発表者募集:日本評価学会「社会実験分科会-2024年度研究報告会」6月29日開催(会員・一般)

『エビデンスに基づく実践のグローバルトレンド』+自由論題3本

過去4年連続で実施しております社会実験分科会の研究報告会を今年度も実施致します。

昨年度は133名の参加申込があり88名が参加されました。

例年通り、「自由論題」(3枠)も設定して、定量分析・定量評価の実践報告および研究の発表の機会も設けております。

この機会に発表を希望される学会員の皆様はぜひお申込みください。

また分科会大会の参加希望者もお申込みください(Zoomでのご参加)。

開催主旨

今回の研究報告会は、エビデンスに基づく実践に関する最新のグローバルトレンドのいくつかを紹介して議論致します。

また、例年通りに自由論題セッションも開催して、幅広くエビデンスに基づく実践の研究成果をご発表いただく場と致します。

指定討論者も置き、成果は日本評価学会の本体にも提出される、正式な学会発表の場となります。

主催

日本評価学会-社会実験分科会

日時

2024年6月29日(土曜)10:00〜14:00(最大)

場所

リモート(Zoom)

研究報告者は大学会議室(早稲田大学を予定)に集合しての発表を前提としますがZoomでの発表もできます。

プログラム

10:00-10:10 
開催挨拶(田辺智子・社会実験分科会長)

10:10-12:20
『特集号に向けた概要の報告』

<このセッションの主旨>
学会誌「日本評価研究」, Vol.1の特集号の投稿予定の学術論文のアイディアを発表して議論します。

  • 田辺智子(早稲田大学)『EBPMにおける質的研究のエビデンス』
  • 正木朋也(北里大学)『変化の理論(Theory of Change)で考えるエビデンス: ミクロとマクロとその狭間』
  • 林庸平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)『日本のEBPMはなぜ機能しないのか?日米の比較からの考察』
  • 森俊郎(名古屋大学)『教師のエビデンスリテラシーの育成に関する研究』
  • 佐々木亮(国際開発センター(IDCJ))『社会的インパクト評価とインパクト評価の関係と最近の動向」
  • さらにもう一名打診予定(仮)
    発表6本x20分(発表15分+質疑5分)

12:20-13:50
『自由論題』

<このセッションの主旨>
分科会員に限らず定量的な評価・分析に実践報告や研究報告を募集します。

分科会員が討論者としてつきます。学会本文に発表の実績を報告しますので、正式な学会報告として認められます。

最大3本x30分(発表20分+質疑10分)

  • 自由論題発表1『対人支援の評価におけるパラダイムシフトの提案』(仮)津富宏
  • 自由論題発表2『(未定)』
  • 自由論題発表3『(未定)』

13:50-14:00 
閉会挨拶(正木朋也・北里大学)

参加費用

前回に引き続き無料

参加申し込み方法

参加あるいはZoom視聴を希望される方は以下をクリックして必要事項を記載して6月24日(月曜)までにお申し込みください。

自由論題の発表申込

自由論題で発表を希望される方は以下をクリックしてMSワードフォームにご記入のうえ、ご提出ください。(期日:2024年5月末)

『自由論題の発表申し込みフォーム』


本件にかんするお問い合わせ先

日本評価学会-社会実験分科会
(事務担当:佐々木亮)

  • (a) (メールを出す場合には (a)を@に変えてください)

【日本評価学会-社会実験分科会および協力者(本大会運営チーム)】
田辺智子、森俊郎、正木朋也、津富宏、河野摂、佐々木亮

【社会実験分科会の設立主旨と活動実績】
日本評価学会の分科会のひとつである社会実験分科会(2001年設立)は、定量的な評価により政策決定のための判断材料を提供することを目的として活動しています。社会実験分科会では、日本における定量的評価の普及と発展に資するために本研究会を企画しました。また、志を同じくする研究者が集い情報交換することも目的としています。正式な設立趣旨は、このウェブサイトの一番下の脚注『社会実験分科会の設立趣旨(2001年設立趣旨設定、2021年9月改訂)』をご覧ください。

  • 2023年度の分科会大会のウェブサイト
  • 2022年度の分科会大会のウェブサイト
  • 2021年度の分科会大会のウェブサイト
  • 2020年度の分科会大会のウェブサイト



全国・春季大会時の子育て中の会員支援について

国際開発学会では、多様な背景やニーズを持った会員の闊達な研究活動を促進したいと考えています。

大会のセッション会場に子ども連れで入室・発表しても構いません。

ただし、発表や議論の進行を大きく妨げないよう配慮をお願いします。

育児中の学会員の方々が参加しやすい環境づくりとして、どの大会でも、会場付近にお子さんの授乳、おむつ替え、子守り、食事、昼寝等ができるキッズスペース(子連れ休憩所)として使える部屋を用意するよう努めます。

キッズスペースで起きた事故等に関して、学会・会場施設では責任を負いません。

尚、個別の大会での対応の詳細については、当該大会ホームページをご覧ください。

また、大会参加のために民間の託児サービスを利用される会員に、託児費用助成制度(一大会・会員一人当たり5,000円まで)もあります。

託児費用助成の利用は原則、事前申し込み制となっておりますので、希望する会員は、オンラインでの大会参加申し込みの際に申告欄の記載を忘れないようにお願いいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

大会組織委員会




第25回春季大会:入会と発表申し込み〆切の延長【第3報】

2024年6月15日に予定されている国際開発学会第25回春季大会につきまして、第2報MLの発信が遅れていましたことに鑑み、新規会員の方の入会申込期限を3月7日(木曜)に延長するとともに、発表申し込み受付期限も3月25日(月曜)に延長します。

新規入会の方もこの機会に是非、ご発表に奮ってお申込みください。

発表申し込み受付期間:

2024年2月16日(金曜)~ 3月25日(月曜)*

発表申し込みについて

発表申し込みできるのは、以下の会員です。

【新規会員】

  • 2024年3月7日(木曜)*までに入会申込を完了していること。
  • 入会承認後に速やかに年会費を支払い、発表申込期間終了日の3月25日*時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

入会申し込みに関しては、こちらをご確認ください。

【現会員】

発表申込期間終了日の3月25日*時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

会費が未納の場合は、から会費を納入のうえお申し込みください。

発表に関する詳細は、大会HPをご確認ください。

  • 大会HP()
  • 発表申し込みURL()

今後のスケジュール

  • 新規会員の入会申し込み期限:3月7日(木曜)*
  • 発表申込締切:3月25日(月曜)(厳守)*
  • 大会参加登録開始:4月5日
  • 採否結果通知:4月下旬
  • 大会参加登録締切:5月15日
  • 報告論文提出期限:5月22日

本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第25回春季大会
大会実行委員会・実行委員長
阪本 公美子

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



JASID第25回春季大会:発表申し込み開始のお知らせ【第2報】

第25回春季大会HPが公開されています。

第25回春季大会の発表申し込みを開始いたしました。

例年通り、

(1)口頭発表(自由論題)、

(2)ポスター発表、

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

を募集いたします。

(1)、(2)、(3)とも、皆様の日頃の研究成果にもとづく発表を広く募集します。発表言語は日本語もしくは英語とします。奮ってご応募ください。

★申し込み受付期間: 2024年2月16(金曜)~3月25(月曜)

(1)口頭発表

学会員が申請し、個人もしくは複数人で発表頂きます。当日登壇できるのは学会員に限定されます。共同研究者は学会員であることが望ましい。発表時間は20分です。

(2)ポスター発表

学会員が申請し、ポスターを用いて研究内容を発表頂きます。発表者と聴衆が直接、自由に対話できます。

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

  • 企画セッションは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて複数の研究報告を行います。申請の際に、座長1名、コメンテーター2名を提案頂きます。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体および登壇者それぞれの発表要旨を提出頂きます。
  • ラウンドテーブルは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて、座長、話題提供者の発表のもと、双方向的な討論を行います。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体の要旨を提出頂きます(登壇者の発表要旨は任意)。

1.発表申込について

発表申込の関連情報は、大会HP内の以下のページにまとめております。発表を検討されている方は内容をご確認頂き、申込手続きを進めて下さい。

★発表申込概要

URL:

発表区分により、発表者の条件は異なります(詳細は大会運営内規の別表を参照)。

内規:

発表申し込みできるのは、以下の会員です。

【現会員】

発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

会費が未納の場合は、
から会費を納入のうえお申し込みください。

【新規会員】

2024年3月7日(木曜)までに入会申込を完了していること。

入会承認後に速やかに年会費を支払い、発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

入会申し込みに関しては、こちらをご確認ください。

2.発表申込先

  • 発表の申込は、以下の「発表申込URL」からオンラインでご提出ください。
  • お申込みに際し、申込用のアカウントを取得していただきます。URL先のマニュアルをご確認いただき、登録をお願いいたします。2022年度全国大会・2023年度春大会・全国大会に申し込みをされたことがある方は、既にアカウントを持っていらっしゃいます(その場合も、アカウント情報の確認を求められる場合があります)。
  • 申込用のアドレスは、学会のマイページにログインいただく際に利用いただいているメールアドレスをご利用ください。本サイトは、学会のマイページの会員情報と紐づいており、同じメールアドレスを使用することで、お申込時に氏名や所属先等の情報をご記入いただく必要がなくなります。
  • オンラインセッションでの発表をご希望の場合には、申込み時に希望発表形式を問われますので「オンライン発表」をご選択ください。

★発表申込URL:

3.大会の開催形態について

  • 第25回春季大会は、昨年度春季大会・全国大会に続き対面開催とし、ハイブリッドでの実施は致しません。
  • パラレルセッションのうちの一部をフルオンライン開催と致します。こちらについては、海外・遠方等の理由がある場合、オンラインにてご参加頂くことを可能な限り調整致します。
  • 大会会場にてオンラインセッションに参加頂く場合は、ご自身のパソコン・タブレット等からログインして頂きます。

4.大会参加について

  • 大会参加申込は4月初旬から開始する予定です。
  • 大会参加費は、クレジットカード払いのみとさせていただきます。
  • 大会報告論文集の印刷の配布はありません。参加費を支払った方のみ、論文集を事前にオンラインで入手することができます。

5.今後のスケジュール

★発表申込締切:3月25日(月曜)(厳守)
・大会参加登録開始:4月上旬
・採否結果通知:4月下旬
・大会参加登録締切:5月15日
・報告論文提出期限:5月22日


本件にかんするお問い合わせ先

第25回春季大会実行委員会
大会実行委員長:阪本公美子(宇都宮大学)
事務局長:飯塚明子(宇都宮大学)、藤井広重(宇都宮大学)

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



宇都宮大学「2024年度・第25回春季大会開催のお知らせ」6月15・16日開催【第1報】

2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

地域発! 国際協力と共創の実践~グローバル・グローカルな人材育成
Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local
Context; Global & Glocal Human Resource Development

  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮予定
  • 方式:対面(一部オンライン)
この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮のLRTや餃子、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

【スケジュール】

  • 2月 1日:ホームページ公開予定()
  • 2月中旬:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締切
  • 4月上旬:大会参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月15日:大会参加登録締切
  • 5月22日:報告論文提出締め切り

【発表申込要項】

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • ・発表者は、国際開発学会会員であることが必要
    学会入会申請:
    会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること

※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。
なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。

※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する
  • 企画セッション:各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること
  • ラウンドテーブル:企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

【発表申込】

  • 申込期間:2024年2月中旬~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

キャンパス内には「宇都宮大学まなびの森保育園」があり、当日の学童保育(0歳~小学6年生)にも対応可能です。詳細は追って案内します。

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学共同教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン科学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊地翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於茄(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

 


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



会長挨拶(2024年2月)

2023年11月の総会で12期会長を拝命しました名古屋大学の山田肖子と申します。

2026年総会まで、約3年間、皆様に気持ちよく、やりがいを持って関わっていただける学会になるよう、努めて参りたいと思っております。前任の佐藤仁会長をはじめ、この学会をこれまで作り上げてきた常任理事、理事経験者の礎と志を継ぎつつ、国際開発や学術を取り巻く今日の状況にみあった改革も進めていきたいと思っています。

今期の方針は

  1. 国際開発学の再定義
  2. 多様性からのシナジー
  3. ワクワクの創造

です。

まず1点目の “国際開発学の再定義” は、変化の節目を、この学問分野の発展に活かす発想です。

1990年に学会が設立されて30年以上が経ち、国際開発を取り巻く環境も大きく変わっています。今年(2023年)に改定された開発協力大綱をみると、援助国-被援助国の垂直的な関係が多極化し、開発の主要アクターとしての国家の在り方が揺らぐなか、日本社会でのODAの捉え方も大きく変わっていることが分かります。

また、持続可能な開発が標ぼうされ、「国際開発」が目指す人道的で公共の利益の実現についても、誰にとって何が望ましい状態なのかが一元的に語れなくなりました。昨今の地政学的な危機やコロナ禍を経て、「国際開発」が国内や先進国と切り離された途上国の課題だという発想も陳腐化しているように思われます。

そうした変化の局面で、研究がどんな役割を果たすのか、実務者と研究者が集うこの学会がどんな場になっていくのか、皆さんと一緒に創り、考えていけたらと思っています。

2点目の “多様性からのシナジー” は、学問分野や職業、属性の違いを尊重しながら、相乗効果を生むことです。

私自身は、この学会では初めての女性の会長です。しかし、性別に限らず、世界の様々な状況での人々と関わってきたこの学会の会員の皆さんは、きっと何かしらの属性においてマイノリティになった経験や、そうなる人々に関わったことがあるでしょう。他者との違いをいかに尊重するかは、国や社会の違いを超えて国際開発学の本質を問う姿勢にもつながると思います。学問の再定義をするためには、まず我々の活動の場である大会や研究部会、学会誌などが、多様性から前向きな化学反応を生む場でありたいと思います。

12期では、障がいを持った学会員への合理的配慮を進めるべく、以前から準備を進めていた山形辰史元会長をはじめとするメンバーが、ワーキンググループを立ち上げています。

また、研究面では、学際的なこの学会にふさわしく、様々なディシプリン、研究テーマ、手法、研究対象地域、所属機関の人々が、いつも同じ顔ぶれとだけ交流するのでなく、越境し、協働してくことが重要です。

どうすればそのようなシナジーが生まれるのか。それは、まずこの学会が、会員の皆さんにとって、「あそこに行けば、いつもとは違う学問的刺激がもらえる、新しい発想が得られる、面白い人に出会える」、そういう期待感を抱き、しかもそれを裏切らない経験をできる場になることだと思います。

ですから、この3年間、私を含め、12期の役員たちは、ここをワクワクする場にするために全力を尽くしたいと思います。

学術大会が、その開催を引き受けてくれる開催校にとって、作業負担の多さに圧倒されるのでなく、自分たちならではの魅力や研究、地域社会との関わりなどを発信できる機会となるよう、サポートしていきます。

また、良い研究をしている若手や、国際開発学会では従来あまり紹介されてこなかったような分野やその研究者にも注目が当たるよう、学会賞、学生論文コンクールなどを選考に注力するとともに、広報メディアを通じた受賞者の紹介や学会内外の活動への参加奨励なども進めたいと思います。

萌芽的、実験的な研究アイディアを持った会員が本学会の研究部会を立ち上げ、学術大会での企画セッションや学会誌での論文発表につながるような道筋も積極的に示していきたいと思っています。

学会で既に活動している人だけでなく、国際開発や地域の開発課題に取り組んでいる潜在的な関心層にリーチしていくイベントや仕組みも検討しています。

こうした盛りだくさんの活動をどこまで実現できるか?それは、我々役員自身がその活動を楽しみ、それが会員の皆さんにどこまで伝播していくかに依るかもしれません。

学会の運営は大いなるボランティアである、と佐藤前会長がよく言っておられました。我々は、直接的対価のためではなく、自分たちを育ててくれたこの学会が、今後も会員にとって自らの研究を発信し、先輩や他の会員からコメントをもらったり意見を交わしたりする中で成長する場であり続けるために貢献したいという思いでやっています。

会員の皆さんにワクワクしてもらう場をつくるために、まず我々役員が、「次は何をしよう、こうなったらもっといいんじゃないか?」と提案し、アクションを取る、そんな12期でありたいと思います。そしてそんな役員に対して、会員の皆さんからもアイディアを寄せていただければ幸いです。

第12期国際開発学会
会長 山田 肖子




第34回全国大会セッション報告(一般口頭発表)

一般口頭発表


1C:教育(日本語)

  • 座長:小川 啓一(神戸大学) 
  • コメンテーター:坂上 勝基(神戸大学)、黒田 一雄(早稲田大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)
  • 聴講人数:32名

第1発表:[1C01] ケニア農村部の初等教育の公正性と包摂性―公立と私立の二項対立分析の再考

西村 幹子(国際基督教大学)

西村会員は、ケニア農村部の初等教育において、それぞれの学校を率いる校長やシニア教員が公正性や包摂性をどのように捉えているかについて発表した。

学校の公正性と包摂性は、校長や教員の背景にある考え方や経験、マサイ族の文化、地域との関係性に依っており、必ずしも私立校、公立校という二項対立軸で捉えられるものではないことを明らかにした。

これに対して、コメンテーターの黒田会員から、私立-公立という二項対立軸ではなく、それぞれの学校運営を支えるコミュニティや民族の文化、校長や教員のこれまでの経験に関するインタビュー調査の分析に基づく、本発表のユニークネスについての評価がなされた。

第2発表:[1C02] 授業形態別にみた教育効果の検証:バリ島における環境教育を事例に

栗田 匡相(関西学院大学)

第二発表では栗田会員から、バリ島における環境教育を事例にして、授業形態別による教育効果の差について検証した研究成果の報告が行われた。

座学のみと比べて、地域における体験型の環境学習を組み合わせた形態によって授業を提供する方が、教育効果が中長期間継続することを示した。

これに対し、コメンテーターの坂上会員は、環境教育の効果を実証した本研究のSDGs時代における重要性を強調した上で、対照群と処置群の選定方法について確認する質問を行った。

また、環境問題に関する児童の認知能力向上のみならず、介入が環境保全状況の改善に与える効果まで検討する、今後の研究の展開の可能性についての指摘がなされた。

第3発表:[1C03] 現状に見るミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育の課題 

牟田 博光(国際開発センター)

第三発表で牟田会員は、新型コロナウイルスと軍事政権の成立という二重のショックを受けたミャンマー連邦共和国の基礎・高等教育における現状と課題について、発表した。

教員研修の重要性、学力低下の危惧、人的資源蓄積の滞り、混乱収束後の課題が示された。

これに対して、コメンテーターの黒田会員は、日本が長年援助してきたミャンマーにおいて、教育システムが不安定になっている状況について言及した。

また、本発表で使用されたデータの貴重性を強調した上で、今後学術論文として世に公開されることへの期待を述べられた。

第4発表:[1C04] コートジボワールの初等教育における非認知能力の視点からみた教育の質

小松 勇輝(大阪大学大学院)

第四発表では小松会員から、コートジボワールの初等学校に通う児童の非認知能力、特に自己効力感と教育の質に関する報告がなされた。

学校内の児童-教師間のインタラクションと職業教育における徒弟制が、児童の自己効力感の涵養プロセスに関与していることが、主に参与観察を用いた長期間のフィールド調査によって明らかになった。

これに対してコメンテーターの坂上会員は、初等教育を対象とする研究の中で、公立校とインフォーマルセクターである職業教育の事例のみ取り出して、並列にして分析をすることの妥当性について質問した。

また、学術的蓄積が比較的乏しい西アフリカにおける、本研究の意義の大きさについても言及した。

【総括】

本セッションでは、ケニア、インドネシア、ミャンマー、コートジボワールにおける教育の現状や課題、最新の動向についての研究成果が報告された。

コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質問やコメントが挙がり活発な議論が行われ、発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

報告者:小川 啓一(神戸大学)

1D:若者と雇用(日本語)

  • 座長:吉田 和浩(広島大学) 
  • コメンテーター:狩野 剛(金沢工業大学)、谷口 京子(広島大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B108 (紀尾井坂ビルB108)
  • 聴講人数:00名
  1. [1D01] ウガンダにおける社会的遺児の強いられた自立と職業訓練
    *朴 聖恩(京都大学大学院)
  2. [1D02] アフリカによるアフリカのための研修-ケニアの気候変動の脅威に対する第三国研修の実施を通じたサブサハラアフリカ諸国への貢献-
    *本庄 由紀(ケニア国技術協力プロジェクト)
  3. [1D03] ケニアにおけるコンピテンシーにもとづくカリキュラム改革-導入の背景と新たな課題-
    *大塲 麻代(帝京大学)

【総括】

報告者:吉田 和浩(広島大学)

1E:経済(日本語)

  • 座長:西浦 昭雄(創価大学) 
  • コメンテーター:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)、會田 剛史(一橋大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)
  • 聴講人数:16名

第1発表:[1E01] 中国における地域の教育格差: CHFSに基づくジニ係数の分解分析

李 鋒(中央大学大学院)

コメンテーターの會田会員より、質の高い研究であり、都市・農村内の教育格差が都市と農村間の教育格差より大きいことを示した点がユニークである一方で、①どのような仮説を検証したいのか、なぜそれが重要なのか、先行研究の中でどのような貢献があるのか、といった研究課題を明らかにすべき点、②都市・農村内での教育格差が拡大した理由まで掘り下げる点、③2014年度の制度改革による教育格差の是正に関する効果を分析する点、のコメントがあった。

これに対して、李会員より、先行研究では都市に住んでいる農村出身の人々の格差までは計測できていないと回答した。

フロアからの質疑応答では、修学年数をジニ係数で計測した先行研究の存在や格差を示す値の目安、農村戸籍から都市戸籍にコンバージョンするプロセスについての質問があった。

第2発表:[1E02] 生成系 AIの勃興がもたらす開発途上国への影響の考察:機会と脅威

内藤 智之(神戸情報大学院大学)

コメンテーターの山形会員より、生成系AIがアフリカの労働者・農民にとって脅威なのか、それとも機会なのかという議論を経済学の代替性と補完性に分けて考えると、新技術が一般的労働者の補完的になったバングラデシュ縫製業による事例からも、一般的労働力(非熟練労働)が生成系AIによって補完的になることがアフリカ貧困削減につながることになるとのコメントがあった。

これに対し、内藤会員からは、過去のインターネットの経験から考察すると、アフリカの雇用とAIをトレードオフではなく、ポジティブな関係だと捉えていること、補完的になれるよう今後の20年を考えるための政策提言を考えていきたい、そのため農業の中では小作農のリテラシー教育が重要性をもつのではないかと、いう回答があった。

次にフロアより、大規模言語モデルではマイナー言語の蓄積が少なくなるので言語による格差が広がるのではないかという質問があった。

第3発表:[1E03] 農産品サプライチェーンにおける多様な連帯:グローバルノースとグローバルサウスの歯車

楊 殿閣(ソリダリダード・ジャパン)

コメンテーターの山形会員より、発表では社会的連帯経済を形成するために、インドネシアのパーム油とインドのコットンを事例に国際NGOであるソリダリダードの役割について考察しているが、その役割は研究や技術協力であり、買い付けや販売組織をもっているわけではなく、ユニリーバやサラヤといった買い付けを行う企業にとってソリダリダードはどのように評価されているかを視点に加えていくべきではないかというコメントがあった。

これに対し、楊会員より、植物油を使用する企業は人権や環境保護の観点からサプライヤーとの関係に注力しているが、農業生産を専門にしているわけではないため、農業が持続可能性を保つために小農、農法支援の面で市民社会と企業のパートナーシップをとる事例が増えているとの回答があった。

フロアからの、消費者の行動変容の視点、現地政府主導の認証システム、開発途上国発の加工企業の場合のグローバルノースとグローバルサウスの立て分けについてのコメント・質問があった。

【総括】

経済分野のセッションとして、中国の都市・農村の教育格差、生成系AIによるアフリカ雇用への影響、グローバルノースとサウスの社会的連帯経済の形成など広い観点から発表され、活発なコメントならびに質疑応答があった。

そこでは国際開発を考える上での新しい視点が多く提起されるなど、有意義なセッションであったと総括できる。このセッションを萌芽としてこれらの議論が発展することを願っている。

報告者:西浦 昭雄(創価大学)

1H:水と衛生(日本語)

  • 座長:杉田 映理(大阪大学) 
  • コメンテーター:西野 桂子(関西学院大学)、緒方 隆二(国際協力機構)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-108 (紀尾井坂ビル108)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1H01] バングラデシュ南西沿岸部における世帯単位の給水サービスの可能性-ポンド・サンド・フィルターと逆浸透膜給水装置の比較から-

山田 翔太(立教大学)

バングラデシュ沿岸部の水源管理および支払い意思に関しての研究であり、今後の現場での国際協力の方法を考える際に有用な研究発表であった。その点を評価したうえで、コメンテーターからは次のコメントがあった。

1)給水施設の区分に関して、公共の水源(コミュニティ型水源)、個人単位で設置や運営できる水源、ビジネスを通じた給水サービスの3区分に分けるべきではないか?また、その上で先行研究をもとにそれぞれの長所、短所をまとめると分かり易い。

2)結論に関して、一般化しすぎているようにも見える。例えば、PSFでもうまくいっている事例もあるはずであり、ビジネスを通じたサービスでもうまくいっていない事例もあるのではないか(もしくは収入によって支払い意思が低い層の存在もあるだろう)。

3)コミュニティ型水源にもPSF以外に深井戸や小規模水道もあり、今回の1カ所のPSFを通じた調査結果や教訓をすべての公共の水源に適用できるかは疑問が残る。

第2発表:[1H02] 住民は手押しポンプをどのように用いるのかーモザンビーク北部農村における水源の多様性と季節性に着目してー

近藤 加奈子(京都大学大学院)

コメンテーターからは、モザンビーク農村住民の複数水源の利用状況、季節による水源利用の違いを明らかにしようとしている興味深い研究であったと評価された。

一方で、次の点が指摘された。分析の方法を多少改良する必要があること。まず、いくつかの種類の水源を調査対象としているが、水源の客観的なカテゴリーを明らかにした上で比較検討する必要がある(JMPによるカテゴライズ:Improved or Unimproved もしくはSafely managed, Basic, Limited, Unimproved)。

住民が複数の水源を使う場合は、水源によって使い方(例えば飲料用、料理用、その他)が異なるはずであり、データがあれば具体的使い方も含めて分析すべきではないか。また、提言は具体的な例を入れた方が良い(従来の水源の改良が望ましい→例えばどのような改良?)。

さらに、用語に関しても、「手押しポンプ」→「深井戸」もしくは「手押しポンプ式深井戸」、水源は「メイン、サブ」ではなく、「飲料用、料理用、その他」で分けた方が良いのではとの助言があった。

第3発表:[1H03] ベトナム農村部における浄水需要:個別家庭型アプローチの有効性

黒川 基裕(高崎経済大学)

コメンテーターから、ヒ素除去が可能となる小型浄水ボトルの商品企画・開発」を通じて、ハノイ近郊農家のヒ素問題が解決できるかの実証実験を試みた意欲的な研究であると評価したいこと、また、援助ではなく、BOPビジネスを検討している点が経済発展が著しいベトナムに適していると考えられることが示された。

サブスクリプション形式とし、ラテライトのフィルターを回収するところまで寛がられており、今後に対して示唆が多いとのコメントもフロアからもあった。

第4発表:[1H04] 市民参加と情報公開を通じた統合水資源管理、環境管理分野の協力アプローチの可能性

大塚 高弘(独立行政法人国際協力機構)

「参加型の取り組みを効果的に活用する協力アプローチとは?」という問い、すなわち、「JICA・カウンターパート・住民(社会)の三方よしの協力アプローチが作れないか?」という問いに対する実践的な研究であるとコメンテーターから評価された。

また、行政から市民への情報公開の重要性は明らかである一方、タイとボリビアの2案件において参加のはしごの参加のレベルをどのように評価できるのか、質疑応答がなされた。

【総括】

個人発表枠で「水と衛生」というセッションが組めたのは、国際開発学会では久しぶりであり、非常に中身の濃い、有益なセッションとなった。

安全な水の確保を目的としながら、給水のしくみとしは、ポンド・サンド・フィルター、逆浸透膜給水装置、手押しポンプ付き深井戸、小型浄水ボトルと多様であり、水分野研究の奥行きを示すセッションであった。

また、すべての発表に共通して、住民が、それぞれの活動にどのように参加する(サブスクも含め)のかが議論されており、重要課題であることが確認された。

報告者:杉田 映理(大阪大学)

1L:海洋文化・先住民族(日本語)

  • 座長:関根 久雄(筑波大学) 
  • コメンテーター:佐藤 敦郎(九州大学)、東方 孝之(アジア経済研究所)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:13名

第1発表:[1L01] 開発に直面する先住民族の協議・ FPICに関する国際比較研究プロジェクトの構想

寺内 大左(筑波大学)
小坂田 裕子(中央大学)
深山 直子(東京都立大学)

コメンテーターから、インドネシアの一民族であるダヤックを事例として取り上げた分析からはどの程度の一般化が可能なのか、多民族国家インドネシアに注目することにより分析を拡張できる可能性、そして地方政府の特徴に注意する必要性、といった指摘や質問があった。

これらに対して、事例研究としてダヤックに注目する(インドネシアの代表例として位置付けることは重視していない)ことや、アクターとしての地方政府についても注目する予定であることなどの回答があった。

また、「国連宣言の中には『継続的な協議』という文言がなく、FPICにおける『同意』が『契約』に近いことから、将来、予想外の悪影響が生じても『同意』が縛りとなり、先住民族に悪影響を強いる危険性がある」という発表内容について、フロアから国連宣言やFree Prior and Informed Consent((FRIC)の中に”Continuous”という文言を加える方法は取れないのか、という質問があり、それに対して、すでに採択された文言なに改良を行うことは非現実的であり、目の前で生じている事態に対する短期的・即効的な方策を考える必要がある、という応答があった。

第2発表:[1L02] コミュニティベース海洋環境教材の国際ネットワーク化に関する研究

小林 かおり(椙山女学園大学)

里海とは人が環境にアクセスすることであり、利活用が必然だとすれば、ゴミの海洋投棄は必要悪とも言える現象ではないのか。

「そういうもの」という発想に立脚して里海のあり方、環境教育のあり方、漂着ゴミ問題を考えることはできないか、という質問に対し、自然と人間との関係性の観点からそういう見方はありうるが、現状はすでに必要悪の次元を超えていて、改善すべき課題として直視しなければならないところまで来ており、その意味からも環境教育の必要性は待ったなしの状態にある、という趣旨の応答があった。

また、「海外と日本」の海洋環境教育といった具合に対象を二項対立的に捉えているのではないかという質問があり、それに対し、「先行研究において(海洋に限らず)環境保護は欧米と日本の捉え方は異なっていて二項対立的に捉えられ書かれる傾向があるものの、海洋環境教材はそのような発想で書かれているわけではない。

なぜなら、台湾の場合も日本と同様に「海洋環境の持続可能性」に焦点を当てた海洋環境教材が主流であるから」という回答であった。

第3発表:[1L03] 諫早湾干拓の開発史

松原 直輝(東京大学)

発表者が諫早湾干拓事業に関して、官の役割に着目していることに対して、コメンテーターは、事業主体としては官ではあるが、その中にも公共の論理と民間の論理が混在しているとの問題意識から、漁民、農民(半農半漁)、自然環境保護活動家、ディベロッパー、国(食糧増産、防災)、裁判所の立場で公共と民間の論理を指摘した。

また、歴史分析の反実仮想的な発想から、干拓事業を見るとどのように考えられるか、質問した。

コメントに対して、発表者からは、公共の論理と民間の論理について、前者について時代を越えて一貫したものが存在せず、後者が前者の中に吸収されている印象があること、また、反実仮想的な発想からの分析は今後の課題である、という回答があった。

また、諫早湾の事例について、第2発表者に対するものと同様に、発表者は「行政/市民」と二項対立的に対象を捉えているのではないかという質問が出されたが、過去の事例を踏まえると二項対立的に解釈せざるを得ない、という応答であった。

【総括】

3事例ともに外的要因に基づく開発行為が当該地域住民の暮らしに重大な影響を及ぼし、かつ彼らの生活域内における自然環境と地域住民との関係のあり方に懸念が生じたり、その関係性のあり方に変更を迫ったりするような事態を対象にした研究であった。

いずれも発表者の視点は地域住民の側に注目し、微視的に対象を捉えながら、自然環境と住民を取り巻くマクロな動きとミクロの現実との接合を試みる意欲的な研究内容であった。

報告者:関根 久雄(筑波大学)

1M:Development theory and practice (English)

  • 座長:新海 尚子(津田塾大学) 
  • コメンテーター:後藤 健太(関西大学)、島田 剛(明治大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [1M01] Dragon Rouge Redux: Assessing China’s Economic Hegemony in Cambodia
    *Toufic SARIEDDINE(Nagoya University)
  2. [1M02] CDMモデルから考察した途上国におけるイノベーションと外資系企業の役割ーベトナムの製造業企業を事例に
    *TranThi Hue(神戸女子大学)
  3. [1M03] Digital Currency and Development: Exploring the Potential Contribution and Challenges of Central Bank Digital Currency, “ Bakong,” for Development in Cambodia
    *Hisako KOBAYASHI(Oriental Consultants Global Co., Ltd.)
  4. [1M04] The Role of Private Sector toward Poverty Reduction – Analysis of Case Study in India –
    *伊波 浩美(JDI)
  5. [1M05] Regional decline and structural change in Northeast China: An exploratory space-time approach
    *Chen Yilin(Nagoya University, Graduate School of International Development)

【総括】

報告者:新海 尚子(津田塾大学)

1N:オンライン(日本語)

  • 座長:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  • コメンテーター:戸田 隆夫(明治大学)、高橋 基樹(京都大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 12:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [1N01] インドネシア・リアウ州における泥炭火災予防:現状・課題・対応案 *久保 英之1、Albar Israr2、Kurniawan Anung 2 (1. JICA専門家、2. インドネシア国環境林業省)
  2. [1N02] ASEAN諸国におけるデジタル経済促進分析:課題と戦略
    *原 正敏1、*橋 徹2 (1. ビジネス・ブレークスルー大学大学院、2. 早稲田大学)
  3. [1N03] 障害者権利条約に基づく国際協力を巡る論点及び概念整理の課題に関する一考察一各国への総括所見及び建設的対話の分析から
    *福地 健太郎(国際協力機構)
  4. [1N04] 島嶼は日本の縮図たるか?——離島及び日本における水・エネルギーの対外依存状況に着目した一考察
    *關谷 武司1、*吉田 夏帆2、*芦田 明美3 (1. 関西学院大学、2. 兵庫教育大学、3. 名古屋大学)
  5. [1N05] エジプト日本科学技術大学における教育研究機器導入、および活用プログラム開発
    *松下 慶寿(エジプト日本科学技術大学)

【総括】

報告者:高柳 彰夫(フェリス女学院大学)

1O:援助機関と現場(日本語)

  • 座長:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)
  • コメンテーター:小林 誉明(横浜国立大学)、志賀 裕朗(横浜国立大学)
  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 11:00
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[1O01] 日本の政府開発援助の効率性とコンサルタントの関係

*大須賀 誠(法政大学大学院 公共政策研究科 博士後期課程)

本報告は日本のODA の技術協力に関して、ODA 大綱の変遷、経済団体と政府の関与、援助体制とコンサルタントの役割などについて概観し、日本の援助実施体制が欧米に比較して弱体であること、このギャップを埋めているのがコンサルタントであるが、ODA予算の減少によって、コンサルタントの雇用が減少したり単価が引き下げられたりしていることなどが、ODAの実施体制を更に困難に陥れていることを説明しようとした報告である。

報告ではコンサルタントは相手国の要望に合わせた機材を国際的な経験によって把握しているので、助言や専門的知識を提供することで技術協力が効果的に推進できるであろうが、残念ながら、コンサルタントの知見が政策立案に十分反映される条件になっているとは言えない。

さらに、個々のコンサルタントの処遇も十分ではなく、何らかの育成策が必要であると結論づけている。

本報告に対しては、「日本のODAの効率性とコンサルタントの関係」がリサーチ・クエスチョンであり「コンサルタントを活用すること」がその答えなのだとすると、新聞報道、ODA大綱、経済団体の要望書、日本の援助体制の未整備(職員数の少なさ)はエビデンスとして不十分ではないかという疑問が提起された。

むしろ、人数で「効率性」を測っているのであるとすれば、現在すでに日本のODAは極めて効率的と判断することもできるわけであるから、そもそもODAの効率性とは何かという概念定義からしっかりと行う必要がある点も指摘された。

座長からも、ODAの規模の指標として予算額は必ずしも適切ではなく、事業規模も見るべきであること、コンサルタントの雇用形態や役割は多様であり、さらなる分析と考察が必要であることを指摘した。

第2発表:[1O02] バングラデシュ郡自治体円借款事業によるガバナンス改善:ガバナンス借款の可能性

*宗像 朗1、*杉山 卓2 (1. 独立行政法人国際協力機構、2.株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)

本報告は、バングラデシュの郡自治体借款事業(UGDP)1を事例にガバナンス借款の可能性を検討したものである。

この事業では①バングラデシュ全郡(約500 郡)を対象に実施した行政評価、②行政評価に基づいた開発資金の郡への供与、③研修とファシリテーターによる基本行政実施支援、の三つを柱にする約147 億円の円借款事業である。

このPDCAとインセンティブを組み合わせた仕組みにより、群自治体関係者のオーナーシップが高まり、説明責任の向上や適正な手続きの確保など実際にガバナンス改善が見られたとし、ガバナンス借款には大きな可能性があるとした報告である。

本報告に対しては、円借款によって全国的・広域的にガバナンス改革を促進する可能性を検討した興味深い論考であること、またその経緯を丹念に記録しデータを採った上でシンプルな記述統計を使って効果の発現を示した実証分析であることから、極めて高い評価がなされた。

一方、「日本の援助機関によるバングラデシュという特定の国に対する一事例」の紹介(アネクドート)にとどまっている嫌いがあるため、比較事例研究とするなどして、一国事例を超えた普遍的な教訓を引き出すことを検討してほしいとのコメントがなされた。

座長からは、これは日本の国際協力におけるプログラム支援の成功例であり、円借款という資金規模が大きい仕組みを使って全国をカバーできたことが、指摘されたような効果を生んだと考えられ、特筆すべきであるが、ガバナンス改善効果についてはより客観的なデータで評価する必要があること、インパクト評価を実施すれば教訓を一般化できることなどを指摘した。

第3発表:[1O03] 技術協力プロジェクトにおける効果的な実施・監理手法に関する考察~パキスタン国パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト(フェーズ1、フェーズ2)の事例における非技術的要素の検討~

*佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)

本報告は、技術協力のプロジェクト・マネジメントの一要素としてペタゴジー(Pedagogy;子供を教える技術と科学)に対するアンドラゴジー(Andragogy:成人の学習を援助する技術と科学)に焦点を当てた。

前者では知識を教えることに重点が置かれるが、後者では気づきと学びが重要である。

アンドラゴジーの要素を検討の結果、報告では、効果的なプロジェクト・マネジメントは、①どのような考え方でプロジェクトのカウンター・パートに対応してゆくのか、② どのような視点・問題意識とプロセスで協力を進めてゆくのか、③技術協力専門家の役割と立ち位置はどのようなものかの3点が重要であると結論づけた。

本報告に対しては、技術協力プロジェクトの成功要因の概念化に取り組んだ興味深い論考であり、見えにくく注目されにくい「非技術的要素」にも光を当てている点は意義深いとの評価がなされた。

そして、単一事例研究に終わらせずにより広い普遍的なrelevanceを持つものに発展させるためには、他国・他機関の事例との比較研究を行って理論的な精緻化を進めてほしいとの提案がなされた。

その一方で、「アンドラゴジー」という概念の有効性を証明するための事例分析をしているようなきらいがみられるため、既存のドグマに囚われすぎる必要はなく、むしろ現場の経験に基づいて既往理論に修正を加えるくらいの姿勢があっても良いのではないかという指摘もなされた。

座長からは、教育で「気づきと学び」を重視するアプローチは、現在ではアクティブ・ラーニングのように小中学校の学習でも重視されるようになってきており、ペダゴジーとアンドラゴジーの対比はやや古いパラダイムになりつつあるのではないかという指摘を行った。

【総括】

総じて、本セッションはODAを通じた人材育成の重要性に焦点が当てられ、その最適な手法についての議論が行われたセッションになった。

日本のODAの強みは人材育成であり、これが日本の国際的な役割として重要であること、ODA政策において人材育成がもっと重視されるべきであることを座長から指摘して、セッションを終わった。

報告者:林 薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)

2L:Health, gender, family (English)

  • 座長:松山 章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:高松 香奈(国際基督教大学)、宇井 志緒利(明治学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L01] Scalable and Sustainable Adaptive Solutions to COVID-19 Disruptions in Family Planning (FP) Health Service Delivery in the Philippines

Leslie Advincula LOPEZ
Jessica Sandra Claudio
Haraya Marikit Mendoza
(Ateneo de Manila University)

The presentation was on a policy advocacy-oriented research on family planning health service delivery in the Philippines based on the experiences during the COVID-19 pandemic. Dr. Shiori Ui, the discussant, acknowledged its academic and practical significance in flexibility and innovative adaptation experiences of the project activities during normal time which can be utilized for the pandemic time. She, however, raised some important inquiries including the needs of detailed analysis of BARMM (Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao). She also emphasized the importance of further analysis on its role of the identified Health Care Provider Network. Exploring how it contributes to UHC (Universal Health Care) would be very much insightful for us.

第2発表:[2L02] Caring through a Pandemic: Filipino transnational families’ survival of disrupted mobility during the COVID-19 crisis

Derrace Garfield MCCALLUM(Aichi University)

The presentation was on the study exploring the impact of digital technology on Filipino transnational families, focusing on how ICT (Information and Communication Technology) ’s influence the (re)creation and maintenance of family bonds during the COVID-19 pandemic. The discussant, Dr. Kana Takamatsu, appreciated that the paper was convincing and well organized. Acknowledging its nique feature which challenged the existing notion, she inquired some important methodological and analytical approaches. She asked if the results would be different by age and gender. It was also pointed out by her the term, “care”, should be clarified and defined since care is an ambiguous word, could mean emotional and/or financial spheres. Moreover, she raised interesting question that intimate relationships of ICTs could become possible “possessive relationship”.

第3発表:[2L03] Gender dimensions of the world of work under crises: Trends and challenges

Naoko OTOBE

The presenter reported, using the existing panel data of world of work, how these multiple crises have impacted women and men differently in the arena of work. Dr. Kana Takamatsu acknowledged that it was an informative paper to enhance the understanding of the impact of COVID-19 on work/ employment by gender perspective. She raised several questions, however, including accuracy of analysis period. Although the paper covered the crises such as COVID-19, climate change, and Ukraine and Russia conflict, the framework of the analysis period for the study was not very clear. Moreover, “intersectionality” is an important notion in gender analysis and she suggested discussion on the point would be useful for further study.

第4発表:[2L04] カンボジアにおける紛争と信頼ー2021年カンボジア社会経済調査を用いた実証分析ー

大貫 真友子(早稲田大学)
小暮 克夫(会津大学)
高崎 善人(東京大学)

This was the presentation on the study on impact of conflict exposure on social trust in Cambodia, using Cambodia Socio-Economic Survey (CSES) 2021. The data on social trust was collected through informally added questions by one of the study collaborators who was a part of the CSES 2021 team. The significance of the research topic, how conflicts may affect attitude and feelings in relation to social trust of people and community is well taken at this time of violent conflict around the world. However, Dr. Shiori Ui, the discussant, who are familiar to Cambodian society, raised an important issue regarding relevance of the questions used to measure social trust. Additionally, validity of the study topic, whether the lack of trust in non-kin-based networks is attributable to violent conflict (genocide) in Cambodia, was questioned. Rather, Dr. Ui said, a deeper-rooted problem in Cambodian society may be that trust among close kin members such as family members, relatives, and friends has been affected by violent conflict. Finally, further study prospects were discussed.

【総括】

The session offered wide variety of topics ranging from health, gender, care among family through ICT, to social trust in relation to conflict. The first three presentations, although different in topic, were all related to the impact of the COVID-19 pandemic. The last presentation, which explored the relationship between historical conflict and people’s social trust, is a very timely and important topic in light of the current global situation. I believe that those who attended the session learned a lot from these presentations. The comments by the discussants and discussion followed were also insightful and thought-provoking which would contribute to the prospect of future research.

報告者:松山 章子(津田塾大学)

2M:Sustainability (English)

  • 座長:高田 潤一(東京工業大学)
  • コメンテーター:藤倉 良(法政大学)、道田 悦代(アジア経済研究所)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M01] Sustainability Reporting: Quality Concerns of Third-Party Tools and A Call for High-Quality Third-Party Tools to Avoid Greenwashing
    *Vivek Anand ASOKAN(Institute for Global Environmental Strategies)
  2. [2M02] 生物多様性条約の「 DSI」の国際開発への影響
    *渡邊 幹彦(山梨大学)
  3. [2M03] 太平洋島嶼地域における環境意識調査~ミクロネシア連邦の事例研究~
    *高木 冬太(立命館大学)
  4. [2M04] Global RCE Network: Action-oriented Education for Sustainable Development
    *Jongwhi Park2, *Sawaros Thanapornsangsuth1,2, *Shengru Li2, Fred Emmanuel Sato2(1. Tokyo Institute of Technology, 2. Institute of Advanced Studies, United Nations University)

【総括】

報告者:高田 潤一(東京工業大学)

2N:Online (English)

  • 座長:西村 幹子(国際基督教大学)
  • コメンテーター:マエムラユウ・オリバー(東京大学)、内海 悠二(名古屋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 10:30
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:00名
  1. [2N01] 観光と環境のネクサス:ラグーナ州パグサンハン、カビンティにおける地元の認識に対する多面的な検証
    *ALINSUNURIN Maria Kristina2、*新海 尚子1 (1. 津田塾大学、2. フィリピン大学ロスバニョス校)
  2. [2N02] インドネシアにおける職業教育と非認知能力が労働成果に与える影響
    *崔 善鏡(広島大学)

【総括】

報告者:西村 幹子(国際基督教大学)

2O:社会開発、コミュニティ(日本語)

  • 座長:小早川 裕子(東洋大学) 
  • コメンテーター:藤掛 洋子(横浜国立大学)、松丸 亮(東洋大学)
  • 2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-412 (紀尾井坂ビル412)
  • 聴講人数:18名

第1発表:[2O01] 通域的な学びの実践 – Africa-Asia Business Forumにおける学び合いを媒介とした地域間のつながり

工藤 尚悟(国際教養大学)

本研究では、国際協力や開発学の地域研究に従来の研究者や実務者による知見共有から直線的に課題解決が設計される方法ではなく、具体的な現場を持つ全く異なる地域の実践者たちが共同フィールドワークを通して得られる視点や気づきのリフレクションを基に、習慣的な思考パターンへの気づきや新しい視点の獲得といった自己変容を促す「通域的な学び」に関する調査が行われた。

コメンテーターからの課題解決型ではないプログラムの成果をどう評価できるのか、との質問に対し、工藤会員は、課題の出口として、方法論を提供する発展的評価になる回答した。

第2発表:[2O02] 開発学における表情解析の応用可能性:マダガスカル農村の女性における事例

山田 浩之(慶應義塾大学)

開発研究における調査では、回答者の設問理解度の把握の難しさ、考えずに回答している可能性、主観的で要因が多様な幸福感の測定が難点であるため、客観的調査が可能な顔を認識するソフト、FaceReader (FR)を起用した。

マダガスカル農村女性の笑顔をデータ化したものと記述調査を照合し、幸福感と個人や世帯の特性との関連性が調査された。

コメンテーターからは、FRをマダガスカルで使う有効性、調査結果が従来の調査結果と変わらなかった事から、FRを開発学で利用する意義の説明が必要ではないかとの指摘があった。

第3発表:[2O03] ブータン東部におけるアブラナ科野菜の普及の実態とその要因-タシガン県バルツァム郡を事例に-

生駒 忠大(京都大学/日本学術振興会)

本研究は、ブータンにおける新たな換金作物の普及は単に高換金性が引き金になっているのではなく、農業実践や地域文化の変容が普及の要因となっている可能性を調査した。

その結果、アブラナ科野菜が普及していった要因として、若者の離村と労働力確保の難しい村において、長期間の栽培適期と栽培の簡便性、副次的栽培、労働集約性の低さと高い生産性が村の現状に適合していたこと、アブラナ科野菜の食文化への浸透、牛の飼料としての有用性などが明らかにされた。

第4発表:[2O04] 潜在的に田園回帰志向を持つ人の要因分析 -地方に関心のある大学生に魅力的な地方自治体の施策とは-

戸川 椋太(立命館大学大学院)

田園回帰志向を持つ学生の実態を把握し、地方自治体への政策提言を目的に、潜在的に回帰思考のある大学生の特徴を明らかにする目的の研究である。

追跡調査も予定されているが、本発表では、コメンテーターから、田園回帰の定義の明確化の必要性、アンケート調査の対象が立命館大学の学生に限定されていた事による一般化の難しさ、田園回帰志向分析の設問内容が、都市でも可能な活動ではないかとの指摘があった。

【総括】

各発表は時間通りに進んだ。どれも興味深い研究発表だったため、フロアーからの質疑がたくさんあるように見受けたが、時間が限られていたため、1名の質問しか受けられなかったのが残念だった。

報告者:小早川 裕子(東洋大学)

2L:Rural development (English)

  • 座長:澤田 康幸(東京大学) 
  • コメンテーター:髙橋 和志(政策研究大学院大学)、米倉 雪子(昭和女子大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:不明

第1発表:[2L05] 「園芸の商品化と家庭の意思決定が小規模農家の収入に及ぼす不均一な影響:エチオピアのジマ地帯における準実験研究の証拠」

*FIKADU ASMIRO ABEJE、*Nomura Hisako(Kyushu University)

本論文はエチオピアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチが農家所得の向上に寄与しているか、寄与している場合、それが所得レベルや男女間でどのような違いがあるか、定量分析したものである。

データは2022-23年に集めたクロスセクショナルデータで、610の農家から集めた。

推定には、マッチングとQuantile regressionを用いている。

推定の結果からは、SHEPは全体として農家所得を有意に増やしているが、その効果はもともとの高所得家庭、また男性の意思決定力が強い農家でより大きくなることが判明した。

本論文は潜在的に重要なイシューを扱っているものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • アウトカムである園芸作物所得と、説明変数である園芸作物指数の間には強い相関があるため、これを説明変数に使わない方がよい。
  • アウトカムをレベルのまま使っていると、ほぼ必然的に高所得家計の方に強い影響が出がちなので、ログを採った方がよい。
  • 推定式の説明の際にいくつかの誤りが見られた。
  • マッチングの方法をもう少し丁寧に説明した方がよい。

第2発表:[2L06] Empowerment Mechanisms of the ‘ SHEP Approach’ on Horticultural Behaviour Change of Smallholder Farmers. A Case of Kenya

Peter Nyamwaya ORANGI,
Hisako Nomura
(KYUSHU UNIVERSITY)

本論文はケニアでJICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチ農家のビジネスや農業スキルに寄与しているか、またそれらのスキル向上を通じてエンパワメントに役立っているか、定量分析したものである。

データは4058家計によるパネルデータで。推定には、差の差の分析とOLSが用いられている。推定の結果からは、SHEPは全体としてスキル向上に寄与し、それにより、生産やマーケティング面におけるエンパワメントに繋がっていることが判明した。

本論文はSHEPのプロジェクト目標が満たされているか定量的に検証した点で意義深いものの、以下のような点を改訂することが望ましい。

  • スキルのカテゴリーづくりややや恣意的なだめ、どのような理論的背景があるのか示せるとなおよい。
  • データがどのようにとられたのか、また4058はバランスパネルなのかそうでないのかなど、詳しい説明が必要。
  • DIDよりも近年はANCOVAが好まれる傾向にあるため、DIDを使うメリットを丁寧に説明してほしい。
  • エンパワメントの分析にはOLSが使われているが、スキル変数は内生なので、その点を考慮した推定方法に改善する必要がある。

第3発表:[2L07] Economic Analysis of Income Generation Through Creation of Dairy Farmers Union. A Case Study on Balkh Dairy Union, Afghanistan

Hamed ARIF SAFI(Kyushu University)
Nomura HISAKO(Kyushu University)
Shoichi ITO(Kyushu University)
Hiroshi ISODA(Kyushu University)

Key Points
  • 7 interviewers conducted semi-structured interview in 8 villages in Dehdadi District, Balkh province in Aug 2014. 355 milk producers, 192 Balkh Livestock Development Union (BLDU) members and 163 dairy farmers not BLDU members.
  • Examination of the impact of dairy union membership on the productivity of dairy farmers and the net annual milk income of households using the propensity score matching method (PSM).
  • Union membership significantly reverberates impacts critical economic outcomes of dairy farming dynamics.
  • It recommends stakeholders in the dairy farming sector, including policymakers and farm management, to recognize the positive aspects of union participation on production and income.

Questions to understand the situation further to promote union

  1. The amounts of income and dairy production. How many cows do they have. Is the size of farmers relevant to the result?
  2. Why/how the farmers became union members: Did anybody suggest them to become members? What are the merits that they recognise? ie) info, training, funds, etc from the union.
  3. Why non-members do not join unions? What prevents them? ie) In Cambodia, people were traumatised by their experience of forced labor during communist/socialist era.
  4. How many days did 7 researchers interview 355 farmers in 8 villages. Did they simply ask their annual income and production or had farmers recorded the amounts?

第4発表:[2L08] 高価値な換金作物の導入後の農村移住と民族間の格差における変遷:ベトナム中央高地の台湾から導入されたウーロン茶産業の事例

呉 昀熹(京都大学)

Key Points
  • Semi-structured questionnaires targeting Kinh migrants for April-June 2019, and the minority settlements for Oct-Nov 2019 in D and L Communes, hubs for oolong tea enterprises, in Lam Dong province in the Central Highlands, Vietnam. Sites included oolong tea factories, farms, and various households. A total of 123 households heads: 96 Kinh, 10 ethnic minority migrants (Muong, Cham), 16 indigenous minorities (Kohor, Ma), 1 Vietnamese Chinese individual.
  • geographical access to employment, Kinh has easier access, Muong have relatively comparable access to Kinh, able to reach oolong tea enterprises within a half-hour walk, Ma and Kohor at more remote locations.
  • 2 categories of spontaneous migrants: Early migrants, dependent on network, organised migrants; Late migrants. less-dependent on network.
  • Ma, traditionally engaged in shifting agri, adapted themselves to the tea industry, changed gender roles. Kohor, traditionally nomadic lifestyle, limited engagement with industry.

Questions to understand the Discussion further

  1.  Describing “3 key attractions of the tea system included higher income, varied job chances, and accommodation” regarding each ethnic group may show the differences clearer. How it becomes as “a stepping stone to cash crop farming. As migrants’ farms become sustainable, their dependency on the system decreases”?
  2.  About Gender role, Ma has seen the changes while Kohor did not. How about other ethnic groups?
  3.  Explain more in section “3 Findings” about the socio economic impact including health risks and loss of personal time.
  4.  About “the indirect marginalization of indigenous groups”, may be discuss about Ma and Kohor separately? How about Muong and Cham?

【総括】

Rural Developmentセッションの名にふさわしい意欲的な論文が4本報告された。

特に、JICAが進めているSHEP(市場志向型農業振興)アプローチやアフガニスタンにおける酪農組合プロジェクトの評価など、厳密なエビデンス(科学的根拠)が求められている研究対象について、ミクロデータを用い、マッチング(matching)、差の差分析(difference in differences)、分位点回帰(quantile regression)など緻密な手法を用いた研究につき、計量分析を洗練化することのみならず、ドメイン知識に基づいて研究をさらに深化させるという観点から、コメンテータの高橋和志教授(政策研究大学院大学)、米倉雪子教授(昭和女子大学)より多数の建設的なコメントがなされ、活発な議論が行われた。

座長としては、今後も国際水準の開発研究・教育の成果が日本発で期待でき、国際開発学会のあるべき姿を示す有意義なセッションとなった、と感じた。

報告者:澤田 康幸(東京大学)

2M:国際開発援助(日本語)

  • 座長:伊東 早苗(名古屋大学) 
  • コメンテーター:大門(佐藤) 毅(早稲田大学)、宗像 朗(国際協力機構)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:45
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:00名
  1. [2M05] 政府開発援助が海外直接投資に与えた影響―援助形態別の分析―
    *大野 沙織(京都大学)
  2. [2M06] 現地主導の開発(locally-led development)とCSOの南北パートナーシップの再検討
    *高柳 彰夫(フェリス女学院大学)
  3. [2M07] 日本政府の支援がパキスタン気象局の能力向上に果たした役割に関する考察
    *内田 善久(株式会社国際気象コンサルタント)
  4. [2M08] 国際協力における Co-Financeの「全体像」をどう捉えるか~中国と DACドナー間の取り組みを事例に~
    *石丸 大輝1、*土居 健市2、*汪 牧耘3、*林 薫4 (1. 独立行政法人国際協力機構、2. 早稲田大学、3. 東京大学、4.元 文教大学)

【総括】

報告者:伊東 早苗(名古屋大学) 

2N:環境、サスティナビリティ(日本語)

  • 座長:松岡 俊二(早稲田大学)
  • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、古沢 広祐(國學院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)12:45 〜 14:15
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:25名

第1発表:[2N03] インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所建設に関わる原石山の補償問題

筒井 勝治(株式会社ニュージェック)
冨岡 健一(Global Utility Development Co., Ltd)

インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所周辺の地域住民に対する補償の法制度とその運用のあり方をめぐって議論をした。

第2発表:[2N04] 環境知識の移転をめぐる地政学的ダイナミクス:中国の環境協力機関の比較分析

WU Jingyuan(東京大学大学院)

中国における環境協力機関の展開について、リアリズムの視点、リベラリズムの視点、コンストラクティビズムの視点から議論を行った。

第3発表:[2N05] 生産国の実情から考える持続可能なパーム油-インドネシアとマレーシアの事例に着目して-

吉田 秀美(一般社団法人持続可能なサプライチェーン研究所)
楊 殿閣(一般社団法人ソリダリダード・ジャパン)

持続可能なパーム油の国際的認証と各国のナショナルな認証制度との関係のマーケット・企業の動向について議論を行った。

【総括】

インドネシアの発電所建設に伴う住民補償、中国の環境協力機関の歴史的展開、インドネシアとマレーシアの持続可能なパーム油の認証制度をめぐって議論を行い、東アジアの環境問題と環境協力のあり方について、深く考える機会となった。

報告者:松岡 俊二(早稲田大学)

2L:Education (English)

  • 座長:澤村 信英(大阪大学) 
  • コメンテーター:劉 靖(東北大学)、川口純(筑波大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-404 (紀尾井坂ビル404)
  • 聴講人数:20名

第1発表:[2L09] Inclusion in Higher Education: Exploring the Experiences of Nepalese College Students with Disabilities

Bhuwan Shankar BHATT(International Christian University, Tokyo)

障害を有するネパール人大学生の経験をもとに、高等教育におけるインクルージョンのあり方を多面的に検討するものである。

高等教育におけるインクルージョンに関する実証研究は貴重であり意義があり、その重要性はますます大きくなっている。

それゆえに、研究のスコープを発展させれば(例えば、学部生と大学院生、学生の専攻を分けるなど)、さらに学術的・実践的な示唆が得られるだろう。

集団的相互作用の概念枠組みに、なぜ財政上の視点を入れていないのか、あるいは今後の研究として制度的なインクルージョンに対する考え方について質疑応答があった。

第2発表:[2L10] Case studies of a positive outlier and a negative outlier municipal education departments in supporting primary schools in Brazil

Danilo LEITE DALMON(Kobe University)

ブラジルの同一州にある人口規模や経済指標が類似する市を対象として、初等学校を管轄する教育局の中で最も効果的な教育行政が行われている市と、反対にそうでない市を選別し、両者を比較検討、要因の分析を行おうとするものである。

ブラジルを対象とする希少性はあるが、これに類似する効果的学校研究に関わる蓄積は膨大にあるので、さらなる文献レビューを進めてほしい。

また、サンプリングをいかに行ったかのプロセスが不明であり、その妥当性を明確にする必要がある。対象とする国、地域、学校の状況がわかる基礎データを示してほしい。

オリジナルのファインディングが何なのか、従来の効果的学校研究に対していかなる貢献があるのかなど、質疑が行われた。

第3発表:[2L11] Citizenship education and Malagasy philosophy: An analysis of the upper secondary school curriculum

Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO(Osaka University)

マダガスカルの後期中等学校のカリキュラムを分析することにより、グローバルなシティズンシップ教育の中でいかなる価値観が育成されるのか、されようとしているのかを探索するものである。

脱植民地化やグローバル・シティズンシップ教育の議論の中で、学校のカリキュラムがいかなる影響を受けつつ内在化していくかを検討することは重要なことである。

一方で、シティズンシップ教育やマダガスカルのフィロソフィーがそれぞれ何を意味するかは、丁寧に記述する必要がある。リサーチクエスチョンに対する結果の提示にやや齟齬があるように思えるとの意見も出された。

第4発表:[2L12] Parental Involvement in Malagasy Students’ Career Planning: the Case of Public High Schools in Urban and Suburban Settings

Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA(Osaka University)

マダガスカルの都市部の公立高校を事例として、生徒のキャリア計画にいかに親が関わっているかを考察するものである。

このようなテーマ設定自体は、教育を受けた後の就業に関わることで興味深く、重要なテーマである。

ただし、キャリア計画の定義がやや不明瞭で、どのように親が子どものキャリア計画に関わっているのか、さらなる丁寧な分析と解釈がなされることが期待される。

現在の結論は、親が何を考えているか、何を行っているかに留まっており、いかに関わっているかが十分に探索できていないように思える。

【総括】

ネパール、ブラジル、マダガスカルと、発表者は日本の大学に属しながら、それぞれの母国を研究対象としている。

このような多様な対象国の研究発表が本学会の場で行われることは、少なくない影響を日本人研究者にも与えてくれているように思う。

今後もこのような学術面での国際交流が展開され、将来的に国際共同研究などに進展することを期待したい。

報告者:澤村信英(大阪大学)

2M:事業評価・分析(日本語)

  • 座長:大橋 正明(聖心女子大学) 
  • コメンテーター:石田 洋子(広島大学)、桑島 京子(青山学院大学)
  • 2023年11月12日(日曜)15:00 〜 16:00
  • 会場:紀-407 (紀尾井坂ビル407)
  • 聴講人数:8名

第1発表:女性自助組織を通した母親の資源獲得と子どもの教育への影響―インド Rajasthan州の Rajeevikaプログラムを事例に―[2M09] 

水島 侑香(東京大学)

この発表は、本年の3月に行ったインド西部の州の3県(District)の3つの郡(Block)で政府が進める女性の自助組織(Self-Help Group、以下SHGs)の15名のメンバーに、半構造化インタビューを行った結果を軸に分析したものである。

報告者によると、多くのメンバーがSHGのマイクロファイナンスにより事業やSHGs組織の役職報酬よる収入向上、情報や人間関係といった形での資源を獲得し、結果的に子どもの教育にポジティブな影響を与えることを示した。

この発表に対してコメンテーターである広島大学の石田洋子会員は、SHGsの活動によってその本人だけでなく、その夫、女性の両親、子ども、教員、上位機関メンバー等がどう変化して、結果的に子どもたちの教育における変化につながっているのかを、セオリー・オブ・チェンジ(Theory of Change)といった形で把握すること、SHGプログラムの全容や対象地域の教育事情などが不明である、といった指摘をした。

第2発表:カンボジア・つばさ橋建設をめぐる環境社会配慮と事業化検討プロセス[2M10] 

小泉 幸弘(独立行政法人国際協力機構)
花岡 伸也(東京工業大学)

小泉会員の報告は、カンボジアにおける同様な橋梁プロジェクトと比較して、本案件がカンボジア側からの要請から無償資金協力実施の意思決定に至るまでに、10年ほどの時間を費やしたことの要因として、2004年改定のJICA環境社会配慮ガイドラインを適用した経緯をもとにしたものであった。

結果として、早期開通を希望していたカンボジア側の声には応えられなかったことが提起された。

これに対して青山学院大学の桑島会員からは、改定後の環境社会配慮ガイドラインの画期性、外務省・JICAの権限関係の「今」、カンボジアの運輸交通開発における環境社会配慮の「今」などのより幅広い検討の必要が指摘された。

また会場から相次いだ質問を通じて、こうした配慮がなされることでより丁寧な検討がされたことを評価するという指摘や、他の新興ドナーとの対抗を意識する日本政府はこうした配慮の適用範囲を限定しようとする動きがあるという懸念などが示された。

【総括】

このセッションでは、二人のコメンテーターからのコメントと発表者による応答、そして会場の参加者との興味深いやり取りが行われた。

四人の発表者を前提にした時間枠に二人の発表だったため、時間的に余裕があったので、しっかりしたやり取りをすることができた。それでも16時半に終了した。

報告者:大橋 正明(聖心女子大学)

2N:平和構築、レジリエンス(日本語)

  • 座長:湖中 真哉(静岡県立大学) 
  • コメンテーター:松本 悟(法政大学)、桑名 恵(近畿大学)
  • 日時:2023年11月12日(日曜)15:00 〜 17:00
  • 会場:紀-409 (紀尾井坂ビル409)
  • 聴講人数:約40名

第1発表:[2N06] 特定地域における民族間の勢力均衡論(ドミノ式)についての一考察ー勢力均衡のパターン分析を中心にー

安部 雅人(東北大学)

安倍会員による最初の報告では、民族間の勢力均衡論として3つの類型が提示され、中国新疆ウイグル自治区の紛争、パレスチナ紛争、ルワンダのジェノサイド等の事例が、その3つの類型の観点から検討された。

これに対して、松本会員によるコメントでは、リサーチクエスチョンの所在、先行研究に対する位置づけ等に関する質問が投げかけられた。

また、フロアからは、なぜインクルーシブな国家を形成できなかったのかという問題意識からの再検討の可能性等の論点が提出され、報告された類型が多角的に検討された。

第2発表:[2N07] 中国の都市におけるコミュニティレジリエンスの構築に関する質的研究—ソーシャル・キャピタルの視点から

王 藝璇(大阪大学大学院)

つづく王会員による報告では、2021年の中国河南省洪水災害で被災したコミュニティを対象とするインタビュー調査結果がおもに報告された。

同会員は被災コミュニティを都市・農村の移行期コミュニティの脆弱性に注目しながら3つに類型化し、各コミュニティのレジリエンスをソーシャルキャピタルの類型の観点から分析した。

松本会員によるコメントでは、ソーシャルキャピタルの有効性を論じるに当たっての基準設定の問題、比較の前提となる影響要因の評価の問題、調査対象者の選定上の問題等が質問された。

王会員は質問に回答しながら、今後の研究にコメントをフィードバックしていく見通しを述べた。

第3発表:[2N08] エルサルバドル共和国帰国研修員によるパイロット事業の形成過程と実施に関する要因分析:
ポストコンフリクトにおける地域住民の主体的生活改善活動に着目して

藤城 一雄 (独立行政法人国際協力機構)

その後の藤城会員他の報告では、研究対象地はエルサルバドルに移り、長期内戦後のポストコンフリクト状況において、JICA本邦研修による中米地域生活改善研修を事例として、パイロット事業実施5年後の現地調査の分析結果が報告され、おもにインタビュー結果から、パイロット事業参加者の幸福感が変容した成果等が示された。

コメンテーターの桑名会員によるコメントでは、過去の教訓を踏まえている点等が評価され、今後の展望が質問された。

また、フロアからは、事業に対するネガティブな反応がなかったのかという点が質問された。藤城会員は、その後エルサルバドルで政権交代があったため、組織全体が消滅したこと等、その後の事業の経緯を踏まえつつ、これらの質問に回答した。

第4発表:[2N09] グローバル・ナレッジとしての東日本大震災とそこからの復興(途上国に役に立つ知識とするために何が必要か?)

林 薫 (グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表、元文教大学教授)

最後の林会員による報告は、東日本大震災の震災以降に着目し、震災伝承施設をグローバルなレッジの観点からどのように評価できるかを探究し、その調査成果が豊富な事例とともに示された。

コミュニティ防災の軽視や失敗学の不在等の課題を示しつつ、最後に何が世界に発信すべきコアなナラティブになり得るかという展望が示された。桑名会員はこれに対して調査の方法や協働知の双方向性について質問を投げかけた。

林会員は震災伝承施設の展示方針の硬直性の問題により、双方向性が現状では困難であること等を回答した。

【総括】

本セッションでは各報告が時間を超過しなかったため、充実した討議を行うことでき、多角的に報告を検討することができた。

なかでも林会員は報告を通じて、本セッションの他の報告やプレナリーセッションにも言及され、本大会の最後を締めくくるに相応しい報告となった。

報告者:湖中 真哉(静岡県立大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



第34回全国大会セッション報告(プレナリー、ブックトーク、ポスター発表)


プレナリー(対面・オンライン)


日本の開発援助はどこに向かうのか―開発協力大綱の改定を受けて—

  • 2023年11月11日(土曜)13:30 〜 16:30
  • 2-1702 (2号館1702)

【司会】小松 太郎:上智大学総合人間科学部教育学科教授、国際開発学会大会実行委員長

【モデレーター】田中 雅子:上智大学総合グローバル学部教授、国際開発学会大会実行委員会事務局長

基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」

峯 陽一:国際協力機構(JICA)緒方貞子平和開発研究所所長、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授、開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会委員、国際開発学会員

コメンテーター

  • 伊豆山 真理:防衛研究所理論研究部長、専門分野:南アジアの政治・外交・安全保障
  • 佐藤 仁:東京大学東洋文化研究所教授、国際開発学会 会長
  • 松本 悟:法政大学国際文化学部教授、外務省開発協力適正会議委員、国際協力機構(JICA)環境社会配慮助言委員、国際開発学会 常任理事

前半は、峯陽一(同志社大学、JICA緒方貞子平和開発研究所所長)による基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」に続いて、伊豆山真理(防衛研究所)、佐藤仁(東京大学)、松本悟(法政大学)がコメントを述べた。

また、バングラデシュとフィリピンの研究者、ならびにケニアの市民社会組織のオピニオンリーダーからのビデオレターを上映した。

後半は、会場からの質問をもとに、政府開発援助(ODA)と政府安全補償能力強化支援(OSA)の区別、それらのモニタリング過程への相手国政府や市民社会の関与、国際協力に関わる人材を増やすための大学教育のあり方、開発援助の新たな価値の創造に学会や研究者はどう関わっていくかという点などについて、コメンテーターによる討論を行った。

司会は大会実行委員長の小松太郎が、モデレーターは大会実行委員会事務局長の田中雅子(ともに上智大学)が務めた。

上智大学国連WEEKSのポスト企画として実施し、日英同時通訳と日本語字幕による情報保障を行った。上智大学国際協力人材育成センター(SHRIC)からも協力を得た。

大会参加者の他、上智大学国連WEEKSの申込者あわせて約200名が対面で、100名以上がオンラインで参加した。

第34回全国大会・実行委員会
委員長:小松太郎(上智大学)


ブックトーク

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 聴講人数:50名
  • 企画責任者・モデレーター:佐藤寛(開発社会学舎)、島田剛(明治大学)、道中真紀(日本評論社)芦田明美(名古屋大学)

報告書籍(1)『争わない社会――「開かれた依存関係」をつくる』

  • 発表者:佐藤 仁(東京大学東洋文化研究所)
  • 担当編集者:倉園 哲(NHK出版)
  • 討論者:志賀裕朗(横浜国立大学)

コメント・応答

国家間の戦争、社会の分断、個人同士やネット上の諍(いさか)いなど、豊かになり余裕ができた時代にも争いが絶えないのはなぜか?国からは「自助」を、市場からは「競争に勝ち残ること」を求められて、個人が孤立無援となってしまうのはなぜか?

本書は、その原因が近代人の「自立」への欲求にあったと見て、その陰で見落とされてきた「依存」の可能性を問う試みである。

誤読された進化論、支援国の利益になる対外援助、明治から100年近く闘われた入会権闘争、社会問題の発見を通じて居住地域への帰属意識を育んだ生活綴方までを分析。機能的な中間集団への依存が争いの芽を摘む可能性を示す。領域を横断する考察が切りひらく、社会科学からの挑戦の書。

報告書籍(2)『未来へ繋ぐ災害対策:科学と政治と社会の協働のために』

  • 発表者:松岡俊二(早稲田大学)
  • 担当編集者:渡部一樹(有斐閣)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)

コメント・応答

従来の災害対策では有効に対応できない災害が多発し、従来のやり方では「未来へ繋ぐ災害対策」にならないのではないかという深く本質的な「問い」を踏まえ、どのようにすれば「未来へ繋ぐ災害対策」を創ることができるのかという「問い」に「応えたい」と思い、本書「未来へ繋ぐ災害対策」を編集した。

しかし、本書は「未来へ繋ぐ災害対策」とは何かという「問い」に対する「答え」を提示しない。より正確に言えば、「問い」への唯一の正解や最適解はないし、正解は幾つもあるというのが本書の基本的な立場である。

幾つも存在する正解から、科学と政治と社会は協働して「対話の場」=「学びの場」を形成し、社会的に納得可能な解決策を共創することが必要であり重要だというのが、本書の一貫したメッセージである。

さらに言えば、「学びの場」とはLearning Communityであり、災害対策の新しい知識を創造するという目的をもったコミュニティである。

科学と政治と社会による「対話の場」=「学びの場」が有効に機能するには、参加者のエンパシー能力の形成や境界知作業者の役割が決定的である。

こうした点も、本書の重要なメッセージとして終章で詳しく述べている。

報告書籍(3)『入管の解体と移民庁の創設ー出入国在留管理から多文化共生への転換』

  • 発表者:加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者:黒田貴史(明石書店)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)

コメント・応答

法務省入国管理局は入管法の執行者として自らをあらゆる権力の上位に置いてきた。

2019年4月に、出入国在留管理庁へと格上げされる中、スリランカ人女性の死亡事件が起きた。入管は現在のまま存続して良いのであろうか。

入管を一度解体し、新たに移民庁を創設するアイディアを本書では構想した。第1章から第16章まで16 名の著者(監修者を含む)による論考を収録した。

第1部は「人権無視の外国人管理」と題し、出入国在留管理庁において人権が守られていない状況を主に実務家が事例をもとに示した。

第2部は、「元入管職員の『中の視点』から」と題し、実際に入管に務めた経験を有する元職員が出入国在留管理庁における問題点を「中の視点」から述べた。

特に元東京入国管理局長からは、「交流共生庁」の創設という具体的な案が示された。

第3部は戦後から21 世紀にかけての「入管の歴史」を4名の研究者の論考をつないで追いかけた。

第4部「移民庁の創設に向けて」では、3名の研究者の論考から「民族」概念を問い直し、入管に存在する「レイシズム」を明らかにし、「諸外国の入管・統合政策担当機関」のあり方を整理した。

報告書籍(4)『SDGs時代の評価:価値を引き出し、変容を促す営み』

  • 発表者:米原あき(東洋大学)
  • 担当編集者:鶴見治彦(筑波書房)
  • 討論者:山田肖子(名古屋大学)

コメント・応答

SDGsの取り組みは評価が難しいと言われる。それは、SDGsがこれまでの国際開発目標とは異なる次元で問題提起をしているのに対し、その取り組みを評価する方法や思考が旧次元に留まっているからではないか。

本書では、「評価evaluation」という活動を価値(value)を引き出す(ex-)ための営みと捉えて、SDGs時代に求められる評価の在り方を検討している。

「不確実性のなかで多様な個人や集団が協働して持続可能な社会を構築することが求められる時代」であるSDGs時代の評価には、ふたつのシフトが求められる。

それらは、①評価をPDCAの「C」という一点でとらえる「点の視点」から、PDCAという一連の流れやそのサイクルの積み重ねという「線や面の視点」へのシフトと、②評価を与えられた指標に基づく測定と前提して「いかに測るべきか」(measurability)を問う姿勢から、そもそも評価したい/すべき価値は何なのかという大前提からの問い直し(evaluability)を前提とする姿勢へのシフトである。

本書の各章では、これらのシフトにかかる事例や、これらのシフトに関連する新たな評価理論を紹介している。

報告書籍(5)『SDGsを問い直す ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』

  • 発表者:野田真里(茨城大学)
  • 担当編集者:舟木和久(法律文化社)
  • 討論者:山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

コメント・応答

SDGs(2016~2030年)の中間年にあたる2023年、SDGsを問い直す野心的研究として、人間の安全保障上の危機であるコロナ禍の教訓を踏まえ、ポスト/ウィズ・コロナを展望しています。

本書はSDGsの17目標に因んで17の論稿から構成されています。SDGsのゴールの達成状況の分析とともに、今回のコロナ禍によってもたらされた課題を2つの角度から分析しています。

1つは、「取り残される人々」やレジリエンス(強靭性、回復力)の観点です。もう1つは、「ポスト/ウィズ・コロナ」の観点です。

「取り残された人々」が具体的にどのような危機的状況におかれているのか、また、SDGsの観点からどのように取り組んでいくべきなのかを詳細に描いています。

本書では、これまでSDGsについて充分論じられてこなかったテーマ(高齢者、障害者等)やSDGsへの批判的観点を含めて、踏み込んだ検討を行っています。

また本書は国際開発学会員のSDGsに関する2016年からの2つの研究部会(「持続可能な開発とSDGs」、「開発のレジリエンスとSDGs」)の成果でもあり、多くの学会員が執筆しています。

【総括】

本ブックトークセッションでは会員による近刊5冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版に至ったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時50名にのぼり、活発な質疑応答となった。

報告者:芦田明美(名古屋大学)

ポスター発表

  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 13:00(コアタイム11:45-12:45)
  • 2号館5階学生食堂
  1. [1R01] 僧院が担う新たな社会的包摂機能
    ―ブータン王国における仏教とウェルビーイング―

    *佐藤 美奈子(京都大学)
  2. [1R02] Space-Time Analysis of East-West Inequality of Economic Development and Digital Financial Inclusion: Province-level Evidence from China
    *Jiaqi LI(Nagoya University)
  3. [1R03] ミャンマーとバングラデシュにおける SDGsの達成状況
    ー目標1を中心にー
    *頼藤 瑠璃子、*エイチャン プイン(熊本学園大学)
  4. [1R04] ポストコロナにおけるスマートツーリズム:ヨーロッパとアジアの事例比較分析
    *ZHU Ningxin(立命館大学大学院)
  5. [1R05] 高校生は SDGsから何を考えイメージするのか~イメージマップテストを用いた分析~
    *坂根 咲花(関西学院大学大学院)
  6. [1R06] 気候変動の影響が武力紛争を招く社会の脆弱性条件
    *長野 貴斗(京都大学大学院)
  7. [1R07] ガーナにおける就学前教育が与えるスクールレディネスへの影響の分析
    *内山 かおり(神戸大学大学院)
  8. [1R08] Influence of Maternal Decision-Making on Children’ s Years of Schooling in Malawi
    *Yudai ISHII(Kobe University)
  9. [1R09] Analysis of Demand-Side and Supply-Side Factors on Learning Outcomes in Myanmar
    *Htet Myet Aung(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)
  10. [1R10] 地域 SDGsプロジェクト共創を促進するオープンソーシャルイノベーションプラットフォーム事業の実証研究 – 石川県金沢市 IMAGINE KANAZAWA2030パートナーズ事業の分析から-
    *津田 祐也1、*富田 揚子2 ( 無所属、2. 国連大学サステイナビリティ高等研究所)
  11. [1R11] An Assessment of Digital Competence of Freshmen at Top Ranked Public Universities in Bangladesh
    *Rakibul HASSAN(Kobe University)
  12. [1R12] Analysis of Parental Involvement and Secondary School Students’ Academic Achievement in Cambodia
    *SARA Thavrith(Kobe University)
  13. [1R13] 太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性
    ー援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目してー
    *井川 摩耶(東京大学大学院)
  14. [1R14] Perception of Students with Disability on Inclusivity in Higher Educational Institutes of Bangladesh *Sheikh Rashid Bin ISLAM(Kobe University)
  15. [1R15] 発達障害のつくられ方−個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ−
    *八郷 真理愛(横浜国立大学大学院)
  16. [1R16] An Analysis of the Factors Influencing Primary School Students Learning Achievements in Burundi
    *Deo KABANGA(Kobe University)
  17. [1R18] Analysis of Influence of Student and Family Factors on Learning Achievements in the Philippines.
    *Minghao Wang(Kobe Univ.)
  18. [1R17] An Analysis of Teacher Quality and Primary School Students’ Learning Achievement in Cambodia
    *Sreymech HOEUN(Kobe University)
  19. [1R19] フィリピンの若者が困難な状況を乗り越えるためのパターン・ランゲージの作成
    *金井 貴佳子、太田 深月、井庭 崇(慶應義塾大学)
  20. [1R20] バングラデシュにおける普遍的就学前教育政策下での就学前学校の種類の決定要因
    *宇野 耕平(神戸大学大学院国際協力研究科)
  21. [1R21] Assessment of community ICT access and connectivity for development of an intangible cultural heritage digital repository in Luang Prabang
    *Jerome SILLA1, Jun-ichi Takada2, Shinobu Yamaguchi1, Sengthong Lueyang3, Souvalith Phompadith3, Xaykone Phonesavath3 ( United Nations University, 2. Tokyo Institute of Technology, 3. Luang Prabang World Heritage Office)
  22. [1R22] グローバル企業経営戦略・ GVCMとの連携による産業発展に関する「発展経営論」試論
    *竹野 忠弘(名古屋工業大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

The 25th JASID Spring Conference

地域発! 国際協力と共創の実践
グローバル・グローカルな人材育成

Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local Context: Global & Glocal Human Resource Development
  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮(予定)
  • 方式:対面(一部オンライン)

この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮(エクスカーションの可能性もあり)のLRTや餃子や、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

第25回春季大会・実行委員会
委員長:阪本公美子(宇都宮大学)


スケジュール

  • 2月 1日:HP公開予定()
  • 2月 1日:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締め切り
  • 4月初旬:参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月上旬:報告論文(ショートペーパー4頁、フルペーパー16頁)提出締め切り

発表申込要項

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • 発表者は、会員であることが必要
学会入会申請・会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は、日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること
※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。
※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する

企画セッション:

各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること

ラウンドテーブル:

企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

発表申込

  • 申込期間:2024年2月1日~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊池翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於奈(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

第25回春季大会にかんするお問い合わせ先

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



企画運営委員会からのおしらせ(2024年2月)

企画運営委員会は、国でいえば、内閣官房のような存在です。つまり、学会活動を活性化し、よりよい研究交流を行うための方針や仕組みを企画立案したり、そのために必要な情報や知恵を集めたりするところです。また、各委員会(国の場合は省庁)が所管するほど業務が恒常的にまとまっていなくても、試験的に制度導入をすることもあります。

従来から、企画運営委員会では、研究部会・支部の申請受付や運営サポートを行ってきました。今12期では、研究部会・支部が裾野の広い学会員の参加と交流を従来にも増して促進するよう、規定や制度の見直しに着手しています。

また、企画運営委員会内の目的特化型の機動チームとして、合理的配慮ワーキンググループ(WG)と人材推薦WGが活動しています。合理的配慮WGは、山形辰史会員を中心に、障がいを持った会員の方の参加促進を担ってくれています。また、人材推薦WGは、伊東早苗会員を中心に、学術大会のセッション司会や国内外の外部組織との交流活動に学会を代表して関わる人材などを幅広く求め、依頼する役割を担っています。

このほか、学術大会での託児サービスのルール作りによって、子育て中の会員が研究発表を続けやすい環境を作ることも検討中です。

学会の魅力を上げ、多くの人が参加したくなるためのアイディアをお持ちの方は、企画運営委員会にお寄せください。

企画運営委員会
委員長:山田肖子(名古屋大学)




社会共創委員会からのお知らせ(2024年2月)

2024年度より、以下の3委員会を統合し、新たに「社会共創委員会」を設置することとなった。

統合前の各委員会の昨年度の活動報告は以下のとおり。

2023年度活動報告

社会連携委員会(委員長:川口純)

  1. 市民社会との連携企画:「開発協力大綱の改定とその主要論点ー市民社会の主張とはどのようなものか?」を開催した。国際協力系NGO のスタッフ4名が登壇し、前回の改定時のふりかえり、今回の改定にあたって開発協力の理念や実施原則等について議論を実施した。
  2. グローバルフェスタにおいて「国際開発キャリアセミナー」を開催した。佐藤会長、大橋委員、荻巣会員がご登壇し、多数の若手参加者を得た。院生の参加者が主であり、闊達な質疑応答がなされた。

研究×実践委員会(委員長:小林誉明)

第34 回全国大会にて委員会主催(共催も含む)のラウンドテーブルを三つ企画しました。それぞれのセッションは委員会のメンバーがイニシアティブをとり、学会内外からリソースパーソンを巻き込んで企画を進めているものとなります。

1.「ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性:インドの離島エリアにおけるe-Health ビジネスの事例から」
登壇者:狩野剛、功能聡子、岡崎善朗、佐藤峰、内藤智之

2.「国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―」(地方展開委員会との共催)
登壇者:佐藤峰、小林誉明、木全洋一郎、梶英樹

3.「大国間競争の時代にODA で「普遍的価値」を促進することの意味を問う」
登壇者:志賀裕朗、福岡杏里紗、荒井真紀子、小林誉明

地方展開委員会(委員長:佐野麻由子)

  • 2023 年6 月10 日の第24 回春季大会(国際教養大学)で「地方展開委員会RT 地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」を主催、参加者と内なる国際化を中長期的、短期的どのように位置づけるのか、移民社会にむけて検討すべき課題は何かについて意見交換を行った。
  • 国際開発学会出前講座の今後の運営について考えるために登録して下さった会員にアンケートを実施、今後の在り方について検討した。

国際開発学会第12期:委員会の構成および幹事の委嘱

共同委員長

  • 木全洋一郎(JICA)
  • 工藤尚悟(国際教養大学)
  • 杉田映理(大阪大学)

委員

  • 坂上勝基(神戸大学)
  • 佐藤 寛(開発社会学舎)
  • 藤山真由美(NTC インターナショナル)

幹事

  • 梶 英樹(高知大学)
  • 河野敬子(ECFA)
  • 小林誉明(横浜国立大学)

2024年度活動計画

◆設置目的

日本・先進国を含めたグローバルな観点から時代に合った国際開発学の再定義、学会から日本社会への貢献、新たな学会・パートナーの獲得のため、国際開発学会の内外の多様な団体・個人と連携した事業の企画・形成をし、広く学会員に呼び掛けてその実施展開を先導・調整・支援する。

◆活動計画

以下の3 つの柱において、具体的な企画を検討していく。

(1)連携・協働

  • 地方、企業・団体、他学会との共同セミナー・研究プロジェクトを実施
  • 海外の学会・団体、国際機関との連携 ※グローバル連携委員会との連携

(2)発信

  • 学部生、高校生等若者向け発信 ※人材育成委員会との連携
  • 各種イベント(グローバルフェスタ等)での発信

(3)支援・協働

  • 地方大会におけるプレナリーやエクスカーションプログラム

社会共創委員会・共同委員長:
木全洋一郎(JICA)
工藤尚悟(国際教養大学)
杉田映理(大阪大学)




人材育成委員会からのお知らせ(2024年2月)

1.活動報告

(1)委員会

(定例会は2 か月に1 度、最終日曜日の20 時~22 時)

2022/11/26(日曜)

臨時会合:理事会報告。全国大会でのRT の打ち合わせ。

2023/2/26(日曜)

第1 回定例会:第3 回国際開発論文コンテストのスケジュール確定。
「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」企画、春季大会で東大EAA と「開発と文学」のセッションを共催。

2023/4/23(日曜)

第2 回定例会:第2回国際開発論文コンテスト審査方法とスケジュールの審議・決定。「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」で11 人のインタビュー終了。

2023/5/21(日曜)

国際開発論文コンテスト(第3 回)審査会
[2023/5/28 常任理事会で審査結果を審議承認。コメントへの対応は後日検討]
[国際開発研究2023/6 号に第2 回国際開発論文コンテストの入賞者の要旨掲載]

2023/7/1(土曜)

  • 第3 回定例会:第3 回国際開発論文コンテストの振り返り。
  • 第4 回国際開発論文コンテストの実施決定。
  • 全国大会に「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」のセッション開催。
  • 1 年間の活動計画の達成状況を確認。

2023/8/27(日曜)

第4 回:今後の人材育成活動について。

2023/10/9(日曜)

第5 回:2023 年度活動報告案・決算案の審議。

(2)学部生を対象とした第3 回国際開発論文コンテスト(日本語、英語)

前年度より3 カ月早い2022 年11 月から広報開始(学会誌、ホームページ、メーリングリスト)。

  • 2023 年3 月1 日~24 日募集。
  • 5 月21 日(日曜)審査会。最優秀論文賞は該当なし。
  • 優秀論文賞は4 編。6 月春季大会(秋田)で公表。
  • 賞状、楯、学習奨励金を授与(郵送・振込)。
  • 入賞論文の要旨を学会誌掲載予定。

(3)2022 年12 月全国大会で、「授業という開発実践―わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか」と題したセッションを開催。

(4)留学生がなぜ日本で国際開発・国際協力を学ぶ/研究するのかについて聞き取り調査を実施。それをもとに、2023 年11 月の全国大会でRT を開催予定。

2.活動の評価

(1)目的:

以下の機会を提供することで人材の育成を目指す

  1. 学部生が参加できる機会
  2. 「国際開発の人材」とは何かを若手研究者(院生など)が考えられる機会

(2)年度当初の活動計画

  1. 学部生対象の「国際開発論文コンテスト」第2 回受賞論文の学会誌掲載、第3 回コンテストの実施。周知活動に力を入れて、応募論文の増加を図る。
  2. 留学生を対象にしたアンケートを実施し、日本で国際開発や開発協力を学び研究する意義を把握し人材育成活動に繋げる糸口を見つける。
  3. 「授業という開発実践―わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか」と題した学会セッションを開催し、その成果をもとに活動の継続を検討する。

(3)評価

  • 活動計画①を実施し、目的①は達成している。
  • 活動計画②と③を実施して目的②の達成に近づいてはいるが、まだ明確には打ち出せていない。次期に向けた課題としたい。

3.第11 期で俎上にあがったものの実現できなかった活動

  1. 国際開発論文コンテスト応募者との座談会:
    論文コンテスト入賞者のその後を追うことで、コンテストがどのように人材育成と繋がるかを考える。
  2. 継続検討事項=アイディアのストック:
    A. 人材育成実践としての国際開発や国際協力の授業の経験共有。
    B. 開発学会員お勧めの小説紹介。
    C. 15 分程度の「オンライン講座」(テーマごと)の発信。
    D. 国連フォーラムの「国連職員NOW」の国際開発学会版。若手学会員がインタビューすることで国際開発の多様性や変化を具体的に学び、将来目指すべき道を考えるきっかけにしてもらう。
    E. 国際機関やJICA はどのような人材を求めているのか、国際開発の教育はどのような人材を育てているのかを議論するフォーラムの開催(大会)。
    F. 開発学会員の留学生はどんな「人材」を目指しているのか、どんな学びを期待しているのか、文字や言葉にする【学会誌の特集など】。
    G. 以上の活動はホームページの活用と繋がっているので、学会のホームページをどう更新するかと合わせて考えていく。

人材育成委員会
第11期 委員長:松本悟(法政大学)


国際開発学会第12 期:委員会の構成および幹事の委嘱

委員長

小山田英治(同志社大学)

委員

志賀裕朗(横浜国立大学)

幹事

汪 牧耘(東京大学大学院)
大山貴稔(九州工業大学)
栗田匡相(関西学院大学)
森 泰紀(同志社大学大学院)

2024年度活動計画

  • 国際開発論文コンテスト企画・実施
  • 全国大会での企画・RT 開催活動計画

人材育成委員会
第12期 委員長:小山田英治(同志社大学)




横浜支部(2024年2月)

代表メンバー(第12期:2024年度)

支部長

志賀裕朗(横浜国立大学)

副支部長

吉田栄一(横浜市立大学)

監事

佐藤峰(横浜国立大学)

事務局長

小林誉明(横浜国立大学)


2024年度の支部活動スケジュール

4半期に1回程度、研究会および研究交流・情報交換会を行う。今年度は学会員以外へのアウトリーチ活動を積極的に検討する:

  • 2023年10月:定例研究会開催
  • 2024年03月:定例研究会開催
  • 2024年07月:定例研究会開催
  • 2024年09月:定例研究会開催

女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

若手会員(留学生を含む)が研究(修士論文、博士論文を含む)のアイディアを発展させるための機会を増やすべく、定例研究会では積極的に若手の研究発表を推奨する。具体的には女性研究者が多い、社会開発や教育分野に重点を置く。

また、横浜市、神奈川県在住の外国人研究者との交流を深めるなどの働きかけを行う。

またJICAや世銀との留学プログラムへの留学生の発表の機会を提供すると共に、日本で博士課程に所属する女性外国人留学生の都市開発系のグループInterlabなどとの協力関係を強化することで、女性/外国人/若手研究者への活動奨励を行う。


横浜支部
支部長:志賀裕朗(横浜国立大学)




[RG24-4] 開発論の系譜

開発論の系譜

The Genealogy of Development Discourses

代表:大山 貴稔(九州工業大学)

国際開発学会の誕生から30年超が過ぎ去った。このあいだに対外援助を取り巻く国際的アジェンダは激変し、ドナー国を対外援助へと駆り立てる誘因も移り変わり、ドナー国が国内で抱える社会課題も変転してきた。

日本のJICAを例に採ってみても、外国人に向けて国内外で「日本の開発学」を展開したり、外国人材の受入支援に取り組んだりと、従来の取り組みに収まらない新たな兆しが見受けられる。国際開発学会もまた学術的及び社会的な布置の移り変わりと無縁ではいられない。

本研究部会の目的は、日本における国際開発観の刷新に向けて足場を築くことである。日本の対外援助ステークホルダーを取り巻く国内外の時勢の変転を見定めつつ、日本における「開発/発展」論の系譜を多世代かつ多分野から検討することにより、人口減少や財政逼迫、国際情勢の安全保障化など、日本で中期的に向き合わざるを得ない難題に耐えうる「開発/発展」論の再構築を試みる。

メンバーを中心とした定例研究会の継続的な開催はもとより、援助ステークホルダーや学会外の専門家を招いた勉強会ないし聞き取り会なども検討している。

部会活動の成果については、春大会ないし冬大会で企画セッションを設けて学会員への共有を図る。大会での討論を踏まえて、学会誌投稿(または特集号編纂)や編著本などを執筆することで、学会の内外に向けて研究成果を公表できればと考えている。

研究部会へのお問い合わせ窓口

 

関連情報
ニューズレター:活動報告



『ICTと国際開発(ICT4D)』研究部会(2024年2月)

ICTと国際開発(ICT4D)

ICT for Development(ICT4D)

メンバー

代表

狩野 剛(金沢工業大学)

副代表

竹内知成(監査法人トーマツ)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

研究会(招待公演を含む)を年3〜4回程度開催する。

以下は議論トピックの例であり、1年目の活動を踏まえて2年目以降のトピック・活動内容を検討する。

  • AIツールと情報倫理
  • 外国人IT人材育成と日本の国際化
  • 国際開発におけるICTの具体的活用例
  • ICT導入によってもたらされる政策実施への変化

また、研究・実務への提言も視野に入れていることから、研究会は部会内部に閉じることなく広く学会員に開かれるとともに、当該分野に関心がある非会員の研究者・実務家もその対象とすることを想定する。

2年目(2024年10月~2025年9月)

研究会(招待公演を含む)の開催

3年目(2025年10月~2026年9月)

研究会(招待公演を含む)の開催


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<今年度>

全国大会または春季大会での企画セッションまたは論文投稿

2年目

全国大会または春季大会での企画セッションまたは論文投稿、書籍執筆

3年目

全国大会または春季大会での企画セッションまたは論文投稿、書籍執筆


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

まず、ICTはジェンダーの観点からも課題解決に貢献しうる技術であるため、ジェンダー x ICTをテーマとしたトピックも積極的に採り上げる。また、賛同者に外国人会員も含まれるため、英語での研究会開催や情報共有の際の二言語化を推奨・推進する。

そして、最新技術など若手研究者も興味を持ちうる内容も多いと考えられるため、若手会員の研究部会などとも情報共有し、積極的な巻き込みを図っていく。加えて、本部会は地理的・時差的な不利益をなくすために、オンライン開催を主としつつ、定期的に対面開催する。


『ICTと国際開発(ICT4D)』研究部会
代表:狩野 剛(金沢工業大学)




【会員限定】理事会議事録(第122・123回)

第122回理事会

  • 日時:2023年11月4日(土曜)14時~16時
  • 方法:対面及びZoom併用
  • 場所:名古屋大学
  • 出席者(敬称略):佐藤(第11期会長)、山田(第11期副会長、第12期会長候補)、高田(第11期副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、志賀、島田、杉田、三重野(第11期常任理事)、工藤、木全、小國、小山田、狩野、関谷、星野(以上、第12期常任理事候補)、尾和、島津(以上、第12期事務局次長候補)、池見、石田、伊東、大橋、岡部、小川、片柳、萱島、樹神、工藤、坂上、佐藤(峰)、澤田、澤村、関谷、高橋、鍋島、西川、西野、初鹿野、藤掛、藤山、山形、渡邉(以上、第12期理事候補)
  • 欠席者(敬称略):市橋、岡島、勝間、黒田、澤田、仲佐、藤倉(以上、第12期理事候補)、松本(第11期常任理事、第12期副会長候補)、道中、峯(以上、第12期理事候補)

議事

特段の記載がない場合、報告者は第11期の各委員会とする。

(1)報告事項

第34回全国大会(@上智大学)の準備状況について(大会組織委員会)
山田大会組織委員長より、第34回全国大会の準備状況について報告がなされた。

(1)審議事項

1. 2023年度決算および監査役報告(本部事務局・総務委員会)
池上総務委員長より、2023年度決算および監査報告結果について説明がなされた。石田監査役、西野監査役より、適切に会計が行われている点が評価に値するとのコメントがなされた。

2. 2023年度活動報告(各委員会)
各委員長より、2023年度の活動報告がなされた。

3. 2024年度予算案・活動計画案(第12期本部事務局・総務委員会)
第12期星野事務局長と各委員長より、2024年度の予算案と活動計画案の説明がなされ、委員会・支部・部会の設置及び予算案とともに承認された。

4. 2023年度学会賞の選出(賞選考委員会)
三重野賞選考委員長より、書籍について12件の応募があり、選考の結果、池田真也会員、杉江あい会員が奨励賞を受賞、論文については該当なしとなった旨、報告があった。

5. 韓国国際開発学会冬季大会への会員派遣(グローバル連携委員会)
北村グローバル連携委員長より、学会賞受賞者と近藤久洋会員を2023年12月に開催予定の韓国国際開発学会冬季大会へ派遣する予定である旨、説明があった。

6. 会員向け情報発信方法の整理(広報委員会)
高田広報委員長より会員向け情報発信の方法を整理していく必要性について説明があった。

7. 大橋正明会員の名誉会員への推挙(本部事務局)
佐藤会長より、大橋正明会員の名誉会員への推挙がなされ、承認された。

8. 第33回会員総会議事(本部事務局、総務委員会)
志賀事務局長より第33回会員総会議事案について説明があり、承認された。

9. 定款改正(本部事務局)、定款細則改正(第12期本部事務局、総務委員会)
志賀事務局長より、定款と定款細則の改正について説明があり、承認された。

10. 会費支払い方法の変更(バンクチェック廃止)(本部事務局)
池上総務委員長より会費支払い方法の変更について説明があり、承認された。

(その他)

11.今後の予定について
今後の会合予定について確認がなされた。


第123回理事会

    • 日時:2023年11月11日(日曜)11時45分~12時45分
    • 会場: 上智大学 紀尾井坂ビルB104教室
    • 出席者(敬称略):佐藤(第11期会長)、山田、高田(以上第11期副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、第11期常任理事)、池見、市橋、伊東、大橋、岡部、岡島、小川、小國、萱島、黒田、佐藤(寛)、澤村、高橋、藤掛、道中、山形(以上、第11期理事)、石田、西野(以上、第11期監査役)渡邉(京滋支部長)、志賀(第11期事務局長)、秋保(第11期事務局次長)
      小山田、狩野、木全、工藤、関谷(以上、第12期常任理事候補)、坂上、初鹿野(以上、第12期理事候補)、佐藤峰(第12期監査役候補)、星野(第12期事務局長候補)、尾和、島津(以上、第12期事務局次長)
    • 欠席者(敬称略):勝間、仲佐、鍋島、西川、藤倉、藤山(以上、第11期理事)、澤田(第12期常任理事候補)、樹神(第12期理事候補)

    *第11期役員で第12期も役員に就任予定の場合、第11期欄に名前を記載

    議事次第

    第34回全国大会実行委員長からのご挨拶(上智大学・小松太郎先生)
    小松・第34回全国大会実行委員長より挨拶があり、開催中の大会には学会員400名程度が参加しているとの報告がなされた。

    (1)審議事項

    1. 定款細則の改正について(第11期 本部事務局)
    志賀本部事務局長より、定款細則の変更に関する提案がなされ、承認された。

    2. 2024年度予算案について(第11期 総務委員会)
    池上総務委員長より、2024年度予算案について説明がなされ、承認された。支部・研究部会の活動費については、各支部・部会あたりの支給額の上限を20万円に設定することとなった。

    3. 理事会におけるオブザーバー参加について(第11期 本部事務局)
    理事以外の支部長(市橋先生、渡邉先生、梅村先生)を理事会オブザーバーとして認める提案がなされ、承認された。

     

    佐藤仁第11期会長からの挨拶

    佐藤第11期会長より退任挨拶があり、第11期のスローガンであるvisible, inclusive, entertainingはほぼ実現できたと考えているとの見解が披歴された。

    さらに、ホームページのアップデートや科研費を獲得したうえで英文学会誌を刊行できたことなどの具体的な成果についても言及がなされた。

     山田肖子・第12期会長候補からの挨拶

    山田・第12期会長候補より、第12期体制では「①国際開発学の再定義、②多様性からのシナジー、③わくわくの創造」をスローガンとして活動を行っていく旨の意向が表明された。

    その他(連絡事項など)

    第11期・第12期の役員紹介
    第11期佐藤会長、第12期山田会長より役員及び役員候補者の紹介がなされた。




    [RG24-3] SDGs を問い直す

    SDGs を問い直す

    Sustainability Development Goals, Re-examined

    代表:大門(佐藤)毅(早稲田大学)

    この度、本学会における先行の国連SDGs(持続可能な開発目標)にかかる研究部会(後述)の成果を発展させるべく、新規に「SDGsを問い直す Sustainability Development Goals, Re-examined」研究部会の設置する。

    当研究部会の目的と期待される成果は次の通りである。第1に、SDGs(2016-2030年)の中間年を迎えるにあたり、これまでのSDGsの歩みを再考し、新型コロナ禍やポスト/ウィズ・コロナ等を踏まえて、SDGsの創造的破壊も含めて学際的・多角的に問い直す。

    第2に、多くの学会員が執筆した『SDGsを問い直す』(野田真里編著、法律文化社、2023年)での到達点をふまえて、SDGsの後半そして2030年にむけた課題を分析し、国際開発の政策や実践について展望する。

    なお、同書は本学会の「持続可能な開発とSDGs」研究部会(JASID-SDGs、2016-2019年)および「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会(2019-2023年)等の研究成果を踏まえている。

    第3に、研究の国際化を推進、英語による研究会や大会でのセッションを企画し、外国人会員や海外の研究者等とのネットワークを強化する。また、英語による国際雑誌への投稿や英文図書の出版を企画する。

    そして、第4に、持続可能な開発の担い手とくに若手人材の育成、女性会員や外国人会員の積極的な参加等のダイバーシティの推進、そして行政・企業・市民社会等のマルチステークホルダーとの連携を強化する。

    研究部会へのお問い合わせ窓口

     

    関連情報
    ニューズレター:活動報告



    新刊案内「Climate–Energy–Land Nexus」

    この度,インドネシア大学のHalimatussadiah准教授と共編著でRoutledgeより,The Climate–Energy–Land Nexus in Indonesia: Biofuel, REDD+ and biocharを出版しましたので,紹介させていただきます.

    本書は,欧州の再エネ指令や森林伐採規制,及びインドネシア政府の2060年温室効果ガス排出ゼロ目標を受けて対応を迫られるインドネシアの油やし農園に焦点を当てています.

    インドネシアのこれまでの気候変動・エネルギー・農業・森林政策を概観(第2章)したうえで,移住政策(第3章),バイオ燃料政策(第4章),炭素税・国
    際資金協力(第5章),REDD+(第6章)の効果を個別に分析あるいはレヴューを行い,その限界を克服する対応策としてバイオ炭(Biochar)(第7・8章)及び代替農業(第9章)の検討を行っています.

    The EU’s Renewable Energy Directive and Deforestation Regulation have
    reinforced import regulations of commodities that cause excessive deforestation. In response, Indonesia has struggled to manage deforestation caused by palm oil plantations and to effectively use oil palm that cannot be exported to the EU.

    The book extends the framework of the climate-energy-land nexus to
    elucidate political, economic, social, and institutional factors and causal mechanisms that stringent climate targets bring about a disproportional heavy burden on the forest sector in Indonesia. Subsequently, the book assesses REDD+ and biochar solutions by a multidisciplinary approach, ranging from biological, agricultural, technological, economic, and institutional ones. The assessment has implications for local and national strategies that can effectively address the climate-energy-land nexus and just transition between sectors.

    なおRoutledgeは,日本時間12月1日午後7時(英国時間午前10時)までBlack Friday Sale を行っており,全ての書籍が 25% 割引となります.

    ※なお,お問い合わせは,下記メールアドレス宛にお願い致します.


    本件にかんするお問い合わせ先

    森 晶寿
    京都大学地球環境学堂

    • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 606-8501 京都市左京区吉田本町



    第34回全国大会:大会プログラム冊子の公開【第8報】

    全国大会の開催日が近づいて参りました。皆様をキャンパスにお迎えすることを楽しみにしております。

    大会当日は、キャンパス内で工事が予定されています。また、幾つかのイベントが行われる見込みです。狭いキャンパスで色々ご不便をおかけするかもしれませんが、ご理解頂ければ幸いです。

    大会プログラム冊子を作成しました。ダウンロードをしてご利用下さい。当日についても諸連絡がありますので、ご確認ください。

    1.大会プログラム冊子(PDF)について

    1. プログラム冊子は、下のリンクからアクセスできます。パスワードは、報告論文PDFの閲覧用と同じです。発表ガイド、会場案内、大会スケジュールなどを収録しています(これらの情報は大会HPでも確認できます)。
    2. 大会プログラムは紙では配布しません。プログラムはご自身の端末機にダウンロードしておくか、印刷して持参頂くことをお勧めします。

    ★大会プログラム冊子:

    2.当日の入構と受付について

    入構ルート

    正門(ソフィアン通り)から入構してください(キャンパスマップのリンクを以下に貼ります)。案内板やバイト学生の誘導にしたがって、紀尾井坂ビル(分科会)や11号館(休憩ラウンジ、託児所)、2号館(プレナリー、ポスターセッション、総会、懇親会)に向かってください。

    ★キャンパスマップ:

    受付

    受付場所3カ所とそれぞれの受付時間は以下の通りです。

    ◆1日目

    • 11号館1階(メイン受付) 9:00-13:15
    • 2号館5階 9:30-13:00, 16:30-18:30
    • 2号館17階 12:45*-16:30 *プレナリー会場へは13:00から入場可能です。

    ◆2日目

    • 11号館1階(メイン受付) 9:00-17:00
    1. 受付後、空のネームホルダーをお渡しします。ご自身の名刺を持参し、ネームホルダーに入れてご利用ください。
    2. 受付は原則お名前のみで行いますが、支払い等の確認が必要な場合、Confitからダウンロードできる領収書をご提示いただくことがあります。

    3. 会場でのWiFi使用について

    会場でのWiFi接続については、Eduroamをご利用になれます(事前設定が必要です)。Eduroamをご利用出来ない場合は、ゲストアカウントを利用して、「sophiawifi2019」に接続頂けます。

    ★Eduroam:

    ゲストアカウントを利用する場合、最初に接続する際に、端末機によっては設定が必要です。設定の仕方については、以下からマニュアルを選んでご確認ください(会場で参照できるように、事前にマニュアルをダウンロードしておくことを勧めます)。

    ゲストアカウントとパスワードは、大会プログラム冊子に記載されています(会場では配付致しませんので、メモを取っておいてください)。ゲストアカウントを利用したWiFi接続の設定手順はやや複雑なので、可能であれば、Eduroamをお勧めします。

    ★マニュアル:

    4. 大会期間中の書籍の販売について

    大会二日目の12日(日曜)に、11号地下ラウンジ(休憩スペース)で書籍販売を行います(9:00~17:00)。

    学会員の著書を含め書籍を割引価格で購入できます、是非お立ち寄りください。


    本件にかんするお問い合わせ先

    第34回全国大会実行委員会
    実行委員長:小松 太郎(上智大学)

    • お問い合わせ先:jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    第4回・国際開発論文コンテストのお知らせ

    第4回・国際開発論文コンテスト

    国際開発及び国際協力に関心を持つ学生の人材育成という観点から、学部生の研究を奨励し、研究成果の顕彰を目的として、国際開発学会では本コンテストを実施する。

    対象は2024年3月時点で学部生が書いた論文で、応募には国際開発学会員の推薦が必要。

    2023年 6月開催予定の国際開発学会春季大会で公表・表彰の予定。

    応募受付期間

    • 2024年3月1~24日

    詳細は、以下のページをご参照ください。

    人材育成委員会
    委員長:松本悟(法政大学)




    論文募集「第4回・国際開発論文コンテスト」(応募受付期間:3月1日~24日)

    1.目的

    国際開発及び国際協力に関心を持つ学生の人材育成という観点から、学部生の研究を奨励し、研究成果の顕彰を目的として、国際開発学会では本コンテストを実施する。

    2.応募資格と対象

    応募できるのは2024年3月の時点で国内外の大学(学部)に在籍していた者とする。対象となるのは、国際開発及び国際協力にかかわる諸問題に関して学部在籍期間に執筆した研究論文とし、単独研究・共同研究の別を問わない。ただし、共同研究の場合は在籍大学が異なっていても構わないが、執筆者全員が上記時点で学部生であることとする。

    3.表彰

    応募論文は厳正な審査を行ったうえで、国際開発学会として「最優秀論文賞」と「優秀論文賞」を選び表彰する。

    4.公表

    「最優秀論文賞」は全文を、「優秀論文賞」は要旨を、国際開発学会の学会誌、ニューズレター、ホームページなどを通して公表する。なお、公表にあたっては若干の修正を求めることがある。所属大学のリポジトリや紀要などですでに発表されている場合は、応募者自身が当該大学等に許諾を得ること。

    5.論文

    募集する論文は、明確な問題意識に基づいて開発や国際協力に関わる課題設定を行い、それをすでに行われてきた議論の中に位置づけたうえで、方法を明示した分析を行って合理的な結論を導いたもの。何らかオリジナリティがみられる、日本語または英語で書かれた研究論文とする。

    6.留意点

    国際開発学会には多様なディシプリンを背景とする学会員が集っており、個々のディシプリンにおける独自性や意義を示すだけにとどまらず、国際開発や国際協力に対する含意に踏み込んだ論述を意識して欲しい。

    7.応募論文のフォーマット

    (1)応募論文はMicrosoft WordのA4判で作成し、図表を含め1つのファイルにまとめること。この様式での応募が困難な場合は事務局に問い合わせること。

    (2)日本語の論文は本文で20,000字程度(図表、注、参考文献込み)を限度とする。最優秀論文に選出された場合は全文を学会誌に掲載することになるので、論文の字数にはくれぐれも留意すること。
    a)第1ページには、表題、執筆者名(和文と英文)、所属(和文と英文)、E-mail、その他の連絡先を明記すること。
    b)第2ページには、英文表題、300語程度の英文要旨、英文キーワード3~5語を記すこと。
    c)第3ページには、表題を明記し、1,200字程度の和文要旨を記すこと。執筆者名は書かないこと。
    d)第4ページ以降が本文である。A4判の用紙に左右マージン30mmをとり、1段組み、10.5または11ポイントのフォントを使用して、1行40字、1ページ40行とする。各ページに番号をふる。
    e)図表は本文とは分離し、1ページに1枚記すこと。

    (3)英語の論文は本文で7,000語程度(図表、注、参考文献込み)を限度とする。
    a)第1ページには、表題、執筆者名、所属、E-mail、その他の連絡先を明記すること。
    b)第2ページには、表題を明記し、400語程度の要旨及びキーワードを3~5語記すこと。執筆者名は書かないこと。
    c)第3ページ以降が本文である。A4判の用紙に左右マージン30mmをとり、11ポイントのフォントを使用して、1ページ40行のレイアウトとする(1ページ約600語)。各ページに番号をふる。
    d)図表は本文とは分離し、1ページに1枚記すこと。

    (4)執筆要綱は『国際開発研究』執筆要綱に準拠する。

    8.応募用紙・推薦書

    「国際開発論文コンテスト」応募用紙・推薦書の項目を確認してチェックを入れたものに、執筆者全員の署名をすること。また、応募にあたっては国際開発学会会員の推薦を受ける必要があるため、同じ様式に推薦者の署名もしくは押印を得て応募論文とともに提出する。もし、学会員の指導教員がいない場合は、人材育成委員会事務局にメールで相談すること。

    9.募集期間

    2024年3月1日(金曜)~3月24日(日曜)

    10.応募方法

    応募者は、「応募用紙・推薦書」と「応募論文」を募集期間内に以下の人材育成委員会事務局までE-mailに添付して送ること。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・人材育成委員会
    事務局

    • jasid_jinzaiikusei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2023年11月)

    2023年度活動報告(Oct. 2022-Sept. 2023)

    This year will be the second year since the establishment of our research group, IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems). Based on the activities conducted in the FY 2022, we discussed the directions of research, examined research progress of our group members, organized an oral session at the 24th JASID Spring Conference, and made presentations to share research findings of our group members.

    In Dec. 2022 and Jan. 2023, we consulted with member representatives about the directions of research.

    In Feb. 2023, we reviewed research progress of our group members, organized an oral session for the 24th JASID Spring Conference, prepared abstracts of papers for presentations and also of our session, and submitted a plan of our session to the conference secretariat. We also elected a commentator for our session.

    In March and April 2023, designated presenters prepared full papers.
    In May 2023, full papers from presenters were collected and submitted to the conference secretariat. In the meantime, we were consolidating research activities for the next year.

    In June 2023, our session we held at the 24th JASID Spring Conference.

    Title: Learning from Current Practices in Sustainable Society

    • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
    • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
    • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)

    Presenter:

    1. Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
      “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.”
    2. Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
      “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.”
    3. 〇Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
      “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability
      Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
    4. 〇Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)
      “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”

    This session was conducted virtually, while some presenters presented in person. We received constructive suggestions during the session, and we could deepen our understanding of sustainable society by integrating our research findings.

    In August and September 2023, we were consolidating research activities for the next year.

    『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
    代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




    参加募集「岩手県宮古市でロジックモデルと指標を社協のみなさんと一緒に学ぼう! 」11月1・2日開催(会員・一般)

    学会員の三好崇弘です。国際協力と地域おこしの異業種交流会をしている「 グローカルな仲間たち」を主催しています。

    今回、岩手県宮古(みやこ)で、社会福祉協議会のみなさまとともに、社会課題解決のツールとしてつかえる、ロジックモデルと、実行にかかせない「指標(インパクトとプロセスの測り方」」を学びます。

    宮古は震災復興の現場でもあるので、リアルな体験や知見を社会福祉協議会のみなさまから聞く機会もあります。

    夜と翌日は、有志で宮古の観光(社会見学)をします。

    グローカルな仲間たちの補助があるのでかなり格安です。交通費と宿泊費(ビジネスホテル利用」は自己負担です。

    開催概要

    ■タイトル:岩手県宮古市でロジックモデルと指標の作り方を社協のみなさんと一緒に学ぼう! (前後観光もしちゃおう!)

    • 日時:2023年11月1日(水曜)13:30~17:30(勉強会)*その前後に観光つき(有志)
    • 場所:宮古市社会福祉協議会(仮)
    • 定員:10名(先着順)
    • 参加費:3,000円(資料代、会場費、夜の懇親会込み)学生の方は無料(交通費・宿泊費は個人負担です)

    勉強会の内容

    地域の社会課題を解決するロジックモデルと実行必要な指標について参加型で学びます。

    第一部 ロジックモデル
    ・ 地域課題を分析する問題分析
    ・ 解決策を探る目的分析
    ・ 事業化(プロジェクト)
    ・ 包括的事業(プログラム)
    第二部 インパクト指標
    ・ 指標(Indicator)の基本
    ・ プロセス指標とインパクト指標
    ・ 量的指標と質的指標
    ・ モニタリングの基本と演習


    本件にかんするお問い合わせ先

    グローカルな仲間たち・三好

    • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    ウェビナー:国際協力×ファッション・第2回『プロダクトデザインへの協働評価の適用(グローバルスーツ)』9月15日開催(会員・一般)

    国際セミナー:国際協力×ファッション第2回プロダクトデザインへの協働評価の適用(グローバルスーツ)

    近年、国際開発・国際協力の分野では新しい動きが見られます。国際開発研究31巻2号では『スポーツを通じた開発援助の可能性』という特集号が組まれました。

    同じ文脈で『ファッションを通じた国際協力の可能性』という学術研究とビジネス実践が見られるようになってきました。

    こうした流れを受けて、米国南フロリダ大学(USF)と国際開発センター(IDCJ)評価グループの主催で以下のバーチャルセミナーを開催致します。

    プレゼン内容は、7/13の日本語版セミナー(第1回)から最新の状況を反映させてアップデートしております。ご興味のある方は以下からお申込みください。

    開催概要

    • 日時:2023年9月15日(木曜)21:00-22:00(日本時間)、8:00-9:00am, 15 (Thu) September 2023 EDT, U.S.
    • 方法:Zoomで実施します
    • 使用言語:English(同時通訳はありません)
    • 参加費:無料
    • 主催:南フロリダ大学*、国際開発センター(IDCJ)評価グループ

    参加申込

    参加申込のGoole Formから登録してください。

    報告者

    国際開発センター(IDCJ)評価部主任研究員 佐々木亮
    (Ryo SASAKI, Ph.D., Senior Researcher, IDCJ)

    <ご参考サイト>(成果物であるプロダクト(グローバルスーツ)公式サイト】

    *南フロリダ大学(USF)は、アメリカの第一線(the first tier)の研究大学としてAAU(American Association of Universities)に認定されています。
    (加盟が認定されている大学:)


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発センター(IDCJ) 評価部
    主任研究員:佐々木亮/Ryo SASAKI

    • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-6718-5932
    • FAX:03-6718-0910
    • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階



    【重要】2024年度・復会申請受付(9月17日締切)

    復会を希望する休会中の会員の方へ

    現在、休会中の学会員で、2023年10月から始まる2024年度より学会活動の再開を希望する方は、申請期間内に届け出をお願いいたします。

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)*締切厳守

    申請方法

    以下の申請フォームより手続きをお願いいたします。

    [JASID_ FY2024] 復会申請フォーム/
    Application for Reinstatement
    ※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守

    申請後の流れ

    締切後、本部事務局で申請内容を精査して常任理事会での承認を得たのち、結果について10月中旬以降にご連絡します。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・本部事務局
    申請に際してご不明な点等がございましたら、本部事務局までお問い合わせください。





    【重要】2024年度・学生会員の資格確認手続き(9月17日締切)

    2024年度の会員種別の継続・変更

    学生会員の方へ

    学生会員には、毎年8~9月に次年度の学生会員としての資格確認を実施しています。以下のいずれかに該当する学生会員は、下記の申請期間内に10月1日以降も学生であることがわかる証明書(学生証のコピー等)を以下の手順で提出してください。

    対象者

    以下に該当する学生会員は、回答期限までに必ず手続きを行なってください。

    • 会員マイページにアップロードされている学生証の有効期限が2023年9月末までの学生会員
    • 会員マイページにアップロードされている学籍証明書類(学生証を含む)に有効期限の記載がない学生会員
    • 会員マイページの〔最終学歴>卒業・修了(予定)年月〕が2023年9月末以前の学生会員

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)*締切厳守

    申請方法

    以下の申請フォームより手続きをお願いいたします。

    [JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/
    Verification of Student Member Eligibility
    ※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守

    2023年10月1日以降でなければ最新の学生証をアップロードできない方

    回答期限内に上記申請フォームを通じて、学生証の提出が遅れることを本部事務局までお知らせください。
    ※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守

    〔ご注意〕

    9月末時点で、本部事務局に事前のご連絡・ご相談がなく、10月1日からの学籍を確認できなかった学生会員は、新年度(10月)より会員種別が自動的に正会員に切り替わります。

    それに伴い、年会費が5000円から1万円に変更となります(会費の請求は2024年4月初旬に行う予定です)。

    すでに学籍を離れている方

    次年度より正会員に変更予定の学生会員は、以下の申請フォームにて2023年10月の在籍状況を申告してください。

    その後、会員マイページにログインして学生証ファイルを削除し、所属先情報の更新をお願いします。

    [JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/
    Verification of Student Member Eligibility
    ※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守


    指導教員の方へのお願い

    留学生かどうかにかかわらず、学生会員は学会の制度や仕組みについて不案内な方も少なくありません。

    ご自身の指導学生が当学会の学生会員として在籍している方は、学生会員の資格継続手続きについて、ご指導をお願いいたします。


    正会員で、学生会員への変更を希望する方

    以下のURLに記載されている会員種別に関する条件について今一度目を通して頂き、学生会員としての資格を満たしているかどうか、ご確認ください。

    学生会員資格の適用条件

    Q:正会員ですが、大学生になりました

    Q:学生から社会人になりました

    Q:休学しますが、学生会員のまま在籍できますか?

    正会員→学生会員への変更手続

    学生会員としての条件を満たしており、2024年度(2023年10月1日以後)の会員種別を学生会員に変更したい会員は、以下の申請フォームより学籍の証明手続を行なってください。

    なお、社会人学生には、正会員での所属をお願いしています。

    [JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/ Verification of Student Member Eligibility
    ※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守


    すべての会員の皆さまへ

    所属先・住所等の更新のお願い

    会員情報に変更がある方は、会員マイページにご登録中の情報の更新をお願いいたします。とくに、所属機関の変更に伴ってメールアドレスが使用できなくなることのないようお願いいたします。所属機関や郵便物送付先住所のほか、研究分野等についても、最新の内容にアップデートをお願いします。

    なお、所属機関の変更によって現在のメールアドレスが使用できなくなる場合は、事前に、ログイン用のメールアドレスを別のアドレスに変更してください。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・本部事務局




    【重要】2024年度・会費減額申請の受付(9月17日締切)

    平素より国際開発学会の活動に多大なるご協力を賜り、深く感謝申し上げます。

    先般、ニューズレター第34巻3号にてお知らせしたとおり、10月1日より始まる2024年度においても、会員の年会費減額制度を実施することとなりました。

    【重要】総務委員会・本部事務局からのお知らせ

    制度の利用には申請期限内に本部事務局に対して申請が必要です。
    正会員、学生会員ともに申請のあった会員のうち、
    常任理事会にて承認を受けた会員のみに適用されるものとなります。

    2024年度(2023年10月1日~)の年会費の減額を希望する会員は、本部事務局に対して申請期限内に申請が必要です。

    下記の条件、申請方法をお読みいただき、申請フォームに必要事項をご記入の上、かならず期限内にお申込みください(期限後の申請は受け付けられません)。

    応募要項

    1.対象者と金額

    (1)正会員:

    常勤職を有していないため経済的に困窮を極める正会員を対象に、年会費(1万円)を半額(5000円)に減額

    (2)学生会員:

    経済的困窮を極める学生を対象に、年会費(5000円)を2000円に減額

    2.申請条件

    2022年度および2023年度の会費支払いが完了していることが条件となります(ただし、学生会員で2022年度会費支払いが免除となった人は、免除をもって会費を支払ったとみなします)。

    3.申請受付URL

    [JASID_FY2024]学会費減額申請フォーム /
    Application Form for Membership Fee Reduction

    4.申請期間

    2023年8月15日(火曜)~2022年9月17日(日曜)*締切厳守

    5.申請後の流れ

    締切後、本部事務局で申請内容を精査して常任理事会での承認を得たのち、結果について10月中旬以降にご連絡します。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・本部事務局
    申請に際してご不明な点等がございましたら、本部事務局までお問い合わせください。




    採用公募:English-speaking faculty member in Global Studies, Department of International Studies, Kyoritsu Women’s University

    共立女子大学国際学部では、英語教育プログラム「GSE (Global Studies in English」を主担当の教員(Global Studies分野)を公募いたします。

    英語話者の研究者・教員の採用を対象としていますので、以下、英文で書かせていただきます。

    Dear JASID members,

    I am Masayoshi Okabe from Kyoritsu Women’s University, located in Chiyoda, Tokyo.

    Our department, International Studies, is pleased to announce a job opening for a faculty member to teach and conduct research in the field of “Global Studies,” including international development and cooperation, sustainability studies, and more.

    English-speaking researchers are expected with expertise in, but not limited to, development economics, international development and cooperation studies, sustainability studies, global business, and other fields, ranging from the disciplines of economics, politics, international relations, business administration to other social sciences (for another position of vacancy, which is area studies-based, please find the other recruiting of ours called “GSE faculty in Asian Studies” at JREC-IN or at our university website). This email is regarding the Global Studies position with more emphasis on social sciences. The positions available include either a Full, Associate, or Assistant Professor, depending on the applicant’s experience, which will be assessed.

    Expected teaching courses may be, but, depending on the successful applicant’s expertise, not necessarily specified to: Introduction to Global Studies; Foundations in Global Issues; Topics in Global Issues; International Relations; Global Leadership; Sustainable Development, Global Business; Foundations of Business Communication; Topics in Business Communication.

    Students are primarily Japanese, so not only teaching substantial contents but also guiding their English skills is also expected on the successful applicant.

    For further information, please visit the following JREC-IN link:

    You can also directly visit our University’s page and download the files:

    We welcome both postal applications with hard copies and e-applications.


    Contact

    In case you have queries, the contact email address is provided here as the following one. Please direct your queries to the Search and Recruiting Committee through:

    • [at] (replace [at] with @)

    Yours sincerely,

    Masayoshi Okabe, Ph.D.
    Associate Professor
    Department of International Studies
    Kyoritsu Women’s University




    第24回春季大会セッション報告(一般口頭発表)

    一般口頭発表

    [A1] Education(個人・英語)

    • 9:30 〜 11:30
    • 座長: Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)
    • コメンテーター: Hideki Maruyama(Sophia University), Mikiko Nishimura(International Christian University)
      1. [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR
        Souksamay INTHAVONGSA (Hiroshima University)
      2. [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia
        Sokunpharoth SAY (Hirohsima University)
      3. [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School
        Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA (Osaka University)
      4. [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO (Osaka University)
      5. [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers
        Manuel Jordão, Satoshi KUSAKA (Naruto University of Education)

    [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR

    Ms. Inthavongsa, reported that in Lao PDR teachers used numerous strategies for managing a multi-grade class, but had challenges in preparing individual tasks, using assessment rubrics, and coping with ethnic minority’s language, for which teachers need more training and experiences. Prof. Nishimura commented that further explanation were needed on teachers’ perception on their challenges, their experiences and skills.

    [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia

    Mr. Sokunpharoth reported that community’s roles of fund raising, children’s attendance, infrastructure development, and monitoring students’ progress help improving promotion rate of students in Cambodia. Prof. Maruyama asked about his sampling method, the membership and functions of the school management committee, and differences in the local dynamism.

    [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School

    Mr. Andriariniaina presented both parents in the slum areas in Nairobi, Kenya and parents, relatives and guardians in the pastoral area where women have no assets, are trying hard to help their children go to secondary school for a better prospect for future employability. Prof. Nishimura commented on the sample size, generalizability, and need to consider the diversity of the study area.

    [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?

    Ms. Rasolonaivo discussed that high school students in Madagascar were exposed to the COVID-19 pandemic and the global economic crises which gave them knowledge and awareness of global issues, helped by the new curriculum on the citizenship education that has more commonalities with global citizenship education. Prof. Maruyama suggested that the background and diversity of students, communities and schools need to be explained further.

    [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers

    Mr. Manuel reported that a carefully designed workshop/training can strengthen teachers’ scientific knowledge and their attitude toward improvisation of teaching material in the secondary schools of Angola. Prof. Nishimura questioned about the particulars of the workshop, whether the presenter observed the classes, and changes in the motivation of teachers after the workshop.

    総括

    The five presenters of this session covered education challenges ranging from multi-grade teaching, community’s roles in school management, parental perspectives on children’s career planning, global citizenship education, and the improvisation of teaching materials, in African and Asian countries. The analytical methods also varied from qualitative, quantitative and mixed methods.

    There were constantly some 30 participants many of whom joined and left during the session, and rich Q and A interactions.

    報告者:Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)


    [A2] 教育(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:小川 啓一(神戸大学)
    • コメンテーター:山田 肖子(名古屋大学)、小松 太郎(上智大学)
    1. [A2-01] 開発途上国における継続的な学力測定のためのテスト開発 ―マラウイ・ガーナ・ウガンダの事例―
      谷口 京子(広島大学)
    2. [A2-02] モザンビーク教育大学学生の教職志望動機に関する一考察-FIT-Choice 尺度を活用して-
      谷川 夏菜子、脇田 祐輔、Simbine Alberto、日下 智志(鳴門教育大学)
    3. [A2-03] 東ティモールにおける大規模縦断 EMISデータとGIS情報を用いた学生の教育進級履歴の決定要因に関する分析
      内海 悠二(名古屋大学)
    4. [A2-04] ケニアにおける教育改革の進捗と問題点―Competency-Based Curriculumの導入と教育制度の変更をめぐって―
      澤村 信英(大阪大学)
    5. [A2-05] 東ティモールにおける「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の適用可能性の検討-初等教育学校と前期中等教育学校の連携に着目して-
      須藤 玲(東京大学大学院)

    コメント・応答など

    谷口会員は、サブサハラ・アフリカ地域における生徒の学力を、各国のカリキュラムに照らし合わせて分析することの重要性を指摘し、マラウイ・ウガンダ・ガーナの3カ国におけるテスト開発および学力調査の結果を報告した。学力調査の結果からは、作成したテストの信頼性や3カ国間での学力比較を共有した。

    これに対して、コメンテーターの小松会員から、各国のカリキュラムに照らしたテスト開発を進める上で3カ国を比較することの意義についての質問がなされた。また、選択国の代表性や他国への適応可能性などの観点から、3カ国を選定した理由等が問われた。

    谷川会員らの第2発表では、モザンビークにおける教員の離職率の高さに関連して、教員の早期離職の原因を調査した結果が共有された。教員志望の大学生が教職を選択する理由に焦点を当て、現職教員に対する調査とは異なる視点からの考察を提示した。

    コメンテーターの山田会員からは、分析における説明・被説明変数が離職率の要因を明らかにする上で妥当な選択であるのか指摘がなされた。また、分析結果について山田会員の視点による考察も加えられた。

    内海会員による第3発表では、複雑な社会構造を有する東ティモールにおける生徒の就学生存率を、地理情報データを活用して空間的に把握する試みが共有された。

    地理的に就学生存率が高い(低い)学校が密集するホット(コールド)スポットの存在を指摘するとともに、マルチレベル・ロジスティック回帰分析による要因の検討を行った。

    小松会員からは、経年的に結果を見た際に一時的にホットスポットとなる地域の存在について質問が挙げられた。また、スポットが生じる要因の分析において十分に検討されていなかった社会的な要因としていくつかの可能性を提示した。

    第4発表では澤村会員から、ケニアにおいて2018年から導入され始めた教育改革の進捗や課題について、教育改革の歴史を踏まえた報告がなされた。Competency-based Curriculumの推進が、学習者の能力を公正に伸ばすと期待されていながらも、実態としては不公正な社会に向かっているのではないかと評した。

    山田会員は、Competencyとして求められる能力は、各時代における社会の在り方によって異なるのではないかと指摘し、ケニアの教育改革の歴史の中でCompetencyの在り方がどのように変化してきたのか等の質問を投げかけた。

    須藤会員による第5発表では、多言語社会において推進されている「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の東ティモールにおける適用可能性について、教員側からの受容と反発に焦点を当てた考察が行われた。

    前期中等教育学校において教員がMTB-MLE校に対して反発を示したことを踏まえ、初等教育段階と前期中等教育段階の連携における課題を指摘した。

    小松会員は発表を受け、多言語教育における教育者の重要性を再確認した上で、彼らの声だけを「MTB-MLEへの社会的反発」と捉えることについて疑問を投げかけた。

    また、MTB-MLEの試験的導入から彼らの受容と反発に至るまでのプロセスに目を向けることの意義を指摘した。

    総括

    コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質疑が挙がり、活発な議論が行われた。発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

    報告者:小川 啓一(神戸大学)


    [A3] 産業(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:高橋 基樹(京都大学)
    • コメンテーター:島田 剛(明治大学)、池上 寛(大阪経済法科大学)
    • 聴講人数:22名
    1. [A3-01] 南アフリカ小規模食品加工企業の存続と BEE政策の影響
      西浦 昭雄(創価大学)
    2. [A3-02] 職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として
      松本 愛果(京都大学)
    3. [A3-03] インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要
      黒川 基裕(高崎経済大学)

    コメント・応答など

    同セッションの報告者は、西浦昭雄、松本愛果、黒川基裕の3会員、また討論者は池上寛、島田剛の両会員であった。また、22人ほどの参加者があった。

    西浦報告「南アフリカ小規模食品加工企業の存続とBEE政策の影響」では、報告者から、アフリカの小規模企業がどのように、産業の二重構造を越えようとしているかという問題意識に立ち、個別の企業の成長の軌跡に注目することを念頭に置きつつ、南アフリカの小規模食品加工業に注目したことが説明された。

    そのうえで、南アの企業に関する最も網羅的なデータベースであるWOWEBを利用し、HPも参照して、5年以上成長の軌跡をたどることのできる企業を絞り込み、その軌跡においてBlack Economic Empowerment(BEE)による調達面の優遇や、資金やエネルギーの調達、市場の開拓の問題などの影響を検討したことが説明され、企業の継続には段階的な規模拡大、需要の獲得、事業継承の容易さなどがカギとなっているとの知見が紹介された。

    討論者から、BEEが経営者の属性(「人種」)によって受ける影響、業種による規模の違いなどを考慮すること、また企業者の経営能力、輸出の成否、また事業継続の失敗例とその要因などを検討に含めることなどの必要性の指摘があった。また参加者から行政の衛生管理をクリアするかどうかで大きな違いが生じることやノウハウを伝えやすいなどの食品加工の業種としての特殊性への注意喚起があった。

    松本報告「職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として」は、大学と中等学校の中間に置かれた職業教育校が、労働者の技能、賃金・所得に与えている影響について、ケニアでの実証調査を踏まえて論じた。調査では、フォーマル及びインフォーマルな企業の採用担当者、官民の職業訓練校の製造業関連職種の現役生・卒業生が対象となった。

    調査研究の結果、職業訓練修了者の賃金は大学と中等教育の間であるが、企業採用担当者からすると、スキルや学力は中等教育より上で、また大卒よりも労働市場で必要とされる適正なスキルと知識を備えているために雇用機会は高く、より確実に仕事を得ることができ、その点において職業教育は相対的に人材養成において優位である可能性が示された。

    討論者からは、対象の職種の選定理由を明示すること、労働者や使用者の賃金の認識のしかた(短期か、それとも終身まで視野に入れた長期か)を考慮すること、企業による職業訓練の成果の活用について検討すること、また世界銀行による職業訓練校への批判について念頭に置いた議論を展開することなどの必要性が指摘された。

    黒川報告「インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要」は、途上国に広く見られる、調理の際の排煙によって健康被害をもたらしかねないかまどに代わるものとして、報告者自身が開発・普及に携わっている「無煙クッキングストーブ」の事例についての報告であった。

    報告者の研究においては、開発された無煙ストーブをインドネシア西部バンテン州の農家に貸与し、その潜在需要をCVMとWTP(willingness to pay)の手法を使って検証する方法が採用された。

    WTPを通じて農家の側に、比較的低いながらも市場価格を支払う意欲があり、あるいは無煙の燃焼に必要なペレット、商用のための長時間燃焼可能なモデルへのニーズが存在することが確認されたこと、また、環境性能と収益性能の間のトレードオフやストーブ・ペレットの改善上の課題が指摘された。

    討論者からは、潜在需要と農家の生存水準及び健康問題への関心との相関性を検討すること、また採算性を考える際に、ストーブ自体の製造やペレットの生産のための固定費用まで計算に入れることなどの必要性の指摘があった。

    総括

    製造業・ものづくりについての研究は国際開発研究において大きな潜在的な重要性と発展可能性を持つものであり、このようなセッションが今後も継続的に開催されることが期待される。

    報告者:高橋 基樹(京都大学)


    [B1] Economy(個人・英語)

    • 9:30 〜 11:30
    • 座長/ Chairman: Akio Nishiura (Soka University)
    • コメンテーター/ Commentator: Yukimi Shimoda (Waseda University), Takeshi Daimon (Waseda University)
    • 聴講人数/ Number of the audience: 15
    1. [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa
      Christian OTCHIA (Nagoya University)
    2. [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within 
      Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU (University of Utsunomiya)
    3. [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis
      Feng LI (Chuo University)

    コメント・応答など

    [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa

    Christian OTCHIA conducted an empirical analysis examining the impact of Chinese Officials’ visits, including the Foreign Minister, on the increase in direct investments from China into Africa. In response, Takeshi Daimon, acting as the discussant, commended the study’s geopolitical approach in exploring the determinants of private investment, and its adept utilization of propensity score matching methods (PSM) to correcting for endogeneity. Daimon also sought information concerning the influence of Russia as an invisible actor and its role in conflicts, as well as insights on the case of Tunisia, the host country of TICAD VIII, in the context of Japanese investments in Africa.

    Furthermore, Yukimi Shimoda, another discussant, raised a query concerning whether China’s increasing economic influence, beyond the visits of Chinese diplomatic envoys, was responsible for the upsurge in private investments. In response, OTCHIA emphasized the significance of political backing for Chinas investments to Africa and suggested conducting an analysis with a dedicated focus on this aspect.

    [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within

    Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU conducted a thematic analysis based on qualitative research, which involved surveys conducted with 54 Owner-Managers of Lifestyle Enterprises (OME) and 8 experts in Sri Lanka, aimed at investigating whether Lifestyle Enterprises exhibit a tendency to be growth averse. In response to the presentation, Shimoda, the discussant, acknowledged the study’s significance in contributing to policy formation, particularly regarding the formalization of the informal sector, and praised the ample sample size. Furthermore, Shimoda suggested that a more comprehensive analysis could be achieved by providing insights related to various aspects of owner-managers, such as age, gender, education, life stage, and other relevant factors, considering Sri Lanka’s specific context, and encompassing various types of lifestyle enterprises, including street vendors, manufacturer and distributors.

    Shimoda also raised questions, seeking clarification on the definition of lifestyle enterprises, exploring the relationship between the informal sector and lifestyle enterprises, and inquiring about the perspectives of the 10% of respondents who expressed a growth-oriented outlook. Additionally, questions from the audience addressed the motivations behind OMEs’ business establishment, the targeted company sizes, and the educational levels of the samples.

    [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis

    Feng LI conducted an analysis using Shapley decomposition to examine regional and educational disparities caused by China’s Hukou (household registration) system. The results reported improvements in educational access in China due to economic development, particularly for the younger generation. The study also found that the Hukou influenced educational disparities between 2010 and 2018, while regional disparities were smaller than initially anticipated.

    In response to the presentation, participant Daimon acknowledged the significance of the research and proceeded to inquire about the relationship between “sent down” policy and urban status. Daimon also raised questions regarding polarization and the feasibility of obtaining data at the village level. Additionally, comments from the floor suggested the need for analysis at the local level and explored the possibility of comparative studies with other regions.

    総括

    The session offered a fresh perspective on the multifaceted nature of “economy.” I was impressed by the innovative and original viewpoints presented in each presentation. Overall, the lively exchange of opinions made it a meaningful session. I would like to express my heartfelt appreciation to the presenters for their insightful papers and well-prepared presentation slides, and to the discussants for their meticulous comments and questions while preparing their slides. I also extend my gratitude to all the participants who actively participated in the question and answer sessions.

    Reporter: Akio Nishiura (Soka University)


    [B2] 国際協力(個人・英語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:佐藤 寛(開発社会学舎)
    • コメンテーター:西川 芳昭(龍谷大学)、高田 潤一(東京工業大学)
    1. [B2-01] Local Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnam
      Yunxi WU (Kyoto University)
    2. [B2-02] A study on the verification of the educational support project in Kumamoto Laos Friendship Association
      Hanami SAKAI (Kumamoto University)
    3. [B2-03] Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Development
      Mikihiko WATANABE (University of Yamanashi)

    コメント・応答など

    本セッションでは英語による三本の報告があった。

    第一報告は京都大学のYunxi Wu会員がLocal Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnamとして、台湾のビジネスも関与しているベトナム高地における輸出志向型ウーロン茶生産と地元の起業家の関係に関するケーススタディに基づいた報告があった。

    コメンテーターの高田潤一会員らは、なぜこれらケースが選ばれているのか、事例の代表性、他地域への応用可能性などについて質問があった後、Wu会員がプレゼン資料に用いたAI絵画の妥当性について指摘があった。

    聴衆に現地をイメージしてもらうための架空の風景をプレゼンの背景に使用することの、事実誤認誘導や虚偽性などについて興味深い議論があった。

    第二報告は熊本大学のHanami SAKAI会員よりA study on the verification of the educational support project in Kumamoto Lao Friendship Associationと題して、熊本出身で元駐ラオス大使の坂井弘臣氏が立ち上げた熊本の市民団体の活動を取り上げ、ラオスの農村部の学生に奨学金を送る活動の評価とその将来的な持続可能性についての考察を行った。

    高田会員からは、組織の内部資料等の情報をどのように収集したのか、本研究で用いた評価手法は地方のNGOに適しているのか等のコメントがあった。

    1990年代から2000年代頃に日本各地で立ち上がった有志による特定途上国への支援NGOは、その多くが現在世代交代の時期を迎えており、当初のミッションの喪失や創設者の影響力の低下などで持続可能性の危機に瀕している。

    本研究はこうした他の事例との比較の糸口になると有意義であろう。

    第三報告は山梨大学のMikihiko WATANABE会員による、Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Developmentと題する報告で、Digital Sequence Information の活用に関するやや専門的な内容であったが、コメンテーターの西川芳昭会員が生物多様性に関する国際条約の流れなどを整理したうえで、データの共有のメリットとコストについての議論があった。

    三報告を通じて参加者は10人弱であったが、それぞれの報告に即した議論を行えたことは有意義であった。

    報告者:佐藤 寛(開発社会学舎)


    [B3] 移民・難民(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:内海 悠二(名古屋大学)
    • コメンテーター:林 裕(福岡大学)、小林 誉明(横浜国立大学)
    1. [B3-01] 難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討
      小松 太郎(上智大学)
    2. [B3-02] 往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育― 在日ネパール人が運営する母語教室の事例から―
      田中 雅子(上智大学)
    3. [B3-03] ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築
      片柳 真理(広島大学)

    コメント・応答など

    本セッションでは3つの報告がなされた。

    一つ目の報告は小松太郎会員(上智大学)による「難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討」であった。教育セクターに対する人間の安全保障における理論的枠組みとして「保護とエンパワーメント」、「学びの継続」、「国際社会の責任分担」という3つの側面が説明され、これらの側面からヨルダン補習教育プログラムにおける意味と課題が報告された。

    コメンテーターの林裕会員から、ホスト国(第一次庇護国)における負担やホスト国への国際支援の重要性が説明され、ホスト国への支援の重要性が国際社会で認識されているにも関わらず、実際には継続的な支援が実施されていない理由について質問・コメントが挙げられた。

    二つ目の報告は、田中雅子会員(上智大学)による「往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育-在日ネパール人が運営する母語教室の事例から-」であった。日本に在住する外国ルーツの子供たちに開放される母語教育を持続的に運営するための課題と努力について、複数の母語教室を事例として運営者とのインタビュー結果と運営形態に関する詳細な結果が報告された。

    コメンテーターの林裕会員から、母語・母文化修得よりも日本社会への統合・日本語教育が優先されている社会や、家族滞在者よりも永住者が優先される現状について説明があり、詳細なフィールドワークの実施を評価すると同時に、ネパール人を取り上げる意味やインタビューで得た関係者の生の声をより深く知りたいといったコメントが挙げられた。

    三つ目の報告は、片柳真理会員(広島大学)による「ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築」であった。ボスニア・ヘルツェゴビナを事例として、マイグレーション理論をもとに紛争中から紛争後にかけて人々が移動する理由や移動の是非を決める選択(願望・能力)に関する理論的考察が説明された。コメンテーターの小林誉明会員(横浜国立大学)からはマイグレーション理論が他国の事例に適用される場合にどのような課題があるのかが説明されるとともに、移動の是非を決める選択は願望の前に選択を入れることでさらに詳細なモデル(選択・願望・能力)とすることも可能である等のコメントが挙げられた。

    総括

    会場の参加者が多いというわけではなかったが、セッション時間を通して終始アットホームな雰囲気があり、会場からも様々な質問が挙げられるなど、とても活発な意見交換の場となった。報告会員によるしっかりとした理論に基づく考察や説明がなされたことや、地に足のついた長年のフィールドワークによる知見が報告されたこともあり、質問やコメントに対する更なるコメントが挙げられるなど、質問者と回答者だけではない議論が行われてたことが印象的であった。

    報告者:内海 悠二(名古屋大学)


    [D2] 環境(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、日下部 尚徳(立教大学)
    • 聴講人数:20名
    1. [D2-01] バヌアツ離島集落のおけるコミュニティベースのサイクロン対応
      藤枝 絢子(京都精華大学)
    2. [D2-02] インドネシア都市スラムのサニテーションを取り巻く人びとの係り合いと開発協力
      池見 真由(札幌国際大学)
    3. [D2-03] バングラデシュ南西沿岸部における NGOによる給水施設の設置-地域の有力者の役割に着目して-
      山田 翔太(立教大学)

    コメント・応答など

    藤枝会員報告は災害頻発国バヌアツでのフィールドワークを踏まえたコミュニティレベルでの災害対応についての報告であった。

    質疑応答では防災教育のあり方、SNSの活用方法、災害対応の課題、行政と住民の関係など多岐にわたる議論が行われた。災害対応組織の役割など国家とコミュニティの関係についてさらに深められるとよいと感じた。

    池見会員報告は総合地球環境学研究所のプロジェクトで行われてきた研究者と現地の人びと(非研究者)とのトランスディシプリナリー研究のプロセスやその成果に関するものであった。

    多様なステークホルダーの協働による取り組みにおけるインセンティブや価値、イニシャルコストや維持管理コスト、公共私の空間認識など幅広い議論が行われた。本報告で提起されたサニタリーバリューチェーンというコンセプトがどのように研究者と現地住民の間で共有されてきたのかというプロセスが興味深いところであった。

    山田会員報告はバングラデシュで大規模に実施されている村落小規模水道の設置にあたって、地域の有力者の利害が大きな要因であることを指摘したものであった。

    ヒ素汚染に比べて塩水化は直接知覚できることから住民の関心が高いこと、管理においてはケアテーカーが担っていること、NGOが請け負った事業であるが前身は外国援助機関によるプロジェクトに由来するものであることなどが質疑応答の中で明らかにされた。

    集落単位ではなく個人単位での水道敷設が望ましいという結論についてはさらなる検討が必要と感じた。

    総括

    テーマは災害、衛生、水道、国はバヌアツ、インドネシア、バングラデシュといずれも異なる対象を扱った報告であったが、現地調査を踏まえた具体的な事例をもとにした考察は大変興味深く、参加者からの質問やコメントも活発で集まった参加者の間での関心の高さをうかがうことができた。

    今後、各事例研究を広く先行研究の中で位置づけることによって学術的かつ社会的な貢献をより明確にして、論文発表がなされることを期待したい。

    報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)


    [D3] 保健・福祉(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:杉田 映理(大阪大学)
    • コメンテーター:松山 章子(津田塾大学)、西野 桂子(関西学院大学)
    • 聴講人数:20名
    1. [D3-01] ノンフォーマル教育をエントリー・ポイントとする女性たちの社会参加と自己実現-ブータン農村部における地域保健医療とビレッジ・ヘルスワーカー-
      佐藤 美奈子(京都大学)
    2. [D3-02] サブサハラアフリカの出生率低下は持続するか?
      大橋 慶太(国連人口基金)
    3. [D3-03] 社会的に構築された障害への批判と社会的実践によるその変革ータイ障害者の経験と語りを通じて
      横山 明子(大阪大学人間科学研究科)

    コメント・応答など

    第1報告者の佐藤美奈子会員の報告に対し、ブータン王国での調査の経験を持つ西野会員からコメントがなされた。ブータンでの現地調査はかなり困難が伴うと推察され、それを乗り越えて調査を実施していることがまず評価された。

    さらに、本研究は、ノンフォーマル教育(NFE)を通してリテラシーを得た農村の女性たちがVillage Health Workerとして地域保健医療活動に参与する道を拓くことを目的とした、多角的な調査結果に基づく政策提言を主とする研究であると評された。

    一方、グローバリセーションの影響を鑑みて、政府だけではなく、女性たちの自己実現を促すには民間の力も視野にいれて研究する必要性が指摘された。佐藤会員からは、能力をつけた人がオーストラリアに移住してしまう事例も見られることが報告された。

    第2報告はサブサハラアフリカの出生率低下について、大橋慶太会員からの報告であり、松山会員からは、本研究はプロダクティブヘルスの観点からも、またアフリカにおいても既に議論され始めている今後の高齢化社会の課題を考える上でも、重要なテーマで学術的意義が高いと評価された。

    一方で、セネガルとケニアを比較し、文化・社会的要因に着目しながらも、出生率の近成要因モデルを用いた分析方法を利用することや、国単位で分析することの妥当性について問われた。

    中絶に関する信頼性の高いデータ収集は難しいが、例えばGuttmacher Instituteなどが出しているデータを検討することの助言があった。

    第3報告の横山明子会員の発表に対するコメントは、再び西野会員が行った。

    本研究は、タイ障害者への現地語でのインタビューを通じて、障害者への差別構造と変革主体・アプローチの分析を試みる意欲的な研究であると評価された。

    研究対象のタイは、経済発展が著しい反面、政治的な混乱が続いており、加えて「前世の行い」という宗教的思想も差別や偏見につながっていることが指摘された。

    また、3つの用語Impairment (a problem with a structure or organ of the body), Disability (a functional limitation with regard to a particular activity), Handicap (a disadvantage in filling a role in life relative to a peer group) のタイ語におけるニュアンスについて質問がなされた。

    総括

    3つの報告は、それぞれ異なる地域、異なる切り口での研究内容であったが、広くヘルスの課題を地域の視点からとらえようという共通性があったと言える。

    それぞれが意欲的な研究であった。また、会場が普段の学会ではあまり利用経験のない横長の形状であったが、結果的に、参加者(オーディエンス)と発表者の距離が近く、質疑応答も活発に行うことができた。

    報告者:杉田 映理(大阪大学)


    [E2] 国際協力(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)
    • コメンテーター:林薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ)、志賀裕朗(横浜国立大学)
    • 聴講人数:30名
    1. [E2-01] ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性
      河田 卓(株式会社ナレッジノード)、林 俊行(Nyika Energy Consultant)、佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)
    2. [E2-02] 新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国一 JICA海外協力隊を事例としてー
      河内 久実子(横浜国立大学)
    3. [E2-03] 現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響
      安部 雅人(東北大学)

    コメント・応答など

    E2「国際協力」セッションは多様な3つの報告に関して議論が行われた。

    第一報告の河田卓・林俊行・佐藤伸幸「ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性」は、技術協力を行うに際し、(1)コメンスメント、(2)アダプティブ、(3)インクルーシブ、(4)インサイドアウト、という4つの要素を満たすことで、プロジェクトが有効に実施されると主張した。

    それを示すに際し、バングラデシュにおけるクリーンダッカ・プロジェクト、パキスタン・パンジャブ州における上下水道管理能力強化プロジェクト、日本の学校法人アジア学院の研修プロジェクトの円滑な実施が、これらの4つの要素を基準として確認することの有効性を示した。

    第二報告の河内久実子「新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国―JICA海外協力隊を事例として―」は、新型コロナ感染拡大のために一時帰国を余儀なくされた青年海外協力隊員、シニア隊員、計17名に対してインタビューを行い、突然の帰国に関する効果を分析したものである。

    帰国した隊員の感情は大きく分けて「落胆型」と「安堵型」に分けられることが検出された。「同じ境遇の人と情報共有や気持ちの共有をする場があれば、隊員の不安を和らげることができる」ということが一つの結論である。

    第三報告の安部雅人「現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響」は、SDGsにおいても一定の役割を果たす「流通」を分析対象として取り上げた研究である。

    流通の対象をモノ、ヒト、カネとし、モノは「ビジネス」、「商社」、「公共」、「輸送」(中単元)にさらに分割した。それぞれの中単元ごとに4つの様態を指定し、6×4の「流通マトリックス」を定義する。各セル(モノ×4,ヒト、カネ)×4の現状を詳述したことで研究成果とした。

    3報告の間の共通性は小さい。それぞれの議論の妥当性、他の事例への適用可能性が課題として討論者から示された。

    2時間のセッションを通じて、30人程度の聴衆が参加した。

    報告者:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)


    [E3] 文化と開発(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長: 真崎 克彦(甲南大学)
    • 討論者: 関根 久雄(筑波大学)、佐野 麻由子(福岡県立大学)
    • 聴講人数:30名
    1. [E3-01] インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワ農村の事例
      伊藤 紀子(拓殖大学)
    2. [E3-02] 小規模支援のインパクト分析 -ソーラーランタン支援事業の事例より
      柏﨑 梢(関東学院大学)
    3. [E3-03] 頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して
      黒川 智恵美(上智大学)

    コメント・応答など

    本セッションでは関根久雄会員と佐野麻由子会員をコメンテーターとして迎え、以下の3名の会員による報告があった。

    最初は伊藤紀子会員による「インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワの事例」であった。西ジャワ州タシクラヤ県の稲作地帯で、近代食が身近になるにつれていかに伝統食をめぐる考えや摂取行為が変わってきたのかについての現地調査の成果である。

    双方を摂る食習慣が根づくようになった今日でも、調査対象の女性の間では自覚的かつ主体的に伝統食に価値を見出されていることが分かった。

    コメンテーターからは、「近代食」と「伝統食」という二項対立に関して次の課題が指摘された。第一に、たとえば伝統食の要素が入った近代食、または近代知によってリアレンジされた伝統食など、食の現状は「近代なのか、伝統なのか」という二分法だけでは把握できないはずであり、住民の視線に沿った理解が欠かせない。

    第二に、「伝統食は健康に良い」と考えているという住民の認識自体も、近代知に拠るものであろうから、同じく「近代なのか、伝統なのか」という分類では説明し尽くされない。

    続く柏﨑梢会員の「小規模のインパクト分析―ソーラーランタン支援事業の事例より」では、ベトナム山間民族集落のための活動が紹介された。国際協力事業のもと、ソーラーランタンが学校を通して子供に供給され、学校と家庭の連携が強まり、また保護者の教育意識も高まるとともに子供の自己肯定感が向上した。

    こうした支援活動は身の丈に合ったものであったため、在来の生活様式に大きな影響は与えていないことも分かった。限定的な光源であることから文化面や慣習面における影響はほとんどみられない。

    コメンテーターからは、今後の課題として次の点が指摘された。ランタンの文化的な影響の有無や程度について論じる際、住民が限定的な光源をどのように捉えているのかについて、さらに深く検証されるべきではないのか。

    また、ランタンによって勉強の習慣がついて子どもの自己肯定感が醸成された、という指摘があったが、それらはランタンだけでもたらされたことなのだろうか。1つの事象が単一の要素だけで構成されることはほとんどなく、他の種々の要素も併せて考察することが欠かせない。

    最後に黒川智恵美会員による「頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して」が報告された。エジプトと日本への移民や難民、帰還民の間では、母国への貢献の意志は、イスラム社会の価値観や個人の母国や移住先との関係に左右されている。

    母国貢献の思いは身近な人との互助共同体の構築に表れている。現在進行中の紛争を解決することで、そうした「私の国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という気持ちが活かせるようにすべきである。

    コメンテーターからは今後の課題として次が挙げられた。第一に、家族、親族、コミュニティというものがクローズアップされておらず、国家という抽象的存在が前景化されている。

    最後の「国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という部分をもっと具体的に説明すべきである。第二に、報告者は頭脳流出の類型化を行ったが、1人の人間は複数の型にまたがったり、状況に応じて往還したりするものではないか。そうである場合、1人の人間が型を変えるときの文脈も注目すべき点になるのではないか。

    総括

    3名の会員による報告は、それぞれが「文化と開発」を考える上で有用な事例であった。セッション全体としても、コメンテーターのインプットで「文化と開発」について主要論点が浮き彫りにされた。

    報告者:真崎克彦(甲南大学)


    [G1] オンラインセッション

    • [オンライン口頭発表]
    • 座長:川口純(筑波大学)
    • コメンテーター:戸田隆夫(明治大学特別招聘教授)、新海尚子(津田塾大学)
    • 参加者:約12名
    • [G1-01] A Making of Cambodian Teacher Education: Competition and Coordination among Donors, Ministry, Teacher Educators, and Future Teachers
      Takayo OGISU (Sophia University)
    • [G1-03] 農村における気候変動適応活動のアプローチ:エチオピア国の事例より
      久保 英之(地球環境戦略研究機関)三浦 真理(国際協力機構)

    コメント・応答など

    本セッションはオンラインにて、2名の会員(荻巣崇世会員、久保英之・三浦真理会員)のご発表が行われ、各発表に対して1名ずつの指定討論者がコメントを付した。参加者は累計で12名程であった。

    まず荻巣会員のご発表では、カンボジアの教員養成について、特に2013年の改革以降のドナー間の国際協調や競争の実態について報告がなされた。多種多様なドナーが各々のプロジェクトを進行させていく中で、カンボジア教育省のオーナーシップの重要性や学校現場の教員の教育観にも焦点化された示唆に富む発表であった。

    荻巣会員の発表に対しては、戸田隆夫会員より、カンボジアの凄惨な歴史とその中でも教育関係者たちが“より良い教育”を実施すべく尽力してきた経緯を踏まえつつ、未来志向の建設的な研究を実施するよう、熱いコメントがなされた。

    次に、久保会員らの発表では、エチオピアの農村を対象に気候変動に対応する活動について、その妥当性を検討する報告がなされた。特に、新しいコンセプト(適応、レジリエンス)を導入することで現場がどう変わり得るのかについて議論がなされた。

    久保会員らのご発表に対しては、新海尚子会員から、水関連の災害が気候変動の中でも貧困層により大きな影響がある中で、影響、評価についてもコンテクストに応じて考えることが重要とのコメントがなされた。また対象者についても、女性、子供、高齢者、障害者等、気候変動の影響力を受けやすい人々に寄り添う重要性も指摘された。

    報告者:川口純(筑波大学)


    その他の座長報告




    第24回春季大会セッション報告(ラウンドテーブル)

    ラウンドテーブル

    [C2-01] 人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える

    • 12:30 ~ 14:30
    • 企画責任者:松岡 俊二(早稲田大学)
    • 司会:戸川 卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、辻 岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、島田 剛(明治大学)
    • 発表者:木全 洋一郎(JICA北海道帯広)、工藤 尚悟(国際教養大学)、中村 勝則(秋田県立大学)
    • 聴講人数:25名

    コメント・応答など

    ラウンドテーブル「人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える」は、(1)人口減少社会における地域社会の持続性という社会的課題の特性・特質は、トランス・サイエンス的課題や厄介な問題の研究を踏まえ、どのように考えたらよいのか、(2)人口減少社会へ対応した社会イノベーションへ向けた知識創造の社会的仕組みとはどのようなものか、(3)ミクロとマクロの制度変化(社会イノベーション)の動態的関係をどのように考えたらよいのか、という3つの問いを立てて議論を行なった。

    戸川報告は人口減少社会における協働の地域づくりについて、岩手県紫波町の事例などを報告した。

    島田報告は、原発立地の地域振興効果について、福島を事例に報告した。辻報告は、縮小社会における災害復興を、中越地震と東日本大震災を事例に報告した。

    以上の報告を踏まえ、上記の3つの問いに関する議論を行い、問いの(2)や(3)については、さらに議論する必要を感じた。

    報告者:松岡 俊二(早稲田大学)


    [C3-01] メコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームをどう共創するか?

    • 14:45 ~ 16:45
    • 企画責任者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • 司会:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • 発表者:永田 謙二(国際協力機構)、大塚 高弘(国際協力機構)、松本 悟(法政大学)
    • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、濱崎 宏則(長崎大学)

    コメント・応答など

    本RTでは個別報告とコメントを踏まえて、主に以下のテーマについてパネルディスカッションを行った。

    まず対話と協働における研究者の役割については、(1)人びとがどのように情報を得てどのように行動をしているか(適応)を研究する必要があり、その際にJust in time scienceの考え方が求められる(佐藤)、(2)異なるステークホルダー間で知識を翻訳する役割が重要(濱崎)であるとのコメントがなされた。

    次に信頼醸成については、(1)継続してそこに居続ける(コミットし続ける)ことが重要であり、メコン・サイエンス・プラットフォームも小さく始めて継続していくといい(永田)、(2)日本のアクターはメコン地域では外部者として関わるわけであるが、もともとつながりのあるところに成果をもたらすとか、研究者間で信頼関係があるところで社会実装を試みるなどを考えていきたい(大塚・JICA)、(3)政府機関、NGOに関わらず、開発協力の現場ではドナー・支援者側の都合で様々な事業が行われることがよくあることから、自分たちが相談した時に現れるのであれば信頼が得られるのではないか、またプラットフォームを作るのであれば、作る側ができること、やるべきことにフォーカスを当てることが信頼醸成につながるのではないか(松本)などのレスポンスが登壇者からあった。

    最後にプラットフォームの共創をめぐっては、(1)多くはピュアサイエンスに関心があるような研究者のそうしたインセンティブ構造にメスを入れる必要がある(佐藤)、(2)オール・ステークホルダーではなく、目的ごと、機能ごとのプラットフォームを作っていくのがいいのではないか(濱崎)、(3)現地のために、と考えないで、日本がどうするか、を第一に考えること、また個別のネットワークとのつながりを考えていく必要があるだろう(松本)、(4)組織単位ではなく個人単位で集まるほうがよい効果があらわれるのではないか(複数)、などの意見が登壇者から出された。

    総括

    今回のRTを踏まえてメコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームは、一つの大きなプラットフォームを作るのではなく、多様で小さなプラットフォームが重なりながら、相互に「バウンダリースパナー」のような役割を持つ複数の個人がつないでいくようなイメージで作るのがよいかもしれない。

    「サイエンス・プラットフォーム」や「メコン・ダイアログ」もそうした多様なプラットフォームの一つとして、それぞれのアドバンテージや期待される役割を踏まえて位置付けていくことが求められていると考えられる。

    報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)

    [D1-01] 開発と文学:テキストに開かれる経験の可能性

    • 9:30 ~ 11:30
    • 企画責任者:汪 牧耘(東京大学)
    • 司会:大山 貴稔(九州工業大学)
    • 発表者:汪 牧耘(東京大学)、松本 悟(法政大学)、 崎濱 紗奈(東京大学)、渡邊 英理(大阪大学)
    • 討論者: キム キョンチェ(慶應義塾大学)、 木山 幸輔(筑波大学)、キム ソヤン(韓国西江大学)

    コメント・応答など

    本RTは、開発研究による狭義的な文学の一方的利用ではなく、より広い意味で「開発」と「文学」の関係性を問い直す議論を試みるものである。当日は、次のような3つの発表が行われた。

    まず、松本氏は「開発研究者はどのように文学(フィクション)を読むのか——開発と文学(フィクション)の接点」というテーマで、文学作品を通して開発を学ぶ可能性に焦点を絞り発表を行なった。

    開発研究者は、どのような文学を読んでおり、いかなる角度でそれらを教育に活かしているのか。松本氏は、大学生時代に南北問題を考える際に読んだ作品、自分が担当する授業で使った作品、NHK記者時代に自身が取材し作成した作品を踏まえながら、「フィクション」を作る・使うことの特徴を分析した。文学作品は論文と異なり、問い・調査方法・根拠・結論を明確にすることが強いられていない。

    「ありえること」をより自由に提示できるため、考える材料を与えてくれる。一方で、こうした文学の道具化、すなわち開発関連の部分だけを切り取るという読み方の問題や、「フィクション」を具体的な行動・実践に繋げようとする際の限界も感じたという。

    最後に松本氏は、「開発のための文学」、「開発に関する文学」、「開発を考える文学」という3つの分類を示し、本RTへの問題提起を示した。

    崎濱氏の発表は、「文学者による開発とは何か——近代日本の「文学」実践と「新しき村」」というテーマで行われた。

    日本の「近代文学」は、「文明開化」に伴う政治的・経済的変革や生産・生活様式の変容の中で誕生したものだといえる。

    社会との一定の距離を取りつつも、社会が経験する様々な葛藤を記述する方法であった。近代が抱える諸矛盾をどのように克服するかという問いに端を発する実践として、文学者による共同体建設の試みが多く展開されてきた。

    白樺派の文豪・武者小路実篤(1885-1976)による農村開発の実践・「新しき村」はその一つであり、規模や形態が変わりながらも1918年から今日まで存続している。

    その批評性に対する疑念が指摘されながらも、「新しき村」が目指してきた個を尊重しながら自然や他者と共生するという理想像は、図らずも一時期の中国や沖縄にも影響を及ぼした。

    「事実」と「真実」の間に揺さぶりながら批評精神を鍛えてきた文学は、社会に一石を投じる力を持ってきたことが伺える。

    最後、著書『中上健次論』(インスクリプト、2022年)において「(再)開発文学」という方法を打ち出してきた渡邉氏は、「開発文学は可能か」を題名に、中上健次の生い立ちを振り返りながら、その文学作品から(再)開発を読み取る自らの試みと所感を述べた。

    (再)開発とは、中心/周縁、都市/地方、北/南などの二元的な秩序に依拠する近代的「開発」と、越境的な資本が先導し、「中心/周縁・都市/地方・北/南」等の相互嵌入やグローバルな位相で投資的消費的に展開される現代的な「再開発」を同時に意味する。

    中上は、和歌山県新宮市の被差別部落を背景としながら、「路地」という空間の開発をめぐって重層的な書き込みを行なった。

    (再)開発という「コンテキスト」と文学という「テクスト」に批判的な視点を投げかけ、それを持続的に自己嫌悪・自己言及的に問い続けることは、「開発と文学」を論じる出発点だと考えられる。「開発と文学」は合わせ鏡のようになることで、両分野における「フィクション」をより広義的考察し、「現実」と「虚構」の互換性・可変性に注目する必要がある。

    上記の発表終了後、ラウンドテーブルの司会者として大山氏が場を取り仕切り、金氏、木山氏とキム氏がそれぞれ朝鮮文学・植民地文学研究、ハンナ・アーレントの論述と文学地理学の蓄積から、多様な視点を共有した。

    出版資本主義の産物や開発を推し進める道具でもあった文学が、なぜ国家・資本を批判する媒体となり、さらに人間性・人文の素養を担う使命を負うようになったのか。統計的含意への抵抗としての文学の可能性とは何か。

    文学を生み出す「空間・時間」はどのような力学で地理的に展開してきたか。多岐にわたるコメントから、学問分野の蛸壺化によって見過ごされてきた「開発と文学」の関係性を回復させるヒントをいくつか得ることができた。

    「開発と文学」の議論を2時間に抑えることは至難であった。RTが終了した後も、会場からは多くのコメント・質問が届いた。

    例えば、「開発(development)と文学」があるなら、「発展(development)と文学」もあるか。地域における開発の「発達度」と文学の「発達度」の関係性をどう考えうるか。

    開発には「正解」が求められているだけではなく、入試試験に見られるように、「正解がない」文学にも「正解」が求められる。「開発と文学」から、「正解がない」中で理解・実践を試み続けるヒントがないか。

    RTのオーディエンスのほとんどは開発関連の専門家や研究者であるが、それぞれの文学への想いや文学的体験に関して、情熱を込めて語っている様子は印象深かった。

    総括

    本RTは、異なる分野の研究者同士が同題をめぐる問題意識を共有し、言葉やテキストという経験伝達の媒体が持つ可能性について議論を交わした場となった。

    国際開発学会においても、「文学」というものを正面から取り扱おうとしたのは本RTが最初であり、分野間の対話に踏み出した第一歩として大きな意義を有していると考える。

    報告者:汪牧耘(東京大学)

    [E1-01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル「地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」

    • 9:30 ~ 11:30
    • 企画責任者:生方 史数(岡山大学)
    • 司会:生方 史数(岡山大学)
    • 発表者:生方 史数(岡山大学)、堀 美幸(JICA 九州)、二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
    • 討論者:木全 洋一郎(JICA)

    コメント・応答など

    本ラウンドテーブル(以下RT)は、日本の地域から国際開発アジェンダを問い直すために行った過去2回の地方展開委員会主催RTを継承発展させた企画である。

    地方の地域社会で軽視されがちな在住外国人を「通域的な地域づくり」を担いうる主体と位置づけた上で、地方における「内なる国際化」の現状・課題・可能性について議論した。

    生方報告では、本RTの趣旨説明に加え、地方大学の国際化と留学生受け入れの課題について議論した。

    生き残り対策として国際化に取り組まざるを得ない地方大学の現状、留学生の生活面における外国人ネットワークへの依存、就職活動での地方の仕事とのミスマッチなどが報告され、日本社会への接続や多様な依存関係構築の必要性が指摘された。

    堀報告では、大学や自治体での外国人支援の経験から、地方の国際化の現場で感じた違和感が吐露された。日本人を前提として情報網や制度ができているため、外国人のニーズとのギャップを埋める必要がある。

    中間支援の重要性が指摘され、静岡大学のインターンシップ活動などの先進事例が紹介された。

    二階堂報告では、地方における外国人技能実習生(以下実習生)の受け入れ体制について議論された。

    技能実習制度には人権擁護の見地からの批判が多い一方で、実習生への依存がすすむ地方の現状や、実習生の主体性に関する論点は軽視されている。

    このギャップを埋める先進事例として、自治体が受け入れを先導する岡山県美作市や、実習内容の技術移転がみられた香川県の農家の事例が紹介された。

    今後も実習生から選ばれ続け、日本(人)と送出国がwin-winとなるために、企業、自治体、市民団体等が顔の見える関係をつくることで、送出国のニーズを把握しながら受け入れ体制を整備する必要性が指摘された。

    これらの報告に対し、東北・北海道の実情に精通する討論者の木全氏から、1)外国人を日本の構造的問題を埋める存在として捉えることをどう考えるか、2)技能実習制度の理念と本音の違いをふまえた上で、地方の課題にどうアプローチすべきか、3)地方に寄り添う多文化共生のために何ができるか、というコメントが提出された。

    報告者からは、企業、大学、自治体に受け入れニーズがそれぞれあるが、背景には都市と地方の格差構造があること、地方でも建前と本音とのギャップがあり、国際化や多文化共生へのモチベーションが低いこと、外国人は日本社会のセーフティネットをうつす鏡であり、外国人を含む全ての社会的弱者が包摂される社会が理想であること、外国人あっての地域という認識ができている地域もあり、地域産業の発展には外国人支援が必要だという発想を自治体ができるかが重要であるなどの反応があった。

    フロアからは、コロナ禍の影響、地場産業の海外進出と外国人との関係、外国人に選ばれるための条件、包摂のための日常的交流の可能性、外国人が日本社会を理解することの困難さなどに関する質問があった。

    総括

    本学会では比較的新しいテーマだったようで、聴講人数も多く、フロアからも切れ目なく質問が続いた。

    時間が足りず、終了後に報告者に質問が続出するほどの盛況となった。外国人の問題を鏡に自分たちの社会をどのようによくしていくのか、国際開発学を専攻する者が貢献できる可能性を再認識する会となった。

    報告者:生方 史数(岡山大学)

    [G2-01] SDGsを問い直す

    • [オンライン] 12:30 ~ 14:30
    • 企画責任者:野田 真里(茨城大学)
    • 司会:野田 真里(茨城大学)
    • 発表者:大門(佐藤)毅(早稲田大学)、関谷 雄一(東京大学)、大谷 順子(大阪大学)、 野田 真里(茨城大学)

    コメント・応答など

    本学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会では、通算5回の全国大会・春季大会のセッションを開催、その最後を締めくくるにふさわしい充実したセッションとなった。

    発表者をはじめ、多くの学会員が執筆した『SDGsを問い直す―ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』(2023年5月刊行、法律文化社)の研究成果をベースに、新型コロナ危機を踏まえてSDGsを問い直す意義、新型コロナ危機が資本主義経済そして、「取り残される」脆弱な人々とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、SDGsの加速化にむけた人間の安全保障の再考、そしてSDGsとポスト/ウィズ・コロナへの展望について、多角的な議論がなされた。

    特に2023年はSDGsの中間年にあたり、目標年である2030年そして、ポストSDGsにむけて、如何にSDGsを問い直し、人類共通の地球規模課題に取り組むか等について議論がなされた。

    総括

    本セッションおよびそのベースとなった『SDGsを問い直す』をさらに発展させ、英語による出版や発信等を目指すことが提案された。また、「持続可能な開発とSDGs」研究部会を嚆矢とする、本学会の2016年度からのSDGs研究を持続可能な形で深化させるため、後継となる新たなSDGsに研究部会を申請することが提案された。

    報告者:野田真里(茨城大学)


    その他の座長報告