2023年度「国際開発学会賞」選考結果と受賞者からのことば

池田真也会員、杉江あい会員の2著書に、2023年度学会賞を授与

第34回全国大会(上智大学:2023年11月11・12日)において、池田真也会員の著書『商人が絆す市場―インドネシアの流通革命に交わる伝統的な農産物流通』(京都大学学術出版会)と、杉江あい会員の著書『カースト再考―バングラデシュのヒンドゥーとムスリム』(名古屋大学出版会)に奨励賞を授与しました。

今年度も本事業にたくさんの応募がありました。 その中で惜しくも受賞に至らなかったものの最終選考に残った作品としては、湖中真哉会員の編書Reconsidering Resilience in African Pastoralism (Trans Pacific Press, 2022)、 一柳智子会員の著書『社会的企業の挫折―途上国開発と持続的エンパワーメント―』(名古屋大学出版会2023)、杉田映理会員・新本万里子会員の編書『月経の人類学―女子生徒の「生理」と開発支援』(世界思想社2022)の3つがありました。

応募くださった皆様、誠にありがとうございます。選考委員一同、応募作から多くのことを学ばせていただきました。学会賞の趣旨は、会員の研究を励ますことにあります。会員の皆様には、ご自身の研究を、さらに磨き高めていくための機会として、ご活用いただけましたら幸いです。

賞選考委員会
委員長:三重野文晴(京都大学)


選評


奨励賞:池田真也

『商人が絆す市場―インドネシアの流通革命に交わる伝統的な農産物流通』(京都大学学術出版会 2022)

本作品は、インドネシアにおける農産物の生産・流通市場についての多角的な分析によって、農産物流通の変容と、そこにおける伝統的な取引慣行がどのように変容し、その機能をどのように変えてきたのかを考察するものである。

現地調査と個票データ分析という実証分析によって、スーパーマーケットを代表とした近代的な農産物流通システムの導入がインドネシア(ジャワ)の伝統的な農産物流通システムを完全に代替するのではなく、そうした環境変化の下で伝統的な流通システムの方も進化し、場合によっては近代的なシステムを補完っているという実態を明らかにしている。

本作品は課題設定が先行研究の中によく位置付けられている。ギアツに代表される人類学・農村研究的なインドネシア農村の伝統構造についての問題提起を踏まえ、それを実証的な農業経済研究によって解明するという研究スタンスは、多くの研究者が関心を持ちながらも容易には実現できずにきたものであり、その意味で大きな貢献をなしている。

各章のテーマと分析アプローチの統一性・統合性や、一部の分析において設問と分析結果・解釈の間の一貫性に不明確さが残るといった課題が残るにせよ、国際開発研究として新しい知見を提出していることは間違いない。長期にわたる現地調査を踏まえて完成された本書をもとに、著者が今後一層の活躍によって本学会に貢献してくれる期待をこめて奨励賞に選出された。(三重野文晴)

奨励賞:杉江あい

『カースト再考―バングラデシュのヒンドゥーとムスリム』(名古屋大学出版会 2023)

本書は、カーストを属性的に捉える還元主義を批判的に捉える立場から、バングラデッシュにおけるヒンドゥーとムスリムの関係性というテーマについて、農村の調査を通じて住民の交流や関係性の現状を明らかにしようとしている。

インド・南アジアのカースト制度に関わる膨大な既存研究を整理した上で、バングラデシュ人の家族をもつ著者のポジショナリティをうまく利用しながら、複数の村の全数調査という丹念なフィールド調査をおこなっている。

綿密で精度の高いデータから、複数の宗教的背景をもつ人びとが空間を共有する中で、人々は必ずしもカーストに規定された捉えられ方をしておらず、多様な相互行為が行われている実態を析出する。それによって、植民地主義的、還元主義的な見方を乗り越えようとする、良質の地域研究の成果である。

提示するデータの完成度に改善の余地があること、社会空間の変動と動態に目を向けるアプローチがポストモダニズム的解釈の視点を克服するという結論が若干不明確なことなど、いくつかの課題が残ってはいるが、本書が南アジア社会の研究において一石を投じるものであることは間違いなく、国際開発研究とその周辺分野への貢献は大変大きい。今後の一層の活躍への期待もこめて、奨励賞に選出された。(三重野文晴)


学会賞(奨励賞)受賞の言葉


奨励賞・池田真也

『商人が絆す市場―インドネシアの流通革命に交わる伝統的な農産物流通』(京都大学学術出版会 2022)

このたびは、国際開発学会奨励賞を頂戴し、誠に光栄に思います。選考委員の先生方、これまでご指導いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。また、出版にあたりご尽力いただいた京都大学学術出版会の方々にも改めて御礼申し上げます。

この本では、インドネシア・ジャワ島の伝統的な野菜流通に着目してその発展経路を明らかにしようとしました。具体的には、新興国のインドネシアでは伝統的な流通が今後も残り続けるのか、それとも2000年代以降に台頭したスーパーマーケットが形成する近代的な流通に代替されるのかという問題です。2008年1月に初めてインドネシアを訪問して以来、生産地から消費地までの各地の商人を追って得た結果をまとめました。

その回答を簡潔にまとめれば、伝統的な流通はスーパーの台頭に適応して残り続けるとしました。具体例を1つ挙げると、スーパーが農作物を集荷する段階で、自ら集荷するのではなく地場商人に委託することが多いです。農家を監視・モニタリングする費用が高いので、それを地場商人が担っており、伝統的な流通と近代的な流通が補完的に機能していると言えます。

国際開発への直接的な貢献という点でこの本には不十分な点もあります。そうした反省もあって、ここ数年ほど野菜流通に関する技術協力プロジェクトに関わっています。開発の現場では、伝統的な流通の商人は農家を買い叩き搾取していると認識されることもあり、伝統的な流通を近代的な流通に代替させるための戦略が注目されがちです。

この本から言えることは、伝統的な流通を所与としたうえでの近代化戦略が必要ということになります。では具体的にどうすればいいのかという点を今開発の現場を視野に入れつつ考えています。

今回の受賞を励みとして、研究をさらに発展させていきたいと思います。今後とも皆様からのご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。このたびは、誠にありがとうございました。


奨励賞・杉江あい

『カースト再考―バングラデシュのヒンドゥーとムスリム』(名古屋大学出版会 2023)

このたびは国際開発学会奨励賞という栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。

賞をいただきました拙著は、調査に協力してくださったフィールドの方がた、指導してくださった先生方、度重なる改稿に根気強くお付き合いくださった出版社の方がた、そしていつも見守り、支えてくれる家族なしには出版できませんでした。

このたびの賞は、私だけでなく、本書に関わるこれらのすべての方がたにいただいたものと思っております。改めて心から感謝いたします。

拙著はフランスの社会地理学者であるアンリ・ルフェーヴルの理論的枠組みに拠っており、一見すると理屈っぽく見えるかもしれませんが、フィールドの現状をいかに理解できるのかを追究する中で生まれたものです。

私のもともとの関心は地域社会の実態から開発援助を捉え直すことにあります。拙著のもととなったバングラデシュ農村でのフィールドワークも、はじめはこの開発援助に対する関心から、はじめたものでした。

しかし、私がフィールドで目の当たりにしたのは、一部の集落の人びとだけが、近年の目覚ましい経済発展や社会開発から取り残され、多くの人が物乞いをして暮らし、近隣の村の人びとから差別されている状態でした。もともとの開発援助に対する関心にもとづく研究をする前に、まずはこのような状況がどのように生みだされたのかを明らかにしなければ、と思いました。

そして、この疑問に答えるには、従来の研究で使われてきたカーストという概念や、「ヒンドゥー社会」「ムスリム社会」という枠組みを再検討する必要がありました。未熟な私がそのような大仕事をするのはとても勇気がいることで、拙著は処刑台に乗せるような気持ちで出版したものです。それがこのような形で評価されたことは、望外の喜びです。

私の研究はまだまだ途上の段階にありますが、このたびの受賞を励みに、いっそう研鑽を積んでまいりたいと思います。ありがとうございました。




第34回全国大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

第34回全国大会において、八郷真理愛会員に優秀ポスター発表賞を、佐藤美奈子会員と井川摩耶会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

第34回全国大会において、八郷真理愛会員(報告タイトル:発達障害のつくられ方-個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ-)に優秀ポスター発表賞、佐藤美奈子会員(報告タイトル:僧院が担う新たな社会的包摂機能-ブータン王国における仏教とウェルビーイング-)と、井川摩耶会員(報告タイトル:太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性-援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目して-)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

優秀ポスター発表賞

八郷真理愛 会員

『発達障害のつくられ方-個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ-』

優秀ポスター発表 奨励賞

佐藤美奈子 会員

『僧院が担う新たな社会的包摂機能-ブータン王国における仏教とウェルビーイング-』

井川摩耶 会員

『太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性-援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目して-』

今大会のポスターセッションでは、22件の意欲的な研究報告がありました。

大会の対面開催再開以降、報告者数は顕著に増加しています(2023年度春大会:17件、2022年度全国大会:9件)。報告内容は教育開発分野を中心に、幅広い分野からの発表で構成されました。

若手研究者に留まらず、大学教員、社会人会員の報告も多く、引き続きポスターセッションの裾野の広がりが感じられます。3人の受賞者は賞選考委員会による審査の結果、主題の独創性などが評価され、選出されました。

ポスター発表セッションの参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。

賞選考委員会
委員長 三重野文晴(京都大学)




【会員限定】理事会議事録(第122・123回)

第122回理事会

  • 日時:2023年11月4日(土曜)14時~16時
  • 方法:対面及びZoom併用
  • 場所:名古屋大学
  • 出席者(敬称略):佐藤(第11期会長)、山田(第11期副会長、第12期会長候補)、高田(第11期副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、志賀、島田、杉田、三重野(第11期常任理事)、工藤、木全、小國、小山田、狩野、関谷、星野(以上、第12期常任理事候補)、尾和、島津(以上、第12期事務局次長候補)、池見、石田、伊東、大橋、岡部、小川、片柳、萱島、樹神、工藤、坂上、佐藤(峰)、澤田、澤村、関谷、高橋、鍋島、西川、西野、初鹿野、藤掛、藤山、山形、渡邉(以上、第12期理事候補)
  • 欠席者(敬称略):市橋、岡島、勝間、黒田、澤田、仲佐、藤倉(以上、第12期理事候補)、松本(第11期常任理事、第12期副会長候補)、道中、峯(以上、第12期理事候補)

議事

特段の記載がない場合、報告者は第11期の各委員会とする。

(1)報告事項

第34回全国大会(@上智大学)の準備状況について(大会組織委員会)
山田大会組織委員長より、第34回全国大会の準備状況について報告がなされた。

(1)審議事項

1. 2023年度決算および監査役報告(本部事務局・総務委員会)
池上総務委員長より、2023年度決算および監査報告結果について説明がなされた。石田監査役、西野監査役より、適切に会計が行われている点が評価に値するとのコメントがなされた。

2. 2023年度活動報告(各委員会)
各委員長より、2023年度の活動報告がなされた。

3. 2024年度予算案・活動計画案(第12期本部事務局・総務委員会)
第12期星野事務局長と各委員長より、2024年度の予算案と活動計画案の説明がなされ、委員会・支部・部会の設置及び予算案とともに承認された。

4. 2023年度学会賞の選出(賞選考委員会)
三重野賞選考委員長より、書籍について12件の応募があり、選考の結果、池田真也会員、杉江あい会員が奨励賞を受賞、論文については該当なしとなった旨、報告があった。

5. 韓国国際開発学会冬季大会への会員派遣(グローバル連携委員会)
北村グローバル連携委員長より、学会賞受賞者と近藤久洋会員を2023年12月に開催予定の韓国国際開発学会冬季大会へ派遣する予定である旨、説明があった。

6. 会員向け情報発信方法の整理(広報委員会)
高田広報委員長より会員向け情報発信の方法を整理していく必要性について説明があった。

7. 大橋正明会員の名誉会員への推挙(本部事務局)
佐藤会長より、大橋正明会員の名誉会員への推挙がなされ、承認された。

8. 第33回会員総会議事(本部事務局、総務委員会)
志賀事務局長より第33回会員総会議事案について説明があり、承認された。

9. 定款改正(本部事務局)、定款細則改正(第12期本部事務局、総務委員会)
志賀事務局長より、定款と定款細則の改正について説明があり、承認された。

10. 会費支払い方法の変更(バンクチェック廃止)(本部事務局)
池上総務委員長より会費支払い方法の変更について説明があり、承認された。

(その他)

11.今後の予定について
今後の会合予定について確認がなされた。


第123回理事会

    • 日時:2023年11月11日(日曜)11時45分~12時45分
    • 会場: 上智大学 紀尾井坂ビルB104教室
    • 出席者(敬称略):佐藤(第11期会長)、山田、高田(以上第11期副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、第11期常任理事)、池見、市橋、伊東、大橋、岡部、岡島、小川、小國、萱島、黒田、佐藤(寛)、澤村、高橋、藤掛、道中、山形(以上、第11期理事)、石田、西野(以上、第11期監査役)渡邉(京滋支部長)、志賀(第11期事務局長)、秋保(第11期事務局次長)
      小山田、狩野、木全、工藤、関谷(以上、第12期常任理事候補)、坂上、初鹿野(以上、第12期理事候補)、佐藤峰(第12期監査役候補)、星野(第12期事務局長候補)、尾和、島津(以上、第12期事務局次長)
    • 欠席者(敬称略):勝間、仲佐、鍋島、西川、藤倉、藤山(以上、第11期理事)、澤田(第12期常任理事候補)、樹神(第12期理事候補)

    *第11期役員で第12期も役員に就任予定の場合、第11期欄に名前を記載

    議事次第

    第34回全国大会実行委員長からのご挨拶(上智大学・小松太郎先生)
    小松・第34回全国大会実行委員長より挨拶があり、開催中の大会には学会員400名程度が参加しているとの報告がなされた。

    (1)審議事項

    1. 定款細則の改正について(第11期 本部事務局)
    志賀本部事務局長より、定款細則の変更に関する提案がなされ、承認された。

    2. 2024年度予算案について(第11期 総務委員会)
    池上総務委員長より、2024年度予算案について説明がなされ、承認された。支部・研究部会の活動費については、各支部・部会あたりの支給額の上限を20万円に設定することとなった。

    3. 理事会におけるオブザーバー参加について(第11期 本部事務局)
    理事以外の支部長(市橋先生、渡邉先生、梅村先生)を理事会オブザーバーとして認める提案がなされ、承認された。

     

    佐藤仁第11期会長からの挨拶

    佐藤第11期会長より退任挨拶があり、第11期のスローガンであるvisible, inclusive, entertainingはほぼ実現できたと考えているとの見解が披歴された。

    さらに、ホームページのアップデートや科研費を獲得したうえで英文学会誌を刊行できたことなどの具体的な成果についても言及がなされた。

     山田肖子・第12期会長候補からの挨拶

    山田・第12期会長候補より、第12期体制では「①国際開発学の再定義、②多様性からのシナジー、③わくわくの創造」をスローガンとして活動を行っていく旨の意向が表明された。

    その他(連絡事項など)

    第11期・第12期の役員紹介
    第11期佐藤会長、第12期山田会長より役員及び役員候補者の紹介がなされた。




    【会員限定】総会議事録(第34回)

    • 日時:2023 年 11 月 11 日(土曜)16:40~18:55
    • 場所:上智大学四谷キャンパス 2号館 17 階

    1.挨拶

    佐藤仁・第 11 期国際開発学会長及び小松太郎・第 34 回全国大会実行委員長による挨拶がなされた。

    2.議長選出

    島田剛会員が議長として選出された。


    3.議題

    報告事項

    (1) 会員数の動向および会員総会定足数充足の確認について

    志賀・事務局長より、現在の会員総数1,589名で、本日の参加者(319名)と委任状数(116名)の合計が定足数(159名)に達するため、定款第14条第5項に遵い、総会が成立することが報告された。

    (2)2024 年度支部・研究部会の設置について(資料1)

    志賀・事務局長より、2024年度支部・研究部会として一覧表が報告され、併せて、(一覧表上では空白となっていた)ジェンダーと開発部会については甲斐田きよみ会員が代表となることが報告された。

    (3) 学会賞・優秀ポスター発表賞について

    三重野・賞選考委員長より、22件のポスター発表から、選出された八郷真理愛会員(優秀ポスター発表賞)、佐藤美奈子会員(ポスター発表奨励賞)、井川摩耶(ポスター発表奨励賞)の3名の会員が選出された旨の報告がなされた。また、学会賞については、12件の応募の中から、池田真也会員および杉江あい会員の著書が奨励賞として選出された旨が報告された。


    審議事項

    (4)2023 年度活動報告,決算および監査役報告について(資料2、3)

    各委員会委員長より2023年度の活動報告、池上・総務委員長より2023年度の決算報告、北村・グローバル連携委員長より科研費を活用した活動に関する報告、西野・監査役より監査役報告がなされ、いずれも承認された。

    (5)第 12 期理事について(資料4)

    志賀・事務局長より12期理事候補について説明がなされ、承認された。

    (6)第 12 期会長,副会長,常任理事の選出および監査役の選任について(資料5)

    志賀・事務局長より、会長候補、副会長候補、常任理事候補、監査役候補について説明がなされ、承認された。

    (7)定款の改正について(資料6)

    志賀・事務局長より、定款の改正案について説明がなされ、承認された。

    (7)総括

    第 11 期会長による総括がなされた。

    (8)学会賞および優秀ポスター発表賞 授賞式

    三重野・賞選考委員長より、対象者に対して授賞式が行われた。

    第 11 期・第 12 期 役員交代

    第 12 期新会長挨拶および新役員紹介

    山田会長より挨拶がなされ、12期国際開発学会のテーマとして「国際開発学の再定義」、「多様性からのシナジー」、「ワクワクの創造」が報告された。


    審議事項

    (9)事務局長の選出および次期本部事務局について(資料7)

    山田会長より、星野・事務局長の選出および次期本部事務局について説明がなされ、承認された。

    (10)各委員会の構成および幹事の委嘱について(資料8)

    各委員会委員長より、委員会の構成および幹事の委嘱について説明がなされ、承認された。

    (11)2024 年度活動計画案,予算案について(資料9,10)

    関谷・総務委員長より、2024年度活動計画案および予算案について説明がなされ、承認された。


    報告事項

    (12)定款細則の改正について(資料11)

    星野事務局長より定款細則の改正について報告がなされた。

    (13)2024年春季大会の開催について

    坂本会員(次期春季大会実行委員長)より、2024年春季大会を2024年6月15日に宇都宮大学で実施することが報告された。


    本部事務局
    星野晶成(名古屋大学)




    新刊案内『インパクト評価–社会的インパクト評価のために 』

    国際協力の世界でも話題のインパクト評価に関する新しい本が出版されました。

    インパクト評価事例集(IDCJのサイトでご提供)に、あらたに「最終章:インパクト評価の起源・現在地点・そしてこれから」を書き下ろして追加しました。R.A.フィッシャーからはじまって、ノーベル経済学賞受賞者のアビジット・バナジーまで、そしてさらに近年の「再現性の問題」を含む最新の話題までを網羅した解説になります。

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    本書の解説

    『インパクト評価 社会的インパクト評価のために』

    • 著者:佐々木亮
    • 発行年:2023
    • 出版:RIO Institute/.

    ESG投資、社会的インパクト投資、インパクト投資、SDGsなどの関連で注目を浴びる社会的インパクト評価。本書はインパクト評価とその応用とも言える社会的インパクト評価について解説します。

    本書は以下の構成になっています。最初から読み進めることを想定していますが、必要な部分から読んでも差し支えないように配慮されています。

    それぞれの事例や学術的な議論には出所である参考文献リストをすべて掲載しています。

    それらの参考文献はすべて英語ですが、興味のある読者は直接入手して参照することが勧められます。

    I.基本的な概念の解説(インパクト評価の5つの基本デザイン、インパクトの定義など)

    II.5つの基本デザインの考え方と実例の解説
    1. 事前・事後比較デザイン (Before-After)
    2. 時系列デザイン (Interrupted Time-Series)
    3. 一般指標デザイン (Generic Control)
    4. マッチングデザイン (Matched control)
    5. 実験デザイン(RCT)(Randomized controlled trial)

    III.インパクト評価に関連する学術的な議論の紹介

    IV.最終章:インパクト評価の起源・現在地点・そしてこれから

    <著者紹介>

    佐々木亮(博士)/Ryo SASAKI, Ph.D.

    ウェスタンミシガン大学博士(評価学) ニューヨーク大学修士(公共・非営利組織のマネジメントと政策)マラウィ(井戸給水)、ミャンマー(初等教育)、ヨルダン(給水施設整備)、パレスチナ(初等教育)などの社会的インパクト評価やインパクト評価の経験が豊富。

    日本評価学会 奨励賞(2007) 日本評価学会 功績賞(2023)

    学術的な書籍としてページ数も明記して引用するために、通常の本(印刷製本した
    定価のある物理的な本)として手元に置きたいというニーズに対応した次第です。

    ご興味のある方はぜひお手に取っていただければと存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発センター(IDCJ) 評価部
    主任研究員 佐々木亮

    • [at](* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-6718-5932、
    • FAX番号:03-6718-0910.
    • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-11 芝浦クリスタル品川12階.



    開催中「法政大学・第24回環境展」11月24日まで

    法政大学「第24回環境展 ~この秋、「かけがえのない地球」の未来を想いながら、えこぴょんの涙をとめるために一人一人の声を届けます~」を開催します。

    我々が暮らす「かけがえのない地球」においては、我々人類の他にも様々な生物が生息しており、相互に影響を与え合いながら暮らしています。

    とりわけ、地球温暖化は、森林を含む陸域、淡水及び海洋にすむ多くの生物の生息域や季節的活動、移動パターン、生息数及び生物種間の相互作用を変移させていると言われています。

    2023年11月、「第24回環境展」は、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届けることで、一人一人が地球環境問題に取り組むきっかけとなればと願い、約四年ぶりに本学市ケ谷キャンパス・外濠校舎一階「メディアラウンジ」を主会場として対面方式にて開催します。

    法政大学は、地球環境問題の解決に向けた決意表明・宣言として、1999年に「環境憲章」を制定し、一部の校舎でISO14001の審査登録を行ったことを起点に、2017年度には本学独自の「法政大学環境マネジメントシステム」を全学的に構築し、学生の参画の拡大を目指しながら、環境教育・研究、環境保全活動を展開しております。

    「第24回環境展」においては、次世代のクリーンなエネルギーの実現に向けて、「International Space Solar Power Student Project Competition 2022」において準優勝した太陽発電衛星に関する研究や「無機マテリアル学会第145回学術講演会で無機マテリアル学会講演奨励賞」及び「化学情報協会JAICI賞」を受賞した量子ドットに関する研究、「分離技術会年会」において企業奨励賞を受賞した太陽光パネルの製造過程で発生するシリコンスラッジ中のシリコン微粒子回収への応用等を目指した研究から持続可能な農業をテーマにした徳島県と栃木県を対象にした藍産業の衰退と藍農家の取り組みに関する研究等が出展予定です。

    また、本学学生・教職員に加えて、気象庁気象研究所、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、公益財団法人 東京都環境公社、千代田区、一般財団法人公園財団 新宿中央公園管理事務所、新宿区立環境学習情報センター(エコギャラリー新宿)、法政大学生活協同組合にご協力いただき、環境・サステイナビリティ教育研究、環境保全に関連した取り組みをご紹介します。

    2022年12月、COP15は、新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を採択し、2050年までに「生態系の健全性、廉潔性、レジリエンスの維持・強化・回復」等を目指しています。2023年3月、日本政府は「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた「生物多様性国家戦略 2023-2030」を閣議決定し、陸域と海域の30%以上を保全する「30by30目標」や侵略的外来種の侵入率や定着率の半減を始めとした行動目標を掲げています。

    この秋、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届け、来訪者の皆様におかれましても、一つ一つの「行動」と「自然」とのつながりを意識するきっかけとなればと願います。

    開催概要

    • 開催期間:2023年11月15日(水曜)~24日(金曜)
    • 会場:法政大学市ケ谷キャンパス外濠校舎一階「メディアラウンジ」他(特別企画(その1からその5)は各々の会場において開催)
      *会場への交通:【JR線】、【地下鉄線】市ケ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分(市ケ谷キャンパスの地図)
    • URL:

    会場において地球環境問題、SDGs(持続可能な開発目標)を始めとする社会・経済問題の解決に向けた取組の成果を発表します。

    特別企画(その1):

    【第24回環境展特別企画】国立環境研究所協力講座「FUKUSHIMA -THE IMMENSE WORLD OF LIFE-」参加者大募集

    • 2023年11月15日(水曜)15:00~16:00)

    特別企画(その2):

    【第24回環境展特別企画】気象庁気象研究所協力講座「地球温暖化シミュレーション -かけがえのない地球の未来を想像する―」参加者大募集

    • 2023年11月22日(水曜)15:00~16:00)

    本件にかんするお問い合わせ先

    法政大学環境センター(榎本)

    • ickankyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-3264-5681



    第24回春季大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

    第24回春季大会において、柴田英知会員に優秀ポスター発表賞を、玉村優奈会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

    第24回春季大会において、柴田英知会員(報告タイトル:「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー)に優秀ポスター発表賞、玉村優奈会員(報告タイトル:怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

    優秀ポスター発表賞

    『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

    柴田英知会員

    優秀ポスター発表・奨励賞

    『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

    玉村優奈会員

    2023年度春季大会のポスターセッションでは、17件の意欲的な研究報告がありました。

    報告内容は教育開発分野を中心に認知論、コミュニティーケア、インフラ開発、生態・環境や生活観察など多岐にわたり、また、報告者も半数強の大学院生に加えて、大学教員、社会人会員からの参加も多数あり、ポスターセッションの裾野が広がりつつあることが感じられました。

    2人の受賞者は賞選考委員会による審査の結果、主題の独創性や堅実な資料調査手法などが評価され、選出されました。

    ポスター発表セッションの参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。 

    賞選考委員会
    委員長:三重野文晴(京都大学)




    候補者募集「第17回・スミセイ女性研究者奨励賞」(~9月8日まで)

    第17回 未来を強くする子育てプロジェクト:女性研究者への支援

    募集要項

    • 主催:住友生命保険相互会社
    • 後援:文部科学省/子ども家庭庁

    1.趣旨

    育児のため研究の継続が困難となっている女性研究者および、育児を行いながら研究を続けている女性研究者が、研究環境や生活環境を維持・継続するための助成金を支給します。人文・社会科学分野における萌芽的な研究の発展に期待する助成です。

    2.対象

    現在、育児のため研究の継続が困難な女性研究者および、子育てをしながら研究を続けている女性研究者を対象とし、次の要件を満たす方の中から決定します。

    3.要件

    1. 人文・社会科学分野の領域で、有意義な研究テーマを持っていること。
    2. 原則として、応募時点で未就学児(小学校就学前の幼児)の育児を行っていること。
    3. 原則として、修士課程資格取得者または、博士課程在籍・資格取得者であること。
    4. 2名の推薦者がいること(うち1名は、所属・在籍する大学・研究所等の指導教官または所属組織の上長であることが必須)。
    5. 原則として、研究を継続していく意思のある方。
    6. 支援を受ける年度に、他の顕彰制度、助成制度で個人を対象とした研究助成を受けていないこと(科研費・育児休業給付などは受給していてもご応募いただけます)。
    7. 受賞時に、氏名(本名)やご家族との写真、研究内容等を、新聞・雑誌、インターネット等での公表にご協力いただける方。また、マスコミなどからの取材にご協力いただける方。

    ※この事業では、過去の実績ではなく、子育てをしながら研究者として成長していく方を支援したいと考えています。そのため、研究内容のみで判断することはありません。
    ※国籍は問いませんが、応募資料等への記載は日本語に限ります。

    4.応募方法

    webサイトより応募用紙をダウンロードし基本情報をご記入の上、必要資料と一緒にお送りください。

    (募集要項)応募用紙ダウンロード先

    5.選考

    事務局による選考の後、「未来を強くする子育てプロジェクト」選考委員による選考会を経て、受賞者を決定します。

    6.選考委員

    選考委員長

    汐見 稔幸 [東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長]

    選考委員

    • 大日向 雅美 [恵泉女学園大学学長]
    • 奥山 千鶴子 [認定NPO法人びーのびーの理事長]
    • 米田 佐知子 [子どもの未来サポートオフィス代表]
    • 角 英幸 [住友生命保険相互会社 取締役 代表執行役専務]

    7.発表

    受賞者は、2024年3月に都内で実施予定の表彰式*および「未来を強くする子育てプロジェクト」のwebサイト等で発表します。受賞者には2024年1月末までに直接ご連絡いたします。
    *表彰式は、開催日時点の社会状況よって、実施内容を変更する可能性がございます。

    8.表彰

    スミセイ女性研究者奨励賞 10名程度

    助成金として1年間に100万円(上限)を2年間まで支給します。助成期間は2024年4月から2026年3月までの2年間の予定です。

    9.募集期間

    2023年7月10日(月曜)~2023年9月8日(金曜)必着

    10.注意事項

    1. 応募用紙は、片面印刷とし、ホチキス止めはしないようお願いいたします。
    2. ご提出いただいた資料類は返却いたしませんのであらかじめご了承ください。
    3. 選考に関するお問合せには応じられませんのでご了承ください。
    4. 受賞者は、原則として、助成開始から半年後に近況報告、1年後に研究活動の中間報告、2年目終了後に最終報告をしていただきます。2年目の助成継続には、原則として助成要件を引き続き満たしていることが必要です。中間報告にて2年目の助成継続可否を判断させていただきます。
    5. 受賞された方は、助成対象となる研究の発表時に、本助成を受けた旨を明示してください。

    11.個人情報の取扱い

    応募者の個人情報は、審査および運営に必要な範囲内で利用し、第三者へ提供することは一切ありません。応募者の同意なく、利用目的の範囲を越えて利用することはありません。


    本件にかんするお問い合わせ先

    「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局

    • mirai-sien [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-3265-2283(平日10:00~17:30)
    • 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-14-7 光ビル



    2023年度『国際開発学会賞』作品公募のお知らせ

    2023年度の学会賞の候補作品を公募します。2021年1月1日から2023年6月30日までに公表された国際開発学会員の著作または学術論文が審査の対象となります。

    学会賞、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門で審査が行われます。

    応募作品の受付は、2023年5月1日(日曜)から2023年6月30日(木曜)まで(当日消印[または発送記録]有効)です。応募は自薦、他薦を問いません。

    対象となる本または論文各5部(本についてはオリジナル1部、残り4部はコピーでも可;論文については全てコピーでも可)を、下記の学会賞選考事務局宛に送付してください。

    電子媒体がある場合にはあわせて提出して下さい。応募の際には、応募用紙を記入の上添付してください。応募用紙は学会Webサイトからダウンロードできます。

    • 2023年度『国際開発学会賞』応募用紙(word)

    学会賞の応募作品と、2022年1月1日から2023年12月31日までに『国際開発研究』に掲載された研究論文・研究ノート・調査研究報告を対象として、各賞に関わる審査を行います(当該の『国際開発研究』に掲載された研究論文等は自動的に審査対象になるので応募する必要はありません)。

    なお、応募者は、2023年5月1日時点で学会員であり、かつ2023年6月30日時点で会費未納者でないことを要します。受賞者には、原則として、当該年度の12月前後に開催される全国大会における授賞式や受賞者セッションに、参加することが求められます。

    数多くの作品のご応募をお待ちしております。詳細については「国際開発学会賞選考内規」をご覧ください。

    応募作品の送付先

    国際開発学会賞選考委員会事務局
    〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
    京都大学東南アジア地域研究研究所 三重野文晴研究室気付

    E-mail:

    • mieno-lab [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

    賞選考委員会

    委員長・三重野文晴(京都大学)




    優秀ポスター発表賞

    目的

    国際開発学会の研究大会におけるポスターセッションでの卓越した研究者の研究発表を表彰することにより、研究水準の向上をはかり、もって国際開発研究の発展に資することを目的とする。

    賞の種類

    「優秀ポスター発表賞」及び「優秀ポスター発表奨励賞」とし、また、「優秀ポスター発表賞」審査委員会が必要性を認識し、3 分の2以上の賛成により追加的に賞を設置することがある。

    受賞資格

    第2条に掲げる賞の対象となる者の資格は、国際開発学会研究大会時におけるポスター発表者の会員(学生会員を含む)とする。

    審査基準

    審査は研究内容、ポスターの提示方法、口頭説明(質疑を含む)のそれぞれの質を総合的に判断して行う。

    受賞者数

    受賞件数は若干数とする。

    審査委員会

    審査委員会は国際開発学会賞選考委員と賞選考委員会が指名する若干名の委員を加えて大会ごとに組織される。審査委員長は審査委員会の3分の2の賛成を持って選出する。

    審査方法

    各大会におけるポスターセッション発表時間に審査委員が全てのポスターを見るとともに口頭説明を一定時間聞き、審査する。

    表彰

    審査委員会は、選考経過および選考理由を付して大会期間中に速やかに受賞者を公表する。


    過去大会の受賞者

    第34回全国大会(2023年)

    八郷真理愛

    『発達障害のつくられ方-個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ-』

    奨励賞
    • 佐藤美奈子
      『僧院が担う新たな社会的包摂機能-ブータン王国における仏教とウェルビーイング-』
    • 井川摩耶
      『太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性-援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目して-』

    第24回春季大会春季大会(2023年)

    柴田英知

    『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

    奨励賞
    • 玉村優奈
      『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

    第33回全国大会(2022年)

    小林匠

    『ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響-ブシェニ県とワキソ県の事例から』

    奨励賞
    • 石井あゆ美
      『日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—』

    2022年春季大会

    松田華織

    An Analysis of Access to Education for Children with Disability in Indonesia”

    太田洋舟

    モルディブ共和国における「ムスリムネス」の多様性に関する一考察―首都マレ圏のスポーツ活動を行うムスリム女性を事例として―」

    2021年全国大会

    矢野泰雅

    『An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR』

    奨励賞

    • Traitip Siriruang
      『Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN』

    2021年春季大会

    白井恵花

    『重度障害者の生存の難しさ-ネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたこと―』

    奨励賞
      • 大門毅
        『「アラブの春」とは何だったのか-革命 10 年後のチュニジアから―』
      • Wang Kexin
        『Home Learning Environment for Early Childhood Development Outcomes in Bangladesh』

      2020年全国大会

      近藤加奈子

      『利用からみる住民の水の選好―モザンビーク農村における水源の多様性と選択に着目して―』

      奨励賞

      • 隅田姿
        『日本教育における持続可能な開発のための教育(ESD)とグローバル市民教育(GCED)-学習指導要領の内容分析―』

      2019年全国大会

      Wang Kexin

      『Household Financing on Secondary Education in Cambodia: An Analysis of Household Over-indebtedness on Public Schooling and Supplementary Tutoring』

      Thomas Kloepfer

      『大麻草産業化による貧困削減のための規制と政策:西ネパール山岳コミュニティーの事例』

      奨励賞

      • 羽間久美子
        『タイにおけるSufficiency Economy Philosophyに基づいた教育の効果と課題』

      2019年春季大会

      山口(上舘)美緒里

      『初等教育におけるICTを活用した遠隔教員研修の成果と課題―バングラデシュのNGO校におけるe-learning研修を事例として―』

      奨励賞

      • 田中志歩
        『バングラデシュ丘陵地帯の少数民族における教育開発の可能性と課題―小規模少数民族クミによるノンフォーマル教育学校運営の事例より』
      • 太田美帆
        『陸前高田とゼミ活動の8年間―変わりゆくニーズとの試行錯誤の軌跡―』

      2018年全国大会

      Yiqiong Mai

      『The Influence of Interactive Learning Materials on Self-Regulated Learning Processes and Outcomes of Primary School Teachers in Mongolia』

      奨励賞

      • 飛田八千代
        『セネガルにおける食料消費の傾向について―サンルイ市の女性消費者調査より―』
      • 薗畠ひとみ
        『熱帯地域における廃棄物起因のベクター発生対策に関する研究―パナマのデング熱とジカウィルス感染症を中心に―』
      • 畑杏奈
        『Examining the Relationship between Parent Characteristics and Parent Involvement in Early Childhood Education in Cambodia』

      2018年春季大会

      奨励賞

      • 木村文哉
        『性別の違いと競争的環境の関係に関する比較実験―ミャンマーインレー湖上の住民を対象として―』

      2017年全国大会

      奨励賞

      • 松原加奈
        『エチオピアにおける革靴製造企業―従業員の技術の形成に着目して―』
      • Seonkyung CHOI
        『Impact of Education Paths in Secondary and Tertiary Education on Labor: Market Performance in South Korea: Focusing on TVET High School Graduates』

      2017年春季大会

      奨励賞

      • 三好友良
        『タイにおける地域包括ケアシステムの構築に向けた動き―LTOPプロジェクトサイトの事例を中心に― 』
      • 孟暁東(Xiaodong MENG)
        『Parental Involvement in Early Childhood Education in Lao PDR: Case of Vientiane Province』

      2016年全国大会

      牧貴愛

      『タイにおける優秀教師群像(2)―「Prawat Khru(教師列伝)」の内容分析―』

      2016年春季大会

      奨励賞

      • 高橋香名
        『Impact of Groundwater Development Project on Child Schooling in Rural Zambia』

      2015年全国大会

      奨励賞

      • 金子佳世
        『ブルンジ共和国看護師に求められるCompetency』
        [共著者:Juma NDARAYE; Illuminée NAHABAGANWA; Fabrice KAKUNZE; 古川佳恵]
      • 入江憲史
        『世界遺産における湿地帯保全に対する人々の態度研究:ラオス国ルアンパバーンの事例を用いて』
        [共著者:山口しのぶ、高田潤一]

      2015年春季大会

      奨励賞

      • 清野佳奈絵
        『イタリアにおけるバングラデシュ人移民の社会経済状況:ローマ市に暮らすバングラデシュ人移民を事例に』

      2014年全国大会

      中村洋

      『牧畜民のレジリエンスを分ける要因とは?:モンゴル国ドンドゴビ県で2009年から2010年に発生した災害後の牧民の資産回復過程の分析』

      奨励賞

      • 朝隈芽生
        『イランにおけるアフガニスタン難民の教育:若者のアイデンティティ形成に着目して』

      2014年春季大会

      奨励賞

      • 山口健介・渡辺俊平
        『産業地域の「適応」:集積論の分析視角』

      2013年全国大会

      大谷順子・張玉梅

      『中国四川大地震による中国の社会変容に関する考察:2008年汶川地震と2013年雅安地震』

      奨励賞

      • 山本香
        『シリア難民による学校運営と教員の役割:トルコ共和国アンタキヤ市の事例から』

      2013年春季大会

      田中樹・伊ヶ崎健大

      『作物収量の向上と風食抑制を同時成立させる砂漠化対処技術とその普及』

      奨励賞

      • 佐々木夕子・田中樹
        『西アフリカ・サヘル地域の村落における社会ネットワーク構造と女性世帯の生存戦略』

      2012年全国大会

      奨励賞

      • 篠原亜絵
        『東ティモールにおけるコーヒー生産者協同組合のパフォーマンスと家計への影響』
      • 野村理絵
        『ケニアにおけるマサイ女子生徒の学習動機に対する教師の影響』
      • 吉田綾
        『アジアの途上国におけるE-waste インフォーマルリサイクラーの社会・経済状況』

      2012年春季大会

      奨励賞
      • 佐藤希
        『女性組織が女性のジェンダー意識変容に及ぼす影響:ネパール、パタン市を事例に』
      • 日向淳
        『災害時における「外部者」の役割:内発的発展論の視点から』
      • 山田悦子
        『国際連合安全保障理事会決議1325 :平和構築における国連による女性への政策に関する考察』



      【学会賞】2023年度『国際開発学会賞』作品公募のお知らせ

      2023年度の学会賞の候補作品を公募します。

      2021年1月1日から2023年6月30日までに公表された国際開発学会員の著作または学術論文が審査の対象となります。

      学会賞、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門で審査が行われます。応募作品の受付は、5月1日(日曜)から6月30日(木曜)まで(当日消印[または発送記録]有効)です。

      応募は自薦、他薦を問いません。

      対象となる本または論文各5部(本についてはオリジナル1部、残り4部はコピーでも可;論文については全てコピーでも可)を、下記の学会賞選考事務局宛に送付してください。

      電子媒体がある場合にはあわせて提出して下さい。応募の際には、応募用紙を記入の上添付してください。応募用紙は学会賞のページからダウンロードできます。

      学会賞の応募作品と、2022年1月1日から2023年12月31日までに『国際開発研究』に掲載された研究論文・研究ノート・調査研究報告を対象として、各賞に関わる審査を行います(当該の『国際開発研究』に掲載された研究論文等は自動的に審査対象になるので応募する必要はありません)。

      なお、応募者は、2023年5月1日時点で学会員であり、かつ2023年6月30日時点で会費未納者でないことを要します。

      受賞者には、原則として、当該年度の12月前後に開催される全国大会における授賞式や受賞者セッションに、参加することが求められます。

      数多くの作品のご応募をお待ちしております。

      詳細については、学会賞のページに記載されている「国際開発学会賞選考内規」をご覧ください。


      本件にかんするお問い合わせ先

      国際開発学会・賞選考委員会
      事務局

      〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
      京都大学東南アジア地域研究研究所 三重野文晴研究室気付

      E-mail: mieno-lab [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




      2022年度「国際開発学会賞」選考結果と受賞のことば

      牛久晴香会員、阿部和美会員および佐藤峰・佐柳信男・柳原透会員(共著)の3著書に2022年度学会賞を授与

      2022年度「国際開発学会賞」選考結果

      第33回全国大会(明治大学:2022年12月3・4日)において、牛久晴香会員の著書『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂 2020)に学会賞を、阿部和美会員の著書『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動 ―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店 2022)に奨励賞を、佐藤峰・佐柳信男・柳原透会員の共著書”Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration” (Palgrave Macmillan 2022)に賞選考委員会特別賞を授与しました。

      今年度も本事業にたくさんの応募がありました。その中で惜しくも受賞に至らなかったものの最終選考に残った作品としては、藍澤淑雄の著書『アフリカの零細鉱業をめぐる社会構造―貧困解消に向けたタンザニアの零細鉱業支援のあり方』(日本評論社 2021)、木山幸輔会員の著書『人権の哲学:基底的価値の探究と現代世界』(東京大学出版会 2022)の2つがありました。

      応募くださった皆様、誠にありがとうございます。選考委員一同、応募作から多くのことを学ばせていただきました。学会賞の趣旨は、会員の研究を励ますことにあります。

      会員の皆様には、ご自身の研究を、さらに磨き高めていくための機会として、ご活用いただけましたら幸いです。2023年度にも多くの皆様からのご応募をお待ちしております。

      賞選考委員会
      委員長:三重野文晴(京都大学)


      選評


      学会賞 牛久晴香

      『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』昭和堂

      本作品は、ガーナの「かごバック」=ボルガ・バスケット産業という国際開発の「成功事例」について、長期フィールドワークを通して歴史、技術、流通や文化に関する詳細なデータを入手し、グローバル化した手工芸産業の実態を丁寧に解き明かすものである。

      その生産と流通の構造を、地元の経済社会と国際市場との関係で詳細に調査し、その商品としての出現過程についても可能な限りの検証と考察を行って、さらにその構造の中にミドルマンの役割の評価など多面的な要素を見いだしている。

      包括的なこの研究によって導き出される発見は多岐にわたる。この国際的商品としての誕生には外部者である政府・国際機関の開発政策や企業の宣伝が関わってきたこと、原料育成地の減少と輸出の急増への対応の過程の課題が生産者側の「生活の論理」の中に読み替えられて、生産体制が維持・改善されてきたこと、つまり国際市場に取り込まれる中でも、生産者の現地社会における価値観が自律的に維持されてきたこと、そして、在村の仲買人(ミドルマン)が、本来相容れない2つの価値観の間を多様な方法で仲介していること、などである。

      国際開発の潮流を強く意識した堅固な課題設定のもとで、ボルガ・バスケットの生産と流通を多角的かつ詳細に調査・分析し、その結果として、在来産業の商品が国際商品化する過程で在来社会が主体性を失う方向に変質していくというステレオタイプとは異なる実態とそのメカニズムを、独創的な手法によって見事に描き出している。

      数々の発見は、国際開発研究における生業創出援助やフェア・トレード、あるいはより広く企業、流通、貿易に関わる論点に、一石を投じる内容となっている。

      本作品は、地域研究分野の博士論文研究の成果出版であり、大学院における語学習得や長期にわたる参与観察の過程をふまえて結実した、実にダイナミックな研究である。

      ボルガ・バスケットの材料調達や編み方の実践にまで体験的に参加するフィールドワーカーとしての姿勢と、一方でフィールド調査の事実発見のみに引きずられることなく、複数の分野の研究成果の知見を縦横に活用して普遍的な論点を展開していく力量が、巧みな文章とあいまって、完成度の高い研究書を生み出している。学会賞(本賞)に相応しい作品であると選考委員の意見が一致した。(三重野 文晴)


      奨励賞 阿部和美

      『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動 ―「平和の地」を求める戦いの行方』明石書店

      本作品は、インドネシアのパプア社会に重点を置いて、パプア分離独立運動の考察を行ったものである。

      基本的な問いを、なぜ、スハルト政権が崩壊して民主化が定着した今日においてパプア分離運動が依然として続いているのかという点におき、それをパプアの社会的・歴史的背景環境と、民主化以降の分離独立運動を牽引する主体および彼らの要求を吟味することで、考察している。

      ここでは、パプア分離独立運動をインドネシア政府対パプア分離独立運動という二元的な構図のみで描くのではなく、分離独立運動や政府の開発事業がパプアの社会構造にもたらした変化を分析し、さらにそうした変化が分離独立運動にもたらしたインパクトが明らかにされる。

      すなわち、特別自治法によるパプア人の政治参加が結果としてエスニック・グループ間の対立を激化させたこと、インドネシア政府による開発事業によって伝統的なアダット組織が弱体化したこと、こうした変化により分離独立運動が穏健派と急進派に分裂しインドネシア政府との交渉が停滞していることなどであり、こうした事実が丁寧なフィールド調査をもとに描かれている。

      このような多角的な検討を通じて、パプア紛争の発端が国民統合過程においてパプア人の意思が反映されてこなかった民族自決の問題であり、これは例えばインドネシアへの国民統合そのものへの抵抗であったアチェ紛争と性格が異なることが指摘される。

      そして民族自決とインドネシア政府の意思決定への参画を欠いていたゆえに、インドネシアに併合以降もパプアの人々の基本的ニーズが充足されてこなかったとの解釈を導いている。

      民主化期に地域社会の中に蔓延する腐敗の構造についても目配せするなど、インドネシア政府対パプア分離独立運動の構図にとどまらない複雑な状況もよく考察され、問題の解決の困難さを描き出している。

      本作品には、惜しいことに取り上げる情報・文献に二次資料が多く分離独立派側のものに偏りがあるという意見、またパプア人の人権尊重、国際社会の関心の喚起という結論はやや一般的にすぎるという意見もあった。

      そのような課題が残るにせよ、国際開発研究として従来見逃されてきた貴重なテーマを取り上げ、学界にまとまりのよい知見を提供している点で貢献が大きいことには間違いない。若手研究者の今後の一層の活躍への期待もこめて、奨励賞に選出することとなった。(三重野 文晴)


      (講評)賞選考委員会特別賞:佐藤峰、佐柳信男、柳原透

      Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration, Palgrave Macmillan

      本作品は、人類学、心理学、経済学の観点から、「人はどのようにイニシアティブをとるのか」という問いを掲げ、事例研究を織り交ぜながら理論的、実証的に論じるという、斬新な試みを行っている。

      「エージェンシー」をキー概念として、その定義やそれが発現するメカニズム、そして実態が可視化されて人や社会のポジティブな変化につながる「エンパワーメント」の現象を、3つの学問分野からどのように説明できるかを、比較対比させながら分析している。

      開発研究は学際的な学問領域であると言われながら、学際的研究において理論から実証研究まで異なる学問領域の研究者が論点を共有し、結論まで導き出すこのような試みは、その困難さから忌避されがちであるように思われる。

      その意味で、開発研究の学際性に正面から挑戦し、分野間にある共通点や補完性を見出し、開発の働きかけによる人や社会の変化の可視化に挑み、開発研究の今後の視点を見出すことに一定程度成功した本作品の意義は大きい。

      また、各分野に関わる取り組みに、日本の生活記録運動(Life Record Movement)、チリのSolidario Programなど開発援助の実践手法を取り上げて、それらの理論的根拠を析出することに繋がっていることも重要な貢献である。

      本作品は、そのテーマの特徴から、各章はそれぞれの分野や個別の実践のレビュー論文としての性格が強いもので、特定テーマを深掘りした研究書とは構成・性格が異なる。

      そして、残る課題として、それぞれの理論の改善や相互の補完性の可能性の指摘にはたどり着いたものの、分野横断的な批判的検討や理論構築には至っていないのではないか、という点も指摘された。

      このようなユニークさや限界があるとはいえ、日本を含む開発過程と援助経験の含意を世界に発信しながら、学際性が求められる開発研究者の立ち位置のありかたに正面から挑戦したこの本の趣旨は、学界に大きな示唆をもつ。この点を踏まえて、本作品は賞選考委員会特別賞に相応しいものと評価された。(三重野 文晴)


      受賞のことば

      学会賞・牛久晴香会員

      『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』
      (昭和堂 2020)

      このたびは国際開発学会学会賞という栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。わたしはガーナ北部のボルガタンガ地方というところで10年強研究を続けてきました。とくにこの地域の地場産品で、今やアフリカを代表するかごバッグである「ボルガバスケット」という輸出向けの手工芸品に着目してこの本をまとめました。

      この本で立てた問いはいくつかあるのですが、国際開発とも関係の深い問いとしては、「ボルガバスケットの産地で開発援助機関や外国企業の試みが『なかったこと』にされずにうまく取り込まれてきたのはどうしてか」があります。これは会員の小國和子先生がご著書『村落開発支援は誰のためか』で言及された、外部からの働きかけの「無効化」にヒントを得た問いです。

      アフリカ農村では数多くの産業創出プロジェクトや一村一品運動が実施されてきましたが、その多くはプロジェクト終了とともに立ち消えてしまう、あるいは「なかったこと」にされてしまうことは、みなさまがご存じのとおりです。

      それではなぜ、ボルガバスケットでは無効化されずにうまく取り込まれてきたのか。本書ではその理由を、ボルガタンガの人たちが新たに持ち込まれる技術や取引のしくみを村の生活の論理やものづくりの論理に適合的なかたちに改変してきたから、としました。この過程でとくに重要な役割を果たしてきたのは、ミドルマン(仲介者)たる在村の仲買商人なのですが、彼らの言う「僕らのやり方」がこの産業の発展に不可欠であったと結論づけました。

      この本には開発実務に役立つモデルや普遍性のある理論は書かれていません。しかし、「アフリカ農村のやり方」を研究するためのいくつかのヒントを、そして「アフリカ農村のやり方にもとづく産業発展」の一例を、本書が示すことができていれば幸いです。

      まだまだ未熟者ですが、さらに研究を発展させるべく、そしてこれから国際開発研究の発展にも貢献すべく精進いたしますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。このたびは誠にありがとうございます。


      奨励賞・阿部和美会員

      『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動 ―「平和の地」を求める戦いの行方』
      (明石書店 2022)

      この度は、国際開発学会奨励賞を頂戴し、大変光栄に存じます。これまでご指導・ご尽力いただきました先生方ならびに関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

      パプアを初めて訪れたのは、2010年12月です。パプアのことをほとんど知らないまま訪問しましたが、特別自治法の内容が適切に履行されていない、パプア人が警察や軍に不当逮捕や殺害されているなど、深刻な問題を次々と目の当たりにして、研究対象にしようと決意しました。

      『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める闘いの行方』では、パプア分離独立運動の背景と社会変容を考察しながら、政府との対立が解決しない要因は安全保障、開発、アイデンティティへのニーズの不充足が依然として是正されていない実態にあると特定しました。

      近年、パプアでも開発が進み、利便性が大きく向上しましたが、外国人ジャーナリストの渡航が制限されるなど、パプアに関する情報は依然として厳しく規制されています。フィールド調査にも困難があり、治安上の問題から、分離独立運動が活発な内陸の山岳部ではほとんど調査ができません。入手できる資料も限られています。

      パプア分離独立運動も、大きく変化しつつあります。分離独立運動を牽引してきた第一世代の多くが死去し、著名な活動家がいません。パプアでは開発が進み生活が便利になる一方で、開発を進める企業と住民の間で土地問題が発生しています。内陸部では、武装集団と国軍の戦闘が激化して国内避難民が発生しています。

      研究にはまだまだ不十分な点や取り組むべき課題が多々ありますが、このようなパプアの現状を一人でも多くの読者の方々に知っていただきたいと思い、本書の出版に至りました。 今回の受賞を励みとして、パプアや類似する事例の問題解決に少しでも貢献できるよう、精進して参ります。このたびはありがとうございました。


      特別賞・佐藤峰会員・佐柳信男会員・柳原透会員(共著)

      ”Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration”
      (Palgrave Macmillan 2022)

      この度は Empowerment through Agency Enhancement に対して国際開発学会特別賞をいただき感謝を申し上げます。賞状に「将来性に対して」とありましたので、まだまだ途上である学際研究のポテンシャルに対して賞を頂戴したと理解しております。

      本書は、国際協力などの社会サービスにおける当事者のオーナーシップやイニシアティブがどのようにしたら発揮されるのか(どのようにエンパワメントが起こるのか)、どのように支援できるかについて、エージェンシーを鍵概念として、人類学(佐藤峰)、心理学(佐柳信男)、経済学(柳原透)、の間での学際研究を行った成果です。

      三部構成になっており、エージェンシーの定義について、エージェンシーが発揮されるメカニズムについて、その可視化と測定について、それぞれの専門領域からの議論を展開しました。社会開発や社会福祉に関わる実践者の多くは、当事者が自ら意思決定し動いていけるようさまざまに努力をしてきましたが、得られた知見の多くは経験知に止まっています。それらを理論と結びつけ、実学としての開発学のひとつのかたちを示したい、という思いもありました。

      構想の発端は、柳原が代表であった「生活改善」に関する研究部会に佐藤が2007年に参加し後に共同代表を務める中で、生活改善にとどまらない「主体性」に関わる研究への関心が強まったことでした。その具体化として、JICA研究所の研究プロジェクトとして「主体性醸成のプロセスと要因にかかる学際的研究:中南米事例を中心に」(2012-2015)を立ち上げました。人の心の動きを扱う研究として心理学の視点・知見の必要が認識され、佐柳会員の参画を得ることとなりました。

      その後、国際開発学会やHDCA(Human Development and Capability Approach)など国内外での学会で企画セッションを持ち、反応から手応えを得て成果を書籍として世に問うことを考えました。2018年にPalgrave Macmillanの編集者にお会いする機会があり、プロポーザルをお送りしたところ採用となり、三人で研究会をしながら書き進め刊行に至りました。

      学際研究は、同一分野の研究者による共同研究とは違い、各分野での発想や暗黙の前提を相互に分からなければなりません。相互理解と相互啓発の過程では、しばしば行きつ戻りつが起きます。そのこともあり、本書でも、同一のテーマや事例につき各分野からの議論を収斂させ統合するところまでは、未だ至っていません。「特別賞」を学際研究への「特別奨励賞」として受けとめ、学際研究のひとつのあり方を打ち出せるよう、今後も努める所存です。大きな励ましをいただいたことに、あらためてお礼を申し上げます。




      第33回全国大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

      第33回全国大会で小林匠会員に優秀ポスター発表賞を、石井あゆ美会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

      第33回全国大会において、小林匠会員(報告タイトル:ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響-ブシェニ県とワキソ県の事例から)に優秀ポスター発表賞を、石井あゆ美会員(報告タイトル:日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

      優秀ポスター発表賞

      『ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響-ブシェニ県とワキソ県の事例から』

      小林匠会員


      優秀ポスター発表奨励賞

      『日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—』

      石井あゆ美会員

      今回のポスターセッションは久しぶりに対面での発表形式に復帰し、9名の発表者がどれも力のこもった報告をされました。教育分野が8件、災害分野が1件と、開発教育分野の報告が多く、英語による発表は2件あり、また前回大会同様、個票調査データに基づく計量分析のアプローチによる研究が多い傾向がありました。2人の受賞者は、議論の独創性、分析手法の妥当性、ポスター構成、プレゼンテーションの明解さなどの総合的な観点から評価されました。ポスター発表セッションに参加してくださった皆様、誠にありがとうございました。

      賞選考委員会
      委員長:三重野文晴(京都大学)




      【会員限定】常任理事会議事録(第231・232回)

      第231回常任理事会

      • 日時:2022年11月3日(木曜)10時~14時
      • 方法:対面とZoom(オンライン)のハイブリッド
      • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、小林、島田、松本、北村、川口、佐野、志賀、杉田、三重野(以上、常任理事)

      議題

      (1) 審議事項

      1.支部・研究部会助成額の決定について

      池上総務委員長より、2023年度の支部・研究部会の助成額について報告があり、承認された。

      2.定款および定款細則の改正について

      志賀事務局長より、会員制度の変更等に伴う定款および定款細則の改正案が提案され、承認された。

      3.第12期1号理事選挙について

      杉田選挙管理委員長より、第12期1号理事選挙を2023年5月9日から23日の期間に実施するとの提案があり、承認された。また、選挙規程の改正案が提案され、承認された。

      4.2022年度学会賞について

      三重野賞選考委員長より、2022年度学会賞に13 作品の応募があったこと、審議の結果、 学会賞本賞に牛久晴香会員の『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂)、奨励賞に阿部和美会員の『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店)、賞選考委員会特別賞に佐藤峰会員、佐柳信男会員、柳原透会員共著のEmpowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration (Palgrave Macmillan)が選出されたこと、論文部門については該当なしとの結果であったことが報告され、承認された。


      (2) 報告事項

      1. 第33回全国大会

      島田大会実行委員長より、第33回全国大会のプログラム案と準備状況について報告がなされ、承認された。

      2. 入会・退会者の報告と会員数の動向

      志賀事務局長より、新規入会希望者・退会者の報告(新規入会希望者13名、退会者3名)ならびに会員数の動向について報告があった。

      3. 翻訳書の応募者への対応について

      三重野賞選考委員長より、翻訳書をもって学会賞への応募があった場合の対応や、論文賞の今後のあり方についての検討状況が報告された。

      4. ポスター賞選考の準備状況について

      三重野賞選考委員長より、ポスター賞選考の準備状況について報告された。


      第232回常任理事会

      • 日時:2022年11月26日(土曜)10時~11時30分
      • 方法:Zoom(オンライン)による開催
      • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(副会長)、池上、川口、小林、佐野、志賀、島田、杉田、松本(常任理事)

      議題

      (1)審議事項

      1.2022年度活動報告および監査役報告について

      各委員長より2022年度の活動について報告された。また、志賀事務局長および池上総務委員長より、2022年度監査については特段の問題点を指摘されることなく終了した旨が報告された。

      2.  2023 年度活動計画および予算案について

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      3.入退会承認について

      志賀事務局長より、30名の新規入会希望者(正会員8名、学生会員22名)について提案がなされ、承認された。また、1名が退会したことが報告された。

      4.第115回理事会議事および第33回会員総会の議事について

      志賀事務局長より、第115回理事会の議事案および第33回会員総会の議事案について説明がなされ、承認された。




      【会員限定】理事会議事録(第114・115・116回)

      第114回理事会

      • 日時:2022年10月28日(金曜)~29日(土曜)
      • 方法:メールによる開催

      (1)審議事項

      3年間会費未納を理由とする退会処分対象者について:志賀事務局長より、3年間会費未納を理由とする退会処分対象者17名について提案があり、承認された。


      第115回理事会

      • 日時:2022年11月26日(土曜)13時30分~16時30分
      • 方法: Zoom(オンライン)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、佐野、志賀、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)池見、市橋、伊東、大橋、岡部、小川、小國、萱島、澤村、高橋、鍋島、西川、藤掛、藤山、道中、山形(以上、理事)、石田、西野(以上、監査役)、梅村(支部長)

      (1)審議事項

      1.2022年度学会賞について

      三重野賞選考委員長より、2022年度学会賞に13 作品の応募があったこと、審議の結果、 学会賞本賞に牛久晴香会員の『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂)、奨励賞に阿部和美会員の『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店)、賞選考委員会特別賞に佐藤峰会員、佐柳信男会員、柳原透会員共著のEmpowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration (Palgrave Macmillan)が選出されたこと、論文部門については該当なしとの結果であったことが報告され、承認された。

      2.2022年度活動報告、決算および監査役報告

      各委員長より2022年度の活動について報告された。また、志賀事務局長および池上総務委員長より、2022年度監査については特段の問題点を指摘されることなく終了した旨が報告された。

      3.  2023 年度活動計画および予算案について

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      4.2023年度の支部・研究部会への助成額について

      池上総務委員長より、2023年度の支部・研究部会の助成額について報告があり、承認された。

      5.2023年度活動計画案および予算案

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      6.定款および定款細則の改正について

      志賀事務局長より、会員制度の変更等に伴う定款および定款細則の改正案が提案され、承認された。

      7.第33回会員総会の議事について

      志賀事務局長より、第33回会員総会の議事案について説明がなされ、承認された。

      8.第12期1号理事候補者選挙および選挙規程の改正について

      杉田選挙管理委員長より、2023年5月9日から23日の期間に第12期1号理事選挙を実施するとの提案があり、承認された。また、選挙規程の改正案が提案され、承認された。


      (2)報告事項

      1.第33回全国大会の準備状況

      島田大会実行委員長より、第33回全国大会のプログラム案と準備状況について報告がなされ、承認された。

      2.入会者・退会者について

      志賀事務局長より、30名の新規入会希望者(正会員8名、学生会員22名)および、1名の退会者が報告された。

      3.第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について報告があった。

      その他

      1.合理的配慮について

      障害を有する会員に対する合理的配慮のあり方について議論が行われた。


      第116回理事会

      • 日時:2022年11月4日(日曜)11時45分~12時30分
      • 方法:対面(明治大学 リバティタワー11階 1116教室)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤仁(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、池見、伊東、大橋、岡島、岡部、小川、小國、萱島、黒田、佐藤寛、高橋、西川、藤掛、道中(以上、理事)、工藤(第24回春季大会実行委員長)、秋保(本部事務局次長)

      冒頭に、島田剛・第33回全国大会実行委員長および工藤尚悟・第24回春季大会実行委員長の挨拶が行われた。

      (1)審議事項

      1.優秀ポスター発表賞の受賞作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞受賞作について報告があり、承認された。




      『スミセイ女性研究者奨励賞』のご紹介

      住友生命保険相互会社~未来を強くする子育てプロジェクト事務局は、「子育てに関するさまざまな活動を通して子どもたちが育つ明るい未来を築いていこう」との趣旨で活動しており、事業を展開しております。

      そのひとつの「スミセイ女性研究者奨励賞」では、育児のため研究の継続が困難となっている女性研究者および、子育てをしながら研究を続けている女性研究者に、研究環境や生活環境を維持・継続するための助成金を最大200万円支給します。

      コロナ禍で研究活動にも大きな影響が出ていると思われますので、少しでも該当する研究者の方に知っていただき、募集いただけることを願っております。

      今年度、2022年度(第16回)の募集は、7月上旬HPにて公開いたします。

      ご応募、または、お問合せは下記事務局までお願いいたします。


      本件にかんするお問い合わせ先

      住友生命保険相互会社
      未来を強くする子育てプロジェクト・事務局

      • mirai-sien [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
      • 電話番号:03-3265-2283
      • 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-14-7 光ビル



      2022年度『国際開発学会賞』作品公募(6月30日まで)

      2022年度の学会賞の候補作品を公募します。2020年1月1日から2022年6月30日までに公表された国際開発学会員の著作または学術論文が審査の対象となります。

      今年度より、優れた論文を対象とする「論文賞」を新たに設け、学会賞、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門で審査が行われます。応募作品の受付は、5月1日(日曜)から6月30日(木曜)まで(当日消印[または発送記録]有効)です。応募は自薦、他薦を問いません。

      対象となる本または論文各5部(本についてはオリジナル1部、残り4部はコピーで可;論文については全てコピーでも可)を、下記の学会賞選考事務局宛に送付してください。応募の際には応募用紙に記入の上、添付してください。応募用紙は学会賞のページからダウンロードできます。

      応募に関する詳細は、学会賞のページをご覧ください。

      2022年度『国際開発学会賞』作品公募のご案内

      賞選考委員長
      三重野文晴(京都大学)




      第32回全国大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

      32回全国大会で、矢野泰雅会員に優秀ポスター発表賞を、Traitip Siriruang会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

      第32回全国大会において、矢野泰雅会員(報告タイトル:An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR)に優秀ポスター発表賞を、Traitip Siriruang会員(報告タイトル:Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

      今回のポスター発表も、引き続きオンライン開催に対応した動画による発表形式をとりました。セッションには15 件の参加があり、どれも見応えのある報告でした。

      今回のポスター発表セッションは、すべての報告が英語でなされ、また、ほぼすべてが開発協力分野の研究で、計量分析のアプローチによる研究が多いという傾向がありました。

      授賞された2名の発表は、議論の独創性、分析手法の妥当性、ポスター構成、プレゼンテーションの明解さなどの総合的な観点から評価されました。ポスター発表セッションに参加してくださった皆様、誠にありがとうございました。

      賞選考委員会
      委員長:三重野文晴(京都大学)




      優秀ポスター発表賞(2021年度 春季大会)

      2021年度春季大会のポスターセッションでは、18件の意欲的な研究報告がありました。オンライン開催を考慮して、昨年度の全国大会に引き続き、今回もビデオ掲載による発表の形式となりました。

      ポスターセッション発表に対する賞選考委員会および常任理事会での厳正な審査の結果、下記の作品が優秀ポスター発表賞と優秀ポスター発表奨励賞の対象として選出されました。

      賞選考委員長・三重野文晴
      (京都大学)


      優秀ポスター発表賞

      白井恵花 

      『重度障害者の生存の難しさ-ネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたこと―』


      大門毅(奨励賞)

      『「アラブの春」とは何だったのか-革命10年後のチュニジアから―』 

      Kexin Wang(奨励賞)

      “Home Learning Environment for Early Childhood Development Outcomes in Bangladesh”




      【会員限定】理事会議事録(第108回)

      • 日時:2021年6月12日11時45分~14時
      • 方法:オンライン開催
      • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、伊東、藤掛、小國、萱島、鍋島、佐藤(寛)、岡島、大橋、道中、勝間、澤村、池見、小川、黒田、高橋、山形、(以上、理事)、梅村(以上、支部長)、宮川(学生会員代表)、志賀(事務局長)、秋保(事務局次長)
      • 欠席:岡部、市橋、仲佐、藤山、藤倉、西川(以上、理事)、小池、黒川(以上、支部長)

      議題

      1)佐藤会長冒頭挨拶

      佐藤会長より、林・第22回春季大会実行委員長への大会開催に向けた尽力への御礼が述べられた。また、学会新体制の取り組みについて会長から学会員に対する手紙を発送して説明することを検討しているとの報告があった。

      2)第22回春季大会実行委員長からの挨拶

      林大会実行委員長から、第22回春季大会はハイブリッド型から全面オンライン型へと開催型式を変更するなどの曲折があったが、無事に253名の登録者を得て無事開催の運びとなったことが報告された。

      3)第32回全国大会実行委員長からの挨拶

      和田第32回全国大会実行委員長から、金沢大学における第32回全国大会の開催について協力の依頼がなされた。

      4)審議事項

      (1)幹事の追加について

      小林・研究×実践委員長より2名の会員を、杉田選挙管理委員長より4名の学生会員をそれぞれ幹事として、追加したい旨が説明され、承認された。承認された幹事は以下の通り(敬称略)。

      研究×実践委員会

      • 狩野剛(ミシガン大学)
      • 功能聡子(ARUN)
      選挙管理委員会

      • Fanantenana Rianasoa Andriariniaina(大阪大学大学院人間科学研究科)
      • 松田華織(神戸大学大学院国際協力研究科)
      • 藤山美律(University of Sussex)
      • 神正光(名古屋大学大学院国際開発研究科)

      (2)2022年度支部・研究部会について

      池上総務委員長より、5月31日が提出〆切であった支部・研究部会の申請について、全ての支部が未提出であること、研究部会については継続4つ、新規1つの申請があったことが報告された。期限内に申請があった5つの研究部会についてはいずれも承認された。ただし、助成額については、来年度の全体予算を検討する際に決定することとした。また、追加申請を実施する旨、報告があった。承認された研究部会は以下の通り(敬称略)。

      研究部会名

      • 市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発(継続・ 3 年目)
      • 代表者:真崎克彦(甲南大学) 副代表者:藍澤淑雄(拓殖大学)
      • アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会 (新規)
      • 代表者:高橋基樹(京都大学) 副代表者:井手上和代(明治学院大学)
      • ODAの歴史と未来 (継続・ 2 年目)
      • 代表者:佐藤仁(東京大学) 副代表者:峯陽一(同志社大学)
      • 開発のレジリエンスとSDGs (継続・2 年目)
      • 代表者:関谷雄一(東京大学) 副代表者:野田真里(茨城大学)
      • 子どもの安全保障への開発アプローチ(継続・ 2 年目)
      • 代表者:勝間靖(早稲田大学) 副代表者:小野道子(東京大学)

      (3)2022年度学会費の減免について

      池上総務委員長より、2021年度は新型コロナ感染症の影響による状況を鑑み、常勤職についておらず会費滞納をしていない正会員については会費を半額にする減免措置、学生会員については全額免除の措置をとってきた。来年度については正会員、学生会員とも本人から申請があった場合は継続して本措置の対象とする方針であり、定款細則の変更も検討していくとの報告がなされた。

      また、正会員(途上国会員)区分(対象者5名)の廃止が提案された。高橋理事から、学生会員の会費減免措置については事務の手間を考慮しつつ対応すべきこと、正会員の減額措置での高齢会員については過去に希望者が少なかったことも勘案し、申請ベースで対応してはどうかとの提案がなされた。

      それに対し、池上総務委員長からは、現在70歳以上の会員が約60名おり、一律に30%減免することも検討している旨回答があり、今後総務委員会にて検討していくこととなった。

      (4)第23回春季大会について

      山田大会組織委員長より、次回春季大会は福岡県立大学に内諾いただいており、6月18日開催を予定しているとの報告がなされ、理事会ではそれを承認した。

      (5)優秀ポスター発表賞受賞者について

      優秀ポスター発表賞受賞者について:三重野賞選考委員長より、本賞1名・奨励賞2名の合計3名を受賞者として選定する旨の報告がなされた。理事から奨励賞の受賞対象者の1人について、若手奨励を想起させる賞には相応しくないので、別の名称にすべきではないかとの提案がなされた。これに対し三重野委員長からは、内規との関係からすぐに新たな名称の賞を設定することが困難であることと、ポスターセッションの位置づけに関わることなので、今回は、授賞式で奨励賞の趣旨を丁寧に説明することで対応し、別の賞を設けるかどうかについては今後の検討課題としたいとの説明があり、了承された。

      5)報告事項

      (1)学会誌『国際開発研究』英文特集号の刊行について

      北村グローバル連携委員長より理事に対し、編集委員会と国際諮問委員会の委員候補者の推薦の依頼がなされた。

      (2)出前講座設置について:

      佐野地方展開委員長より、出前講座設置について報告がなされた。

      (3)学会HPリニューアルについて

      高田広報委員長より、5月に行われたHPのリニューアルについて報告があった。また、4月に実施したアンケ―トの結果、メールでの配信の継続を希望する声が多かったため、今後も現状のまま配信することとなった旨が報告された。

      (4)入退会報告

      志賀本部事務局長より、34名の入会希望者、26名の退会者について報告があった。また、入会時に2名の推薦者を必須としていることについて、今後もこれを継続していくかどうかを今後議論したい旨が述べられた。これに対して、推薦人制度の廃止については合意するが、何らかの入会審査は行うべきであるとの意見や、会員として守るべき最低限のルール(会費納入等)の遵守を誓約させるべきとの意見が出たため、総務委員会と事務局で検討することとなった。

      (5)2021年9月末で3年未納退会になる会員について

      池上総務委員長より、3年間会費未納者が56名おり、9月末で退会扱いになることが報告された。また、メールアドレス不明者47名について報告があった。

      第11期本部事務局長・志賀裕朗(JICA研究所)




      【公募】2021年度「国際開発学会賞」作品

      2021年度の学会賞の候補作品を公募します。2019年1月1日から2021年6月30日までに公表された国際開発学会員の著作または学術論文が審査の対象となります。

      今年度より、優れた論文を対象とする「論文賞」を新たに設け、学会賞、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門で審査が行われます。応募作品の受付は、5月1日(土)から6月30日(水)まで(当日消印[または発送記録]有効)です。

      対象となる本または論文各5部(本についてはオリジナル1部、残り4部はコピーで可;論文については全てコピーでも可)を、下記の学会賞選考事務局宛に送付してください。

      学会賞の応募作品および2019年1月1日から2020年12月31日までに『国際開発研究』に掲載された研究論文・研究ノート・調査研究報告を対象として、各賞に関わる審査を行います。

      なお、受賞者には、原則として、当該年度の12月前後に開催される全国大会における授賞式や受賞者セッションに参加することが求められます。

      数多くの作品のご応募をお待ちしております。

      詳細については「国際開発学会賞選考内規」をご覧ください。

      学会賞

      賞選考委員会 委員長
      三重野 文晴(京都大学)


      国際開発学会賞選考委員会事務局

      〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
      京都大学東南アジア地域研究研究所 三重野文晴研究室気付

      E-mail: mieno-lab (a) (*アットマーク部分を修正してご使用ください)

       




      賞選考委員会

      JASID Prize Selection

      賞選考委員会は、各年度に選出される学会賞、ポスター表彰の審査を行っています。学会賞には、学会賞(大賞)、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門があります。

      学会賞は対象期間に出版された優れた著作に、論文賞は学会誌『国際開発研究』をはじめとする国際開発分野の学術誌に発表された優れた論文に与えられます。

      奨励賞は主に若手による業績を、賞選考委員会特別賞は国際開発に関する実務、政策、啓発への貢献を表彰します。毎年度5月頃に、公募がはじめられます。

      ポスター表彰は、春季大会と全国大会のポスターセッションにおける優れた発表を表彰するものです。

      メンバー

      • 委員長:三重野文晴(京都大学)
      • 委員:萱島信子(国際協力機構)
      • 幹事:受田宏之(東京大学)、小山田英治(同志社大学)*、後藤健太(関西大学)、西村幹子(国際基督教大学)

      (*2021 年度の学会賞の選考には不参加)

      関連情報




      学会賞

      『国際開発学会賞』について

      種類

      以下の4つの賞を設けています。

      学会賞

      国際開発の分野での極めて優れた研究で、国際開発研究の発展に重要な学術的貢献が認められる作品に対する賞。

      奨励賞

      若手研究者及び実務家による業績で、優れた将来性のある作品が対象となる賞。

      論文賞

      国際開発の分野における極めて優れた論文を対象とする賞。

      賞選考委員会特別賞

      「学会賞」「奨励賞」の基準には該当しなかったものの、特に顕彰すべき作品があった場合に与えられる賞。

      応募要件

      審査対象文献

      (a) 前々年1月1日から当該年6月30日まで(2年半)のあいだに公表された著作もしくは論文

      (b) 審査対象となる期間に刊行された『国際開発研究』掲載の研究論文(原著論文および総説)・研究ノート調査研究報告

      • 単独研究・共同研究の別は問いません
      • 執筆者:国際開発学会の会員であること(共同研究の場合には主たる執筆者が会員であること)
      • 使用言語:日本語または英語
      • 同じ作品の審査は1回限り
      • 自薦・他薦を問わない

      応募方法

      毎年指定する応募期間内に、所定の宛先に以下のものを送付すること。

      • 応募用紙(指定書式をダウンロード):1作品につき1枚
      • 当該著作:5部(本についてはオリジナル1部、残り4部はコピーでも可)
      • 当該論文:5部(全てコピーでも可)
      • 電子媒体がある場合はあわせて提出

      応募用紙

      応募用紙は以下のリンクからダウンロードして取得してください。

      • 2023年度『国際開発学会賞』応募用紙(word)

      審査方法

      賞選考委員会が、応募のあった著作・論文と『国際開発研究』に掲載された作品を審査し、各賞候補を決定します。

      その後、賞選考委員長が審査結果(候補作品)を常任理事会、理事会に諮り、各賞の受賞作品が決定されます。

      賞選考内規

      1. 会員の研究を奨励し、研究成果の顕彰並びに広報を目的として、国際開発学会では賞を設ける。審査対象は、国際開発にかかわる諸問題に関する研究成果をとりまとめて出版された著作および論文(i)とし、単独研究・共同研究の別を問わない。使用言語は日本語または英語とする。
      2. 賞には、「学会賞」「奨励賞」「論文賞」「賞選考委員会特別賞」を設ける。
      3. 学会賞は、国際開発の分野での極めて優れた研究であり、国際開発研究の発展に重要な学術的貢献が認められる作品を対象とする。
      4. 奨励賞は、若手研究者及び実務家による業績で、優れた将来性のある作品を対象とする。
      5. 論文賞は、国際開発の分野における極めて優れた論文を対象とする。
      6. 上記3,4の賞の基準に該当しないが、特に顕彰すべき作品があった場合は、賞選考委員会特別賞を授与することができる。
      7. 対象文献の執筆者は、国際開発学会の会員であることを要する。共同研究の場合には、主たる執筆者が会員であることを要する。ただし、審査委員会が特に必要と認めた場合には、その限りではない。
      8. 学会賞の選考は年1回とし、審査対象文献は、(a)前々年1月1日から当該年6月30日まで(2年半)に公表され公募に応募された著作もしくは論文(『国際開発研究』に掲載されたものを除く)、および(b)直前の学会賞選考の対象になった巻号以降で前年12月31日までに刊行された『国際開発研究』掲載の研究論文(原著論文および総説)・研究ノート・調査研究報告とする。
        ただし、同じ作品は1回のみ審査する。公募に対する応募者は、別途定める応募期間内に、所定の宛先に、当該著作5部(原本1部、残りはコピーで可)を送付すること。自薦・他薦を問わない。
      9. 賞選考委員会は、応募のあった著作・論文および『国際開発研究』に掲載された作品を審査した上で各賞候補を決定し、その結果を会長に報告する。賞選考委員会委員長は、必要に応じ、同委員会の委員以外の者に意見を求め、審査を依頼することができる。
      10. 委員長は、審査結果を常任理事会、理事会に諮り、各賞の決定を行う。各賞の表彰は、国際開発学会全国大会会員総会において行う。

      (i) ここでいう「出版された著作および論文」とは、ISSNまたはISBN番号が表示された定期刊行物および書籍を指すものとし、論文の場合は査読を経たものとする。

      附則
      2020年 4 月 5 日改訂

      本内規は、2022年 11 月26 日再改訂し、同日より施行する。

      これまでの受賞作品

      過去の受賞作は以下のページでご覧いただけます。


      学会賞に関するお問い合わせ先

      国際開発学会・賞選考委員会事務局




      2020年度学会賞

      加治佐敬

      『経済発展における共同体・国家・市場―アジア農村の近代化にみる役割の変化』日本評論社2020年.


      奨励賞

      谷口美代子

      『平和構築を支援する―ミンダナオ紛争と和平への道』名古屋大学出版会 2020年.

      高柳妙子

      『Informal Learning and Literacy among Maasai Women: Education, Emancipation and Empowerment』Routledge、2020年.


      賞選考委員会特別賞

      萱島信子・黒田一雄

      『日本の国際教育協力―歴史と展望』東京大学出版会 2019年.

      応募くださった皆様、誠にありがとうございました。選考委員一同、応募作を拝読し、本当に沢山のことを学ばせていただきました。

      2020年度・賞選考委員長 伊東早苗




      優秀ポスター発表賞(2020年全国大会)

      優秀賞

      近藤加奈子

      『利用からみる住民の水の選好―モザンビーク農村における水源の多様性と選択に着目して―』


      奨励賞

      隅田姿

      『日本教育における持続可能な開発のための教育(ESD)とグローバル市民教育(GCED)-学習指導要領の内容分析―』




      2019年学会賞受賞作品

      奨励賞

      橋本憲幸

      『教育と他者―非対称性の倫理に向けて―』春風社  2018年.


      特別賞

      岡部恭宜編

      『青年海外協力隊は何をもたらしたか―開発協力とグローバル人材育成50年の成果―』ミネルヴァ書房  2018年.




      優秀ポスター発表賞(2019年春季大会)

      山口(上舘)美緒里

      初等教育におけるICTを活用した遠隔教員研修の成果と課題―バングラデシュのNGO校におけるe-learning研修を事例として―


      田中志歩(奨励賞)

      バングラデシュ丘陵地帯の少数民族における教育開発の可能性と課題―小規模少数民族クミによるノンフォーマル教育学校運営の事例より

      太田美帆(奨励賞)

      陸前高田とゼミ活動の8年間―変わりゆくニーズとの試行錯誤の軌跡―




      優秀ポスター発表賞(2019年全国大会)

      Wang Kexin

      Household Financing on Secondary Education in Cambodia: An Analysis of Household Over-indebtedness on Public Schooling and Supplementary Tutoring

      Thomas Kloepfer

      大麻草産業化による貧困削減のための規制と政策:西ネパール山岳コミュニティーの事例


      羽間久美子(奨励賞)

      タイにおけるSufficiency Economy Philosophyに基づいた教育の効果と課題




      2018年学会賞受賞作品

      奨励賞

      芦田明美 

      The Actual Effect on Enrollment of “Education for All”: Analysis Using Longitudinal Individual Data, Union Press, 2018


      奨励賞

      内海悠二

      「生徒の紛争経験を考慮した教育効果に対する学校要因の分析―東ティモールにおける紛争と全国学力試験を事例として―」『国際開発研究』第26巻・第1号 2017年6月


      特別賞

      (会員執筆者:湖中真哉・内海成治・島田剛他)

      湖中真哉・太田至・孫暁剛編『地域研究からみた人道支援―アフリカ遊牧民の現場から問い直す―』昭和堂 2018年




      優秀ポスター発表賞(2018年全国大会)

      Yiqiong Mai

      ”The Influence of Interactive Learning Materials on Self-Regulated Learning Processes and Outcomes of Primary School Teachers in Mongolia.”


      奨励賞

      飛田八千代

      『セネガルにおける食料消費の傾向について―サンルイ市の女性消費者調査より―』

      薗畠ひとみ

      『熱帯地域における廃棄物起因のベクター発生対策に関する研究―パナマのデング熱とジカウィルス感染症を中心に―』

      畑杏奈

      “Examining the Relationship between Parent Characteristics and Parent Involvement in Early Childhood Education in Cambodia.”