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お知らせ : 『国際開発研究』・特集論文の公募のお知らせ

『国際開発研究』特集論文公募

テーマ:「国際開発と近代:日本における批判的開発論の論点と系譜」

1. 趣旨
2025年は、昭和百周年、戦後八十周年、バントン会議七十周年、21世紀の四半世紀など、複数の節目が重なる年である。この節目を迎え、『国際開発研究』第35巻2号(2026年12月発行)では、特集「国際開発と近代——日本における批判的開発論の論点と系譜」を予定している。

「近代」は、国際開発を論じるうえで避けて通れない、核心的な課題である。国際開発は、植民地支配の拡張や、資本主義の台頭を出発点とする西欧の近代や、アメリカを中心に推し進められた近代化論の影響を強く受けながら、展開してきた歴史をもつ。これまで、特定の近代的経験に基づく国際開発は、その現実と理論から、常に挑戦され続けてきた。特に、国際開発の背後にある政治・経済・認識等の構造的不平等が問われているのである。

形を変えながら、災いや搾取に巻き込まれている人びとや地域が、今なお存在するという状況に対して、近代化への反省、代替的近代性(alternative modernities)や多様な近代性(multiple modernities)を包摂する開発デザイン、あるいは「近代」を超えた時間感覚の再生が、様々な学問分野や視点から試みられてきた。これらは、批判的(critical)開発論の領域と形づくっている。

第二次トランプ政権の発足以降、国際開発の危機や「ポスト援助」の時代の議論が関心を集めている。それに対して、国際開発研究はどのように応答するか。何を対象とした、どのような批判的検討が、誰に求められているのか。この特集は、日本における国際開発研究、そしてこれからの国際開発実践を考えるうえでの、複数の参照軸(reference points)を提供する機会となることを意図している。

2. テーマ
この特集は、「国際開発と近代」をめぐる批判的開発論の、日本における生成と展開を検討する。具体的には、多様な学説と地域性と絡まり合う日本における国際開発研究の到達点を、日本や他言語圏の研究蓄積との相互関係から可視化するための、レビュー論文を募集する。それによって、多分野の研究者の間で議論を高めることを目指す。

選題は自由だが、以下のテーマに関連する論考が望ましい。

  • 批判研究・批判理論の系譜
  • 批判的開発論の理論的拠点となる学説(例えば、マルクス主義、従属理論、世界システム論、新マルクス主義、脱帝国主義、脱植民地主義、多元(多遍)主義等)
  • 近代性、ポストモダンと国際開発
  • 国際開発に関連する、近代・文明論・資本主義批判の論者とその学説
  • 開発倫理
  • 行政学、官僚制、組織論と国際開発
  • 財政学、会計学、金融、新自由主義と国際開発
  • 国際開発とアジア主義、アジア研究
  • 近代化の過程が生み出す社会問題をめぐる社会運動、運動論と国際開発
  • テクノロジー、AI技術と国際開発

以上のテーマに応えるにあたって、単なる文献の羅列・紹介ではなく、長く参照される学術的貢献となることを期待する。
具体的には、以下のような特徴を持つ論考を求めるものである。

  • 明確な方法論から選定された文献の分析を行うこと
  • 日本における「国際開発と近代」を論じるうえで、該当トピック・学説・地域・人物等を取り上げる必要性または新規性を明示すること
  • 分析に基づき、今後の具体的な研究課題や方向性を提示すること

3. 応募資格
原則として、筆頭著者は国際開発学会の学会員・学生会員であること。分野を横断する研究者・実務家の共著や、大学院生・ポストドクターの投稿も積極的に採択したい。

4. 応募手順

  1. 2025年9月1日までに、 ①論文題名、②略歴(共著の場合、筆頭著者のみ)、③レビューの視点(2000字程度、日本語)、④レビューする予定の文献一覧を一つのファイルにまとめて、ed-office@capj.or.jpまで送付してください。上記の2のa)〜c)を踏まえたうえで、編集委員会は予備審査を行う。
  2. 編集委員会による予備審査の結果は2025年10月31日までに応募者にお知らせする。
  3. 予備審査を通った応募者は、2026 年1月 31日までに完成した初稿を提出してください。論文の言語、書式、長さなどは『国際開発研究』の通常の投稿規定と執筆要網に準じる。
  4. 予備審査と査読: 応募された論文の予備審査は『国際開発研究』編集委員会が担当する。それを経て提出された初稿に対し、2名の査読者(匿名)に査読してもらい、その結果をもとに掲載の可否を決定する。必要に応じて修正を求める場合がある。(査読結果の通知:2026年3月31日までに通知する)
  5. 提出された原稿を査読し、改稿を経て2026年9月10日までに掲載可となった論文を2026年12月発行予定の『国際開発研究』に掲載する。

皆様からの積極的なご投稿を、心よりお待ちしております。

お問い合わせ先:
ed-office[at]capj.or.jp((一財)学会誌刊行センター内「国際開発研究」編集係)
(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

国際開発学会
『国際開発研究』編集委員会
委員長 島田剛、幹事 汪牧耘

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