第25回春季大会:合理的配慮、感染症対策等、託児とキ ッズルーム、Prayer Roomの利用について【第7報】

本大会は、多くの方にご参加いただけるよう、障害をもつ方への情報保障や化学物質過敏症に配慮した環境、その他お申し出のある合理的配慮を可能な範囲でいたします。

発表者・参加者のみなさまには、多くの方がご参加できるよう、大会における合理的配慮へのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

また当日の感染症対策等に関するお願いや、託児室の利用等についてまとめましたので、ご確認ください(以下の内容は、大会HPにも記載しています)。

1.合理的配慮

★大会発表における情報保障のお願い

本大会は、様々な障害をもつ会員の参加を前提に、発表者に情報保障への協力をお願いしています。

下記のリンクから、資料作成や当日の発表に関する留意点を確認のうえ、ご協力ください。

春季大会の参加にあたり、合理的配慮が必要な方は、大会実行委員会及びJASID合理的配慮ワーキンググループのメールアドレス(ページ下部参照)宛に、5月15日(水曜)までにお申し出ください。

追って、合理的配慮ワーキンググループの担当者より直接ご連絡を差し上げます。

  • 合理的配慮ワーキンググループHP(日本語)

2. 感染症対策、受動喫煙防止、化学物質過敏症対策など

本大会は一部のセッションを除いて対面開催です。大会実行委員会として、下記の感染対策等を実施します。安全・安心な大会の開催に向け、ご協力をお願いします。

• 参加者のみなさま

感染症対策として、来場前はご自身で検温など体調の異常がないか確認してください。

発熱(37.5度以上)あるいは体調不良がある場合は、感染症の陽性・陰性を問わず来場はお控えください。

宇都宮大学内は全面禁煙となっています。受動喫煙防止の観点からも喫煙はお控えください。また、化学物質過敏症対策のため、人工香料等はお控えください。

• 対面登壇者のみなさま

【発表者】

体調不良で来場できない場合等、欠席せざるを得ない事情が発生したときは、速やかに大会事務局とコメンテーター・座長にご一報ください。

但し、理由を問わず、来場できない場合は欠席となりますこと、ご了承ください。

オンライン発表への切り替えは出来ません。

また、ビデオ録画による発表も、その場での質疑応答ができないことから対応いたしません。

【コメンテーター】

体調不良で来場できない場合、大会事務局のメールアドレスをCCに入れた上で、座長にご相談ください。

事前にコメントを文書で用意しておられる場合は、座長宛にお送りください。

口頭コメントのみのご予定の場合は、代わりのコメントを座長にお願いするなど、セッション内での調整をお願いします。

【座長】

体調不良で来場できない場合、大会事務局のメールアドレスをCCに入れた上で、コメンテーターの方と連絡をとり司会・進行を兼ねていただくなど、セッション内での調整をお願いします。

• 会場での対応

感染症予防と化学物質過敏症対策のため、比較的広く換気がしやすく、化学物質の比較的少ない部屋を選び、開催校として準備をすすめています。

個人差もありますが、一定数いる化学物質過敏症の方も多少安心してご参加できると思います。

会場では、定期的な換気を行い、入り口に手指消毒剤を用意いたします。マスク着用は来場者の個々の判断に委ねます。

3.託児とキッズルームの利用について

6月15日(土曜)の託児とキッズルームについて、3つの利用方法をご案内します。

(1)  キャンパス内の保育園の利用

キャンパス内で、大会会場から徒歩5分以内にある「宇都宮大学まなびの森保育園」()を利用することができます。

対象は、0歳~小学6年生の児童になります。

利用料は年齢により5,000円から6,000円で、そのうち5,000円を学会から補助します*。

以下の利用案内で詳細を確認の上、5月15日(水曜)までにお申し込みください。

キャンパス内保育園の利用案内:

(2)キャンパス外の保育園の利用

キャンパス外の保育園をご利用される方は、学会から5,000円を上限に補助します*。

保育園の申し込みや連絡等は各自行っていただきます。

学会の補助をご希望の方は、以下のリンクから5月15日(水曜)までにお申し込みください。

ご利用の方は、お子様を預ける保育園にご自身で予約をして、当日保育園から領収書を受けとり、大会受付に提出し、上限5,000円の補助を受けるという流れになります。

キャンパス外保育園の利用補助の申し込み:

*上記の(1)と(2)のキャンパス内外の託児の補助は先着10人になります。

締め切りは5月15日(水曜)になりますが、早めにお申し込みください。

(3)キッズルーム(子連れ休憩場所)

大会会場である大学会館2階のお茶室をキッズルームとして開放します。

保育者はいませんが、利用者自らの管理責任の下で、お昼寝や授乳等に自由に利用できます。

お昼寝マットやおもちゃ等も含めて、各自でご準備いただく必要があります。

こちらは事前に申し込む必要はなく、当日ご自由にお使いいただけます。

4.Prayer Room(祈祷室)

Prayer Roomは大会会場である4号館1階にあります。

事前に申し込む必要はありませんが、男女共用の小部屋ですので、誰かが使用中の場合は使用できません。

大会受付で鍵を渡しますので、当日受付までお問い合わせください。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第25回春季大会実行委員会
実行委員長:阪本 公美子(宇都宮大学)

  • 大会実行委員会メールアドレス:jasid2024spring [at]
  • 合理的配慮ワーキンググループメールアドレス:reasonable_accommodation [at]

(*いずれも、 [at] の部分を@に修正してご使用ください)




全国・春季大会時の子育て中の会員支援について

国際開発学会では、多様な背景やニーズを持った会員の闊達な研究活動を促進したいと考えています。

大会のセッション会場に子ども連れで入室・発表しても構いません。

ただし、発表や議論の進行を大きく妨げないよう配慮をお願いします。

育児中の学会員の方々が参加しやすい環境づくりとして、どの大会でも、会場付近にお子さんの授乳、おむつ替え、子守り、食事、昼寝等ができるキッズスペース(子連れ休憩所)として使える部屋を用意するよう努めます。

キッズスペースで起きた事故等に関して、学会・会場施設では責任を負いません。

尚、個別の大会での対応の詳細については、当該大会ホームページをご覧ください。

また、大会参加のために民間の託児サービスを利用される会員に、託児費用助成制度(一大会・会員一人当たり5,000円まで)もあります。

託児費用助成の利用は原則、事前申し込み制となっておりますので、希望する会員は、オンラインでの大会参加申し込みの際に申告欄の記載を忘れないようにお願いいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

大会組織委員会




第25回春季大会:エクスカーションのお知らせ(1)【第6報】

国際開発学会第25回春季大会では、大会翌日の6月16日(日曜)に、栃木県内の2つの地域にて、エクスカーションを実施します。

趣旨

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かし、今大会のテーマである「地域発!国際協力と共創の実践~グローバル・グローカルな人材育成」を実践しています。

このテーマに基づいて、エクスカーションでは栃木県北西部ある日光市足尾町にある足尾銅山と宇都宮市内を訪問します。

「公害の原点」ともいえる足尾銅山は、国際開発を議論するにあたり伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場として活用されています。

また宇都宮LRT(次世代型路面電車システム)は、永年の構想検討と大規模な工事を経て2023年に開業しました。

本エクスカーションは、足尾銅山と宇都宮LRTから栃木県の開発問題を知り、日本の開発問題の歴史と現状、そしてグローバルな問題とつなげることを目的としています。

エクスカーション(オプション)1:
「足尾銅山問題を通じて開発を考える」

  • 案内人:重田康博、匂坂宏枝(宇都宮大学)、上岡健司(現地案内人、元足尾銅山勤務)

エクスカーション(オプション)2:
日本初の完全新設LRTとコンパクトシティ

半日コースですので、見学後はライトライン全線試乗、餃子通りや大谷石で有名な大谷資料館などの訪問も可能です。宇都宮ライトレールでは、餃子券付き一日乗車券も販売しています。

  • 案内人:栗原俊輔(宇都宮大学)、宇都宮大学「宇都宮おもてなし隊」学生

※現段階において英語通訳等の準備はございませんが、必要な場合、担当者にご相談ください。また参加者の方で通訳ボランティアをお申し出くださる方がいらっしゃいましたら、ありがたく存じます。

開催概要

日時

2024年6月16日(日曜)

  • 足尾町:8時15分-17時
  • 宇都宮市:9時30分-12時30分

*発着地は宇都宮駅です。

場所

  • 栃木県日光市足尾町
  • 宇都宮市内

*2地域において別々のプログラム内容となります(集合時間が足尾町と宇都宮市内では違います)

参加費

日光市足尾町

一般会員9,000円、学生会員5,000円(クレジットカード払い)(食費、入場料込み)。

領収書には、「(フィールド研修・エクスカージョン①)足尾銅山問題を通じて開発を考える」と表記されます。

宇都宮市

2, 000円(クレジットカード払い)、領収書には、「(フィールド研修・エクスカージョン②)日本初の完全新設LRTとコンパクトシティ」と表記されます。

いずれも必要に応じてご相談ください。

申込み

エクスカーションへの申込みは、大会登録と同じシステムで行います。

大会参加登録の手続きと合わせて、お申込みをお願い致します。

30名に達した場合、締め切ります。

事前申込最低実行人数

  • 足尾・・・30人(30人に達しない場合中止の可能性有り)(先着順、学生会員は先着10人まで)
  • 宇都宮市内・・・4人

申込締切

2024年5月15日(水曜)

以下の詳細は、HPでより詳しく公開していますのでご覧下さい。

参加を希望される方へのお願い

  • 2地域のオプションより、1地域への参加のみ可能となります。
  • お申し込み時に、希望する地域をご選択下さい。
  • 交通、及び現地側受け入れ可能人数の都合上、1地域あたりの定員を30名までとさせて頂きます。

本件にかんするお問い合わせ先

問い合わせは、春季大会の開催代表アドレスではなく、以下に記載の各コースの担当者連絡先に直接ご連絡ください。

オプション1:「足尾銅山問題を通じて開発を考える」
担当:重田康博

  • yasushige [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

オプション2: 日本初の完全新設LRTとコンパクトシティ
担当:栗原俊輔

  • shunsuke [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第25回春季大会:大会参加登録に関するお知らせ【第5報】

宇都宮大学にて開催する国際開発学会第25回春季大会参加登録について、以下の通りお知らせいたします。奮ってご参加ください。

1.大会参加登録について

大会参加登録と参加費のお支払いが可能となりましたので、ご案内致します。

下記のリンクより、お手続きをよろしくお願い致します。

お支払いはクレジットカード払いのみとなりますので、ご了承下さい。

参加登録・参加費支払いURL

参加費用(参加登録費)は、大会HPの該当ページ(以下URL)をご参照下さい。

事前参加登録期限(割引あり)は、5月15日(水曜)とします。その後は当日まで参加登録を受け付けます。

領収書は参加申込サイトにログイン後、「領収書ダウンロード」より発行することができます。

なお、大会の会場での受付の際に「領収書」か「参加申込受付メール」のいずれかを見せていただき入場いただくことになりますので、大切に保管ください。

プリントアウトしていただいたものでも、スマホなどの画面を見せていただくということでも結構です。なお、領収書の発行期限は7月末となります。

2.懇親会とエクスカーションについて

大会当日の6月15日(土曜)19:00-20:30に、参加者同士の意見交換・ネットワークづくりのための懇親会を予定しています。

懇親会では、授賞式と地域発のアフリカン太鼓グループジャンボいちかいの演奏があります。

ヴィーガン、ハラール、アレルギーなど、配慮が必要な方は遠慮なくご相談ください。

運営の都合上、懇親会の参加申込・お支払いは、5月15日(水曜)までに、大会への参加早期登録と同時に行って頂きます。上記の参加登録リンクから手続きを行ってください。

エクスカーションに関しても、栃木ならでは以下の2つのプランを準備しています。

いずれも一般的な観光では得られない、専門家によるアレンジによって可能となっている内容です。

  1. 足尾銅山問題を通じて開発を考える
  2. 日本初の完全新設LRTとコンパクトシティ

参加早期登録と同時にお申し込みください。

詳細は別途ご案内しますが、HPでも公開しています。

3.その他

  • ご参加にあたり必要な合理的配慮・感染症対策・託児室利用については別途ご案内します。
  • キャンパス内には「宇都宮大学まなびの森保育園」があり、当日の学童保育(0歳~小学6年生)にも対応可能です。詳細は追って案内します。
  • 大会のプログラムについては、5月1日(水曜)までに公開予定です。

本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第25回春季大会実行委員会
実行委員長:阪本 公美子(宇都宮大学)

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第25回春季大会:3/25発表申込〆切のリマインダーと報告論文について【第4報】

発表申し込みが3月25日(月曜)に迫っています。

期限内に奮ってご応募ください。

また採択後提出を求めます報告(発表)論文についてもHPに掲載しましたので、ご確認ください。

みなさまのご発表お申込みをお待ちしています。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第25回春季大会
大会実行委員会・実行委員長
阪本 公美子

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第25回春季大会:入会と発表申し込み〆切の延長【第3報】

2024年6月15日に予定されている国際開発学会第25回春季大会につきまして、第2報MLの発信が遅れていましたことに鑑み、新規会員の方の入会申込期限を3月7日(木曜)に延長するとともに、発表申し込み受付期限も3月25日(月曜)に延長します。

新規入会の方もこの機会に是非、ご発表に奮ってお申込みください。

発表申し込み受付期間:

2024年2月16日(金曜)~ 3月25日(月曜)*

発表申し込みについて

発表申し込みできるのは、以下の会員です。

【新規会員】

  • 2024年3月7日(木曜)*までに入会申込を完了していること。
  • 入会承認後に速やかに年会費を支払い、発表申込期間終了日の3月25日*時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

入会申し込みに関しては、こちらをご確認ください。

【現会員】

発表申込期間終了日の3月25日*時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

会費が未納の場合は、から会費を納入のうえお申し込みください。

発表に関する詳細は、大会HPをご確認ください。

  • 大会HP()
  • 発表申し込みURL()

今後のスケジュール

  • 新規会員の入会申し込み期限:3月7日(木曜)*
  • 発表申込締切:3月25日(月曜)(厳守)*
  • 大会参加登録開始:4月5日
  • 採否結果通知:4月下旬
  • 大会参加登録締切:5月15日
  • 報告論文提出期限:5月22日

本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第25回春季大会
大会実行委員会・実行委員長
阪本 公美子

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



JASID第25回春季大会:発表申し込み開始のお知らせ【第2報】

第25回春季大会HPが公開されています。

第25回春季大会の発表申し込みを開始いたしました。

例年通り、

(1)口頭発表(自由論題)、

(2)ポスター発表、

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

を募集いたします。

(1)、(2)、(3)とも、皆様の日頃の研究成果にもとづく発表を広く募集します。発表言語は日本語もしくは英語とします。奮ってご応募ください。

★申し込み受付期間: 2024年2月16(金曜)~3月25(月曜)

(1)口頭発表

学会員が申請し、個人もしくは複数人で発表頂きます。当日登壇できるのは学会員に限定されます。共同研究者は学会員であることが望ましい。発表時間は20分です。

(2)ポスター発表

学会員が申請し、ポスターを用いて研究内容を発表頂きます。発表者と聴衆が直接、自由に対話できます。

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

  • 企画セッションは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて複数の研究報告を行います。申請の際に、座長1名、コメンテーター2名を提案頂きます。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体および登壇者それぞれの発表要旨を提出頂きます。
  • ラウンドテーブルは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて、座長、話題提供者の発表のもと、双方向的な討論を行います。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体の要旨を提出頂きます(登壇者の発表要旨は任意)。

1.発表申込について

発表申込の関連情報は、大会HP内の以下のページにまとめております。発表を検討されている方は内容をご確認頂き、申込手続きを進めて下さい。

★発表申込概要

URL:

発表区分により、発表者の条件は異なります(詳細は大会運営内規の別表を参照)。

内規:

発表申し込みできるのは、以下の会員です。

【現会員】

発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

会費が未納の場合は、
から会費を納入のうえお申し込みください。

【新規会員】

2024年3月7日(木曜)までに入会申込を完了していること。

入会承認後に速やかに年会費を支払い、発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

入会申し込みに関しては、こちらをご確認ください。

2.発表申込先

  • 発表の申込は、以下の「発表申込URL」からオンラインでご提出ください。
  • お申込みに際し、申込用のアカウントを取得していただきます。URL先のマニュアルをご確認いただき、登録をお願いいたします。2022年度全国大会・2023年度春大会・全国大会に申し込みをされたことがある方は、既にアカウントを持っていらっしゃいます(その場合も、アカウント情報の確認を求められる場合があります)。
  • 申込用のアドレスは、学会のマイページにログインいただく際に利用いただいているメールアドレスをご利用ください。本サイトは、学会のマイページの会員情報と紐づいており、同じメールアドレスを使用することで、お申込時に氏名や所属先等の情報をご記入いただく必要がなくなります。
  • オンラインセッションでの発表をご希望の場合には、申込み時に希望発表形式を問われますので「オンライン発表」をご選択ください。

★発表申込URL:

3.大会の開催形態について

  • 第25回春季大会は、昨年度春季大会・全国大会に続き対面開催とし、ハイブリッドでの実施は致しません。
  • パラレルセッションのうちの一部をフルオンライン開催と致します。こちらについては、海外・遠方等の理由がある場合、オンラインにてご参加頂くことを可能な限り調整致します。
  • 大会会場にてオンラインセッションに参加頂く場合は、ご自身のパソコン・タブレット等からログインして頂きます。

4.大会参加について

  • 大会参加申込は4月初旬から開始する予定です。
  • 大会参加費は、クレジットカード払いのみとさせていただきます。
  • 大会報告論文集の印刷の配布はありません。参加費を支払った方のみ、論文集を事前にオンラインで入手することができます。

5.今後のスケジュール

★発表申込締切:3月25日(月曜)(厳守)
・大会参加登録開始:4月上旬
・採否結果通知:4月下旬
・大会参加登録締切:5月15日
・報告論文提出期限:5月22日


本件にかんするお問い合わせ先

第25回春季大会実行委員会
大会実行委員長:阪本公美子(宇都宮大学)
事務局長:飯塚明子(宇都宮大学)、藤井広重(宇都宮大学)

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



宇都宮大学「2024年度・第25回春季大会開催のお知らせ」6月15・16日開催【第1報】

2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

地域発! 国際協力と共創の実践~グローバル・グローカルな人材育成
Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local
Context; Global & Glocal Human Resource Development

  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮予定
  • 方式:対面(一部オンライン)
この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮のLRTや餃子、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

【スケジュール】

  • 2月 1日:ホームページ公開予定()
  • 2月中旬:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締切
  • 4月上旬:大会参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月15日:大会参加登録締切
  • 5月22日:報告論文提出締め切り

【発表申込要項】

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • ・発表者は、国際開発学会会員であることが必要
    学会入会申請:
    会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること

※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。
なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。

※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する
  • 企画セッション:各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること
  • ラウンドテーブル:企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

【発表申込】

  • 申込期間:2024年2月中旬~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

キャンパス内には「宇都宮大学まなびの森保育園」があり、当日の学童保育(0歳~小学6年生)にも対応可能です。詳細は追って案内します。

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学共同教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン科学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊地翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於茄(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

 


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会を終えて

第34回全国大会を終えて コロナ禍を経て、数年ぶりの全面対面の全国大会となりました。コロナ以前の大会がどうだったのか思い出しながら準備を進めました。

コロナ禍は我々の活動に多くの制限をもたらしましたが、遠く離れた人々とも連帯してグローバルな課題の解決に取り組む必要があることを改めて認識する機会ともなりました。危機は何かを生み出すチャンスにもなります。

このようなことから、今回の大会テーマは「複合的危機下における連帯と共創」としました。プレナリーでは日本の開発援助の行方を議論し、各セッションにおいても大会テーマに即した内容が多くあったように思います。

大会運営においては、参加者の皆様にとって安全で、持続可能な、そして包摂的な方法を模索しながら進めました。懇親会での個々盛弁当の提供やプレナリーでの情報保障(同時通訳、要約筆記など)などはその試みの例です。今後の大会運営の参考にして頂ければと思います。

2日間の大会では、450名ほどの参加者にご来校頂きました。当日は複数の他のイベントが学内で開催されており、やや狭い建物での開催になりましたが、逆にコンパクトに実施出来て良かったと思っています。

大会期間中、特に大きな問題も無く、円滑に実施することが出来ました。参加者の皆さま、運営に関わって下さった皆さまに深く御礼申し上げます。

第34回全国大会・実行委員会
委員長:小松太郎(上智大学)




第34回全国大会セッション報告(一般口頭発表)

一般口頭発表


1C:教育(日本語)

  • 座長:小川 啓一(神戸大学) 
  • コメンテーター:坂上 勝基(神戸大学)、黒田 一雄(早稲田大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:32名

第1発表:[1C01] ケニア農村部の初等教育の公正性と包摂性―公立と私立の二項対立分析の再考

西村 幹子(国際基督教大学)

西村会員は、ケニア農村部の初等教育において、それぞれの学校を率いる校長やシニア教員が公正性や包摂性をどのように捉えているかについて発表した。

学校の公正性と包摂性は、校長や教員の背景にある考え方や経験、マサイ族の文化、地域との関係性に依っており、必ずしも私立校、公立校という二項対立軸で捉えられるものではないことを明らかにした。

これに対して、コメンテーターの黒田会員から、私立-公立という二項対立軸ではなく、それぞれの学校運営を支えるコミュニティや民族の文化、校長や教員のこれまでの経験に関するインタビュー調査の分析に基づく、本発表のユニークネスについての評価がなされた。

第2発表:[1C02] 授業形態別にみた教育効果の検証:バリ島における環境教育を事例に

栗田 匡相(関西学院大学)

第二発表では栗田会員から、バリ島における環境教育を事例にして、授業形態別による教育効果の差について検証した研究成果の報告が行われた。

座学のみと比べて、地域における体験型の環境学習を組み合わせた形態によって授業を提供する方が、教育効果が中長期間継続することを示した。

これに対し、コメンテーターの坂上会員は、環境教育の効果を実証した本研究のSDGs時代における重要性を強調した上で、対照群と処置群の選定方法について確認する質問を行った。

また、環境問題に関する児童の認知能力向上のみならず、介入が環境保全状況の改善に与える効果まで検討する、今後の研究の展開の可能性についての指摘がなされた。

第3発表:[1C03] 現状に見るミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育の課題 

牟田 博光(国際開発センター)

第三発表で牟田会員は、新型コロナウイルスと軍事政権の成立という二重のショックを受けたミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育における現状と課題について、発表した。

教員研修の重要性、学力低下の危惧、人的資源蓄積の滞り、混乱収束後の課題が示された。

これに対して、コメンテーターの黒田会員は、日本が長年援助してきたミャンマーにおいて、教育システムが不安定になっている状況について言及した。

また、本発表で使用されたデータの貴重性を強調した上で、今後学術論文として世に公開されることへの期待を述べられた。

第4発表:[1C04] コートジボワールの初等教育における非認知能力の視点からみた教育の質

小松 勇輝(大阪大学大学院)

第四発表では小松会員から、コートジボワールの初等学校に通う児童の非認知能力、特に自己効力感と教育の質に関する報告がなされた。

学校内の児童-教師間のインタラクションと職業教育における徒弟制が、児童の自己効力感の涵養プロセスに関与していることが、主に参与観察を用いた長期間のフィールド調査によって明らかになった。

これに対してコメンテーターの坂上会員は、初等教育を対象とする研究の中で、公立校とインフォーマルセクターである職業教育の事例のみ取り出して、並列にして分析をすることの妥当性について質問した。

また、学術的蓄積が比較的乏しい西アフリカにおける、本研究の意義の大きさについても言及した。

【総括】

本セッションでは、ケニア、インドネシア、ミャンマー、コートジボワールにおける教育の現状や課題、最新の動向についての研究成果が報告された。

コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質問やコメントが挙がり活発な議論が行われ、発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

報告者:小川 啓一(神戸大学)

1D:若者と雇用(日本語)

  • 座長:吉田 和浩(広島大学) 
  • コメンテーター:狩野 剛(金沢工業大学)、谷口 京子(広島大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:00名
  1. [1D01] ウガンダにおける社会的遺児の強いられた自立と職業訓練
    *朴 聖恩(京都大学大学院)
  2. [1D02] アフリカによるアフリカのための研修-ケニアの気候変動の脅威に対する第三国研修の実施を通じたサブサハラアフリカ諸国への貢献-
    *本庄 由紀(ケニア国技術協力プロジェクト)
  3. [1D03] ケニアにおけるコンピテンシーにもとづくカリキュラム改革-導入の背景と新たな課題-
    *大塲 麻代(帝京大学)

【総括】

報告者:吉田 和浩(広島大学)

1E:経済(日本語)

  • 座長:西浦 昭雄(創価大学) 
  • コメンテーター:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)、會田 剛史(一橋大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:16名

第1発表:[1E01] 中国における地域の教育格差: CHFSに基づくジニ係数の分解分析

李 鋒(中央大学大学院)

コメンテーターの會田会員より、質の高い研究であり、都市・農村内の教育格差が都市と農村間の教育格差より大きいことを示した点がユニークである一方で、①どのような仮説を検証したいのか、なぜそれが重要なのか、先行研究の中でどのような貢献があるのか、といった研究課題を明らかにすべき点、②都市・農村内での教育格差が拡大した理由まで掘り下げる点、③2014年度の制度改革による教育格差の是正に関する効果を分析する点、のコメントがあった。

これに対して、李会員より、先行研究では都市に住んでいる農村出身の人々の格差までは計測できていないと回答した。

フロアからの質疑応答では、修学年数をジニ係数で計測した先行研究の存在や格差を示す値の目安、農村戸籍から都市戸籍にコンバージョンするプロセスについての質問があった。

第2発表:[1E02] 生成系 AIの勃興がもたらす開発途上国への影響の考察:機会と脅威

内藤 智之(神戸情報大学院大学)

コメンテーターの山形会員より、生成系AIがアフリカの労働者・農民にとって脅威なのか、それとも機会なのかという議論を経済学の代替性と補完性に分けて考えると、新技術が一般的労働者の補完的になったバングラデシュ縫製業による事例からも、一般的労働力(非熟練労働)が生成系AIによって補完的になることがアフリカ貧困削減につながることになるとのコメントがあった。

これに対し、内藤会員からは、過去のインターネットの経験から考察すると、アフリカの雇用とAIをトレードオフではなく、ポジティブな関係だと捉えていること、補完的になれるよう今後の20年を考えるための政策提言を考えていきたい、そのため農業の中では小作農のリテラシー教育が重要性をもつのではないかと、いう回答があった。

次にフロアより、大規模言語モデルではマイナー言語の蓄積が少なくなるので言語による格差が広がるのではないかという質問があった。

第3発表:[1E03] 農産品サプライチェーンにおける多様な連帯:グローバルノースとグローバルサウスの歯車

楊 殿閣(ソリダリダード・ジャパン)

コメンテーターの山形会員より、発表では社会的連帯経済を形成するために、インドネシアのパーム油とインドのコットンを事例に国際NGOであるソリダリダードの役割について考察しているが、その役割は研究や技術協力であり、買い付けや販売組織をもっているわけではなく、ユニリーバやサラヤといった買い付けを行う企業にとってソリダリダードはどのように評価されているかを視点に加えていくべきではないかというコメントがあった。

これに対し、楊会員より、植物油を使用する企業は人権や環境保護の観点からサプライヤーとの関係に注力しているが、農業生産を専門にしているわけではないため、農業が持続可能性を保つために小農、農法支援の面で市民社会と企業のパートナーシップをとる事例が増えているとの回答があった。

フロアからの、消費者の行動変容の視点、現地政府主導の認証システム、開発途上国発の加工企業の場合のグローバルノースとグローバルサウスの立て分けについてのコメント・質問があった。

【総括】

経済分野のセッションとして、中国の都市・農村の教育格差、生成系AIによるアフリカ雇用への影響、グローバルノースとサウスの社会的連帯経済の形成など広い観点から発表され、活発なコメントならびに質疑応答があった。

そこでは国際開発を考える上での新しい視点が多く提起されるなど、有意義なセッションであったと総括できる。このセッションを萌芽としてこれらの議論が発展することを願っている。

報告者:西浦 昭雄(創価大学)

1H:水と衛生(日本語)

  • 座長:杉田 映理(大阪大学) 
  • コメンテーター:西野 桂子(関西学院大学)、緒方 隆二(国際協力機構)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1H01] バングラデシュ南西沿岸部における世帯単位の給水サービスの可能性-ポンド・サンド・フィルターと逆浸透膜給水装置の比較から-

山田 翔太(立教大学)

バングラデシュ沿岸部の水源管理および支払い意思に関しての研究であり、今後の現場での国際協力の方法を考える際に有用な研究発表であった。その点を評価したうえで、コメンテーターからは次のコメントがあった。

1)給水施設の区分に関して、公共の水源(コミュニティ型水源)、個人単位で設置や運営できる水源、ビジネスを通じた給水サービスの3区分に分けるべきではないか?また、その上で先行研究をもとにそれぞれの長所、短所をまとめると分かり易い。

2)結論に関して、一般化しすぎているようにも見える。例えば、PSFでもうまくいっている事例もあるはずであり、ビジネスを通じたサービスでもうまくいっていない事例もあるのではないか(もしくは収入によって支払い意思が低い層の存在もあるだろう)。

3)コミュニティ型水源にもPSF以外に深井戸や小規模水道もあり、今回の1カ所のPSFを通じた調査結果や教訓をすべての公共の水源に適用できるかは疑問が残る。

第2発表:[1H02] 住民は手押しポンプをどのように用いるのかーモザンビーク北部農村における水源の多様性と季節性に着目してー

近藤 加奈子(京都大学大学院)

コメンテーターからは、モザンビーク農村住民の複数水源の利用状況、季節による水源利用の違いを明らかにしようとしている興味深い研究であったと評価された。

一方で、次の点が指摘された。分析の方法を多少改良する必要があること。まず、いくつかの種類の水源を調査対象としているが、水源の客観的なカテゴリーを明らかにした上で比較検討する必要がある(JMPによるカテゴライズ:Improved or Unimproved もしくはSafely managed, Basic, Limited, Unimproved)。

住民が複数の水源を使う場合は、水源によって使い方(例えば飲料用、料理用、その他)が異なるはずであり、データがあれば具体的使い方も含めて分析すべきではないか。また、提言は具体的な例を入れた方が良い(従来の水源の改良が望ましい→例えばどのような改良?)。

さらに、用語に関しても、「手押しポンプ」→「深井戸」もしくは「手押しポンプ式深井戸」、水源は「メイン、サブ」ではなく、「飲料用、料理用、その他」で分けた方が良いのではとの助言があった。

第3発表:[1H03] ベトナム農村部における浄水需要:個別家庭型アプローチの有効性

黒川 基裕(高崎経済大学)

コメンテーターから、ヒ素除去が可能となる小型浄水ボトルの商品企画・開発」を通じて、ハノイ近郊農家のヒ素問題が解決できるかの実証実験を試みた意欲的な研究であると評価したいこと、また、援助ではなく、BOPビジネスを検討している点が経済発展が著しいベトナムに適していると考えられることが示された。

サブスクリプション形式とし、ラテライトのフィルターを回収するところまで寛がられており、今後に対して示唆が多いとのコメントもフロアからもあった。

第4発表:[1H04] 市民参加と情報公開を通じた統合水資源管理、環境管理分野の協力アプローチの可能性

大塚 高弘(独立行政法人国際協力機構)

「参加型の取り組みを効果的に活用する協力アプローチとは?」という問い、すなわち、「JICA・カウンターパート・住民(社会)の三方よしの協力アプローチが作れないか?」という問いに対する実践的な研究であるとコメンテーターから評価された。

また、行政から市民への情報公開の重要性は明らかである一方、タイとボリビアの2案件において参加のはしごの参加のレベルをどのように評価できるのか、質疑応答がなされた。

【総括】

個人発表枠で「水と衛生」というセッションが組めたのは、国際開発学会では久しぶりであり、非常に中身の濃い、有益なセッションとなった。

安全な水の確保を目的としながら、給水のしくみとしは、ポンド・サンド・フィルター、逆浸透膜給水装置、手押しポンプ付き深井戸、小型浄水ボトルと多様であり、水分野研究の奥行きを示すセッションであった。

また、すべての発表に共通して、住民が、それぞれの活動にどのように参加する(サブスクも含め)のかが議論されており、重要課題であることが確認された。

報告者:杉田 映理(大阪大学)

1L:海洋文化・先住民族(日本語)

  • 座長:関根 久雄(筑波大学) 
  • コメンテーター:佐藤 敦郎(九州大学)、東方 孝之(アジア経済研究所)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:13名

第1発表:[1L01] 開発に直面する先住民族の協議・ FPICに関する国際比較研究プロジェクトの構想

寺内 大左(筑波大学)
小坂田 裕子(中央大学)
深山 直子(東京都立大学)

コメンテーターから、インドネシアの一民族であるダヤックを事例として取り上げた分析からはどの程度の一般化が可能なのか、多民族国家インドネシアに注目することにより分析を拡張できる可能性、そして地方政府の特徴に注意する必要性、といった指摘や質問があった。

これらに対して、事例研究としてダヤックに注目する(インドネシアの代表例として位置付けることは重視していない)ことや、アクターとしての地方政府についても注目する予定であることなどの回答があった。

また、「国連宣言の中には『継続的な協議』という文言がなく、FPICにおける『同意』が『契約』に近いことから、将来、予想外の悪影響が生じても『同意』が縛りとなり、先住民族に悪影響を強いる危険性がある」という発表内容について、フロアから国連宣言やFree Prior and Informed Consent((FRIC)の中に”Continuous”という文言を加える方法は取れないのか、という質問があり、それに対して、すでに採択された文言なに改良を行うことは非現実的であり、目の前で生じている事態に対する短期的・即効的な方策を考える必要がある、という応答があった。

第2発表:[1L02] コミュニティベース海洋環境教材の国際ネットワーク化に関する研究

小林 かおり(椙山女学園大学)

里海とは人が環境にアクセスすることであり、利活用が必然だとすれば、ゴミの海洋投棄は必要悪とも言える現象ではないのか。

「そういうもの」という発想に立脚して里海のあり方、環境教育のあり方、漂着ゴミ問題を考えることはできないか、という質問に対し、自然と人間との関係性の観点からそういう見方はありうるが、現状はすでに必要悪の次元を超えていて、改善すべき課題として直視しなければならないところまで来ており、その意味からも環境教育の必要性は待ったなしの状態にある、という趣旨の応答があった。

また、「海外と日本」の海洋環境教育といった具合に対象を二項対立的に捉えているのではないかという質問があり、それに対し、「先行研究において(海洋に限らず)環境保護は欧米と日本の捉え方は異なっていて二項対立的に捉えられ書かれる傾向があるものの、海洋環境教材はそのような発想で書かれているわけではない。

なぜなら、台湾の場合も日本と同様に「海洋環境の持続可能性」に焦点を当てた海洋環境教材が主流であるから」という回答であった。

第3発表:[1L03] 諫早湾干拓の開発史

松原 直輝(東京大学)

発表者が諫早湾干拓事業に関して、官の役割に着目していることに対して、コメンテーターは、事業主体としては官ではあるが、その中にも公共の論理と民間の論理が混在しているとの問題意識から、漁民、農民(半農半漁)、自然環境保護活動家、ディベロッパー、国(食糧増産、防災)、裁判所の立場で公共と民間の論理を指摘した。

また、歴史分析の反実仮想的な発想から、干拓事業を見るとどのように考えられるか、質問した。

コメントに対して、発表者からは、公共の論理と民間の論理について、前者について時代を越えて一貫したものが存在せず、後者が前者の中に吸収されている印象があること、また、反実仮想的な発想からの分析は今後の課題である、という回答があった。

また、諫早湾の事例について、第2発表者に対するものと同様に、発表者は「行政/市民」と二項対立的に対象を捉えているのではないかという質問が出されたが、過去の事例を踏まえると二項対立的に解釈せざるを得ない、という応答であった。

【総括】

3事例ともに外的要因に基づく開発行為が当該地域住民の暮らしに重大な影響を及ぼし、かつ彼らの生活域内における自然環境と地域住民との関係のあり方に懸念が生じたり、その関係性のあり方に変更を迫ったりするような事態を対象にした研究であった。

いずれも発表者の視点は地域住民の側に注目し、微視的に対象を捉えながら、自然環境と住民を取り巻くマクロな動きとミクロの現実との接合を試みる意欲的な研究内容であった。

報告者:関根 久雄(筑波大学)

1M:Development theory and practice (English)

  • 座長:新海 尚子(津田塾大学) 
  • コメンテーター:後藤 健太(関西大学)、島田 剛(明治大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [1M01] Dragon Rouge Redux: Assessing China’s Economic Hegemony in Cambodia
    *Toufic SARIEDDINE(Nagoya University)
  2. [1M02] CDMモデルから考察した途上国におけるイノベーションと外資系企業の役割ーベトナムの製造業企業を事例に
    *TranThi Hue(神戸女子大学)
  3. [1M03] Digital Currency and Development: Exploring the Potential Contribution and Challenges of Central Bank Digital Currency, “ Bakong,” for Development in Cambodia
    *Hisako KOBAYASHI(Oriental Consultants Global Co., Ltd.)
  4. [1M04] The Role of Private Sector toward Poverty Reduction – Analysis of Case Study in India –
    *伊波 浩美(JDI)
  5. [1M05] Regional decline and structural change in Northeast China: An exploratory space-time approach
    *Chen Yilin(Nagoya University, Graduate School of International Development)

【総括】

報告者:新海 尚子(津田塾大学)

1N:オンライン(日本語)

  • 座長:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  • コメンテーター:戸田 隆夫(明治大学)、高橋 基樹(京都大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [1N01] インドネシア・リアウ州における泥炭火災予防:現状・課題・対応案 *久保 英之1、Albar Israr2、Kurniawan Anung 2 (1. JICA専門家、2. インドネシア国環境林業省)
  2. [1N02] ASEAN諸国におけるデジタル経済促進分析:課題と戦略
    *原 正敏1、*橋 徹2 (1. ビジネス・ブレークスルー大学大学院、2. 早稲田大学)
  3. [1N03] 障害者権利条約に基づく国際協力を巡る論点及び概念整理の課題に関する一考察一各国への総括所見及び建設的対話の分析から
    *福地 健太郎(国際協力機構)
  4. [1N04] 島嶼は日本の縮図たるか?——離島及び日本における水・エネルギーの対外依存状況に着目した一考察
    *關谷 武司1、*吉田 夏帆2、*芦田 明美3 (1. 関西学院大学、2. 兵庫教育大学、3. 名古屋大学)
  5. [1N05] エジプト日本科学技術大学における教育研究機器導入、および活用プログラム開発
    *松下 慶寿(エジプト日本科学技術大学)

【総括】

報告者:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)

1O:援助機関と現場(日本語)

  • 座長:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)
  • コメンテーター:小林 誉明(横浜国立大学)、志賀 裕朗(横浜国立大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1O01] 日本の政府開発援助の効率性とコンサルタントの関係

*大須賀 誠(法政大学大学院 公共政策研究科 博士後期課程)

本報告は日本のODA の技術協力に関して、ODA 大綱の変遷、経済団体と政府の関与、援助体制とコンサルタントの役割などについて概観し、日本の援助実施体制が欧米に比較して弱体であること、このギャップを埋めているのがコンサルタントであるが、ODA予算の減少によって、コンサルタントの雇用が減少したり単価が引き下げられたりしていることなどが、ODAの実施体制を更に困難に陥れていることを説明しようとした報告である。

報告ではコンサルタントは相手国の要望に合わせた機材を国際的な経験によって把握しているので、助言や専門的知識を提供することで技術協力が効果的に推進できるであろうが、残念ながら、コンサルタントの知見が政策立案に十分反映される条件になっているとは言えない。

さらに、個々のコンサルタントの処遇も十分ではなく、何らかの育成策が必要であると結論づけている。

本報告に対しては、「日本のODAの効率性とコンサルタントの関係」がリサーチ・クエスチョンであり「コンサルタントを活用すること」がその答えなのだとすると、新聞報道、ODA大綱、経済団体の要望書、日本の援助体制の未整備(職員数の少なさ)はエビデンスとして不十分ではないかという疑問が提起された。

むしろ、人数で「効率性」を測っているのであるとすれば、現在すでに日本のODAは極めて効率的と判断することもできるわけであるから、そもそもODAの効率性とは何かという概念定義からしっかりと行う必要がある点も指摘された。

座長からも、ODAの規模の指標として予算額は必ずしも適切ではなく、事業規模も見るべきであること、コンサルタントの雇用形態や役割は多様であり、さらなる分析と考察が必要であることを指摘した。

第2発表:[1O02] バングラデシュ郡自治体円借款事業によるガバナンス改善:ガバナンス借款の可能性

*宗像 朗1、*杉山 卓2 (1. 独立行政法人国際協力機構、2.株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)

本報告は、バングラデシュの郡自治体借款事業(UGDP)1を事例にガバナンス借款の可能性を検討したものである。

この事業では①バングラデシュ全郡(約500 郡)を対象に実施した行政評価、②行政評価に基づいた開発資金の郡への供与、③研修とファシリテーターによる基本行政実施支援、の三つを柱にする約147 億円の円借款事業である。

このPDCAとインセンティブを組み合わせた仕組みにより、群自治体関係者のオーナーシップが高まり、説明責任の向上や適正な手続きの確保など実際にガバナンス改善が見られたとし、ガバナンス借款には大きな可能性があるとした報告である。

本報告に対しては、円借款によって全国的・広域的にガバナンス改革を促進する可能性を検討した興味深い論考であること、またその経緯を丹念に記録しデータを採った上でシンプルな記述統計を使って効果の発現を示した実証分析であることから、極めて高い評価がなされた。

一方、「日本の援助機関によるバングラデシュという特定の国に対する一事例」の紹介(アネクドート)にとどまっている嫌いがあるため、比較事例研究とするなどして、一国事例を超えた普遍的な教訓を引き出すことを検討してほしいとのコメントがなされた。

座長からは、これは日本の国際協力におけるプログラム支援の成功例であり、円借款という資金規模が大きい仕組みを使って全国をカバーできたことが、指摘されたような効果を生んだと考えられ、特筆すべきであるが、ガバナンス改善効果についてはより客観的なデータで評価する必要があること、インパクト評価を実施すれば教訓を一般化できることなどを指摘した。

第3発表:[1O03] 技術協力プロジェクトにおける効果的な実施・監理手法に関する考察~パキスタン国パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト(フェーズ1、フェーズ2)の事例における非技術的要素の検討~

*佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)

本報告は、技術協力のプロジェクト・マネジメントの一要素としてペタゴジー(Pedagogy;子供を教える技術と科学)に対するアンドラゴジー(Andragogy:成人の学習を援助する技術と科学)に焦点を当てた。

前者では知識を教えることに重点が置かれるが、後者では気づきと学びが重要である。

アンドラゴジーの要素を検討の結果、報告では、効果的なプロジェクト・マネジメントは、①どのような考え方でプロジェクトのカウンター・パートに対応してゆくのか、② どのような視点・問題意識とプロセスで協力を進めてゆくのか、③技術協力専門家の役割と立ち位置はどのようなものかの3点が重要であると結論づけた。

本報告に対しては、技術協力プロジェクトの成功要因の概念化に取り組んだ興味深い論考であり、見えにくく注目されにくい「非技術的要素」にも光を当てている点は意義深いとの評価がなされた。

そして、単一事例研究に終わらせずにより広い普遍的なrelevanceを持つものに発展させるためには、他国・他機関の事例との比較研究を行って理論的な精緻化を進めてほしいとの提案がなされた。

その一方で、「アンドラゴジー」という概念の有効性を証明するための事例分析をしているようなきらいがみられるため、既存のドグマに囚われすぎる必要はなく、むしろ現場の経験に基づいて既往理論に修正を加えるくらいの姿勢があっても良いのではないかという指摘もなされた。

座長からは、教育で「気づきと学び」を重視するアプローチは、現在ではアクティブ・ラーニングのように小中学校の学習でも重視されるようになってきており、ペダゴジーとアンドラゴジーの対比はやや古いパラダイムになりつつあるのではないかという指摘を行った。

【総括】

総じて、本セッションはODAを通じた人材育成の重要性に焦点が当てられ、その最適な手法についての議論が行われたセッションになった。

日本のODAの強みは人材育成であり、これが日本の国際的な役割として重要であること、ODA政策において人材育成がもっと重視されるべきであることを座長から指摘して、セッションを終わった。

報告者:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)

2L:Health, gender, family (English)

  • 座長:松山 章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:高松 香奈(国際基督教大学)、宇井 志緒利(明治学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L01] Scalable and Sustainable Adaptive Solutions to COVID-19 Disruptions in Family Planning (FP) Health Service Delivery in the Philippines

Leslie Advincula LOPEZ
Jessica Sandra Claudio
Haraya Marikit Mendoza
(Ateneo de Manila University)

The presentation was on a policy advocacy-oriented research on family planning health service delivery in the Philippines based on the experiences during the COVID-19 pandemic. Dr. Shiori Ui, the discussant, acknowledged its academic and practical significance in flexibility and innovative adaptation experiences of the project activities during normal time which can be utilized for the pandemic time. She, however, raised some important inquiries including the needs of detailed analysis of BARMM (Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao). She also emphasized the importance of further analysis on its role of the identified Health Care Provider Network. Exploring how it contributes to UHC (Universal Health Care) would be very much insightful for us.

第2発表:[2L02] Caring through a Pandemic: Filipino transnational families’ survival of disrupted mobility during the COVID-19 crisis

Derrace Garfield MCCALLUM(Aichi University)

The presentation was on the study exploring the impact of digital technology on Filipino transnational families, focusing on how ICT (Information and Communication Technology) ’s influence the (re)creation and maintenance of family bonds during the COVID-19 pandemic. The discussant, Dr. Kana Takamatsu, appreciated that the paper was convincing and well organized. Acknowledging its nique feature which challenged the existing notion, she inquired some important methodological and analytical approaches. She asked if the results would be different by age and gender. It was also pointed out by her the term, “care”, should be clarified and defined since care is an ambiguous word, could mean emotional and/or financial spheres. Moreover, she raised interesting question that intimate relationships of ICTs could become possible “possessive relationship”.

第3発表:[2L03] Gender dimensions of the world of work under crises: Trends and challenges

Naoko OTOBE

The presenter reported, using the existing panel data of world of work, how these multiple crises have impacted women and men differently in the arena of work. Dr. Kana Takamatsu acknowledged that it was an informative paper to enhance the understanding of the impact of COVID-19 on work/ employment by gender perspective. She raised several questions, however, including accuracy of analysis period. Although the paper covered the crises such as COVID-19, climate change, and Ukraine and Russia conflict, the framework of the analysis period for the study was not very clear. Moreover, “intersectionality” is an important notion in gender analysis and she suggested discussion on the point would be useful for further study.

第4発表:[2L04] カンボジアにおける紛争と信頼ー2021年カンボジア社会経済調査を用いた実証分析ー

大貫 真友子(早稲田大学)
小暮 克夫(会津大学)
高崎 善人(東京大学)

This was the presentation on the study on impact of conflict exposure on social trust in Cambodia, using Cambodia Socio-Economic Survey (CSES) 2021. The data on social trust was collected through informally added questions by one of the study collaborators who was a part of the CSES 2021 team. The significance of the research topic, how conflicts may affect attitude and feelings in relation to social trust of people and community is well taken at this time of violent conflict around the world. However, Dr. Shiori Ui, the discussant, who are familiar to Cambodian society, raised an important issue regarding relevance of the questions used to measure social trust. Additionally, validity of the study topic, whether the lack of trust in non-kin-based networks is attributable to violent conflict (genocide) in Cambodia, was questioned. Rather, Dr. Ui said, a deeper-rooted problem in Cambodian society may be that trust among close kin members such as family members, relatives, and friends has been affected by violent conflict. Finally, further study prospects were discussed.

【総括】

The session offered wide variety of topics ranging from health, gender, care among family through ICT, to social trust in relation to conflict. The first three presentations, although different in topic, were all related to the impact of the COVID-19 pandemic. The last presentation, which explored the relationship between historical conflict and people’s social trust, is a very timely and important topic in light of the current global situation. I believe that those who attended the session learned a lot from these presentations. The comments by the discussants and discussion followed were also insightful and thought-provoking which would contribute to the prospect of future research.

報告者:松山 章子(津田塾大学)

2M:Sustainability (English)

  • 座長:高田 潤一(東京工業大学)
  • コメンテーター:藤倉 良(法政大学)、道田 悦代(アジア経済研究所)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M01] Sustainability Reporting: Quality Concerns of Third-Party Tools and A Call for High-Quality Third-Party Tools to Avoid Greenwashing
    *Vivek Anand ASOKAN(Institute for Global Environmental Strategies)
  2. [2M02] 生物多様性条約の「 DSI」の国際開発への影響
    *渡邊 幹彦(山梨大学)
  3. [2M03] 太平洋島嶼地域における環境意識調査~ミクロネシア連邦の事例研究~
    *高木 冬太(立命館大学)
  4. [2M04] Global RCE Network: Action-oriented Education for Sustainable Development
    *Jongwhi Park2, *Sawaros Thanapornsangsuth1,2, *Shengru Li2, Fred Emmanuel Sato2(1. Tokyo Institute of Technology, 2. Institute of Advanced Studies, United Nations University)

【総括】

報告者:高田 潤一(東京工業大学)

2N:Online (English)

  • 座長:西村 幹子(国際基督教大学)
  • コメンテーター:マエムラユウ・オリバー(東京大学)、内海 悠二(名古屋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 10:30
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [2N01] 観光と環境のネクサス:ラグーナ州パグサンハン、カビンティにおける地元の認識に対する多面的な検証
    *ALINSUNURIN Maria Kristina2、*新海 尚子1 (1. 津田塾大学、2. フィリピン大学ロスバニョス校)
  2. [2N02] インドネシアにおける職業教育と非認知能力が労働成果に与える影響
    *崔 善鏡(広島大学)

【総括】

報告者:西村 幹子(国際基督教大学)

2O:社会開発、コミュニティ(日本語)

  • 座長:小早川 裕子(東洋大学) 
  • コメンテーター:藤掛 洋子(横浜国立大学)、松丸 亮(東洋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:18名

第1発表:[2O01] 通域的な学びの実践 – Africa-Asia Business Forumにおける学び合いを媒介とした地域間のつながり

工藤 尚悟(国際教養大学)

本研究では、国際協力や開発学の地域研究に従来の研究者や実務者による知見共有から直線的に課題解決が設計される方法ではなく、具体的な現場を持つ全く異なる地域の実践者たちが共同フィールドワークを通して得られる視点や気づきのリフレクションを基に、習慣的な思考パターンへの気づきや新しい視点の獲得といった自己変容を促す「通域的な学び」に関する調査が行われた。

コメンテーターからの課題解決型ではないプログラムの成果をどう評価できるのか、との質問に対し、工藤会員は、課題の出口として、方法論を提供する発展的評価になる回答した。

第2発表:[2O02] 開発学における表情解析の応用可能性:マダガスカル農村の女性における事例

山田 浩之(慶應義塾大学)

開発研究における調査では、回答者の設問理解度の把握の難しさ、考えずに回答している可能性、主観的で要因が多様な幸福感の測定が難点であるため、客観的調査が可能な顔を認識するソフト、FaceReader (FR)を起用した。

マダガスカル農村女性の笑顔をデータ化したものと記述調査を照合し、幸福感と個人や世帯の特性との関連性が調査された。

コメンテーターからは、FRをマダガスカルで使う有効性、調査結果が従来の調査結果と変わらなかった事から、FRを開発学で利用する意義の説明が必要ではないかとの指摘があった。

第3発表:[2O03] ブータン東部におけるアブラナ科野菜の普及の実態とその要因-タシガン県バルツァム郡を事例に-

生駒 忠大(京都大学/日本学術振興会)

本研究は、ブータンにおける新たな換金作物の普及は単に高換金性が引き金になっているのではなく、農業実践や地域文化の変容が普及の要因となっている可能性を調査した。

その結果、アブラナ科野菜が普及していった要因として、若者の離村と労働力確保の難しい村において、長期間の栽培適期と栽培の簡便性、副次的栽培、労働集約性の低さと高い生産性が村の現状に適合していたこと、アブラナ科野菜の食文化への浸透、牛の飼料としての有用性などが明らかにされた。

第4発表:[2O04] 潜在的に田園回帰志向を持つ人の要因分析 -地方に関心のある大学生に魅力的な地方自治体の施策とは-

戸川 椋太(立命館大学大学院)

田園回帰志向を持つ学生の実態を把握し、地方自治体への政策提言を目的に、潜在的に回帰思考のある大学生の特徴を明らかにする目的の研究である。

追跡調査も予定されているが、本発表では、コメンテーターから、田園回帰の定義の明確化の必要性、アンケート調査の対象が立命館大学の学生に限定されていた事による一般化の難しさ、田園回帰志向分析の設問内容が、都市でも可能な活動ではないかとの指摘があった。

【総括】

各発表は時間通りに進んだ。どれも興味深い研究発表だったため、フロアーからの質疑がたくさんあるように見受けたが、時間が限られていたため、1名の質問しか受けられなかったのが残念だった。

報告者:小早川 裕子(東洋大学)

2L:Rural development (English)

  • 座長:澤田 康幸(東京大学) 
  • コメンテーター:髙橋 和志(政策研究大学院大学)、米倉 雪子(昭和女子大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:不明

第1発表:[2L05] 「園芸の商品化と家庭の意思決定が小規模農家の収入に及ぼす不均一な影響:エチオピアのジマ地帯における準実験研究の証拠」

*FIKADU ASMIRO ABEJE、*Nomura Hisako(Kyushu University)

本論文はエチオピアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチが農家所得の向上に寄与しているか、寄与している場合、それが所得レベルや男女間でどのような違いがあるか、定量分析したものである。

データは2022-23年に集めたクロスセクショナルデータで、610の農家から集めた。

推定には、マッチングとQuantile regressionを用いている。

推定の結果からは、SHEPは全体として農家所得を有意に増やしているが、その効果はもともとの高所得家庭、また男性の意思決定力が強い農家でより大きくなることが判明した。

本論文は潜在的に重要なイシューを扱っているものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • アウトカムである園芸作物所得と、説明変数である園芸作物指数の間には強い相関があるため、これを説明変数に使わない方がよい。
  • アウトカムをレベルのまま使っていると、ほぼ必然的に高所得家計の方に強い影響が出がちなので、ログを採った方がよい。
  • 推定式の説明の際にいくつかの誤りが見られた。
  • マッチングの方法をもう少し丁寧に説明した方がよい。

第2発表:[2L06] Empowerment Mechanisms of the ‘ SHEP Approach’ on Horticultural Behaviour Change of Smallholder Farmers. A Case of Kenya

Peter Nyamwaya ORANGI,
Hisako Nomura
(KYUSHU UNIVERSITY)

本論文はケニアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチ農家のビジネスや農業スキルに寄与しているか、またそれらのスキル向上を通じてエンパワメントに役立っているか、定量分析したものである。

データは4058家計によるパネルデータで。推定には、差の差の分析とOLSが用いられている。推定の結果からは、SHEPは全体としてスキル向上に寄与し、それにより、生産やマーケティング面におけるエンパワメントに繋がっていることが判明した。

本論文はSHEPのプロジェクト目標が満たされているか定量的に検証した点で意義深いものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • スキルのカテゴリーづくりややや恣意的なだめ、どのような理論的背景があるのか示せるとなおよい。
  • データがどのようにとられたのか、また4058はバランスパネルなのかそうでないのかなど、詳しい説明が必要。
  • DIDよりも近年はANCOVAが好まれる傾向にあるため、DIDを使うメリットを丁寧に説明してほしい。
  • エンパワメントの分析にはOLSが使われているが、スキル変数は内生なので、その点を考慮した推定方法に改善する必要がある。

第3発表:[2L07] Economic Analysis of Income Generation Through Creation of Dairy Farmers Union. A Case Study on Balkh Dairy Union, Afghanistan

Hamed ARIF SAFI(Kyushu University)
Nomura HISAKO(Kyushu University)
Shoichi ITO(Kyushu University)
Hiroshi ISODA(Kyushu University)

Key Points
  • 7 interviewers conducted semi-structured interview in 8 villages in Dehdadi District, Balkh province in Aug 2014. 355 milk producers, 192 Balkh Livestock Development Union (BLDU) members and 163 dairy farmers not BLDU members.
  • Examination of the impact of dairy union membership on the productivity of dairy farmers and the net annual milk income of households using the propensity score matching method (PSM).
  • Union membership significantly reverberates impacts critical economic outcomes of dairy farming dynamics.
  • It recommends stakeholders in the dairy farming sector, including policymakers and farm management, to recognize the positive aspects of union participation on production and income.

Questions to understand the situation further to promote union

  1. The amounts of income and dairy production. How many cows do they have. Is the size of farmers relevant to the result?
  2. Why/how the farmers became union members: Did anybody suggest them to become members? What are the merits that they recognise? ie) info, training, funds, etc from the union.
  3. Why non-members do not join unions? What prevents them? ie) In Cambodia, people were traumatised by their experience of forced labor during communist/socialist era.
  4. How many days did 7 researchers interview 355 farmers in 8 villages. Did they simply ask their annual income and production or had farmers recorded the amounts?

第4発表:[2L08] 高価値な換金作物の導入後の農村移住と民族間の格差における変遷:ベトナム中央高地の台湾から導入されたウーロン茶産業の事例

呉 昀熹(京都大学)

Key Points
  • Semi-structured questionnaires targeting Kinh migrants for April-June 2019, and the minority settlements for Oct-Nov 2019 in D and L Communes, hubs for oolong tea enterprises, in Lam Dong province in the Central Highlands, Vietnam. Sites included oolong tea factories, farms, and various households. A total of 123 households heads: 96 Kinh, 10 ethnic minority migrants (Muong, Cham), 16 indigenous minorities (Kohor, Ma), 1 Vietnamese Chinese individual.
  • geographical access to employment, Kinh has easier access, Muong have relatively comparable access to Kinh, able to reach oolong tea enterprises within a half-hour walk, Ma and Kohor at more remote locations.
  • 2 categories of spontaneous migrants: Early migrants, dependent on network, organised migrants; Late migrants. less-dependent on network.
  • Ma, traditionally engaged in shifting agri, adapted themselves to the tea industry, changed gender roles. Kohor, traditionally nomadic lifestyle, limited engagement with industry.

Questions to understand the Discussion further

  1.  Describing “3 key attractions of the tea system included higher income, varied job chances, and accommodation” regarding each ethnic group may show the differences clearer. How it becomes as “a stepping stone to cash crop farming. As migrants’ farms become sustainable, their dependency on the system decreases”?
  2.  About Gender role, Ma has seen the changes while Kohor did not. How about other ethnic groups?
  3.  Explain more in section “3 Findings” about the socio economic impact including health risks and loss of personal time.
  4.  About “the indirect marginalization of indigenous groups”, may be discuss about Ma and Kohor separately? How about Muong and Cham?

【総括】

Rural Developmentセッションの名にふさわしい意欲的な論文が4本報告された。

特に、JICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチやアフガニスタンにおける酪農組合プロジェクトの評価など、厳密なエビデンス(科学的根拠)が求められている研究対象について、ミクロデータを用い、マッチング(matching)、差の差分析(difference in differences)、分位点回帰(quantile regression)など緻密な手法を用いた研究につき、計量分析を洗練化することのみならず、ドメイン知識に基づいて研究をさらに深化させるという観点から、コメンテータの高橋和志教授(政策研究大学院大学)、米倉雪子教授(昭和女子大学)より多数の建設的なコメントがなされ、活発な議論が行われた。

座長としては、今後も国際水準の開発研究・教育の成果が日本発で期待でき、国際開発学会のあるべき姿を示す有意義なセッションとなった、と感じた。

報告者:澤田 康幸(東京大学)

2M:国際開発援助(日本語)

  • 座長:伊東 早苗(名古屋大学) 
  • コメンテーター:大門(佐藤) 毅(早稲田大学)、宗像 朗(国際協力機構)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M05] 政府開発援助が海外直接投資に与えた影響―援助形態別の分析―
    *大野 沙織(京都大学)
  2. [2M06] 現地主導の開発(locally-led development)とCSOの南北パートナーシップの再検討
    *高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  3. [2M07] 日本政府の支援がパキスタン気象局の能力向上に果たした役割に関する考察
    *内田 善久(株式会社国際気象コンサルタント)
  4. [2M08] 国際協力における Co-Financeの「全体像」をどう捉えるか~中国と DACドナー間の取り組みを事例に~
    *石丸 大輝1、*土居 健市2、*汪 牧耘3、*林 薫4 (1. 独立行政法人国際協力機構、2. 早稲田大学、3. 東京大学、4.元 文教大学)

【総括】

報告者:伊東 早苗(名古屋大学) 

2N:環境、サスティナビリティ(日本語)

  • 座長:松岡 俊二(早稲田大学)
  • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、古沢 広祐(國學院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:15
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:25名

第1発表:[2N03] インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所建設に関わる原石山の補償問題

筒井 勝治(株式会社ニュージェック)
冨岡 健一(Global Utility Development Co., Ltd)

インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所周辺の地域住民に対する補償の法制度とその運用のあり方をめぐって議論をした。

第2発表:[2N04] 環境知識の移転をめぐる地政学的ダイナミクス:中国の環境協力機関の比較分析

WU Jingyuan(東京大学大学院)

中国における環境協力機関の展開について、リアリズムの視点、リベラリズムの視点、コンストラクティビズムの視点から議論を行った。

第3発表:[2N05] 生産国の実情から考える持続可能なパーム油-インドネシアとマレーシアの事例に着目して-

吉田 秀美(一般社団法人持続可能なサプライチェーン研究所)
楊 殿閣(一般社団法人ソリダリダード・ジャパン)

持続可能なパーム油の国際的認証と各国のナショナルな認証制度との関係のマーケット・企業の動向について議論を行った。

【総括】

インドネシアの発電所建設に伴う住民補償、中国の環境協力機関の歴史的展開、インドネシアとマレーシアの持続可能なパーム油の認証制度をめぐって議論を行い、東アジアの環境問題と環境協力のあり方について、深く考える機会となった。

報告者:松岡 俊二(早稲田大学)

2L:Education (English)

  • 座長:澤村 信英(大阪大学) 
  • コメンテーター:劉 靖(東北大学)、川口純(筑波大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L09] Inclusion in Higher Education: Exploring the Experiences of Nepalese College Students with Disabilities

Bhuwan Shankar BHATT(International Christian University, Tokyo)

障害を有するネパール人大学生の経験をもとに、高等教育におけるインクルージョンのあり方を多面的に検討するものである。

高等教育におけるインクルージョンに関する実証研究は貴重であり意義があり、その重要性はますます大きくなっている。

それゆえに、研究のスコープを発展させれば(例えば、学部生と大学院生、学生の専攻を分けるなど)、さらに学術的・実践的な示唆が得られるだろう。

集団的相互作用の概念枠組みに、なぜ財政上の視点を入れていないのか、あるいは今後の研究として制度的なインクルージョンに対する考え方について質疑応答があった。

第2発表:[2L10] Case studies of a positive outlier and a negative outlier municipal education departments in supporting primary schools in Brazil

Danilo LEITE DALMON(Kobe University)

ブラジルの同一州にある人口規模や経済指標が類似する市を対象として、初等学校を管轄する教育局の中で最も効果的な教育行政が行われている市と、反対にそうでない市を選別し、両者を比較検討、要因の分析を行おうとするものである。

ブラジルを対象とする希少性はあるが、これに類似する効果的学校研究に関わる蓄積は膨大にあるので、さらなる文献レビューを進めてほしい。

また、サンプリングをいかに行ったかのプロセスが不明であり、その妥当性を明確にする必要がある。対象とする国、地域、学校の状況がわかる基礎データを示してほしい。

オリジナルのファインディングが何なのか、従来の効果的学校研究に対していかなる貢献があるのかなど、質疑が行われた。

第3発表:[2L11] Citizenship education and Malagasy philosophy: An analysis of the upper secondary school curriculum

Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO(Osaka University)

マダガスカルの後期中等学校のカリキュラムを分析することにより、グローバルなシティズンシップ教育の中でいかなる価値観が育成されるのか、されようとしているのかを探索するものである。

脱植民地化やグローバル・シティズンシップ教育の議論の中で、学校のカリキュラムがいかなる影響を受けつつ内在化していくかを検討することは重要なことである。

一方で、シティズンシップ教育やマダガスカルのフィロソフィーがそれぞれ何を意味するかは、丁寧に記述する必要がある。リサーチクエスチョンに対する結果の提示にやや齟齬があるように思えるとの意見も出された。

第4発表:[2L12] Parental Involvement in Malagasy Students’ Career Planning: the Case of Public High Schools in Urban and Suburban Settings

Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA(Osaka University)

マダガスカルの都市部の公立高校を事例として、生徒のキャリア計画にいかに親が関わっているかを考察するものである。

このようなテーマ設定自体は、教育を受けた後の就業に関わることで興味深く、重要なテーマである。

ただし、キャリア計画の定義がやや不明瞭で、どのように親が子どものキャリア計画に関わっているのか、さらなる丁寧な分析と解釈がなされることが期待される。

現在の結論は、親が何を考えているか、何を行っているかに留まっており、いかに関わっているかが十分に探索できていないように思える。

【総括】

ネパール、ブラジル、マダガスカルと、発表者は日本の大学に属しながら、それぞれの母国を研究対象としている。

このような多様な対象国の研究発表が本学会の場で行われることは、少なくない影響を日本人研究者にも与えてくれているように思う。

今後もこのような学術面での国際交流が展開され、将来的に国際共同研究などに進展することを期待したい。

報告者:澤村信英(大阪大学)

2M:事業評価・分析(日本語)

  • 座長:大橋 正明(聖心女子大学) 
  • コメンテーター:石田 洋子(広島大学)、桑島 京子(青山学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 16:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:8名

第1発表:女性自助組織を通した母親の資源獲得と子どもの教育への影響―インド Rajasthan州の Rajeevikaプログラムを事例に―[2M09] 

水島 侑香(東京大学)

この発表は、本年の3月に行ったインド西部の州の3県(District)の3つの郡(Block)で政府が進める女性の自助組織(Self-Help Group、以下SHGs)の15名のメンバーに、半構造化インタビューを行った結果を軸に分析したものである。

報告者によると、多くのメンバーがSHGのマイクロファイナンスにより事業やSHGs組織の役職報酬よる収入向上、情報や人間関係といった形での資源を獲得し、結果的に子どもの教育にポジティブな影響を与えることを示した。

この発表に対してコメンテーターである広島大学の石田洋子会員は、SHGsの活動によってその本人だけでなく、その夫、女性の両親、子ども、教員、上位機関メンバー等がどう変化して、結果的に子どもたちの教育における変化につながっているのかを、セオリー・オブ・チェンジ(Theory of Change)といった形で把握すること、SHGプログラムの全容や対象地域の教育事情などが不明である、といった指摘をした。

第2発表:カンボジア・つばさ橋建設をめぐる環境社会配慮と事業化検討プロセス[2M10] 

小泉 幸弘(独立行政法人国際協力機構)
花岡 伸也(東京工業大学)

小泉会員の報告は、カンボジアにおける同様な橋梁プロジェクトと比較して、本案件がカンボジア側からの要請から無償資金協力実施の意思決定に至るまでに、10年ほどの時間を費やしたことの要因として、2004年改定のJICA環境社会配慮ガイドラインを適用した経緯をもとにしたものであった。

結果として、早期開通を希望していたカンボジア側の声には応えられなかったことが提起された。

これに対して青山学院大学の桑島会員からは、改定後の環境社会配慮ガイドラインの画期性、外務省・JICAの権限関係の「今」、カンボジアの運輸交通開発における環境社会配慮の「今」などのより幅広い検討の必要が指摘された。

また会場から相次いだ質問を通じて、こうした配慮がなされることでより丁寧な検討がされたことを評価するという指摘や、他の新興ドナーとの対抗を意識する日本政府はこうした配慮の適用範囲を限定しようとする動きがあるという懸念などが示された。

【総括】

このセッションでは、二人のコメンテーターからのコメントと発表者による応答、そして会場の参加者との興味深いやり取りが行われた。

四人の発表者を前提にした時間枠に二人の発表だったため、時間的に余裕があったので、しっかりしたやり取りをすることができた。それでも16時半に終了した。

報告者:大橋 正明(聖心女子大学)

2N:平和構築、レジリエンス(日本語)

  • 座長:湖中 真哉(静岡県立大学) 
  • コメンテーター:松本 悟(法政大学)、桑名 恵(近畿大学)
  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:約40名

第1発表:[2N06] 特定地域における民族間の勢力均衡論(ドミノ式)についての一考察ー勢力均衡のパターン分析を中心にー

安部 雅人(東北大学)

安倍会員による最初の報告では、民族間の勢力均衡論として3つの類型が提示され、中国新疆ウイグル自治区の紛争、パレスチナ紛争、ルワンダのジェノサイド等の事例が、その3つの類型の観点から検討された。

これに対して、松本会員によるコメントでは、リサーチクエスチョンの所在、先行研究に対する位置づけ等に関する質問が投げかけられた。

また、フロアからは、なぜインクルーシブな国家を形成できなかったのかという問題意識からの再検討の可能性等の論点が提出され、報告された類型が多角的に検討された。

第2発表:[2N07] 中国の都市におけるコミュニティレジリエンスの構築に関する質的研究—ソーシャル・キャピタルの視点から

王 藝璇(大阪大学大学院)

つづく王会員による報告では、2021年の中国河南省洪水災害で被災したコミュニティを対象とするインタビュー調査結果がおもに報告された。

同会員は被災コミュニティを都市・農村の移行期コミュニティの脆弱性に注目しながら3つに類型化し、各コミュニティのレジリエンスをソーシャルキャピタルの類型の観点から分析した。

松本会員によるコメントでは、ソーシャルキャピタルの有効性を論じるに当たっての基準設定の問題、比較の前提となる影響要因の評価の問題、調査対象者の選定上の問題等が質問された。

王会員は質問に回答しながら、今後の研究にコメントをフィードバックしていく見通しを述べた。

第3発表:[2N08] エルサルバドル共和国帰国研修員によるパイロット事業の形成過程と実施に関する要因分析:
ポストコンフリクトにおける地域住民の主体的生活改善活動に着目して

藤城 一雄 (独立行政法人国際協力機構)

その後の藤城会員他の報告では、研究対象地はエルサルバドルに移り、長期内戦後のポストコンフリクト状況において、JICA本邦研修による中米地域生活改善研修を事例として、パイロット事業実施5年後の現地調査の分析結果が報告され、おもにインタビュー結果から、パイロット事業参加者の幸福感が変容した成果等が示された。

コメンテーターの桑名会員によるコメントでは、過去の教訓を踏まえている点等が評価され、今後の展望が質問された。

また、フロアからは、事業に対するネガティブな反応がなかったのかという点が質問された。藤城会員は、その後エルサルバドルで政権交代があったため、組織全体が消滅したこと等、その後の事業の経緯を踏まえつつ、これらの質問に回答した。

第4発表:[2N09] グローバル・ナレッジとしての東日本大震災とそこからの復興(途上国に役に立つ知識とするために何が必要か?)

林 薫 (グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表、元文教大学教授)

最後の林会員による報告は、東日本大震災の震災以降に着目し、震災伝承施設をグローバルなレッジの観点からどのように評価できるかを探究し、その調査成果が豊富な事例とともに示された。

コミュニティ防災の軽視や失敗学の不在等の課題を示しつつ、最後に何が世界に発信すべきコアなナラティブになり得るかという展望が示された。桑名会員はこれに対して調査の方法や協働知の双方向性について質問を投げかけた。

林会員は震災伝承施設の展示方針の硬直性の問題により、双方向性が現状では困難であること等を回答した。

【総括】

本セッションでは各報告が時間を超過しなかったため、充実した討議を行うことでき、多角的に報告を検討することができた。

なかでも林会員は報告を通じて、本セッションの他の報告やプレナリーセッションにも言及され、本大会の最後を締めくくるに相応しい報告となった。

報告者:湖中 真哉(静岡県立大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



第34回全国大会セッション報告(企画セッション)

企画セッション


[2C01] コンゴ盆地熱帯雨林における森林資源マネジメントの共創―住民がもつ在来知と科学知の統合から

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:11名
  • 座長:戸田美佳子(上智大学)
  • コメンテーター/ディスカッサント:佐藤仁(東京大学)、華井和代(東京大学)

第1発表:アフリカ熱帯林における経済開発と保全の両立を目指した非木材林産物の促進とその課題

戸田美佳子(上智大学)
四方 篝(京都大学)
平井將公(京都大学)
Ndo Eunice (IRAD Cameroon)

SATREPSプロジェクトの舞台となるコンゴ盆地熱帯雨林における自然保護と経済開発の変遷を辿ることで、地域住民の森林資源に根差した生活が近年困難となってきている現状が報告された。

そのうえで、「非木材林産物(NTFPs)」の利用を通じたアフリカ熱帯林における経済開発と保全の両立を目指すために、地域社会どのような課題を抱えているのかを議論した。

討論者からは、誰のどのような意識が変われば、問題解決につながるという本質的な問いがなされ、アフリカ諸国における政府の機能に関する懸念が示されるとともに、グローバルスチュアードシップという大きな議論と繋げることの可能性が提案された。

第2発表:カメルーン熱帯雨林の野生動物モニタリング法における在来知と科学の接合

本郷峻(京都大学)

アフリカの野生動物に対する資源管理においては、生態学的な観点から重視される資源量を推定できるような、住民主体のモニタリング方法が確立しておらず、住民主体型管理の成功例はいまだほとんどない。

そこで本プロジェクトでは、狩猟実践による「収獲に基づく野生動物資源モニタリング」を提案し、本報告ではその有用性を生態学的に実証した。

討論者からは、狩猟のやり方は変化していくが、それに対して対応できるのかという質問があったのに対して、報告者からは対応できる仕組みであるとの応答があり、加えてモニタリングによって計ることが住民の行動変容につながる可能性も示された。

第3発表:「住民主体の森林資源マネジメントへむけた試行と課題」および「在来知と科学知の統合による森林資源マネジメントモデルの共創」

安岡宏和(京都大学)
平井將公(京都大学)

狩猟に基づく新しいモニタリング手法がどのように考案されたのかを、報告者による狩猟採集民と生業活動をともに実践してきた生態人類学的フィールドワークの経験から具体的に報告された。

とくに、在来知と科学知の共創のプロセスにおいては、地域住民の経験・知識を生態学者が習得し、生態学の経験・知識を人類学者が習得するという交差する経験が不可欠であり、その柱として地域住民との協働があることが強調された。

討論者からは、在来知とはどのようなレベルのものであるのか、伝統的知識や知恵のものであるのかという質問があった。

それに対して、在来知は暗黙知であり、可視化することは困難であることと応答され、伝統的知識や知恵という断片的なものとして切り出せるものではなく、多面的な土地利用をみとめて重層的な機能をもつランドスケープのなかで生物多様性を保全する「ランド・シェアリング(Land Sharing)」の視点に立ち、人々の生き方として実践される生活知として再評価する仕組み作りが重要であるという議論となった。

【総括】

討論者からはこの問題のスタートは誰がスタートなのかという問いが投げかけられた。

総合議論では、まず地域住民の生計活動が厳しく制限されている一方で、環境破壊につながる大規模開発が推進されている現状をあること、保全機関においてもリソース不足があり、保全機関と地域住民の相互不信が問題として表面化していることが再確認された。

野生動物の利用(狩猟)はネガティブな資源利用とされいるが、本プロジェクトの成果によって、狩猟のうち地域住民による自給的な狩猟は資源マネジメントを強化できるという観点からはポジティブなものになりうること、そのうえで、外来ハンターや都市への獣肉流出といったネガティブな資源利用を抑制できる可能性をして評価された。

報告者:戸田美佳子(上智大学)、本郷峻(京都大学)、安岡宏和(京都大学)、佐藤仁(東京大学)、華井和代(東京大学)

[2I02] Emerging and Advocating Donors?: The cases of Venezuela, Colombia, and NGO(English)

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 座長:
  • コメンテーター/ディスカッサント:

*岡部 恭宜1、*サバルセ カルロス1、*林 明仁3、*ゴメズ オスカル2、*北野 尚宏4 (1. 東北大学、2. 立命館アジア太平洋大学、3. 上智大学、4. 早稲田大学)

【総括】

報告者:

[2J02] 開発途上国におけるミクロ実証分析

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:10名
  • 座長:島村靖治(神戸大学)
  • コメンテーター/ディスカッサント:倉田正充(上智大学)、會田剛史(一橋大学)、樋口 裕城(上智大学)

第1発表:母親の自助組織活動への参加による娘の婚姻に与える影響

佐藤希(愛知学院大学)

インド農村部における女性の婚姻時の問題に関する実証分析として、前半は婚姻時に花嫁の生家から花婿側に支払われるダウリーに関連する要因についての分析、後半は女性のエンパワーメントを目的として行われている女性自助組織活動への参加による婚姻年齢への影響についての分析が紹介された。

コメントとしては、用語の定義や推計方法に関する質問に加えて、推計結果のなかでも女性の婚姻年齢とダウリー支払いとの間の負の相関は既存研究の「花嫁が高齢になるにつれてダウリーの額が上昇する」と矛盾するのではとの指摘があった。

発表者からは用語や推計方法についての補足的な説明と共に、既存研究との違いとしてアウトカーストのような最貧層を主な対象とした調査であることが示された。

また、女性自助組織の活動自体の多様性を指摘するコメントも出され、自助組織活動の異質性を考慮に入れた分析も提案された。

第2発表:感染症予防のためのナッジ介入による医療ボランティアの行動変容

劉 子瑩(神戸大学)

インドネシア・ジョグジャカルタ郊外で活動する医療ボランティアへ感染症予防のための情報介入(ナッジ)を行い、彼らの感染症予防行動にどのような変化が生じたのかを検証した分析結果が紹介された。

コメントして、分析結果の解釈がとても難しい結果となっていることを指摘した上で、5時点の調査データで3回の介入を実施している研究で介入効果が時間を通じて一定という強い仮定を置いている点に疑問が投げかけられた。

そして、介入効果が時間と共にどのように変化していったかを検証するほうが妥当でないかとの意見も出された。発表者からは、今後、提案された分析を採用していきたい旨、回答があった。

第3発表:インドシナ半島諸国の村落医療施設における患者満足度の分析

島村靖治(神戸大学)

ラオスにおいて実施した独自調査データを用いて、特に患者と医療従事者のリスクおよび時間選好に着目し、患者が公的村落医療施設で受けた医療サービスに対する満足度について分析が紹介された。

コメントしては、調査や分析に関するいくつかの確認の質問と共に、政策的に変えることができないリスクおよび時間選好に着目する理由についての質問が出された。

発表者の回答としては、医療従事者のリスクおよび時間選好の違いによって提供されている医療サービスの違いを検証していくことが次のステップであると説明された。

また、患者満足度について行動経済的視点からの分析を行うことについての意義を問う質問も出された。

回答として、本研究は保健学分野の専門家と共同で実施しており、提供されている医療サービスの適切さについても研究しているとの説明がなされた。

加えて、分析結果を慢性的な国家的な予算不足の問題とどのように関連付けていくかについても考えるよう提案があった。

【総括】

参加人数は比較的少人数であったが、それぞれの分野に詳しい専門家からのコメントをもらえたことで、発表者にとっては、大変有益な研究発表の場となった。

それぞれの研究は未だプリミティブなものであり、コメンテーターおよびフロアーから出された貴重な意見を採り入れて、今後、それぞれの研究の完成度を高めていくことが期待される。

報告者:島村靖治(神戸大学)

[2E03] 危機への対応とジェンダーージェンダー関係はどう危機と関係したか?ー

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:不明
  • 座長:
  • コメンテーター/ディスカッサント:高松香奈(国際基督教大学)

*本間 まり子1、*高松 香奈2、甲斐田 きよみ3、小野 道子4、岡野内 正5 (1. 早稲田大学、2. 国際基督教大学、3.文京学院大学、4. 東洋大学、5. 法政大学)

  • 本間まり子
    「コロナ禍におけるバングラデシュのマイクロファイナンス事業―二重の制約に対する女性の生存戦略に着目して―」
  • 甲斐田きよみ
    「農家のリスクと機会への対応におけるジェンダーによる違い」(ナイジェリア)
  • 小野道子
    「母子家庭の母親たちの生存戦略―カラーチー市の「路上」で働く「ベンガリー」の女の子の母親たちの語りから」
  • 岡野内正
    「北東シリア自治区の奇跡」

【総括】

本企画セッションでは、「危機への対応とジェンダー」という共通テーマを設定し、議論を行なった。

危機とは、新型コロナウィルス感染症の拡大や経済的なショックだけではなく、革命などの政治的混乱や貧困、ジェンダー差別的な構造によって生活が安定しない状況など幅広く捉えた。

まず、本間会員が、バングラデシュのマイクロファイナス事業の主な利用者である貧困女性たちが、ジェンダー規範による制約とコロナ禍の影響の中で、事業をどのように利用していたかについて論じた。

次に、甲斐田会員が、ナイジェリアを事例として、農家が直面する農業におけるリスク、経済活動におけるリスク、生活におけるリスクや機会と、それらのリスクや機会への対応に、どのようにジェンダーの違いがあるかについて論じた。

さらに、小野会員により、カラーチー市の「路上」で働く「ベンガリー」を事例として、市民権を持たない母子家庭という平時から危機的状況にある女性たちが、新型コロナウィルス感染症の拡大という危機に対して、どのような対応を取ったのか議論した。

最後に、岡野内会員により、保守的なイスラム教徒が多数を占める北東シリアにおいて、ジェンダー関係に大きなインパクトを与えているロジャヴァ革命について、ジェンダー主流化政策やWPS アジェンダの視点から議論した。

コメンテーターの高松会員からは、「何が危機なのか」という問いかけがなされ、「社会的に構築された危機」と「状況的な危機」に4人の発表者の語った危機を整理し、どの発表内容も「危機は複合的である」ことを明示していたというコメントがされた。

また、「状況的な危機」とは偶発的な危機で、この状況的な危機ばかりに着目していると、常態化した危機が「正常」と捉えられる可能性がある。

そうするとジェンダー構造は「問題のあるノーマル」となっているのではという疑問を、4人の発表は提示していたと言及した。

そして、ジェンダー構造そのものが個人の「危機」であり、個人(特に女性)がどのように危機から影響を受けたかを4人の発表内容を整理して指摘した。

さらに、危機への対応がどのようにジェンダー関係に影響を与えたのか、4人の発表者に質問を投げかけた。

本間会員に対しては「世帯内、社会でジェンダー規範は軟化したと言えるか?もしくは強化された側面はあるか?」、甲斐田会員に対しては「さらなる危機を発生させながらも、どのように世帯内のジェンダー関係が変化するのか?可能性はあるか?」、小野会員に対しては「生存戦略と『こども』について、女児・男児を取り巻く関係性と変化はどのようなものか?」、岡野内会員に対しては「ロジャヴァ革命はジェンダー主流化なのか?強固な規範の中で、女性スペースをプラスαとして構築したという見方もできるのではないだろうか?」という問いがなされ、4人の発表者が回答した。

さらに、フロアも交え、4人の発表者と質疑応答により30分程度、活発な議論が続けられた。

本企画セッションを通じて、危機がジェンダー関係に与える影響とジェンダー関係が危機に与える影響、両方向からの議論が必要であること、今回のような異なるフィールドの事例の蓄積が、その議論を発展させるために必要であることに気付かされた。

今後の本研究部会での研究に向けて、必要な点を明確にすることができた。

なお、本企画セッションの冒頭で、本研究部会の代表を務められ、2023年9月26日に急逝された田中由美子会員の功績を讃え、会場の参加者とともに黙祷を捧げた。

また、本研究大会のポスターセッション会場において、田中由美子会員の業績と研究部会からの追悼メッセージを提示した。

急なお願いにも関わらず、ポスター掲示の場をいただきましたこと、この場をお借りして大会実行委員会に感謝の意を表したい。

報告者:

[2I03] プラネタリー・ヘルスの観点からパラグアイの農村開発を考える

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 兆候人数:2名
  • 座長:池上甲一(近畿大学)
  • コメンテーター/ディスカッサント:受田宏之(東京大学)、牧田りえ(学習院大学)

第1発表:プラネタリー・ヘルスの観点から考える六次産業とアグリツーリズムの可能性:パラグアイにおける「農村女性生活改善プロジェクト」と「アグリツーリズムプロジェクト」を事例として

藤掛洋子(横浜国立大学)

コメンテーターから、ラテンアメリカにおける環境保全を掲げる言説(ブエン・ビビール)や社会運動が古くからみられると同時に、第一次産品に依存する構造も強化されている点がふれられた。

その中で、JICA草の根技術協力事業:「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト」(第一フェーズ)と「アグリツーリズム」(第二フェーズ)が展開されており援助研究として興味深いというコメントがあった。

質問は、対象となる小農のスケールと対象地域の人々はプラネタリー・ヘルスという先進国主導の概念を本当に受容できているのか、という点であった。

報告者は、対象は2つの市域の農村であり、小農の農村女性がメインであること、また、想定外に農村女性たちがプラネタリー・ヘルスという概念を受容できたのは、すでにプラネタリー・ヘルス・ダイエット的な食生活(豆食など)を農村女性たちが営んできたからではないか推察していると応答した。

第2発表:プラネタリー・ヘルスと自然資源管理の在り方 :エリノア・オストロムのコモンズ論の視点から

松田葉月(東京大学)

The comments received from the discussants included questions on how can we apply the theory of E. Ostrom to manage the Common Pool Resources in the context of agritourism, considering the previous studies on fisheries management. The presenter explained that the theoretical framework based on the eight institutional principles designed by Ostrom has been a preliminary study to evaluate the possibility to apply them to the field of agritourism in Paraguay or other country of Latin America, taking into account their governance of CPR. We are in the process to select the field area to start the assessment and application of Ostrom’s theory.

第3発表:家庭菜園の持続性を人間関係の緊密性から考える:パラグアイ農村地域の事例から

小谷博光(人間環境大学)

コメンテーターから、従来存在する社会資本を活かす、ないしは参加者間に新たにつながりを創出することで、家庭菜園を続ける純便益を高めることはできないのかという質問があった。

報告者は、参加者にとって経済的・社会的利益や価値を得られる枠組みを作ることができれば、家庭菜園を続けることの純便益を高めることが可能であると考えられるが、その様な枠組み作りが容易でなないと応答した。

その理由の一つとして、農村地域の狭いコミュニティ内での家庭菜園の推進を支援する際、指導者が特定の参加者の畑を訪問しただけで、別の参加者が嫉妬に近い感情を持ち得る可能性があることから、参加者の複雑な関係性と感情に配慮する必要がある、と補足があった。

第4発表:地場産物を活用した学校給食から考えるプラネタリー・ヘルスの可能性:パラグアイ共和国南東部の事例より

橋口奈奈穂(横浜国立大学)

パラグアイ南東部の市において、地場産物を活用した学校給食導入の試みがあったものの、政府の支援と分権化、農業生産者の組織化と調整等に課題があることが報告された。

コメンテーターから、パラグアイには小農支援のための政府機関はあるのか、また公共調達に応じた小農世帯数あるいは割合はどの程度なのか質問があった。

報告者は、パラグアイの小農支援の政府機関として、農牧省農業普及局があり、農業改良や生活改善に取り組んでいること、報告者が調査を行った地域では、市役所が落札した委託会社を中心に学校給食経営がなされるが、市役所と農牧省農業普及局の連携が不十分であったことが地産地消の推進に至らなかった要因の一つであると考えられると応答があった。

報告者が調査している市域において小農公共調達に参加した小農は15世帯程度であるが、地場産物の活用は求められていることから、今後さらに調査を行うと応答された。

【総括】

四つの事例全てが国際開発援助に関わっており、援助論であることから、良い企画であるというコメントを頂いた。

同時に、①プラネタリー・ヘルスとワンヘルスの違いは何か、②プラネタリー・ヘルスという先進国主導で作り上げられた概念が、パラグアイの小農の人々どの程度受け入れられるのか、②ラテンアメリカに特徴的なブエン・ビビール(良い生活)との関係性をさらに明らかにすること、④オストロムの8つの原則を用いる場合、アグリツーリズムを展開する際のコモンズは何なのかを明確にしていく必要があるなどの貴重なコメントを頂いた。

これらのコメントを活かして、今後さらに研究を発展させていきたいと考えている。誠にありがとうございました。

報告者:藤掛洋子(横浜国立大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



第34回全国大会セッション報告(ラウンドテーブル)

ラウンドテーブル


[1I01] 国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて

  • 日時:2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:荻巣崇世
  • 司会:川口純
  • ディスカッサント/コメンテーター:林研吾(国際協力機構)、泉川みなみ(国際協力機構)、坂口真康(兵庫教育大学)、関口洋平(畿央大学)
  • 第1発表:国際教育開発の哲学̶背景と展開̶
    橋本憲幸(山梨県立大学)
  • 第2発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ニカラグア〜
    吉村美弥(国際協力機構)
  • 第3発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜マダガスカル〜
    山縣弘照(国際協力機構)
  • 第4発表:ともに「学び」・「学び直す」関係へ
    興津妙子(大妻女子大学)
  • 第5発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ヨルダン〜
    山上莉奈(国際協力機構)
  • 第6発表:国際教育開発のシングル・ストーリーを乗り越える:実務者と研究者の出会い直しに向けて〜ガーナ〜
    村田良太(国際協力機構)

【総括】

本企画は、国際教育開発における実務と研究を架橋し、双方向から国際教育開発という分野を捉え直すことを目的として、特に、若手を中心とする実務者と研究者の相互理解を深めるための対話の機会として企画するものである。

2022年度から実施してきた勉強会での議論を通して、研究者側はJICAを単体のアクターと捉える傾向があり、その中で実務に携わる実務者個人の想いや葛藤に十分に目を向けて来なかったことや、逆に、実務者側は、研究者が生み出す知見や批判的検討を実務の中で十分に活かしきれていないことなど、実務(者)と研究(者)の間には「すれ違い」があることが明らかになってきた。

そこで、本企画では、この「すれ違い」の背景に、国際教育開発に関わる人々の葛藤や戸惑い、願いなどの個人的な語りが覆い隠されてきたことがあるのではないかとの仮説に基づき、これへの反省から議論を進めた。

特に、国際教育開発の中で「研究(者)」と「実務(者)」のそれぞれについて生み出されてきた、一方的で固定的なイメージ(シングル・ストーリー)を批判的に捉え、国際教育開発の語りを具体化・複数化するところから始める必要があること、また、「語られること」だけでなく「語られないこと」にも注意を払い、シングル・ストーリーが何を可能にし、何を不可視化してきたのか、議論を深めることに留意し、いわゆる研究者と実務者双方から計6名が登壇し、討論者も双方から計4名が登壇して、議論を進めた。

発表者からは、実務や研究に携わることになった背景・想いに加えて、それぞれが抱える葛藤や喜びが共有され、双方の顔を見ながら、想いをも含めて「出会う」「出会い直す」ことの重要性が確認された。

また、コメンテーターからは、やっていることの中身からは、実務(者)と研究(者)の境界は極めて曖昧なものであるにもかかわらず、それぞれが敢えて立場性を意識する/させる関係の中ですれ違いが起きているのではないかとの指摘があった。

会場からは、国際教育開発の「現場」をどう捉えていけば良いかとの指摘や、教育は明確なゴールがない(あるべきでないとも言える)分野だからこそ、「良い教育とは何か」についての対話を継続的に行なっていかなければならないのではないか、との指摘があった。

今年度より、本ラウンドテーブルのメンバーが中心となって研究部会「国際教育開発」を発足させることから、実務者・研究者の出合い直しや自分自身との出会い直しを促すために、引き続き対話を続けていきたい。

報告者:荻巣崇世(上智大学)

[1J01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル 地方大会から何が見えたのか?ー改めて「地方」から国際開発を考えるー

  • 日時:2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*木全 洋一郎1、*佐野 麻由子2、*工藤 尚吾3、*梶 英樹4、*生方 史数5、*辰己 佳寿子6 (1. 独立行政法人国際協力機構、2. 福岡県立大学、3. 国際教養大学、4. 高知大学、5.岡山大学、6. 福岡大学)

【総括】

報告者:

[2D01] なぜ日本で「国際開発」を学ぶのか——韓国・中国の(元)留学生の経験から紡ぎ出すその答え

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:25名
  • 座長:汪 牧耘(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:大山 貴稔(九州工業大学)・松本 悟(法政大学)・劉 靖(東北大学)・キム ソヤン(ソガン大学(韓国))・Wu Jingyuan(東京大学大学院)

第1発表:留学生は「国益」になるか:行政・研究・教育現場からの考察

松本 悟(法政大学)

松本氏は、日本政府が無償資金協力で実施している人材育成奨学計画(JDS)を中心に、国際開発の日本留学が持つ特殊性と本RTの意義を述べた。

JDSは開発途上国の若手行政官が日本の大学院で英語学位を取得するのを支援し、帰国後、その国のリーダーとして開発課題の解決に寄与することを目的としている。

過去20年間で5千人以上がJDSで日本に留学した。

こうした「開発奨学生」の中心は行政官であり、修了後に帰国して開発行政と日本との橋渡しという外交的な役割が期待されている。

JDSに見受けられる「意図的な国益」に比べて、本RTは私費留学生や非行政官に登壇してもらい、留学生が自ら感じ取った日本留学の価値をその個々人のストーリーから理解する場である。

松本氏は、このような背景の違いを踏まえて、本RTにおける登壇者の語りが持つ意味を際立たせた。

第2発表:“Made in China, Recycle in Japan?”:留学の「成功例」とは何か——教育で世界を変えよう

劉 靖(東北大学)

本発表では、劉氏が「教育で世界を変えよう」という信念を持つようになった過程を振り返った。

小・中学校から、「正解」や「特権」に塗られた教育に感じた不平と違和感が、その問題関心の原点だという。

来日してから、大切な日本人の方や先生との出会いが積み重なっているなかで、劉氏は国際開発学の教育・研究活動に踏み出した。

「教育の公平」を実現するため、批判的かつ建設的な学問のあり方を国内外の機関、大学や教育現場で思索してきた。

こうした経験を踏まえて、劉氏は「国際開発に関する知の借用」から「国際開発に関する知の共有・共創」への転換が、日本で国際開発を学ぶ意味として挙げた。

その転換を引き起こす主体は、「個人」だけではなく、「地域」でもある。アジアの諸国・諸社会が互いの参照点となることで、自己理解が変容し、主体性が再構築されていく試みは、劉氏の現在進行中の研究である。

第3発表:越境者[境界人]の思い[lived experience]:イギリスと韓国から日本を包み直す[reflecting upon Japanese development studies]

キム ソヤン(ソガン大学(韓国))

本発表の冒頭で、キム氏は本RTで用いる方法論である「オートエスノグラフィ(自伝的民族誌)」の系譜を概説し、個人が自らの多面的・流動的なアイデンティティと経験を再帰的に考察・表象・構築するという行いが持つ学問的意味を浮き彫りにした。

その上で、キム氏は、1990年代から今に至り、韓国、日本やイギリスの国境を超えてきた勉強・留学・研究の経験を、その時々の時代背景と変動をかい摘みながら共有した。

日本で出会った政治生態学の面白さや地域研究者の素晴らしさ、イギリスで受けた理論・議論・研究倫理の厳しい訓練などといった越境による光の部分だけではない。深刻な人種差別と他者排除をはじめとする影もまだ境界人の心身を洗練するものとなった。

キム氏は、30年にわたって見えてきた日本の国際開発研究の可能性を踏まえながら、批判的思考の欠如や議論の断片化などとった現状に対する危機感と変革の必要性を訴えた。

【総括】

これほどまでに人を笑わせたり、泣かせたりした学会のRTはあっただろうか。発表が終わっても、会場における議論が終わらなかった。

「人材をどう育成するか」を考える前に、まずは図らずも日本に来た留学生が見てきた世界に向き合ってみることの大切さを忘れないこと。

オートエスノグラフィという一見「小さな物語」がもつ力を丁寧に用いながら、日本における国際開発研究を批判的に再構築すること。

JASIDをより多くの人が他者との共創の中で自らの足場を見つめ直す場になること。

これらの貴重な課題を示してくださった発表者、コメンテーター、司会と参加者の皆様に深く御礼申し上げたい。

報告者:汪 牧耘 (東京大学) 

[2E01] Well-being, Economics Policy Making and Sustainable Development Goals (SDGs) (English)

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:15名
  • 座長:石戸 光(千葉大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:Arthur Grimes(Victoria University)、小林 正弥(千葉大学)

第1発表:Using wellbeing concepts to enhance international development

Arthur Grimes (Victoria University of Wellington)

千葉大学の研究プロジェクト「公正社会研究の新展開-ポストコロナ時代の価値意識と公共的ビジョン」(代表:水島治郎・千葉大学大学院社会科学研究院教授)の招聘および共催により、ウェルビーイングと経済政策策定の分野における世界的な経済学者(アーサー・グライムス博士、Motu Economic and Public Policy Research Trustシニアフェロー、ビクトリア大学ウェリントン校経済学部非常勤教授、ニュージーランド・ワイカト大学経済学部名誉教授)を招聘し、主観的幸福度、客観的経済政策(国家予算として財政的価値が配分される)、持続可能な開発目標(SDGs)の相互関係について、ウェルビーイングを考察した哲学・経済学者の系譜や、ウェルビーイング指標の低下が米国におけるトランプ政権の誕生や英国のEU離脱をある意味で予測できる指標であったこと(ただしこの分析自体は事後的なものであるが)、ウェールズを含む各国のウェルビーイング関連政策の有効性、などの側面から学際的に発題していただいた。

第2発表:Comment on “Using wellbeing concepts to enhance international development”

小林正弥(千葉大学)

アーサー・グライムズ教授からの発題を受けて、開発における新たなアプローチとして、どのような「開発」を先進国においても目指すべきか、センのケイパビリティアプローチの特質、客観・主観指標、悲惨や貧困と比較してのウェルビーイング研究の特質、政治哲学およびコミュニタリアニズム、といった概念の差異および関連性について質疑がなされた。

また「多次元的アプローチ」が有益である点、将来世代に関する目配りを行うウェールズの幸福度・公共政策を評価する点についての質疑応答が行われた。

特に多次元的なウェルビーイングを考慮していくことは、低所得のみならず、高所得国においても、生活の質の観点から重要な「開発」の課題である点が提起された。

第3発表:ウェルビーイング、公共政策およびSDGsの関連性

石戸 光(千葉大学)

出席の方々も交えてラウンドテーブル(双方向的な討論)を発表者(石戸)の司会進行により行った。

フロアからの質疑やコメントとして、「経済研究者の方がウェルビーイングを主眼として研究されていることに、研究分野の広がりを感じた」、「韓国は所得的には上がったが、幸福度はむしろ下がっているのが体感であり、この種の研究は目の開かれるものであった」「アフリカではパンとバターなどの物質的な充足が依然として重要であるが、やはりウェルビーイングの低さもあって、両者は相関している」「南米の所得水準とウェルビーイングには、また独特の特徴があるようにも思われる」など種々のコメントが寄せられた。ウェルビーイングへの文化的影響と開発の関連なども重要な論点であることが討議された。

【総括】

冒頭にて、アーサー・グライムズ博士が、公共政策に関する実務との結びつきが強い著名なエコノミストであり、2003年から2013年までニュージーランド準備銀行総裁を務めたことに言及し、その後、同氏の研究テーマがウェルビーイングおよび公共政策についてのものになっていった点を紹介した。

この経歴の変遷が参加者にとって斬新なもので、ラウンドテーブルにおける発題では、開発を問題意識の根底に持ちつつも、主観的指標と客観的指標の相互関係について議論がなされ、続く質疑も活発で有意義なものであった。

報告者:石戸 光(千葉大学)

[2H01] アジアにおける子どもの教育と健康

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*高柳 妙子1、*日下部 達哉2、*藤崎 竜一3 (1. 早稲田大学、2. 広島大学、3. 帝京大学)

【総括】

報告者:

[2J01] ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性:インドの離島エリアにおける e-Healthビジネスの事例から

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:狩野剛(金沢工業大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:佐藤峰(横浜国立大学)・内藤智之(神戸情報大学院大学)

第1発表:ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性

功能聡子(ARUN合同会社)・岡崎善朗(早稲田大学)・狩野剛(金沢工業大学)

発表者の3名から、インドのiKure社の概要、共同研究の概要といった背景説明があった。

そのあと、引き続き発表者より、インドにおける医療機器の現状や新興国・途上国での医療機器ビジネスの難しさなどについて解説があった。

そして、ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性として、工学系研究者・民間企業・投資家・社会科学系研究者・現地大学・住民という各ステークホルダーの視点から見える共同研究における貢献可能性について説明があった。

【総括】

発表の後、討論者や会場の参加者からの活発なコメント・質問が行われた。今後の共同研究推進に向けた主な助言は以下の通り。

  • 現地の視点として医療サービスを提供するiKureからの情報を主としているようだが、エンドユーザの声をきちんと拾い上げるべき。例えば、遠隔医療への抵抗感、医者・看護師による信頼の違い、文化・宗教的なハードルなどについてきちんと情報を集めるべき。
  • 研究による外国人・外国資金の介入によって、ソーシャルビジネスの持続性に悪影響が出ないように気をつけた方が良い。特にこの共同研究の出口はどうなるのかと言った点は事前に先方とも意識合わせをしておく必要があると考えられる。
報告者:狩野剛(金沢工業大学)

[2C02]「持続可能性」の多義性を問う-言説分析、認識調査、評価の先に何を見るか

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:30名
  • 座長:山田肖子(名古屋大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:木山幸輔(筑波大学)・工藤尚悟(国際教養大学)
Questioning the polysemy of “sustainability”: What to Look For Based on Discourse Analysis, Perception Surveys, and Evaluations

第1発表:「持続可能な開発」は誰にとってのどのような課題なのか:フィリピン、ガーナでのオンライン質問票調査からの試論

山田肖子(名古屋大学)・島津侑希(愛知淑徳大学)

この報告に先立つ、山田による本セッションに関する説明においては、質問紙調査による演繹的モデル作りと、学校や農村でのフィールドワークによる帰納的知見とを用いて、「持続可能性」言説をめぐる多様なリアリティを明らかにするという本セッション参加者が今後目指す目的と、国際開発学との接合という課題が示された。

その後、山田・島津報告においては、質問調査をもとに「持続可能性」概念を基軸として行われた批判的言説分析の報告がなされた。

そこでは、持続可能性に関する人々の認識において、いくつかの指向が存在することが報告された。

フロアとの議論では、本研究が持ちうる意義として、持続可能性言説がトップダウン的政治性をもちつつ同時に拡散し定着していく動態との関係を明らかにしうること、西欧近代的な認識論・存在論を問い直しうることなどが指摘された。

第2発表:「持続可能な開発」を評価するとはどういうことなのか

米原あき(東洋大学)

米原報告と次の西川報告は、帰納的知見を用いるものである。米原報告は、持続可能性と関連し実施される評価について考察を行う。

すなわち、タイにおけるコミュニティ開発評価と日本のESDに関する評価である。

報告では、そうした評価において用いられる説明責任・エビデンス・合理性について、現場の当事者とともに協創される評価指標にもとづくそれらの像の可能性が指摘された。

こうした協創においては、共通認識をどのように、いかなる主体が形づくっていくことができるのか、コメント・質問がなされた。

これは、当事者の観点が、同じ人間であっても、地球市民、学校の生徒等、多様なものでありうることとも関係する。

第3発表:食と農のシステムの持続性のなにが厄介な問題か?

西川芳昭(龍谷大学)

西川報告では、食と農をめぐる持続性に関する議論において、人間中心主義が前景にあったことが指摘された。

そして、むしろ多様なアクターとの萃点の中で、むしろ評価になじまない当事者のまなざし、例えば「種をあやす」といった農業従事者の言葉をどのように位置付けるか、といった課題が提起された。

こうした議論について、例えば当事者の視点をむしろ規範的に固定化してしまうおそれについて提起がなさたり、研究者による価値判断が機能を果たす位置等について、質問がなされたりした。

【総括】

セッション全体に共通するコメントとして、「共創/協創/対話」といったモデルにおいて、研究者と調査対象者の望ましい関係のあり方、あるいは持続可能性概念に対する研究者のポジショナリティが問われた。

あるいは、研究によって明らかとなる人々の持続可能性をめぐる認識・世界観と、研究者の価値に関する探究の関係が問われた。

セッションでは、多様な学術領域および実務家からの本研究への観点が示されるとともに、参加者がもつ持続可能性の言葉に対する態度についても言葉が示された。

こうしたことを通じ、本研究の意義について考察が深められ、今後の研究の進展に大きな意義があったと思われる。

報告者:木山幸輔(筑波大学)

[2D02] 国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*佐藤 峰1、*小林 誉明1、*木全 洋一郎2 (1. 横浜国立大学、2. 国際協力機構)

【総括】

報告者:

[2E02] 国際協力NGOの組織基盤強化支援におけるマッチ・ミスマッチ

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:不明
  • 座長:中山雅之(国士舘大学大学院)
  • ディスカッサント/コメンテーター:東郷 琴子(パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社)、松元 秀亮(国際協力機構)、篠原 大作(特定非営利活動法人日本ハビタット協会)、田口 由紀絵(合同会社 コドソシ)、楯 晃次(株式会社EMA)

国際協力NGOの組織基盤強化支援について、表面的には見えないマッチ・ミスマッチが存在するのではないかと、支援組織、支援を受ける組織、評価・伴走者の3者の視点から議論をする企画であった。

まずコーディネーターの中山が組織とは何か、組織基盤強化とは何かについて、経営学の視点で整理した。

その後、報告、パネルディスカッション、フロアからのコメントの3パートで進められた。

報告

楯が、これまで行われてきた支援制度を研修型、助成金型の2つに分け、年表に沿い、その変遷を報告した。

研修型は1987年前後から開始されたが、組織基盤強化に直接資する組織マネジメント研修やリーダーシップ研修などは、2004年からの開始となり、2011年頃までに多く行われ、その後はファンドレイジング研修に変化した。

助成金型では、1993年に初めて助成制度を設けた組織が出たものの、その後助成金制度は増えず、数団体にとどまっている現状を報告した。

こうした変遷の中で、支援を行う組織として、パナソニック オペレーショナルエクセレンスの東郷、国際協力機構の松元が、支援を受ける組織として日本ハビタット協会の篠原が、評価・伴走者コドソシの田口が、 (1)組織基盤強化/支援に関する取組、(2)支援をする組織/支援を受ける組織への要望、(3)感じ考えていること、の3点について報告した。

支援を行う組織として東郷は、社会変革における組織基盤強化の重要性、また組織基盤強化の取り組みが組織文化として定着していくことの意義、そしてそれらノウハウが業界全体に共有・浸透されることの重要性を報告した。

一方で、セクター全体の成長を促進するために、どの層を応援することが効果的かまだ定まっていないとの課題を提示した。

続いて松元は、JICAとしての支援制度を説明した後、支援を受ける組織に対して、組織同士の繋がりと学び合いによって他組織と自組織との比較を通じた気付きの重要性を述べた。

制度を整えるだけでなく、組織自らが組織基盤強化の必要性・重要性を感じて取り組むモチベーションがなければ、制度があっても組織基盤強化に資さないのではといった問いを提示した。

支援を受ける組織として篠原は、支援を行う組織に対して、より効果的なものにする為には、結果だけでなく強化プロセスを重要視すべきであることを強調した。その為強化のための組織再構築のモデルケースを提示することが望ましいと述べた。

最後に評価・伴走者の田口からは、支援を行う組織に対しては、業界の現状と外部環境の変化を把握し、業界がどうなれば世界が良くなるのかという視点をプログラムに反映することの重要性が述べられた。

支援を受ける組織には、環境が変化する中で、組織変革に取り組むことに対して組織全体で合意形成をとることが、組織基盤強化の一歩目であると報告をした。

パネルディスカッション

報告を踏まえ、中山がコーディネーターとして、報告者が討論者となり、パネルディスカッションを行った。

特に組織基盤を強化するにあたって、組織内部での合意形成と組織基盤強化に関わる三者の緊密な連携について多くの議論がなされた。

組織内部での合意形成については、組織の根幹に関わる課題と向き合うため、多くの困難や痛みを伴うこともあり、その認識を組織全体が事前に共有・合意し、取り組まなければ、本質的な組織基盤強化への取り組みは難しいことが強調された。

また三者の連携は支援制度への申請前からコミュニケーションを図るべきであり、また実施前・中・後が有機的に連結された一連モデルケースを整備することが重要であることが合意された。

フロアからのコメント

組織基盤強化を考える上でも資金調達の重要性を感じたといった感想が述べられた。

そして組織の活動分野や特徴に合わせた強化方法や成長の特徴を整理する必要があるのではないか、さらに、組織の核となるミッション・ビジョンといったアイデンティティを明確化し継承することが組織の基盤強化には不可欠であり、具体的にどのように取り組むべきか改めて考えるきっかけとなったというコメントがなされた。

【総括】

組織基盤強化に関して、支援を行う組織、支援を受ける組織、評価・伴走者という異なる立場である者が一堂に会するということが、大きな意味をもった。

そして、今後NGOが継続して組織基盤を強化していく上で必要となる視点や支援制度の在り方について、率直な意見が開示され、開かれた議論が成されたことは、今後の支援制度設計、そして本業界の成長に大きな意義を見出すことが出来る成果となった。

報告者:楯晃次(株式会社EMA)

[2H02] メイキング・オブ・開発協力大綱:大綱はどう作られ、どこに向かうのか

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*山形 辰史1、*河野 敬子2、*原 昌平3、*井川 真理子4、*鈴木 千花5 (1. 立命館アジア太平洋大学、2. (一社)海外コンサルタンツ協会、3. 国際協力機構、4.(株)コーエイリサーチ&コンサルティング、5. 持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム)

【総括】

報告者:

[2O05] JICA国際協力事業における評価の枠組みとグローバル危機について

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:佐藤 真司(独立行政法人国際協力機構)
  • 指定討論者:伊藤  晋(新潟県立大学)

第1発表:JICA事業評価の概況と最新課題-紛争影響国の事業評価の視点-

阿部 俊哉(独立行政法人国際協力機構)
山口 みちの(独立行政法人国際協力機構)

南スーダン、フィリピン(ミンダナオ)の事例を交え、紛争影響国の事業での評価の難しさとともに、「紛争影響国・地域に留意した事後評価の視点」を整理・公開していることを紹介した。また、外部要因の考え方の整理が重要であることを報告した。

指定討論者から、①感染症、経済危機、政権交代等で事業に影響が生じた際の評価での対応、②騒乱等の影響が事業実施段階に発生し、事業計画と異なる対応が生じた場合の評価の考え方について質問があった。

JICAから、①事業形成時には想定困難で事業期間中に対応困難な事象が発生した場合、外部要因と整理するが、一律の判断基準を設けることは困難なため、事業が受けた影響の記録を残すことが重要であること、②紛争影響国での事業は、案件計画当時に治安悪化等のリスク想定及びその対策の実施内容、計画時の想定を超える治安悪化等が事業に与えた影響、事業継続に向けた対応等を事後評価時に確認することを説明した。

第2発表:新事業マネジメント(クラスター事業戦略)でのモニタリング・評価の枠組み検討について

宮城  兼輔(独立行政法人国際協力機構)
菅原  貴之(独立行政法人国際協力機構)

JICAグローバル・アジェンダ(JGA)・クラスターの概要と、クラスター単位でのモニタリング・評価の試行案を紹介した。また、クラスター導入を踏まえたJICAの評価6項目の適用項目、確認時の重みの分散案を説明した。

指定討論者から、①クラスター外の技術協力への評価6項目の適用方針、②技術協力と資金協力の取扱が異なる理由、③クラスター単位での成果検証方法について質問があった。

JICAから、①評価6項目の適用項目や重みの分散は試行対象クラスター及び事業のみ、試行結果ではクラスター外の事業に適用する可能性がある、②技術協力は活動の過程でアウトプット、アウトカムが発現するが、資金協力は事業完了時にアウトプットが生成され、事業完了の一定期間後にアウトカムが発現するのが主流という違いを踏まえている、③クラスターは、技術協力以外に資金協力や民間連携事業、他機関とのプラットフォーム活動の成果も確認対象になること、を説明した。

【総括】

以下のような質問・コメントがあった。JICAからは、JGAとクラスターが目指す方向性は、今次大会のテーマである「複合的危機下における連帯と共創」とも通ずるものであり、指摘の点も踏まえ、試行プロセスを通じてよりよい制度設計をしていきたい旨回答。

  • 多様なステークホルダーを巻き込むクラスターは、JICA単体で事業監理が可能なのか。
  • EBPMならぬPBEM (Policy Based Evidence Making)にならぬようすべき。
  • IMM(Impact Measurement and Management)の発想が重要である。
報告者:佐藤 真司(独立行政法人国際協力機構)

[2P01] 2023 JASID 世銀協議―世界銀行 ・ 日本政府 ・ 住民を繋ぐ者たち―

  • 日時:2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-413 (紀尾井坂ビル413)
  • 聴講人数:15名
  • 座長:玉村優奈(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:大芝亮(広島市立大学広島平和研究所)、松本悟(法政大学)

第1発表:文化運動としての愛知用水ー仲介者「久野庄太郎」を中心にー

柴田 英知(歩く仲間)

2021年9月30日に通水60周年を迎えた愛知用水は、第二次世界大戦後の、日本初の地域総合開発事業ともいわれ、また世界銀行の借款事業としても知られている。

愛知用水の事業推進の内部構造を、ソーシャル・イノベーション論の枠組みで読み解き、「文化運動としての愛知用水」という観点から、発願者であり篤農家の「久野庄太郎」の開発思想、久野らを支えた官民、皇室にまで及ぶネットワークを中心に、地域開発事業をめぐる仲介者の協働ととらえる視点を提示した。

愛知用水の事例で何がなかったら失敗していたか、成功と失敗を決める事業評価の根本的な在り方(松本)、開発コミュニティはどのようにつくられるか(大芝)がコメントされ、愛知用水が他の対日融資と比べても特異な事例であることを柴田氏は強調した。

第2発表:日本のNGOと世界銀行・財務省との対話と課題

田辺 有輝(JACSES)

田辺氏は、世界銀行と融資事業地の住民らとの仲介的な存在である「財務省・NGO定期協議」について報告した。その中で、大芝氏による過去の外部評価が紹介され、信頼関係の醸成が財務省とNGOの双方にとっての成果として挙げられた。

その後の20年間の考察として、財務省内の人事異動による知識の蓄積や逐次議事録の公開が協議を発展させたと自己評価した。

また、愛知用水の比較事例として、世界銀行が1960年から1970年に「緑の革命」として推進したパキスタンの灌漑事業が深刻な塩害を引き起こした問題を取り上げた。塩害対策の事業が新たな環境社会被害を引き起こし、それが世界銀行のインスペクションパネルにかけられ、5つの政策違反が指摘された。

愛知用水という「図らずも」成功した農業事業がある一方で、「図らずも」問題の連鎖を引き起こした農業事業もあった。

コメンテーターからは、対日融資と現在の世銀事業との異同(松本)や、協議に参加するNGOとそうでないNGOとの線引き(大芝)などについてコメントがなされた。

第3発表:2023 JASID – 世界銀行協議―世界銀行・日本政府・住民を繋ぐ者たち―

米山 泰揚(世界銀行)

米山氏は、愛知用水を主管する農林省が3省と共管し、基本計画を5省庁と協議し、さらに実施計画は3県と協議したうえに農民の意見提出権が明記されていることは当時としては極めて珍しいと指摘した。

また、米山氏が財務省職員として関わったNGOとの定期協議の意義を評価し、住民等の関係者の視点を通じて事業の多面性を認識したこと、開発政策を巡る自由闊達な議論によって「開発コミュニティ」が形成されたこと、国際開発に携わる行政官の「教育」になったことを挙げた。

世界銀行の最新の動向として、気候変動・パンデミック・政情不安な脆弱国などに対処する国際公共財の供与を強化し、環境・社会配慮原則を緩めることなく案件組成に要する時間の大幅短縮を目指すこと、今後10年で1,500億ドルの融資を積み増すことなどを説明した。

コメンテーターからは、世界銀行の予算増額・時間短縮とAIIBや中国との繋がり(大芝)や市民社会と世界銀行の間を財務省が仲介することの煩雑さ(松本)について質問が出され、米山氏からは、AIIBは競争相手ではない点や、市民社会が国会を通じて問題提起するのと同時に、財務省との定期協議の場において掘り下げた議論を行うことで、実質的な改善に繋がるなどの認識が示された。

【総括】

世界銀行の対日融資である愛知用水と、1990年代以降の日本の財務省とNGO間の世銀に関する協議を取り上げ、仲介者の役割と組織を超えた知の蓄積の重要性を浮き彫りにした。

現在、世界銀行は融資額を増加する一方で、融資審査の期間を短縮する方針を打ち出している。

本RTが、現場と世銀を繋ぐ仲介者の活動をどのように活性化できるか、新たな制度的枠組みづくりと過去の経験の援用の限界と可能性といった新たな課題を提起したといえる。

さらに、本RTが今後の国際開発学会で、世界銀行を筆頭に国際開発金融機関への議論と関心が高まるきっかけとなることを期待する。

報告者:玉村 優奈(東京大学)

[2C03] 外国人技能実習制度を通じた技能移転をめぐる課題と可能性ーベトナムにおける社会的ニーズと技能実習生の生活戦略

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:生方史数(岡山大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:佐藤寛(開発社会学舎)

第1発表:ベトナム人元技能実習生における技能移転と将来設計

加藤丈太郎(武庫川女子大学)

コメント:「技能移転」を研究することは技能実習制度を擁護することにもつながるのではないか。

応答:本研究は、制度の是非を超えて、移民個人に制度がどのような影響を及ぼしたのか、その内実を明らかにすることを目指している。

コメント:分析枠組みにcapabilityを用いているが、移住と開発の研究分野ではaspirationも合わせて議論されている。元技能実習生のaspirationも考える必要があるのではないか。

応答:たしかにaspirationによって事象を説明し得る可能性がある。今後ぜひ取り入れていきたい。

コメント:研究方法は、31名へのインタビューとあるが、どのように調査対象者を確保したのか。

応答:データの偏りを防ぐために、在ベトナムの日本語通訳者、日本のベトナム寺院の住職、カトリック教会のシスター、自らの前の研究の調査対象者への再コンタクトなど、複数のルートをたどり調査対象者を集めた。結果的に相当数の方へのインタビューの実現につながった。

第2発表:ベトナムの農業をめぐる社会的ニーズと技能実習生の生活戦略としての技能移転

二階堂裕子(ノートルダム清心女子大学)

コメント:日本の農業分野で就労し、農業の技術を学んだとしても、技能実習生の母国の自然条件や地理的条件が異なるため、必ずしもその技術を活用することができるわけではないのではないか。

応答:狭い意味での技術ではなく、作業遂行のための能力、たとえば、農業経営の考え方や方法を身につけることで、それを母国で活用することは可能であると思う。

ただし、日本社会がもつ知識や技能を、技能実習生の母国のそれらよりも「優れたもの」と安易に位置づけ、「修得するに値するもの」として一方的に「押し付ける」といった姿勢があるとすれば、おおいに検討の余地があると考える。

そのためにも、送出国でどのようなニーズがあるのか、そのニーズに応えうる技能とは何かを吟味する必要がある。

第3発表:介護分野におけるベトナムへの技能移転の課題と可能性:「移民力」の視点から

比留間洋一(静岡大学)

コメント:Cさん(将来故郷で介護サービスを提供すべく、現在、日本在住ベトナム人高齢者に介護ボランティアを試行)は、ベトナムでは大卒、日本では(技能実習生ではなく)留学生(現在、介護福祉士)。

ここからも示唆されるように、調査対象者を技能実習生に限定しないほうがよいでは。また、(コミュニティのチェーンマイグレーションではなく)一人の個人によるものなので、故郷のコミュニティ開発への影響は限定的になるのではないか。

応答:確かにCさんのような介護職者はまだ少ない。しかし、介護ボランティアにはCさんの同僚のベトナム人介護職者(元技能実習生を含む)が自ら進んで参加している点で可能性が感じられる。

「上からの」日本式介護の輸出ではなく、「移民力」(故郷への思いと実践)を基盤としたベトナム人による「下からの」試みのほうが持続性の面で期待できるのでは。以上から、このような事例に今後とも注視していく必要がある。

【総括】

政府の有識者会議より、近日中に、技能実習制度に代わる新しい外国人労働者の制度が示される見込みである。

今年10月に立ち上がった「移住と開発」研究会では、こうした動向をふまえつつ、日本社会が外国人労働者から「選ばれ続ける」ための道筋を検討していきたい。

報告者:二階堂裕子(ノートルダム清心女子大学)

[2D03] SDGsを追い風とした国際協力人材の確保とキャリア形成~RiskとOpportunity~

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:30名
  • 座長:佐藤仁(東京大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:山田肖子(名古屋大学)・末森満(国際開発ジャーナル社)

第1発表:国内外の社会課題解決を結ぶ国際協力キャリア

江崎千絵(JICA)

  • JICAを取り巻く国際協力人材の現状と課題
  • JICA内外の開発協力人材の養成・確保に向けたビジョン
    (多様化・複雑化・変化する世界規模の(開発途上国の)課題に、機動的・革新的に対応するために、活力ある魅力的な開発協力人材市場を実現する)
  • 職業としての国際協力の認知向上
  • 越境支援、人材の還流
  • 個人にとっての魅力的なキャリアアップと業界全体での共創促進の方策とは?

本当に優秀な人を、国際協力人材として活躍してもらえる状態にしておくかが大事なのではないか、そのためにも待遇の工夫や地位向上への努力も必要だろう。

第2発表:「開発コンサルティング人材の確保とキャリア形成」

河野敬子(ECFA)

  • 開発コンサルタントの年代構成
    (20代と70代の増加、30代の減少)
  • 高齢化と中堅層の確保
  • 70代のプロジェクトマネジャーの増加
  • 課題と対応
    (ジェネレーションギャップ、働きやすさ、報酬、魅力発信、参入障壁対策)

開発コンサルタントは新規マーケットを目指しているのか?日本のコンサルがグローバル競争に入っていけるのか?などの質問があった。

第3発表:国際協力人材育成における大学の役割」

須藤智徳(立命館アジア太平洋大学)

  • 国際開発に関する学生アンケート結果
  • サステナビリティ学科の学生8割が国際開発に関心あり
    (ほとんどが授業をきっかけに関心)
  • 将来仕事として関わりたい人は6割
    (JICA等政府機関が人気)
  • 高校までの動機付けをどう作るか
  • 大学で国際開発教育の動機付けをどう強化するか

国際開発の仕事に関心がある学生に対して、新卒採用の門徒が狭いといった受け入れ側の課題も多く、学生からはハードルが高い印象。専門性や経験も具体的に何をといった提示があるとキャリア形成に役立つといった学生側からの声も聞かれた。

【総括】

江崎氏、河野氏、須藤氏の順にそれぞれの立場で感じている国際協力人材についての現状や課題について発表を行った後、討論者末森氏からは、①国際協力とは何かを明確にする、➁国際協力の担い手(国際協力人材)はグローバル人材である、③働く環境を改善する、④人材確保に対しターゲットを大学生に加えて中高生に拡大するといった指摘があった。

討論者山田氏からは、「国際開発学」「国際開発業界」という言葉が暗黙のうちに作ってしまっている職業上の参入障壁と″業界人”の思考枠組みをいかに変えるか?テーマとしては関心がある、既に関わっているという層といかにつながるか?といった点について、有機的につながり続けるための仕掛けにイノベーションが必要との指摘があった。

今後、学生を含めた20代、30代をターゲットとしたイベント等を検討していくべく、学生に協力を呼び掛けた。

報告者:河野敬子(ECFA)

[2H03] SDGs Reexamined-Lessons Learned from Afrian Experience (English)

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:45名
  • 座長:Masato Noda (Ibaraki University)
  • ディスカッサント/コメンテーター:Woury M. Diallo (ex. World Bank)

第1発表:Aid Complementarity: Theory and Practice in Africa

Takeshi Daimon-Sato (Waseda University)

In this presentation, the author presented on aid complementarity in Africa. Main message can be summarized as follows: 1) competition is good, but coordination failure often results in costs for all parties. 2) there is a case for grand coalition for Win-Win-Win case, 3) It may be difficult to find a convergence for the Belt and Road Initiative (BRI) and Free and Open Indo-Pacific (FOIP) – but there exists a more realistic possibility for collaboration between FOCAC and TICAD for targeted topics. 4) in selected fields such as medical-public health/educational fields (example in Mauritania), there are some good practices in support of complementarity thesis, while transportation/energy infrastructure – there seems to be most difficult challenge to overcome. It is important to grasp the concept of complementarity with some gradation on the basis of a) Reciprocal Complementarities – South-South Cooperation, Equal Partner Cooperation / Interdependence, b) One-Sided Complementarities – Center-Periphery Relations (Growth Center vs Supplier Countries) / Dependence.  Further, the analysis could be broken into sectoral level (input-output inter-industry, or intra-industry) complementarities.  Also, multidimensionality of complementarities could apply to resources (skilled labor, capital), institutions, hardware and software (infrastructure and management system).

第2発表:Halfway of SDGs to 2030

Masato Noda(Ibaraki University)

SDGs are the global development goals 2016-2030. They are on halfway in 2023. They are required to reexamine based on the COVID-19 pandemic. Analysis of its impacts on SDGs requires multidimensional approach regarding to the three dimensions of sustainable development; economy, society and environment. The pandemic highlights vulnerability, especially people and are that left behind. COVID-19 pandemic is a global thread and crisis of human security. It is necessary to “rebuild our economies sustainably and inclusively.” “Remember, we are in this together,” “No one will ever be truly safe until everyone is safe” (Mohamed, A.J). SDGs motto, “No one left behind” is not just ideal but should be in practice. For post/with Corona society, it necessary to accelerate SDGs through human security approach in Anthropocene.

第3発表:Rely on China? Africa’s Path to SDG 10

Christian S. Otchia (Nagoya University)

This research explores the influence of Foreign Direct Investment (FDI) on regional inequality in Ghana, addressing the spatially imbalanced distribution of FDI, particularly in urban areas. Using a regional inequality index derived from predicted GDP, the study employs a panel data fixed effect model spanning 1994 to 2020 across ten regions, providing a nuanced regional-level analysis. Notably, FDI is found to significantly reduce regional inequality, highlighting the role of Ghana’s absorptive capacity. The study underscores the positive impact of FDI in the manufacturing sector, advocating for tailored policies to attract such investments to foster equitable regional development. Moreover, Chinese FDI is identified as a key contributor to reducing regional disparities, aligning with policies emphasizing infrastructure and employment. The research offers policy recommendations to optimize FDI distribution, strengthen bilateral relations with positive contributors like China, and align strategies with SDG 10. Emphasizing the non-linear relationship between FDI and regional inequality, the study calls for an adaptive approach to maximize benefits while mitigating potential disparities, emphasizing the manufacturing sector’s potential and aligning strategies with the African Continental Free Trade Area.

第4発表:China-Africa Cooperation and SDGs

Naohiro Kitano (Waseda University)

In this presentation, the author presented on the recent China-Africa relations and China’s efforts to make use of the SDGs to expand its influence, as well as challenges on the African side. China has been hosting the Forum of China Africa Cooperation (FOCAC) as a platform for enhancing relations with Africa. In 2021, for the first time, the ministerial conference adopted the long-term plan for FOCAC. The three-year plan shifted its focus from infrastructure to health, the digital economy, and human resource development. As for infrastructure, China has become more cautious about providing new loans as the debt problems of developing countries, including African countries, have worsened. A new initiative emerged in 2021: the Global Development Initiative (GDI), which provides a global platform hosted by China to accelerate the achievement of the SDGs. the GDI seems to be more of a foreign policy to increase the influence on global south rather than a development policy. Chinese government announced funding for the GDI, but not on the scale of the Belt and Road Initiative (BRI). From the developing countries’ perspective, taking Zambia as an example, good leadership and governance is the key to managing relations with China.

第5発表:China’s Party-State Relations in Africa

Takashi Nagatsuji (Waseda University)

How does the Communist Party of China (CPC) interact with the Chinese Ministry of Foreign Affairs (MFA)? Previous studies on party-state cooperation of China point out a clear division of work between the party and the state. However, in reality the divisional cooperation between the CPC and the MFA is blurry. My research untangles China’s party-state relations in Africa by constructing and analyzing original datasets covering the activities of both the International Department of the CPC Central Committee (IDCPC) and the MFA. The IDCPC is an organ in charge of the CPC’s external work. On the one hand, my research shows that party-state cooperation is not strong in terms of geographically selecting their partners and that their cooperation is weak even in the Belt and Road Initiative (BRI). On the other hand, my research shows that the IDCPC aligns with the MFA in their main activities, illustrating two types of party-state cooperation: Party-Led Cooperation and State-Led Cooperation. My research implies that China does not have one overarching Africa Strategy and the IDCPC and the MFA has its own Africa Strategy. This research contributes to the literature on China-Africa relations and advances understanding of the relations between political parties and state organizations.

【総括】

This round table is the kickoff session of new JASID ‘SDGs Re-examined’ Research Group. It aims to develop the research on SDGs post/with Corona era toward 2030, as the successor of precedent SDGs research groups of JASID: on ‘Sustainable Development and SDGs’ and ‘Resilience of Development and SDGs’. The book, Noda, M. ed. (2023) ‘SDGs Re-examined: Post/With Corona and Human Security’ is a fruit of them. Based on these, the research group plans to 1) conduct case studies of the regions, such as Africa, Asia and Pacific, and Latin America, 2) organize academic sessions and publish articles and books in English.

報告者:Masato Noda (Ibaraki University)

[2J03] 大国間競争の時代に ODAで「普遍的価値」を促進することの意味を問う

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-115 (紀尾井坂ビル115)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*志賀 裕朗1、*福岡 杏里紗3、*荒井 真紀子2、*小林 誉明1(1. 横浜国立大学、2. JICA研究所、3. デロイトトーマツコンサルティング)

【総括】

報告者:

[2O06] 人口減少社会における創造的復興とは何か?

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:20名
  • 座長:松岡俊二(早稲田大学)
  • ディスカッサント/コメンテーター:中村勝則(秋田県立大学)、工藤尚悟(国際教養大学)

第1発表:東日本大震災からの「ポスト復興」のまちづくり:岩手県陸前高田市の事例

木全洋一郎(JICA北海道帯広)

木全さんの陸前高田市の事例報告、戸川さんの紫波町オガールプロジェクトの事例報告、島田さん・辻さん・松岡の福島浜通り復興の事例報告は、まちづくりのビジョンやコンセプトの形成プロセス、公民連携(PPP)のプロセス、よそ者(外部者)と地域社会内の人々との関係、社会イノベーション創造のための知識創造や資源動員のあり方、政策形成と「対話の場」=「学びの場」の関係(科学と政治と社会の協働)のあり方など、さらに幾つかの基本的な評価軸で比較研究すると一層興味深い研究成果が生まれ、実践への教訓が明確になるように思います。

引き続き調査研究を続けたいと思います。

第2発表:多様な主体が地域で学習する場の形成を通じた地域再生に関する一考察:紫波町オガールプロジェクトの事例

戸川卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)

中村さんのコメントの研究者・専門家としてのまちづくりや地域再生への関与(参与)のあり方は、大学に籍を置く研究者・学者として深く考える必要を感じました。

12年半前の東日本大震災・福島原発事故は日本の大学と政治や社会のあり方を考える大きな機会だったのですが、今になって思うと、持続的な大学改革への努力が根本的に不足していたように思います。

ある意味で、そうした自主的な持続的な努力の不足が、「失われた30年」の日本の科学技術力や日本の大学の国際的な地位低下の大きな要因の一つであるように思います。

第3発表:人口減少社会における原子力災害からの福島再生を考える:福島再生塾の設立に向けて

松岡俊二(早稲田大学)
島田剛(明治大学)
辻岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)

工藤さんが最後の方でコメントいただいた以下の指摘は、福島の復興や廃炉の研究をする者として大変重く心に響きました。

「この12年半、福島へボランティアや視察などで訪れた人は私の周りにも多くいる。しかし、そうした多くの人々の福島の復興や廃炉への関心は持続せず、福島県浜通り地域の関係人口とはなっていない。このことは、福島県のホープツーリズムなどが提供する福島復興のメッセージやコンセプトと日本社会や世界の福島への想いが乖離していることを示しているのではないか。『福島の問題は日本の問題であり、福島の問題は世界の問題である』ということを明確なメッセージやコンセプトとして示していくことが必要ではないか」。

【総括】

11月12日(日曜)15:00-17:00、上智大学で開催されました国際開発学会・第34回全国大会・企画セッション「人口減少社会における創造的復興とは何か?」では、創造的復興、まちづくり、地域再生などをめぐり、地域社会内外の多様なアクターによる「場」づくりのあり方や知識創造・イノベーション創出のあり方など、大変充実した議論が出来ました。

報告者の方々、秋田からご参加いただいた討論者の中村さん、工藤さん、福島(富岡町)から参加いただいた穂積さんなど、参加された皆さんに心から感謝申し上げます。

報告者:松岡俊二(早稲田大学)

[2P02] テストと学力改善

  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-413 (紀尾井坂ビル413)
  • 聴講人数:00名
  • 座長:
  • ディスカッサント/コメンテーター:
*谷口 京子1、*光永 悠彦2、*渡邊 耕二3、*丸山 隆央4、*石井 洋5 (1. 広島大学、2. 名古屋大学、3. 宮崎国際大学、4. JICA緒方研究所、5. 北海道教育大学)

【総括】

報告者:

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



第34回全国大会セッション報告(プレナリー、ブックトーク、ポスター発表)


プレナリー(対面・オンライン)


日本の開発援助はどこに向かうのか―開発協力大綱の改定を受けて—

  • 2023年11月11日(土曜)13:30 〜 16:30
  • 2-1702 (2号館1702)

【司会】小松 太郎:上智大学総合人間科学部教育学科教授、国際開発学会大会実行委員長

【モデレーター】田中 雅子:上智大学総合グローバル学部教授、国際開発学会大会実行委員会事務局長

基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」

峯 陽一:国際協力機構(JICA)緒方貞子平和開発研究所所長、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授、開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会委員、国際開発学会員

コメンテーター

  • 伊豆山 真理:防衛研究所理論研究部長、専門分野:南アジアの政治・外交・安全保障
  • 佐藤 仁:東京大学東洋文化研究所教授、国際開発学会 会長
  • 松本 悟:法政大学国際文化学部教授、外務省開発協力適正会議委員、国際協力機構(JICA)環境社会配慮助言委員、国際開発学会 常任理事

前半は、峯陽一(同志社大学、JICA緒方貞子平和開発研究所所長)による基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」に続いて、伊豆山真理(防衛研究所)、佐藤仁(東京大学)、松本悟(法政大学)がコメントを述べた。

また、バングラデシュとフィリピンの研究者、ならびにケニアの市民社会組織のオピニオンリーダーからのビデオレターを上映した。

後半は、会場からの質問をもとに、政府開発援助(ODA)と政府安全補償能力強化支援(OSA)の区別、それらのモニタリング過程への相手国政府や市民社会の関与、国際協力に関わる人材を増やすための大学教育のあり方、開発援助の新たな価値の創造に学会や研究者はどう関わっていくかという点などについて、コメンテーターによる討論を行った。

司会は大会実行委員長の小松太郎が、モデレーターは大会実行委員会事務局長の田中雅子(ともに上智大学)が務めた。

上智大学国連WEEKSのポスト企画として実施し、日英同時通訳と日本語字幕による情報保障を行った。上智大学国際協力人材育成センター(SHRIC)からも協力を得た。

大会参加者の他、上智大学国連WEEKSの申込者あわせて約200名が対面で、100名以上がオンラインで参加した。

第34回全国大会・実行委員会
委員長:小松太郎(上智大学)


ブックトーク

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 聴講人数:50名
  • 企画責任者・モデレーター:佐藤寛(開発社会学舎)、島田剛(明治大学)、道中真紀(日本評論社)芦田明美(名古屋大学)

報告書籍(1)『争わない社会――「開かれた依存関係」をつくる』

  • 発表者:佐藤 仁(東京大学東洋文化研究所)
  • 担当編集者:倉園 哲(NHK出版)
  • 討論者:志賀裕朗(横浜国立大学)

コメント・応答

国家間の戦争、社会の分断、個人同士やネット上の諍(いさか)いなど、豊かになり余裕ができた時代にも争いが絶えないのはなぜか?国からは「自助」を、市場からは「競争に勝ち残ること」を求められて、個人が孤立無援となってしまうのはなぜか?

本書は、その原因が近代人の「自立」への欲求にあったと見て、その陰で見落とされてきた「依存」の可能性を問う試みである。

誤読された進化論、支援国の利益になる対外援助、明治から100年近く闘われた入会権闘争、社会問題の発見を通じて居住地域への帰属意識を育んだ生活綴方までを分析。機能的な中間集団への依存が争いの芽を摘む可能性を示す。領域を横断する考察が切りひらく、社会科学からの挑戦の書。

報告書籍(2)『未来へ繋ぐ災害対策:科学と政治と社会の協働のために』

  • 発表者:松岡俊二(早稲田大学)
  • 担当編集者:渡部一樹(有斐閣)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)

コメント・応答

従来の災害対策では有効に対応できない災害が多発し、従来のやり方では「未来へ繋ぐ災害対策」にならないのではないかという深く本質的な「問い」を踏まえ、どのようにすれば「未来へ繋ぐ災害対策」を創ることができるのかという「問い」に「応えたい」と思い、本書「未来へ繋ぐ災害対策」を編集した。

しかし、本書は「未来へ繋ぐ災害対策」とは何かという「問い」に対する「答え」を提示しない。より正確に言えば、「問い」への唯一の正解や最適解はないし、正解は幾つもあるというのが本書の基本的な立場である。

幾つも存在する正解から、科学と政治と社会は協働して「対話の場」=「学びの場」を形成し、社会的に納得可能な解決策を共創することが必要であり重要だというのが、本書の一貫したメッセージである。

さらに言えば、「学びの場」とはLearning Communityであり、災害対策の新しい知識を創造するという目的をもったコミュニティである。

科学と政治と社会による「対話の場」=「学びの場」が有効に機能するには、参加者のエンパシー能力の形成や境界知作業者の役割が決定的である。

こうした点も、本書の重要なメッセージとして終章で詳しく述べている。

報告書籍(3)『入管の解体と移民庁の創設ー出入国在留管理から多文化共生への転換』

  • 発表者:加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者:黒田貴史(明石書店)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)

コメント・応答

法務省入国管理局は入管法の執行者として自らをあらゆる権力の上位に置いてきた。

2019年4月に、出入国在留管理庁へと格上げされる中、スリランカ人女性の死亡事件が起きた。入管は現在のまま存続して良いのであろうか。

入管を一度解体し、新たに移民庁を創設するアイディアを本書では構想した。第1章から第16章まで16 名の著者(監修者を含む)による論考を収録した。

第1部は「人権無視の外国人管理」と題し、出入国在留管理庁において人権が守られていない状況を主に実務家が事例をもとに示した。

第2部は、「元入管職員の『中の視点』から」と題し、実際に入管に務めた経験を有する元職員が出入国在留管理庁における問題点を「中の視点」から述べた。

特に元東京入国管理局長からは、「交流共生庁」の創設という具体的な案が示された。

第3部は戦後から21 世紀にかけての「入管の歴史」を4名の研究者の論考をつないで追いかけた。

第4部「移民庁の創設に向けて」では、3名の研究者の論考から「民族」概念を問い直し、入管に存在する「レイシズム」を明らかにし、「諸外国の入管・統合政策担当機関」のあり方を整理した。

報告書籍(4)『SDGs時代の評価:価値を引き出し、変容を促す営み』

  • 発表者:米原あき(東洋大学)
  • 担当編集者:鶴見治彦(筑波書房)
  • 討論者:山田肖子(名古屋大学)

コメント・応答

SDGsの取り組みは評価が難しいと言われる。それは、SDGsがこれまでの国際開発目標とは異なる次元で問題提起をしているのに対し、その取り組みを評価する方法や思考が旧次元に留まっているからではないか。

本書では、「評価evaluation」という活動を価値(value)を引き出す(ex-)ための営みと捉えて、SDGs時代に求められる評価の在り方を検討している。

「不確実性のなかで多様な個人や集団が協働して持続可能な社会を構築することが求められる時代」であるSDGs時代の評価には、ふたつのシフトが求められる。

それらは、①評価をPDCAの「C」という一点でとらえる「点の視点」から、PDCAという一連の流れやそのサイクルの積み重ねという「線や面の視点」へのシフトと、②評価を与えられた指標に基づく測定と前提して「いかに測るべきか」(measurability)を問う姿勢から、そもそも評価したい/すべき価値は何なのかという大前提からの問い直し(evaluability)を前提とする姿勢へのシフトである。

本書の各章では、これらのシフトにかかる事例や、これらのシフトに関連する新たな評価理論を紹介している。

報告書籍(5)『SDGsを問い直す ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』

  • 発表者:野田真里(茨城大学)
  • 担当編集者:舟木和久(法律文化社)
  • 討論者:山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

コメント・応答

SDGs(2016~2030年)の中間年にあたる2023年、SDGsを問い直す野心的研究として、人間の安全保障上の危機であるコロナ禍の教訓を踏まえ、ポスト/ウィズ・コロナを展望しています。

本書はSDGsの17目標に因んで17の論稿から構成されています。SDGsのゴールの達成状況の分析とともに、今回のコロナ禍によってもたらされた課題を2つの角度から分析しています。

1つは、「取り残される人々」やレジリエンス(強靭性、回復力)の観点です。もう1つは、「ポスト/ウィズ・コロナ」の観点です。

「取り残された人々」が具体的にどのような危機的状況におかれているのか、また、SDGsの観点からどのように取り組んでいくべきなのかを詳細に描いています。

本書では、これまでSDGsについて充分論じられてこなかったテーマ(高齢者、障害者等)やSDGsへの批判的観点を含めて、踏み込んだ検討を行っています。

また本書は国際開発学会員のSDGsに関する2016年からの2つの研究部会(「持続可能な開発とSDGs」、「開発のレジリエンスとSDGs」)の成果でもあり、多くの学会員が執筆しています。

【総括】

本ブックトークセッションでは会員による近刊5冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版に至ったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時50名にのぼり、活発な質疑応答となった。

報告者:芦田明美(名古屋大学)

ポスター発表

  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 13:00(コアタイム11:45-12:45)
  • 2号館5階学生食堂
  1. [1R01] 僧院が担う新たな社会的包摂機能
    ―ブータン王国における仏教とウェルビーイング―

    *佐藤 美奈子(京都大学)
  2. [1R02] Space-Time Analysis of East-West Inequality of Economic Development and Digital Financial Inclusion: Province-level Evidence from China
    *Jiaqi LI(Nagoya University)
  3. [1R03] ミャンマーとバングラデシュにおける SDGsの達成状況
    ー目標1を中心にー
    *頼藤 瑠璃子、*エイチャン プイン(熊本学園大学)
  4. [1R04] ポストコロナにおけるスマートツーリズム:ヨーロッパとアジアの事例比較分析
    *ZHU Ningxin(立命館大学大学院)
  5. [1R05] 高校生は SDGsから何を考えイメージするのか~イメージマップテストを用いた分析~
    *坂根 咲花(関西学院大学大学院)
  6. [1R06] 気候変動の影響が武力紛争を招く社会の脆弱性条件
    *長野 貴斗(京都大学大学院)
  7. [1R07] ガーナにおける就学前教育が与えるスクールレディネスへの影響の分析
    *内山 かおり(神戸大学大学院)
  8. [1R08] Influence of Maternal Decision-Making on Children’ s Years of Schooling in Malawi
    *Yudai ISHII(Kobe University)
  9. [1R09] Analysis of Demand-Side and Supply-Side Factors on Learning Outcomes in Myanmar
    *Htet Myet Aung(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)
  10. [1R10] 地域 SDGsプロジェクト共創を促進するオープンソーシャルイノベーションプラットフォーム事業の実証研究 – 石川県金沢市 IMAGINE KANAZAWA2030パートナーズ事業の分析から-
    *津田 祐也1、*富田 揚子2 ( 無所属、2. 国連大学サステイナビリティ高等研究所)
  11. [1R11] An Assessment of Digital Competence of Freshmen at Top Ranked Public Universities in Bangladesh
    *Rakibul HASSAN(Kobe University)
  12. [1R12] Analysis of Parental Involvement and Secondary School Students’ Academic Achievement in Cambodia
    *SARA Thavrith(Kobe University)
  13. [1R13] 太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性
    ー援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目してー
    *井川 摩耶(東京大学大学院)
  14. [1R14] Perception of Students with Disability on Inclusivity in Higher Educational Institutes of Bangladesh *Sheikh Rashid Bin ISLAM(Kobe University)
  15. [1R15] 発達障害のつくられ方−個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ−
    *八郷 真理愛(横浜国立大学大学院)
  16. [1R16] An Analysis of the Factors Influencing Primary School Students Learning Achievements in Burundi
    *Deo KABANGA(Kobe University)
  17. [1R18] Analysis of Influence of Student and Family Factors on Learning Achievements in the Philippines.
    *Minghao Wang(Kobe Univ.)
  18. [1R17] An Analysis of Teacher Quality and Primary School Students’ Learning Achievement in Cambodia
    *Sreymech HOEUN(Kobe University)
  19. [1R19] フィリピンの若者が困難な状況を乗り越えるためのパターン・ランゲージの作成
    *金井 貴佳子、太田 深月、井庭 崇(慶應義塾大学)
  20. [1R20] バングラデシュにおける普遍的就学前教育政策下での就学前学校の種類の決定要因
    *宇野 耕平(神戸大学大学院国際協力研究科)
  21. [1R21] Assessment of community ICT access and connectivity for development of an intangible cultural heritage digital repository in Luang Prabang
    *Jerome SILLA1, Jun-ichi Takada2, Shinobu Yamaguchi1, Sengthong Lueyang3, Souvalith Phompadith3, Xaykone Phonesavath3 ( United Nations University, 2. Tokyo Institute of Technology, 3. Luang Prabang World Heritage Office)
  22. [1R22] グローバル企業経営戦略・ GVCMとの連携による産業発展に関する「発展経営論」試論
    *竹野 忠弘(名古屋工業大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

The 25th JASID Spring Conference

地域発! 国際協力と共創の実践
グローバル・グローカルな人材育成

Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local Context: Global & Glocal Human Resource Development
  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮(予定)
  • 方式:対面(一部オンライン)

この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮(エクスカーションの可能性もあり)のLRTや餃子や、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

第25回春季大会・実行委員会
委員長:阪本公美子(宇都宮大学)


スケジュール

  • 2月 1日:HP公開予定()
  • 2月 1日:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締め切り
  • 4月初旬:参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月上旬:報告論文(ショートペーパー4頁、フルペーパー16頁)提出締め切り

発表申込要項

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • 発表者は、会員であることが必要
学会入会申請・会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は、日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること
※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。
※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する

企画セッション:

各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること

ラウンドテーブル:

企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

発表申込

  • 申込期間:2024年2月1日~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊池翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於奈(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

第25回春季大会にかんするお問い合わせ先

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



大会組織委員会からのお知らせ(2024年2月)

2023年度活動報告

  • 明治大学を開催校とし(島田剛実行委員長)、第33 回全国大会を開催した(2022 年12月3 日、4 日;対面・オンラインのハイブリッド開催)。
  • 国際教養大学を開催校とし(工藤尚悟実行委員長)、第24 回春季大会を開催した(2023年6 月10 日;対面・オンラインのハイブリッド開催)。
  • 上智大学を開催校とし(小松太郎実行委員長)、2023 年11 月11、12 日に第34 回全国大会の開催に向けて、プログラム編成や大会運営の円滑化のための各種支援を行った。
  • 2024 年6 月予定の第25 回春季大会を宇都宮大学(阪本公美子実行委員長)で開催する見込みとなった。

大会組織委員会
第11期 委員長:山田肖子(名古屋大学 )


国際開発学会第12 期:委員会の構成および幹事の委嘱

委員長

松本 悟(法政大学)

委員

池見真由(札幌国際大学)

幹事

汪牧耘(東京大学大学院)

大山貴稔(九州工業大学)

栗田匡相(関西学院大学)

会長、副会長、事務局長

2024年度活動計画

  • 春季大会と全国大会の運営(実行委員会のサポート)
  • 大会運営の再編に向けた論点整理
  • 2025 年の大会開催校の打診・決定

大会組織委員会
第12期 委員長:松本 悟(法政大学)




第34回全国大会:大会プログラム冊子の公開【第8報】

全国大会の開催日が近づいて参りました。皆様をキャンパスにお迎えすることを楽しみにしております。

大会当日は、キャンパス内で工事が予定されています。また、幾つかのイベントが行われる見込みです。狭いキャンパスで色々ご不便をおかけするかもしれませんが、ご理解頂ければ幸いです。

大会プログラム冊子を作成しました。ダウンロードをしてご利用下さい。当日についても諸連絡がありますので、ご確認ください。

1.大会プログラム冊子(PDF)について

  1. プログラム冊子は、下のリンクからアクセスできます。パスワードは、報告論文PDFの閲覧用と同じです。発表ガイド、会場案内、大会スケジュールなどを収録しています(これらの情報は大会HPでも確認できます)。
  2. 大会プログラムは紙では配布しません。プログラムはご自身の端末機にダウンロードしておくか、印刷して持参頂くことをお勧めします。

★大会プログラム冊子:

2.当日の入構と受付について

入構ルート

正門(ソフィアン通り)から入構してください(キャンパスマップのリンクを以下に貼ります)。案内板やバイト学生の誘導にしたがって、紀尾井坂ビル(分科会)や11号館(休憩ラウンジ、託児所)、2号館(プレナリー、ポスターセッション、総会、懇親会)に向かってください。

★キャンパスマップ:

受付

受付場所3カ所とそれぞれの受付時間は以下の通りです。

◆1日目

  • 11号館1階(メイン受付) 9:00-13:15
  • 2号館5階 9:30-13:00, 16:30-18:30
  • 2号館17階 12:45*-16:30 *プレナリー会場へは13:00から入場可能です。

◆2日目

  • 11号館1階(メイン受付) 9:00-17:00
  1. 受付後、空のネームホルダーをお渡しします。ご自身の名刺を持参し、ネームホルダーに入れてご利用ください。
  2. 受付は原則お名前のみで行いますが、支払い等の確認が必要な場合、Confitからダウンロードできる領収書をご提示いただくことがあります。

3. 会場でのWiFi使用について

会場でのWiFi接続については、Eduroamをご利用になれます(事前設定が必要です)。Eduroamをご利用出来ない場合は、ゲストアカウントを利用して、「sophiawifi2019」に接続頂けます。

★Eduroam:

ゲストアカウントを利用する場合、最初に接続する際に、端末機によっては設定が必要です。設定の仕方については、以下からマニュアルを選んでご確認ください(会場で参照できるように、事前にマニュアルをダウンロードしておくことを勧めます)。

ゲストアカウントとパスワードは、大会プログラム冊子に記載されています(会場では配付致しませんので、メモを取っておいてください)。ゲストアカウントを利用したWiFi接続の設定手順はやや複雑なので、可能であれば、Eduroamをお勧めします。

★マニュアル:

4. 大会期間中の書籍の販売について

大会二日目の12日(日曜)に、11号地下ラウンジ(休憩スペース)で書籍販売を行います(9:00~17:00)。

学会員の著書を含め書籍を割引価格で購入できます、是非お立ち寄りください。


本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • お問い合わせ先:jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会(上智大学)開催のお知らせ

現在、11月の大会に向けて準備を進めております。久しぶりの対面による全国大会であり、遠い昔のように思える過去の対面開催を思い出しながら進めています。

コロナやインフルエンザが流行していますが、健康にご留意頂き、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

以下のページに情報を掲載していきますので、ご覧いただければ幸いです。

第34回全国大会・実行委員会
実行委員長:小松太郎(上智大学)




第34回全国大会:大会論文集の公開【第7報】

大会開催まで3週間を切りました。今のところ、320名を超える方々から大会登録を頂いていております。多くの皆さまから登録を頂いたことにお礼申し上げます。

今大会の大会論文集(Conference Proceedings)が完成しました。他にも諸連絡がありますので、ご確認ください。

1.大会論文集(Conference Proceedings)について

大会論文集は下のリンクからアクセスできます。パスワードは、報告論文PDFの閲覧用と同じです。

論文集には、一般口頭発表と企画セッション、ラウンドテーブルの一部の報告論文、およびラウンドテーブルとポスターセッションの要旨が収められています。発表者のご意向により、掲載されていない論文もあります。

なお、全ての要旨と報告論文は、大会HPの「報告論文PDFダウンロード」から個別に確認・入手できます。

(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




【重要】会員マイページ・大会申込サイト「メンテナンスのお知らせ」10月12日(木曜)21:00-24:00

国際開発学会の会員システムの停止を伴うメンテナンスを、以下の日程で実施いたします。第34回全国大会ウェブサイトのご利用において、一部機能がご利用頂けなくなりますので、お知らせいたします。ご理解ご了承のほどよろしくお願いいたします。

メンテナンス実施日

2023年10月12日(木曜)21:00~24:00

ご利用いただけないサービス

上記システムメンテナンス時間帯において、それぞれのサイトでは以下の機能をご利用いただけません。

会員マイページ

上記メンテナンス時間帯にはアクセスできません。

第34回全国大会ウェブサイト

大会ウェブサイトにおいて、上記時間帯には参加登録が行なえません

(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




第34回全国大会:プログラム公開とプレナリーへの参加方法について【第6報】

大会プログラムを公開しました。タイムテーブルと発表要旨、報告論文(PDF)をオンライン(Confit)でご確認頂けます。また、大会初日に開催するプレナリーへの参加方法についても、情報をまとめていますので、ご一読ください。

1. 大会プログラム(Confit)について

大会HPからアクセスしてください。報告論文等のPDFの閲覧・ダウンロードには、パスワードが必要となります。パスワードは参加登録・支払を済ませた方へ、実行委員会より別メールにてご案内いたします。

★大会HP:

プログラムの作成には、セッションの決定、発表の割り当て、座長やコメンテーターとの折衝、会場確保など様々な調整が必要であり、基本的にセッションや日程変更のご要望には応じられません。ご理解頂ければ幸いです。

会場図や発表の仕方等をまとめた簡易版大会プログラム(PDF)については、大会1~2週間ほど前を目途に公開する予定です。

 ポスターセッション

11月11日(土曜)9:30 〜 13:00となっています。11:45-12:45をコアタイムとして設定していますので、発表者の方々は、この時間に会場で来場者からの質問等にご対応頂ければ幸いです。

書籍販売

大会二日目の12日(日曜)に休憩スペース(11号館地下ラウンジ、9:00~17:00)で行います。是非お立ち寄りください。

2.プレナリーの参加方法について

11月11日(土曜)午後に開催する大会プレナリー「日本の開発援助はどこに向かうのか―開発協力大綱の改定を受けて—」は、上智大学との共催による公開イベントとなります。チラシを大会HPに掲載していますので、内容をご確認下さい。

★プレナリー:

本イベントは、対面とオンラインで参加頂けます。イベント会場の収容人数の関係から、先着150名とさせて頂きます。入れなかった方は、同じフロアの隣の会場(収容人数150名)でスクリーン投影を視聴頂きます。受付はイベント開始30分前の13:00からを予定しています。

両会場ともに、メインモニター以外にサブモニターを配置し、パソコンテイクによる日本語文字情報を配信致します。

プレナリーは日本語で実施します。英語同時通訳が必要な方は、ZOOM Webinarにつないで音声を聞くためのデバイス(スマホなど)とイヤホンを持参ください。

登壇者に対する質問は、受付で配布する紙に日本語か英語で書いて頂き、休憩中に回収する予定です。直接質問されたい方は、早めに受付を済ませて会場にお入りください。

オンラインで参加される方は、事前登録の必要はありません。大会HPの案内ページ下段の「使用言語」に掲載されているリンクからお入りください(学会会員用のリンクですので、一般の方への共有はお控えください)。

なお、プレナリー終了後に同じ会場で国際開発学会の会員総会を開催します。

3. 【リマインダー】大会事前参加登録について

事前参加登録期限(割引あり)は、【10月11日(水曜)】となっています。早めのご登録をお勧め致します。


本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会:合理的配慮、感染症対策、託児室利用について【第5報】

本大会は、多くの方にご参加いただけるよう、障害をもつ方への情報保障など、合理的配慮を可能な範囲でいたします。

発表者のみなさまは、準備段階から情報保障にご協力ください。その他、当日の感染症対策や託児室の利用についてまとめましたので、ご確認ください(以下の内容は、大会HPにも記載しています)。

なお、各分科会における発表内容を含めたプログラムの公開は、10月2日(月曜)を予定しています。

1. 合理的配慮

発表者へのお願い

本大会は、様々な障害をもつ会員の参加を前提に、発表者に情報保障への協力をお願いしています。

下記のリンクから、資料作成や当日の発表に関する留意点を確認のうえ、ご協力ください。

★大会発表における情報保障のお願い

参加にあたって合理的配慮が必要な方は、下記のフォームより【10月10日(火曜)】までにご連絡ください。

★相談フォーム

2. 感染症対策

本大会は、プレナリーと一部の分科会を除いて、対面開催です。大会実行委員会として、下記の感染対策を実施します。安全・安心な大会の開催に向け、ご協力をお願いします。

参加者のみなさま

  • 来場前はご自身で検温など体調の異常がないか確認してください。発熱(37.5度以上)あるいは体調不良がある場合は、感染症の陽性・陰性を問わず来場はお控えください。
  • プレナリーのみ、対面とオンラインを併用します。会場のWI-FI環境や設備の都合上、他のセッションをオンライン併用とすることはできません。オンラインのみの分科会を予め設けていますので、対面での参加が難しい方は、そちらにご参加ください。

対面登壇者のみなさま

発表者

理由を問わず、来場できない場合は欠席となります。

欠席せざるを得ない事情が発生したときは、速やかに大会事務局にご一報ください。

オンライン発表への切り替えは出来ません。また、ビデオ録画による発表も、その場での質疑応答ができないことから、対応いたしません。

コメンテーター

体調不良で来場できない場合、大会事務局メールアドレスをCCに入れた上で、座長にご相談ください。

事前にコメントを文書で用意しておられる場合は、座長宛にお送りください。

口頭コメントのみのご予定の場合は、代わりのコメントを座長にお願いするなど、分科会内での調整をお願いします。

座長

体調不良で来場できない場合、大会事務局メールアドレスをCCに入れた上で、コメンテーターの方と連絡をとり、司会・進行を兼ねていただくなど分科会内での調整をお願いします。

会場での対応

  • 会場では、各所に手指消毒剤を用意、講演会場等の定期的換気、各教室備え付けマイクの消毒のための消毒剤の用意をいたします。
  • マスク着用は来場者の個々の判断に委ねます。
  • 懇親会は、ビュッフェ形式ではなく、1名分ずつ箱に入れた「個々盛」で対応します。

3.託児室の利用

大会期間中、未就学児を対象とした学内託児室を設置します。

利用料

  • 一般・正会員:500円/時間
  • 学生:300円/時間

利用方法

以下の案内で詳細を確認の上、【10月10日(火曜)】までにお申込みください。

★託児案内

4.【リマインダー】報告(発表)論文提出について

一般口頭発表および企画セッションのカテゴリーで発表される方は、報告論文を【9月30日(土曜)】までに提出して頂きます。

提出方法などを大会HPでまとめているのでご確認下さい。

★大会HP

5. 今後のスケジュール

  • 報告論文提出期限:9月30日(土曜)23:59まで
  • プログラム公開:10月2日(月曜)
  • 大会事前参加登録期限(割引あり):10月11日(水曜)
  • 懇親会の参加申込・支払(大会参加登録と同時):11月5日(日曜)
  • 大会:11月11日(土曜)・12日(日曜)

本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • お問い合わせ先:jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会:大会参加申込に関するお知らせ【第4報】

この度は、多くの発表申し込みをありがとうございました。大会プログラム委員会で審査を行い、一般口頭発表72件、企画セッション7件、ラウンドテーブル18件、ポスター発表21件が採択になりました。

1. 大会プログラムについて

現時点での大会プログラムは以下URLをご覧下さい。

プログラムURL

2. 大会参加申込について

大会参加申込と参加費のお支払いが可能となりましたので、ご案内致します。

下記のリンクより、お手続きを宜しくお願い致します。

お支払いはクレジットカード払いのみとなりますので、ご了承下さい。

★参加申込・参加費支払いURL

* 参加費用(参加登録費)

大会HPの該当ページ(以下URL)をご参照下さい。

* 事前参加登録(割引)

割引が有効となる参加登録の期限は、2023年10月11日(水曜)とします。

その後は、当日まで参加登録を受け付けます。

* 領収書の発行について

参加申込サイトにログイン後、「領収書ダウンロード」より発行することができます。

なお、大会の会場での受付の際に「領収書」「参加申込受付メール」のいずれかを見せていただき入場いただくことになりますので、大切に保管ください。

プリントアウトしていただいたものでも、スマホなどの画面を見せていただくということでも結構です。なお、領収書の発行期限は11月末となります。

3. 懇親会について

* 大会初日の11月11日(土曜)18:30-20:30に、参加者同士の意見交換・ネットワークづくりのための懇親会を予定しています(個々盛り形式、ヴィーガン・ハラール・禁忌無しの3種類からお選び頂きます)。

運営都合上、懇親会の参加申込・お支払いは、2023年11月5日(日曜)までに、大会への参加登録と同時に行って頂きます。ご了承ください。

上記の参加登録リンクから手続きを行ってください。

4.託児室利用について

* 大会期間中、未就学児のお子様を対象とした学内託児室を設置します。詳細を以下のご案内から確認頂き、2023年10月10日(火曜)までにお申込みください。

託児室利用のご案内:


本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会:発表申し込み期限(8月5日)のリマインド【第3報】

11月11・12日に予定をしております上智大学での第34回全国大会について、発表の申し込み期限は8月5日(土曜)までとなっております。

皆様の発表申し込みをお待ちしています。

▼詳細はこちらをご確認ください。


本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第24回春季大会報告・総括

第24回春季大会報告

第24回春季大会は2023年6月10日(土曜)に、秋田市文化創造館にて開催されました。当日は188名の方にお集まり頂きました。

3つの企画、5つのラウンドテーブル、11の個人発表と、17のポスター発表があり、各会場にて活発な議論が行われました。

 

プレナリーでは、「世代間のつながりとサステイナビリティ:何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか」をテーマに、4名の登壇者からの話題提供をして頂きました。

秋田という地方社会において、どのような人々の声が聞こえにくいものとなってきたのか、そうした声を拾い上げながら、将来世代につないでいくものを語っていくのか、についての議論が交わされました。

 

翌日のエクスカーションでは、男鹿市と五城目町の2つのグループに分かれ、それぞれの地域において「企て型のアントレプレナーシップ」を発揮し、自らの手で地域での暮らしをより良くしている人々との対話の機会を持って頂きました。

東日本大震災や新型コロナ感染症など、社会のあり様を変えた禍事をきっかけに、自らの生き方を問い直し、大都市圏から地方へと移住し、暮らし方や働き方を主体的にデザインする人々が増加傾向にあります。

そうした企てをする彼らの価値観や創造性に触れることで、日本型の国際協力・開発の形成につながるようなアイデアを、秋田の現場にて見出して頂けたのではないでしょうか。

 

今大会は、国際教養大学の学生を中心に44名の学生ボランティアに支援を頂いたことで実施ができた大会でした。

こうした機会に会員の皆さまとの交流の機会を得ることで国際開発学会に関心を持ち、次の世代が国際協力・開発学の分野に足を踏み入れてきてくれることを期待したいと思います。

秋田という多くの方にとって遠方の地での開催であったにも関わらず、当日はたくさんの方に会場に足を運んで頂き、誠に有難うございました。また、学会関係者の皆様、そして、本大会の実施を様々な形でサポート頂いた地域の皆様に心より感謝申し上げます。

第24回春季大会実行委員長
工藤尚悟(国際教養大学)


セッション報告




第24回春季大会セッション報告(一般口頭発表)

一般口頭発表

[A1] Education(個人・英語)

  • 9:30 〜 11:30
  • 座長: Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)
  • コメンテーター: Hideki Maruyama(Sophia University), Mikiko Nishimura(International Christian University)
    1. [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR
      Souksamay INTHAVONGSA (Hiroshima University)
    2. [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia
      Sokunpharoth SAY (Hirohsima University)
    3. [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School
      Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA (Osaka University)
    4. [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO (Osaka University)
    5. [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers
      Manuel Jordão, Satoshi KUSAKA (Naruto University of Education)

[A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR

Ms. Inthavongsa, reported that in Lao PDR teachers used numerous strategies for managing a multi-grade class, but had challenges in preparing individual tasks, using assessment rubrics, and coping with ethnic minority’s language, for which teachers need more training and experiences. Prof. Nishimura commented that further explanation were needed on teachers’ perception on their challenges, their experiences and skills.

[A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia

Mr. Sokunpharoth reported that community’s roles of fund raising, children’s attendance, infrastructure development, and monitoring students’ progress help improving promotion rate of students in Cambodia. Prof. Maruyama asked about his sampling method, the membership and functions of the school management committee, and differences in the local dynamism.

[A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School

Mr. Andriariniaina presented both parents in the slum areas in Nairobi, Kenya and parents, relatives and guardians in the pastoral area where women have no assets, are trying hard to help their children go to secondary school for a better prospect for future employability. Prof. Nishimura commented on the sample size, generalizability, and need to consider the diversity of the study area.

[A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?

Ms. Rasolonaivo discussed that high school students in Madagascar were exposed to the COVID-19 pandemic and the global economic crises which gave them knowledge and awareness of global issues, helped by the new curriculum on the citizenship education that has more commonalities with global citizenship education. Prof. Maruyama suggested that the background and diversity of students, communities and schools need to be explained further.

[A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers

Mr. Manuel reported that a carefully designed workshop/training can strengthen teachers’ scientific knowledge and their attitude toward improvisation of teaching material in the secondary schools of Angola. Prof. Nishimura questioned about the particulars of the workshop, whether the presenter observed the classes, and changes in the motivation of teachers after the workshop.

総括

The five presenters of this session covered education challenges ranging from multi-grade teaching, community’s roles in school management, parental perspectives on children’s career planning, global citizenship education, and the improvisation of teaching materials, in African and Asian countries. The analytical methods also varied from qualitative, quantitative and mixed methods.

There were constantly some 30 participants many of whom joined and left during the session, and rich Q and A interactions.

報告者:Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)


[A2] 教育(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:小川 啓一(神戸大学)
  • コメンテーター:山田 肖子(名古屋大学)、小松 太郎(上智大学)
  1. [A2-01] 開発途上国における継続的な学力測定のためのテスト開発 ―マラウイ・ガーナ・ウガンダの事例―
    谷口 京子(広島大学)
  2. [A2-02] モザンビーク教育大学学生の教職志望動機に関する一考察-FIT-Choice 尺度を活用して-
    谷川 夏菜子、脇田 祐輔、Simbine Alberto、日下 智志(鳴門教育大学)
  3. [A2-03] 東ティモールにおける大規模縦断 EMISデータとGIS情報を用いた学生の教育進級履歴の決定要因に関する分析
    内海 悠二(名古屋大学)
  4. [A2-04] ケニアにおける教育改革の進捗と問題点―Competency-Based Curriculumの導入と教育制度の変更をめぐって―
    澤村 信英(大阪大学)
  5. [A2-05] 東ティモールにおける「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の適用可能性の検討-初等教育学校と前期中等教育学校の連携に着目して-
    須藤 玲(東京大学大学院)

コメント・応答など

谷口会員は、サブサハラ・アフリカ地域における生徒の学力を、各国のカリキュラムに照らし合わせて分析することの重要性を指摘し、マラウイ・ウガンダ・ガーナの3カ国におけるテスト開発および学力調査の結果を報告した。学力調査の結果からは、作成したテストの信頼性や3カ国間での学力比較を共有した。

これに対して、コメンテーターの小松会員から、各国のカリキュラムに照らしたテスト開発を進める上で3カ国を比較することの意義についての質問がなされた。また、選択国の代表性や他国への適応可能性などの観点から、3カ国を選定した理由等が問われた。

谷川会員らの第2発表では、モザンビークにおける教員の離職率の高さに関連して、教員の早期離職の原因を調査した結果が共有された。教員志望の大学生が教職を選択する理由に焦点を当て、現職教員に対する調査とは異なる視点からの考察を提示した。

コメンテーターの山田会員からは、分析における説明・被説明変数が離職率の要因を明らかにする上で妥当な選択であるのか指摘がなされた。また、分析結果について山田会員の視点による考察も加えられた。

内海会員による第3発表では、複雑な社会構造を有する東ティモールにおける生徒の就学生存率を、地理情報データを活用して空間的に把握する試みが共有された。

地理的に就学生存率が高い(低い)学校が密集するホット(コールド)スポットの存在を指摘するとともに、マルチレベル・ロジスティック回帰分析による要因の検討を行った。

小松会員からは、経年的に結果を見た際に一時的にホットスポットとなる地域の存在について質問が挙げられた。また、スポットが生じる要因の分析において十分に検討されていなかった社会的な要因としていくつかの可能性を提示した。

第4発表では澤村会員から、ケニアにおいて2018年から導入され始めた教育改革の進捗や課題について、教育改革の歴史を踏まえた報告がなされた。Competency-based Curriculumの推進が、学習者の能力を公正に伸ばすと期待されていながらも、実態としては不公正な社会に向かっているのではないかと評した。

山田会員は、Competencyとして求められる能力は、各時代における社会の在り方によって異なるのではないかと指摘し、ケニアの教育改革の歴史の中でCompetencyの在り方がどのように変化してきたのか等の質問を投げかけた。

須藤会員による第5発表では、多言語社会において推進されている「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の東ティモールにおける適用可能性について、教員側からの受容と反発に焦点を当てた考察が行われた。

前期中等教育学校において教員がMTB-MLE校に対して反発を示したことを踏まえ、初等教育段階と前期中等教育段階の連携における課題を指摘した。

小松会員は発表を受け、多言語教育における教育者の重要性を再確認した上で、彼らの声だけを「MTB-MLEへの社会的反発」と捉えることについて疑問を投げかけた。

また、MTB-MLEの試験的導入から彼らの受容と反発に至るまでのプロセスに目を向けることの意義を指摘した。

総括

コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質疑が挙がり、活発な議論が行われた。発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

報告者:小川 啓一(神戸大学)


[A3] 産業(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:高橋 基樹(京都大学)
  • コメンテーター:島田 剛(明治大学)、池上 寛(大阪経済法科大学)
  • 聴講人数:22名
  1. [A3-01] 南アフリカ小規模食品加工企業の存続と BEE政策の影響
    西浦 昭雄(創価大学)
  2. [A3-02] 職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として
    松本 愛果(京都大学)
  3. [A3-03] インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要
    黒川 基裕(高崎経済大学)

コメント・応答など

同セッションの報告者は、西浦昭雄、松本愛果、黒川基裕の3会員、また討論者は池上寛、島田剛の両会員であった。また、22人ほどの参加者があった。

西浦報告「南アフリカ小規模食品加工企業の存続とBEE政策の影響」では、報告者から、アフリカの小規模企業がどのように、産業の二重構造を越えようとしているかという問題意識に立ち、個別の企業の成長の軌跡に注目することを念頭に置きつつ、南アフリカの小規模食品加工業に注目したことが説明された。

そのうえで、南アの企業に関する最も網羅的なデータベースであるWOWEBを利用し、HPも参照して、5年以上成長の軌跡をたどることのできる企業を絞り込み、その軌跡においてBlack Economic Empowerment(BEE)による調達面の優遇や、資金やエネルギーの調達、市場の開拓の問題などの影響を検討したことが説明され、企業の継続には段階的な規模拡大、需要の獲得、事業継承の容易さなどがカギとなっているとの知見が紹介された。

討論者から、BEEが経営者の属性(「人種」)によって受ける影響、業種による規模の違いなどを考慮すること、また企業者の経営能力、輸出の成否、また事業継続の失敗例とその要因などを検討に含めることなどの必要性の指摘があった。また参加者から行政の衛生管理をクリアするかどうかで大きな違いが生じることやノウハウを伝えやすいなどの食品加工の業種としての特殊性への注意喚起があった。

松本報告「職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として」は、大学と中等学校の中間に置かれた職業教育校が、労働者の技能、賃金・所得に与えている影響について、ケニアでの実証調査を踏まえて論じた。調査では、フォーマル及びインフォーマルな企業の採用担当者、官民の職業訓練校の製造業関連職種の現役生・卒業生が対象となった。

調査研究の結果、職業訓練修了者の賃金は大学と中等教育の間であるが、企業採用担当者からすると、スキルや学力は中等教育より上で、また大卒よりも労働市場で必要とされる適正なスキルと知識を備えているために雇用機会は高く、より確実に仕事を得ることができ、その点において職業教育は相対的に人材養成において優位である可能性が示された。

討論者からは、対象の職種の選定理由を明示すること、労働者や使用者の賃金の認識のしかた(短期か、それとも終身まで視野に入れた長期か)を考慮すること、企業による職業訓練の成果の活用について検討すること、また世界銀行による職業訓練校への批判について念頭に置いた議論を展開することなどの必要性が指摘された。

黒川報告「インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要」は、途上国に広く見られる、調理の際の排煙によって健康被害をもたらしかねないかまどに代わるものとして、報告者自身が開発・普及に携わっている「無煙クッキングストーブ」の事例についての報告であった。

報告者の研究においては、開発された無煙ストーブをインドネシア西部バンテン州の農家に貸与し、その潜在需要をCVMとWTP(willingness to pay)の手法を使って検証する方法が採用された。

WTPを通じて農家の側に、比較的低いながらも市場価格を支払う意欲があり、あるいは無煙の燃焼に必要なペレット、商用のための長時間燃焼可能なモデルへのニーズが存在することが確認されたこと、また、環境性能と収益性能の間のトレードオフやストーブ・ペレットの改善上の課題が指摘された。

討論者からは、潜在需要と農家の生存水準及び健康問題への関心との相関性を検討すること、また採算性を考える際に、ストーブ自体の製造やペレットの生産のための固定費用まで計算に入れることなどの必要性の指摘があった。

総括

製造業・ものづくりについての研究は国際開発研究において大きな潜在的な重要性と発展可能性を持つものであり、このようなセッションが今後も継続的に開催されることが期待される。

報告者:高橋 基樹(京都大学)


[B1] Economy(個人・英語)

  • 9:30 〜 11:30
  • 座長/ Chairman: Akio Nishiura (Soka University)
  • コメンテーター/ Commentator: Yukimi Shimoda (Waseda University), Takeshi Daimon (Waseda University)
  • 聴講人数/ Number of the audience: 15
  1. [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa
    Christian OTCHIA (Nagoya University)
  2. [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within 
    Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU (University of Utsunomiya)
  3. [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis
    Feng LI (Chuo University)

コメント・応答など

[B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa

Christian OTCHIA conducted an empirical analysis examining the impact of Chinese Officials’ visits, including the Foreign Minister, on the increase in direct investments from China into Africa. In response, Takeshi Daimon, acting as the discussant, commended the study’s geopolitical approach in exploring the determinants of private investment, and its adept utilization of propensity score matching methods (PSM) to correcting for endogeneity. Daimon also sought information concerning the influence of Russia as an invisible actor and its role in conflicts, as well as insights on the case of Tunisia, the host country of TICAD VIII, in the context of Japanese investments in Africa.

Furthermore, Yukimi Shimoda, another discussant, raised a query concerning whether China’s increasing economic influence, beyond the visits of Chinese diplomatic envoys, was responsible for the upsurge in private investments. In response, OTCHIA emphasized the significance of political backing for Chinas investments to Africa and suggested conducting an analysis with a dedicated focus on this aspect.

[B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within

Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU conducted a thematic analysis based on qualitative research, which involved surveys conducted with 54 Owner-Managers of Lifestyle Enterprises (OME) and 8 experts in Sri Lanka, aimed at investigating whether Lifestyle Enterprises exhibit a tendency to be growth averse. In response to the presentation, Shimoda, the discussant, acknowledged the study’s significance in contributing to policy formation, particularly regarding the formalization of the informal sector, and praised the ample sample size. Furthermore, Shimoda suggested that a more comprehensive analysis could be achieved by providing insights related to various aspects of owner-managers, such as age, gender, education, life stage, and other relevant factors, considering Sri Lanka’s specific context, and encompassing various types of lifestyle enterprises, including street vendors, manufacturer and distributors.

Shimoda also raised questions, seeking clarification on the definition of lifestyle enterprises, exploring the relationship between the informal sector and lifestyle enterprises, and inquiring about the perspectives of the 10% of respondents who expressed a growth-oriented outlook. Additionally, questions from the audience addressed the motivations behind OMEs’ business establishment, the targeted company sizes, and the educational levels of the samples.

[B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis

Feng LI conducted an analysis using Shapley decomposition to examine regional and educational disparities caused by China’s Hukou (household registration) system. The results reported improvements in educational access in China due to economic development, particularly for the younger generation. The study also found that the Hukou influenced educational disparities between 2010 and 2018, while regional disparities were smaller than initially anticipated.

In response to the presentation, participant Daimon acknowledged the significance of the research and proceeded to inquire about the relationship between “sent down” policy and urban status. Daimon also raised questions regarding polarization and the feasibility of obtaining data at the village level. Additionally, comments from the floor suggested the need for analysis at the local level and explored the possibility of comparative studies with other regions.

総括

The session offered a fresh perspective on the multifaceted nature of “economy.” I was impressed by the innovative and original viewpoints presented in each presentation. Overall, the lively exchange of opinions made it a meaningful session. I would like to express my heartfelt appreciation to the presenters for their insightful papers and well-prepared presentation slides, and to the discussants for their meticulous comments and questions while preparing their slides. I also extend my gratitude to all the participants who actively participated in the question and answer sessions.

Reporter: Akio Nishiura (Soka University)


[B2] 国際協力(個人・英語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:佐藤 寛(開発社会学舎)
  • コメンテーター:西川 芳昭(龍谷大学)、高田 潤一(東京工業大学)
  1. [B2-01] Local Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnam
    Yunxi WU (Kyoto University)
  2. [B2-02] A study on the verification of the educational support project in Kumamoto Laos Friendship Association
    Hanami SAKAI (Kumamoto University)
  3. [B2-03] Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Development
    Mikihiko WATANABE (University of Yamanashi)

コメント・応答など

本セッションでは英語による三本の報告があった。

第一報告は京都大学のYunxi Wu会員がLocal Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnamとして、台湾のビジネスも関与しているベトナム高地における輸出志向型ウーロン茶生産と地元の起業家の関係に関するケーススタディに基づいた報告があった。

コメンテーターの高田潤一会員らは、なぜこれらケースが選ばれているのか、事例の代表性、他地域への応用可能性などについて質問があった後、Wu会員がプレゼン資料に用いたAI絵画の妥当性について指摘があった。

聴衆に現地をイメージしてもらうための架空の風景をプレゼンの背景に使用することの、事実誤認誘導や虚偽性などについて興味深い議論があった。

第二報告は熊本大学のHanami SAKAI会員よりA study on the verification of the educational support project in Kumamoto Lao Friendship Associationと題して、熊本出身で元駐ラオス大使の坂井弘臣氏が立ち上げた熊本の市民団体の活動を取り上げ、ラオスの農村部の学生に奨学金を送る活動の評価とその将来的な持続可能性についての考察を行った。

高田会員からは、組織の内部資料等の情報をどのように収集したのか、本研究で用いた評価手法は地方のNGOに適しているのか等のコメントがあった。

1990年代から2000年代頃に日本各地で立ち上がった有志による特定途上国への支援NGOは、その多くが現在世代交代の時期を迎えており、当初のミッションの喪失や創設者の影響力の低下などで持続可能性の危機に瀕している。

本研究はこうした他の事例との比較の糸口になると有意義であろう。

第三報告は山梨大学のMikihiko WATANABE会員による、Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Developmentと題する報告で、Digital Sequence Information の活用に関するやや専門的な内容であったが、コメンテーターの西川芳昭会員が生物多様性に関する国際条約の流れなどを整理したうえで、データの共有のメリットとコストについての議論があった。

三報告を通じて参加者は10人弱であったが、それぞれの報告に即した議論を行えたことは有意義であった。

報告者:佐藤 寛(開発社会学舎)


[B3] 移民・難民(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:内海 悠二(名古屋大学)
  • コメンテーター:林 裕(福岡大学)、小林 誉明(横浜国立大学)
  1. [B3-01] 難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討
    小松 太郎(上智大学)
  2. [B3-02] 往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育― 在日ネパール人が運営する母語教室の事例から―
    田中 雅子(上智大学)
  3. [B3-03] ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築
    片柳 真理(広島大学)

コメント・応答など

本セッションでは3つの報告がなされた。

一つ目の報告は小松太郎会員(上智大学)による「難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討」であった。教育セクターに対する人間の安全保障における理論的枠組みとして「保護とエンパワーメント」、「学びの継続」、「国際社会の責任分担」という3つの側面が説明され、これらの側面からヨルダン補習教育プログラムにおける意味と課題が報告された。

コメンテーターの林裕会員から、ホスト国(第一次庇護国)における負担やホスト国への国際支援の重要性が説明され、ホスト国への支援の重要性が国際社会で認識されているにも関わらず、実際には継続的な支援が実施されていない理由について質問・コメントが挙げられた。

二つ目の報告は、田中雅子会員(上智大学)による「往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育-在日ネパール人が運営する母語教室の事例から-」であった。日本に在住する外国ルーツの子供たちに開放される母語教育を持続的に運営するための課題と努力について、複数の母語教室を事例として運営者とのインタビュー結果と運営形態に関する詳細な結果が報告された。

コメンテーターの林裕会員から、母語・母文化修得よりも日本社会への統合・日本語教育が優先されている社会や、家族滞在者よりも永住者が優先される現状について説明があり、詳細なフィールドワークの実施を評価すると同時に、ネパール人を取り上げる意味やインタビューで得た関係者の生の声をより深く知りたいといったコメントが挙げられた。

三つ目の報告は、片柳真理会員(広島大学)による「ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築」であった。ボスニア・ヘルツェゴビナを事例として、マイグレーション理論をもとに紛争中から紛争後にかけて人々が移動する理由や移動の是非を決める選択(願望・能力)に関する理論的考察が説明された。コメンテーターの小林誉明会員(横浜国立大学)からはマイグレーション理論が他国の事例に適用される場合にどのような課題があるのかが説明されるとともに、移動の是非を決める選択は願望の前に選択を入れることでさらに詳細なモデル(選択・願望・能力)とすることも可能である等のコメントが挙げられた。

総括

会場の参加者が多いというわけではなかったが、セッション時間を通して終始アットホームな雰囲気があり、会場からも様々な質問が挙げられるなど、とても活発な意見交換の場となった。報告会員によるしっかりとした理論に基づく考察や説明がなされたことや、地に足のついた長年のフィールドワークによる知見が報告されたこともあり、質問やコメントに対する更なるコメントが挙げられるなど、質問者と回答者だけではない議論が行われてたことが印象的であった。

報告者:内海 悠二(名古屋大学)


[D2] 環境(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、日下部 尚徳(立教大学)
  • 聴講人数:20名
  1. [D2-01] バヌアツ離島集落のおけるコミュニティベースのサイクロン対応
    藤枝 絢子(京都精華大学)
  2. [D2-02] インドネシア都市スラムのサニテーションを取り巻く人びとの係り合いと開発協力
    池見 真由(札幌国際大学)
  3. [D2-03] バングラデシュ南西沿岸部における NGOによる給水施設の設置-地域の有力者の役割に着目して-
    山田 翔太(立教大学)

コメント・応答など

藤枝会員報告は災害頻発国バヌアツでのフィールドワークを踏まえたコミュニティレベルでの災害対応についての報告であった。

質疑応答では防災教育のあり方、SNSの活用方法、災害対応の課題、行政と住民の関係など多岐にわたる議論が行われた。災害対応組織の役割など国家とコミュニティの関係についてさらに深められるとよいと感じた。

池見会員報告は総合地球環境学研究所のプロジェクトで行われてきた研究者と現地の人びと(非研究者)とのトランスディシプリナリー研究のプロセスやその成果に関するものであった。

多様なステークホルダーの協働による取り組みにおけるインセンティブや価値、イニシャルコストや維持管理コスト、公共私の空間認識など幅広い議論が行われた。本報告で提起されたサニタリーバリューチェーンというコンセプトがどのように研究者と現地住民の間で共有されてきたのかというプロセスが興味深いところであった。

山田会員報告はバングラデシュで大規模に実施されている村落小規模水道の設置にあたって、地域の有力者の利害が大きな要因であることを指摘したものであった。

ヒ素汚染に比べて塩水化は直接知覚できることから住民の関心が高いこと、管理においてはケアテーカーが担っていること、NGOが請け負った事業であるが前身は外国援助機関によるプロジェクトに由来するものであることなどが質疑応答の中で明らかにされた。

集落単位ではなく個人単位での水道敷設が望ましいという結論についてはさらなる検討が必要と感じた。

総括

テーマは災害、衛生、水道、国はバヌアツ、インドネシア、バングラデシュといずれも異なる対象を扱った報告であったが、現地調査を踏まえた具体的な事例をもとにした考察は大変興味深く、参加者からの質問やコメントも活発で集まった参加者の間での関心の高さをうかがうことができた。

今後、各事例研究を広く先行研究の中で位置づけることによって学術的かつ社会的な貢献をより明確にして、論文発表がなされることを期待したい。

報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)


[D3] 保健・福祉(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:杉田 映理(大阪大学)
  • コメンテーター:松山 章子(津田塾大学)、西野 桂子(関西学院大学)
  • 聴講人数:20名
  1. [D3-01] ノンフォーマル教育をエントリー・ポイントとする女性たちの社会参加と自己実現-ブータン農村部における地域保健医療とビレッジ・ヘルスワーカー-
    佐藤 美奈子(京都大学)
  2. [D3-02] サブサハラアフリカの出生率低下は持続するか?
    大橋 慶太(国連人口基金)
  3. [D3-03] 社会的に構築された障害への批判と社会的実践によるその変革ータイ障害者の経験と語りを通じて
    横山 明子(大阪大学人間科学研究科)

コメント・応答など

第1報告者の佐藤美奈子会員の報告に対し、ブータン王国での調査の経験を持つ西野会員からコメントがなされた。ブータンでの現地調査はかなり困難が伴うと推察され、それを乗り越えて調査を実施していることがまず評価された。

さらに、本研究は、ノンフォーマル教育(NFE)を通してリテラシーを得た農村の女性たちがVillage Health Workerとして地域保健医療活動に参与する道を拓くことを目的とした、多角的な調査結果に基づく政策提言を主とする研究であると評された。

一方、グローバリセーションの影響を鑑みて、政府だけではなく、女性たちの自己実現を促すには民間の力も視野にいれて研究する必要性が指摘された。佐藤会員からは、能力をつけた人がオーストラリアに移住してしまう事例も見られることが報告された。

第2報告はサブサハラアフリカの出生率低下について、大橋慶太会員からの報告であり、松山会員からは、本研究はプロダクティブヘルスの観点からも、またアフリカにおいても既に議論され始めている今後の高齢化社会の課題を考える上でも、重要なテーマで学術的意義が高いと評価された。

一方で、セネガルとケニアを比較し、文化・社会的要因に着目しながらも、出生率の近成要因モデルを用いた分析方法を利用することや、国単位で分析することの妥当性について問われた。

中絶に関する信頼性の高いデータ収集は難しいが、例えばGuttmacher Instituteなどが出しているデータを検討することの助言があった。

第3報告の横山明子会員の発表に対するコメントは、再び西野会員が行った。

本研究は、タイ障害者への現地語でのインタビューを通じて、障害者への差別構造と変革主体・アプローチの分析を試みる意欲的な研究であると評価された。

研究対象のタイは、経済発展が著しい反面、政治的な混乱が続いており、加えて「前世の行い」という宗教的思想も差別や偏見につながっていることが指摘された。

また、3つの用語Impairment (a problem with a structure or organ of the body), Disability (a functional limitation with regard to a particular activity), Handicap (a disadvantage in filling a role in life relative to a peer group) のタイ語におけるニュアンスについて質問がなされた。

総括

3つの報告は、それぞれ異なる地域、異なる切り口での研究内容であったが、広くヘルスの課題を地域の視点からとらえようという共通性があったと言える。

それぞれが意欲的な研究であった。また、会場が普段の学会ではあまり利用経験のない横長の形状であったが、結果的に、参加者(オーディエンス)と発表者の距離が近く、質疑応答も活発に行うことができた。

報告者:杉田 映理(大阪大学)


[E2] 国際協力(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)
  • コメンテーター:林薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ)、志賀裕朗(横浜国立大学)
  • 聴講人数:30名
  1. [E2-01] ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性
    河田 卓(株式会社ナレッジノード)、林 俊行(Nyika Energy Consultant)、佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)
  2. [E2-02] 新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国一 JICA海外協力隊を事例としてー
    河内 久実子(横浜国立大学)
  3. [E2-03] 現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響
    安部 雅人(東北大学)

コメント・応答など

E2「国際協力」セッションは多様な3つの報告に関して議論が行われた。

第一報告の河田卓・林俊行・佐藤伸幸「ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性」は、技術協力を行うに際し、(1)コメンスメント、(2)アダプティブ、(3)インクルーシブ、(4)インサイドアウト、という4つの要素を満たすことで、プロジェクトが有効に実施されると主張した。

それを示すに際し、バングラデシュにおけるクリーンダッカ・プロジェクト、パキスタン・パンジャブ州における上下水道管理能力強化プロジェクト、日本の学校法人アジア学院の研修プロジェクトの円滑な実施が、これらの4つの要素を基準として確認することの有効性を示した。

第二報告の河内久実子「新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国―JICA海外協力隊を事例として―」は、新型コロナ感染拡大のために一時帰国を余儀なくされた青年海外協力隊員、シニア隊員、計17名に対してインタビューを行い、突然の帰国に関する効果を分析したものである。

帰国した隊員の感情は大きく分けて「落胆型」と「安堵型」に分けられることが検出された。「同じ境遇の人と情報共有や気持ちの共有をする場があれば、隊員の不安を和らげることができる」ということが一つの結論である。

第三報告の安部雅人「現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響」は、SDGsにおいても一定の役割を果たす「流通」を分析対象として取り上げた研究である。

流通の対象をモノ、ヒト、カネとし、モノは「ビジネス」、「商社」、「公共」、「輸送」(中単元)にさらに分割した。それぞれの中単元ごとに4つの様態を指定し、6×4の「流通マトリックス」を定義する。各セル(モノ×4,ヒト、カネ)×4の現状を詳述したことで研究成果とした。

3報告の間の共通性は小さい。それぞれの議論の妥当性、他の事例への適用可能性が課題として討論者から示された。

2時間のセッションを通じて、30人程度の聴衆が参加した。

報告者:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)


[E3] 文化と開発(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長: 真崎 克彦(甲南大学)
  • 討論者: 関根 久雄(筑波大学)、佐野 麻由子(福岡県立大学)
  • 聴講人数:30名
  1. [E3-01] インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワ農村の事例
    伊藤 紀子(拓殖大学)
  2. [E3-02] 小規模支援のインパクト分析 -ソーラーランタン支援事業の事例より
    柏﨑 梢(関東学院大学)
  3. [E3-03] 頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して
    黒川 智恵美(上智大学)

コメント・応答など

本セッションでは関根久雄会員と佐野麻由子会員をコメンテーターとして迎え、以下の3名の会員による報告があった。

最初は伊藤紀子会員による「インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワの事例」であった。西ジャワ州タシクラヤ県の稲作地帯で、近代食が身近になるにつれていかに伝統食をめぐる考えや摂取行為が変わってきたのかについての現地調査の成果である。

双方を摂る食習慣が根づくようになった今日でも、調査対象の女性の間では自覚的かつ主体的に伝統食に価値を見出されていることが分かった。

コメンテーターからは、「近代食」と「伝統食」という二項対立に関して次の課題が指摘された。第一に、たとえば伝統食の要素が入った近代食、または近代知によってリアレンジされた伝統食など、食の現状は「近代なのか、伝統なのか」という二分法だけでは把握できないはずであり、住民の視線に沿った理解が欠かせない。

第二に、「伝統食は健康に良い」と考えているという住民の認識自体も、近代知に拠るものであろうから、同じく「近代なのか、伝統なのか」という分類では説明し尽くされない。

続く柏﨑梢会員の「小規模のインパクト分析―ソーラーランタン支援事業の事例より」では、ベトナム山間民族集落のための活動が紹介された。国際協力事業のもと、ソーラーランタンが学校を通して子供に供給され、学校と家庭の連携が強まり、また保護者の教育意識も高まるとともに子供の自己肯定感が向上した。

こうした支援活動は身の丈に合ったものであったため、在来の生活様式に大きな影響は与えていないことも分かった。限定的な光源であることから文化面や慣習面における影響はほとんどみられない。

コメンテーターからは、今後の課題として次の点が指摘された。ランタンの文化的な影響の有無や程度について論じる際、住民が限定的な光源をどのように捉えているのかについて、さらに深く検証されるべきではないのか。

また、ランタンによって勉強の習慣がついて子どもの自己肯定感が醸成された、という指摘があったが、それらはランタンだけでもたらされたことなのだろうか。1つの事象が単一の要素だけで構成されることはほとんどなく、他の種々の要素も併せて考察することが欠かせない。

最後に黒川智恵美会員による「頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して」が報告された。エジプトと日本への移民や難民、帰還民の間では、母国への貢献の意志は、イスラム社会の価値観や個人の母国や移住先との関係に左右されている。

母国貢献の思いは身近な人との互助共同体の構築に表れている。現在進行中の紛争を解決することで、そうした「私の国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という気持ちが活かせるようにすべきである。

コメンテーターからは今後の課題として次が挙げられた。第一に、家族、親族、コミュニティというものがクローズアップされておらず、国家という抽象的存在が前景化されている。

最後の「国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という部分をもっと具体的に説明すべきである。第二に、報告者は頭脳流出の類型化を行ったが、1人の人間は複数の型にまたがったり、状況に応じて往還したりするものではないか。そうである場合、1人の人間が型を変えるときの文脈も注目すべき点になるのではないか。

総括

3名の会員による報告は、それぞれが「文化と開発」を考える上で有用な事例であった。セッション全体としても、コメンテーターのインプットで「文化と開発」について主要論点が浮き彫りにされた。

報告者:真崎克彦(甲南大学)


[G1] オンラインセッション

  • [オンライン口頭発表]
  • 座長:川口純(筑波大学)
  • コメンテーター:戸田隆夫(明治大学特別招聘教授)、新海尚子(津田塾大学)
  • 参加者:約12名
  • [G1-01] A Making of Cambodian Teacher Education: Competition and Coordination among Donors, Ministry, Teacher Educators, and Future Teachers
    Takayo OGISU (Sophia University)
  • [G1-03] 農村における気候変動適応活動のアプローチ:エチオピア国の事例より
    久保 英之(地球環境戦略研究機関)三浦 真理(国際協力機構)

コメント・応答など

本セッションはオンラインにて、2名の会員(荻巣崇世会員、久保英之・三浦真理会員)のご発表が行われ、各発表に対して1名ずつの指定討論者がコメントを付した。参加者は累計で12名程であった。

まず荻巣会員のご発表では、カンボジアの教員養成について、特に2013年の改革以降のドナー間の国際協調や競争の実態について報告がなされた。多種多様なドナーが各々のプロジェクトを進行させていく中で、カンボジア教育省のオーナーシップの重要性や学校現場の教員の教育観にも焦点化された示唆に富む発表であった。

荻巣会員の発表に対しては、戸田隆夫会員より、カンボジアの凄惨な歴史とその中でも教育関係者たちが“より良い教育”を実施すべく尽力してきた経緯を踏まえつつ、未来志向の建設的な研究を実施するよう、熱いコメントがなされた。

次に、久保会員らの発表では、エチオピアの農村を対象に気候変動に対応する活動について、その妥当性を検討する報告がなされた。特に、新しいコンセプト(適応、レジリエンス)を導入することで現場がどう変わり得るのかについて議論がなされた。

久保会員らのご発表に対しては、新海尚子会員から、水関連の災害が気候変動の中でも貧困層により大きな影響がある中で、影響、評価についてもコンテクストに応じて考えることが重要とのコメントがなされた。また対象者についても、女性、子供、高齢者、障害者等、気候変動の影響力を受けやすい人々に寄り添う重要性も指摘された。

報告者:川口純(筑波大学)


その他の座長報告




第24回春季大会セッション報告(企画セッション)

企画セッション

[C1-01] ブックトーク

企画責任者・モデレーター
学会誌編集委員会・ブックトーク担当:佐藤 寛(開発社会学舎)、島田 剛(明治大学)、芦田 明美(名古屋大学)、道中 真紀(日本評論社)

本ブックトークセッションでは会員による近刊4冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版にいたったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時30名にのぼり、活発な質疑応答となった。

1. 報告者: 山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)

  • 担当編集者: 酒井 孝博(中央公論新社)
  • 報告書籍: 「入門 開発経済学:グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション」(2023年3月、新書判、288ページ、990円)
  • 討論者: 島田 剛(明治大学)

SDGsにおいて実質上の国際開発離れが進み、日本の国際協力は「開発協力」の名の下に、安全保障の一部に組み入れられようとしている。そんな現況において、(1)貧困削減は多くの国・地域で進んだが、いまだに「理不尽な悲惨さ」は残っていること、(2)開発途上国独自の技術革新が、一定程度進んでいて、今後も期待されること、を中心にして本書をまとめた。

開発経済学の入門書ということで企画を開始したが、経済学を学んでいない読者層を念頭に置いて執筆した。立命館アジア太平洋大学(APU)において「開発学入門」、「開発経済学」といった授業で教えた内容から、本書をまとめた。

2. 報告者: 山口 健介(東京大学公共政策大学院)

  • 担当編集者:倉園 哲(株式会社NHK出版)
  • 報告書籍:「ミャンマー『民主化』を問い直す ――ポピュリズムを越えて」
    (2022年5月、B6版、288ページ、1,650円)
  • 討論者:折山 光俊(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)

アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)によってようやくめどが立ちはじめていたミャンマーの民主化は、2021年、軍部のクーデターでリセットされてしまった。

では、ふたたびNLDが政権の座に戻ればそれでよいのか?本書は、それでは再度のクーデターを防げないとする立場から、軍部・民主派が共有する「ビルマ民族中心主義」の克服に向けて、経済的再分配を通じた新しいナショナリズムの形成に照準する。

当地の政治家と官僚の懐で開発政策を担った経験を踏まえ、イデオロギーに頼らない国民国家建設を提言する「希望」の書。

3. 報告者:吉田 鈴香(前千葉大学)

  • 担当編集者:福島 延好(フリーランス)
  • 報告書籍:「ミャンマー クーデターの謎ーカギは中国にありー」
    (三恵社、2022年3月、B6版、218ページ、2,035円)
  • 討論者: 石戸 光(千葉大学)

20年間ミャンマーが起きていることをと歴史を追いかけてきたが、ミャンマー国軍の強さと政策の不可解さをきちんと解説する研究所はなかった。既存の定説は整合性がなくミャンマーの歴史の全容を理解する壁ですらあった。

星雲状態だった疑問を5つの「謎」に絞り込み、定説の記述→非整合性の指摘→関連文献の記述→仮説→当事者にインタビューを繰り返しながら追求した。特に中国との関係から理解を進めた。

学術研究者・地域研究者に向けてその過程を書き著すことで、既存の研究書の誤解を解きたく思った。2020年から本書を執筆し始めた途中の2021年2月、クーデターが起きた。

ミャンマーの建国の歴史について定説を覆す謎の解明を終えていた故、クーデターの背景を理解することができた。国境画定未達成を前提に開発、内政、外交、国防を同時に進める平和構築に協力できるか、学術研究者に問いたい。

4. 報告者:山田 肖子(名古屋大学)

  • 担当編集者:下田 勝司(東信堂)
  • 報告書籍:「『持続可能性』の言説分析」(2023年6月、A5判、128ページ、1,980円)
  • 討論者:西川 芳昭(龍谷大学)

人々は「持続可能性」をどのようなものと認識し、その言葉を用いて何を議論し、それを社会制度や行為に反映させようとするのか。そして、そうした認識や行為は、人々の社会的立場や帰属する組織・集団、専門性によってどのように異なるのか。

本書では、持続可能な社会を思い描く際に、人々の思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いてときほぐそうとしている。

第1章で、持続可能性の概念史、さらにSDGsという国際目標が作られ、合意された過程について概観する。

第2章では、1990年代以降、「持続可能性」を主題とする学術論文が理系に傾倒していき、思想的、社会的、文化的な考察がほとんどなされていないことを示す。そのうえで、第3章は「教育」と「持続可能性」を検索語としてウェブからダウンロードした文書の定量テキスト分析、第4章では、「経済」「教育」「持続可能性」に関する新聞分析、第5章は、「持続可能性」への貢献を謳っている企業広告に対する消費者の反応についての質問票調査の結果を示している。

報告者:芦田 明美(名古屋大学)


[C2-02] ポスト資本主義時代における経済振興のあり方を考える―地域主義の観点より

Examining how best to advance economic promotion in the post-capitalist era: From a local community-based perspective

  • 12:30~14:30
  • 企画責任者:真崎 克彦(甲南大学)、藍澤 淑雄(拓殖大学)
  • 司会者:真崎 克彦 (甲南大学)
  • 討論者: 藍澤 淑雄(拓殖大学)、高須 直子(神田外語学院)
  • 聴講人数:約20名
  1. 地域主義の意義と可能性―ポスト資本主義時代における価値創造
    真崎 克彦(甲南大学)
  2. 加工業者・グループの発展とローカル経済の関わり―タンザニア・モロゴロ州における「混合粥の素」の生産
    加藤(山内)珠比(京都大学)
  3. 地域から掘り起こす新しい「豊かさ」―東日本大震災を経験した福島県二本松市の取り組みから
    斎藤 文彦(龍谷大学)

コメント・応答など

本企画セッションは、国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の成果に基づく。

最初の座長による趣旨説明では、地域主義(地域住民の一体感を基盤として地域の経済循環を推進)の今日的意義とそれを取り巻く課題について説明があった。その上で加藤会員と斎藤会員の報告について、質疑応答やディスカッションを行う形で進められた。

加藤報告では、在来食材に栄養価の高い食材を混ぜた粥の加工に従事する女性グループの事例として、女性どうしの加工技術や市場情報の相互共有を原動力としてコミュニティ経済を振興する可能性が例証された。

コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、加工業者・グループが在来粥を商品に発展せしめた過程や、経済効果に関わる数値データを明示することで、今後の研究でグループの地域の経済への貢献度をより明らかにすることへの期待が表明された。

また、コミュニティ経済の成功を地域在来の文化や価値がどのように後押ししたのか、成功の結果、どのような社会変化がもたらされたのかについての質問が出された。

加藤会員からは、タンザニア固有のウジャマ―の価値観がグループメンバー間の互助につながったのではないか、またグループ活動の結果、グループ内での助け合いが強まった、またグループ外では食の安全性に対する意識やそれを満たす標準品を作ろうと言う動きにつながったと回答があった。

斎藤報告では二本松市の事例を通して、三重運動の視点より「豊かさ」の鍵が主体の自律性、セーフティネット、平等や公平性の実現にあることが論じられた。そうした「豊かさ」と現状の乖離を解消していく上で、ケアの倫理を基盤としたポジティブサムの関係性が大切となる。

コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、二本松市の社会連帯経済の関係者に共有されている「価値あるもの」とはどういうものなのかについて、さらに明快な言語化を進めることへの期待が表明された。また、行政主導による「オーガニックビレッジ構想」が地域の「豊かさ」につながり難い理由と対処法について質問が出された。

この質問に対して、これまでのさまざまな取り組みの積み重ねが複雑に絡み合って影響している旨、回答された。同時に、例えば農家民宿を営む宿は増えつつあり、必ずしも先発組が利益を独占せずに後発組とも客を分け合い、地域全体として目に見える利益も見えない利益も分かち合おうとするポジティブサムの関係性が見られる、と説明された。

総括

2篇の事例報告を通して、人どうしの顔が見えやすい地域において、地元の風土に基づく一体感を活かした経済振興を進めれば、より「実質的な意味」(人間の生存・生活との関わり)に即した経済振興を進めることができることが明らかにされた。

同様の地域実践を広めていくことで、経済を「形式的な意味」(経済合理性や効率性の観点)でとらえがちな時勢を改めていく契機を手繰り寄せることができよう。

報告者:真崎克彦(甲南大学)/ 藍澤淑雄(拓殖大学)


[G3-01] Learning from Current Practices in Sustainable Society

  • [オンライン]  14:45~16:45
  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)
  1. “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.” 
    Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
  2. “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.” 
    Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
  3. “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
    Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
  4. “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”
    Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)

コメント・応答など

This session on “Learning from Current Practices in Sustainable Society” aimed to share practices and issues encountered when developing a sustainable society in Asia.

This session was organized by the research group on IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems) of JASID to reassure the direction of research on innovation and development.

Four presenters were invited to give their experiences in the fields.

First, Dr. Pei-Hsin Hsu from Taiwan Forestry Research Institute presented on “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar“ and shared the results in the research on preserved traditional local knowledge and resource management system in one of the indigenous communities in Taiwan, Kalibuan.

As a research method, a participatory seasonal calendar approach was employed to detect farming activities of traditional crops, beans, in the community.

She suggested the use of this calendar for educational purposes to prepare for the loss of cultivation of traditional crops.

Second, Dr. Rido THATH at Royal University of Phnom Penh, presented on “Sustainability of Community-Based Tourism in Cambodia” and talked about tourism, which is one of the main contributors to economic growth in Cambodia, and the prospect of community-based tourism as a driver of local economic growth.

Through his literature survey and analysis, promising tourism communities, environmental resources, and intrusive factors were identified.

Third, Dr. Maria Kristina G. Alinsunurin at the University of the Philippines, Los Baños, presented on “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-“, which is co-authored by Dr. Naoko Shinkai at Tsuda University.

She demonstrated the impact of COVID-19 in the tourism sector, remaining effects, and coping methods, based on the findings from key informant interviews in the tourism sector at selected ecotourism sites in Laguna province, along with the research framework.

The stakeholder analysis was applied and the strategies and innovation of MSEs in the tourism sector for resilience and sustainability were identified as well as policies to consolidate those activities.

Lastly, Dr. Bangkit A. Wiryawan at Diponegoro University presented on “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics”, on which Dr. Esther Sri Astuti at Diponegoro University is a co-author, and illustrated the findings from the research on the relationships among three variables, entrepreneurship, innovation, and SME development in the third year of the COVID-19 pandemic in Indonesia.

Regression analyses with sectoral and provincial dummies were made with the primary data on SMEs, collected recently in thirteen provinces in Indonesia.

The positive relationship between entrepreneurship and sales was found, whereas the relationship between innovation and sales was negative.

Comments for all four presentations were provided by Dr. Shirantha Heenkenda, Dean of the Faculty of Humanities and Social Sciences at the University of Sri Jayewardenepura.

The points addressed were the existing initiative of the indigenous community on traditional knowledge and local resource management, the strategy for ownership creation in community-based tourism, the mechanism to connect stakeholders in tourism, and the role of seed capital in entrepreneurship and SME development.

Most of the participants of this session joined from various parts of the world and the efforts to enable this session are very much appreciated.

I am also thankful to JASID and JASID Conference organizers, conference participants, for having established the online venue and provided support.

Naoko Shinkai at Tsuda University,
the Chair of the IDSSP, served as a facilitator.


その他の座長報告




第24回春季大会セッション報告(ラウンドテーブル)

ラウンドテーブル

[C2-01] 人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える

  • 12:30 ~ 14:30
  • 企画責任者:松岡 俊二(早稲田大学)
  • 司会:戸川 卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、辻 岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、島田 剛(明治大学)
  • 発表者:木全 洋一郎(JICA北海道帯広)、工藤 尚悟(国際教養大学)、中村 勝則(秋田県立大学)
  • 聴講人数:25名

コメント・応答など

ラウンドテーブル「人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える」は、(1)人口減少社会における地域社会の持続性という社会的課題の特性・特質は、トランス・サイエンス的課題や厄介な問題の研究を踏まえ、どのように考えたらよいのか、(2)人口減少社会へ対応した社会イノベーションへ向けた知識創造の社会的仕組みとはどのようなものか、(3)ミクロとマクロの制度変化(社会イノベーション)の動態的関係をどのように考えたらよいのか、という3つの問いを立てて議論を行なった。

戸川報告は人口減少社会における協働の地域づくりについて、岩手県紫波町の事例などを報告した。

島田報告は、原発立地の地域振興効果について、福島を事例に報告した。辻報告は、縮小社会における災害復興を、中越地震と東日本大震災を事例に報告した。

以上の報告を踏まえ、上記の3つの問いに関する議論を行い、問いの(2)や(3)については、さらに議論する必要を感じた。

報告者:松岡 俊二(早稲田大学)


[C3-01] メコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームをどう共創するか?

  • 14:45 ~ 16:45
  • 企画責任者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 司会:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 発表者:永田 謙二(国際協力機構)、大塚 高弘(国際協力機構)、松本 悟(法政大学)
  • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、濱崎 宏則(長崎大学)

コメント・応答など

本RTでは個別報告とコメントを踏まえて、主に以下のテーマについてパネルディスカッションを行った。

まず対話と協働における研究者の役割については、(1)人びとがどのように情報を得てどのように行動をしているか(適応)を研究する必要があり、その際にJust in time scienceの考え方が求められる(佐藤)、(2)異なるステークホルダー間で知識を翻訳する役割が重要(濱崎)であるとのコメントがなされた。

次に信頼醸成については、(1)継続してそこに居続ける(コミットし続ける)ことが重要であり、メコン・サイエンス・プラットフォームも小さく始めて継続していくといい(永田)、(2)日本のアクターはメコン地域では外部者として関わるわけであるが、もともとつながりのあるところに成果をもたらすとか、研究者間で信頼関係があるところで社会実装を試みるなどを考えていきたい(大塚・JICA)、(3)政府機関、NGOに関わらず、開発協力の現場ではドナー・支援者側の都合で様々な事業が行われることがよくあることから、自分たちが相談した時に現れるのであれば信頼が得られるのではないか、またプラットフォームを作るのであれば、作る側ができること、やるべきことにフォーカスを当てることが信頼醸成につながるのではないか(松本)などのレスポンスが登壇者からあった。

最後にプラットフォームの共創をめぐっては、(1)多くはピュアサイエンスに関心があるような研究者のそうしたインセンティブ構造にメスを入れる必要がある(佐藤)、(2)オール・ステークホルダーではなく、目的ごと、機能ごとのプラットフォームを作っていくのがいいのではないか(濱崎)、(3)現地のために、と考えないで、日本がどうするか、を第一に考えること、また個別のネットワークとのつながりを考えていく必要があるだろう(松本)、(4)組織単位ではなく個人単位で集まるほうがよい効果があらわれるのではないか(複数)、などの意見が登壇者から出された。

総括

今回のRTを踏まえてメコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームは、一つの大きなプラットフォームを作るのではなく、多様で小さなプラットフォームが重なりながら、相互に「バウンダリースパナー」のような役割を持つ複数の個人がつないでいくようなイメージで作るのがよいかもしれない。

「サイエンス・プラットフォーム」や「メコン・ダイアログ」もそうした多様なプラットフォームの一つとして、それぞれのアドバンテージや期待される役割を踏まえて位置付けていくことが求められていると考えられる。

報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)

[D1-01] 開発と文学:テキストに開かれる経験の可能性

  • 9:30 ~ 11:30
  • 企画責任者:汪 牧耘(東京大学)
  • 司会:大山 貴稔(九州工業大学)
  • 発表者:汪 牧耘(東京大学)、松本 悟(法政大学)、 崎濱 紗奈(東京大学)、渡邊 英理(大阪大学)
  • 討論者: キム キョンチェ(慶應義塾大学)、 木山 幸輔(筑波大学)、キム ソヤン(韓国西江大学)

コメント・応答など

本RTは、開発研究による狭義的な文学の一方的利用ではなく、より広い意味で「開発」と「文学」の関係性を問い直す議論を試みるものである。当日は、次のような3つの発表が行われた。

まず、松本氏は「開発研究者はどのように文学(フィクション)を読むのか——開発と文学(フィクション)の接点」というテーマで、文学作品を通して開発を学ぶ可能性に焦点を絞り発表を行なった。

開発研究者は、どのような文学を読んでおり、いかなる角度でそれらを教育に活かしているのか。松本氏は、大学生時代に南北問題を考える際に読んだ作品、自分が担当する授業で使った作品、NHK記者時代に自身が取材し作成した作品を踏まえながら、「フィクション」を作る・使うことの特徴を分析した。文学作品は論文と異なり、問い・調査方法・根拠・結論を明確にすることが強いられていない。

「ありえること」をより自由に提示できるため、考える材料を与えてくれる。一方で、こうした文学の道具化、すなわち開発関連の部分だけを切り取るという読み方の問題や、「フィクション」を具体的な行動・実践に繋げようとする際の限界も感じたという。

最後に松本氏は、「開発のための文学」、「開発に関する文学」、「開発を考える文学」という3つの分類を示し、本RTへの問題提起を示した。

崎濱氏の発表は、「文学者による開発とは何か——近代日本の「文学」実践と「新しき村」」というテーマで行われた。

日本の「近代文学」は、「文明開化」に伴う政治的・経済的変革や生産・生活様式の変容の中で誕生したものだといえる。

社会との一定の距離を取りつつも、社会が経験する様々な葛藤を記述する方法であった。近代が抱える諸矛盾をどのように克服するかという問いに端を発する実践として、文学者による共同体建設の試みが多く展開されてきた。

白樺派の文豪・武者小路実篤(1885-1976)による農村開発の実践・「新しき村」はその一つであり、規模や形態が変わりながらも1918年から今日まで存続している。

その批評性に対する疑念が指摘されながらも、「新しき村」が目指してきた個を尊重しながら自然や他者と共生するという理想像は、図らずも一時期の中国や沖縄にも影響を及ぼした。

「事実」と「真実」の間に揺さぶりながら批評精神を鍛えてきた文学は、社会に一石を投じる力を持ってきたことが伺える。

最後、著書『中上健次論』(インスクリプト、2022年)において「(再)開発文学」という方法を打ち出してきた渡邉氏は、「開発文学は可能か」を題名に、中上健次の生い立ちを振り返りながら、その文学作品から(再)開発を読み取る自らの試みと所感を述べた。

(再)開発とは、中心/周縁、都市/地方、北/南などの二元的な秩序に依拠する近代的「開発」と、越境的な資本が先導し、「中心/周縁・都市/地方・北/南」等の相互嵌入やグローバルな位相で投資的消費的に展開される現代的な「再開発」を同時に意味する。

中上は、和歌山県新宮市の被差別部落を背景としながら、「路地」という空間の開発をめぐって重層的な書き込みを行なった。

(再)開発という「コンテキスト」と文学という「テクスト」に批判的な視点を投げかけ、それを持続的に自己嫌悪・自己言及的に問い続けることは、「開発と文学」を論じる出発点だと考えられる。「開発と文学」は合わせ鏡のようになることで、両分野における「フィクション」をより広義的考察し、「現実」と「虚構」の互換性・可変性に注目する必要がある。

上記の発表終了後、ラウンドテーブルの司会者として大山氏が場を取り仕切り、金氏、木山氏とキム氏がそれぞれ朝鮮文学・植民地文学研究、ハンナ・アーレントの論述と文学地理学の蓄積から、多様な視点を共有した。

出版資本主義の産物や開発を推し進める道具でもあった文学が、なぜ国家・資本を批判する媒体となり、さらに人間性・人文の素養を担う使命を負うようになったのか。統計的含意への抵抗としての文学の可能性とは何か。

文学を生み出す「空間・時間」はどのような力学で地理的に展開してきたか。多岐にわたるコメントから、学問分野の蛸壺化によって見過ごされてきた「開発と文学」の関係性を回復させるヒントをいくつか得ることができた。

「開発と文学」の議論を2時間に抑えることは至難であった。RTが終了した後も、会場からは多くのコメント・質問が届いた。

例えば、「開発(development)と文学」があるなら、「発展(development)と文学」もあるか。地域における開発の「発達度」と文学の「発達度」の関係性をどう考えうるか。

開発には「正解」が求められているだけではなく、入試試験に見られるように、「正解がない」文学にも「正解」が求められる。「開発と文学」から、「正解がない」中で理解・実践を試み続けるヒントがないか。

RTのオーディエンスのほとんどは開発関連の専門家や研究者であるが、それぞれの文学への想いや文学的体験に関して、情熱を込めて語っている様子は印象深かった。

総括

本RTは、異なる分野の研究者同士が同題をめぐる問題意識を共有し、言葉やテキストという経験伝達の媒体が持つ可能性について議論を交わした場となった。

国際開発学会においても、「文学」というものを正面から取り扱おうとしたのは本RTが最初であり、分野間の対話に踏み出した第一歩として大きな意義を有していると考える。

報告者:汪牧耘(東京大学)

[E1-01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル「地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」

  • 9:30 ~ 11:30
  • 企画責任者:生方 史数(岡山大学)
  • 司会:生方 史数(岡山大学)
  • 発表者:生方 史数(岡山大学)、堀 美幸(JICA 九州)、二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
  • 討論者:木全 洋一郎(JICA)

コメント・応答など

本ラウンドテーブル(以下RT)は、日本の地域から国際開発アジェンダを問い直すために行った過去2回の地方展開委員会主催RTを継承発展させた企画である。

地方の地域社会で軽視されがちな在住外国人を「通域的な地域づくり」を担いうる主体と位置づけた上で、地方における「内なる国際化」の現状・課題・可能性について議論した。

生方報告では、本RTの趣旨説明に加え、地方大学の国際化と留学生受け入れの課題について議論した。

生き残り対策として国際化に取り組まざるを得ない地方大学の現状、留学生の生活面における外国人ネットワークへの依存、就職活動での地方の仕事とのミスマッチなどが報告され、日本社会への接続や多様な依存関係構築の必要性が指摘された。

堀報告では、大学や自治体での外国人支援の経験から、地方の国際化の現場で感じた違和感が吐露された。日本人を前提として情報網や制度ができているため、外国人のニーズとのギャップを埋める必要がある。

中間支援の重要性が指摘され、静岡大学のインターンシップ活動などの先進事例が紹介された。

二階堂報告では、地方における外国人技能実習生(以下実習生)の受け入れ体制について議論された。

技能実習制度には人権擁護の見地からの批判が多い一方で、実習生への依存がすすむ地方の現状や、実習生の主体性に関する論点は軽視されている。

このギャップを埋める先進事例として、自治体が受け入れを先導する岡山県美作市や、実習内容の技術移転がみられた香川県の農家の事例が紹介された。

今後も実習生から選ばれ続け、日本(人)と送出国がwin-winとなるために、企業、自治体、市民団体等が顔の見える関係をつくることで、送出国のニーズを把握しながら受け入れ体制を整備する必要性が指摘された。

これらの報告に対し、東北・北海道の実情に精通する討論者の木全氏から、1)外国人を日本の構造的問題を埋める存在として捉えることをどう考えるか、2)技能実習制度の理念と本音の違いをふまえた上で、地方の課題にどうアプローチすべきか、3)地方に寄り添う多文化共生のために何ができるか、というコメントが提出された。

報告者からは、企業、大学、自治体に受け入れニーズがそれぞれあるが、背景には都市と地方の格差構造があること、地方でも建前と本音とのギャップがあり、国際化や多文化共生へのモチベーションが低いこと、外国人は日本社会のセーフティネットをうつす鏡であり、外国人を含む全ての社会的弱者が包摂される社会が理想であること、外国人あっての地域という認識ができている地域もあり、地域産業の発展には外国人支援が必要だという発想を自治体ができるかが重要であるなどの反応があった。

フロアからは、コロナ禍の影響、地場産業の海外進出と外国人との関係、外国人に選ばれるための条件、包摂のための日常的交流の可能性、外国人が日本社会を理解することの困難さなどに関する質問があった。

総括

本学会では比較的新しいテーマだったようで、聴講人数も多く、フロアからも切れ目なく質問が続いた。

時間が足りず、終了後に報告者に質問が続出するほどの盛況となった。外国人の問題を鏡に自分たちの社会をどのようによくしていくのか、国際開発学を専攻する者が貢献できる可能性を再認識する会となった。

報告者:生方 史数(岡山大学)

[G2-01] SDGsを問い直す

  • [オンライン] 12:30 ~ 14:30
  • 企画責任者:野田 真里(茨城大学)
  • 司会:野田 真里(茨城大学)
  • 発表者:大門(佐藤)毅(早稲田大学)、関谷 雄一(東京大学)、大谷 順子(大阪大学)、 野田 真里(茨城大学)

コメント・応答など

本学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会では、通算5回の全国大会・春季大会のセッションを開催、その最後を締めくくるにふさわしい充実したセッションとなった。

発表者をはじめ、多くの学会員が執筆した『SDGsを問い直す―ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』(2023年5月刊行、法律文化社)の研究成果をベースに、新型コロナ危機を踏まえてSDGsを問い直す意義、新型コロナ危機が資本主義経済そして、「取り残される」脆弱な人々とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、SDGsの加速化にむけた人間の安全保障の再考、そしてSDGsとポスト/ウィズ・コロナへの展望について、多角的な議論がなされた。

特に2023年はSDGsの中間年にあたり、目標年である2030年そして、ポストSDGsにむけて、如何にSDGsを問い直し、人類共通の地球規模課題に取り組むか等について議論がなされた。

総括

本セッションおよびそのベースとなった『SDGsを問い直す』をさらに発展させ、英語による出版や発信等を目指すことが提案された。また、「持続可能な開発とSDGs」研究部会を嚆矢とする、本学会の2016年度からのSDGs研究を持続可能な形で深化させるため、後継となる新たなSDGsに研究部会を申請することが提案された。

報告者:野田真里(茨城大学)


その他の座長報告




第24回春季大会セッション報告(プレナリー、ポスター発表)

[PL] プレナリーセッション

[PL-01] 世代間のつながりとサステイナビリティ – 何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

登壇者1

工藤尚悟(国際教養大学国際教養学部グローバルスタディズ領域・准教授)

“Role of Intergenerational Ties in Sustainability: What to Sustain, What to Revise, and What to Pass Across Generations?”

登壇者2

Divine Fuh(Director of Institute of Humanities in Africa, Associate Professor at the Department of Anthropology, University of Cape Town)

“Making New Dances: Sustainability Thinking and the Opportunity for Decolonial Japanese Thought”

登壇者3

千葉加恵子(国際教養大学国際教養学部グローバルコネクティビティ領域・准教授)

“What Should We Sustain? Voices from Local Women”

登壇者4

丸山英樹(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科・教授)

“The Role of Non-formal Education in Enhancing Sustainability”

  • ファシリテーター:近江加奈子(国際基督教大学アーツ・サイエンス研究科博士課程)

セッションサマリー

1987年に持続可能な開発が提唱され、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして経過してきている。本セッションは、持続可能な開発概念の中心にある、世代間のつながり(intergenerational ties)に焦点を当て、開催地である秋田の風土、アフリカにおける脱植民地化の動きと日本文化、農村社会における女性の声、そしてノンフォーマル教育の枠組みにおけるサステイナビリティについて、各登壇者より報告があった。

はじめに工藤より、グローバルに語られる持続可能な開発概念において目標とされる項目がローカルの文脈で解釈されるとき、そもそも人と自然の関係性が個別の地域性に依拠しており、そのときに風土という自然感に注意を払う必要があるという問題提起をした。

その上で、先行世代から何を継承し、現行世代において何を見直し、将来世代に何を手渡していくべきなのかについて、専門や拠点とする場所の異なる3名の登壇者より報告をしてもらった。

ケープタウン大学のFuh准教授は、アフリカにおける脱植民地化の議論を日本の文脈に当てはめ、日本文化に固有な表現の中に見出しながら、サステイナビリティを批判的に検討する必要性を主張した。

特にある部族においてあらゆる種類のダンスの模倣が得意だった女性の話を紹介し、その部族において誰も彼女自身のダンスを見たものがいなかったという比喩を用いて、自らの文化に固有な言葉を用いることの重要性を挙げた。

千葉准教授は、秋田の民俗や女性の暮らしに焦点を当てた文化人類学的なフィールドワークを元に、国内地方の農山村において女性の声が如何に文化的に隠されたものとされてきたのかを示した。

伝統的な社会におけるジェンダーロールの再考を論じると同時に、先行世代から現行世代への民俗文化の継承の重要性と困難さを指摘した。

丸山教授は、教育におけるフォーマル・インフォーマル・ノンフォーマルの違いを明確にしつつ、それぞれのフォーマットの教育スタイルがどのようにサステイナビリティに貢献しうるのかについて論じた。そのなかでもノンフォーマル教育の視点からの考察を共有してもらった。

会場からは、異なる専門性を持つ研究者が協働するときに、どのように個々の持つ認識論の違いを乗り越えていくのかや、農村社会において隠された声(hidden voice)とされてしまいがちな女性の意見を拾い上げる仕組みをどのように構築しうるのか、国内大学院に固有な研究室文化における先輩と後輩の間における世代間のつながりについての指摘など、世代間とサステイナビリティに限らず、国内外の文脈を広く捉えた質問が出された。

今大会の開催地である秋田は、人口減少と高齢化が全国で最も早いペースで進んでおり、世代間のつながりを通じた資源や文化の継承が重要な課題となっており、こうしたテーマを、普段は途上国の現場を飛び回る研究者や実践者の方々と議論する機会を当地の秋田で持つことができた意味は大きい。

途上国においても出生率の低下と長寿化の傾向はすでに確認されており、人口減少と高齢化が将来的に国際協力や開発学においても重要なテーマとなると予測される。

こうした国内地方が抱える課題への解決策を見出す手続きのなかで、途上国とつながりながら論点を整理し、双方向に学び合いながら対応を模索していくような、新たな関係性の構築が示唆されるセッションとなった。

報告者:工藤尚悟(国際教養大学)


[P1] ポスター発表

    [P1-01] 国際協力における社会的インパクト評価のあり方検討〜財源基盤のない組織が評価を実践するために〜

    佐藤 夢乃(関西学院大学大学院)

    [P1-02] 自治体ネットワークによる持続的な能力向上と技術の普及をめざす開発協力のマネジメント~「タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケア普及プロジェクト」の事例整理~

    鈴木 知世(国際教養大学学部生、タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクトコーディネーター)、山口 佳小里(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官)、沖浦 文彦(東京都市大学都市生活学部教授)

    [P1-03] 怒りと情熱—世界銀行内部に残された知恵—

    玉村 優奈(東京大学)

    [P1-04] ショックを用いる貧困表象の道徳的・政治的悪性に関する一考察:貧困表象への留意のために

    木山幸輔(筑波大学)

    [P1-05] 「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想-愛知用水と愛知海道の関係性に着目して

    柴田 英知(歩く仲間)

    [P1-06] 開発途上国における課題解決能力向上に着目した教育支援に関する研究-ネパール公立学校の中学生を対象として-

    三笘 源(九州大学大学院)

    [P1-07] Exploring Teacher’ s Perception of Play-Based Learning in ECE: A Case Study of Bangladesh

    Kohei UNO(Graduate School of International Cooperation Studies)

    [P1-08] An Analysis of Home-based Discipline on Children’ s Foundational Learning Skills in Malawi

    Chang SUN(Kobe Univ.)

    [P1-09] An Analysis of the Effect of a School Violence on Learning Achievement in Primary Education in Colombia

    Rika SUGIURA(Kobe University)

    [P1-10] An Analysis of Community Participation and Learning Achievement: A Case of Kenyan Primary Education

    Yuka FURUTANI(Kobe University)

    [P1-11] Analysis of Household Educational Expenditure under Free Pre-primary Education Policy in Kenya

    Ayumu YAGI(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)

    [P1-12] Analysis of Short-term and Mid-term Association between Early Childhood Education and Academic Achievement in Uganda

    Kaori Uchiyama(Kobe University)

    [P1-13] Influence of School Autonomy on Learning Achievement in Senegal: Multilevel Analyses Using PASEC Surveys

    Yudai ISHII(Kobe University)

    [P1-14] タンザニアの学童の野生食物・食品群摂取と健康―中部・南東部内陸/海岸沿い3村の事例から

    阪本 公美子(宇都宮大学国際学部)、人見 俊輝(宇都宮大学国際学部)

    [P1-15] 里地里山の多面的な評価基準に関する一考察~中山間地で実践される維持・管理の取り組み事例を通じて~

    根岸 宏旭、徳永 達己(拓殖大学)

    [P1-16] 東アジアにおける環境大気モニタリングネットワークの比較評価

    竹内 友規、藤江 幸一、迫田 章義(放送大学)

    [P1-17] ベトナム北部・中部・南部の持続可能なライフスタイルに関する定性調査

    吉田 綾(国立研究開発法人国立環境研究所)


    その他の座長報告




    第34回全国大会のお知らせ

    今年の全国大会は、11月11日(土曜)・12日(日曜)に上智大学四ツ谷キャンパスで開催します。

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    1.テーマ

    大会のテーマは「複合的危機下における連帯と共創」です。

    近年、グローバル化に伴う格差の拡大と権威主義、暴力的過激主義の台頭や民主主義の後退とそれに伴う市民社会スペースの縮小、新型コロナ感染症の蔓延、ロシアによる軍事侵攻と世界規模の食糧危機、政治的危機下にある社会での自然災害など、未曽有の困難が次々と訪れています。

    これらは複合的に絡み合い、状況を悪化させ、脆弱な立場の人々をさらに困難な状況に追い込んでいます。

    開発協力と人道支援の連携が一層求められる中、国際開発協力は、この複合的危機にいかに対処していけば良いのでしょうか。

    今大会では、複合的危機下において、多様なアクターがいかに「連帯」し、共通課題に取り組むために新たな価値を「共創」できるのかを議論します。

    異なる立場のアクターが、利害を超えて、どのように共通認識を作っていけばよいのでしょうか。

    Business as usual(これまでのやり方を踏襲)を越える挑戦に向けて、皆様の活発な議論を楽しみにしております。

    2. 開催形態

    今大会は、対面を基本とします。

    ただし、パラレルセッションのうち、1つはオンラインで終日実施し、プレナリーセッションは、対面と同時配信のハイフレックス対応を予定しています。

    3.会員の交流について

    大会初日(11日)には、懇親会を予定しています。久しぶりの会ですので、奮ってご参加ください。

    狭いキャンパスではありますが、以下の体制で皆様をお迎えできるよう準備をしております。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。

    大会実行委員長
    小松太郎(上智大学)


    第34回全国大会・概要

    • 日程:2023年11月11日(土曜)・12日(日曜)
    • ・会場:上智大学四ツ谷キャンパス
    • ・テーマ:「複合的危機下における連帯と共創」

    大会実行委員会

    (委員の並び順は50音順)

    大会実行委員長

    小松 太郎(上智大学)

    事務局長(全体調整)

    田中 雅子 (上智大学)

    委員(オンライン)

    阿部 直也 (東京工業大学)

    委員(会場運営)

    • 岩崎 えり奈(上智大学)
    • 梅宮 直樹(上智大学)

    委員(会計)

    岡本 菜穂子(上智大学)

    委員(プログラム)

    荻巣 崇世 (上智大学)

    委員(会場運営)

    金澤 真実 (上智大学)

    委員(大会サイト)

    倉田 正充 (上智大学)

    委員(広報)

    • 杉浦 未希子(上智大学)
    • 山崎 瑛莉(上智大学)

    委員(プレナリー)

    • 戸田 美佳子(上智大学)
    • 林 明仁(上智大学)

    委員補助

    • Taymour Bouran (上智大学大学院生)
    • Van Nguyen (上智大学大学院生)

    第34回全国大会・実行委員会
    実行委員長:小松太郎(上智大学)

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    大会組織委員会からのお知らせ(2023年8月)

    大会組織委員会からのお知らせ(2023年8月)

    2023年6月10日に秋田県の国際教養大学(工藤尚悟実行委員長)で開催された第24回春季大会が成功裏に終了した。

    地元に根付きながらグローバルに展開している開催校の実績に基づくプレナリーセッションやエクスカーションに基づく魅力的なプログラムが提供された。

    また、実行委員会も、高知や東京など、秋田以外に拠点を置く地方展開委員会のメンバーが中心的役割を担うなど、通信技術を駆使したコロナ後の新しい大会運営のモデルを示した大会でもあった。

    2023年の第34回全国大会は上智大学(小松太郎実行委員長)にて11月11、12日に開催予定である。

    アクセスのいい都心での開催となるので、多くの会員が対面で交流する機会となれば幸いである。

    また、大会登録・運営のためのオンラインシステム「Confit」を導入してから3回目の大会となり、実行委員会の業務効率化とともに、会員にとっても使い勝手のいいシステムとして定着するよう、大会組織委員会としても継続支援をしていくつもりである。

    大会組織委員会
    委員長・山田肖子(名古屋大学)