東海支部(2022年2月)

2022年度活動予定

2022年度(2021年10月~2022年9月)における、JASID東海支部の活動予定は次のとおりです。

1 名古屋大学国際開発研究科30周年記念行事への後援

  • 名称:GSID 30th Anniversary Commemorative International Symposium
  • テーマ:Development Research and Teaching in the Post-COVID-19Era: New Opportunities and Challenges.”
  • 日時:2022年2月10日12:30~18:10
  • 場所:名古屋大学

プログラム

GSID 30th Anniversary Commemorative International Symposium (tentative)

“Development Research and Teaching in the Post-COVID-19Era: New Opportunities and Challenges”

  • Date: February 10, 2022 (Thursday) 13:00-18:10
  • Venue: Noyori Conference Hall, Nagoya University
  • Platform: Hybrid (Online and In-person)
  • Language: English
  • Organizer: Graduate School of International Development (GSID), Nagoya University

12:30 … Registration
Moderator: Dr. Yuki Shimazu, Assistant Professor, GSID, Nagoya University

13:00-13:10 … Welcome Address
Dr. Seiichi Matsuo, President, Nagoya University

13:10-14:10 … Keynote Address 1 “Development: Which Way Now?”
Dr. Bishwapriya Sanyal, Professor, Department of Urban Studies and Planning, Massachusetts Institute of Technology

14:10-14:45 … Guest Addresses
– Representative, Ministry of Education, Culture, Sports, Science, and Technology (MEXT), Japan (TBC)
– Ms. Keiko Okada, Deputy Director-General, International Cooperation Bureau, Ministry of Foreign Affairs, Japan
– Dr. Shinichi Kitaoka, President, Japan International Cooperation Agency (JICA) & Emeritus Professor, the University of Tokyo and the University of Rikkyo
– Mr. Kazushige Endo, Director, United Nations Centre for Regional Development (UNCRD) Graduate School of International Development 30th Anniversary Commemorative International Symposium

14:45-15:15 … Introduction to the GSID Video Presentation/GSID’s 30 Years of Journey
Dr. Aya Okada, Dean & Professor, GSID, Nagoya University

15:15-15:45 … Video Messages from 60 GSID Alumni

15:45-16:00 … Coffee Break

16:00-17:00 … Keynote Address 2 “Post-pandemic transformations: Re-casting development in an uncertain world.”
Dr. Melissa Leach, Director, Institute of Development Studies, University of Sussex

17:00-18:00 … Panel Discussion: Development Research and Teaching in the Post- COVID-19 Era
– Moderator: Dr. Aya Okada, Dean & Professor, GSID, Nagoya University
・Dr. Melissa Leach, Director, Institute of Development Studies, University of Sussex
・Dr. Mbuli Charles Boliko, Representative, Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO) in Madagascar, Comoros, Mauritius, and Seychelles (Ph.D., GSID 1996)
・Dr. Rizal Affandi Lukman, Senior Advisor to the Coordinating Minister for Economic Affairs, Indonesia (Ph.D., GSID 2000)
・Dr. Norbert Palanovics, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of Hungary in Japan (PhD, GSID 2008)
・Dr. Sanae Ito, Professor, GSID, Nagoya University
・Dr. Isamu Okada, Associate Professor, GSID, Nagoya University

18:00-18:10 … Closing Session
Dr. Naoshi Sugiyama, Provost (Supervision and Research), Nagoya University

2.その他の活動予定

  • 2022年03月:若手研究者報告会開催(於・名古屋大学)

国際開発学会東海支部若手研究者研究会を、名古屋大学大学院国際開発研究科との共催で、若手研究者の英語による研究発表の機会を増やすことを目的として、昨年まで年一回だった東海支部若手研究者研究会を、本年は年二回オンラインで開催することを予定している。

主催は、国際開発学会東海支部と名古屋大学大学院国際開発研究科であるものの、参加者は東海地区に限らず、昨年同様海外からの参加者を含め広く公募する。

また、本研究会での研究発表の優秀者には、国際開発学会東海支部の予算で、国際開発学会の全国大会の発表の宿泊費・交通費の補助(対面開催のみ)を供与し、本研究会が国際開発学会全国大会の興隆に結びつくように配慮している。

  • 2022年06月:国際開発学会春季大会 企画セッション開催
  • 2022年07月:支部講演会開催(於・南山大学)
  • 2022年09月:若手研究者報告会開催(於・名古屋大学)

説明については上記に同じ。その他、外部講師招聘などの機会があれば、適宜研究会・講演会を開催する。

東海支部
代表:梅村哲夫(名古屋大学)
副代表:染矢将和(名古屋大学)、林尚志(南山大学)




京滋支部:2022年度活動予定(2022年2月)

京滋支部では、春季大会、全国大会への若手研究者の発表と大学の枠を超えた研究協力を促すことを直近の目標としている。コロナ禍で直接対面が難しいこともあり、今年度もZoomによるオンラインの会合を想定している。

今のところ2から3月には、若手会員がどのような研究に取り組んでいるかの発表会を開催する予定である。Zoomの開催となるので、京滋地区の枠を超えた参加も期待しているので、全学会員にも開催の通知を行う予定である。

京滋支部
支部長:黒川清人(立命館大学)




活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2022年2月)

活動報告

昨年12月の全国大会にて、第2回目のラウンドテーブル「開発レジリエンスとSDGsの今後―パンデミック以後の課題―」を、当研究部会として開催した。

このラウンドテーブルの目標としては、パンデミック以後の時代を焦点に、開発、レジリエンス、SDGsに関わる議論を進めることが念頭におかれた。

オンラインのつながりがもたらす研究調査のレジリエンスとは何か、パンデミックでますます脆弱な立場にある女性の状況、それに連動する女性の社会参画に対する低い社会認識をいかに改善するか、専門家ムラ・権威主義・同調圧力に抗し、オルタナティブな考え方や取り組みをいかに促すか、目標設定としては参加が容易だが、危機的な問題へのアクションにはなかなかつながらないSDGsとどう向き合っていくか、といった課題が残されていることが確認された。

現在、このラウンドテーブルの議論を踏まえながら、春季大会に向けた準備や定例研究会の実施に向けて取り組んでいる。

今後の予定

  • 2年目(2021年10月~2022年9月) 開発のレジリエンスとSDGsの諸課題の検討・研究活動。
  • 3年目(2022年10月~2023年9月) 開発のレジリエンスとSDGs提言作成等成果の取りまとめ

開発のレジリエンス、SDGsに関連したテーマに関心をお持ちの会員はぜひご参加いただきたい。引き続き活発な議論の展開に努めていきたい。

研究部会参加申込・連絡先

関谷 雄一(東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター長)

  • sekiya [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




活動報告『若手による開発研究』研究部会(2022年2月)

活動2年目を迎えた、本研究部会の本年度の活動計画を報告させていただきます。  

昨年度は、当研究部会のメンバーを中心に第31回全国大会、第22回春季大会にてラウンドテーブルを開催しました。

これに加えて、8回のオンライン研究会を開催しました。  

活動初年度であった昨年度は、全国大会、春季大会におけるラウンドテーブルでの発表という目標を達成し、また原則月に一度研究会を開催するという本研究部会の活動の基本的体制が整えられました。

今年度はこうした活動を継続しつつも、対面での研究会の開催、若手部会メンバー以外にも開かれたオープンな形式での研究会の開催など、新たな取り組みにも挑戦していこうと考えております。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(東京大学・院)




会長からの手紙(2021年11月)

第11期、最初の1年を振り返って

国際開発学会の皆様、こんにちは。この間、コロナに関連して様々な経済的、精神的苦境に立たされてきた皆様には心よりお見舞い申し上げます。コロナ禍の中で会長に就任し、いまだに会員の皆さんに対面でご挨拶をさせていただけないことをとても心苦しく思いつつ、Visible, Inclusive, Entertaining の旗印を掲げてどうにか走り出し、あっという間に1年が過ぎました。

この間、オンラインではあるものの、例年と劣らない規模の参加者を経て、春季大会(文教大学)⇒秋季大会(金沢大学)の開催ができていることは、各実行委員長を中心とする開催校のご尽力もさることながら、発表の場をもとめる会員のエネルギーが落ちていないことを示すもので、大いに励まされます。大会運営関係者の皆様には改めて感謝申し上げます。

さて、コロナの「お陰」で常任理事会はオンライン会議が活発化し、学会全体の組織・運営に及ぶ議論が例年以上に深められたことは大きな収穫でした。こうした議論の結果として、私が第11期の会長として掲げたスローガンであるVisible, Inclusive, Entertainingに即して、さまざまな取り組みが少しずつ実を結び始めています。時間の関係で、総会の場でそれを逐一ご紹介する時間がありません。そこで、ここ1年間に執行部が行ってきた新たな取り組みのハイライトを一望できるように、このお手紙を書きました。


Visibilityについては、学会の「顔」であるウェブサイト(と会員管理システム)を全面的にリニューアルしました。会員管理システムについては業者を選定しなおし、 ウェブサイトの更新については学会事務局でタイムリーな更新ができるようWord Pressをつかったシステムを導入しました。申すまでもなく、ウェブサイトは更新の頻度と質によって価値が変わってきます。ようやく基本的な設計ができましたので、ぜひ皆さんからインプットいただき、更新の体制を固めていきたいと思っております。

また、賞選考委員会主導で、日本学術振興会・育志賞への学会推薦を実施しました。育志賞はあらゆる分野の博士課程の大学院生に与えられる国内で最も栄誉ある賞であり、こうした賞への参加は「国際開発」という分野を世に知らしめる重要な回路となります。

さらには、学生会員主導のツイッター発信を11月から開始しました。これは長年の課題である理事選挙の投票率を向上させる一環として選挙管理委員会が主導で行う事業ですが、単なる選挙対策を超えて、広く一般社会に対しても学会が何をしているのかをより visible にしていく新しい試みでもあります。社会への発信という点では、今年初めて外務省主催のグローバルフェスタにも出展し、「国際協力におけるキャリア形成」というセッションを設けて、若いみなさんを中心に100名の参加者を得ることができました。

Inclusive については、若手による開発研究部会(通称:若手部会、旧・院生部会)を新設し、部会の主査には理事会にオブザーバー参加してもらうことで200名以上の学生会員との有機的な連帯を確認するところから始めました。また、学会として5支部、10研究部会の活動を奨励し、地方と執行部の風通しを良くするために各支部長にも理事会にオブザーバー出席してもらうことにしました。若手部会は独自のウェブサイトをつくり、異なる大学に属する学生が交流できる稀有な場として活発に活動しています。

また、学会として初めて申請した科研(国際情報発信強化)が採択され、5年間で合計1400万円程度の予算をもらえることになりました。この予算を用いて、これまで年間2号だった学会誌に英文特集号を追加します。この特集を組むための国際諮問委員会を編成し、アジア各地でのワークショップと執筆者の開拓を始めます。あわせて、日本国内にいる留学生や英語で論文を書いてみたい日本人のために英語論文執筆チュートリアルを実施し、英文校閲などもサポートして学会の英語発信を一層強化してまいります。

くわえて、学会のコロナ対応の一環として、経済的な困窮者や学生への会費減免措置を実施しました。同時に、これまでの紙による申請から電子申請へと移行し、入会手続きを簡略化しました。これらの措置も学会をより開かれたものする試みの一環であると考えます。

Entertaining については、学会誌の魅力を高めるための新たなコンテンツ(座談会)を導入し、来年からはデザインも一新します。学会誌は、学会の学問的な「顔」であり、学会の水準を内外に示す重要な回路でありますが、やはり多くの人に手に取ってもらえるような見栄えとコンテンツが揃っていることは大前提だと思っています。査読論文の応募を奨励して、国際開発分野のゲートキーパーの役割を維持しつつ、書評や討論、実務家による実践報告、座談会など、読み物として楽しめるコンテンツを充実させていきます。

今年から導入した学部生向けの国際開発論文コンテストは、Inclusiveness に貢献する活動としても位置付けています。初年度は10篇の応募があり、幸い、入賞者の選定も終えました。学部生の開拓は未来の開発研究者・実務者を育てるうえで大切な事業であります。今年はいろいろな意味で「試行」の年となりましたが、来年度にはさらに制度の知名度を上げたいと思っています。


こうした一連の変革を持続的なものにするためには、事務局が無理なく稼働できる体制が不可欠です。そこで、11期からは事務局業務を事務局と総務委員会に分離し、事務局には次長としてサポートしてくれる非常勤スタッフを配置し、作業の一部をデジタル化することによって、どなたが事務局長を引き受けても仕事が回るような体制にしつつあります。そうはいっても、今年度の事務局、常任理事の皆様には例年以上の業務負荷がかかったことは否定できません。また、このお手紙では触れることができなかった裏方の地味なルーティンワークを粛々と担ってくださっている皆さんには感謝の言葉もありません。

2021年11月からの任期2年目は、着手済みの変革をさらに定着させつつ、研究と実践の密な関係、地方展開など、ここでご報告できなかった領域に力をいれて、来年はさらによい報告ができるよう努力してまいります。会員の皆様の一層のご支援をお願いする次第です。

2021年11月
第11期会長 佐藤仁(東京大学)

Letter from the President
Reflecting on the First Year as the 11th President




大会組織委員会からのお知らせ(2021年11月)

大会組織委員会では、2021年11月20~21日に開催される第32回全国大会の準備および実施において、金沢大学の和田一哉委員長を中心とする実行委員会の支援を行なった。

また、2022年6月18日に開催を予定している第23回春季大会についても、佐野麻由子実行委員長を中心に、福岡県立大学での準備を支援している。比較的若手で構成される実行委員会で、地域ならではのテーマを掲げた大会が続き、学会の活性化が期待される。

2020~2021年に開催された4大会(全国大会2回、春季大会2回)は、いずれも全面オンラインとなり、引き受けてくださった実行委員会の関係者の方々にはご負担をおかけしたが、ワクチン接種の普及により、新型コロナウィルスの感染状況も落ち着きをみせていることから、今後は、対面を中心としたハイブリッド大会の効果的な実施方法につき、情報収集と検討を行ないたい。

2022年の第33回全国大会は、明治大学(神保町キャンパス)を中心に実施されることが内定している。アクセスのいい都心での開催となるので、多くの会員が対面で交流する機会となれば幸いである。大会の実施だけでなく、学会活動のおもなイベントである大会が学会員同士および学会外との連携、相互の学び合いの機会となるよう、大会組織委員会としても、運営手法や内容面でのインプットをしたいと考えている。

大会組織委員会
委員長・山田肖子(名古屋大学)




人材育成委員会からのお知らせ(2021年11月)

人材育成委員会の活動報告(8月~10月)

1.委員会等

第5回委員会

2021/8/29(日):コンテスト応募状況確認。

[2021/9中旬 審査員決定、審査用紙作成、理事会で審査基準等承認]

第6回委員会

2021/10/24(日):コンテスト応募論文の審査・入賞者決定。

2.国際開発論文コンテストの審査結果

2021年3月時点の学部生を対象とした「国際開発論文コンテスト」に対して10編の応募がありました。所属大学・学部は、埼玉大学教養学部、東京大学工学部社会基盤学科、法政大学国際文化学部、中央大学経済学部・法学部・商学部・総合政策学部・理工学部(共著)、名古屋外国語大学外国語学部、関西学院大学経済学部で、和文4編、英文6編でした。審査の結果、以下の3編を入賞としました。

■最優秀論文賞(1編)奨励金・5万円

玉村優奈
「見過ごされる配慮――JICA環境社会配慮ガイドラインと異議申立案件をめぐって」

■優秀論文賞(2編)奨励金・各2万円

  • 大崎勇
    「Network Centrality, Credit Constraints and Subjective Expectation for Support from Friends: Evidence from Rural Madagascar」
  • 坂田成優
    「予備的動機の貯蓄に対する信用制約の影響―マダガスカル農村部の事例から―」

3.国際開発論文コンテスト2022の募集予定

学部生(2022年3月時点)を対象に、国際開発や国際協力に関する論文を募集します。募集締め切りは3月半ば、6月の春季大会で表彰する予定です。募集要項は、2021年末までに学会ホームページで公開します。多くの大学で対面授業中心に移行しつつありますので、学内に募集用のポスターを掲載していただける方がいらっしゃいましたら、人材育成委員会の松本(smatsumoto[アットマーク])までご連絡頂けますと幸いです。

人材育成委員会
委員長・松本悟(法政大学)




賞選考委員会からのお知らせ(2024年2月)

2023年度活動報告

(1)2023年度(2022年10月~2023年9月)活動報告(事業概要)

  1. 学会賞応募作を公募・審査し、受賞作を決定・表彰した。
  2. 全国大会、春季大会において優秀ポスター発表賞の審査を実施し、受賞作を決定・表彰した。今年度から対面開催が再開したため両大会とも実地のポスター発表とその評価のプロセスに戻った。全国大会、春季大会においてそれぞれ2件の報告への表彰を行った。
  3. 学会ウェブサイトの学会賞ページを更新し、学会賞受賞者とその作品を紹介した。

(2) 事業の成果と課題

  1. ポスター発表表彰については、対面による発表と審査に復帰した。ポスター発表の件数が全国大会で9件、春季大会で17件と増加する傾向があり、また発表者参加者も多様になってきた。一方で、半日の短時間で審査の結論を出すこと、複数の賞選考委員にこの日時に時間を確保する必要があること、昼に開催される理事会との時間重複が発生すること、など運営の負荷が大きくなってきており、その解決について、検討する必要がでてきている。
  2. 2021 年度(2023 年12 月の全国大会で表彰)の学会賞事業については、著書6件、論文0 件と、応募が低迷したが、2022 年度(2022 年12 月全国大会で表彰)については著書13 件、論文2件の応募があり、大きく回復した。2023 年度(2023 年11 月全国大会で表彰予定)については、引き続き著書12 件、論文3 件の応募があり、活発な状況が継続している。
  3. 著書の出版形態が、電子出版も含めて多様化する中、どこまでを出版物書籍として取り扱うか、また、応募者に審査委員の人数分の作品の提出を印刷物によって求めるべきかなど、内規を検討する余地がある。
  4. 論文に対する表彰(論文賞)については、「論文」の定義、学会誌における審査対象論文、公募方式など運営方法に課題が多く、今後抜本的な改革の必要がある。

賞選考委員会
第11期 委員長・三重野文晴(京都大学)


国際開発学会第12 期:委員会の構成および幹事の委嘱

委員長

澤田康幸 (東京大学)

委員

小川啓一(神戸大学)
樹神昌弘(神戸大学)
佐藤 仁(東京大学)
佐野麻由子(福岡県立大学)
澤村 信英(大阪大学)
藤掛 洋子(横浜国立大学)

幹事

加治佐敬(京都大学)
幹事 山田浩之(慶応義塾大学)




【会員限定】常任理事会議事録(第219・220回)

第219回常任理事会

  • 日時:2021年8月17日~8月25日
  • 方法:メールによる開催

審議事項

17名の新規入会者が承認された。

報告事項

5名の退会者が報告された。


第220回常任理事会(その1)

※第220回常任理事会は議事多数につき、2日に分けて開催された

  • 日時:2021年9月19日(日曜) 10時00分~12時40分 
  • 方法:オンライン
  • 出席者(敬称略):佐藤、高田、島田、杉田、三重野、松本、池上、志賀、紺野

審議事項

  1. 国際開発論文コンテストについて:
    人材育成委員会の松本委員長より、コンテストの応募及び審査の状況について説明があった。国際開発学会を支える将来の有望な「戦力」を取り込んでいくという観点から、受賞者と様々な形態で関与を継続していくことが重要ではないかとの指摘がなされた。
  2. 選挙管理委員会幹事の企画内容について:
    選挙管理委員会の杉田委員長より、学会選挙を学会員により身近なものとして感じてもらうことを目的とした、選挙管理委員会幹事の企画内容について報告があった。様々な媒体(SNS等)を活用した学会活動内容の発信については、効果を途中で適宜検証しながら進めていく必要があるとの指摘がなされた。
  3. 地方支部・研究部会の設置申請について:
    総務委員会の池上委員長より、2022年度の地方支部および研究部会の設置申請状況について報告があり、当時時点で申請がなされていた支部・部会の設置が承認された。
  4. 入会希望者および退会処分者について:
    志賀事務局長より、20名の入会希望者が紹介され、承認された。また、3年会費未納を理由とする退会処分者56名の提案がなされ、承認された(併せて18名の希望退会者が報告された)。

報告事項

  1. 学会ウェブサイト等の運用状況について:
    広報委員会の高田委員長より、今年に全面リニューアルを行った学会ウェブサイトの運用状況や、メーリングリスト・ニューズレターの運営上の問題点について報告があった。テクニカルな問題点を解決していくためのノウハウの蓄積を含め、持続可能なかたちで運営していくための工夫が必要であるとの指摘がなされた。また、高田委員長からは、ウェブサイトについて今後は魅力あるコンテンツ作りに注力していきたいとの発言があった。
  2. 今後の各種会合の予定について:
    志賀事務局長より、第32回全国大会までの理事会、常任理事会の日程および議事について報告がなされた。事務の簡素化・合理化の観点からはオンラインでの開催が望ましいとの意見があった一方、理事・常任理事が対面で会合することの意義・効果を考えるべきという意見も出された。

第220回常任理事会(その2)

  • 日時:2021年9月26日(日曜) 10時00分~12時45分 
  • 方法:オンライン
  • 出席者(敬称略):佐藤、高田、山田、道中(理事)、三重野、池上、川口、小林、佐野、島田、杉田、志賀、紺野

審議事項

  1. ブックトークセッションについて
    これまで、大会時に開催されてきているブックトークセッションの今後のあり方について、道中理事より説明があった。学会員の研究成果を広く会員に認知してもらうための活動としてブックトークセッションは重要であるという意見が出され、大会での扱い(現在の企画セッションから公式イベントとするか等)や他の学会活動との連携のあり方について、引き続き議論していくこととなった。
  2. 全国大会・春季大会について:
    大会組織委員会の山田委員長より、第32回全国大会の準備状況の説明および今年度の春季大会の実施結果と余剰金の取扱について報告があった。併せて、新型コロナ感染状況下での大会開催方法(全面オンラインか、オンラインと対面方式のハイブリッドか等)の判断指針をどう設定すべきかについても議論された。
  3. 英文学会誌の編集体制について:
    グローバル連携委員会の北村委員長より、英文学会誌の編集体制(編集委員会および諮問委員会を設置する案)について説明がなされ、了承された。
  4. 会費制度の改訂について:
    総務委員会の池上委員長より、70歳以上の会員に対する会費減額制度の創設や、会費未納がない会員への会費請求は毎年4月1日以降に実施することとすることについて提案があり、了承された。
  5. 志賀事務局長より、コロナ禍に起因する経済的困窮を理由とする2022年度の会費減免措置の対象となる会員の申請状況について報告があり、承認された。

報告事項

  • 賞選考委員会の三重野委員長より、今年度の学会賞への応募状況と審査日程について報告があった。併せて、学会賞のあり方について議論がなされ、概して応募数が少ないという現状を変えるために、どういう応募作を求めているかなどを含めた広報を行っていく必要があるという意見が出された。
  • グローバルフェスタへの参加について:
    社会連携委員会の川口委員長より、外務省主催のグローバルフェスタへ学会として参加し、会員の参加を得て「キャリア形成セミナー」と題する企画を実施する予定であるとの報告があった。

第11期・本部事務局
事務局長志賀裕朗(JICA研究所)




横浜支部:2021年度活動報告(2021年11月)

1. 研究会等の開催

2021年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため、集合形式による支部定例研究会は不開催の措置をとった。その一方で、国際開発学会の研究大会における横浜支部会員の活躍が顕著であったので、以下に記しておきたい。

オンライン開催となった国際開発学会全国大会(2021年12月5日・6日、津田塾大学)においては、藤掛洋子会員が「『パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト』の評価にかかる一考察」と題する報告を行った。また、小林誉明会員らがセッションのコメンテータとして登壇した。

2021年6月12日にオンラインで開催された春季大会(文教大学・東京あだちキャンパス)においては、林薫会員が共通論題の企画責任者をつとめ、コロナ禍における子どもへの支援活動をテーマに報告と討論が行われた。

また、小林誉明会員の企画・司会による「研究×実践委員会」や、佐藤峰会員の企画・司会によるセッション「人が自ら動くための条件」においても活発な議論が行われた。

そのほか、横浜国立大学大学院の石暁宇会員の企画による「若手による開発研究セッション」が開催されたことも顕著な活動として記しておきたい。

 2. その他

横浜支部のホームページを漸次更新した。

横浜支部
支部長・小池 治(横浜国立大学)




京滋支部:2021年度活動報告(2021年11月)

京滋支部では、 2021年9月に、長浜市のNPO法人まちづくり役場が取り組む、「手作り鳥瞰図」によるまちづくりセミナーを開催しました。コロナ禍で海外調査、留学生の来日が制限されるなか、京滋地区ならではのローカルな取り組みに着目してきました。

作者である松井善和先生(元県立長浜高校長、美術科・社会科教諭)によれば、手作り鳥瞰図は、「①ネット上に載っている地図と比較すると手書きの場合、温かみがあり描き手の想いを載せられる②大きく載せたい町は大きく描くことができ、山間部の集落は手前の山で見えない場合があるが、デフォルメをして描くことが出来る。」という利点があるとのことです。

一方、「紙に描いていく情報は描き手が事前に把握していなければならない」という手間がかかる面があり、長浜の鳥瞰図の作成までには、約3年の調査期間を費やしています。

参加した会員からは、防災マップなどへの応用の可能性、他の地域への応用の可能性などの質問も出ました。松井先生によれば、防災マップへの応用も十分可能であること、他の地域としては、甲賀市での鳥瞰図を検討中であることなどが議論されました。

2021年10月以降の京滋支部の取り組みについては、新支部長に立命館大学国際関係学部の渡邊松男教授をむかえ、アフターコロナを見据えた活動計画を立案中です。新支部長との引き継ぎ作業中で、2022年1月からは新体制が発足予定です。

第6波の襲来も懸念されますが、Zoomでの活動にくわえ、対面も含めた支部活動の検討も行っています。とくに修士、博士の大学院生を大会発表に促すことを第一に、院生のための対面も含めた研究交流会を実施していく予定です。

コロナ禍では、本来9月に入学であった外国人留学生は、入国延期を余儀なくされていましたが、幸い、JICA枠の院生の入国も順次再開されており、不安を抱いている留学生のためにも、支部レベルでの研究交流会は開催が待たれています。

今のところ、2022年1~3月には支部総会を再開し、大学院生の研究交流を行ない、2022年の春季大会への参加を促す予定です。これらの成果については次回以降のニュースレターで報告したいと思います。

京滋支部
支部長・黒川清登(立命館大学)




新刊案内:新刊『震災復興とコミュニティー』

2021年6月に文教大学で開催された国際開発学会第22回春季大会実行委員会では、同大会の残余資金を活用して、東日本大震災とコミュニティーの対応に関する冊子を作成、出版いたしました。

この出版は、開催直前にオンラインでの開催に変更されたことなどじよって生じた残余金について、学会のご承認を受けて活用して、作成出版したものです。

震災以来、コミュニティーの復興に関わってきた6人の著者による7つの報告が収められています。

国際開発学会会員の皆様には送料のみでお頒けいたしますので、下記お問い合わせ先までご連絡ください。

書籍紹介

「震災復興とコミュニティー」

  • 国際開発学会 第22回春季大会実行委員会編
  • 出版:グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタント

目次

内容は以下の通りです。

巻頭言 林 薫(文教大学国際学部教授 国際開発学会)

1.海津ゆりえ(文教大学国際学部教授/国際開発学会)
復興ツーリズムから関わりのまちづくりへ–宮古エコツーリズムプロジェクトの12年

2.加藤洋一郎(株式会社日々旅 代表取締役)
東日本大震災後の若手プレイヤーによる地域コミュニティ形成の一考察–岩手県宮古市を例として

3.木全洋一郎(JICA/国際開発学会)
事業者と一体となったポスト復興まちづくり–岩手県陸前高田市の挑戦

4.千葉直美(スワン国際協力の会)
災復興と手作りの公園–宮城県石巻市の松並公園を事例に

5.千葉直美(スワン国際協力の会)
震災復興と女性「聞き書き」の可能性–宮城県石巻市から

6.千葉一(石巻専修大学)
被災中小企業の向こうにコミュニティという企業の源郷が見える

7.林 薫(文教大学国際学部教授 国際開発学会)
震災遺構施設は何を伝えることができるのか–グローバル・ナレッジの視点で


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会第22回春季大会実行委員長
林 薫

  • [at]
  • globallearning2100 [at]
    (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



活動報告『開発とビジネス』研究部会(2021年11月)

《2021年7-9月期》

本部会は民間企業、とりわけ日本の中小企業アクター(場合によっては大企業、多国籍企業も含む)がどのような形で「途上国の開発問題/社会問題」解決に貢献できるのかを、具体的な取り組み事例の検討を中心に行うことを目指している。2021年7-9月期は、2回研究会を開催した。

まず1つめに、2021年8月24日(木曜)、午後1時30分~午後5時にオンラインの形で開発とビジネスに関連した研究を行なう若手研究者を対象としたブートキャンプを、学会員から参加者を募り実施した。

本ブートキャンプは、近年、国際開発学会の若手会員のなかで、国際開発とビジネスとを結びつける分野の活動に注目し、これを論文のテーマに設定している人も増えているが、大学院等で研究する場合、国際開発、国際貿易、国際経営、さらにはボランティア学など、さまざまな指導教官がいるなかで、適切な指導が受けにくいという現状に対処するものである。

また、国際開発学会の春季大会、全国大会などで研究報告をしても扱うテーマごとに「教育」「保健」「農村開発」などのセッションに配置されてしまい、同じような切り口で研究している人とうまく情報共有できないという問題が散見されていた。

研究部会では、若手研究者を中心にこの「開発とビジネス」分野を研究テーマとしている方からの話題提供を求め、これに対してシニア、中堅研究者がコメントをする「ブートキャンプ」を試行することとした。

会の進行および主コメンテーターとして佐藤寛氏(ジェトロ・アジア経済研究所)が助言を行なったほか、下記の開発とビジネスの分野に経験豊かな各研究者がコメントおよび指導を行った。吉田秀美氏(法政大学)、下田恭美氏(早稲田大学)、小林かおり氏(椙山女学園大学)、功能聡子氏(ARUN)、八鍬(山崎)ひかり氏(元ボーダレスジャパン)。

参加した若手研究者及び、テーマは下記のとおりであった。

発表1.「世帯内ジェンダー格差とデジタルテクノロジー -バングラデシュおける賃⾦⽀払いのデジタル化の事例から」

綿貫竜史氏(名古屋大学国際開発研究科博士課程)

発表2.「The mechanism of promoting corporate responsibility to respect for human rights through international norms – how it works in Africa」

井上直美(東京外国語大学サステナビリティ研究博士課程)

発表3.「ウガンダの難民起業家の成功要因について」

中村恵理氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科博士課程/ 独立行政法人国際協力機構)

発表4.「日本の民間教育団体の海外展開史-民営化する国際教育協力との関係に注目して-」

朝倉隆道氏(株式会社富士通総研、一橋大学大学院)

参加者からは、経験・知識が豊富な、いつもは指導を受けることが出来ない先生方から助言をいただけたこと、開発とビジネスという共通の分野で研究を進める若手研究者から学ぶことが出来たこと、および知り合えたこと、実務と学術の両方の視点をつなげて議論できたこと、多岐に渡る話題を議論できたこと、等が非常に有意義であったとの感想をいただいた。

気軽に発表し、分野横断的に意見交換できる会をもっと企画して欲しいという声も多くあがった。今回は、代表の佐藤のアイデアでこうした会を開催したが、今後も、同様の企画を何らかの形でできないか検討することに価値があることが確認できた。


ミズノヘキサスロンのベトナム公教育への導入について

-対立事物の相互浸透の法則-

2回目は、2021年9月24日(金曜)に、開発途上国の抱える課題に、本業を通じて取り組む企業の事例を学ぶオンライン研究会を開催した。企業の担当者に話をうかがい、参加者全員で意見交換を行なった。研究会のタイトルは、「ミズノヘキサスロンのベトナム公教育への導入について-対立事物の相互浸透の法則-」。

講師には、森井征五(もりい・せいご)氏(ミズノ株式会社・総合企画室・アジアグローバルセールスマネジャー)をお招きした。なお、研究部会の開催時間は、通常の昼間の研究部会には参加できないとの会員の声を反映し、ランチタイムに開催した。参加者は、合計で21名であった。

ミズノ株式会社のベトナムでのヘキサスロン運動プログラム事業の背景は次のとおりである。ベトナムでは、2021年9月から、40数年ぶりに初等義務教育「学習指導要領」の改訂と、その運用の開始が予定されている。ミズノ株式会社はベトナム教育訓練省と、同社ヘキサスロン運動プログラムを新学習指導要領に採用する「協力覚書」を2018年10月に締結し、本プログラムを、同国の学習指導要領へ導入すべく、その採用に向けた活動を行なっている。

当日は、まず同社の事業概要を説明するムービーを使用し、その後に森井氏から、事業概要と現状の取り組み内容をご報告いただいた。そして、今後想定されるサービスの価格や知的財産権を含めたサプライチェーン、事業収益化への課題、日越関係機関との合意形成や連携のあり方について議論を進めていただいた。

同社は、急速な経済成長が進むベトナムで問題となっているこどもの肥満、そこからつながる健康被害等のリスクを社会課題と捉え、この課題を解決するための鍵は、限られた時間とカリキュラムで行なわれる体育授業にあると特定した。

同社のプログラムは、学習指導要領に採用されることで体育授業プログラムを多様化させ、子どもの前述の問題を解決することに役に立つものであるとのことであった。現に、報告では、ベトナムの小学校が十分に体育授業を行うためのフィールドを確保できないままに、ごく短時間の簡単な運動の機会しか与えられていないという現状が、ビデオで報告された。

森井氏からは、ベトナム政府との交渉、関係各所との役割分担、価格や知的財産権の商流に関する各所との合意形成活動、現地日本大使館との連携等における、難しさや事業を進める喜び等が共有され、参加者との意見交換が行われた。

参加者からは、同社がベトナムで事業を推進する理由やきっかけについての質問、本事業の競合に対する優位性や模倣品への対策、そこから派生して知的財産権をベトナムのようなコントロールの難しい国で守りつつ利益を確保する事業を進めるための工夫に関する意見交換が行われた。

また、本事業が当初、公的資金の援助を受けつつパイロット事業をベトナムで始めたことに関連し、今後そうした公的資金の支援を受けずに利益事業として成り立つためには何が必要か、利益確保するためのマーケット規模は十分か、ベトナム以外のマーケットへの進出予定等について参加者から質問が挙がり、これに関する意見交換が行われた。

また、ODA事業として進めた経験から、国際協力分野に経験の厚いコンサルタントと企業がどのように協力し、お互いの得意分野を使い事業拡大の可能性を広げることが出来るか、ということについて、コンサルタントと企業の双方の立場からの率直な意見を聞くことが出来た。

意見交換の話題は、同社のサプライチェーン・マネジメント、SDGsに関する取り組み、CSRに関してまで広がった。短時間ではあったが、非常に密度の濃い意見交換を行うことが出来た会であった。

「開発とビジネス」研究部会
代表:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)




活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2021年11月)

「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の活動としては、来る11月20・21日に開催予定の国際開発学会第32回全国大会において実施する、ラウンドテーブルに向け準備を進めてきた。  

11月20日の午前のセッションで行なわれる予定のラウンドテーブル「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」は、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会による、第2回目のラウンドテーブルとなる。

今年の春季大会のラウンドテーブルの議論をふまえ、全国大会ではパンデミック以後の時代に焦点をあて、開発レジリエンスとSDGsの課題について、大門毅会員(早稲田大学)、大谷順子会員(大阪大学)、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)そして、関谷雄一(東京大学)から話題提供をし、討論者に野田真里会員(茨城大学)を迎え、フロアも交えて双方向的な討論を展開する。

話題提供者の発題は下記のとおりである。

  • 関谷雄一「ハイブリッド調査の模索:レジリエントな研究調査を目指して」
  • 乙部尚子「新型コロナウイルス禍に於けるジェンダーと労働問題」
  • 大谷順子「中国を見て考える」
  • 大門毅「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」

主要な論点としては、下記のような点が挙げられるだろう。

  1. パンデミック以後の開発レジリエンス
  2. パンデミック以後のSDGsの課題
  3. 貧困、格差、インフォ―マリティーのなか、取り残された人々の今後
  4. その他の課題

皆さんのご参加をお待ちしております。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




活動報告『若手による開発研究』研究部会(2021年11月)

活動初年度である本年度は、おもに活動体制の整備に力を入れました。部会メンバーの若手会員は、それぞれが互いに面識がないばあいも多く、また、研究分野、研究手法、研究環境もそれぞれ異なっていました。

そのため、部会においてどのような活動を行なうことが適切かを探ることから始めました。

具体的な活動内容として、まず、本研究部会の目標どおり、春季大会と全国大会において研究部会メンバーでラウンドテーブルを開催しました。それに加えて、オンラインでの研究会を原則月に一度開く体制を整え、今年度は8回開催しました。

研究会では、大学院生活で考えるべきことや奨学金の獲得方法といった研究環境に関するトピックから、メンバーによる研究発表まで幅広いテーマを扱いました。さらに、ホームページ()を開設し、活動の広報や新規メンバーの募集を行ないました。  

以上のように、今年度は活動の方向性を模索し、活動体制の整備に注力しました。2年目からは、研究会メンバーだけでなく、広く開発学会会員も対象としたオープンな研究会や、対面での研究会を開催するなど、活動の範囲を広げていく予定です。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(東京大学大学院・博士課程)




重要:発表申込締切の再リマインド(3月18日締切)

2023年6月10日(土曜)に開催される、第24回春季大会の発表申込締切日は3月18日(土曜)です。以下、発表申込に関する再リマインドです。

1.発表申込について

発表申込締切は「明日まで」となっております。発表をご検討されている方は、下記ページの内容をご確認いただき、各種申込フォームを入手の上、ご準備をおすすめください。皆さまからのご発表を心よりお待ちしております。

◆発表申込

◆提出先(発表申込サイトURL)

発表申し込みはすべて以下の発表申し込みサイトからオンラインで受け付けております。

2.スケジュール

  • 発表申込締切:3月18日(土曜)*厳守。本サイトの公開が遅くなりましたので、申込み締切りについても延長致しました。
  • 学会参加申込オープン:4月初旬
  • 採択結果通知:4月下旬
  • 報告論文提出締切:5月上旬

3.大会参加について(再掲載)

  • 大会参加申込は4月初旬から開始する予定です。
  • 大会参加費は、クレジットカード払いのみとさせていただきます。
  • 大会報告論文集の印刷の配布はありません。参加費を支払った方のみ、論文集を事前にオンラインで入手することができます。

4.大会の開催形態について(再掲載)

  • 第24回春季大会は、対面開催とし、ハイブリッドでの実施は致しません。
    *対面セッションをオンライン視聴する、ということができませんのでご注意下さい。
  • 6つのパラレルセッションのうちの1つを終日のフルオンライン開催と致します(対面会場なし)。こちらについては、遠方よりオンラインにてご参加頂くことが可能です。
  • 現地にてオンラインセッションにご参加頂く場合にも、ご自身のパソコン・タブレット等からログインしてご参加下さい。

本件にかんするお問い合わせ先

第24回春季大会実行委員会
実行委員長:工藤 尚悟(国際教養大学・准教授)

  • jasid2023spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第22回 春季大会開催報告・総括

第22回春季大会報告

第22回春季大会は2021年6月12日(土曜)に、文教大学・東京あだちキャンパスを開催校として実施されました。

当初、対面とオンラインの組み合わせによるハイブリッド方式で開催することを予定していましたが、4月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言およびその延長等を勘案し、感染リスク軽減のため、全てオンライン(Zoom)で実施することに急遽変更をいたしました。251名の方に参加登録いただきました。

今回の大会は、格差の拡大や一国主義の蔓延、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限措置によって分断されてしまった世界につながりをとりもどすことを求めて、全体テーマを「ともに生きる:課題解決のために知識と経験を共有する Live together: Sharing Knowledge and Experience for better solution」としました。

海外からも含め、多くの皆様にご参加頂きましたことに感謝申し上げます。

大会実行委員長・林 薫(文教大学)


【セッション報告】

午前の部(9:30-11:30)Morning Session

A1: RT「研究×実践」をめぐる諸課題をあぶりだす: 研究×実践委員会主催セッション(日本語)

  • 企画責任者: 小林誉明(横浜国立大学)
  • 司会:小林誉明(横浜国立大学)
  • 討論者:志賀裕朗(国際協力機構)、ラミチャネ・カマル(筑波大学)、佐藤峰(横浜国立大学)、浜名弘明(デロイトトーマツコンサルティング合同会社)、狩野剛(ミシガン大学)、功能聡子(ARUN)

本セッションは、研究と実践との有機的な相互作用を生み出すメカニズムを構築することを目指して設立された「研究×実践委員会」が、その活動の方向性を定めるためのニーズや現状課題を把握することを目的として企画された。
朝一番のセッションであるにも拘わらず、報告者を含めて30人弱の会員の参加を集め、研究と実践との連携というテーマが、本学会の会員が常態的に抱えている潜在的な問題意識でもあることを裏付けるものであることを実感した。

まず、小林より、委員会の趣旨、ラウンドテーブル企画の背景、議論したいアジェンダについて説明し、委員各位より、それぞれが考える論点が提出された。

研究と実践にまつわるイシューは多岐にわたるため、一度のラウンドテーブルで答えが見つかることは望むべくものないため、今回は、そもそもどんな課題が存在しうるのか、今後、取り組むべき射程を明らかにすることを主眼とし、“おもちゃ箱をひっくり返す”事を敢えて狙った。結果、広範囲にわたる論点が提示され、あらためてテーマの外延の広さが確認された。

その後の全体討論の時間には、フロアから更に多様な意見が続出した。とりわけ、大きな収穫と感じたのは、「研究×実践」委員会の側で想定していた「前提そのもの」を問う議論の数々である。

  • そもそも「有用性」を前提とした議論なのではないか?役に立たない実践も研究もある。
  • そもそも実践は、JICAなどのODA等の現場だけではないはず。海外も含めた民間の実践をみるべき。
  • そもそも研究が実践に結びつくのが良いこという前提があるが、本当にそうか。
  • 実践と結びつく便益が明らかな場合であっても、そもそも研究者がコストと手間をかけられるのか?実務者の側が負担する構造になっているのではないか。

(報告:小林誉明)

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A2: 教育(日本語)

  • 座長:黒田一雄(早稲田大学)
  • 討論者:北村友人(東京大学)、大塲麻代(帝京大学)

発表者

  1. 吉田夏帆(高崎経済大学)
    「ミャンマーの初等教育における修学パターン分析―社会経済的地位(SES)に着目して―」
  2. 森下拓道(国際協力機構)
    「女子教育における出生順位効果:マリ共和国のケース」
  3. 加藤俊伸(国際協力機構)
    「オンライン海外体験学習の可能性―「国際協力フィールドワーク(インド)」の実践から―」
  4. 前田美子(大阪女学院大学)
    「カンボジアにおけるカンニング行為―開発援助の影響に着目して―」

本セッションでは、4名の会員により、発展途上国における教育開発の諸相に接近を図った研究発表が行われた。

最初の吉田夏帆会員(高崎経済大学)研究発表は「ミャンマーの初等教育における修学パターン分析 ―社会経済的地位(SES)に着目して― 」と題し、同国における、学校記録にもとづく縦断的研究手法による初等教育の修学実態の把握に基づき、教育課題の抽出と政策提言を行うものであった。本研究は、教育開発研究手法の革新にも貢献する研究となっていた。

二番目の発表は、森下拓道会員(国際協力機構) による「女子教育における出生順位効果:マリ共和国のケース」と題する研究発表であった。本研究は、出生順位、性別による教育達成度の違い、や達成度に差異が生じる教育段階などについて分析し、女子教育の推進に当たっての政策的インプリケーションを導くことを目的に、同国のDHSを基に行われた精緻な実証分析であった。

三番目の発表は加藤俊伸会員(国際協力機構)による 「オンライン海外体験学習の可能性ー『国際協力フィールドワーク(インド)』の実践からー」と題した発表で、コロナ禍においてほぼ不可能となった海外体験学習を、現地機関(インドのNGO)と協力し、オンラインにより実現した発表者の活動報告であった。参加学生の前向きなアンケート調査結果も紹介され、オンライン海外体験学習の開発教育における今後の可能性が示された。

四番目の発表は前田美子会員(大阪女学院大学)による 「カンボジアにおけるカンニング行為ー開発援助の影響に着目してー」というユニークなテーマの研究発表であった。同国において深刻な教育課題であるカンニング行為が、先進国における先行研究において指摘された要因のみならず、開発援助などの途上国特有の要因との連関で議論されている点が興味深かった。

いずれの発表も実証データの精緻な分析に基づく研究であり、教育開発分野の研究水準の向上が示唆された。

(報告:黒田一雄)

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A3: 企画「社会連携委員会企画セッション『民間企業にとってのSDGsを問い直す』」(日本語)

  • 企画責任者:川口純(筑波大学)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所)
  • 討論者:大橋正明(聖心女子大学)、黒田かをり(CSOネットワーク)

発表者

  1. 関正雄(損害保険ジャパン日本興亜株式会社 CSR室シニアアドバイザー・明治大学)
    「SDGsとこれからの企業の役割1」
  2. 有元伸一(株式会社ローソン 経営戦略本部SDGs推進部長)
    「SDGsとこれからの企業の役割2」

本企画セッションは、SDGsに取り組んでいる民間企業から2名の発表者を招聘し、ご発表を行って頂いた後、指定討論者からのコメント、質問に続き、全体議論を実施した。参加者は計40名程であった。

第一発表者として、本学会の会員でもある関正雄氏(損害保険ジャパン株式会社・明治大学)からご報告頂いた。2020年11月に経団連が発表した「新成長戦略」についてご説明頂き、SDGsの浸透で2030年がマイルストーンイヤーとして認識されるようになったが、それは文字通り一つの通過点でしかないことが確認された。そして、その先にめざす社会像への想像力と、長期的なビジョンを自身の戦略や行動に落とし込む構想力を持つする必要性を提示された。 

つぎに、有元伸一氏(株式会社ローソン 経営戦略本部SDGs推進部長)から具体的な社内の取り組みについてご発表頂いた。社内文化や利益との関係を含めて試行錯誤の様子をご報告頂いた。決して順風満帆に推進されてきたのではなく、課題も山積していている内部事情もご共有頂いた。

その後、本委員会の委員である大橋正明会員(聖心女子大学)、黒田かをり会員(CSOネットワーク)から上記2名の発表に対するコメント、質問を出して頂き、同じく委員の佐藤寛会員(ジェトロ・アジア経済研究所)をモデレーターとして議論が展開された。

議論としては「如何なる観点からSDGsを捉え直すのか」という点に焦点が当たり、「人権」、「企業利益」、「社会貢献」と言った従来からのテーマだけでなく、そもそも「持続可能な社会とは何か?」「今後、起こりうるトラブルは?」という様な幅広い議論が展開された。

本企画は継続的に議論を進めていく予定であり、最終的には議論を纏めた書籍を刊行する予定である。

(報告:川口純)

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A4: 企画「『多遍性』(pluriversality)実現への道筋」―地域コミュニティから近代的「普遍性」(universality)の超克を探る―(日本語)

  • 企画責任者:真崎 克彦(甲南大学)、藍澤 淑雄(拓殖大学)
  • 司会:真崎 克彦(甲南大学)
  • 討論者:藍澤 淑雄(拓殖大学)、 飯塚 明子(宇都宮大学)

発表者

  1. 真崎 克彦(甲南大学)
    「多遍性(pluriversality)研究の背景・意義―企画の趣旨」
  2. 藤枝 絢子(京都精華大学)
    「地域コミュニティのレジリエンスの多遍性(pluriversality)―バヌアツの離島における自然災害からの考査―」
  3. 斎藤 文彦(龍谷大学)
    「地域の取り組みから考える多遍的(pluriversal)な社会づくり―スペイン・バルセロナと日本・二本松との比較を通じて―」

国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の一環として行われた。最初の座長による趣旨説明(「多遍性研究の背景・意義―企画の趣旨」)では、西洋近代型の「普遍的」とされる進歩観と一線を画した「多遍的」な世界各地の社会づくりに関する研究動向が紹介された。

藤枝報告(「地域コミュニティのレジリエンスの多遍性―バヌアツの離島における自然災害からの考査」)では、バヌアツの離島村落にて、自然災害時にどのような被害軽減や復興が果たされるのかが検証された。その際、地域在来の生活様式(住居や農業の形態、共同体の紐帯など)で培われてきたレジリエンスが発揚される。一般的に「小」島嶼国が持つとされる脆弱性では測り切れない。

斎藤報告(「地域の取り組みから考える多遍的な社会づくり―スペイン・バルセロナと日本・二本松との比較を通じて」)によると、バルセロナでは資本主義経済から社会連帯経済への転換が進み、市民政党が生まれて意思決定過程に影響を与えている。福島県二本松市の東和地区では東日本大震災の後、多様な外部関係者との連携が推進されており、バルセロナと同じく、政治経済的な主体性復権がその成果の重要な鍵を握る。

藍澤会員と飯塚会員からは両報告を踏まえて、「普遍的」とされるレジリエンスや経済発展についての従来の見方から離れて、地域固有の「多遍性」からとらえ直す必要性が指摘された。そして、考察を今後も深めていくことへの期待が表明された。本セッションには常時18名前後の会員が参加され、活発な質疑応答が交わされた。

(報告:真崎克彦)

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A5: RT「途上国の産業人材、生産性、カイゼン」―『途上国の産業人材育成-SDGs時代の知識と技能』出版記念企画―(日本語)

  • 企画責任者: 山田肖子(名古屋大学)
  • 司会:大野泉(政策研究大学院大学)
  • 討論者:神公明(国際協力機構)、島田剛(明治大学)、山田肖子(名古屋大学)

発表者

  1. 高橋基樹(京都大学)
  2. クリスチャン・S・オチア(名古屋大学)
  3. 辻本温史(国際協力機構)

本ラウンドテーブルは、2021年2月に日本評論社より刊行された『途上国の産業人材育成:SDGs時代の知識と技能』の出版を記念して開催された。

産業人材育成には、国の経済発展や産業振興、企業の生産性向上といった経済開発に関わる目的だけでなく、個人のキャリア形成、雇用、貧困削減といった教育、社会政策に関わる目的も存在する。このように、対象者や視点によって、多面的な意味を持つ産業人材育成に関して、本セッションでは、学際的かつ実務と研究を架橋した議論を試みた。それにより、執筆者はもとより、参加者とも問題意識を共有し、継続的に議論が行われるためのプラットフォームを形成することが目指された。

話題提供者として、高橋基樹会員(京都大学)、クリスチャン・オチア会員(名古屋大学)、辻本温史会員(JICA緒方貞子平和研究所)が登壇し、カイゼンの途上国への選択的適応と企業の生産性向上を前提とした介入の課題、エチオピアを事例とした産業人材の就業前教育と卒業者の労働市場成果、日本の産業人材育成分野における開発協力の変遷について現状と諸課題が報告された。その後、ディスカッサントである島田剛会員(明治大学)、神公明会員(JICA緒方貞子平和研究所)、山田肖子会員(名古屋大学)からの問題提起も踏まえた議論が展開された。

とくに、企業の生産性向上と労働者の能力向上のための介入としてODA事業で展開されてきた日本型カイゼンの特徴を改めて見直す必要性が指摘されるとともに、フォーディズムと対比してボトムアップだとされる日本型カイゼンが、モデル普及を目指す中で、むしろモデルの固定化を起こしており、状況や個別特殊性に基づいた帰納的発想の再確認が必要との意見もあった。

最後に総括として大野泉会員より、途上国の産業人材育成に関する議論を深める為には、研究と実務を架橋する多面的な視点を取り入れる重要性を改めて確認し、本RTは閉幕した。

(報告:山田肖子)

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A6: 企画「防災と気候変動適応における投資の促進に向けて」―アジアの視点からのレビュー・事例研究―(日本語)

  • 企画責任者: 佐々木大輔(東北大学)
  • 司会: 石渡幹夫(東京大学/国際協力機構)
  • 討論者: 広田幸紀(埼玉大学)

発表者

  1. 佐々木大輔(東北大学災害科学国際研究所)
    「防災投資に関する文献レビュー―最近の文献からみた防災投資の現状―」
  2. 吉岡渚(笹川平和財団海洋政策研究所)
    「アジア太平洋における海洋・沿岸域レジリエンスと適応ファイナンス」
  3. 地引泰人(東北大学)、ペルペシ・ディッキー(インドネシア大学)、佐々木大輔(東北大学)、井内加奈子(東北大学)
    「災害後復興ニーズ評価調査(Post Disaster Needs Assessment: PDNA)が災害リスク削減と気候変動 適応対策への投資に重要な意味を持つのか ―文献調査にもとづくインドネシアとフィリピンの二国 間比較分析―」
  4. 坂本壮(東北大学)、佐々木大輔(東北大学)、石渡幹夫(東京大学)
    「日本の治水事業における費用対効果分析手法の変遷と進化―治水経済調査マニュアル(案)改定過 程に着目して―」

本企画セッションでは、防災と気候変動適応における投資の現状について、既往研究等の文献レビュー、及びアジアの複数の地域(日本、インドネシア、海洋・沿岸域等)を対象とした事例研究の成果について、座長である石渡幹夫客員教授(東京大学/JICA)の進行のもと、4篇の報告があった。

佐々木報告では、仙台防災枠組が採択された2015年以降に公刊された防災投資に関する文献等のレビューを通して、防災投資の現状について整理がなされるとともに、テキストマイニングによる計量分析を行うことで、文献において特徴的な語や発行主体による差異等が明らかにされた。

吉岡報告では、オープンデータベースを用いて過去10年間の援助プロジェクトの承認状況を把握することにより、アジア太平洋地域における海洋・沿岸域の適応策への援助の流れを俯瞰し、現状の資金ギャップの具体的な所在を明らかにした。地引報告では、災害後復興ニーズ評価調査(Post Disaster Needs Assessment: PDNA)と、災害リスク削減(Disaster Risk Reduction: DRR)及び気候変動適応対策(Climate Change Adaptation: CCA)への投資との関係性等について考察を行った。

坂本報告では、治水事業における費用対効果分析手法を適用する際の利点と限界を検証するために、治水経済調査マニュアル(案)の改定過程や海外ODAプロジェクトにおける治水事業の費用対効果分析の実施状況についてレビューを行った。

何れの報告に対しても、討論者の広田幸紀教授(埼玉大学)から的確なコメント・質問を頂き、聴講者との質疑応答を通じて議論が深まり、充実したセッションとなった。これらの成果報告を通して、防災及び気候変動適応への投資を拡大する際の課題や今後の研究の方向性がより明確になったものといえる。

今後、仙台防災枠組・持続可能な開発目標(SDGs)・パリ協定といった国際アジェンダの動向も踏まえながら、さらに研究を発展させることにより、強靭な社会の実現に向けた政策提言に繋げていくことが期待される。

(報告:佐々木大輔)

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A7: 企画「国際教育開発への挑戦」―これからの教育・社会・理論―(日本語)

  • 企画責任者:荻巣崇世(上智大学)
  • 司会:川口純(筑波大学)
  • 討論者:橋本憲幸(山梨県立大学)

発表者

1.小原優貴(お茶の水女子大学、日本学術振興会特別研究員)
「誰が教育するか―質をともなう教育普及の実現に向けて」
2.芦田明美(早稲田大学)
「どう具現化するか—新たな「連携」と「協働」の形の模索」
3.荻巣崇世(上智大学)
「いかに関わるか—国際教育開発に関わる「わたし」を考える」

本企画セッションでは、2021年1月に刊行した『国際教育開発への挑戦―これからの教育・社会・理論―』(荻巣崇世・橋本憲幸・川口純編、東信堂)の執筆陣を中心に、「誰が教育するか」「どう具現化するか」「どう関わるか」という3つの視点から、2030年およびその先に求められる国際教育開発の理論と実践について改めて検討しました。

川口純会員(筑波大学)による進行のもと、小原優貴会員(お茶の水女子大学/日本学術振興会)「誰が教育するか―質をともなう教育普及の実現に向けて」、芦田明美会員(早稲田大学)「どう具現化するか—新たな「連携」と「協働」の形の模索」、そして荻巣崇世(上智大学)「いかに関わるか—国際教育開発に関わる「わたし」を考える」の三つの発表がなされ、書籍で展開した議論を改めて交流することができました。

橋本憲幸会員(山梨県立大学)による指定討論では、例えば紛争下など、国家も市場も教育を提供できないような状況では誰が教育を担うのか、「連携」「協働」など水平的な国際教育開発に問題があるとすればどんなものか、また、自己耽溺に陥ることなく自己を問い開いていくために、国際教育開発論として何が求められているのか、など、三つの発表を貫く質問が提示され、参加者も交えて議論を交わしました。

後半は、参加者からのコメントおよび質問を受けました。国際教育開発の分野で実践・理論の両方に関わり活躍してきた参加者からは、これまでの経験を踏まえた励ましを頂き、国際教育開発がこれまでどのように紡がれてきたのかを再確認する機会となりました。

また、発表者らと同年代の参加者からは、発表に対する共感とともに「共創」「共育」など新しい概念も提示され、書籍で展開した議論をさらに深め、広げることができました。参加して下さった皆様に感謝申し上げます。

(報告:荻巣崇世)

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午後の部 I(12:30-14:30)(GMT +9)Afternoon Session I

B1: RT「若手による開発研究セッション:開発における研究と実践を越境する」(日本語)

  • 企画責任者: 石暁宇(横浜国立大学大学院)、須藤玲(東京大学大学院)
  • 司会: 須藤玲(東京大学大学院)
  • 討論者: 池見真由(札幌国際大学)、木山幸輔(筑波大学)、小林誉明(横浜国立大学)、松本悟(法政大学)

本セッションは、研究と実践の世界、またその両方を見渡してきた討論者をお招きし、討論者と若手の対話や、討論者同士の対話を通じて、研究と実践の越境という古くて新しい課題に向き合うために企画された。また、将来のキャリアを模索する本学会の若手の会員にとっては、登壇者との交流を通じて、開発に携わる選択肢の多様性を考える機会と位置付けた。

本セッションでは、多様なバックグランドを有する登壇者4名(池見真由先生、木山幸輔先生、小林誉明先生、松本悟先生)を交えて、主に以下の2点について焦点を当てて対話が行われた。

一つ目は、「研究の『意義』」についてである。研究の意義についてある種執拗に求められる昨今において、開発研究がどのように生かされているのか、という若手の疑問が背景にあり、対話の中で、「開発実践」が必ずしも途上国にあるとは限らず、多様な活かされ方があることが示唆された。

二つ目のトピックは、「実務者と研究者という職業の選択について」である。実務者の役割と研究者の役割に触れつつも、登壇者のご経験を交えた対話を通して、それぞれのキャリアパスが必ずしも計画通りに進んできたわけではなく、「縁」などの外的な要因も大きな変数としてあることが指摘された。その上で、自分の置かれている環境や時代と照らし合わせつつ、自分が面白いと思えることを突き詰めて考えていく重要性が示唆された。そしてセッションの最後には、4名の登壇者から若手へ向けたメッセージもいただき、セッションは終了した。

本セッションでは、終始和やかな雰囲気の中で、討論者と司会者そして質問者を交えて活発な対話が行われた。今後は、今回のセッションで得られたヒントや視座を、本学会「若手による研究部会」へ持ち帰り、共有することが求められると同時に、本部会にしかできない企画を考えていく上で、非常に意義深いセッションとなった。

(報告:須藤玲)

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B2: 「NGO・方法」(日本語)

  • 座長:大橋正明(聖心女子大学)、
  • 討論者:西野桂子(関西学院大学)、高柳彰夫(フェリス学院大学)

発表者

  1. 飛田麻也香(広島大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
    「イスラエル・パレスチナ紛争とNGO―教育分野で平和構築活動を行うNGO団体の類型化―
  2. 熊谷圭知(お茶の水女子大学)
    「参与観察と参加型開発をつなぐ『場所』―40年のパプアニューギニア調査研究から―」
  3. 田中博((一社)参加型評価センター)、束村康文((特活)ピースウィンズ・ジャパン)
    「MSC(Most Significant Change)手法とログフレーム評価の併用の試み―ネパールNGO農業プロジェクトにおける参加型・質的評価とログフレームの相互補完関係―」
  4. 松隈俊佑(京都大学)福林良典(宮崎大学)木村亮(京都大学)
    「国際NGOの参画により実現した草の根無償支援を活用した小規模道路整備 ―タンザニア南部ムトワラ州における事例―」

本セッションでは、4名の会員の発表があり、2名の討論者がコメントを行い、それに発表者が答え、可能な場合には他の参加者からの口頭、あるいはチャットやQ&Aを通じた質疑応答が行われ、全体としては活発なセッションとなった。討論者の役割分担は、NGOに関連した二つの発表はフェリス学院大学の高柳会員が、方法論に関連した二つの発表は関西学院大学の西野会員がそれぞれ担当した。

最初は、広島大学大学院の飛田会員の「イスラエル・パレスチナ紛争とNGO―教育分野で平和構築活動を行うNGO団体の類型化」と題する発表で、イスラエルとパレスチナで平和構築に関連する教育活動に携わる諸NGOの情報を集め、類型化し、そこから得られた知見をまとめた興味深いものである。困難な状況下での情報収集を行ったことは評価に値する一方、これらのNGOの財源に関すること、あるいはそうした活動の成果に関しては、今後の研究の中で明らかにされることが期待される。

つぎは、お茶の水女子大学の熊谷会員の「参与観察と参加型開発をつなぐ『場所』―40年のパプアニューギニア調査研究から」という、会員の40年間に渡る研究・活動をまとめた興味深い発表である。参与観察者は開発といった変化を望まない場合が多いが、発表者は「場所」がもたらした相手との互酬的な関係から、参加型開発の活動に積極的に関与してきたことに注目が集まった。

続く報告は、(一社)参加型評価センターの田中会員による「Most Significant Change(MSC)手法とログフレーム評価の併用の試みーネパールNGO農業プロジェクトにおける参加型・質的評価とログフレームの相互補完関係」であった。今まで多くのJICAやNGOによって使われてきたログフレームに準拠したプロジェクト評価の長所と問題点、そしてMSC手法の評価の長所と問題点を列挙し、両者の相互補完性が強調されたが、残された課題も確認された。

最後は、京都大学の松隈会員から「国際NGOの参画により実現した草の根無償支援を活用した小規模道路整備―タンザニア南部ムラワラ州における事例」という発表者の経験に基づいた発表がなされた。いくつかの制約がある草の根無償支援のプロジェクトが、日本のNGOを関与して実施されたことは注目される。一方でこれが普遍化できる可能性について、関心が集まった。

(報告:大橋正明)

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B3: 企画「人が自ら動くための条件」(日本語)

  • 企画責任者: 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 司会: 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 討論者: 田中由美子(城西国際大学)

発表者

  • 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 「他者との関係性において自己の経験を物語ること―日本における「ストーリーベースメソッド」の 比較検証ー」
  • 佐柳信男(山梨英和大学)
  • 「開発援助における主体性(agency)の心理測定の課題と展望」
  • 柳原透(拓殖大学)
  • 「主体能力形成・強化の段階の可視化ーチリの最貧困層プログラム (チリ・ソリダリオ) の設計と実績―」

本企画セッションでは、当事者主体の開発やエンパワーメントの前提となる、主体性醸成(Agency Development)のプロセスの「見える化(物語化・段階化・計量化)」の取り組みについての発表と討議が行われ、約20名の方々にご参加いただいた。

第一発表「他者との関係性において自己の経験を物語ること」においては、佐藤峰会員(開発人類学)が生活記録運動において、ライフストーリーの文章化プロセスが、当事者にもたらした変容と要因の検証がなされた。

第二発表「主体能力形成・強化の段階の可視化ーチリの最貧困層プログラム (チリ・ソリダリオ) の設計と実績ー」では、柳原透会員(開発経済学)により、チリ・ソリダリオにおけるソーシャルワーカーと対象者の関わりに見る、段階的変容の記録の政策分析がなされた。第三発表「開発援助における主体性(agency)の心理測定の課題と展望」では、佐柳信男会員(教育心理学)が、開発援助の分野における、自己決定理論に基づく、心理測定の現状と課題について論考した。

その後、田中由美子会員より、ジェンダーと開発を中心とした開発実践の立場から、それぞれの発表に対してコメントを頂戴した。そして、全ての発表に関連する今後の課題として「開発途上国における、主体能力涵養については、その具体的なプロセスに関しては、十分な量的・質的研究が少ない。」、「課題は明らかになっている部分はあるが、途上国においても(デジタルも含め)ストーリーテリングの手法を応用し、女性自身の視点から、女性自身が言葉を紡ぎだして、主体能力涵養をどのように可能ならしめるのか。」、「国際協力の観点からは、フロントワーカーの主体能力涵養についても、研究があると良い。」という3点をご指摘いただいた。

最後に、フロアより「事例における活動の地域的特性」や「事例における外部支援者への拒絶の有無」などの質問をいただきそれぞれに回答をした。本セッションで頂戴したコメントは、英語で執筆中の共著書への内容に反映させていただくとともに、実践への反映もできるように努めてまいりたい。

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B4: RT「人新世(アントロポセン)の開発協力論」(日本語)

  • 企画責任者: キム・ソヤン(ソガン大学)
  • 司会(Chair/Moderator): 佐藤寛(アジア経済研究所)
  • 討論者: 松岡俊二(早稲田大学)、花岡伸也(東京工業大学)

発表者

  1. キム・ソヤン(ソガン大学)
  2. 大山 貴稔 (九州工業大学)

本セッションではまず企画者の金会員より、新型コロナウイルスなどの人獣共通感染症がグローバルな野生動物違法取引の拡大によって加速されることを指摘した上で、人間の活動が生態系の健全性に大きな影響を与える「人新世」において、脆弱層が抱えるリスクはより悪化し、その結果過去様々な開発成果の逆戻りが深刻化する恐れがあると強調した。このように、人新世において、COVID-19コロナウイルス題を踏まえつつ、人間と生態系との関係を根本的に見直す「惑星の正義」とグローバル公共財という概念によって開発協力を基礎づける視点を提供した。

つづいて、大山貴稔会員(北九州工業大学)は人新世的課題をめぐる議論から「設計主義的な回復/自生的秩序の手入れ」という2つの類型を抽出し、後者の類型と開発協力の結びつき方についての問題提起を行った。

これらを受けて、松岡俊二会員(早稲田大学)からはトランスサイエンスの時代における科学者と市民の科学コミュニーションという視点から、人新世概念をめぐる動向に踏み込む視点を提供した。花岡伸也会員(東京工業大学)は、工学(とくに土木計画学とインフラの構築)における計画性と不可逆性という観点から、人新世概念のような世界認識を支える思想の重要性が指摘された。

その後、佐藤寛会員(ジェトロ・アジア経済研究所)の司会で、a) 人新世における開発的介入のあり方とは? b) 知的権力と専門家の傲慢さの結びつきをどのように飼い馴らすか? c) グローバル・ジャスティス(公共財と惑星正義)のローカル実践の難しさとその実践主体、d)脱成長は「非開発」なのか、といった論点について活発な質疑応答が繰り広げられた。これに対して「Just transition(公正な移行)」議論、またグローバル・ジャスティスのローカル実践に関連して、empathy(共感)と政治的意思の重要性も指摘された。 

参加者は20名程度であったが、参加者からもチャットで質問、コメントが寄せられ、今後ともこのテーマを巡る議論を活性化していく必要性が指摘された。

(報告:キム・ソヤン)

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B5: RT「子どもの安全保障」―南アジアの脆弱な子どもへの開発アプローチ―(日本語)

  • 企画責任者: 勝間 靖(早稲田大学)
  • 司会: 勝間 靖(早稲田大学)
  • 討論者: 勝間 靖(早稲田大学)

発表者

1.小野道子(東京大学大学院)
「パキスタンに住むベンガリー移民の子どもたち」
2.新井和雄(国際ロータリー)
「ネパールで自然災害を経験した子どもたち」
3.田中志歩(広島大学大学院)
「バングラデシュに住む少数民族の子どもたち」

本セッションでは,「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会における研究活動に基づき、部会メンバーの研究領域における事例研究を発表した。事例研究を深め、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指している。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学)が、このラウンドテーブルの企画者として、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。それぞれの事例につき、(1)脆弱な子どもとは誰かを社会的文脈において明らかにしたのち、(2)どのような生存・生活・尊厳の課題やリスクがあるかという状況の把握、(3)それがどのような脅威やハザードに起因するものかという原因の分析、(4)そして安全や安心を保障するため、脅威やハザードによるリスクそのものの軽減へ向けて、どのような保護の政策が取られるべきなのか、(5)また脅威やハザードによるリスクへ適応すると同時に強靭性を高めるため、啓発や教育などをとおして、子どものエンパワーメントをいかに進めるべきか、について検討した。

最初に、小野道子会員(東京大学大学院)が「パキスタンに住むベンガリー移民の子どもたち」と題して発表した。パキスタンで「ベンガリー」と呼ばれる人びとは、1960~1990年代後半にかけてパキスタンに移住したベンガル人ムスリムとアラカン出身ムスリム(ロヒンギャ)であり、200万人以上がカラーチーにあるカッチー・アーバーディと呼ばれるスラム地区に居住している。「ベンガリー」の子どもたちの多くは、市民権(IDカード)を所持できない無国籍者で、移動の自由がなく、社会保障制度へのアクセスがないとのことである。

つぎに、田中志歩会員(広島大学大学院)が「バングラデシュに住む少数民族の子どもたち」と題して発表した。バングラデシュに暮らす少数民族のなかでも、とくに山岳少数民族(チッタゴン丘陵地帯系少数民族)の人びとが困難な立場にあると報告した。両親は子どもが学校に行かなくてもよいと考えていることがあったり、少数民族言語での母語による教育が限られていたり、生活に乖離したカリキュラムを実施している学校が多いことから、就学率が低かったり、ドロップアウト率が高かったりするとの報告があった。

最後に、新井和雄会員(国際ロータリー)が「自然災害と子どもの安全保障 ネパールで自然災害を経験した子どもたち」と題して発表した。比較的に裕福な世帯の子どもが通う私立学校と、貧しい世帯の子どもが通うコミュニティ学校とを対比しながら、地震による影響の違いを説明した。また、貧しい世帯の子どもが通うコミュニティ学校のなかでも、防災教育を実施していた学校とそうでない学校との間で、教育の再開に違いがあることを示した。

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B6: RT「デジタル技術は経済開発をリープフロッグさせうるのか?」

  • 企画責任者: 狩野剛(ミシガン大学)
  • 司会: 狩野剛(ミシガン大学)
  • 登壇者:竹内知成(監査法人トーマツ)、内藤智之(神戸情報大学院大学)、 綿貫竜史(名古屋大学)
  • 討論者:高田潤一(東京工業大学)、井上直美(東京外国語大学)

本セッションでは、国際開発におけるデジタル技術の可能性と課題を探るため、教育・研究・実務という異なる立場でデジタル技術と国際開発に関わる3名からの発表および、討論者・参加者を交えた議論が行われた。

冒頭、ミシガン大学の狩野剛会員から主旨説明と国際開発におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の現状と課題について紹介があった。また、ルワンダのIT立国を題材に、デジタル技術により経済開発のリープフロッグは起きうるのかという問題提起がなされた。

それを踏まえ、神戸情報大学院大学の内藤智之会員からは、コロナ禍があぶり出したデジタル適応力と社会的耐性の因果関係として、経済開発段階ごとのリープフロッグの可能性について言及。また、国家のデジタル化とコロナウイルスによる経済インパクトの分析が紹介された。

つづいて、名古屋大学の綿貫竜史会員からは、バングラデシュの縫製産業で働く女性たちをターゲットに、「女性の金融包摂を推進」という一見前向きに見える流れの裏で、家庭内立場に起因する、給与支払いのデジタル化がもたらす負のインパクトについての考察が紹介された。

また、(一社)ICT for Developmentの竹内知成会員からは、昨今の国際協力業界で増えているProof of Concept (PoC) の実情と抱える課題として、民間企業・被援助国など異なる立場からの視点で紹介があり、国際開発プロジェクトでのPoCのあるべき姿について問題提起がなされた。

その後、討論者である東京工業大学の高田潤一会員および東京外国語大学の井上直美会員を中心にコメントと議題提起が行われ、リープフロッグと人的資本の蓄積の関係、ICTサービスのローカリゼーション、PoC 導入と持続可能性、そしてビジネス開発における示唆などについて議論が行われた。また、参加者からもデジタル格差やDXと経済成長について質問が挙がり、活発な議論が行われた。

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B7: Industry / Agriculture (English/英語)

  • 座長(Chair):福西隆弘(アジア経済研究所)
  • 討論者(Discussant):後藤健太(関西大学)、新海尚子(津田塾大学)

発表者(Presenter)

  1. Khemmarath Parinya(Utsunomiya University)
    “Entrepreneurial Characteristics and the Production of Household Producers of Rice in Lao PDR―The  Case Study of Savannakhet Province’s Three Zones”
  2. Kiyoto Kurokawa (Ritsumeikan University)
    “How to identify the real value of the local treasures – A comparative study of old towns in Koka City, Shiga Prefecture, Japan -“
  3. Van-Truong Pham (Rikkyo University) and, Kataoka Mitsuhiko (Rikkyo University)
    “A non-parametric frontier analysis in Vietnamese garment firms (Preliminary study)”
  4. Inami Hiromi (Waseda University)
    “The Impact Analysis of Poverty Reduction by Hindustan Unilever―A Case Analysis of Shakti Project in India-”

The session B7 “Industry/Agriculture” consists of four presentations that explore research questions strongly reflecting the local context. The first presentation by Khemmarath Parinya is a unique study that investigates farmers’ characteristics from their entrepreneurial orientation in Laos. He shows that entrepreneurial orientation differs by regions and is associated with farming practice and other characteristics. Given the significant associations, the discussant encouraged to investigate more in detail, so that consistent interpretations can be drawn from the analysis. The second presentation by Kiyoto Kurokawa argues about marketing of the tourism in Koka city, suggesting Ninja for a symbol of the city among several local resources. It could be a common and important issue in Japan, where local towns may have lost their identity through the recent large-scale merger with neighboring towns. However, as discussed, process to select a symbol needs to be constructed based on the relevant literature and more comprehensive surveys to justify the author’s selection of Ninja.

The third presentation by Van-Trung Pham measured productivity of the Vietnamese garment firms, and found heterogeneity in production management by firm size. It has advantage over the existing studies in using census data, while the discussant indicated possibility of measurement errors in outputs. The study would be more meaningful if the productivity distribution is interpreted with good understanding of local industries including management, labor markets and input/output markets. The last presentation by Hiromi Inami critically evaluates the private company’s project for poverty reduction in India. She argues that the Unilever’s project that facilitates small business for poor women is a part of company’s BOP marketing activities, and likely to hurt future welfare of the poor. As suggested by the discussant, constructing analytical framework would help to clarify the problems and possibly strength of the private-driven project and to deliver effective policy recommendations.

Partly because of online format, few discussions were made with the audience unfortunately. However, attendance of audience motivated the presenters and the excellent comments by the discussants will help them to further develop their studies.

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B8: 企画「開発レジリエンスと新型コロナ時代のSDGs」―「誰一人取り残さない」のための人間の安全保障―(日本語)

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)、野田真里(茨城大学)
  • 司会:関谷雄一(東京大学)
  • 討論者:大門毅(早稲田大学)

発表者

  1. 関谷雄一(東京大学)
    「開発レジリエンスとSDGs:震災復興から新型コロナ禍へ」
  2. 本田利器 (東京大学)
    「危機耐性」から考える社会的レジリエンス」
  3. 大谷順子(大阪大学)
    「女性と健康:コロナ禍のレジリエンス」
  4. 受田宏之(東京大学)
    「コロナ禍とインフォーマリティ、貧困」
  5. 野田真里(茨城大学)
    「新型コロナ時代のSDGsと『取り残される人々』」
  6. 乙部尚子(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)
    「ジェンダ-と労働の世界:コロナ感染危機の影響とレジリエンス」

本セッションは2021年度より新設の「開発レジリエンスとSDGs」研究部会によるラウンドテーブルで、同研究部会のキックオフミーティングでもあった。始めに関谷が企画・研究部会の主旨説明と、人類学の見地から議論されている開発及び新型コロナ禍以降の社会のレジリエンスに関して課題提供をした。

つづいて本田会員から、途上国の災害復興の在り方に見いだされる「危機耐性」における社会的レジリエンスの重要性を示唆する報告がなされた。大谷会員からは、開発レジリエンスに関わる様々な論考を踏まえつつ、新型コロナ禍における女性と子どもの健康にかかわる現状と課題の説明がなされた。受田会員からは、新型コロナ禍と向き合うメキシコ先住民のインフォーマリティ―を前提としたレジリエントな経済活動のありようが紹介された。そして野田会員からは、太平洋島嶼部と日本の離島を事例に、「取り残される人々」の開発レジリエンスに関する報告がなされた。最後に乙部会員からは、グローバルな視座からのコロナ危機下のジェンダーと労働の問題に関して報告がなされた。

各報告後に論点として、開発におけるレジリエンスとSDGs、レジリエンスの定義、「取り残される人々」の課題、「人間の安全保障」などを設定し、討論者に大門会員を迎え、来訪者も交えて議論が行われた。新型コロナ禍により改めてSDGsが途上国の問題ではなく私たち自身の問題であることが再確認され、SDGsを巡る言説の危うさも言及された。また、インフォーマリティ―(許容された違法性)や「取り残された人々」に着目することの重要性も再確認された。

(報告:関谷雄一)

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午後の部 II Afternoon Session II (14:40-16:40) (GMT+9)

C1: 政府系援助(日本語)

  • 座長:豊田利久
  • 討論者:北野尚宏(早稲田大学)、石田洋子(広島大学)

発表者

  1. 汪牧耘(東京大学)
    「途上国における中国の貧困削減経験の共有―対ラオスの援助事業からみる―」
  2. 李嘉悦(双日株式会社)
    「中国対外援助の基本構造と新たな展開」
  3. 藤城一雄(国際協力機構)
    「生活改善アプローチ研修の学びに影響を与える研修員属性の実証研究ー14年分の中米地域生活改善アプローチ研修データのテキストマイニング分析から―」
  4. 坂根徹(法政大学)
    「2004年スマトラ沖大地震・津波後のアチェにおけるインフラ復興と災害遺産の活用―日本の先行研究及び現地の現状分析を中心とした考察―」

全体として、良く練られた報告と討論がなされ、大いに盛り上がったセッションであった。参加者は、20~23名程度であった。

報告1、2は中国の援助政策に関する斬新で優れたものであるという評価を得た。しかし、その内容は対照的であり、討論も大いに盛り上がった。報告1は、中国政府が初めて行っている「村レベルでの貧困削減援助政策プロジェクト」のラオスでの事例を扱い、中国国内での貧困削減政策の経験が活かされているか、課題は何か、をめぐって討論された。報告2は、中国の援助の目的が国益重視(資源獲保、消費市場拡大)からDACを意識したソフト面への変貌が徐々にみえることをデータおよび制度改革によって示した。特に、商務部主体の援助事業に加えて新設された国家国際発展協力署の役割などが議論された。

報告3は、JICA研修を通じて蓄積されたデータを基に、「中南米での生活改善アプローチ」を根付かせ発展させるための研究成果である。インプリケーションとして、①適切な研修員の選抜、②帰国研修員との協働、③継続性、等が重要であると結論した。しかし、選抜方法と属性の関係など、より詳細な項目に関するデータ分析の必要性が指摘された。

報告4は、アチェにおける津波被害からの復興に関して、現地の視察とCiNii文献の検索を通じて行ったものである。報告者の視点は、インフラの公共資金調達の限界とそれを補完する災害遺産の活用である。文献検索の対象を拡大すればより多くのデータが扱える等の指摘があった。

(報告:豊田利久) 

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C2 政策・ガバナンス・開発(日本語)

  • 座長:絵所秀紀(法政大学)、
  • 討論者:笹岡雄一(明治大学)、松本悟(法政大学)

発表者

  1. 勝間靖(国立個億歳医療研究センター/早稲田大学)
    「世界的に公正なCOVID-19ワクチンへのアクセスをめぐる政治経済学― COVAXファシリティとワクチン外交―」
  2. 大塚健司(アジア経済研究所)
    「メコン流域の開発と環境をめぐる非対称な相互依存関係」
  3. 内田善久(東洋大学大学院)、松丸亮(東洋大学)
    「バングラデシュ気象局における日本政府の支援による気象レーダー観測網拡充の変遷と運用維持管理状況に関する考察」
  4. 岡野内正(法政大学)
    「SDGs達成危機において強まるベーシック・インカム政策要求―国連開発計画および世界銀行における政策思考の転換?―」

勝間靖「世界的に公正なCOVID-19ワクチンへのアクセスをめぐる政治経済学―COVAXファシリティとワクチン外交―」報告は、「世界的に公正なCOVID-19ワクチンへのアクセス」を進めるために何をするべきかという問題にアプローチするものであった。低所得国へのワクチン供与の国際協力枠組みとして設置されたCOVAX AMCに十分な資金が集まらず、二国間ワクチン外国が補完的な役割を果たしているが、外交のツールとして用いられないよう「国際公共財」としての位置づけが求められると結論づけている。

大塚健司「メコン流域の開発と環境をめぐる非対称な相互依存関係」報告は、2019年、2020年に開催されたメコン・ダイアログに参加した経験を踏まえた報告であった。メコン流域の開発と環境をめぐる中国と下流国、国家・科開発資本と地域住民との間には、根深い対立・相互不信がある。こうした非対称な相互依存関係の複雑な絡み合いについての共通認識を深めつつ、「越境的共創」に向けた流域ガバナンスを構築することが必要と提唱した。

内田善久「バングラデシュ気象局における日本政府の支援による気象レーダー観測網拡充の変遷及び技術官のモチベーションの向上に関する考察」報告の内容は表題通りであるが、気象レーダー塔施設の新設によって「技術官」の立場とモチベーションが高まり、気象観測能力の底上げに重要な役割を果たしたと結論づけた。

岡野内正「SGDs達成危機において強まるベーシック・インカム政策要求―国連開発計画および世界銀行における政策思考の転換?」報告は、国連諸機関は「労働に基づく所有」原則と抵触する懸念のあるベーシック・インカムを拒否しなくなり、これは経済成長主義からエコロジカル・ヒューマニズムへの開発パラダイムの歴史的転換であると評価した。

本セッションの討論者は、笹岡雄一会委員と松本悟会員であった。なお参加者数は最大で26名であった。

(報告:勝間靖)

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C3: Education/ Conflict (English)

  • 座長(Chair):澤村信英
  • 討論者(Discussant) 吉田和浩(広島大学)、小川啓一(神戸大学)

報告者/Presenters

  1. Yalei Zhai (Shinshu University)
    “Evacuation Decision-making During Armed Conflict: Evidence from Myanmar”
  2. Takao Maruyama (Hiroshima University), Kengo Igei (Metrics Work Consultants Inc.), Seiichi Kurokawa (JICA)
    “ Community-wide collaboration to improve basic reading and math: Empirical Evidence from Madagascar”
  3. Kazuro Shibuya (JICA)
    “Managing Conflicts within School Communities in Ghana: Focusing on Conviviality as a  
     Complementary Analytical Lens of Social Capital”
  4. Nakawa Nagisa (Kanto Gakuin University)
    “An episode leading to a linguistic issue in mathematics education in Zambia: A case study of teaching weight in an early childhood mathematic classroom”

本セッションでは、以下の4件の発表があった。参加者は25~30人、コメンテーターは小川啓一(神戸大学)および吉田和浩(広島大学)の各会員である。いずれの発表も本学会にとって重要な研究テーマであり、独創的な内容であった。

(1)「Evacuation decision-making during armed conflict: evidence from Myanmar」(信州大学 Yalei ZHAI)

ミャンマーを事例として、武力紛争時において世帯が避難を行う際の決定要因を明らかにし、避難行動における貧富の影響等を推定することを目的としている。紛争の影響を受けた6村、214世帯を対象として収集した量的データをもとに、3つの仮説を設定し、検証したものである。サンプリングの方法、指標の適否などについて意見が交わされた。

(2) 「Community-wide collaboration to improve basic reading and math: empirical evidence from Madagascar」(広島大学 丸山隆央ほか)

マダガスカルで行われているJICAプロジェクト(読み書き計算能力向上)の効果を実証的に検証しようとするものである。なぜ効果をあげたのかは、校長や学校運営委員会に対する情報共有の仕方(シンプルなフォーマットで)にあるという結論であった。分析結果の解釈、データ収集の時期(新学年始期とのタイミングなど)について質疑が行われた。

(3) 「Managing conflicts within school communities in Ghana: focusing on conviviality as a complementary analytical lens of social capital」(JICA 澁谷和朗)

ガーナの学校における生徒の規律をめぐる対立を抑制する方法として、「コンビビアリティ(共生的実践?)」が機能しているかを質的データから明らかにするものである。そして、コンビビアリティは、社会関係資本を補完する分析レンズとなり得る可能性を示唆した。社会関係資本とコンビビアリティの関係性やサンプリングに関する議論などが交わされた。

(4) 「An episode leading to a linguistic issue in mathematics education in Zambia: a case study of teaching weight in an early childhood mathematics classroom」(関東学院大学 中和渚)

ザンビアの算数授業における教授法の特徴を言語的な側面から明らかにするものである。言語は数学的理解に影響を与え、民族語と英語における数学的概念の微妙な違いを意識した授業づくりの大切さが示唆された。子どもの学習の様子、教師とのやり取りを丁寧に分析し、コロナ禍においても現地研究者の協力を得て研究が進められていることが印象的であった。

(報告:澤村信英)

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C4: 紛争・平和構築・移民(日本語)

  • 座長:穂坂光彦(日本福祉大学)
  • 討論者:華井和代(東京大学)、斉藤千宏(日本福祉大学)

発表者

  1. 明石留美子(明治学院大学)
    「日本で暮らすロヒンギャ女性の生活課題 ―多文化ソーシャルワークの視点からの考察―」
  2. 齋藤百合子(大東文化大学)
    「人身取引は現代の奴隷制か? ―<他者化>を超える社会開発の可能性―」
  3. 加藤丈太郎(早稲田大学)
    「技能実習制度による発展途上国への技能移転の課題と可能性―ベトナム人技能実習生の声から考える―」
  4. 黒川智恵美(広島大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
    「意識的往還型人材の移住と帰還戦略―日本の高学歴スーダン移民の事例―」
  5. 小林かおり(椙山女学園大学)
    「『多文化共生』とポスト『留学生30万人計画』―別府市と福岡市の取組み事例から― 」

発表者5名の過密セッションであったが、いずれも入念に準備されたプレゼンとコメントにより、効率的で内容の濃い討論が行われた。参加者はピーク時で約25名。

明石留美子報告「日本で暮らすロヒンギャ女性の生活課題:多文化ソーシャルワークの視点からの考察」は、ロヒンギャ女性9名の身体・心理・社会に関わる実態調査に基づく欲求分析から、受け入れ側社会の課題を明らかにした。討論者の斎藤千宏会員は、マズローの欲求論を分析枠とすることの妥当性の検証と、ムスリムとしての特性を考慮する必要性を指摘した。

齋藤百合子報告「人身取引は現代奴隷制か? <他者化>を超える社会開発の可能性」は、人身取引議定書の採択(2000年)とそれ以降の言説を分析し、人身取引を「現代奴隷」としてみることが、「犠牲者」としての保護対象を拡大した一方、当事者の「他者化」を招くおそれがあると指摘した。斎藤千宏会員は、タイの人身売買事例が現代奴隷制言説の枠でどう分析できるのかを質問し、加えて座長の穂坂が、「他者の声を聴く」「社会開発」について補足説明を求めた。

加藤丈太郎報告「技能実習制度による発展途上国への技能移転の課題と可能性:ベトナム人技能実習生の声から考える」は、技能実習生、監理団体および送り出し機関からの聞き取りに基づき、日本で習得した「技能」と、帰国後に就業する業種や求められる技能とのミスマッチを明らかにした。そして移転を想定される「技能」の再定義が必要であると述べた。討論者の華井和代会員は、当報告の課題を「技能実習制度」全体の視野の中で位置づけ、「ミスマッチ」が制度自体の問題か制度運用の問題かを整理すべきこと、また「再定義」以前に現「定義」の分析が求められると指摘した。さらに明石会員は、実習生が被る人権侵害問題への言及を求めた。

黒川智恵美報告「意識的往還型人材の移住と帰還戦略:日本の高学歴スーダン移民の事例」は、頭脳流出・頭脳還元に関する独自の類型化を基に、スーダン出身の日本滞在者12名のオンラインインタビューから、母国貢献意識の生成を明らかにする試みであった。華井会員は、仮説と検証の構造を明瞭にする助言とともに、今後の展開として、「ABEイニシアティブ」などアフリカ青年向け往還型人材育成プログラムを枠組みのひとつに用いるヒントを与えた。

小林かおり報告「『多文化共生』とポスト『留学生 30 万人計画』:別府市と福岡市の取組み事例から」は、地域の「高度人材」として期待される留学生が、九州の二都市で実際にどのように受け入れられ、かれらのキャリア形成がどうなされているかを考察するものであった。華井会員は、留学生を労働力としてのみ期待する地域や、働き手としてのキャリアのみに注目する政策を越えて、全人的に受け入れられる「地域共生社会」の研究が社会や行政にフィードバックされる期待を述べた。

いずれの報告も、テーマ、アプローチ、データ等に新しさがみられ、扱われる社会課題の解決への道筋を感じさせるものであった。 

(報告:穂坂光彦)

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C5: 企画「アフリカ都市部における技能と雇用」(日本語)

  • 企画責任者:近藤菜月(名古屋大学)
  • 司会: 山田肖子(名古屋大学)
  • 討論者: 高橋基樹(京都大学)、町北朋洋(京都大学)

発表者

  1. 近藤菜月(名古屋大学)
    「<新しい能力>論への問い―アフリカでの調査から見えてくるもの―」
  2. 山崎裕次郎(名古屋大学)
    「ウガンダ都市零細金属加工業における学びの空間―正統的周辺参加の正統性とは何かー」
  3. 松原加奈(京都大学)
    「エチオピア都市部の革靴産業における民族間賃金格差―労働者の出身地と「再民族化現象」に着目して―」
  4. 水谷文(名古屋大学)
    「賃金と昇給の決定因子―エチオピア産業パークの若手労働者を対象として―」

本企画の報告者らは、アフリカをフィールドとして、労働者の属性及び能力と賃金の関係、具体的実践について、様々なアプローチで研究、考察を行ってきた。本セッションでは、アフリカ都市部における労働機会上の差異が生まれるメカニズムを、個々人の労働主体(の属性及び能力)と文脈/状況との相互作用に着目した。

近藤報告は、「不確実性」をキーワードに、<新しい能力>論と、アフリカの行為者の態度とを接合する理論的考察を行った。山崎報告はウガンダ都市インフォーマル金属加工の作業場における見習いの実践に焦点を当て、親方と見習いの関係について分析した。松原報告はエチオピア都市部の革靴産業における民族間賃金格差に注目し、民族的な扶助ネットワークの有無について論じた。水谷報告はエチオピア産業パークの企業と労働者を対象に、入社時と入社後の賃金決定因子についての分析結果を提示した。

高橋先生は、ご自分のインフォーマルセクターのご研究経験に基づき、主に近藤・山崎報告に対して、現地社会・共同体の性質に照らした質問をいただいた。町北先生からは、各報告へのコメントに加え、企画全体に対し、「急速な成長と目まぐるしい変化」を扱う上で、アジアの労働・組織史の研究蓄積から学ぶことの重要性を示唆して頂いた。

(報告:近藤菜月)

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C6: 経済開発(日本語)

  • 座長:梅村哲夫(名古屋大学)
  • 討論者:島田剛(明治大学)、栗田匡相(関西学院大学)、新海尚子(津田塾大学)

発表者

  1. 田村哲也(立命館大学)・大野敦(立命館大学)
    「AfT、不安定性、規範―GVCにおけるWTO体制―」
  2. 松本愛果(京都大学)・高橋基樹(京都大学)
    「ケニア・ナイロビにおけるインフォーマル経済活動へのCOVID-19の影響―教育の水準と種別に着目して―」
  3. 島根良枝(龍谷大学)
    「労働移動の経済社会的要因と教育投資への影響―インド全国標本調査を用いた実証分析―」

第一報告は、貿易のための援助(Aid for Trade, AfT)について、多くの研究で途上国の貿易コストを下げることが証明されている反面、途上国の貿易開放度の上昇と国際分業への編入によって、国内経済が不安定になり不遇な人々がより脆弱なる、これはAftの理念に反すると論じている。本報告は、ロールズの国際正義からAfTを論じたものであるが、結論としてAfTはいわゆる中所得国に対して相対的に集中しかつ効果的であったが、サブサハラ諸国などより援助を必要としている国に対しては、国内経済を不安定化させるなど負の影響についても考える必要がある、という新たな視点を提供したものであった。

第二報告は、ケニアの首都ナイロビにおいて、“COVID-19・移動制限によるインフォーマルな事業の収入変動や経営行動の変化に対して、事業主の最終学歴と教育種別(普通教育か職業教育かの別)がどのように影響しているのか”に関する分析である。結論としては、COVID-19によって引き起こされた経済ショックに対抗しうる抵抗力や回復力は、職業教育を受けた人々の方が基礎教育だけを受けた人々より高いことが実証分析で確認された。その理由として職業教育では、経営能力を修得しているからだという説明がなされた。

第三報告は、インドにおける人の移動に関して、①国内を移動するか、県内、州内、州外のどこに移動するかという選択に関して、世帯や移動する世帯構成員個人のどの経済社会的属性が影響しているのか、②労働移動によって子供の就学状況に影響が生じているかを検証したものである。結論としては、“より厳しい環境にある人々が労働移動していること、労働移動が子供の就学に中等教育の段階でマイナスになる一方、高等教育を受ける機会拡大につながっていること”が示された。

本セッションは経済開発となっているものの、国際貿易、COVID-19と教育・経済活動、労働移動という全く異なった研究発表となったが、それぞれ興味深く、また新たな視点を提供してもらった。また討論者による建設的なコメントをいただき、参加者の理解も深まったと思います。なお、今回キャンセルされた報告も含め、大会後も討論者の方々がコメントを交換するなど、極めて有意義なセッションであったと感じ、また報告者、討論者を含め、サポートの関係者に対して深くお礼を申し上げたいと思います。

(報告:梅村哲夫)

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C7: 企画「JASIDブックトーク」

  • 座長:佐藤寛(アジア経済研究所)・道中真紀(日本評論社)

1.「アフリカにおけるジェンダーと開発 女性の収入向上支援と世帯内意思決定」(甲斐田きよみ著 春風社 2000年)

  • 報告者:甲斐田きよみ(文京学院大学)・韓智仁(春風社)
  • 討論者:和田一哉(金沢大学)

2.「人類学者たちのフィールド教育――自己変容に向けた学びのデザイン」(箕曲在弘・二文字屋脩・小西公大編、ナカニシヤ出版2021年)

  • 報告者:箕曲在弘(東洋大学)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)

3.「パプアニューギニアの「場所」の物語――動態地誌とフィールドワーク」(熊谷圭知、九州大学出版会2019年)

  • 報告者:熊谷圭知(お茶の水女子大学)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)

4.「国際教育開発への挑戦――これからの教育・社会・理論」 (荻巣崇世・橋本憲幸・川口純/編著、東信堂2021年)

  • 報告者:荻巣崇世(上智大学)・橋本憲幸(山梨県立大学)・川口純(筑波大学)
  • 討論者:北村友人(東京大学)

5.「東日本大震災の教訓――復興におけるネットワークとガバナンスの意義」(D. P .アルドリッチ(著) 飯塚明子/石田祐(訳)、ミネルヴァ書房2021年)

  • 報告者:飯塚明子(宇都宮大学)
  • 討論者:斎藤文彦(龍谷大学)

6.「国際協力と想像力――イメージと「現場」のせめぎ合い」(松本悟・佐藤仁/編著、日本評論社2021年)

  • 報告者:松本悟(法政大学)
  • 討論者:山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

JASIDブックトークは、会員が自著を担当編集者と共に紹介するセッションです。書籍の内容紹介に留まらず、企画から刊行、販売までの過程を含めて「出版」をトータルに語り、これから本を読む人/書く人の参考にしていただくことを目的に、2019年春季大会より継続的に行われています。今回は登壇者を含め最大46名にご参加いただき、充実した報告と討論が行われました。

(報告:佐藤寛)

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共通論題セッション 

  • 企画責任者:林薫(文教大学)
  • 司会:海津ゆりえ(文教大学)
  • 討論モデレーター:渡邊 暁子(文教大学)
  • 報告者:加賀大資(認定特定非営利活動法人カタリバ)
  • 報告者:Ashutosh Nema (Bachpan Bachao Andolan, India: インド・子ども時代を救え運動)
  • 討論者:勝間靖(早稲田大学)
  • モデレーター: 渡邉暁子(文教大学)

大会の全体のテーマ「ともに生きる:課題解決のために知識と経験を共有する Live together: Sharing Knowledge and Experience for better solution」の趣旨に沿い、新型コロナ感染症拡大以前から、困難な状況に置かれた子どもたちを対象として活動を行っている日本とインドの市民団体のパネリストに、特にコロナ禍における子どもへの支援活動について経験を共有することをセッションの目的とした。

第1報告はNPOカタリバの足立区拠点で活動する加賀大資氏にお話しいただいた。カタリバは2001年から「いかなる環境に生まれ育った子どもたちも、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し」活動を続けている。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供してきた。

報告では子どもの貧困の連鎖が文化資本、社会関係資本、経済資本の欠如と連鎖で発生するメカニズムで生じているとし、この連鎖を断つために行っている「安全基地」づくりの活動についてまず紹介されたあと、コロナ禍でこれまでのつながりを維持することが困難になった状況を踏まえて、給食から弁当への変更などの食事提供手段の変更をしたり、コロナ禍に伴って困窮した家庭にPCとWi-Fiを無償貸与し学習支援を行う「キッカケプログラム」を開始したりするなど、子どもと親の双方に同時に「伴走支援」を行うことなどの取り組みについて報告がなされた。

第2報告はインドのNGO、Bachpan Bachao Andolan(BBA)で活動されているAshutosh Nema氏にインドのCovid-19の状況についてお話しいただいた。BBAは1980年から子どもたちが児童労働の搾取から解放され、質のよい教育を受けられる社会づくりをめざして活動おり、ニューデリーのほか、設置して、デリー、ラジャスターン州、ウッタル・プラデシュ州、ビハール州などで活動している。

設立者であるカイラシュ氏は、2014年にノーベル平和賞を受賞した。Neema氏はまずインドにおける感染の拡大により貧困層の状況が急速に悪化しており、その結果(親の)失業、貧困、児童労働の増加というスパイラルに陥り、また学校の閉鎖による教育格差の拡大、子どもの感染などが深刻化している。これらの困難な状況に対して、BBAなどのNGOと政府関係機関が協力して対処している状況について報告した。

討論者の勝間会員からは、①重症化しにくく危機感をあまり持たない若者がウイルスの拡散者になりうることから、どのようにすればマスクの着用、三密の回避などにむけた若者の行動変容をもたらすか、②学校における対面授業からオンライン授業への変換に際して、いかにデジタル・ディバイドを埋めていくか、③コロナに関連した知的所有権の公開に関して途上国と英国やドイツなどの先進国との利害が対立しているが、どのようにして子どもの権利の主張を知的所有権の公開に結び付けて行くか、などの課題が提起された。

つづくフロアディスカッションでは、コロナ禍によって最も大きな影響を受けているのは貧困層と子どもであり、どのような対応策が可能かなどについて活発な議論が行われた。

(報告:林薫)

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ポスターセッション

  1. 家族の食事と個人の栄養摂取ータンザニア3地域の家計食事日誌と個人インタビューからー/阪本公美子・大森玲子・津田勝憲(宇都宮大学)
  2. ミャンマー少数民族紛争とクーデター -日本企業による平和構築の展望ー/丸山隼人(早稲田大学)
  3. 森林・自然資源管理プロジェクトで適用する活動アプローチの方法論化ー研究による効果的な現場フィード
    バックに向けてー
    /久保英之(地球環境戦略研究機関)・山ノ下麻木乃(地球環境戦略研究機関)
  4. コロナ禍における国内のモスクの感染症対策と支援活動/田村 まり(東京大学)・小谷仁務(東京大学)・子島進(東洋大学)
  5. 明治期の唱歌による音楽教育の経験が開発途上国の音楽教育に与える示唆ー情操教育の劣後と音楽教 
    育の継続性・浸透性の観点からー
    /鈴木智良(JICA緒方研究所)
  6. 「アラブの春」とは何だったのか?ー革命10年後のチュニジアからー/大門(佐藤)毅(早稲田大学)
  7. サヤインゲンの契約農家における農家の収益と参加に関する考察ーケニア・ナクル県の事例からー/久保田ちひろ(京都大学)
  8. 重度障害者の生存の難しさーネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたことー/白井恵花(聖心女子大学大学院2021年3月卒業)
  9. COVID-19禍におけるバングラデシュの教育現場の対応と課題ー山岳少数民族地域を事例にー/ 田中志歩(広島大学)
  10. Community and Parental Participation in Ugandan Primary Education: Cases of Bushenyi and Wakiso Districts/ Takumi Kobayashi (Kobe University)
  11. Descriptive Modelling of Intergenerational Persistence in Education and the Influence of Family Lineage Descent Systems in The Democratic Republic of Congo/ Bernard Yungu Loleka (Kobe University)
  12. Ensuring Equitable Access to Early Childhood Education in Lao PDR before and during the COVID-19 Pandemic/ Masaya Noguchi (Kobe University)
  13. School to work transition in rural Madagascar: exploring parents’ influence on children’s aspirations/ Fanantenana Rianasoa Andriariniaina (Osaka University)
  14. Exploring the place of global citizenship education in the local context of Madagascar: from the views and practices of rural school stakeholders/ Andriamanasina Rojoniaina Rasolonaivo (Osaka University)
  15. Smallholder Households Characteristics and Offspring’s Basic Education in Mozambiq/ Nelson Manhisse (Kobe University)
  16. Local Autonomy and the Challenge of Industrial-Firm Upgrading in Post-Reform Indonesia: A Study on the Impact of the 2009 Local Tax Law/ Bangkit A. Wiryawan (Nagoya University)
  17. Home Learning Environment for Early Childhood Development in Banglades/ Kexin Wang(Kobe University)
  18. A review on Vulnerabilities Posed by Tsunami in Coastal Areas of Pakistan/ Babar Ali (Toyo University) and Ryo Matsumaru (Toyo University)

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プレセッション 6月11日(金曜)18:30-20:00

「若手実務者、研究者のための特別企画:COVID-19下で世界とどのようにつながっていくか」

  • 司会:林 薫(文教大学)
  • 報告・討論者:池田 直人(難民を助ける会)
  • 報告・討論者:高柳 妙子(早稲田大学日本学術振興会博士特別研究員RPD)

海外に行くことができないこの時期に、国際開発学に関わる事業運営や研究をどのように行うか、また研究をまとめていくのかについて、知識や経験を交換、共有することを目的とした。2人の話題提供者から、それぞれの立場での実務、研究上の経験やアイデアを伝え、それをめぐって参加者とともに意見交換・交流を行う方式で行った。

高柳妙子会員は、「アフリカ・アジア地域:Covid-19下におけるケニア・マサイの村での調査およびタイ先住民を対象とした調査研究」というテーマで、2020年(Covid-19発生後)から2021年6月時点まで、どのように調査研究を進めているかについて話題提供をした。

具体的には、過去に収集した教育と開発に関するインタビューデータの公衆衛生の視点からの再分析(英文雑誌に査読付き論文を投稿)やケニア・マサイの村で現地アシスタントによる補足調査などである。フィールド調査に際しては、PCR検査受診、陰性証明書持参、感染対策のためのマスク、アルコール消毒液の持参を徹底して、データ収集を実施するよう依頼した。

現在、タイ北部における幼稚園調査を準備中で、チェンマイ大学の共同研究者たちと、先行研究のレビュー、研究枠組みの構築、インタビュー質問項目の作成を行い、大学内の倫理委員会の承認を受けるべく準備中であることや、オンラインで研究打合せを頻繁に行っている、などの取り組みを紹介した。

池田直人会員は「パキスタンにおけるインクルーシブ教育事業とJICA『障害と開発』関連事業」というテーマで報告を行った。パキスタンにおける国際開発事業では、新型コロナウイルス流行前から、遠隔業務を強いられることがあった。

日本人が現地に行けない、現地のカウンタパートが日本人のいるプロジェクト事務所に来てもらえない、もしくは、彼らに集まってもらえる機会が作れない、のような様々な制限がある中、最も力を入れていたのはスタッフ育成だった。

それと同時に、現場に入れないことで時間に余裕ができたため、プロジェクトとは関連性の低いと考えてきたパキスタンの政治・経済・社会・文化的な背景についてより深く調べるようになった。ピンチをチャンスに変えられた事例として、障害者社会参加促進を目的とした事業であったが、政府の優先課題となっていた環境や気候変動に関連する活動を行い、政府とのさらなる関係改善に成功したことを紹介した。

ディスカッションではジェンダー格差に対する配慮はどのように行ったか、チームワーク強化の具体的な方法はどのようなものであったか、新しい人材の遠隔での育成方法はどのように行われたかなど、それぞれの取り組みの詳しい内容や今後の方向性に関する議論が活発に行われた。

(報告:林薫、池田直人、高柳妙子)




大会組織委員会からのお知らせ(2021年8月)

大会組織委員会では、2021年6月12日に開催された第22回春季大会の準備及び実施において、文教大学の林薫委員長を中心とする実行委員会の支援を行った。

また、本年11月20~21日に開催を予定している第32回全国大会についても、和田一哉実行委員長を中心に金沢大学での準備を支援している。第22回春季大会は、対面・オンラインのハイブリッド実施を目指したが、新型コロナウィルスの感染状況を受けて、全面オンラインでの実施となった。金沢大会は、ハイブリッドを前提に準備を進めている。

また、2022年の第23回春季大会は、福岡県立大学を中心に実施されることが理事会で承認されている。比較的若手で構成される実行委員会で地域ならではのテーマを掲げた大会が続くことになり、学会の活性化に繋がれば幸いである。

大会の実施だけでなく、学会活動の主なイベントである大会が学会員同士および学会外との連携、相互の学び合いの機会となるよう、大会組織委員会としても運営手法や内容面でのインプットをしたいと考えている。

大会組織委員長・山田肖子(名古屋大学)




社会連携委員会からのお知らせ(2021年8月)

第22回春季大会において、本委員会主催の企画セッションを開催しました。詳細は大会報告に記載していますが、「SDGsを再考する」というテーマの下、闊達な議論が展開されました。本テーマは今後も継続して議論を深めていき、議論の成果は日本評論社から書籍として刊行する予定です。

また、今後「学術研究者による非研究者へのナレッジ共有プロジェクト」と題した、本委員会主宰の連続セミナーを開催していく計画です。本セミナーは、学会と民間企業との連携を強めるために企画しました。まず、学会員をゲストスピーカーとして招聘し、研究活動を紹介して頂きます。最新の国際開発の課題について民間の方々と一緒に議論していきます。多くの会員の皆様にご参加頂ければ幸いです。

社会連携委員長・川口純(筑波大学)




人材育成委員会からのお知らせ(2021年8月)

人材育成委員会の委員と幹事が全員出席して、2021年6月29日に、2か月に1度の定例の委員会をオンラインで開催しました。簡単に議論の内容をご報告致します。

(1)春季大会の振り返り 若手研究部会を中心に、人材育成委員会と研究×実践委員会が参加したセッションについて振り返った。「面白い人を集めれば面白くなる」、「具体的に話すことで具体的な学びに繋がる」、「若手の目には順調に映る先達がかつて抱えていた不安を共有することは意味がある」など、前向きな意見が出された。

(2)国際開発論文コンテスト 学期中は授業準備などで手が回らなかった広報を急ぎ行っていく。

(3)今後の活動に向けたブレーンストーミング

  • 春季大会を振り返り、結果だけでなく、知的生産(研究、論文や本の執筆)プロセスを共有することが「人材育成」に繋がるのではないか。
  • 人材育成の実践の場である大学の授業にもっと目を向けてはどうか。学会員が開発や国際協力をどのように14回の授業で教えているのか、学会でもあまり共有されていない。
  • 開発における感性の重要性を考えると「文学と開発」は重要なテーマ。学会員がどんな小説を読んできたのかをリスト化してみてはどうか。
  • 人材育成委員会の役割として、情報を提供することと議論の場を提供することと、どちらに重きを置くのか。
  • コロナ禍だからできる人材育成として「オンライン大学」があるのではないか。無料で15分程度で1つのテーマについて学ぶことができるようなもの。そこから学会に繋げていく。学部生向けと大学院生向けに用意するというのはどうか。

以上です。人材育成委員会の活動に関心をお持ちの会員の方は是非メール等でご連絡下さい。

人材育成委員長・松本悟(法政大学)




優秀ポスター発表賞(2021年度 春季大会)

2021年度春季大会のポスターセッションでは、18件の意欲的な研究報告がありました。オンライン開催を考慮して、昨年度の全国大会に引き続き、今回もビデオ掲載による発表の形式となりました。

ポスターセッション発表に対する賞選考委員会および常任理事会での厳正な審査の結果、下記の作品が優秀ポスター発表賞と優秀ポスター発表奨励賞の対象として選出されました。

賞選考委員長・三重野文晴
(京都大学)


優秀ポスター発表賞

白井恵花 

『重度障害者の生存の難しさ-ネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたこと―』


大門毅(奨励賞)

『「アラブの春」とは何だったのか-革命10年後のチュニジアから―』 

Kexin Wang(奨励賞)

“Home Learning Environment for Early Childhood Development Outcomes in Bangladesh”




【会員限定】常任理事会議事録(第217・218回)

第217回常任理事会

  • 日時:2021年6月6日(日曜)10時00分~13時00分
  • 方法:オンライン開催
  • 出席者(敬称略):佐藤、高田、山田、池上、川口、小林、佐野、島田、杉田、三重野、松本、志賀、秋保

審議事項

支部・研究部会について

池上総務委員長より、来年度の支部・研究部会の募集につき、これまでのところ研究部会について継続4つ、新規1つの申請があったとの報告があり、理事会に諮ることが承認された。

2022年度会費について

池上総務委員長より、学生会員に対する会費減額措置を来年度も継続すること、途上国/先進国会員という会費区分を撤廃することについて提案があり、承認された。

事業年度と会費年度の分離について

池上総務委員長より、事業年度と会費年度を分離する提案があり、今後も議論を継続していくこととなった。

幹事の追加について

小林研究×実践委員長より、功能会員、狩野会員の幹事就任に関する提案があり、承認された。また、杉田選挙管理委員長より、選挙管理委員会幹事を公募した結果、4名の学生会員から申請があったとの説明があり、4名の幹事就任が承認された。

入会希望者

志賀事務局長より34名の新規入会希望者が紹介され、承認された。また、26名の退会者が報告された。

「人文社会系学協会メーリングリストへのご参加のお願い」への対応について

人文社会系学協会連合連絡会からなされている「人文社会系学協会メーリングリストへの参加のお願い」への対応について志賀事務局長から説明がなされ、審議のうえ、参加の条件や方法について連絡会に改めて確認することとなった。

「ミャンマーにおける人間の安全保障シンポジウム」への協賛依頼への対応について

東京大学主催の「ミャンマーにおける人間の安全保障シンポジウム」への協賛依頼への対応について志賀事務局長から報告があり、承認された。

(報告事項)

宛名不明者一覧

池上総務委員長より、メールアドレス不明者47名について報告があり、不明者の中に常任理事の知っている会員がいる場合、連絡をとって確認していただきたいとの依頼がなされた。

2021年9月末で会費3年未納によって退会処分になる可能性がある会員一覧

池上総務委員長より、9月末で会費3年未納を理由として退会処分になる可能性がある会員が73名いるとの報告があった。

育志賞

三重野賞選考委員長より、育志賞の候補者の選考状況が報告された。

春季大会ポスターセッション表彰の選考

三重野賞選考委員長より、次期春季大会では18件のポスターセッション発表者が予定されており、ビデオセッション形式で全選考委員が評価する方法を採用する旨が報告された。

今年度の学会賞公募

三重野賞選考委員長より、現時点では1件の論文と1件の書籍の応募があったことが報告された。

i-vote選挙管理システム

杉田選挙管理委員長より、選挙管理システム(i-vote)について報告があり、どのような選挙管理システムを採用するかについて今後も検討していくことが説明された。

学会ホームページ改訂

高田広報委員長より、学会ホームページのリニューアルの進捗状況について報告された。

英文学会誌発刊準備

英文学会誌の編集体制の構築や国際諮問委員会の設置にかかる準備状況について報告された。(北村グローバル連携委員長が欠席の為、佐藤会長から報告)


第218回常任理事会

  • 日時:2021年6月30日~7月3日
  • 方法:メールによる開催

審議事項

キム・ソヤン会員がグローバル連携委員会の幹事に就任する案を審議し、理事会に諮ることが承認された。また、7名の新規入会者が承認された。

報告事項

6名の退会者が報告された。

第11期本部事務局長志賀裕朗(JICA研究所)




【会員限定】理事会議事録(第108回)

  • 日時:2021年6月12日11時45分~14時
  • 方法:オンライン開催
  • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、伊東、藤掛、小國、萱島、鍋島、佐藤(寛)、岡島、大橋、道中、勝間、澤村、池見、小川、黒田、高橋、山形、(以上、理事)、梅村(以上、支部長)、宮川(学生会員代表)、志賀(事務局長)、秋保(事務局次長)
  • 欠席:岡部、市橋、仲佐、藤山、藤倉、西川(以上、理事)、小池、黒川(以上、支部長)

議題

1)佐藤会長冒頭挨拶

佐藤会長より、林・第22回春季大会実行委員長への大会開催に向けた尽力への御礼が述べられた。また、学会新体制の取り組みについて会長から学会員に対する手紙を発送して説明することを検討しているとの報告があった。

2)第22回春季大会実行委員長からの挨拶

林大会実行委員長から、第22回春季大会はハイブリッド型から全面オンライン型へと開催型式を変更するなどの曲折があったが、無事に253名の登録者を得て無事開催の運びとなったことが報告された。

3)第32回全国大会実行委員長からの挨拶

和田第32回全国大会実行委員長から、金沢大学における第32回全国大会の開催について協力の依頼がなされた。

4)審議事項

(1)幹事の追加について

小林・研究×実践委員長より2名の会員を、杉田選挙管理委員長より4名の学生会員をそれぞれ幹事として、追加したい旨が説明され、承認された。承認された幹事は以下の通り(敬称略)。

研究×実践委員会

  • 狩野剛(ミシガン大学)
  • 功能聡子(ARUN)
選挙管理委員会

  • Fanantenana Rianasoa Andriariniaina(大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 松田華織(神戸大学大学院国際協力研究科)
  • 藤山美律(University of Sussex)
  • 神正光(名古屋大学大学院国際開発研究科)

(2)2022年度支部・研究部会について

池上総務委員長より、5月31日が提出〆切であった支部・研究部会の申請について、全ての支部が未提出であること、研究部会については継続4つ、新規1つの申請があったことが報告された。期限内に申請があった5つの研究部会についてはいずれも承認された。ただし、助成額については、来年度の全体予算を検討する際に決定することとした。また、追加申請を実施する旨、報告があった。承認された研究部会は以下の通り(敬称略)。

研究部会名

  • 市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発(継続・ 3 年目)
  • 代表者:真崎克彦(甲南大学) 副代表者:藍澤淑雄(拓殖大学)
  • アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会 (新規)
  • 代表者:高橋基樹(京都大学) 副代表者:井手上和代(明治学院大学)
  • ODAの歴史と未来 (継続・ 2 年目)
  • 代表者:佐藤仁(東京大学) 副代表者:峯陽一(同志社大学)
  • 開発のレジリエンスとSDGs (継続・2 年目)
  • 代表者:関谷雄一(東京大学) 副代表者:野田真里(茨城大学)
  • 子どもの安全保障への開発アプローチ(継続・ 2 年目)
  • 代表者:勝間靖(早稲田大学) 副代表者:小野道子(東京大学)

(3)2022年度学会費の減免について

池上総務委員長より、2021年度は新型コロナ感染症の影響による状況を鑑み、常勤職についておらず会費滞納をしていない正会員については会費を半額にする減免措置、学生会員については全額免除の措置をとってきた。来年度については正会員、学生会員とも本人から申請があった場合は継続して本措置の対象とする方針であり、定款細則の変更も検討していくとの報告がなされた。

また、正会員(途上国会員)区分(対象者5名)の廃止が提案された。高橋理事から、学生会員の会費減免措置については事務の手間を考慮しつつ対応すべきこと、正会員の減額措置での高齢会員については過去に希望者が少なかったことも勘案し、申請ベースで対応してはどうかとの提案がなされた。

それに対し、池上総務委員長からは、現在70歳以上の会員が約60名おり、一律に30%減免することも検討している旨回答があり、今後総務委員会にて検討していくこととなった。

(4)第23回春季大会について

山田大会組織委員長より、次回春季大会は福岡県立大学に内諾いただいており、6月18日開催を予定しているとの報告がなされ、理事会ではそれを承認した。

(5)優秀ポスター発表賞受賞者について

優秀ポスター発表賞受賞者について:三重野賞選考委員長より、本賞1名・奨励賞2名の合計3名を受賞者として選定する旨の報告がなされた。理事から奨励賞の受賞対象者の1人について、若手奨励を想起させる賞には相応しくないので、別の名称にすべきではないかとの提案がなされた。これに対し三重野委員長からは、内規との関係からすぐに新たな名称の賞を設定することが困難であることと、ポスターセッションの位置づけに関わることなので、今回は、授賞式で奨励賞の趣旨を丁寧に説明することで対応し、別の賞を設けるかどうかについては今後の検討課題としたいとの説明があり、了承された。

5)報告事項

(1)学会誌『国際開発研究』英文特集号の刊行について

北村グローバル連携委員長より理事に対し、編集委員会と国際諮問委員会の委員候補者の推薦の依頼がなされた。

(2)出前講座設置について:

佐野地方展開委員長より、出前講座設置について報告がなされた。

(3)学会HPリニューアルについて

高田広報委員長より、5月に行われたHPのリニューアルについて報告があった。また、4月に実施したアンケ―トの結果、メールでの配信の継続を希望する声が多かったため、今後も現状のまま配信することとなった旨が報告された。

(4)入退会報告

志賀本部事務局長より、34名の入会希望者、26名の退会者について報告があった。また、入会時に2名の推薦者を必須としていることについて、今後もこれを継続していくかどうかを今後議論したい旨が述べられた。これに対して、推薦人制度の廃止については合意するが、何らかの入会審査は行うべきであるとの意見や、会員として守るべき最低限のルール(会費納入等)の遵守を誓約させるべきとの意見が出たため、総務委員会と事務局で検討することとなった。

(5)2021年9月末で3年未納退会になる会員について

池上総務委員長より、3年間会費未納者が56名おり、9月末で退会扱いになることが報告された。また、メールアドレス不明者47名について報告があった。

第11期本部事務局長・志賀裕朗(JICA研究所)




活動報告『人の移動と開発』研究部会(2021年8月)

研究部会独自の公開イベント等は実施しなかったが、2021年6月12日に開催された国際開発学会春季大会報告『C4:紛争・平和構築・移民』において、部会員の齋藤百合子は「人身取引は現代の奴隷制か? ―<他者化>を超える社会開発の可能性―」を、加藤丈太郎は「技能実習制度による発展途上国への技能移転の課題と可能性―ベトナム人技能実習生の声から考える ―」を発表した。

『人の移動と開発』研究部会
代表:田中雅子(上智大学)




活動報告『子どもの安全保障への開発アプローチ』 研究部会(2021年8月)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めようとしている。

2021年6月12日に文教大学でオンライン開催された第22回春季大会では、ラウンドテーブルB5「子どもの安全保障〜南アジアの脆弱な子どもへの開発アプローチ」を企画した。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学)が、企画者として、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。そして、小野道子会員(東京大学大学院)がパキスタンに住むベンガリー移民の子どもたち」と題して、田中志歩会員(広島大学大学院)が「バングラデシュに住む少数民族の子どもたち」と題して、新井和雄会員(国際ロータリー)が「自然災害と子どもの安全保障〜ネパールで自然災害を経験した子どもたち」と題して発表した。

『子どもの安全保障への開発アプローチ』 研究部会代表:勝間 靖(早稲田大学)




活動報告『市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発 』研究部会(2021年8月)

第6回研究会(国際開発学会第22回春季大会 企画セッション)

  • 日時:6月12日(土曜)9時30分~11時30分
  • 場所:オンライン(文教大学・東京あだちキャンパス)
  • テーマ:「多遍性」(pluriversality)実現への道筋―地域コミュニティから近代的「普遍性」(universality)の超克を探る―

報告

  • 「多遍性(pluriversality)研究の背景・意義―企画の趣旨」真崎克彦(甲南大学)
  • 「地域コミュニティのレジリエンスの多遍性(pluriversality)―バヌアツの離島における自然災害からの考査―」藤枝絢子(京都精華大学)/コメンテーター:藍澤淑雄(拓殖大学)
  • 「地域の取り組みから考える多遍的(pluriversal)な社会づくり―スペイン・バルセロナと日本・二本松との比較を通じて―」斎藤文彦(龍谷大学)/コメンテーター:飯塚明子(宇都宮大学)

概要

最初の座長による趣旨説明では、西洋近代型の「普遍的」とされる進歩観と一線を画した「多遍的」な世界各地の社会づくりに関する研究動向が紹介された。

藤枝報告では、バヌアツの離島村落にて、自然災害時にどのような被害軽減や復興が果たされるのかが検証された。その際、地域在来の生活様式(住居や農業の形態、共同体の紐帯など)で培われてきたレジリエンスが発揚される。一般的に「小」島嶼国が持つとされる脆弱性では測り切れない。

つづく斎藤報告によると、バルセロナでは資本主義経済から社会連帯経済への転換が進み、市民政党が生まれて意思決定過程に影響を与えている。福島県二本松市の東和地区では東日本大震災の後、多様な外部関係者との連携が推進されており、バルセロナと同じく、政治経済的な主体性復権がその成果の重要な鍵を握る。

藍澤会員と飯塚会員からは両報告を踏まえて、「普遍的」とされるレジリエンスや経済発展についての従来の見方から離れて、地域固有の「多遍性」からとらえ直す必要性が指摘された。


第7回研究会

  • 日時: 7月31日(土曜)15時:00分~17時30分
  • 場所: オンライン

報告

『ポスト福祉国家にみる「新たな公共」と地域社会―「官・民/公・私」関係の再検討を通じて地域社会の公共性を考える』中西典子(立命館大学)/コメンテーター:秋吉 恵(立命館大学)

概要

とりわけ2000年代以降、「分権型社会」「新しい公共」「地方自治体と住民との協働」という言葉が取り上げられるようになった。不透明な未来社会への不安や危機意識の拡大など、揺らぐ現代社会のなかで、「自助」と「公助」をつなぐ「共助」として、地域の住民主体による「新たな支え合い」が期待されている。

他方で、いわゆる「地域社会の解体」はとどまる気配がなく、今あらためて公共とは何か、なぜ地域社会なのか、が問われている。本研究会ではこうした点を踏まえて、中西先生の報告では日本やイギリスの現状が取り上げられた。

その後、秋吉会員に本学会への示唆を引き出していただき、参加者どうしで世界各地の現況に照らして、地域社会の公共性のあり方について話し合った。

『市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発 』研究部会
代表:真崎克彦(甲南大学)




第24回春季大会情報・参加登録開始のお知らせ【第6報】

第24回春季大会(2023年6月10日)の情報更新、及び参加登録についてのお知らせです。

1.参加登録の受付開始

参加登録と参加費のお支払いが可能となりましたのでご案内致します。下記、大会参加申し込みのリンクよりご登録をお願いいたします。お支払いはクレジットカード払いのみとなりますので、ご了承下さい。皆さまの参加登録をお待ち申し上げております。

▼大会参加登録URL

  • 事前登録締切日:2023年4月29日(土曜)
  • 最終参加申込締切日:2023年5月14日(日曜)

2.暫定プログラムについて

大会プログラムにつきまして、暫定版を大会ウェブサイトにアップしました。下記リンクよりご確認下さい。

▼暫定版プログラム(2023年4月13日時点)

3.プレナリーセッションについて

プレナリーセッションの情報を大会ウェブサイトにアップしましたので下記リンクよりご確認下さい。

なお、今大会のプレナリーセッションの主たる使用言語は[英語]となります。日本語を含む他言語への通訳はありませんがリアルタイムでの文字起こし(英語)を予定しています。​

▼プレナリーセッション・プログラム

4.エクスカーションについて

春季大会の翌日、6月11日(日曜)に実施するエクスカーションの情報を大会ウェブサイトにアップしました。大会参加登録と合わせてお申し込み頂けます。

男鹿市・五城目町・羽後町という3つのオプションから選択頂けますので、ぜひご検討下さい。当日会場でのお申込みはできません。必ず大会参加申込みと合わせて【5月14日(日曜)】までにお申し込み下さい。

▼エクスカーションのご案内

  • 申込締切日:2023年5月14日(日曜)まで

5.実行委員長より

発表のお申し込みを頂きました皆さまにおかれましては、採択結果通知をお待ち頂いているところかと存じます。4月下旬のご案内にむけて、大会組織委員会の皆様にもご尽力頂きながら準備を進めているところです。ご案内までもうしばらくお待ち下さい。なお、論文提出締切は【5月19日(金曜)頃】を予定しています。

開催地の秋田もようやく桜が満開となりました。もう間もなく、田に水を入れ、代掻きをして、田植えがはじまっていきます。大会が開催される6月10日頃は、目に映えるような多彩な緑が山を覆う心地よい時期です。

皆さまの来秋を心よりお待ちしております。参加登録をぜひ宜しくお願い致します。


本件にかんするお問い合わせ先

第24回春季大会実行委員会
実行委員長:工藤 尚悟(国際教養大学・准教授)

  • jasid2023spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



院生レポート:第20回春季大会

野口雅哉(神戸大学国際協力研究科)

セッション:国際協力の質

2015年の国連総会にて採択された「持続可能な開発目標:SDGs」にて示された17の目標を通じて目指される“誰一人残さない世界”には、質の高い国際協力が必要不可欠である。

本セッションでは、国際協力の質について4名の会員から研究報告が行われた。座長として近藤久洋会員(埼玉大学)、コメンテーターとして飯島聰会員(埼玉大学)と土橋喜人会員(宇都宮大学)が各発表に対してコメントを行なった。


報告1「高等教育機関における地球環境問題に関連した行動インサイトの分析に関する一考察」榎本直子会員(法政大学環境センター)

榎本会員による報告では、法政大学で実施されている環境マネジメントプログラムに関する学生と教員の意識に関するアンケート調査結果を分析し、学生の地球環境問題に対する行動パターンに影響を及ぼす行動インサイトについて考察がなされた。

本研究の背景として、日本における2030年までの温室効果ガスの2013年度比26%削減目標に向けて、教育研究活動及び学生生活が地球環境問題に与える効果への期待がある。

アンケート分析の結果、9割以上の学生が地球温暖化対策の必要性を実感しながらも環境マネジメントプログラムに認知度が低く、温暖化対策における「廃棄物」や「化学物質」への関心も低いことが明らかになった。

費用対効果の観点からも、温室効果ガスへの数値目標には学生の参画の拡大が重要であり、認識と行動のギャップを埋めプログラムの有効性を高められるかが今後の課題として指摘された。


報告2「事後評価におけるODAプロジェクトの持続性」 笹尾隆二郎会員(ICNet株式会社)

笹尾会員による報告では、援助の3スキーム内の技術協力プロジェクトに注目し、援助関係者の中で重視されている持続性の評価について分析がなされた。問題設定として技術協力では、有効性・インパクト評価の平均点が高い一方で、持続性が低い傾向にあるという課題が挙げられた。

技術協力プロジェクトの事後評価は、持続性は組織・制度面、技術面、財務面の3つの視点から総合的にされており、技術協力においては特に技術面との関連が大きいという。

技術面の評価点が向上すれば、持続性全体の向上にも繋がると期待された。有効性・インパクト評価と技術力評価を行なった結果、両者の間に正の相関関係は見つからず、有効性・インパクト評価が高く、技術力評価が低い場合と、有効性・インパクト評価が低く、技術力評価が低い場合の2つのパターンがあることが指摘された。

前者の場合、プロジェクト目標が日本側専門家の尽力で達成可能であり、現地人材の育成度の不十分さが総合評価に反映されていないことが影響しており、プロジェクト目標に現地人材の育成を反映するよう設定を工夫する必要性があるという。

また、後者の場合、組織・制度面の評価が適切ではなかったことによることが多く、特にプロジェクトで生み出された成果の普及体制の整備・強化の必要性が示された。両者の対策を通じて、相当数の技術力プロジェクトの今後のパフォーマンスが改善される可能性が高いと述べられた。


報告3「国際データベースにおける信頼性の検証 ―ASEAN-Japan Transport Partnershipにおけるデータベース整備を例として」 武田晋一会員(拓殖大学)

武田会員による報告では、2004年に国土交通省主導で立ちあげられたASEAN-Japan Partnershipを事例にASEAN地域のインフラ関連データ整備についての検証が行われた。

多くの途上国ではインフラ関連データの整備環境が貧弱である一方で、分析者はデータ自体の吟味に多くの時間を割くことが出来ずデータを信頼して利用する他ないというのが現状だという。

特に問題として指摘されたのは、①統計上のデータの欠落、②異なる統計間におけるデータの乖離、③信頼性への疑問、である。データの収集者と利用者が違いに役割を認識していないことで起こる課題については、データ整備担当者は「使い方」を、政策策定担当者は「データ整備のされ方」を相互に理解する必要があると述べた。


報告4「フィリピンにおける障害者の法的能力―障害者条約との関連からー」森壮也会員(ジェトロ・アジア経済研究所)

森会員による報告においては、アジアの中でも障害者関連法の整備が比較的早い段階で進んだフィリピンを事例として、肢体・視覚・聴覚障害以外の障害への取り組みについての検証が行われた。

障害関連法の中では肢体不自由や視覚障害といった伝統的障害に加え、精神障害者の権利にも言及した法整備は進んでいる。一方で、現行民法や裁判所規則の中では、障害者に対して等しく認めてられていない法的権利が多く、差別的な条項について国内の当事者団体や国連の権利委員会からの見直しが迫られている。

このような状況に対して、フィリピンの障害者の法的能力を保証していくためには法体系全体の見直しが必要であるが、そのためには当事者と法曹関係者が協力して取り組んでいく必要があるという。


本セッションでの4つの報告を通じて、国際協力の質についての理解を深められた。国際協力の担い手というと国際機関やODA機関がまず挙げられるが、私たちの日々の行動の積み重ねの重要性や当事者を巻き込んだ施策の検討の必要性が榎本会員と森会員の報告から感じられた。

また、私自身研究を行う際に国際機関や政府の発行したデータを利用してきたが、データ整備には不備があることが多くあることを武田会員の報告から学べたので、今後のそのような二次データを用いる際には意識していきたい。

そして、国際協力の質を測るプロジェクトの事後評価の際には、笹尾会員が述べられたような評価の特性を理解して、質の改善を目指していく必要性を感じた。

本セッションに参加して得られた国際協力の質の向上に向けた新しい視座を、今後の自身の研究や国際協力への参画に活かしていきたい。

院生レポーター:野口雅哉(神戸大学国際協力研究科)




Q :大会(全国大会・春季大会)の会場で入会申込書を本部事務局に提出したのですが、会員として参加登録は可能ですか。

Answer

大会開催中に入会承認をすることはできません。非会員として参加登録をしてください。

常任理事会による承認審査手続き後、初回の学会費のお支払い完了を本部事務局で確認後、会員番号を付与され、会員としてのサービスを受けることが可能となります。

入会手続きにはお時間がかかりますので、前もってご準備頂きますようお願いいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局




Q : 入会せずに全国大会や春季大会で報告はできますか?

Answer

学会員しか報告することはできません。ただし、企画セッションやラウンドテーブルでは非会員でも報告することは可能ですが、発表や企画の応募は学会員しかできません。

一般報告やポスターセッションでの報告を希望される方へ

全国大会に参加希望の未入会の方へ

例年、11~12月初旬に開催しています。発表申込の開始時期はおよそ半年前(6月)となります。それまでに入会手続きが完了しているよう、前もって入会申請を行なってください。

また、入会申請フォームに、全国大会での発表を希望している旨を記載しておいてください。

春季大会に参加希望の未入会の方へ

例年、6月に開催しています。発表申込の開始時期はおよそ半年前(11~12月)となります。それまでに入会手続きが完了しているよう、前もって入会申請を行なってください。

入会申請後の手続きについて(全国・春季共通)

また、入会申請フォームに、春季大会での発表を希望している旨を記載しておいてください。

入会承認の通知を受け取り次第初年度会費の支払を済ませ、本部事務局へご連絡ください。

会員資格は初年度会費の支払後に、本部事務局にて会員番号の付与が完了してから有効となります。

なお、一般報告やポスター発表における共同研究者の場合、学会員が登壇する形であれば名前を連ねることは可能です。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局