2022年度・活動報告『ODAの歴史と未来』研究部会(2022年11月)

2021年10月~2022年9月

「ODAの歴史と未来」研究部会の2022年度の活動は、下記のように四回の研究会の実施と、オーラルヒストリー調査を実施したことである。

2022年初回の研究会は、1月29日に二部構成で行なった。第一部では、日下部尚徳会員(立教大学)が「対バングラデシュ援助の表象」というテーマで報告し、第二部では、藏本龍介会員(東京大学)が「土木」、そして橋本憲幸会員(山梨県立大学)が「人づくり」を取り上げ、「英語にしにくい日本の開発概念」の研究成果を共有した。

二回目の研究会は3月26日に実施した。第1部・小林誉明会員の報告、第2部・英語にしにくい日本の開発概念から近江加奈子会員の「内発的発展」、松原直輝会員「現場主義」であった。いずれも日本的な開発概念と実践の在り方に迫る報告であったが、そもそも「日本的」とは何であるかの一層掘り下げた研究が必要とのコメントがあった。

三回目の研究会は、7月16日に開催され、は汪牧云会員、鄭会員、近江加奈子会員が共同で「日・中・韓の現場からみるODAの歴史と未来——農村開発の経験輸出を中心に」を行い、第二部では松原直輝会員が「現場主義の理想と現実」と題してJICAの現場主義に関する行政学的な研究成果を報告した。

2022年度の最終回は、9月17日に実施し、「部会活動の到達点とこれからの課題」と題して小林誉明会員、佐藤仁会員、大山貴稔会員の報告で総まとめを行った。また部会のスピンオフ企画として下村恭民氏、廣野良吉氏、星昌子氏らのオーラルヒストリーもとりまとめに成功し、充実した部会活動を行うことができた。いずれの会もオンラインで15名前後の参加者を得て3時間ほど熱心に議論に参加した。何よりもベテランから大学院生まで、幅広い層の参加者を得られたことがよかった。

『ODAの歴史と未来』研究部会
代表:佐藤仁(東京大学)




活動報告『ODAの歴史と未来』研究部会(2022年2月)

11月7日に第7回の研究会を実施しました。林明仁さん(上智大学)が「ODAとの距離感-市民社会と軍の事例から」についてご報告され、その後ODAとNGOの関係などについて活発な議論が交わされました。

また、峯陽一さん(同志社大学)、大山貴稔さん(九州工業大学)がオーラルヒストリーの進捗について報告していただき、他の方々からも今後の構想に関して多角的なアイディアが共有されました。参加者は15名でした。

次回は、1月29日の午前中に開催予定です。

ご関心ある方は、「ODAの歴史と未来」研究会のHP()をご覧のうえ、幹事までご連絡ください。

『ODAの歴史と未来』研究部会
代表:佐藤仁(東京大学)




活動報告『ODA の歴史と未来』研究部会(2021年11月)

本研究会は日本の開発協力の歴史を学び、そこからよりよい未来を開拓するためのアイデアを様々な世代の研究者や実務家、学生が議論する場の提供を目的に設置された。初回会合では20名近くの参加者を得て、2020年11月15日に開催され、研究部会の方向性や体制について話し合いをした。

その結果、部会のウェブサイトの立ち上げ、「日本の開発協力の歴史」(東京大学出版会)の輪読と議論、日本のODAで足跡を残された先達に対するオーラルヒストリーなどを活動の柱とすることを決定した。

正式発足してから1月24日には第二回研究会を開催し、第一部ではメンバーである下村恭民会員(法政大学名誉教授)から新著『日本型開発協力の形成』(東京大学出版会、2020年)の主要な論点についてご報告いただき、参加者全員で議論した。

また第二部では峯陽一会員(同志社大学)、浜本篤史会員(早稲田大学)から、それぞれオーラルヒストリーの方法論について、これまでの経験を踏まえたご報告をいただいた。その後、

  • 第三回研究会:会の目的や問いの共有(2021年3月20日)
  • 第四回研究会:佐藤仁、高橋基樹、汪牧耘による研究報告(2021年5月30日)
  • 第五回研究会 :近江加奈子、大山貴稔による研究報告(2021年7月31日)
  • 第六回研究会 :黒田一雄、キム・ソヤンによる研究報告(2021年9月25日)

と会を重ね、随時、議論の概要を部会ウェブサイト() にアップデートしてきた。毎回、20名程度の参加者を国内外から得て、若手からシニアに至る幅広いメンバーが活発な議論を行っている。

またオンライン研究会とは別に、部会主導「オーラルヒストリー」を企画し、すでに下村恭民先生(法政大学名誉教授)、廣野良吉先生(成蹊大学名誉教授)、星野昌子先生へのインタビューを完了し、順次、テープ起こしを実施している。

『ODA の歴史と未来』研究部会
代表:佐藤仁(東京大学東洋文化研究所)




活動報告『ODA の歴史と未来』研究部会(2021年8月)

2か月に一回の研究会を継続的に開催し、ODAの歴史や研究方法について、多様な世代と専門分野の参加者を交えて議論し、その内容をHPに掲載しています。参加者は随時、募集しております。詳しくは下記のサイトをご覧ください。

『ODA の歴史と未来』研究部会
代表:佐藤仁(東京大学東洋文化研究所)




[RG21-3] ODAの歴史と未来(FY2021-2022)

ODA History x Future Study Group

主査:佐藤 仁(東京大学)

日本の政府開発援助(ODA)は生誕から60年以上が経過し、国際状況の劇的な変化に応じてその役割を大きく変えてきた。開発援助に関心をもつ私たちは日本のODAの歴史から何を学ぶべきなのか。また、その学びは未来のODAにどのように生かす可能性があるのか。この研究部会では、JICA緒方研究所で実施された「日本の開発協力史の再検討」の成果(東京大学出版会から全7巻で2020年秋から2021年度にかけて順次刊行予定)を一つの踏み台にしながら、ODAの未来の在り方について多様な角度から議論し、あわせて研究の方法や今後の課題についても探求していく。

  • 実務家と研究者が相まみえて、60 年以上によるODA史の急所と、未来への教訓をざっくばらんに議論できる場を提供する。
  • 議論が散漫にならないように、東京大学出版会のテキストをベースに、執筆者を講師として招き、議論を深める努力をする。
  • 運営についてはコロナの状況を鑑みつつ、オンラインとオンサイトで研究会を開催し、できるだけ多様な世代、分野の会員の参加を求めていく。
  • オンサイトの研究会については、関西と関東で交互に開催できるように工夫する。
  • HPをつくり、できる範囲で議論の要点を公開する。

成果としては、本研究会のスピンオフとしての出版や新たな研究グループの立ち上げを期待している。

部会での議論は、随時、HP()にアップしておりますので、そちらをご覧ください。

皆様のご参加をお待ちしております。ご関心ある方は、上記HPの「問い合わせ」の欄からご連絡ください。

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