出版記念オンラインセミナー:第2回「JICA×SDGs」12月13日開催(会員・一般)

JICAは(株)山川出版社様と共同制作した書籍『JICA×SDGs 国際協力でサステナブルな世界へ』()を2023年6月30日に出版いたしました。

これを記念してオンラインセミナーを開催いたします。

本書はJICAと事業パートナーによる世界各地でのSDGsへの取り組みをまとめた初めての書籍です。

教育現場で使用いただくことを想定し、小中高校の学習指導要領に明記された「持続可能な社会の創り手」を育むヒントをこの1冊にまとめました。

世界の課題、その課題解決に向けた取り組み事例を幅広く掲載し、児童・生徒や先生、これから国際協力を目指そうと考えている若者にも役立つ情報も取り入れています。

本セミナーでは、指導案(中学校3年生/総合)をご提示し、授業における書籍活用のヒントをご紹介いたします。

参加者の皆様には、SDGsに関する授業実践の参考になればと思いますので、是非ご参加いただければ幸いです。

開催概要

  • 日時:2023年12月13日(水曜)19時~19時50分
  • 会場:オンライン(Teamsを予定) 申込いただいた方に後日リンクをお送りいたします
  • 対象者:教員、教育関係者、教育分野にご関心のある方(学生の皆様の参加も大歓迎です)
  • 参加費:無料
  • 書籍詳細:

★プログラム

(当日変更になる可能性がございます。予めご了承ください。)
19:00-19:05
冒頭挨拶

19:05-19:15
書籍の中身ご紹介等

19:15-19:45
書籍活用のポイント等

19:45-19:50
お知らせ等

参加申し込み:

以下のリンクから申込フォームにアクセスし、所定の事項を記入して送信してください。


本件にかんするお問い合わせ先

JICA企画部イノベーション・SDGs推進班

  • pdis [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



無料オンライン説明会「国際協力プロフェッショナル検定」/ eラーニング「国際協力の歴史と動向」11月22日~(会員・一般)

株式会社パデコより、「国際協力プロフェッショナル検定®」/eラーニング「国際協力の歴史と動向」の無料オンライン説明会について、ご案内させていただきます。

無料オンライン説明会のご案内

  1. 国際協力のエキスパートを目指す方向け「国際協力プロフェッショナル検定®」
  2. eラーニングで学ぶ!国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」

■説明会に申し込む:.com/r/uhptTUt6cP

「将来国際協力の仕事に携わりたいが、何から準備すれば良いか分からない」
「ODA、海外事業、SDGsに関する基礎知識を強化したい」
このようなお悩みはありませんか?

そのようなお悩みを持った方、キャリアアップを目指す方に、地球規模課題に取り組む、次世代の「学ぶ・考える・行動する」グローバル人財の育成を支援するPADECO Academyから、第3回「国際協力プロフェッショナル検定®」(2024年1月)と、eラーニング国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」についてお知らせします。

検定試験とeラーニングの内容を解説する、無料オンライン説明会も開催しますので、お気軽にお申し込みください。

こんな方にオススメ!

  • 国際協力、海外事業、SDGs貢献の仕事に挑戦したい方
  • 国際協力、ODA、海外事業、SDGsの基礎知識を強化したい方
  • 国際協力分野の自己啓発、スキルアップの機会を探している方

オンライン説明会概要

日時:

※各回の内容は同じ

  • 2023年11月22日(水曜)12:00~12:45
  • 2023年12月08日(金曜)18:00〜18:45
  • 2023年12月20日(水曜)17:00〜17:45

参加費:

無料

形式:

オンラインライブ配信(Microsoft Teams)

内容:

  1. 第3回国際協力プロフェッショナル検定®(試験対策Webコース付き)について
  2. eラーニング国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」について

※お申込み後に視聴用のURLをお送りいたします。

■説明会に申し込む→.com/r/uhptTUt6cP

1.第3回国際協力プロフェッショナル検定試験®︎(試験対策Webコース付き)

  • Webコース:2024年1月8日(月曜)~27日(土曜)
  • 検定試験 :2024年1月27日(土曜)14:00~15:15
  • 場所:オンライン、eラーニング形式
  • 受講料:35,000円(税込)
  • 申込み期間:2023年11月1日(水曜)~2024年1月5日(金曜)まで
  • 合格者特典:株式会社パデコのインターンとして登録可

■国際協力プロフェッショナル検定®︎を申し込む

2.国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」

  • 受講期間 :お申込日から60日間
  • 申込期間 :2023年11月1日(水曜)~2024年2月29日(木曜)
  • 受講形式 :eラーニング・オンデマンド形式
  • 受講料  :15,000円(税込)

コース内容:

  1. 講義動画(第二次世界大戦前からSDGs時代までの、国際協力の歴史とその潮流)
  2. 理解度チェックのための小テスト

■eラーニング「国際協力の歴史と動向」を申し込む


本件にかんするお問い合わせ先

株式会社パデコ PADECO Academy

  • padeco-academy [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5733-0855
  • 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19新御成門ビル



第257回Brown Bag Lunchセミナー「SDGsの『達成度を測る』を再考す る~ポストSDGsの『価値を引き出す評価』に向けて」11月29日開催(会員・一般)

11月29日(水曜)にオンラインで開催予定の、第257回Brown Bag Lunchセミナー「SDGsの『達成度を測る』を再考する~ポストSDGsの『価値を引き出す評価』に向けて」のご案内です。

本セミナーでは、東洋大学社会学部社会学科の米原あき教授をお招きし、評価という視点からSDGsが真に目指すところ、及びSDGs評価が抱える課題とその改善策、さらに、ポストSDGs時代における評価の展望についてお話しいただきます。

是非、奮ってご参加ください。

開催概要

  • 日時:2023年11月29日(水曜)12:30~14:00
  • 場所:Zoomミーティング
  • 参加費:500円(賛助会員 無料)
  • 定員:50名程度
  • 申込締切:2023年11月27日(月曜)正午(先着順)
  • 講師:米原あき 氏/東洋大学 社会学部社会学科 教授

セミナー詳細・申込方法

Peatixをご覧ください。


本件にかんするお問い合わせ先

一般財団法人国際開発機構(FASID)国際開発研究センター 
担当:今/吉澤

  • bbls [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



開催中「法政大学・第24回環境展」11月24日まで

法政大学「第24回環境展 ~この秋、「かけがえのない地球」の未来を想いながら、えこぴょんの涙をとめるために一人一人の声を届けます~」を開催します。

我々が暮らす「かけがえのない地球」においては、我々人類の他にも様々な生物が生息しており、相互に影響を与え合いながら暮らしています。

とりわけ、地球温暖化は、森林を含む陸域、淡水及び海洋にすむ多くの生物の生息域や季節的活動、移動パターン、生息数及び生物種間の相互作用を変移させていると言われています。

2023年11月、「第24回環境展」は、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届けることで、一人一人が地球環境問題に取り組むきっかけとなればと願い、約四年ぶりに本学市ケ谷キャンパス・外濠校舎一階「メディアラウンジ」を主会場として対面方式にて開催します。

法政大学は、地球環境問題の解決に向けた決意表明・宣言として、1999年に「環境憲章」を制定し、一部の校舎でISO14001の審査登録を行ったことを起点に、2017年度には本学独自の「法政大学環境マネジメントシステム」を全学的に構築し、学生の参画の拡大を目指しながら、環境教育・研究、環境保全活動を展開しております。

「第24回環境展」においては、次世代のクリーンなエネルギーの実現に向けて、「International Space Solar Power Student Project Competition 2022」において準優勝した太陽発電衛星に関する研究や「無機マテリアル学会第145回学術講演会で無機マテリアル学会講演奨励賞」及び「化学情報協会JAICI賞」を受賞した量子ドットに関する研究、「分離技術会年会」において企業奨励賞を受賞した太陽光パネルの製造過程で発生するシリコンスラッジ中のシリコン微粒子回収への応用等を目指した研究から持続可能な農業をテーマにした徳島県と栃木県を対象にした藍産業の衰退と藍農家の取り組みに関する研究等が出展予定です。

また、本学学生・教職員に加えて、気象庁気象研究所、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、公益財団法人 東京都環境公社、千代田区、一般財団法人公園財団 新宿中央公園管理事務所、新宿区立環境学習情報センター(エコギャラリー新宿)、法政大学生活協同組合にご協力いただき、環境・サステイナビリティ教育研究、環境保全に関連した取り組みをご紹介します。

2022年12月、COP15は、新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を採択し、2050年までに「生態系の健全性、廉潔性、レジリエンスの維持・強化・回復」等を目指しています。2023年3月、日本政府は「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた「生物多様性国家戦略 2023-2030」を閣議決定し、陸域と海域の30%以上を保全する「30by30目標」や侵略的外来種の侵入率や定着率の半減を始めとした行動目標を掲げています。

この秋、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届け、来訪者の皆様におかれましても、一つ一つの「行動」と「自然」とのつながりを意識するきっかけとなればと願います。

開催概要

  • 開催期間:2023年11月15日(水曜)~24日(金曜)
  • 会場:法政大学市ケ谷キャンパス外濠校舎一階「メディアラウンジ」他(特別企画(その1からその5)は各々の会場において開催)
    *会場への交通:【JR線】、【地下鉄線】市ケ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分(市ケ谷キャンパスの地図)
  • URL:

会場において地球環境問題、SDGs(持続可能な開発目標)を始めとする社会・経済問題の解決に向けた取組の成果を発表します。

特別企画(その1):

【第24回環境展特別企画】国立環境研究所協力講座「FUKUSHIMA -THE IMMENSE WORLD OF LIFE-」参加者大募集

  • 2023年11月15日(水曜)15:00~16:00)

特別企画(その2):

【第24回環境展特別企画】気象庁気象研究所協力講座「地球温暖化シミュレーション -かけがえのない地球の未来を想像する―」参加者大募集

  • 2023年11月22日(水曜)15:00~16:00)

本件にかんするお問い合わせ先

法政大学環境センター(榎本)

  • ickankyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3264-5681



『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会(2023年11月)

研究部会概要

「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。

そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するために保護をいかに進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにエンパワーメント(empowerment)をいか進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進めてきた。

近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。

SDGsへの取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。

「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。

国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。

年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案してきた。

しかし、2023年度については、十分な活動を実施することができなかった。

活動実績(2022年11月から2023年11月)

なし

『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会
代表:勝間靖(早稲田大学)




『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2023年11月)

2023年活動報告

学会の全国大会・春季大会においてラウンドテーブルの開催をそれぞれ1回ずつ行った。

全国大会(2022年12月4日、5日開催)

全国大会(2022年12月4日、5日開催)では、本研究部会による第4回目のラウンドテーブルを実施した。テーマは「食のレジリエンスとSDGs」ということで、専門家を招聘し、オンラインのラウンドテーブル議論を行った。

SDGs17 の目標の1 つが2030 年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

基調講演として山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズ・コロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

春季大会(2023年6月10日開催)

春季大会(2023年6月10日開催)では本研究部会最後のラウンドテーブルとして国際開発学会会員が多数執筆に携わっている、『SDGs を問い直す』の刊行(2023 年5 月、法律文化社、野田真里編著)が取り上げられた。

COVID-19 パンデミックは、スペイン風邪以来の100 年ぶりの大規模な感染症による危機とされ、SDGs に大きな影響を与えている。また、新型コロナ禍は、国家の枠組みをこえて人々の生存を脅かす、人間の安全保障上の危機でもある。

ポスト/ウィズ・コロナを見据えて、2030年までのSDGs の中間年である2023 年に、SDGs の真価を問い直す試みを行った。本セッションは東京大学グローバル地域研究機構持続的開発研究センターおよび早稲田大学国際平和戦略研究所が共催した。

ラウンドテーブルでは野田真里会員を座長に、執筆を担当した大門毅会員、大谷順子会員、そして関谷雄一が登壇し、1)新型コロナ危機を踏まえてSDGs を問い直す意義、2)新型コロナ危機が資本主義経済そしてSDGsにおいて「取り残される」脆弱な人々」とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、3)SDGs の加速化にむけた人間の安全保障の再考、4)SDGs とポスト/ウィズ・コロナへの展望などを論点に議論を交わした。

SDGs を問い直すうえで、新型コロナ危機をふまえた資本主義経済および「取り残される」脆弱な人々(災害弱者や女性・女子)の課題、今後の展望、そして人間の安全保障との関係等が議論された。また、今後の当学会を中心とする新型コロナ危機、SDGs や人間の安全にかかる共同研究の加速化や、ネットワーク強化が約束された。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




新刊案内:大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』

大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』九州大学出版会 2023年

  • A5判 234ページ 並製
  • 価格:2,200円 (消費税:200円)
  • ISBN978-4-7985-0353-0 C3036

内容紹介

超少子高齢化がすすむ日本では、女性は多くを期待されている。出産育児とキャリア形成は両立できるのか。子育ては個人が負うべきものなのか。男女の別や世代を問わず、社会の構成員がおのおのの生を充実させるには、社会はどうあるべきか。

本書では、国際保健学・母子保健学、国際開発教育の背景を持つ研究者らが、身近な例からこの課題について論じる。キャリアと次世代育成の両方を尊重しながらどのように人生設計に取り組むべきか、若い世代に示唆を与える。

帯より

自分らしく生きるために、SDGsのもと「誰一人取り残さない」社会を目指す現代(いま)、新しい人生設計を考える若い世代へ―― 悪戦苦闘しながら子育てとキャリア形成を両立してきた著者たちが贈る、未来を切り開くためのメッセージ。

目次

まえがき

第1部 授かる

第1章 人口学からみる少子高齢化社会と共生

はじめに
1.子育てと共生
2.人口学からみる
3.女性の就労と出産・育児の選択と子育て支援
おわりに ペアレンティング(parenting)と子育て(child rearing)

  • コラム1:少子化をとりまくデータ

第2章 グローバルヘルスとSDGs–コロナ禍の妊娠・出産・子育て

1.ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へ–「誰ひとりとして取り残さない」というSDGsの理念
2.SDGSと性差
3.日本発、世界に拡がる母子健康手帳
4.多文化共生–エスニック・マイノリティのヘルス
5.新型コロナ感染拡大時代–2020年初めから
おわりに

  • コラム2:UNESCOによる包括的性教育(CSE)

第3章 東京、上海、香港の独身女性の結婚、家族、道徳観

はじめに
1.東アジアにおける結婚の特徴
2.各都市の国家政策–結婚の2つのモデル/3都市で出会った女性の具体例/3つの都市における異なる
結婚モデルの説明/独身女性、家族の責任と道徳的価値
おわりに

第2部 支える

第4章 日本における乳幼児期の子育て支援–当事者研究・参与観察

はじめに
1.参加事例–公共イベント/商業イベント
2.超少子高齢化社会で子どもを持つ
3.産後うつ病
4.母乳育児
5.働く母親の子どものための保育園
おわりに

  • コラム3:妊娠と出産の人類学
  • コラム4:防災と母親

第5章 発達障害を日本社会がどう扱うか–生産性、インクルージョン(包摂性)、人間の価値に関する視点から

はじめに
1.政府の見解
2.メディアの見解
3.アドボケート(支持者)と教育者
4.母親の見解
おわりに

  • コラム5:幼保園 就学前の子育て環境
  • コラム6:現代の多様化する幼児教育

第3部 育てる

第6章 「ユニバーサル社会」の子育てとは–With-Coronaの状況に直面した教育学者である父親としての雑感

はじめに 子育てのプロって誰?
1.子育ての中で「褒められる男」?!
2.急変する社会状況がもたらす教育課題
3.深刻な教育格差
4.子どもたちは幸福なのか?
おわりに 固定観念にとらわれない子育て

第7章 医師の職場環境とキャリア形成–大学病院における女性医師の環境を通して日本における育児と医療を考える

はじめに
1.社会の年齢構成の変化に伴う医療への要請
2.医師の働き方と女性医師–医師の年齢と男女の比率/医師の男女の比率と就業/育児中の医師の職場環境/医師の働き方の改善に向けた課題/医師の働きがい・モチベーション/医師の勤務と家族構成
3.無意識の思い込み(バイアス)–Unconscious Bias
おわりに

第8章 台湾における女性専門職のワーク・ライフ・バランス–葛藤、心身の健康状態を中心に

はじめに
1.統計学における男女格差–高等教育機関における学生の性別分布/医学生の性別分布/高等教育機関における教員の性別分布/医師の性別分布
2.男女格差が生じる原因と影響–家庭教育の過程/学校教育の過程/キャリア形成/仕事と家庭の間での葛藤/夫婦関係、独身と独身女性への潜在的差別/妊娠と出産
3.結論と提言–職場における母性保護(maternal protection)制度の改善/労働時間管理/育児・介護制度

第9章 多様な社会における共生–或る女性のライフストーリー

はじめに
1.多様な社会における共生:或る女性のライフストーリーと気づき–大学時代:アジア諸国を歴訪/専門家の経験:ラオスでの保健医療協力/留学の経験:ベルギー/出産の経験:米国/子育ての経験:スウェーデン/ワーク・ライフ・バランスの経験:沖縄/学校教育の経験:沖縄
2.多様な社会と日本の若者
3.共生のための助言
おわりに 他者と繋がるきっかけとしてのボランティア

あとがき

編著者

大谷順子(おおたに じゅんこ)

まえがき、第1章、第2章、第4章、コラム2-6、あとがき

大阪大学大学院人間科学研究科教授・国際交流室室長。
ハーバード大学公衆衛生大学院MPH(国際保健学)・MS(人口学)。ロンドン大学経済政治大学院・同衛生熱帯医学大学院PhD。世界銀行、世界保健機関(WHO)、九州大学を経て、2008年に大阪大学に着任。2014-2017年、大阪大学東アジアセンター長(上海拠点)兼任。

主な著書

  • 『事例研究の革新的方法‐阪神淡路大震災被災高齢者の五年と高齢化社会の未来像』九州大学出版会、2006年
  • 『国際保健政策からみた中国―政策実施の現場から』九州大学出版会、2007年
  • Older People in Natural Disasters, Kyoto University Press, and Trans Pacific Press, 2010
  • 『四川大地震から学ぶ―復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』九州大学出版会、2021年
  • Reconstructing Resilient Communities after the Wenchuan Earthquake, Lexington: Roman & Littlefield, 2023.
  • Handbook of Disaster Studies in Japan, MHM Limited & Amsterdam University Press, 2023.

分担執筆者

小川寿美子(おがわ すみこ)

第9章

名桜大学人間健康学部教授。大阪大学大学院医学研究科修士課程修了(ウィルス学)、アントワープ熱帯医学研究所修士課程修了(公衆衛生学)。博士(人間科学、大阪大学)。琉球大学医学部保健医療学講座助手、JICA/WHOプライマリ・ヘルスケア(PHC)専門家(ラオス)等を経て現職。

主な著書

  • Okinawa’s Post-War Health Recovery and Development 青山社、2009年
  • 『国際保健医療のキャリアナビ』南山堂、2016年
  • 『やんばる 世界を拓く』沖縄タイムス社、2022年

北村友人(きたむら ゆうと)

第6章

東京大学大学院教育学研究科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学大学院Ph.D.(教育学)。国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局教育担当官補、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授、上智大学総合人間科学部准教授を経て、現職。

主な著書

  • 『国際教育開発の研究射程─「持続可能な社会」のための比較教育学の最前線』東信堂、2015年
  • Memory in the Mekong: Regional Identity, Schools, and Politics in Southeast Asia (co-editor), Teachers College Press, 2022

城戸瑞穂(きど みずほ)

第7章

佐賀大学医学部教授。博士(歯学、九州大学)。九州大学大学院歯学研究院准教授を経て現職。2016~2017年、佐賀大学男女共同参画室室長、2017~2019年、同大学ダイバーシティ推進室室長、2020~2022年、同大学附属図書館副館長をそれぞれ兼任。2007年、資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞。2017年、厚生労働省女性医師キャリア支援モデル普及推進事業、2019-2024年、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」にそれぞれ参画。

馬場幸子(ばば さちこ)

コラム1

大阪母子医療センター母子保健調査室室長、大阪大学大学院医学系研究科招へい准教授。博士(医学、大阪大学)。カロリンスカ研究所PD。大阪大学大学院医学系研究科医学科国際交流センター副センター長を経て現職。

Nakano, Lynne Yukie(中野幸江)

第3章、第5章

香港中文大学文学院日本研究学系教授・系主任、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授。イェール大学Ph.D.(人類学)。

主な著書

  • Community Volunteers in Japan: Everyday Stories of Social Change, Routledge, 2004
  • Making Our Own Destiny: Single Women, Opportunity, and Family in Shanghai, Hong Kong, and Tokyo, University of Hawaii Press, 2022

鄭雅文(Yawen CHENG)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院公共衛生学系教授、同学院健康政策・管理研究所所長・公共衛生学部長・教授、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授、台湾公共衛生学会理事。ハーバード大学公衆衛生大学院ScD(疫学)。2012年、ドイツ連邦共和国労働安全衛生研究所研究員。

主な著書

  • 《致命粉塵 : 石綿疾病,工業發展史中的職業病風暴》台北: 台灣職業安全健康連線、2017年
  • 《職災之後 : 補償的意義、困境與出路》高雄 : 巨流圖書公司、2019年。

瞿瑞瑩(Jui-Ying CHU)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院健康政策・管理研究所修士。台北馬偕紀念医院漢方・産婦人科・小児科医師。社団法人台湾中医臨床医学会常務監事。


本件にかんするお問い合わせ先

大阪大学大学院人間科学研究科
大谷順子

  • [at]  (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



大阪大 X 国連 未来社会フォーラム「誰一人取り残されない社会を構築する」9月13日開催(会員・一般)

大阪大 X 国連 未来社会フォーラム
第6回 大阪大学サイバースポーツコンプレックスシンポジウム

「誰一人取り残されない社会を構築する」
車椅子ヨガ・インストラクターからのメッセージ
ロドリゴ・ソウザ アダプティブ/アクセシブルヨガ・インストラクター(Allihopa Yoga代表)

2023年は、2015年9月に国連総会にて全会一致採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成年限である2030年までの折り返しの年で、私たちはいま、「誰一人取り残されない世界の実現」というSDGsの基本理念を改めて想起し、具体的な行動を加速化することが強く求められています。

大阪大学大学院国際公共政策研究科ESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)では、学内の関係部局を横断し、国連機関とも連携して、SDGsの目指す持続可能で公正な社会の構築につながる知的刺激に富んだ企画を進めています。

今回の企画は、企業がよりよい世界の構築に向けて主体的に取り組むESG(環境・社会・企業統治)を推進していく際、特にすべてのステークホルダーの人権を重視し、包摂的な社会を形成していくうえで大きな気づきをもたらすものであり、同時に、私たち誰もが当事者となり、心と体を調え、互いの多様性を力に変え、自らの潜在力を最大限に生かした活動を実践していくことを促すことにもつながります。

また、本企画は、「いのち輝く未来社会のデザイン」という2025年大阪関西万博のテーマに通じる事業としても有益であると確信しております。

今回は、山岳転落事故で車椅子生活になりながらもヨガ・インストラクターとして自立をし、アダプティブ/アクセシブル・ヨガ指導者として世界でご活躍のロドリゴ・ソウザ氏をお招きし、障がいがあってもヨガも呼吸法も実践できる、そして、インストラクターとして他者の力にもなれるという力強いメッセージが込められた特別レクチャーと、実際に車椅子のインストラクターのお導きによって一緒に心と体に響き渡るヨガを体験した後、私たちが産官学民で連携し、いかなる意識変革や行動変容につなげていくか、ラウンドテーブル・ディスカションを行います。

本企画は、本年9月18-19日に国連本部で開催されるSDGsサミットのテーマにも連動しています。

車椅子の方々も含め、皆様お誘いあわせの上、ぜひご参加ください。

  • 日時:2023年9月13日(水曜)14:00-17:00(13:30開場)
  • 場所:大阪大学中之島センター 佐治敬三メモリアルホール
  • 参加費:無料

参加方法

事前登録制

オンライン同時配信(事前登録制)

プログラム

[全体司会・進行]

星野 俊也 国連システム監査官・大阪大学名誉教授(元国連日本政府代表部大使)
大阪大学大学院国際公共政策研究科ESG-IREC創設ディレクター

[開会あいさつ]

山本 べバリー・アン 大阪大学理事・副学長

[特別ビデオメッセージ]

  • ルイス・ガジェゴ(国連調査訓練研究所(UNITAR)評議会議長、元エクアドル外務大臣・元障害者権利条約特別委員会議長)
  • ジヴァナ・ヘイマン(アクセシブル・ヨガ・アソシエーション代表)
  • 垣内 俊哉(株式会社ミライロ代表取締役社長)

[特別レクチャー&デモンストレーション]

ロドリゴ・ソウザ  アダプティブ/アクセシブル・ヨガ・インストラクター

[ラウンドテーブル・ディスカション]

モデレーター :星野 俊也・中田 研

  • 伊東 亜紀子(ESG-IREC招へい教授、国連経済社会局国連障害者権利条約事務局チーフ)
  • 星野 千華子(アクセシブル・ヨガ・アンバサダー、国連SRCヨガクラブ公認インストラクター・RYT500)
  • 中野 陽子(アクセシブル・ヨガ・アンバサダー、アートラウンジクリニック院長)
  • 山中 浩司(大阪大学大学院人間科学研究科教授、大阪大学ユネスコチェア副代表)
  • 谷野 雅紀(J-Workout株式会社COO)

[閉会あいさつ]

中田 研(大阪大学大学院医学系研究科教授)


本件にかんするお問い合わせ先

大阪大学大学院国際公共政策研究科
ESGインテグレーション研究教育センター

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加募集『第3回・教育協力ウィーク』9月7~9日開催(会員・一般)

国際協力機構(JICA)、開発コンサルタント協力企業、教育協力NGOネットワーク(JNNE)の共催により「第3回教育協力ウィーク」を2023年9月7日~9日に開催します(オンライン・ハイブリッド)。

昨年に引き続き、教育セクターにおける幅広い関係者の情報共有、意見交換、知識創造、ネットワーク形成、日本の教育協力の拡充等の一助となることを目的としています。

つきましては、教育協力ウィーク概要及び参加登録に関し、下記のとおりご案内します。

今年は参加対象に制限はないため、団体内およびご関心ある方に広く共有いただけますと幸いです。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

教育協力ウィーク概要

日時

  • 2023年9月7日(木曜)~9日(土曜)

※2023年9月8日は国際識字デー、9月9日は教育を攻撃から守るための国際デーとなっております。

テーマ

未来を拓く教育協力

今年のコンセプト

教育協力プラットフォーム通じて、2030年までのSDGs達成への貢献とともに教育協力の未来に繋がる成果を生み出していく

今年の開催の狙い

2023年は6月に開発協力大綱が改定されたほか、日本の教育協力政策が改訂される予定です。加えて、5月にG7広島サミットが開催されたなど、日本の教育協力において、重要な一年となっています。

途上国の子ども・若者たちの未来を切り開く教育協力に関わる実務者が一堂に会し、2030年までのSDGs達成に向けて、教育協力の拡充などを含めた未来に繋がる成果を生み出していくことを念頭に、教育協力が現在直面する様々な課題や新たな展開について議論します。

あわせて、昨年立ち上がった「教育協力プラットフォーム」の具体化を進めていきます。

プログラム詳細は、以下JNNEウェブサイト掲載の添付資料をご覧ください。

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参加登録フォーム

教育協力ウィーク2023 参加登録フォーム
(以下URLからお申込みください)

  • 締切:9月4日(日曜) 日本時間23:59 ()
    ※対面参加は人数制限がありますのであらかじめご了承ください。

本件にかんするお問い合わせ先

教育協力ウィーク事務局

  • kkw2023 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



【小5~高校生対象】オンラインセミナー『「世界の中の私」ー「自分がやろう」から「みんなでやろう」へー』8月26日開催(会員・一般)

下記、【小5~高校生対象】のオンラインセミナーのご案内です。

ご家族、ご親戚、ご友人で該当する方がいらっしゃればぜひご案内ください。

親子でのご参加も大歓迎です。

SDGsの取り組み、寄付、ボランティアを効率的に問題解決に向かわせるためには、「誰かがやってくれる」を「自分がやろう」、「自分がやろう」を「みんなでやろう」に変換するしくみがカギです。

アカデミックなデータを使いながら、市民自身の手でこの社会をより住みやすくする「調査運動」を紹介します。

ワークではSDGs6「安全な水とトイレを世界中に」を題材に、みんなで情報をもちよったその先のアクションを具体的に考えます。子供のころから「運動」というしくみを理解することで、「なぜ勉強するのか」「どう働くのか」のヒントにもなります。

開催概要

  • 日時:2023年8月26日(土曜)10:00~12:45(休憩あり)
  • 実施方法:Zoom(参加者にURLをお送りします)
  • 定員:20名程度
  • 費用:500円(税込)
    ※先着5組無料
    ※チケット制です。チケット1枚でご家族何人でもご参加いただけます。

申込方法


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第24回春季大会セッション報告(一般口頭発表)

一般口頭発表

[A1] Education(個人・英語)

  • 9:30 〜 11:30
  • 座長: Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)
  • コメンテーター: Hideki Maruyama(Sophia University), Mikiko Nishimura(International Christian University)
    1. [A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR
      Souksamay INTHAVONGSA (Hiroshima University)
    2. [A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia
      Sokunpharoth SAY (Hirohsima University)
    3. [A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School
      Fanantenana Rianasoa ANDRIARINIAINA (Osaka University)
    4. [A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?Andriamanasina Rojoniaina RASOLONAIVO (Osaka University)
    5. [A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers
      Manuel Jordão, Satoshi KUSAKA (Naruto University of Education)

[A1-01] CLASSROOM STRATEGIES OF MULTIGRADE TEACHING IN PRIMARY SCHOOLS IN LAO PDR

Ms. Inthavongsa, reported that in Lao PDR teachers used numerous strategies for managing a multi-grade class, but had challenges in preparing individual tasks, using assessment rubrics, and coping with ethnic minority’s language, for which teachers need more training and experiences. Prof. Nishimura commented that further explanation were needed on teachers’ perception on their challenges, their experiences and skills.

[A1-02] Community Participation in School Management Contributing to Promotion Rate: A Case of Kampong Thom Province in Cambodia

Mr. Sokunpharoth reported that community’s roles of fund raising, children’s attendance, infrastructure development, and monitoring students’ progress help improving promotion rate of students in Cambodia. Prof. Maruyama asked about his sampling method, the membership and functions of the school management committee, and differences in the local dynamism.

[A1-03] Parental Involvement in Secondary School Students’ Career Planning in Low-Income Areas of Kenya: Focusing on a Low-Fee Private School and a Public Day School

Mr. Andriariniaina presented both parents in the slum areas in Nairobi, Kenya and parents, relatives and guardians in the pastoral area where women have no assets, are trying hard to help their children go to secondary school for a better prospect for future employability. Prof. Nishimura commented on the sample size, generalizability, and need to consider the diversity of the study area.

[A1-04] Global citizenship education in Madagascar: How do students identify themselves within the global world?

Ms. Rasolonaivo discussed that high school students in Madagascar were exposed to the COVID-19 pandemic and the global economic crises which gave them knowledge and awareness of global issues, helped by the new curriculum on the citizenship education that has more commonalities with global citizenship education. Prof. Maruyama suggested that the background and diversity of students, communities and schools need to be explained further.

[A1-05] Research on the Effect of the Improvisation of Teaching Materials in Angola: Focus on the Secondary School Chemistry Teachers

Mr. Manuel reported that a carefully designed workshop/training can strengthen teachers’ scientific knowledge and their attitude toward improvisation of teaching material in the secondary schools of Angola. Prof. Nishimura questioned about the particulars of the workshop, whether the presenter observed the classes, and changes in the motivation of teachers after the workshop.

総括

The five presenters of this session covered education challenges ranging from multi-grade teaching, community’s roles in school management, parental perspectives on children’s career planning, global citizenship education, and the improvisation of teaching materials, in African and Asian countries. The analytical methods also varied from qualitative, quantitative and mixed methods.

There were constantly some 30 participants many of whom joined and left during the session, and rich Q and A interactions.

報告者:Kazuhiro Yoshida(Hiroshima University)


[A2] 教育(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:小川 啓一(神戸大学)
  • コメンテーター:山田 肖子(名古屋大学)、小松 太郎(上智大学)
  1. [A2-01] 開発途上国における継続的な学力測定のためのテスト開発 ―マラウイ・ガーナ・ウガンダの事例―
    谷口 京子(広島大学)
  2. [A2-02] モザンビーク教育大学学生の教職志望動機に関する一考察-FIT-Choice 尺度を活用して-
    谷川 夏菜子、脇田 祐輔、Simbine Alberto、日下 智志(鳴門教育大学)
  3. [A2-03] 東ティモールにおける大規模縦断 EMISデータとGIS情報を用いた学生の教育進級履歴の決定要因に関する分析
    内海 悠二(名古屋大学)
  4. [A2-04] ケニアにおける教育改革の進捗と問題点―Competency-Based Curriculumの導入と教育制度の変更をめぐって―
    澤村 信英(大阪大学)
  5. [A2-05] 東ティモールにおける「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の適用可能性の検討-初等教育学校と前期中等教育学校の連携に着目して-
    須藤 玲(東京大学大学院)

コメント・応答など

谷口会員は、サブサハラ・アフリカ地域における生徒の学力を、各国のカリキュラムに照らし合わせて分析することの重要性を指摘し、マラウイ・ウガンダ・ガーナの3カ国におけるテスト開発および学力調査の結果を報告した。学力調査の結果からは、作成したテストの信頼性や3カ国間での学力比較を共有した。

これに対して、コメンテーターの小松会員から、各国のカリキュラムに照らしたテスト開発を進める上で3カ国を比較することの意義についての質問がなされた。また、選択国の代表性や他国への適応可能性などの観点から、3カ国を選定した理由等が問われた。

谷川会員らの第2発表では、モザンビークにおける教員の離職率の高さに関連して、教員の早期離職の原因を調査した結果が共有された。教員志望の大学生が教職を選択する理由に焦点を当て、現職教員に対する調査とは異なる視点からの考察を提示した。

コメンテーターの山田会員からは、分析における説明・被説明変数が離職率の要因を明らかにする上で妥当な選択であるのか指摘がなされた。また、分析結果について山田会員の視点による考察も加えられた。

内海会員による第3発表では、複雑な社会構造を有する東ティモールにおける生徒の就学生存率を、地理情報データを活用して空間的に把握する試みが共有された。

地理的に就学生存率が高い(低い)学校が密集するホット(コールド)スポットの存在を指摘するとともに、マルチレベル・ロジスティック回帰分析による要因の検討を行った。

小松会員からは、経年的に結果を見た際に一時的にホットスポットとなる地域の存在について質問が挙げられた。また、スポットが生じる要因の分析において十分に検討されていなかった社会的な要因としていくつかの可能性を提示した。

第4発表では澤村会員から、ケニアにおいて2018年から導入され始めた教育改革の進捗や課題について、教育改革の歴史を踏まえた報告がなされた。Competency-based Curriculumの推進が、学習者の能力を公正に伸ばすと期待されていながらも、実態としては不公正な社会に向かっているのではないかと評した。

山田会員は、Competencyとして求められる能力は、各時代における社会の在り方によって異なるのではないかと指摘し、ケニアの教育改革の歴史の中でCompetencyの在り方がどのように変化してきたのか等の質問を投げかけた。

須藤会員による第5発表では、多言語社会において推進されている「母語を基礎とした多言語教育(MTB-MLE)」の東ティモールにおける適用可能性について、教員側からの受容と反発に焦点を当てた考察が行われた。

前期中等教育学校において教員がMTB-MLE校に対して反発を示したことを踏まえ、初等教育段階と前期中等教育段階の連携における課題を指摘した。

小松会員は発表を受け、多言語教育における教育者の重要性を再確認した上で、彼らの声だけを「MTB-MLEへの社会的反発」と捉えることについて疑問を投げかけた。

また、MTB-MLEの試験的導入から彼らの受容と反発に至るまでのプロセスに目を向けることの意義を指摘した。

総括

コメンテーターからのコメント・質問はもとより、フロアからも積極的に質疑が挙がり、活発な議論が行われた。発表者・参加者の双方にとって有意義なセッションとなった。

報告者:小川 啓一(神戸大学)


[A3] 産業(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:高橋 基樹(京都大学)
  • コメンテーター:島田 剛(明治大学)、池上 寛(大阪経済法科大学)
  • 聴講人数:22名
  1. [A3-01] 南アフリカ小規模食品加工企業の存続と BEE政策の影響
    西浦 昭雄(創価大学)
  2. [A3-02] 職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として
    松本 愛果(京都大学)
  3. [A3-03] インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要
    黒川 基裕(高崎経済大学)

コメント・応答など

同セッションの報告者は、西浦昭雄、松本愛果、黒川基裕の3会員、また討論者は池上寛、島田剛の両会員であった。また、22人ほどの参加者があった。

西浦報告「南アフリカ小規模食品加工企業の存続とBEE政策の影響」では、報告者から、アフリカの小規模企業がどのように、産業の二重構造を越えようとしているかという問題意識に立ち、個別の企業の成長の軌跡に注目することを念頭に置きつつ、南アフリカの小規模食品加工業に注目したことが説明された。

そのうえで、南アの企業に関する最も網羅的なデータベースであるWOWEBを利用し、HPも参照して、5年以上成長の軌跡をたどることのできる企業を絞り込み、その軌跡においてBlack Economic Empowerment(BEE)による調達面の優遇や、資金やエネルギーの調達、市場の開拓の問題などの影響を検討したことが説明され、企業の継続には段階的な規模拡大、需要の獲得、事業継承の容易さなどがカギとなっているとの知見が紹介された。

討論者から、BEEが経営者の属性(「人種」)によって受ける影響、業種による規模の違いなどを考慮すること、また企業者の経営能力、輸出の成否、また事業継続の失敗例とその要因などを検討に含めることなどの必要性の指摘があった。また参加者から行政の衛生管理をクリアするかどうかで大きな違いが生じることやノウハウを伝えやすいなどの食品加工の業種としての特殊性への注意喚起があった。

松本報告「職業教育の効果:ケニアの首都ナイロビを例として」は、大学と中等学校の中間に置かれた職業教育校が、労働者の技能、賃金・所得に与えている影響について、ケニアでの実証調査を踏まえて論じた。調査では、フォーマル及びインフォーマルな企業の採用担当者、官民の職業訓練校の製造業関連職種の現役生・卒業生が対象となった。

調査研究の結果、職業訓練修了者の賃金は大学と中等教育の間であるが、企業採用担当者からすると、スキルや学力は中等教育より上で、また大卒よりも労働市場で必要とされる適正なスキルと知識を備えているために雇用機会は高く、より確実に仕事を得ることができ、その点において職業教育は相対的に人材養成において優位である可能性が示された。

討論者からは、対象の職種の選定理由を明示すること、労働者や使用者の賃金の認識のしかた(短期か、それとも終身まで視野に入れた長期か)を考慮すること、企業による職業訓練の成果の活用について検討すること、また世界銀行による職業訓練校への批判について念頭に置いた議論を展開することなどの必要性が指摘された。

黒川報告「インドネシア西部における無煙クッキングストーブの潜在需要」は、途上国に広く見られる、調理の際の排煙によって健康被害をもたらしかねないかまどに代わるものとして、報告者自身が開発・普及に携わっている「無煙クッキングストーブ」の事例についての報告であった。

報告者の研究においては、開発された無煙ストーブをインドネシア西部バンテン州の農家に貸与し、その潜在需要をCVMとWTP(willingness to pay)の手法を使って検証する方法が採用された。

WTPを通じて農家の側に、比較的低いながらも市場価格を支払う意欲があり、あるいは無煙の燃焼に必要なペレット、商用のための長時間燃焼可能なモデルへのニーズが存在することが確認されたこと、また、環境性能と収益性能の間のトレードオフやストーブ・ペレットの改善上の課題が指摘された。

討論者からは、潜在需要と農家の生存水準及び健康問題への関心との相関性を検討すること、また採算性を考える際に、ストーブ自体の製造やペレットの生産のための固定費用まで計算に入れることなどの必要性の指摘があった。

総括

製造業・ものづくりについての研究は国際開発研究において大きな潜在的な重要性と発展可能性を持つものであり、このようなセッションが今後も継続的に開催されることが期待される。

報告者:高橋 基樹(京都大学)


[B1] Economy(個人・英語)

  • 9:30 〜 11:30
  • 座長/ Chairman: Akio Nishiura (Soka University)
  • コメンテーター/ Commentator: Yukimi Shimoda (Waseda University), Takeshi Daimon (Waseda University)
  • 聴講人数/ Number of the audience: 15
  1. [B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa
    Christian OTCHIA (Nagoya University)
  2. [B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within 
    Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU (University of Utsunomiya)
  3. [B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis
    Feng LI (Chuo University)

コメント・応答など

[B1-01] Visits of Chinese Officials and Chinese Investments in Africa

Christian OTCHIA conducted an empirical analysis examining the impact of Chinese Officials’ visits, including the Foreign Minister, on the increase in direct investments from China into Africa. In response, Takeshi Daimon, acting as the discussant, commended the study’s geopolitical approach in exploring the determinants of private investment, and its adept utilization of propensity score matching methods (PSM) to correcting for endogeneity. Daimon also sought information concerning the influence of Russia as an invisible actor and its role in conflicts, as well as insights on the case of Tunisia, the host country of TICAD VIII, in the context of Japanese investments in Africa.

Furthermore, Yukimi Shimoda, another discussant, raised a query concerning whether China’s increasing economic influence, beyond the visits of Chinese diplomatic envoys, was responsible for the upsurge in private investments. In response, OTCHIA emphasized the significance of political backing for Chinas investments to Africa and suggested conducting an analysis with a dedicated focus on this aspect.

[B1-02] Are Lifestyle Enterprises growth-averse? Kindling the Entrepreneurial Fire within

Sanjeewa POLGAHAGEDARA DON PUBUDU conducted a thematic analysis based on qualitative research, which involved surveys conducted with 54 Owner-Managers of Lifestyle Enterprises (OME) and 8 experts in Sri Lanka, aimed at investigating whether Lifestyle Enterprises exhibit a tendency to be growth averse. In response to the presentation, Shimoda, the discussant, acknowledged the study’s significance in contributing to policy formation, particularly regarding the formalization of the informal sector, and praised the ample sample size. Furthermore, Shimoda suggested that a more comprehensive analysis could be achieved by providing insights related to various aspects of owner-managers, such as age, gender, education, life stage, and other relevant factors, considering Sri Lanka’s specific context, and encompassing various types of lifestyle enterprises, including street vendors, manufacturer and distributors.

Shimoda also raised questions, seeking clarification on the definition of lifestyle enterprises, exploring the relationship between the informal sector and lifestyle enterprises, and inquiring about the perspectives of the 10% of respondents who expressed a growth-oriented outlook. Additionally, questions from the audience addressed the motivations behind OMEs’ business establishment, the targeted company sizes, and the educational levels of the samples.

[B1-04] Regional Educational Disparities in China: A Shapley Decomposition Analysis

Feng LI conducted an analysis using Shapley decomposition to examine regional and educational disparities caused by China’s Hukou (household registration) system. The results reported improvements in educational access in China due to economic development, particularly for the younger generation. The study also found that the Hukou influenced educational disparities between 2010 and 2018, while regional disparities were smaller than initially anticipated.

In response to the presentation, participant Daimon acknowledged the significance of the research and proceeded to inquire about the relationship between “sent down” policy and urban status. Daimon also raised questions regarding polarization and the feasibility of obtaining data at the village level. Additionally, comments from the floor suggested the need for analysis at the local level and explored the possibility of comparative studies with other regions.

総括

The session offered a fresh perspective on the multifaceted nature of “economy.” I was impressed by the innovative and original viewpoints presented in each presentation. Overall, the lively exchange of opinions made it a meaningful session. I would like to express my heartfelt appreciation to the presenters for their insightful papers and well-prepared presentation slides, and to the discussants for their meticulous comments and questions while preparing their slides. I also extend my gratitude to all the participants who actively participated in the question and answer sessions.

Reporter: Akio Nishiura (Soka University)


[B2] 国際協力(個人・英語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:佐藤 寛(開発社会学舎)
  • コメンテーター:西川 芳昭(龍谷大学)、高田 潤一(東京工業大学)
  1. [B2-01] Local Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnam
    Yunxi WU (Kyoto University)
  2. [B2-02] A study on the verification of the educational support project in Kumamoto Laos Friendship Association
    Hanami SAKAI (Kumamoto University)
  3. [B2-03] Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Development
    Mikihiko WATANABE (University of Yamanashi)

コメント・応答など

本セッションでは英語による三本の報告があった。

第一報告は京都大学のYunxi Wu会員がLocal Resilience in agricultural globalization: A Study of the Oolong Tea Industry in Vietnamとして、台湾のビジネスも関与しているベトナム高地における輸出志向型ウーロン茶生産と地元の起業家の関係に関するケーススタディに基づいた報告があった。

コメンテーターの高田潤一会員らは、なぜこれらケースが選ばれているのか、事例の代表性、他地域への応用可能性などについて質問があった後、Wu会員がプレゼン資料に用いたAI絵画の妥当性について指摘があった。

聴衆に現地をイメージしてもらうための架空の風景をプレゼンの背景に使用することの、事実誤認誘導や虚偽性などについて興味深い議論があった。

第二報告は熊本大学のHanami SAKAI会員よりA study on the verification of the educational support project in Kumamoto Lao Friendship Associationと題して、熊本出身で元駐ラオス大使の坂井弘臣氏が立ち上げた熊本の市民団体の活動を取り上げ、ラオスの農村部の学生に奨学金を送る活動の評価とその将来的な持続可能性についての考察を行った。

高田会員からは、組織の内部資料等の情報をどのように収集したのか、本研究で用いた評価手法は地方のNGOに適しているのか等のコメントがあった。

1990年代から2000年代頃に日本各地で立ち上がった有志による特定途上国への支援NGOは、その多くが現在世代交代の時期を迎えており、当初のミッションの喪失や創設者の影響力の低下などで持続可能性の危機に瀕している。

本研究はこうした他の事例との比較の糸口になると有意義であろう。

第三報告は山梨大学のMikihiko WATANABE会員による、Significance of DSI in the Arena of the Convention on Biological Diversity for International Developmentと題する報告で、Digital Sequence Information の活用に関するやや専門的な内容であったが、コメンテーターの西川芳昭会員が生物多様性に関する国際条約の流れなどを整理したうえで、データの共有のメリットとコストについての議論があった。

三報告を通じて参加者は10人弱であったが、それぞれの報告に即した議論を行えたことは有意義であった。

報告者:佐藤 寛(開発社会学舎)


[B3] 移民・難民(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:内海 悠二(名古屋大学)
  • コメンテーター:林 裕(福岡大学)、小林 誉明(横浜国立大学)
  1. [B3-01] 難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討
    小松 太郎(上智大学)
  2. [B3-02] 往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育― 在日ネパール人が運営する母語教室の事例から―
    田中 雅子(上智大学)
  3. [B3-03] ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築
    片柳 真理(広島大学)

コメント・応答など

本セッションでは3つの報告がなされた。

一つ目の報告は小松太郎会員(上智大学)による「難民の教育:人間の安全保障の観点からの検討」であった。教育セクターに対する人間の安全保障における理論的枠組みとして「保護とエンパワーメント」、「学びの継続」、「国際社会の責任分担」という3つの側面が説明され、これらの側面からヨルダン補習教育プログラムにおける意味と課題が報告された。

コメンテーターの林裕会員から、ホスト国(第一次庇護国)における負担やホスト国への国際支援の重要性が説明され、ホスト国への支援の重要性が国際社会で認識されているにも関わらず、実際には継続的な支援が実施されていない理由について質問・コメントが挙げられた。

二つ目の報告は、田中雅子会員(上智大学)による「往来する外国ルーツの子どもの母語・継承語教育-在日ネパール人が運営する母語教室の事例から-」であった。日本に在住する外国ルーツの子供たちに開放される母語教育を持続的に運営するための課題と努力について、複数の母語教室を事例として運営者とのインタビュー結果と運営形態に関する詳細な結果が報告された。

コメンテーターの林裕会員から、母語・母文化修得よりも日本社会への統合・日本語教育が優先されている社会や、家族滞在者よりも永住者が優先される現状について説明があり、詳細なフィールドワークの実施を評価すると同時に、ネパール人を取り上げる意味やインタビューで得た関係者の生の声をより深く知りたいといったコメントが挙げられた。

三つ目の報告は、片柳真理会員(広島大学)による「ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるマイグレーションの変遷:人口流入、人口流出と平和構築」であった。ボスニア・ヘルツェゴビナを事例として、マイグレーション理論をもとに紛争中から紛争後にかけて人々が移動する理由や移動の是非を決める選択(願望・能力)に関する理論的考察が説明された。コメンテーターの小林誉明会員(横浜国立大学)からはマイグレーション理論が他国の事例に適用される場合にどのような課題があるのかが説明されるとともに、移動の是非を決める選択は願望の前に選択を入れることでさらに詳細なモデル(選択・願望・能力)とすることも可能である等のコメントが挙げられた。

総括

会場の参加者が多いというわけではなかったが、セッション時間を通して終始アットホームな雰囲気があり、会場からも様々な質問が挙げられるなど、とても活発な意見交換の場となった。報告会員によるしっかりとした理論に基づく考察や説明がなされたことや、地に足のついた長年のフィールドワークによる知見が報告されたこともあり、質問やコメントに対する更なるコメントが挙げられるなど、質問者と回答者だけではない議論が行われてたことが印象的であった。

報告者:内海 悠二(名古屋大学)


[D2] 環境(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、日下部 尚徳(立教大学)
  • 聴講人数:20名
  1. [D2-01] バヌアツ離島集落のおけるコミュニティベースのサイクロン対応
    藤枝 絢子(京都精華大学)
  2. [D2-02] インドネシア都市スラムのサニテーションを取り巻く人びとの係り合いと開発協力
    池見 真由(札幌国際大学)
  3. [D2-03] バングラデシュ南西沿岸部における NGOによる給水施設の設置-地域の有力者の役割に着目して-
    山田 翔太(立教大学)

コメント・応答など

藤枝会員報告は災害頻発国バヌアツでのフィールドワークを踏まえたコミュニティレベルでの災害対応についての報告であった。

質疑応答では防災教育のあり方、SNSの活用方法、災害対応の課題、行政と住民の関係など多岐にわたる議論が行われた。災害対応組織の役割など国家とコミュニティの関係についてさらに深められるとよいと感じた。

池見会員報告は総合地球環境学研究所のプロジェクトで行われてきた研究者と現地の人びと(非研究者)とのトランスディシプリナリー研究のプロセスやその成果に関するものであった。

多様なステークホルダーの協働による取り組みにおけるインセンティブや価値、イニシャルコストや維持管理コスト、公共私の空間認識など幅広い議論が行われた。本報告で提起されたサニタリーバリューチェーンというコンセプトがどのように研究者と現地住民の間で共有されてきたのかというプロセスが興味深いところであった。

山田会員報告はバングラデシュで大規模に実施されている村落小規模水道の設置にあたって、地域の有力者の利害が大きな要因であることを指摘したものであった。

ヒ素汚染に比べて塩水化は直接知覚できることから住民の関心が高いこと、管理においてはケアテーカーが担っていること、NGOが請け負った事業であるが前身は外国援助機関によるプロジェクトに由来するものであることなどが質疑応答の中で明らかにされた。

集落単位ではなく個人単位での水道敷設が望ましいという結論についてはさらなる検討が必要と感じた。

総括

テーマは災害、衛生、水道、国はバヌアツ、インドネシア、バングラデシュといずれも異なる対象を扱った報告であったが、現地調査を踏まえた具体的な事例をもとにした考察は大変興味深く、参加者からの質問やコメントも活発で集まった参加者の間での関心の高さをうかがうことができた。

今後、各事例研究を広く先行研究の中で位置づけることによって学術的かつ社会的な貢献をより明確にして、論文発表がなされることを期待したい。

報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)


[D3] 保健・福祉(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長:杉田 映理(大阪大学)
  • コメンテーター:松山 章子(津田塾大学)、西野 桂子(関西学院大学)
  • 聴講人数:20名
  1. [D3-01] ノンフォーマル教育をエントリー・ポイントとする女性たちの社会参加と自己実現-ブータン農村部における地域保健医療とビレッジ・ヘルスワーカー-
    佐藤 美奈子(京都大学)
  2. [D3-02] サブサハラアフリカの出生率低下は持続するか?
    大橋 慶太(国連人口基金)
  3. [D3-03] 社会的に構築された障害への批判と社会的実践によるその変革ータイ障害者の経験と語りを通じて
    横山 明子(大阪大学人間科学研究科)

コメント・応答など

第1報告者の佐藤美奈子会員の報告に対し、ブータン王国での調査の経験を持つ西野会員からコメントがなされた。ブータンでの現地調査はかなり困難が伴うと推察され、それを乗り越えて調査を実施していることがまず評価された。

さらに、本研究は、ノンフォーマル教育(NFE)を通してリテラシーを得た農村の女性たちがVillage Health Workerとして地域保健医療活動に参与する道を拓くことを目的とした、多角的な調査結果に基づく政策提言を主とする研究であると評された。

一方、グローバリセーションの影響を鑑みて、政府だけではなく、女性たちの自己実現を促すには民間の力も視野にいれて研究する必要性が指摘された。佐藤会員からは、能力をつけた人がオーストラリアに移住してしまう事例も見られることが報告された。

第2報告はサブサハラアフリカの出生率低下について、大橋慶太会員からの報告であり、松山会員からは、本研究はプロダクティブヘルスの観点からも、またアフリカにおいても既に議論され始めている今後の高齢化社会の課題を考える上でも、重要なテーマで学術的意義が高いと評価された。

一方で、セネガルとケニアを比較し、文化・社会的要因に着目しながらも、出生率の近成要因モデルを用いた分析方法を利用することや、国単位で分析することの妥当性について問われた。

中絶に関する信頼性の高いデータ収集は難しいが、例えばGuttmacher Instituteなどが出しているデータを検討することの助言があった。

第3報告の横山明子会員の発表に対するコメントは、再び西野会員が行った。

本研究は、タイ障害者への現地語でのインタビューを通じて、障害者への差別構造と変革主体・アプローチの分析を試みる意欲的な研究であると評価された。

研究対象のタイは、経済発展が著しい反面、政治的な混乱が続いており、加えて「前世の行い」という宗教的思想も差別や偏見につながっていることが指摘された。

また、3つの用語Impairment (a problem with a structure or organ of the body), Disability (a functional limitation with regard to a particular activity), Handicap (a disadvantage in filling a role in life relative to a peer group) のタイ語におけるニュアンスについて質問がなされた。

総括

3つの報告は、それぞれ異なる地域、異なる切り口での研究内容であったが、広くヘルスの課題を地域の視点からとらえようという共通性があったと言える。

それぞれが意欲的な研究であった。また、会場が普段の学会ではあまり利用経験のない横長の形状であったが、結果的に、参加者(オーディエンス)と発表者の距離が近く、質疑応答も活発に行うことができた。

報告者:杉田 映理(大阪大学)


[E2] 国際協力(個人・日本語)

  • 12:30 〜 14:30
  • 座長:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)
  • コメンテーター:林薫(グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ)、志賀裕朗(横浜国立大学)
  • 聴講人数:30名
  1. [E2-01] ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性
    河田 卓(株式会社ナレッジノード)、林 俊行(Nyika Energy Consultant)、佐藤 伸幸(日本テクノ株式会社)
  2. [E2-02] 新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国一 JICA海外協力隊を事例としてー
    河内 久実子(横浜国立大学)
  3. [E2-03] 現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響
    安部 雅人(東北大学)

コメント・応答など

E2「国際協力」セッションは多様な3つの報告に関して議論が行われた。

第一報告の河田卓・林俊行・佐藤伸幸「ナレッジマネジメントから見た国際協力の有効性」は、技術協力を行うに際し、(1)コメンスメント、(2)アダプティブ、(3)インクルーシブ、(4)インサイドアウト、という4つの要素を満たすことで、プロジェクトが有効に実施されると主張した。

それを示すに際し、バングラデシュにおけるクリーンダッカ・プロジェクト、パキスタン・パンジャブ州における上下水道管理能力強化プロジェクト、日本の学校法人アジア学院の研修プロジェクトの円滑な実施が、これらの4つの要素を基準として確認することの有効性を示した。

第二報告の河内久実子「新型コロナウィルス感染症拡大と国際ボランティアの一斉帰国―JICA海外協力隊を事例として―」は、新型コロナ感染拡大のために一時帰国を余儀なくされた青年海外協力隊員、シニア隊員、計17名に対してインタビューを行い、突然の帰国に関する効果を分析したものである。

帰国した隊員の感情は大きく分けて「落胆型」と「安堵型」に分けられることが検出された。「同じ境遇の人と情報共有や気持ちの共有をする場があれば、隊員の不安を和らげることができる」ということが一つの結論である。

第三報告の安部雅人「現代社会における「流通」の役割と社会経済システムへの影響」は、SDGsにおいても一定の役割を果たす「流通」を分析対象として取り上げた研究である。

流通の対象をモノ、ヒト、カネとし、モノは「ビジネス」、「商社」、「公共」、「輸送」(中単元)にさらに分割した。それぞれの中単元ごとに4つの様態を指定し、6×4の「流通マトリックス」を定義する。各セル(モノ×4,ヒト、カネ)×4の現状を詳述したことで研究成果とした。

3報告の間の共通性は小さい。それぞれの議論の妥当性、他の事例への適用可能性が課題として討論者から示された。

2時間のセッションを通じて、30人程度の聴衆が参加した。

報告者:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)


[E3] 文化と開発(個人・日本語)

  • 14:45 〜 16:45
  • 座長: 真崎 克彦(甲南大学)
  • 討論者: 関根 久雄(筑波大学)、佐野 麻由子(福岡県立大学)
  • 聴講人数:30名
  1. [E3-01] インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワ農村の事例
    伊藤 紀子(拓殖大学)
  2. [E3-02] 小規模支援のインパクト分析 -ソーラーランタン支援事業の事例より
    柏﨑 梢(関東学院大学)
  3. [E3-03] 頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して
    黒川 智恵美(上智大学)

コメント・応答など

本セッションでは関根久雄会員と佐野麻由子会員をコメンテーターとして迎え、以下の3名の会員による報告があった。

最初は伊藤紀子会員による「インドネシアにおける食料消費の現状と変化:西ジャワの事例」であった。西ジャワ州タシクラヤ県の稲作地帯で、近代食が身近になるにつれていかに伝統食をめぐる考えや摂取行為が変わってきたのかについての現地調査の成果である。

双方を摂る食習慣が根づくようになった今日でも、調査対象の女性の間では自覚的かつ主体的に伝統食に価値を見出されていることが分かった。

コメンテーターからは、「近代食」と「伝統食」という二項対立に関して次の課題が指摘された。第一に、たとえば伝統食の要素が入った近代食、または近代知によってリアレンジされた伝統食など、食の現状は「近代なのか、伝統なのか」という二分法だけでは把握できないはずであり、住民の視線に沿った理解が欠かせない。

第二に、「伝統食は健康に良い」と考えているという住民の認識自体も、近代知に拠るものであろうから、同じく「近代なのか、伝統なのか」という分類では説明し尽くされない。

続く柏﨑梢会員の「小規模のインパクト分析―ソーラーランタン支援事業の事例より」では、ベトナム山間民族集落のための活動が紹介された。国際協力事業のもと、ソーラーランタンが学校を通して子供に供給され、学校と家庭の連携が強まり、また保護者の教育意識も高まるとともに子供の自己肯定感が向上した。

こうした支援活動は身の丈に合ったものであったため、在来の生活様式に大きな影響は与えていないことも分かった。限定的な光源であることから文化面や慣習面における影響はほとんどみられない。

コメンテーターからは、今後の課題として次の点が指摘された。ランタンの文化的な影響の有無や程度について論じる際、住民が限定的な光源をどのように捉えているのかについて、さらに深く検証されるべきではないのか。

また、ランタンによって勉強の習慣がついて子どもの自己肯定感が醸成された、という指摘があったが、それらはランタンだけでもたらされたことなのだろうか。1つの事象が単一の要素だけで構成されることはほとんどなく、他の種々の要素も併せて考察することが欠かせない。

最後に黒川智恵美会員による「頭脳流出から頭脳流入へ:スーダン人高度人材の母国貢献意識に着目して」が報告された。エジプトと日本への移民や難民、帰還民の間では、母国への貢献の意志は、イスラム社会の価値観や個人の母国や移住先との関係に左右されている。

母国貢献の思いは身近な人との互助共同体の構築に表れている。現在進行中の紛争を解決することで、そうした「私の国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という気持ちが活かせるようにすべきである。

コメンテーターからは今後の課題として次が挙げられた。第一に、家族、親族、コミュニティというものがクローズアップされておらず、国家という抽象的存在が前景化されている。

最後の「国への恩義は身近な人への貢献として返還したい」という部分をもっと具体的に説明すべきである。第二に、報告者は頭脳流出の類型化を行ったが、1人の人間は複数の型にまたがったり、状況に応じて往還したりするものではないか。そうである場合、1人の人間が型を変えるときの文脈も注目すべき点になるのではないか。

総括

3名の会員による報告は、それぞれが「文化と開発」を考える上で有用な事例であった。セッション全体としても、コメンテーターのインプットで「文化と開発」について主要論点が浮き彫りにされた。

報告者:真崎克彦(甲南大学)


[G1] オンラインセッション

  • [オンライン口頭発表]
  • 座長:川口純(筑波大学)
  • コメンテーター:戸田隆夫(明治大学特別招聘教授)、新海尚子(津田塾大学)
  • 参加者:約12名
  • [G1-01] A Making of Cambodian Teacher Education: Competition and Coordination among Donors, Ministry, Teacher Educators, and Future Teachers
    Takayo OGISU (Sophia University)
  • [G1-03] 農村における気候変動適応活動のアプローチ:エチオピア国の事例より
    久保 英之(地球環境戦略研究機関)三浦 真理(国際協力機構)

コメント・応答など

本セッションはオンラインにて、2名の会員(荻巣崇世会員、久保英之・三浦真理会員)のご発表が行われ、各発表に対して1名ずつの指定討論者がコメントを付した。参加者は累計で12名程であった。

まず荻巣会員のご発表では、カンボジアの教員養成について、特に2013年の改革以降のドナー間の国際協調や競争の実態について報告がなされた。多種多様なドナーが各々のプロジェクトを進行させていく中で、カンボジア教育省のオーナーシップの重要性や学校現場の教員の教育観にも焦点化された示唆に富む発表であった。

荻巣会員の発表に対しては、戸田隆夫会員より、カンボジアの凄惨な歴史とその中でも教育関係者たちが“より良い教育”を実施すべく尽力してきた経緯を踏まえつつ、未来志向の建設的な研究を実施するよう、熱いコメントがなされた。

次に、久保会員らの発表では、エチオピアの農村を対象に気候変動に対応する活動について、その妥当性を検討する報告がなされた。特に、新しいコンセプト(適応、レジリエンス)を導入することで現場がどう変わり得るのかについて議論がなされた。

久保会員らのご発表に対しては、新海尚子会員から、水関連の災害が気候変動の中でも貧困層により大きな影響がある中で、影響、評価についてもコンテクストに応じて考えることが重要とのコメントがなされた。また対象者についても、女性、子供、高齢者、障害者等、気候変動の影響力を受けやすい人々に寄り添う重要性も指摘された。

報告者:川口純(筑波大学)


その他の座長報告




第24回春季大会セッション報告(企画セッション)

企画セッション

[C1-01] ブックトーク

企画責任者・モデレーター
学会誌編集委員会・ブックトーク担当:佐藤 寛(開発社会学舎)、島田 剛(明治大学)、芦田 明美(名古屋大学)、道中 真紀(日本評論社)

本ブックトークセッションでは会員による近刊4冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版にいたったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時30名にのぼり、活発な質疑応答となった。

1. 報告者: 山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)

  • 担当編集者: 酒井 孝博(中央公論新社)
  • 報告書籍: 「入門 開発経済学:グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション」(2023年3月、新書判、288ページ、990円)
  • 討論者: 島田 剛(明治大学)

SDGsにおいて実質上の国際開発離れが進み、日本の国際協力は「開発協力」の名の下に、安全保障の一部に組み入れられようとしている。そんな現況において、(1)貧困削減は多くの国・地域で進んだが、いまだに「理不尽な悲惨さ」は残っていること、(2)開発途上国独自の技術革新が、一定程度進んでいて、今後も期待されること、を中心にして本書をまとめた。

開発経済学の入門書ということで企画を開始したが、経済学を学んでいない読者層を念頭に置いて執筆した。立命館アジア太平洋大学(APU)において「開発学入門」、「開発経済学」といった授業で教えた内容から、本書をまとめた。

2. 報告者: 山口 健介(東京大学公共政策大学院)

  • 担当編集者:倉園 哲(株式会社NHK出版)
  • 報告書籍:「ミャンマー『民主化』を問い直す ――ポピュリズムを越えて」
    (2022年5月、B6版、288ページ、1,650円)
  • 討論者:折山 光俊(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)

アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)によってようやくめどが立ちはじめていたミャンマーの民主化は、2021年、軍部のクーデターでリセットされてしまった。

では、ふたたびNLDが政権の座に戻ればそれでよいのか?本書は、それでは再度のクーデターを防げないとする立場から、軍部・民主派が共有する「ビルマ民族中心主義」の克服に向けて、経済的再分配を通じた新しいナショナリズムの形成に照準する。

当地の政治家と官僚の懐で開発政策を担った経験を踏まえ、イデオロギーに頼らない国民国家建設を提言する「希望」の書。

3. 報告者:吉田 鈴香(前千葉大学)

  • 担当編集者:福島 延好(フリーランス)
  • 報告書籍:「ミャンマー クーデターの謎ーカギは中国にありー」
    (三恵社、2022年3月、B6版、218ページ、2,035円)
  • 討論者: 石戸 光(千葉大学)

20年間ミャンマーが起きていることをと歴史を追いかけてきたが、ミャンマー国軍の強さと政策の不可解さをきちんと解説する研究所はなかった。既存の定説は整合性がなくミャンマーの歴史の全容を理解する壁ですらあった。

星雲状態だった疑問を5つの「謎」に絞り込み、定説の記述→非整合性の指摘→関連文献の記述→仮説→当事者にインタビューを繰り返しながら追求した。特に中国との関係から理解を進めた。

学術研究者・地域研究者に向けてその過程を書き著すことで、既存の研究書の誤解を解きたく思った。2020年から本書を執筆し始めた途中の2021年2月、クーデターが起きた。

ミャンマーの建国の歴史について定説を覆す謎の解明を終えていた故、クーデターの背景を理解することができた。国境画定未達成を前提に開発、内政、外交、国防を同時に進める平和構築に協力できるか、学術研究者に問いたい。

4. 報告者:山田 肖子(名古屋大学)

  • 担当編集者:下田 勝司(東信堂)
  • 報告書籍:「『持続可能性』の言説分析」(2023年6月、A5判、128ページ、1,980円)
  • 討論者:西川 芳昭(龍谷大学)

人々は「持続可能性」をどのようなものと認識し、その言葉を用いて何を議論し、それを社会制度や行為に反映させようとするのか。そして、そうした認識や行為は、人々の社会的立場や帰属する組織・集団、専門性によってどのように異なるのか。

本書では、持続可能な社会を思い描く際に、人々の思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いてときほぐそうとしている。

第1章で、持続可能性の概念史、さらにSDGsという国際目標が作られ、合意された過程について概観する。

第2章では、1990年代以降、「持続可能性」を主題とする学術論文が理系に傾倒していき、思想的、社会的、文化的な考察がほとんどなされていないことを示す。そのうえで、第3章は「教育」と「持続可能性」を検索語としてウェブからダウンロードした文書の定量テキスト分析、第4章では、「経済」「教育」「持続可能性」に関する新聞分析、第5章は、「持続可能性」への貢献を謳っている企業広告に対する消費者の反応についての質問票調査の結果を示している。

報告者:芦田 明美(名古屋大学)


[C2-02] ポスト資本主義時代における経済振興のあり方を考える―地域主義の観点より

Examining how best to advance economic promotion in the post-capitalist era: From a local community-based perspective

  • 12:30~14:30
  • 企画責任者:真崎 克彦(甲南大学)、藍澤 淑雄(拓殖大学)
  • 司会者:真崎 克彦 (甲南大学)
  • 討論者: 藍澤 淑雄(拓殖大学)、高須 直子(神田外語学院)
  • 聴講人数:約20名
  1. 地域主義の意義と可能性―ポスト資本主義時代における価値創造
    真崎 克彦(甲南大学)
  2. 加工業者・グループの発展とローカル経済の関わり―タンザニア・モロゴロ州における「混合粥の素」の生産
    加藤(山内)珠比(京都大学)
  3. 地域から掘り起こす新しい「豊かさ」―東日本大震災を経験した福島県二本松市の取り組みから
    斎藤 文彦(龍谷大学)

コメント・応答など

本企画セッションは、国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の成果に基づく。

最初の座長による趣旨説明では、地域主義(地域住民の一体感を基盤として地域の経済循環を推進)の今日的意義とそれを取り巻く課題について説明があった。その上で加藤会員と斎藤会員の報告について、質疑応答やディスカッションを行う形で進められた。

加藤報告では、在来食材に栄養価の高い食材を混ぜた粥の加工に従事する女性グループの事例として、女性どうしの加工技術や市場情報の相互共有を原動力としてコミュニティ経済を振興する可能性が例証された。

コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、加工業者・グループが在来粥を商品に発展せしめた過程や、経済効果に関わる数値データを明示することで、今後の研究でグループの地域の経済への貢献度をより明らかにすることへの期待が表明された。

また、コミュニティ経済の成功を地域在来の文化や価値がどのように後押ししたのか、成功の結果、どのような社会変化がもたらされたのかについての質問が出された。

加藤会員からは、タンザニア固有のウジャマ―の価値観がグループメンバー間の互助につながったのではないか、またグループ活動の結果、グループ内での助け合いが強まった、またグループ外では食の安全性に対する意識やそれを満たす標準品を作ろうと言う動きにつながったと回答があった。

斎藤報告では二本松市の事例を通して、三重運動の視点より「豊かさ」の鍵が主体の自律性、セーフティネット、平等や公平性の実現にあることが論じられた。そうした「豊かさ」と現状の乖離を解消していく上で、ケアの倫理を基盤としたポジティブサムの関係性が大切となる。

コメンテーターの藍澤会員と高須会員からは、二本松市の社会連帯経済の関係者に共有されている「価値あるもの」とはどういうものなのかについて、さらに明快な言語化を進めることへの期待が表明された。また、行政主導による「オーガニックビレッジ構想」が地域の「豊かさ」につながり難い理由と対処法について質問が出された。

この質問に対して、これまでのさまざまな取り組みの積み重ねが複雑に絡み合って影響している旨、回答された。同時に、例えば農家民宿を営む宿は増えつつあり、必ずしも先発組が利益を独占せずに後発組とも客を分け合い、地域全体として目に見える利益も見えない利益も分かち合おうとするポジティブサムの関係性が見られる、と説明された。

総括

2篇の事例報告を通して、人どうしの顔が見えやすい地域において、地元の風土に基づく一体感を活かした経済振興を進めれば、より「実質的な意味」(人間の生存・生活との関わり)に即した経済振興を進めることができることが明らかにされた。

同様の地域実践を広めていくことで、経済を「形式的な意味」(経済合理性や効率性の観点)でとらえがちな時勢を改めていく契機を手繰り寄せることができよう。

報告者:真崎克彦(甲南大学)/ 藍澤淑雄(拓殖大学)


[G3-01] Learning from Current Practices in Sustainable Society

  • [オンライン]  14:45~16:45
  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)
  • Discussant: Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)
  1. “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar.” 
    Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)
  2. “Sustainability of Community Tourism in Cambodia.” 
    Rido That (CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
  3. “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-.”
    Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)
  4. “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics.”
    Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)

コメント・応答など

This session on “Learning from Current Practices in Sustainable Society” aimed to share practices and issues encountered when developing a sustainable society in Asia.

This session was organized by the research group on IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems) of JASID to reassure the direction of research on innovation and development.

Four presenters were invited to give their experiences in the fields.

First, Dr. Pei-Hsin Hsu from Taiwan Forestry Research Institute presented on “Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar“ and shared the results in the research on preserved traditional local knowledge and resource management system in one of the indigenous communities in Taiwan, Kalibuan.

As a research method, a participatory seasonal calendar approach was employed to detect farming activities of traditional crops, beans, in the community.

She suggested the use of this calendar for educational purposes to prepare for the loss of cultivation of traditional crops.

Second, Dr. Rido THATH at Royal University of Phnom Penh, presented on “Sustainability of Community-Based Tourism in Cambodia” and talked about tourism, which is one of the main contributors to economic growth in Cambodia, and the prospect of community-based tourism as a driver of local economic growth.

Through his literature survey and analysis, promising tourism communities, environmental resources, and intrusive factors were identified.

Third, Dr. Maria Kristina G. Alinsunurin at the University of the Philippines, Los Baños, presented on “Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-“, which is co-authored by Dr. Naoko Shinkai at Tsuda University.

She demonstrated the impact of COVID-19 in the tourism sector, remaining effects, and coping methods, based on the findings from key informant interviews in the tourism sector at selected ecotourism sites in Laguna province, along with the research framework.

The stakeholder analysis was applied and the strategies and innovation of MSEs in the tourism sector for resilience and sustainability were identified as well as policies to consolidate those activities.

Lastly, Dr. Bangkit A. Wiryawan at Diponegoro University presented on “The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics”, on which Dr. Esther Sri Astuti at Diponegoro University is a co-author, and illustrated the findings from the research on the relationships among three variables, entrepreneurship, innovation, and SME development in the third year of the COVID-19 pandemic in Indonesia.

Regression analyses with sectoral and provincial dummies were made with the primary data on SMEs, collected recently in thirteen provinces in Indonesia.

The positive relationship between entrepreneurship and sales was found, whereas the relationship between innovation and sales was negative.

Comments for all four presentations were provided by Dr. Shirantha Heenkenda, Dean of the Faculty of Humanities and Social Sciences at the University of Sri Jayewardenepura.

The points addressed were the existing initiative of the indigenous community on traditional knowledge and local resource management, the strategy for ownership creation in community-based tourism, the mechanism to connect stakeholders in tourism, and the role of seed capital in entrepreneurship and SME development.

Most of the participants of this session joined from various parts of the world and the efforts to enable this session are very much appreciated.

I am also thankful to JASID and JASID Conference organizers, conference participants, for having established the online venue and provided support.

Naoko Shinkai at Tsuda University,
the Chair of the IDSSP, served as a facilitator.


その他の座長報告




第24回春季大会セッション報告(ラウンドテーブル)

ラウンドテーブル

[C2-01] 人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える

  • 12:30 ~ 14:30
  • 企画責任者:松岡 俊二(早稲田大学)
  • 司会:戸川 卓哉(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、辻 岳史(国立環境研究所福島地域協働研究拠点)、島田 剛(明治大学)
  • 発表者:木全 洋一郎(JICA北海道帯広)、工藤 尚悟(国際教養大学)、中村 勝則(秋田県立大学)
  • 聴講人数:25名

コメント・応答など

ラウンドテーブル「人口減少社会と地域社会の持続性:知識創造の社会的仕組みを考える」は、(1)人口減少社会における地域社会の持続性という社会的課題の特性・特質は、トランス・サイエンス的課題や厄介な問題の研究を踏まえ、どのように考えたらよいのか、(2)人口減少社会へ対応した社会イノベーションへ向けた知識創造の社会的仕組みとはどのようなものか、(3)ミクロとマクロの制度変化(社会イノベーション)の動態的関係をどのように考えたらよいのか、という3つの問いを立てて議論を行なった。

戸川報告は人口減少社会における協働の地域づくりについて、岩手県紫波町の事例などを報告した。

島田報告は、原発立地の地域振興効果について、福島を事例に報告した。辻報告は、縮小社会における災害復興を、中越地震と東日本大震災を事例に報告した。

以上の報告を踏まえ、上記の3つの問いに関する議論を行い、問いの(2)や(3)については、さらに議論する必要を感じた。

報告者:松岡 俊二(早稲田大学)


[C3-01] メコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームをどう共創するか?

  • 14:45 ~ 16:45
  • 企画責任者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 司会:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 発表者:永田 謙二(国際協力機構)、大塚 高弘(国際協力機構)、松本 悟(法政大学)
  • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、濱崎 宏則(長崎大学)

コメント・応答など

本RTでは個別報告とコメントを踏まえて、主に以下のテーマについてパネルディスカッションを行った。

まず対話と協働における研究者の役割については、(1)人びとがどのように情報を得てどのように行動をしているか(適応)を研究する必要があり、その際にJust in time scienceの考え方が求められる(佐藤)、(2)異なるステークホルダー間で知識を翻訳する役割が重要(濱崎)であるとのコメントがなされた。

次に信頼醸成については、(1)継続してそこに居続ける(コミットし続ける)ことが重要であり、メコン・サイエンス・プラットフォームも小さく始めて継続していくといい(永田)、(2)日本のアクターはメコン地域では外部者として関わるわけであるが、もともとつながりのあるところに成果をもたらすとか、研究者間で信頼関係があるところで社会実装を試みるなどを考えていきたい(大塚・JICA)、(3)政府機関、NGOに関わらず、開発協力の現場ではドナー・支援者側の都合で様々な事業が行われることがよくあることから、自分たちが相談した時に現れるのであれば信頼が得られるのではないか、またプラットフォームを作るのであれば、作る側ができること、やるべきことにフォーカスを当てることが信頼醸成につながるのではないか(松本)などのレスポンスが登壇者からあった。

最後にプラットフォームの共創をめぐっては、(1)多くはピュアサイエンスに関心があるような研究者のそうしたインセンティブ構造にメスを入れる必要がある(佐藤)、(2)オール・ステークホルダーではなく、目的ごと、機能ごとのプラットフォームを作っていくのがいいのではないか(濱崎)、(3)現地のために、と考えないで、日本がどうするか、を第一に考えること、また個別のネットワークとのつながりを考えていく必要があるだろう(松本)、(4)組織単位ではなく個人単位で集まるほうがよい効果があらわれるのではないか(複数)、などの意見が登壇者から出された。

総括

今回のRTを踏まえてメコン地域のマルチステークホルダー・ナリッジ・プラットフォームは、一つの大きなプラットフォームを作るのではなく、多様で小さなプラットフォームが重なりながら、相互に「バウンダリースパナー」のような役割を持つ複数の個人がつないでいくようなイメージで作るのがよいかもしれない。

「サイエンス・プラットフォーム」や「メコン・ダイアログ」もそうした多様なプラットフォームの一つとして、それぞれのアドバンテージや期待される役割を踏まえて位置付けていくことが求められていると考えられる。

報告者:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)

[D1-01] 開発と文学:テキストに開かれる経験の可能性

  • 9:30 ~ 11:30
  • 企画責任者:汪 牧耘(東京大学)
  • 司会:大山 貴稔(九州工業大学)
  • 発表者:汪 牧耘(東京大学)、松本 悟(法政大学)、 崎濱 紗奈(東京大学)、渡邊 英理(大阪大学)
  • 討論者: キム キョンチェ(慶應義塾大学)、 木山 幸輔(筑波大学)、キム ソヤン(韓国西江大学)

コメント・応答など

本RTは、開発研究による狭義的な文学の一方的利用ではなく、より広い意味で「開発」と「文学」の関係性を問い直す議論を試みるものである。当日は、次のような3つの発表が行われた。

まず、松本氏は「開発研究者はどのように文学(フィクション)を読むのか——開発と文学(フィクション)の接点」というテーマで、文学作品を通して開発を学ぶ可能性に焦点を絞り発表を行なった。

開発研究者は、どのような文学を読んでおり、いかなる角度でそれらを教育に活かしているのか。松本氏は、大学生時代に南北問題を考える際に読んだ作品、自分が担当する授業で使った作品、NHK記者時代に自身が取材し作成した作品を踏まえながら、「フィクション」を作る・使うことの特徴を分析した。文学作品は論文と異なり、問い・調査方法・根拠・結論を明確にすることが強いられていない。

「ありえること」をより自由に提示できるため、考える材料を与えてくれる。一方で、こうした文学の道具化、すなわち開発関連の部分だけを切り取るという読み方の問題や、「フィクション」を具体的な行動・実践に繋げようとする際の限界も感じたという。

最後に松本氏は、「開発のための文学」、「開発に関する文学」、「開発を考える文学」という3つの分類を示し、本RTへの問題提起を示した。

崎濱氏の発表は、「文学者による開発とは何か——近代日本の「文学」実践と「新しき村」」というテーマで行われた。

日本の「近代文学」は、「文明開化」に伴う政治的・経済的変革や生産・生活様式の変容の中で誕生したものだといえる。

社会との一定の距離を取りつつも、社会が経験する様々な葛藤を記述する方法であった。近代が抱える諸矛盾をどのように克服するかという問いに端を発する実践として、文学者による共同体建設の試みが多く展開されてきた。

白樺派の文豪・武者小路実篤(1885-1976)による農村開発の実践・「新しき村」はその一つであり、規模や形態が変わりながらも1918年から今日まで存続している。

その批評性に対する疑念が指摘されながらも、「新しき村」が目指してきた個を尊重しながら自然や他者と共生するという理想像は、図らずも一時期の中国や沖縄にも影響を及ぼした。

「事実」と「真実」の間に揺さぶりながら批評精神を鍛えてきた文学は、社会に一石を投じる力を持ってきたことが伺える。

最後、著書『中上健次論』(インスクリプト、2022年)において「(再)開発文学」という方法を打ち出してきた渡邉氏は、「開発文学は可能か」を題名に、中上健次の生い立ちを振り返りながら、その文学作品から(再)開発を読み取る自らの試みと所感を述べた。

(再)開発とは、中心/周縁、都市/地方、北/南などの二元的な秩序に依拠する近代的「開発」と、越境的な資本が先導し、「中心/周縁・都市/地方・北/南」等の相互嵌入やグローバルな位相で投資的消費的に展開される現代的な「再開発」を同時に意味する。

中上は、和歌山県新宮市の被差別部落を背景としながら、「路地」という空間の開発をめぐって重層的な書き込みを行なった。

(再)開発という「コンテキスト」と文学という「テクスト」に批判的な視点を投げかけ、それを持続的に自己嫌悪・自己言及的に問い続けることは、「開発と文学」を論じる出発点だと考えられる。「開発と文学」は合わせ鏡のようになることで、両分野における「フィクション」をより広義的考察し、「現実」と「虚構」の互換性・可変性に注目する必要がある。

上記の発表終了後、ラウンドテーブルの司会者として大山氏が場を取り仕切り、金氏、木山氏とキム氏がそれぞれ朝鮮文学・植民地文学研究、ハンナ・アーレントの論述と文学地理学の蓄積から、多様な視点を共有した。

出版資本主義の産物や開発を推し進める道具でもあった文学が、なぜ国家・資本を批判する媒体となり、さらに人間性・人文の素養を担う使命を負うようになったのか。統計的含意への抵抗としての文学の可能性とは何か。

文学を生み出す「空間・時間」はどのような力学で地理的に展開してきたか。多岐にわたるコメントから、学問分野の蛸壺化によって見過ごされてきた「開発と文学」の関係性を回復させるヒントをいくつか得ることができた。

「開発と文学」の議論を2時間に抑えることは至難であった。RTが終了した後も、会場からは多くのコメント・質問が届いた。

例えば、「開発(development)と文学」があるなら、「発展(development)と文学」もあるか。地域における開発の「発達度」と文学の「発達度」の関係性をどう考えうるか。

開発には「正解」が求められているだけではなく、入試試験に見られるように、「正解がない」文学にも「正解」が求められる。「開発と文学」から、「正解がない」中で理解・実践を試み続けるヒントがないか。

RTのオーディエンスのほとんどは開発関連の専門家や研究者であるが、それぞれの文学への想いや文学的体験に関して、情熱を込めて語っている様子は印象深かった。

総括

本RTは、異なる分野の研究者同士が同題をめぐる問題意識を共有し、言葉やテキストという経験伝達の媒体が持つ可能性について議論を交わした場となった。

国際開発学会においても、「文学」というものを正面から取り扱おうとしたのは本RTが最初であり、分野間の対話に踏み出した第一歩として大きな意義を有していると考える。

報告者:汪牧耘(東京大学)

[E1-01] 地方展開委員会主催ラウンドテーブル「地方からみた『内なる国際化』と協働の可能性」

  • 9:30 ~ 11:30
  • 企画責任者:生方 史数(岡山大学)
  • 司会:生方 史数(岡山大学)
  • 発表者:生方 史数(岡山大学)、堀 美幸(JICA 九州)、二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
  • 討論者:木全 洋一郎(JICA)

コメント・応答など

本ラウンドテーブル(以下RT)は、日本の地域から国際開発アジェンダを問い直すために行った過去2回の地方展開委員会主催RTを継承発展させた企画である。

地方の地域社会で軽視されがちな在住外国人を「通域的な地域づくり」を担いうる主体と位置づけた上で、地方における「内なる国際化」の現状・課題・可能性について議論した。

生方報告では、本RTの趣旨説明に加え、地方大学の国際化と留学生受け入れの課題について議論した。

生き残り対策として国際化に取り組まざるを得ない地方大学の現状、留学生の生活面における外国人ネットワークへの依存、就職活動での地方の仕事とのミスマッチなどが報告され、日本社会への接続や多様な依存関係構築の必要性が指摘された。

堀報告では、大学や自治体での外国人支援の経験から、地方の国際化の現場で感じた違和感が吐露された。日本人を前提として情報網や制度ができているため、外国人のニーズとのギャップを埋める必要がある。

中間支援の重要性が指摘され、静岡大学のインターンシップ活動などの先進事例が紹介された。

二階堂報告では、地方における外国人技能実習生(以下実習生)の受け入れ体制について議論された。

技能実習制度には人権擁護の見地からの批判が多い一方で、実習生への依存がすすむ地方の現状や、実習生の主体性に関する論点は軽視されている。

このギャップを埋める先進事例として、自治体が受け入れを先導する岡山県美作市や、実習内容の技術移転がみられた香川県の農家の事例が紹介された。

今後も実習生から選ばれ続け、日本(人)と送出国がwin-winとなるために、企業、自治体、市民団体等が顔の見える関係をつくることで、送出国のニーズを把握しながら受け入れ体制を整備する必要性が指摘された。

これらの報告に対し、東北・北海道の実情に精通する討論者の木全氏から、1)外国人を日本の構造的問題を埋める存在として捉えることをどう考えるか、2)技能実習制度の理念と本音の違いをふまえた上で、地方の課題にどうアプローチすべきか、3)地方に寄り添う多文化共生のために何ができるか、というコメントが提出された。

報告者からは、企業、大学、自治体に受け入れニーズがそれぞれあるが、背景には都市と地方の格差構造があること、地方でも建前と本音とのギャップがあり、国際化や多文化共生へのモチベーションが低いこと、外国人は日本社会のセーフティネットをうつす鏡であり、外国人を含む全ての社会的弱者が包摂される社会が理想であること、外国人あっての地域という認識ができている地域もあり、地域産業の発展には外国人支援が必要だという発想を自治体ができるかが重要であるなどの反応があった。

フロアからは、コロナ禍の影響、地場産業の海外進出と外国人との関係、外国人に選ばれるための条件、包摂のための日常的交流の可能性、外国人が日本社会を理解することの困難さなどに関する質問があった。

総括

本学会では比較的新しいテーマだったようで、聴講人数も多く、フロアからも切れ目なく質問が続いた。

時間が足りず、終了後に報告者に質問が続出するほどの盛況となった。外国人の問題を鏡に自分たちの社会をどのようによくしていくのか、国際開発学を専攻する者が貢献できる可能性を再認識する会となった。

報告者:生方 史数(岡山大学)

[G2-01] SDGsを問い直す

  • [オンライン] 12:30 ~ 14:30
  • 企画責任者:野田 真里(茨城大学)
  • 司会:野田 真里(茨城大学)
  • 発表者:大門(佐藤)毅(早稲田大学)、関谷 雄一(東京大学)、大谷 順子(大阪大学)、 野田 真里(茨城大学)

コメント・応答など

本学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会では、通算5回の全国大会・春季大会のセッションを開催、その最後を締めくくるにふさわしい充実したセッションとなった。

発表者をはじめ、多くの学会員が執筆した『SDGsを問い直す―ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』(2023年5月刊行、法律文化社)の研究成果をベースに、新型コロナ危機を踏まえてSDGsを問い直す意義、新型コロナ危機が資本主義経済そして、「取り残される」脆弱な人々とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、SDGsの加速化にむけた人間の安全保障の再考、そしてSDGsとポスト/ウィズ・コロナへの展望について、多角的な議論がなされた。

特に2023年はSDGsの中間年にあたり、目標年である2030年そして、ポストSDGsにむけて、如何にSDGsを問い直し、人類共通の地球規模課題に取り組むか等について議論がなされた。

総括

本セッションおよびそのベースとなった『SDGsを問い直す』をさらに発展させ、英語による出版や発信等を目指すことが提案された。また、「持続可能な開発とSDGs」研究部会を嚆矢とする、本学会の2016年度からのSDGs研究を持続可能な形で深化させるため、後継となる新たなSDGsに研究部会を申請することが提案された。

報告者:野田真里(茨城大学)


その他の座長報告




新刊案内:山田肖子編著「持続可能性の言説分析-知識社会学の視点を中心として」

ひとは「持続可能性」という言葉が何を指すと考えて、それを用いて何を議論し、何を達成しようとしているのでしょうか。

本書は、持続可能性もしくはSDGsについて理解を深めてもらうための指南書ではありません。また、執筆者が読者に「こういう社会を達成すべき」と説諭する目的でも書かれていません。

そうではなく、ひとびとがこの言葉を用いて文章を書き、発言する際に、その思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いて描き出そうとしました。

いかに国連で多くの国家や国際機関の代表が合意した国際目標であっても、その背景には異なる価値観や問題認識が共存しています。そして、「持続可能性」という言葉の含意は、それを用いる集団によって、時代によって変化しています。実は不変の前提ではなく、インターアクションの中で常に変化しているこの概念の本質を問うことから、まずは始めてみませんか。

<目次>

はじめに   山田 肖子

1. グローバル・ナラティブとしての持続可能性(山田肖子)

2. 批判的言説分析-言葉の分析から社会の構造と力学を知る(山田肖子)

コラム1「教育哲学の視点から」(松浦良充)

3. 「持続可能性」概念と教育の接続-ネット上の言説が示すもの(山田肖子)

4. 「サステナビリティ=持続可能性」と「経済」言説の接合をめぐって―新聞記事とCSRレポートの計量テキスト分析の試み(仁平典宏・中藤哲也・大賀哲)

5. 「企業ブランディングとしてのSDGs関連活動が消費者の認知と行動に及ぼす影響―社会心理学的な実証研究に向けて―」(唐沢穣・杉谷陽子・柳田航)

コラム2「倫理学・情報哲学の観点から」(久木田水生)

おわりに―私たちは持続可能性という言葉を通して何を見ているのか(山田肖子)


本件にかんするお問い合わせ先

東信堂




参加募集「国連OG・OBによる大学生・院生のための国連入門講座」8月28~31日開催(会員・一般)

AFICS-J(国連システム元国際公務員日本協会)が主催する第3期「国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座」の参加者を募集しています。

国連機関で働いてみたい、でも、国連職員の実際の仕事とは何か、どうすれば国連で働けるのか分からないという大学生・大学院生のために、元国連職員が入門的な実践講座を開催します。国連組織についての知識は不要です。

対象は理系・文系の学生と大学院生。三大都市圏以外の県の学生を歓迎しますが、大都市圏や海外での留学生も受け入れます。募集人数は約40名。締め切り後、応募書類で選考しますが、講義は日本語で行い、英語力は選考の条件としません。

講座はZoomを利用したオンライン形式で、4日間計8コマ。毎回異なる講師がオンラインで講義60分、質疑応答・討論30分で実施します。参加者間のネットワーキングを促すため、講義終了後、参加者がランチを取りながら交流をする時間を設けます。日程は以下です。

開催日程

  1. 8月28日(月曜)9:00-10:30
    第1回:国連職員への道(講師:外務省国際機関人事センター長山口忠彦)
  2. 8月28日(月曜)10:40-12:10
    第2回:総務に関する国連の仕事(講師:元UNIDO/UNHCR滝澤三郎)
  3. 8月29日(火曜)9:00-10:30
    第3回:人道に関する国連の仕事(講師:元UNHCR小尾尚子)
  4. 8月29日(火曜)10:40-12:10
    第4回:人権に関する国連の仕事(講師:元OHCHR小野島吾郎)
  5. 8月30日(水曜)9:00-10:30
    第5回:持続可能な開発/SDGs/気候変動に関する国連の仕事(講師:元UN森田宏子・元UNFCC三輪恭子)
  6. 8月30日(水曜)10:40-12:10
    第6回:平和に関する国連の仕事(講師:元UNDP井上健)
  7. 8月31(木曜)9:00-10:30
    第7回:教育に関する国連の仕事(講師:元UNHCR箱山登美子)
  8. 8月31日(木曜)10:40‐12:10
    第8回:ジェンダーに関する国連の仕事(講師:元UNDP大崎麻子)

参加費は無料です。応募は2023年8月11日24:00までに、(1)略歴(高校以上の学歴とあれば職歴)、(2)何に特に関心をもっているのか、(3)なぜ国連で働きたいのか、(4)その他伝えたいことなどをA4で1枚にまとめて以下のメールアドレス までメールで提出してください。応募書類は選考目的以外には使用しません。選考結果は8月18日までに講義のZoomリンクと共にメールで連絡します。

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

本件にかんするお問い合わせ先

東洋英和女学院大学
滝澤三郎

  • [at]
    (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第17回適正技術フォーラム『開発途上国の廃棄物の適正処理に向けて』7月21日開催(会員・一般)

東洋大学国際共生社会研究センターは、適正技術フォーラムとの共催で標記のセミナーを下記の通り7月21日(金曜)に開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

第17回適正技術フォーラム

第2回CeSDes Open Seminar on SDGs 『開発途上国の廃棄物の適正処理に向けて』

  • 日時:2023年7月21日(金曜)14:00~17:00
  • 会場: ハイブリッド方式(対面/オンライン)
    対面式会場:東洋大学白山キャンパス8号館7階125ホール

趣旨

適正技術フォーラムと国際共生社会研究センターとは、これまで協働して環境に関するシンポジウムやセミナー等と開催してきました。今回は、開発途上国の廃棄物処理の改善に資するため、途上国において長い経験を持つ専門家や、アジア諸国の廃棄物処理担当者等を招き、廃棄物管理の発展段階に応じた適正技術は何かの議論を行います。

プログラム

第1部(日本語)

1.途上国の廃棄物処理
北脇秀敏(東洋大学国際学部教授)

2.ダッカ市の廃棄物処理の改善
石井明男(東洋大学大学院国際学研究科 博士後期課程、元・東京都)

第2部(英語)

3.Waste disposal in Papua New Guinea(仮)
Walter Aukleya(センター RA、東洋大学大学院国際学研究科 博士後期課程)

4.Waste disposal in Sri Lanka(仮)
Fernando Jeewanee(センター RA、同国際学研究科 博士後期課程)

5.Waste disposal in Indonesia(仮)
Haruki Agustina(インドネシア大学大学院環境学研究科教員)

お申込方法

参加ご希望の方(対面式・オンライン問わず)は、下記の登録フォームよりお申込みください。折り返しオンライン視聴のURLをお送りいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

東洋大学国際共生社会研究センター

  • @
  • 〒112-8606 東洋大学国際共生社会研究センター事務局
    東京都文京区白山5-28-20 白山キャンパス8号館7階



公開講座「日本の出入国在留管理における課題を見つめる」7月11日開催(会員・一般)

日本の出入国在留管理における課題を見つめる
~多様な国籍の人と共に暮らせる社会を目指して~

「出入国管理及び難民認定法(入管法)改正」「技能実習制度」に代わる新たな制度に関わる議論など、昨今では日本における外国人の課題に関する報道が多くなされています。

国という大きな枠組みでは外国人受け入れの制度整備、市民である私たちの暮らしにおいては多様な国籍の人と共に暮らす多文化共生の姿勢が求められています。

本講座では、長く日本での非正規移民の課題についてNGOや研究者等の立場から活動や研究に取り組んできた加藤丈太郎先生に日本の出入国在留管理制度や移民の受け入れについて、歴史的観点を踏まえて、現状や課題点などをお話いただきます。

本講演は『移民・ディアスボラ研究10 入管の解体と移民庁の創設―出入国在留管理から多文化共生への転換』(編著、明石書店)出版を記念して開催するものです。

会場参加のみなさまには
・講師サイン入り近著販売
・講座終了後、講演内容についてご質問にお答えします

開催概要

  • 日時:2023年7月11日(火曜)18:00~19:30
  • 場所・定員:(ハイブリッド形式)
    会場:聖心女子大学4号館2階4-2教室(定員30名)
    オンライン:Zoomウェビナー(定員150名)※定員を増やしました
  • 参加費:無料

プログラム

1.講演「なぜ日本では出入国在留管理が行われてきたのか-過去と現在を見つめる」(50分)
講師:加藤丈太郎氏(武庫川女子大学文学部英語グローバル学科専任講師。聖心女子大学グローバル共生研究所客員研究員。博士(学術)。専門は移民研究、国際労働移動、国際社会学、多文化共生論。)

2.補足説明、質疑応答(40分)
ファシリテーター:大橋正明(聖心女子大学グローバル共生研究所初代所長、現招聘研究員、元聖心女子大学人間関係学科教授、SDGs市民社会ネットワーク共同代表理事)

申し込み先


本件にかんするお問い合わせ先

聖心女子大学グローバル共生研究所

jimu-kyosei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




新刊案内『持続可能な発展・開発論~国際協力入門』林薫著

昨年10月に「持続可能な発展・開発論~国際協力入門」(文教大学出版事業部 2200円 ISBN978-4-904035-90-0 C3030)を出版しました。

筆者は1978年海外経済協力基金(現JICA)に入り、2004年まで26年間国際協力に携わってきました。

また、2004年から本年3月まで文教大学国際学部・大学院国際学研究科で財政管理や援助評価などの研究とともに国際協力や国際ボランティアに関係する科目や実習を担当してきました。

本書は筆者のこれまでの経験と研究に基づいて(1)開発と国際協力を考える上で必須の基礎知識、(2)最新の開発理論、評価理論の平易な解説、(3)持続可能な開発目標(SDGs)を考え る上でのポイント、(4)実際に国際協力に参加した人へのアドバイスをまとめたものです。

国際協力を専攻する学部生および大学院修士課程の初年次生を対象にしていますが、より幅広く教養書として読めるように工夫しています。

AMAZONでもご購入可能ですが、著者に直接ごメールで連絡いただければ送料込み1570円でお送りいたします(送金手数料はご負担いただくことになりますが、手数料がかからないPaypay決済も可能ですのでご相談ください)。


本件にかんするお問い合わせ先

林 薫 (グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)

  • globallearning2100 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • [at]



オンライン説明会『国際協力プロフェッショナル検定®+試験対策Webコース』(会員・一般)

この度、株式会社パデコは2023年1月に、共に未来を創る学びの場であるPADECO Academy®を開講致しました。地球規模課題に取り組む、次世代の「学ぶ・考える・行動する」グローバル人材の育成を目的としています。

PADECO Academyでは、国際協力・国際開発分野のプロとして基礎知識を強化したい方を対象とした「国際協力プロフェッショナル検定®」を実施しております。「国際協力プロフェッショナル検定®」及び検定試験前に提供する「検定試験対策Webコース」を通じて、国際協力・国際開発、グローバルな課題解決、ODA、SDGsなど、国際開発業界での仕事に役立つ実務的な知識を身に付けることが可能です。

2回目となる検定試験+Webコース、及び事前説明会を以下の通り、開催いたします。皆さまのお申込みをお待ちしております。

第2回「国際協力プロフェッショナル検定試験+試験対策Webコース」概要

  • 受講期間:2023年8月7日(月曜)~26日(土曜)
  • 試験日程:2023年8月26日(土曜)14:00~15:15
  • 場所:オンライン
  • 受講料:35,000円(税込)
  • お申し込み先:
  • お申し込み受付期間:6月1日(木曜)~8月4日(金曜)

オンライン説明会日時

  • 6月11日(日曜)14:00~15:00
  • 6月23日(金曜)17:00~17:45
  • 7月10日(月曜)18:00~18:45
  • 7月20日(木曜)18:00~18:45

説明会参加申込


本件に関するお問い合わせ先

株式会社パデコ PADECO Academy

  • padeco-academy [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5733-0855
  • 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19新御成門ビル



日本評価学会:社会実験分科会『話題提供:EBPMの最新動向と課題』7月1日開催(会員・一般)

日本評価学会-社会実験分科会では2023年度研究報告会を開催することになりました。

毎回100名近くの参加申込をいただいている大会です。今回も自由論題セッションにて、国際協力分野の発表が3本ございます。

なお、社会実験分科会では、過去20年で4回にわたり「エビデンスに基づく実践」(EBP)および「エビデンスに基づく政策立案」(EBPM)をテーマとした学会誌特集号を発行して参りました(日本評価学会の学会誌「日本評価研究」2006,2010,2016,2020)。

今回も珠玉の発表が揃えておりますところ、ぜひご参加ください。Zoom開催で参加は無料です。

開催主旨

近年、『エビデンスはあるのか?』が、政策論争において叫ばれるようになりました。エビデンスとは効果検証の結果のことを指します。今回の研究報告会は、『話題提供:EBPMの最新動向と課題』と題して開催致します。また、例年通りに自由論題セッションも開催して、幅広くエビデンスに基づく実践の研究成果をご発表いたたく場と致します。指定討論者も置き、成果は日本評価学会の本体にも提出される、正式な学会発表の場となります。

  • 主催:日本評価学会-社会実験分科会
  • 日時:2023年7月1日(土曜)9:30~12:30
  • 場所:Zoom
  • 参加費用:無料

プログラム

9:30-9:40 キーノートスピーチ
田辺智子(早稲田大学教育総合科学学術院 准教授、日本評価学会-社会実験分科会長)

9:40-10:20 話題提供:EBPMの最新動向と課題
<このセッションの主旨>
EBPM(Evidence-Based Policy Making)(エビデンスに基づく政策立案)が国内外で盛り上がっております。この最新動向と課題について、当分科会の各研究者から短時間でご発表いただきます。(10分x3名程度+質疑応答10分の予定)

  1. 『Theory of Change に関わる階層とレベル感』
    正木朋也・国際開発機構(JICA)
  2. 『ODAにおけるインパクト評価の再現性の問題』
    佐々木亮・国際開発センター(IDCJ)

10:20-12:20 自由論題セッション
<このセッションの主旨>
通常の学会の自由論題セッションと同じです。定量的な分析・評価の報告を想定しています。指定討論者を社会実験分科会から指名します。

発表1:尾瀬国立公園トイレチップ支払増加プロジェクト
Oze National Park Toilet Tip Payment Increase Project
鈴木宏和(特定非営利活動法人Policy Garage)
指定討論者:選定中

発表2:子どもの心理的ストレスに対する図書館活動の効果―ミャンマー帰還難民の事例から-
Impact of library activities on the psychological stress of children: Case of the returnees from Myanmar
三宅隆史・シャンティ国際ボランティア会 指定討論者:津富宏・静岡県立大学

発表3:SDGs達成に向けた革新的資金のインパクト評価の可能性:ODAとグローバル・タックスの支出に関する一考察
A Study on the Potential Impact Assessment of Innovative Financing mechanism for SDGs Achievement: An Examination of ODA and Global Tax Expenditures
唐語思(横浜市立大学)
指定討論者:佐々木亮・国際開発センター(IDCJ)

発表4:ヨルダン国ヨルダンにおけるシリア難民への平和の創出に係るインパクト評価
Evaluation of the Peacebuilding Impact: Water Supply Improvement in the Host Communities of Syrian Refugees in Jordan
佐々木亮/高杉真奈・国際開発センター(IDCJ)
指定討論者:田辺智子・早稲田大学

12:20-12:30 閉会の挨拶
正木朋也(国際協力機構(JICA))

参加申し込み方法

参加(視聴)を希望される方は以下のURLして必要事項を記載して6/26(月曜)までにお申し込みください(最大100名まで)。

その他

本会は全日程をZoomで実施します。最新情報につきましては参加登録の際に登録いただきましたメールアドレスにご案内をいたします。ご確認いただきますようよろしくお願いいたします。また、ご登録いただいたメールアドレスに今後の社会実験分科会の活動のご案内をお送りさせていただく場合があります。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発センター(IDCJ) 評価部
主任研究員 佐々木亮/Ryo SASAKI

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-6718-5932
  • FAX番号:03-6718-0910
  • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階



新刊案内:2023年5月新刊、野田真里編著『SDGsを問い直す:ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』法律文化社

茨城大学の野田と申します。この度、SDGsの各分野でご活躍の第一線の多くの学会員にご執筆をいただき、拙編著『SDGsを問い直す:ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』を法律文化社より上梓いたしました。

本研究は当学会のSDGsに関する2つの研究部会(「持続可能な開発とSDGs」、「開発のレジリエンスとSDGs」)の成果でもあります。

概要と特色

SDGs(2016~2030年)の中間年にあたる2023年、SDGsを問い直す野心的研究として、人間の安全保障上の危機であるコロナ禍の教訓を踏まえ、ポスト/ウィズ・コロナを展望しています。

本書はSDGsの17目標に因んで17の論稿から構成され、第1部では「取り残される人々」とレジリエンス、第2部ではSDGsの「5つのP」に焦点をあて、経済・社会・環境の持続可能性やパートナーシップについて重層的・多角的にSDGsでこれまであまり論じられてこなかった点や批判的な観点もふまえている点も特色といえます。

学会員限定のご案内

会員割引

国際開発学会第24回春季大会にて配布の申し込み用紙をご利用いただきますと割引価格でご提供。

ラウンドテーブル

同春季大会にて、本書の刊行に合わせて「SDGsを問い直す」セッションをオンラインにて開催(6月10日、12:30-14:30)。詳細は下記をご参照ください。何卒、よろしくお願い申し上げます。

執筆者を代表して 野田真里

『SDGsを問い直す ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』

  • 2023年5月1日刊行
  • A5判/並製/302頁/税込3,520円(本体3,200円+税)
  • ISBN 978-4-589-04208-8

目次

序文 なぜ、SDGsを問い直すのか?
SDGs 17の目標
第 1 章 SDGsと人間の安全保障の再考——新型コロナ危機とポスト/ウィズ・コロナを切り拓く

<第 1 部 新型コロナ危機で「取り残される」人々とSDGs、レジリエンス>
第 2 章 貧困層とSDGs——ポスト・コロナ時代の貧困撲滅と社会的保護
第 3 章 難民とSDGs——地球社会のパイオニアとして
第 4 章 移民・外国人労働者とSDGs——新たな連帯の構築に向かって
第 5 章 災害弱者とSDGs——危険から誰一人取り残さないための思考
第 6 章 女性・女子とSDGs——世界の未来を背負う人々
第 7 章 高齢者とSDGs——高齢社会の可能性
第 8 章 障害者とSDGs——取り残されてもなお生き延びるマイノリティ

<第 2 部 ポスト/ウィズ・コロナとSDGs>
第 9 章 グローバルヘルスとSDGs——ワクチン・ナショナリズムの克服に向けて
第 10 章 教育とSDGs——教育のあり方を問い直す
第 11 章 資本主義経済とSDGs——豊かさの意味を問い直す
第 12 章 環境とSDGs——気候変動や生物多様性問題からみる社会変革の必要性
第 13 章 平和とSDGs——新型コロナ禍のSDGsを支える平和と正義、強固な行政組織
第 14 章 開発協力(ODA)とSDGs——新しいパートナーシップが切り拓く未来
第 15 章 グローバル・ガバナンスとSDGs——グローバル・タックス、GBI、世界政府
第 16 章 NGO・市民社会とSDGs——市民社会スペース、COVID-19対応支援、アドボカシー

編者・執筆者

  • 野田真里 (編者、第1章)茨城大学人文社会科学部教授、同大学地球・地域環境共創機構兼務。国際開発学会本部事務局長、常任理事(大会組織委員長)、「持続可能な開発とSDGs」研究部会代表、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会副代表等を歴任。
  • 伊東 早苗(第2章)名古屋大学大学院国際開発研究科教授、国際開発学会第10期副会長
  • 佐藤 安信(第3章)東京大学大学院総合文化研究科元教授、同大学グローバル地域研究機構持続的平和研究センター元センター長、早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員
  • 藤田 雅美(第4章)国立国際医療研究センター国際医療協力局連携協力部長、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)運営メンバー
  • 佐藤 寛(第4章)開発社会学舎主宰、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)運営メンバー、国際開発学会第8期会長
  • 小松 愛子(第4章)長崎大学大学院博士前期課程、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)実施メンバー
  • 関谷 雄一(第5章) 東京大学大学院総合文化研究科教授、同大学グローバル地域研究機構持続的開発研究センター長、国際開発学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会代表
  • 大谷 順子(第6章)大阪大学大学院人間科学研究科教授
  • 稲葉 美由紀(第7章)九州大学基幹教育院教授
  • 西垣 千春(第7章)神戸学院大学総合リハビリテーション学部教授
  • 森 壮也(第8章)日本貿易振興会アジア経済研究所前主任調査研究員
  • 神馬 征峰(第9章) 東京大学大学院医学系研究科元教授、日本国際保健医療学会前理事長
  • 北村 友人(第10章) 東京大学大学院教育学研究科教授、同大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム教授(兼任)
  • 劉 靖(第10章)東北大学大学院教育学研究科准教授
  • 芦田 明美(第10章)名古屋大学大学院国際開発研究科准教授
  • 大門(佐藤) 毅 (第11章) 早稲田大学国際教養学部教授、同大学国際平和戦略研究所所長
  • 蟹江 憲史(第12章) 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、SFC研究所 xSDG・ラボ代表、Global Sustainable Development Report2023 執筆者
  • 森田 香菜子(第12章) 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員
  • 長 有紀枝(第13章)立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・社会学部教授、難民を助ける会(AAR Japan)会長、人間の安全保障学会(JAHSS)第5代会長
  • 戸田 隆夫(第14章)明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科特別招聘教授、国際協力機構元上級審議役
  • 上村 雄彦(第15章) 横浜市立大学国際教養学部教授
  • 高柳 彰夫(第16章)フェリス女学院大学国際交流学部教授、国際協力NGOセンター(JANIC)政策アドバイザー

本件にかんするお問い合わせ先

法律文化社

  • eigyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



採用公募:宇都宮大学「留学生・国際交流センター」専任教員(教授職)

宇都宮大学「留学生・国際交流センター」では、大学の留学生・国際交流に関連する事業やグローバル人材育成プログラムのほか、SDGsやESDに関連する事業や授業を担当する専任教員(教授職)を募集しています。

詳細は、以下の当該ウェブサイトをご参照ください。

なお、採用予定日は、2024年4月1日、応募締切は2023年8月末日です。

宇都宮大学・教員等公募案内


本件にかんするお問い合わせ先

宇都宮大学 留学生・国際交流センター
センター長・横尾昇剛

  • ryuugak1[at]  ( [at] の部分を@に修正してご使用ください)



ウェビナー「リジェネラティブ農業」5月25日・6月1日開催(会員・一般)

「リジェネラティブ農業」食料供給と環境の課題解決を両立させる農業を考える

現在80億人の世界人口は、2030年には85億人、2050年には97億人に達すると予測されています。増え続ける人口を養うには、農薬や化学合成肥料に依存している現在の「工業型農業」から持続可能な農業に転換する必要があります。

土壌を再生させ、生態系を回復させるリジェネラティブ農業は、持続可能な農業として、さらに土壌の炭素貯留による温暖化対策として、農業生産者のみならず、企業や政府、開発援助機関などから注目されています。

ソリダリダードでは途上国の小規模農家支援の一環としてリジェネラティブ農業の普及に取り組んでおり、Regeneagriの認証取得を支援してきました。

本セミナーではリジェネラティブ農業の実践者や土壌の専門家、リジェネラティブ農産品を自社製品の原材料に使用している企業、途上国で小規模農家へのリジェネティブ農業の支援を担当しているソリダリダードのスタッフなど様々な分野から講師を招き、多角的な視点からリジェネラティブ農業の可能性について講演いただきます。

持続可能な農業のみならず、CO2削減や生物多様性保全を経営戦略に取り入れている企業、またSDGsに関連した活動や研究に携わるあらゆる分野の方にご参加いただき、私たちの暮らしと地球との関わりを農業の視点から見直すきっかけとしていただきたく、ご案内申し上げます。

開催概要

日時

第1回

2023年5月25日(木曜)15:00~17:00

申込リンク

第2回

2023年6月 1日(木)15:00~17:00

申込リンク

参加費

無料(要参加申込)

参加方法

オンライン視聴(ZOOMウェビナー)

主催

ソリダリダード・ジャパン

プログラム

第1回(5月25日)

15:00 開会挨拶

15:05 講演「リジェネラティブ農業とは」
服部雄一郎氏(『土を育てる』訳者)

16:00 講演「日本でできるリジェネラティブ農業」
芝橋宏治氏(阿波ツクヨミファーム代表取締役)

16:20 講演「農産品を調達する企業にできること」
岩井宏之氏・松井宏夫氏(サントリーホールディングス)

16:40 講演「リジェネラティブ・綿花生産と小農支援」
登壇者調整中

17:00 閉会

第2回(6月1日)

15:00 開会「世界のリジェネラティブ農業への取組み紹介」

15:10 講演「リジェネラティブ農業と土壌の生態系」
金子信博氏(福島大学教授)

15:40 講演「温暖化防止と農地土壌炭素吸収源対策」
登壇者調整中

16:00 講演「リジェネラティブ農業の国際認証制度“Regeneagri”」
フィリッポ・グェリーニ氏(Regeneagriアドバイザー)

16:30 質疑応答

17:00 閉会

*詳細を調整中のため、内容に変更の可能性があることをご了承ください。


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • URL:
  • Email: japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



適正技術公開フォーラム『 水産資源の危機と持続可能な養殖 』5月27日開催(会員・一般)

適正技術の視点から、SDGs、持続可能な社会の形成にむけての諸課題に関して、今回は、海洋環境、水産資源、持続可能な養殖について考えます。一般参加(無料)も歓迎です。

『水産資源の危機と持続可能な養殖 』

今日、世界の海洋環境は、温暖化、酸性化、富栄養化、海洋プラスチックなど、複合的・多重的な問題に直面しており、また、それらと乱獲があいまって、私たちの食を支える水産資源も危機的事態に瀕しています。

今回の適正技術フォーラムでは、それらの状況や、問題をもたらしている要因を包括的にとらえ、対処・対策を考えるとともに、水産資源の問題に対する有効な対策のひとつとして持続可能な養殖のあり方について考えます。

開催概要

日時

2023年5月27日(土曜) 14:30~17:15

会場

オンライン開催⦅Zoom⦆

参加費

無料

定員

70名

主催

適正技術フォーラム

プログラム

14:30~14:35
オープニング

14:35~15:25
基調講演 『深刻化する海の環境問題と水産資源の危機』
講師: 井田徹治(共同通信社編集委員)

15:25~16:00
『国内外の養殖の現状と廃水が出ない陸上養殖の可能性 ~SDGsモデルの構築』
講師: 山本義久(水産大学校教授)

16:00~16:05
休憩

16:05~16:30
『開発途上国に適した低コスト・省エネルギー型のアクアポニックスシステム』
講師: 多川正(香川高等専門学校教授、ATFJ理事)

16:30~17:15
パネルディスカッション・質疑
モデレーター: 古沢広祐(國學院大學研究開発推進機構客員教授)

お申込方法

適正技術フォーラム会員の方

メールタイトルを「第16回適正技術フォーラム参加申し込み(会員)」として、
お名前を明記の上、下記メールアドレスまでメールでお申込み下さい。

一般の方

メールタイトルを「第16回適正技術フォーラム参加申し込み(一般)」として、
お名前を明記の上、下記メールアドレスまでメールでお申込み下さい。

申込先メールアドレス

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

※折り返し事務局よりご参加要領をお知らせいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

適正技術フォーラム事務局

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3875-9286
  • 〒110-0003 東京都台東区根岸1-5-12 井上ビル



セミナー「スーダン情勢の現状と今後-市民生活に焦点を当てて」5月17日開催(会員・一般)

2023年度:第1回・CeSDeS Open Seminar on SDGs

東洋大学国際共生社会研究センターでは、標記のセミナーを下記の通りハイブリッド形式で行います。皆様のご参加をお待ちしております。

スーダン情勢の現状と今後-市民生活に焦点を当てて

  • 日時:2023年5月17日(水曜)16:30~18:00
  • 場所:東洋大学白山キャンパス1101教室+配信(Webex)

    (登録リンク)白山キャンパスで参加をご希望の方は、連絡先までメールにてご連絡をお願いします。

趣旨:

スーダンの現状を正しく理解し、そのうえで紛争が市民生活に及ぼす影響や紛争後を見据えていま私たちに何ができるかを考える。

司会・ディスカッションモデレーター:

中村香子(東洋大学国際共生社会研究センター研究員、国際学部教授)

プログラム:

1.趣旨説明

岡本郁子(東洋大学国際共生社会研究センター副センター長、国際学部教授)

2.スーダン情勢を理解する(紛争の背景・現状と今後の展望)

モハメド・オマル・アブディン(東洋大学国際共生社会研究センター客員研究員)

3.市民生活に関する影響

・アブデルガディア・ラニア(東洋大学大学院博士前期課程、スーダンからの留学生)
・モハメド・オマル・アブディン(東洋大学国際共生社会研究センター客員研究員)

4.ディスカッション:いま私たちに何ができるか

モデレーター:中村香子
パネリスト:モハメド・オマル・アブディン、アブデルガディア・ラニア


本件にかんするお問い合わせ先

東洋大学・国際共生社会研究センター

  • cesdes [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加募集「社会的連帯経済オンライン公開研究会」5月19日開催(会員・一般)

国際開発学会SSE研究部会主催、オンライン公開研究会

開催日時:2023年5月19日(金)16:00~18:00
zoomオンライン開催、参加無料・要申込

テーマ・仮題

社会的連帯経済(SSE)の現状と可能性
~最近の国際動向とヘルスセクターにおける主流化の視点から

経済・社会・環境課題に取組むSSE unitsとの連携・協働、健康格差拡大、移民を含めた脆弱層が取り残される状況に対して、SSEとの関連で現状と課題を考える。
広くwellbeingや持続可能な社会、SDGsの実現に対して、国際的にSSEに期待される取り組みについて議論したい。

報告者

藤田雅美さん
国立国際医療研究センター国際医療協力局、長崎大学客員教授
みんなの外国人ネットワーク(MINNA)

コメンテーター

佐藤寛(さとかん)さん
開発社会学舎・主宰、ソリダリダード・ジャパン共同代表理事

司会進行

古沢広祐(SSE研究部会代表)

申し込み

◎参加希望は、以下に申し込み下さい。開催前日までにアクセス先を案内します。

*参考情報:

廣田裕之さん連載コラム(第65回)

「国連総会で持続可能な開発に向けた
社会的連帯経済の推進決議が可決」
・・・今回の決議案を出した15か国の中にアジアの国が1つも入っていないことはアジア人として非常に残念に思います・・・国連が認定した社会的連帯経済を日本で、またはお住いの地域で推進したいと行政マンや政治家に伝えると、そのうち理解者が現れて日本のどこかで社会的連帯経済を本格的に推進するようになるかもしれません・・・


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会SSE研究部会
古沢研究室

  • furusawa [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内『フェアトレードビジネスモデルの新たな展開:SDGs時代に向けて』改訂・第2版

長坂寿久 編著『フェアトレードビジネスモデルの新たな展開 SDGs時代に向けて』【第2版】

2018年初版から重版が続き、新しい情報を加えた改訂版が刊行されました。初版から72ページ増加、内容も大きく改訂されましたので紹介します。認定制度導入後の動きや国際的なFT運動、日本の認定都市のまちづくりに関する最新状況などを更新。

開発途上国の生産者の生活改善という点のみならず、コミュニティ開発の仕組みがビルトインされるフェアトレードのビジネスモデルを検討。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、日本と途上国間のコミュニティビジネスの構築や途上国との倫理的商品開発の視点から、日本のフェアトレードビジネスモデルの興隆のあり方を調査研究、政策提言を行う。

(目次)

第Ⅰ部 日本のフェアトレードの今

第1章 フェアトレードとフェアトレードタウンの今――基礎知識[長坂寿久]

第Ⅱ部 フェアトレードの新しい視野と展開

第2章 現代のアンフェアトレードの非継続性について[小林尚朗]
第3章 持続可能な発展・開発動向とフェアトレード――社会・経済システム変革の可能性[古沢広祐]
第4章 SDGs時代のフェアトレードと倫理的貿易[佐藤寛]
第5章 フェアトレードタウン運動の新しい展開――日本のフェアトレードタウン基準と逗子市の事例を中心に[長坂寿久]
第6章 企業とフェアトレード――国際フェアトレード認証制度より[中島佳織]

第Ⅲ部 フェアトレードのフィールドにおける新しい展開

第7章 メキシコのフェアトレードコーヒー生産者のバリューチェーン展開――JICA-FTPプロジェクトの総括と提言[山本純一]
第8章 フェアトレードにおける前払いの意義――連帯型フェアトレード団体のラオスコーヒー事業の経過を踏まえて[箕曲在弘]
第9章 「南」の小規模農民の視点から見たフェアトレード[牧田りえ]
第10章 コミュニティ開発としてのフェアトレードへの取組み[土屋春代・井上禮子・平澤志保]

第Ⅳ部 日本のフェアトレードの認知率と市場規模

第11章 フェアトレードと倫理的消費の10年――全国調査から明らかになったその動向[渡辺龍也]
第12章 日本のフェアトレード市場調査2015報告(1)[増田耕太郎]
第13章 日本のフェアトレード市場調査2015報告(2)――店舗(ショップ)と輸入・卸団体からの声(記述回答の分析)[森田恵]

第Ⅴ部 日本のフェアトレードへの取組みのための政策提言

第14章 日本のフェアトレードへの取組みのための政策提言[長坂寿久]


本件にかんするお問い合わせ先

明石書店(担当:大江)

  • moe [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 東京都千代田区外神田6-9-5



JANIC THINK Lobbyジャーナル創刊号

会員の重田康博(国際協力NGOセンター(JANIC)政策アドバイザー/宇都宮大学)です。

この度、JANIC/THINK Lobbyでは、研究誌『THINK Lobbyジャーナル』創刊号をしましたので、お知らせします。

私も編集を担当しています。本誌は、学会誌ではないので、会員にならなくても、研究者、院生なども投稿が可能性です(研究論文は査読あり)。詳しくは、下記に情報をお読み下さい。

広く大学関係者や研究者などにご紹介いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

詳細情報

JANICの下に設立されたシンクタンク THINK Lobby は、研究誌『THINK Lobby ジャーナル』を創刊しました。

本誌は、私たち市民が政策を提案するための「政策起業力」を育むという THINK Lobby の目的達成に向け、グローバル市民としての意識を持つ幅広い世代の研究を後押しし、研究成果の交流
の場を提供します。

創刊号では、市民社会の視点から貧国撲滅や平和構築等の国際課題に取り組んできた研究者による研究ノート/調査報告に加え、市民社会シンクタンクの意義をテーマとした識者による座談会記事や、台湾のオードリー・タン氏を論客に迎えた THINK Lobby 設立記念イベントの講演録等を収録しています。

本誌は今後、定期刊行物として毎年 3 月に発刊されます。国際協力 NGO センターまたは THINK Lobby と何らかの接点を持つ NGO 関係者、専門家や SDGs に関連するテーマに取り組む学術
関係者・実務従事者等から随時、広く投稿を募集しています。

投稿募集

平和で公正で持続可能な世界の実現に向け、グローバルな視点で、「経済」「社会」「環境」「人権」「政治」分野に焦点をあてたもの。

<例>
  • 経済課題(経済、税制、雇用、インフラなど)
  • 社会課題(教育、保健、ジェンダー平等、水・衛生、食料・農業、防災・減災、多文化共生など)
  • 環境課題(環境、生物多様性、気候変動、エネルギー、廃棄物処理など)
  • 人権課題(持続可能な開発と人権、当事者にとっての人権、環境・社会と人権、市民社会スペース、など)
  • 政治課題(民主主義、政府の透明性、報道の自由など)

創刊号目次

巻頭挨拶
市民社会シンクタンクの挑戦 すべての人々が自由に行き交い、議論できるロビーを目指して

座談会記事
市民と政府をつなぐ「中間組織」としての存在感に期待 共感を広げる発信力と企画力を

報告記事
「社会変革は『わたし』の手から~市民社会シンクタンクの挑戦」オードリー・タンさんと阿古智子さんの対話から

研究ノート

  • バングラデシュの開発 NGO のショミティ方式からマイクロファイナンスへの変化と課題
    ~ノルシンディ県の PAPRI とその他の代表的 NGO を中心に~
  • DAC 市民社会勧告の実施
  • NGO の構造的な課題への問いかけ─『データブック 2021』と国際開発学会 RT の学びから─

調査報告
市民社会スペースに関する知見の現在地

報告記事

  • 公正な社会に向けた企業の役割とは
  • コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクト報告
  • 第7回国際会議:アジアにおける表現の自由に参加して

活動記録

  • 2023 年 G7 広島サミットに向けた市民社会の取り組み
  • アジアにおいて民主主義と市民社会スペースを守る
  • 開発協力大綱の改定について

書評:『増補改訂版 日本ボランティア・NPO・市民活動年表』(2022)
大阪ボランティア協会ボランタリズム研究所 監修
石田易司/岡本仁宏/永岡正己/早瀬 昇/牧口 明/目加田説子/山岡義典 編

編集後記
市民によるシンクタンクはなぜ必要なのか?

電子版

J-stage ()
から無料で全文ダウンロードいただけます。

書籍のご購入

Amazon()をご利用ください。


本件にかんするお問い合わせ先

重田康博(JANIC THINK Lobby政策アドバイザー/宇都宮大学)

『THINK Lobby ジャーナル』発売・発行・編集制作

  • 編集・発行:NPO法人国際協力NGO センター
  • 発行所:出雲出版(島根県出雲市下横町 350)
  • E-mail:admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

JANICのビジョン

「平和で公正で持続可能な世界の実現」に向け、2022年4月より政策提言・啓発部門の強化を目的に、本部門の名称を改め設立しました。

THINK Lobby(シンクロビー)のミッション

政府任せではなく、市民一人ひとりが共に学び、考え、行動し、つくりたい社会を実現すること。そのために、市民社会シンクタンクを国内外の組織や研究者と共につくり、調査研究・政策提言・情報発信を通じて、市民が社会を変えるための手段と機会を創出します。

NPO 法人国際協力 NGO センター(JANIC)
THINK Lobby 担当:芳賀

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公募「令和5年度EDU-Portニッポン公募事業」(5月26日締切)

EDU-Portニッポンでは、現在下記の2つの公募を実施しております。
EDU-Portニッポンについては、下記のホームページをご覧ください。

1.令和5年度・予測困難な時代の学びを保障する学習手法の共有と海外展開に関する調査研究(フィージビリティ・スタディ)

EDU-Portニッポンは、「令和5年度 予測困難な時代の学びを保障する学習手法の共有と海外展開に関する調査研究(フィージビリティ・スタディ)」の公募を開始いたしました。

本調査研究は、

  • 全ての子供に公平で質の高い教育を確保するためのデジタル技術の活用
  • 生涯にわたって必要な知識・技能の育成

のいずれかをテーマに、調査対象国・地域の教育的な課題・ニーズを調査し、これに対応した日本の特色ある教育活動を実際に現地で展開することにより、日本型教育がどのように現地の課題を解決し、ニーズを満たすことができるのかを実証的に明らかにすることを目指します。

詳細は、下記をご参照ください。

スケジュール

  • 5月8日(月曜):公募説明会の参加申込締切(日本時間正午まで)
    5月9日(火曜):公募説明会(日本時間14:00-15:00)
    5月10日(水曜):公募にかかる質問の受付締切(日本時間正午まで)
    5月26日(金曜):申請締切(日本時間正午まで)
    6月:審査
    6月下旬:結果公表
    7月:契約締結・支援開始

———————————————————————–

2.令和5年度・第1回日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)応援プロジェクト

EDU-Portニッポンは、「令和5年度・第1回応援プロジェクト」の公募を開始いたしました。

本事業では、

  • 日本型教育を海外展開する民間事業を幅広く後押しし、
  • 日本の教育の国際化・質的向上とともに海外各国との関係強化を図り、
  • SDGs、ESDに貢献する

ことを目的として、教育関連事業を行う機関等を対象に公募を実施し、審査・採択ののち、必要な支援を行います。

詳細は、下記をご参照ください。

スケジュール

  • 5月8日 (月曜):公募説明会の参加申込締切(日本時間正午まで)
  • 5月9日 (火曜):公募説明会(日本時間14:00-15:00)
  • 5月10日(水曜):公募にかかる質問の受付締切(日本時間正午まで)
  • 5月26日(金曜):申請締切(日本時間正午まで)
  • 6月: 審査
  • 6月下旬:結果公表
  • 7月:支援開始

本件にかんするお問い合わせ先

文部科学省 日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)事務局
株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング
(担当:鈴木、奥川、守屋、大庭、松浦)

  • ml-eduport [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3288-1164
  • 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-2 麹町ミッドスクエア9階



新刊案内:「脱開発と超SDGs」

戸田隆夫著「脱開発と超SDGs」

今月、「脱開発と超SDGs」(創成社新書)を上梓しました。

これまでの40年間、私自身が主にJICAでの職業人生を通じて深く関わり続けた「開発」について、未来の世界を見据えながら愚見を述べてみました。

あえて、体系的な理論書、学術書の体裁はとらずに、あるときは物語風に、なるべく多くの人、若い人たちにも親しんで頂けるようなスタイルをとりました(ちなみに、本書終章で述べたことの一部を実行に移すため、3月にForum2050()という団体を立ち上げました)。

未来において、私たちや私たちの次の世代が望む世界を創造しようと試みるとき、私たちは何を意識し、何により多くの重点をおいて行動してゆくべきか? 「開発」や未来の世界の在り方に強い関心をもっておられるみなさんと一緒に考え、協働していくために、書きました。

一人でも多くのみなさんに読んでいただき、建設的なご批判を寄せていただけましたら幸いです。

本書の構成

  • 第一章 時空を駆け巡る想像力
  • 第二章 闇の中の小さな輝き
  • 第三章 傲慢な開発
  • 第四章 目に見えないもの
  • 第五章 「開発」から「脱開発」へ
  • 第六章 現実世界のSDGs
  • 第七章 未来と向き合うーSDGsを超えて=

本件にかんするお問い合わせ先

戸田隆夫(Forum2050代表/明治大学特別招聘教授)

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