早稲田大学・第12回創造的復興研究会「津島の歴史文化と津島の復興を考える」6月25日開催(会員・一般)
2023年秋、安東量子さんが主宰されている福島ダイアログの視察で、初めて福島県浪江町の津島地区を訪れました。
現在は福島市にお住まいで、原発事故まで津島地区で暮らされていた三瓶春江さんに案内いただきました。三瓶さんは津島原発訴訟団の一人で、大変活発で、とても細やかな心遣いをされる方です。
三瓶さんたちの主張に、私は共感できる部分とできない部分があります。しかし、津島を訪問してから、津島のことが「心に刺さった棘」のようにずっと気になっています。私が何かできるわけではないですが、時々、心が鋭く痛みます。
津島は、大熊町や双葉町と異なり、原発を誘致したわけでも、原発の恩恵を受けたわけでもないのに、原発事故の被害だけ一方的に押し付けられた地域です。
津島地区の大部分は、現在も帰還困難区域で、除染もごく限られた範囲でしか実施されていません。浪江町中心部がF-REIの立地などで「活気」づく中、津島地区は「置き去りにされた地域」「忘れられた地域」になっているように感じられます。
数百年のあいだ津島(旧津島村)で暮らしてきた人々や満州引揚者で津島に入植してきた人々などの営々と築いてきた津島の歴史と文化が「一瞬にして失われたこと」を、同じ日本人としてどう考えたらよいのか。「創造的復興」を標榜する福島復興政策において津島地区の復興をどのように考えたらよいのか。
「ある地域の犠牲や世界の犠牲の上に、持続可能な社会は成立し得ない」ということが持続性の大原則です。福島復興における津島地区は、日本社会の持続性やSDGsの問題点を鋭く「問う」ものです。
この度、津島地区の皆さんにご協力いただき、第12回創造的復興研究会「津島の歴史文化と津島の復興を考える」を開催できることとなりました。昨年秋からずっと「心に刺さった棘」であった津島地区に焦点をあて、皆さんと一緒に、福島復興における津島問題について広く深く考えたいと思います。
多くの皆さんのご参加を呼びかけます。
早稲田大学ふくしま浜通り未来創造リサーチセンター主催
第12回 創造的復興研究会 開催案内
- テーマ: 津島の歴史文化と津島の復興を考える
- 日時:2024年6月25日(火曜)18:00-20:00
- 方法:オンライン(開催日程が近づきましたら、参加申込者へZoomアドレスをお知らせします)
- 申込:参加希望の方は、お名前・所属を書き、事務局へメールください。
プログラム
司 会:林 誠二(創造的復興研究会・副代表、国立環境研究所・福島地域協働研究拠点・研究グループ長)
講演:18:00-19:00(各20分)
講師:今野秀則(津島地区・避難者、津島原発訴訟団・団長)
概要:結の絆など地域社会(コミュニティ)は消滅。ほぼ全域が帰還困難区域の現状は厳しい。徹底除染して安全・安心を確保、住民本位の帰還判断、自然を生かす交流人口の拡大が鍵。将来が見えない状況を長期計画などで可視化する必要あり。
講師:三瓶春江(津島地区・避難者、津島原発訴訟団・役員)
概要:報告では、(1)福島原発事故発生からの5日間、(2)避難者としての生活、(3)原告となった理由、(4) 国と東京電力への思い、(5)司法に対しての思い、(6)まとめについてお話したいと考えている。
講師:金子祥之(東北学院大学文学部・准教授)
概要:浪江町津島地区は、「民俗芸能の宝庫」と呼ばれるほど、すぐれた多くの芸能が伝承されてきた土地である。本報告では、津島地区の芸能がいかに「発見」されてきたのかを明らかにし、そのうえで、南津島郷土芸術保存会の現状を報告してゆく。
討論:19:00-19:30(各10分)
討論者:伊藤泰夫(福島イノベーション・コースト構想推進機構・理事長補佐)
除本理史(大阪公立大学大学院経営学研究科・教授)
辻 岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点・主任研究員)
総合討論:30分程度
閉会挨拶:19:55-20:00
松岡俊二(創造的復興研究会代表、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科・教授)
本件にかんするお問い合わせ先
早稲田大学ふくしま浜通り未来創造リサーチセンター・事務局
- 任 羽華 haneka.nin [at] fuji.waseda.jp
- Lin Weiyi charlottelin7 [at] toki.waseda.jp
(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)