[RG21-2] 子どもの安全保障への開発アプローチ
Development Approach to Human Security of Children
主査:勝間 靖(早稲田大学)
「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するためにいかに保護を進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにいかにエンパワーメント(empowerment)を進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。
「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進める。
近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。SDGs への取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。
年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案する。さらに、研究会や大会での発表をもとに研究部会参加メンバーが論文を執筆していく。そして、ある程度、論文が集まった段階で、「子どもの安全保障」に関する研究を総括して、書籍として刊行する。そのことにより、研究成果を広く一般の方々にも還元していく。