社会共創委員会からのお知らせ(2024年2月)

2024年度より、以下の3委員会を統合し、新たに「社会共創委員会」を設置することとなった。

統合前の各委員会の昨年度の活動報告は以下のとおり。

2023年度活動報告

社会連携委員会(委員長:川口純)

  1. 市民社会との連携企画:「開発協力大綱の改定とその主要論点ー市民社会の主張とはどのようなものか?」を開催した。国際協力系NGO のスタッフ4名が登壇し、前回の改定時のふりかえり、今回の改定にあたって開発協力の理念や実施原則等について議論を実施した。
  2. グローバルフェスタにおいて「国際開発キャリアセミナー」を開催した。佐藤会長、大橋委員、荻巣会員がご登壇し、多数の若手参加者を得た。院生の参加者が主であり、闊達な質疑応答がなされた。

研究×実践委員会(委員長:小林誉明)

第34 回全国大会にて委員会主催(共催も含む)のラウンドテーブルを三つ企画しました。それぞれのセッションは委員会のメンバーがイニシアティブをとり、学会内外からリソースパーソンを巻き込んで企画を進めているものとなります。

1.「ソーシャルビジネスにおける研究の貢献可能性:インドの離島エリアにおけるe-Health ビジネスの事例から」
登壇者:狩野剛、功能聡子、岡崎善朗、佐藤峰、内藤智之

2.「国際開発(学)の「埋葬」と「再生」―世代を超えた、グローバルなサステナビリティの確保を射程に入れて―」(地方展開委員会との共催)
登壇者:佐藤峰、小林誉明、木全洋一郎、梶英樹

3.「大国間競争の時代にODA で「普遍的価値」を促進することの意味を問う」
登壇者:志賀裕朗、福岡杏里紗、荒井真紀子、小林誉明

地方展開委員会(委員長:佐野麻由子)

  • 2023 年6 月10 日の第24 回春季大会(国際教養大学)で「地方展開委員会RT 地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」を主催、参加者と内なる国際化を中長期的、短期的どのように位置づけるのか、移民社会にむけて検討すべき課題は何かについて意見交換を行った。
  • 国際開発学会出前講座の今後の運営について考えるために登録して下さった会員にアンケートを実施、今後の在り方について検討した。

国際開発学会第12期:委員会の構成および幹事の委嘱

共同委員長

  • 木全洋一郎(JICA)
  • 工藤尚悟(国際教養大学)
  • 杉田映理(大阪大学)

委員

  • 坂上勝基(神戸大学)
  • 佐藤 寛(開発社会学舎)
  • 藤山真由美(NTC インターナショナル)

幹事

  • 梶 英樹(高知大学)
  • 河野敬子(ECFA)
  • 小林誉明(横浜国立大学)

2024年度活動計画

◆設置目的

日本・先進国を含めたグローバルな観点から時代に合った国際開発学の再定義、学会から日本社会への貢献、新たな学会・パートナーの獲得のため、国際開発学会の内外の多様な団体・個人と連携した事業の企画・形成をし、広く学会員に呼び掛けてその実施展開を先導・調整・支援する。

◆活動計画

以下の3 つの柱において、具体的な企画を検討していく。

(1)連携・協働

  • 地方、企業・団体、他学会との共同セミナー・研究プロジェクトを実施
  • 海外の学会・団体、国際機関との連携 ※グローバル連携委員会との連携

(2)発信

  • 学部生、高校生等若者向け発信 ※人材育成委員会との連携
  • 各種イベント(グローバルフェスタ等)での発信

(3)支援・協働

  • 地方大会におけるプレナリーやエクスカーションプログラム

社会共創委員会・共同委員長:
木全洋一郎(JICA)
工藤尚悟(国際教養大学)
杉田映理(大阪大学)




大会組織委員会

Conference Organization

全国大会および春季大会の企画運営等

委員長

松本 悟(法政大学)

委員

  • 池見真由(札幌国際大学)
  • 会長
  • 副会長
  • 人材推薦WG(プログラム委員)

幹事

  • 栗田匡相(関西学院大学)
  • 大山貴稔(九州工業大学)
  • 汪牧耘(東京大学大学院)

関連情報




大会情報

国際開発学会・大会公式ウェブサイト

最新の大会情報は以下の特設ページからご覧いただけます。
The latest information will be posted on the conference official website.

こんどの大会情報

第25回春季大会

  • 開催年月日:2024年6月15日(土曜)・16日(日曜)
  • 開催地:宇都宮大学(栃木・宇都宮)
  • 実行委員長:阪本公美子(宇都宮大学)

つぎの大会

第35回全国大会

Coming soon…

全国・春季大会時の子育て中の会員支援について

これまでに開催された大会の情報

全国大会

春季大会

大会論文集

優秀ポスター発表賞

関連情報



賞選考委員会

JASID Prize Selection

賞選考委員会は、各年度に選出される学会賞、ポスター表彰の審査を行っています。

学会賞には、学会賞(大賞)、奨励賞、論文賞、賞選考委員会特別賞の4つの部門があります。

学会賞は対象期間に出版された優れた著作に、論文賞は学会誌『国際開発研究』をはじめとする国際開発分野の学術誌に発表された優れた論文に与えられます。

奨励賞は主に若手による業績を、賞選考委員会特別賞は国際開発に関する実務、政策、啓発への貢献を表彰します。毎年度5月頃に、公募がはじめられます。

ポスター表彰は、春季大会と全国大会のポスターセッションにおける優れた発表を表彰するものです。


委員長

澤田康幸 (東京大学)

委員

  • 佐藤 仁(東京大学)
  • 樹神昌弘(神戸大学)
  • 小川啓一(神戸大学)
  • 澤村 信英(大阪大学)
  • 藤掛 洋子(横浜国立大学)
  • 佐野麻由子(福岡県立大学)

幹事

  • 加治佐敬(京都大学)
  • 山田浩之(慶応大学)

関連情報




第4回・国際開発論文コンテストのお知らせ

第4回・国際開発論文コンテスト

国際開発及び国際協力に関心を持つ学生の人材育成という観点から、学部生の研究を奨励し、研究成果の顕彰を目的として、国際開発学会では本コンテストを実施する。

対象は2024年3月時点で学部生が書いた論文で、応募には国際開発学会員の推薦が必要。

2023年 6月開催予定の国際開発学会春季大会で公表・表彰の予定。

応募受付期間

  • 2024年3月1~24日

詳細は、以下のページをご参照ください。

人材育成委員会
委員長:松本悟(法政大学)




過去の春季大会

これから開催される大会の情報は大会情報をご参照ください。

これまでに開催された春季大会

各大会の大会論文集は以下のページから取得していただけます(要パスワード)。パスワードは会員マイページのお知らせ欄に掲載しています。

大会名 開催地
リンク先は
大会サイト
実行委員長 開催年月日 開催報告
第24回春季大会

国際教養大学
(一部オンライン)

工藤尚悟 2023年6月10日 報告
第23回春季大会 福岡県立大学
(オンライン)
佐野麻由子 2022年6月18日 報告
第22回春季大会 文教大学
(オンライン)
林 薫 2021年6月12日 報告
第21回春季大会 龍谷大学
(オンライン)
斎藤文彦 2020年6月27日  
第20回春季大会 陸前高田
グローバルキャンパス
岩渕明 2019年6月15日  
第19回春季大会 聖心女子大学 大橋正明 2018年6月2日  
第18回春季大会 関西学院大学 村田俊一 2017年6月3日  
第17回春季大会 立命館大学 黒川清登 2016年6月11日  
第16回春季大会 法政大学 藤倉良 2015年6月7日  
第15回春季大会 同志社大学 小山田英治 2014年6月21日  
第14回春季大会 宇都宮大学 重田康博 2013年6月8日  
第13回春季大会 横浜国立大学 池田龍彦 2012年6月2日  
第12回春季大会 埼玉大学 高橋基樹 2011年6月4日  
第11回春季大会 北海道大学 大崎満 2010年6月5日  
第10回春季大会 日本大学 水野正巳 2009年6月6日  
第9回春季大会 東京工業大学 大即信明 2008年6月7日  
第8回春季大会 東洋大学 北脇秀敏 2007年6月9日  
第7回春季大会 山口大学 松井範惇 2006年6月10・11日  
第6回春季大会 文教大学 中村恭一 2005年6月11日  
第5回春季大会 北九州国際会議場 井村秀文 2004年7月3日  
第4回春季大会 国際協力銀行 丹呉圭一 2003年6月27日  
第3回特別研究集会 名古屋大学 江崎光男 2003年6月29日  
第2回特別研究集会 JICA国際協力総合研修所 加藤圭一 2001年6月13日  
第1回特別研究集会 アジア経済研究所 尾村敬二 2000年6月10日  
大会名 開催地 実行委員長 開催年月日 開催報告
関連情報



優秀ポスター発表賞

目的

国際開発学会の研究大会におけるポスターセッションでの卓越した研究者の研究発表を表彰することにより、研究水準の向上をはかり、もって国際開発研究の発展に資することを目的とする。

賞の種類

「優秀ポスター発表賞」及び「優秀ポスター発表奨励賞」とし、また、「優秀ポスター発表賞」審査委員会が必要性を認識し、3 分の2以上の賛成により追加的に賞を設置することがある。

受賞資格

第2条に掲げる賞の対象となる者の資格は、国際開発学会研究大会時におけるポスター発表者の会員(学生会員を含む)とする。

審査基準

審査は研究内容、ポスターの提示方法、口頭説明(質疑を含む)のそれぞれの質を総合的に判断して行う。

受賞者数

受賞件数は若干数とする。

審査委員会

審査委員会は国際開発学会賞選考委員と賞選考委員会が指名する若干名の委員を加えて大会ごとに組織される。審査委員長は審査委員会の3分の2の賛成を持って選出する。

審査方法

各大会におけるポスターセッション発表時間に審査委員が全てのポスターを見るとともに口頭説明を一定時間聞き、審査する。

表彰

審査委員会は、選考経過および選考理由を付して大会期間中に速やかに受賞者を公表する。


過去大会の受賞者

第34回全国大会(2023年)

八郷真理愛

『発達障害のつくられ方-個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ-』

奨励賞
  • 佐藤美奈子
    『僧院が担う新たな社会的包摂機能-ブータン王国における仏教とウェルビーイング-』
  • 井川摩耶
    『太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性-援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目して-』

第24回春季大会春季大会(2023年)

柴田英知

『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

奨励賞
  • 玉村優奈
    『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

第33回全国大会(2022年)

小林匠

『ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響-ブシェニ県とワキソ県の事例から』

奨励賞
  • 石井あゆ美
    『日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—』

2022年春季大会

松田華織

An Analysis of Access to Education for Children with Disability in Indonesia”

太田洋舟

モルディブ共和国における「ムスリムネス」の多様性に関する一考察―首都マレ圏のスポーツ活動を行うムスリム女性を事例として―」

2021年全国大会

矢野泰雅

『An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR』

奨励賞

  • Traitip Siriruang
    『Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN』

2021年春季大会

白井恵花

『重度障害者の生存の難しさ-ネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたこと―』

奨励賞
    • 大門毅
      『「アラブの春」とは何だったのか-革命 10 年後のチュニジアから―』
    • Wang Kexin
      『Home Learning Environment for Early Childhood Development Outcomes in Bangladesh』

    2020年全国大会

    近藤加奈子

    『利用からみる住民の水の選好―モザンビーク農村における水源の多様性と選択に着目して―』

    奨励賞

    • 隅田姿
      『日本教育における持続可能な開発のための教育(ESD)とグローバル市民教育(GCED)-学習指導要領の内容分析―』

    2019年全国大会

    Wang Kexin

    『Household Financing on Secondary Education in Cambodia: An Analysis of Household Over-indebtedness on Public Schooling and Supplementary Tutoring』

    Thomas Kloepfer

    『大麻草産業化による貧困削減のための規制と政策:西ネパール山岳コミュニティーの事例』

    奨励賞

    • 羽間久美子
      『タイにおけるSufficiency Economy Philosophyに基づいた教育の効果と課題』

    2019年春季大会

    山口(上舘)美緒里

    『初等教育におけるICTを活用した遠隔教員研修の成果と課題―バングラデシュのNGO校におけるe-learning研修を事例として―』

    奨励賞

    • 田中志歩
      『バングラデシュ丘陵地帯の少数民族における教育開発の可能性と課題―小規模少数民族クミによるノンフォーマル教育学校運営の事例より』
    • 太田美帆
      『陸前高田とゼミ活動の8年間―変わりゆくニーズとの試行錯誤の軌跡―』

    2018年全国大会

    Yiqiong Mai

    『The Influence of Interactive Learning Materials on Self-Regulated Learning Processes and Outcomes of Primary School Teachers in Mongolia』

    奨励賞

    • 飛田八千代
      『セネガルにおける食料消費の傾向について―サンルイ市の女性消費者調査より―』
    • 薗畠ひとみ
      『熱帯地域における廃棄物起因のベクター発生対策に関する研究―パナマのデング熱とジカウィルス感染症を中心に―』
    • 畑杏奈
      『Examining the Relationship between Parent Characteristics and Parent Involvement in Early Childhood Education in Cambodia』

    2018年春季大会

    奨励賞

    • 木村文哉
      『性別の違いと競争的環境の関係に関する比較実験―ミャンマーインレー湖上の住民を対象として―』

    2017年全国大会

    奨励賞

    • 松原加奈
      『エチオピアにおける革靴製造企業―従業員の技術の形成に着目して―』
    • Seonkyung CHOI
      『Impact of Education Paths in Secondary and Tertiary Education on Labor: Market Performance in South Korea: Focusing on TVET High School Graduates』

    2017年春季大会

    奨励賞

    • 三好友良
      『タイにおける地域包括ケアシステムの構築に向けた動き―LTOPプロジェクトサイトの事例を中心に― 』
    • 孟暁東(Xiaodong MENG)
      『Parental Involvement in Early Childhood Education in Lao PDR: Case of Vientiane Province』

    2016年全国大会

    牧貴愛

    『タイにおける優秀教師群像(2)―「Prawat Khru(教師列伝)」の内容分析―』

    2016年春季大会

    奨励賞

    • 高橋香名
      『Impact of Groundwater Development Project on Child Schooling in Rural Zambia』

    2015年全国大会

    奨励賞

    • 金子佳世
      『ブルンジ共和国看護師に求められるCompetency』
      [共著者:Juma NDARAYE; Illuminée NAHABAGANWA; Fabrice KAKUNZE; 古川佳恵]
    • 入江憲史
      『世界遺産における湿地帯保全に対する人々の態度研究:ラオス国ルアンパバーンの事例を用いて』
      [共著者:山口しのぶ、高田潤一]

    2015年春季大会

    奨励賞

    • 清野佳奈絵
      『イタリアにおけるバングラデシュ人移民の社会経済状況:ローマ市に暮らすバングラデシュ人移民を事例に』

    2014年全国大会

    中村洋

    『牧畜民のレジリエンスを分ける要因とは?:モンゴル国ドンドゴビ県で2009年から2010年に発生した災害後の牧民の資産回復過程の分析』

    奨励賞

    • 朝隈芽生
      『イランにおけるアフガニスタン難民の教育:若者のアイデンティティ形成に着目して』

    2014年春季大会

    奨励賞

    • 山口健介・渡辺俊平
      『産業地域の「適応」:集積論の分析視角』

    2013年全国大会

    大谷順子・張玉梅

    『中国四川大地震による中国の社会変容に関する考察:2008年汶川地震と2013年雅安地震』

    奨励賞

    • 山本香
      『シリア難民による学校運営と教員の役割:トルコ共和国アンタキヤ市の事例から』

    2013年春季大会

    田中樹・伊ヶ崎健大

    『作物収量の向上と風食抑制を同時成立させる砂漠化対処技術とその普及』

    奨励賞

    • 佐々木夕子・田中樹
      『西アフリカ・サヘル地域の村落における社会ネットワーク構造と女性世帯の生存戦略』

    2012年全国大会

    奨励賞

    • 篠原亜絵
      『東ティモールにおけるコーヒー生産者協同組合のパフォーマンスと家計への影響』
    • 野村理絵
      『ケニアにおけるマサイ女子生徒の学習動機に対する教師の影響』
    • 吉田綾
      『アジアの途上国におけるE-waste インフォーマルリサイクラーの社会・経済状況』

    2012年春季大会

    奨励賞
    • 佐藤希
      『女性組織が女性のジェンダー意識変容に及ぼす影響:ネパール、パタン市を事例に』
    • 日向淳
      『災害時における「外部者」の役割:内発的発展論の視点から』
    • 山田悦子
      『国際連合安全保障理事会決議1325 :平和構築における国連による女性への政策に関する考察』



    【会員限定】第2号理事決定会合議事録

    • 日時:2023年6月10日 19時30分~20時30分
    • 方法:対面(第24回春季大会会場近隣の会議場)およびオンラインの併用による開催

    • 出席者(敬称略):佐藤仁(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、伊東、池見、小川、黒田、佐藤(寛)、澤村、高橋、鍋島、藤掛、藤倉、山形(以上、現理事)、坂上、樹神(以上、次期1号理事)

    議事

    志賀事務局長より、本年5月に実施された第12期第1号理事選挙の結果選出された次期第1号理事の属性(所属・性別・専門分野等)についての説明が行われた。これを踏まえ、第12期第2号理事候補者についての議論が行われ、15名の会員を次期第2号理事候補者として選出した。

    本部事務局
    事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




    2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

    The 25th JASID Spring Conference

    地域発! 国際協力と共創の実践
    グローバル・グローカルな人材育成

    Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local Context: Global & Glocal Human Resource Development
    • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
    • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮(予定)
    • 方式:対面(一部オンライン)

    この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

    宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

    また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

    宇都宮(エクスカーションの可能性もあり)のLRTや餃子や、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

    第25回春季大会・実行委員会
    委員長:阪本公美子(宇都宮大学)


    スケジュール

    • 2月 1日:HP公開予定()
    • 2月 1日:発表申込開始予定
      [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
    • 3月18 日:発表申込締め切り
    • 4月初旬:参加登録開始
    • 4月下旬:採否結果通知
    • 5月上旬:報告論文(ショートペーパー4頁、フルペーパー16頁)提出締め切り

    発表申込要項

    1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

    • 発表者は、会員であることが必要
    学会入会申請・会費支払サイト:
    • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
    • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
    • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
    • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
    • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は、日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること
    ※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。
    ※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

    2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

    • どちらも代表者は、会員であることが必要
    • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
    • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する

    企画セッション:

    各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること

    ラウンドテーブル:

    企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

    発表申込

    • 申込期間:2024年2月1日~3月18日まで(予定)
    • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

    国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

    実行委員長:

    阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

    事務局長:

    • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
    • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

    実行委員:

    • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
    • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
    • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
    • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
    • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・教授)
    • 丸山剛史(宇都宮大学教育学部・教授)
    • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン学部・教授)

    学生実行委員:

    • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
    • 菊池翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
    • 福原玲於奈(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
    • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
    • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

    第25回春季大会にかんするお問い合わせ先

    • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    会長からの手紙(2023年2月)

    第11期の2年目を振り返って

    国際開発学会の皆様、こんにちは。今年も、昨年度と同じように学会活動の1年間を振り返ったハイライトをみなさんにお届けします。これは、各委員会の活動報告を行う総会にご参加いただけなかった会員のみなさんに対して、学会活動の要点をお知らせするものです。

    昨年度の活動としてまずお伝えしたいのは、ロシアのウクライナ侵攻に対して学会として声明を発出し、日本と英語でHPに掲載したことです。学会として政治的な声明を出すことについては理事会の中でも賛否がございましたが、多くの皆様の賛同を得ることができたこと、そして何よりも、学会として世界のアクチュアルな問題への対応方法を常任理事の間で議論できたことが大きな収穫だったと思っています。今後も世界が難しい局面に入るごとに、学会としてどのように立ち居振る舞いをすべきなのか、議論してまいりたいと思います。


    さて、第11期はvisible, inclusive, entertaining の旗印を掲げて、2年目を無事に終えることができました。総会を明治大学にて対面で実施できたことは何よりうれしいことでしたし、400名以上の参加登録があったことは、みなさんがこの大会を待ち望んでいたことの表れでもあると思います。発表の合間に廊下やホールで見かけたおしゃべりの環、学会賞受賞者のスピーチやそのあとの写真撮影と談笑、旧友との思いがけない再会など、対面開催ならではの偶発的な喜びに満ちた大会でした。実行委員長の島田剛先生とスタッフの皆様に改めて御礼申し上げます。

    執行部の今年度の活動は、着手した活動をしっかりと定着させ、安定軌道に乗せることに力点をおきました。いくつか特筆すべき活動をあげるとすると、次のようなものがあります。

    まず、Visibleについては、選挙管理委員会のイニシアチブにより、学生会員の主導によってYouTubeやツイッターの発信を実施しました。また、人材育成委員会では継続的に(学部生向け)論文コンテストを実施し、前年度より多くの10篇の応募をいただき、その中から3篇を学会誌に掲載しました。学部生の開拓は未来の開発研究者・実務者を育てるうえで大切な事業であります。

    学会賞の方も、応募数が昨年度5件から、今年度13件と激増し、良質の作品を審査して3点に賞が出せたことは大きな成果でありました。社会連携委員会では、今年も外務省主催のグローバルフェスタにも出展し、「国際協力におけるキャリア形成」というセッションを設けて、若いみなさんを中心に100名の参加者を得ることができました。HPやメーリスを中心とする広報委員会の業務は、visibleであり続けるために重要な役割を果たしています。たとえば10月1ヶ月間のサイト全体のページ表示回数は約50,000回に上りました。

    Inclusive については、まず地方展開委員会の活動をあげなくてはなりません。地方展開委員会では、2021年の全国大会、2022年の春季大会でラウンドテーブルセッション 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」 を企画し、 福岡、高知、岡山、岩手、秋田に拠点をおく学会員、地域づくりという関心を同じくする非学会員とのネットワーク構築に貢献しました。この委員会が縁となり、2022年春の福岡大会に続き、2023年春の秋田大会へと地方での学会開催の輪を広げることができました。

    また、科研費(国際情報発信強化)を用いた特集号の編集体制の確立、原稿集め、査読、そして次号に向けた国際ワークショップ(@チュラロンコン大学)の段取りができたのも大きな成果でした。この科研費を利用した外国人会員のさらなる開拓、日本留学帰国組とのネットワーク化など、inclusive の範囲を海外に展開していきたいと考えています。

    また、様々な障害をおもちの会員にできるだけ大会に参加してもらえるよう、ニーズの把握を務めたのもの今年の活動でした。次年度は、合理的な配慮に関するタスクフォースを設けて、アドホックではない配慮のあり方について議論し、その成果を実施したいと考えています。

    最後にEntertaining については、引き続き学会誌の魅力を高めるための新たなデザインの検討を行いました。特に、次年度は英文特集号が加わる節目の年でもあります。表紙のデザインは会員の皆様に参加型で投票していただきました。3月には新しい表紙での最初の雑誌をお届けできると思います。どうかお楽しみに。


    このほかにご報告すべき活動として、研究×実践委員会では2021年全国大会において、JICAが新たに推進しようとしている「クラスター・アプローチ」に対して研究者や委員会メンバーが意見を述べるラウンドテーブルを開催しました。この試みはJICA側からの評価も高く、その後2022年4月まで4回に渡って意見交換会を継続しました。こうした実務者と研究者との成熟した関係が構築できるようになったのは、両者が相まみえる「場」を本学会が長年提供し続けてきたことの帰結といえましょう。

    こうした一連の事業を持続的なものにするためには、事務局が無理なく稼働できる体制が不可欠です。大会運営における特別ソフト confit の導入は、こうした省力化の努力の一環です。これらの着実な前進の背景には、多くの invisible な努力があります。各委員会の委員長や委員の皆さんはもちろんですが、事務局や広報委員会のスタッフは日常的な裏方として日々の業務をこなしてくれています。本当にありがとうございます。

    明治大会でのプレナリーでは「グローバル危機にどう向き合うか―国際開発学の役割」と題して充実した議論を行いましたが、「危機と方向感覚」と題した私の講演に対する反応として、私の尊敬するあるシニアの会員から加藤周一の次のような引用が励ましの言葉と共に送られてきました。これは、加藤が1946年の雑誌『世代』(1946年3月号)に書いたエッセイの一部で、つい昨日まで好戦的だった日本の青年が良心の呵責もなく平和主義者に変わってしまうという日本青年の現状について書いている部分です。

    「かなりの本を読み、相当洗練された感覚と論理を持ちながら、凡そ重大な歴史的社会的現象に対して新聞記事を繰り返す以外一片の批判もなしえない」

    『世代』(1946年3月号)

    論文を書くことは重要ですが、現実世界とのつながりに基づく方向感覚を失いたくないものです。学会は学問成果を取り交わすとこであると同時に、自分たちがどこに向かっているのかを確認する羅針盤のような機能を果たさなくてはいけないのかもしれません。引き続き、会員諸氏の叱咤激励をお願いする次第です。


    第11期の最後となる2022年11月からの1年は、着手済みの変革をさらに開花させ、最終年にはさらによい報告ができるよう努力してまいります。会員の皆様の一層のご支援をお願いする次第です。

    2023年1月
    第11期会長 佐藤仁(東京大学)

    Letter from the President
    Reflecting on the Second Year as the 11th President




    第24回春季大会セッション報告(一般口頭発表)

    一般口頭発表

    [A1] Education(個人・英語)

    • 9:30 〜 11:30
    • 座長: Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)
    • コメンテーター: Hideki Maruyama(Sophia University), Mikiko Nishimura(International Christian University)
      1. [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR
        Souksamay INTHAVONGSA (Hiroshima University)
      2. [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia
        Sokunpharoth SAY (Hirohsima University)
      3. [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School
        Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA (Osaka University)
      4. [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO (Osaka University)
      5. [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers
        Manuel Jordão, Satoshi KUSAKA (Naruto University of Education)

    [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR

    Ms. Inthavongsa, reported that in Lao PDR teachers used numerous strategies for managing a multi-grade class, but had challenges in preparing individual tasks, using assessment rubrics, and coping with ethnic minority’s language, for which teachers need more training and experiences. Prof. Nishimura commented that further explanation were needed on teachers’ perception on their challenges, their experiences and skills.

    [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia

    Mr. Sokunpharoth reported that community’s roles of fund raising, children’s attendance, infrastructure development, and monitoring students’ progress help improving promotion rate of students in Cambodia. Prof. Maruyama asked about his sampling method, the membership and functions of the school management committee, and differences in the local dynamism.

    [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School

    Mr. Andriariniaina presented both parents in the slum areas in Nairobi, Kenya and parents, relatives and guardians in the pastoral area where women have no assets, are trying hard to help their children go to secondary school for a better prospect for future employability. Prof. Nishimura commented on the sample size, generalizability, and need to consider the diversity of the study area.

    [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?

    Ms. Rasolonaivo discussed that high school students in Madagascar were exposed to the COVID-19 pandemic and the global economic crises which gave them knowledge and awareness of global issues, helped by the new curriculum on the citizenship education that has more commonalities with global citizenship education. Prof. Maruyama suggested that the background and diversity of students, communities and schools need to be explained further.

    [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers

    Mr. Manuel reported that a carefully designed workshop/training can strengthen teachers’ scientific knowledge and their attitude toward improvisation of teaching material in the secondary schools of Angola. Prof. Nishimura questioned about the particulars of the workshop, whether the presenter observed the classes, and changes in the motivation of teachers after the workshop.

    総括

    The five presenters of this session covered education challenges ranging from multi-grade teaching, community’s roles in school management, parental perspectives on children’s career planning, global citizenship education, and the improvisation of teaching materials, in African and Asian countries. The analytical methods also varied from qualitative, quantitative and mixed methods.

    There were constantly some 30 participants many of whom joined and left during the session, and rich Q and A interactions.

    報告者:Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)


    [A2] 教育(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:小川 啓一(神戸大学)
    • コメンテーター:山田 肖子(名古屋大学)、小松 太郎(上智大学)
    1. [A2-01] 開発途上国における継続的な学力測定のためのテスト開発 ―マラウイ・ガーナ・ウガンダの事例―
      谷口 京子(広島大学)
    2. [A2-02] モザンビーク教育大学学生の教職志望動機に関する一考察-FIT-Choice 尺度を活用して-
      谷川 夏菜子、脇田 祐輔、Simbine Alberto、日下 智志(鳴門教育大学)
    3. [A2-03] 東ティモールにおける大規模縦断 EMISデータとGIS情報を用いた学生の教育進級履歴の決定要因に関する分析
      内海 悠二(名古屋大学)
    4. [A2-04] ケニアにおける教育改革の進捗と問題点―Competency-Based Curriculumの導入と教育制度の変更をめぐって―
      澤村 信英(大阪大学)
    5. [A2-05] 東ティモールにおける「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の適用可能性の検討-初等教育学校と前期中等教育学校の連携に着目して-
      須藤 玲(東京大学大学院)

    コメント・応答など

    谷口会員は、サブサハラ・アフリカ地域における生徒の学力を、各国のカリキュラムに照らし合わせて分析することの重要性を指摘し、マラウイ・ウガンダ・ガーナの3カ国におけるテスト開発および学力調査の結果を報告した。学力調査の結果からは、作成したテストの信頼性や3カ国間での学力比較を共有した。

    これに対して、コメンテーターの小松会員から、各国のカリキュラムに照らしたテスト開発を進める上で3カ国を比較することの意義についての質問がなされた。また、選択国の代表性や他国への適応可能性などの観点から、3カ国を選定した理由等が問われた。

    谷川会員らの第2発表では、モザンビークにおける教員の離職率の高さに関連して、教員の早期離職の原因を調査した結果が共有された。教員志望の大学生が教職を選択する理由に焦点を当て、現職教員に対する調査とは異なる視点からの考察を提示した。

    コメンテーターの山田会員からは、分析における説明・被説明変数が離職率の要因を明らかにする上で妥当な選択であるのか指摘がなされた。また、分析結果について山田会員の視点による考察も加えられた。

    内海会員による第3発表では、複雑な社会構造を有する東ティモールにおける生徒の就学生存率を、地理情報データを活用して空間的に把握する試みが共有された。

    地理的に就学生存率が高い(低い)学校が密集するホット(コールド)スポットの存在を指摘するとともに、マルチレベル・ロジスティック回帰分析による要因の検討を行った。

    小松会員からは、経年的に結果を見た際に一時的にホットスポットとなる地域の存在について質問が挙げられた。また、スポットが生じる要因の分析において十分に検討されていなかった社会的な要因としていくつかの可能性を提示した。

    第4発表では澤村会員から、ケニアにおいて2018年から導入され始めた教育改革の進捗や課題について、教育改革の歴史を踏まえた報告がなされた。Competency-based Curriculumの推進が、学習者の能力を公正に伸ばすと期待されていながらも、実態としては不公正な社会に向かっているのではないかと評した。

    山田会員は、Competencyとして求められる能力は、各時代における社会の在り方によって異なるのではないかと指摘し、ケニアの教育改革の歴史の中でCompetencyの在り方がどのように変化してきたのか等の質問を投げかけた。

    須藤会員による第5発表では、多言語社会において推進されている「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の東ティモールにおける適用可能性について、教員側からの受容と反発に焦点を当てた考察が行われた。

    前期中等教育学校において教員がMTB-MLE校に対して反発を示したことを踏まえ、初等教育段階と前期中等教育段階の連携における課題を指摘した。

    小松会員は発表を受け、多言語教育における教育者の重要性を再確認した上で、彼らの声だけを「MTB-MLEへの社会的反発」と捉えることについて疑問を投げかけた。

    また、MTB-MLEの試験的導入から彼らの受容と反発に至るまでのプロセスに目を向けることの意義を指摘した。

    総括

    コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質疑が挙がり、活発な議論が行われた。発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

    報告者:小川 啓一(神戸大学)


    [A3] 産業(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:高橋 基樹(京都大学)
    • コメンテーター:島田 剛(明治大学)、池上 寛(大阪経済法科大学)
    • 聴講人数:22名
    1. [A3-01] 南アフリカ小規模食品加工企業の存続と BEE政策の影響
      西浦 昭雄(創価大学)
    2. [A3-02] 職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として
      松本 愛果(京都大学)
    3. [A3-03] インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要
      黒川 基裕(高崎経済大学)

    コメント・応答など

    同セッションの報告者は、西浦昭雄、松本愛果、黒川基裕の3会員、また討論者は池上寛、島田剛の両会員であった。また、22人ほどの参加者があった。

    西浦報告「南アフリカ小規模食品加工企業の存続とBEE政策の影響」では、報告者から、アフリカの小規模企業がどのように、産業の二重構造を越えようとしているかという問題意識に立ち、個別の企業の成長の軌跡に注目することを念頭に置きつつ、南アフリカの小規模食品加工業に注目したことが説明された。

    そのうえで、南アの企業に関する最も網羅的なデータベースであるWOWEBを利用し、HPも参照して、5年以上成長の軌跡をたどることのできる企業を絞り込み、その軌跡においてBlack Economic Empowerment(BEE)による調達面の優遇や、資金やエネルギーの調達、市場の開拓の問題などの影響を検討したことが説明され、企業の継続には段階的な規模拡大、需要の獲得、事業継承の容易さなどがカギとなっているとの知見が紹介された。

    討論者から、BEEが経営者の属性(「人種」)によって受ける影響、業種による規模の違いなどを考慮すること、また企業者の経営能力、輸出の成否、また事業継続の失敗例とその要因などを検討に含めることなどの必要性の指摘があった。また参加者から行政の衛生管理をクリアするかどうかで大きな違いが生じることやノウハウを伝えやすいなどの食品加工の業種としての特殊性への注意喚起があった。

    松本報告「職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として」は、大学と中等学校の中間に置かれた職業教育校が、労働者の技能、賃金・所得に与えている影響について、ケニアでの実証調査を踏まえて論じた。調査では、フォーマル及びインフォーマルな企業の採用担当者、官民の職業訓練校の製造業関連職種の現役生・卒業生が対象となった。

    調査研究の結果、職業訓練修了者の賃金は大学と中等教育の間であるが、企業採用担当者からすると、スキルや学力は中等教育より上で、また大卒よりも労働市場で必要とされる適正なスキルと知識を備えているために雇用機会は高く、より確実に仕事を得ることができ、その点において職業教育は相対的に人材養成において優位である可能性が示された。

    討論者からは、対象の職種の選定理由を明示すること、労働者や使用者の賃金の認識のしかた(短期か、それとも終身まで視野に入れた長期か)を考慮すること、企業による職業訓練の成果の活用について検討すること、また世界銀行による職業訓練校への批判について念頭に置いた議論を展開することなどの必要性が指摘された。

    黒川報告「インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要」は、途上国に広く見られる、調理の際の排煙によって健康被害をもたらしかねないかまどに代わるものとして、報告者自身が開発・普及に携わっている「無煙クッキングストーブ」の事例についての報告であった。

    報告者の研究においては、開発された無煙ストーブをインドネシア西部バンテン州の農家に貸与し、その潜在需要をCVMとWTP(willingness to pay)の手法を使って検証する方法が採用された。

    WTPを通じて農家の側に、比較的低いながらも市場価格を支払う意欲があり、あるいは無煙の燃焼に必要なペレット、商用のための長時間燃焼可能なモデルへのニーズが存在することが確認されたこと、また、環境性能と収益性能の間のトレードオフやストーブ・ペレットの改善上の課題が指摘された。

    討論者からは、潜在需要と農家の生存水準及び健康問題への関心との相関性を検討すること、また採算性を考える際に、ストーブ自体の製造やペレットの生産のための固定費用まで計算に入れることなどの必要性の指摘があった。

    総括

    製造業・ものづくりについての研究は国際開発研究において大きな潜在的な重要性と発展可能性を持つものであり、このようなセッションが今後も継続的に開催されることが期待される。

    報告者:高橋 基樹(京都大学)


    [B1] Economy(個人・英語)

    • 9:30 〜 11:30
    • 座長/ Chairman: Akio Nishiura (Soka University)
    • コメンテーター/ Commentator: Yukimi Shimoda (Waseda University), Takeshi Daimon (Waseda University)
    • 聴講人数/ Number of the audience: 15
    1. [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa
      Christian OTCHIA (Nagoya University)
    2. [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within 
      Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU (University of Utsunomiya)
    3. [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis
      Feng LI (Chuo University)

    コメント・応答など

    [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa

    Christian OTCHIA conducted an empirical analysis examining the impact of Chinese Officials’ visits, including the Foreign Minister, on the increase in direct investments from China into Africa. In response, Takeshi Daimon, acting as the discussant, commended the study’s geopolitical approach in exploring the determinants of private investment, and its adept utilization of propensity score matching methods (PSM) to correcting for endogeneity. Daimon also sought information concerning the influence of Russia as an invisible actor and its role in conflicts, as well as insights on the case of Tunisia, the host country of TICAD VIII, in the context of Japanese investments in Africa.

    Furthermore, Yukimi Shimoda, another discussant, raised a query concerning whether China’s increasing economic influence, beyond the visits of Chinese diplomatic envoys, was responsible for the upsurge in private investments. In response, OTCHIA emphasized the significance of political backing for Chinas investments to Africa and suggested conducting an analysis with a dedicated focus on this aspect.

    [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within

    Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU conducted a thematic analysis based on qualitative research, which involved surveys conducted with 54 Owner-Managers of Lifestyle Enterprises (OME) and 8 experts in Sri Lanka, aimed at investigating whether Lifestyle Enterprises exhibit a tendency to be growth averse. In response to the presentation, Shimoda, the discussant, acknowledged the study’s significance in contributing to policy formation, particularly regarding the formalization of the informal sector, and praised the ample sample size. Furthermore, Shimoda suggested that a more comprehensive analysis could be achieved by providing insights related to various aspects of owner-managers, such as age, gender, education, life stage, and other relevant factors, considering Sri Lanka’s specific context, and encompassing various types of lifestyle enterprises, including street vendors, manufacturer and distributors.

    Shimoda also raised questions, seeking clarification on the definition of lifestyle enterprises, exploring the relationship between the informal sector and lifestyle enterprises, and inquiring about the perspectives of the 10% of respondents who expressed a growth-oriented outlook. Additionally, questions from the audience addressed the motivations behind OMEs’ business establishment, the targeted company sizes, and the educational levels of the samples.

    [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis

    Feng LI conducted an analysis using Shapley decomposition to examine regional and educational disparities caused by China’s Hukou (household registration) system. The results reported improvements in educational access in China due to economic development, particularly for the younger generation. The study also found that the Hukou influenced educational disparities between 2010 and 2018, while regional disparities were smaller than initially anticipated.

    In response to the presentation, participant Daimon acknowledged the significance of the research and proceeded to inquire about the relationship between “sent down” policy and urban status. Daimon also raised questions regarding polarization and the feasibility of obtaining data at the village level. Additionally, comments from the floor suggested the need for analysis at the local level and explored the possibility of comparative studies with other regions.

    総括

    The session offered a fresh perspective on the multifaceted nature of “economy.” I was impressed by the innovative and original viewpoints presented in each presentation. Overall, the lively exchange of opinions made it a meaningful session. I would like to express my heartfelt appreciation to the presenters for their insightful papers and well-prepared presentation slides, and to the discussants for their meticulous comments and questions while preparing their slides. I also extend my gratitude to all the participants who actively participated in the question and answer sessions.

    Reporter: Akio Nishiura (Soka University)


    [B2] 国際協力(個人・英語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:佐藤 寛(開発社会学舎)
    • コメンテーター:西川 芳昭(龍谷大学)、高田 潤一(東京工業大学)
    1. [B2-01] Local Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnam
      Yunxi WU (Kyoto University)
    2. [B2-02] A study on the verification of the educational support project in Kumamoto Laos Friendship Association
      Hanami SAKAI (Kumamoto University)
    3. [B2-03] Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Development
      Mikihiko WATANABE (University of Yamanashi)

    コメント・応答など

    本セッションでは英語による三本の報告があった。

    第一報告は京都大学のYunxi Wu会員がLocal Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnamとして、台湾のビジネスも関与しているベトナム高地における輸出志向型ウーロン茶生産と地元の起業家の関係に関するケーススタディに基づいた報告があった。

    コメンテーターの高田潤一会員らは、なぜこれらケースが選ばれているのか、事例の代表性、他地域への応用可能性などについて質問があった後、Wu会員がプレゼン資料に用いたAI絵画の妥当性について指摘があった。

    聴衆に現地をイメージしてもらうための架空の風景をプレゼンの背景に使用することの、事実誤認誘導や虚偽性などについて興味深い議論があった。

    第二報告は熊本大学のHanami SAKAI会員よりA study on the verification of the educational support project in Kumamoto Lao Friendship Associationと題して、熊本出身で元駐ラオス大使の坂井弘臣氏が立ち上げた熊本の市民団体の活動を取り上げ、ラオスの農村部の学生に奨学金を送る活動の評価とその将来的な持続可能性についての考察を行った。

    高田会員からは、組織の内部資料等の情報をどのように収集したのか、本研究で用いた評価手法は地方のNGOに適しているのか等のコメントがあった。

    1990年代から2000年代頃に日本各地で立ち上がった有志による特定途上国への支援NGOは、その多くが現在世代交代の時期を迎えており、当初のミッションの喪失や創設者の影響力の低下などで持続可能性の危機に瀕している。

    本研究はこうした他の事例との比較の糸口になると有意義であろう。

    第三報告は山梨大学のMikihiko WATANABE会員による、Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Developmentと題する報告で、Digital Sequence Information の活用に関するやや専門的な内容であったが、コメンテーターの西川芳昭会員が生物多様性に関する国際条約の流れなどを整理したうえで、データの共有のメリットとコストについての議論があった。

    三報告を通じて参加者は10人弱であったが、それぞれの報告に即した議論を行えたことは有意義であった。

    報告者:佐藤 寛(開発社会学舎)


    [B3] 移民・難民(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:内海 悠二(名古屋大学)
    • コメンテーター:林 裕(福岡大学)、小林 誉明(横浜国立大学)
    1. [B3-01] 難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討
      小松 太郎(上智大学)
    2. [B3-02] 往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育― 在日ネパール人が運営する母語教室の事例から―
      田中 雅子(上智大学)
    3. [B3-03] ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築
      片柳 真理(広島大学)

    コメント・応答など

    本セッションでは3つの報告がなされた。

    一つ目の報告は小松太郎会員(上智大学)による「難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討」であった。教育セクターに対する人間の安全保障における理論的枠組みとして「保護とエンパワーメント」、「学びの継続」、「国際社会の責任分担」という3つの側面が説明され、これらの側面からヨルダン補習教育プログラムにおける意味と課題が報告された。

    コメンテーターの林裕会員から、ホスト国(第一次庇護国)における負担やホスト国への国際支援の重要性が説明され、ホスト国への支援の重要性が国際社会で認識されているにも関わらず、実際には継続的な支援が実施されていない理由について質問・コメントが挙げられた。

    二つ目の報告は、田中雅子会員(上智大学)による「往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育-在日ネパール人が運営する母語教室の事例から-」であった。日本に在住する外国ルーツの子供たちに開放される母語教育を持続的に運営するための課題と努力について、複数の母語教室を事例として運営者とのインタビュー結果と運営形態に関する詳細な結果が報告された。

    コメンテーターの林裕会員から、母語・母文化修得よりも日本社会への統合・日本語教育が優先されている社会や、家族滞在者よりも永住者が優先される現状について説明があり、詳細なフィールドワークの実施を評価すると同時に、ネパール人を取り上げる意味やインタビューで得た関係者の生の声をより深く知りたいといったコメントが挙げられた。

    三つ目の報告は、片柳真理会員(広島大学)による「ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築」であった。ボスニア・ヘルツェゴビナを事例として、マイグレーション理論をもとに紛争中から紛争後にかけて人々が移動する理由や移動の是非を決める選択(願望・能力)に関する理論的考察が説明された。コメンテーターの小林誉明会員(横浜国立大学)からはマイグレーション理論が他国の事例に適用される場合にどのような課題があるのかが説明されるとともに、移動の是非を決める選択は願望の前に選択を入れることでさらに詳細なモデル(選択・願望・能力)とすることも可能である等のコメントが挙げられた。

    総括

    会場の参加者が多いというわけではなかったが、セッション時間を通して終始アットホームな雰囲気があり、会場からも様々な質問が挙げられるなど、とても活発な意見交換の場となった。報告会員によるしっかりとした理論に基づく考察や説明がなされたことや、地に足のついた長年のフィールドワークによる知見が報告されたこともあり、質問やコメントに対する更なるコメントが挙げられるなど、質問者と回答者だけではない議論が行われてたことが印象的であった。

    報告者:内海 悠二(名古屋大学)


    [D2] 環境(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、日下部 尚徳(立教大学)
    • 聴講人数:20名
    1. [D2-01] バヌアツ離島集落のおけるコミュニティベースのサイクロン対応
      藤枝 絢子(京都精華大学)
    2. [D2-02] インドネシア都市スラムのサニテーションを取り巻く人びとの係り合いと開発協力
      池見 真由(札幌国際大学)
    3. [D2-03] バングラデシュ南西沿岸部における NGOによる給水施設の設置-地域の有力者の役割に着目して-
      山田 翔太(立教大学)

    コメント・応答など

    藤枝会員報告は災害頻発国バヌアツでのフィールドワークを踏まえたコミュニティレベルでの災害対応についての報告であった。

    質疑応答では防災教育のあり方、SNSの活用方法、災害対応の課題、行政と住民の関係など多岐にわたる議論が行われた。災害対応組織の役割など国家とコミュニティの関係についてさらに深められるとよいと感じた。

    池見会員報告は総合地球環境学研究所のプロジェクトで行われてきた研究者と現地の人びと(非研究者)とのトランスディシプリナリー研究のプロセスやその成果に関するものであった。

    多様なステークホルダーの協働による取り組みにおけるインセンティブや価値、イニシャルコストや維持管理コスト、公共私の空間認識など幅広い議論が行われた。本報告で提起されたサニタリーバリューチェーンというコンセプトがどのように研究者と現地住民の間で共有されてきたのかというプロセスが興味深いところであった。

    山田会員報告はバングラデシュで大規模に実施されている村落小規模水道の設置にあたって、地域の有力者の利害が大きな要因であることを指摘したものであった。

    ヒ素汚染に比べて塩水化は直接知覚できることから住民の関心が高いこと、管理においてはケアテーカーが担っていること、NGOが請け負った事業であるが前身は外国援助機関によるプロジェクトに由来するものであることなどが質疑応答の中で明らかにされた。

    集落単位ではなく個人単位での水道敷設が望ましいという結論についてはさらなる検討が必要と感じた。

    総括

    テーマは災害、衛生、水道、国はバヌアツ、インドネシア、バングラデシュといずれも異なる対象を扱った報告であったが、現地調査を踏まえた具体的な事例をもとにした考察は大変興味深く、参加者からの質問やコメントも活発で集まった参加者の間での関心の高さをうかがうことができた。

    今後、各事例研究を広く先行研究の中で位置づけることによって学術的かつ社会的な貢献をより明確にして、論文発表がなされることを期待したい。

    報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)


    [D3] 保健・福祉(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長:杉田 映理(大阪大学)
    • コメンテーター:松山 章子(津田塾大学)、西野 桂子(関西学院大学)
    • 聴講人数:20名
    1. [D3-01] ノンフォーマル教育をエントリー・ポイントとする女性たちの社会参加と自己実現-ブータン農村部における地域保健医療とビレッジ・ヘルスワーカー-
      佐藤 美奈子(京都大学)
    2. [D3-02] サブサハラアフリカの出生率低下は持続するか?
      大橋 慶太(国連人口基金)
    3. [D3-03] 社会的に構築された障害への批判と社会的実践によるその変革ータイ障害者の経験と語りを通じて
      横山 明子(大阪大学人間科学研究科)

    コメント・応答など

    第1報告者の佐藤美奈子会員の報告に対し、ブータン王国での調査の経験を持つ西野会員からコメントがなされた。ブータンでの現地調査はかなり困難が伴うと推察され、それを乗り越えて調査を実施していることがまず評価された。

    さらに、本研究は、ノンフォーマル教育(NFE)を通してリテラシーを得た農村の女性たちがVillage Health Workerとして地域保健医療活動に参与する道を拓くことを目的とした、多角的な調査結果に基づく政策提言を主とする研究であると評された。

    一方、グローバリセーションの影響を鑑みて、政府だけではなく、女性たちの自己実現を促すには民間の力も視野にいれて研究する必要性が指摘された。佐藤会員からは、能力をつけた人がオーストラリアに移住してしまう事例も見られることが報告された。

    第2報告はサブサハラアフリカの出生率低下について、大橋慶太会員からの報告であり、松山会員からは、本研究はプロダクティブヘルスの観点からも、またアフリカにおいても既に議論され始めている今後の高齢化社会の課題を考える上でも、重要なテーマで学術的意義が高いと評価された。

    一方で、セネガルとケニアを比較し、文化・社会的要因に着目しながらも、出生率の近成要因モデルを用いた分析方法を利用することや、国単位で分析することの妥当性について問われた。

    中絶に関する信頼性の高いデータ収集は難しいが、例えばGuttmacher Instituteなどが出しているデータを検討することの助言があった。

    第3報告の横山明子会員の発表に対するコメントは、再び西野会員が行った。

    本研究は、タイ障害者への現地語でのインタビューを通じて、障害者への差別構造と変革主体・アプローチの分析を試みる意欲的な研究であると評価された。

    研究対象のタイは、経済発展が著しい反面、政治的な混乱が続いており、加えて「前世の行い」という宗教的思想も差別や偏見につながっていることが指摘された。

    また、3つの用語Impairment (a problem with a structure or organ of the body), Disability (a functional limitation with regard to a particular activity), Handicap (a disadvantage in filling a role in life relative to a peer group) のタイ語におけるニュアンスについて質問がなされた。

    総括

    3つの報告は、それぞれ異なる地域、異なる切り口での研究内容であったが、広くヘルスの課題を地域の視点からとらえようという共通性があったと言える。

    それぞれが意欲的な研究であった。また、会場が普段の学会ではあまり利用経験のない横長の形状であったが、結果的に、参加者(オーディエンス)と発表者の距離が近く、質疑応答も活発に行うことができた。

    報告者:杉田 映理(大阪大学)


    [E2] 国際協力(個人・日本語)

    • 12:30 〜 14:30
    • 座長:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)
    • コメンテーター:林薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ)、志賀裕朗(横浜国立大学)
    • 聴講人数:30名
    1. [E2-01] ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性
      河田 卓(株式会社ナレッジノード)、林 俊行(Nyika Energy Consultant)、佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)
    2. [E2-02] 新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国一 JICA海外協力隊を事例としてー
      河内 久実子(横浜国立大学)
    3. [E2-03] 現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響
      安部 雅人(東北大学)

    コメント・応答など

    E2「国際協力」セッションは多様な3つの報告に関して議論が行われた。

    第一報告の河田卓・林俊行・佐藤伸幸「ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性」は、技術協力を行うに際し、(1)コメンスメント、(2)アダプティブ、(3)インクルーシブ、(4)インサイドアウト、という4つの要素を満たすことで、プロジェクトが有効に実施されると主張した。

    それを示すに際し、バングラデシュにおけるクリーンダッカ・プロジェクト、パキスタン・パンジャブ州における上下水道管理能力強化プロジェクト、日本の学校法人アジア学院の研修プロジェクトの円滑な実施が、これらの4つの要素を基準として確認することの有効性を示した。

    第二報告の河内久実子「新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国―JICA海外協力隊を事例として―」は、新型コロナ感染拡大のために一時帰国を余儀なくされた青年海外協力隊員、シニア隊員、計17名に対してインタビューを行い、突然の帰国に関する効果を分析したものである。

    帰国した隊員の感情は大きく分けて「落胆型」と「安堵型」に分けられることが検出された。「同じ境遇の人と情報共有や気持ちの共有をする場があれば、隊員の不安を和らげることができる」ということが一つの結論である。

    第三報告の安部雅人「現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響」は、SDGsにおいても一定の役割を果たす「流通」を分析対象として取り上げた研究である。

    流通の対象をモノ、ヒト、カネとし、モノは「ビジネス」、「商社」、「公共」、「輸送」(中単元)にさらに分割した。それぞれの中単元ごとに4つの様態を指定し、6×4の「流通マトリックス」を定義する。各セル(モノ×4,ヒト、カネ)×4の現状を詳述したことで研究成果とした。

    3報告の間の共通性は小さい。それぞれの議論の妥当性、他の事例への適用可能性が課題として討論者から示された。

    2時間のセッションを通じて、30人程度の聴衆が参加した。

    報告者:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)


    [E3] 文化と開発(個人・日本語)

    • 14:45 〜 16:45
    • 座長: 真崎 克彦(甲南大学)
    • 討論者: 関根 久雄(筑波大学)、佐野 麻由子(福岡県立大学)
    • 聴講人数:30名
    1. [E3-01] インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワ農村の事例
      伊藤 紀子(拓殖大学)
    2. [E3-02] 小規模支援のインパクト分析 -ソーラーランタン支援事業の事例より
      柏﨑 梢(関東学院大学)
    3. [E3-03] 頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して
      黒川 智恵美(上智大学)

    コメント・応答など

    本セッションでは関根久雄会員と佐野麻由子会員をコメンテーターとして迎え、以下の3名の会員による報告があった。

    最初は伊藤紀子会員による「インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワの事例」であった。西ジャワ州タシクラヤ県の稲作地帯で、近代食が身近になるにつれていかに伝統食をめぐる考えや摂取行為が変わってきたのかについての現地調査の成果である。

    双方を摂る食習慣が根づくようになった今日でも、調査対象の女性の間では自覚的かつ主体的に伝統食に価値を見出されていることが分かった。

    コメンテーターからは、「近代食」と「伝統食」という二項対立に関して次の課題が指摘された。第一に、たとえば伝統食の要素が入った近代食、または近代知によってリアレンジされた伝統食など、食の現状は「近代なのか、伝統なのか」という二分法だけでは把握できないはずであり、住民の視線に沿った理解が欠かせない。

    第二に、「伝統食は健康に良い」と考えているという住民の認識自体も、近代知に拠るものであろうから、同じく「近代なのか、伝統なのか」という分類では説明し尽くされない。

    続く柏﨑梢会員の「小規模のインパクト分析―ソーラーランタン支援事業の事例より」では、ベトナム山間民族集落のための活動が紹介された。国際協力事業のもと、ソーラーランタンが学校を通して子供に供給され、学校と家庭の連携が強まり、また保護者の教育意識も高まるとともに子供の自己肯定感が向上した。

    こうした支援活動は身の丈に合ったものであったため、在来の生活様式に大きな影響は与えていないことも分かった。限定的な光源であることから文化面や慣習面における影響はほとんどみられない。

    コメンテーターからは、今後の課題として次の点が指摘された。ランタンの文化的な影響の有無や程度について論じる際、住民が限定的な光源をどのように捉えているのかについて、さらに深く検証されるべきではないのか。

    また、ランタンによって勉強の習慣がついて子どもの自己肯定感が醸成された、という指摘があったが、それらはランタンだけでもたらされたことなのだろうか。1つの事象が単一の要素だけで構成されることはほとんどなく、他の種々の要素も併せて考察することが欠かせない。

    最後に黒川智恵美会員による「頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して」が報告された。エジプトと日本への移民や難民、帰還民の間では、母国への貢献の意志は、イスラム社会の価値観や個人の母国や移住先との関係に左右されている。

    母国貢献の思いは身近な人との互助共同体の構築に表れている。現在進行中の紛争を解決することで、そうした「私の国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という気持ちが活かせるようにすべきである。

    コメンテーターからは今後の課題として次が挙げられた。第一に、家族、親族、コミュニティというものがクローズアップされておらず、国家という抽象的存在が前景化されている。

    最後の「国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という部分をもっと具体的に説明すべきである。第二に、報告者は頭脳流出の類型化を行ったが、1人の人間は複数の型にまたがったり、状況に応じて往還したりするものではないか。そうである場合、1人の人間が型を変えるときの文脈も注目すべき点になるのではないか。

    総括

    3名の会員による報告は、それぞれが「文化と開発」を考える上で有用な事例であった。セッション全体としても、コメンテーターのインプットで「文化と開発」について主要論点が浮き彫りにされた。

    報告者:真崎克彦(甲南大学)


    [G1] オンラインセッション

    • [オンライン口頭発表]
    • 座長:川口純(筑波大学)
    • コメンテーター:戸田隆夫(明治大学特別招聘教授)、新海尚子(津田塾大学)
    • 参加者:約12名
    • [G1-01] A Making of Cambodian Teacher Education: Competition and Coordination among Donors, Ministry, Teacher Educators, and Future Teachers
      Takayo OGISU (Sophia University)
    • [G1-03] 農村における気候変動適応活動のアプローチ:エチオピア国の事例より
      久保 英之(地球環境戦略研究機関)三浦 真理(国際協力機構)

    コメント・応答など

    本セッションはオンラインにて、2名の会員(荻巣崇世会員、久保英之・三浦真理会員)のご発表が行われ、各発表に対して1名ずつの指定討論者がコメントを付した。参加者は累計で12名程であった。

    まず荻巣会員のご発表では、カンボジアの教員養成について、特に2013年の改革以降のドナー間の国際協調や競争の実態について報告がなされた。多種多様なドナーが各々のプロジェクトを進行させていく中で、カンボジア教育省のオーナーシップの重要性や学校現場の教員の教育観にも焦点化された示唆に富む発表であった。

    荻巣会員の発表に対しては、戸田隆夫会員より、カンボジアの凄惨な歴史とその中でも教育関係者たちが“より良い教育”を実施すべく尽力してきた経緯を踏まえつつ、未来志向の建設的な研究を実施するよう、熱いコメントがなされた。

    次に、久保会員らの発表では、エチオピアの農村を対象に気候変動に対応する活動について、その妥当性を検討する報告がなされた。特に、新しいコンセプト(適応、レジリエンス)を導入することで現場がどう変わり得るのかについて議論がなされた。

    久保会員らのご発表に対しては、新海尚子会員から、水関連の災害が気候変動の中でも貧困層により大きな影響がある中で、影響、評価についてもコンテクストに応じて考えることが重要とのコメントがなされた。また対象者についても、女性、子供、高齢者、障害者等、気候変動の影響力を受けやすい人々に寄り添う重要性も指摘された。

    報告者:川口純(筑波大学)


    その他の座長報告




    第24回春季大会セッション報告(企画セッション)

    企画セッション

    [C1-01] ブックトーク

    企画責任者・モデレーター
    学会誌編集委員会・ブックトーク担当:佐藤 寛(開発社会学舎)、島田 剛(明治大学)、芦田 明美(名古屋大学)、道中 真紀(日本評論社)

    本ブックトークセッションでは会員による近刊4冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版にいたったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

    討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時30名にのぼり、活発な質疑応答となった。

    1. 報告者: 山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)

    • 担当編集者: 酒井 孝博(中央公論新社)
    • 報告書籍: 「入門 開発経済学:グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション」(2023年3月、新書判、288ページ、990円)
    • 討論者: 島田 剛(明治大学)

    SDGsにおいて実質上の国際開発離れが進み、日本の国際協力は「開発協力」の名の下に、安全保障の一部に組み入れられようとしている。そんな現況において、(1)貧困削減は多くの国・地域で進んだが、いまだに「理不尽な悲惨さ」は残っていること、(2)開発途上国独自の技術革新が、一定程度進んでいて、今後も期待されること、を中心にして本書をまとめた。

    開発経済学の入門書ということで企画を開始したが、経済学を学んでいない読者層を念頭に置いて執筆した。立命館アジア太平洋大学(APU)において「開発学入門」、「開発経済学」といった授業で教えた内容から、本書をまとめた。

    2. 報告者: 山口 健介(東京大学公共政策大学院)

    • 担当編集者:倉園 哲(株式会社NHK出版)
    • 報告書籍:「ミャンマー『民主化』を問い直す ――ポピュリズムを越えて」
      (2022年5月、B6版、288ページ、1,650円)
    • 討論者:折山 光俊(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)

    アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)によってようやくめどが立ちはじめていたミャンマーの民主化は、2021年、軍部のクーデターでリセットされてしまった。

    では、ふたたびNLDが政権の座に戻ればそれでよいのか?本書は、それでは再度のクーデターを防げないとする立場から、軍部・民主派が共有する「ビルマ民族中心主義」の克服に向けて、経済的再分配を通じた新しいナショナリズムの形成に照準する。

    当地の政治家と官僚の懐で開発政策を担った経験を踏まえ、イデオロギーに頼らない国民国家建設を提言する「希望」の書。

    3. 報告者:吉田 鈴香(前千葉大学)

    • 担当編集者:福島 延好(フリーランス)
    • 報告書籍:「ミャンマー クーデターの謎ーカギは中国にありー」
      (三恵社、2022年3月、B6版、218ページ、2,035円)
    • 討論者: 石戸 光(千葉大学)

    20年間ミャンマーが起きていることをと歴史を追いかけてきたが、ミャンマー国軍の強さと政策の不可解さをきちんと解説する研究所はなかった。既存の定説は整合性がなくミャンマーの歴史の全容を理解する壁ですらあった。

    星雲状態だった疑問を5つの「謎」に絞り込み、定説の記述→非整合性の指摘→関連文献の記述→仮説→当事者にインタビューを繰り返しながら追求した。特に中国との関係から理解を進めた。

    学術研究者・地域研究者に向けてその過程を書き著すことで、既存の研究書の誤解を解きたく思った。2020年から本書を執筆し始めた途中の2021年2月、クーデターが起きた。

    ミャンマーの建国の歴史について定説を覆す謎の解明を終えていた故、クーデターの背景を理解することができた。国境画定未達成を前提に開発、内政、外交、国防を同時に進める平和構築に協力できるか、学術研究者に問いたい。

    4. 報告者:山田 肖子(名古屋大学)

    • 担当編集者:下田 勝司(東信堂)
    • 報告書籍:「『持続可能性』の言説分析」(2023年6月、A5判、128ページ、1,980円)
    • 討論者:西川 芳昭(龍谷大学)

    人々は「持続可能性」をどのようなものと認識し、その言葉を用いて何を議論し、それを社会制度や行為に反映させようとするのか。そして、そうした認識や行為は、人々の社会的立場や帰属する組織・集団、専門性によってどのように異なるのか。

    本書では、持続可能な社会を思い描く際に、人々の思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いてときほぐそうとしている。

    第1章で、持続可能性の概念史、さらにSDGsという国際目標が作られ、合意された過程について概観する。

    第2章では、1990年代以降、「持続可能性」を主題とする学術論文が理系に傾倒していき、思想的、社会的、文化的な考察がほとんどなされていないことを示す。そのうえで、第3章は「教育」と「持続可能性」を検索語としてウェブからダウンロードした文書の定量テキスト分析、第4章では、「経済」「教育」「持続可能性」に関する新聞分析、第5章は、「持続可能性」への貢献を謳っている企業広告に対する消費者の反応についての質問票調査の結果を示している。

    報告者:芦田 明美(名古屋大学)


    [C2-02] ポスト資本主義時代における経済振興のあり方を考える―地域主義の観点より

    Examining how best to advance economic promotion in the post-capitalist era: From a local community-based perspective

    • 12:30~14:30
    • 企画責任者:真崎 克彦(甲南大学)、藍澤 淑雄(拓殖大学)
    • 司会者:真崎 克彦 (甲南大学)
    • 討論者: 藍澤 淑雄(拓殖大学)、高須 直子(神田外語学院)
    • 聴講人数:約20名
    1. 地域主義の意義と可能性―ポスト資本主義時代における価値創造
      真崎 克彦(甲南大学)
    2. 加工業者・グループの発展とローカル経済の関わり―タンザニア・モロゴロ州における「混合粥の素」の生産
      加藤(山内)珠比(京都大学)
    3. 地域から掘り起こす新しい「豊かさ」―東日本大震災を経験した福島県二本松市の取り組みから
      斎藤 文彦(龍谷大学)

    コメント・応答など

    本企画セッションは、国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の成果に基づく。

    最初の座長による趣旨説明では、地域主義(地域住民の一体感を基盤として地域の経済循環を推進)の今日的意義とそれを取り巻く課題について説明があった。その上で加藤会員と斎藤会員の報告について、質疑応答やディスカッションを行う形で進められた。

    加藤報告では、在来食材に栄養価の高い食材を混ぜた粥の加工に従事する女性グループの事例として、女性どうしの加工技術や市場情報の相互共有を原動力としてコミュニティ経済を振興する可能性が例証された。

    コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、加工業者・グループが在来粥を商品に発展せしめた過程や、経済効果に関わる数値データを明示することで、今後の研究でグループの地域の経済への貢献度をより明らかにすることへの期待が表明された。

    また、コミュニティ経済の成功を地域在来の文化や価値がどのように後押ししたのか、成功の結果、どのような社会変化がもたらされたのかについての質問が出された。

    加藤会員からは、タンザニア固有のウジャマ―の価値観がグループメンバー間の互助につながったのではないか、またグループ活動の結果、グループ内での助け合いが強まった、またグループ外では食の安全性に対する意識やそれを満たす標準品を作ろうと言う動きにつながったと回答があった。

    斎藤報告では二本松市の事例を通して、三重運動の視点より「豊かさ」の鍵が主体の自律性、セーフティネット、平等や公平性の実現にあることが論じられた。そうした「豊かさ」と現状の乖離を解消していく上で、ケアの倫理を基盤としたポジティブサムの関係性が大切となる。

    コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、二本松市の社会連帯経済の関係者に共有されている「価値あるもの」とはどういうものなのかについて、さらに明快な言語化を進めることへの期待が表明された。また、行政主導による「オーガニックビレッジ構想」が地域の「豊かさ」につながり難い理由と対処法について質問が出された。

    この質問に対して、これまでのさまざまな取り組みの積み重ねが複雑に絡み合って影響している旨、回答された。同時に、例えば農家民宿を営む宿は増えつつあり、必ずしも先発組が利益を独占せずに後発組とも客を分け合い、地域全体として目に見える利益も見えない利益も分かち合おうとするポジティブサムの関係性が見られる、と説明された。

    総括

    2篇の事例報告を通して、人どうしの顔が見えやすい地域において、地元の風土に基づく一体感を活かした経済振興を進めれば、より「実質的な意味」(人間の生存・生活との関わり)に即した経済振興を進めることができることが明らかにされた。

    同様の地域実践を広めていくことで、経済を「形式的な意味」(経済合理性や効率性の観点)でとらえがちな時勢を改めていく契機を手繰り寄せることができよう。

    報告者:真崎克彦(甲南大学)/ 藍澤淑雄(拓殖大学)


    [G3-01] Learning from Current Practices in Sustainable Society

    • [オンライン]  14:45~16:45
    • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
    • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
    • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)
    1. “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.” 
      Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
    2. “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.” 
      Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
    3. “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
      Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
    4. “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”
      Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)

    コメント・応答など

    This session on “Learning from Current Practices in Sustainable Society” aimed to share practices and issues encountered when developing a sustainable society in Asia.

    This session was organized by the research group on IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems) of JASID to reassure the direction of research on innovation and development.

    Four presenters were invited to give their experiences in the fields.

    First, Dr. Pei-Hsin Hsu from Taiwan Forestry Research Institute presented on “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar“ and shared the results in the research on preserved traditional local knowledge and resource management system in one of the indigenous communities in Taiwan, Kalibuan.

    As a research method, a participatory seasonal calendar approach was employed to detect farming activities of traditional crops, beans, in the community.

    She suggested the use of this calendar for educational purposes to prepare for the loss of cultivation of traditional crops.

    Second, Dr. Rido THATH at Royal University of Phnom Penh, presented on “Sustainability of Community-Based Tourism in Cambodia” and talked about tourism, which is one of the main contributors to economic growth in Cambodia, and the prospect of community-based tourism as a driver of local economic growth.

    Through his literature survey and analysis, promising tourism communities, environmental resources, and intrusive factors were identified.

    Third, Dr. Maria Kristina G. Alinsunurin at the University of the Philippines, Los Baños, presented on “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-“, which is co-authored by Dr. Naoko Shinkai at Tsuda University.

    She demonstrated the impact of COVID-19 in the tourism sector, remaining effects, and coping methods, based on the findings from key informant interviews in the tourism sector at selected ecotourism sites in Laguna province, along with the research framework.

    The stakeholder analysis was applied and the strategies and innovation of MSEs in the tourism sector for resilience and sustainability were identified as well as policies to consolidate those activities.

    Lastly, Dr. Bangkit A. Wiryawan at Diponegoro University presented on “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics”, on which Dr. Esther Sri Astuti at Diponegoro University is a co-author, and illustrated the findings from the research on the relationships among three variables, entrepreneurship, innovation, and SME development in the third year of the COVID-19 pandemic in Indonesia.

    Regression analyses with sectoral and provincial dummies were made with the primary data on SMEs, collected recently in thirteen provinces in Indonesia.

    The positive relationship between entrepreneurship and sales was found, whereas the relationship between innovation and sales was negative.

    Comments for all four presentations were provided by Dr. Shirantha Heenkenda, Dean of the Faculty of Humanities and Social Sciences at the University of Sri Jayewardenepura.

    The points addressed were the existing initiative of the indigenous community on traditional knowledge and local resource management, the strategy for ownership creation in community-based tourism, the mechanism to connect stakeholders in tourism, and the role of seed capital in entrepreneurship and SME development.

    Most of the participants of this session joined from various parts of the world and the efforts to enable this session are very much appreciated.

    I am also thankful to JASID and JASID Conference organizers, conference participants, for having established the online venue and provided support.

    Naoko Shinkai at Tsuda University,
    the Chair of the IDSSP, served as a facilitator.


    その他の座長報告




    第24回春季大会セッション報告(ラウンドテーブル)

    ラウンドテーブル

    [C2-01] 人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える

    • 12:30 ~ 14:30
    • 企画責任者:松岡 俊二(早稲田大学)
    • 司会:戸川 卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、辻 岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、島田 剛(明治大学)
    • 発表者:木全 洋一郎(JICA北海道帯広)、工藤 尚悟(国際教養大学)、中村 勝則(秋田県立大学)
    • 聴講人数:25名

    コメント・応答など

    ラウンドテーブル「人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える」は、(1)人口減少社会における地域社会の持続性という社会的課題の特性・特質は、トランス・サイエンス的課題や厄介な問題の研究を踏まえ、どのように考えたらよいのか、(2)人口減少社会へ対応した社会イノベーションへ向けた知識創造の社会的仕組みとはどのようなものか、(3)ミクロとマクロの制度変化(社会イノベーション)の動態的関係をどのように考えたらよいのか、という3つの問いを立てて議論を行なった。

    戸川報告は人口減少社会における協働の地域づくりについて、岩手県紫波町の事例などを報告した。

    島田報告は、原発立地の地域振興効果について、福島を事例に報告した。辻報告は、縮小社会における災害復興を、中越地震と東日本大震災を事例に報告した。

    以上の報告を踏まえ、上記の3つの問いに関する議論を行い、問いの(2)や(3)については、さらに議論する必要を感じた。

    報告者:松岡 俊二(早稲田大学)


    [C3-01] メコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームをどう共創するか?

    • 14:45 ~ 16:45
    • 企画責任者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • 司会:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • 発表者:永田 謙二(国際協力機構)、大塚 高弘(国際協力機構)、松本 悟(法政大学)
    • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、濱崎 宏則(長崎大学)

    コメント・応答など

    本RTでは個別報告とコメントを踏まえて、主に以下のテーマについてパネルディスカッションを行った。

    まず対話と協働における研究者の役割については、(1)人びとがどのように情報を得てどのように行動をしているか(適応)を研究する必要があり、その際にJust in time scienceの考え方が求められる(佐藤)、(2)異なるステークホルダー間で知識を翻訳する役割が重要(濱崎)であるとのコメントがなされた。

    次に信頼醸成については、(1)継続してそこに居続ける(コミットし続ける)ことが重要であり、メコン・サイエンス・プラットフォームも小さく始めて継続していくといい(永田)、(2)日本のアクターはメコン地域では外部者として関わるわけであるが、もともとつながりのあるところに成果をもたらすとか、研究者間で信頼関係があるところで社会実装を試みるなどを考えていきたい(大塚・JICA)、(3)政府機関、NGOに関わらず、開発協力の現場ではドナー・支援者側の都合で様々な事業が行われることがよくあることから、自分たちが相談した時に現れるのであれば信頼が得られるのではないか、またプラットフォームを作るのであれば、作る側ができること、やるべきことにフォーカスを当てることが信頼醸成につながるのではないか(松本)などのレスポンスが登壇者からあった。

    最後にプラットフォームの共創をめぐっては、(1)多くはピュアサイエンスに関心があるような研究者のそうしたインセンティブ構造にメスを入れる必要がある(佐藤)、(2)オール・ステークホルダーではなく、目的ごと、機能ごとのプラットフォームを作っていくのがいいのではないか(濱崎)、(3)現地のために、と考えないで、日本がどうするか、を第一に考えること、また個別のネットワークとのつながりを考えていく必要があるだろう(松本)、(4)組織単位ではなく個人単位で集まるほうがよい効果があらわれるのではないか(複数)、などの意見が登壇者から出された。

    総括

    今回のRTを踏まえてメコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームは、一つの大きなプラットフォームを作るのではなく、多様で小さなプラットフォームが重なりながら、相互に「バウンダリースパナー」のような役割を持つ複数の個人がつないでいくようなイメージで作るのがよいかもしれない。

    「サイエンス・プラットフォーム」や「メコン・ダイアログ」もそうした多様なプラットフォームの一つとして、それぞれのアドバンテージや期待される役割を踏まえて位置付けていくことが求められていると考えられる。

    報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)

    [D1-01] 開発と文学:テキストに開かれる経験の可能性

    • 9:30 ~ 11:30
    • 企画責任者:汪 牧耘(東京大学)
    • 司会:大山 貴稔(九州工業大学)
    • 発表者:汪 牧耘(東京大学)、松本 悟(法政大学)、 崎濱 紗奈(東京大学)、渡邊 英理(大阪大学)
    • 討論者: キム キョンチェ(慶應義塾大学)、 木山 幸輔(筑波大学)、キム ソヤン(韓国西江大学)

    コメント・応答など

    本RTは、開発研究による狭義的な文学の一方的利用ではなく、より広い意味で「開発」と「文学」の関係性を問い直す議論を試みるものである。当日は、次のような3つの発表が行われた。

    まず、松本氏は「開発研究者はどのように文学(フィクション)を読むのか——開発と文学(フィクション)の接点」というテーマで、文学作品を通して開発を学ぶ可能性に焦点を絞り発表を行なった。

    開発研究者は、どのような文学を読んでおり、いかなる角度でそれらを教育に活かしているのか。松本氏は、大学生時代に南北問題を考える際に読んだ作品、自分が担当する授業で使った作品、NHK記者時代に自身が取材し作成した作品を踏まえながら、「フィクション」を作る・使うことの特徴を分析した。文学作品は論文と異なり、問い・調査方法・根拠・結論を明確にすることが強いられていない。

    「ありえること」をより自由に提示できるため、考える材料を与えてくれる。一方で、こうした文学の道具化、すなわち開発関連の部分だけを切り取るという読み方の問題や、「フィクション」を具体的な行動・実践に繋げようとする際の限界も感じたという。

    最後に松本氏は、「開発のための文学」、「開発に関する文学」、「開発を考える文学」という3つの分類を示し、本RTへの問題提起を示した。

    崎濱氏の発表は、「文学者による開発とは何か——近代日本の「文学」実践と「新しき村」」というテーマで行われた。

    日本の「近代文学」は、「文明開化」に伴う政治的・経済的変革や生産・生活様式の変容の中で誕生したものだといえる。

    社会との一定の距離を取りつつも、社会が経験する様々な葛藤を記述する方法であった。近代が抱える諸矛盾をどのように克服するかという問いに端を発する実践として、文学者による共同体建設の試みが多く展開されてきた。

    白樺派の文豪・武者小路実篤(1885-1976)による農村開発の実践・「新しき村」はその一つであり、規模や形態が変わりながらも1918年から今日まで存続している。

    その批評性に対する疑念が指摘されながらも、「新しき村」が目指してきた個を尊重しながら自然や他者と共生するという理想像は、図らずも一時期の中国や沖縄にも影響を及ぼした。

    「事実」と「真実」の間に揺さぶりながら批評精神を鍛えてきた文学は、社会に一石を投じる力を持ってきたことが伺える。

    最後、著書『中上健次論』(インスクリプト、2022年)において「(再)開発文学」という方法を打ち出してきた渡邉氏は、「開発文学は可能か」を題名に、中上健次の生い立ちを振り返りながら、その文学作品から(再)開発を読み取る自らの試みと所感を述べた。

    (再)開発とは、中心/周縁、都市/地方、北/南などの二元的な秩序に依拠する近代的「開発」と、越境的な資本が先導し、「中心/周縁・都市/地方・北/南」等の相互嵌入やグローバルな位相で投資的消費的に展開される現代的な「再開発」を同時に意味する。

    中上は、和歌山県新宮市の被差別部落を背景としながら、「路地」という空間の開発をめぐって重層的な書き込みを行なった。

    (再)開発という「コンテキスト」と文学という「テクスト」に批判的な視点を投げかけ、それを持続的に自己嫌悪・自己言及的に問い続けることは、「開発と文学」を論じる出発点だと考えられる。「開発と文学」は合わせ鏡のようになることで、両分野における「フィクション」をより広義的考察し、「現実」と「虚構」の互換性・可変性に注目する必要がある。

    上記の発表終了後、ラウンドテーブルの司会者として大山氏が場を取り仕切り、金氏、木山氏とキム氏がそれぞれ朝鮮文学・植民地文学研究、ハンナ・アーレントの論述と文学地理学の蓄積から、多様な視点を共有した。

    出版資本主義の産物や開発を推し進める道具でもあった文学が、なぜ国家・資本を批判する媒体となり、さらに人間性・人文の素養を担う使命を負うようになったのか。統計的含意への抵抗としての文学の可能性とは何か。

    文学を生み出す「空間・時間」はどのような力学で地理的に展開してきたか。多岐にわたるコメントから、学問分野の蛸壺化によって見過ごされてきた「開発と文学」の関係性を回復させるヒントをいくつか得ることができた。

    「開発と文学」の議論を2時間に抑えることは至難であった。RTが終了した後も、会場からは多くのコメント・質問が届いた。

    例えば、「開発(development)と文学」があるなら、「発展(development)と文学」もあるか。地域における開発の「発達度」と文学の「発達度」の関係性をどう考えうるか。

    開発には「正解」が求められているだけではなく、入試試験に見られるように、「正解がない」文学にも「正解」が求められる。「開発と文学」から、「正解がない」中で理解・実践を試み続けるヒントがないか。

    RTのオーディエンスのほとんどは開発関連の専門家や研究者であるが、それぞれの文学への想いや文学的体験に関して、情熱を込めて語っている様子は印象深かった。

    総括

    本RTは、異なる分野の研究者同士が同題をめぐる問題意識を共有し、言葉やテキストという経験伝達の媒体が持つ可能性について議論を交わした場となった。

    国際開発学会においても、「文学」というものを正面から取り扱おうとしたのは本RTが最初であり、分野間の対話に踏み出した第一歩として大きな意義を有していると考える。

    報告者:汪牧耘(東京大学)

    [E1-01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル「地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」

    • 9:30 ~ 11:30
    • 企画責任者:生方 史数(岡山大学)
    • 司会:生方 史数(岡山大学)
    • 発表者:生方 史数(岡山大学)、堀 美幸(JICA 九州)、二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
    • 討論者:木全 洋一郎(JICA)

    コメント・応答など

    本ラウンドテーブル(以下RT)は、日本の地域から国際開発アジェンダを問い直すために行った過去2回の地方展開委員会主催RTを継承発展させた企画である。

    地方の地域社会で軽視されがちな在住外国人を「通域的な地域づくり」を担いうる主体と位置づけた上で、地方における「内なる国際化」の現状・課題・可能性について議論した。

    生方報告では、本RTの趣旨説明に加え、地方大学の国際化と留学生受け入れの課題について議論した。

    生き残り対策として国際化に取り組まざるを得ない地方大学の現状、留学生の生活面における外国人ネットワークへの依存、就職活動での地方の仕事とのミスマッチなどが報告され、日本社会への接続や多様な依存関係構築の必要性が指摘された。

    堀報告では、大学や自治体での外国人支援の経験から、地方の国際化の現場で感じた違和感が吐露された。日本人を前提として情報網や制度ができているため、外国人のニーズとのギャップを埋める必要がある。

    中間支援の重要性が指摘され、静岡大学のインターンシップ活動などの先進事例が紹介された。

    二階堂報告では、地方における外国人技能実習生(以下実習生)の受け入れ体制について議論された。

    技能実習制度には人権擁護の見地からの批判が多い一方で、実習生への依存がすすむ地方の現状や、実習生の主体性に関する論点は軽視されている。

    このギャップを埋める先進事例として、自治体が受け入れを先導する岡山県美作市や、実習内容の技術移転がみられた香川県の農家の事例が紹介された。

    今後も実習生から選ばれ続け、日本(人)と送出国がwin-winとなるために、企業、自治体、市民団体等が顔の見える関係をつくることで、送出国のニーズを把握しながら受け入れ体制を整備する必要性が指摘された。

    これらの報告に対し、東北・北海道の実情に精通する討論者の木全氏から、1)外国人を日本の構造的問題を埋める存在として捉えることをどう考えるか、2)技能実習制度の理念と本音の違いをふまえた上で、地方の課題にどうアプローチすべきか、3)地方に寄り添う多文化共生のために何ができるか、というコメントが提出された。

    報告者からは、企業、大学、自治体に受け入れニーズがそれぞれあるが、背景には都市と地方の格差構造があること、地方でも建前と本音とのギャップがあり、国際化や多文化共生へのモチベーションが低いこと、外国人は日本社会のセーフティネットをうつす鏡であり、外国人を含む全ての社会的弱者が包摂される社会が理想であること、外国人あっての地域という認識ができている地域もあり、地域産業の発展には外国人支援が必要だという発想を自治体ができるかが重要であるなどの反応があった。

    フロアからは、コロナ禍の影響、地場産業の海外進出と外国人との関係、外国人に選ばれるための条件、包摂のための日常的交流の可能性、外国人が日本社会を理解することの困難さなどに関する質問があった。

    総括

    本学会では比較的新しいテーマだったようで、聴講人数も多く、フロアからも切れ目なく質問が続いた。

    時間が足りず、終了後に報告者に質問が続出するほどの盛況となった。外国人の問題を鏡に自分たちの社会をどのようによくしていくのか、国際開発学を専攻する者が貢献できる可能性を再認識する会となった。

    報告者:生方 史数(岡山大学)

    [G2-01] SDGsを問い直す

    • [オンライン] 12:30 ~ 14:30
    • 企画責任者:野田 真里(茨城大学)
    • 司会:野田 真里(茨城大学)
    • 発表者:大門(佐藤)毅(早稲田大学)、関谷 雄一(東京大学)、大谷 順子(大阪大学)、 野田 真里(茨城大学)

    コメント・応答など

    本学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会では、通算5回の全国大会・春季大会のセッションを開催、その最後を締めくくるにふさわしい充実したセッションとなった。

    発表者をはじめ、多くの学会員が執筆した『SDGsを問い直す―ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』(2023年5月刊行、法律文化社)の研究成果をベースに、新型コロナ危機を踏まえてSDGsを問い直す意義、新型コロナ危機が資本主義経済そして、「取り残される」脆弱な人々とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、SDGsの加速化にむけた人間の安全保障の再考、そしてSDGsとポスト/ウィズ・コロナへの展望について、多角的な議論がなされた。

    特に2023年はSDGsの中間年にあたり、目標年である2030年そして、ポストSDGsにむけて、如何にSDGsを問い直し、人類共通の地球規模課題に取り組むか等について議論がなされた。

    総括

    本セッションおよびそのベースとなった『SDGsを問い直す』をさらに発展させ、英語による出版や発信等を目指すことが提案された。また、「持続可能な開発とSDGs」研究部会を嚆矢とする、本学会の2016年度からのSDGs研究を持続可能な形で深化させるため、後継となる新たなSDGsに研究部会を申請することが提案された。

    報告者:野田真里(茨城大学)


    その他の座長報告




    第24回春季大会セッション報告(プレナリー、ポスター発表)

    [PL] プレナリーセッション

    [PL-01] 世代間のつながりとサステイナビリティ – 何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

    登壇者1

    工藤尚悟(国際教養大学国際教養学部グローバルスタディズ領域・准教授)

    “Role of Intergenerational Ties in Sustainability: What to Sustain, What to Revise, and What to Pass Across Generations?”

    登壇者2

    Divine Fuh(Director of Institute of Humanities in Africa, Associate Professor at the Department of Anthropology, University of Cape Town)

    “Making New Dances: Sustainability Thinking and the Opportunity for Decolonial Japanese Thought”

    登壇者3

    千葉加恵子(国際教養大学国際教養学部グローバルコネクティビティ領域・准教授)

    “What Should We Sustain? Voices from Local Women”

    登壇者4

    丸山英樹(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科・教授)

    “The Role of Non-formal Education in Enhancing Sustainability”

    • ファシリテーター:近江加奈子(国際基督教大学アーツ・サイエンス研究科博士課程)

    セッションサマリー

    1987年に持続可能な開発が提唱され、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして経過してきている。本セッションは、持続可能な開発概念の中心にある、世代間のつながり(intergenerational ties)に焦点を当て、開催地である秋田の風土、アフリカにおける脱植民地化の動きと日本文化、農村社会における女性の声、そしてノンフォーマル教育の枠組みにおけるサステイナビリティについて、各登壇者より報告があった。

    はじめに工藤より、グローバルに語られる持続可能な開発概念において目標とされる項目がローカルの文脈で解釈されるとき、そもそも人と自然の関係性が個別の地域性に依拠しており、そのときに風土という自然感に注意を払う必要があるという問題提起をした。

    その上で、先行世代から何を継承し、現行世代において何を見直し、将来世代に何を手渡していくべきなのかについて、専門や拠点とする場所の異なる3名の登壇者より報告をしてもらった。

    ケープタウン大学のFuh准教授は、アフリカにおける脱植民地化の議論を日本の文脈に当てはめ、日本文化に固有な表現の中に見出しながら、サステイナビリティを批判的に検討する必要性を主張した。

    特にある部族においてあらゆる種類のダンスの模倣が得意だった女性の話を紹介し、その部族において誰も彼女自身のダンスを見たものがいなかったという比喩を用いて、自らの文化に固有な言葉を用いることの重要性を挙げた。

    千葉准教授は、秋田の民俗や女性の暮らしに焦点を当てた文化人類学的なフィールドワークを元に、国内地方の農山村において女性の声が如何に文化的に隠されたものとされてきたのかを示した。

    伝統的な社会におけるジェンダーロールの再考を論じると同時に、先行世代から現行世代への民俗文化の継承の重要性と困難さを指摘した。

    丸山教授は、教育におけるフォーマル・インフォーマル・ノンフォーマルの違いを明確にしつつ、それぞれのフォーマットの教育スタイルがどのようにサステイナビリティに貢献しうるのかについて論じた。そのなかでもノンフォーマル教育の視点からの考察を共有してもらった。

    会場からは、異なる専門性を持つ研究者が協働するときに、どのように個々の持つ認識論の違いを乗り越えていくのかや、農村社会において隠された声(hidden voice)とされてしまいがちな女性の意見を拾い上げる仕組みをどのように構築しうるのか、国内大学院に固有な研究室文化における先輩と後輩の間における世代間のつながりについての指摘など、世代間とサステイナビリティに限らず、国内外の文脈を広く捉えた質問が出された。

    今大会の開催地である秋田は、人口減少と高齢化が全国で最も早いペースで進んでおり、世代間のつながりを通じた資源や文化の継承が重要な課題となっており、こうしたテーマを、普段は途上国の現場を飛び回る研究者や実践者の方々と議論する機会を当地の秋田で持つことができた意味は大きい。

    途上国においても出生率の低下と長寿化の傾向はすでに確認されており、人口減少と高齢化が将来的に国際協力や開発学においても重要なテーマとなると予測される。

    こうした国内地方が抱える課題への解決策を見出す手続きのなかで、途上国とつながりながら論点を整理し、双方向に学び合いながら対応を模索していくような、新たな関係性の構築が示唆されるセッションとなった。

    報告者:工藤尚悟(国際教養大学)


    [P1] ポスター発表

      [P1-01] 国際協力における社会的インパクト評価のあり方検討〜財源基盤のない組織が評価を実践するために〜

      佐藤 夢乃(関西学院大学大学院)

      [P1-02] 自治体ネットワークによる持続的な能力向上と技術の普及をめざす開発協力のマネジメント~「タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケア普及プロジェクト」の事例整理~

      鈴木 知世(国際教養大学学部生、タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクトコーディネーター)、山口 佳小里(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官)、沖浦 文彦(東京都市大学都市生活学部教授)

      [P1-03] 怒りと情熱—世界銀行内部に残された知恵—

      玉村 優奈(東京大学)

      [P1-04] ショックを用いる貧困表象の道徳的・政治的悪性に関する一考察:貧困表象への留意のために

      木山幸輔(筑波大学)

      [P1-05] 「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想-愛知用水と愛知海道の関係性に着目して

      柴田 英知(歩く仲間)

      [P1-06] 開発途上国における課題解決能力向上に着目した教育支援に関する研究-ネパール公立学校の中学生を対象として-

      三笘 源(九州大学大学院)

      [P1-07] Exploring Teacher’ s Perception of Play-Based Learning in ECE: A Case Study of Bangladesh

      Kohei UNO(Graduate School of International Cooperation Studies)

      [P1-08] An Analysis of Home-based Discipline on Children’ s Foundational Learning Skills in Malawi

      Chang SUN(Kobe Univ.)

      [P1-09] An Analysis of the Effect of a School Violence on Learning Achievement in Primary Education in Colombia

      Rika SUGIURA(Kobe University)

      [P1-10] An Analysis of Community Participation and Learning Achievement: A Case of Kenyan Primary Education

      Yuka FURUTANI(Kobe University)

      [P1-11] Analysis of Household Educational Expenditure under Free Pre-primary Education Policy in Kenya

      Ayumu YAGI(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)

      [P1-12] Analysis of Short-term and Mid-term Association between Early Childhood Education and Academic Achievement in Uganda

      Kaori Uchiyama(Kobe University)

      [P1-13] Influence of School Autonomy on Learning Achievement in Senegal: Multilevel Analyses Using PASEC Surveys

      Yudai ISHII(Kobe University)

      [P1-14] タンザニアの学童の野生食物・食品群摂取と健康―中部・南東部内陸/海岸沿い3村の事例から

      阪本 公美子(宇都宮大学国際学部)、人見 俊輝(宇都宮大学国際学部)

      [P1-15] 里地里山の多面的な評価基準に関する一考察~中山間地で実践される維持・管理の取り組み事例を通じて~

      根岸 宏旭、徳永 達己(拓殖大学)

      [P1-16] 東アジアにおける環境大気モニタリングネットワークの比較評価

      竹内 友規、藤江 幸一、迫田 章義(放送大学)

      [P1-17] ベトナム北部・中部・南部の持続可能なライフスタイルに関する定性調査

      吉田 綾(国立研究開発法人国立環境研究所)


      その他の座長報告




      第24回春季大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

      第24回春季大会において、柴田英知会員に優秀ポスター発表賞を、玉村優奈会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

      第24回春季大会において、柴田英知会員(報告タイトル:「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー)に優秀ポスター発表賞、玉村優奈会員(報告タイトル:怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

      優秀ポスター発表賞

      『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

      柴田英知会員

      優秀ポスター発表・奨励賞

      『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

      玉村優奈会員

      2023年度春季大会のポスターセッションでは、17件の意欲的な研究報告がありました。

      報告内容は教育開発分野を中心に認知論、コミュニティーケア、インフラ開発、生態・環境や生活観察など多岐にわたり、また、報告者も半数強の大学院生に加えて、大学教員、社会人会員からの参加も多数あり、ポスターセッションの裾野が広がりつつあることが感じられました。

      2人の受賞者は賞選考委員会による審査の結果、主題の独創性や堅実な資料調査手法などが評価され、選出されました。

      ポスター発表セッションの参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。 

      賞選考委員会
      委員長:三重野文晴(京都大学)




      [RG24-6] 若手による開発研究

      若手による開発研究

      Development Studies by Youth

      代表:森 泰紀(同志社大学)

      本研究部会は、開発にかかわる若手の研究活動とコミュニケーションの振興を目的とするものである。

      日本で開発の研究活動に関心を持つ若手は少なくないが、彼らは全国に散らばっており、相互に交流を持つ機会がこれまで十分ではなかった。

      現状では、彼らは学会の春季大会や全国大会の際に知り合うことはできても、互いの研究やその他の活動に関する知見を十分に共有することは難しい。

      さらに、近年の開発に関する研究は、扱うトピックや用いる手法に関して多様化しつつあるため、若手が開発の研究に関して共通した知的基盤を持つことはますます難しくなっている。

      若手を中心とした研究部会を設立することで、若手同士のネットワークを構築し、互いの知見の共有を促進することは重要であると考えられる。

      本研究部会は、学会の春季大会と全国大会において研究部会参加メンバーによる企画セッションを開催することを主な活動内容とする。

      研究部会メンバーがある共通したテーマに関して発表を準備し、行う過程で、メンバーの間で議論が活発に交わされる。

      その結果、これまでそれぞれの若手が分散して持っていた知見が共有され、開発という共通項で結ばれた若手のネットワークが構築される見込みである。

      さらに、大会での企画セッションの開催だけでなくオンラインで定期的に研究会を開催し、なるべく多くの若手を巻き込むことも計画している。

      また、これまで日本の開発学を支えてきた研究者たちへインタビューを実施し、その内容をまとめる。日本の開発学が発展してきた経緯を知り、開発学の今後の発展に寄与したい。

      大会での研究発表などの機会を通じて若手の持つ新鮮な視点を提示することは、研究部会メンバー以外の開発学会会員にも刺激を与える点で有益であると信じているる。

      本研究会は、[RG21-5]『若手による開発研究』研究部会の代表者交代(後継)です。

      本研究部会へのお問い合わせ窓口

      研究部会ウェブサイト
      関連情報



      第24回春季大会報告・総括

      第24回春季大会報告

      第24回春季大会は2023年6月10日(土曜)に、秋田市文化創造館にて開催されました。当日は188名の方にお集まり頂きました。

      3つの企画、5つのラウンドテーブル、11の個人発表と、17のポスター発表があり、各会場にて活発な議論が行われました。

       

      プレナリーでは、「世代間のつながりとサステイナビリティ:何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか」をテーマに、4名の登壇者からの話題提供をして頂きました。

      秋田という地方社会において、どのような人々の声が聞こえにくいものとなってきたのか、そうした声を拾い上げながら、将来世代につないでいくものを語っていくのか、についての議論が交わされました。

       

      翌日のエクスカーションでは、男鹿市と五城目町の2つのグループに分かれ、それぞれの地域において「企て型のアントレプレナーシップ」を発揮し、自らの手で地域での暮らしをより良くしている人々との対話の機会を持って頂きました。

      東日本大震災や新型コロナ感染症など、社会のあり様を変えた禍事をきっかけに、自らの生き方を問い直し、大都市圏から地方へと移住し、暮らし方や働き方を主体的にデザインする人々が増加傾向にあります。

      そうした企てをする彼らの価値観や創造性に触れることで、日本型の国際協力・開発の形成につながるようなアイデアを、秋田の現場にて見出して頂けたのではないでしょうか。

       

      今大会は、国際教養大学の学生を中心に44名の学生ボランティアに支援を頂いたことで実施ができた大会でした。

      こうした機会に会員の皆さまとの交流の機会を得ることで国際開発学会に関心を持ち、次の世代が国際協力・開発学の分野に足を踏み入れてきてくれることを期待したいと思います。

      秋田という多くの方にとって遠方の地での開催であったにも関わらず、当日はたくさんの方に会場に足を運んで頂き、誠に有難うございました。また、学会関係者の皆様、そして、本大会の実施を様々な形でサポート頂いた地域の皆様に心より感謝申し上げます。

      第24回春季大会実行委員長
      工藤尚悟(国際教養大学)


      セッション報告




      2023年「第24回春季大会」開催のお知らせ

      世代間のつながりとサステイナビリティ:
      何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

      国際開発学会第24回春季大会
      実行委員長挨拶

      1987年に持続可能な開発が提唱されてから30年以上が経ち、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして流れていきました。持続可能な開発の中心には、世代間のつながりとサステイナビリティがあり、先行世代、現行世代、将来世代の関係性をどのように考え、どう行動していくべきなのかを我々に問うています。

      私たちは、先行世代から何を受け継いでいるのでしょうか。今大会の開催地である秋田の農山村では、古くから自然生態系と調和した里山的な暮らしが継承されてきました。人々の暮らしが自然の奥に見えるような地域社会のあり方は、現代社会における人と自然の関係性を捉え直す、ひとつのきっかけを与えてくれます。
       
      引き継いでいくものがある一方で、私たちは先行世代が生み出した制度や慣習のうち、何を見直していくべきなのでしょうか。大量生産・大量消費型のグローバル市場経済、紛争と難民、国際保健と感染症、教育機会の不公正、ジェンダーや性の多様性に対して不寛容な価値観など、社会的弱者を生み出し、世代を越えて格差を固定化してしまう構造の刷新に、私たちは挑む必要があります。

      グローバルコモンズ、気候正義、脱成長のような、既存の社会経済システムや個人のライフスタイルの変容を求める議論も広がるなか、私たちは次世代に何を手渡していこうとしているのでしょうか。どのような人と自然の関係性、包摂性を担保するための制度、個々人のウェルビーイングを実現するための価値観を、私たちは思い描いているのでしょうか。

      春季大会のプレナリーセッションは、持続可能な開発において重視される世代間のつながりについて、先行世代から将来世代までを含めた通時的な視点から、そもそもどのような物事をサステイナブルにしようとしているのかについて論じていきます。こうした議論を通じて、国際協力と開発学におけるサステイナビリティに対する新しい理解を想像し、やがて創造するための方向性を見出していきたいと思います。

      今大会は、3年ぶりに対面実施となる春季大会です。小満を過ぎた秋田は、田植えが終わり、若葉の強い青一色に染まる季節です。こうした秋田の風土を感じて頂けるよう、今大会の翌日にはエクスカーションを予定しております。ぜひ秋田にご参集下さい。

      開催概要

      日程

      2022年6月10日(土曜)
      *6月11日に、秋田県内の地域づくりの現場へエクスカーションを予定しています。

      会場

      秋田市文化創造館(秋田市・対面開催 / 一部オンライン)

      テーマ

      「世代間のつながりとサステイナビリティ:何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか」

      第24回春季大会・実行委員会
      委員長:工藤尚悟(国際教養大学)




      2023年第24回春季大会(国際教養大学)開催のお知らせ

      The 24th JASID Spring Conference

      世代間のつながりとサステイナビリティ:
      何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

      この度は、多数の発表応募をありがとうございました。深くお礼を申し上げます。応募について2023年4月1日に開催された第24回春季大会実行委員会と大会組織委員会の合同会合にレビューされ、採択結果を応募者の皆様にご案内したところです。

      今大会では、産業、教育、移民・難民、環境、文化と開発、国際協力、保健・福祉、などのテーマで19セッション(企画セッション3セッション、ラウンドテーブル5セッション、一般口頭セッション11セッション)、ポスターセッションとブックトークを予定しています。

      口頭発表、企画セッション、ラウンドテーブル、ポスターセッションにて発表予定の方は、採択通知の指示に従って参加申込み、及び論文・要旨の提出をお願い致します。

      以下、論文提出、参加登録方法、その他についてお知らせします。

      今後の流れ

      口頭発表者(一般口頭発表、または企画セッション)

      1. 大会ページよりJASID規定論文フォーマットダウンロード
      2. 大会ページ内、参加者登録フォームより参加登録
      3. 参加費支払い(クレジットカード払いのみ)
      4. 論文提出(5月19日まで)
      5. 当日参加

      ポスターセッション発表者

      1. 大会ページ内、参加者登録フォームより参加登録
      2. 参加費支払い(クレジットカード払いのみ)
      3. A1サイズで印刷したポスターを持参し、当日会場にて指定の場所に掲示
      4. 発表参加

      企画セッション、ラウンドテーブルオーガナイザー

      1. JASID規定要旨フォーマットダウンロード
      2. 大会ページ内、参加者登録フォームより、参加登録
      3. 参加費支払い(クレジットカード払いのみ)
      4. セッション要旨のアップロード提出(5月14日まで)
      5. 当日参加

      座長、司会者、コメンテーター、およびその他の参加者について

      1. 大会ページ内、参加者登録フォームより、参加登録
      2. 参加費支払い(クレジットカード支払いのみ)
      3. 当日参加

      *オンラインセッションの方にはZoomリンクを大会実行委員会よりお送りします。


      <注意事項>

      ※以下、全セッションの発表予定者に関しては採択通知の際にお知らせしたものと同じです。

      *口頭発表者(一般口頭発表、または企画セッション)の方へ

      当日大会における発表は、15-20分となります。大会当日までに論文をもとにプレゼンテーション資料を用意して頂き、当日発表して頂きます。発表時間については、座長の指示に従ってください。

      *ポスター発表者の方へ

      ポスターはA1サイズでご用意頂き、当日会場へご持参ください。会場1階の指定の場所に掲示してください。

      *企画セッション・オーガナイザーの方へ

      採択結果を受けた企画セッションオーガナイザーは、発表者全員に各発表者自身で参加登録をし、大会参加登録フォームより作成した論文を各々アップロードして提出するよう伝えて下さい。

      また、座長、発表者、コメンテーター名を入れ、企画セッション全体の要旨を、JASID規定フォームA4・1ページ以内で作成して、5月14日(土曜)23:59までに大会ホームページの大会参加登録フォームより参加登録をした後、アップロードして提出して下さい。

      *ラウンドテーブルセッション・オーガナイザーの方へ

      ラウンドテーブルオーガナイザーは、司会、パネリスト名が入った全体の要旨(話題提供者の要旨は別でも、含んでも良い。)をA4・1ページ以内で作成し、5月14日(土曜)23:59までに大会ホームページの大会参加登録フォームより参加登録をした後、参加登録フォームよりアップロードして提出して下さい。

      *各セッションの座長、コメンテーターの方々へ

      4月中旬より、各セッションにおける座長、コメンテーターの依頼メールを実行委員会からお送りさせて頂いております。ご協力をぜひ宜しくお願い致します。お引き受けくださる方は、必ず大会参加登録フォームを提出し、参加費をお支払い下さい。


      参加者登録および参加費について

      参加費については、大会ウェブサイトをご確認ください。

      クレジットカードでのみ支払いが可能です。領収書は支払い後に発行されます。

      参加人数の把握のため、5月14日(日曜)までに、参加申込みと参加費の支払いをお願い致します。


      大会プログラム

      最新の大会プログラムはこちらからご確認ください。

      • 会場の利用開始時間が繰り上がったことにより、午前の最初のセッションを9:30より開始することとなりました。ご確認下さい。

      *オンラインセッションについて

      今大会では、パラレルセッションのうちの1つをフルオンラインセッションとして実施致します。大会当日、ビデオオンにできるのは、基本的に座長、コメンテーター、発表者になります。

      参加登録フォームにおいて、肖像権、著作権、個人情報保護法について伺っていますので、ご確認下さい。

      *各セッションのフォーマット

      各セッションは120分で、座長・司会1名、コメンテーター2〜3名、発表者3〜5名で構成されます。基本的には、発表20分、コメンテーター5分、回答3分、残りの時間はディスカッションを考えています。

      座長・司会者は、残りの時間でファシリテーションをお願いいたします。ただし、発表者5名のセッションでの時間配分は、座長・司会の指示に従ってください。

      *会場について

      今回の会場は、秋田市文化創造館()です。国際教養大学キャンパスではありませんので、お気をつけ下さい。

      秋田市文化創造館へのアクセスはこちらよりご確認下さい。


      *プレナリーセッション

      世代間のつながりとサステイナビリティ:
      何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

      最後に、今大会のプレナリーセッションについてご案内します。大会当日、6月10日(土曜)17:00~19:15は、全体テーマ「世代間のつながりとサステイナビリティ:何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか」のもとプレナリーセッションを開催します。

      持続可能な開発において重視される世代間のつながりについて、先行世代から将来世代までを含めた通時的な視点から、そもそもどのような物事をサステイナブルにしようとしているのかについて論じていきます。セッションの詳細については、こちらをご覧下さい。

      尚、今大会のプレナリーセッションは、英語で行われます。


      その他の情報についても、第24回春季大会のウェブサイトをご確認下さい。

      会員の多くの皆さまにとって遠方となる秋田での開催となりますが、ぜひ一人でも多くの方にご来秋頂き、大会と共に6月11日(日曜)のエクスカーションにもご参加頂きたいと思っております。

      エクスカーションの情報はこちらです。

      皆さまを当地にてお迎えできることを、心よりお待ちしております。


      国際開発学会・第24回春季大会実行委員会

      実行委員長:工藤尚悟(国際教養大学・准教授)

      • プログラム担当:梶英樹(高知大学・講師)
      • 広報担当:山崎瑛莉(上智大学・講師)
      • 会場担当:高橋今日子(東京大学・客員研究員)
      • 会計担当:桝屋彩子(JICA東北・秋田デスク)

      お問い合わせ先

      • jasid2023spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



      大会組織委員会からのお知らせ(2024年2月)

      2023年度活動報告

      • 明治大学を開催校とし(島田剛実行委員長)、第33 回全国大会を開催した(2022 年12月3 日、4 日;対面・オンラインのハイブリッド開催)。
      • 国際教養大学を開催校とし(工藤尚悟実行委員長)、第24 回春季大会を開催した(2023年6 月10 日;対面・オンラインのハイブリッド開催)。
      • 上智大学を開催校とし(小松太郎実行委員長)、2023 年11 月11、12 日に第34 回全国大会の開催に向けて、プログラム編成や大会運営の円滑化のための各種支援を行った。
      • 2024 年6 月予定の第25 回春季大会を宇都宮大学(阪本公美子実行委員長)で開催する見込みとなった。

      大会組織委員会
      第11期 委員長:山田肖子(名古屋大学 )


      国際開発学会第12 期:委員会の構成および幹事の委嘱

      委員長

      松本 悟(法政大学)

      委員

      池見真由(札幌国際大学)

      幹事

      汪牧耘(東京大学大学院)

      大山貴稔(九州工業大学)

      栗田匡相(関西学院大学)

      会長、副会長、事務局長

      2024年度活動計画

      • 春季大会と全国大会の運営(実行委員会のサポート)
      • 大会運営の再編に向けた論点整理
      • 2025 年の大会開催校の打診・決定

      大会組織委員会
      第12期 委員長:松本 悟(法政大学)




      大会組織委員会からのお知らせ(2023年2月)

      2022年12月3、4日に島田剛実行委員長のもと、明治大学にて第33回全国大会が開催された。2年半ぶりの対面とオンライン併用の大会となり、431名と非常に多くの会員の参加を得て、活発な学術交流が行われた。前例のない状況で大会を成功裏に開催してくださった実行委員会に深謝したい。

      上記全国大会後には早速、2023年6月10日に秋田県の国際教養大学(工藤尚悟実行委員長)で開催が予定されている第24回春季大会の準備に着手している。オンライン大会登録・管理システム「Confit」を導入してから2回目の大会となり、会員がより円滑に参加できるよう体制を整備したい。また、大都市圏外での大会で、大学が所在する地域の開発課題に取り組むアクターとの連携や国際開発学の貢献について、協働の機会となれば幸いである

      2023年秋の第34回全国大会は上智大学にて開催予定である。

      大会組織委員会
      委員長・山田肖子(名古屋大学)




      大会組織委員会からのお知らせ(2023年8月)

      大会組織委員会からのお知らせ(2023年8月)

      2023年6月10日に秋田県の国際教養大学(工藤尚悟実行委員長)で開催された第24回春季大会が成功裏に終了した。

      地元に根付きながらグローバルに展開している開催校の実績に基づくプレナリーセッションやエクスカーションに基づく魅力的なプログラムが提供された。

      また、実行委員会も、高知や東京など、秋田以外に拠点を置く地方展開委員会のメンバーが中心的役割を担うなど、通信技術を駆使したコロナ後の新しい大会運営のモデルを示した大会でもあった。

      2023年の第34回全国大会は上智大学(小松太郎実行委員長)にて11月11、12日に開催予定である。

      アクセスのいい都心での開催となるので、多くの会員が対面で交流する機会となれば幸いである。

      また、大会登録・運営のためのオンラインシステム「Confit」を導入してから3回目の大会となり、実行委員会の業務効率化とともに、会員にとっても使い勝手のいいシステムとして定着するよう、大会組織委員会としても継続支援をしていくつもりである。

      大会組織委員会
      委員長・山田肖子(名古屋大学)




      [RG21-2] 子どもの安全保障への開発アプローチ

      Development Approach to Human Security of Children

      主査:勝間 靖(早稲田大学)

      「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するためにいかに保護を進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにいかにエンパワーメント(empowerment)を進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。

      「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進める。

      近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。SDGs への取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。

      年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案する。さらに、研究会や大会での発表をもとに研究部会参加メンバーが論文を執筆していく。そして、ある程度、論文が集まった段階で、「子どもの安全保障」に関する研究を総括して、書籍として刊行する。そのことにより、研究成果を広く一般の方々にも還元していく。

      関連情報
      ニューズレター:活動報告






      第3回「国際開発論文コンテスト」選考結果(2023年8月)

      国際開発に関心を持つ学部生の人材育成を目的とする「第3回国際開発論文コンテスト」について報告致します。

      1. 募集期間:
        2023年3月1日~24日(前年秋の学会誌及び学会メーリングリストで広報)
      2. 応募状況:
        応募論文13編(全て和文)。2023年3月時点の所属大学は、共立女子大学、関西学院大学、釧路公立大学、法政大学。
      3. 審査結果:
        それぞれの応募論文を複数の委員で審査した結果、以下の通りとなった。

      【最優秀論文賞】

      該当者なし

      【優秀論文賞】

      4編(順不同)

      「カンボジア農家の作物栽培と食料消費の実態―CSES2014を用いた計量経済分析―」

      中西勇太(釧路公立大学)

      カンボジアの世帯調査ミクロデータを用い、カンボジア農家の生産、消費の両側面に配慮した同時方程式モデルに基づく分析を行っている。

      学部学生でミクロデータを用いた分析を行っている点や消費と生産の同時性に配慮した分析手法を採用するなど、技術的な点で優れた論文といえる。全体として文章表現が的確かつ明瞭で、論理構成も一貫性がとれている点が高く評価できる。

      研究の目的と意義が明確に示されており、それぞれの分析結果を受けた要因をその都度考察し、分析の内容や結果そのものにおいて不備や不十分がある点を筆者自身が理解・認識した上で、それらについても適所に言及しているところも、論述の丁寧さが伺えた。

      本研究のオリジナリティである分析手法を提示する決定関数の定式化の記述のところでも、詳細に読み手に分かり易く説明されていた。

      「マダガスカル農民のコメ生産性に男女のネットワークが与える影響~性格特性に着目した2段階推計を用いて~」

      中本絢子、中泉澄美、棚橋愛梨咲(関西学院大学)

      本論文は、マダガスカル農民を事例に、個人の男女という性格特性や認知能力・非認知能力の違いがソーシャルネットワークを介して農業生産性に与える影響を検証し、農業のソーシャルネットワークの大きさが生産性向上に影響を与えることを明らかにしている。

      先行研究の指摘を踏まえて現地調査を設計し、独自の調査データを用いて2段階推計を行っており、外向性と神経性に関しては男女で正反対の作用をしているという興味深い結果も得られている。

      これらの点について多角評価された一方で、章見出しなど執筆要項のルールおよび要件を満たしていない体裁であるために残念ながら減点対象となってしまった。その他、本研究の課題を最後に示すと、論文全体の流れが引き締まって説得力が増す論文になる、などのコメントが審査委員からなされた。

      「ソ連崩壊後のロシアの開発協力―英文学術誌の研究サーベイをもとに―」

      渡辺彩(法政大学)

      ソ連邦崩壊後のロシアにおける開発協力の変遷を英文誌のサーベイ、並びにロシアの行政文書を元に読み解き、4つの時代に区分しうることを明らかにしている。ロシアの行政文書についての比較分析を行ったり、レビューから浮かび上がった今後の研究課題を示したりと、独自の議論を展開しているところも高く評価された。

      ソ連崩壊後のロシアに着目する意義についても丁寧な説明を行っており、読者との共通理解を築くことにも成功している。

      調査方法(レビューする文献の抽出方法)を明示することで、自身の調査の射程と限界について自覚的であろうとする姿勢も窺えた。文章表現も明確で学部生のサーベイ論文としては良い評価を得られた一方で、審査委員からは文献レビューの範囲を狭く絞りすぎているという指摘もなされた。

      「子どもの認知・非認知能力を促すピア効果の影響~マダガスカル農村で行った介入実証実験をもとに~」

      任百香、石橋由唯、塚本真世(関西学院大学)

      マダガスカル農村の教育において、短期間の物的介入が子どもの成績にどの程度影響するのかという実験を行い、その分析・考察を通してマダガスカルの学校現場及び学習環境の改善に向けた政策提言に繋げた論文である。

      本研究のオリジナリティは、10歳から12歳の子ども計296人もの対象者に3週間という期間をかけて独自の介入実験(使用する数学と読解問題の教材を自分たちで作成して実験を設計)を行ったところにある。

      先行研究の体系的なレビューや独自の現地調査など、学部生としては非常に高い水準の調査が行われていることが評価された。

      その一方で、介入実験の説明や実験結果の記載など、論文の根幹に係わる部分が曖昧な記載になっており、研究論文としての完成度については改善の余地が指摘された。

      表彰等

      春季大会での表彰は実施せず、受賞者には賞状と記念品を郵送し、規程に基づく研究奨励金を授与した。受賞者の声については、次号のニュースレターで掲載する。

      また、受賞論文の要旨を今年秋に発行する学会誌で公表する予定である。なお、人材育成というコンテストの目的に鑑み、応募者全員には審査員からの講評を伝えている。

      人材育成委員会
      委員長:松本悟(法政大学)




      人材育成委員会からのお知らせ(2024年2月)

      1.活動報告

      (1)委員会

      (定例会は2 か月に1 度、最終日曜日の20 時~22 時)

      2022/11/26(日曜)

      臨時会合:理事会報告。全国大会でのRT の打ち合わせ。

      2023/2/26(日曜)

      第1 回定例会:第3 回国際開発論文コンテストのスケジュール確定。
      「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」企画、春季大会で東大EAA と「開発と文学」のセッションを共催。

      2023/4/23(日曜)

      第2 回定例会:第2回国際開発論文コンテスト審査方法とスケジュールの審議・決定。「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」で11 人のインタビュー終了。

      2023/5/21(日曜)

      国際開発論文コンテスト(第3 回)審査会
      [2023/5/28 常任理事会で審査結果を審議承認。コメントへの対応は後日検討]
      [国際開発研究2023/6 号に第2 回国際開発論文コンテストの入賞者の要旨掲載]

      2023/7/1(土曜)

      • 第3 回定例会:第3 回国際開発論文コンテストの振り返り。
      • 第4 回国際開発論文コンテストの実施決定。
      • 全国大会に「(留学生は)なぜ日本で国際開発を学ぶのか」のセッション開催。
      • 1 年間の活動計画の達成状況を確認。

      2023/8/27(日曜)

      第4 回:今後の人材育成活動について。

      2023/10/9(日曜)

      第5 回:2023 年度活動報告案・決算案の審議。

      (2)学部生を対象とした第3 回国際開発論文コンテスト(日本語、英語)

      前年度より3 カ月早い2022 年11 月から広報開始(学会誌、ホームページ、メーリングリスト)。

      • 2023 年3 月1 日~24 日募集。
      • 5 月21 日(日曜)審査会。最優秀論文賞は該当なし。
      • 優秀論文賞は4 編。6 月春季大会(秋田)で公表。
      • 賞状、楯、学習奨励金を授与(郵送・振込)。
      • 入賞論文の要旨を学会誌掲載予定。

      (3)2022 年12 月全国大会で、「授業という開発実践―わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか」と題したセッションを開催。

      (4)留学生がなぜ日本で国際開発・国際協力を学ぶ/研究するのかについて聞き取り調査を実施。それをもとに、2023 年11 月の全国大会でRT を開催予定。

      2.活動の評価

      (1)目的:

      以下の機会を提供することで人材の育成を目指す

      1. 学部生が参加できる機会
      2. 「国際開発の人材」とは何かを若手研究者(院生など)が考えられる機会

      (2)年度当初の活動計画

      1. 学部生対象の「国際開発論文コンテスト」第2 回受賞論文の学会誌掲載、第3 回コンテストの実施。周知活動に力を入れて、応募論文の増加を図る。
      2. 留学生を対象にしたアンケートを実施し、日本で国際開発や開発協力を学び研究する意義を把握し人材育成活動に繋げる糸口を見つける。
      3. 「授業という開発実践―わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか」と題した学会セッションを開催し、その成果をもとに活動の継続を検討する。

      (3)評価

      • 活動計画①を実施し、目的①は達成している。
      • 活動計画②と③を実施して目的②の達成に近づいてはいるが、まだ明確には打ち出せていない。次期に向けた課題としたい。

      3.第11 期で俎上にあがったものの実現できなかった活動

      1. 国際開発論文コンテスト応募者との座談会:
        論文コンテスト入賞者のその後を追うことで、コンテストがどのように人材育成と繋がるかを考える。
      2. 継続検討事項=アイディアのストック:
        A. 人材育成実践としての国際開発や国際協力の授業の経験共有。
        B. 開発学会員お勧めの小説紹介。
        C. 15 分程度の「オンライン講座」(テーマごと)の発信。
        D. 国連フォーラムの「国連職員NOW」の国際開発学会版。若手学会員がインタビューすることで国際開発の多様性や変化を具体的に学び、将来目指すべき道を考えるきっかけにしてもらう。
        E. 国際機関やJICA はどのような人材を求めているのか、国際開発の教育はどのような人材を育てているのかを議論するフォーラムの開催(大会)。
        F. 開発学会員の留学生はどんな「人材」を目指しているのか、どんな学びを期待しているのか、文字や言葉にする【学会誌の特集など】。
        G. 以上の活動はホームページの活用と繋がっているので、学会のホームページをどう更新するかと合わせて考えていく。

      人材育成委員会
      第11期 委員長:松本悟(法政大学)


      国際開発学会第12 期:委員会の構成および幹事の委嘱

      委員長

      小山田英治(同志社大学)

      委員

      志賀裕朗(横浜国立大学)

      幹事

      汪 牧耘(東京大学大学院)
      大山貴稔(九州工業大学)
      栗田匡相(関西学院大学)
      森 泰紀(同志社大学大学院)

      2024年度活動計画

      • 国際開発論文コンテスト企画・実施
      • 全国大会での企画・RT 開催活動計画

      人材育成委員会
      第12期 委員長:小山田英治(同志社大学)




      人材育成委員会からのお知らせ(2023年5月)

      学部生を対象とした第3回国際開発論文コンテストの応募を3月24日に締め切りました。

      ご協力頂きました学会員の皆さん、ありがとうございました。

      今年度の応募論文は13編で、応募時の所属は、共立女子大学、関西学院大学、釧路公立大学、法政大学でした。

      審査の結果は6月に春季大会(秋田市)で発表し、表彰する予定です。

      人材育成委員会
      委員長:松本悟(法政大学)




      人材育成委員会からのお知らせ(2023年2月)

      協力者募集「なぜ日本で「国際開発」を学ぶか」

      人材育成委員会では、「なぜ日本で国際開発を学ぶか」という企画を立てており、日本における国際開発の人材育成の現状・課題を外国人の視点から考えております。そのため、ぜひ日本で留学している、または留学生であった会員の方々、会員のお知り合いの(現・元)留学生の方々に、ご協力いただけると幸いです。本企画の詳細は以下の通りです。


      1.問題意識・関心

      日本の国際開発・国際協力の規模は縮小しています。そうしたなか、なぜ留学生は欧米や自国ではなく、日本で国際開発について学ぶのでしょうか。日本での勉学・生活において、この分野で学ぶ留学生はどのような悩みを抱えており、どんなことを得られているのか——

      本委員会は、こうした実態を把握しながら、国際開発学会を通した人材育成の可能性を検討したいと考えています。日本における外国人を含めた知的コミュニティを築き、国際開発・国際協力分野の「人材育成の場としての日本」の価値を見出せたらと思っています。

      2.ご協力者の募集

      • 国際開発学会に所属する(元)留学生の皆様
      • 国際開発・国際協力の関連分野に携わる(元)留学生の皆様
      • 国際開発・国際協力の関連分野に関心を持つ(元)留学生の皆様

      3.ご協力・共有していただきたい内容

      • 日本に留学した経緯
      • 国際開発・国際協力への問題意識・関心
      • 日本で留学生活を送ることの悩みや楽しみ

      4.想定している活動形態

      • オンラインおよび/もしくは対面
      • アンケート、インタビュー、懇談会、グループディスカッション、議論・研究成果の発表・共有

      会員の皆様のなかには、日本以外の国出身の留学生・研究者が多数おられるかと拝察します。少しでもご興味がございましたら、お気軽にご連絡ください。身の周りにご興味のあるご友人がいらっしゃいましたら、ぜひ本企画をご紹介頂ければ幸いです。


      お問い合わせ・協力依頼へのご回答

      ご連絡の際に、以下の情報を簡単に教えてください。なお本委員会が取得した個人情報は上記目的以外には一切使用致しません。

      • お名前:
      • ご所属:
      • 研究分野・テーマ:
      • ご連絡先:

      連絡先メールアドレス

      • jasid_jinzaiikusei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

      締め切り

      2023年1月31日(火曜)

      なお、今回は初めての試みのため日本語のみでご案内させて頂きましたが、今後は日本の大学・大学院の英語学位コース等で国際開発・国際協力を学んでいる/学んだ留学生の方々にも対象を広げていきたいと考えています。ご協力頂ける(現・元)留学生からのご連絡を心よりお待ちしております。何卒宜しくお願い致します。

      人材育成委員会
      委員長:松本悟(法政大学)




      総務委員会からのお知らせ(2023年2月)

      12月4日の第33回会員総会で下表の 2022 年度(2021年10月1日から2022年9月30日)決算報告および2023年度(2022年10月1日から2023年9月30日)予算案が承認されました。以下、決算と予算について説明します。

      1.2022 年度決算(表1)

      表1:決算FY2022

      (1) 収支

      収入に関し、会費収入は予算額より少なかった一方、事業収益とその他収益は予算額を上回りました。会費収入では、正会員および学生会員の支払いが予算額より少なくなりました。正会員で2022年度会費を支払っていない方がいることも挙げられますが、2022年度から70歳以上の会員の減額措置、あるいは4月以降に入会承認された会員については減額措置を導入したことによって、正会員の会費が減少したと考えられます。また、学生会員の多くは会費を支払っていますが、新型コロナウイルスによる影響を受けた学生会員に対して免除措置を取ったため、予算額よりも少ない決算になりました。事業収益に関しては、ある大学が学会誌をまとめて購入したことが要因です。その他収益のうち、研究部会の返金、金沢大学の第32回全国大会の余剰金が全額学会に振り込まれたなどによって、大きく増額することになりました。

      つぎに、支出に関しては、2020、2021年度同様、新型コロナウイルスの影響で一部事業系委員会活動、管理系委員会・本部事務局の活動ともオンラインでの開催がほとんどになったこともあり、事業系委員会では当初予算より約350万円減、管理系委員会・本部事務局では約90万円減の決算となりました。一方、予備費では、第33回全国大会での報告申込および大会参加申し込みのシステム(Confit)の導入と第23回春季大会で赤字決算となりましたので、それを補填するために支出をしました。それらを踏まえても、当初予算より657万円減の1586万円余りの支出となりました。各委員会・本部事務局ごとの支出については、表2をご覧ください。

      表2:財務諸表の注記

      (2) 貸借対照表

      表3:貸借対照表

      一昨年度、昨年度に続き、貸借対照表を作成しました(表3)。 2021年度と比較できるようになっています。まず、資産のうち、未収金のうち学会費に関するものは9月に会員サイトからクレジットカード、あるいは銀行振り込みで支払われた場合、実際に学会の口座に入金されるのが翌年度になるためであり、前年度より大きく増加しています。研究部会については、2022年度を終了したにもかかわらず、9月30日までに返金をしなかった研究部会はなかったので、2022年度の未収金はゼロとなりました。なお、3年間会費未納で退会となる方が少なからずありますが、実質的に退会届を出さずに退会する方たちであり、予算上もそのような方の会費は収入に計上していないため、それらの方からの会費は未収金に入れていません。会費の未収金は、いずれも2022年10月31日に確実に入金するものであり、回収できないリスクのあるようなものではないので、財政上問題ありません。

      つぎに、負債のうち未払金は、9 月の会費支払いの手数料支払いが 10 月に行われることによるものです。2021年度は学会誌の支払いがあったため計上していますが、今回はそのような事態になりませんでしたので、大きく減少することになりました。また、預り金は、新年度の会費を前年度中に支払う会員があるために生じているものです。以上により、負債に関しても、財政上問題のあるものではありません。

      貸借対照表全体を通じて、資産では2021年度と比べて前年度より85万円減少することになりました。しかし、負債は前年よりも238万円減少しています。また、繰越金合計は前年度より約150万円が前年度より増加しました。

      (3) 監査役意見

      石田洋子・西野桂子両監査役に対する説明を2022年10月24日午前10時から11時30分までオンラインで行ないました。両監査役からは事業及び会計が適切に行なわれた旨の報告を受けております。監査報告書(別紙)。

      2.2023年度予算(表4)

      表4:予算FY2023

      (1)収入

      2023年度会費収入については、定款細則の変更により、恒常的な減額制度が導入されました。事前申請の上で承認された場合には常勤職を持たない正会員に対しては半額減額、学生会員は2000円となりました。2021年度から実施している70歳以上の会費半額、4月以降の入会者に対する半額減額措置を踏まえ、会費収入は2022年度決算とほぼ同じ金額としました。

      事業収益およびその他収益のうち受取利息は前年度予算と同額としました。受取利息以外のその他収益については何らかの収益を予定していません。それらを踏まえて、2023年度収入は昨年度決算より約7%減の1361万円余としました。前期繰越金2583万円弱を合わせ、収入合計は3944万円余となりました。

      (2)支出

      支出のうち、事業系委員会の部分については、1286万円を計上しました。そのうち、支部・研究部会については、上限20万円として助成金を渡します(5支部・8研究部会)。大会助成金について、第24回春季大会は秋田の国際教養大学で開催され、交通費などで多くの経費が掛かることが予想されるため、助成金を100万円に増額しています。

      また、学会誌は今年度から3号発行となりましたが、そのうち英文特集号の編集・印刷費は科研費から支出されます。ただし、会員への発送経費の支出が認められていないため、学会から支出することとします。それ以外の委員会では、研究×実践委員会は委員会設置後から新型コロナウイルスの影響でフィールドワークに出ることができませんでした。今年度はフィールドができると考えられるので、手厚い予算措置を実施しました。

      管理系委員会・本部事務局では663万4000円を計上しています。今年度は第12期1号理事候補者選挙が行われます。それに関する経費の計上、会員管理システム、大会管理システムに関する経費が業務委託費に計上しています。それ以外には、人件費は広報委員会や本部事務局の作業によるものです。通信費は新入会員への学会誌送付等を想定しています。会議費・旅費交通費は、対面での会議が再開することを想定して前年度決算よりも多く計上しています。手数料・その他雑費については振込手数料や会費システムの使用料を計上しています。なお、予備費については昨年度同様、300万円を計上しています。

      各委員会の項目ごとの支出予定額については表5をご覧ください。昨年度までの会計では、事業系委員会の会計を事業本体経費と委員会経費と別建てとしていましたが、どちらの項目かであいまいになることもあったので、統一化しました。

      表5:財務諸表の注記(予算)

      以上を踏まえ、支出全体は2242万円余りとなりました。予備費を除くと1949万円余りとなり、昨年度予算とほぼ同額、決算より約400万円増加しております。学会活動を充実させつつも、効率的な支出を考慮しながら運営できるように各委員会をサポートする所存です。

      総務委員会
      委員長:池上寛(ジェトロ・アジア経済研究所)




      【会員限定】常任理事会議事録(第239・240・241回)

      第239回常任理事会

      • 日時:2023年8月19~22日
      • 方法:メール審議

      議題

      (1) 審議事項

      1. 第33回全国大会(@明治大学)の大会運営予算に係る留保金の取り扱いが審議された。
      2. 3名の新規入会希望者が承認された。

      第240回常任理事会

      • 日時:9月3日(日曜)13時00分~15時15分
      • 方法:オンライン(Zoom)
      • 出席:佐藤仁(会長)、高田(副会長)、池上、佐野、島田、小林、杉田、川口、三重野(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、秋保(事務局次長)

      議題

      (1)審議事項

      1. 総務委員会より、2024年度の支部・研究部会の設置について説明があり、了承された。
      2. 人材育成委員会より、2024年の第4回国際開発論文コンテストの開催案について説明があり、了承された。
      3. 本部事務局より、現行定款の改正の検討状況について説明があり、改正する方向性について了承された。
      4. 本部事務局より、2年間連続して会費を未納としている会員の退会処分について提案があり、了承された。

      (2)報告事項

      1. 社会連携委員会より、国際協力キャリアセミナーの開催について報告があった。
      2. 賞選考委員会より、春季大会のポスター発表の表彰結果および今年度の学会賞選考の進展状況について報告があった。

      第241回常任理事会

      • 日時:2023年10月5~7日
      • 方法:メール審議

      議題

      (1)審議事項

      • 15名の新規入会希望者が承認された。

      (2)報告事項

      • 39名の退会者、25名の休会申請者、58名の会費減額申請者が報告された。

      本部事務局
      事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




      【会員限定】理事会議事録(第114・115・116回)

      第114回理事会

      • 日時:2022年10月28日(金曜)~29日(土曜)
      • 方法:メールによる開催

      (1)審議事項

      3年間会費未納を理由とする退会処分対象者について:志賀事務局長より、3年間会費未納を理由とする退会処分対象者17名について提案があり、承認された。


      第115回理事会

      • 日時:2022年11月26日(土曜)13時30分~16時30分
      • 方法: Zoom(オンライン)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、佐野、志賀、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)池見、市橋、伊東、大橋、岡部、小川、小國、萱島、澤村、高橋、鍋島、西川、藤掛、藤山、道中、山形(以上、理事)、石田、西野(以上、監査役)、梅村(支部長)

      (1)審議事項

      1.2022年度学会賞について

      三重野賞選考委員長より、2022年度学会賞に13 作品の応募があったこと、審議の結果、 学会賞本賞に牛久晴香会員の『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂)、奨励賞に阿部和美会員の『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店)、賞選考委員会特別賞に佐藤峰会員、佐柳信男会員、柳原透会員共著のEmpowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration (Palgrave Macmillan)が選出されたこと、論文部門については該当なしとの結果であったことが報告され、承認された。

      2.2022年度活動報告、決算および監査役報告

      各委員長より2022年度の活動について報告された。また、志賀事務局長および池上総務委員長より、2022年度監査については特段の問題点を指摘されることなく終了した旨が報告された。

      3.  2023 年度活動計画および予算案について

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      4.2023年度の支部・研究部会への助成額について

      池上総務委員長より、2023年度の支部・研究部会の助成額について報告があり、承認された。

      5.2023年度活動計画案および予算案

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      6.定款および定款細則の改正について

      志賀事務局長より、会員制度の変更等に伴う定款および定款細則の改正案が提案され、承認された。

      7.第33回会員総会の議事について

      志賀事務局長より、第33回会員総会の議事案について説明がなされ、承認された。

      8.第12期1号理事候補者選挙および選挙規程の改正について

      杉田選挙管理委員長より、2023年5月9日から23日の期間に第12期1号理事選挙を実施するとの提案があり、承認された。また、選挙規程の改正案が提案され、承認された。


      (2)報告事項

      1.第33回全国大会の準備状況

      島田大会実行委員長より、第33回全国大会のプログラム案と準備状況について報告がなされ、承認された。

      2.入会者・退会者について

      志賀事務局長より、30名の新規入会希望者(正会員8名、学生会員22名)および、1名の退会者が報告された。

      3.第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について報告があった。

      その他

      1.合理的配慮について

      障害を有する会員に対する合理的配慮のあり方について議論が行われた。


      第116回理事会

      • 日時:2022年11月4日(日曜)11時45分~12時30分
      • 方法:対面(明治大学 リバティタワー11階 1116教室)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤仁(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、池見、伊東、大橋、岡島、岡部、小川、小國、萱島、黒田、佐藤寛、高橋、西川、藤掛、道中(以上、理事)、工藤(第24回春季大会実行委員長)、秋保(本部事務局次長)

      冒頭に、島田剛・第33回全国大会実行委員長および工藤尚悟・第24回春季大会実行委員長の挨拶が行われた。

      (1)審議事項

      1.優秀ポスター発表賞の受賞作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞受賞作について報告があり、承認された。