史であったと言ってよいだろう。その記念事業として学会の総力を結集し、この事典を刊行できたことを喜ばしく思うとともに、本事典が国際開発に関する読者の広く、また確かな理解につながり、「大海の海図」の役割を担うことを心から願っている。

2018年9月 『国際開発学事典』編集委員長 第9期国際開発学会会長・高橋基樹


*編集委員長から執筆者へのお礼紹介(以下、出版元ウェブページより)

火種にならない国際支援、人的支援を含む効率的な援助とは何か。現地とどのように合意形成を行うか。諸分野にまたがる国際開発学を写真や図を交えながらそれぞれの専門家が1項目2pで解説。経済・政治・社会学・人類学、さらには教育学・経営学・農学・工学などにもまたがる国際開発学の全貌を概観できる。「読み物として、背景や事例を論じつつ説明してくれる」事典。


目次

序章.歴史と理念

開発理念の変遷/植民地化と西洋化/国際開発概念の誕生と展開/民族主義の勃興と南北問題/戦後世界経済の展開と国際開発/オルタナティブ開発論/新自由主義と国際開発/人間開発と人間の安全保障/国際秩序の変動と地球規模の問題/「持続可能な開発」論の歴史的系譜

1.文化

文化/文化相対主義/宗教と開発/感情と開発/文化特異性障害/言説としての開発/身体性と開発/ナショナリズムと芸術/マイノリティとサブカルチャー/多様性と創造性/開発のプロセス――プロセス・ドキュメンテーション/開発と人類学

2.社会変動

開発と社会変動/介入行為としての近代化/人口転換と人口増加/少子高齢化と人口ボーナス・オーナス/人の移動と難民/社会発展と観光/社会階層と開発主義/家族関係の変容/グローバル化と都市化/国家のリスケーリング論/生活と居住/飽食化する食生活/情報通信技術とデジタル革命/コンビニエンスストアの普及・現地化/ジャパナイゼーション/社会規範の変化

3.コミュニティ

コミュニティと開発/文化的慣習とコミュニティ開発/宗教、コミュニティと開発/相互扶助ネットワークとその創造/社会関係資本/モラル・エコノミー/社会的な排除とマイノリティ/参加型開発とエンパワーメント/マイクロファイナンスと地域コミュニティ/NGOとコミュニティ/地方分権化と地域コミュニティ/開発と移民・ディアスポラ

4.農業・農民・農村

農業・農村・農民/農村における生業の変容/農業を担う主体の多様性/農業と自然/農民と土地/農村の生活/農民の生存戦略と農村/生態的農業と市場/農民と食料/灌漑農業の歴史と発展/農業と技術革新/種子から考える農業の持続性/食と農の距離

5.保健医療

保健医療/プライマリ・ヘルス・ケアとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ/保健医療情報システム/グローバル・ヘルス・ガバナンス/リプロダクティブ・ヘルス・ライツ/母子保健/予防接種/感染症対策/エイズ・マラリア・結核/非感染性疾患/栄養/必須医薬品/自然災害

6.教育

開発と教育/学校と社会・コミュニティ/教育・人材開発と経済発展/教育における人権アプローチ/教育の質/教育格差と公正/インクルーシブ教育/教育と国民・市民の形成/紛争・災害と教育/宗教と教育/教育開発と情報通信技術/低学費私立学校/開発とスポーツ/教員養成・教員訓練/数学教育・科学教育/技術教育・職業訓練/乳幼児のケアと教育/高等教育/ノンフォーマル教育/教育開発と国際協力/教育開発の国際新枠組み

7.国家・法

国家体制と法制度/開発途上国における国家体制/汚職と腐敗/開発国家と開発独裁/国際秩序と開発途上国/開発途上国の国家と社会の関係/開発途上国の民主化/グッド・ガバナンスと国際協力/持続可能な開発に向けての国家の課題/国家法と非公式法/法と開発/開発途上国の公法/開発途上国の私法/移行諸国への法の移植/破綻国家の出現

8.平和

現代における紛争と平和構築/国際社会による平和の取組み/平和構築と法の支配/戦闘員の武装解除・動員解除・社会復帰/難民と国内避難民/紛争と人間の安全保障/土地・天然資源と平和構築/紛争とジェンダー/移行期正義と和解/国際武器取引と核不拡散/テロリズム/開発援助機関による平和構築の取組み/ビジネスを通じての平和構築

9.貧困と不平等

貧困と不平等/貧しい人々の自立/グローバル化と格差・貧困/貧困の指標と測定/所得の不平等/相対的剥奪/貧困者による貧困調査/食の貧困/居住の貧困/貧困削減と再配分政策/貧困削減政策の評価/サハラ以南アフリカの貧困/南アジアの貧困/日本の貧困地域

10.包摂性

包摂的な開発/人権と開発/人道と開発/ジェンダー/民族/少数者/子ども/若者/障害をもつ人たち/労働/住民移転/女性に対する暴力/人身取引/保護する責任

11. 貿易と資本・労働移動

グローバル経済下の貿易と生産要素移動/データで見る世界の貿易と直接投資/国際分業理論と開発/開発のための貿易政策/直接投資の役割/技術移転と知的財産権/グローバル・サプライ・チェーンと国際分業/世界規模の貿易自由化と途上国/地域自由貿易圏の形成/フェアトレード/国際労働移動/一次産品

12.成長・マクロ経済

経済発展とマクロ経済/経済成長論/経済成長と技術進歩/産業構造変化/産業連関/経済危機/開発と財政/開発金融政策/産業政策/インフラストラクチャー建設/持続可能な成長/貧困削減を伴う経済成長/債務削減/金融発展

13.産業・金融・ビジネス

産業・金融・ビジネス/キャッチアップ型工業化/技術の変遷と産業の発展/産業集積と地域経済振興/開発途上国における中小企業振興/産業発展のための人材育成/企業発展と金融/産業発展のための金融と開発銀行/貧困層と金融/貧困層とビジネス/コミュニティ・ビジネス/一村一品運動

14.インフラ・技術・強靭性

インフラ整備と経済成長/インフラ整備とマネジメント/道路整備事業/港湾整備事業/鉄道整備事業/空港整備事業/電力・エネルギー事業/情報通信事業/上下水道事業/河川事業/インフラ整備と環境配慮/住民参加による道路整備 /自然災害と防災/緊急支援・復興支援

15. 環境・資源・エネルギー

資源と環境/開発援助のセーフガード・ポリシー/環境ODA/エコロジー的近代化/大気汚染/都市のスラムと汚染/日本の公害経験の普遍性/資源の呪い/紛争資源/廃棄物管理/電力/生物多様性と遺伝資源/環境正義/グローバルな水問題/貿易と環境/気候変動

16.国際開発協力の理念とアプローチ

「開発協力」とは何か/援助理念/国際開発規範/開発協力潮流の変化/ビッグ・プッシュ・アプローチ/南南協力/構造調整アプローチ/持続可能な開発と環境援助/民主化支援/参加型開発協力/貧困削減戦略/援助協調/インクルーシブな開発協力/自助努力支援

17.国際開発協力のアクター

国際開発協力のアクター/先進国援助コミュニティの形成とその多様性/日本の政府開発援助の担い手/日本の援助の変遷/日本の援助の特徴/NGO・CSOと国際開発協力/民間企業と国際開発協力/開発コンサルタント/新興国による援助/受入れ主体の役割/国際連合の開発協力/国際開発金融機関

18.国際開発の未来

国際開発の未来――人間の顔をしたグローバル化のために/ポストSDGs/援助国と被援助国・国際援助システムの変容/国連の役割/企業は政府にとって代わるか/NGOは政府にとって代わるか/平和・安全保障と開発/開発概念の豊穣/貧困計測の展開/保健開発の未来/教育開発の未来/資源・環境の未来/エネルギーの未来/グローバルな格差の行方/人口問題の未来

/グローバル時代の人の移動と開発/都市化の未来/民主主義は生き残れるか/技術と開発の未来/社会関係の未来/オルタ・グローバル化は新自由主義グローバル化の代案となるか




国際協力用語集(第4版)

2014年9月、国際開発学会が編集した『国際協力用語集』(第4版)が出版されました。

日本の国際協力における各分野の第一人者が編集・執筆。分野、形態、政策、援助潮流、組織・機関など、国際協力に関するあらゆる用語を網羅・解説。国際協力にかかわるすべての人必携の書。10年ぶりの大幅改訂。1,590語を収録。時代を読み解くキーワードがこの一冊に!内容(「BOOK」データベースより)。

今回の改訂では、前回(2004年・絵所会長の第5期執行部が協力)よりも用語数を増やし、また「開発とビジネス」「紛争と開発」関連の用語の充実も図りました。開発協力の実務に、また大学等での講義、学習のためにも必須の内容となっていますので、ぜひお求めください(監修/第8期会長:佐藤寛、編集:国際開発学会)。


  • 単行本: 353ページ
  • 出版社: 国際開発ジャーナル社; 第4版 (2014/09)
  • ISBN: 978-4-87539-087-9
  • 発売日:2014年9月
  • 定価:3,996円

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国際開発とグローバリゼーション(シリーズ国際開発・第5巻)

西川潤・高橋基樹・山下彰一 編著

  • 発刊年月:2006年6月
  • ISBN:978-4-535-55377-4
  • 判型:A5判
  • ページ数:296ページ

内容紹介

開発の概念は、グローバル化の進展によってどう変わってきているのか? 貧困問題、知的財産権、援助潮流など多方面から検討する。

目次

序章 開発とグローバリゼーション/西川 潤

第1部 グローバリゼーションの諸相
  • 第1章 グローバル化する世界と貧困/山崎幸治
  • 第2章 グローバリゼーションと途上国への資本フロー/高阪 章
  • 第3章 グローバリゼーションの時代における開発途上国と知的財産権/久保研介
  • 第4章 グローバリゼーションと地方経済:日本の経験からの考察/山下彰一
  • 第5章 人権のグローバリゼーションと途上国:アフリカを中心とした開発と人権の国際政治経済学/勝俣 誠
第2部 開発レジームの変化
  • 第6章 法制度の国際的均質化と途上国・移行国:開発法学の視点から/安田信之
  • 第7章 変わりゆくアジア経済:産業構造変化とその見方/川畑康治
  • 第8章 人間の安全保障とダウンサイド・リスク/峯 陽一
  • 第9章 国際開発援助の新潮流:グローバル・ガバナンスの構築に向けて/高橋基樹

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日本の国際開発協力(シリーズ国際開発・第4巻)

後藤一美・大野泉・渡辺利夫 編著

  • 発刊日:2005年6月
  • ISBN:978-4-535-55376-7
  • 判型:A5判
  • ページ数:296ページ

内容紹介

戦後日本の国際社会における「自分探しの旅」=ODA50年の歴史を、研究と実践の両面から振り返り、今後の課題と展望を提示する。

目次

序章 日本の国際開発協力を問う/後藤一美

  • 1 開発援助の世界とは:同床異夢
  • 2 援助行政と公共政策:協力同心
  • 3 グローバル化と国益:鏡映描写
  • 4 新援助政策のあり方:雲外蒼天
  • 補論

1章 援助理念/渡辺利夫

  • 1 政府開発援助大綱
  • 2 自助努力とは何か
  • 3 日本のODAの開発効果をどう考えるか
  • 4 日本は貧困削減戦略(PRSP)体制にどう対応するか
  • 5 ガバナンス論を日本のODAに生かす道はあるか
  • 6 日本の対中ODAをどうする?
  • 7 フロンティアとしての環境協力

2章 援助行政・援助政策/杉下恒夫

  • 1 50年の日本の援助行政の移り変わりと課題
  • 2 日本の援助政策の変遷と形成過程
  • 3 現在の援助行政と援助政策の展望

3章 資金協力/木下俊彦

  • 1 はじめに
  • 2 日本の資金協力の特徴
  • 3 動員可能資源の組み合わせを
  • 4 東アジア諸国との経済連携協定(EPA)と開発協力のリンクの必要性
  • 5 おわりに

4章 技術協力/三好皓一

  • 1 はじめに
  • 2 技術協力を構成する要素
  • 3 技術協力を取り巻く環境の変化
  • 4 JICAの対応と変化
  • 5 おわりに:国別・課題別アプローチの強化に向けて

5章 援助評価/牟田博光

  • 1 わが国の援助評価の推移
  • 2 援助評価の基本的考え方
  • 3 評価の結果
  • 4 今後の課題と展望

6章 国際機関と日本の協力/大野 泉

  • 1 はじめに
  • 2 世銀の変革:開発哲学の「ソフト化」と「現地化」
  • 3 国連開発グループ:「人間開発」パラダイムとシステム効率化
  • 4 世銀と国連の「接近」?:貧困削減、平和構築、グラント化
  • 5 日本のODAの展開と課題
  • 6 国際機関と日本の協力:能動的な国際機関政策を模索して
  • 7 最後に:残された課題

7章 開発コンサルタントの役割/橋本強司

  • 1 開発コンサルタントの役割とその変化の概観
  • 2 開発協力の変遷と方向性
  • 3 日本の開発協力事例と開発コンサルタント
  • 4 これからの開発協力における開発コンサルタント
  • 5 新たなパートナーシップによる開発協力のために

8章 自治体の国際協力/吉田 均

  • 1 本章の目的
  • 2 地方自治体の国際協力に関する世界的潮流
  • 3 国際協力の概要
  • 4 国際協力の分野別状況
  • 5 政府機関との連携状況
  • 6 地方自治体の国際協力に対する評価
  • 7 結論と課題

9章 NGOの国際協力/大橋正明

  • 1 NGOとは何か:NGOとその周辺
  • 2 日本における国際協力NGOの歴史
  • 3 日本のNGOによる国際協力の現状と課題
  • 4 日本政府とNGOの関係と今後の方向
  • 5 まとめ:グローバル化のなかの日本の国際協力NGO

10章 メディアにみるODA認識/草野 厚・岡本岳大

  • 1 問題関心の所在:ODAとメディアの役割
  • 2 新聞社説は何を主張してきたのか
  • 3 政策形成、世論形成におけるメディアの役割
  • 4 おわりに

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生活と開発(シリーズ国際開発・第3巻)

佐藤寛・青山温子 編著

  • 発行日:2005年9月
  • ISBN:978-4-535-55375-0
  • 判型:A5判
  • ページ数:260ページ

内容紹介

どうすれば開発や援助が途上国の国民ひとりひとりの生活の質を高めることができるか。「現場」に軸足を置いて考える。

目次

序章 生活のなかの開発、開発のなかの生活/佐藤 寛

  • 1 ボランティアに行くことになる
  • 2 イエメンの紅海沿岸部B村
  • 3 B村の開発史
  • 4 出稼ぎブーム
  • 5 外国援助の本格化
  • 6 都市貧困層と援助
  • 7 所得向上プロジェクト
  • 8 援助プロジェクトの集積効果
  • 9 村人の視点:援助プロジェクトの受け止められ方
  • 10 赴任するあなた
  • 11 待ち受ける人々
  • 12 出会い
  • 13 国際開発のさざ波

1章 生活と健康/青山温子

  • 1 プノンペンのスラム
  • 2 健康と病気にかかわる多様な要因
  • 3 社会的・文化的要因
  • 4 経済的・政治的要因
  • 5 保健医療と教育・人材養成
  • 6 基本的保健医療へのアクセス確保
  • 7 保健医療政策とシステム作り
  • 8 世界の保健医療の枠組みと流れ
  • 9 基本的人権としての健康

2章 生活と栄養/長谷部幸子

  • 1 南アジアの国々でのできごと
  • 2 過去50年間の栄養問題とその解決のために取り組まれてきた栄養プログラムの変遷
  • 3 日本の栄養問題の変遷

3章 生活と教育/磯野昌子

  • 1 ネパールにみられる教育援助の風景
  • 2 教育開発・援助の変遷
  • 3 生活に回帰する識字教育の試み
  • 4 下からの教育システムの構築

4章 子どもの生活と開発:生存と発達のプロセスにおいて/勝間 靖

  • 1 生存を脅かされる乳幼児
  • 2 子どもの発達を支える生活環境
  • 3 思春期の子どもとHIV/エイズ:健康教育の必要性

5章 水と森に支えられた生活と開発:ラオスのある小さな村の30年/松本 悟

  • 1 水と森との生活が「開発」と出合うとき
  • 2 ナモン村の「開発と生活」の30年
  • 3 ナモン村の30年は何を語っているのか
  • 4 事例研究の意義付けと援助の社会的影響
  • 5 水や森との生活と「あるものを失わせる」開発

6章 「援助を受け止める人々」の生活と開発:あるフィリピン現地NGOの変遷から/佐藤 光

  • 1 第1期・現地NGOの誕生
  • 2 第2期・事業の拡大
  • 3 第3期・転換期
  • 4 IPHCの歴史から学ぶこと

7章 農村生活と開発:安定を求め変化に生きる東南アジアの農村から/小國和子

  • 1 土地と人が培う多様な農村コミュニティ
  • 2 農業開発と農村開発:生産と生活
  • 3 農村開発援助と生活実践
  • 4 人々の生活観に答えを求めて

8章 生活と調査/西野啓子

  • 1 開発援助における調査
  • 2 「社会調査」が住民に与える影響
  • 3 「社会調査」が地域に与える影響
  • 4 生活と調査の議論
  • 5 調査を意味のあるものにするために

9章 『生活改善』と開発:戦後日本の経験から/水野正己

  • 1 はじめに
  • 2 生活改善の実践集落:愛媛県O集落
  • 3 むら改造=生活改善の計画
  • 4 生活改良普及員の登場:外部者の役割
  • 5 エントリーポイントとその後の事業展開
  • 6 実施体制
  • 7 生活改善の長期的意義と改善型アプローチの特質:むすびにかえて

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環境と開発(シリーズ国際開発・第2巻)

井村 秀文 松岡 俊二 下村 恭民 編著

  • 発行日:2004年12月
  • ISBN:978-4-535-55374-3
  • 判型:A5判
  • ページ数:212ページ

内容紹介

経済開発において、環境問題は最も重要な要素の一つだ。「開発か環境か」といった二分論を越えて、開発成果を測る指標そのものに環境を据えることができるかどうか。日本が果たす役割に注意しつつ、現状と展望を解説。

目次

  • 序章 環境と開発/井村秀文
  • 1章 地球環境問題と途上国/井村秀文
  • 2章 貧困と「資源の呪い」/佐藤 仁
  • 3章 途上国の産業と環境/市村雅一
  • 4章 自然環境保全のための「協治」/井上 真
  • 5章 途上国の環境と住民参加/加藤 宏・上條哲也・永石雅史
  • 6章 企業活動の新しい展開と公的支援の役割の変化/下村恭民・田部井友子
  • 7章 環境と開発援助/藤倉 良
  • 8章 途上国の社会的環境管理能力の形成と日本の国際協力/松岡俊二・本田直子・岡田紗更

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貧困と開発(シリーズ国際開発・第1巻)

絵所秀紀・穂坂光彦・野上裕生編


  • 発刊日:2004年11月
  • ISBN:978-4-535-55373-6
  • 判型:A5判
  • ページ数:232ページ

内容紹介

巨大な生産力と豊かさのただなかに埋め込まれた「貧しさ」からどう脱却するか。近年の開発経済学で最も注目されるテーマである貧困問題に焦点をあて、理論と現実の両側面から、最新の研究動向をわかりやすく紹介。

目次

  • 序章 貧困と開発:主要論点の整理/絵所秀紀
  • 1章 経済成長と貧困・雇用:Pro-Poor Growth論の系譜/山形辰史
  • 2章 開発援助と貧困削減の経済学/澤田康幸
  • 3章 農村の貧困と開発の課題/藤田幸一
  • 4章 都市貧困と居住福祉/穂坂光彦
  • 5章 貧困と教育/岡田亜弥
  • 6章 ジェンダーと貧困/上山美香・黒崎 卓
  • 7章 マイクロ・ファイナンスの金融メカニズム/三重野文晴
  • 8章 ソーシャル・キャピタル/坂田正三
  • 9章 アフリカの貧困/平野克己
  • 10章 「貧困と開発」から見た日本の経験/野上裕生

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