開催案内「PCM手法を使った実践ワークショップ:アフリカのマラウイの子どもたちに教育のチャンスを届けるには??」9月14日開催(会員・一般)

「グローカルな仲間たち」では、国際協力(村落開発・貧困削減)と日本の地域づくり(地方創生・地域再生)との両テーマで活躍できる「グローカル」人財育成の研修を実施してきています。

今回は、マラウイの伝統的な布である「チテンジ」を活用した教育プロジェクトを展開しているChitenducation(チテンデュケーション)というNPOと共同で、国際協力のプロジェクト計画法を学ぶ研修を開催します。

開催概要

タイトル

「PCM手法を使った実践ワークショップ:アフリカのマラウイの子どもたちに教育のチャンスを届けるには?」

日程

  • 2024年9月14日(土曜)10:00~17:00

昼食休憩あり(昼食は各自でご用意ください)。

イベント終了後フランクな懇親会も予定しております。参加にご興味がある方は申し込みフォームの設問にチェックを入れてください。

場所

JICA地球ひろば / オンライン [Zoom]

※JR市ヶ谷駅より徒歩12分(東京都新宿区市谷本村町10-5 JICA市ヶ谷ビル内)
※オンライン参加希望者:参加URLはお申込後にメールにてご連絡いたします。

主な内容

本イベントではPCM手法を使って様々な意見交換をしながら、改めてアフリカ布を使った教育の可能性を探っていきたいと思っております!

また、ワークショップでまとめたアイデアをマラウイ現地の関係者に発表しフィードバックをもらう交流の時間も予定しております。

当日のワークショップの運営はファシリテーターがガイドしますので、PCM手法初心者の方もお気軽にご参加ください。

こんな方にお勧め!

  • 国際協力に興味がある、国際協力で活用できる手法を学んでみたい
  • アフリカのことを知りたい!(アフリカ初心者、マラウイを知らない人大歓迎です!!)
  • 幼児教育に関心がある
  • ボランティアやプロボノに興味がある
  • モノづくりや地域おこしに興味がある
  • 社会課題解決を目指すプロジェクトに興味がある!

参加費

1,000円

※参加者の方にはワークショップで使用するアフリカ布(チテンジ)のイメージが分かるように、リアルなチテンジの端切れをお配りします。オンライン参加者には郵送する予定です。

主催

NPO法人Chitenducation(チテンデュケーション)・協力: グローカルな仲間たち

申し込み方法

以下のURLよりお申込みください。


本件にかんするお問い合わせ先

三好崇弘(グローカルな仲間たち)
ご質問等は以下のメールアドレスにて受け付けています。

  • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『移住と開発』研究部会(2024年8月)

『移住と開発』研究部会:活動報告

本研究部会は2024年度において、全国大会でのラウンドテーブルと2回の研究会を開催した。

回を重ねるごとに賛同人が増え、2024年7月8日時点で27名になった。

 

全国大会ラウンドテーブル

『外国人技能実習制度を通じた技能移転をめぐる課題と可能性:ベトナムにおける社会的ニーズと技能実習生の生活戦略』

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00-17:00
  • 形式:対面
  • 会場:上智大学四谷キャンパス紀尾井坂ビルB104
  • 参加者:約30名

プログラム

司会:生方 史数(岡山大学)

趣旨説明

二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

報告1:「ベトナム⼈元技能実習⽣における技能移転と将来設計」

加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

報告2:「ベトナムの農業をめぐる社会的ニーズと技能実習生の生活戦略としての技能移転」

二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

報告3:「介護分野におけるベトナムへの技能移転の課題と可能性――『移民力』の視点から」

比留間 洋一(静岡大学)

討論:

佐藤 寛(開発社会学舎)

本ラウンドテーブルのねらいは、①日本が、過疎地域が「選ばれ続ける」ために、「技能移転」による魅力増進の可能性を探ること、②技能実習生の最大の送出国であるベトナムに着目し、当該国社会や技能実習生当人のニーズを検討すること、および③「技能移転」の実現に向けたプロセスや現状をふまえつつ、今後の課題を考察することにあった。報告者3人は、ベトナムにおける調査をもとに、その成果をそれぞれ論じた。

この全国大会が開催されたころ、政府の有識者会議より、近日中に、技能実習制度に代わる新しい外国人労働者の受け入れ制度の概要が示される予定であることが発表されたばかりであった。そうしたタイミングでもあったことから、活発な議論が展開され、多くの示唆を得ることになった。

とりわけ、「技能移転を考える際に、技能実習生の送り出し社会のコミュニティ開発を視野に入れるべきではないか」という指摘は貴重であり、本研究会がこれから取り組むべきテーマのひとつとなった。今後、新制度の方向性を睨みつつ、日本社会が外国人労働者から「選ばれ続ける」ための道筋を検討していきたい。

第1回研究会

日本への移住経験は発展途上国社会にどのような影響を及ぼす(した)のか

  • 日時:2024年2月12日(月・祝)14:00-16:30
  • 方法:対面を中心としたZoomとのハイブリット形式
  • 会場:武庫川女子大学 中央キャンパス 中央図書館棟6階 C601教室
  • 参加者数:対面23名、オンライン約50名

プログラム

「移住と開発」研究部会 研究会の始動にあたって

生方 史数(岡山大学)

報告1:「『失踪』からのベトナムへの帰還―元技能実習生における主体性」

加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

報告2:「介護労働に従事する移住女性の生活戦略」

二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

モデレーター:

佐藤 寛(開発社会学舎)

ベトナム人技能実習生の「失踪」が社会課題として盛んに報道されている。しかし、「失踪」者がいかなる「主体性」をもって日本で生きていたのか、また、ベトナムに帰国後、どのように生活を営んでいるのかは十分に明らかにされていない。加藤報告は、2023年8-9月にベトナムで行ったインタビューの結果を元に、元ベトナム人技能実習生がたどった軌跡を「主体性」の観点から検討した。

再生産労働の国際分業とともに国際移動の女性化が進行するなか、日本国内の急速な少子高齢化と労働力不足の深刻化を背景に、介護施設で就労する外国人女性が増加の一途を辿っている。

二階堂報告では、中国地方の介護施設で働くミャンマー人女性に焦点を当てて、彼女たちがどのような動機から日本での就労を選択したのか、また、この経験をどのように捉え、いかなる将来展望を抱いているのかについて検討した。

参加者アンケート(n=18)では、参加者に5段階評価で感想を問うた。非常によかった(11名)、よかった(6名)、ふつう(1名)という結果であった。自由記述からは「いろんな角度からものを見ることの大切さと面白さと可能性を感じました」、「『開発』そのものについても考えて良いのではないか」といった声が聞かれた。後者の声について、今後の研究に活かしていく。

第2回研究会

中国から日本への労働移動の教訓を探る

  • 日時:2024年6月2日(日曜)14:30-16:30
  • 方法:対面を中心としたZoomとのハイブリット形式
  • 会場:JICA東京
  • 参加者数:対面20名、オンライン約25名

プログラム

概要紹介

石丸大輝(国際協力機構 東・中央アジア部 東アジア課)

結果報告

荒木 憲(アイ・シー・ネット株式会社)

モデレーター

佐藤 寛(開発社会学舎)

中国から日本への労働移動には長年の蓄積があり、就業形態の中心は技能実習から技人国等に移行し、定住化が進むなど多様化している。ベトナム等からの受入れにも、同様の変化の兆しが見られる。そこで、中国から日本への労働移動の変遷や現状、好事例を収集し、他国からの人材受入れ支援に資する教訓の抽出を試みた。

なお、諸外国(韓国、ベトナム、フィリピン等)から中国への労働移動についても調べており、中国の受入国としての側面についても併せて紹介した。

参加者アンケート(n=15)では、参加者に5段階評価で感想を問うた。非常によかった(12名)、よかった(3名)という結果であった。参加者からは「設計のしっかりした立派な調査で大変勉強になりました」、「理論的な背景と仮説の議論をもっと強調してもいいのではないか」という声も聞かれた。後者の声は、当初、私たちが研究部会2年目(2024年10月から)に計画している内容とも合致しており、方向性を確認する機会ともなった。


『移住と開発』研究部会
代表:加藤 丈太郎(武庫川女子大学)




『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2024年8月)

2024年度活動報告書

研究部会活動概要

2024年度においては、本部会の3年度として、今まで2年間に、外部講師を招聘して実施した研究部会セミナーでのディスカッションを継続し、本テーマにかかる研究や最近の動向について研究部会メンバーで意見交換をしてきた。有志の研究部会メンバーによる本テーマに関連する研究における成果発表を、国際開発学会第34回全国大会、および国際開発学会第25回春季大会において実施した。また、引き続き外部講師を招聘してのリサーチセミナーを開催している。

2023年11月 国際開発学会第34回全国大会での研究部会メンバーによる研究発表

Maria Kristina G. Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai(Tsuda University)”The Nexus of Tourism and Environment: A Multidimensional Examination of Local Perceptions within Pagsanjan and Cavinti, Laguna”

2023年11月〜2024年1月

  • 3年目活動計画打ち合わせ
  • 国際開発学会春季大会における発表者募集

2024年2月〜2024年3月

  • 研究会の講師の選定、コーディネーション
  • 国際開発学会春季大会における発表者によるAbstract提出

2024年3月

研究会/オンラインリサーチセミナーおよびリサーチミーティング

  • Date & Time: Tuesday, March 19th, 2024 from 13:00 to 15:00. JST, GMT +9
  • Speaker: Professor Vella Atienza, Associate Professor, College of Public Affairs and Development (CPAf) University of the Philippines Los Baños (UPLB)
  • Title: Solid Waste Management in the Philippines: Challenges and Opportunities

リサーチミーティング

研究メンバーの今年度の研究計画、および意見交換

2024年4月〜2024年5月

研究メンバー報告論文を用意、大会実行委員会に提出
今年度のオープンリサーチセミナーを企画、講師選定、コーディネーション

2024年6月

国際開発学会第25回春季大会で研究部会メンバー研究発表
Octasiano Miguel Valerio Mendoza (Universitat Ramon Llull) “Shaping societal attitudes towards the impoverished: the role of aporophobia indicators”

2024年8月以下の2024年度オープンオンラインリサーチセミナーを開催予定

2024 Online Research seminar by “Innovation and Development for Solving Social Problems”, JASID

  • Date August 3rd, 2024
  • Time: 14:00-15:30 (GMT +9)
  • Speaker: Dr. Qianfei Shu, Associate Professor, College of Foreign Studies, Kansai Gaidai University
  • Title: Effect of Special Economic Zones on Innovation: Evidence from Chinese High and New Technology Firms in the Pearl River Delta”

Break 15:30-15:50 (GMT + 9)

Time:15:50 to 17:20 (GMT +9)

  • Speaker: Dr. Grace Gonzalez, Associate Professor, College of Foreign Studies, Kansai Gaidai University
  • Title: Public Economics and Mega-Events in Japan: The cases of Tokyo 2020-2021 and Osaka 2025

Facilitator: Naoko Shinkai, Professor, Tsuda University

Language: English


『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




『社会的連帯経済』研究部会(2024年2月)

報告

3年目(2023年10月から2024年6月)今年度の予定と中間的報告

  • 引き続き、公開研究会を開催していく。
  • 関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流を深めていく。

1年目<終了>:

公開研究会として開催した。

2年目<終了>:

2022年12月研究大会にて、プレ企画として国際会合(ILO、連合の協力)を連合会館にて開催するとともに、研究大会では企画セッション(ラウンドテーブル)を開催した。

3年目<今年度>:

関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流によって、社会的連帯経済の新潮流を学会内とともに学会外へも発信していく予定。

社会的連帯経済(SSE)は、国際的な関心の高まりを受けて国内でも動きが活発化してきている。連携・協力としては、当初からソリダリダード・ジャパンや法政大学大学院・連帯社会インスティテュートなど関係団体との関係を強化してきた。

国内では、ほかに協同総合研究所、生協総合研究所、協同組合連携機構、日本協同組合学会などとの交流があり、国際的には国連の動きとりわけILOやUNRISDなどとの協力などによる展開もできつつある。年度にまたがった企画として、9月、10月は、国際動向に焦点を当てて公開研究会を行なった。

以下、前半は国際的動向をテーマに公開研究会(9月、10月)、その後は多分野にまたがったSSE展開として、他団体との連携、共催企画にて公開研究会に取り組んだ。

前半

公開研究会:9月25日(月曜)17時~19時 オンラインzoom

「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」

前回9/5特別公開セミナーで「UNRISD(国連社会開発研究所)によるSSE(社会的連帯経済)関連の活動と最新情報」をテーマに、Ilcheong Yi さん(UNRISD)から大変有意義な報告をして頂いた。

世界的にSSEが認知され重要度が高まる中で、日本で認知度が低い点が指摘されたのだった。日本は、協同組合、NPO、社会開発活動が世界的にも活発であるにも関わらず、それらを統合する社会的連帯経済の視点が弱い理由は、何故なのだろうか?

この問題の背景を考察しつつ、「社会的連帯経済の国際的制度化と日本の課題」をテーマに栗本 昭(日本協同組合連携機構、JCA)氏より、長年のご活動と国際的ネットワークの経験から、課題克服のために何が必要で何をすべきについて、お話を伺った。

また協同組合と社会的連帯経済を長年研究してきた富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏に、コメンテーターをお願いした。

<プログラム>

報告:「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」栗本 昭 氏

  • コメント:富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏からコメント、その後、全体討論・質疑を行った。
  • 司会進行:古沢広祐(SSE研究部会代表)

<報告者、コメンテーターの紹介、資料>

栗本昭(くりもと あきら)氏

日本協同組合連携機構(JCA)
(2015~2020年 法政大学大学院・連帯社会インスティテュート教授)
(2012年より国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋調査委員会委員長)

著書・論文・報告など:
  • 「持続可能な社会実現に貢献する協同組合」(栗本 昭、JAcom,2020)
  • 持続可能な社会実現に貢献する協同組合 栗本 昭・連帯社会研究交流センター特別参与
    「労働組合と協同組合の連携に関する世界の動向」:栗本 昭(2020)
  • 「協同組合の連帯経済へのアプローチ」(栗本 昭)2007年、西川 潤 編著『連帯経済 グローバリゼーションへの対案』第6章
富沢賢治(とみざわ けんじ)氏

一橋大学名誉教授、協同総合研究所副理事長。

詳細は「富沢賢治のホームページ」参照()
参考資料「社会的連帯経済とはなにか 協同組合運動の新理念」

公開研究会:10月23日17時~19時 (zoomオンライン開催)

報告テーマ:「 社会的企業/社会的投資とサステナブルな社会形成 ~ARUNの実践から 」
功能 聡子 氏(ARUN Seed代表理事、SSE研究部会メンバー)

YouTubeアーカイブ公開:

ARUN合同会社代表/特定非営利活動法人ARUN Seed代表理事/創設者、功能 聡子様から、社会的企業、社会的投資に関して、ARUNのご経験や、背景・現状・可能性についてご報告いただいた。

  • コメンテーター:佐藤 寛 氏(開発社会学舎主宰)
  • 司会:古沢広祐(SSE研究部会代表)

援助依存からの脱却へ、カンボジアの社会的企業に投資(2009)以来、ARUNは、「地球上のどこに生まれた人も、ひとりひとりの才能を発揮できる社会」の実現を目指して、人々のエンパワーメントと持続可能な社会の構築に取組んできた。 「ARUNの活動の二つの柱は、起業家の支援を通じて社会課題の解決を目指す社会的投資の実践と、社会的投資への理解を深め、起業家と支援者を繋ぎ、共に社会課題の解決に取り組んでいくコミュニティの形成。 お金はビジネスを進めたり応援したりするためのツール、「社会的投資」は、私たちが望む未来へ一票を投じること、社会に参加する新しい方法です。」(ARUNサイトより)
*ARUN合同会社/特定非営利活動法人ARUN Seed()

<後半、学会内の他の研究部会と合同ないし共催>

「倫理的食農システムと農村発展」研究部会

主催の研究会にメンバーの重なりから合同にて参加した。

  • 日時:2024年1月26日(金曜)午後3時~5時、zoom開催
  • 講師:花谷まゆ さん(コラコラ事務局・縁の下の力持ち係、農業者「花谷農園」)
  • テーマ:「さんごにやさしい八重山ローカル認証・コラコラ(coral collabo)」

「今治市の食農政策と地域形成の特徴」3月27日開催(会員・一般)zoom開催

  • 日時:2024年3月27日(水曜)午後1時半~3時半

「倫理的食農システムと農村発展」研究部会主催と「社会的連帯経済」研究部会の共催で開催。

2023年8月に実施した愛媛県今治市への視察をベースに、地域社会に根ざす食農政策について議論した。話題提供:池上甲一(近畿大学名誉教授)、視察ツアーに参加したメンバーから補足説明・コメント、議論した。

<後半、学会外の他団体と共催企画で公開回研究会を開催>

適正技術・公開フォーラム『 資本主義の〈先〉の世界 ― 理論と実践 』(共催協力)

  • 2024年3月9日(土曜) 14:00~16:30  (zoomオンライン開催)

報告1:『資本主義の〈その先〉へ-真の〈普遍性〉をめざして』

講師: 大澤真幸氏(社会学者)

報告2:『インドネシアにおける革新的協同組合の創設と運営 - 民主的かつ主流足りうる事業体創生の試み』

講師:田中直(適正技術フォーラム共同代表

みんなのSDGs・SSE研究部会/共催セミナー:「SDGs:農と食に見る社会的連帯経済」

  • 2024年3月26日(火曜)18:30 ~ 20:30  オンラインセミナー
  • 主催:適正技術フォーラム
  • 共催:国際開発学会・社会的連帯経済(SSE)研究部会

報告1:「世界と日本の食と農に関する政策の動向と社会的連帯経済」

古沢広祐氏(国学院大学客員教授、SSE研究部会代代表)

報告2:「生協が進める体験農園と都市における農的空間: 生活クラブ神奈川が運営するみんなの農園」

小口広太氏(千葉商科大学人間社会学部准教授、PARC)理事)

報告3:「ブラジルのフェイラリブレ(自由の市<いち>)と社会的連帯経済を推進する大陸間ネットワーク(RIPESS)」

田中滋氏(アジア太平洋資料センター理事・事務局長)
報告書「食と農に見る社会的連帯経済」

ILO主催の国際会議「Social and Solidarity Economy for Advancing the Sustainable Development Goals in Asia」

(実開催とオンラインア併用にて開催)にオンライン参加。

*プログラム詳細:
“Social and Solidarity Economy for Advancing the Sustainable Development Goals in Asia” in Bangkok, Thailand on June 18~19, 2024.

(内部会議)

6月28日、「SSE研究部会の活動総括の今後について」、研究部会のコアメンバーにて内部検討会議をおこなった。

国際的にSSEへの関心や国連やILOでの活動が活発化している中で、日本でのSSEへの関心と認識が弱い状況への懸念が共有された。現在進行形のSSE動向の中で、できればSDGsやサーキュラーエコノミーなどとの連携を図っていく新展開への期待もあるが、いちおう3年間の活動として総括することを確認した。

今後、9月末を目途に、コアメンバー各自からの総括と展望についての報告を行ない、総括報告書の作成を行うことを話し合った。


『社会的連帯経済』研究部会
代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)
副代表:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)

研究部会HP(活動記録、一部アーカイブを公開)




日本財団:社会課題研究ゼミ「ロシア・ウクライナ情勢、日本のわたしたちができること」<学生対象>8月6日開催(会員・一般)

社会課題研究ゼミ:「ロシア・ウクライナ情勢、日本のわたしたちができること」@日本財団

日本財団は、現在進行形で展開されているロシア・ウクライナ情勢について、その背景と影響を深く理解し、日本に住む私たちに何ができるかを考えるセミナーを開催いたします。

第一線で活躍する専門家による講演と、実際に支援活動に携わる実務家の経験談を通じて、この重要な国際問題に対する理解を深め、自分たちにできることを探ります。

開催概要

  • 日時:2024年8月6日(火曜)17:25~20:00
  • 形式:ハイブリッド方式(ZOOM)
  • 対面会場:日本財団ビル8階(東京都港区赤坂1-2-2)
  • 定員:対面50名・オンライン(500名)
  • 参加対象:学生(学部・専攻不問)
  • 参加費:無料

プログラム

17:00~17:25
開場

17:30~18:35 
廣瀬 陽子 氏(慶應義塾大学教授)
「ハイブリッド戦争の世界と日本への脅威:ウクライナ戦争を事例に」

18:35~19:00
折居 徳正 氏(パスウェイズ・ジャパン代表理事)
「日本国内のウクライナ避難民支援の事例」

19:00~19:45
懇親会(軽食・ドリンクをご用意します)

参加方法

以下のURLよりお申込みください。

「社会課題研究ゼミ」参加申し込みフォーム


本件にかんするお問い合わせ先

日本財団広報チーム 

  • pr [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-6229-5131



開催案内「2024 Online Research seminar by “Innovation and Development for Solving Social Problems”, JASID」8月3日開催(会員・一般)

We are pleased to inform you of our online research seminar of this year.

Two speakers were invited to talk about innovation and development.

開催概要

  • 日時/Date: August 3rd, 2024
  • 方法:Online
  • 言語/Language: English

プログラム

Time: 14:00-15:30 (GMT +9)

  • Speaker: Dr. Qianfei Shu, Associate Professor, College of Foreign Studies, Kansai Gaidai University
  • Title: Effect of Special Economic Zones on Innovation: Evidence from Chinese High and New Technology Firms in the Pearl River Delta”

Break 15:30-15:50 (GMT + 9)

Time:15:50 to 17:20 (GMT +9)

  • Speaker: Dr. Grace Gonzalez, Associate Professor, College of Foreign Studies, Kansai Gaidai University
  • Title: Public Economics and Mega-Events in Japan: The cases of Tokyo 2020-2021 and Osaka 2025

Facilitator: Naoko Shinka, Professor, Tsuda University

申し込み方法

If you would like to participate in this seminar, please click on the link below and register by 23:59 on Friday, July 26th, 2024 (GMT +9).


本件にかんするお問い合わせ先

社会課題解決のための開発とイノベーション
JASID Research group: Innovation and Development for Solving Social Problems

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加募集「9月スタート・民間企業との連携により社会課題解決を目指す実践型ワークショップ(全5回)」6月28日締切(会員・一般)

コペルニクは2024年9月から、全5回の「民間企業との連携により社会課題解決を目指す実践型ワークショップ」を開催します。

NPO/NGO/教育機関の方、次のようなお困りごとを抱えられていませんか?

  • 民間企業と連携してみたいけど、何から始めたら良いかわからない
  • 民間企業に刺さる提案書を作りたいけど、うまくできない
  • 具体的に民間企業へ提案し、自団体のインパクト拡大を目指したいが、中々機会がない

そのようなお困り事をもつ皆さま、是非、本ワークショップへのご参加を検討ください!

本ワークショップは、JICAのNGO等提案型プログラムのご支援の元、コペルニク共同創設者兼CEOの中村俊裕より、コペルニクの民間連携の事例や世界の潮流などをご紹介しながら、ハンズオンで参加者ごとの個別相談を行い、NGOの皆さんが民間企業と協働する際に実際に活用できる提案書を作成するプログラムです。

様々なセクターの企業からもフィードバックをいただき、ネットワーキングの機会もご提供します。

こちらから先日実施したオンライン説明会による動画もご覧いただけます

ワークショップ概要

本ワークショップは、非営利団体が、民間企業のパーパス(目的)やニーズを的確にとらえ、自団体のミッションに即しかつ民間企業にも意義のある協働提案を策定できる実践的なスキルを習得することを目的として開催されます。

受講対象者は、民間企業との連携を通して社会課題解決を目指す非営利団体や大学関係者、15名程を想定しています。

第1回ワークショップ:2024年9月13日(金曜)

対面(都内)*

  • 民間連携の背景、NGOと民間企業の双方にもたらすメリット、民間連携にかかる国際的潮流等の理解
  • 外部講師による事例紹介
  • 民間企業とのネットワーキング

第2回ワークショップ:2024年10月25日(金曜)

対面(都内)*

  • 民間連携の類型、必要スキル、予算感等の理解
  • 提案書作成スキルの習得とドラフト開始

第3回ワークショップ:2024年11月下旬~12月中旬

(オンライン)

  • 提案書に関する参加者毎の個別コンサルテーション

第4回ワークショップ:2025年1月31日(金曜)

対面(都内)*

  • 作成した提案書の発表と参加者・外部講師からのフィードバック
  • フィードバックを踏まえた提案書のブラッシュアップ

第5回ワークショップ:2025年3月7日(金曜)

対面(都内)*

  • 参加者の提案書プレゼンテーションを含む、対外的な成果報告会
  • 民間企業とのネットワーキング
    * 基本は都内での対面での実施を想定しておりますが、難しい場合はご相談ください。
    * 日程及び内容については変更となる可能性がございます。

お申込み

下記リンクよりお申し込みいただけます。

締め切りは、2024年6月28日(金曜)17:00となっております。


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人 コペルニク・ジャパン
担当:坪井

  • japan [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



開催案内「難民映画「ミッドナイト・トラベラー」自主上映とアフガン難民家族のトークイベント」6月8日開催(会員・一般)

6月20日(木曜)は何の日かご存知ですか?・・・

答えは「世界難民の日」(World Refugee Day)です!!!

本イベントは、多発する紛争、気候変動に起因する自然災害等により過去10年間で倍増した1億1400万人(ほぼ日本の総人口!)にも上る世界規模での社会課題である難民問題を「遠い国の出来事」ではなく多くの日本人に知ってもらい、私達にできることを考える機会にしたいとの想いで、JICAとグロービス経営大学院の有志で企画しました!!

映画は「世界一受けたい授業」でも取り上げられた文科省推奨の作品でもあります(概要下に予告編リンクあります)。

在日アフガン難民家族、アフガン国民的楽器ラバブ奏者の方もご招待し、難民問題をより身近に、リアルに知っていただけると同時に、フリートーク(通訳あり)による交流もできる大変貴重な機会です!

席に限りがありますので、ぜひお早めにお申し込みください!

ご参加を心よりお待ちしております!

イベント概要

  • 日時:2024年6月8日(土曜)13:00~16:10
  • 会場:国際協力機構(JICA)地球ひろば 6階600セミナールーム
    新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)
  • 参加費:1,500円/人(学割・ペア割:1,300円)

タイムスケジュール

第1部 上映会

12:30~13:00
受付

13:00~13:10
オープニング

13:10~14:40
「ミッドナイト・トラベラー」上映

14:40~14:55
在日アフガン難民によるトーク~日本までの旅路・日本での新たな旅路~

14:55~15:00
クロージング

※本上映は会議室でのプロジェクター投影となりますので、あらかじめご了承ください。

第2部 交流会 ★アフガン国民的楽器ラバブ生演奏付き!

15:10~16:10
在日アフガン難民家族×JICA職員によるトーク~私の“今”と“これから”~
※後半30分は、アフガン難民家族3人とのフリートークも予定しています!

第1部・第2部ともに通訳等の言語サポートが入りますのでご安心ください。

登壇者

独立行政法人 国際協力機構職員 上原氏 
略歴:2020年までアフガニスタン首都カブールに駐在

上映作品あらすじ

アフガンの平和に関するドキュメンタリーが反政府勢力タリバンの怒りを買い、監督のハッサン・ファジリは死刑宣告をされる。危険を感じた監督はヨーロッパに逃げることを決意。妻やふたりの娘を連れて約5,600キロの旅に出て、その旅路を3台のスマホによる映像で記録する。

予告編

申し込み方法

申し込み期限:6月7日(金曜)23:59


本件にかんするお問い合わせ先

国際協力機構(JICA)
国際協力専門員 菅原鈴香

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企画運営委員会

Planning and Management

支部・研究部会活動、特別事業の企画運営および合理的配慮等

委員長

  • 会長:山田肖子(名古屋大学)

委員

  • 松本悟(学会副会長:法政大学)
  • 小國和子(学会副会長:日本福祉大学)

合理的配慮ワーキンググループ(WG)

WG長

  • 山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

委員

  • 小國和子(学会副会長:日本福祉大学)
  • 川口 純(筑波大学)
  • 土橋喜人(金沢工業大学)
  • 森 壮也(アジア経済研究所)

人材推薦ワーキンググループ(WG)

WG長

  • 伊東早苗(名古屋大学)

委員

  • 高橋基樹(京都大学)
  • 山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

関連情報




オンライン説明会『民間企業との連携により社会課題解決を目指す実践型ワークショップに参加しませんか?』5月28日開催(会員・一般)

コペルニク・ジャパンは、NPO/NGO、教育機関の皆様を対象としたワークショップを開催します。

このワークショップは、非営利団体が民間企業のパーパス(目的)やニーズを的確にとらえ、自団体のミッションに即し、かつ民間企業にも意義のある協働提案を策定できる実践的なスキルを習得する事を目的としています。

2024年9月より、全5回/受講料無料で開催するワークショップでは、提案書作成から個別相談、民間企業とのネットワークの機会も設ける予定です。

開催に先立ち、5月28日(火曜)19:00〜20:00にオンライン説明会を開催いたします。

ワークショップへの参加をご検討されるNGO/NPOの皆様及び教育機関の皆様、ぜひ奮ってご参加ください。

(本事業は独立行政法人国際協力機構(JICA)のNGO提案型支援事業からの助成を受けて開催します)

オンライン説明会概要:

  • 日時:2024年5月28日(火曜) 19:00~20:00
  • 場所:オンライン(お申し込み後Zoomリンクをお送りします。)
  • 主催:一般社団法人コペルニク・ジャパン
  • 参加費:無料
  • 対象者:民間企業との連携を通して社会課題解決を目指す非営利団体や大学関係者

お申し込み:

アジェンダ:

19:00-19:05 オープニング

19:05-19:25 コペルニクの紹介とプログラムの概要説明

19:25-19:45 パネルディスカッション
テーマ「NGOの活動のインパクトを拡大させる民間企業との連携とは」
登壇者: JICA東京 市民参加協力第二課 課長 加瀬 晴子様 /コペルニク共同創設者兼CEO 中村俊裕

19:45-20:00 質疑応答


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人 コペルニク・ジャパン(担当:坪井)

  • ワークショップの詳細はこちらをご参照ください>> 
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第34回全国大会セッション報告(ラウンドテーブル)

ラウンドテーブル


[1I01] 国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて

  • 日時:2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:荻巣崇世
  • 司会:川口純
  • ディスカッサント/コメンテーター:林研吾(国際協力機構)、泉川みなみ(国際協力機構)、坂口真康(兵庫教育大学)、関口洋平(畿央大学)
  • 第1発表:国際教育開発の哲学̶背景と展開̶
    橋本憲幸(山梨県立大学)
  • 第2発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ニカラグア〜
    吉村美弥(国際協力機構)
  • 第3発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜マダガスカル〜
    山縣弘照(国際協力機構)
  • 第4発表:ともに「学び」・「学び直す」関係へ
    興津妙子(大妻女子大学)
  • 第5発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ヨルダン〜
    山上莉奈(国際協力機構)
  • 第6発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ガーナ〜
    村田良太(国際協力機構)

【総括】

本企画は、国際教育開発における実務と研究を架橋し、双方向から国際教育開発という分野を捉え直すことを目的として、特に、若手を中心とする実務者と研究者の相互理解を深めるための対話の機会として企画するものである。

2022年度から実施してきた勉強会での議論を通して、研究者側はJICAを単体のアクターと捉える傾向があり、その中で実務に携わる実務者個人の想いや葛藤に十分に目を向けて来なかったことや、逆に、実務者側は、研究者が生み出す知見や批判的検討を実務の中で十分に活かしきれていないことなど、実務(者)と研究(者)の間には「すれ違い」があることが明らかになってきた。

そこで、本企画では、この「すれ違い」の背景に、国際教育開発に関わる人々の葛藤や戸惑い、願いなどの個人的な語りが覆い隠されてきたことがあるのではないかとの仮説に基づき、これへの反省から議論を進めた。

特に、国際教育開発の中で「研究(者)」と「実務(者)」のそれぞれについて生み出されてきた、一方的で固定的なイメージ(シングル・ストーリー)を批判的に捉え、国際教育開発の語りを具体化・複数化するところから始める必要があること、また、「語られること」だけでなく「語られないこと」にも注意を払い、シングル・ストーリーが何を可能にし、何を不可視化してきたのか、議論を深めることに留意し、いわゆる研究者と実務者双方から計6名が登壇し、討論者も双方から計4名が登壇して、議論を進めた。

発表者からは、実務や研究に携わることになった背景・想いに加えて、それぞれが抱える葛藤や喜びが共有され、双方の顔を見ながら、想いをも含めて「出会う」「出会い直す」ことの重要性が確認された。

また、コメンテーターからは、やっていることの中身からは、実務(者)と研究(者)の境界は極めて曖昧なものであるにもかかわらず、それぞれが敢えて立場性を意識する/させる関係の中ですれ違いが起きているのではないかとの指摘があった。

会場からは、国際教育開発の「現場」をどう捉えていけば良いかとの指摘や、教育は明確なゴールがない(あるべきでないとも言える)分野だからこそ、「良い教育とは何か」についての対話を継続的に行なっていかなければならないのではないか、との指摘があった。

今年度より、本ラウンドテーブルのメンバーが中心となって研究部会「国際教育開発」を発足させることから、実務者・研究者の出合い直しや自分自身との出会い直しを促すために、引き続き対話を続けていきたい。

報告者:荻巣崇世(上智大学)

[1J01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル 地方大会から何が見えたのか?ー改めて「地方」から国際開発を考えるー

  • 日時:2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*木全 洋一郎1、*佐野 麻由子2、*工藤 尚吾3、*梶 英樹4、*生方 史数5、*辰己 佳寿子6 (1. 独立行政法人国際協力機構、2. 福岡県立大学、3. 国際教養大学、4. 高知大学、5.岡山大学、6. 福岡大学)

【総括】

報告者:

[2D01] なぜ日本で「国際開発」を学ぶのか——韓国・中国の(元)留学生の経験から紡ぎ出すその答え

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:25名
  • 座長:汪 牧耘(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:大山 貴稔(九州工業大学)・松本 悟(法政大学)・劉 靖(東北大学)・キム ソヤン(ソガン大学(韓国))・Wu Jingyuan(東京大学大学院)

第1発表:留学生は「国益」になるか:行政・研究・教育現場からの考察

松本 悟(法政大学)

松本氏は、日本政府が無償資金協力で実施している人材育成奨学計画(JDS)を中心に、国際開発の日本留学が持つ特殊性と本RTの意義を述べた。

JDSは開発途上国の若手行政官が日本の大学院で英語学位を取得するのを支援し、帰国後、その国のリーダーとして開発課題の解決に寄与することを目的としている。

過去20年間で5千人以上がJDSで日本に留学した。

こうした「開発奨学生」の中心は行政官であり、修了後に帰国して開発行政と日本との橋渡しという外交的な役割が期待されている。

JDSに見受けられる「意図的な国益」に比べて、本RTは私費留学生や非行政官に登壇してもらい、留学生が自ら感じ取った日本留学の価値をその個々人のストーリーから理解する場である。

松本氏は、このような背景の違いを踏まえて、本RTにおける登壇者の語りが持つ意味を際立たせた。

第2発表:“Made in China, Recycle in Japan?”:留学の「成功例」とは何か——教育で世界を変えよう

劉 靖(東北大学)

本発表では、劉氏が「教育で世界を変えよう」という信念を持つようになった過程を振り返った。

小・中学校から、「正解」や「特権」に塗られた教育に感じた不平と違和感が、その問題関心の原点だという。

来日してから、大切な日本人の方や先生との出会いが積み重なっているなかで、劉氏は国際開発学の教育・研究活動に踏み出した。

「教育の公平」を実現するため、批判的かつ建設的な学問のあり方を国内外の機関、大学や教育現場で思索してきた。

こうした経験を踏まえて、劉氏は「国際開発に関する知の借用」から「国際開発に関する知の共有・共創」への転換が、日本で国際開発を学ぶ意味として挙げた。

その転換を引き起こす主体は、「個人」だけではなく、「地域」でもある。アジアの諸国・諸社会が互いの参照点となることで、自己理解が変容し、主体性が再構築されていく試みは、劉氏の現在進行中の研究である。

第3発表:越境者[境界人]の思い[lived experience]:イギリスと韓国から日本を包み直す[reflecting upon Japanese development studies]

キム ソヤン(ソガン大学(韓国))

本発表の冒頭で、キム氏は本RTで用いる方法論である「オートエスノグラフィ(自伝的民族誌)」の系譜を概説し、個人が自らの多面的・流動的なアイデンティティと経験を再帰的に考察・表象・構築するという行いが持つ学問的意味を浮き彫りにした。

その上で、キム氏は、1990年代から今に至り、韓国、日本やイギリスの国境を超えてきた勉強・留学・研究の経験を、その時々の時代背景と変動をかい摘みながら共有した。

日本で出会った政治生態学の面白さや地域研究者の素晴らしさ、イギリスで受けた理論・議論・研究倫理の厳しい訓練などといった越境による光の部分だけではない。深刻な人種差別と他者排除をはじめとする影もまだ境界人の心身を洗練するものとなった。

キム氏は、30年にわたって見えてきた日本の国際開発研究の可能性を踏まえながら、批判的思考の欠如や議論の断片化などとった現状に対する危機感と変革の必要性を訴えた。

【総括】

これほどまでに人を笑わせたり、泣かせたりした学会のRTはあっただろうか。発表が終わっても、会場における議論が終わらなかった。

「人材をどう育成するか」を考える前に、まずは図らずも日本に来た留学生が見てきた世界に向き合ってみることの大切さを忘れないこと。

オートエスノグラフィという一見「小さな物語」がもつ力を丁寧に用いながら、日本における国際開発研究を批判的に再構築すること。

JASIDをより多くの人が他者との共創の中で自らの足場を見つめ直す場になること。

これらの貴重な課題を示してくださった発表者、コメンテーター、司会と参加者の皆様に深く御礼申し上げたい。

報告者:汪 牧耘 (東京大学) 

[2E01] Well-being, Economics Policy Making and Sustainable Development Goals (SDGs) (English)

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:15名
  • 座長:石戸 光(千葉大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:Arthur Grimes(Victoria University)、小林 正弥(千葉大学)

第1発表:Using wellbeing concepts to enhance international development

Arthur Grimes (Victoria University of Wellington)

千葉大学の研究プロジェクト「公正社会研究の新展開-ポストコロナ時代の価値意識と公共的ビジョン」(代表:水島治郎・千葉大学大学院社会科学研究院教授)の招聘および共催により、ウェルビーイングと経済政策策定の分野における世界的な経済学者(アーサー・グライムス博士、Motu Economic and Public Policy Research Trustシニアフェロー、ビクトリア大学ウェリントン校経済学部非常勤教授、ニュージーランド・ワイカト大学経済学部名誉教授)を招聘し、主観的幸福度、客観的経済政策(国家予算として財政的価値が配分される)、持続可能な開発目標(SDGs)の相互関係について、ウェルビーイングを考察した哲学・経済学者の系譜や、ウェルビーイング指標の低下が米国におけるトランプ政権の誕生や英国のEU離脱をある意味で予測できる指標であったこと(ただしこの分析自体は事後的なものであるが)、ウェールズを含む各国のウェルビーイング関連政策の有効性、などの側面から学際的に発題していただいた。

第2発表:Comment on “Using wellbeing concepts to enhance international development”

小林正弥(千葉大学)

アーサー・グライムズ教授からの発題を受けて、開発における新たなアプローチとして、どのような「開発」を先進国においても目指すべきか、センのケイパビリティアプローチの特質、客観・主観指標、悲惨や貧困と比較してのウェルビーイング研究の特質、政治哲学およびコミュニタリアニズム、といった概念の差異および関連性について質疑がなされた。

また「多次元的アプローチ」が有益である点、将来世代に関する目配りを行うウェールズの幸福度・公共政策を評価する点についての質疑応答が行われた。

特に多次元的なウェルビーイングを考慮していくことは、低所得のみならず、高所得国においても、生活の質の観点から重要な「開発」の課題である点が提起された。

第3発表:ウェルビーイング、公共政策およびSDGsの関連性

石戸 光(千葉大学)

出席の方々も交えてラウンドテーブル(双方向的な討論)を発表者(石戸)の司会進行により行った。

フロアからの質疑やコメントとして、「経済研究者の方がウェルビーイングを主眼として研究されていることに、研究分野の広がりを感じた」、「韓国は所得的には上がったが、幸福度はむしろ下がっているのが体感であり、この種の研究は目の開かれるものであった」「アフリカではパンとバターなどの物質的な充足が依然として重要であるが、やはりウェルビーイングの低さもあって、両者は相関している」「南米の所得水準とウェルビーイングには、また独特の特徴があるようにも思われる」など種々のコメントが寄せられた。ウェルビーイングへの文化的影響と開発の関連なども重要な論点であることが討議された。

【総括】

冒頭にて、アーサー・グライムズ博士が、公共政策に関する実務との結びつきが強い著名なエコノミストであり、2003年から2013年までニュージーランド準備銀行総裁を務めたことに言及し、その後、同氏の研究テーマがウェルビーイングおよび公共政策についてのものになっていった点を紹介した。

この経歴の変遷が参加者にとって斬新なもので、ラウンドテーブルにおける発題では、開発を問題意識の根底に持ちつつも、主観的指標と客観的指標の相互関係について議論がなされ、続く質疑も活発で有意義なものであった。

報告者:石戸 光(千葉大学)

[2H01] アジアにおける子どもの教育と健康

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*高柳 妙子1、*日下部 達哉2、*藤崎 竜一3 (1. 早稲田大学、2. 広島大学、3. 帝京大学)

【総括】

報告者:

[2J01] ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性:インドの離島エリアにおける e-Healthビジネスの事例から

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:狩野剛(金沢工業大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:佐藤峰(横浜国立大学)・内藤智之(神戸情報大学院大学)

第1発表:ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性

功能聡子(ARUN合同会社)・岡崎善朗(早稲田大学)・狩野剛(金沢工業大学)

発表者の3名から、インドのiKure社の概要、共同研究の概要といった背景説明があった。

そのあと、引き続き発表者より、インドにおける医療機器の現状や新興国・途上国での医療機器ビジネスの難しさなどについて解説があった。

そして、ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性として、工学系研究者・民間企業・投資家・社会科学系研究者・現地大学・住民という各ステークホルダーの視点から見える共同研究における貢献可能性について説明があった。

【総括】

発表の後、討論者や会場の参加者からの活発なコメント・質問が行われた。今後の共同研究推進に向けた主な助言は以下の通り。

  • 現地の視点として医療サービスを提供するiKureからの情報を主としているようだが、エンドユーザの声をきちんと拾い上げるべき。例えば、遠隔医療への抵抗感、医者・看護師による信頼の違い、文化・宗教的なハードルなどについてきちんと情報を集めるべき。
  • 研究による外国人・外国資金の介入によって、ソーシャルビジネスの持続性に悪影響が出ないように気をつけた方が良い。特にこの共同研究の出口はどうなるのかと言った点は事前に先方とも意識合わせをしておく必要があると考えられる。
報告者:狩野剛(金沢工業大学)

[2C02]「持続可能性」の多義性を問う-言説分析、認識調査、評価の先に何を見るか

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:30名
  • 座長:山田肖子(名古屋大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:木山幸輔(筑波大学)・工藤尚悟(国際教養大学)
Questioning the polysemy of “sustainability”: What to Look For Based on Discourse Analysis, Perception Surveys, and Evaluations

第1発表:「持続可能な開発」は誰にとってのどのような課題なのか:フィリピン、ガーナでのオンライン質問票調査からの試論

山田肖子(名古屋大学)・島津侑希(愛知淑徳大学)

この報告に先立つ、山田による本セッションに関する説明においては、質問紙調査による演繹的モデル作りと、学校や農村でのフィールドワークによる帰納的知見とを用いて、「持続可能性」言説をめぐる多様なリアリティを明らかにするという本セッション参加者が今後目指す目的と、国際開発学との接合という課題が示された。

その後、山田・島津報告においては、質問調査をもとに「持続可能性」概念を基軸として行われた批判的言説分析の報告がなされた。

そこでは、持続可能性に関する人々の認識において、いくつかの指向が存在することが報告された。

フロアとの議論では、本研究が持ちうる意義として、持続可能性言説がトップダウン的政治性をもちつつ同時に拡散し定着していく動態との関係を明らかにしうること、西欧近代的な認識論・存在論を問い直しうることなどが指摘された。

第2発表:「持続可能な開発」を評価するとはどういうことなのか

米原あき(東洋大学)

米原報告と次の西川報告は、帰納的知見を用いるものである。米原報告は、持続可能性と関連し実施される評価について考察を行う。

すなわち、タイにおけるコミュニティ開発評価と日本のESDに関する評価である。

報告では、そうした評価において用いられる説明責任・エビデンス・合理性について、現場の当事者とともに協創される評価指標にもとづくそれらの像の可能性が指摘された。

こうした協創においては、共通認識をどのように、いかなる主体が形づくっていくことができるのか、コメント・質問がなされた。

これは、当事者の観点が、同じ人間であっても、地球市民、学校の生徒等、多様なものでありうることとも関係する。

第3発表:食と農のシステムの持続性のなにが厄介な問題か?

西川芳昭(龍谷大学)

西川報告では、食と農をめぐる持続性に関する議論において、人間中心主義が前景にあったことが指摘された。

そして、むしろ多様なアクターとの萃点の中で、むしろ評価になじまない当事者のまなざし、例えば「種をあやす」といった農業従事者の言葉をどのように位置付けるか、といった課題が提起された。

こうした議論について、例えば当事者の視点をむしろ規範的に固定化してしまうおそれについて提起がなさたり、研究者による価値判断が機能を果たす位置等について、質問がなされたりした。

【総括】

セッション全体に共通するコメントとして、「共創/協創/対話」といったモデルにおいて、研究者と調査対象者の望ましい関係のあり方、あるいは持続可能性概念に対する研究者のポジショナリティが問われた。

あるいは、研究によって明らかとなる人々の持続可能性をめぐる認識・世界観と、研究者の価値に関する探究の関係が問われた。

セッションでは、多様な学術領域および実務家からの本研究への観点が示されるとともに、参加者がもつ持続可能性の言葉に対する態度についても言葉が示された。

こうしたことを通じ、本研究の意義について考察が深められ、今後の研究の進展に大きな意義があったと思われる。

報告者:木山幸輔(筑波大学)

[2D02] 国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*佐藤 峰1、*小林 誉明1、*木全 洋一郎2 (1. 横浜国立大学、2. 国際協力機構)

【総括】

報告者:

[2E02] 国際協力NGOの組織基盤強化支援におけるマッチ・ミスマッチ

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:不明
  • 座長:中山雅之(国士舘大学大学院)
  • ディスカッサント/コメンテーター:東郷 琴子(パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社)、松元 秀亮(国際協力機構)、篠原 大作(特定非営利活動法人日本ハビタット協会)、田口 由紀絵(合同会社 コドソシ)、楯 晃次(株式会社EMA)

国際協力NGOの組織基盤強化支援について、表面的には見えないマッチ・ミスマッチが存在するのではないかと、支援組織、支援を受ける組織、評価・伴走者の3者の視点から議論をする企画であった。

まずコーディネーターの中山が組織とは何か、組織基盤強化とは何かについて、経営学の視点で整理した。

その後、報告、パネルディスカッション、フロアからのコメントの3パートで進められた。

報告

楯が、これまで行われてきた支援制度を研修型、助成金型の2つに分け、年表に沿い、その変遷を報告した。

研修型は1987年前後から開始されたが、組織基盤強化に直接資する組織マネジメント研修やリーダーシップ研修などは、2004年からの開始となり、2011年頃までに多く行われ、その後はファンドレイジング研修に変化した。

助成金型では、1993年に初めて助成制度を設けた組織が出たものの、その後助成金制度は増えず、数団体にとどまっている現状を報告した。

こうした変遷の中で、支援を行う組織として、パナソニック オペレーショナルエクセレンスの東郷、国際協力機構の松元が、支援を受ける組織として日本ハビタット協会の篠原が、評価・伴走者コドソシの田口が、 (1)組織基盤強化/支援に関する取組、(2)支援をする組織/支援を受ける組織への要望、(3)感じ考えていること、の3点について報告した。

支援を行う組織として東郷は、社会変革における組織基盤強化の重要性、また組織基盤強化の取り組みが組織文化として定着していくことの意義、そしてそれらノウハウが業界全体に共有・浸透されることの重要性を報告した。

一方で、セクター全体の成長を促進するために、どの層を応援することが効果的かまだ定まっていないとの課題を提示した。

続いて松元は、JICAとしての支援制度を説明した後、支援を受ける組織に対して、組織同士の繋がりと学び合いによって他組織と自組織との比較を通じた気付きの重要性を述べた。

制度を整えるだけでなく、組織自らが組織基盤強化の必要性・重要性を感じて取り組むモチベーションがなければ、制度があっても組織基盤強化に資さないのではといった問いを提示した。

支援を受ける組織として篠原は、支援を行う組織に対して、より効果的なものにする為には、結果だけでなく強化プロセスを重要視すべきであることを強調した。その為強化のための組織再構築のモデルケースを提示することが望ましいと述べた。

最後に評価・伴走者の田口からは、支援を行う組織に対しては、業界の現状と外部環境の変化を把握し、業界がどうなれば世界が良くなるのかという視点をプログラムに反映することの重要性が述べられた。

支援を受ける組織には、環境が変化する中で、組織変革に取り組むことに対して組織全体で合意形成をとることが、組織基盤強化の一歩目であると報告をした。

パネルディスカッション

報告を踏まえ、中山がコーディネーターとして、報告者が討論者となり、パネルディスカッションを行った。

特に組織基盤を強化するにあたって、組織内部での合意形成と組織基盤強化に関わる三者の緊密な連携について多くの議論がなされた。

組織内部での合意形成については、組織の根幹に関わる課題と向き合うため、多くの困難や痛みを伴うこともあり、その認識を組織全体が事前に共有・合意し、取り組まなければ、本質的な組織基盤強化への取り組みは難しいことが強調された。

また三者の連携は支援制度への申請前からコミュニケーションを図るべきであり、また実施前・中・後が有機的に連結された一連モデルケースを整備することが重要であることが合意された。

フロアからのコメント

組織基盤強化を考える上でも資金調達の重要性を感じたといった感想が述べられた。

そして組織の活動分野や特徴に合わせた強化方法や成長の特徴を整理する必要があるのではないか、さらに、組織の核となるミッション・ビジョンといったアイデンティティを明確化し継承することが組織の基盤強化には不可欠であり、具体的にどのように取り組むべきか改めて考えるきっかけとなったというコメントがなされた。

【総括】

組織基盤強化に関して、支援を行う組織、支援を受ける組織、評価・伴走者という異なる立場である者が一堂に会するということが、大きな意味をもった。

そして、今後NGOが継続して組織基盤を強化していく上で必要となる視点や支援制度の在り方について、率直な意見が開示され、開かれた議論が成されたことは、今後の支援制度設計、そして本業界の成長に大きな意義を見出すことが出来る成果となった。

報告者:楯晃次(株式会社EMA)

[2H02] メイキング・オブ・開発協力大綱:大綱はどう作られ、どこに向かうのか

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*山形 辰史1、*河野 敬子2、*原 昌平3、*井川 真理子4、*鈴木 千花5 (1. 立命館アジア太平洋大学、2. (一社)海外コンサルタンツ協会、3. 国際協力機構、4.(株)コーエイリサーチ&コンサルティング、5. 持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム)

【総括】

報告者:

[2O05] JICA国際協力事業における評価の枠組みとグローバル危機について

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:佐藤 真司(独立行政法人国際協力機構)
  • 指定討論者:伊藤  晋(新潟県立大学)

第1発表:JICA事業評価の概況と最新課題-紛争影響国の事業評価の視点-

阿部 俊哉(独立行政法人国際協力機構)
山口 みちの(独立行政法人国際協力機構)

南スーダン、フィリピン(ミンダナオ)の事例を交え、紛争影響国の事業での評価の難しさとともに、「紛争影響国・地域に留意した事後評価の視点」を整理・公開していることを紹介した。また、外部要因の考え方の整理が重要であることを報告した。

指定討論者から、①感染症、経済危機、政権交代等で事業に影響が生じた際の評価での対応、②騒乱等の影響が事業実施段階に発生し、事業計画と異なる対応が生じた場合の評価の考え方について質問があった。

JICAから、①事業形成時には想定困難で事業期間中に対応困難な事象が発生した場合、外部要因と整理するが、一律の判断基準を設けることは困難なため、事業が受けた影響の記録を残すことが重要であること、②紛争影響国での事業は、案件計画当時に治安悪化等のリスク想定及びその対策の実施内容、計画時の想定を超える治安悪化等が事業に与えた影響、事業継続に向けた対応等を事後評価時に確認することを説明した。

第2発表:新事業マネジメント(クラスター事業戦略)でのモニタリング・評価の枠組み検討について

宮城  兼輔(独立行政法人国際協力機構)
菅原  貴之(独立行政法人国際協力機構)

JICAグローバル・アジェンダ(JGA)・クラスターの概要と、クラスター単位でのモニタリング・評価の試行案を紹介した。また、クラスター導入を踏まえたJICAの評価6項目の適用項目、確認時の重みの分散案を説明した。

指定討論者から、①クラスター外の技術協力への評価6項目の適用方針、②技術協力と資金協力の取扱が異なる理由、③クラスター単位での成果検証方法について質問があった。

JICAから、①評価6項目の適用項目や重みの分散は試行対象クラスター及び事業のみ、試行結果ではクラスター外の事業に適用する可能性がある、②技術協力は活動の過程でアウトプット、アウトカムが発現するが、資金協力は事業完了時にアウトプットが生成され、事業完了の一定期間後にアウトカムが発現するのが主流という違いを踏まえている、③クラスターは、技術協力以外に資金協力や民間連携事業、他機関とのプラットフォーム活動の成果も確認対象になること、を説明した。

【総括】

以下のような質問・コメントがあった。JICAからは、JGAとクラスターが目指す方向性は、今次大会のテーマである「複合的危機下における連帯と共創」とも通ずるものであり、指摘の点も踏まえ、試行プロセスを通じてよりよい制度設計をしていきたい旨回答。

  • 多様なステークホルダーを巻き込むクラスターは、JICA単体で事業監理が可能なのか。
  • EBPMならぬPBEM (Policy Based Evidence Making)にならぬようすべき。
  • IMM(Impact Measurement and Management)の発想が重要である。
報告者:佐藤 真司(独立行政法人国際協力機構)

[2P01] 2023 JASID 世銀協議―世界銀行 ・ 日本政府 ・ 住民を繋ぐ者たち―

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-413 (紀尾井坂ビル413)
  • 聴講人数:15名
  • 座長:玉村優奈(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:大芝亮(広島市立大学広島平和研究所)、松本悟(法政大学)

第1発表:文化運動としての愛知用水ー仲介者「久野庄太郎」を中心にー

柴田 英知(歩く仲間)

2021年9月30日に通水60周年を迎えた愛知用水は、第二次世界大戦後の、日本初の地域総合開発事業ともいわれ、また世界銀行の借款事業としても知られている。

愛知用水の事業推進の内部構造を、ソーシャル・イノベーション論の枠組みで読み解き、「文化運動としての愛知用水」という観点から、発願者であり篤農家の「久野庄太郎」の開発思想、久野らを支えた官民、皇室にまで及ぶネットワークを中心に、地域開発事業をめぐる仲介者の協働ととらえる視点を提示した。

愛知用水の事例で何がなかったら失敗していたか、成功と失敗を決める事業評価の根本的な在り方(松本)、開発コミュニティはどのようにつくられるか(大芝)がコメントされ、愛知用水が他の対日融資と比べても特異な事例であることを柴田氏は強調した。

第2発表:日本のNGOと世界銀行・財務省との対話と課題

田辺 有輝(JACSES)

田辺氏は、世界銀行と融資事業地の住民らとの仲介的な存在である「財務省・NGO定期協議」について報告した。その中で、大芝氏による過去の外部評価が紹介され、信頼関係の醸成が財務省とNGOの双方にとっての成果として挙げられた。

その後の20年間の考察として、財務省内の人事異動による知識の蓄積や逐次議事録の公開が協議を発展させたと自己評価した。

また、愛知用水の比較事例として、世界銀行が1960年から1970年に「緑の革命」として推進したパキスタンの灌漑事業が深刻な塩害を引き起こした問題を取り上げた。塩害対策の事業が新たな環境社会被害を引き起こし、それが世界銀行のインスペクションパネルにかけられ、5つの政策違反が指摘された。

愛知用水という「図らずも」成功した農業事業がある一方で、「図らずも」問題の連鎖を引き起こした農業事業もあった。

コメンテーターからは、対日融資と現在の世銀事業との異同(松本)や、協議に参加するNGOとそうでないNGOとの線引き(大芝)などについてコメントがなされた。

第3発表:2023 JASID – 世界銀行協議―世界銀行・日本政府・住民を繋ぐ者たち―

米山 泰揚(世界銀行)

米山氏は、愛知用水を主管する農林省が3省と共管し、基本計画を5省庁と協議し、さらに実施計画は3県と協議したうえに農民の意見提出権が明記されていることは当時としては極めて珍しいと指摘した。

また、米山氏が財務省職員として関わったNGOとの定期協議の意義を評価し、住民等の関係者の視点を通じて事業の多面性を認識したこと、開発政策を巡る自由闊達な議論によって「開発コミュニティ」が形成されたこと、国際開発に携わる行政官の「教育」になったことを挙げた。

世界銀行の最新の動向として、気候変動・パンデミック・政情不安な脆弱国などに対処する国際公共財の供与を強化し、環境・社会配慮原則を緩めることなく案件組成に要する時間の大幅短縮を目指すこと、今後10年で1,500億ドルの融資を積み増すことなどを説明した。

コメンテーターからは、世界銀行の予算増額・時間短縮とAIIBや中国との繋がり(大芝)や市民社会と世界銀行の間を財務省が仲介することの煩雑さ(松本)について質問が出され、米山氏からは、AIIBは競争相手ではない点や、市民社会が国会を通じて問題提起するのと同時に、財務省との定期協議の場において掘り下げた議論を行うことで、実質的な改善に繋がるなどの認識が示された。

【総括】

世界銀行の対日融資である愛知用水と、1990年代以降の日本の財務省とNGO間の世銀に関する協議を取り上げ、仲介者の役割と組織を超えた知の蓄積の重要性を浮き彫りにした。

現在、世界銀行は融資額を増加する一方で、融資審査の期間を短縮する方針を打ち出している。

本RTが、現場と世銀を繋ぐ仲介者の活動をどのように活性化できるか、新たな制度的枠組みづくりと過去の経験の援用の限界と可能性といった新たな課題を提起したといえる。

さらに、本RTが今後の国際開発学会で、世界銀行を筆頭に国際開発金融機関への議論と関心が高まるきっかけとなることを期待する。

報告者:玉村 優奈(東京大学)

[2C03] 外国人技能実習制度を通じた技能移転をめぐる課題と可能性ーベトナムにおける社会的ニーズと技能実習生の生活戦略

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:生方史数(岡山大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:佐藤寛(開発社会学舎)

第1発表:ベトナム人元技能実習生における技能移転と将来設計

加藤丈太郎(武庫川女子大学)

コメント:「技能移転」を研究することは技能実習制度を擁護することにもつながるのではないか。

応答:本研究は、制度の是非を超えて、移民個人に制度がどのような影響を及ぼしたのか、その内実を明らかにすることを目指している。

コメント:分析枠組みにcapabilityを用いているが、移住と開発の研究分野ではaspirationも合わせて議論されている。元技能実習生のaspirationも考える必要があるのではないか。

応答:たしかにaspirationによって事象を説明し得る可能性がある。今後ぜひ取り入れていきたい。

コメント:研究方法は、31名へのインタビューとあるが、どのように調査対象者を確保したのか。

応答:データの偏りを防ぐために、在ベトナムの日本語通訳者、日本のベトナム寺院の住職、カトリック教会のシスター、自らの前の研究の調査対象者への再コンタクトなど、複数のルートをたどり調査対象者を集めた。結果的に相当数の方へのインタビューの実現につながった。

第2発表:ベトナムの農業をめぐる社会的ニーズと技能実習生の生活戦略としての技能移転

二階堂裕子(ノートルダム清心女子大学)

コメント:日本の農業分野で就労し、農業の技術を学んだとしても、技能実習生の母国の自然条件や地理的条件が異なるため、必ずしもその技術を活用することができるわけではないのではないか。

応答:狭い意味での技術ではなく、作業遂行のための能力、たとえば、農業経営の考え方や方法を身につけることで、それを母国で活用することは可能であると思う。

ただし、日本社会がもつ知識や技能を、技能実習生の母国のそれらよりも「優れたもの」と安易に位置づけ、「修得するに値するもの」として一方的に「押し付ける」といった姿勢があるとすれば、おおいに検討の余地があると考える。

そのためにも、送出国でどのようなニーズがあるのか、そのニーズに応えうる技能とは何かを吟味する必要がある。

第3発表:介護分野におけるベトナムへの技能移転の課題と可能性:「移民力」の視点から

比留間洋一(静岡大学)

コメント:Cさん(将来故郷で介護サービスを提供すべく、現在、日本在住ベトナム人高齢者に介護ボランティアを試行)は、ベトナムでは大卒、日本では(技能実習生ではなく)留学生(現在、介護福祉士)。

ここからも示唆されるように、調査対象者を技能実習生に限定しないほうがよいでは。また、(コミュニティのチェーンマイグレーションではなく)一人の個人によるものなので、故郷のコミュニティ開発への影響は限定的になるのではないか。

応答:確かにCさんのような介護職者はまだ少ない。しかし、介護ボランティアにはCさんの同僚のベトナム人介護職者(元技能実習生を含む)が自ら進んで参加している点で可能性が感じられる。

「上からの」日本式介護の輸出ではなく、「移民力」(故郷への思いと実践)を基盤としたベトナム人による「下からの」試みのほうが持続性の面で期待できるのでは。以上から、このような事例に今後とも注視していく必要がある。

【総括】

政府の有識者会議より、近日中に、技能実習制度に代わる新しい外国人労働者の制度が示される見込みである。

今年10月に立ち上がった「移住と開発」研究会では、こうした動向をふまえつつ、日本社会が外国人労働者から「選ばれ続ける」ための道筋を検討していきたい。

報告者:二階堂裕子(ノートルダム清心女子大学)

[2D03] SDGsを追い風とした国際協力人材の確保とキャリア形成~RiskとOpportunity~

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:30名
  • 座長:佐藤仁(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:山田肖子(名古屋大学)・末森満(国際開発ジャーナル社)

第1発表:国内外の社会課題解決を結ぶ国際協力キャリア

江崎千絵(JICA)

  • JICAを取り巻く国際協力人材の現状と課題
  • JICA内外の開発協力人材の養成・確保に向けたビジョン
    (多様化・複雑化・変化する世界規模の(開発途上国の)課題に、機動的・革新的に対応するために、活力ある魅力的な開発協力人材市場を実現する)
  • 職業としての国際協力の認知向上
  • 越境支援、人材の還流
  • 個人にとっての魅力的なキャリアアップと業界全体での共創促進の方策とは?

本当に優秀な人を、国際協力人材として活躍してもらえる状態にしておくかが大事なのではないか、そのためにも待遇の工夫や地位向上への努力も必要だろう。

第2発表:「開発コンサルティング人材の確保とキャリア形成」

河野敬子(ECFA)

  • 開発コンサルタントの年代構成
    (20代と70代の増加、30代の減少)
  • 高齢化と中堅層の確保
  • 70代のプロジェクトマネジャーの増加
  • 課題と対応
    (ジェネレーションギャップ、働きやすさ、報酬、魅力発信、参入障壁対策)

開発コンサルタントは新規マーケットを目指しているのか?日本のコンサルがグローバル競争に入っていけるのか?などの質問があった。

第3発表:国際協力人材育成における大学の役割」

須藤智徳(立命館アジア太平洋大学)

  • 国際開発に関する学生アンケート結果
  • サステナビリティ学科の学生8割が国際開発に関心あり
    (ほとんどが授業をきっかけに関心)
  • 将来仕事として関わりたい人は6割
    (JICA等政府機関が人気)
  • 高校までの動機付けをどう作るか
  • 大学で国際開発教育の動機付けをどう強化するか

国際開発の仕事に関心がある学生に対して、新卒採用の門徒が狭いといった受け入れ側の課題も多く、学生からはハードルが高い印象。専門性や経験も具体的に何をといった提示があるとキャリア形成に役立つといった学生側からの声も聞かれた。

【総括】

江崎氏、河野氏、須藤氏の順にそれぞれの立場で感じている国際協力人材についての現状や課題について発表を行った後、討論者末森氏からは、①国際協力とは何かを明確にする、➁国際協力の担い手(国際協力人材)はグローバル人材である、③働く環境を改善する、④人材確保に対しターゲットを大学生に加えて中高生に拡大するといった指摘があった。

討論者山田氏からは、「国際開発学」「国際開発業界」という言葉が暗黙のうちに作ってしまっている職業上の参入障壁と″業界人”の思考枠組みをいかに変えるか?テーマとしては関心がある、既に関わっているという層といかにつながるか?といった点について、有機的につながり続けるための仕掛けにイノベーションが必要との指摘があった。

今後、学生を含めた20代、30代をターゲットとしたイベント等を検討していくべく、学生に協力を呼び掛けた。

報告者:河野敬子(ECFA)

[2H03] SDGs Reexamined-Lessons Learned from Afrian Experience (English)

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:45名
  • 座長:Masato Noda (Ibaraki University)
  • ディスカッサント/コメンテーター:Woury M. Diallo (ex. World Bank)

第1発表:Aid Complementarity: Theory and Practice in Africa

Takeshi Daimon-Sato (Waseda University)

In this presentation, the author presented on aid complementarity in Africa. Main message can be summarized as follows: 1) competition is good, but coordination failure often results in costs for all parties. 2) there is a case for grand coalition for Win-Win-Win case, 3) It may be difficult to find a convergence for the Belt and Road Initiative (BRI) and Free and Open Indo-Pacific (FOIP) – but there exists a more realistic possibility for collaboration between FOCAC and TICAD for targeted topics. 4) in selected fields such as medical-public health/educational fields (example in Mauritania), there are some good practices in support of complementarity thesis, while transportation/energy infrastructure – there seems to be most difficult challenge to overcome. It is important to grasp the concept of complementarity with some gradation on the basis of a) Reciprocal Complementarities – South-South Cooperation, Equal Partner Cooperation / Interdependence, b) One-Sided Complementarities – Center-Periphery Relations (Growth Center vs Supplier Countries) / Dependence.  Further, the analysis could be broken into sectoral level (input-output inter-industry, or intra-industry) complementarities.  Also, multidimensionality of complementarities could apply to resources (skilled labor, capital), institutions, hardware and software (infrastructure and management system).

第2発表:Halfway of SDGs to 2030

Masato Noda(Ibaraki University)

SDGs are the global development goals 2016-2030. They are on halfway in 2023. They are required to reexamine based on the COVID-19 pandemic. Analysis of its impacts on SDGs requires multidimensional approach regarding to the three dimensions of sustainable development; economy, society and environment. The pandemic highlights vulnerability, especially people and are that left behind. COVID-19 pandemic is a global thread and crisis of human security. It is necessary to “rebuild our economies sustainably and inclusively.” “Remember, we are in this together,” “No one will ever be truly safe until everyone is safe” (Mohamed, A.J). SDGs motto, “No one left behind” is not just ideal but should be in practice. For post/with Corona society, it necessary to accelerate SDGs through human security approach in Anthropocene.

第3発表:Rely on China? Africa’s Path to SDG 10

Christian S. Otchia (Nagoya University)

This research explores the influence of Foreign Direct Investment (FDI) on regional inequality in Ghana, addressing the spatially imbalanced distribution of FDI, particularly in urban areas. Using a regional inequality index derived from predicted GDP, the study employs a panel data fixed effect model spanning 1994 to 2020 across ten regions, providing a nuanced regional-level analysis. Notably, FDI is found to significantly reduce regional inequality, highlighting the role of Ghana’s absorptive capacity. The study underscores the positive impact of FDI in the manufacturing sector, advocating for tailored policies to attract such investments to foster equitable regional development. Moreover, Chinese FDI is identified as a key contributor to reducing regional disparities, aligning with policies emphasizing infrastructure and employment. The research offers policy recommendations to optimize FDI distribution, strengthen bilateral relations with positive contributors like China, and align strategies with SDG 10. Emphasizing the non-linear relationship between FDI and regional inequality, the study calls for an adaptive approach to maximize benefits while mitigating potential disparities, emphasizing the manufacturing sector’s potential and aligning strategies with the African Continental Free Trade Area.

第4発表:China-Africa Cooperation and SDGs

Naohiro Kitano (Waseda University)

In this presentation, the author presented on the recent China-Africa relations and China’s efforts to make use of the SDGs to expand its influence, as well as challenges on the African side. China has been hosting the Forum of China Africa Cooperation (FOCAC) as a platform for enhancing relations with Africa. In 2021, for the first time, the ministerial conference adopted the long-term plan for FOCAC. The three-year plan shifted its focus from infrastructure to health, the digital economy, and human resource development. As for infrastructure, China has become more cautious about providing new loans as the debt problems of developing countries, including African countries, have worsened. A new initiative emerged in 2021: the Global Development Initiative (GDI), which provides a global platform hosted by China to accelerate the achievement of the SDGs. the GDI seems to be more of a foreign policy to increase the influence on global south rather than a development policy. Chinese government announced funding for the GDI, but not on the scale of the Belt and Road Initiative (BRI). From the developing countries’ perspective, taking Zambia as an example, good leadership and governance is the key to managing relations with China.

第5発表:China’s Party-State Relations in Africa

Takashi Nagatsuji (Waseda University)

How does the Communist Party of China (CPC) interact with the Chinese Ministry of Foreign Affairs (MFA)? Previous studies on party-state cooperation of China point out a clear division of work between the party and the state. However, in reality the divisional cooperation between the CPC and the MFA is blurry. My research untangles China’s party-state relations in Africa by constructing and analyzing original datasets covering the activities of both the International Department of the CPC Central Committee (IDCPC) and the MFA. The IDCPC is an organ in charge of the CPC’s external work. On the one hand, my research shows that party-state cooperation is not strong in terms of geographically selecting their partners and that their cooperation is weak even in the Belt and Road Initiative (BRI). On the other hand, my research shows that the IDCPC aligns with the MFA in their main activities, illustrating two types of party-state cooperation: Party-Led Cooperation and State-Led Cooperation. My research implies that China does not have one overarching Africa Strategy and the IDCPC and the MFA has its own Africa Strategy. This research contributes to the literature on China-Africa relations and advances understanding of the relations between political parties and state organizations.

【総括】

This round table is the kickoff session of new JASID ‘SDGs Re-examined’ Research Group. It aims to develop the research on SDGs post/with Corona era toward 2030, as the successor of precedent SDGs research groups of JASID: on ‘Sustainable Development and SDGs’ and ‘Resilience of Development and SDGs’. The book, Noda, M. ed. (2023) ‘SDGs Re-examined: Post/With Corona and Human Security’ is a fruit of them. Based on these, the research group plans to 1) conduct case studies of the regions, such as Africa, Asia and Pacific, and Latin America, 2) organize academic sessions and publish articles and books in English.

報告者:Masato Noda (Ibaraki University)

[2J03] 大国間競争の時代に ODAで「普遍的価値」を促進することの意味を問う

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*志賀 裕朗1、*福岡 杏里紗3、*荒井 真紀子2、*小林 誉明1(1. 横浜国立大学、2. JICA研究所、3. デロイトトーマツコンサルティング)

【総括】

報告者:

[2O06] 人口減少社会における創造的復興とは何か?

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:松岡俊二(早稲田大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:中村勝則(秋田県立大学)、工藤尚悟(国際教養大学)

第1発表:東日本大震災からの「ポスト復興」のまちづくり:岩手県陸前高田市の事例

木全洋一郎(JICA北海道帯広)

木全さんの陸前高田市の事例報告、戸川さんの紫波町オガールプロジェクトの事例報告、島田さん・辻さん・松岡の福島浜通り復興の事例報告は、まちづくりのビジョンやコンセプトの形成プロセス、公民連携(PPP)のプロセス、よそ者(外部者)と地域社会内の人々との関係、社会イノベーション創造のための知識創造や資源動員のあり方、政策形成と「対話の場」=「学びの場」の関係(科学と政治と社会の協働)のあり方など、さらに幾つかの基本的な評価軸で比較研究すると一層興味深い研究成果が生まれ、実践への教訓が明確になるように思います。

引き続き調査研究を続けたいと思います。

第2発表:多様な主体が地域で学習する場の形成を通じた地域再生に関する一考察:紫波町オガールプロジェクトの事例

戸川卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)

中村さんのコメントの研究者・専門家としてのまちづくりや地域再生への関与(参与)のあり方は、大学に籍を置く研究者・学者として深く考える必要を感じました。

12年半前の東日本大震災・福島原発事故は日本の大学と政治や社会のあり方を考える大きな機会だったのですが、今になって思うと、持続的な大学改革への努力が根本的に不足していたように思います。

ある意味で、そうした自主的な持続的な努力の不足が、「失われた30年」の日本の科学技術力や日本の大学の国際的な地位低下の大きな要因の一つであるように思います。

第3発表:人口減少社会における原子力災害からの福島再生を考える:福島再生塾の設立に向けて

松岡俊二(早稲田大学)
島田剛(明治大学)
辻岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)

工藤さんが最後の方でコメントいただいた以下の指摘は、福島の復興や廃炉の研究をする者として大変重く心に響きました。

「この12年半、福島へボランティアや視察などで訪れた人は私の周りにも多くいる。しかし、そうした多くの人々の福島の復興や廃炉への関心は持続せず、福島県浜通り地域の関係人口とはなっていない。このことは、福島県のホープツーリズムなどが提供する福島復興のメッセージやコンセプトと日本社会や世界の福島への想いが乖離していることを示しているのではないか。『福島の問題は日本の問題であり、福島の問題は世界の問題である』ということを明確なメッセージやコンセプトとして示していくことが必要ではないか」。

【総括】

11月12日(日曜)15:00-17:00、上智大学で開催されました国際開発学会・第34回全国大会・企画セッション「人口減少社会における創造的復興とは何か?」では、創造的復興、まちづくり、地域再生などをめぐり、地域社会内外の多様なアクターによる「場」づくりのあり方や知識創造・イノベーション創出のあり方など、大変充実した議論が出来ました。

報告者の方々、秋田からご参加いただいた討論者の中村さん、工藤さん、福島(富岡町)から参加いただいた穂積さんなど、参加された皆さんに心から感謝申し上げます。

報告者:松岡俊二(早稲田大学)

[2P02] テストと学力改善

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-413 (紀尾井坂ビル413)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*谷口 京子1、*光永 悠彦2、*渡邊 耕二3、*丸山 隆央4、*石井 洋5 (1. 広島大学、2. 名古屋大学、3. 宮崎国際大学、4. JICA緒方研究所、5. 北海道教育大学)

【総括】

報告者:

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



[RG24-4] 開発論の系譜

開発論の系譜

The Genealogy of Development Discourses

代表:大山 貴稔(九州工業大学)

国際開発学会の誕生から30年超が過ぎ去った。このあいだに対外援助を取り巻く国際的アジェンダは激変し、ドナー国を対外援助へと駆り立てる誘因も移り変わり、ドナー国が国内で抱える社会課題も変転してきた。

日本のJICAを例に採ってみても、外国人に向けて国内外で「日本の開発学」を展開したり、外国人材の受入支援に取り組んだりと、従来の取り組みに収まらない新たな兆しが見受けられる。国際開発学会もまた学術的及び社会的な布置の移り変わりと無縁ではいられない。

本研究部会の目的は、日本における国際開発観の刷新に向けて足場を築くことである。日本の対外援助ステークホルダーを取り巻く国内外の時勢の変転を見定めつつ、日本における「開発/発展」論の系譜を多世代かつ多分野から検討することにより、人口減少や財政逼迫、国際情勢の安全保障化など、日本で中期的に向き合わざるを得ない難題に耐えうる「開発/発展」論の再構築を試みる。

メンバーを中心とした定例研究会の継続的な開催はもとより、援助ステークホルダーや学会外の専門家を招いた勉強会ないし聞き取り会なども検討している。

部会活動の成果については、春大会ないし冬大会で企画セッションを設けて学会員への共有を図る。大会での討論を踏まえて、学会誌投稿(または特集号編纂)や編著本などを執筆することで、学会の内外に向けて研究成果を公表できればと考えている。

研究部会へのお問い合わせ窓口

 

関連情報
ニューズレター:活動報告
支部・研究部会について



『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2024年2月)

社会課題解決のための開発とイノベーション

Innovation and Development for Solving Social Problems

メンバー

代表

新海 尚子:Naoko Shinkai(津田塾大学)

副代表

徐 霈馨:Pei-Hsin, Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2021年10月~2022年9月)

2021年12月~2021年1月

研究部会メンバーとの日程調査、今後の方針について相談、Zoom準備

2022年1月15日土曜日

研究会 第1回 キックオフミーティング(メンバー紹介、今後の研究部会について)

2022年2月~4月

  • 研究部会メンバーとの次回研究会の内容、および日程調査
  • 研究会招聘講師調整、連絡
  • 第23回国際開発学会春季大会ラウンドテーブル企画
  • ラウンドテーブル企画招聘講師調整、連絡
  • 2023年度研究部会継続準備

2022年5月1日

研究会 第2回 開催(アジアにおける開発とイノベーションについて)
以下、予定

2022年6月4日土曜日

第23回国際開発学会春季大会における「社会課題解決のための開発とイノベーション」について、課題関連の意見交換およびラウンドテーブルセッション;
招聘講師 発表者とタイトル
Title: The application of AI technology to address SDG issues
Presenter: Dr. Vincent Y. Chen, Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan
Title: Gendered Dynamics of Women Migrant Workers in Northern Thailand
Presenter: Dr. Ariya Svetamra, Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University
オンライン打ち合わせ

2022年6月18日土曜日

第23回国際開発学会春季大会における研究部会企画ラウンドテーブルセッション
ラウンドテーブル「Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia」を実施(ファシリテーター:代表者Naoko Shinkai (Tsuda University) および副代表者 Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute))。

当日参加者と、上記 Y. Chen、Dr. Ariya Svetamraによる講演後、講演者と自由に意見交換を行なった。

2022年7月24日日曜日

研究会 開催(アジアにおける開発とイノベーションについて)

Title: Innovation and Development for Solving Social Problems from AI prospects

Presenter: Dr. Vincent Y. Chen, Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University

Y. Chen氏による、タイトル(AIの観点からのイノベーションと社会課題)について講演頂き、研究メンバーと意見交換を行なった。

2022年8月

2022年度IDSSP-JASID研究セミナー準備。

2022年9月18日日曜日

2022年度IDSSP-JASID研究セミナー、津田塾大学総合政策研究所と共同開催
2022 IDSSP-JASID Research Seminar/The 5th TU-RIPS Seminar on
“Business Innovation during Crises“につき、講演者と代表、副代表で打ち合わせ

2022年9月25日日曜日

2022年度IDSSP-JASID研究セミナーを津田塾大学総合政策研究所と共同開催し、スリランカのスリジャヤワルダナプラ大学の起業センター長Rukmal Weerashinghe氏、人文社会学科長Shirantha Heenkenda氏を迎えて実施された。

2022 IDSSP-JASID Research Seminar/The 5th TU-RIPS Seminar on
“Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance“

講演者:Dr. Rukmal Weerasinghe Professor, Faculty of Management Studies and Commerce Chairperson, Center for Entrepreneurship and Innovation University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka

開会の言葉、コメンテーター:Dr. Shirantha Heenkenda Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka

閉会の言葉、ファシリテーター:新海尚子(本研究部会 代表者)

2年目(2022年10月~2023年9月)

2022年11月〜2023年1月

2年目活動計画 打ち合わせ、国際開発学会春季大会における企画セッション計画、発表者募集

2023年2月〜2023年3月

企画セッションテーマおよび研究部会メンバーより 発表者4名、コメンテーター確定、企画セッションのAbstractと、発表者からのAbstractを収集し大会実行委員会に提出

2023年4月〜2023年5月

大会にて報告する研究成果のため研究調査を進める、報告論文を用意、大会実行委員会に提出

2023年6月10日土曜日

国際開発学会第24回春季大会で企画セッション
“Learning from Current Practices in Sustainable Society”
(使用言語 英語、オンライン)において、4名の研究部会メンバーによる研究成果を発表。同じくメンバーのコメンテーターによるディスカッションも合わせて、本研究部会テーマにおける最近の各地域におけるプラクティスや課題についても話し合った。本研究部会における成果についても話し合った。

”Learning from Current Practices in Sustainable Society”

(1) 企画責任者(Organizer):Naoko Shinkai (Tsuda University)

(2) 司会(Chair/Moderator):Naoko Shinkai (Tsuda University)

(3) Presenter: Pei-Hsin Hsu(Taiwan Forestry Research Institute)
Title: Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar

(4) Presenter: Rido Thath(CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
Title: Sustainability of Community Tourism in Cambodia

(5) Presenter: 〇Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)

Title: Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-

(6) Presenter: 〇Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)

Title: The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics

(7) 討論者(Discussant):Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)

3年目(2023年10月から2024年9月)←今年度

2023年11月〜2024年1月

3年目活動計画 打ち合わせ

2023年12月

国際開発学会全国大会におけるセッション発表もしくは国際開発学会春季大会におけるセッション発表予定。

2024年1月~6月

開発とイノベーションにおける試みについてー成果まとめ発表

2024年7・8月

開発とイノベーションにおける試みについてー成果をまとめる予定。


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<終了>

国際開発学会第23回春季大会ラウンドテーブル「Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia」を実施

研究部会、津田塾大学総合政策研究所共催IDSSP-JASID/TU-RIPSセミナー”Business Innovation during the Crises:no trade-off between human rights and business performance“

2年目<終了>

国際開発学会第24回春季大会企画セッション”Learning from Current Practices in Sustainable Society”で研究部会メンバー4名による発表。

3年目<今年度>

国際開発学会全国大会もしくは春季大会において発表予定。また成果をまとめる予定


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究部会の代表者および副代表者は、女性会員であり、またメンバーのうち半分以上が外国人会員である。

研究部会でセッションを企画する場合は、なるべく若手研究者が、研究成果を発表するように心がけている。

外部専門家の招聘についてメンバー全員に伺う中で、女性会員や外国人会員の意見を取り入れられるよう、意見が出てきた場合には反映するようにしている。


『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




参加者募集:「移住と開発」研究部会・第1回研究会 2月12日開催(会員・一般)

コロナ禍を契機にJICAやNGOなど国際開発に携わってきた組織が日本国内に暮らす外国人(移民)を支援する動きが広がっています。SDGsにおいても、ゴール8、10などで「移住労働者」が具体的に取り上げられるようになりました。

しかし、日本においては移民研究と開発研究がこれまで別個に発展しており、相互の結びつきはまだ強いとは言えません。そこで、移住もしくは開発に興味のある方たちが集い、議論を行うためのプラットフォームとして、2023年10月より、国際開発学会にて、「移住と開発」研究部会が始動しました。

この度、第1回研究会を行う運びとなりましたので、ご案内申し上げます。

第1回研究会は、「移民(外国人)の日本への移住経験は送り出し国社会にどのような影響を及ぼす(した)のか」を大きなテーマとし、関連する実践・研究を研究部会メンバー2名が報告します。

国際開発学会の会員でなくても、どなたでも参加いただけます。ただし、参加には申込みが必要です。皆さまのご参加をお待ちしています。

開催概要

  • 日時:2024年2月12日(月曜・祝)14:00-16:30(終了後、近隣で懇親会を予定)
  • 方法:対面を中心としたZoomとのハイブリット形式
  • 会場:武庫川女子大学 中央キャンパス 中央図書館棟6階 C601教室
    (最寄駅 阪神電車「鳴尾・武庫川女子大前」駅 徒歩8分)
    *大阪梅田から20分、神戸三宮から25分で着きます
  • 定員:対面は25名
  • 対象:国際開発学会会員、テーマに関心のある方(非会員の参加も歓迎します)
  • 参加費:無料

プログラム

「移住と開発」研究部会 研究会の始動にあたって

生方 史数(岡山大学)

報告1
「『失踪』からのベトナムへの帰還―元技能実習生における主体性」

加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

ベトナム人技能実習生の「失踪」が社会課題として盛んに報道されている。しかし、「失踪」者がいかなる「主体性」をもって日本で生きていたのか、また、ベトナムに帰国後、どのように生活を営んでいるのかは十分に明らかにされていない。

本報告は2023年8-9月にベトナムで行ったインタビューの結果を元に、元ベトナム人技能実習生がたどった軌跡を「主体性」の観点から検討する。

報告2
「介護労働に従事する移住女性の生活戦略」

二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

再生産労働の国際分業とともに国際移動の女性化が進行するなか、日本国内の急速な少子高齢化と労働力不足の深刻化を背景に、介護施設で就労する外国人女性が増加の一途を辿っている。

本報告では、中国地方の介護施設で働くミャンマー人女性に焦点を当てて、彼女たちがどのような動機から日本での就労を選択したのか、また、この経験をどのように捉え、いかなる将来展望を抱いているのかについて検討する。

モデレーター

佐藤 寛(開発社会学舎、アジア経済研究所名誉研究員)

申し込み方法

Google Form()にてお申し込みください。

*2月10日(土曜)18:00締め切り


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会「移住と開発」研究部会
加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

  • jotaro33 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



CEIS企画セッション「厄介な問題に挑戦する境界知作業者とエンパ シー能力」12/17開催(会員・一般)

環境情報科学センター(CEIS)研究発表大会・企画セッション:厄介な問題に挑戦する境界知作業者とエンパシー能力

12月17日(日曜)13:00-16:00、オンラインで以下のCEIS企画セッションを開催します。厄介な社会課題にアプローチする「対話の場」のあり方に関心のある皆さんのご参加をお待ちしています。

開催概要

  • 開催日程:12月17日(日曜) 13:00-16:00
  • 開催方法:オンライン(Zoom)*申込みいただいた方にZoomアドレスをお知らせします。

参加申込:

ご所属・お名前を書いたメールを、以下の事務局へお送りください。
Zoomアドレスなどをご案内します。

  • 事務局メール: [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

企画セッションの趣旨と目的:

気候変動や災害対策などの社会問題の特性は、トランス・サイエンス的課題(trans-scientific questions)あるいは厄介な問題(wicked problems)であり、「科学に問うことはできるが、科学で答えることはできない」という性質を持つ。

こうした厄介な問題の「解決策」としては、科学と政治と社会の協働による「対話の場」の形成と新たな知識生産によって「成解」を創ることで、社会的納得性が得られると考えられてきた。

しかし、どのような「対話の場」を形成し、「対話の場」をどのように「学びの場」へ進化させることが、政策決定プロセスを経て社会が納得する「成解」の導出に繋がるのかは不明な点が多い。

本企画セッション「厄介な問題に挑戦する境界知作業者とエンパシー能力」は、「対話の場」の形成と「学びの場」への進化における社会的学習プロセスのあり方、「対話の場に」=「学びの場」における境界知作業者(boundary knowledge worker)の役割、境界知作業者とエンパシー能力のあり方などに注目し、気候変動や災害対策などの厄介な問題の「解決」へ有効な「対話の場」=「学びの場」とは何かを広く議論し、深く考える。

プログラム:

司会:松岡俊二(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科・教授)

報告:13:00-14:00

1. 寺本 剛(中央大学理工学部・教授、哲学)

「対話の難しさと重要性:トランス・サイエンス的課題と厄介な問題」

概要:

科学技術と政治と社会とが絡み合う問題には本質的に不確実性が伴うため、多様なアクターによる「対話の場」を通じた合意形成が求められる。しかし、そこには独特の難しさがある。本報告では、1970年代に登場したトランス・サイエンス的課題と厄介な問題というコンセプトを手がかりに、「対話の場」による意思決定の難しさについて考え、粘り強く付き合い、多様なアクターが「対話の場」を通して学び合うプロセス(「学びの場」)を社会全体で形成していくことの重要性を指摘する。

2. 松岡俊二(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科・教授、環境経済・政策学)

「科学と政治と社会の協働による対話の場:1F地域塾と福島再生塾」

概要:

福島における復興と廃炉に関する調査研究を進める中で、科学(多様な専門家)と政治(国・地方行政)と社会(地域住民・国民)の協働による「対話の場」=「
学びの場」の重要性と必要性を考えるに至った。本報告では、2022年7月から地域社会、国・東電、研究者、マスコミ関係者などで始めた1F廃炉を対象とした1F地域塾、2023年度末に設立予定の原子力災害からの地域再生・まちづくりを対象とした福島再生塾を対象に、「対話の場」のあり方を考察する。また、スリーマイル島原発(TMI-2)廃炉に関する市民パネルやイギリス、フランスなどの気候市民会議などについても言及し、「対話の場」=「学びの場」とは何かについて論じる。

3. 辻岳 史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点・主任研究員、地域社会学)

「境界知作業者とは誰か?:科学・政治・社会の協働による『対話の場』のキーパーソンに焦点をあてて」

概要:

近年、科学技術と政治と社会とが絡み合う厄介な問題(環境問題や災害対策など)に対処するため、多様なアクターによる「対話の場」を形成する意義が指摘され
ている。そして、「対話の場」の形成に貢献する存在として、境界知作業者に注目が集まっている。境界知作業者は科学・政治・社会の諸領域を横断して活動し、専門知と地域知を繋ぐ役割を果たすと指摘されているが、具体的な人物像や能力は明らかにされていない。本報告では、環境研究や災害研究などの諸分野で提起されている境界知作業者と類似の概念(honest brokerや政策起業家など)をレビューし、境界知作業者の具体的な人物像と能力を抽出し、日本社会における境界知作業者・育成の課題を明らかにすることを試みる。

討論:14:00-14:40

  • 葛西優香(東日本大震災・原子力災害 伝承館・常任研究員)
  • 前川直哉(福島大学教育推進機構高等教育企画室・准教授)
  • 田村哲樹(名古屋大学大学院法学研究科・教授)
  • 戸川卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点・主任研究員)

休憩:14:40-14:50

総合討論:14:50-16:00


本件にかんするお問い合わせ先

環境情報科学センター(CEIS)研究発表大会・事務局

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2023年11月)

2023年度活動報告(Oct. 2022-Sept. 2023)

This year will be the second year since the establishment of our research group, IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems). Based on the activities conducted in the FY 2022, we discussed the directions of research, examined research progress of our group members, organized an oral session at the 24th JASID Spring Conference, and made presentations to share research findings of our group members.

In Dec. 2022 and Jan. 2023, we consulted with member representatives about the directions of research.

In Feb. 2023, we reviewed research progress of our group members, organized an oral session for the 24th JASID Spring Conference, prepared abstracts of papers for presentations and also of our session, and submitted a plan of our session to the conference secretariat. We also elected a commentator for our session.

In March and April 2023, designated presenters prepared full papers.
In May 2023, full papers from presenters were collected and submitted to the conference secretariat. In the meantime, we were consolidating research activities for the next year.

In June 2023, our session we held at the 24th JASID Spring Conference.

Title: Learning from Current Practices in Sustainable Society

  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)

Presenter:

  1. Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
    “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.”
  2. Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
    “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.”
  3. 〇Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
    “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability
    Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
  4. 〇Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)
    “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”

This session was conducted virtually, while some presenters presented in person. We received constructive suggestions during the session, and we could deepen our understanding of sustainable society by integrating our research findings.

In August and September 2023, we were consolidating research activities for the next year.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




参加募集「岩手県宮古市でロジックモデルと指標を社協のみなさんと一緒に学ぼう! 」11月1・2日開催(会員・一般)

学会員の三好崇弘です。国際協力と地域おこしの異業種交流会をしている「 グローカルな仲間たち」を主催しています。

今回、岩手県宮古(みやこ)で、社会福祉協議会のみなさまとともに、社会課題解決のツールとしてつかえる、ロジックモデルと、実行にかかせない「指標(インパクトとプロセスの測り方」」を学びます。

宮古は震災復興の現場でもあるので、リアルな体験や知見を社会福祉協議会のみなさまから聞く機会もあります。

夜と翌日は、有志で宮古の観光(社会見学)をします。

グローカルな仲間たちの補助があるのでかなり格安です。交通費と宿泊費(ビジネスホテル利用」は自己負担です。

開催概要

■タイトル:岩手県宮古市でロジックモデルと指標の作り方を社協のみなさんと一緒に学ぼう! (前後観光もしちゃおう!)

  • 日時:2023年11月1日(水曜)13:30~17:30(勉強会)*その前後に観光つき(有志)
  • 場所:宮古市社会福祉協議会(仮)
  • 定員:10名(先着順)
  • 参加費:3,000円(資料代、会場費、夜の懇親会込み)学生の方は無料(交通費・宿泊費は個人負担です)

勉強会の内容

地域の社会課題を解決するロジックモデルと実行必要な指標について参加型で学びます。

第一部 ロジックモデル
・ 地域課題を分析する問題分析
・ 解決策を探る目的分析
・ 事業化(プロジェクト)
・ 包括的事業(プログラム)
第二部 インパクト指標
・ 指標(Indicator)の基本
・ プロセス指標とインパクト指標
・ 量的指標と質的指標
・ モニタリングの基本と演習


本件にかんするお問い合わせ先

グローカルな仲間たち・三好

  • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



SSE研究部会・公開研究会「社会的企業/社会的投資とサステナブルな社会形成 ~ARUNの実践から~」10月23日開催(会員・一般)

社会的企業/社会的投資とサステナブルな社会形成 ~ ARUNの実践から

ARUN合同会社代表/特定非営利活動法人ARUN Seed代表理事/創設者、功能 聡子様から、社会的企業、社会的投資に関し、ARUNのご経験、背景・現状・可能性についてご報告を予定しています。

援助依存からの脱却へ、カンボジアの社会的企業に投資(2009)以来、ARUNは、「地球上のどこに生まれた人も、ひとりひとりの才能を発揮できる社会」の実現を目指して、人々のエンパワーメントと持続可能な社会の構築に取組んでいます。

ARUNの活動の二つの柱は、起業家の支援を通じて社会課題の解決を目指す社会的投資の実践と、社会的投資への理解を深め、起業家と支援者を繋ぎ、共に社会課題の解決に取り組んでいくコミュニティの形成です。

お金はビジネスを進めたり応援したりするためのツール、「社会的投資」は、私たちが望む未来へ一票を投じること、社会に参加する新しい方法です。(ARUNサイトより)

開催概要

  • 日時:2023年10月23日(月曜)17:00~19:00
  • 会場:オンライン
  • 参加費:無料(要申込)
  • 主催:SSE研究部会
  • コメンテーター:佐藤 寛 氏(開発社会学舎主宰)
  • 司会:古沢広祐(SSE研究部会)

功能 聡子 氏(ARUN Seed代表理事)

ARUN合同会社/特定非営利活動法人ARUN Seed
URL:


本件にかんするお問い合わせ先

社会的連帯経済(SSE)研究部会
古沢研究室

  • furusawa [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会 ピッチイベント

NEDOオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)は、オープンイノベーションを創出することを目的とし、スタートアップ企業によるピッチイベント「NEDOピッチ」を開催いたします。

第51回目の開催となる今回は、2023年9月5日(火曜)18時より、オンラインにて実施いたします。

今回は、「ADX × 医療 / ヘルステック」をテーマに、東南アジア・南西アジアでビジネスを展開しているスタートアップ4社にご登壇いただきます。

医療・ヘルステック分野の海外ビジネスにおけるオープンイノベーションや協業連携にご関心をお持ちの方は、是非ご参加ください。

イベント概要・申込ページ

登壇企業

1)Toy Eight Holdings Co., Ltd.

<事業概要>
東南アジアを主要市場に創業。データ取得フェイズで社会課題解決に着目し、マレーシア政府の支援を得て大学と協業で発達健診システムを実用化。総合病院などに導入済みで、すでに9,000件を超えるデータ取得に成功。

2)メロディ・インターナショナル株式会社

<事業概要>
クラウド型の遠隔医療サービスにかかる妊婦さんと赤ちゃんの健康管理プラットフォーム (Melody i)と医療機器の製造、開発および販売。周産期における遠隔医療コミュニケーションプラットフォームの構築。

3)株式会社Vitaars

<事業概要>
専門の医師・看護師によ る遠隔ICU(集中治療)・遠隔医療支援サービスを展開。日本国内では、24時間リアルタイムに支援する遠隔相談システム「リリーヴ」や、医師看護師が 直接監修した遠隔モニタリングシステム「クロスバイ」を提供している。

4)MEDRiNG Co., Ltd.

<事業概要>
東南アジアのクリニック向けクラウド電子カルテ「MEDi」の開発・販売を軸に、クリニック運営・データビジネス・人材ビジネスを展開中。拠点は東京・ベトナム ハノイ/ホーチミン・インドネシア ジャカルタ。

開催概要

  • 日時:2023年9月5日(火曜)開演18:00 終了予定20:00
  • 場所:オンライン配信
  • 視聴料:無料
  • 視聴方法:ZOOM
  • 主催:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)事務局

運営

  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
  • PwCコンサルティング合同会社
  • 株式会社eiicon

後援

  • 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
  • 独立行政法人国際協力機構(JICA)

皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。


本件にかんするお問い合わせ先

2023年度オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)運営事務局
PwCコンサルティング合同会社PS(公共事業部)
鐘ヶ江、工藤、倉本

  • jp_cons_open_innovation_promote [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目2番1号 Otemachi One タワー



JANIC THINK Lobbyジャーナル創刊号

会員の重田康博(国際協力NGOセンター(JANIC)政策アドバイザー/宇都宮大学)です。

この度、JANIC/THINK Lobbyでは、研究誌『THINK Lobbyジャーナル』創刊号をしましたので、お知らせします。

私も編集を担当しています。本誌は、学会誌ではないので、会員にならなくても、研究者、院生なども投稿が可能性です(研究論文は査読あり)。詳しくは、下記に情報をお読み下さい。

広く大学関係者や研究者などにご紹介いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

詳細情報

JANICの下に設立されたシンクタンク THINK Lobby は、研究誌『THINK Lobby ジャーナル』を創刊しました。

本誌は、私たち市民が政策を提案するための「政策起業力」を育むという THINK Lobby の目的達成に向け、グローバル市民としての意識を持つ幅広い世代の研究を後押しし、研究成果の交流
の場を提供します。

創刊号では、市民社会の視点から貧国撲滅や平和構築等の国際課題に取り組んできた研究者による研究ノート/調査報告に加え、市民社会シンクタンクの意義をテーマとした識者による座談会記事や、台湾のオードリー・タン氏を論客に迎えた THINK Lobby 設立記念イベントの講演録等を収録しています。

本誌は今後、定期刊行物として毎年 3 月に発刊されます。国際協力 NGO センターまたは THINK Lobby と何らかの接点を持つ NGO 関係者、専門家や SDGs に関連するテーマに取り組む学術
関係者・実務従事者等から随時、広く投稿を募集しています。

投稿募集

平和で公正で持続可能な世界の実現に向け、グローバルな視点で、「経済」「社会」「環境」「人権」「政治」分野に焦点をあてたもの。

<例>
  • 経済課題(経済、税制、雇用、インフラなど)
  • 社会課題(教育、保健、ジェンダー平等、水・衛生、食料・農業、防災・減災、多文化共生など)
  • 環境課題(環境、生物多様性、気候変動、エネルギー、廃棄物処理など)
  • 人権課題(持続可能な開発と人権、当事者にとっての人権、環境・社会と人権、市民社会スペース、など)
  • 政治課題(民主主義、政府の透明性、報道の自由など)

創刊号目次

巻頭挨拶
市民社会シンクタンクの挑戦 すべての人々が自由に行き交い、議論できるロビーを目指して

座談会記事
市民と政府をつなぐ「中間組織」としての存在感に期待 共感を広げる発信力と企画力を

報告記事
「社会変革は『わたし』の手から~市民社会シンクタンクの挑戦」オードリー・タンさんと阿古智子さんの対話から

研究ノート

  • バングラデシュの開発 NGO のショミティ方式からマイクロファイナンスへの変化と課題
    ~ノルシンディ県の PAPRI とその他の代表的 NGO を中心に~
  • DAC 市民社会勧告の実施
  • NGO の構造的な課題への問いかけ─『データブック 2021』と国際開発学会 RT の学びから─

調査報告
市民社会スペースに関する知見の現在地

報告記事

  • 公正な社会に向けた企業の役割とは
  • コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクト報告
  • 第7回国際会議:アジアにおける表現の自由に参加して

活動記録

  • 2023 年 G7 広島サミットに向けた市民社会の取り組み
  • アジアにおいて民主主義と市民社会スペースを守る
  • 開発協力大綱の改定について

書評:『増補改訂版 日本ボランティア・NPO・市民活動年表』(2022)
大阪ボランティア協会ボランタリズム研究所 監修
石田易司/岡本仁宏/永岡正己/早瀬 昇/牧口 明/目加田説子/山岡義典 編

編集後記
市民によるシンクタンクはなぜ必要なのか?

電子版

J-stage ()
から無料で全文ダウンロードいただけます。

書籍のご購入

Amazon()をご利用ください。


本件にかんするお問い合わせ先

重田康博(JANIC THINK Lobby政策アドバイザー/宇都宮大学)

『THINK Lobby ジャーナル』発売・発行・編集制作

  • 編集・発行:NPO法人国際協力NGO センター
  • 発行所:出雲出版(島根県出雲市下横町 350)
  • E-mail:admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

JANICのビジョン

「平和で公正で持続可能な世界の実現」に向け、2022年4月より政策提言・啓発部門の強化を目的に、本部門の名称を改め設立しました。

THINK Lobby(シンクロビー)のミッション

政府任せではなく、市民一人ひとりが共に学び、考え、行動し、つくりたい社会を実現すること。そのために、市民社会シンクタンクを国内外の組織や研究者と共につくり、調査研究・政策提言・情報発信を通じて、市民が社会を変えるための手段と機会を創出します。

NPO 法人国際協力 NGO センター(JANIC)
THINK Lobby 担当:芳賀

  • admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



「生物多様性国家戦略 2023-2030」の閣議決定について

この度、3月31日に「生物多様性国家戦略 2023-2030」が閣議決定されました。

本戦略は、昨年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において採択された生物多様性に関する新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえ、世界に先駆けて策定されました。

2030年のネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を目指し、地球の持続可能性の土台であり人間の安全保障の根幹である生物多様性・自然資本を守り活用するための戦略としております。

電子版につきましては、下記ページよりご覧いただくことができます。

報道発表資料

「生物多様性国家戦略2023-2030」の閣議決定について | 報道発表資料 | 環境省 ()

環境省HP

生物多様性国家戦略 | 生物多様性 -Biodiversity- ()

今回の戦略では、生態系の健全性の維持・回復の他にも、自然を活かした地域振興等の社会課題の解決、ネイチャーポジティブに資する経済活動、一人一人の行動変容などが基本戦略の柱として記載されるなど、今まで以上に多様な主体の連携と社会変革の重要性が強調されております。そのため幅広に周知をしたく連絡をさせていただきました。

本戦略に基づく生物多様性保全の取組について、引き続きご理解とご協力をお願いできれば幸いです。


本件にかんするお問い合わせ先

環境省 自然環境計画課
生物多様性戦略推進室

  • NBSAP [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2023年2月)

活動報告

Research Group: ”Innovation and Development for Solving Social Problems”                  

The research group (RG) on Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP) was launched early 2022 with the objective of tackling common issues observed in the world and sharing solutions and lessons learned in the process of innovative approaches that can be applicable elsewhere.

We had several events in 2022.

We organized a roundtable session for the 23rd JASID Spring Conference and invited two professors, one from Taiwan and another from Thailand, to share their experiences. Dr. Vincent Y. Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University from Taiwan explained the application of AI for environmental protection in tourism development and Dr. Ariya Svetamra at the Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University demonstrated the use of FPAR(Feminist Participatory Action Research) to cope with the issue of violence toward female migrant workers. This session was consisted of two parts, lectures, and discussions. In the latter part, participants expressed their opinions for these lectures and shared their own experiences. Both speakers and participants are from outside Japan and attended the session virtually. The session was facilitated by the Chairperson of this RG, Dr. Naoko Shinkai at the Department of Policy Studies, Tsuda University and the Vice-Chair, Dr. Pei-Hsin Hsu at Taiwan Forestry Research Institute.

After this, we had a small seminar with Dr. Chen to follow up some details on his project in July.

We also hosted a webinar, a research seminar on Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance in September, 2022. This seminar was co-organized with the Research Institute for Policy Studies, Tsuda University (TU-RIPS). We invited two guest speakers from Sri Lanka, Dr. Rukmal Weerasinghe, Professor, Faculty of Management Studies and Commerce, and the Chairperson of the Center for Entrepreneurship and Innovation, University of Sri Jayewardenepura, and Dr. Shirantha Heenkenda, Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences, University of Sri Jayewardenepura. The Chairperson of this RG and the Director of TU-RIPS, Dr. Naoko Shinkai, made opening remarks and served as a facilitator

The details can be found from the websites below:

The seminar flyer:

The report of this seminar:

In 2023, we plan to have seminars and a session about innovation and development at the JASID conference. Since most of the RG’s members reside overseas, we will continue our activities virtually.

We appreciate your support and look forward to your participation.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




参加募集「中南米と日本の若者によるJUNTOS!!学生会議・スタディ・キャンプ型ワークショップ」1月21・22日(会員・一般)

グローカルな仲間たちは国際協力と地域おこしの融合をする様々な勉強会を開催しています。

学生を対象としたスタディツアーの募集です。「中南米と日本の若者によるJUNTOS!!学生会議・スタディ・キャンプ型ワークショップの」が、静岡県掛川市(キウィフルーツカントリー)で開催されます。募集するのは、中南米の若者たちと地方創生について交流しながら考えてみたい学生(大学生以上)です。

参加するのはJUNTOS!という中南米と日本をつなげるプログラムの参加者と同テーマに興味がある方々。JUNTOS!とは日本政府(外務省)が推進する国際交流事業「対日理解促進交流プログラム」のうち中南米地域を対象としたプログラムです。JICEが実施団体の一つとして、プログラムの企画運営を行っています。締め切り、プログラムの詳しい内容、その他はWebページで。

詳しくはこちら

開催概要

「JUNTOS!学生会議スタディ・キャンプ型ワークショップ@静岡県掛川市- 中南米と日本の若者たちが描く地方創生のスタイル-」

中南米の様々な分野において日本との関係強化に貢献することが期待される若者を対象にした「Juntos!!中南米対日理解促進交流プログラム」の卒業生、そして同テーマに関心をよせる日本の若者が参加します。世界に共通する開発課題(今回テーマは、地方創生)について、フィールド経験を共有し、話し合い具体的な未来のビジョンと自らのアクションプランを提示し、将来につながるグローバルな人脈づくりを構築します。

  • 期間:2023年1月21・22日(土・日)
  • 場所:静岡県掛川市 (キウィフルーツカントリーJAPAN、掛川城周辺他)
  • 参加対象者:過去にJUNTOS!に参加した 中南米の若者(5名)、JUNTOS!に参加した、またはテーマに関心のある学生(5名程度)
  • 主催:JICE(一般財団法人 日本国際協力センター)
  • 企画広報協力: グローカルな仲間たち
  • 受入・地域調整: 掛川キウィフルーツカントリーJAPAN

応募資格

プログラムテーマに関心のある日本人学生。中南米を含む世界の人たちと人脈を築きたい方。地域おこし、地方創生など社会課題について関心のある方。その他についてウェブでご確認ください。

参加費

2,000円
*参加費には、東京-掛川までのJR新幹線往復(自由席)、掛川での一泊二食、および資料代が含まれます。


本件にかんするお問い合わせ先

三好(グローカルな仲間たち)

  • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



学生スタディ・ツアー「南アジアの未来人財とつくる地域開発のビジョン@中之条」12月17・18日開催(会員・一般)

学生を対象としたスタディツアーの募集です。「南アジアの未来人財(若者たち)と日本をつなぐツアー型ワークショップ」が、花と温泉の町、群馬県中之条町で開催されます。

募集するのは、南アジアを含む世界の人たちと開発課題(農業とエネルギー)について交流しながら考えてみたい学生(高校生以上)です。

参加するのは南アジア地域協力連合(SAARC:South Asian Association for Regional Cooperation)出身の若者たち。SAARCは、南アジアにおける比較的緩やかな地域協力の枠組みであり、南アジア諸国民の福祉の増進、経済社会開発及び文化面での協力、協調等の促進等を目的としています。加盟国は、南西アジアの8か国(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ、アフガニスタン)です。

開催概要

「JENESYS2022(対象国:SAARC諸国)SAARC同窓生との学生会議」
南西アジアと日本の未来を語るスタディツアー型ワークショップ@群馬県中之条

※JENESYSとは日本政府(外務省)が推進する国際交流事業「対日理解促進交流プログラム」のうちアジア大洋州地域を対象としたプログラムです。JICEが実施団体の一つとして、プログラムの企画運営を行っています。

  • 期間:2022年12月17・18日(土・日)
  • 場所:群馬県中之条町
  • 参加対象者:過去にJENESYSに参加した SAARC諸国出身の日本在住の海外人財(6名)、テーマに関心のある日本人学生(6名)
  • 実施言語:英語(英検3級程度以上)
  • 費用: 参加費2,000円
    参加費には、上野-中之条までのJR往復、四万温泉での一泊二食、および資料代が含まれます。
  • 共同主催:JICE(一般財団法人 日本国際協力センター)、NPO法人中之条コネクト

内容

未来のアジア地域の発展を担うSAARCの若者(海外及び日本)が、世界に共通する開発課題(今回のテーマは農業とエネルギー)について、フィールド体験を通じて話し合い、具体的な未来のビジョンと自らのアクションプランを提示し、将来につながるグローバルな人脈づくりを構築し、日本・アジア、そして世界平和の発展の礎を創出します。

世界共通の兆候である、高齢化・農業の衰退、エネルギー危機といった課題をもつ日本の地方(今回は群馬県中之条町)に訪問し、現場の問題や解決の事例を体験を通じて知ることで、参加者の現場感や、交流を通じチーム力を高め、効果的な人脈形成とより現実的なビジョンを作る能力を高めます。

応募資格

プログラムテーマに関心のある日本人学生。南アジアを含む世界の人たちと人脈を築きたい方。地域おこし、農業、エネルギーなど社会課題について関心のある方。簡単な英語でのコミュニケーションが可能な方(英検3級程度を期待しますが、英語以上にコミュニケーションしたいという気持ちや積極的な態度がもっと大切です。)、事前のオンラインでのオリエンテーション1時間程度に参加可能な方(日程は参加者の都合を考慮して決めます)、すべての日程に参加できる方。グローカルな仲間たちのメンバーである方(または、いまはメンバーでなくても入会希望者。会費や会則はありません。)

詳しい内容はwebで。募集人数6名を数名を超えた段階で一度締めきります。


本件にかんするお問い合わせ先

グローカルな仲間たち
三好崇弘

  • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



2022年度・活動報告『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2022年11月)

Activity Report in the FY 2022

(Oct. 2021-Sept. 2022)

IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems) was launched in January 2022 after its establishment was approved in the 32nd Annual Conference of JASID in Nov. 2021. This research group was created to provide a platform for researchers in the field of international development to exchange ideas and share knowledge on the process of solving social issues, which are commonly observed in the World, and conduct inter-disciplinary research on applicable innovations. Since half of our members reside outside of Japan, all activities have been conducted online.


In Jan., 2022, a kick-off meeting was held and members were introduced. We also planned our activities for the financial year 2021-2022.

Between Feb. and April, 2022, we prepared for a round table session in the 23rd Spring Conference of JASID. We chose guest speakers and topics, and communicated with guest speakers to organize our session.

In June 2022, a roundtable session, titled “Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia“, was held during the 23rd Spring Conference of JASID. In this roundtable session, we discussed commonality and differences of social issues in Asia and the use of multifaceted approaches in problem-solving. We invited two guest speakers, Dr. Vincent Y-W Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan, and Dr. Ariya Svetamra, Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University, Thailand.

Dr. Chen presented on “The Application of AI Technology to Address SDG issues” and demonstrated the application of Artificial Intelligence (AI) to protect green sea turtles in Xiao Liuqiu island, Taiwan, and how to develop sustainable tourism and communities for nature conservation.

Dr. Svetamra presented on “Gendered Dynamics of Women Migrant Workers in Northern Thailand”, described the severe conditions, which migrant women in Northern Thailand had to face in their lives, and explained the application of FPAR (Feminist Participatory Action Research) to create their opportunities in the future. In the discussion session following two talks, participants shared the issues and knowledge in tourism development and international migration.

The vice representative, Dr. Pei-Hsin Hsu, and the representative, Dr. Naoko Shinkai, co-chaired this roundtable session.

 In July 2022, we had a research meeting with Dr. Chen to follow up on the issue of innovation and development from AI prospects.

In September 2022, a joint seminar, 2022 IDSSP-JASID research seminar/The 5th TU-RIPS seminar on “Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance “was held.

This seminar was co-organized by IDSSP and the Research Institute for Policy Studies, Tsuda University. In this seminar, two professors from Sri Lanka, Dr. Rukmal Weerasinghe, Professor, Faculty of Management Studies and Commerce and the Chairperson, Center for Entrepreneurship and Innovation, University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka, and Dr. Shirantha Heenkenda, Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka made presentations.

Dr. Weerasinghe provided a talk on the innovative business operations in Sri Lanka in a state of multiple crises, economic and financial crises, and pandemic, and illustrated how the right of employees was preserved.

Following the talk by Dr. Weerashinghe, Dr. Heenkenda made a speech and added the legal background of human rights in business in Sri Lanka and called attention to possible human rights risks during the crises. In the discussion session after two talks, we reviewed essential factors in leading and developing business in difficult times without sacrificing human rights.

In addition, we had a preparatory meeting with guest speakers and core members before each event and two supplemental research meetings with core members.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/
Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP)
代表:新海尚子(津田塾大学)/
Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




新刊案内:SRIDジャーナル第23号発行のご案内

現在、世界は、COVID-19やウクライナ問題の大きな危機を迎えていますが、それとともに開発途上国では、様々な深刻な危機に直面しています。本年2月以降のロシアによるウクライナ侵攻は、全世界に大きな政治経済的インパクトを与えました。

この世界を揺るがすウクライナ危機の方向性は、未だに定かではありませんが、今号では、論説やブックエッセイでこのような世界的な危機について、様々な視点から論じてみました。開発途上国を巡る政治経済問題の例として、危機の最中にあるトルコとスリランカを取り上げました。また、依然として重要な課題である地球環境問題についても、危機に対する環境開発協力の在り方について論じています。これらのペーパーは、SRID会員と非会員が専門的な視点から執筆しています。

また、「SRID活動報告」では、SRID会員が趣味や特技等を紹介しつつ、自由に楽しく意見交換して交流する「SRIDサロン」の自由闊達な雰囲気をお伝えしたいと思います。

SRIDジャーナル編集委員長:湊直信

SRIDジャーナル第23号目次

SRIDジャーナルとは

論説・インサイト
  • 中沢賢治:ウクライナ危機と復興支援:欧州復興開発銀行 (EBRD) 設立の原点から考える
  • 高田有一郎:トルコの政治経済の危機と展望:建国100年を迎えて
  • N.S. Cooray and Wimal Rankaduwa: The Origins of Sri Lanka’s Crisis and Way Forward:
    Political Economy Perspectives
  • 竹本和彦、加藤真:迫りくる地球環境の危機と海外環境開発協力の展望
徒然草
  • 浅沼信爾:ハンバントタの「白い巨象群」
  • 西川壮太郎:スタートアップ企業がアフリカの社会課題を解決する
ブック・エッセイ
  • 福田幸正:リヴィウ(ウクライナ)が育んだ二大人道犯罪概念:そして、ロシアを裁く特別
    法廷へ、フィリップ・サンズ著、園部哲訳、2018年、『ニュルンブルグ合流「ジェノサイド」
    と「人道に対する罪」の起源』、白水社 (Philippe Sands. 2016. East-West Street: On the
    Origins of “Genocide” and “Crimes Against Humanity”. London: Weidenfeld & Nicolson.)
  • 高橋一生:危機対応から見る「最貧国」脱出戦略、岡野英之著、2022年、「西アフリカ・エボラ危機 2013-2016」、ナカニシヤ出版
SRID活動報告

山下道子:SRIDサロン

SRID元会員を偲んで
  • 松本洋SRID元会長:松本 健:「兄松本洋の思い出」
  • 今井正幸SRID元会長:不破吉太郎:「今井さんの想い出」
途上国アルバム

春藤健二:チュニジア

編集後記

投稿規程

本件にかんするお問い合わせ先

SRIDジャーナル編集委員会

中島千秋

  • registration [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

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オンライン「TICAD8開催記念イベント『Reborn 2022: KIC and Africa』セミナー」8月18日開催(会員・一般)

神戸情報大学院大学(KIC)は、8月27・28日にチュニジア国にて開催される「第8回アフリカ開発会議(TICAD8)」を祝し、神戸とアフリカの繋がりをこれまで以上に進化・深化させるべく「Reborn(再生)」と題して、KIC/アフリカの最新情報を発信するセミナーを開催いたします。

感染症や世界の混乱にも怯まず、情報通信義技術(ICT)を駆使して社会課題を解決し続ける若きイノベーター達に、ぜひ会いに来てください。

開催概要

  • 日時:2022年8月18日(木曜)14:00~17:00(日本時間)
  • 方法:オンラインのみ
  • 主催:神戸情報大学院大学(KIC)
  • 協力:独立行政法人国際協力機構関西センター(JICA関西)

プログラム

14:00 主催者挨拶 
福岡賢二(学校法人コンピュータ総合学園 常務理事)

14:05 来賓挨拶
木村出氏(独立行政法人国際協力機構(JICA)関西センター所長)

14:15 基調講演「日本とアフリカ/TICAD8によせて 」
宮下孝之(神戸情報大学院大学客員教授/前駐ルワンダ国特命全権大使 )

14:30 「KIC在籍生・修了生からの報告:アフリカ各国のリアルな現状」
(ベナン、コートジボワール、ジブチ、マリナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ等)

15:30 アフリカ・ビジネス事例(1)
「ルワンダと日本を、オーダーメイドの洋服で繋ぐ」

松原理恵氏(Berwanda 代表/神戸情報大学院大学修了生)

15:45 アフリカ・ビジネス事例(2)
「日本-ルワンダ企業間パートナーシップで収穫後損失の課題解決に取り組む」

サムエル・イマニシムエ氏(Kivu Cold Group社 最高執行責任者)

16:00 アフリカ・ビジネス事例(3)
「(仮題)日本の先進技術でルワンダの人々を雷災害から守る」
吉田厚氏(音羽電機工業株式会社 常務取締役)

16:15 Q&A
参加者皆様と講演者の意見交換セッション

16:55 閉会挨拶
内藤智之(神戸情報大学院大学 副学長:モデレーター)

お申し込み

以下URLよりお申し込みください


本件にかんするお問い合わせ先

神戸情報大学院大学
広報チーム(榎園・斎藤)

  • seikyu[at](* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第23回春季大会の開催報告と総括

第23回春季大会報告

第23回春季大会は2022年6月18日(土曜)に、福岡県立大学を開催校としてオンライン(Zoom)で実施されました。

福岡県立大学が立地する福岡県田川市は、旧産炭地として日本の近代化、戦後復興を支えてきたものの、1960年代のエネルギー転換を受け急激な衰退を経験し、鉱害からの復旧、新たな産業づくりによる安定した生活基盤の確保など地域再建を続けてきた「課題先進地域」です。この地でこれからの時代の開発、国際協力を考える学会を催すことができ、大変嬉しく思います。

今大会では、大学を超えて「チーム福岡」として実行委員会を組織し大会に臨みました。山あり谷ありの準備の六ヶ月ではありましたが、御縁に恵まれ、国際開発学会第23回春季大会の全てのプログラムを無事実施することができました。参加者の皆様、学会関係者の皆様、そして、地域の皆様のご支援に心より感謝申し上げます。

当日は225名の方に参加登録いただき、4つの企画、7つのラウンドテーブル、7つの個人発表において、それぞれ活気ある議論が交わされました。

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」では、筑豊(田川郡川崎町・田川市)で地域づくりに奮闘する関係者を招き、オンライン越しではございましたが、2030年に真の持続可能な社会をつくるために必要なことについて、専門分野の異なる参加者の皆様と議論を深めることができたと思います。

本大会が「学会員が少ないから…」「地方だから…」と学会開催に二の足を踏んでいる皆さまの背中を押すものになれば望外の喜びです。

大会実行委員長
佐野麻由子(福岡県立大学)

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」

【第1部】
「日本の地域と国際開発をつなぐ“よりよい生”-金沢大会からのバトンを受け継ぐ」

  • 佐野麻由子(国際開発学会第23回春季大会実行委員長/ 福岡県立大学) 
  • 和田一哉(国際開発学会第32回全国大会実行委員長/金沢大学)

【第2部】
基調講演および座談会「生が営まれる場としての地域-筑豊・田川-」

登壇者(1)杉本利雄氏(ラピュタファーム代表)
「“生”をつなぐ宿り木としてのラピュタファーム-筑豊・田川の新しい“地域ブランド”ができるまで」

登壇者(2)佐野典久氏(佐野畳屋三代目店主)
「畳からつながるよりよい暮らし-生きてるだけで儲けもの」

本セッションは、(1)炭鉱だけではない筑豊・田川の魅力を感じていただくこと、(2)海外のフィールドと日本の地域とを往還し国際協力の想像力を高めていただくこと、(3)個々人の日常の実践がカギを握る個人化時代の開発のあり方、その中でもSDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める条件を議論することを目的に企画された。

第1部では、金沢大会の和田実行委員長より、日本の地域に目を向けるこが先進国・途上国問わず「よりよい生」を考える一歩になるというメッセージを頂いた。

第2部では、杉本利雄氏、佐野典久氏に、活動に至った経緯、活動を支える思い等についてお話をうかがった。

杉本氏は、ラピュタファームの経営を通し、地域に対するネガティブなイメージを払拭し、筑豊の魅力を発信し続けてきた。質の良い農作物であっても地名を聞くと美味しそうに思えないという消費者の反応、地元での産業廃棄物施設操業の危機などマイナス要因が、「バイキングや加工品を通して地域のイメージを刷新しよう」「自然を残すだけでなく活用しよう」と奮起する契機になった。

また、地域内外の他業種の仲間との関わりや「元お客の従業員」との試行錯誤の中でヒット商品が生みだされたエピソードなど、地域・業種・生産者/消費者の関係を超えて活動が展開されていることが紹介された。

佐野氏は、畳学校で国産イグサの良さを知って以来、イグサ生産者と消費者をつなぎ、畳をつくるだけでなく古畳を解体して土に戻す活動を行ってきた。閉鎖されることになった精米所を引き取りそこでとれた米糠を土づくりで活用したり、土づくりの傍らでアルバイトの学生のために野菜を作ったりする等のユニークな循環型社会実現の例も紹介された。

「求めるべき真の自由についてどのように考えるのか」というフロアからの質問に対して、「真の自由は、行きたいときにみんなで支えあって授業参観に行けること。それを許容する社会」とこたえていたのが印象的だった。

お二人に対しては「勇気づけられた」「楽しそうな仕事ぶりに励まされた」「捨てようと思ったものを蘇生して楽しく活用するのが田川モデル」等、多数のコメントが寄せられた。日常のなかで個々人がよりよい生を実践することが重要な意味をもつ今日、「楽しい」「お互い様」「足るを知る」が、SDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める秘訣であると感じた。

(佐野麻由子)


セッション報告A(6月18日土曜日 Saturday 18th June 2022)

【午前の部I】Morning Session 9:30-11:30 (GMT +9)

A1. 地域から考えるオルタナティブ開発―近代的開発実践・モデルの超克に向けて―

  • 座長:真崎克彦(甲南大学)
  • 討論者:平山恵(明治学院大学)
  • 秋吉恵(立命館大学)

「アフワット:パキスタンにおける社会的連帯経済の実践-互酬性が貧困削減に果たす役割」

高須直子(立命館アジア太平洋大学)

「地域コミュニティの『ありのまま』と多遍性(pluriversality)をどう捉えるか―館ヶ丘団地における人々のかかわりと価値創造からの考察」

藍澤淑雄(拓殖大学)  

国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の企画セッションである。最初の座長による趣旨説明では、西洋近代型の「普遍」的とされる進歩観と一線を画した、オルタナティブ開発のあり方が概説された。

高須会員の報告では、パキスタンのイスラム金融マイクロファイナンス組織、アフワットの事例が、社会的連帯経済モデルに依拠しながら取り上げられている。地域コミュニティに存する伝統的「協同性」が、いかにアフワットの無利子融資の拡大や政府の政策形成の成功を後押ししてきたのかを軸として、報告がなされた。

討論者の平山会員のコメントでは、イスラム世界で遍く見られる喜捨の伝統に絡めて「協同性」が論じられ、アフワットが、被支援者が支援者に転じることもあるユニークな社会連帯経済の一例として、広く知られていくことの意義が述べられた。

藍澤会員の報告は、東京都八王子市の館ヶ丘団地で学生たちと行ってきた地域コミュニティ振興活動の紹介である。高齢化が進む同団地での自治会住民と学生のかかわりの中から防災の仕組み作りが始まった事例について報告がなされた。

この経験を踏まえて、西洋近代的な「普遍的」社会づくりモデルでは見えてこない、人びとのありのままの暮らしに寄り添う「多遍的(pluriversal)」な生活支援のあり方が論じられた。

討論者の秋吉会員からは、藍澤報告の事例に引きつけて、地域コミュニティの支援活動での支援者と被支援者との関係が、いかに変容的なものへと発展し得るのかが解説された。またそうして、地域にある潜在的な共同性が解き放たれる仕組みが示された。

以上の通り両報告を通して、支援者と被支援者の壁が低くなることで、地域に存在する価値観や暮らしを引き立てたオルタナティブ開発が立ち上がってくる様子が明らかにされた。本セッションには常時25 名前後の会員に参加いただいた。

(真崎克彦)


【午後の部I 】Afternoon Session I 12:15-14:15 (GMT +9)

A2. 企画”Soft Skills and Employability in the Face of Asymmetry between the Labor Market and School Education: Soft Skills Training and Development in Africa”

労働市場と学校教育の非対称状況におけるソフトスキルと雇用可能性―アフリカにおけるソフトスキル訓練と開発―

  • 登壇者: エストレルヤド エマヌウェル(名古屋大学)・チャロエンシルプ ピンマダ(名古屋大学)・近藤菜月(名古屋大学)・山崎裕次郎(名古屋大学)
  • 司会: 山田肖子(名古屋大学)
  • 討論者: 高田明(京都大学;非会員)・島田剛(明治大学)

本セッションでは、アフリカの労働者のソフトスキルについて4名の報告が行われた。

初めに司会の山田会員より、ソフトスキルの概要、途上国の産業人材育成における重要性が説明され、第一報告(山崎)では、インフォーマル・セクターの労働においてソフトスキルがいかに活用されているのかの事例を報告した。第二報告(近藤)では、ガーナの大学卒業生のキャリアからソフトスキルの重要性とキャリア形成におけるその役割について議論した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田明氏(非会員)より、インフォーマル・セクター内での差異、顧客からの視点、短い就業年数の理由、学校のカリキュラムとの関係について今後深めるべき点をご教示いただいた。

島田会員からソフトスキルと専門的技能の重要性の比較、雇用可能性に対する自己評価の要因、起業の動機についてより考察ができると示唆をいただいた。

続く第三報告(チャロエンシルプ)では、ゲームを用いた行動モデリングトレーニングによって、労働者にソフトスキルを習得させる新しい方法を紹介した。

第四報告(エストレルヤド)では、第三報告で紹介したゲームを用いたソフトスキルトレーニングについて実施した内容を紹介し、トレーニングの結果、実施前と比べて、参加者のソフトスキルに統計的に有意な正の変化が見られたことを報告した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田氏より、観察学習以外の学びへの視点、ゲーム作成・実施における対象者の文化への配慮、実際の仕事への相関について示唆を頂いた。

島田会員から、ゲームベースのトレーニングが企業内研修として発揮する効果や、参加者の学校教育歴による結果の差異について今後考察を深める点をご助言頂いた。

なお、本セッションの報告の一部では、名古屋大学の研究グループが実施しているSKY(Skills and Knowledge for Youth)プロジェクトのデータを使用している。

(山田肖子)


【午後の部Ⅱ】Afternoon Session Ⅱ 14:30-16:30 (GMT +9)

A3. RT: 地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」

  • 司会:木全洋一郎(JICA)
  • 発表者:富山泰庸(ロッツ株式会社)、山本あやみ((特非) 砂浜美術館)、 柳澤龍((一社)ドチャベンチャーズ)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)

本セッションでは、2021年全国大会のラウンドテーブルでの議論を踏まえ、陸前高田、高知、秋田の各現場からの中継により、新たな地域活性化の実践事例を共有し、今後の国際開発アジェンダのあり方について、約30名による議論が行われた。

はじめに、富山氏より、東日本大震災での医療支援を契機に、将来にわたってまち全体を健康にすべく、薬局、高齢者リハビリ、オーガニックカカオからチョコレート製造販売と多様な事業が紹介された。地元・日本のための事業が、フェアトレードのカカオを使うことで途上国の児童労働問題の解決にもつながっている。

次に、山本氏より、建物のない、美しい砂浜そのものを美術館にしている取り組みが紹介された。ありのままを価値とすることに共感した元青年海外協力隊の方と、ガーナ、ケニア、モンゴル各地の自然の中でのTシャツアート展を共同実施している。

柳澤氏からは、五城目町の廃校のシェアオフィスで、地域に根ざした土着のベンチャー事業が紹介された。まち全体をシェアビレッジとしたオープンにし、「世界一子供が育つ町」として、地域からの学びをデザインしている。敢えて社会全体の課題ではなく、局地的な願いに寄り添って場を作っていくことで、地域変容を見届けている。

フロアからは、よそ者の役割や都会と地方との関係性を前提にした地方間競争への懸念といった質問が出された。

議論を通じて、3つの事例とも、都会と田舎という対立構造ではなく、地域を同じテーブルに乗せて、それぞれが「オンリーワン」の魅力で人を惹きつけているという共通点が見えてきた。また、実践者はその地域でなくてはならないということではなく、どの地域でもオンリーワンを発見しているという意味において、途上国の地域開発にも通ずる視点が提供された。

地球規模の開発アジェンダは「課題」志向で見出されるが、日本の地域におけるアジェンダは「創造性」から見えてくる。この間の橋渡しこそが、国際開発に携わる今後の役割として提起された。

(木全洋一郎)


セッション報告B

B1. 子どもの安全保障

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 司 会:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 発表者:池田直人(難民を助ける会)・田中敏裕(日本ブータン友好協会)
  • 討論者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

2022年6月18日(土曜)9:30-11:30、第23回春季大会(福岡県立大学、オンライン)において、「子どもの安全保障〜障害のある子どもの保護とエンパワーメント」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が、企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、池田直人(難民を助ける会)が「パキスタンにおける障がいのある子どもたち」と題して、田中敏裕(日本ブータン友好協会)が「障がいのある子どものスポーツ参加」と題して発表した。質疑応答と議論が活発におこなわれた。参加者は、パネリストのほか、8名であった。

(勝間靖)


B2. 企画・信頼と開発協力

  • 企画責任者:石塚史暁(JICA)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 討論者:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)

発表者:

  1. 開発協力における「信頼」とは―ODA案件の比較分析の試み―
    石塚史暁(JICA)
  2. ボホール灌漑事業における「信頼」の考察-開発協力と「信頼のジレンマ」-
    杉山秀男(JICA)
  3. インフラ整備への開発協力と信頼
    橋本大樹(JICA)
  4. ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と「信頼
    左近文子(JICA)

冒頭、座長より、実務家自らが「信頼」のように扱いにくいテーマを研究対象として手掛けることの意義を述べた。その後、次の4本の発表があった(石塚「開発協力における『信頼』とは」、杉山「ボホール灌漑事業における『信頼』の考察」、橋本「インフラ整備への開発協力と『信頼』」、左近「ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と『信頼』」)。

杉山は開発協力の複数の当事者間での信頼を両立することのジレンマ、橋本は大規模インフラ協力の意思決定において信頼が影響を及ぼせる領域の大きさ、左近はJICA海外協力隊が配属先との間で蓄積する信頼のストック等をそれぞれ扱った。

石塚発表は、これら事例分析の総合的な結論として、当事者間の「信頼」は開発協力の効果や持続性を下支えし、開発協力の積み重ねは当事者間の信頼蓄積に貢献するという、両者の概念が相互に影響を及ぼしあっていることを指摘した。

討論者及び参加者からは、次のような質問・コメントが寄せられた。

開発協力の主体は、自ら当事者となる信頼に加え、第三者をつなぐ信頼にも注目すべきではないか。開発協力の主体は、相手からの信頼に加え、自らの相手に対する信頼を意識すべきではないか。開発協力によって相手国の信頼を買うことは可能か。海外協力隊員が得た現場での信頼は、日本の国レベルの信頼につながるか。「信頼のジレンマ」は、信頼のレベルが浅いことによるものと考えられないか。

現場での関係者との信頼構築に加え、開発協力の制度にも改革が必要な点はないか、相手国と日本の間の信頼は、相手国と他ドナーの間の信頼と比べ、違いはあるか、コンサルタントや民間企業も、開発協力の当事者であり、分析対象に加えるべきではないか、など。

セッション参加者は約40名で、議論は大変活発であった。この分野に対する高い関心も感じられたので、今後の信頼研究のさらなる深化を期待したい。

(佐藤仁)


B3. RT:翻訳しにくい開発のことば

  • 企画責任者:佐藤仁(東京大学)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:松原直輝(東京大学大学院)、藏本龍介(東京大学)、橋本憲幸 (山梨県立大学)
  • 討論者:大山貴稔(九州工業大学)

私たちが開発を語るときに用いる言葉はどこから来て、どこで、どのような意味を生み出すのか。開発にかかわる概念の射程の検討を通じて、それらの概念の組み合わせからなる開発学の場所性を議論するのが、このRTの目的である。

本セッションでは、日本語として国内で流通している「開発」にかかわる3つの概念を例に取り上げて、翻訳の問題を検討した。具体的には、松原直輝(東京大学大学院)が「現場主義」を、藏本龍介(東京大学東洋文化研究所)が「土木」を、 橋本憲幸(山梨県立大学)「人づくり」を検討した。

松原会員は、特に緒方理事長時代のJICAによる現場主義の実態分析に基づいて、本部と現場という日本的な組織構造から、「現場」概念の固有性をあぶりだした。

蔵本会員は「土木」の概念史をたどり、寺社建造などの場面で用いられていた「普請」が、明治期に土木に置き換えられた背景や、泥臭さを強調する日本の技術協力と土木概念の関係について論じた。

橋本会員は、「人づくり」が国内開発の文脈から報じた後に、特に途上国での人材育成で盛んに用いられるようになった一方で、対先進国には用いられないという非対称性に着目し、この概念がもつ道徳性と教育との関係について論じた。

これに対して、討論者の大山貴稔(九州工業大学)は、これらの概念が用いられる文脈に応じて意味合いを反転させている点に注目し、概念に埋め込まれた世界認識の整理を行った。そして、概念の翻訳過程に注目することに、どのような学術的貢献を期待できるのかを問うた。

この問いかけを皮切りに、フロアからも多数のコメントや質問が寄せられた。「翻訳しにくい開発のことば」は、今回取り上げたもののほかに数多く、今後も、バラエティーを増しながら、開発におけるアイデアの文脈性と普遍性を検討していく必要性が確認できた。セッションの参加者は概ね40名前後であった。

(佐藤仁)


セッション報告C

C1. RT:日本の国際協力NGOの過去、現在、そして挑戦–
NGOデータブック2021と市民活動年表(国際協力分野)の調査・執筆から見えてきたこと

本RTを企画したのは、以下の二つの出版とそれに伴う調査・分析である。

一つは、国際協力NGOのネットワークの国際協力NGOセンター(JANIC)が2022年3月に出版した「NGOデータブック2021」である。1996 年から『NGO データブック』 としてJANICが NGO に関する 5 年毎の調査を開始し、2011年からは外務省の委託事業になっている。

今回の調査対象とした424 団体の約51%、216 団体から有効回答を得て分析を行ったが、前回の有効回答数の二倍近いので、より正確にNGOの現状に迫ったと想定される。この企画・調査・執筆・監修に楯、長谷川、重田、大橋が関わり、外務省のHPで公開されている。

もう一つは、大阪ボランティア協会が2014年に編集発行した「日本ボランティア・NPO・市民活動年表」(明石書店)の1880~2010年を対象とした国際協力分野の改訂と、2011~2020年の出来事の追加に、長谷川、楯、大橋が携わり、同じ22年3月に刊行されたその「増補改訂版」だ。

これらから見えてきた日本の国際協力NGOの歴史的変化と現状を、長谷川と楯が発表した。

まず長谷川が、「日本の国際協力NGOの歴史と今」と題するプレゼンを行い、日本の国際協力の1960年代からの歴史を6つの時期に分けて説明し、90年代をピークに新規NGOの創設数が10年ごとに約半減していること、一方でソシアルビジネス的なものが増えていることを示した。

そして、現状については現地のパートナー団体を通じての活動が増えていること、活動地域はアジアが少し減り、代わりにアフリカが増えていること、活動では人権や国内課題が増えていること、個人会員数が増えていること、市民社会スペースの縮小がグローバルな問題であることを示した。

続いて楯が、「日本の故高裁協力NGOの財務と人材」というタイトルで三点に関して報告した。まずNGOの財務に関して、NGOの資金は政府資金の増加だけでなく自己資金の増加があること、しかし相変わらず資金規模の二極化が続き、コロナで56.4%が負の影響を受けており、自己資金を伸ばしたのが主に大手によるものと指摘している。

続いてNGOの人材については、人材確保が課題と多くのNGOが述べているが、他セクターでも同様であり、高齢化こそがNGOが直面する独自の課題であるとした。最後の「財務と人材に関する展望と課題」では、労働環境は整いつつあるが、待遇はまだ不十分であること、NGOの存在意義の見直しと自己成長が必要とまとめた。

これらの発表に対する討論者JICAでNGO支援を担当している日浅美和・国内事業部市民参加推進課長、NGO向けのODA資金やその管理費がNGOに与えた影響について関心を寄せる国際開発センター社会開発部の高杉真奈次長、そして欧米や東南アジアのNGOや政府との関係に詳しい高柳彰夫フェリス女学院大学教授だった。会場からの質問もあり、充実したやり取りとなった。

(以上)


C2. RT:移動する人々のレジリエンスとSDGsー移民・難民・遊牧民を中心にー

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 報告者:関谷雄一、マイヨール ロドリグ(民間TVディレクター)、キム ヴィクトリヤ(立命館大学)、湖中 真哉(静岡県立大学)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本セッションは「開発レジリエンスとSDGs」研究部会による第3回目のラウンドテーブルで、前2回のラウンドテーブルでは焦点化されなかった「移動する人々」に着目し、ウィズコロナの今日的な状況の中で、生活基盤に「移動の要素」を抱える人々のレジリエントな様相、SDGsの課題について議論を行った。

始めに関谷が企画・研究部会の主旨説明と、日本における国内避難民のレジリエンスとSDGsに関する課題提供をした。

続いてマイヨール氏(非会員)から、民間放送局の取材現場の視座から見える、日本国内の外国人移民のレジリエンス、政策の課題に関する報告がなされた。

キム氏(非会員)からは、日本における移民の統合過程に関し、結婚移民女性のレジリエンスに焦点を当てた報告がなされた。最後に湖中会員からは東アフリカ遊牧社会からみた移動とレジリエンスに関する報告がなされた。

各報告後に野田会員から報告者に対し質疑がなされ、議論が展開された。

各報告で取り上げられた問題に共通する論点として、グローバルな課題であるSDGsという枠組みに対応する主体として、前提とされているのは国民国家であり、「移動する人々」は自ずとそこから取り残されていることが、それぞれの問題や課題と向き合うことに、どう影響しているのかというものがあった。

各報告者から質疑に対し、それぞれの文脈で応答がなされたが、そこに通底していた論点としては、「移動する人々」の視座に立ったそれぞれの解決法が望まれており、そこには既存の枠組みでは解決できない課題があり、それぞれに個別かつ具体的な当事者性に目を向けることが重要であることが確認された。

(関谷雄一)


C3. RT: “Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia”

  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Presenter: Vincent Y. Chen (Minghsin University/National Taiwan University), Ariya Svetamra (Chiang Mai University)
  • Discussant: Guestspeakers and all the participants

 This roundtable session was organized by the research group on Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP) of JASID, which was launched in January 2022. There are social problems, which have been observed for decades, and we encounter some of those problems commonly in the world. This session aimed to learn from successful cases of tackling those common social issues in Asia, share knowledge, and find commonality and differences in social issues and the process for solutions. 

 Two guest speakers were invited to talk about their experiences of solving social problems. First, Dr. Vincent Y. Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan presented the application of Artificial Intelligence (AI) to prevent the harassment of green sea turtles in Xiao Liuqiu island, Taiwan, and develop sustainable tourism.

Next, Dr. Ariya Svetamra at the Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University demonstrated the struggles and risks of migrant women in Northern Thailand and how Feminist Participatory Action Research (FPAR) was applied to understand the realities of migrant women and discuss the structure of gender dynamics for creating their opportunities in the future.

After their presentations, all the participants were invited to ask questions, express their opinions about the lessons learned, and share their knowledge.

 This roundtable session was co-facilitated by Dr. Naoko Shinkai at the Department of Policy Studies, Tsuda University, the Chairperson of this research group and Dr. Pei-Hsin Hsu, at Taiwan Forestry Research Institute, the Vice-chair of this research group.

(Naoko Shinkai)


セッション報告D

D1. 企画・JASID ブックトーク

  • 司会進行:
    島田剛(明治大学)
    芦田明美(名古屋大学)

本セッションではブックトークとして、以下の4冊の本の紹介が著者および出版社の編集担当者よりなされた。セッションの中では各著者から出版にいたったきっかけ、経緯や苦労が共有された。また、編集者の方の工夫されたこと、今後出版するにはどのようにしたらよいかなどの助言がなされた。参加者は延べ約60名にのぼり活発な議論がなされた。


報告書籍: Mine Sato, Nobuo Sayanagi, Toru Yanagihara. 2022. Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Explorations. Palgrave Macmillan

  • 報告者: 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 担当編集者:河上自由乃(Springer英文書籍出版担当)
  • 討論者: 佐藤寛(アジア経済研究所)

1980年代以降の開発援助の政策と実施においては、「主体の働きかけ(主体性)を支援するモデル」を採用しようというみが、政策および実践においてなされてきている。しかし、人を「主体的で自律的存在」として扱えば「主体的な課題対処プロセス」が無条件に始まるわけでなく、そこに至る「主体性の回復と醸成のプロセス」が存在する。

現状では、関連学術領域では、定義や測定の議論が多く、現場では暗黙知や経験則はあるが体系立った整理はなく理論との対応付けも十分に進んでいない。この問題意識に基づき、本書では、主に3つの文脈(参加型開発、普及プログラム、社会サービス)での主体性醸成に関与する要因とメカニズムの理解に焦点を当て、経済学・心理学・人類学の立場から続けてきた共同研究の成果を共有する。

報告書籍: 人権の哲学:基底的価値の探究と現代世界

  • 報告者: 木山幸輔(筑波大学)
  • 担当編集者: 斉藤美潮(東京大学出版会)
  • 討論者: 関谷雄一(東京大学)

本書は、人が人であるがゆえに持つ人権、その正当化の根拠を探り、現代世界への含意を示すものである。本書はその探求を、以下の順番で行う。政治的人権構想と自然本性的人権構想の対立における後者の擁護、自然本性的構想において擁護されるべき構想としての二元的理論の提示、二元的理論の示唆の特定、当該示唆の国際開発援助構想への適用、という順序である。

本書はまず、ロールズ、ラズ、ベイツ、グリフィン、センをはじめ、極めて多様な道徳・政治・法哲学者が参与してきた人権に関する論争を、特に自然本性的構想と政治的構想との論争として捉え、その分析を行う。本書が分析の中で擁護するのは、現在人気があるとは言い難い自然本性的構想の方である。

そして、人間が人としてもつ利益に依拠するものと人権を捉える自然本性的構想、その最善の理論として、人々が同定した善に従って生きることと、平等に扱われることを2つの基軸とする二元的理論を描き出す。そうした知見を背景として、特に国際開発・援助構想に対して評価を与えることを念頭に、社会経済的権利とデモクラシーへの権利、そして国際的関係における人権の適切な描き方を提示する。

最後に、現在影響力を持つ国際開発・援助構想に関する幾つかの論点に対し、描き出された人権構想をもとに評価を加え、私たちが開発・援助を構想する上で望ましい像を描き出す。

報告書籍: 日本の「非正規移民」:「不法性」はいかにつくられ、維持されるか

  • 報告者: 加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者: 今枝宏光(明石書店)
  • 討論者: 日下部尚徳(立教大学)

本書籍は、日本に暮らす非正規移民における「不法性」を問うた実証研究の成果である。移住は送り出し国・受け入れ国の間で発生する事象である。開発の文脈では送り出し国の事情が捉えることが多い。

受け入れ国側から移住を捉えた本書を持って、国際開発学会員に新たな視点を提供したい。元相談員として筆者が抱いた問いを出発点として、1)移民はなぜ「不法」になるのか、2)何が非正規移民の「不法性」を維持させるのかという2つのリサーチクエスチョンを掲げ、質的研究方法を用い、38名の非正規移民をはじめ計69名へのインタビュー、のべ175箇所の参与観察を行った。

報告書籍: デジタル技術と国際開発(リチャード・ヒークス著、竹内知成監訳、ICT4D Lab訳)

  • 報告者: 竹内知成((一社)ICT for Development)
  • 担当編集者: 道中真紀(日本評論社)
  • 討論者: 高田潤一(東京工業大学)

本書は英国マンチェスター大学のRichard Heeks教授の著書「Information Communication Technology for Development」(2017年、Routledge社)の翻訳本であり、国際開発における情報通信技術(ICT)利用に関する初の日本語専用教科書になります。

ケニアのモバイルマネー「M-Pesa」に代表されるように、途上国においてもデジタル技術を活用したサービスが普及し、国際開発においてもデジタル技術の活用が注目を集めています。また、SDGs達成に向けて公的機関のみならず民間企業も取り組みを進める中でICTの活用が進んでおり、様々な組織においてイノベーションやDXというキーワードが使われるようになっています。

こうした背景から、これから求められるのはICTを目的達成の為に活用できる人材であり、技術的な知識と社会課題の両方を理解し、技術分野のエンジニアと社会課題分野の専門家や政策決定者とを橋渡しできるハイブリッドな知見や、どういった要因がICT利活用の成功と失敗を決めるのか、成功率を高める為には何が行われるべきかを様々な観点から理解する力も求められます。

本書はそういった人材の育成に最適な教科書であり、社会課題の解決にテクノロジーの活用が重要性を増している現在、国際開発業界のみならずIT業界で社会課題を解決しようとする人達にとっても役立つ一冊です。

(島田剛)


D2. 「研究×実践」委員会主催企画:ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」について

ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」 は、「研究×実践」委員会主催の企画としてとして継続的に実施されているもの。前回のJICAの「クラスターアプローチ」をテーマに「援助」にフォーカスを当てたセッションに続き、今回は「災害」に絞り込んだ議論を行った。

浜名弘明会員より「コンサルティングファームからの防災分野における研究×実践」と題して都市OSの適用についての実践例の紹介がなされたのち、芝浦工業大学の市川学准教授より「災害時保健医療福祉活動⽀援システムと災害情報」と題してAIやデータサイエンスの研究成果を活かした災害支援システムの可能性が提示された。

この2つの報告に対して、ユーザーサイドからの視点として、佐藤峰会員より「地域防災への自発的な取り組みと課題:横浜市西区羽沢西部自治会を例に」と題して元横浜市西区羽沢西部自治会長・現第四区地区者協会長の米岡美智枝氏の作成されたスライドを用いた報告がなされ、またカマル・ラミチャネ会員より、とりわけ障害者の視点からみたシステムの使い勝手についてのコメントがなされた。

上記の報告を踏まえて活溌な議論が展開された。とりわけ、「システムの運営をするのは誰か?」という点に議論が集約された。この問いはすなわち「誰が収益を得て、費用負担するか?」という問いに変換されるわけだが、例えば、防災システムによって顧客の情報を把握できるメリットをもつ保険会社や、防災システムによって資産価値の向上が見こまれるデベロッパーに参加してもらうといった具体的なアイディアが検討された。

一見すると、途上国の開発イシューとはかけ離れた議論のように見えるものの、議論をしてゆくなかで、結局は行政のコーディネーションや、費用負担の意志決定といった、開発につきまとうイシューそのものが本質であることが確認された。

(小林誉明)


D3. 教育/子ども(個人)

  • 座長:北村友人(東京大学)
  • 討論者:黒田一雄(早稲田大学)、内海悠二(名古屋大学)

発表者

1.「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」

阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、津田勝憲(宇都宮大学)

2.「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」

小松太郎(上智大学)

3.「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」

朝倉隆道(広島大学)

本セッションでは、以下の3件の研究発表が行われた。いずれも教育や子どもに関する重要なテーマを扱い、学術的また実践的な示唆に富む研究であった。

阪本公美子会員・大森玲子会員・津田勝憲会員(いずれも宇都宮大学)による「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」は、阪本会員が代表して発表を行った。

タンザニアの地方都市における小学生96名を対象に、①雨季と乾季の食品・食品群別摂取頻度、②野生食物の摂取頻度、③健康状況、④食品群・野生食物の摂取頻度と、健康の関係について質問紙調査を行い、子どもたちの食習慣パターンを明らかにした。

小松太郎会員(上智大学)による「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」では、ボスニアを事例として、政治学等の研究で用いられる3つの新制度論(社会学的新制度論、歴史的制度論、言説的制度論)を援用して、紛争後社会の教育改革の分析・説明を行った。

紛争後社会の復興において、多様なアクターが関与しながらいかにして制度が形成され、機能するようになるのかを、異なる視点から分析することで明らかにした。今後の実証研究にも期待を抱かせる、優れた分析であった。

朝倉隆道会員(広島大学)による「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」では、民間企業を中心とした非政府アクター(non-state actor)が国際教育協力に参入し、教育サービスを提供する新展開が進む状況のなかで、そうした企業(この研究の事例としては公文教育研究会)が用いる戦略について検討した。

事例分析を通して、供給側の形成するイメージや言説が、受容する人々の想起する教育への期待や幻想をかき立てようとしていることを明らかにした。

これらの研究発表に対して、討論者の黒田一雄会員(早稲田大学)と内海悠二会員(名古屋大学)から的確かつ刺激的なコメントが提起され、また参加者からも重要な質問や指摘がなされ、活発な議論が交わされた。

それらの論点は、理論と実践を架橋することの重要性や難しさに関する指摘から、研究の方法論に関するものまで幅広く、それぞれの発表者が研究のさらなる発展を目指すなかで参考になるものであったと確信している。

(北村友人)


セッション報告E

E1. 環境(個人)

  • 座長:藤川清史(愛知学院大学)
  • 討論者: 豊田知世(島根県立大学)、山口健介(東京大学)

発表者

1.「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について」

久保英之(地球環境戦略研究機関)

2.「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」

安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原 宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)

3.「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」

小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)

環境セッション(E1)での報告は次の3本であった。

1.久保英之(地球環境戦略研究機関)「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について、2.安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」、3.小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」。

これらの報告に対する討論は、豊田知世(島根県立大学)と山口健介(東京大学)にお願いした。

植林活動は地球温暖化防止活動として注目されるが、同時に地域の貧困削減等の社会経済活動でもある。久保報告は、材木利用による所得向上が目的にもかかわらず、しばしば木材需要先が確保されていないことや、事業期間が短期間なので、間伐・伐採・再植林のサイクルが事業に組み込まれていない等の問題があることを指摘し、ベトナム(政府主導)とマダガスカル(JICA)での成功例では、こうした問題が解決されていると述べる。

これに対して討論者からは、民間企業と連携しての実施の可能性があり、REDD+やVCSの認証制度との整合性も重要だろうとのコメントがあった。

安達報告は、途上国では産業振興政策が優先され、環境保存政策は後回しにされているというのが従来の認識であったが、近年は経済成長と環境保全対策の両立は可能という「エコロジー近代化論」に基づいた、従来型の規制的手段ではない先駆的な環境政策もタイやベトナムで見られると述べる。

これに対して討論者からは、政策の設計段階で市民を巻き込むことを前提としていても、運用上で市民を巻き込めるのか、規制を受ける企業側の協力は担保されるのか等のコメントがあった。

小松報告では、国際開発事業と国内の社会福祉・ソーシャルワークの分野は、かなり共通した活躍をしているものの相互理解が進んでいないと述べる。ソーシャルワーク側からは国際開発を「国際ソーシャルワーク」と捉える一方で、国際開発の分野では社会福祉ないしはソーシャルワークへの関心は薄いとのことである。

討論者からは、国際ソーシャルワークの範囲を明らかにする必要があり、双方の接点を作るためにはどうすればよいかの提案をしてほしい等のコメントがあった。

(藤川清史)


E2. 開発(個人)日本語

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • 討論者:高橋清隆(恵泉女学園大学)、嶋田晴行(立命館大学)

発表者

1.「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」

石黒馨(神戸大学)

2.「中国における開発研究―その特徴と可能性―」

汪牧耘(東京大学)

3.「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する―経済制裁から長期のベーシックインカム財源保障・給付条件整備援助へ」

岡野内正(法政大学社会学部)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。第1は、石黒馨による「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」であった。社会関係資本についての研究は多いが、途上国の農村女性を対象にしたものは少ないので、その空白を埋めることを意図していた発表であった。

幸福度と主観的健康を区別して調査した結果、幸福度の向上には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、家計所得、主観的健康度などが影響するのに対し、主観的健康の改善には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、子供の生存人数などが影響するとされた。

これに対してコメンテーターの高橋清貴から、村の属性や、各種のコンテクストによって状況は変わるのではないかといった指摘がなされた。

第2報告は、汪牧耘の「中国における開発研究」であった。西欧から入ってきた「開発研究」が中国にどのように受け入れられてきたかという大変興味深い研究発表であった。汪によれば、西欧の研究が普遍的発展モデルを提示する傾向があるのに対して、中国での研究はより実践的であるとまとめられた。

コメンテーターの嶋田晴行からは、事前に詳細なコメントが提示されており、日本と中国の類似性や相違性も含めた幾つかの指摘がなされた。汪は返答として、中国が海外の研究者たちと交流することにより、中国自身の経験を明確化させることができ、それが重要であるとの指摘もあった。

第3は、岡野内正による「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する」であった。発表に際し、画面共有がうまくできなかったが、岡野内の主張としては、ベーシックインカムによって、(1)健康状況の改善、(2)経済の改善、(3)コミュニティの活性化が、もたらせたと指摘された。

コメンテーターの高橋清貴からは、アフガニスタンが抱えるさまざまな課題が根深いものであるために、今後とも考察していくべき点は多々ある旨の指摘がなされた。

座長としての感想を一言。全体に事例研究としては3報告とも特徴があり個性的であったが、今後、事例の研究意義をより明示的に提示できれば、それぞれの研究発表はさらに有益になるであろうと思われる。

(斎藤文彦)


E3. 社会/経済(個人)

  • 座長: 會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)、栗田匡相(関西学院大学)

発表者

1.「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化―食の入手・消費・共有に注目して―」

伊藤紀子(農林水産政策研究所)

2.「COVID-19のエジプト経済への影響」

岡室美恵子(星城大学)、染矢将和(名古屋大学)

3.「長期における新技術の導入・標準化・衰退」

宮田幸子(立命館大学)、澤田康幸(東京大学)、高倉一真(東京大学)

本セッションでは、発展途上国の社会・経済問題に関する3つの報告が行われた。

第1報告は、伊藤紀子(農林水産政策研究所)「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化 ―食の入手・消費・共有に注目して―」で、主にインドネシアの農村調査に基づいて食事内容や共食の慣行についての分析結果が報告された。

コメンテーターの小國和子氏(日本福祉大学)からは、共食儀礼が子供の栄養状態に与えたインパクトや、データ収集方法についての質問・コメントが挙げられた。他にも、現地における共食儀礼の詳細についての質問があった。

第2報告は、岡室美恵子(星城大学)「COVID-19 のエジプト経済への影響」で、エジプトのマクロ経済状況を概観した後、クロスカントリーによるCOVID-19の経済成長への影響分析の結果に基づき、そのエジプト経済への影響をシミュレートした結果が報告された。

コメンテーターの栗田匡相氏(関西学院大学)からは、データの制約に伴う計量分析モデルの妥当性や論文の構成についてコメントがあった。他にも、COVID前後の比較をすることで計量分析の精度を上げられる可能性が指摘された。

第3報告は、澤田康幸(東京大学)「長期における新技術の導入・標準化・衰退」で、インドネシアのダム建設に伴う住民移転と養殖業への参入の決定要因に関する長期の計量分析結果が報告された。

コメンテーターの栗田氏からは分析結果の解釈や住民移転が選好パラメータに与える心理的影響の可能性などについてコメントがあった。他にも、住民移転に伴う補償金が技術導入に与えた影響についての質問があった。

(會田剛史)


セッション報告F

F1. Community Development

  • Chair: Koichi Ikegami (Professor, Emeritus, Kindai University)
  • Discussant: Emi Kojin (IDE-JETRO), Daisuke Sasaki (Tohoku University)

Presenters

“The evolution of community-based tourism in Vietnam – a critical review of policy and research-”

Nguyen Quang Tan (Okayama University), Fumikazu Ubukata (Okayama University), Nguyen Cong Dinh (Hue University)

“Influences of economic development among traditional mountain area – Case studies on remote tourist destinations in Shiga prefecture, Japan”

Kiyoto Kurokawa (Ritsumeikan University)

The session F1 “Community Development” comprised two presentations on local tourisms. The number of participants was approximately 20.

Nguyen Quang Tan presented a case study on community-based tourism (CBT) in Vietnam. First, he analyzed tourism policy documents by a four -component framework, namely demands, decision, outputs, and impacts.

As a result, he revealed that the process of tourism policy was divided into three periods, and the position of the CBT was still low for the government. Second, he showed the result of analysis of the peer-reviewed English articles by the qualitative thematic analysis (QTA) method.

After he categorized them into three groups in terms of CBT perspective, he pointed majorities were ‘Development Supporters’ which put priority on an economic aspect. Other two categories, ‘Protectionists’ claiming importance of a cultural viewpoint and ‘Community Developers’ lying between the both categories were few.

His main finding was the conformity of policies and studies. Emi Kojin commented three points; (1) unclear purpose and assumption of the study, (2) importance of narrowing down the area of policy (i.e., concentration on tourism policy), and (3) questions on economy-oriented policy and researches.

Additional comment by a chair was a risk of bias caused from analyzing only English literature.

Kiyoto Kurokawa explained the various local treasurers and a local tourism project planned at the ancient emperor palace of Shikaraki situated in Shiga Prefecture. According to his presentation, Shiga Prefecture is rich in local treasurers, ranging from nature parks to cultural heritages as well as traditional folk crafts, but they could not attract many domestic tourists because of low visibility.

A local tourism project based on the historical backgrounds might change such situation because of increase in demand of cultural tourism.

Daisuke Sasaki commented the necessity of verifying the conclusion in an evidence-based manner, and suggested effectiveness of Tourism Destination Competitiveness (TDC) for compensating for this weakness.

Even though the demand of local tourism such as nature-based and cultural one is increasing instead of mass-tourism, there are a lot of tourism sites in the local area. The question is how tourists decide their destination. The TDC approach can open a new perspective for researchers and practitioners related with a tourism sector.

(Koichi Ikegami)


F2. Education (Individual) *English

  • Chair: Taro Komatsu (Sophia University)
  • Discussant:Mikiko Nishimura(ICU)、Katsutoshi Fushimi (JICA)

Presenter

“The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil”

Leite Dalmon Danilo (Kobe University)

“War Trauma and Education―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―”

Mari Katayanagi (Hiroshima University)

“Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers”

Melisa Fabella (Ritsumeikan University)

This session was attended by some 20 participants. There were three presentations as below.

Leite Dalmon Danilo (Kobe University): The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil

The proposed research intends to fill this gap in the literature by analyzing the practices of effective
municipalities in primary education in Brazil by using the “district effectiveness framework.”

The expected outcomes for this research include the analysis of the implementation of “effective district
practices” by municipal secretaries of education in Brazil that are considered “effective”.

This should contribute to the literature by expanding the range of contexts in which effective district practices can be used to describe the mid-level government practices associated to higher student achievement.

Moreover, it will provide new evidence that Brazilian policymakers and those from other low- and middle-income countries can use to improve their government practices.

A commentator suggested, among others, that the study take into consideration local contextual factors that may affect the study topic.

Mari Katayanagi (Hiroshima University): War Trauma and Education ―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―

The study aims to interrogate the effects of war trauma on school education and learning in the case of Bosnia and Herzegovina.

The data were examined using qualitative narrative analysis, questioning how children were psychologically affected by war, what consequences were observed in their education, and how they have coped or were coping with the consequences.

The study concludes that children become particularly vulnerable when they are separated from their families; when the uncertainty of the future increases and credible threats to life are felt, children lose their motivation to study; education assists in holistic development and the attainment of resilience to overcome challenges, including psychological ones; and attention must also be paid to cultural specificities and attitudes towards psychological care and treatment.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis, literature gap and research ethics, which were answered by the presenter point by point.

Melisa Fabella (Ritsumeikan University) Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers

The research evaluated the long-term impact of the CCT program (4Ps) on poverty and examine its alignment with the SDG No. 1, which was to eradicate extreme poverty.

The study reveals that the program has reduced poverty among the poor across time. This study has also found some issues within the dataset that should be addressed such as data outliers and inconsistencies with other impact evaluation studies in the country.

Furthermore, in order to keep the program`s effectiveness through time, critical impact monitoring and evaluation should be continuously done to ensure that the people, especially the poor and the marginalized sector, can truly benefit in the program.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis procedure. There was also a brief discussion regarding the impact of the program on education as it was the session’ theme.

(Taro Komatsu)


F3. Economy / Society (Individual)

  • Chair: Masato Noda (Ibaragi University)
  • Discussant: Yasushi Katsuma (Waseda University), Takao Toda (Meiji University)

Presenter

1. “Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance: A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investment”

Soulivanh CHANSOMBUTH (Ritsumeikan University)

2. “Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?”

Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University), Naoko Takasu (Ritsumeikan Asia Pacific University)

当セッションでは、第1報告として、Soulivanh Chansombuth 会員(立命館大学)、第2報告としてNaoko Takasu会員 およびTatsufumi Yamagata会員(ともに立命館アジア太平洋大学)から次の報告がなされた。参加者は24名であった。

第1報告では、Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investmentと題し、オーストラリアの援助がラオスの高等教育を通じて経済成長もたらす影響等について、産業人材の開発に着目した分析がなされた。

また、第2報告では、Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?と題し、サブサハラアフリカ地域におけるCOVID-19ワクチン接種の現状と課題について、UNICEFのCOVID-19 Vaccine Market Dashboard等のデーターをもとに分析がなされた。

質疑応答では、第1報告に対して討論者の戸田隆夫会員(明治大学)から分析方法の妥当性等について、座長の野田からはドナーとの関係や評価等について質問・コメント等がなされた。

第2報告に対して、勝間靖会員(早稲田大学)からCOVAX等によるワクチン分配等について、戸田会員からサブサハラ地域の多様性とワクチン等について質問・コメントがなされた。続いて、参加者による活発な議論が時間いっぱいまでなされた。大変充実したセッションとなり、関係各位に感謝申し上げる。

(野田真里)




オンライン「社会的連帯経済に関する勉強会および研究会」7月23日開催(会員・一般)

2022年7月23日(土曜)に開催予定の「連帯経済勉強会」および「社会的連帯経済研究会」についてご案内いたします。

「連帯経済勉強会」2022 第4回勉強会(有料)

  • 日時:2022年7月23日(土曜)13:00~14:30
  • テーマ:ワーカーズコープと活力ある地域社会の実現
  • ねらい:労働者協同組合(ワーカーズコープ)の仕組みと取り組みを理解し、地域経済活性化における労働者協同組合法の意義、地域での暮らしや働きを支える空間、市民同士の相互扶助など、社会課題の解決におけるワーカーズコープの役割について学びます。
  • 講師:相良孝雄(日本労働者協同組合「ワーカーズコープ」連合会理事)
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
  • 主催:一般社団法人ソリダリダード・ジャパン

申込方法:

下記ご案内ホームページをご参照ください。
*「連帯経済勉強会」2022(全7回)開催案内:

「社会的連帯経済」研究部会・第4回研究会(無料)

  • 日時:2022年7月23日(土曜)15:00~17:00
  • テーマ(仮):市民が自由に協同組合をつくることができる時代に向けて―労働者協同組合法が市民社会、協同組合にもたらすもの―
  • 講師:三浦一浩 (公益財団法人生協総合研究所研究員)
    モデレーター:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • 共催:国際開発学会社会的連帯経済研究会、一般社団法人ソリダリダード・ジャパン

申込方法:

参考情報:

  • 社会的連帯経済シリーズ:ソリダリダード・ジャパン ポットキャスト ()
  • 社会的連帯経済 – JASID Official Website:
  • 国際開発学会「社会的連帯経済」研究部会|note

皆様のご参加、心よりお待ちしております。


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



ソリダリダード・ジャパン『全7回・連帯経済勉強会2022』(会員・一般)

グローバル資本主義の限界が指摘される中、世界的に「連帯経済」が注目されていますが日本国内における認知度はまだまだ高くありません。ソリダリダード・ジャパンは昨年度から「連帯経済」に関する基礎知識の普及のための勉強会を開催しており、今年度は日本国内の地域活性化と連帯経済の関係に焦点を当てた内容で進めていきたいと考えています。

資本効率を優先する企業は、労働力と市場を求めてグローバルにビジネスを展開します。一方で、コスト面等で劣る日本国内の生産拠点は閉鎖され、少子高齢化や人口流出により縮小する地方市場から撤退する企業も増えています。グローバル化・市場経済化の進展に伴い、国内の地域経済は徐々に弱体化しています。このような中、利潤の最大化のみを目的としない「連帯経済」による地域経済活性化の取り組みが始まっています。

本勉強会では、地域活性化に向けた実践を行っている方、地域活性化のための新たな連携の形を模索されている実務者・研究者の皆様にも参考になる内容です。

なお、本勉強会とセットで、国際開発学会の「社会的連帯経済」研究部会とのコラボレーションで研究会も実施します。研究会では、本勉強会で取り上げるテーマについて、研究者を中心に更に議論を深めていきます。本勉強会の参加者は、国際開発学会の研究会にも参加することができます。

開催概要

開催日時

2022年4月23日(土曜)~10月22日(土曜)毎月第四土曜日(全7回)
第1回は15:00~17:00、第2回~第7回は13:00~14:30。
なお、第2回以降は同日の15:00~17:00に国際開発学会の「社会的連帯経済」研究部会と共催で研究会も実施します。

開催形式

ZOOMを利用したオンラインウェビナー(申込者には後日受講方法をご案内します)

定員

各回50名(定員に達し次第受付終了とさせていただきます)

受講料

  • 第1回(4月23日)は無料
  • 第2回~第7回のパック料金:12,000円(学生割引7,000)
  • 第2回以降、各回の受講料:2,500円(学生割引:1,500円)

※国際開発学会会員特典は、学生割引と同額になります。
※受講料の支払期日は、開催日の前日となります。原則として、お支払いの確認後にZOOMリンクを送付いたします。

申込方法

本勉強会の申込は以下のURLより「参加申込書」を取得し、必要事項をご記入のうえ、下記メールアドレスに添付ファイルとして送付してください。
0bll2kfojmytq1r/%E5%8F%82%E5%8A%A0%E7%94%B3%E8%BE%BC%E6%9B%?dl=0

  • メール送付の際は、件名を【「連帯経済勉強会」2022応募】としてください
  • 学生割引をご利用の方は学生証又は在学証明書の写しもご提出ください
  • 国際開発学会会員特典ご利用の方は、会員番号の記入が必要となります

参加申込書送付先メールアドレス:

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

応募メールをいただきましたら、3 営業日以内に応募受付完了メールをお送り致します。応募受付完了メールが届かない場合は上記までご確認のご連絡をお願いいたします。

申込締切

  • パック割引の場合:5月16日(月曜)
  • 各回受講の場合:開催日の1週間前まで

全体スケジュール

◆第1回 4月23日(土曜)連帯経済は地方経済活性化を後押しできるのか

ねらい:21世紀に入り、「社会的連帯経済」の活動は再び注目されています。ここでは用語の整理や様々な活動展開の潮流について解説し、スペインでの実践事例を手掛かりに、地域経済活性化において「連帯経済」が果たす役割について学びます。

  • 講師:廣田裕之(スペイン社会的通貨研究所共同創設者)
  • コメンテータ:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第2回 5月28日(土曜)地域通貨によるコミュニティづくり

ねらい:地域通貨の仕組みと、地域通貨というツールを通じて、地域の活動を促し、新たな関係性を構築していくメカニズム、>それが地域社会に与えるインパクトを学びます。

  • 講師:柳澤大輔(面白法人カヤック 代表取締役CEO)
  • コメンテータ:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第3回 6月25日(土曜)信用金庫と地域経済

ねらい:地域に密着した金融メカニズムとしての信用金庫の仕組みを理解し、地域の情報や特徴を熟知した金融が、地域経済活性化に果たす役割について学びます。

  • 講師:新田信行(開智国際大学局員教授・一般社団法人ちいきん会代表理事)
  • コメンテータ:多賀俊二(草の根金融研究所「くさのーね」代表、中小企業診断士)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第4回 7月23日(土曜)ワーカーズコープと活力ある地域社会の実現

ねらい:労働者協同組合(ワーカーズコープの仕組みと取り組みを理解し、地域経済活性化における労働者協同組合法の意義、地域での暮らしや働きを支える空間、市民同士の相互扶助など、社会課題の解決におけるワーカーズコープの役割について学びます。

  • 講師:相良孝雄(日本労働者協同組合「ワーカーズコープ」連合会理事)
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第5回 8月27日(土曜)農福連携による地域の活性化

ねらい:過疎化が進む地方では、地域活性化に多様なアクターの動員が求められています。一次産業と福祉の連携は相互補完的な関係を築き上げることが可能であり、新しい生産活動の形態として期待されています。農福連携の実践事例から新しい連帯経済の可能性について学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第6回 9月24日(土曜)「よそ者」と社会的企業

ねらい:日本国内で昨年生まれた赤ちゃんは過去最少の約84万人にとどまっており、少子化、地方の人口減少は深刻度を増しています。そうした中で、地方の活性化のための「関係人口」の重要性が脚光を浴びています。地域での経済活動に貢献する「よそ者」の関わりについて学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第7回 10月22日(土曜)生産者と消費者の連帯

ねらい:生産者と消費者の連帯は、連帯経済の古典的な事例です。地産地消の取り組みが地域経済活性化にもたらす効果、地域社会の総合的な関わり、食の豊かさに結びつく農業や食品サプライチェーンの現状について学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • 案内状%E3%80%8C%E9%80%A3%E5%B8%AF%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%80%8D%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%A1%88%E5%86%85%E7%8A%?dl=0
  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)