第26回春季大会報告:一般口頭発表-D

一般口頭発表
D1:女性を取り巻く社会構造:障害・移民・共同体からの接近
- 開催日時:6月21日9:00 - 11:00
- 聴講人数:約10名
- 座長:伊藤紀子(拓殖大学)
- コメンテーター・討論者:大橋正明(恵泉女学園大学・聖心女子大学)、田中雅子(上智大学)、伊藤紀子(拓殖大学)
【第一発表】ケイパビリティ・アプローチに基づく障害女性のアクセシビリティ支援のための基礎調査―バングラデシュ視覚障害女性の外出/在宅活動を事例として―
発表者
- 金澤 真実(帝京大学)
コメント・応答
大橋氏より調査方法やサンプリングについてコメントがあった。基礎調査とされていることや、高学歴者をサンプルとしていることが説明された。
【第二発表】日本におけるジェンダーと開発ー移民女性研究からの考察
発表者
- 齋藤 百合子 (大東文化大学)
コメント・応答
田中氏よりコメントがあった。多文化共生という概念に関しては、議論の余地はあるが、代替的な概念の提示がなされていない現状としてこの概念を用いることが必要であることなどが説明された。研究手法の見直しについても提案があった。
【第三発表】タンザニア・モロゴロ州におけるコミュニティ経済の可能性とその社会的背景―混合粥加工グループの例―
発表者
- 加藤(山内)珠比(東京外国語大学)
コメント・応答
伊藤よりコメントがあった。「コミュニティ経済」の概念の定義を明確化すること、分析手法の充実を今後進めていくことや、開発における地域性や主体性の部分の説明を明確化するようなコメント・応答があった。
【第四発表】タイの女子サッカー選手のエンパワーメントプロセス:関係性的エンパワーメントに着目して
発表者
- 野口亜弥 (成城大学、国際基督教大学)
コメント・応答
田中氏よりコメントがあった。「エンパワーメントのプロセスの出発点」のPower withinの部分を取り上げているが、チームメイトとのPower withのような関係があったのかや、調査対象者の選定において「「女性らしい」表現、「男性らしい」などの表現はどのような指標なのか、といった指摘があった。報告者からはこれらの点の対応をしながら今後の研究を発展させていく、引き続き議論を深めていくという回答であった。
総括
それぞれの報告内容が充実しており、かつジェンダーやフェミニズムなど女性の視点を取り入れた意義深い研究報告という統一性があった。報告やコメントにもまとまりがあり、参加者にとって大変有意義な意見交換ができたと感じている。手話通訳者への対応については、Zoomの操作などで手間取ったところもあったが、時間がやや遅れた程度で、大きな問題なくスムーズに進んだと思われる。ただ学生アシスタントの時間管理については、十分な理解ができていなかったようで、手間取っている様子がみられた。学生アシスタントにも、事前のプログラムの確認や、司会との連絡など、全体の進行スケジュールについて、きちんとしたお互いの確認が必要であったと感じた。
報告者(所属):伊藤紀子(拓殖大学)