開催案内「グローバルキャリアフォーラム@大阪大学中之島センター」2月2日開催(会員・一般)

ECFAでは、関係機関と連携して「グローバルキャリアフォーラム」を開催することとなりました。

関西では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして2025年に大阪・関西万博の開催が予定されており、「いのち輝く未来社会」像や「誰も取り残さない社会」の実現に向けた議論が、産官学民のあらゆるアクターが参加する「いのち会議」という枠組みがあります。

今回は、「いのち会議」市民部門と共同主催とし、SDGsの達成や国際協力へ高い関心を持つ高い関心を持つ学生・社会人等を対象とした、理解への促進、モチベーションアップを目的としたイベントとして実施します。

世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国際協力機構(JICA)、NGO、開発コンサルタントといったグローバルなアクターの話とともにSDGs + beyondに関連する取り組みについて一度に聞くことができる絶好のチャンスです。

将来このような場で活躍したい方には、座談会や個別相談の時間もありますので、一歩踏み込んだ相談も可能です。みなさまのご来場をお待ちしています。

開催概要

日時:

2024(令和6)年2月2日(金曜)

  • 第1部 14:00~15:00 セミナー
  • 第2部 15:10~19:30 座談会、個別相談

方法:

ハイブリッド(Zoom)

会場:

大阪大学中之島センター5階(いのち共感ひろば)

対象:

SDGs、国際協力に関心をもち、具体的に取り組みたいと考えている方(高校生・大学生の方も歓迎です。)

主催:

「いのち会議」市民部門、世界銀行、IMF、ECFA

後援:

大阪大学社会ソリューションイニシアティブ、関西SDGsプラットフォーム大学分科会、国際協力機構(JICA)

プログラム

第1部 セミナー
14:00-14:10「いのち会議」の取り組み
14:10-15:00 世界を取り巻く現状と課題そして
各団体(世界銀行、IMF、JICA、NGO、ECFA)の役割

15:00-15:10(10分) 休憩

第2部 グループ座談会、個別相談
15:10-19:30

登壇者及び相談者:

堂目 卓生 (どうめ たくお)氏
大阪大学総長補佐/社会ソリューションイニシアティブ長/
大学院経済学研究科 教授

田和 正裕氏
大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ 教授

大森 功一 氏
世界銀行 東京事務所/ 上級対外関係担当官

川瀬 翔平 氏
国際通貨基金(IMF) アジア太平洋地域事務所/エコノミスト

鍛治澤 千重子 氏
独立行政法人国際協力機構(JICA) 関西センター 開発大学院連携課 /課長

栗田 佳典 氏
特定非営利活動法人 関西NGO協議会/ 事務局長・理事

河野 敬子
一般社団法人 海外コンサルタンツ協会(ECFA)
人材育成・研究会・広報業務マネジャー
サステナビリティ推進チームビジネス推進グループ

申し込み方法

事前申し込みが必要です。参加希望の方は、期日までにお申込みをお願いします。

  • 締切:2024年1月31日

※会場の定員を越える場合は、オンラインでの参加をお願いすることがございます。予めご了承ください。


本件にかんするお問い合わせ先

(一社)海外コンサルタンツ協会
担当:河野

  • kono [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください



第32回全国大会セッション報告

11 月 20 日 (土曜)/ Sat. Nov. 20th, 2021

午前 I セッション/ Morning Session I 9:00-11:00 (GMT +9)

A1. 医療

  • 座長:松山章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:明石秀親(国立国際医療研究センター)、青柳恵太郎(メトリクスワークコンサルタンツ)

発表者

  1. 「パンデミックにおける医薬品へのアクセス― COVID-19との闘いにおける国際的な公正さとは―」
    勝間靖(国立国際医療研究センター(NCGM)グローバルヘルス政策研究センター(iGHP))
  2. 「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐって―」
    新本万里子(広島大学)
  3. 「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響 ― トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析 ―」
    島村靖治(神戸大学)
  4. 「ベトナム中部における妊産婦の検診・出産における医療施設選択行動の分析」
    佐藤希(愛知学院大学)

本セッションでは、「パンデミックにおける医薬品へのアクセスーCOVID-19 との闘いにおける国際的な公正さとはー」(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター・勝間靖)、「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐってー」(広島大学・新本万里子)、「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響―トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析―」(神戸大学・島村靖治)、「ベトナム中部における妊産婦の健診・出産における医療施設選択行動の分析」(愛知学院大学・佐藤希)の4件の発表が行なわれた。

勝間氏の発表は、COVID-19の医薬品、とくにワクチンをめぐる国際的格差の背景と公正に向けた取り組みの状況と課題を分析した、感染症パンデミック時代にタイムリーで重要な問題提起である。

新本氏は、文化人類学者マーガレット・ミードがかつて研究を行なった地域で行なわれた調査地からの報告であり、丁寧な聴き取りによって、女性の妊娠、出産を取りまく社会・文化的背景が近代化の中で変容しつつあることを描きだしている。

島村氏は、COVID-19パンデミックがベトナム中部地域における住民の医療サービスの利用にどのような影響を与えたかを、医療施設の受診記録を分析することで明らかにすることを試みた。この時期に大変貴重な研究であり、今後さらに追加されるデータの分析も待ち望まれる。

佐藤氏は、同じベトナム中部地域において、妊産婦の医療施設設選択行動、とくに1992年に導入された公的医療保険制度の加入の有無も考慮し調査、分析を行なった。中所得国における医療保険がサービス利用にどのような影響を与え、またどのような課題があるのかを明らかにすることは、他地域や国々にも有意義である。

コメンテーターは、国立国際医療研究センターの明石秀親氏と、METRICS WORK Consultantsの青柳恵太郎氏の2人がつとめ、各研究報告に対してより理解を深めるとともに、今後、研究を更に発展させるためのヒントとなるような質問やコメントが行なわれた。

初日朝一番のセッションであったが、20名近くの参加者があり関心の高さがうかがえた。

(松山章子)


B1. インフラと草の根開発

  • 座長:林薫(文教大学)
  • コメンテーター:花岡伸也(東京工業大学)、重冨真一(明治学院大学)

発表者

  1. 「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入―シャムナゴール郡の事例から―」
    山田翔太(立命館大学大学院)
  2. 「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築 ― ナムニアップ1水力発電プロジェクトに関わる少数民族の移転事例 ―」
    筒井勝治(ニュージェック)、冨岡健一(GUDC)、村上嘉謙(関西電力)
  3. 「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」
    福林良典(宮崎大学)、木村亮(京都大学大学院)
  4. 「フィリピンのインフラガバナンス / Infrastructure Governance of the Philippines: Has “The Golden Age of Infrastructure” come?」
    伊藤晋(新潟県立大学)

本セッションではインフラ開発・支援に関する4件の報告が行なわれた。

第1発表の山田翔太会員による「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入」では、バングラデシュの飲料水供給に取り組むNGOの課題を取り上げた。

本研究は、多くのNGOが飲料水支援をしているが、維持管理は受益者に任せており、NGO自身の水質調査やモニタリングは不十分であることが報告された。これに対し、需給状況、水質低下の原因などの点について議論が行なわれた。

第2発表では、筒井勝治会員、富岡健一会員、村上嘉謙会員による「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築」について報告が行なわれた。ラオスではゴミ処理場の容量が不足しており、資機材の不足、人材不足、意識の低さも問題となっていることが報告された。

ダム建設とごみ処理の関係について指摘がなされたが、報告者からは、水力発電プロジェクトのコンポーネントとして実施されたことに意味があるとの回答がなされた。

第3発表の福林良典会員、木村亮会員による「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」では、福林会員より途上国の農道や生活道路の5割以上の通行困難な状態な状況で、住民主体でどのように整備ができるかについての問題提起が行なわれた。

技術的制約も考慮してどの程度まで住民参加が可能か、オーナーシップの醸成はどのように確認できるかなどについて議論が行なわれた。

第4発表の伊藤晋会員「フィリピンのインフラガバナンス」は、フィリピンでは民間投資(PPP)が重視されてきたものの、進捗は思わしくなく、また公共投資も停滞していることが報告された。

実施機関のキャパシティー強化、PPPのさらなる活用と制度改善などが必要であると結論づけた。政治的なプロセス機能していないこと、ガバナンスが弱体で、民間が乱立、癒着が横行していることが問題ではないかという指摘があり議論が行なわれた。

以上、4件の報告に共通している問題は、社会システム、コミュニティーの対処能力、一人一人の意識などのすべてのレベルでの能力の向上が必要であるということである。キャパシティーは決して静的なものではなく、つねに生成発展している。これらの試みや調査研究のさらなる発展を望みたい。

(林 薫)


C1. RT「人の移動と開発―送出国にもたらす影響―」

  • 企画責任者:加藤丈太郎(早稲田大学)
  • 司会:金澤真実(上智大学)
  • 発表者:加藤丈太郎、バズラチャルヤ・ディヌ(Nepal Policy Research Institute)、田中雅子(上智大学)、石井洋子(聖心女子大学)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)、米倉雪子(昭和女子大学)

本ラウンドテーブルは、個人や家族などミクロレベル、地域社会や特定の階層や集団などメゾレベルへの人の移動の送出国への影響を紹介することで、受入国の論理で展開されがちな移民をめぐる議論に一石を投じることを目指した。当日は3組の報告があり、約15名の参加が参加した。

最初に、加藤丈太郎会員(早稲田大学)が「COVID-19感染拡大による技能実習制度への影響―送り出し側の視点から」と題して発表した。「移住インフラ」を用いて、送り出し機関職員9名へのインタビュー結果が分析され、受入国の規制が送出国に影響を与える状況が報告された。

つぎに、バズラチャルヤ・ディヌ会員(Nepal Policy Research Institute)・田中雅子会員(上智大学)が「「親の移住が『残された子ども』に与える影響―ネパールの事例」と題して発表した。日本で就労する親の子どもが多く通う学校でのインタビュー調査をもとに、外国就労中の親の不在が子どもの学業や心理的側面に及ぼす影響が、ケーススタディを元に報告された。

最後に、石井洋子会員(聖心女子大学)が「在外ケニア人が出身国へもたらすインパクト―アメリカ・メリーランド州での人類学的調査をもとに」と題して発表した。在米ケニア人が政府とは異なる形で母国に暮らす人びととつながりを持っている様子が述べられ、「移民力」という概念から、母国・ケニアの未来を照らす存在としての可能性が報告された。

討論者の米倉雪子会員・齋藤百合子会員からは、他の属性の移民・他国との比較の必要性など、分析を深めるための視点がコメントされた。本ラウンドテーブルの成果は『国際開発研究』2022年度第1号特集企画をはじめとする論文執筆にいかされる。

(加藤丈太郎)


D1. RT「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 司会:関谷雄一
  • 発表者:関谷雄一、大門毅(早稲田大学)、大谷順子(大阪大学)、乙部尚子(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本ラウンドテーブルは、2021年度より新たにスタートした「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の主催によるものである。同研究部会では新型コロナ禍で「取り残される人々」に対して、人間の安全保障の観点を踏まえつつSDGs目標の達成度や残されている課題に関して議論を続けている。

春季大会で行なわれた第1回目のラウンドテーブルでは、「開発レジリエンスと新型コロナ時代のSDGs」という題目のもとで議論が行なわれ、成果として新型コロナ禍により改めて、SDGsが途上国の問題ではなく私たち自身の問題であることを再確認し、SDGsを巡る言説の危うさにも言及がなされた。

また、インフォーマリティー(許容された違法性)や、「取り残された人々」に着目することの重要性も再確認された。第2回目RTの目標としては、パンデミック以後の時代を焦点に、開発、レジリエンス、SDsに関わる議論を展開した。

前半は4人による研究報告がなされた。関谷雄一からは「ハイブリッド調査の模索」、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)からは「新型コロナウィルス禍に於けるジェンダーと労働問題」、大谷順子会員(大阪大学)からは「中国の事例から考える」大門毅会員(早稲田大学)からは「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」という題目でそれぞれ報告があった。

その後、討論者である野田真里会員(茨城大学)からのコメントがあり、それに応答する形で、報告者と聴講者が交わる形での討論が展開された。

オンラインのつながりがもたらす研究調査のレジリエンスとは何か、パンデミックで益々脆弱な立場にある女性の状況、それに連動する女性の社会参画に対する低い社会認識をいかに改善するか、専門家ムラ・権威主義・同調圧力に抗し、オルタナティブな考え方や取り組みをいかに促すか、目標設定としては参加が容易だが、危機的な問題へのアクションにはなかなかつながらないSDGsとどう向き合っていくか、といった課題が残されていることが確認された。

(関谷雄一)


E1. Education

  • 座長:澤村信英(大阪大学)
  • コメンテーター:荻巣崇世(上智大学)、芦田明美(早稲田大学)

発表者

  1. “Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”
    Takao Maruyama (Hiroshima University)
  2. “Student Mobility to Japan in the Age of COVID-19 ―A Matter of Degree ―”
    Lauren Noelani Nakasato (Waseda University), Nobuko Kayashima (JICA Ogata Sadako Research Center)
  3. “Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon”
    Jean-Baptiste M.B. SANFO (University of Shiga Prefecture)

本セッションでは、以下の3件の発表があった。参加者は25~30人、コメンテーターは芦田明美(早稲田大学)および、荻巣崇世(上智大学)の各会員である。いずれの発表も本学会にとって重要な研究トピックであった。

(1)「Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”」(広島大学 丸山隆央):

開発援助機関がいかにデータとエビデンスにもとづきプロジェクトを改善、拡大することができるのか、インドのNGO Prathamを事例として検討し、どのようなレッスンが他の援助組織にあるかを考察したものである。実践者と研究者の協働によりプロジェクトを拡充させていく例であるが、二国間援助機関や国際機関、あるいは小規模なNGOにとって、どれほど応用が利くのかなど、議論が交わされた。

(2) 「Student Mobility to Japan in the Age of COVID=19―A Matter of Degree―」(早稲田大学 仲里ローレンほか):

コロナ禍において、世界的な留学生の動向と日本への移動を比較し、いかなる要因が影響を与えているかについて、検証するものである。パンデミック前後の留学生数の増減を、学位取得を目的とするか否かにより分類し、インタビューデータも活用し、分析している。学位取得型の留学に着目するなかで、修士と博士、あるいは専攻による差異がどのようにあるのか、日本で学位取得型の留学生が増えた背景などについて質疑が行なわれた。

(3) 「Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon」(滋賀県立大学 Jean-Baptiste SANFO):

アフリカ仏語圏4か国を対象として、初等学校における都市農村の学習到達度の格差の要因を量的分析により明らかにしようとしている。その要因として、測定可能な(tangibleな)要因・特徴とそうでない(intangibleな)ものに着目し、それぞれでどれほどこの格差を説明できるかを検証している。格差のパターンが対象国により、いかなる違いがあるのか、ジェンダーや学校規模、公立・私立による差などに関して、議論が行なわれた。

(澤村信英)


午後 I セッション/ Afternoon Session I 12:00-14:00 (GMT +9)

A2. 企画「コロナパンデミックを踏まえたインフラ分野における途上国支援」

  • 企画責任者:川辺了一(国際協力機構)
  • 司会:小泉幸弘(国際協力機構)
  • 発表者:金子素子(アルメックVPI)、久保彩子(国際協力機構)、田中圭介(国際協力機構)、藤田朗丈(ボストンコンサルティンググループ)、松原康一(日水コン)、松本重行(国際協力機構)
  • 討論者:松丸亮(東洋大学)、花岡伸也(東京工業大学)

2020年初めから全世界に広がった新型コロナウィルスは、2021年の今なお、世界経済、国際政治に多大な影響を与え、市民生活にも大きな変化をもたらしている。とくに、衛生環境が十分整っていない途上国の市民は、この感染拡大リスクに晒されており、医療分野や公衆衛生分野の支援が多く展開されている。

また、これを機に、途上国の市民においても、衛生環境の改善、ソーシャルディスタンスの確保、デジタル技術の活用等についての認識が変化しており、インフラ分野の協力では、この変化を踏まえたアプローチが求められる。

かかる背景を踏まえ、JICAでは、都市開発分野、公共交通分野、水・衛生分野について、今後の協力方針の検討に向けて「全世界COVID-19等感染症に対する都市環境改善プログラム形成準備調査」、「ポストコロナ社会の公共交通事業のあり方に係る情報収集・確認調査」、「水供給・衛生分野の新型コロナウィルス対策の教訓と必要な支援方策の検討」等の調査を実施している。

本セッションでは、これら調査結果等を報告するとともに、インフラ分野の途上国支援における今後の協力方針や新たな支援アプローチについて、コロナ禍を踏まえ「変わること」「変わらないこと」を中心に意見交換を行なった。

都市開発分野については、「多極分散」「近隣住区」の重要性が再確認された。また、公共交通分野では、その必要性は変わらないものの、公共交通の安全性確保にあたり、「交通安全」に加え「感染予防」が重要となることが確認された。水・衛生分野では、「健全な水道事業体経営」の重要性は変わらないものの、「脆弱層への手洗い促進」の重要性が確認された。

また、参加者からコロナ禍におけるリモート協議の有効性と限界について言及があり、ポストコロナにおいては、現地渡航とリモート協議の適切な併用が重要となることを確認した。そして、最後に、今後も議論を継続していくことを確認した。

(川辺了一)


B2. 教育Ⅰ

  • 座長:吉田和浩(広島大学)、
  • コメンテーター:森下拓道(JICA)、劉靖(東北大学)

発表者

  1. 「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響 ―ミャンマー連邦共和国小学5年生の事例―」
    牟田博光(国際開発センター/大妻女子大学)
  2. 「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題 ―カリキュラム開発者,教員,生徒へのインタビュー調査から―」
    日下智志(鳴門教育大学)
  3. 「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下における保護者の子どもへの家庭学習支援―国際比較調査の結果から―」
    谷口京子(広島大学)
  4. 「ネパール基礎教育における修学実態の分析 ― 留年は退学の主たる原因か ―」
    江嵜那留穂(愛知淑徳大学)

本セッションはコメンテーターを森下拓道会員、劉靖会員にお願いし、吉田和浩座長のもと、4本の発表を行なった。計39名の参加者があった。

まず、牟田博光会員が「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響」について、ミャンマーの小学5年生を事例として発表した。学力が低い子ほどミャンマー語が母語かどうかで大きく影響を受けるなど、学力、学校への好感度の高さへの家庭言語の説明力の高さを明らかにした。

参加者からは、少数民族にもミャンマー語との類似性に大きく差があることが指摘されるなど、活発な質疑応答がなされた。

つぎに、日下智志会員が「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題」について発表した。教科内容的に普遍性の高い数学について、コミュニティーのニーズに対応し、またそれと連携することができていない実態が明らかになった。

コミュニティーの範囲と定義、また、普遍性が高い一方で5進法を使う現地の考え方と教科書の違いなど、さらに検討を加える余地について質疑応答があった。

3番目に、谷口京子会員が「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下の子どもへの家庭学習支援」について19カ国の国際比較調査の結果をもとに発表した。保護者の電子機器を使う自信度と学習支援には有意な関連性が認められた。一方で、日本では家庭での学習支援時間が対象国中で最も短かった。

質疑では、電子機器以外の学習手段、また電子機器の多様性についても考慮する必要性などが指摘された。

最後に、江嵜那留穂会員が「ネパール基礎教育における就学実態の分析」として、従来の横断的データが、留年が退学の主たる要因であると主張するのに対し、縦断的(個別事例の経年調査)から、留年せずに退学する児童、留年経験はあるが修了する児童が多い実態を明らかにした。

質疑応答では留年者、中退者の学年別の考察、さらには個別事例から得られた情報の発展的な設問に応用する余地などが指摘された。

(吉田和浩)


C2. 保健・栄養

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • コメンテーター:古川光明(静岡県立大学)、池見真由(札幌国際大学)

発表者

  1. 「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康 ―南東部リンディ市におけるパイロット質問票調査―」
    阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、Parinya Khemmarath(宇都宮大学)
  2. 「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査―消費における近代と伝統の共存―」
    伊藤紀子(農林水産政策研究所)
  3. 「ザンビアの都市部におけるCOVID-19の障害者団体への影響―障害者の対処に焦点をあてて―」
    日下部美佳(京都大学大学院)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。

第1に阪本公美子、大森玲子、Parinya Khemmarathによる「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康」である。

この報告には、小学生たち自身の認識を問う意図があった。朝の体調不良などを訴える子供たちも少なくなく、また市内に通う小学生たちを対象に調査したにもかかわらず、野生の野菜や果物を摂取している場合も多いことなど、興味深い発見があった。とくに後者については、コメンテーターの池見真由から、経済的・社会的階層との関係性についての指摘がなされた。

第2に、伊藤紀子による「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査」では、食料消費の変化が食料安全保障に及ぼす影響などを意識した調査の結果、「伝統食」や「近代食」について、それぞれの特徴が存在していることが分かった。

池見からのコメントをふまえ、共食することが多いアフリカでの食文化において、「伝統食」や「近代食」の区別のありかたや、またこの2つのハイブリッド化についても議論された。

3つ目は日下部美佳による「ザンビアの都市部における COVID-19の障害者団体への影響」では、コロナ禍においてザンビアの障害者団体の運営にどのような影響が出ているかという、あまり日本では情報が得られない事柄についての基調な報告がなされ、(1)外国支援者との関係性の変化、(2)資金の多角化によるリスク分散、さらに(3)情報格差、といった視点からの考察がおこなわれた。

古川光明はコロナ禍の調査ではあるが、サンプル数の少なさ、評価基準や評価枠組みなどをどう考えるか、といったコメントがなされた。

全体に、コロナ禍という状況下において日本人研究者による訪問調査が難しいなか、多様な方法で調査を行なっていることには感銘を受けた。それゆえ3つの報告とも、今後のさらなる進展がおおいに期待できる。

オンライン開催となったこのセッションにおいても、手話通訳の実施やチャットを活用した意見交換などの工夫がなされ、学界全体にとってもコロナ禍後への示唆が大きかった。

(斎藤文彦)


D2. Community and Development in Asia(英語)

  • 座長:豊田利久(神戸大学)
  • コメンテーター:高木泰士(東京工業大学)、荒神衣美(アジア経済研究所)

発表者

  1. “Regional Distribution of Foreign Direct Investment in Indonesia: An Insight from Provinces and Sectors”
    Al Muizzuddin Fazaalloh (Nagoya University)
  2. “Consideration of Possible Tsunami Impact in the Coastal Areas of Pakistan by Numerical Modeling and Geographical Information Techniques”
    Babar Ali (Pakistan Meteorological Department / Toyo University), Ryo Matsumaru (Toyo University)
  3. “A Traditional Community House for the Ethnic Minorities in Central Vietnam ―A Qualitative Study on Ten Years of Community Management-”
    Akiko Iizuka (Utsunomiya Univeristy), Ayako Fujieda (Kyoto Seika University), Ueru Tanaka (Setsunan University)

発表1は、インドネシアにおけるFDIの決定因を、33州のパネルデータ(2010-2018)によって、産業全体および4産業部門(農業・製造業・公益産業・サービス業)別に分析した内容である。

産業全体では一人当たりGDP、 賃金、貿易開放度、都市化指標等が有意な正の効果を示す。他方、産業部門別では決定因に大きな違いがあることが示される。集積経済の効率性が達成されるようにFDIの誘導政策が必要であるとの結論も示す。製造業を1つのセクターとしていることの限界などの有益なコメントが与えられた。

発表2は、アラビア海に面したパキスタン沿岸部の津波リスクを数値モデリングとGISの手法でシミュレーション分析したものである。1945年に生じた大津波に関する2つの先行研究に基づくシナリオを考える。

津波の到達時間が早いので早期警戒の効果は大きくない。同じ沿岸部でも地理的条件が違い、西部は比較的津波被害が小さいが、東部は低地で産業・人口も密集しており被害が甚大になる。

過去に観測されたMw8.2の地震によって起きた津波高12mではなく、Mw9.2の地震による津波高16mに備える必要があるとする。これに対して1945年のデータの精度や津波高の現実性の検証の必要性などが指摘された。

発表3は、コミュニティ・ハウスの住民自身による工夫された管理が、農山村の持続的発展に重要な役割を果たすことを示す。

ベトナム中部の少数民族が居住するホン・ハ(Hong Ha)地区には、外部からの支援で建てられたコミュニティ・ハウスがいくつか存在する。京都大学とフエ大学のグループが共同設立したハウスは、地域住民によって自発的に改善・管理がなされている事例である。

当初は、災害避難と環境管理を主な目的に建てられたが、現在は、宿泊可能なエコツーリズムの拠点として収益をもたらし、またカフェを運営して住民の集う拠点となっている。住民自身によるコミュニティの自発的発展の重要性を示した。

このセッションは、経済、社会、工学分野の開発に関する事例を扱う学際的な構成となっており、まさに、この学会の縮図を感じさせるものであった。参加者数は15~20名であった。

(豊田利久)


E2. Agriculture

  • 座長:島村靖治(神戸大学)
  • コメンテーター:會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)、倉田正充(上智大学)

発表者

  1. “Women’s Socio-Economic Empowerment Through Agricultural Cooperatives: Case Study of Mali”
    Asmao Diallo (Doshisha University)
  2. “Determinants of Farm Households’ Vulnerability: A Case Study of Municipality of Dingalan, Aurora Province, Philippines”
    Masahiko Jin (Nagoya University, Former student)
  3. “Assessing the Performance of Agricultural Insurance Programs Using Korten’s Model of Fit: A Comparative Study of Japan and the Republic of the Philippines”
    Armand Christopher Rola (Doshisha University)

本セッションは、開発途上国の農業に関連する3つの報告が行なわれた。

第1の発表(Asmao Diallo)では、マリにおける農業協同組合(cooperatives)を通じた女性のエンパワーメントを主に、融資へのアクセス、市場へのアクセス、トレーニングのための機会の3つ視点から、質的な手法による検証が行なわれた。

コメントとして、男性の協同組合との違いや土地の所有権制度について質問が出されたが、発表者より詳細な説明がなされ、参加者の理解がより深まった。

第2の発表(Masahiko Jin)では、フィリピンにおける農業家計の脆弱性の決定要因を量的な手法により探求し、非農業就業や果樹栽培、家畜の保有が脆弱性の緩和に寄与していることが示された。一方でコメントとして、地域で共通する傾向のある(covariate)リスクと、各家計に特有の(idiosyncratic)リスクの明確な定義を確認する質問が出された。

また、リスクに対する事前的な対処(risk management)と事後的な対処(risk coping)とを峻別して、結果を解釈すべきという意見も出された。それぞれのコメントに対して発表者からの補足的な説明があり、有益な議論が交わされた。

第3の発表(Armand Christopher Rola)では、混合法(mixed method)を用いたフィリピンにおける農業保険と日本の農業保険(農済)との比較分析が行なわれた。

コメントとして、比較対象の選び方の妥当性やサンプリング方法の正当性、そして、分析結果の真偽性を確認する質問が出されたが、発表者によりひとつひとつ丁寧な追加説明があり、多くの疑問点が解消された。ただし、日本の農済についての分析については少し課題を残した。

そして最後に、発表者同士での質疑応答の時間もあり、とくにリスクに対する対処方策について活発な議論が行なわれた。

(島村靖治)


プレナリーシンポジウム14:20-17:05 (GMT +9)

『おんぼらーっとしまっし。石川仕立ての創成と共生、そして開発』

  • 企画責任者:和田一哉(金沢大学)
基調講演
  • 「FAO世界農業遺産事業の概要と農村開発への可能性」
    遠藤芳英(FAOローマ事務局)
  • 「持続的発展のための人材育成:世界農業遺産(GIAHS)『能登の里山里海』と『フィリピン・イフガオの棚田』の連携事業」
    中村浩二(金沢大学)
話題提供
  • 「地域資源の再評価と地域づくり -東洋大学能登ゼミの経験から-」
    髙橋一男(東洋大学)
  • 「自然資源経済と“輝く農山村”の創成-個性的な“顔(FACE)”を大事にする自治的地域づくりへ-」
    寺西俊一(一橋大学)
  • 「見渡せる範囲の実践共同体-コスタリカと能登で学んだこと-」
    北村健二(金沢大学)
  • 「ごちゃまぜのまちづくり」
    清水愛美(佛子園理事・Share金沢)
パネルディスカッション 
  • 司会・ファシリテーター:宇野文夫

戦後間もない頃から長きにわたり、開発(Development)と言えば経済成長(Economic Growth)とほぼ同義であった時代がある。しかし、周知のとおり、その後、徐々にその言葉の意義が問い直され、「人間開発」という言葉が表れるなど、人間の生活の質、そして「より良い生」とは、ということが問われるようになっていく。

さらに言えば現在、人が「より良い生」を送るにはどうすれば良いか、それを実現するための社会の在り方とは、という問いが課題になっていると考えられる。言い換えると、「開発」は人類の普遍的課題である、というのがそもそもの問題意識である。

それゆえに、石川という一地方から「開発」の意義を問い直すことにこそ価値はあるとの考えのもとに、本セッションは企画された。

現在の社会は、効率化、規制緩和、都市への人口集中、その一方で地方の過疎化という状況にあると言える。これは経済効率一辺倒の流れ、とも言い換えられる。しかし、そのような流れとは一線を画し、地方に本質的な価値を見出そうという動きが、他方で存在する。

それは、「失われつつある何か」の価値を再検討しようとする動き、と換言できるかもしれない。ここでいう価値、価値観といった言葉は、その社会で重視すべきことは何か、あるいは社会はどうあるべきか、といった問いに答えるための基礎となるものが想定されている。

このような問題意識を検討すべく、まず2本の基調講演によって石川という地方の現状について「世界農業遺産」を切り口に把握した。そして、4本の話題提供とパネルディスカッションを通じ、失われつつある価値あるものとは何か、そのような価値観を醸成するためのヒント、社会の在り方、そして「より良い生」とは何か、をテーマに議論した。

真の「開発」とは、そして我々が目指すべき社会とはいかなるものかという壮大な問いに関して活発な議論が交わされた。

(和田一哉)


11月21日(日曜)/ Sun. Nov. 21st, 2021

午前 II セッション/ Morning session I 9:30-11:30 (GMT +9)

A3. RT「日本国内の課題解決にODA人材は貢献しうるのか ―途上国の教訓・ネットワークを国内に、国内の教訓・ネットワークを途上国へ―」

  • 企画責任者:河野敬子(海外コンサルタンツ協会)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:平林淳利(JICA)、千田雅明(パシフィックコンサルタンツ)、細江絵梨(根浜MIND)
  • 討論者:高野翔(福井県立大学)

実務者からの情報発信強化および、研究者との交流によるODAの質的改善を目的とした、ECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し、今回3回目の開催となった。

今回は、日本国内の社会的課題が深刻化するなか、1)ODA人材は国内の課題解決の役に立てるか?「何に」「どのように」役に立てるか、2)国内の取り組みを、途上国への技術協力のさらなる充実につなげることができるか、といった2つの問いを軸に事例発表を交え、ディスカッションを行なった。

平林氏の発表では、まちを元気にする支援として、岩手県釜石市におけるJICAの取組みの紹介と、JICAの今後の国内連携強化の可能性について報告があった。

千田氏の発表では、国内でのコンサルティング業務の転機となった東日本大震災の復興にかかわる業務や、その経験を生かした途上国での災害復旧支援業務、また、その両者の経験を活かした国内外を結ぶプロジェクトの紹介があった。

細江氏の発表では、釜石市の「オープンシティ戦略」に基づく根浜地域において、地域の外と中をつなぐコーディネータの役割を通して、課題解決に重要な「対話」や「意思決定」について紹介があった。

高野氏からは、これまでの経験を踏まえたまちづくりを実践・研究している立場から、ODA人材を「風の人」、その土地に根付いた地域の人を「土の人」と表現し、風の人が土の人の属性を少しでも持つことが重要であること、自分事と捉えて取り組むこと、自治体とのネットワーク構築、JICA海外協力隊の活用、働き方改革を実現するための仕組みづくりが大切であるとコメントした。

ディスカッションでは、国内外問わずこれからは「教訓」を「共有」し、「共感」を得ることでモチベーションを上げ、そのような人材で地域に根差したムーブメントを作っていくことが大切ではないか、また、その経験を含んだ事例を世界に向けて発信することも重要だろうといった議論があった。

40名前後の参加者をえて、ラウンドテーブルらしい活発な議論が行なわれた。

(河野敬子)


B3. 環境・復興

  • 座長:安達一郎(JICA研究所)
  • コメンテーター:佐々木大輔(東北大学)、石渡幹夫(JICA)

発表者

  1. 「パキスタン気象局技術グループ職員の専門知識共有に関する考察」
    内田善久(東洋大学大学院/国際気象コンサルタント)、松丸亮(東洋大学)
  2. 「グローバル化におけるネパールの災害復興のネットワーク―ネパールの被災地パタンと在日ネパール人コミュニティの関係から―」
    竹内愛(南山大学)
  3. 「ラオス国山岳民族モン族の移転に伴う灌漑水田の開発と生活の変化 ― 山地の陸稲から低地の水田へ ―」
    冨岡健一(GUDC)、筒井勝治(ニュージェック)、村上嘉謙(関西電力)
  4. 「インドネシアにおける泥炭地管理の制度的課題:西カリマンタン州パワン・クプル泥炭ドームを事例として」
    久保英之(地球環境戦略研究機関)、Arief Darmawan(インドネシア国ランプン大学)

本セッションは(環境・復興)となっていたが、当日の報告は防災がメインで、一点社会配慮に関する報告となった。報告の内容は、泥炭地管理から、ダム移転に関する少数民族の保護といったバラエティに富むもので、方法論含めて幅広かった。ただ、共通して現場でのさまざまな課題への取組みに関する研究であり、実務からの報告である。

また、泥炭地管理といった課題、震災復興に向けての取組み、気象局のキャパシティ、そして住民移転の報告すべてにおいて、現地のローカルナレッジや、先方関係機関の知恵やキャパシティの重要性を取り上げていることである。

コメンテーターからは、示されている結論や分析方法に対する指摘や、とくに実務研究としてどういった方法論を用いて分析を行なっていくのかという提起があった。

現場報告では、こうしたことがあったという調査報告的な側面が強くなりがちななかで、研究としての方法論の模索を行なっていくことが重要である。また、今回のセッションにおいては、開発協力のなかで、より現場でのキャパシティやナレッジの重要性が確認されたと言える。

(安達一郎)


C3. 産業・経済・労働

  • 座長:小國和子(日本福祉大学)
  • コメンテーター:佐藤裕(都留文科大学)、牧田りえ(学習院大学)

発表者

  1. 「グラミン銀行は何をもたらしたのか―マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々―」
    鰐部行崇(法政大学大学院)
  2. 「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」
    榊原正幸(総合地球環境学研究所)、笠松浩樹(愛媛大学)、山口勉(エスペックミック)
  3. 「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察―持続可能な開発の視点から見る伝統保存の意義―」
    田中志歩(広島大学大学院)

本セッションでは、3本の個別報告が行なわれ、最多で38名の参加があった。

鰐部行崇会員による「グラミン銀行は何をもたらしたのか――マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々」では、グラミン銀行の歴史を遡り、1983年から2019年の財務資料の分析と債務者の語りから、グラミン銀行が激化する競争環境を背景に資本主義的経済活動を強化していった様と、その中で負債が膨れ上がり「借金人間」が生み出されたプロセスを批判的に考察した。

コメンテーターの佐藤裕会員からは、節構成に関する助言、関連文献の紹介、「成功」と「失敗」の判断においてMF/MCの運営がさまざまなアクターにもたらす、意図せざる結果にも着目する必要性が提示された。

榊原正幸会員による「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」では、零細小規模金採掘が大気の水銀汚染の主たる汚染源となっている状況を説明し、問題低減の道筋を明らかにする手立てとして、住民、民間、研究者などさまざまなステークホルダーの対話と協働の場となるトランスディシプリナリー実践共同体の結成と、その協働を通じて権力の非対称性を低減し、フォーマルなマルチセクター間協働へと発展させる可能性を、具体例にもとづき提示した。

コメンテーターの牧田りえ会員からは、これら実践の学術的示唆として、実践共同体の概念的構成をより深める必要性が提示された。

田中志歩会員による「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察――持続可能な開発の観点から見る伝統保存の意義」では、カワウソ漁を行なうA村10世帯に対する詳細な聞き取り調査から、現地におけるカワウソ漁の位置づけやその経年変化の一端が描写された。

コメンテーターの牧田会員からは、個々の情報の面白さの先に、いかなる学術的な問いが立てられるのか、そのリサーチクエスチョンの明確化に向けて助言がなされた。

最後に全体での質疑応答がなされ、チャットや口頭で複数のコメントが寄せられた。

(小國和子)


D3. 市民社会

  • 座長:林裕(福岡大学)
  • コメンテーター:華井和代(東京大学)、西浦昭雄(創価大学)

発表者

  1. 「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」
    古川光明(静岡県立大学)
  2. 「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」
    森尾貴広(筑波大学)
  3. 「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか―ラテンアメリカ5カ国の比較検証―」
    河内久実子(横浜国立大学)
  4. 「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」
    栗原俊輔(宇都宮大学)

オンライン開催となったため、本セッションの4名の発表者もオンラインでの発表となった。そのような状況においても、4名による報告は有意義で活発な議論を喚起した。

発表1:古川光明氏(静岡県立大学)は「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」と題して、紛争影響国の分断された社会におけるスポーツ大会が各層における平和と団結に貢献することを、事例に基づいて報告した。

発表2:森尾貴広氏(筑波大学)は、「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」において、日本が主導するアフリカ開発会議(TICAD)が、日本企業のアフリカ進出に対して複数の国へ同時に進出する傾向を明らかにした(西部アフリカを除く)。

発表3:河内久実子氏(横浜国立大学)は、「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか:ラテンアメリカ5カ国の比較検証」と題して、米国の平和部隊がラテンアメリカ諸国から追放された背景と動機の解明を、国際政治環境に目配りしつつ、米国の公文書等に依拠した考察として報告した。

発表4:栗原俊輔氏(宇都宮大学)は、「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」と題して、宇都宮大学で実施するJICA草の根技術協力事業評価のなかで、学生とスリランカ紅茶プランテーション農園青年層による参加型モニタリング・評価が、相互に学びと自信を与えたことを報告した。

市民社会セッションでは、華井、西浦両コメンテーターによる鋭く、かつ生産的な指摘、そして、参加者との活発な質疑応答によって、問いの在り方や研究の意義、研究手法と結果等、有意義で今後の更なる研究の深化に向けた貢献がなされた。

また、本セッション自体もオンラインであったが、栗原報告は報告内容そのものがオンラインでの事業評価を考察するなど、現代の世相を反映するものであった。

(林 裕)


E3. 企画 “International Development Cooperation of Japan and South Korea -New Strategies for an Uncertain World-”

  • 企画責任者:Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University)
  • 司会:Tatsufumi Yamagata
  • 発表者:Tatsufumi Yamagata, Shinichi Takeuchi (Tokyo University of Foreign Studies / IDE-JETRO), Huck-ju Kwon (Seoul National University), Jisun Song (Korea National Diplomatic Agency), Hyomin Jung (Kyoto University), Motoki Takahashi (Kyoto University), Eunju Kim (Hansung University)
  • 討論者:Toru Yanagihara (Takushoku University)

本セッションは、以下の本の出版を契機として開催された。

Huck-ju Kwon, Tatsufumi Yamagata, Eunju Kim and Hisahiro Kondoh eds., International Development Cooperation of Japan and South Korea: New Strategies for an Uncertain World, Palgrave, 2022。

本書は、当学会と韓国国際開発協力学会(KAIDEC)との協力プロジェクトの成果であり、2022年初めに出版予定である。

本セッションは、編者の一人である山形辰史が座長を務め、本書の執筆者のうちの数名が報告を行なう形態をとった。行なわれた報告は以下のとおりである。

  1. 山形辰史(立命館アジア太平洋大学)「序章および終章」
  2. 武内進一(東京外国語大学/ジェトロ・アジア経済研究所) “Policy Concepts and Normative Rationales in Japan’s Foreign Aid: Human Security, TICAD, and Free and Open Indo-Pacific.”
  3. Huck-ju KWON (Seoul National University) “Reflection on a normative rationale for Korean ODA policy: Duty, self-regards and obligation.”
  4. Jisun SONG (Korea National Diplomatic Agency) “Foreign Aid as Foreign Policy Instrument and its Institutional Development: Case Study of South Korea.”
  5. 鄭 傚民(京都大学)”Quest for Combination of Economic Development and Poverty Reduction: Dual Features of Japan’s Aid in the post-Cold War era and After.”
  6. (6) Eunju KIM (Hansung University) “Balancing Universal Values and Economic Interest through Development Cooperation in Korea.”

討論者は、柳原透会員(拓殖大学)であった。

序章では問題意識として(1)日韓のODAの共通のメカニズム、(2)日韓ODAの究極目的、(3)日韓ODAの今後の戦略を問うた。それに対して終章では、(1)援助を受け入れて産業発展を行なった経験と、その経験を基にした周辺アジア諸国への国際協力、がメカニズムとして指摘された。

(2)については、国際公共財の構築が目的とされ、(3)に対しては、産業発展のための官民連携を行なう際にも、民間側の制約に官側が縛られるのではなく、むしろ民間側のスコープを広げるべきであることや、共通点の多い日韓ODAが戦略的に強調行動をとった場合のシナジーの大きさが指摘された。

これに対して柳原会員は、(1)(2)(3)それぞれの結論が可能性の指摘に止まっており、十分な説得材料に欠けることを課題として挙げた。

(山形辰史)


午後 II セッション/ Afternoon Session II 12:15-14:15 (GMT +9)

A4. RT「開発協力事業における評価の方向性」

  • 企画責任者:佐藤洋史(国際協力機構)
  • 司会:佐藤洋史
  • 発表者:鴨谷哲(JICA)、川本華子(JICA)、秋元祥恵(JICA)、富田洋行(JICA)、大川太郎(JICA)
  • 討論者:伊藤 晋(新潟県立大学)

本セッションでは、開発協力事業における評価の今後の方向性および、あるべき姿に関する議論を深めるため、4つのテーマについて6名の報告者からの話題提供を受け、討論者・参加者を交えた議論が行なわれた。

冒頭、本ラウンドテーブルの企画者である佐藤より、ラウンドテーブル企画の背景、目的について説明した。

最初の発表として、鴫谷哲氏より、本ラウンドテーブルの他の報告内容を含むJICAの事業評価の昨今の取り組みを俯瞰する報告がなされた。

つづいて、川本華子氏より、ルワンダにおける教員間の校内相互研鑽強化プロジェクトの効果発現に至るプロセスを遡り、DAC評価項目とは異なる視点で事業を振り返りながら、今後の類似事業の形成・実施に向けての教訓が報告された。

その後、秋元祥恵氏、吉岡佐知子氏より、Theory of Change (ToC)を用いた、目標達成に向けた事業の変化の軌跡の検証結果を踏まえた留学生事業の評価の在り方について報告された。

最後に、富田洋行氏、大川太郎氏より、開発課題別の事業戦略の強化・推進に向けた最新の取組み状況と、今後の評価上の対応課題等について報告された。

報告の後、討論者である新潟県立大学の伊藤晋会員より、プロセスの分析を実施するうえでの課題、TOCを活用する際の限界や、新たな事業マネジメントにおけるクラスター評価と内包される個別事業の評価との関係、これら新たな取り組みを、さまざまな制約のなかでどのように実施していくか等についてコメント、議論が行なわれた。

また、参加者からも、新たに追加された整合性評価を実施する際の留意点について質問が挙がるなど活発な議論が行なわれた。

(佐藤洋史)


B4. 教育Ⅱ

  • 座長:關谷武司(関西学院大学)
  • コメンテーター:笹尾隆二郎(アイシーネット株式会社)、石田洋子(広島大学)

発表者

  1. 「日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―」
    萱島信子(JICA)、杉村美紀(上智大学)
  2. 「中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―」
    羅方舟(大阪大学大学院)
  3. 「コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性-ネパールでの協力事例から-」
    三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)

萱島信子会員(国際協力機構緒方研究所)と杉村美紀会員(上智大学)から、『日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―』について発表いただいた。ODAによる留学生招聘の辿ってきた道筋を、史資料と統計資料の分析から明らかにし、今後の発展に向けての示唆を得ようとする報告であった。

コメンテーターである石田洋子会員(広島大学)からは、これらの事業の達成度や、受入人数の増減にある背景、今後も続けることの意義などについて質問があり、発表者からマレーシアの例などを踏まえた説明がなされた。

つぎに、羅 方舟(大阪大学 人間科学研究科)会員から『中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―』について発表があった。本研究の目的は、中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画を明らかにすることであり、多様な進路選択とキャリア計画を、留学生の個人的経験と関連づけながら分析した。

コメンテーターの笹尾隆二郎会員(ICネット株式会社)から「アフリカ人の留学先として中国を取り上げたこと、加えて、教育面に限定されていない学生の留学後の進路選択やキャリア計画をとりあげたことで新規性があり、興味深い課題設定がなされている」とのコメントが寄せられた。

3つ目の発表は、三宅隆史会員(シャンティ国際ボランティア会)から『コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性―ネパールでの協力事例から―』が発表された。本発表では、コミュニティ学習センタ ー(CLC) の自立発展性を確保する支援のあり方はどうあるべきかを研究課題として、ネパールでの協力事例を基に考察が行なわれた。

コメンテーターである石田洋子会員から自治体との連携などが質問され、発表者からスケールアップと資金確保が課題として挙げられることなどが報告された。

(關谷武司)


C4. 企画「アフリカ遊動社会におけるレジリエンス変容の探究―人道支援・開発ギャップ克服に向けて―」

  • 企画責任者:湖中真哉(静岡県立大学)
  • 司会:湖中真哉
  • 発表者:島田剛(明治大学)、孫暁剛(静岡県立大学)、佐川徹(慶應義塾大学)、波佐間逸博(東洋大学)、湖中真哉
  • 討論者:柳原透(拓殖大学)

本企画セッションは、東アフリカ遊動社会を対象として、彼らの社会におけるグローバルな領域とローカルな領域の接合状況に着目しながら、彼らのレジリエンスの在り方を探究することを目的とし、そこから開発と人道支援の可能性を探った。おもに扱われたのは、気象的リスクと紛争リスクである。

最初の島田剛による報告「気候変動による災害のアフリカの経済成長、 農業、紛争への影響と、援助の役割:1961-2011のパネルデータによる計量分析」では、アフリカ全域における気候変動による災害の影響を解明し、マクロな視点からレジリエンス課題の大枠を概観した。

第2の孫暁剛による報告「水資源の開発と利用に見られる遊牧民のレジリエンス」では、ケニアの遊牧民レンディーレ社会における水資源の利用を事例とし、遊牧民が新しい技術や資源を積極的に取り入れていることが解明された。

第3の佐川徹による報告「生業多様化とレジリエンス─東アフリカ牧畜民が漁労をはじめた論理」では、エチオピアの農牧民ダサネッチ社会において漁撈へと生業が多様化した背景を理解するためには、関係論的な視座が不可欠であることが示唆された。

第4の波佐間逸博による報告「構造的暴力に対抗するレジリエンス ─遊牧の人為的危機に直面したウガンダの牧畜社会におけるシティズンシップの実践─」 、および第5の湖中真哉による報告「遊牧社会における内在的なレジリエンスの在り方と開発・人道支援 ─ケニア・サンブル社会における紛争と国内避難民の事例から─」は、ともに紛争リスクに対するレジリエンスを扱っており、遊牧社会の内在的なロジックを探った。

柳原透より全体に対してコメントがあり、レジリエンスの定義、内在性、対象となる社会集団の単位等が議論され、また、レジリエンスのモデルが整理された。フロアからは資料評価をめぐっての質問があった。

最後に、レジリエンスの研究においては、イーティックな視点とイーミックな視点の共存が必要であることなどが指摘され、学際的なレジリエンス研究の必要性が確認された。

(湖中真哉)


D4. RT「研究と実践のインターフェースを探る―研究×実践委員会主催ラウンドテーブル―」

  • 企画責任者:小林誉明(横浜国立大学)
  • 司会:小林誉明
  • 発表者:小林誉明、志賀裕朗(JICA緖方研究所)、ラミチャネ・カマル(筑波大学)、佐藤峰(横浜国立大学)、浜名弘明(デロイトトーマツコンサルティング)、功能聡子(ARUN)

研究と実践との関係について議論するための場を提供すべく、春の大会に続いて、研究×実践委員会が主催したラウンドテーブルである。「研究と実践のインターフェースを探る」と題し、“研究と実践との幸せな結婚”はありえるのか?“を議論した。

小林会員による全体像の見取り図が示された後、各登壇者(委員)から、それぞれの考えるインターフェースの具体例が提示された。

その後、フロアからは活溌な意見が繰り出された。例えば、メインストリームの実践のあり方に対して代替案を出すような研究があってもよいのではないかという意見が提出され、研究者と権力の側との距離感について意識することの重要性が再認識された。

また、研究のたねにはならないようなものを吸収する仕組みが研究者側にあってもよいという意見は、研究者側の受け入れの姿勢を問うものであり、一方、大きな組織の場合、実務家のリテラシーに比較して研究者の権限が弱くなっているという事案も示され、実務家の側のあり方も問い直される機会となった。

末筆ながら、筆者は、プレナリーセッションにて北村健二先生が指摘されていた「見渡せる範囲の実践共同体」、つまり「小さくてもよいので、その人の次の一歩を支援」するような実践というものに、大きなヒントが隠されているように感じた。

実践の現場はそれぞれのセクターのなかにあり、例えば研究者が所属している大学でいえば、教育の現場がまさにそうなのではないかと感じた次第である。

(小林誉明)


E4. Peace, Democracy and Global Divide

  • 座長:花谷厚(JICA)
  • コメンテーター:片柳真理(広島大学)、重田康博(宇都宮大学)

発表者

  1. “Global Citizenship Education – Youth work in an undemocratic society― AIESEC – an international student organization in Vietnam ―”
    Nguyen Thanh Van (Sophia University)
  2. “Indigenous Self-determination in Cherán, Mexico: Organised Distrust as a Democratic Practice”
    Erick Cosme Gomez (Hiroshima Jogakuin University)
  3. “Transcending the Global-Local Divide: A Framework for Analyzing Technocracy in Peace Work” 
    BALLESTEROS, Marie Donna (Nagoya University)
  4. “Formulation of Practical Model in Poverty Reduction by Microfinance―Analysis of Case Study in India-”
    Hiromi Inami (JDI)

本セッションでは標題テーマのもと、4件の報告が行なわれた。 コメンテーターは、広島大学大学院・片柳真理教授(報告1.および3.)、宇都宮大学・重田康博教授(報告2.および4.)が務められ、座長は、JICA緒方研究所の花谷厚が務めた。

報告1は、社会主義体制下にあるベトナムにおける地球市民教育(GCE)の可能性について研究したもの。国際学生団体であるAIESEC活動経験者に対する調査を通じて、同団体での活動が、経験者の国際的・社会的問題への理解を深めるとともに、社会貢献活動への参画、リーダーシップ育成に貢献していることが確認され、ベトナムにおいてAIESECがGCEの一つの有効な機会を提供し得ることが示された。

報告2では、メキシコ中西部の先住民族の町チェランにおける住民自治のメカニズムを、ローザンバランの「対抗民主主義」の視点から分析した。チェランの4つのコミュニティにおける観察を通じて、審判・監視・否定の「組織化された不信」(organized distrust)が、地域の民主的統治に有効な役割を果たしていることが示された。加えて平和構築論への含意として、信頼とともに不信のメカニズムを構築することの重要性が指摘された。

報告3では、平和活動を支援する国際社会とローカル組織間の関係を、「テクノクラシー」の浸透に注目して論じた。フィリピンで平和活動に従事する市民社会組織(CSO)とドナー等外部組織間の関係分析を通じて、平和活動におけるテクノクラシーの分析枠組を提示した。

報告4は、インドの「女性自営者協会(SEWA)」を対象に、同団体の行なう融資・起業支援活動が、受益者女性の生計・生活に与えた影響について評価した。メンバー女性への聞き取りに基づき、融資や訓練を通じて受益者の生計が改善するだけでなく、家庭内・対流通業者関係において、発言権を増していることが報告された。

コメンテーターからは、RQ、分析枠組み、調査対象選定理由等をより明確にすべきとの指摘のほか、報告2.については「組織化された不信」の他の紛争影響国への適用可能性について意見が交わされた。フロアからは、報告4.のSEWAの活動実態や運営方針について質問があった。

全体を通じて、グローバルに共通する課題に対してローカル組織による独自の取組みの有効性・可能性が示された有意義なセッションとなった。

(花谷厚)


午後 III セッション/ Afternoon Session III 14:20-16:20 (GMT +9)

A5. 企画「ODAを活かしてCollective impactを実現することは可能か?―JICA「クラスター・アプローチ」を通じた共創の試みとその課題―」

  • 企画責任者:永見光三(JICA)
  • 司会:小林 誉明(横浜国立大学・JASID研究×実践委員会委員長)
  • 発表者:室谷龍太郎(JICA)、吉田友哉(JICA)、永見光三(JICA)
  • 討論者:功能 聡子(ARUN)、キム・ソヤン(東京大学・西江大学)

本ラウンドテーブルでは、ODA・開発援助機関の役割が、個別事業の実施に留まらず、多様なパートナーと協働してのCollective impact創出へと変化しているという認識のもと、JICAが始めているグローバル・アジェンダ(GA)および、クラスター・アプローチの取り組みについて、その意義や課題について議論した。本ラウンドテーブルは、国際開発学会の「研究×実践」委員会の活動の一環として企画された。

JICAから参加した室谷室長がクラスター・アプローチの概要を説明したうえで、吉田会員・永見会員とともに、平和構築、保健医療、防災のそれぞれの分野での取組み・検討状況を紹介した。

この取組みについて、討論者3名からコメントや問題提起があった。功能氏は、SSIR(スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー)の議論も紹介しつつ、エクイティ(公平・公正)の視点の重要性を指摘し、Collective impact成功の5条件(共通のアジェンダ、共通の測定システム、相互に補強し合う取り組み、継続的なコミュニケーション、活動をサポートするバックボーン組織)を満たす構造づくりにJICAがどのような役割を果たすか、という問題を提起した。

キム会員からは、このような変革をなぜ今、何のために取り組むのか、クラスターによって役割分担が固定化されることはないか、どのような制度改革が考えられているか、という指摘があった。

大山会員からは、組織内でのクラスターの位置づけと制度変更の可能性、JICA側の支援策の整理に被援助側の視点を取り込む方法、Collective impact実現のためにアクターの継続的な関与を促す仕組み、といった点への指摘があった。

聴衆からの参加も含めた意見交換では、JICA内の制度的な変更の検討についても共有されたほか、日本の経験に拘りすぎずにどのようなベスト・ミックスを実現するか等が議論された。

司会の小林会員は、研究者がクラスターの検討の段階から貢献できる可能性を示唆しつつ、引き続き実践的な改革のためにも研究者と実務者の議論を続けたいとしてセッションを終えた。

(小林誉明)


B5. RT「『開発』の多重性―アジア・アフリカから語り始める―」

  • 企画責任者:汪牧耘(東京大学)
  • 司会:近江加奈子(国際基督教大学)
  • 発表者:綿貫竜史(名古屋大学)、須藤玲(東京大学)、神正光(元名古屋大学学生)

本ラウンドテーブルは、「若手による開発研究」部会による企画セッションである。「開発とは何か」という古くて新しいテーマに対して、「非欧米社会」に立脚する若い世代の研究者なりに改めて問題提起をしようとした、野心的な計画だといえる。

そこで、5人の若手研究者が、東ティモール、バングラデシュ、中国、日本、フィリピンと南アフリカから見た「開発」の多重性を共有した。それは、単一言語や国際的な観念上の約束だけでは回収できない多様な「開発」のあり方を横並びするだけではない。

多様なあり方の関連性を見出し、さらに、ひとりの若手研究者としてどのように「開発」に向き合っていくかという点まで踏み込んだことで、有意義な議論になったと考える。

なかでも、(1)開発をめぐる知識と実践が「言語」によって区切られている現状と、(2) 開発を目指す「豊かさ」の先にあるもの、という2つの論点をめぐって、登壇者は意見を活発に交わしていた。

具体的には、「開発」を研究していくにあたって、ある国や地域の人びとの年齢、人口規模、時代体験や時間感覚などの視点の重要性が言及された。また、尊厳の奪還、アイデンティティの追認、素朴の維持、人間性への回帰などといった、非物質的な「豊かさ」が現実的に「開発」の語り方を形づくっているような実態もあぶり出されている。

本セッションでは合計30人ほどにご参加いただいた。フロアから、障がいを持つ人が求める開発、開発と近代化の線引き、さらに開発の次に語り始めるべき議題など、示唆に富むコメントが多く示された。

開発に携わる人びとが「開発」を語ろうとする意欲と、語り方を洗練していく必要性を実感したところ、「若手による開発研究」部会のこれからの活動に着手するヒントを得たといえる。今後、若手の開発研究者が共同研究を通して、既存の「開発」の語りを相対化し、アジア・アフリカからの知見を体系的に構築していくことを望む。

(汪牧耘)


C5. 企画「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」

  • 企画責任者:佐藤峰(横浜国立大学)
  • 司会:佐藤峰
  • 発表者:菅野智子(横浜国立大学)、Yesmen Kazia(横浜国立大学)、Saidur Rahman(横浜国立大学)、牛夢婷(横浜国立大学)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)

今回は、横浜国立大学佐藤峰研究室として企画セッション「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」を行ないました。

セッションでは、司会の方で企画の説明をしたのちに、当事者のウェルビーイングの戦略もしくは、新たな社会課題の認識に関わる発表を行ないました。前半の二つの発表では、より新しい社会課題と当事者の課題認識に焦点を当てて論じました。

第一発表(菅野智子)では、トンガ王国における生活習慣病の文化的に適切な対処を、第二発表(Yesmen Kazia)は、バングラデシュにおける大卒女性の就活における障壁、および当事者の認識を取り上げました。

後半の二つの発表では、より社会課題の当事者による対処や戦略に視座をシフトしました。第三発表(Saidur Rahman)では、バングラデシュの都市部における女性縫製工場労働者のウェルビーイング戦略について、第四発表(牛夢婷)は、中国における、文化的に非常に特徴がある、性的マイノリティの「カミングアウト戦略」を取り上げました。

討論者には日本福祉大学の小國和子先生をお迎えし、ふわりとした口調ながら、かなり本質的なコメントをいただきました。とくに、well-being概念をinteractiveに生成されるものとして、そのdynamismを事例から詳細に出していくことは、それぞれの現場における課題に対してcontextualにappropriateな解決策を検討していくことにつながるのではないかというコメントは本質をつくものでした。

その後、25名ほどの参加者からのご意見もいただきながら、かなり充実したセッションをすることができました。学生と指導教員という組み合わせでのセッションをすることには、ご批判を受ける可能性もあり、非常な躊躇がありましたが、いろいろと反省点もありながら、結果としてはやってよかったなと思っています。

金沢大学は父の母校なので、学生達と行けたら本当によかったので、オンラインになったのは、少し残念ではありましたが、自分の指導の限界も痛感でき、そのことも含めて大変によい機会をいただきました。

お忙しいところコメンテーターをお引き受けいただいた小國先生には重ねてお礼を申し上げます。

(佐藤峰)


D5. RT・地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」

  • 企画責任者:佐野麻由子(福岡県立大学)
  • 司会:木全洋一郎
  • 発表者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)
  • 討論者:佐藤仁(東京大学)

本ラウンドテーブルセッションは、日本の地域づくりと国際開発という視点から今後の国際開発アジェンダを問い直すことを目的とし、パネリストを含め38名程度が参加した。

木全会員は、1990年代から2010年代の日本の地域と国際開発を巡る議論として、(1)日本の知恵や経験を活用した途上国開発、(2)国際協力を通じた日本の地域づくりを経て、今後は(3)グローバルなトレンドにおける新しい日本の地域づくりを捉えた国際開発のあり方そのものの転換の必要性について、陸前高田市のポスト復興のまちづくりを例に提起した。

梶会員は、高知県の中山間地域の地方再生に携わる立場から、日本・途上国ともに地方においては、「地方創生」や「SDGs」という言葉に違和感を覚えており、それが地域の自己肯定感の低下につながっていることを指摘した。

この点において構造的に国内外の地方に共通軸を見出し、地域の自己肯定感の醸成により、途上国/日本の双方にとって有用な新しい開発のあり方を探究する意義を問いかけた。

工藤会員は、直線的な発展史観に基づく開発/ポスト開発の議論に対して、地域には各々の発展の姿があるとする空間的な発展史観を踏まえつつ、敢えて複数の地域を繋ぐ通域的な学びの場を設定することで、異なる発展のあり方に触れて価値観の揺らぎが起こり、自らの自立的な発展への模索につながることを、秋田県五城目町と南アフリカでのフィールドワークを例に述べた。

佐藤会員からは、「外を知っているからこそ、自国を深く理解できる。構造的な権力関係に対し、ローカルな視点に依拠した新たな知見をもって対峙することができる。学会は自己肯定感を高める知識を提供できるのではないか」等のコメントが出された。

参加者からは、「虫の目をもつ地域に暮らす研究者」の可能性、媒介者・翻訳者の役割の重要性、消費主義から外れた地域関係の構築、地方における「内なる国際化」等についての意見や質問が出された。

本セッションを通して、固有の風土をもつ地域が共通課題でつながることや通域的な学びが、地方の劣等感の解消、中心都市との権力関係の解消、新しい知見の獲得において効果的であり、今後の国際開発アジェンダを考えるヒントになりうることが確認できた。

(佐野麻由子)


E5. RT “Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic”

  • 企画責任者:Masato Noda (Ibaraki University)
  • 司会:Masato Noda
  • 発表者:Dy Samsideth (Ministry of Education Youth and Sport: MoEYS, Royal Government of Cambodia), Yuto Kitamura (The University of Tokyo), Chhinh Sitha (Cambodia Education Research Council), Ashida Akemi (Waseda University), Takayo Ogisu (Sophia University), Bo Chankoulika (MoEYS), Yasushi Hirosato (Sophia University), and Ngov Penghuy (Royal University of Phnom Penh)

本セッションは、Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic: Industrial Human Resource Development and Right to Educationと題し、日本とカンボジアの共同研究として、カンボジア教育青年スポーツ省(MoEYS)からもリサーチ・パートナーを招聘して開催された。英語を使用言語に、参加者31名により活発な議論がなされた。

第1報告では、座長の野田が本研究の概要として、SDGs, Education and Teacher Reform toward 2030 in Cambodia-Issues and New Challenges under COVID-19 Pandemic-と題し、発表を行なった。

第2報告では、Dy Samsideth (MoEYS)より教育総局次長としての政策立案の視点から、Teacher Training and Professional Support System in Cambodia – Under the Covid-19と題し、発表がなされた。

第3報告では、北村友人会員(東京大学)、Chhinh Sitha(Educational Research Council, MoEYS)、芦田明美会員(早稲田大学)により、教育現場・教室の視点から、Examining the Quality of Education in Cambodia via a Review of Classroom Activities and Interactionsと題し、発表がなされた。

第4報告では、荻巣崇世会員(上智大学)より、専門家の学習共同体(PLC)を軸に、Theorizing Teacher Learning through Collaboration: Implications for PLC in Cambodiaと題し、発表がなされた。

本セッションは、科学研究費補助金(基盤C)「カンボジアにおけるSDGs達成にむけた教員改革-産業人材育成と学ぶ権利の保障」(代表:野田真里)の成果による。

(野田真里)


午後 IV セッション/ Afternoon Session IV 16:25-18:25(GMT +9)

A6. 開発をどう見るか

  • 座長:久木田純(関西学院大学)
  • コメンテーター:関根久雄(筑波大学)、山田恭稔(中央大学)

発表者

  1. 「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協力とその評価」
    藤掛洋子(横浜国立大学)
  2. 「『地域社会の組織力』をどう見つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査手法構築に向けて―」
    重冨真一(明治学院大学)
  3. 「『見る』という普遍言語-写真を『読む』ことを通じて考える-」
    平田オーエン慈花(HAPTICS)
  4. 「開発における自律概念の再考―を基礎とした自律と関係性を基礎とした自律の視点から―」
    近江加奈子(国際基督教大学)

時間的制限があったが、4名の発表者の開発についての多様な視点からの考察に対して有意義で示唆に富む議論を行なうことができた。

発表1:藤掛洋⼦氏(横浜国⽴⼤学)により「 パラグアイ農村⼥性⽣活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協⼒とその評価」と題して、コロナ禍におけるオンラインでの開発評価の試みに関する報告が行なわれた。オンライン・フィールドワークも含め、どのようにカウンターパートや参加者との信頼を構築するのかなどの問いが出された。

発表2: 重冨真⼀氏(明治学院⼤学)により「『地域社会の組織⼒』をどう⾒つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査⼿法構築に向けて」と題して、農村の内発的・持続的な開発には地域社会の組織力が重要であり、それをどのように分析し見える化するかについての報告がなされた。リーダー交代など属人的な変化をどう見るかなどの問いが出された。

発表3:平⽥オーエン慈花氏(HAPTICS)により「『⾒る』という普遍⾔語-写真を『読む』ことを通じて考える」と題して、国際開発が価値を問うものであり、見る力が重要であるとの視点から報告が行なわれた。共通感覚やラポールの形成、見ると読むの概念の違い、開発実践は働きかけることによって成り立つのではないかなどの問いが出された。

発表4:近江加奈⼦氏(国際基督教⼤学)により「 開発における⾃律概念の再考―個人を基礎とした⾃律と関係性を基礎とした⾃律の視点から―」と題して、開発における自律の概念は個人を基礎としており、西洋近代市民社会の人間像を押し付けたのではないか、関係性を基礎とした自律の再認識が重要ではないかとの視点から報告がなされた。有効な開発のための自律とは何か、脱開発論につながる議論ではないかなどの問いが出された。

(久木田純)


B6. 企画「JASIDブックトーク」

  • 座長:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)、道中真紀(日本評論社)
  1. 清水展・小國和子/編『職場・学校で活かす現場グラフィー:ダイバーシティ時代の可能性をひらくために』(明石書店、2021年2月刊)
    ・報告者:小國和子会員(日本福祉大学)、大江道雅氏(明石書店) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)
  2. 飯塚倫子/編著『<善い>ビジネスが成長を生む:破壊と包摂のイノベーション』(慶應義塾大学出版会、2021年11月刊)
    ・報告者:飯塚倫子会員(政策研究大学院大学)、木内鉄也氏(慶應義塾大学出版会)
    ・討論者:高田潤一会員(東京工業大学)
  3. 大谷順子/編『四川大地震から学ぶ:復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』(九州大学出版会、2021年9月刊)
    ・報告者:大谷順子会員、高欣会員、陳逸璇会員、王芸璇会員、李婧会員(以上、大阪大学)、奥野有希氏(九州大学出版会) 
    ・討論者:飯塚明子会員(宇都宮大学)
  4. 佐藤由利子/著『日本の留学生政策の評価:人材養成、友好促進、経済効果の視点から〔増補新装版〕』(東信堂、2021年11月刊)
    ・報告者:佐藤由利子会員(東京工業大学)、下田勝司氏(東信堂) 
    ・討論者:黒田一雄会員(早稲田大学)
  5. (1)重田康博・太田和宏・福島浩治・藤田和子/編著『日本の国際協力 アジア編:経済成長から「持続可能な社会」の実現へ』(ミネルヴァ書房、2021年6月刊)
    (2)阪本公美子・岡野内正・山中達也/編著『日本の国際協力 中東・アフリカ編:貧困と紛争にどう向き合うか』(ミネルヴァ書房、2021年8月刊)

    ・報告者:阪本公美子会員(宇都宮大学)、重田康博会員(宇都宮大学) 
    ・討論者:大橋正明会員(聖心女子大学)
  6. 岡野内正/著『グローバル・ベーシック・インカム構想の射程:批判開発学/SDGsとの対話』(法律文化社、2021年6月刊)
    ・報告者:岡野内正会員(法政大学) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)

JASIDブックトークは、会員が自著を担当編集者とともに紹介するセッションです。第5回となる今回も、書籍の内容紹介にとどまらず、出版企画が生まれた経緯、執筆・編集における苦労や工夫、主要読者層や販売動向、国際開発への貢献といった、いわば「本づくりそのもの」を、著者と出版社の双方の視点から語っていただきました。

約45名のご参加のもと、上記6冊の書籍につき、たいへん充実した報告・討論・質疑応答が展開されました。

(道中真紀)


 C6. RT「子どもの安全保障―日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち―」

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学)
  • 司会:勝間靖
  • 発表者:高柳妙子(早稲田大学)、中村安秀(日本WHO協会)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

第32回全国大会の2日目、2021年11月21日(日曜)16:25-18:25、「子どもの安全保障〜日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。参加者は、20名ほどであった。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、中村安秀会員(日本WHO協会)「生まれてくる子どもの安全保障〜日本における母子手帳の経験から」と題して発表した。

日本における乳幼児死亡率を見ると、1948年の61.7(千人あたり)から2019年の1.9と大幅に改善している。しかし、無職の世帯は、11.4(2015年)と高く、社会的に周縁化されている。

その原因として、所得の低さ以外に、日本語能力の不足や社会的ネットワークの欠如からくる保健医療・栄養に関する情報不足も考えられる。母子健康手帳は日本語のほか、9カ国語に翻訳されて国内で使われており、妊産婦への保健医療・栄養の情報の普及に役立っている。

つぎに、高柳妙子会員(早稲田大学)が「沖縄に住むムスリムの子どもたち」と題して発表した。沖縄科学技術大学院大学の研究者のうちムスリムの方から紹介を受けて、スノーボール・サンプリングでインタビューが実施された。

子どもが沖縄の公立校に通うなか、体育で水着が着用できなかったり、給食の代わりにハラール弁当を食べたり、決まった時間に祈祷するなど、特別なニーズがあることが示された。それに対して、学校が多様性を尊重しながら、柔軟に対応できているかどうかなど、今後の研究課題が示された。

質疑応答と議論が活発に行なわれた。今後の研究課題として、「母子健康手帳を、従来からの妊産婦中心から、子ども中心に転換できるか?」「子どもの安全保障と、子どもの権利との関係を明らかにするような議論が必要」などが提案された。

(勝間靖)


E6. Social Development

  • 座長:伊東早苗(名古屋大学)
  • コメンテーター:田中雅子(上智大学)、:金 昭延 (Sogang Univeristy)

発表者

  1. “An Investigation of the Entrepreneurial Motivations and Environmental Factors influencing Entrepreneurship in Sub-Saharan Africa”
    1 Nathanael Nzoughe Ngome (Chuo University)
  2. “Gender and Sexual Diversity and Understanding Development: A Direction for Redesigning Post-Pandemic Development Paradigm”
    2 Takeshi Daimon-Sato (Waseda University)
  3. “The impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice: A case study of the health sector in Cambodia”
    3 Ziying Liu (Kobe University)
  4. “The impact of COVID-19 crisis in Japan: Gender and the world of work”
    4 Naoko Otobe (Consultant on Gender, Work and Development)

The four presentations in this session addressed four different issues pertaining to social dimensions of development. Methodologically, the presentations drew on both quantitative and qualitative analyses. Given time limitations, it was difficult to engage audience in general discussions relevant to all the four presentations. Instead, separate discussions focused on the four individual issues were held between presenters, discussants, and myself as the chair. The session was attended by about twenty people.

The first presentation by Nathanael Nzoughe Ngome was about people’s motivation to start an enterprise in Sub-Saharan Africa, exploring what circumstances influence their decisions. A number of questions and comments were given by one of the discussants concerning the nature of the enterprises discussed as well as the structure of the paper presented.

The second presentation by Takeshi Daimon-Sato was based on his ‘Grant-in-Aid’ research project on sexual orientation and gender identity in Thailand and Malaysia. A discussion centring on his research methods ensued, and several suggestions were made to modify them. Interestingly, the presentation referred to an alternative vision to the SDGs framework that would incorporate individual freedom ‘to be left alone’. (We would have liked to follow up on this point if we had more time available.)

The third presentation by Ziying Liu was on the impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice in Cambodia. A discussion followed concerning to what extent the rural poor in Cambodia have the substantive choice over health facilities and whether their choice, if any, can be equated with their trust in the facility.

The fourth presentation by Naoko Otobe was on the impact of Covid-19 crisis on gender and work in Japan. One of the discussants suggested several analytical dimensions to be looked at to make the research more exploratory.

(伊東早苗)


ポスターセッション

  1. “Analysis of Foreign Direct Investment on Child Working and Schooling in Secondary Education: Evidence from Cambodia”
    Ryoma Kanazawa (Kobe University)
  2. “Educational Reform of School Diversification and Its Consequences on Educational Stratification in the Republic of Korea: focusing on students’ choice of high school type”
    Seil Kim (Kobe University)
  3. “Effects of Armed Conflicts on Access to Education: The Case of the 1990s Cambodian Civil War”
    Eunho Kim (Kobe University)
  4. “An Analysis of Municipal Governments’ Education Practices on Primary School Children’s Learning Achievement in Brazil”
    Dalilo Leite Dalmon (Kobe University)
  5. “Maternal Employment, Household Division of Childcare and Children’s Development Outcomes in Uganda”
    Li Shumin (Kobe University)
  6. “Do Socioeconomic Factors Prevent Smallholder Farming Children from Enrolling and Attaining More Years of Schooling in Mozambique?”
    Nelson Manhisse (Kobe University)
  7. “An Analysis of Children’s Learning and Development Standards in Lao PDR”
    Xiadong Meng (Kobe University)
  8. “Analysis of ICT Use for Primary School Students’ Learning Outcomes in Ethiopia”
    Ryuto Minami (Kobe University)
  9. “Analysis on the Situation of Early Childhood Education in Lao PDR during COVID-19 Pandemic”
    Masaya Noguchi (Kobe University)
  10. “The Effect of Early Childhood Education on Reading Motivation of 15-Years-old in the Republic of Korea -Based on 2018 PISA data-”
    Natsuko Ogura (Kobe University)
  11. “Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN”
    Traitip Siriruang (Tokyo Institute of Technology)
  12. “What Determines Children’s Access to Early Childhood Education in Bangladesh”
    Kohei Uno (Kobe University)
  13. “Trajectory of Home Learning Environment over the Preschool-aged Period in Bangladesh”
    Kexin Wang (Kobe University)
  14. “An Analysis of Household Spending on Pre-Primary Education in Kenya”
    Ayumu Yagi (Kobe University)
  15. “An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR”
    Taiga Yano (JICA / Kobe University)

第32回全国大会・実行委員会
委員長:和田一哉(金沢大学)




オンライン・シンポジウム「ダウンサイドリスクを克服するレジリエンスと実践知の探究」2月9日開催(会員・一般)

東京大学未来ビジョン研究センター SDGs協創研究ユニットでは、アフリカ7カ国における新型コロナウイルス感染症の影響を調査する研究プロジェクトの一環として、下記にてオンライン・シンポジウムを開催します。ぜひご参加ください。

「ダウンサイドリスクを克服するレジリエンスと実践知の探究―新型コロナ危機下のアフリカにおける草の根の声」第2回シンポジウム

開催概要

  • 日時:日時:2024年2月9日(金曜)18:30-20:30(日本時間)
  • 方法:Zoomウェビナーによるオンライン開催
  • 言語:英語(日本語同時通訳有)
  • 主催:東京大学未来ビジョン研究センターSDGs協創研究ユニット
  • 共催:日本アフラシア学会

プログラム

  • 趣旨説明:華井和代 東京大学 特任講師
  • 報告1:クリスチャン・S・オチア 名古屋大学 准教授「Beliefs and Shots: エチオピアのCOVID-19ワクチン接種率における信仰、宗教、誤報のダイナミクスを理解する」
  • 報告2:大平和希子 ハーバード大学 ポストドクトラルフェロー「ウガンダにおけるCovid-19パンデミック時の政府介入に対する草の根の認識を検証する」
  • 報告3:細井友裕 東京大学 博士課程「南アフリカにおける中産階級のCOVID-19経験」
  • コメント:稲場雅紀 アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクター
  • 質疑応答

申し込み方法

シンポジウムのご案内および参加お申し込みはこちら

(JP)


本件にかんするお問い合わせ先

東京大学未来ビジョン研究センターSDGs協創研究ユニット

  • sdgs [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



社会連携委員会からのお知らせ(2022年2月)

1.「学術研究者によるナレッジ共有プロジェクト」

第 3 回は、2021年11月4日(木曜)20:00~21:00 に、狩野剛先生を招き「開発途上国における教育継続への試行錯誤」をテーマに開催されました。

80名程の参加者があり、コロナ禍における教育継続だけでなく、ポストコロナの教育についても闊達な議論が展開されました。本企画は継続企画で、2022 年度も継続的に実施していく予定です。

2.「日本の地域ネットワーク団体による SDGs の取組」

2021年12月12日(日曜)13:00~15:00 に、日本の地域団体が取り組む SDGs 活動について事例報告を頂き、地域が実施する SDGs の意義と今後の課題について議論を深めました。

SDGsの地域での活動は市民・市民社会組織に紹介・解説するセッションの開催から、SDGsローカル・アジェンダの策定、SDGsグローバル指標のローカル化まで、多様な動きが含まれます。そのため、そのようなネットワーク団体の動きの多様性を整理するとともに、その動きに含まれる市民・市民社会組織のエンパワメントや行政・市民間関係の変革といった可能性について検討されました。

社会連携委員会
委員長:川口純(筑波大学)




新刊案内『インパクト評価–社会的インパクト評価のために 』

国際協力の世界でも話題のインパクト評価に関する新しい本が出版されました。

インパクト評価事例集(IDCJのサイトでご提供)に、あらたに「最終章:インパクト評価の起源・現在地点・そしてこれから」を書き下ろして追加しました。R.A.フィッシャーからはじまって、ノーベル経済学賞受賞者のアビジット・バナジーまで、そしてさらに近年の「再現性の問題」を含む最新の話題までを網羅した解説になります。

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本書の解説

『インパクト評価 社会的インパクト評価のために』

  • 著者:佐々木亮
  • 発行年:2023
  • 出版:RIO Institute/.

ESG投資、社会的インパクト投資、インパクト投資、SDGsなどの関連で注目を浴びる社会的インパクト評価。本書はインパクト評価とその応用とも言える社会的インパクト評価について解説します。

本書は以下の構成になっています。最初から読み進めることを想定していますが、必要な部分から読んでも差し支えないように配慮されています。

それぞれの事例や学術的な議論には出所である参考文献リストをすべて掲載しています。

それらの参考文献はすべて英語ですが、興味のある読者は直接入手して参照することが勧められます。

I.基本的な概念の解説(インパクト評価の5つの基本デザイン、インパクトの定義など)

II.5つの基本デザインの考え方と実例の解説
1. 事前・事後比較デザイン (Before-After)
2. 時系列デザイン (Interrupted Time-Series)
3. 一般指標デザイン (Generic Control)
4. マッチングデザイン (Matched control)
5. 実験デザイン(RCT)(Randomized controlled trial)

III.インパクト評価に関連する学術的な議論の紹介

IV.最終章:インパクト評価の起源・現在地点・そしてこれから

<著者紹介>

佐々木亮(博士)/Ryo SASAKI, Ph.D.

ウェスタンミシガン大学博士(評価学) ニューヨーク大学修士(公共・非営利組織のマネジメントと政策)マラウィ(井戸給水)、ミャンマー(初等教育)、ヨルダン(給水施設整備)、パレスチナ(初等教育)などの社会的インパクト評価やインパクト評価の経験が豊富。

日本評価学会 奨励賞(2007) 日本評価学会 功績賞(2023)

学術的な書籍としてページ数も明記して引用するために、通常の本(印刷製本した
定価のある物理的な本)として手元に置きたいというニーズに対応した次第です。

ご興味のある方はぜひお手に取っていただければと存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発センター(IDCJ) 評価部
主任研究員 佐々木亮

  • [at](* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-6718-5932、
  • FAX番号:03-6718-0910.
  • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-11 芝浦クリスタル品川12階.



無料オンライン説明会のご案内:第3回 国際協力プ ロフェッショナル検定/基礎講座「国際協力の歴史と動向」12月26日開催(会員・一般)

株式会社パデコより、「国際協力プロフェッショナル検定®」/eラーニング「国際協力の歴史と動向」の無料オンライン説明会について、ご案内させていただきます。

ご好評につき、追加開催を決定しました。最終回は12月26日(火)18:00~です。

~検定合格者の声~
「ODAの最新情報を学べたところが良かったと思います」(30代、男性、会社員)

「就職活動の第一歩を踏み出すことができたと思います」(30代、女性、大学院)

オンライン説明会概要

  • 日時:2023年12月26日(火曜)18:00~18:45
  • 参加費:無料
  • 形式:オンラインライブ配信(Microsoft Teams)

内容:

  • 国際協力プロフェッショナル検定®とは
  • 基礎講座「国際協力の歴史と動向」とは
  • 検定試験の出題範囲と勉強方法 など

説明会のお申込み

※お申込み後に参加用URLをお送りします。

検定試験、基礎講座のお申込みも受付中です!
ご検討よろしくお願いいたします。

第3回 国際協力プロフェッショナル検定試験®︎(試験対策Webコース付き)概要

  • Webコース:2024年1月8日(月曜)~27日(土曜)
  • 検定試験:2024年1月27日(土曜)14:00~15:15
  • 申込期間: 2024年1月5日(金曜)まで
  • 形式:eラーニング(オンデマンド)、Webテスト
  • 受講料:35,000円(税込)
  • 試験内容:国際協力の歴史、SDGs、国際条約/開発目標、国際協力のアクター/スキーム、時事問題など
  • 合格者特典:株式会社パデコのインターンとして登録可

検定試験の詳細・お申込み

国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」概要

  • 受講期間:申込日から60日間
  • 申込期間: 2024年2月29日(木曜)まで
  • 形式:eラーニング(オンデマンド)
  • 受講料:15,000円(税込)

コース内容:

第二次世界大戦前からSDGs時代までの、国際協力の歴史とその潮流を、動画講義で学習

基礎講座の詳細・お申込み


本件にかんするお問い合わせ先

株式会社パデコ PADECO Academy

  • padeco-academy [at](* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5733-0855
  • 住所:〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19新御成門ビル



「『グローバル エデュケーション モニタリング レポー ト 2023教育におけるテクノロジー』概要日本語版ローンチウェビナー」1月24日開催(会員・一般)

UNESCO発行の『グローバル エデュケーション モニタリング レポート 2023教育におけるテクノロジー』概要の日本語版を、この度広島大学教育開発国際協力研究センター(CICE)と UNESCOで共同発行しました。

持続可能な開発目標(SDGs)のゴール4である教育目標(SDG4)の進捗状況ならびに今年のレポートのテーマである教育におけるテクノロジーの活用、課題と展望についての市民・学生および国際教育協力関係者の理解を促進するとともに、SDG4の達成に向けた日本のODA、民間企業およびNGOの役割について考えるためのウェビナーを下記の通り開催します。どなたでもご参加いただけます。

開催概要

  • 日時:2024年1月24日(水曜)16:30-18:00
  • 方法:Zoom(ミーティング形式)を使って実施します。Zoomリンクは開催日
    の2日前にご連絡します。
  • 参加費:無料
  • 参加人数:280名(先着順で定員になり次第締め切ります)
  • 共催:広島大学教育開発国際協力研究センター(CICE)、国際協力機構(JICA)、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)、教育協力NGOネットワーク(JNNE)、UNESCO Global Education Monitoring Report Team

プログラム

  • 全体進行:若山洋子(ユネスコ・アジア文化センター(ACCU) 教育協力部 主任)

16:30-16:35 開会

16:35-16:40 開会挨拶
亀井温子(JICA 人間開発部長)

16:40-17:05 「『GEMレポート2023』の概要」
吉田和浩(広島大学教育開発国際協力研究センター 教授)

17:05-17:55  パネルディスカッション
「教育におけるテクノロジーの活用」

  • モデレーター: 吉田 和浩(広島大学教育開発国際協力研究センター 教授)
  • パネリスト:
    荻野 紗由理(株式会社教育情報サービス COO)
    酒井 聖子(株式会社スマートエデュケーション ナビゲーター)
    森 透(認定NPO法人ラオスのこども 理事)

17:55-18:00 閉会挨拶
三宅隆史(教育協力NGOネットワーク(JNNE) 事務局長)

申し込み方法

オンラインで下記からお願いします。
/6d30a5a2806740

  • 登録時に提供する情報は、共催団体と共有され、主催団体は、その情報を団体のプライバシーポリシーに従って使用できます。
  • 事務局の記録のために録画しますが、録画の後日公開はいたしません。
  • GEMレポート2023概要の日本語版は以下からダウンロードできます。
    /?p=10715

本件にかんするお問い合わせ先

教育協力NGOネットワーク事務局

  •  jnne[at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第4回「SDGs『誰ひとり取り残さない』作文・小論文/クリエイティブ コンテスト」12月31日締切(会員・一般)

SDGsの基本理念「誰ひとり取り残さない」をテーマにした若者対象の作文・小論文/クリエイティブ コンテストを実施しています。学生を中心とした実行委員により審査がなされます。

第4回となる今回は、新たにクリエイティブ部門(写真やイラストなど)を加えています。ぜひ、お近くの学生などにご紹介いただければうれしいです。

SDGsの基本理念は「誰ひとり取り残さない」です。

でも、何から取り残されないのでしょう?
一つは、皆が享受できる社会活動や経済活動の選択肢から、誰もが排除されないということではないでしょうか。

社会活動や経済活動とは、「学校で学ぶ」、「十分な食事をとる」のような基本的なものだけではなく、「スポーツをする」、「遊ぶ」なども人には必要な活動ですね。

人によって必要なものも異なります。

しかし、そこから取り残される多くの人がいます。障害者、LGBTQ+、 貧困、外国人、、、そのようなわかりやすい例だけではなく。

あなたも人と違うと思う部分がありませんか?

あなたも取り残されそうだと感じることはありませんか?

あなたの近くに取り残されている人はいませんか?

取り残されている人をニュースで聞いたことはありませんか?

なにか気づいたことはありませんか?

「取り残される人」の視点でSDGsを改めて考えていただいた自由な発想の応募を待っています。

募集要項

【作文・小論文部門】

SDGsの基本理念、「誰ひとり取り残さない」の視点で、考えること、自分が行いたいこと、社会への提言など自由な発想で、小論文・作文を作成のうえご提出ください。

文字数は問いませんが上限は2000文字とします。

【クリエイティブ部門】

SDGsの基本理念、「誰ひとり取り残さない」について、自由な発想で、A4サイズ1枚に写真、イラスト、絵、グラフィクなど自由な表現で提出ください(提出はJPEG形式)。文字が含まれる場合は日本語40文字以内とします。

※本コンテストは、協賛する個人および団体の寄付で実施しています。1000円より寄付を募っております。ご協力いただける方は下記よりお願いします。

審査基準:

社会へ訴える力や審査員への共感を生むものを高く評価します。作文・小論文部門では、日本語としての表現や小論文としての構成などはあまり考慮しませんので、文章を書くのが苦手な人も、日本語が得意でない人もぜひ応募ください。

また、クリエイティブ部門も芸術的な要素よりも審査員に訴える力を期待します。

応募資格:

  • 2023年4月1日時点で25歳以下の方
  • 所属も含めて本名での応募および公開に同意する方

応募方法:

次のフォームからご提出ください。

*このフォームからうまく応募できない場合は、問い合わせ先メールアドレス宛にお願いします

注:提出済のものを差し替える場合は、再提出いただければ、最後に提出したもののみ審査を行います。

締め切り:

2023年12月31日 23:59(日本時間)

表彰・副賞(予定):

【両部門共通】

  • 大賞(3万円) 4 作品
  • 特別賞(2万円) 6 作品
  • 入賞(1万円) 15作品

主催:

野毛坂グローカル

後援:

国際協力機構(JICA)・朝日新聞社・SDGs市民社会ネットワーク


本件にかんするお問い合わせ先

SDGs「誰ひとり取り残さない」エッセイ/クリエイティブ コンテスト2023実行委員会

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



アジア・アフリカ研究所「公開研究会・シンポジウム」1月20日開催(会員・一般)

<公開研究会・シンポジウム>
ガザ・ウクライナ等の虐殺・戦争を超えて―非軍事の人類社会を展望する

ウクライナでの戦争が継続し、日本や欧米諸国の軍事費が倍増、急増する。

核兵器使用がほのめかされ、ロシア、中国の脅威を煽る発言が飛び交う。

地中海に派遣された米軍空母が見守り、イスラエル軍がガザの子ども、住民虐殺を続ける。

ガザの虐殺以前に書かれた、戦争と虐殺で儲ける仕組みに迫る雑誌特集論文の筆者たちに、その後の事態も含めて語っていただきます。

参加者も含めて、人類社会の大転換を展望する、議論をします。

開催概要

  • 日時:2024年1月20日(土曜) 13:30~18:00
  • 方法:会場参加およびZOOMも併用(ハイブリッド方式)
  • 会場:法政大学市ヶ谷キャンパス大内山校舎・Y501教室
  • 主催:NPO法人 アジア・アフリカ研究所

プログラム

趣旨説明「戦争と虐殺で儲かる仕組みをどう変えるか?―国境なき市民社会SDGs達成投資ファンド創設」

岡野内正(法政大学)

報告1「開発協力大綱改正に関する市民社会の動き―非軍事原則を巡っての交渉のプロセス」

重田 康博(宇都宮大学)

報告2「核管理体制の矛盾―ロシアのウクライナ侵攻の問いかけるもの」

太田 和宏(神戸大学)

報告3「グローバルな「悪徳商売」としての現代戦争―軍事産業、刑務所産業、ゲーム産業の事例から」

中村 理玄(法政大学・院)

参考文献

『アジア・アフリカ研究』第63巻第4号、2023年10月、特集「非軍事の人類社会を展望する」

参加方法

申し込みの必要はありません。会場あるいはZOOMに直接、おいでください。

ZOOM情報は下記の通りです。

  • ミーティング ID: 831 7216 8146
  • パスコード: 594966

本件にかんするお問い合わせ先

NPO法人 アジア・アフリカ研究所事務局 
鰐部行崇・岡野内正(otadashi [at] )

  • aaken [at] , [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5972-4740



関西支部:活動報告(2022年2月)

関西支部では2021年度に引き続き、2022年度もZoomを用いた遠隔による定期的な研究会を開催する。本支部が開催する研究会では、国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を招聘し、現在世界的な問題となっているコロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力に関する議論を精力的に展開していく。

研究会の開催によって期待される成果は主に次の2点である。第一に、研究会で行われる最先端のトピックに関する講演や議論に参加することにより、とりわけ若い学生会員が研究意欲を刺激され、積極的に国内外の学会での発表や査読付きのジャーナルへの投稿を行うようになることで、国際開発研究が活性化されていくことが期待される。

また、研究会を通して、国内外の第一線で活躍されている講師と若手研究者が学術的なネットワークを構築し、若手研究者の将来の国際開発分野における活躍につながることも期待される。

上記活動計画に基づき、2021年10月から2022年1月現在に至るまで、計3回(第157回から第159回)の研究会を開催したため、その内容について以下の通り報告する。

第157回研究会

Non-formal Education and Poverty Alleviation: Case of Burkina Faso and Korea Collaboration

  • 発表者:Dr. Ki Seok “Korbil” Kim, Emeritus Professor, Seoul National University & CEO & Chairman, Educators Without Borders (EWB)
  • 討論者:Dr. Jean-Baptiste M.B. Sanfo, Lecturer, University of Shiga Prefecture
  • 参加人数:28名
  • 日時:2021年10月21日(木曜)17:00-19:00
  • 言語:英語

概要

本研究会では、国際NGO「国境なき教育者(Educators Without Borders: EWB)」の創設者であり、現代表を務めるKimソウル国立大学名誉教授を招聘し、「Non-formal Education and Poverty Alleviation: Case of Burkina Faso and Korea Collaboration」をテーマとした講演が行われた。

Kim教授は、まずEWB設立の契機や、これまでの活動について説明し、「質の高い教育を通じた貧困削減」をスローガンに実施されてきたEWBの活動が拡大を続け、ブルキナファソにおける国際開発を牽引していると述べた。また、KOICAからの支援を受けた「貧困のためのグローバル・アライアンス(GAPA)」プロジェクトについて言及した。

1) 識字教育、2) 所得向上のための技術訓練、3) マイクロクレジットの3つの活動の実施を目的とした本プロジェクトは、ブルキナファソの識字率向上や貧困削減に大きく貢献し、1000人を超える参加者の現地語及びフランス語の識字能力向上、専門技術習得といった成果が見られたほか、590人に対して実施されたマイクロクレジット・プログラムでは、参加者が習得したスキルを用いることで恒常的に所得を得られる循環が作られたとした。

さらに、新たな取り組みとして、「女性のエンパワーメントのための養鶏マイクロクレジット」プログラムを実施している点にも触れた。このように、本研究会はKim教授の講演及びその後の議論を通じて、国際NGOの概要やビジョン、活動について知見を深める意義深い機会となった。

第158回研究会

Learning Loss During COVID-19: An Early Systematic Review

  • 発表者:Dr. Harry Patrinos, Practice Manager, World Bank
  • 討論者:Dr. Keiichi Ogawa, Professor, Kobe University
  • 参加人数:53名
  • 日時:2021年11月3日(水曜)9:00-11:00
  • 言語:英語

概要

本研究会では、世界銀行本部の次長として活躍しているHarry Patrinos博士を招聘し、「Learning Loss During COVID-19: An Early Systematic Review」をテーマとした講演が行われた。

Patrinos博士は、COVID-19感染拡大がグローバル教育システムの混乱を引き起こしたことで、研究者らは学習成果への影響、とりわけ「学びの喪失(Learning Loss)」について注目するようになったことに言及した。

Patrinos博士が「学びの喪失」に関する8編の研究論文をレビューした結果、COVID-19感染拡大の影響は正負どちらもありうること、「学びの喪失」を経験した子どもが多い地域では、教育格差が大きく拡大したことが明らかとなった。講演の最後では、地域性や生徒の特徴など、より多くの要因を踏まえたさらなる研究が必要であることにも触れた。

講演後には、小川関西支部長の問題提起により、COVID-19感染拡大がもたらした教育への正負の影響について、またコロナ禍での教育に関する世界銀行によるプロジェクトなどについての議論が交わされた。本研究会は、Patrinos博士の講演及びその後の議論を通じて、本支部の今年度の活動目的でもある、コロナ禍での教育の現状について深い知見が得られる大変貴重な機会となった。

第159回研究会

Data as An Empowerment Tool: Rwanda’s Innovative Efforts to Empower Young Population through Disseminating and Monitoring SDGs

  • 発表テーマ:
  • 発表者:Mr. Ruben Muhayiteto, Training Center and Data Science Campus Manager,
  • National Institute of Statistics of Rwanda
  • 討論者:Ms. Yumi Matsuda, Former UNICEF Rwanda, Chief, Planning, Monitoring and Evaluation Section/ Former UNICEF Jordan, Chief, Planning, Monitoring and Evaluation Section
  • 参加人数:36名
  • 日時:2021年12月2日(木曜)18:00-19:30
  • 言語:英語

概要

本研究会では、発表者としてルワンダ国立統計研究所のRuben Muhayiteto氏、討論者としてユニセフ・ルワンダ事務所及びヨルダン事務所でプロジェクトの計画・モニタリング・評価に携わってこられた松田氏を招聘し、「Data as An Empowerment Tool: Rwanda’s Innovative Efforts to Empower Young Population through Disseminating and Monitoring SDGs」をテーマとした講演が行われた。

Muhayiteto氏は、ルワンダ国立統計研究所が、同国における統計リテラシー向上に向けたデータの収集や統計資料の公開、国立統計システムを用いたキャパシティ・ビルディングなどを実施していることを紹介した。とりわけ「Reading with Children」と題するプロジェクトの実施や、統計的知識や能力を競う大会の開催によって初等教育から高等教育に渡り統計リテラシーの涵養が推進されていることに触れた。

また、メディア産業のための統計リテラシーの重要性についても言及した。講演後は、松田氏からの話題提供を受け、統計データを理解する力が子どもにとってなぜ肝要なのか、またユニセフにおけるデータの運用・モニタリングなどについて活発な議論が行われた。

本研究会は、Muhayiteto氏の講演や同氏と松田氏の間の議論を通じて、教育開発を含む国際開発分野での統計リテラシー向上の意義について深い知見が得られる大変意義深い機会となった。

関西支部
支部長:小川啓一(神戸大学)




出版記念オンラインセミナー:第2回「JICA×SDGs」12月13日開催(会員・一般)

JICAは(株)山川出版社様と共同制作した書籍『JICA×SDGs 国際協力でサステナブルな世界へ』()を2023年6月30日に出版いたしました。

これを記念してオンラインセミナーを開催いたします。

本書はJICAと事業パートナーによる世界各地でのSDGsへの取り組みをまとめた初めての書籍です。

教育現場で使用いただくことを想定し、小中高校の学習指導要領に明記された「持続可能な社会の創り手」を育むヒントをこの1冊にまとめました。

世界の課題、その課題解決に向けた取り組み事例を幅広く掲載し、児童・生徒や先生、これから国際協力を目指そうと考えている若者にも役立つ情報も取り入れています。

本セミナーでは、指導案(中学校3年生/総合)をご提示し、授業における書籍活用のヒントをご紹介いたします。

参加者の皆様には、SDGsに関する授業実践の参考になればと思いますので、是非ご参加いただければ幸いです。

開催概要

  • 日時:2023年12月13日(水曜)19時~19時50分
  • 会場:オンライン(Teamsを予定) 申込いただいた方に後日リンクをお送りいたします
  • 対象者:教員、教育関係者、教育分野にご関心のある方(学生の皆様の参加も大歓迎です)
  • 参加費:無料
  • 書籍詳細:

★プログラム

(当日変更になる可能性がございます。予めご了承ください。)
19:00-19:05
冒頭挨拶

19:05-19:15
書籍の中身ご紹介等

19:15-19:45
書籍活用のポイント等

19:45-19:50
お知らせ等

参加申し込み:

以下のリンクから申込フォームにアクセスし、所定の事項を記入して送信してください。


本件にかんするお問い合わせ先

JICA企画部イノベーション・SDGs推進班

  • pdis [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加募集「ユネスコウィーク2024」1/19~21開催(会員・一般)

ユネスコウィーク2024
「共に創造する未来 ~ユネスコ活動によるアプローチ~」

ユネスコ未来共創プラットフォーム事務局(ユネスコ・アジア文化センター:ACCU)では、今年度も「ユネスコウィーク」を開催します。

ユネスコとユネスコの活動についての知識を深めたいと考えるユースや、地域のユネスコ活動を主導する関係者の方々、持続可能な開発目標(SDGs)の実現へ向けてパートナーシップの強化に取り組む実務者まで、幅広い層の方々からのご参加をお待ちしております!

開催概要

  • 日時:2024年1月19日(金曜)~21日(日曜)
  • 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター ※Web配信あり
  • 参加費:無料
  • 主催:文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター
  • 共催:国連教育科学文化機関(UNESCO)(予定)

イベント詳細

国際シンポジウム「共に創造する持続可能な未来」

  • 日時:2024年1月19日(金曜)18:00~19:30
  • 言語:日本語・英語(同時通訳)
<内容>

「共に創造する未来」を考える上で、どのような分野横断的な取組が有効なのか-国内外の実践事例をもとに議論を深めます。

基調講演者にはDzulkifli bin Abdul Razak氏(マレーシア国際イスラム大学学長)をお迎えします。ESDに関する様々な国際会議で登壇経験をお持ちのRazak氏の講演を、日英同時通訳でお聞きになる大変貴重な機会です。

第15回ユネスコスクール全国大会「未来のユネスコスクールを考える-ASPnet70周年を迎えて-」

  • 日時:2024年1月20日(土曜)9:30~17:00
  • 言語:日本語 ※一部日英同時通訳の分科会を含みます
<内容>

ユネスコスクールの意義・役割や国内外のユネスコスクールをめぐる動向について学び、また優良事例の共有や関係者間の交流を図ります。

特に今回はユネスコスクール発足 70 周年の節目として、これまでのユネスコスクールの歴史や成果・課題を振り返り、今後を展望するような内容となっています。

ユースフォーラム「ユースによる『未来への宣言』〜ユネスコ活動から考える気候変動〜」

  • 日時:2024年1月21日(日曜)10:30~16:00
  • 言語:日本語
<内容>

気候変動に焦点を当て、ユネスコ活動を通じた気候変動問題への対応及びユース世代が果たすべき役割について再考します。

また、「未来への宣言」策定へ向けた参加型ワークショップも実施しますので、若者の声を届けるべく、是非ユース世代の積極的なご参加をお待ちしています。

当日は、兵庫県芦屋市の髙島市長からもオンラインの応援メッセージをいただきます!!

申し込み方法

特設サイトよりお申込みください


本件にかんするお問い合わせ先

公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)

  • education [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:+81-3-5577-2852
  • FAX番号:+81-3-5577-2854



活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2022年2月)

活動報告

昨年12月の全国大会にて、第2回目のラウンドテーブル「開発レジリエンスとSDGsの今後―パンデミック以後の課題―」を、当研究部会として開催した。

このラウンドテーブルの目標としては、パンデミック以後の時代を焦点に、開発、レジリエンス、SDGsに関わる議論を進めることが念頭におかれた。

オンラインのつながりがもたらす研究調査のレジリエンスとは何か、パンデミックでますます脆弱な立場にある女性の状況、それに連動する女性の社会参画に対する低い社会認識をいかに改善するか、専門家ムラ・権威主義・同調圧力に抗し、オルタナティブな考え方や取り組みをいかに促すか、目標設定としては参加が容易だが、危機的な問題へのアクションにはなかなかつながらないSDGsとどう向き合っていくか、といった課題が残されていることが確認された。

現在、このラウンドテーブルの議論を踏まえながら、春季大会に向けた準備や定例研究会の実施に向けて取り組んでいる。

今後の予定

  • 2年目(2021年10月~2022年9月) 開発のレジリエンスとSDGsの諸課題の検討・研究活動。
  • 3年目(2022年10月~2023年9月) 開発のレジリエンスとSDGs提言作成等成果の取りまとめ

開発のレジリエンス、SDGsに関連したテーマに関心をお持ちの会員はぜひご参加いただきたい。引き続き活発な議論の展開に努めていきたい。

研究部会参加申込・連絡先

関谷 雄一(東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター長)

  • sekiya [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




活動報告『社会的連帯経済』研究部会(2022年2月)

本研究部会は2022年度からの活動である。

20世紀末、新自由主義やグローバル資本主義に対抗する試みとして、「連帯経済」や「社会的経済」と呼ばれる動きが展開してきた。とくに、世界金融危機(2008年リーマンショック)を契機に資本主義の矛盾が顕在化し、2010年代には国連社会開発研究所や国連機関(ILO等)でも「社会的連帯経済」の研究やネットワークが生まれている。

そして、最近はSDGs実現の重要な担い手としても注目され始めている。  

本研究部会では、連帯経済・社会的経済の内外の事例を学ぶとともに、これらの取り組み実践や理論を手がかりに現代資本主義の矛盾克服について考える。

国内地域の問題、途上国の貧困削減、先進国を含む格差是正のための新たな可能性など、分野横断的に研究者・実践者の報告(研究会)を中心に活動していく。

今後の予定

2月末~3月上旬に、第1回研究会として「社会的連帯経済の様々な潮流~先行する諸団体・活動に学ぶ」(仮)と称して、関連組織に声掛けして現状報告・情報交換の場を企画する。

4月以降の予定は計画中だが、以下の2つの柱を軸に研究会や勉強会を行なっていく予定である。詳細は、学会経由の行事案内にてお知らせしていくので、ご関心ありましたらご参加ください。

a)ソリダリダード・ジャパンとの協力・共催で具体的な事例を中心とした勉強会・セミナーを計画。

参考URL:

  • ソリダリダード・ジャパン ウェブサイト()
  • ソリダリダード・ジャパン ポットキャスト( b)

b)資本主義に対するオルタナティブ・システム変革を視野に入れた社会的連帯経済の理論的な研究。

『社会的連帯経済』研究部会
代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)
副代表:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)




公開研究会(オンライン)「SDGs推進体制下の人類社会におけるベーシックインカム運動の現状と課題」2月19日開催(会員・一般)

法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト「SDGs推進体制下の人類社会におけるベーシックインカム運動の現状と課題」(代表の岡野内正ほか48名。2021年5月発足)公開研究会(オンライン)のお知らせ

すでに研究成果の一部は、『大原社会問題研究所雑誌』778(2023年8月号)の特集「ベーシックインカム運動研究の地平」で公開していますが、本年もさらに同誌特集論文として続々と出していきます。

ご要望にお応えして、研究会もできるだけ公開していきますので、ご関心をお持ちの方は、ご参加ください。歓迎します。

以下の要領で、行います。申し込みは不要、参加無料です。それぞれのZOOM情報にしたがっておいでください。

開催概要

  • 日時:2024年2月19日(月曜)15時~17時
  • 方法:オンライン(ZOOM)
  • 参加費:無料
  • 主催:法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト「SDGs推進体制下の人類社会におけるベーシックインカム運動の現状と課題」

報告者:

河村有介(神戸大学)

タイトル:

エジプトの社会保障とベーシック・インカム:なぜベーシック・インカム運動は盛り上がらないのか?

報告要旨:

管見の限り、中東・北アフリカ諸国では、総じてベーシック・インカム運動が大きく盛り上がっていない。

本報告では、(ベーシック・インカム運動が盛り上がっていないことの理由を特定することは困難ではあるものの)中東・北アフリカ地域の権威主義国家の一つであるエジプトに焦点を当てて、2011年の「アラブの春」以降の社会保障改革の動向を分析することを通して、ベーシック・インカム運動が盛り上がらない背景について考察する予定である。

参加方法

申し込みは不要、参加無料です。下記のZOOM情報にしたがっておいでください。

2024年2月19日 03:00 PM 大阪、札幌、東京
ミーティング ID  823 4514 8600
パスコード     500869
招待リンク


本件にかんするお問い合わせ先

法政大学社会学部
岡野内 正

  • otadashi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



社会連携委員会からのお知らせ(2021年11月)

今期、本委員会では下記の2点の活動を実施しました。

1.「学術研究者による非研究者へのナレッジ共有プロジェクト」

  • 第1回:8月26日(木曜)20:00~21:00 佐柳信男先生「アメとムチとモチベーション」
  • 第2回:9月30日(木曜)20:00~21:00 山形辰史先生「リープフロッグの経済学」
  • 第3回:11月4日(木曜)20:00~21:00 狩野剛先生「開発途上国における教育継続への試行錯誤」

本企画は公開事業として、会員のみならず、多くの非会員にも参加頂きました。各回、120~150名のお申込みを頂き、80~100名程の参加者がございました。講師の先生に基調講演を頂き、質疑応答を実施しました。どちらの回も非常に盛況の内に終了しましたので、今後も継続して開催する予定です。多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。

2. グローバルフェスタへの参加、企画の実施

10月9日(土曜)にオンライン上で「国際協力キャリア形成セミナー」を開催しました。登壇者は国連機関、NGO、民間企業で勤務経験を豊富に有する4名の会員(木全洋一郎(JICA)、西野桂子(関西学院大学)、小川啓一(神戸大学)、真鍋希代嗣(元マッキンゼー))に依頼しました。

参加者は学生を中心に100名程でした。45分という短い時間の制約があり、質疑応答に十分に応えられなかったという課題は残しましたが、盛会となりました。また後日、学会に関する問い合わせや追加質問等も本委員会に寄せられました。


今後の活動計画は下記の通りです。

1.「日本の地域ネットワーク団体によるSDGsの取組」

日本の地域団体が取り組むSDGs活動について報告頂き、参加者で地域が実施するSDGsの意義と今後の課題について議論を深めます。

日時:12月12日(日曜)13:00~15:00 

  • 北海道:北海道メジャーグループ・プロジェクト
  • 東京都調布市:調布ローカル指標づくりプロジェクト「地域目線のSDGs」
  • 東京都狛江市:狛江市総合基本計画 富山県黒部市 黒部市地域福祉活動計画
  • 静岡県静岡市:静岡のローカル指標づくりプロジェクト「まぁるいしずおか」
  • 関西地区:KANSAI-SDGs市民アジェンダ
  • 富山県:ローカルSDGs課題をあぶり出し周知・共有するための冊子作成
  • 岡山県:令和時代の岡山宣言

2.学会大会時の企画

学会大会の際に、民間企業のブース展示を企画しています。詳細は今後のコロナの状況次第ですが、対面での懇親会の機会などを活用して、各企業(開発コンサルタントやNGO等)の活動紹介ブースなどを設ける予定です。会員のネットワーキングに寄与するとともに、学生会員の皆様を中心に若手のキャリア形成にも貢献出来ればと考えています。

社会連携委員会
委員長・川口純(筑波大学)




新刊案内:大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』

大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』九州大学出版会 2023年

  • A5判 234ページ 並製
  • 価格:2,200円 (消費税:200円)
  • ISBN978-4-7985-0353-0 C3036

内容紹介

超少子高齢化がすすむ日本では、女性は多くを期待されている。出産育児とキャリア形成は両立できるのか。子育ては個人が負うべきものなのか。男女の別や世代を問わず、社会の構成員がおのおのの生を充実させるには、社会はどうあるべきか。

本書では、国際保健学・母子保健学、国際開発教育の背景を持つ研究者らが、身近な例からこの課題について論じる。キャリアと次世代育成の両方を尊重しながらどのように人生設計に取り組むべきか、若い世代に示唆を与える。

帯より

自分らしく生きるために、SDGsのもと「誰一人取り残さない」社会を目指す現代(いま)、新しい人生設計を考える若い世代へ―― 悪戦苦闘しながら子育てとキャリア形成を両立してきた著者たちが贈る、未来を切り開くためのメッセージ。

目次

まえがき

第1部 授かる

第1章 人口学からみる少子高齢化社会と共生

はじめに
1.子育てと共生
2.人口学からみる
3.女性の就労と出産・育児の選択と子育て支援
おわりに ペアレンティング(parenting)と子育て(child rearing)

  • コラム1:少子化をとりまくデータ

第2章 グローバルヘルスとSDGs–コロナ禍の妊娠・出産・子育て

1.ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へ–「誰ひとりとして取り残さない」というSDGsの理念
2.SDGSと性差
3.日本発、世界に拡がる母子健康手帳
4.多文化共生–エスニック・マイノリティのヘルス
5.新型コロナ感染拡大時代–2020年初めから
おわりに

  • コラム2:UNESCOによる包括的性教育(CSE)

第3章 東京、上海、香港の独身女性の結婚、家族、道徳観

はじめに
1.東アジアにおける結婚の特徴
2.各都市の国家政策–結婚の2つのモデル/3都市で出会った女性の具体例/3つの都市における異なる
結婚モデルの説明/独身女性、家族の責任と道徳的価値
おわりに

第2部 支える

第4章 日本における乳幼児期の子育て支援–当事者研究・参与観察

はじめに
1.参加事例–公共イベント/商業イベント
2.超少子高齢化社会で子どもを持つ
3.産後うつ病
4.母乳育児
5.働く母親の子どものための保育園
おわりに

  • コラム3:妊娠と出産の人類学
  • コラム4:防災と母親

第5章 発達障害を日本社会がどう扱うか–生産性、インクルージョン(包摂性)、人間の価値に関する視点から

はじめに
1.政府の見解
2.メディアの見解
3.アドボケート(支持者)と教育者
4.母親の見解
おわりに

  • コラム5:幼保園 就学前の子育て環境
  • コラム6:現代の多様化する幼児教育

第3部 育てる

第6章 「ユニバーサル社会」の子育てとは–With-Coronaの状況に直面した教育学者である父親としての雑感

はじめに 子育てのプロって誰?
1.子育ての中で「褒められる男」?!
2.急変する社会状況がもたらす教育課題
3.深刻な教育格差
4.子どもたちは幸福なのか?
おわりに 固定観念にとらわれない子育て

第7章 医師の職場環境とキャリア形成–大学病院における女性医師の環境を通して日本における育児と医療を考える

はじめに
1.社会の年齢構成の変化に伴う医療への要請
2.医師の働き方と女性医師–医師の年齢と男女の比率/医師の男女の比率と就業/育児中の医師の職場環境/医師の働き方の改善に向けた課題/医師の働きがい・モチベーション/医師の勤務と家族構成
3.無意識の思い込み(バイアス)–Unconscious Bias
おわりに

第8章 台湾における女性専門職のワーク・ライフ・バランス–葛藤、心身の健康状態を中心に

はじめに
1.統計学における男女格差–高等教育機関における学生の性別分布/医学生の性別分布/高等教育機関における教員の性別分布/医師の性別分布
2.男女格差が生じる原因と影響–家庭教育の過程/学校教育の過程/キャリア形成/仕事と家庭の間での葛藤/夫婦関係、独身と独身女性への潜在的差別/妊娠と出産
3.結論と提言–職場における母性保護(maternal protection)制度の改善/労働時間管理/育児・介護制度

第9章 多様な社会における共生–或る女性のライフストーリー

はじめに
1.多様な社会における共生:或る女性のライフストーリーと気づき–大学時代:アジア諸国を歴訪/専門家の経験:ラオスでの保健医療協力/留学の経験:ベルギー/出産の経験:米国/子育ての経験:スウェーデン/ワーク・ライフ・バランスの経験:沖縄/学校教育の経験:沖縄
2.多様な社会と日本の若者
3.共生のための助言
おわりに 他者と繋がるきっかけとしてのボランティア

あとがき

編著者

大谷順子(おおたに じゅんこ)

まえがき、第1章、第2章、第4章、コラム2-6、あとがき

大阪大学大学院人間科学研究科教授・国際交流室室長。
ハーバード大学公衆衛生大学院MPH(国際保健学)・MS(人口学)。ロンドン大学経済政治大学院・同衛生熱帯医学大学院PhD。世界銀行、世界保健機関(WHO)、九州大学を経て、2008年に大阪大学に着任。2014-2017年、大阪大学東アジアセンター長(上海拠点)兼任。

主な著書

  • 『事例研究の革新的方法‐阪神淡路大震災被災高齢者の五年と高齢化社会の未来像』九州大学出版会、2006年
  • 『国際保健政策からみた中国―政策実施の現場から』九州大学出版会、2007年
  • Older People in Natural Disasters, Kyoto University Press, and Trans Pacific Press, 2010
  • 『四川大地震から学ぶ―復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』九州大学出版会、2021年
  • Reconstructing Resilient Communities after the Wenchuan Earthquake, Lexington: Roman & Littlefield, 2023.
  • Handbook of Disaster Studies in Japan, MHM Limited & Amsterdam University Press, 2023.

分担執筆者

小川寿美子(おがわ すみこ)

第9章

名桜大学人間健康学部教授。大阪大学大学院医学研究科修士課程修了(ウィルス学)、アントワープ熱帯医学研究所修士課程修了(公衆衛生学)。博士(人間科学、大阪大学)。琉球大学医学部保健医療学講座助手、JICA/WHOプライマリ・ヘルスケア(PHC)専門家(ラオス)等を経て現職。

主な著書

  • Okinawa’s Post-War Health Recovery and Development 青山社、2009年
  • 『国際保健医療のキャリアナビ』南山堂、2016年
  • 『やんばる 世界を拓く』沖縄タイムス社、2022年

北村友人(きたむら ゆうと)

第6章

東京大学大学院教育学研究科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学大学院Ph.D.(教育学)。国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局教育担当官補、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授、上智大学総合人間科学部准教授を経て、現職。

主な著書

  • 『国際教育開発の研究射程─「持続可能な社会」のための比較教育学の最前線』東信堂、2015年
  • Memory in the Mekong: Regional Identity, Schools, and Politics in Southeast Asia (co-editor), Teachers College Press, 2022

城戸瑞穂(きど みずほ)

第7章

佐賀大学医学部教授。博士(歯学、九州大学)。九州大学大学院歯学研究院准教授を経て現職。2016~2017年、佐賀大学男女共同参画室室長、2017~2019年、同大学ダイバーシティ推進室室長、2020~2022年、同大学附属図書館副館長をそれぞれ兼任。2007年、資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞。2017年、厚生労働省女性医師キャリア支援モデル普及推進事業、2019-2024年、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」にそれぞれ参画。

馬場幸子(ばば さちこ)

コラム1

大阪母子医療センター母子保健調査室室長、大阪大学大学院医学系研究科招へい准教授。博士(医学、大阪大学)。カロリンスカ研究所PD。大阪大学大学院医学系研究科医学科国際交流センター副センター長を経て現職。

Nakano, Lynne Yukie(中野幸江)

第3章、第5章

香港中文大学文学院日本研究学系教授・系主任、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授。イェール大学Ph.D.(人類学)。

主な著書

  • Community Volunteers in Japan: Everyday Stories of Social Change, Routledge, 2004
  • Making Our Own Destiny: Single Women, Opportunity, and Family in Shanghai, Hong Kong, and Tokyo, University of Hawaii Press, 2022

鄭雅文(Yawen CHENG)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院公共衛生学系教授、同学院健康政策・管理研究所所長・公共衛生学部長・教授、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授、台湾公共衛生学会理事。ハーバード大学公衆衛生大学院ScD(疫学)。2012年、ドイツ連邦共和国労働安全衛生研究所研究員。

主な著書

  • 《致命粉塵 : 石綿疾病,工業發展史中的職業病風暴》台北: 台灣職業安全健康連線、2017年
  • 《職災之後 : 補償的意義、困境與出路》高雄 : 巨流圖書公司、2019年。

瞿瑞瑩(Jui-Ying CHU)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院健康政策・管理研究所修士。台北馬偕紀念医院漢方・産婦人科・小児科医師。社団法人台湾中医臨床医学会常務監事。


本件にかんするお問い合わせ先

大阪大学大学院人間科学研究科
大谷順子

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第257回Brown Bag Lunchセミナー「SDGsの『達成度を測る』を再考す る~ポストSDGsの『価値を引き出す評価』に向けて」11月29日開催(会員・一般)

11月29日(水曜)にオンラインで開催予定の、第257回Brown Bag Lunchセミナー「SDGsの『達成度を測る』を再考する~ポストSDGsの『価値を引き出す評価』に向けて」のご案内です。

本セミナーでは、東洋大学社会学部社会学科の米原あき教授をお招きし、評価という視点からSDGsが真に目指すところ、及びSDGs評価が抱える課題とその改善策、さらに、ポストSDGs時代における評価の展望についてお話しいただきます。

是非、奮ってご参加ください。

開催概要

  • 日時:2023年11月29日(水曜)12:30~14:00
  • 場所:Zoomミーティング
  • 参加費:500円(賛助会員 無料)
  • 定員:50名程度
  • 申込締切:2023年11月27日(月曜)正午(先着順)
  • 講師:米原あき 氏/東洋大学 社会学部社会学科 教授

セミナー詳細・申込方法

Peatixをご覧ください。


本件にかんするお問い合わせ先

一般財団法人国際開発機構(FASID)国際開発研究センター 
担当:今/吉澤

  • bbls [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



開催中「法政大学・第24回環境展」11月24日まで

法政大学「第24回環境展 ~この秋、「かけがえのない地球」の未来を想いながら、えこぴょんの涙をとめるために一人一人の声を届けます~」を開催します。

我々が暮らす「かけがえのない地球」においては、我々人類の他にも様々な生物が生息しており、相互に影響を与え合いながら暮らしています。

とりわけ、地球温暖化は、森林を含む陸域、淡水及び海洋にすむ多くの生物の生息域や季節的活動、移動パターン、生息数及び生物種間の相互作用を変移させていると言われています。

2023年11月、「第24回環境展」は、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届けることで、一人一人が地球環境問題に取り組むきっかけとなればと願い、約四年ぶりに本学市ケ谷キャンパス・外濠校舎一階「メディアラウンジ」を主会場として対面方式にて開催します。

法政大学は、地球環境問題の解決に向けた決意表明・宣言として、1999年に「環境憲章」を制定し、一部の校舎でISO14001の審査登録を行ったことを起点に、2017年度には本学独自の「法政大学環境マネジメントシステム」を全学的に構築し、学生の参画の拡大を目指しながら、環境教育・研究、環境保全活動を展開しております。

「第24回環境展」においては、次世代のクリーンなエネルギーの実現に向けて、「International Space Solar Power Student Project Competition 2022」において準優勝した太陽発電衛星に関する研究や「無機マテリアル学会第145回学術講演会で無機マテリアル学会講演奨励賞」及び「化学情報協会JAICI賞」を受賞した量子ドットに関する研究、「分離技術会年会」において企業奨励賞を受賞した太陽光パネルの製造過程で発生するシリコンスラッジ中のシリコン微粒子回収への応用等を目指した研究から持続可能な農業をテーマにした徳島県と栃木県を対象にした藍産業の衰退と藍農家の取り組みに関する研究等が出展予定です。

また、本学学生・教職員に加えて、気象庁気象研究所、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、公益財団法人 東京都環境公社、千代田区、一般財団法人公園財団 新宿中央公園管理事務所、新宿区立環境学習情報センター(エコギャラリー新宿)、法政大学生活協同組合にご協力いただき、環境・サステイナビリティ教育研究、環境保全に関連した取り組みをご紹介します。

2022年12月、COP15は、新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を採択し、2050年までに「生態系の健全性、廉潔性、レジリエンスの維持・強化・回復」等を目指しています。2023年3月、日本政府は「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた「生物多様性国家戦略 2023-2030」を閣議決定し、陸域と海域の30%以上を保全する「30by30目標」や侵略的外来種の侵入率や定着率の半減を始めとした行動目標を掲げています。

この秋、母校愛の強い兎で、自分の背中に「かけがえのない地球」の未来がかかっていると思いこみ、地球環境問題の解決に向けて世界を舞台に様々な活動をしている「えこぴょん」の涙をとめるために一人一人の声を届け、来訪者の皆様におかれましても、一つ一つの「行動」と「自然」とのつながりを意識するきっかけとなればと願います。

開催概要

  • 開催期間:2023年11月15日(水曜)~24日(金曜)
  • 会場:法政大学市ケ谷キャンパス外濠校舎一階「メディアラウンジ」他(特別企画(その1からその5)は各々の会場において開催)
    *会場への交通:【JR線】、【地下鉄線】市ケ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分(市ケ谷キャンパスの地図)
  • URL:

会場において地球環境問題、SDGs(持続可能な開発目標)を始めとする社会・経済問題の解決に向けた取組の成果を発表します。

特別企画(その1):

【第24回環境展特別企画】国立環境研究所協力講座「FUKUSHIMA -THE IMMENSE WORLD OF LIFE-」参加者大募集

  • 2023年11月15日(水曜)15:00~16:00)

特別企画(その2):

【第24回環境展特別企画】気象庁気象研究所協力講座「地球温暖化シミュレーション -かけがえのない地球の未来を想像する―」参加者大募集

  • 2023年11月22日(水曜)15:00~16:00)

本件にかんするお問い合わせ先

法政大学環境センター(榎本)

  • ickankyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3264-5681



無料オンライン説明会「国際協力プロフェッショナル検定」/ eラーニング「国際協力の歴史と動向」11月22日~(会員・一般)

株式会社パデコより、「国際協力プロフェッショナル検定®」/eラーニング「国際協力の歴史と動向」の無料オンライン説明会について、ご案内させていただきます。

無料オンライン説明会のご案内

  1. 国際協力のエキスパートを目指す方向け「国際協力プロフェッショナル検定®」
  2. eラーニングで学ぶ!国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」

■説明会に申し込む:.com/r/uhptTUt6cP

「将来国際協力の仕事に携わりたいが、何から準備すれば良いか分からない」
「ODA、海外事業、SDGsに関する基礎知識を強化したい」
このようなお悩みはありませんか?

そのようなお悩みを持った方、キャリアアップを目指す方に、地球規模課題に取り組む、次世代の「学ぶ・考える・行動する」グローバル人財の育成を支援するPADECO Academyから、第3回「国際協力プロフェッショナル検定®」(2024年1月)と、eラーニング国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」についてお知らせします。

検定試験とeラーニングの内容を解説する、無料オンライン説明会も開催しますので、お気軽にお申し込みください。

こんな方にオススメ!

  • 国際協力、海外事業、SDGs貢献の仕事に挑戦したい方
  • 国際協力、ODA、海外事業、SDGsの基礎知識を強化したい方
  • 国際協力分野の自己啓発、スキルアップの機会を探している方

オンライン説明会概要

日時:

※各回の内容は同じ

  • 2023年11月22日(水曜)12:00~12:45
  • 2023年12月08日(金曜)18:00〜18:45
  • 2023年12月20日(水曜)17:00〜17:45

参加費:

無料

形式:

オンラインライブ配信(Microsoft Teams)

内容:

  1. 第3回国際協力プロフェッショナル検定®(試験対策Webコース付き)について
  2. eラーニング国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」について

※お申込み後に視聴用のURLをお送りいたします。

■説明会に申し込む→.com/r/uhptTUt6cP

1.第3回国際協力プロフェッショナル検定試験®︎(試験対策Webコース付き)

  • Webコース:2024年1月8日(月曜)~27日(土曜)
  • 検定試験 :2024年1月27日(土曜)14:00~15:15
  • 場所:オンライン、eラーニング形式
  • 受講料:35,000円(税込)
  • 申込み期間:2023年11月1日(水曜)~2024年1月5日(金曜)まで
  • 合格者特典:株式会社パデコのインターンとして登録可

■国際協力プロフェッショナル検定®︎を申し込む

2.国際協力プロフェッショナル基礎講座「国際協力の歴史と動向」

  • 受講期間 :お申込日から60日間
  • 申込期間 :2023年11月1日(水曜)~2024年2月29日(木曜)
  • 受講形式 :eラーニング・オンデマンド形式
  • 受講料  :15,000円(税込)

コース内容:

  1. 講義動画(第二次世界大戦前からSDGs時代までの、国際協力の歴史とその潮流)
  2. 理解度チェックのための小テスト

■eラーニング「国際協力の歴史と動向」を申し込む


本件にかんするお問い合わせ先

株式会社パデコ PADECO Academy

  • padeco-academy [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5733-0855
  • 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19新御成門ビル



関西支部:2021年度活動報告(2021年11月)

関西支部では、国際開発の課題克服に貢献しうる研究を展開していくことを目的に、2021年度は国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を、国際機関、政府機関、学術機関から招聘して研究会を中心に活動を行った。

本支部が開催する研究会では、現在、世界的な問題となっているコロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力に関する議論も精力的に展開した。具体的には、第149~156回の研究会をオンライン(Zoom)で開催したので、その内容について、以下のとおり報告する。

第149回研究会

  • 日時:2021年8月10日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Innovation and New Partnerships in International Development after the Post-Covid World
  • 発表者:Dr. Mariko Gakiya, Former Shine Advisory Board Member, Harvard T.H. Chan School of Public Health
  • 参加人数:32名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ハーバード大学の我喜屋まり子博士を招聘し、「Innovation and New Partnerships in International Development after the Post-Covid World」をテーマに講演をしていただいた。我喜屋博士はまず、グローバル社会においての重要課題である人的資源開発、国際開発、パートナーシップ強化に関する国際的動向について説明し、持続可能な開発と福祉をめざし「学習から技術革新・協調・パートナーシップ、そしてより質の高い公益財」にいたる社会システムが形成されつつあることについて言及した。

また、COVID-19感染拡大後の傾向として、オンラインによる多様な学習機会の整備、経済成長を見据えたニーズの高いスキルを習得できる学習環境の拡大、官民など多様なアクターの連携強化を挙げた。とくに、パートナーシップ強化に関してはSDG 17がパートナーシップの活性化を掲げている点、技術革新や国際開発は協調関係のなかで加速する点、加えて信頼関係構築の重要性を明らかにした最新の研究報告をふまえ、多様性・公正・インクルージョンを考慮した組織形成の必要性を強調した。

講演後には我喜屋博士と参加者とで多岐にわたる話題に関して活発な議論が行われただけでなく、我喜屋博士から若手研究者に対してグローバルに活躍するためのアドバイスが語られる場面もあり、参加者が新たなポスト・コロナ時代の技術革新、パートナーシップ、人的資源開発について深い知見を得た大変貴重な機会となった。


第150回研究会

  • 日時:2021年8月17日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education Under the COVID-19 in Yemen
  • 発表者:Dr. Hamound Al-Seyani, Advisor, Ministry of Education, Yemen
  • 参加人数:34名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、イエメン教育省アドバイザーとして長年イエメンの教育発展に寄与されているHamound Al-Seyani博士を招聘し、「Education Under the COVID-19 in Yemen」をテーマに、イエメンにおける教育制度・状況について新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大以前・以後の両観点から講演をしていただいた。

冒頭では、同国における社会問題は、紛争を筆頭にCOVID-19感染拡大以前から中高等教育の就学率の低さや全教育段階での男女差、校舎の再建、教員のストライキなどといったかたちで教育にも大きく影響してきたことが説明された。

つづいて、コロナ感染拡大以後のイエメンについて言及し、第一波(2020年4月)、第二波(2021年2月)に続き、現在の第三波とイエメン全土で感染拡大しているCOVID-19が、国民の社会生活に深刻な打撃を与えていることは明らかにされているものの、政府発表の感染者数や死亡者数は実際の10%以下であるという指摘がなされた。

また、同国教育省もCOVID-19感染拡大による教育のアクセス・質への影響を問題視しており、サナとアデンにある南北両政府は共通したコロナ対策教育プランを策定し、コロナ禍においての教育改善に尽力していると強調した。とりわけ重要な課題として、学校閉鎖期間も教育環境を担保できるICT導入を挙げ、SDGs達成には多くの支援が必要であることを訴えた。

講演後にもイエメンの複数政府での政策遂行やout of school childrenの軍への入隊についてなど多岐にわたる参加者の質問に明快に回答がなされ、参加者がイエメンの教育現状について理解を深める意義の大きい研究会となった。


第151回研究会

  • 日時:2021年8月24日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Ugandan Journey to Achieve SDGs under the COVID-19
  • 発表者:Dr. Albert Byamugisha, Senior Technical Advisor, Office of Prime Minister, Uganda
  • 参加人数:32名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ウガンダ内閣府のシニア・アドバイザーをされているAlbert Byamugisha博士を招聘し、「Ugandan Journey to Achieve SDGs under the COVID-19」をテーマに講演をしていただいた。

Byamugisha博士は、ウガンダ政府がこれまでにSDGs達成に焦点をおいて政策立案・実施を行ってきたことに触れ、政府組織の形成、国家・地方レベルでのリーダーシップ養成、国際機関や民間セクター・地域社会とのパートナーシップの強化などの多様な政策の結果、2030年までの達成目標の50%超を現時点で達成されており、アフリカ52か国中18位と評価されていることを強調した。

現在のCOVID-19感染拡大の影響としては、経済成長率の前年比3.9%減少に加えてロックダウンによるオンライン教育や在宅の推進、労働時間の減少、移動の減少などを挙げ、とくに社会の格差を深刻化させた点が憂慮されると指摘した。

一方で、COVID-19によるさまざまな社会変化は持続可能な社会やバランスの取れた経済成長の重要性を市民に訴えかけるものでもあったとし、今後も2030年の目標に向けてコロナ感染拡大からの復興プランの実施、SDGs関連政策のe-ガバナンスや地方分権を促進していく方針を示した。

関西支部が今年度のテーマとして掲げている「コロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力」について、ウガンダ政府の内閣府アドバイザーと実際に議論を交わすことができた本研究会は、参加者にとって大変意義深い場となった。


第152回研究会

  • 日時:2021年8月27日(金曜)17:00-18:00
  • 発表テーマ:SDG4 and National Policy Implementation under the COVID-19 in Cambodia
  • 発表者:Mr. Sothea Lim, Director-General, Ministry of Education, Youth, and Sports, Cambodia
  • 参加人数:28名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、カンボジア教育青少年スポーツ省政策計画局の総局長として長年にわたってカンボジアの教育政策と計画に携わっておられるSothea Lim氏を招聘し、「SDG4 and National Policy Implementation under the COVID-19 in Cambodia」と題する講演をしていただいた。

はじめに、MDGsからSDGsへの転換のなかで、カンボジアの国家戦略Vision 2030がどのようにSDGsの達成に寄与していくのかが説明された。とくに、教育セクターは、国家戦略において重要な人的資源開発に貢献する分野であり、カンボジアではSDG4達成に向けた教育戦略やロードマップが作成されていると紹介があった。

また、国家レベルの中長期目標を展開するだけでなく、地方・学校レベルでの短期の計画と連携しながら政策を進めていくことの重要性が指摘され、カンボジアにおける教育省と地方行政の繋がりが紹介された。

つづいて、Lim氏はそうしたビジョンの実現をめざすなかで、COVID-19に教育省としてどのように対応していくのかという展望について解説した。SDG4が掲げる公正なアクセスや質の高い教育を阻む課題に対して、テレビやラジオ、ウェブを通じた遠隔授業体制の拡充や学校・教員への積極的なサポートなどの実施策が挙げられた。

また、子どものワクチン接種の推進や健康を守るためのガイドラインを作成することで、コロナ禍が明けた後に子どもたちが安心して教室へと戻ってくることができるようにと準備が進められていることに言及された。

講演後にも参加者からの積極的な質問に対して一つ一つ丁寧に回答がなされ、参加者がカンボジアにおける教育戦略の動向に理解を深める意義深い研究会となった。


第153回研究会

  • 日時:2021年9月7日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education in Emergencies: Education for Refugee and Migrant Children in Egypt
  • 発表者:Ms. Marie Kunimatsu, Education Officer, UNICEF Sudan
  • 討論者:Dr. Asayo Ohba, Associate Professor, Teikyo University 
  • 参加人数:43名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、現在ユニセフ・スーダン事務所で勤務されている國松茉梨絵氏を招聘し、「Education in Emergencies: Education for Refugee and Migrant Children in Egypt」をテーマに、國松氏のユニセフ・エジプト事務所での経験に基づいた緊急時の教育支援について講演をしていただいた。

講演ではまず、緊急時の教育や緊急事態に関する定義や背景について、またエジプトにおける難民の現状と緊急時の教育支援について説明がなされた。國松氏は、緊急援助には突発的なものと長期的なものの大きく2つがある点、ユニセフはその両援助を行っている点に触れ、援助時における他のセクターや機関、NGOとのパートナーシップの重要性についても強調した。

エジプトの場合、難民の約半数がシリア難民であり、エジプト政府はシリア難民の子どもたちの公教育システムへの統合に積極的な姿勢を見せているものの、シリア式の教育制度に基づくコミュニティ・スクールへのニーズも高い点を指摘し、緊急時の教育支援の課題と展望について参加者に多くの知見を与える講演となった。

講演後には討論者として大塲麻代博士を迎え、コミュニティ・スクール閉鎖の背景や國松氏自身のユニセフでの経験についてなどの質問・議論がなされた。今回の研究会は、参加者43名と多くの学会員にとって高い関心のある議題であり、アフリカにおける緊急支援、教育開発に携わるお2人を招聘した大変貴重な機会であった。


第154回研究会

  • 日時:2021年9月14日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education in Myanmar under the COVID-19 and Military Coup
  • 発表者:Dr. Natsuho Yoshida, Assistant Professor, Takasaki City University of Economics
  • 討論者:Ms. Thet Mon Myat Myint Thu, Lecturer, Yangon University of Education
  • 参加人数:26名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、高崎経済大学の吉田夏帆先生とヤンゴン教育大学のThet Mon Myat Myint Thu先生を招聘し、「Education in Myanmar under the COVID-19 and Military Coup」をテーマとした講演会を開催した。

吉田先生はまず、ミャンマーにおけるCOVID-19感染拡大の影響として、対面授業の中止と公立学校においてのオンライン授業の未実施について言及し、公立・私立・インターナショナル校での教育格差の拡大が問題視されていることを背景とした、子どもたちの学習に対するCOVID-19感染拡大と軍事クーデターの影響についての研究発表をされた。

吉田先生は本研究の結果として、社会経済的地位の低い家庭の子どもは高い家庭の子どもよりも初等中等学校を退学しやすく、貧困家庭であればあるほど子どもたちの教育機会へのCOVID-19感染拡大と軍事クーデターの影響が大きくなる可能性を示した。

また、Thet Mon Myat Myint Thu先生は、社会経済的地位の差による基礎教育の格差拡大についての吉田先生の議論に同意したうえで、児童労働の増加や早婚、ICT設備の不足などの課題も挙げた。また、市民の反軍事政権運動として、教職員・児童・生徒・学生が学校や大学への出勤・通学を拒否しているという状況についても強調した。

その後の質疑応答ではミャンマーにおける教育の現状や今後の展望についてなど多くの質問が挙がり、COVID-19感染拡大と軍事クーデターがいかに教育の機会と質に多大な影響を与えているか、多くの知見を深める有意義な研究会となった。


第155回研究会

  • 日時:2021年9月23日(木曜)9:00-11:00
  • 発表テーマ:World Bank Support under Covid-19 in Latin America
  • 発表者:Dr. Marcelo Becerra, Senior Economist, World Bank
  • 討論者:Mr. Danilo Leite, Former Director, Ministry of Education, Brazil
  • 参加人数:31名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、世界銀行シニア・エコノミストのMarcelo Becerra博士を招聘し、「World Bank Support under Covid-19 in Latin America」をテーマとして講演をしていただいた。

まず、Becerra博士はラテンアメリカ・カリブ諸島におけるCOVID-19危機と学校閉鎖について言及し、ラテンアメリカは影響が多大だった地域の一つであり、学校閉鎖がニカラグアを除くすべての国で実施され、1億7千万人の子どもに影響があったことを述べた。

そのような多大な影響に対し、各国政府並びに国際機関などはラジオやその他媒体を用いて教育を継続させるため尽力してきたものの、インターネット環境が整った家庭は限られており、とりわけ脆弱な子どもたちの教育格差を拡大してしまう点を考慮すると、オンライン授業を対面授業の完全な置換として導入することは困難であると強調された。

講演後には討論者として、元ブラジル教育省局長のDanilo Leite氏を迎え、コロナ感染拡大下においていかにして子どもたちに質の高い平等な教育機会を提供できるのか、また世界銀行はこのコロナ感染拡大によるプロジェクト実施の困難性にどのように対応しているのかなど多岐にわたる議論が交わされた。

本研究会はラテンアメリカ及びカリブ諸国でのCOVID-19の教育への影響とそれに対する世界銀行の支援について理解を深める大変貴重な機会となった。


第156回研究会

  • 日時:2021年9月30日(木曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Prospects and Challenges of Japanese FDI in Bangladesh
  • 発表者:Dr. Abdullah Al Mamun, Assistant Professor, University of Dhaka
  • 討論者:Dr. Shiro Nakata, Senior Economist, World Bank
  • 参加人数:102名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ダッカ大学のAbdullah Al Mamun博士を招聘し、「Prospects and Challenges of Japanese FDI in Bangladesh」をテーマに講演をしていただいた。

Mamun博士は、バングラデシュにおいて拡大傾向にある日本の海外直接投資(FDI)がもたらす効果として、雇用の創出、インフラの開発、経済成長、貧困の軽減などを挙げ、これらはバングラデシュの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与するという展望について言及した。

また、日本側にもたらされる効果として、東南アジア諸国連合諸国並びに南アジア地域協力連合諸国とベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)の関係強化、公海や航空ルートの利用拡大、豊富な天然ガス・水・肥沃土の利用、巨大な労働市場を背景とする低コストによる生産、著大な消費者市場の存在を強調した。

日本によるFDIの課題としては、バングラデシュの低い「ビジネスのしやすさ指数」(世界銀行発表)、期待ギャップ、輸入時の電子送金の不可、銀行における海外企業への貸付制限、税制制度などがあるとした。

講演後には、世界銀行シニア・エコノミストとしてバングラデシュの支援に携わってこられた中田志郎博士を迎え、日本からバングラデシュへのFDIを中心に、多岐にわたる論点について活発な議論が行われた。本研究会はMamun博士の講演並びにその後の議論を通じ、てバングラデシュにおける日本のFDIの展望と課題について深い知見を得ることができた大変意義深い研究会となった。

関西支部
支部長・小川啓一(神戸大学)
副支部長・關谷武司(関西学院大学)




活動報告『開発とビジネス』研究部会(2021年11月)

《2021年7-9月期》

本部会は民間企業、とりわけ日本の中小企業アクター(場合によっては大企業、多国籍企業も含む)がどのような形で「途上国の開発問題/社会問題」解決に貢献できるのかを、具体的な取り組み事例の検討を中心に行うことを目指している。2021年7-9月期は、2回研究会を開催した。

まず1つめに、2021年8月24日(木曜)、午後1時30分~午後5時にオンラインの形で開発とビジネスに関連した研究を行なう若手研究者を対象としたブートキャンプを、学会員から参加者を募り実施した。

本ブートキャンプは、近年、国際開発学会の若手会員のなかで、国際開発とビジネスとを結びつける分野の活動に注目し、これを論文のテーマに設定している人も増えているが、大学院等で研究する場合、国際開発、国際貿易、国際経営、さらにはボランティア学など、さまざまな指導教官がいるなかで、適切な指導が受けにくいという現状に対処するものである。

また、国際開発学会の春季大会、全国大会などで研究報告をしても扱うテーマごとに「教育」「保健」「農村開発」などのセッションに配置されてしまい、同じような切り口で研究している人とうまく情報共有できないという問題が散見されていた。

研究部会では、若手研究者を中心にこの「開発とビジネス」分野を研究テーマとしている方からの話題提供を求め、これに対してシニア、中堅研究者がコメントをする「ブートキャンプ」を試行することとした。

会の進行および主コメンテーターとして佐藤寛氏(ジェトロ・アジア経済研究所)が助言を行なったほか、下記の開発とビジネスの分野に経験豊かな各研究者がコメントおよび指導を行った。吉田秀美氏(法政大学)、下田恭美氏(早稲田大学)、小林かおり氏(椙山女学園大学)、功能聡子氏(ARUN)、八鍬(山崎)ひかり氏(元ボーダレスジャパン)。

参加した若手研究者及び、テーマは下記のとおりであった。

発表1.「世帯内ジェンダー格差とデジタルテクノロジー -バングラデシュおける賃⾦⽀払いのデジタル化の事例から」

綿貫竜史氏(名古屋大学国際開発研究科博士課程)

発表2.「The mechanism of promoting corporate responsibility to respect for human rights through international norms – how it works in Africa」

井上直美(東京外国語大学サステナビリティ研究博士課程)

発表3.「ウガンダの難民起業家の成功要因について」

中村恵理氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科博士課程/ 独立行政法人国際協力機構)

発表4.「日本の民間教育団体の海外展開史-民営化する国際教育協力との関係に注目して-」

朝倉隆道氏(株式会社富士通総研、一橋大学大学院)

参加者からは、経験・知識が豊富な、いつもは指導を受けることが出来ない先生方から助言をいただけたこと、開発とビジネスという共通の分野で研究を進める若手研究者から学ぶことが出来たこと、および知り合えたこと、実務と学術の両方の視点をつなげて議論できたこと、多岐に渡る話題を議論できたこと、等が非常に有意義であったとの感想をいただいた。

気軽に発表し、分野横断的に意見交換できる会をもっと企画して欲しいという声も多くあがった。今回は、代表の佐藤のアイデアでこうした会を開催したが、今後も、同様の企画を何らかの形でできないか検討することに価値があることが確認できた。


ミズノヘキサスロンのベトナム公教育への導入について

-対立事物の相互浸透の法則-

2回目は、2021年9月24日(金曜)に、開発途上国の抱える課題に、本業を通じて取り組む企業の事例を学ぶオンライン研究会を開催した。企業の担当者に話をうかがい、参加者全員で意見交換を行なった。研究会のタイトルは、「ミズノヘキサスロンのベトナム公教育への導入について-対立事物の相互浸透の法則-」。

講師には、森井征五(もりい・せいご)氏(ミズノ株式会社・総合企画室・アジアグローバルセールスマネジャー)をお招きした。なお、研究部会の開催時間は、通常の昼間の研究部会には参加できないとの会員の声を反映し、ランチタイムに開催した。参加者は、合計で21名であった。

ミズノ株式会社のベトナムでのヘキサスロン運動プログラム事業の背景は次のとおりである。ベトナムでは、2021年9月から、40数年ぶりに初等義務教育「学習指導要領」の改訂と、その運用の開始が予定されている。ミズノ株式会社はベトナム教育訓練省と、同社ヘキサスロン運動プログラムを新学習指導要領に採用する「協力覚書」を2018年10月に締結し、本プログラムを、同国の学習指導要領へ導入すべく、その採用に向けた活動を行なっている。

当日は、まず同社の事業概要を説明するムービーを使用し、その後に森井氏から、事業概要と現状の取り組み内容をご報告いただいた。そして、今後想定されるサービスの価格や知的財産権を含めたサプライチェーン、事業収益化への課題、日越関係機関との合意形成や連携のあり方について議論を進めていただいた。

同社は、急速な経済成長が進むベトナムで問題となっているこどもの肥満、そこからつながる健康被害等のリスクを社会課題と捉え、この課題を解決するための鍵は、限られた時間とカリキュラムで行なわれる体育授業にあると特定した。

同社のプログラムは、学習指導要領に採用されることで体育授業プログラムを多様化させ、子どもの前述の問題を解決することに役に立つものであるとのことであった。現に、報告では、ベトナムの小学校が十分に体育授業を行うためのフィールドを確保できないままに、ごく短時間の簡単な運動の機会しか与えられていないという現状が、ビデオで報告された。

森井氏からは、ベトナム政府との交渉、関係各所との役割分担、価格や知的財産権の商流に関する各所との合意形成活動、現地日本大使館との連携等における、難しさや事業を進める喜び等が共有され、参加者との意見交換が行われた。

参加者からは、同社がベトナムで事業を推進する理由やきっかけについての質問、本事業の競合に対する優位性や模倣品への対策、そこから派生して知的財産権をベトナムのようなコントロールの難しい国で守りつつ利益を確保する事業を進めるための工夫に関する意見交換が行われた。

また、本事業が当初、公的資金の援助を受けつつパイロット事業をベトナムで始めたことに関連し、今後そうした公的資金の支援を受けずに利益事業として成り立つためには何が必要か、利益確保するためのマーケット規模は十分か、ベトナム以外のマーケットへの進出予定等について参加者から質問が挙がり、これに関する意見交換が行われた。

また、ODA事業として進めた経験から、国際協力分野に経験の厚いコンサルタントと企業がどのように協力し、お互いの得意分野を使い事業拡大の可能性を広げることが出来るか、ということについて、コンサルタントと企業の双方の立場からの率直な意見を聞くことが出来た。

意見交換の話題は、同社のサプライチェーン・マネジメント、SDGsに関する取り組み、CSRに関してまで広がった。短時間ではあったが、非常に密度の濃い意見交換を行うことが出来た会であった。

「開発とビジネス」研究部会
代表:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)




活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2021年11月)

「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の活動としては、来る11月20・21日に開催予定の国際開発学会第32回全国大会において実施する、ラウンドテーブルに向け準備を進めてきた。  

11月20日の午前のセッションで行なわれる予定のラウンドテーブル「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」は、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会による、第2回目のラウンドテーブルとなる。

今年の春季大会のラウンドテーブルの議論をふまえ、全国大会ではパンデミック以後の時代に焦点をあて、開発レジリエンスとSDGsの課題について、大門毅会員(早稲田大学)、大谷順子会員(大阪大学)、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)そして、関谷雄一(東京大学)から話題提供をし、討論者に野田真里会員(茨城大学)を迎え、フロアも交えて双方向的な討論を展開する。

話題提供者の発題は下記のとおりである。

  • 関谷雄一「ハイブリッド調査の模索:レジリエントな研究調査を目指して」
  • 乙部尚子「新型コロナウイルス禍に於けるジェンダーと労働問題」
  • 大谷順子「中国を見て考える」
  • 大門毅「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」

主要な論点としては、下記のような点が挙げられるだろう。

  1. パンデミック以後の開発レジリエンス
  2. パンデミック以後のSDGsの課題
  3. 貧困、格差、インフォ―マリティーのなか、取り残された人々の今後
  4. その他の課題

皆さんのご参加をお待ちしております。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




公開ワークショップ「親子deリサーチ」3月25日開催(会員・一般)

国際協力に携わられている方で、ご自身や社会の子どもたちにも国際問題に目を向けてほしい方にお勧めです

1948 年以来、働く人たちの社会運動を支えてきた(公社)国際経済労働研究所が主催する、これからの国際社会を生きる子どもたちに知っておいてほしい国際協力の方法を、「運動」という観点で話し合うワークショップです。

「運動」とは何かを知り、そのなかでも、氾濫する情報に惑わされず正しい情報を得て国際協力につなげていく「調査運動」の方法を提案します。

SDGs、ウクライナ情勢のニュースなどを通じ、子どもたちにとっても国際問題を身近に感じやすくなっているのではないでしょうか。まずは自分の関心のあるできごとに「どうしたらかかわれるのか」「自分にできることだけをやっていて問題が解決するのか」という疑問をもってもらい、その解決方法の一つ「調査運動」を知ってもらう、体験してもらう半日です。

前半は授業形式ですが、後半はワークショップの参加者全体を1つの「社会」とみたてて、参加者の関心のある問題を発表し、パソコンやスマホ、本などを駆使しながら、参加者同士で助け合って情報を集めます。子供に照準を合わせ、大人はサポートに回っていただきますが、大人の方たちも初めて聞く話が多いのではないかと思います。

普段目にする情報について、「データの見方」も説明します。ネットの情報は物事のほんの一部でしかなく、「みんなで調べる」ことで様々な見方、正しい情報、たくさんの情報が得られるのだと知ってもらいます。

「調査運動」に1人でも多く取り組めば、世界はきっと変えられる。春休みに皆さんで一緒に考えてみませんか。

日時・プログラム

2023年3月25日(土曜)
13:00ー14:00(第一部:授業形式)
14:00ー15:00(休憩)
15:00ー16:30(第二部:ワークショップ)
※途中退室可。途中からのご参加は難しいためお控えください。

進行・スピーカー

吉浜智美(国際経済労働研究所 研究員)

参加対象

  • 国際協力に興味のある小5~高校生とその親(パソコンの操作が可能であればお1人での参加も可能です)
  • 「調査運動」に興味のある一般の大学生、社会人
    ※大人の方もご参加いただけますが、話す言葉は参加者の中で一番年齢の低い方に合わせますので、ご了承ください。
    ※内容は参加者によって大きな変更はありません。

実施方法

Zoom(参加者にURLをお送りします)

費用

チケット制

・同じ世帯は2名まで(親子以外に、きょうだいも可)1チケットで参加可能。
・無料・500円・1,000円から任意でお選びください。無料チケットは5組限定。

定員

20名程度

申込フォーム


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 090-1242-1058



活動報告『倫理的食農システムと農村発展』研究部会(2021年11月)

1.研究部会概要

「倫理的食農システムと農村発展」研究部会は池上甲一(近畿大学名誉教授)を代表者、牧田りえ(学習院大学教授)を副代表者として、2020年11月にスタートした。本研究会の目的は、いわゆるフェアトレードとエシカル消費(人権、環境、公正さに配慮する消費)の両者を倫理的取引として把握し、この倫理的取引に基づく倫理的食農システムが生み出す農村発展の成果と課題を解明することにある。

その際に、北側諸国でも関心を集めている「食への権利」や「食料主権」といった食料運動の観点も参照枠として利用する。具体的には、第1に現行食農システムの問題解明と倫理的食農システムの構築・拡大条件、第2に貧困削減を含む農村の総合的な発展への道筋、第3に「先進国」を中心とする消費者に対する倫理的食農システムの利点の提示とそれによるフェアトレード市場の拡大可能性を解明することをめざしている。

貧困削減・撲滅はPRSPの登場以降、人類共通の課題として捉えられてきた。2015年に合意されたSDGsでも第1目標に位置づけられている。しかし、とりわけCOVID-19による感染症の世界的な拡大によって、減少傾向にあった貧困人口が再び増大に転じている。貧困人口の多くは、医療・保健体制の脆弱な南側諸国の農民である。だから、農村発展はSDGsの観点からも国際公共保健の観点からも優先度が高いといえる。

2.活動実績概要

2021年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて、オンラインによる研究会の開催を行ってきた。研究会の実施状況は次のとおりである。

第1回(2020年12月27日)

科研費(代表・牧田りえ学習院大学教授)との共催で開催された。講師は安藤丈将氏(武蔵大学教授)に依頼し、「フード・アクティヴィズムの論じ方」というテーマの報告を受けた。

第2回(2021年3月12日)

に、本研究部会代表の池上が「食料主権とアグロエコロジー」について報告した。この研究会には、賛同者と科研の研究メンバー以外にも国際開発学会会員、それ以外の一般参加者も多数参加し、このテーマに対する関心が大きいことを痛感した。

第3回(2021年5月15日)

ソリダリダード・ジャパンの楊殿閣氏に、「持続可能な農産品サプライチェーン構築と倫理的生産活動の支援」というタイトルで国際NGOソリダリダードの活動について報告してもらった。

第4回(2021年7月31日)

龍谷大学名誉教授の河村能夫氏に「JICAインドネシア・スラウェシ貧困対策支援農村開発計画の経験」を報告してもらった。


年度内に共催を含めて、4回程度の研究会を予定していたが、その計画を達成することができた。次年度は学会大会での企画セッションまたはラウンドテーブルを企画したいと考えている。

『倫理的食農システムと農村発展』研究部会
代表:池上甲一(近畿大学名誉教授)




『日本アフラシア学会(JSAS)研究セミナー』4月15日開催(会員・一般)

4月15日に日本アフラシア学会(JSAS)と東京大学未来ビジョン研究センター(IFI)共催の研究セミナーをハイブリッドにて開催します。

若手のウガンダ研究者である大平和希子さん(ハーバード大学)とイアン・カルシガリラさん(GRIPS)の研究発表をもとにみなさんと議論したいと思いますので、ぜひご参加ください。

JSAS Research Seminar

Date & Time

10:00-13:00, April 15 (Sat), 2023 *Venue open: 9:40

Venue

Ito International Research Center, 3F Conference room The University of Tokyo

*Online participation is also available

Language

English

Registration

Please register from this form by April 13.

Overview

JSAS is an academic association established to promote Afrasian (Afro-Asian) studies, inter alia, the study of Afro-Asian relations as well as African and Asian area studies and development studies, empower young scholars and disseminate multiple research outcomes, thereby contributing to the global, African, Asian and Japanese academic communities. JSAS periodically holds mini-research seminars to share information and exchange opinions on African research to achieve its objective. In this first seminar of 2023, we invite two young researchers in Ugandan studies as speakers to discuss with participants based on their research presentations.

6. Program

10:00-10:10
Opening remarks: Vick Lukwago Ssali, outgoing JSAS President / Aichi Gakuin University

10:10-11:10
Presentation 1 : Wakiko Ohira, Visiting Fellow, Harvard University
“Institutional Transformation of Traditional Authorities: The Bunyoro Kitara Kingdom and Museveni’s Regime”

11:20-12:20
Presentation 2: Ian Karusigarira, National Graduate Institute for Policy Studies (GRIPS)
“Victims of Violence or Heroism? A Relational Historical Analysis of Revolutionary Regime Culture and Survival Apocalypse in Uganda”

12:20-13:00
Discussions

Organizer

Host: Japan Society for Afrasian Studies (JSAS)
Co-host: SDGs collaborative research unit, Institute for Future Initiatives, UTokyo


Contact

日本アフラシア学会(JSAS)事務局

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



グローバル連携委員会からのお知らせ(2021年8月)

グローバル連携委員会では、海外の関連学会との連携を進めていますが、そうした活動の一つが韓国国際開発協力学会(Korea Association of International Development and Cooperation:KAIDEC)との交流事業です。毎年、韓国で開催される国際シンポジウム「済州フォーラム(Jeju Forum)」におけるKAIDEC主催イベントに、本会からの講演者を派遣しています。

今年は、オンラインでの開催となった同フォーラムに、昨年度まで「持続可能な開発とSDGs」研究部会を率いてこられた野田真里会員(茨城大学)に講演をお願いし、ご快諾いただきました。以下に、野田会員による報告を掲載いたします。とても充実したご講演をしてくださった野田会員に、グローバル連携委員会として心よりお礼申し上げます。


Jeju Forum 2021にて、招待講演「新型コロナ世界のSDGsと人間の安全保障」

野田真里(茨城大学)

去る6月25日、Jeju Forum 2021 for Peace and Prosperityにて、本学会を代表して招待講演SDGs and Human Security for ‘Leave No One Behind’ in the With/Post COVID-19 Worldを行わせていただいた。これは、本学会と長年のパートナーシップ関係にある、韓国国際開発協力学会(KAIDEC)の招待によるものであり、KAIDECと韓国国際協力機構(KOICA)による企画セッション、Promoting a More Inclusive Development Cooperation for the Post COVID-19 Eraの第一講演を務めさせていただいた。

セッションの冒頭Dr. Sookhee BAEK(KOICA副総裁)より開会の辞と本学会からの登壇への感謝の意が表され、Professor Sung Gyu KIM(KAIDEC会長)の座長の下、3本の講演と指定討論者によるディスカッションが行われた。セッションの模様はインターネットでも発信された。同フォーラムは2001年、韓国外務省の全面的な支援により「平和の島」済州島にてスタート。アビジット・バナジー(MIT教授、2019年ノーベル経済学賞受賞)、潘基文(元国連事務総長)等、各界の著名人も登壇している。

今回、大変貴重な機会をいただいた、佐藤仁会長、北村友人常任理事・グローバル連携委員長に心より感謝申し上げる。また、本講演は昨年度まで代表を務めた「持続可能な開発とSDGs」研究部会および、現在副代表をつとめている「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会での研究によるところが大きく、両研究部会でお世話になった会員各位に改めて御礼申し上げたい。


グローバル連携委員長・北村友人(東京大学)




国際シンポジウム「東北大学 Transforming Higher Education for Sustainability」2月19日開催(会員・一般)

この度、東北大学大学院教育学研究科主催の国際シンポジウム(Transforming Higher Education for Sustainability)を開催する運びとなりました。

ご多用の時期であるかと存じますが、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

持続可能性のための高等教育の変革 アジア太平洋地域における グリーンリテラシーのための教育・学習の革新

International Symposium on Transforming Higher Education for Sustainability in the Asia-Pacific Region: Innovations in Teaching and Learning for Green Literacy

開催概要

  • 日時:14:00-17:00, February 19, 2024
  • 方法:対面・オンライン
  • 会場:Meeting Hall 11F
  • 主催:Graduate School of Education, Tohoku University

Background:

With the rapid economic and social change in the Asia-Pacific region, many universities have been actively promoting the SDGs. According to the 2022 Times Higher Education (THE) impact ranking (THE, 2022), 534 out of 1,410 reported universities were located in the Asia-Pacific region. One-third of them were in a top 100 university ranking position. Furthermore, these universities have achieved highly performed engagement in promoting the SDGs. Although a vast amount of research in the Asia-Pacific region covers the topic of higher education, studies unveiling the transformation of HES still need to be explored. Therefore, it is necessary to explore how higher education institutions create innovative, interdisciplinary, and collaborative teaching, learning, and research to promote the SDGs implementation.

Purpose:

This symposium aims at exploring innovative initiatives taken by higher education institutions in Asia and the Pacific region to transform teaching and learning for Green Literacy (in a broad sense, it defines as knowledge and skills which enable individuals to take actions for building sustainability) and contributing to the achievement for the 2030 Agenda. Moreover, it is to bring higher education stakeholders, international organizations and other stakeholders to discuss what are the necessary transformation in teaching and learning required within universities to collectively achieve the SDGs in the Asia-Pacific region.

プログラム

13:20-14:00 Registration

14:00-14:15 Opening remark 
Introduction

14:15-15:00 Keynote speech
Mr. Libing Wang, UNESCO Bangkok

15:00-15:20 Photo Session & Coffee Break

15:20-16:40 Case studies
1. Chulalongkorn University
Ms. Sornnate Areesophonpichet
Ms. Fuangarun Preededilok

2. Tsinghua University
Ms. Zhou Zhong, Tsinghua University

3. The Education University of Hong Kong
Mr. Weiyan Xiong, The Education University of Hong Kong

4. Tohoku University
Mr. Jing Liu, Tohoku University

16:40-17:00 Q & A Session

17:00 Closing Remark
Mr. Hideki Kozima, Vice Dean, Graduate School of Education, Tohoku University

申し込み方法

対面参加事前登録

Onsite Participation Registration:

 

オンライン参加事前登録

Online Participation Registration:

 


本件にかんするお問い合わせ先

東北大学大学院教育学研究科 
劉靖
Jing Liu, Graduate School of Education, Tohoku University

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内「SRIDジャーナル第26号発行のご案内」

昨年9月にインドが議長国となりG20ニューデリー・サミットが開催されました。

G20メンバーに加えてバングラデシュ、エジプト、ナイジェリア等の国が招待され、多様な議論が行われました。

インドのモディ首相は、初日から首脳宣言を発表する異例のプロセスに踏み切り、ロシアのウクライナ侵攻に関して内容が大幅に後退したものの、2年連続で宣言を出せない事態を回避しました。

時代は大国間の覇権争いに加えて混迷深まる多極化に向かい始めています。

この様な複合危機の中、特集は「武力紛争と大国間の覇権争いの中で、自主性と結束を求める開発途上国の開発課題」としました。

巻頭エッセイでは開発途上国を取り巻く背景を論じ、論説とインサイトでは、中国と一帯一路、グローバルサウスのリーダーとしてのインド、開発途上国の課題としてミャンマーを事例にSDGsの現状、国連での最新の温暖化議論、イスラエル‐ガザ武力紛争を取り上げました。

また、ブックエッセイ、SRID活動報告、途上国アルバムではインド外交、ジェンダーや女性の直面する問題について論じています。

SRIDジャーナル編集委員長
湊 直信


SRIDジャーナル第26号・目次

SRIDジャーナルとは

特集:

「武力紛争と大国間の覇権争いの中で、自主性と結束を求める開発途上国の開発課題」

巻頭エッセイ

  • 高橋一生:武力紛争で荒れる地球社会:自国中心主義と結束に揺れる途上国世界

論説・インサイト

  • 藤村学:メコン地域における一帯一路の現状~CLM諸国を中心に~
  • 近藤正規:グローバルサウスのリーダーとしてのインド
  • 林薫:SDGsはなお語る意味があるか?
  • 玉置佳一:24時間365日カーボンフリーのエネルギーの未来を目指して
  • 福田幸正:ガザ紛争 あらためてラビンの死を悼む

徒然草

  • 浅沼信爾:あるベンガル商人のホラ/ホラー話

国際開発研究・教育探訪

  • 高崎経済大学・地域政策学部・黒川基裕研究室

ブックエッセイ/書評

  • 山岡和純:平和と安定を愛する新興大国の雄は、世界リスクに対峙する真の政治大国となり得るか
  • 乙部尚子:キャリアの足を引っ張るものは「Greedy Work」? 男女格差を減らす為に今何が求められるか?

SRID活動報告

  • 森田宏子:日本人女性の国際機関等でのキャリア上の人間関係: 国際開発分野で働く女性のためのオンライン懇談会シリーズ第4回目

途上国アルバム

  • 森田愛:ネパールでの出産経験から見えたもの

編集後記

投稿規定


本件にかんするお問い合わせ先

SRIDジャーナル編集委員会
中島千秋

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また、以前読者登録していただいた方で、アドレスを変更された方は、お手数です
が、registration [at] まで、新しいアドレスをお知らせいただけますようお願いいたします。

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【会員限定】理事会議事録(第108回)

  • 日時:2021年6月12日11時45分~14時
  • 方法:オンライン開催
  • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、伊東、藤掛、小國、萱島、鍋島、佐藤(寛)、岡島、大橋、道中、勝間、澤村、池見、小川、黒田、高橋、山形、(以上、理事)、梅村(以上、支部長)、宮川(学生会員代表)、志賀(事務局長)、秋保(事務局次長)
  • 欠席:岡部、市橋、仲佐、藤山、藤倉、西川(以上、理事)、小池、黒川(以上、支部長)

議題

1)佐藤会長冒頭挨拶

佐藤会長より、林・第22回春季大会実行委員長への大会開催に向けた尽力への御礼が述べられた。また、学会新体制の取り組みについて会長から学会員に対する手紙を発送して説明することを検討しているとの報告があった。

2)第22回春季大会実行委員長からの挨拶

林大会実行委員長から、第22回春季大会はハイブリッド型から全面オンライン型へと開催型式を変更するなどの曲折があったが、無事に253名の登録者を得て無事開催の運びとなったことが報告された。

3)第32回全国大会実行委員長からの挨拶

和田第32回全国大会実行委員長から、金沢大学における第32回全国大会の開催について協力の依頼がなされた。

4)審議事項

(1)幹事の追加について

小林・研究×実践委員長より2名の会員を、杉田選挙管理委員長より4名の学生会員をそれぞれ幹事として、追加したい旨が説明され、承認された。承認された幹事は以下の通り(敬称略)。

研究×実践委員会

  • 狩野剛(ミシガン大学)
  • 功能聡子(ARUN)
選挙管理委員会

  • Fanantenana Rianasoa Andriariniaina(大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 松田華織(神戸大学大学院国際協力研究科)
  • 藤山美律(University of Sussex)
  • 神正光(名古屋大学大学院国際開発研究科)

(2)2022年度支部・研究部会について

池上総務委員長より、5月31日が提出〆切であった支部・研究部会の申請について、全ての支部が未提出であること、研究部会については継続4つ、新規1つの申請があったことが報告された。期限内に申請があった5つの研究部会についてはいずれも承認された。ただし、助成額については、来年度の全体予算を検討する際に決定することとした。また、追加申請を実施する旨、報告があった。承認された研究部会は以下の通り(敬称略)。

研究部会名

  • 市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発(継続・ 3 年目)
  • 代表者:真崎克彦(甲南大学) 副代表者:藍澤淑雄(拓殖大学)
  • アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会 (新規)
  • 代表者:高橋基樹(京都大学) 副代表者:井手上和代(明治学院大学)
  • ODAの歴史と未来 (継続・ 2 年目)
  • 代表者:佐藤仁(東京大学) 副代表者:峯陽一(同志社大学)
  • 開発のレジリエンスとSDGs (継続・2 年目)
  • 代表者:関谷雄一(東京大学) 副代表者:野田真里(茨城大学)
  • 子どもの安全保障への開発アプローチ(継続・ 2 年目)
  • 代表者:勝間靖(早稲田大学) 副代表者:小野道子(東京大学)

(3)2022年度学会費の減免について

池上総務委員長より、2021年度は新型コロナ感染症の影響による状況を鑑み、常勤職についておらず会費滞納をしていない正会員については会費を半額にする減免措置、学生会員については全額免除の措置をとってきた。来年度については正会員、学生会員とも本人から申請があった場合は継続して本措置の対象とする方針であり、定款細則の変更も検討していくとの報告がなされた。

また、正会員(途上国会員)区分(対象者5名)の廃止が提案された。高橋理事から、学生会員の会費減免措置については事務の手間を考慮しつつ対応すべきこと、正会員の減額措置での高齢会員については過去に希望者が少なかったことも勘案し、申請ベースで対応してはどうかとの提案がなされた。

それに対し、池上総務委員長からは、現在70歳以上の会員が約60名おり、一律に30%減免することも検討している旨回答があり、今後総務委員会にて検討していくこととなった。

(4)第23回春季大会について

山田大会組織委員長より、次回春季大会は福岡県立大学に内諾いただいており、6月18日開催を予定しているとの報告がなされ、理事会ではそれを承認した。

(5)優秀ポスター発表賞受賞者について

優秀ポスター発表賞受賞者について:三重野賞選考委員長より、本賞1名・奨励賞2名の合計3名を受賞者として選定する旨の報告がなされた。理事から奨励賞の受賞対象者の1人について、若手奨励を想起させる賞には相応しくないので、別の名称にすべきではないかとの提案がなされた。これに対し三重野委員長からは、内規との関係からすぐに新たな名称の賞を設定することが困難であることと、ポスターセッションの位置づけに関わることなので、今回は、授賞式で奨励賞の趣旨を丁寧に説明することで対応し、別の賞を設けるかどうかについては今後の検討課題としたいとの説明があり、了承された。

5)報告事項

(1)学会誌『国際開発研究』英文特集号の刊行について

北村グローバル連携委員長より理事に対し、編集委員会と国際諮問委員会の委員候補者の推薦の依頼がなされた。

(2)出前講座設置について:

佐野地方展開委員長より、出前講座設置について報告がなされた。

(3)学会HPリニューアルについて

高田広報委員長より、5月に行われたHPのリニューアルについて報告があった。また、4月に実施したアンケ―トの結果、メールでの配信の継続を希望する声が多かったため、今後も現状のまま配信することとなった旨が報告された。

(4)入退会報告

志賀本部事務局長より、34名の入会希望者、26名の退会者について報告があった。また、入会時に2名の推薦者を必須としていることについて、今後もこれを継続していくかどうかを今後議論したい旨が述べられた。これに対して、推薦人制度の廃止については合意するが、何らかの入会審査は行うべきであるとの意見や、会員として守るべき最低限のルール(会費納入等)の遵守を誓約させるべきとの意見が出たため、総務委員会と事務局で検討することとなった。

(5)2021年9月末で3年未納退会になる会員について

池上総務委員長より、3年間会費未納者が56名おり、9月末で退会扱いになることが報告された。また、メールアドレス不明者47名について報告があった。

第11期本部事務局長・志賀裕朗(JICA研究所)