2024春UNV公募セミナー「国連ボランティア募集(水と食糧の安全保障等)」4月24日開催

UNVでは日本政府の協力による「サブサハラ・アフリカ諸国における気候変動・干ばつ等による水・食料危機に対応する日本-UNVパートナーシップ」を通じ、主に水と食糧の安全保障、社会的・経済的復興、戦略的政策立案、機関間調整などの分野で10か月間国連ボランティアとして活動する日本人専門家を募集しています。

国連ボランティアの経験は、特定の専門分野や国連システムについて知見を深めスキルアップする貴重な機会であり、JPO制度応募においても職歴として見なされます。

国連や国際機関等の分野でキャリアに関心のある方のご参加・ご応募をお待ちしています。

開催概要

  • 日時:2024年4月24日(水曜)18:00-18:45(日本時間)
  • 対象:UNV参加を検討中の方、参加にご関心をお持ちの方(社会人・大学院生)
  • 登録締切:ウェビナーの実施前日まで
  • 参加用リンク:ウェビナー実施前にメールで送付
  • 登録方法:

プログラム

  1. UNVの事業及び募集されるUNVポジションの紹介(20分、UNV東京駐在事務所)
  2. JOCV枠UNV制度の紹介(5分、JICA青年海外協力隊事務局)
  3. 質疑応答(20分)

本件にかんするお問い合わせ先

国連ボランティア計画(UNV)東京駐在事務所

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



開催案内「第1回・若手部会主催若手のための開発研究アイデアソン」3月16日開催(会員・一般)

この度、若手部会では修士・博士論文報告会を名古屋大学で実施する運びになりました。つきましては、以下ご確認の上、ぜひご参加ください。

先生方におかれましては、ご指導されている学生の方々への周知もお願いできればと思います。よろしくお願いします。

趣旨・目的

本イベントは広く国際開発に関する研究をしている大学院生に研究発表の機会を提供することを目的とする。とりわけ今回は修士・博士課程の修了予定者を対象にそれぞれの修士論文ならびに博士論文の報告をしてもらうことを予定している。

目的として、学生の研究発表能力の向上を目指すとともに、関連領域の研究者との議論を通した情報交換の場を提供する。

開催の意義として従来、支部大会レベルで行われていた修士・博士論文の報告会を若手部会がリーダーシップをとって開催することにより、それまで報告で終わっていた学会の研究活動をより活性化させ、各々の研究の情報交換や、交流の場を持つことが生まれるのではないかと期待している。

また過去3年、修士または博士を修了された方の発表もお待ちしております。またこれから進学する学部生の参加、修士博士論文を書くM1,D1の方々の参加も大歓迎です。

申し込み方法

参加の方は以下のGoogleフォームにご記入お願いします。プログラムは発表者によって左右しますが、以下を参考にしてください。

Googleフォーム:

開催概要:

  • 日時: 2024年3月16日
  • 会場: 名古屋大学大学院国際開発研究科(対面開催)
  • 主催: 国際開発学会若手のための研究部会
  • 共催: 国際開発学会東海支部

本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・若手による開発研究

  • studiesdevelopment666 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会セッション報告(一般口頭発表)

一般口頭発表


1C:教育(日本語)

  • 座長:小川 啓一(神戸大学) 
  • コメンテーター:坂上 勝基(神戸大学)、黒田 一雄(早稲田大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:32名

第1発表:[1C01] ケニア農村部の初等教育の公正性と包摂性―公立と私立の二項対立分析の再考

西村 幹子(国際基督教大学)

西村会員は、ケニア農村部の初等教育において、それぞれの学校を率いる校長やシニア教員が公正性や包摂性をどのように捉えているかについて発表した。

学校の公正性と包摂性は、校長や教員の背景にある考え方や経験、マサイ族の文化、地域との関係性に依っており、必ずしも私立校、公立校という二項対立軸で捉えられるものではないことを明らかにした。

これに対して、コメンテーターの黒田会員から、私立-公立という二項対立軸ではなく、それぞれの学校運営を支えるコミュニティや民族の文化、校長や教員のこれまでの経験に関するインタビュー調査の分析に基づく、本発表のユニークネスについての評価がなされた。

第2発表:[1C02] 授業形態別にみた教育効果の検証:バリ島における環境教育を事例に

栗田 匡相(関西学院大学)

第二発表では栗田会員から、バリ島における環境教育を事例にして、授業形態別による教育効果の差について検証した研究成果の報告が行われた。

座学のみと比べて、地域における体験型の環境学習を組み合わせた形態によって授業を提供する方が、教育効果が中長期間継続することを示した。

これに対し、コメンテーターの坂上会員は、環境教育の効果を実証した本研究のSDGs時代における重要性を強調した上で、対照群と処置群の選定方法について確認する質問を行った。

また、環境問題に関する児童の認知能力向上のみならず、介入が環境保全状況の改善に与える効果まで検討する、今後の研究の展開の可能性についての指摘がなされた。

第3発表:[1C03] 現状に見るミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育の課題 

牟田 博光(国際開発センター)

第三発表で牟田会員は、新型コロナウイルスと軍事政権の成立という二重のショックを受けたミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育における現状と課題について、発表した。

教員研修の重要性、学力低下の危惧、人的資源蓄積の滞り、混乱収束後の課題が示された。

これに対して、コメンテーターの黒田会員は、日本が長年援助してきたミャンマーにおいて、教育システムが不安定になっている状況について言及した。

また、本発表で使用されたデータの貴重性を強調した上で、今後学術論文として世に公開されることへの期待を述べられた。

第4発表:[1C04] コートジボワールの初等教育における非認知能力の視点からみた教育の質

小松 勇輝(大阪大学大学院)

第四発表では小松会員から、コートジボワールの初等学校に通う児童の非認知能力、特に自己効力感と教育の質に関する報告がなされた。

学校内の児童-教師間のインタラクションと職業教育における徒弟制が、児童の自己効力感の涵養プロセスに関与していることが、主に参与観察を用いた長期間のフィールド調査によって明らかになった。

これに対してコメンテーターの坂上会員は、初等教育を対象とする研究の中で、公立校とインフォーマルセクターである職業教育の事例のみ取り出して、並列にして分析をすることの妥当性について質問した。

また、学術的蓄積が比較的乏しい西アフリカにおける、本研究の意義の大きさについても言及した。

【総括】

本セッションでは、ケニア、インドネシア、ミャンマー、コートジボワールにおける教育の現状や課題、最新の動向についての研究成果が報告された。

コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質問やコメントが挙がり活発な議論が行われ、発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

報告者:小川 啓一(神戸大学)

1D:若者と雇用(日本語)

  • 座長:吉田 和浩(広島大学) 
  • コメンテーター:狩野 剛(金沢工業大学)、谷口 京子(広島大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:00名
  1. [1D01] ウガンダにおける社会的遺児の強いられた自立と職業訓練
    *朴 聖恩(京都大学大学院)
  2. [1D02] アフリカによるアフリカのための研修-ケニアの気候変動の脅威に対する第三国研修の実施を通じたサブサハラアフリカ諸国への貢献-
    *本庄 由紀(ケニア国技術協力プロジェクト)
  3. [1D03] ケニアにおけるコンピテンシーにもとづくカリキュラム改革-導入の背景と新たな課題-
    *大塲 麻代(帝京大学)

【総括】

報告者:吉田 和浩(広島大学)

1E:経済(日本語)

  • 座長:西浦 昭雄(創価大学) 
  • コメンテーター:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)、會田 剛史(一橋大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:16名

第1発表:[1E01] 中国における地域の教育格差: CHFSに基づくジニ係数の分解分析

李 鋒(中央大学大学院)

コメンテーターの會田会員より、質の高い研究であり、都市・農村内の教育格差が都市と農村間の教育格差より大きいことを示した点がユニークである一方で、①どのような仮説を検証したいのか、なぜそれが重要なのか、先行研究の中でどのような貢献があるのか、といった研究課題を明らかにすべき点、②都市・農村内での教育格差が拡大した理由まで掘り下げる点、③2014年度の制度改革による教育格差の是正に関する効果を分析する点、のコメントがあった。

これに対して、李会員より、先行研究では都市に住んでいる農村出身の人々の格差までは計測できていないと回答した。

フロアからの質疑応答では、修学年数をジニ係数で計測した先行研究の存在や格差を示す値の目安、農村戸籍から都市戸籍にコンバージョンするプロセスについての質問があった。

第2発表:[1E02] 生成系 AIの勃興がもたらす開発途上国への影響の考察:機会と脅威

内藤 智之(神戸情報大学院大学)

コメンテーターの山形会員より、生成系AIがアフリカの労働者・農民にとって脅威なのか、それとも機会なのかという議論を経済学の代替性と補完性に分けて考えると、新技術が一般的労働者の補完的になったバングラデシュ縫製業による事例からも、一般的労働力(非熟練労働)が生成系AIによって補完的になることがアフリカ貧困削減につながることになるとのコメントがあった。

これに対し、内藤会員からは、過去のインターネットの経験から考察すると、アフリカの雇用とAIをトレードオフではなく、ポジティブな関係だと捉えていること、補完的になれるよう今後の20年を考えるための政策提言を考えていきたい、そのため農業の中では小作農のリテラシー教育が重要性をもつのではないかと、いう回答があった。

次にフロアより、大規模言語モデルではマイナー言語の蓄積が少なくなるので言語による格差が広がるのではないかという質問があった。

第3発表:[1E03] 農産品サプライチェーンにおける多様な連帯:グローバルノースとグローバルサウスの歯車

楊 殿閣(ソリダリダード・ジャパン)

コメンテーターの山形会員より、発表では社会的連帯経済を形成するために、インドネシアのパーム油とインドのコットンを事例に国際NGOであるソリダリダードの役割について考察しているが、その役割は研究や技術協力であり、買い付けや販売組織をもっているわけではなく、ユニリーバやサラヤといった買い付けを行う企業にとってソリダリダードはどのように評価されているかを視点に加えていくべきではないかというコメントがあった。

これに対し、楊会員より、植物油を使用する企業は人権や環境保護の観点からサプライヤーとの関係に注力しているが、農業生産を専門にしているわけではないため、農業が持続可能性を保つために小農、農法支援の面で市民社会と企業のパートナーシップをとる事例が増えているとの回答があった。

フロアからの、消費者の行動変容の視点、現地政府主導の認証システム、開発途上国発の加工企業の場合のグローバルノースとグローバルサウスの立て分けについてのコメント・質問があった。

【総括】

経済分野のセッションとして、中国の都市・農村の教育格差、生成系AIによるアフリカ雇用への影響、グローバルノースとサウスの社会的連帯経済の形成など広い観点から発表され、活発なコメントならびに質疑応答があった。

そこでは国際開発を考える上での新しい視点が多く提起されるなど、有意義なセッションであったと総括できる。このセッションを萌芽としてこれらの議論が発展することを願っている。

報告者:西浦 昭雄(創価大学)

1H:水と衛生(日本語)

  • 座長:杉田 映理(大阪大学) 
  • コメンテーター:西野 桂子(関西学院大学)、緒方 隆二(国際協力機構)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1H01] バングラデシュ南西沿岸部における世帯単位の給水サービスの可能性-ポンド・サンド・フィルターと逆浸透膜給水装置の比較から-

山田 翔太(立教大学)

バングラデシュ沿岸部の水源管理および支払い意思に関しての研究であり、今後の現場での国際協力の方法を考える際に有用な研究発表であった。その点を評価したうえで、コメンテーターからは次のコメントがあった。

1)給水施設の区分に関して、公共の水源(コミュニティ型水源)、個人単位で設置や運営できる水源、ビジネスを通じた給水サービスの3区分に分けるべきではないか?また、その上で先行研究をもとにそれぞれの長所、短所をまとめると分かり易い。

2)結論に関して、一般化しすぎているようにも見える。例えば、PSFでもうまくいっている事例もあるはずであり、ビジネスを通じたサービスでもうまくいっていない事例もあるのではないか(もしくは収入によって支払い意思が低い層の存在もあるだろう)。

3)コミュニティ型水源にもPSF以外に深井戸や小規模水道もあり、今回の1カ所のPSFを通じた調査結果や教訓をすべての公共の水源に適用できるかは疑問が残る。

第2発表:[1H02] 住民は手押しポンプをどのように用いるのかーモザンビーク北部農村における水源の多様性と季節性に着目してー

近藤 加奈子(京都大学大学院)

コメンテーターからは、モザンビーク農村住民の複数水源の利用状況、季節による水源利用の違いを明らかにしようとしている興味深い研究であったと評価された。

一方で、次の点が指摘された。分析の方法を多少改良する必要があること。まず、いくつかの種類の水源を調査対象としているが、水源の客観的なカテゴリーを明らかにした上で比較検討する必要がある(JMPによるカテゴライズ:Improved or Unimproved もしくはSafely managed, Basic, Limited, Unimproved)。

住民が複数の水源を使う場合は、水源によって使い方(例えば飲料用、料理用、その他)が異なるはずであり、データがあれば具体的使い方も含めて分析すべきではないか。また、提言は具体的な例を入れた方が良い(従来の水源の改良が望ましい→例えばどのような改良?)。

さらに、用語に関しても、「手押しポンプ」→「深井戸」もしくは「手押しポンプ式深井戸」、水源は「メイン、サブ」ではなく、「飲料用、料理用、その他」で分けた方が良いのではとの助言があった。

第3発表:[1H03] ベトナム農村部における浄水需要:個別家庭型アプローチの有効性

黒川 基裕(高崎経済大学)

コメンテーターから、ヒ素除去が可能となる小型浄水ボトルの商品企画・開発」を通じて、ハノイ近郊農家のヒ素問題が解決できるかの実証実験を試みた意欲的な研究であると評価したいこと、また、援助ではなく、BOPビジネスを検討している点が経済発展が著しいベトナムに適していると考えられることが示された。

サブスクリプション形式とし、ラテライトのフィルターを回収するところまで寛がられており、今後に対して示唆が多いとのコメントもフロアからもあった。

第4発表:[1H04] 市民参加と情報公開を通じた統合水資源管理、環境管理分野の協力アプローチの可能性

大塚 高弘(独立行政法人国際協力機構)

「参加型の取り組みを効果的に活用する協力アプローチとは?」という問い、すなわち、「JICA・カウンターパート・住民(社会)の三方よしの協力アプローチが作れないか?」という問いに対する実践的な研究であるとコメンテーターから評価された。

また、行政から市民への情報公開の重要性は明らかである一方、タイとボリビアの2案件において参加のはしごの参加のレベルをどのように評価できるのか、質疑応答がなされた。

【総括】

個人発表枠で「水と衛生」というセッションが組めたのは、国際開発学会では久しぶりであり、非常に中身の濃い、有益なセッションとなった。

安全な水の確保を目的としながら、給水のしくみとしは、ポンド・サンド・フィルター、逆浸透膜給水装置、手押しポンプ付き深井戸、小型浄水ボトルと多様であり、水分野研究の奥行きを示すセッションであった。

また、すべての発表に共通して、住民が、それぞれの活動にどのように参加する(サブスクも含め)のかが議論されており、重要課題であることが確認された。

報告者:杉田 映理(大阪大学)

1L:海洋文化・先住民族(日本語)

  • 座長:関根 久雄(筑波大学) 
  • コメンテーター:佐藤 敦郎(九州大学)、東方 孝之(アジア経済研究所)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:13名

第1発表:[1L01] 開発に直面する先住民族の協議・ FPICに関する国際比較研究プロジェクトの構想

寺内 大左(筑波大学)
小坂田 裕子(中央大学)
深山 直子(東京都立大学)

コメンテーターから、インドネシアの一民族であるダヤックを事例として取り上げた分析からはどの程度の一般化が可能なのか、多民族国家インドネシアに注目することにより分析を拡張できる可能性、そして地方政府の特徴に注意する必要性、といった指摘や質問があった。

これらに対して、事例研究としてダヤックに注目する(インドネシアの代表例として位置付けることは重視していない)ことや、アクターとしての地方政府についても注目する予定であることなどの回答があった。

また、「国連宣言の中には『継続的な協議』という文言がなく、FPICにおける『同意』が『契約』に近いことから、将来、予想外の悪影響が生じても『同意』が縛りとなり、先住民族に悪影響を強いる危険性がある」という発表内容について、フロアから国連宣言やFree Prior and Informed Consent((FRIC)の中に”Continuous”という文言を加える方法は取れないのか、という質問があり、それに対して、すでに採択された文言なに改良を行うことは非現実的であり、目の前で生じている事態に対する短期的・即効的な方策を考える必要がある、という応答があった。

第2発表:[1L02] コミュニティベース海洋環境教材の国際ネットワーク化に関する研究

小林 かおり(椙山女学園大学)

里海とは人が環境にアクセスすることであり、利活用が必然だとすれば、ゴミの海洋投棄は必要悪とも言える現象ではないのか。

「そういうもの」という発想に立脚して里海のあり方、環境教育のあり方、漂着ゴミ問題を考えることはできないか、という質問に対し、自然と人間との関係性の観点からそういう見方はありうるが、現状はすでに必要悪の次元を超えていて、改善すべき課題として直視しなければならないところまで来ており、その意味からも環境教育の必要性は待ったなしの状態にある、という趣旨の応答があった。

また、「海外と日本」の海洋環境教育といった具合に対象を二項対立的に捉えているのではないかという質問があり、それに対し、「先行研究において(海洋に限らず)環境保護は欧米と日本の捉え方は異なっていて二項対立的に捉えられ書かれる傾向があるものの、海洋環境教材はそのような発想で書かれているわけではない。

なぜなら、台湾の場合も日本と同様に「海洋環境の持続可能性」に焦点を当てた海洋環境教材が主流であるから」という回答であった。

第3発表:[1L03] 諫早湾干拓の開発史

松原 直輝(東京大学)

発表者が諫早湾干拓事業に関して、官の役割に着目していることに対して、コメンテーターは、事業主体としては官ではあるが、その中にも公共の論理と民間の論理が混在しているとの問題意識から、漁民、農民(半農半漁)、自然環境保護活動家、ディベロッパー、国(食糧増産、防災)、裁判所の立場で公共と民間の論理を指摘した。

また、歴史分析の反実仮想的な発想から、干拓事業を見るとどのように考えられるか、質問した。

コメントに対して、発表者からは、公共の論理と民間の論理について、前者について時代を越えて一貫したものが存在せず、後者が前者の中に吸収されている印象があること、また、反実仮想的な発想からの分析は今後の課題である、という回答があった。

また、諫早湾の事例について、第2発表者に対するものと同様に、発表者は「行政/市民」と二項対立的に対象を捉えているのではないかという質問が出されたが、過去の事例を踏まえると二項対立的に解釈せざるを得ない、という応答であった。

【総括】

3事例ともに外的要因に基づく開発行為が当該地域住民の暮らしに重大な影響を及ぼし、かつ彼らの生活域内における自然環境と地域住民との関係のあり方に懸念が生じたり、その関係性のあり方に変更を迫ったりするような事態を対象にした研究であった。

いずれも発表者の視点は地域住民の側に注目し、微視的に対象を捉えながら、自然環境と住民を取り巻くマクロな動きとミクロの現実との接合を試みる意欲的な研究内容であった。

報告者:関根 久雄(筑波大学)

1M:Development theory and practice (English)

  • 座長:新海 尚子(津田塾大学) 
  • コメンテーター:後藤 健太(関西大学)、島田 剛(明治大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [1M01] Dragon Rouge Redux: Assessing China’s Economic Hegemony in Cambodia
    *Toufic SARIEDDINE(Nagoya University)
  2. [1M02] CDMモデルから考察した途上国におけるイノベーションと外資系企業の役割ーベトナムの製造業企業を事例に
    *TranThi Hue(神戸女子大学)
  3. [1M03] Digital Currency and Development: Exploring the Potential Contribution and Challenges of Central Bank Digital Currency, “ Bakong,” for Development in Cambodia
    *Hisako KOBAYASHI(Oriental Consultants Global Co., Ltd.)
  4. [1M04] The Role of Private Sector toward Poverty Reduction – Analysis of Case Study in India –
    *伊波 浩美(JDI)
  5. [1M05] Regional decline and structural change in Northeast China: An exploratory space-time approach
    *Chen Yilin(Nagoya University, Graduate School of International Development)

【総括】

報告者:新海 尚子(津田塾大学)

1N:オンライン(日本語)

  • 座長:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  • コメンテーター:戸田 隆夫(明治大学)、高橋 基樹(京都大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [1N01] インドネシア・リアウ州における泥炭火災予防:現状・課題・対応案 *久保 英之1、Albar Israr2、Kurniawan Anung 2 (1. JICA専門家、2. インドネシア国環境林業省)
  2. [1N02] ASEAN諸国におけるデジタル経済促進分析:課題と戦略
    *原 正敏1、*橋 徹2 (1. ビジネス・ブレークスルー大学大学院、2. 早稲田大学)
  3. [1N03] 障害者権利条約に基づく国際協力を巡る論点及び概念整理の課題に関する一考察一各国への総括所見及び建設的対話の分析から
    *福地 健太郎(国際協力機構)
  4. [1N04] 島嶼は日本の縮図たるか?——離島及び日本における水・エネルギーの対外依存状況に着目した一考察
    *關谷 武司1、*吉田 夏帆2、*芦田 明美3 (1. 関西学院大学、2. 兵庫教育大学、3. 名古屋大学)
  5. [1N05] エジプト日本科学技術大学における教育研究機器導入、および活用プログラム開発
    *松下 慶寿(エジプト日本科学技術大学)

【総括】

報告者:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)

1O:援助機関と現場(日本語)

  • 座長:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)
  • コメンテーター:小林 誉明(横浜国立大学)、志賀 裕朗(横浜国立大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1O01] 日本の政府開発援助の効率性とコンサルタントの関係

*大須賀 誠(法政大学大学院 公共政策研究科 博士後期課程)

本報告は日本のODA の技術協力に関して、ODA 大綱の変遷、経済団体と政府の関与、援助体制とコンサルタントの役割などについて概観し、日本の援助実施体制が欧米に比較して弱体であること、このギャップを埋めているのがコンサルタントであるが、ODA予算の減少によって、コンサルタントの雇用が減少したり単価が引き下げられたりしていることなどが、ODAの実施体制を更に困難に陥れていることを説明しようとした報告である。

報告ではコンサルタントは相手国の要望に合わせた機材を国際的な経験によって把握しているので、助言や専門的知識を提供することで技術協力が効果的に推進できるであろうが、残念ながら、コンサルタントの知見が政策立案に十分反映される条件になっているとは言えない。

さらに、個々のコンサルタントの処遇も十分ではなく、何らかの育成策が必要であると結論づけている。

本報告に対しては、「日本のODAの効率性とコンサルタントの関係」がリサーチ・クエスチョンであり「コンサルタントを活用すること」がその答えなのだとすると、新聞報道、ODA大綱、経済団体の要望書、日本の援助体制の未整備(職員数の少なさ)はエビデンスとして不十分ではないかという疑問が提起された。

むしろ、人数で「効率性」を測っているのであるとすれば、現在すでに日本のODAは極めて効率的と判断することもできるわけであるから、そもそもODAの効率性とは何かという概念定義からしっかりと行う必要がある点も指摘された。

座長からも、ODAの規模の指標として予算額は必ずしも適切ではなく、事業規模も見るべきであること、コンサルタントの雇用形態や役割は多様であり、さらなる分析と考察が必要であることを指摘した。

第2発表:[1O02] バングラデシュ郡自治体円借款事業によるガバナンス改善:ガバナンス借款の可能性

*宗像 朗1、*杉山 卓2 (1. 独立行政法人国際協力機構、2.株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)

本報告は、バングラデシュの郡自治体借款事業(UGDP)1を事例にガバナンス借款の可能性を検討したものである。

この事業では①バングラデシュ全郡(約500 郡)を対象に実施した行政評価、②行政評価に基づいた開発資金の郡への供与、③研修とファシリテーターによる基本行政実施支援、の三つを柱にする約147 億円の円借款事業である。

このPDCAとインセンティブを組み合わせた仕組みにより、群自治体関係者のオーナーシップが高まり、説明責任の向上や適正な手続きの確保など実際にガバナンス改善が見られたとし、ガバナンス借款には大きな可能性があるとした報告である。

本報告に対しては、円借款によって全国的・広域的にガバナンス改革を促進する可能性を検討した興味深い論考であること、またその経緯を丹念に記録しデータを採った上でシンプルな記述統計を使って効果の発現を示した実証分析であることから、極めて高い評価がなされた。

一方、「日本の援助機関によるバングラデシュという特定の国に対する一事例」の紹介(アネクドート)にとどまっている嫌いがあるため、比較事例研究とするなどして、一国事例を超えた普遍的な教訓を引き出すことを検討してほしいとのコメントがなされた。

座長からは、これは日本の国際協力におけるプログラム支援の成功例であり、円借款という資金規模が大きい仕組みを使って全国をカバーできたことが、指摘されたような効果を生んだと考えられ、特筆すべきであるが、ガバナンス改善効果についてはより客観的なデータで評価する必要があること、インパクト評価を実施すれば教訓を一般化できることなどを指摘した。

第3発表:[1O03] 技術協力プロジェクトにおける効果的な実施・監理手法に関する考察~パキスタン国パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト(フェーズ1、フェーズ2)の事例における非技術的要素の検討~

*佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)

本報告は、技術協力のプロジェクト・マネジメントの一要素としてペタゴジー(Pedagogy;子供を教える技術と科学)に対するアンドラゴジー(Andragogy:成人の学習を援助する技術と科学)に焦点を当てた。

前者では知識を教えることに重点が置かれるが、後者では気づきと学びが重要である。

アンドラゴジーの要素を検討の結果、報告では、効果的なプロジェクト・マネジメントは、①どのような考え方でプロジェクトのカウンター・パートに対応してゆくのか、② どのような視点・問題意識とプロセスで協力を進めてゆくのか、③技術協力専門家の役割と立ち位置はどのようなものかの3点が重要であると結論づけた。

本報告に対しては、技術協力プロジェクトの成功要因の概念化に取り組んだ興味深い論考であり、見えにくく注目されにくい「非技術的要素」にも光を当てている点は意義深いとの評価がなされた。

そして、単一事例研究に終わらせずにより広い普遍的なrelevanceを持つものに発展させるためには、他国・他機関の事例との比較研究を行って理論的な精緻化を進めてほしいとの提案がなされた。

その一方で、「アンドラゴジー」という概念の有効性を証明するための事例分析をしているようなきらいがみられるため、既存のドグマに囚われすぎる必要はなく、むしろ現場の経験に基づいて既往理論に修正を加えるくらいの姿勢があっても良いのではないかという指摘もなされた。

座長からは、教育で「気づきと学び」を重視するアプローチは、現在ではアクティブ・ラーニングのように小中学校の学習でも重視されるようになってきており、ペダゴジーとアンドラゴジーの対比はやや古いパラダイムになりつつあるのではないかという指摘を行った。

【総括】

総じて、本セッションはODAを通じた人材育成の重要性に焦点が当てられ、その最適な手法についての議論が行われたセッションになった。

日本のODAの強みは人材育成であり、これが日本の国際的な役割として重要であること、ODA政策において人材育成がもっと重視されるべきであることを座長から指摘して、セッションを終わった。

報告者:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)

2L:Health, gender, family (English)

  • 座長:松山 章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:高松 香奈(国際基督教大学)、宇井 志緒利(明治学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L01] Scalable and Sustainable Adaptive Solutions to COVID-19 Disruptions in Family Planning (FP) Health Service Delivery in the Philippines

Leslie Advincula LOPEZ
Jessica Sandra Claudio
Haraya Marikit Mendoza
(Ateneo de Manila University)

The presentation was on a policy advocacy-oriented research on family planning health service delivery in the Philippines based on the experiences during the COVID-19 pandemic. Dr. Shiori Ui, the discussant, acknowledged its academic and practical significance in flexibility and innovative adaptation experiences of the project activities during normal time which can be utilized for the pandemic time. She, however, raised some important inquiries including the needs of detailed analysis of BARMM (Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao). She also emphasized the importance of further analysis on its role of the identified Health Care Provider Network. Exploring how it contributes to UHC (Universal Health Care) would be very much insightful for us.

第2発表:[2L02] Caring through a Pandemic: Filipino transnational families’ survival of disrupted mobility during the COVID-19 crisis

Derrace Garfield MCCALLUM(Aichi University)

The presentation was on the study exploring the impact of digital technology on Filipino transnational families, focusing on how ICT (Information and Communication Technology) ’s influence the (re)creation and maintenance of family bonds during the COVID-19 pandemic. The discussant, Dr. Kana Takamatsu, appreciated that the paper was convincing and well organized. Acknowledging its nique feature which challenged the existing notion, she inquired some important methodological and analytical approaches. She asked if the results would be different by age and gender. It was also pointed out by her the term, “care”, should be clarified and defined since care is an ambiguous word, could mean emotional and/or financial spheres. Moreover, she raised interesting question that intimate relationships of ICTs could become possible “possessive relationship”.

第3発表:[2L03] Gender dimensions of the world of work under crises: Trends and challenges

Naoko OTOBE

The presenter reported, using the existing panel data of world of work, how these multiple crises have impacted women and men differently in the arena of work. Dr. Kana Takamatsu acknowledged that it was an informative paper to enhance the understanding of the impact of COVID-19 on work/ employment by gender perspective. She raised several questions, however, including accuracy of analysis period. Although the paper covered the crises such as COVID-19, climate change, and Ukraine and Russia conflict, the framework of the analysis period for the study was not very clear. Moreover, “intersectionality” is an important notion in gender analysis and she suggested discussion on the point would be useful for further study.

第4発表:[2L04] カンボジアにおける紛争と信頼ー2021年カンボジア社会経済調査を用いた実証分析ー

大貫 真友子(早稲田大学)
小暮 克夫(会津大学)
高崎 善人(東京大学)

This was the presentation on the study on impact of conflict exposure on social trust in Cambodia, using Cambodia Socio-Economic Survey (CSES) 2021. The data on social trust was collected through informally added questions by one of the study collaborators who was a part of the CSES 2021 team. The significance of the research topic, how conflicts may affect attitude and feelings in relation to social trust of people and community is well taken at this time of violent conflict around the world. However, Dr. Shiori Ui, the discussant, who are familiar to Cambodian society, raised an important issue regarding relevance of the questions used to measure social trust. Additionally, validity of the study topic, whether the lack of trust in non-kin-based networks is attributable to violent conflict (genocide) in Cambodia, was questioned. Rather, Dr. Ui said, a deeper-rooted problem in Cambodian society may be that trust among close kin members such as family members, relatives, and friends has been affected by violent conflict. Finally, further study prospects were discussed.

【総括】

The session offered wide variety of topics ranging from health, gender, care among family through ICT, to social trust in relation to conflict. The first three presentations, although different in topic, were all related to the impact of the COVID-19 pandemic. The last presentation, which explored the relationship between historical conflict and people’s social trust, is a very timely and important topic in light of the current global situation. I believe that those who attended the session learned a lot from these presentations. The comments by the discussants and discussion followed were also insightful and thought-provoking which would contribute to the prospect of future research.

報告者:松山 章子(津田塾大学)

2M:Sustainability (English)

  • 座長:高田 潤一(東京工業大学)
  • コメンテーター:藤倉 良(法政大学)、道田 悦代(アジア経済研究所)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M01] Sustainability Reporting: Quality Concerns of Third-Party Tools and A Call for High-Quality Third-Party Tools to Avoid Greenwashing
    *Vivek Anand ASOKAN(Institute for Global Environmental Strategies)
  2. [2M02] 生物多様性条約の「 DSI」の国際開発への影響
    *渡邊 幹彦(山梨大学)
  3. [2M03] 太平洋島嶼地域における環境意識調査~ミクロネシア連邦の事例研究~
    *高木 冬太(立命館大学)
  4. [2M04] Global RCE Network: Action-oriented Education for Sustainable Development
    *Jongwhi Park2, *Sawaros Thanapornsangsuth1,2, *Shengru Li2, Fred Emmanuel Sato2(1. Tokyo Institute of Technology, 2. Institute of Advanced Studies, United Nations University)

【総括】

報告者:高田 潤一(東京工業大学)

2N:Online (English)

  • 座長:西村 幹子(国際基督教大学)
  • コメンテーター:マエムラユウ・オリバー(東京大学)、内海 悠二(名古屋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 10:30
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [2N01] 観光と環境のネクサス:ラグーナ州パグサンハン、カビンティにおける地元の認識に対する多面的な検証
    *ALINSUNURIN Maria Kristina2、*新海 尚子1 (1. 津田塾大学、2. フィリピン大学ロスバニョス校)
  2. [2N02] インドネシアにおける職業教育と非認知能力が労働成果に与える影響
    *崔 善鏡(広島大学)

【総括】

報告者:西村 幹子(国際基督教大学)

2O:社会開発、コミュニティ(日本語)

  • 座長:小早川 裕子(東洋大学) 
  • コメンテーター:藤掛 洋子(横浜国立大学)、松丸 亮(東洋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:18名

第1発表:[2O01] 通域的な学びの実践 – Africa-Asia Business Forumにおける学び合いを媒介とした地域間のつながり

工藤 尚悟(国際教養大学)

本研究では、国際協力や開発学の地域研究に従来の研究者や実務者による知見共有から直線的に課題解決が設計される方法ではなく、具体的な現場を持つ全く異なる地域の実践者たちが共同フィールドワークを通して得られる視点や気づきのリフレクションを基に、習慣的な思考パターンへの気づきや新しい視点の獲得といった自己変容を促す「通域的な学び」に関する調査が行われた。

コメンテーターからの課題解決型ではないプログラムの成果をどう評価できるのか、との質問に対し、工藤会員は、課題の出口として、方法論を提供する発展的評価になる回答した。

第2発表:[2O02] 開発学における表情解析の応用可能性:マダガスカル農村の女性における事例

山田 浩之(慶應義塾大学)

開発研究における調査では、回答者の設問理解度の把握の難しさ、考えずに回答している可能性、主観的で要因が多様な幸福感の測定が難点であるため、客観的調査が可能な顔を認識するソフト、FaceReader (FR)を起用した。

マダガスカル農村女性の笑顔をデータ化したものと記述調査を照合し、幸福感と個人や世帯の特性との関連性が調査された。

コメンテーターからは、FRをマダガスカルで使う有効性、調査結果が従来の調査結果と変わらなかった事から、FRを開発学で利用する意義の説明が必要ではないかとの指摘があった。

第3発表:[2O03] ブータン東部におけるアブラナ科野菜の普及の実態とその要因-タシガン県バルツァム郡を事例に-

生駒 忠大(京都大学/日本学術振興会)

本研究は、ブータンにおける新たな換金作物の普及は単に高換金性が引き金になっているのではなく、農業実践や地域文化の変容が普及の要因となっている可能性を調査した。

その結果、アブラナ科野菜が普及していった要因として、若者の離村と労働力確保の難しい村において、長期間の栽培適期と栽培の簡便性、副次的栽培、労働集約性の低さと高い生産性が村の現状に適合していたこと、アブラナ科野菜の食文化への浸透、牛の飼料としての有用性などが明らかにされた。

第4発表:[2O04] 潜在的に田園回帰志向を持つ人の要因分析 -地方に関心のある大学生に魅力的な地方自治体の施策とは-

戸川 椋太(立命館大学大学院)

田園回帰志向を持つ学生の実態を把握し、地方自治体への政策提言を目的に、潜在的に回帰思考のある大学生の特徴を明らかにする目的の研究である。

追跡調査も予定されているが、本発表では、コメンテーターから、田園回帰の定義の明確化の必要性、アンケート調査の対象が立命館大学の学生に限定されていた事による一般化の難しさ、田園回帰志向分析の設問内容が、都市でも可能な活動ではないかとの指摘があった。

【総括】

各発表は時間通りに進んだ。どれも興味深い研究発表だったため、フロアーからの質疑がたくさんあるように見受けたが、時間が限られていたため、1名の質問しか受けられなかったのが残念だった。

報告者:小早川 裕子(東洋大学)

2L:Rural development (English)

  • 座長:澤田 康幸(東京大学) 
  • コメンテーター:髙橋 和志(政策研究大学院大学)、米倉 雪子(昭和女子大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:不明

第1発表:[2L05] 「園芸の商品化と家庭の意思決定が小規模農家の収入に及ぼす不均一な影響:エチオピアのジマ地帯における準実験研究の証拠」

*FIKADU ASMIRO ABEJE、*Nomura Hisako(Kyushu University)

本論文はエチオピアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチが農家所得の向上に寄与しているか、寄与している場合、それが所得レベルや男女間でどのような違いがあるか、定量分析したものである。

データは2022-23年に集めたクロスセクショナルデータで、610の農家から集めた。

推定には、マッチングとQuantile regressionを用いている。

推定の結果からは、SHEPは全体として農家所得を有意に増やしているが、その効果はもともとの高所得家庭、また男性の意思決定力が強い農家でより大きくなることが判明した。

本論文は潜在的に重要なイシューを扱っているものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • アウトカムである園芸作物所得と、説明変数である園芸作物指数の間には強い相関があるため、これを説明変数に使わない方がよい。
  • アウトカムをレベルのまま使っていると、ほぼ必然的に高所得家計の方に強い影響が出がちなので、ログを採った方がよい。
  • 推定式の説明の際にいくつかの誤りが見られた。
  • マッチングの方法をもう少し丁寧に説明した方がよい。

第2発表:[2L06] Empowerment Mechanisms of the ‘ SHEP Approach’ on Horticultural Behaviour Change of Smallholder Farmers. A Case of Kenya

Peter Nyamwaya ORANGI,
Hisako Nomura
(KYUSHU UNIVERSITY)

本論文はケニアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチ農家のビジネスや農業スキルに寄与しているか、またそれらのスキル向上を通じてエンパワメントに役立っているか、定量分析したものである。

データは4058家計によるパネルデータで。推定には、差の差の分析とOLSが用いられている。推定の結果からは、SHEPは全体としてスキル向上に寄与し、それにより、生産やマーケティング面におけるエンパワメントに繋がっていることが判明した。

本論文はSHEPのプロジェクト目標が満たされているか定量的に検証した点で意義深いものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • スキルのカテゴリーづくりややや恣意的なだめ、どのような理論的背景があるのか示せるとなおよい。
  • データがどのようにとられたのか、また4058はバランスパネルなのかそうでないのかなど、詳しい説明が必要。
  • DIDよりも近年はANCOVAが好まれる傾向にあるため、DIDを使うメリットを丁寧に説明してほしい。
  • エンパワメントの分析にはOLSが使われているが、スキル変数は内生なので、その点を考慮した推定方法に改善する必要がある。

第3発表:[2L07] Economic Analysis of Income Generation Through Creation of Dairy Farmers Union. A Case Study on Balkh Dairy Union, Afghanistan

Hamed ARIF SAFI(Kyushu University)
Nomura HISAKO(Kyushu University)
Shoichi ITO(Kyushu University)
Hiroshi ISODA(Kyushu University)

Key Points
  • 7 interviewers conducted semi-structured interview in 8 villages in Dehdadi District, Balkh province in Aug 2014. 355 milk producers, 192 Balkh Livestock Development Union (BLDU) members and 163 dairy farmers not BLDU members.
  • Examination of the impact of dairy union membership on the productivity of dairy farmers and the net annual milk income of households using the propensity score matching method (PSM).
  • Union membership significantly reverberates impacts critical economic outcomes of dairy farming dynamics.
  • It recommends stakeholders in the dairy farming sector, including policymakers and farm management, to recognize the positive aspects of union participation on production and income.

Questions to understand the situation further to promote union

  1. The amounts of income and dairy production. How many cows do they have. Is the size of farmers relevant to the result?
  2. Why/how the farmers became union members: Did anybody suggest them to become members? What are the merits that they recognise? ie) info, training, funds, etc from the union.
  3. Why non-members do not join unions? What prevents them? ie) In Cambodia, people were traumatised by their experience of forced labor during communist/socialist era.
  4. How many days did 7 researchers interview 355 farmers in 8 villages. Did they simply ask their annual income and production or had farmers recorded the amounts?

第4発表:[2L08] 高価値な換金作物の導入後の農村移住と民族間の格差における変遷:ベトナム中央高地の台湾から導入されたウーロン茶産業の事例

呉 昀熹(京都大学)

Key Points
  • Semi-structured questionnaires targeting Kinh migrants for April-June 2019, and the minority settlements for Oct-Nov 2019 in D and L Communes, hubs for oolong tea enterprises, in Lam Dong province in the Central Highlands, Vietnam. Sites included oolong tea factories, farms, and various households. A total of 123 households heads: 96 Kinh, 10 ethnic minority migrants (Muong, Cham), 16 indigenous minorities (Kohor, Ma), 1 Vietnamese Chinese individual.
  • geographical access to employment, Kinh has easier access, Muong have relatively comparable access to Kinh, able to reach oolong tea enterprises within a half-hour walk, Ma and Kohor at more remote locations.
  • 2 categories of spontaneous migrants: Early migrants, dependent on network, organised migrants; Late migrants. less-dependent on network.
  • Ma, traditionally engaged in shifting agri, adapted themselves to the tea industry, changed gender roles. Kohor, traditionally nomadic lifestyle, limited engagement with industry.

Questions to understand the Discussion further

  1.  Describing “3 key attractions of the tea system included higher income, varied job chances, and accommodation” regarding each ethnic group may show the differences clearer. How it becomes as “a stepping stone to cash crop farming. As migrants’ farms become sustainable, their dependency on the system decreases”?
  2.  About Gender role, Ma has seen the changes while Kohor did not. How about other ethnic groups?
  3.  Explain more in section “3 Findings” about the socio economic impact including health risks and loss of personal time.
  4.  About “the indirect marginalization of indigenous groups”, may be discuss about Ma and Kohor separately? How about Muong and Cham?

【総括】

Rural Developmentセッションの名にふさわしい意欲的な論文が4本報告された。

特に、JICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチやアフガニスタンにおける酪農組合プロジェクトの評価など、厳密なエビデンス(科学的根拠)が求められている研究対象について、ミクロデータを用い、マッチング(matching)、差の差分析(difference in differences)、分位点回帰(quantile regression)など緻密な手法を用いた研究につき、計量分析を洗練化することのみならず、ドメイン知識に基づいて研究をさらに深化させるという観点から、コメンテータの高橋和志教授(政策研究大学院大学)、米倉雪子教授(昭和女子大学)より多数の建設的なコメントがなされ、活発な議論が行われた。

座長としては、今後も国際水準の開発研究・教育の成果が日本発で期待でき、国際開発学会のあるべき姿を示す有意義なセッションとなった、と感じた。

報告者:澤田 康幸(東京大学)

2M:国際開発援助(日本語)

  • 座長:伊東 早苗(名古屋大学) 
  • コメンテーター:大門(佐藤) 毅(早稲田大学)、宗像 朗(国際協力機構)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M05] 政府開発援助が海外直接投資に与えた影響―援助形態別の分析―
    *大野 沙織(京都大学)
  2. [2M06] 現地主導の開発(locally-led development)とCSOの南北パートナーシップの再検討
    *高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  3. [2M07] 日本政府の支援がパキスタン気象局の能力向上に果たした役割に関する考察
    *内田 善久(株式会社国際気象コンサルタント)
  4. [2M08] 国際協力における Co-Financeの「全体像」をどう捉えるか~中国と DACドナー間の取り組みを事例に~
    *石丸 大輝1、*土居 健市2、*汪 牧耘3、*林 薫4 (1. 独立行政法人国際協力機構、2. 早稲田大学、3. 東京大学、4.元 文教大学)

【総括】

報告者:伊東 早苗(名古屋大学) 

2N:環境、サスティナビリティ(日本語)

  • 座長:松岡 俊二(早稲田大学)
  • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、古沢 広祐(國學院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:15
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:25名

第1発表:[2N03] インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所建設に関わる原石山の補償問題

筒井 勝治(株式会社ニュージェック)
冨岡 健一(Global Utility Development Co., Ltd)

インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所周辺の地域住民に対する補償の法制度とその運用のあり方をめぐって議論をした。

第2発表:[2N04] 環境知識の移転をめぐる地政学的ダイナミクス:中国の環境協力機関の比較分析

WU Jingyuan(東京大学大学院)

中国における環境協力機関の展開について、リアリズムの視点、リベラリズムの視点、コンストラクティビズムの視点から議論を行った。

第3発表:[2N05] 生産国の実情から考える持続可能なパーム油-インドネシアとマレーシアの事例に着目して-

吉田 秀美(一般社団法人持続可能なサプライチェーン研究所)
楊 殿閣(一般社団法人ソリダリダード・ジャパン)

持続可能なパーム油の国際的認証と各国のナショナルな認証制度との関係のマーケット・企業の動向について議論を行った。

【総括】

インドネシアの発電所建設に伴う住民補償、中国の環境協力機関の歴史的展開、インドネシアとマレーシアの持続可能なパーム油の認証制度をめぐって議論を行い、東アジアの環境問題と環境協力のあり方について、深く考える機会となった。

報告者:松岡 俊二(早稲田大学)

2L:Education (English)

  • 座長:澤村 信英(大阪大学) 
  • コメンテーター:劉 靖(東北大学)、川口純(筑波大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L09] Inclusion in Higher Education: Exploring the Experiences of Nepalese College Students with Disabilities

Bhuwan Shankar BHATT(International Christian University, Tokyo)

障害を有するネパール人大学生の経験をもとに、高等教育におけるインクルージョンのあり方を多面的に検討するものである。

高等教育におけるインクルージョンに関する実証研究は貴重であり意義があり、その重要性はますます大きくなっている。

それゆえに、研究のスコープを発展させれば(例えば、学部生と大学院生、学生の専攻を分けるなど)、さらに学術的・実践的な示唆が得られるだろう。

集団的相互作用の概念枠組みに、なぜ財政上の視点を入れていないのか、あるいは今後の研究として制度的なインクルージョンに対する考え方について質疑応答があった。

第2発表:[2L10] Case studies of a positive outlier and a negative outlier municipal education departments in supporting primary schools in Brazil

Danilo LEITE DALMON(Kobe University)

ブラジルの同一州にある人口規模や経済指標が類似する市を対象として、初等学校を管轄する教育局の中で最も効果的な教育行政が行われている市と、反対にそうでない市を選別し、両者を比較検討、要因の分析を行おうとするものである。

ブラジルを対象とする希少性はあるが、これに類似する効果的学校研究に関わる蓄積は膨大にあるので、さらなる文献レビューを進めてほしい。

また、サンプリングをいかに行ったかのプロセスが不明であり、その妥当性を明確にする必要がある。対象とする国、地域、学校の状況がわかる基礎データを示してほしい。

オリジナルのファインディングが何なのか、従来の効果的学校研究に対していかなる貢献があるのかなど、質疑が行われた。

第3発表:[2L11] Citizenship education and Malagasy philosophy: An analysis of the upper secondary school curriculum

Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO(Osaka University)

マダガスカルの後期中等学校のカリキュラムを分析することにより、グローバルなシティズンシップ教育の中でいかなる価値観が育成されるのか、されようとしているのかを探索するものである。

脱植民地化やグローバル・シティズンシップ教育の議論の中で、学校のカリキュラムがいかなる影響を受けつつ内在化していくかを検討することは重要なことである。

一方で、シティズンシップ教育やマダガスカルのフィロソフィーがそれぞれ何を意味するかは、丁寧に記述する必要がある。リサーチクエスチョンに対する結果の提示にやや齟齬があるように思えるとの意見も出された。

第4発表:[2L12] Parental Involvement in Malagasy Students’ Career Planning: the Case of Public High Schools in Urban and Suburban Settings

Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA(Osaka University)

マダガスカルの都市部の公立高校を事例として、生徒のキャリア計画にいかに親が関わっているかを考察するものである。

このようなテーマ設定自体は、教育を受けた後の就業に関わることで興味深く、重要なテーマである。

ただし、キャリア計画の定義がやや不明瞭で、どのように親が子どものキャリア計画に関わっているのか、さらなる丁寧な分析と解釈がなされることが期待される。

現在の結論は、親が何を考えているか、何を行っているかに留まっており、いかに関わっているかが十分に探索できていないように思える。

【総括】

ネパール、ブラジル、マダガスカルと、発表者は日本の大学に属しながら、それぞれの母国を研究対象としている。

このような多様な対象国の研究発表が本学会の場で行われることは、少なくない影響を日本人研究者にも与えてくれているように思う。

今後もこのような学術面での国際交流が展開され、将来的に国際共同研究などに進展することを期待したい。

報告者:澤村信英(大阪大学)

2M:事業評価・分析(日本語)

  • 座長:大橋 正明(聖心女子大学) 
  • コメンテーター:石田 洋子(広島大学)、桑島 京子(青山学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 16:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:8名

第1発表:女性自助組織を通した母親の資源獲得と子どもの教育への影響―インド Rajasthan州の Rajeevikaプログラムを事例に―[2M09] 

水島 侑香(東京大学)

この発表は、本年の3月に行ったインド西部の州の3県(District)の3つの郡(Block)で政府が進める女性の自助組織(Self-Help Group、以下SHGs)の15名のメンバーに、半構造化インタビューを行った結果を軸に分析したものである。

報告者によると、多くのメンバーがSHGのマイクロファイナンスにより事業やSHGs組織の役職報酬よる収入向上、情報や人間関係といった形での資源を獲得し、結果的に子どもの教育にポジティブな影響を与えることを示した。

この発表に対してコメンテーターである広島大学の石田洋子会員は、SHGsの活動によってその本人だけでなく、その夫、女性の両親、子ども、教員、上位機関メンバー等がどう変化して、結果的に子どもたちの教育における変化につながっているのかを、セオリー・オブ・チェンジ(Theory of Change)といった形で把握すること、SHGプログラムの全容や対象地域の教育事情などが不明である、といった指摘をした。

第2発表:カンボジア・つばさ橋建設をめぐる環境社会配慮と事業化検討プロセス[2M10] 

小泉 幸弘(独立行政法人国際協力機構)
花岡 伸也(東京工業大学)

小泉会員の報告は、カンボジアにおける同様な橋梁プロジェクトと比較して、本案件がカンボジア側からの要請から無償資金協力実施の意思決定に至るまでに、10年ほどの時間を費やしたことの要因として、2004年改定のJICA環境社会配慮ガイドラインを適用した経緯をもとにしたものであった。

結果として、早期開通を希望していたカンボジア側の声には応えられなかったことが提起された。

これに対して青山学院大学の桑島会員からは、改定後の環境社会配慮ガイドラインの画期性、外務省・JICAの権限関係の「今」、カンボジアの運輸交通開発における環境社会配慮の「今」などのより幅広い検討の必要が指摘された。

また会場から相次いだ質問を通じて、こうした配慮がなされることでより丁寧な検討がされたことを評価するという指摘や、他の新興ドナーとの対抗を意識する日本政府はこうした配慮の適用範囲を限定しようとする動きがあるという懸念などが示された。

【総括】

このセッションでは、二人のコメンテーターからのコメントと発表者による応答、そして会場の参加者との興味深いやり取りが行われた。

四人の発表者を前提にした時間枠に二人の発表だったため、時間的に余裕があったので、しっかりしたやり取りをすることができた。それでも16時半に終了した。

報告者:大橋 正明(聖心女子大学)

2N:平和構築、レジリエンス(日本語)

  • 座長:湖中 真哉(静岡県立大学) 
  • コメンテーター:松本 悟(法政大学)、桑名 恵(近畿大学)
  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:約40名

第1発表:[2N06] 特定地域における民族間の勢力均衡論(ドミノ式)についての一考察ー勢力均衡のパターン分析を中心にー

安部 雅人(東北大学)

安倍会員による最初の報告では、民族間の勢力均衡論として3つの類型が提示され、中国新疆ウイグル自治区の紛争、パレスチナ紛争、ルワンダのジェノサイド等の事例が、その3つの類型の観点から検討された。

これに対して、松本会員によるコメントでは、リサーチクエスチョンの所在、先行研究に対する位置づけ等に関する質問が投げかけられた。

また、フロアからは、なぜインクルーシブな国家を形成できなかったのかという問題意識からの再検討の可能性等の論点が提出され、報告された類型が多角的に検討された。

第2発表:[2N07] 中国の都市におけるコミュニティレジリエンスの構築に関する質的研究—ソーシャル・キャピタルの視点から

王 藝璇(大阪大学大学院)

つづく王会員による報告では、2021年の中国河南省洪水災害で被災したコミュニティを対象とするインタビュー調査結果がおもに報告された。

同会員は被災コミュニティを都市・農村の移行期コミュニティの脆弱性に注目しながら3つに類型化し、各コミュニティのレジリエンスをソーシャルキャピタルの類型の観点から分析した。

松本会員によるコメントでは、ソーシャルキャピタルの有効性を論じるに当たっての基準設定の問題、比較の前提となる影響要因の評価の問題、調査対象者の選定上の問題等が質問された。

王会員は質問に回答しながら、今後の研究にコメントをフィードバックしていく見通しを述べた。

第3発表:[2N08] エルサルバドル共和国帰国研修員によるパイロット事業の形成過程と実施に関する要因分析:
ポストコンフリクトにおける地域住民の主体的生活改善活動に着目して

藤城 一雄 (独立行政法人国際協力機構)

その後の藤城会員他の報告では、研究対象地はエルサルバドルに移り、長期内戦後のポストコンフリクト状況において、JICA本邦研修による中米地域生活改善研修を事例として、パイロット事業実施5年後の現地調査の分析結果が報告され、おもにインタビュー結果から、パイロット事業参加者の幸福感が変容した成果等が示された。

コメンテーターの桑名会員によるコメントでは、過去の教訓を踏まえている点等が評価され、今後の展望が質問された。

また、フロアからは、事業に対するネガティブな反応がなかったのかという点が質問された。藤城会員は、その後エルサルバドルで政権交代があったため、組織全体が消滅したこと等、その後の事業の経緯を踏まえつつ、これらの質問に回答した。

第4発表:[2N09] グローバル・ナレッジとしての東日本大震災とそこからの復興(途上国に役に立つ知識とするために何が必要か?)

林 薫 (グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表、元文教大学教授)

最後の林会員による報告は、東日本大震災の震災以降に着目し、震災伝承施設をグローバルなレッジの観点からどのように評価できるかを探究し、その調査成果が豊富な事例とともに示された。

コミュニティ防災の軽視や失敗学の不在等の課題を示しつつ、最後に何が世界に発信すべきコアなナラティブになり得るかという展望が示された。桑名会員はこれに対して調査の方法や協働知の双方向性について質問を投げかけた。

林会員は震災伝承施設の展示方針の硬直性の問題により、双方向性が現状では困難であること等を回答した。

【総括】

本セッションでは各報告が時間を超過しなかったため、充実した討議を行うことでき、多角的に報告を検討することができた。

なかでも林会員は報告を通じて、本セッションの他の報告やプレナリーセッションにも言及され、本大会の最後を締めくくるに相応しい報告となった。

報告者:湖中 真哉(静岡県立大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2023年11月)

アフリカ・アジアにおけるものづくり

Study Group on Manufacturing in Africa and Asia

メンバー

代表

高橋基樹(京都大学)

副代表

井手上和代(明治学院大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2021年10月~2022年9月)<終了>

初年度は2022年3月、5月、8月の計3回の研究部会を開催した。概要は以下の通り。

研究部会

2022年3月11日(金曜)9:30~15:30
  • 「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」神公明(JICA緒方貞子平和開発研究所専任参事)
  • 「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」町北朋洋(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)(有本寛、坪田建明との共同研究)
  • 「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」朴聖恩(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」松本愛果(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成 -ものと人の関係に着目して-」山崎裕次郎(名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程)
2022年5月28日(土曜)15:00~17:30
  • 「ガーナのボルガバスケット産業におけるかご編み技術の共有とその広がり―産地内の地域分化に着目して」 牛久晴香(北海学園大学経済学部地域経済学科准教授)
  • 「BOPビジネスの実現に向けたField-based approachの実践」黒川基裕(高崎経済大学地域政策学部地域政策学科教授)
2022年8月6日(土曜)15:00~17:30
  • 「沖縄県の焼物業界における職人・見習いの日常と実践: セネガルのグラフィティ集団を射程に入れて」前田夢子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「激動する4つの潮流:ポストコロナ時代の産業開発支援とものづくり」本間 徹(国際協力機構国際協力専門員)

2年目(2022年10月~2023年9月)<終了>

2年目は4回の研究部会に加えて、全国大会でのセッション開催を企画・実施した。概要は以下の通りである。また、ものづくりに関する知見を深めるため、研究部会のメンバーとともに東大阪市役所、三和鋲螺製作所へ訪問し、担当者への聞き取りと工場見学を行った。

研究部会

2022年10月22日(土曜)15:00~17:30
  • 「モザンビーク都市部における小規模金属加工業の動態:南部マトラ市の金属建具製造に着目して」畔柳理(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「鉄鋼産業の技術移転研究:韓国ポスコの技術導入からインドネシア移転まで」辺成祐(近畿大学経営学部准教授)
2023年3月18日(土曜)15:00~17:30
  • 「デジタル・グローバル時代の人材育成:アジア・アフリカの現場から考える」栗田匡相(関西学院大学経済学部教授)
  • 「ケニア西部グシイ地方におけるソープストーン彫刻産業の現状」板久梓織(東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程)
2023年4月22日(土曜)15:00~17:30
  • 「ケニアにおける小規模農家のアグリプラットフォーム利用状況の検討」井上直美 会員(東京外国語大学大学院博士後期課程、アジ研連携研究員)
  • 「ナイロビの都市インフォーマルセクターにおけるオンライン・マーケティングの利用」福西隆弘 会員(アジア経済研究所 開発研究センター/開発スクール)

2023年6月24日(土曜)15:00~17:30

  • 「南アフリカに進出した中国系製造業企業における人事管理の現状」シ ゲンギン(立教大学異文化コミュニケーション学部助教)
  • 「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」尾崎隼人 (江崎グリコ株式会社)

企画セッション

  • 日時:2022年12月4日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 会場: 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー 9F 1093
  • 題目:包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から
企画の背景:

アフリカにおける製造業・ものづくりについては、少数の大企業と大多数の小規模零細企業からなる二重構造、また、政府と小規模零細企業の断絶などが議論されてきた。しかし、これらの議論では把握できない状況も指摘されており、ものづくりの現場に立ち返り、担い手の課題や営為の詳細を理解しておく必要がある。本セッションでは、実証調査に基づく研究成果を報告し、既往の議論の問い直しを図る。

報告者:
  1. 高橋基樹(京都大学)「アフリカにおける製造業の「失われた中間」を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から」
  2. 井手上和代(明治学院大学)「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達―企業者的能力に着目して」
  3. 松原加奈(東京理科大学)「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響」
  4. 日下部美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して」

3年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

定例研究部会を継続して実施する。

直近のところでは、11月にインドにおけるものづくりの研究者(川中薫/国際ファッション専門職大学、久保田和之/神戸大学経済経営研究所)を招き、「インド編」として研究部会を開催することを検討している。

これに加えて、3年目は部会の最終年度にあたるため、これまでの事例報告等に基づき、論文・書籍刊行の作業を進めていく。


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

3年目<今年度>

各研究部会の公開、HPでの発信および、研究部会や企画セッション報告に関わる論文の雑誌掲載とまとめての書籍刊行を目指す。


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究は、特に大学院生や若手研究者の活動を奨励するために、成熟した研究・分析の結果のみならず、今後さらに発展させようとする計画段階の研究の発表も呼びかけている。

これにより、大学院生や若手研究者を含めた幅広い研究者間の交流に繋がっている。また女性の研究者の報告を積極的に募っており、これまでの期間中、約半数の報告者は女性である(予定も含む)。

また、開催形式をハイブリッド形式で実施することで、対面形式では参加が難しかった育児中や遠方からの出席者、海外赴任中の研究者等にも幅広く参加を呼び掛けることができた。

今後も研究部会を定期的に開催し、学会の内外で、ものづくり研究のすそ野の広がりに繋げていきたい。


『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2023年11月)

2023年度活動報告

活動2年目にあたる2023年度は、計4回の研究部会に加え、全国大会でのセッション開催を企画・実施しました。以下に、活動の詳細をご報告いたします。

毎回の研究部会を通じてアフリカ・アジアにおけるものづくりの多様性を再確認するとともに、両地域間の共通性や差異性を知ることが出来ました。

参加者は大学院生や若手研究者を含む大学に所属する研究者のほか、開発機関や民間企業の実務者など幅広く、毎回20名を超える参加者がありました。

また、今年度は、研究会を通じて得られた繋がりを活かして、日本を代表するものづくりのまちとして知られる東大阪市を一部の会員とともに訪問し(市役所のモノづくり支援室/三和鋲螺製作所)、ものづくりに関する知見を深めました。

以上の取り組みを通じて、研究者間の交流に繋がるとともに、ものづくり研究のすそ野が着実に広がってることを実感しています。

第4回研究会

  • 開催日時:2022年10月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「モザンビーク都市部における小規模金属加工業の動態:南部マトラ市の金属建具製造に着目して(仮)」
畔柳理(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程、オンライン参加)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「鉄鋼産業の技術移転研究:韓国ポスコの技術導入からインドネシア移転まで」
辺成祐(近畿大学経営学部准教授)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第5回研究会

  • 開催日時:2023年3月18日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05 
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10 
自己紹介

15:10-16:10
「デジタル・グローバル時代の人材育成:アジア・アフリカの現場から考える」
栗田匡相 会員(関西学院大学経済学部教授)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ケニア西部グシイ地方におけるソープストーン彫刻産業の現状」
板久梓織(東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第6回研究会

  • 開催日時:2023年4月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「ケニアにおける小規模農家のアグリプラットフォーム利用状況の検討」
井上直美 会員(東京外国語大学大学院博士後期課程、アジ研連携研究員)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ナイロビの都市インフォーマルセクターにおけるオンライン・マーケティングの利用」
福西隆弘 会員(アジア経済研究所 開発研究センター/開発スクール)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第7回研究会 (共催:京滋支部)

  • 開催日時:2023年6月24日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「南アフリカに進出した中国系製造業企業における人事管理の現状(仮)」
シ ゲンギン(立教大学異文化コミュニケーション学部助教)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」
尾崎隼人(江崎グリコ株式会社)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

国際開発学会第33回全国大会企画セッション
「包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から」

  • 開催日時:2022年12月4日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 場所:明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー 9F 1093

企画の背景:

アフリカにおける製造業・ものづくりについては、少数の大企業と大多数の小規模零細企業からなる二重構造、また、政府と小規模零細企業の断絶などが議論されてきた。

しかし、これらの議論では把握できない状況も指摘されており、ものづくりの現場に立ち返り、担い手の課題や営為の詳細を理解しておく必要がある。本セッションでは、実証調査に基づく研究成果を報告し、既往の議論の問い直しを図る。

報告者

  1. 高橋基樹(京都大学)
    「アフリカにおける製造業の「失われた中間」を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から」
  2. 井手上和代(明治学院大学)
    「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達―企業者的能力に着目して」
  3. 松原加奈(東京理科大学)
    「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響」
  4. 日下部美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して」

座長報告:高橋基樹(京都大学)

本セッションには、対面で11名、オンラインで11名の参加があった。本セッションは、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」研究部会の活動を踏まえ、その成果を学会に還元することを念頭に置いて企画したものである。

アフリカ諸国が21世紀初頭からの高度成長を経てかえって強まった資源・一次産品への依存からの構造転換のために、ものづくり・製造業の現状を、実証研究を通じて考察することが要請されている。そこで必要なことは、多くの人が経済活動の担い手として参加する包摂的な開発が実現されてゆくことである。

最初の報告「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」(高橋基樹会員・京都大学)では、ケニア・ナイロビのソファ製造の複数のクラスターを取り上げ、製品について生じた革新的な知識が異なる業者の間で容易に共有される開放的なケースと知識が秘匿される閉鎖的なケースがあることが指摘された。

それは従来の「失われた中間」=二重構造論では捉えきれない多系的な発展とそれに応じた包摂が生じている可能性を示唆するものである。

続く「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」(井手上和代会員・明治学院大学)では、ナイロビの金属加工業の資金調達と企業者能力について、製品と技術(機械化の程度)が異なる二つの地区の業者への聞き取り調査に基づき論じた。

長期資金需要の相対的多さにもかかわらず、金融市場における機会が狭められており、機械化の進んだ事業者も自己資金への依存率が高く、金融機関からの借り入れが限られていることが分かった。

事業者の企業者能力はそうした生産環境の負の要因を補うために発揮されている。

「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」(松原加奈会員・東京理科大学)は、最初にエチオピアの革靴産業と産業政策の歴史を跡付けた。

それを踏まえて、異なる3つの規模の企業が受けてきた支援を詳述し、小企業にも政府による外国援助を活用した支援が及んでいることを指摘する。

各企業は異なる複数の支援を渡りつつ恩恵を受けるものの、逆に支援を渡ることができずに廃業に追い込まれる場合があり、包摂が不均等なかたちで生じていることが示された。

「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」(日下部美佳会員・京都大学博士課程)は、福祉用具に携わる障害者団体の活動に着目し、個々人の技能の熟練及び多能工化と活動参加前の教育や技能の習得とがどのように関わっているかについて考察した。技能形成とものづくりという障害者の開発への主体的な参加が団体の存在によって可能となっている。

各報告に対して黒川基裕会員(高崎経済大学)、渡邉松男会員(立命館大学)から、理論的枠組みを踏まえた議論の陶冶に向けた助言や、考察をさらに深めるための問題の提起がなされた。これらは上記研究部会での議論を進展させるために非常に有益なものであり、本セッションを開催した意義を確認することができた。


2024年度活動計画

今年度はアフリカのものづくりに関する研究成果の発表が多かったため、次年度はアジアのものづくりの事例についても取り上げたいと考えています。

また、2024年度は最終年度にあたるため、ものづくりに関する議論を体系的に整理し、研究成果をまとめていきたいと考えています。

今後の研究会の予定として、ものづくり研究のインド編として2023年12月16日(土曜)に京都大学にて研究会の開催を企画しており、準備を進めています。

詳細については、改めてメーリングリストを通じて皆様にご案内を差し上げます。

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




『若手による開発研究』研究部会(2023年11月)

活動報告

活動最終年度である本年度は、第33回全国大会におけるラウンドテーブル発表に加えて、1回のオンラインイベントと、4回のオンライン研究会を開催しました。

それに加えて、開発学会京滋支部が主催する大学院生向けの研究会にて若手部会のメンバー複数人が研究発表を行いました。  

全国大会でのラウンドテーブルでは、それぞれ異なる研究分野を持つ若手研究者が集まる本研究部会の特徴を生かし、個別事例とその一般化のバランスをどのようにとるかという問題意識を持って発表を行いました。

オンライン研究会では、昨年度から行ってきた学会発表セッションの内容についての議論などに加えて、メンバーの単著の出版経験をシェアする会も行いました。

さらに、昨年度に引き続き、研究部会メンバーだけでなく開発学会の会員全体に開かれた研究会も開催し、活動の幅を広げてきていました。  

研究部会の活動最終年度に初めて対面での活動ができたことで、若手メンバー同士の交流を促進するという研究会の目標もある程度達成することができました。

さらに、来年度以降も引き続き若手メンバーによる研究部会活動を行うために、来年度以降の若手メンバーを中心とした新規研究部会立ち上げのためのノウハウの伝達も行いました。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(上智大学)




オンラインシンポジウム「東南アジア移民送り出し国の労働法制@上智大学」11月16日開催(会員・一般)

ソフィア・オープン・リサーチ・ウィークス2023

東南アジアの移民送り出し国の労働法制

  • 日時:2023年11月16日(木曜)13:00-16:00(開場 12:50)
  • 対象:高校生・大学生・大学院生・研究者・一般
  • 言語:日本語・英語(同時通訳あり)
  • 参加費:無料
  • Webinar申し込み:
    (動画の後日配信なし)
  • 主催:上智大学アジア文化研究所
  • 共催:科研費研究「移民女性のReproductive Justice:法と制度の活用による妊娠と出産の制限からの解放」

プログラム

司会・進行:田中雅子(上智大学)

1.移民労働者の権利保障に関する送り出し国の役割:ベトナム、ミャンマー、カンボジア出身者と送り出し国のステークホルダーへのインタビューから

針間礼子(Mekong Migration Network)

2.インドネシア移民女性の婚姻・妊娠とイスラーム法

佐伯奈津子(名古屋学院大学)

3.移民労働者の権利擁護における支援団体の介入を阻む障壁:日本の事例から

斉藤善久(神戸大学)


本件にかんするお問い合わせ先

上智大学アジア文化研究所

  • i-asianc [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話:03-3238-3690



募集:2024年度笹川科学研究助成(募集期間:9/15~10/16)

本年度も、笹川科学研究助成の募集を行うこととなりました。

ご応募について

主な募集条件

【学術研究部門】

  • 大学院生等(修士課程・博士課程)
  • 35歳以下の任期付き雇用の若手研究者
  • ただし、「海に関係する研究」は重点テーマとして支援し、雇用形態は問わない
  • 助成額は、1件150万円を限度とする

【実践研究部門】

  • 学校・NPO職員等に所属している方
  • 博物館、図書館等の生涯学習施設に所属している学芸員・司書等
  • 年齢、雇用形態は問わない
  • 助成額は、1件50万円を限度とする

申請期間

2023年 9月15日 から 2023年10月16日 23:59 まで

申請方法

Webからの申請となります。詳細は本会Webサイトをご確認下さい。

■ポスター


本件にかんするお問い合わせ先

公益財団法人日本科学協会・笹川科学研究助成係

  • josei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • TEL:03-6229-5365



第34回全国大会のお知らせ

今年の全国大会は、11月11日(土曜)・12日(日曜)に上智大学四ツ谷キャンパスで開催します。

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1.テーマ

大会のテーマは「複合的危機下における連帯と共創」です。

近年、グローバル化に伴う格差の拡大と権威主義、暴力的過激主義の台頭や民主主義の後退とそれに伴う市民社会スペースの縮小、新型コロナ感染症の蔓延、ロシアによる軍事侵攻と世界規模の食糧危機、政治的危機下にある社会での自然災害など、未曽有の困難が次々と訪れています。

これらは複合的に絡み合い、状況を悪化させ、脆弱な立場の人々をさらに困難な状況に追い込んでいます。

開発協力と人道支援の連携が一層求められる中、国際開発協力は、この複合的危機にいかに対処していけば良いのでしょうか。

今大会では、複合的危機下において、多様なアクターがいかに「連帯」し、共通課題に取り組むために新たな価値を「共創」できるのかを議論します。

異なる立場のアクターが、利害を超えて、どのように共通認識を作っていけばよいのでしょうか。

Business as usual(これまでのやり方を踏襲)を越える挑戦に向けて、皆様の活発な議論を楽しみにしております。

2. 開催形態

今大会は、対面を基本とします。

ただし、パラレルセッションのうち、1つはオンラインで終日実施し、プレナリーセッションは、対面と同時配信のハイフレックス対応を予定しています。

3.会員の交流について

大会初日(11日)には、懇親会を予定しています。久しぶりの会ですので、奮ってご参加ください。

狭いキャンパスではありますが、以下の体制で皆様をお迎えできるよう準備をしております。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。

大会実行委員長
小松太郎(上智大学)


第34回全国大会・概要

  • 日程:2023年11月11日(土曜)・12日(日曜)
  • ・会場:上智大学四ツ谷キャンパス
  • ・テーマ:「複合的危機下における連帯と共創」

大会実行委員会

(委員の並び順は50音順)

大会実行委員長

小松 太郎(上智大学)

事務局長(全体調整)

田中 雅子 (上智大学)

委員(オンライン)

阿部 直也 (東京工業大学)

委員(会場運営)

  • 岩崎 えり奈(上智大学)
  • 梅宮 直樹(上智大学)

委員(会計)

岡本 菜穂子(上智大学)

委員(プログラム)

荻巣 崇世 (上智大学)

委員(会場運営)

金澤 真実 (上智大学)

委員(大会サイト)

倉田 正充 (上智大学)

委員(広報)

  • 杉浦 未希子(上智大学)
  • 山崎 瑛莉(上智大学)

委員(プレナリー)

  • 戸田 美佳子(上智大学)
  • 林 明仁(上智大学)

委員補助

  • Taymour Bouran (上智大学大学院生)
  • Van Nguyen (上智大学大学院生)

第34回全国大会・実行委員会
実行委員長:小松太郎(上智大学)

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第24回春季大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

第24回春季大会において、柴田英知会員に優秀ポスター発表賞を、玉村優奈会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

第24回春季大会において、柴田英知会員(報告タイトル:「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー)に優秀ポスター発表賞、玉村優奈会員(報告タイトル:怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

優秀ポスター発表賞

『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

柴田英知会員

優秀ポスター発表・奨励賞

『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

玉村優奈会員

2023年度春季大会のポスターセッションでは、17件の意欲的な研究報告がありました。

報告内容は教育開発分野を中心に認知論、コミュニティーケア、インフラ開発、生態・環境や生活観察など多岐にわたり、また、報告者も半数強の大学院生に加えて、大学教員、社会人会員からの参加も多数あり、ポスターセッションの裾野が広がりつつあることが感じられました。

2人の受賞者は賞選考委員会による審査の結果、主題の独創性や堅実な資料調査手法などが評価され、選出されました。

ポスター発表セッションの参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。 

賞選考委員会
委員長:三重野文晴(京都大学)




参加募集「国連OG・OBによる大学生・院生のための国連入門講座」8月28~31日開催(会員・一般)

AFICS-J(国連システム元国際公務員日本協会)が主催する第3期「国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座」の参加者を募集しています。

国連機関で働いてみたい、でも、国連職員の実際の仕事とは何か、どうすれば国連で働けるのか分からないという大学生・大学院生のために、元国連職員が入門的な実践講座を開催します。国連組織についての知識は不要です。

対象は理系・文系の学生と大学院生。三大都市圏以外の県の学生を歓迎しますが、大都市圏や海外での留学生も受け入れます。募集人数は約40名。締め切り後、応募書類で選考しますが、講義は日本語で行い、英語力は選考の条件としません。

講座はZoomを利用したオンライン形式で、4日間計8コマ。毎回異なる講師がオンラインで講義60分、質疑応答・討論30分で実施します。参加者間のネットワーキングを促すため、講義終了後、参加者がランチを取りながら交流をする時間を設けます。日程は以下です。

開催日程

  1. 8月28日(月曜)9:00-10:30
    第1回:国連職員への道(講師:外務省国際機関人事センター長山口忠彦)
  2. 8月28日(月曜)10:40-12:10
    第2回:総務に関する国連の仕事(講師:元UNIDO/UNHCR滝澤三郎)
  3. 8月29日(火曜)9:00-10:30
    第3回:人道に関する国連の仕事(講師:元UNHCR小尾尚子)
  4. 8月29日(火曜)10:40-12:10
    第4回:人権に関する国連の仕事(講師:元OHCHR小野島吾郎)
  5. 8月30日(水曜)9:00-10:30
    第5回:持続可能な開発/SDGs/気候変動に関する国連の仕事(講師:元UN森田宏子・元UNFCC三輪恭子)
  6. 8月30日(水曜)10:40-12:10
    第6回:平和に関する国連の仕事(講師:元UNDP井上健)
  7. 8月31(木曜)9:00-10:30
    第7回:教育に関する国連の仕事(講師:元UNHCR箱山登美子)
  8. 8月31日(木曜)10:40‐12:10
    第8回:ジェンダーに関する国連の仕事(講師:元UNDP大崎麻子)

参加費は無料です。応募は2023年8月11日24:00までに、(1)略歴(高校以上の学歴とあれば職歴)、(2)何に特に関心をもっているのか、(3)なぜ国連で働きたいのか、(4)その他伝えたいことなどをA4で1枚にまとめて以下のメールアドレス までメールで提出してください。応募書類は選考目的以外には使用しません。選考結果は8月18日までに講義のZoomリンクと共にメールで連絡します。

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

本件にかんするお問い合わせ先

東洋英和女学院大学
滝澤三郎

  • [at]
    (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加者募集『因島・西粟倉フィールドワーク合宿』7月1日締切(会員・一般)

今年は岡山県西粟倉でも開催されることになりました。因島は今年も開発コンサルタントと一緒に学ぶフィールドワーク合宿となります。4年ぶりに開催される「水軍まつり」での地域の方々との交流も楽しみです。

対象は中国5県在住の大学生・大学院生・高専生です。応募の詳細は以下のページをご参考ください。

中国5県在住学生対象 因島・西粟倉フィールドワーク合宿

皆さまのご応募お待ちしています。

開催概要

合宿期間

2023年8月20日(日曜)~28日(月曜)

対象

中国5県に住む大学生・大学院生・短期大学生、高等専門学校4・5年生
※国籍は問いませんが、日本語でフィールドワーク実施に必要なコミュニケーションができることを条件とします。

募集人数

10名

滞在場所

広島県尾道市因島椋浦町1069()

参加費

研修費、宿泊費、保険は無料
(現地までの交通費及び食費等は自己負担となります)

合宿プログラム(予定)

  • 8/20 午後集合・オリエンテーション
  • 8/21 視察地域開発に関わるアプローチについて
  • 8/22 地域で海外展開している企業の視察
  • 8/23 外国人労働者受け入れ企業実習生へのインタビュー
  • 8/24 イベント企画
  • 8/25 イベント準備
  • 8/26 イベント実施
  • 8/27 イベント振り返り・報告会準備
  • 8/28 午前報告会・帰路へ

合宿までのスケジュール

  • 6月1日:オンライン説明会
  • 7月1日:応募締切
  • 7月10日:合格者発表
    開催までに合格者オリエンテーション(オンラインで1・2回程度予定)

お申込み

因島での合宿への参加を希望される方はこちらからお申込みお願いします。【7/1締切】

※併願はできません。因島もしくは西粟倉、どちらか一方でお申込みください。

注意事項

新型コロナウィルス感染状況によっては、合宿が延期・中止になる可能性があります。何卒ご了承ください。


本件にかんするお問い合わせ先

ECFA河野

  • kono [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



公募「イデアス研修プログラム(オンライン)国内研修生」7月7日締切(会員・一般)

アジア経済研究所では2023年度のイデアス研修プログラムの研修生を募集しております。

主に社会人および大学院生を対象とした、国際開発の諸問題について幅広く学ぶ4か月のプログラムです。

特に、開発に関する専門的な学習をこれから始めたいと考えている方や、国際協力に携った経験をもとに理解を深めたいと考えている方を受講生として想定しています。

ご関心のある方は是非ご応募ください。オンライン説明会も実施しております。

イデアス研修プログラム(オンライン講座)国内研修生公募

アジア経済研究所では、イデアス研修プログラムを開講致します。本プログラムは、開発途上国をめぐる国際貿易・投資・金融および経済社会開発などにかかわる最新の諸問題や政策形成などについて、アジア経済研究所の研究者と国内・海外の専門家による講義を通じて、理論面と実態面から理解を深める研修プログラムです。

すべての講義は英語で行われ、アジア・アフリカの開発途上国の行政官も同時に受講します。またゼミナールでは、研修生各人の関心に応じたテーマについて、英語で論文を執筆します。所定の要件を満たして受講を完了した方には、修了証を発行します。

研修期間

2023年9月1日~2024年1月20日(予定)
※下段に記載の通り、4つのコースがありますが、すべて研修期間は同一です。

研修内容

4つのコースがあります。
(論文コース、講義コース、貿易投資コース、社会経済開発コース)
それぞれコマ数が異なりますので、詳細は下記URLをご確認ください。
ライブ配信は月曜・火曜・木曜(主に月・木)の18時-19時30分に実施予定
※ゼミナールは別の曜日にも開催する場合があります

研修方法

原則として全てオンライン
オンデマンド配信形式とライブ配信形式の両方にて実施予定(なお、新型コロナウイルスの感染状況により、一部対面講義とオンラインを同時に実施するハイブリッド形式での講義も実施予定)

主催

ジェトロアジア経済研究所 研究推進部 研究交流・研修課

定員(予定)

  • 論文コース(10名)
  • 講義コース(5名)
  • 貿易投資コース(10名)
  • 社会経済開発コース(10名)

※論文コース、講義コースは面接による審査・選考を行います
※貿易投資コース、社会経済開発コースは応募者多数の場合は抽選となります。

申込締切

2023年7月7日(金曜)

事前説明会

2023年6月13日(火曜)18時、6月19日(月曜)18時
※Zoomにて実施、詳細はwebページをご確認ください

講義内容・申込情報(事前説明会についても掲載しています)

募集要項ご案内ページ:

イデアス研修プログラム趣旨ご案内ページ


本件にかんするお問い合わせ先

アジア経済研究所 研究交流・研修課
イデアス事務局

  • goideas [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:043-299-9562

※在宅勤務を導入しているため、なるべくメールにてお問い合わせください。




公募『2023年度フィールドネット・ラウンジ企画』

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)では、海外で調査・研究をされる方を対象として、研究情報交換ネットワークFieldnetを運営しております。

文系・理系を問わずさまざまな分野の研究者600名以上が登録しています。

Fieldnetでは、「フィールドネット・ラウンジ」と称して、次世代の研究者が組織するシンポジウムやワークショップ等の企画を、毎年、公募により開催しています。次世代の研究者が研究者間ネットワークを広げる一助となることを目的としています。ふるってご応募ください。

※一部未確定の部分がある企画でも、実施に向けてAA研所員から助言を受けられる場合があります。
※申請書は英語でも作成できます。

募集要項

応募資格

博士課程後期の大学院生、各種研究員、助教など次世代の研究者で、Fieldnetのメンバー(登録者)の方は、どなたでも企画責任者となって応募することができます。

Fieldnetに未登録の方は、事前に登録を済ませてからご応募ください。

公募内容

シンポジウムやワークショップ等の企画 2件程度(採択された企画には、1件あたり30万円を上限に開催経費を助成します)。

文理の学問分野を問わずフィールドワークに関連するシンポジウムやワークショップ等の企画を公募します。若手研究者が主体となって企画したものに限りますが、登壇者が全員若手である必要はありません。日本国内外で行ったフィールドワークにより得られた知見や、フィールドワークの手法に関する企画を歓迎します。特に、学際的な企画を期待します。

応募締切

2023年7月24日(月曜)必着

結果通知

2023年8月上旬を予定

※詳細は企画公募要項(PDF)をご覧ください。

参考

過去3年度に実施された企画

2022年度

  • 「躍動する南アジアのポピュラー音楽文化の諸相」(企画責任者:井上春緒)2022年12月11日実施
  • 「フィールドワークってなんだ?――異分野方法論談議(霊長類学・言語学・ 歴史学・人類学)」(企画責任者:谷口晴香)2023年1月9日実施
  • 「不確実性と対話する人類学――法律・経済・芸術・宗教の現場から」(企画責任者:張詩雋)2023年3月11日実施

2021年度

  • 「『みんな、ここを通った』――戦争・交易・巡礼から見るヒマラヤ交易路の盛衰史」(企画責任者:小松原ゆり)2022年2月12日実施

2020年度

  • 「環境保全活動をどう携えるか――多様化するアクターとの協働に向けて」(企画責任者:山根裕美)2021年1月29日実施

これまで実施された企画の詳細については、「フィールドネットラウンジ」をご覧ください。


本件にかんするお問い合わせ先

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
フィールドサイエンス研究企画センター
フィールドネット事務局

※お問い合わせはメールにてお願いいたします。

  • fieldnet [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 〒183-8534東京都府中市朝日町3-11-1



オンライン『米国の評価学大学院の紹介セミナー』5月31日開催(会員・一般)

『米国の評価学大学院の紹介セミナー』(水)午前9-11時)

国際開発の世界でもモニタリング評価(Monitoring &Evaluation)は重要性を増しております。

日本評価学会(JES)では、評価学の学位を出すアメリカの大学院のうち、最も有力なウェスタンミシガン大学、クレアモント大学院大学、南フロリダ大学の関係者を招き、専門課程の概要、学位授与の条件、修了後の就職先などについて紹介していただくセミナーを、2023年5月31日(水曜)午前9~11時、オンラインで開催します。

セミナーの概要は下記のURLをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

  • 日時:2023年5月31日(水曜)午前9~11時
  • 方法:オンライン
  • 受付人数:先着150名
  • 使用言語:英語(日本語への同時通訳を設定いたします)

ウェブサイト

申し込み方法

参加登録は上記URL下部のRegistrationの4行目、日本評価学会の会員以外の方=> Click hereを押して示されるフォームに、お名前、ご所属先などを記入してお申し込みください。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発センター(IDCJ)評価部
主任研究員:佐々木亮(Ryo SASAKI)

  • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階.
  • TEL:03-6718-5932
  • FAX:03-6718-0910
  • Website:
  • Email: [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第33回全国大会を終えて

多くの先生方の協力を得て、第33回全国大会を明治大学において実施することができました(対面とオンラインを併せた参加者総数431名)。ご協力いただいた先生方、ご参加いただいた皆さまにこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。

対面とオンラインの両方で対応できるように準備しましたが、当日、複数のアルバイト学生が濃厚接触者になるなどして勤務できなくなるなど、予想以上に大変で十分に対応できていない部分があったのではないかと思います。それにもかかわらず温かい言葉をかけていただいた先生方の言葉は胸にしみました。ありがとうございます。

課題などについては今後の大会実行委員会に引き継ぎ活かしていきたいと思います。ご協力いただいた先生方、大学院生の皆さん、本当にありがとうございました。

第33回全国大会・実行委員会
委員長:島田剛(明治大学)


A. 一般口頭発表

B. 企画セッション

C. ラウンドテーブル

D. ブックトーク、プレナリーほか




参加募集「国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座」3月開催(会員・一般)

国連システム元国際公務員日本協会では2022年夏に「国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座」を行い、好評を得ましたので、2023年3月に第2回を開催することにしました。関心のありそうな学生さんに下記情報を流してください。

国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座

第二期参加者募集!

あなたも国連職員を目指しませんか? 国連職員として、平和の構築や世界から貧困をなくすためのSDGsの実現のために働いてみませんか?でも、自分の在籍している大学には国連職員養成講座なんかないし、どうすれば国連で働けるのか全く分かりませんという大学生・大学院生のために、元国連職員が実践講座を開催します。国際関係論とか国際機構論とかいった細かな学問知識ではなく、国連職員の仕事とは何か、どうすれば国連職員になれるのかという実践的な話を、元国連職員と外務省国際機関人事センター室長が経験をもとにお伝えします。

募集対象

原則として日本にある大学の学生で、将来国連で働いてみたいと考えている理系・文系の学生。地方(三大都市圏以外の県)の学生を特に歓迎しますが、大都市圏や海外からの学生も一定程度受け入れます。

募集人数と選考方法

合計30名程度。締め切り後、応募書類で選考する。講義は日本語で行い、英語力は選考の条件としません。若干名の日本語を理解する外国人も受け入れ可能です。

講義日程とプログラム

全部で6回。毎回異なる講師がオンラインで講義60分、質疑応答・討論30分で実施。講義終了後、参加者がそれぞれのランチを取りながら、交流をする場を設けます。日程は、以下のように、90分の講義を午前中に2回、3日間連続して行います。Zoomを利用したオンライン形式。参加者はできる限り6回すべての講義に参加するようにして下さい。

  • 3月27日(月曜)9:00-10:30
    第1回:国連職員への道(JPO制度を中心に)
    講師:山口忠彦
  • 3月27日(月曜)10:40-12:10
    第2回:総務(財務、人事など)に関する国連の仕事
    講師:滝澤三郎
  • 3月28日(火曜)9:00-10:30
    第3回:人道・ジェンダーに関する国連の仕事
    講師:清水康子
  • 3月28日(火曜)10:40-12:10
    第4回:人権に関する国連の仕事
    講師:小野島吾郎
  • 3月29日(水曜)9:00-10:30
    第5回:開発・環境に関する国連の仕事
    講師:箱山富美子・森田宏子・高瀬千賀子
  • 3月29日(水曜)10:40-12:10
    第6回:平和に関する国連の仕事
    講師:井上健

参加費:

無料

応募方法:

2023年3月4日24:00までに、

  1. 略歴(高校以上の学歴とあれば職歴)、
  2. 何に特に関心をもっているのか、
  3. なぜ国連で働きたいのか、
  4. その他伝えたいこと

などをA4で2枚程度にまとめて以下のメールアドレスまでメールで提出すること。応募書類は選考目的以外には使用しません。

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

選考結果発表:

3月11日までにメールで連絡します。参加者には、講義に参加するためのZoomのリンクを送ります


本件にかんするお問い合わせ先

AFICS-J(国連システム元国際公務員日本協会)

  • fhakoyama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



国際シンポジウム「Youth in South Asia」2月11日開催(会員・一般)

来る2月11日(土・祝)にメルボルン大学からCraig Jeffrey先生他をお招きし、下記国際シンポジウムを開催します。

Jeffrey先生は”Timepass: Youth, Class, and the Politics of Waiting in India”(2010, Stanford UP)翻訳書『インド地方都市における教育と階級の再生産―高学歴失業青年のエスノグラフィー』(2014, 明石書店)の著者としても著名です。

またJeffrey先生からのご提案により前日にはプレイベントして、大学院生PD等若手研究者を中心とした研究交流会を開きます。神戸女学院大学を会場に対面のみでの開催となります。
ご関心ご興味のある方は参加登録のうえ、ぜひご参加ください。なお、お近くで南アジア研究をされている大学院生等(テーマは問いません)にもご案内頂けましたら幸いです。

“Youth in South Asia: Strategizing Life and Reshaping the Society”

開催概要

  • 日時:2023年2月11日(土・祝)10:00~17:00
  • 場所:神戸女学院大学(対面開催のみ)
  • 言語:英語
  • 主催:科研B「『不確実性の時代』の南アジアの社会変動ー若者の社会対応を通してー」(21H03715)
  • 詳細:

参加登録(プレイベント共通)

締切:2023年1月20日(金曜)

【プレイベント】

南アジア研究若手研究交流会(Jeffrey先生&Ashraf先生と共に)
(若手以外の方の参加も歓迎です!)

  • 日時:2023年2月10日(金曜)13:20~16:30
  • 場所:神戸女学院大学(対面のみ)

*関西圏外からのJSPS特別研究員以外の大学院生やポスドクの方で交通費補助を要する方は、登録時にご記入ください。


本件にかんするお問い合わせ先

神戸女学院大学文学部
准教授・南出和余

  • minamide [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



オンライン「国際協力キャリア支援セミナー」12月10日開催(会員・一般)

国際協力を仕事にするためには。まずは国際協力業界について語ります

今現在、国際協力キャリアをめざして就職活動をしている大学生および大学院生のあなた。そして、大学のキャリアセンターなどで、就活生を伴走支援しているキャリア支援をしているあなた向けのセミナーです。

あの時に知っておけばよかった。そんな国際協力キャリア形成のポイントを3つにまとめてみました

わたしは2020年以来、200名以上の国際協力業界で働きたい方の個別面談をしてきました。わたしがうかがったお悩みで多かったのは、次の3つに集約されます。

  • ターゲット(業界の範囲)の不明瞭さ(どこまでを国際協力の仕事と考えるのか)
  • 求められる資質(スペック)の高さ(本当に必要なのか、 その攻略方法)
  • 専門性の考え方(中長期的な視野を持つ)

つまり、面談してきた 就活生のほとんどに共通の悩みとしが業界知識へのアクセスに苦労し、自分には専門 分野がないのではと思い、自分の強みを活かせるのかどうかに悩んでいました。その 状態から飛び立つためには、マインドセットを整え、正しい情報へのアクセス方法を 身につけ、自分の能力と強みに気づくことが必要です。

申し込みはこちらからお願いいたします。

開催概要

  • 2022年12月10日(土曜)20:00~21:30
  • ズームによるオンライン開催

わたしがお話をうかがった 方のお悩みで多かったのは、下記の問題でした。それらの課題の傾向と対策について語ります。

プログラム

1.国際協力キャリアについての情報源(ウェブ、一般書籍など)

まず アクセスすべきは、JICAが運営しているPEARTNER()、
開発コンサルティング企業協会のnote()およびYouTube(@ecfa2804)、書籍では「国際協力キャリアガイド
(各年版)」()などがあげられます。それらのチェック
ポイントと、代表的な国際協力と開発学についての教科書を紹介します。

2.国際協力キャリアを考えるにあたってのマインドセット

国際協力に限らず、海外で働くためには、英語に代表される語学の問題、異文化に対する理解、気候も食べ物も違うなかで生活することへの慣れ、なによりも自分たちとは異なる価値観と生活環境で生きている世界の仲間に対する共感と理解がなければ、コミュニケーションをとることや、よい関係性をつくることができません。そのために留意したほうがよいポイントを解説します。

3.現状の国際協力業界のアクターとその特徴

一般に、国際協力業界は、1)国際機関、2)JICA、3)開発コンサルタント、4)国際協力NGO、5)社会的起業家、6)JICA海外協力隊などといわれていますが、果たしてそれだけでしょうか。

わたしは開発コンサルタントとして、日本の政府開発援助のうち、技術協力、無償資金協力、有償資金協力(円借款)、個別専門家、そして国際協力NGOスタッフとして、日本人がおこなっている国際協力のさまざまな現場で働いてきました。

東ティモールの独立にあたってはJICAがおこなった国家計画の立案に参画し、世界銀行や国際機関との援助協調の現場にいあわせたことがあります。 またフィリピンやアフリカでは、実際に地域開発の灌漑施設や道路、給水施設、橋、学校や保健所などのインフラ整備の工事現場にも立ち会ってきました。そこで気がついたことは、現地の人にとって、外国人の援助関係者はどのように映っているのかということです。ここでは、現地の人を基点にした場合の国際協力のアクターについて解説します。

4.どのような能力(専門知識、業界理解など)が必要とされているのか

おそらく、あなたが一番、知りたいところだと思います。参加者のみなさんの質問やお悩み
に答えながら、あなたが伸ばすべき武器とすべき、専門知識などについてインタラクティブに解説します。 5.その他(必要に応じて補足します) この1~5の部分が、業界研究[模擬]セミナーとなります。大体60分ほどを予定しています。なお、この部分のみ録画をさせていただきます。音声ミュート、顔出しなしにご協力ください。

質疑応答

わたしからのインプットの後、参加者の間で、感想などをシェアしていただきます。それを踏まえて質疑応答をおこないます。

大体、30分ほどを予定しています。みなさんのお悩みやかなり突っ込んだ内容についてもできる限りお答えしたいと思います。なお、この部分につきましては、録画しません。顔出しでお願いいたします。

懇親会

21:30の終了後に興味のある人のみ自由に意見交換する場を設けます(自由参加:10時半ごろまで)

【フェイスブックグループによる継続的なフォロー】
国際共創塾では、国際協力のキャリアを歩みたいみなさんだけではなく、それを側面あるいは後ろから支援するキャリア支援者のみなさんが、ざっくばらんに、いろいろな情報交換ができる場をつくることもめざしています。

なお、フェイスブックグループとして、「国際共創塾-グローバルキャリア支援と地域開発」という公開グループを運営しています。こちらでは関連情報の発信と外部のイベントやセミナーの共有をおこなっています。このメンバーになると割引価格が適用されますので、柴田英知にFBの友達申請の上、お気軽にご参加ください。

フェイスブックグループはこちらから

講師プロフィール

★共創コンサルタントによる就活支援

特に国際協力に特化したグローバルキャリア支援をおこなっている柴田英知です。大阪外国語大学でアラビア語を学び、開発コンサルタント会社で東京をベースに、JICAなどの政府開発援助(ODA)の仕事を16年、国際協力NGOで1年働いてきました。 業務経験のある国は、エジプト、ドバイ、エリトリア、ブルキナファソ、イラン、フィリピン、東ティモール、スリランカ、南インドなど、フィリピンには、2004年3月から2008年6月までマニラ事務所の駐在員として赴任していました。

経験が長い国は、エジプト、3案件、足掛け5件、東ティモール3案件、足掛け5件、フィリピンはさまざまな仕事で足掛け8年ほどです。国づくり(国家計画の立案)からコミュニティ開発まで政府開発援助と国際協力NGOで幅広い業務経験があります。 開発途上国の相手国政府はもとより、JICAや JETRO、外務省、大使館など日本の援助関係機関、さらには世銀などの国際機関、先進国や開発途上国のNGOに加えて、日本の商社、メーカー、コントラクター(建設業者)なども一緒に仕事をしています。 2020年より就活生向けのOB訪問サイトマッチャ―などで、国際協力で働きたい人たちの個別面談を200名以上おこなってきました。

申し込み先URL

 


本件にかんするお問い合わせ先

国際共創塾・柴田英知

  • bxf00517 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



「NHK 番組アーカイブス学術利用トライアル」2023 年度前期募集

NHKでは、NHKアーカイブスの保存番組を研究用に利用していただくトライアルへの参加研究者を募集しています。

公募で採択された研究者は、東京では NHK 放送博物館・川口 NHK アーカイブス、大阪では NHK 大阪放送局の専用閲覧室で、ご希望の番組を研究用に閲覧することが出来ます。

  • 2023 年度前期閲覧期間:2023 年 4 月~9 月 (1 組 30 日間まで利用可)
    ※コロナ感染防止のため閲覧が延期・停止になる場合があります。
  • 募集対象者:大学または高等専門学校、公的研究所に所属する職員・研究者、大学院生
  • 募集締め切り:2023 年 1月 31日
  • 募集研究数:放送博物館(6組)・川口NHK アーカイブス(4組)・大阪放送局(2組)

本件にかんするお問い合わせ先

応募要項等詳しくは、以下のホームページをご覧ください。




募集:開発コンサルタント講師派遣受け入れ大学(会員・一般)

一般社団法人 海外コンサルタンツ協会(通称:ECFAエクファ)では、ODAプロジェクトの現場の最前線で働く「開発コンサルタント」の役割と活動について正しく理解していただくため、大学等へ講師(開発コンサルタント等)を派遣する活動を行っています。オンラインでも実施していますので、お気軽にご相談ください。

概要

  • 開催日程:できるだけご要望に応じて調整いたします。候補日をいくつかお願いします。
  • 対象:「開発コンサルタント」に関心のある大学生・大学院生等
  • 会場:大学内を想定しています。
  • 人数:既存の講義(50名以上)を想定していますが、少人数の場合はご相談ください。その他、公開セミナー、課外活動、サークル活動などは別途ご相談ください。
  • 費用:外部講師に対して謝金・交通費等の規程がありましたらご支援いただければ幸いです。難しい場合はお気軽にご相談ください。当協会にて負担いたします。
  • テーマ:「開発コンサルタントの概要」「開発コンサルタントの役割」「開発コンサルタントによるプロジェクト事例紹介」「開発コンサルタントのキャリアパス」などご要望に応じて、60分~90分(質疑応答含め)を目安にお話します。ワークショップ形式等ご希望があればその旨ご相談ください。
  • 講師:ODA業務に携わっている会員企業の開発コンサルタントの方やECFA事務局スタッフを内容に応じて調整・派遣します。
  • 申込:早めの申し込みを歓迎しますが、遅くとも開催予定の1か月前を目処に河野宛にメールでご連絡ください。

本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人海外コンサルタンツ協会
担当:河野(こうの)

  • E-mail:kono [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



2022年度・活動報告『ODAの歴史と未来』研究部会(2022年11月)

2021年10月~2022年9月

「ODAの歴史と未来」研究部会の2022年度の活動は、下記のように四回の研究会の実施と、オーラルヒストリー調査を実施したことである。

2022年初回の研究会は、1月29日に二部構成で行なった。第一部では、日下部尚徳会員(立教大学)が「対バングラデシュ援助の表象」というテーマで報告し、第二部では、藏本龍介会員(東京大学)が「土木」、そして橋本憲幸会員(山梨県立大学)が「人づくり」を取り上げ、「英語にしにくい日本の開発概念」の研究成果を共有した。

二回目の研究会は3月26日に実施した。第1部・小林誉明会員の報告、第2部・英語にしにくい日本の開発概念から近江加奈子会員の「内発的発展」、松原直輝会員「現場主義」であった。いずれも日本的な開発概念と実践の在り方に迫る報告であったが、そもそも「日本的」とは何であるかの一層掘り下げた研究が必要とのコメントがあった。

三回目の研究会は、7月16日に開催され、は汪牧云会員、鄭会員、近江加奈子会員が共同で「日・中・韓の現場からみるODAの歴史と未来——農村開発の経験輸出を中心に」を行い、第二部では松原直輝会員が「現場主義の理想と現実」と題してJICAの現場主義に関する行政学的な研究成果を報告した。

2022年度の最終回は、9月17日に実施し、「部会活動の到達点とこれからの課題」と題して小林誉明会員、佐藤仁会員、大山貴稔会員の報告で総まとめを行った。また部会のスピンオフ企画として下村恭民氏、廣野良吉氏、星昌子氏らのオーラルヒストリーもとりまとめに成功し、充実した部会活動を行うことができた。いずれの会もオンラインで15名前後の参加者を得て3時間ほど熱心に議論に参加した。何よりもベテランから大学院生まで、幅広い層の参加者を得られたことがよかった。

『ODAの歴史と未来』研究部会
代表:佐藤仁(東京大学)




2022年度・活動報告『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2022年11月)

初年度である2022年度は、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」に関して、合計で3回(3月、5月、8月)の研究部会を開催しました。さまざまな分野の研究者によって、「ものづくり」を考察する多角的な切り口が提示され、ものづくり研究のすそ野の広がりを感じる1年となりました。

第1回研究会

第1回目の研究会では、研究部会代表者の高橋基樹会員より本研究会の目的が説明されました。その後、以下の4名に研究成果を発表していただきました。労働研究や教育研究など、多角的な視点から途上国の「ものづくり」を考察することができ、発表後の議論も大いに盛り上がりました。

  • 「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」(神公明会員)
  • 「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」(町北朋洋氏)
  • 「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」(朴聖恩会員)
  • 「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」(松本愛果会員)
  • 「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成 -ものと人の関係に着目して-」(山崎裕次郎会員)

第2回研究会

第2回目の研究会では、牛久晴香さんより、ガーナのボルガバスケット産業の概要およびデザインや技術の考案に関わる主体、技術の地域分化の要因について発表をいただきました。また、黒川基裕会員より、ミャンマーで現在進行中のBOPビジネスのものづくりプロジェクトについて、Field-based Approachの採用とその効果、開発経済学の視点からのものづくり研究の考察、BOPビジネスのモデリングなど幅広い見地から報告がありました。

  • 「ガーナのボルガバスケット産業におけるかご編み技術の共有とその広がり―産地内の地域分化に着目して」(牛久晴香会員)
  • 「BOPビジネスの実現に向けたField-based approachの実践」 (黒川基裕会員)

第3回研究会

第3回目の研究会では、前田夢子さんより徒弟制の変容が生じている現在の沖縄県窯業界およびセネガルのグラフィティ制作に携わる若者の日常と実践について報告いただきました。また、JICAの専門員として途上国の民間セクター開発支援に携わっておられる本間徹さんより、現在の4つの潮流(GVC、I4.0、コロナ、環境社会)時代における産業開発支援とものづくりの今後の示唆について報告がありました。

  • 「沖縄県の焼物業界における職人・見習いの日常と実践: セネガルのグラフィティ集団を射程に入れて」(前田夢子氏)
  • 「激動する4つの潮流:ポストコロナ時代の産業開発支援とものづくり」(本間徹会員)

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




オープンセミナー:『MeW Project ―月経をとりまく諸問題に光をあてる試み』10月31日開催(会員・一般)

東洋大学国際共生社会研究センターでは、SDGsをテーマにCeSDeS Open Seminar on SDGsを定期的に開催しています。次回は、『「MeW Project」―月経をとりまく諸問題に光をあてる試み』をテーマに以下の要領で開催します。

「MeW(ミュー):Menstrual Wellbeing by/in Social Design」とは、社会のデザインを見直すことで月経をとりまく諸問題を明らかにし、その解決を通してよりよい未来を目指していくというものです。具体的には《生理用品の無償提供用のディスペンサーがトイレ内にあること》によってもたらされる変化を記録し、また、この変化をきっかけに、当事者たちがこれまで誰にも開示することがなかった苦痛や不満などの声を発する機会を創出すること、そして、そうした声をすくいあげて分析することを通して、月経をとりまく諸問題をさまざまな角度から明らかにすることを目的としています。

開催概要

  • 日時:2022年10月31日 (月曜)14:45~16:15
  • 場所:東洋大学白山キャンパス8号館8601号室(文京区白山5-28-20)

※対面(事前申し込み制)とオンラインのハイブリッド開催
東洋大学関係者以外で対面参加をご希望の場合:
事前にお名前と所属をページ下部のメールアドレスまでお知らせください。
オンライン参加の場合、以下のURLから登録の上、ご参加ください。

プログラム

「月経をめぐる今日的なグローバルなムーブメント」
杉田映理(センター客員研究員、大阪大学大学院人間科学研究科)

「進化したサニタリーボックスと生理用品の廃棄への問題提起」
西島一男(日本カルミック)

「大阪大学におけるMeWプロジェクト」
小塩若菜(大阪大学大学院人間科学研究科大学院生)

「東洋大学におけるMewプロジェクトの始動」
中村香子(センター研究員、東洋大学国際学部)
坂本楓(東洋大学国際学部4年生)


本件にかんするお問い合わせ先

東洋大学国際共生社会研究センター

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



募集:2023年度・笹川科学研究助成

主な募集条件

学術研究部門

  • 大学院生等(修士課程・博士課程)
  • 35歳以下の任期付き雇用の若手研究者
  • ただし、「海に関係する研究」は重点テーマとして支援し、雇用形態は問わない
  • 助成額は、1件150万円を限度とする

実践研究部門

  • 学校・NPO職員等に所属している方
  • 博物館、図書館等の生涯学習施設に所属している学芸員・司書等
  • 年齢、雇用形態は問わない
  • 助成額は、1件50万円を限度とする

申請期間

2022年9月15日 から 2022年10月17日 23:59 まで

申請方法

Webからの申請となります。詳細は本会Webサイトをご確認下さい。


本件にかんするお問い合わせ先

公益財団法人日本科学協会 笹川科学研究助成係

  • E-mail:josei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-6229-5365



【重要】会員種別の継続・変更の手続き(9月25日締切)

平素より国際開発学会の活動に多大なるご協力を賜り、深く感謝申し上げます。以下の内容を最後までお読みいただき、該当する会員におかれましては、期日までに必ず手続きをお済ませください。

2023年度の会員種別の継続・変更

学生会員の方へ

国際開発学会は毎年9月に年度が終了し、10月より新年度が始まります。

次年度も引き続き、学生会員の資格継続を希望する会員は、2022年10月1日以降も学生であることが証明できる
書類(有効期限が記載された学生証のコピー等)を、以下のURLにアップロードして頂きますようお願いいたします。

[JASID] 学生資格の確認/ Verification of Student Member Eligibility

※回答期限:2022年9月25日(日曜)

(1)すでに2022年10月1日以降も学生であることが明記された学生証のコピーを会員マイページにアップロードされている学生会員の方は、このデータ提出は不要となります。

(2)9月中に学籍を証明する書類の準備が整わない場合は、回答期限までに、本部事務局へ必ずご連絡ください。ご連絡がないままですと、10月1日以降は会員種別が自動的に正会員に切替となります。正会員の年会費は、1万0000円となります。

(3)次年度より正会員に変更予定の方は、会員マイページより、学生証ファイルの削除と所属先情報の更新をお願いします。

正会員から学生会員への種別変更を希望の方

現在正会員で、2023年度から学生会員への種別変更を希望される方は、本部事務局までお問い合わせください。折り返し、審査についてのご案内をさせて頂きます。なお、社会人学生については、正会員として在籍して頂くことをお願いしています。

所属先・住所等の更新のお願い

会員情報に変更がある方は、会員マイページにご登録中の情報の更新をお願いいたします。とくに、所属機関の変更に伴ってメールアドレスが使用できなくなることのないようお願いいたします。所属機関や郵便物送付先住所のほか、研究分野等についても、最新の内容にアップデートをお願いします。

なお、所属機関の変更によって現在のメールアドレスが使用できなくなる場合は、事前に、ログイン用のメールアドレスを別のアドレスに変更してください。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局




オンライン「日本・アフリカ大学教育交流ミーティング2022-TICAD8サイドイベント」8月24日開催(会員・一般)

京都大学は東京外国語大学とともに、文部科学省が支援する「大学の世界展開力強化事業―アフリカ諸国との大学間交流形成支援―」の実施大学として2020年度から事業を実施しています。

当事業の一環として「日本アフリカ大学教育交流の新地平-日本・アフリカ大学教育交流ミーティング2022-TICADⅧサイドイベント」を8月24日(水曜)の16時~19時30分に開催いたします。

同ミーティングは、アフリカ各地域の主要な大学と日本の大学が、相互に親睦を深め、教育に関する情報を共有し、さらに実際の教育交流を進めることを目的としております。第1部は日本語で、第2部は英語で実施する予定です。皆様のご参加をお待ちしておりま す(第1部、第2部の一部のみの参加も問題ございません)。 ご不明の点がございましたら、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

【世界展開力】 日本アフリカ大学教育交流の新地平-日本・アフリカ大学教育交流ミーティング2022-(TICADⅧサイドイベント)

  • 日時:2022年8月24日(水曜)16:00-19:30(日本時間)
  • 言語:日本語・英語(通訳なし)
  • 開催方法:オンライン(ZOOM)
  • 参加対象:大学教職員、学部生・大学院生、一般
  • プログラム詳細:

参加申請フォーム

(締め切り:8月22日)


本件にかんするお問い合わせ先

大学の世界展開力強化事業(アフリカ)京都大学プラットフォーム事務局

  • iafp-office [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2022年8月)

活動報告

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」では、2022年5月28日(土曜)に第2回研究部会を開催いたしました。前回に引き続き、Zoomとオンサイトのハイブリッド形式で開催し、当日は国内外から20名を超える参加者がありました。

第2回目は、ガーナのボルガタンガ地方で生産される手編みのかごバッグ(ボルガ・バスケット)産業について研究を行っている牛久晴香会員、BOPビジネスとものづくりについての研究をされている黒川基裕会員に報告をいただきました。

牛久会員からはボルガ・バスケット産業の概要およびデザインや技術の考案に関わる主体やキーパーソン、さらに、かご編み技術の地域分化の要因について、これまでの長期にわたる詳細な現地調査を通じた考察が示されました。

参加者からは、かごバッグのマーケット側についてのニーズ、開発援助機関の役割についてなどの質問がありました。

黒川会員からは、ミャンマーで現在進行中のBOPビジネスのものづくりプロジェクトについて、Field-based Approachの採用とその効果、開発経済学の視点からのものづくり研究の考察、BOPビジネスのモデリングなど幅広い見地から報告がありました。

とくに、質疑応答を通じて、消費者の開発課題を解決することを前提としてBOPを見ていくことの重要性や、BOPビジネスの難しさと可能性について意見が表明されるとともに、黒川会員が研究と教育を兼ねてプロジェクトを進めていることについて高い評価の声が上がりました。

二つの報告ともに質疑応答での議論が絶えず、参加者も勉強になると同時に、大変刺激を受けた研究会となりました。
 
本研究部会の概要は以下の通りです。

  • 開催日時:2022年5月28日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室)のハイブリッド。

プログラム

  • 15:00-15:05 開会
    高橋基樹(京都大学 アジア・アフリカ地域研究研究科 教授)
  • 15:05-15:10 自己紹介
  • 15:10-16:10 「ガーナのボルガバスケット産業におけるかご編み技術の共有とその広がり―産地内の地域分化に着目して」
    牛久晴香(北海学園大学 経済学部地域経済学科 准教授)
  • 16:10-16:20 休憩
  • 16:20-17:20 「BOPビジネスの実現に向けたField-based approachの実践」
    黒川基裕(高崎経済大学 地域政策学部地域政策学科 教授)
  • 17:20-17:30 閉会、次回の予定

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




【重要】全国大会での発表を目指して入会される方へ

国際開発学会では、全国大会・春季大会で発表申し込みを行えるのは会員(正会員、学生会員、名誉会員)のみとなっております。ここでの発表申し込みには、個人での口頭・ポスター発表及び企画セッション・ラウンドテーブルの提案が含まれます。

2022年12月3・4日に開催される、第33回全国大会で発表することを目指して新規に入会される場合は、下記の日程にご留意のうえ、期日までにオンラインシステム上での手続きをお済ませいただくようにお願いいたします。

全国大会発表希望者向け・入会申請スケジュール

1.7月20日(水曜)までに、新規入会申込の完了(*申請に必要な書類、手順は、入会案内 を参照)

(常任理事会を開催し、入会申請の審査・承認を行います。入会承認後、初年度会費の請求書が発行されます)

2.7月31日(日曜)までに、初年度会費支払を完了(申し込みが常任理事会で受理され、会費が支払われたことが確認されるまで、大会発表申し込みサイトにアクセスできる会員IDが発行されません)

3.8月1日(月曜)から、大会発表申し込みサイトにて、発表申し込みスタート(第33回大会のウェブサイトの指示に従って、発表申し込みを行ってください)

 




横浜支部・オンライン「博士論文作成の経験をめぐる座談会 」7月2日開催(会員・一般)

国際開発学会横浜支部は、「若手による開発研究」研究部会と共催し、博士後期課程卒業者を対象にした「博士論文作成の経験をめぐる座談会」を行います。

これは、将来的に博士課程に進む予定がある方と現在博士論文の作成を考えている方を主要な対象に、先輩方より博士論文の思考プロセスやスケジュール、現地調査、学術誌への論文投稿、メンタル管理、研究調査や生活費の入手に関するご経験をめぐってお話になります。発表者と参加者の交流を通じて、参加者は現在直面している課題をどのように取り組むかについて発表者よりのご助言をいただく機会もあります。

ご多忙な時期とはなりますが、ご都合が合う会員・一般の方々は、是非ともご参加下さいますと幸いです。

開催概要

  • 日時: 2022年7月2日(土曜)13:00~15:30
  • 方法:オンライン(Zoomミーティング)

講演者

  • 余乾生さん(横浜国立大学修了)
  • 宮川慎司さん (東京大学修了)

スケジュール

講演者一人当たりの時間:75分(発表時間45分+討論時間30分)

13:00-13:45
余乾生さんのご発表(日本語による発表)

研究テーマ
「高齢者権益保障法における介護保障:立法府解釈からみる家族と国・社会の役割」

発表概要
余乾生さんのご発表では、博士論文の問題意識が生み出されたプロセス、博士論文の問題意識から提出するまでのスケジュール(ジグザグな博士論文の進捗状況)などの内容を中心に、博士論文を作成するにあたっての経験と教訓、また後輩たちに伝えたいについてお話しになります。

13:45-14:15
参加者よりの質問応答

14:15-15:30
宮川慎司さんのご発表 (日本語による発表)

研究テーマ:
「マニラ首都圏の貧困層に関するインフォーマリティと制度」

発表概要:
宮川慎司さんのご発表では、博士論文の研究内容というよりは、修士課程と博士課程を合わせた8年強をどのように過ごしたかを中心に説明していただきます。具体的にいうと、どのように研究調査や生活費を得ていたか、どのようなスケジュールで現地調査や論文執筆を行ったか、学術誌への論文投稿をどのように行ったか、将来のキャリア展望をどのように考えて行動したか、どのようにメンタル管理をしたかなど、大学院生時代をサバイブした方法ついて詳しくお話になります。

15:00-15:30 
参加者よりの質問応答

発表用の資料

  1. 報告者の博士論文の内容についてのレコーディングを、開催日の一週間前に事前に申し込んだ参加者に配布する
  2. 当日の座談会の配布資料なし

お申し込み方法

  • 申込締切日:2022年6月25日(土曜)まで
  • 以下の事項をご確認の上お申し込みください。
    ※当日の録画・録音は固くお断りいたします。
    ※事前に配布する資料の転用は固くお断りいたします。
    ※参加の際は、お申し込み時のお名前で入室してください。

以下の項目をご記入のうえ、お問い合わせメールアドレスまでお申し込みください。

  • お名前(フリガナ)
  • ご所属
  • 連絡先メールアドレス
  • 当日連絡が取れる電話番号

本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・横浜支部
石暁宇

  • shixiaoyu319 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)