新刊案内『SDGs時代の評価:価値を引き出し、変容を促す営み』
「SDGsの評価は難しい」という声をよく耳にしますが、それはもしかすると、SDGsが実現しようとする変革性(system transformation)に対して、従来型の評価の概念や枠組みが適応できていないからかもしれません。本書が、SDGs時代に求められる評価の議論に一石を投じることができれば幸いです。ご批判、ご指導のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
概要
- 米原あき・佐藤真久・長尾眞文(編著)
- 工藤尚悟・今田克司・マイケル・クイン・パットン(著)
- 『SDGs時代の評価:価値を引き出し、変容を促す営み』(筑波書房)
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目次
- はじめに:SDGs時代の評価を考える(米原あき)
- 第1章:価値を引き出す評価とそのしくみ(米原あき)
- 第2章:持続可能性における評価:協働と学びをつなげる評価のしくみ(佐藤真久)
- 第3章:日本の対アフリカ協力事業の評価:協働パートナーシップの可能性(長尾眞文)
- 第4章:通域的な学び:異なる風土にある主体が学び合う方法論の提案(工藤尚悟)
- 第5章:発展的評価を日本の文脈で考える(マイケル・クイン・パットン/翻訳:長尾眞文・今田克司)+第5章解題(今田克司)
- 第6章:グローバル課題の解決における評価の役割:ブルーマーブル評価の前提と基本(今田克司)
- おわりに(佐藤真久・米原あき)
(「はじめに」より)
…評価学における評価の定義は既述のとおりだが、英語の「evaluation(評価)」という言葉の原義は、「extract value(価値を引き出すこと)」にある。また、評価哲学の父と呼ばれるスクリヴェンによれば、評価とは、物事の内在的な価値≒本質(merit)、外部から品定めされた価値≒値打ち(worth)、そして社会的な価値≒意義(significance)を吟味するプロセスのことであるという(Scriven, 1991)。本書に頻出する「評価」という言葉は、ある対象の外側からその対象の価値を品定めする視点だけではなく、その対象の本質的な価値に寄り添い、その対象がもつ社会的な価値を引き出す 姿勢をも含む概念として捉えられている。したがって、このような評価の概念は、学びや協働と切り離して考えることはできない。多様な価値がせめぎ合う中で、それらを調和したり、そこから新たな価値を創出したりすること、あるいはそのための手助けをすること――本書が想定する「評価」という営みにはこのような働きが含まれている。
本件にかんするお問い合わせ先
米原あき
- yonehara [at] toyo.jp(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)