『社会的連帯経済』研究部会(2024年2月)
報告
3年目(2023年10月から2024年6月)今年度の予定と中間的報告
- 引き続き、公開研究会を開催していく。
- 関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流を深めていく。
1年目<終了>:
公開研究会として開催した。
2年目<終了>:
2022年12月研究大会にて、プレ企画として国際会合(ILO、連合の協力)を連合会館にて開催するとともに、研究大会では企画セッション(ラウンドテーブル)を開催した。
3年目<今年度>:
関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流によって、社会的連帯経済の新潮流を学会内とともに学会外へも発信していく予定。
社会的連帯経済(SSE)は、国際的な関心の高まりを受けて国内でも動きが活発化してきている。連携・協力としては、当初からソリダリダード・ジャパンや法政大学大学院・連帯社会インスティテュートなど関係団体との関係を強化してきた。
国内では、ほかに協同総合研究所、生協総合研究所、協同組合連携機構、日本協同組合学会などとの交流があり、国際的には国連の動きとりわけILOやUNRISDなどとの協力などによる展開もできつつある。年度にまたがった企画として、9月、10月は、国際動向に焦点を当てて公開研究会を行なった。
以下、前半は国際的動向をテーマに公開研究会(9月、10月)、その後は多分野にまたがったSSE展開として、他団体との連携、共催企画にて公開研究会に取り組んだ。
前半
公開研究会:9月25日(月曜)17時~19時 オンラインzoom
「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」
前回9/5特別公開セミナーで「UNRISD(国連社会開発研究所)によるSSE(社会的連帯経済)関連の活動と最新情報」をテーマに、Ilcheong Yi さん(UNRISD)から大変有意義な報告をして頂いた。
https://note.com/rentai_economy22/n/nef95a1316628
世界的にSSEが認知され重要度が高まる中で、日本で認知度が低い点が指摘されたのだった。日本は、協同組合、NPO、社会開発活動が世界的にも活発であるにも関わらず、それらを統合する社会的連帯経済の視点が弱い理由は、何故なのだろうか?
この問題の背景を考察しつつ、「社会的連帯経済の国際的制度化と日本の課題」をテーマに栗本 昭(日本協同組合連携機構、JCA)氏より、長年のご活動と国際的ネットワークの経験から、課題克服のために何が必要で何をすべきについて、お話を伺った。
また協同組合と社会的連帯経済を長年研究してきた富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏に、コメンテーターをお願いした。
<プログラム>
報告:「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」栗本 昭 氏
- コメント:富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏からコメント、その後、全体討論・質疑を行った。
- 司会進行:古沢広祐(SSE研究部会代表)
<報告者、コメンテーターの紹介、資料>
栗本昭(くりもと あきら)氏
日本協同組合連携機構(JCA)
(2015~2020年 法政大学大学院・連帯社会インスティテュート教授)
(2012年より国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋調査委員会委員長)
著書・論文・報告など:
- 「持続可能な社会実現に貢献する協同組合」(栗本 昭、JAcom,2020)
- 持続可能な社会実現に貢献する協同組合 栗本 昭・連帯社会研究交流センター特別参与
「労働組合と協同組合の連携に関する世界の動向」:栗本 昭(2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rengosokendio/33/2/33_4/_pdf - 「協同組合の連帯経済へのアプローチ」(栗本 昭)2007年、西川 潤 編著『連帯経済 グローバリゼーションへの対案』第6章
http://www.seikatsuken.or.jp/publish/tankou/010_rentaikeizai.html
富沢賢治(とみざわ けんじ)氏
一橋大学名誉教授、協同総合研究所副理事長。
詳細は「富沢賢治のホームページ」参照(e-kyodo.sakura.ne.jp)
参考資料「社会的連帯経済とはなにか 協同組合運動の新理念」
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/tomizawa/230415tomizawa-zenbun.pdf
公開研究会:10月23日17時~19時 (zoomオンライン開催)
報告テーマ:「 社会的企業/社会的投資とサステナブルな社会形成 ~ARUNの実践から 」
功能 聡子 氏(ARUN Seed代表理事、SSE研究部会メンバー)
YouTubeアーカイブ公開:
https://youtu.be/1xcaQ-k7X60?si=-qn9fv_gMjhN0cNn
ARUN合同会社代表/特定非営利活動法人ARUN Seed代表理事/創設者、功能 聡子様から、社会的企業、社会的投資に関して、ARUNのご経験や、背景・現状・可能性についてご報告いただいた。
- コメンテーター:佐藤 寛 氏(開発社会学舎主宰)
- 司会:古沢広祐(SSE研究部会代表)
援助依存からの脱却へ、カンボジアの社会的企業に投資(2009)以来、ARUNは、「地球上のどこに生まれた人も、ひとりひとりの才能を発揮できる社会」の実現を目指して、人々のエンパワーメントと持続可能な社会の構築に取組んできた。 「ARUNの活動の二つの柱は、起業家の支援を通じて社会課題の解決を目指す社会的投資の実践と、社会的投資への理解を深め、起業家と支援者を繋ぎ、共に社会課題の解決に取り組んでいくコミュニティの形成。 お金はビジネスを進めたり応援したりするためのツール、「社会的投資」は、私たちが望む未来へ一票を投じること、社会に参加する新しい方法です。」(ARUNサイトより)
*ARUN合同会社/特定非営利活動法人ARUN Seed(https://arunseed.jp)
<後半、学会内の他の研究部会と合同ないし共催>
「倫理的食農システムと農村発展」研究部会
主催の研究会にメンバーの重なりから合同にて参加した。
- 日時:2024年1月26日(金曜)午後3時~5時、zoom開催
- 講師:花谷まゆ さん(コラコラ事務局・縁の下の力持ち係、農業者「花谷農園」)
- テーマ:「さんごにやさしい八重山ローカル認証・コラコラ(coral collabo)」
「今治市の食農政策と地域形成の特徴」3月27日開催(会員・一般)zoom開催
- 日時:2024年3月27日(水曜)午後1時半~3時半
「倫理的食農システムと農村発展」研究部会主催と「社会的連帯経済」研究部会の共催で開催。
2023年8月に実施した愛媛県今治市への視察をベースに、地域社会に根ざす食農政策について議論した。話題提供:池上甲一(近畿大学名誉教授)、視察ツアーに参加したメンバーから補足説明・コメント、議論した。
<後半、学会外の他団体と共催企画で公開回研究会を開催>
適正技術・公開フォーラム『 資本主義の〈先〉の世界 ― 理論と実践 』(共催協力)
- 2024年3月9日(土曜) 14:00~16:30 (zoomオンライン開催)
報告1:『資本主義の〈その先〉へ-真の〈普遍性〉をめざして』
講師: 大澤真幸氏(社会学者)
報告2:『インドネシアにおける革新的協同組合の創設と運営 - 民主的かつ主流足りうる事業体創生の試み』
講師:田中直(適正技術フォーラム共同代表
みんなのSDGs・SSE研究部会/共催セミナー:「SDGs:農と食に見る社会的連帯経済」
- 2024年3月26日(火曜)18:30 ~ 20:30 オンラインセミナー
- 主催:適正技術フォーラム
- 共催:国際開発学会・社会的連帯経済(SSE)研究部会
報告1:「世界と日本の食と農に関する政策の動向と社会的連帯経済」
古沢広祐氏(国学院大学客員教授、SSE研究部会代代表)
報告2:「生協が進める体験農園と都市における農的空間: 生活クラブ神奈川が運営するみんなの農園」
小口広太氏(千葉商科大学人間社会学部准教授、PARC)理事)
報告3:「ブラジルのフェイラリブレ(自由の市<いち>)と社会的連帯経済を推進する大陸間ネットワーク(RIPESS)」
田中滋氏(アジア太平洋資料センター理事・事務局長)
報告書「食と農に見る社会的連帯経済」https://www.our-sdgs.org/docs/docs20240326.pdf
ILO主催の国際会議「Social and Solidarity Economy for Advancing the Sustainable Development Goals in Asia」
(実開催とオンラインア併用にて開催)にオンライン参加。
*プログラム詳細:
“Social and Solidarity Economy for Advancing the Sustainable Development Goals in Asia” in Bangkok, Thailand on June 18~19, 2024.
(内部会議)
6月28日、「SSE研究部会の活動総括の今後について」、研究部会のコアメンバーにて内部検討会議をおこなった。
国際的にSSEへの関心や国連やILOでの活動が活発化している中で、日本でのSSEへの関心と認識が弱い状況への懸念が共有された。現在進行形のSSE動向の中で、できればSDGsやサーキュラーエコノミーなどとの連携を図っていく新展開への期待もあるが、いちおう3年間の活動として総括することを確認した。
今後、9月末を目途に、コアメンバー各自からの総括と展望についての報告を行ない、総括報告書の作成を行うことを話し合った。
『社会的連帯経済』研究部会
代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)
副代表:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)
研究部会HP(活動記録、一部アーカイブを公開)
https://note.com/rentai_economy22/