JANIC THINK Lobbyジャーナル創刊号

会員の重田康博(国際協力NGOセンター(JANIC)政策アドバイザー/宇都宮大学)です。

この度、JANIC/THINK Lobbyでは、研究誌『THINK Lobbyジャーナル』創刊号をしましたので、お知らせします。

私も編集を担当しています。本誌は、学会誌ではないので、会員にならなくても、研究者、院生なども投稿が可能性です(研究論文は査読あり)。詳しくは、下記に情報をお読み下さい。

広く大学関係者や研究者などにご紹介いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

詳細情報

JANICの下に設立されたシンクタンク THINK Lobby は、研究誌『THINK Lobby ジャーナル』を創刊しました。

本誌は、私たち市民が政策を提案するための「政策起業力」を育むという THINK Lobby の目的達成に向け、グローバル市民としての意識を持つ幅広い世代の研究を後押しし、研究成果の交流
の場を提供します。

創刊号では、市民社会の視点から貧国撲滅や平和構築等の国際課題に取り組んできた研究者による研究ノート/調査報告に加え、市民社会シンクタンクの意義をテーマとした識者による座談会記事や、台湾のオードリー・タン氏を論客に迎えた THINK Lobby 設立記念イベントの講演録等を収録しています。

本誌は今後、定期刊行物として毎年 3 月に発刊されます。国際協力 NGO センターまたは THINK Lobby と何らかの接点を持つ NGO 関係者、専門家や SDGs に関連するテーマに取り組む学術
関係者・実務従事者等から随時、広く投稿を募集しています。

投稿募集

平和で公正で持続可能な世界の実現に向け、グローバルな視点で、「経済」「社会」「環境」「人権」「政治」分野に焦点をあてたもの。

<例>
  • 経済課題(経済、税制、雇用、インフラなど)
  • 社会課題(教育、保健、ジェンダー平等、水・衛生、食料・農業、防災・減災、多文化共生など)
  • 環境課題(環境、生物多様性、気候変動、エネルギー、廃棄物処理など)
  • 人権課題(持続可能な開発と人権、当事者にとっての人権、環境・社会と人権、市民社会スペース、など)
  • 政治課題(民主主義、政府の透明性、報道の自由など)

創刊号目次

巻頭挨拶
市民社会シンクタンクの挑戦 すべての人々が自由に行き交い、議論できるロビーを目指して

座談会記事
市民と政府をつなぐ「中間組織」としての存在感に期待 共感を広げる発信力と企画力を

報告記事
「社会変革は『わたし』の手から~市民社会シンクタンクの挑戦」オードリー・タンさんと阿古智子さんの対話から

研究ノート

  • バングラデシュの開発 NGO のショミティ方式からマイクロファイナンスへの変化と課題
    ~ノルシンディ県の PAPRI とその他の代表的 NGO を中心に~
  • DAC 市民社会勧告の実施
  • NGO の構造的な課題への問いかけ─『データブック 2021』と国際開発学会 RT の学びから─

調査報告
市民社会スペースに関する知見の現在地

報告記事

  • 公正な社会に向けた企業の役割とは
  • コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクト報告
  • 第7回国際会議:アジアにおける表現の自由に参加して

活動記録

  • 2023 年 G7 広島サミットに向けた市民社会の取り組み
  • アジアにおいて民主主義と市民社会スペースを守る
  • 開発協力大綱の改定について

書評:『増補改訂版 日本ボランティア・NPO・市民活動年表』(2022)
大阪ボランティア協会ボランタリズム研究所 監修
石田易司/岡本仁宏/永岡正己/早瀬 昇/牧口 明/目加田説子/山岡義典 編

編集後記
市民によるシンクタンクはなぜ必要なのか?

電子版

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本件にかんするお問い合わせ先

重田康博(JANIC THINK Lobby政策アドバイザー/宇都宮大学)

『THINK Lobby ジャーナル』発売・発行・編集制作

  • 編集・発行:NPO法人国際協力NGO センター
  • 発行所:出雲出版(島根県出雲市下横町 350)
  • E-mail:admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

JANICのビジョン

「平和で公正で持続可能な世界の実現」に向け、2022年4月より政策提言・啓発部門の強化を目的に、本部門の名称を改め設立しました。

THINK Lobby(シンクロビー)のミッション

政府任せではなく、市民一人ひとりが共に学び、考え、行動し、つくりたい社会を実現すること。そのために、市民社会シンクタンクを国内外の組織や研究者と共につくり、調査研究・政策提言・情報発信を通じて、市民が社会を変えるための手段と機会を創出します。

NPO 法人国際協力 NGO センター(JANIC)
THINK Lobby 担当:芳賀

  • admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内:「脱開発と超SDGs」

戸田隆夫著「脱開発と超SDGs」

今月、「脱開発と超SDGs」(創成社新書)を上梓しました。

これまでの40年間、私自身が主にJICAでの職業人生を通じて深く関わり続けた「開発」について、未来の世界を見据えながら愚見を述べてみました。

あえて、体系的な理論書、学術書の体裁はとらずに、あるときは物語風に、なるべく多くの人、若い人たちにも親しんで頂けるようなスタイルをとりました(ちなみに、本書終章で述べたことの一部を実行に移すため、3月にForum2050()という団体を立ち上げました)。

未来において、私たちや私たちの次の世代が望む世界を創造しようと試みるとき、私たちは何を意識し、何により多くの重点をおいて行動してゆくべきか? 「開発」や未来の世界の在り方に強い関心をもっておられるみなさんと一緒に考え、協働していくために、書きました。

一人でも多くのみなさんに読んでいただき、建設的なご批判を寄せていただけましたら幸いです。

本書の構成

  • 第一章 時空を駆け巡る想像力
  • 第二章 闇の中の小さな輝き
  • 第三章 傲慢な開発
  • 第四章 目に見えないもの
  • 第五章 「開発」から「脱開発」へ
  • 第六章 現実世界のSDGs
  • 第七章 未来と向き合うーSDGsを超えて=

本件にかんするお問い合わせ先

戸田隆夫(Forum2050代表/明治大学特別招聘教授)

  • toda [at]
  • [at]
    (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『ジェンダーと開発』研究部会(2023年2月)

活動報告

ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進は、現在、開発における重要な取り組み課題として認識されています。持続可能な開発目標(SDGs)においても、ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進が独立した開発目標として掲げられるとともに、分野横断的な視点としても位置付けられています。

1970年以降に形成されてきた「ジェンダーと開発」という領域では、開発協力の場において女性を可視化し、グローバルにローカルに、政策、組織、地域社会、世帯レベルで生じている課題をあぶり出してきました。しかし、SDGsの達成度やジェンダー格差指数が示すように、これらの課題を解決するための取り組みは、未だに十分ではありません。

「ジェンダーと開発」研究部会は、実務者と研究者が活動報告や情報共有、調査や啓発活動のためのアプローチなどを紹介することにより、ジェンダーと開発を考えるうえでの課題や可能性について検討することを目的に、2022年8月より活動をしています。

初年度は、月例の勉強会(第3金曜日にZoom開催)を開催し、メンバーの研究報告を通じて、研究部会の方向性と2年次以降の共通研究テーマを検討しています。横断的なテーマを持つメンバーの研究を共有するにあたり、「コロナ禍の影響」という共通の視点を用いています。


勉強会のテーマ(実績)

  • 8月22日:キックオフミーティング
  • 9月16日:安全保障とジェンダー、開発
  • 10月21日:人類学とジェンダー
  • 11月18日:企画セッションの準備(セッションでの報告内容の検討)
  • 12月16日:COVID-19による障害女性の日常生活への影響(バングラデシュの事例)

また、2022年12月の第33回国際開発学会において、研究部会の有志による企画セッションを開催し、研究部会の紹介及び今後の研究内容の検討を行いました。


第33回国際開発学会・企画セッション

「ジェンダーと開発」

目的

家父長制下で制約を受けている女性に焦点をあて、研究部会の有志会員が関わってきた女性のエンパワメントの促進事例を紹介。コロナ禍の影響を受ける女性たちを、受動的な弱者として位置付けるのではなく、変化を引き起こす主体として位置付けるために国際協力を通じ何が出来るのか検討する。

報告内容

「バングラデシュにおけるマイクロファイナンスと女性のエンパワメント」、「南スーダンでの全国スポーツ大会を通じたスポーツとジェンダー」、「ネパールの家族農業における変化への対応」


2年次以降は、共通課題を見つけて企画セッションと特集号の掲載に向けた活動を計画しています。ご興味のある方は、事務局・本間までご連絡ください

『ジェンダーと開発』研究部会
代表:田中由美子(城西国際大学客員教授・JICA)
事務局:本間まり子(早稲田大学)




『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2023年11月)

2023年活動報告

学会の全国大会・春季大会においてラウンドテーブルの開催をそれぞれ1回ずつ行った。

全国大会(2022年12月4日、5日開催)

全国大会(2022年12月4日、5日開催)では、本研究部会による第4回目のラウンドテーブルを実施した。テーマは「食のレジリエンスとSDGs」ということで、専門家を招聘し、オンラインのラウンドテーブル議論を行った。

SDGs17 の目標の1 つが2030 年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

基調講演として山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズ・コロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

春季大会(2023年6月10日開催)

春季大会(2023年6月10日開催)では本研究部会最後のラウンドテーブルとして国際開発学会会員が多数執筆に携わっている、『SDGs を問い直す』の刊行(2023 年5 月、法律文化社、野田真里編著)が取り上げられた。

COVID-19 パンデミックは、スペイン風邪以来の100 年ぶりの大規模な感染症による危機とされ、SDGs に大きな影響を与えている。また、新型コロナ禍は、国家の枠組みをこえて人々の生存を脅かす、人間の安全保障上の危機でもある。

ポスト/ウィズ・コロナを見据えて、2030年までのSDGs の中間年である2023 年に、SDGs の真価を問い直す試みを行った。本セッションは東京大学グローバル地域研究機構持続的開発研究センターおよび早稲田大学国際平和戦略研究所が共催した。

ラウンドテーブルでは野田真里会員を座長に、執筆を担当した大門毅会員、大谷順子会員、そして関谷雄一が登壇し、1)新型コロナ危機を踏まえてSDGs を問い直す意義、2)新型コロナ危機が資本主義経済そしてSDGsにおいて「取り残される」脆弱な人々」とされる災害弱者や女性・女子にもたらす影響とレジリエンス、3)SDGs の加速化にむけた人間の安全保障の再考、4)SDGs とポスト/ウィズ・コロナへの展望などを論点に議論を交わした。

SDGs を問い直すうえで、新型コロナ危機をふまえた資本主義経済および「取り残される」脆弱な人々(災害弱者や女性・女子)の課題、今後の展望、そして人間の安全保障との関係等が議論された。また、今後の当学会を中心とする新型コロナ危機、SDGs や人間の安全にかかる共同研究の加速化や、ネットワーク強化が約束された。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2023年2月)

2022年度活動報告

全国大会にて2022年12月4日(日曜)の9:30-11:30の間、本研究部会にとっては第4回目の主催ラウンドテーブル「食のレジリエンスとSDGs」を開催した。SDGs17 の目標の1 つが2030 年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

基調講演として山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズコロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

現在、春季大会に向けた準備、定例研究会も開催できるよう準備もしている。


今後の予定

3年目の後半に当たり、これまでの研究部会の活動成果の取りまとめにかかる予定である。また引き続き、会員も募集中である。開発のレジリエンス、SDGsに関連したテーマに関心をお持ちの会員はぜひご参加いただきたい。

【研究部会参加申込・連絡先】

東京大学グローバル地域研究機構 
持続的開発研究センター長
関谷 雄一 

  • sekiya [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




『SDGs を問い直す』研究部会(2024年2月)

SDGs を問い直す

Sustainability Development Goals, Re-examined

メンバー

代表

大門(佐藤)毅(早稲田大学)

副代表

野田真里(茨城大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッションおよび研究会(日本語/英語)等

2年目(2024年10月~2025年9月)

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッション(日本語/英語)および研究会等

3年目(2025年10月~2026年9月)

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッション開催および研究会(日本語/英語)等、国際ジャーナル(英語)での特集企画や出版等


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目

春季大会、全国大会でのセッション開催等

2年目

春季大会、全国大会でのセッション開催等

3年目

春季大会、全国大会でのセッション開催、および英文による学会誌での特集企画や出版等


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

ダイバーシティ推進にかんがみ、英語による研究部会活動を促進し、外国人会員の参加や若手研究者とくに女性会員の国際的な活躍を推進する。賛同に女性会員が多数おり、外国人会員や若手会員にも参加いただいている。各年次の大会等で開催するセッション等の半分は英語とし、学会誌での特集企画や出版等も英語で企画する。


『SDGs を問い直す』研究部会
代表:大門(佐藤)毅(早稲田大学)




新刊案内『持続可能な発展・開発論~国際協力入門』林薫著

昨年10月に「持続可能な発展・開発論~国際協力入門」(文教大学出版事業部 2200円 ISBN978-4-904035-90-0 C3030)を出版しました。

筆者は1978年海外経済協力基金(現JICA)に入り、2004年まで26年間国際協力に携わってきました。

また、2004年から本年3月まで文教大学国際学部・大学院国際学研究科で財政管理や援助評価などの研究とともに国際協力や国際ボランティアに関係する科目や実習を担当してきました。

本書は筆者のこれまでの経験と研究に基づいて(1)開発と国際協力を考える上で必須の基礎知識、(2)最新の開発理論、評価理論の平易な解説、(3)持続可能な開発目標(SDGs)を考え る上でのポイント、(4)実際に国際協力に参加した人へのアドバイスをまとめたものです。

国際協力を専攻する学部生および大学院修士課程の初年次生を対象にしていますが、より幅広く教養書として読めるように工夫しています。

AMAZONでもご購入可能ですが、著者に直接ごメールで連絡いただければ送料込み1570円でお送りいたします(送金手数料はご負担いただくことになりますが、手数料がかからないPaypay決済も可能ですのでご相談ください)。


本件にかんするお問い合わせ先

林 薫 (グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表/元文教大学教授)

  • globallearning2100 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • [at]



公開講座「日本の出入国在留管理における課題を見つめる」7月11日開催(会員・一般)

日本の出入国在留管理における課題を見つめる
~多様な国籍の人と共に暮らせる社会を目指して~

「出入国管理及び難民認定法(入管法)改正」「技能実習制度」に代わる新たな制度に関わる議論など、昨今では日本における外国人の課題に関する報道が多くなされています。

国という大きな枠組みでは外国人受け入れの制度整備、市民である私たちの暮らしにおいては多様な国籍の人と共に暮らす多文化共生の姿勢が求められています。

本講座では、長く日本での非正規移民の課題についてNGOや研究者等の立場から活動や研究に取り組んできた加藤丈太郎先生に日本の出入国在留管理制度や移民の受け入れについて、歴史的観点を踏まえて、現状や課題点などをお話いただきます。

本講演は『移民・ディアスボラ研究10 入管の解体と移民庁の創設―出入国在留管理から多文化共生への転換』(編著、明石書店)出版を記念して開催するものです。

会場参加のみなさまには
・講師サイン入り近著販売
・講座終了後、講演内容についてご質問にお答えします

開催概要

  • 日時:2023年7月11日(火曜)18:00~19:30
  • 場所・定員:(ハイブリッド形式)
    会場:聖心女子大学4号館2階4-2教室(定員30名)
    オンライン:Zoomウェビナー(定員150名)※定員を増やしました
  • 参加費:無料

プログラム

1.講演「なぜ日本では出入国在留管理が行われてきたのか-過去と現在を見つめる」(50分)
講師:加藤丈太郎氏(武庫川女子大学文学部英語グローバル学科専任講師。聖心女子大学グローバル共生研究所客員研究員。博士(学術)。専門は移民研究、国際労働移動、国際社会学、多文化共生論。)

2.補足説明、質疑応答(40分)
ファシリテーター:大橋正明(聖心女子大学グローバル共生研究所初代所長、現招聘研究員、元聖心女子大学人間関係学科教授、SDGs市民社会ネットワーク共同代表理事)

申し込み先


本件にかんするお問い合わせ先

聖心女子大学グローバル共生研究所

jimu-kyosei [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




第17回適正技術フォーラム『開発途上国の廃棄物の適正処理に向けて』7月21日開催(会員・一般)

東洋大学国際共生社会研究センターは、適正技術フォーラムとの共催で標記のセミナーを下記の通り7月21日(金曜)に開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

第17回適正技術フォーラム

第2回CeSDes Open Seminar on SDGs 『開発途上国の廃棄物の適正処理に向けて』

  • 日時:2023年7月21日(金曜)14:00~17:00
  • 会場: ハイブリッド方式(対面/オンライン)
    対面式会場:東洋大学白山キャンパス8号館7階125ホール

趣旨

適正技術フォーラムと国際共生社会研究センターとは、これまで協働して環境に関するシンポジウムやセミナー等と開催してきました。今回は、開発途上国の廃棄物処理の改善に資するため、途上国において長い経験を持つ専門家や、アジア諸国の廃棄物処理担当者等を招き、廃棄物管理の発展段階に応じた適正技術は何かの議論を行います。

プログラム

第1部(日本語)

1.途上国の廃棄物処理
北脇秀敏(東洋大学国際学部教授)

2.ダッカ市の廃棄物処理の改善
石井明男(東洋大学大学院国際学研究科 博士後期課程、元・東京都)

第2部(英語)

3.Waste disposal in Papua New Guinea(仮)
Walter Aukleya(センター RA、東洋大学大学院国際学研究科 博士後期課程)

4.Waste disposal in Sri Lanka(仮)
Fernando Jeewanee(センター RA、同国際学研究科 博士後期課程)

5.Waste disposal in Indonesia(仮)
Haruki Agustina(インドネシア大学大学院環境学研究科教員)

お申込方法

参加ご希望の方(対面式・オンライン問わず)は、下記の登録フォームよりお申込みください。折り返しオンライン視聴のURLをお送りいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

東洋大学国際共生社会研究センター

  • @
  • 〒112-8606 東洋大学国際共生社会研究センター事務局
    東京都文京区白山5-28-20 白山キャンパス8号館7階



新刊案内:2023年5月新刊、野田真里編著『SDGsを問い直す:ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』法律文化社

茨城大学の野田と申します。この度、SDGsの各分野でご活躍の第一線の多くの学会員にご執筆をいただき、拙編著『SDGsを問い直す:ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』を法律文化社より上梓いたしました。

本研究は当学会のSDGsに関する2つの研究部会(「持続可能な開発とSDGs」、「開発のレジリエンスとSDGs」)の成果でもあります。

概要と特色

SDGs(2016~2030年)の中間年にあたる2023年、SDGsを問い直す野心的研究として、人間の安全保障上の危機であるコロナ禍の教訓を踏まえ、ポスト/ウィズ・コロナを展望しています。

本書はSDGsの17目標に因んで17の論稿から構成され、第1部では「取り残される人々」とレジリエンス、第2部ではSDGsの「5つのP」に焦点をあて、経済・社会・環境の持続可能性やパートナーシップについて重層的・多角的にSDGsでこれまであまり論じられてこなかった点や批判的な観点もふまえている点も特色といえます。

学会員限定のご案内

会員割引

国際開発学会第24回春季大会にて配布の申し込み用紙をご利用いただきますと割引価格でご提供。

ラウンドテーブル

同春季大会にて、本書の刊行に合わせて「SDGsを問い直す」セッションをオンラインにて開催(6月10日、12:30-14:30)。詳細は下記をご参照ください。何卒、よろしくお願い申し上げます。

執筆者を代表して 野田真里

『SDGsを問い直す ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』

  • 2023年5月1日刊行
  • A5判/並製/302頁/税込3,520円(本体3,200円+税)
  • ISBN 978-4-589-04208-8

目次

序文 なぜ、SDGsを問い直すのか?
SDGs 17の目標
第 1 章 SDGsと人間の安全保障の再考——新型コロナ危機とポスト/ウィズ・コロナを切り拓く

<第 1 部 新型コロナ危機で「取り残される」人々とSDGs、レジリエンス>
第 2 章 貧困層とSDGs——ポスト・コロナ時代の貧困撲滅と社会的保護
第 3 章 難民とSDGs——地球社会のパイオニアとして
第 4 章 移民・外国人労働者とSDGs——新たな連帯の構築に向かって
第 5 章 災害弱者とSDGs——危険から誰一人取り残さないための思考
第 6 章 女性・女子とSDGs——世界の未来を背負う人々
第 7 章 高齢者とSDGs——高齢社会の可能性
第 8 章 障害者とSDGs——取り残されてもなお生き延びるマイノリティ

<第 2 部 ポスト/ウィズ・コロナとSDGs>
第 9 章 グローバルヘルスとSDGs——ワクチン・ナショナリズムの克服に向けて
第 10 章 教育とSDGs——教育のあり方を問い直す
第 11 章 資本主義経済とSDGs——豊かさの意味を問い直す
第 12 章 環境とSDGs——気候変動や生物多様性問題からみる社会変革の必要性
第 13 章 平和とSDGs——新型コロナ禍のSDGsを支える平和と正義、強固な行政組織
第 14 章 開発協力(ODA)とSDGs——新しいパートナーシップが切り拓く未来
第 15 章 グローバル・ガバナンスとSDGs——グローバル・タックス、GBI、世界政府
第 16 章 NGO・市民社会とSDGs——市民社会スペース、COVID-19対応支援、アドボカシー

編者・執筆者

  • 野田真里 (編者、第1章)茨城大学人文社会科学部教授、同大学地球・地域環境共創機構兼務。国際開発学会本部事務局長、常任理事(大会組織委員長)、「持続可能な開発とSDGs」研究部会代表、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会副代表等を歴任。
  • 伊東 早苗(第2章)名古屋大学大学院国際開発研究科教授、国際開発学会第10期副会長
  • 佐藤 安信(第3章)東京大学大学院総合文化研究科元教授、同大学グローバル地域研究機構持続的平和研究センター元センター長、早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員
  • 藤田 雅美(第4章)国立国際医療研究センター国際医療協力局連携協力部長、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)運営メンバー
  • 佐藤 寛(第4章)開発社会学舎主宰、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)運営メンバー、国際開発学会第8期会長
  • 小松 愛子(第4章)長崎大学大学院博士前期課程、みんなの外国人ネットワーク(MINNA)実施メンバー
  • 関谷 雄一(第5章) 東京大学大学院総合文化研究科教授、同大学グローバル地域研究機構持続的開発研究センター長、国際開発学会「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会代表
  • 大谷 順子(第6章)大阪大学大学院人間科学研究科教授
  • 稲葉 美由紀(第7章)九州大学基幹教育院教授
  • 西垣 千春(第7章)神戸学院大学総合リハビリテーション学部教授
  • 森 壮也(第8章)日本貿易振興会アジア経済研究所前主任調査研究員
  • 神馬 征峰(第9章) 東京大学大学院医学系研究科元教授、日本国際保健医療学会前理事長
  • 北村 友人(第10章) 東京大学大学院教育学研究科教授、同大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム教授(兼任)
  • 劉 靖(第10章)東北大学大学院教育学研究科准教授
  • 芦田 明美(第10章)名古屋大学大学院国際開発研究科准教授
  • 大門(佐藤) 毅 (第11章) 早稲田大学国際教養学部教授、同大学国際平和戦略研究所所長
  • 蟹江 憲史(第12章) 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、SFC研究所 xSDG・ラボ代表、Global Sustainable Development Report2023 執筆者
  • 森田 香菜子(第12章) 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員
  • 長 有紀枝(第13章)立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・社会学部教授、難民を助ける会(AAR Japan)会長、人間の安全保障学会(JAHSS)第5代会長
  • 戸田 隆夫(第14章)明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科特別招聘教授、国際協力機構元上級審議役
  • 上村 雄彦(第15章) 横浜市立大学国際教養学部教授
  • 高柳 彰夫(第16章)フェリス女学院大学国際交流学部教授、国際協力NGOセンター(JANIC)政策アドバイザー

本件にかんするお問い合わせ先

法律文化社

  • eigyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内:山田肖子編著「持続可能性の言説分析-知識社会学の視点を中心として」

ひとは「持続可能性」という言葉が何を指すと考えて、それを用いて何を議論し、何を達成しようとしているのでしょうか。

本書は、持続可能性もしくはSDGsについて理解を深めてもらうための指南書ではありません。また、執筆者が読者に「こういう社会を達成すべき」と説諭する目的でも書かれていません。

そうではなく、ひとびとがこの言葉を用いて文章を書き、発言する際に、その思考の根底にある基底価値をマッピングするとともに、その基底価値をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかを定量的・定性的な言説分析の手法を用いて描き出そうとしました。

いかに国連で多くの国家や国際機関の代表が合意した国際目標であっても、その背景には異なる価値観や問題認識が共存しています。そして、「持続可能性」という言葉の含意は、それを用いる集団によって、時代によって変化しています。実は不変の前提ではなく、インターアクションの中で常に変化しているこの概念の本質を問うことから、まずは始めてみませんか。

<目次>

はじめに   山田 肖子

1. グローバル・ナラティブとしての持続可能性(山田肖子)

2. 批判的言説分析-言葉の分析から社会の構造と力学を知る(山田肖子)

コラム1「教育哲学の視点から」(松浦良充)

3. 「持続可能性」概念と教育の接続-ネット上の言説が示すもの(山田肖子)

4. 「サステナビリティ=持続可能性」と「経済」言説の接合をめぐって―新聞記事とCSRレポートの計量テキスト分析の試み(仁平典宏・中藤哲也・大賀哲)

5. 「企業ブランディングとしてのSDGs関連活動が消費者の認知と行動に及ぼす影響―社会心理学的な実証研究に向けて―」(唐沢穣・杉谷陽子・柳田航)

コラム2「倫理学・情報哲学の観点から」(久木田水生)

おわりに―私たちは持続可能性という言葉を通して何を見ているのか(山田肖子)


本件にかんするお問い合わせ先

東信堂




日本評価学会:社会実験分科会『話題提供:EBPMの最新動向と課題』7月1日開催(会員・一般)

日本評価学会-社会実験分科会では2023年度研究報告会を開催することになりました。

毎回100名近くの参加申込をいただいている大会です。今回も自由論題セッションにて、国際協力分野の発表が3本ございます。

なお、社会実験分科会では、過去20年で4回にわたり「エビデンスに基づく実践」(EBP)および「エビデンスに基づく政策立案」(EBPM)をテーマとした学会誌特集号を発行して参りました(日本評価学会の学会誌「日本評価研究」2006,2010,2016,2020)。

今回も珠玉の発表が揃えておりますところ、ぜひご参加ください。Zoom開催で参加は無料です。

開催主旨

近年、『エビデンスはあるのか?』が、政策論争において叫ばれるようになりました。エビデンスとは効果検証の結果のことを指します。今回の研究報告会は、『話題提供:EBPMの最新動向と課題』と題して開催致します。また、例年通りに自由論題セッションも開催して、幅広くエビデンスに基づく実践の研究成果をご発表いたたく場と致します。指定討論者も置き、成果は日本評価学会の本体にも提出される、正式な学会発表の場となります。

  • 主催:日本評価学会-社会実験分科会
  • 日時:2023年7月1日(土曜)9:30~12:30
  • 場所:Zoom
  • 参加費用:無料

プログラム

9:30-9:40 キーノートスピーチ
田辺智子(早稲田大学教育総合科学学術院 准教授、日本評価学会-社会実験分科会長)

9:40-10:20 話題提供:EBPMの最新動向と課題
<このセッションの主旨>
EBPM(Evidence-Based Policy Making)(エビデンスに基づく政策立案)が国内外で盛り上がっております。この最新動向と課題について、当分科会の各研究者から短時間でご発表いただきます。(10分x3名程度+質疑応答10分の予定)

  1. 『Theory of Change に関わる階層とレベル感』
    正木朋也・国際開発機構(JICA)
  2. 『ODAにおけるインパクト評価の再現性の問題』
    佐々木亮・国際開発センター(IDCJ)

10:20-12:20 自由論題セッション
<このセッションの主旨>
通常の学会の自由論題セッションと同じです。定量的な分析・評価の報告を想定しています。指定討論者を社会実験分科会から指名します。

発表1:尾瀬国立公園トイレチップ支払増加プロジェクト
Oze National Park Toilet Tip Payment Increase Project
鈴木宏和(特定非営利活動法人Policy Garage)
指定討論者:選定中

発表2:子どもの心理的ストレスに対する図書館活動の効果―ミャンマー帰還難民の事例から-
Impact of library activities on the psychological stress of children: Case of the returnees from Myanmar
三宅隆史・シャンティ国際ボランティア会 指定討論者:津富宏・静岡県立大学

発表3:SDGs達成に向けた革新的資金のインパクト評価の可能性:ODAとグローバル・タックスの支出に関する一考察
A Study on the Potential Impact Assessment of Innovative Financing mechanism for SDGs Achievement: An Examination of ODA and Global Tax Expenditures
唐語思(横浜市立大学)
指定討論者:佐々木亮・国際開発センター(IDCJ)

発表4:ヨルダン国ヨルダンにおけるシリア難民への平和の創出に係るインパクト評価
Evaluation of the Peacebuilding Impact: Water Supply Improvement in the Host Communities of Syrian Refugees in Jordan
佐々木亮/高杉真奈・国際開発センター(IDCJ)
指定討論者:田辺智子・早稲田大学

12:20-12:30 閉会の挨拶
正木朋也(国際協力機構(JICA))

参加申し込み方法

参加(視聴)を希望される方は以下のURLして必要事項を記載して6/26(月曜)までにお申し込みください(最大100名まで)。

その他

本会は全日程をZoomで実施します。最新情報につきましては参加登録の際に登録いただきましたメールアドレスにご案内をいたします。ご確認いただきますようよろしくお願いいたします。また、ご登録いただいたメールアドレスに今後の社会実験分科会の活動のご案内をお送りさせていただく場合があります。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発センター(IDCJ) 評価部
主任研究員 佐々木亮/Ryo SASAKI

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-6718-5932
  • FAX番号:03-6718-0910
  • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階



『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会(2023年11月)

研究部会概要

「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。

そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するために保護をいかに進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにエンパワーメント(empowerment)をいか進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進めてきた。

近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。

SDGsへの取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。

「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。

国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。

年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案してきた。

しかし、2023年度については、十分な活動を実施することができなかった。

活動実績(2022年11月から2023年11月)

なし

『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会
代表:勝間靖(早稲田大学)




オンライン説明会『国際協力プロフェッショナル検定®+試験対策Webコース』(会員・一般)

この度、株式会社パデコは2023年1月に、共に未来を創る学びの場であるPADECO Academy®を開講致しました。地球規模課題に取り組む、次世代の「学ぶ・考える・行動する」グローバル人材の育成を目的としています。

PADECO Academyでは、国際協力・国際開発分野のプロとして基礎知識を強化したい方を対象とした「国際協力プロフェッショナル検定®」を実施しております。「国際協力プロフェッショナル検定®」及び検定試験前に提供する「検定試験対策Webコース」を通じて、国際協力・国際開発、グローバルな課題解決、ODA、SDGsなど、国際開発業界での仕事に役立つ実務的な知識を身に付けることが可能です。

2回目となる検定試験+Webコース、及び事前説明会を以下の通り、開催いたします。皆さまのお申込みをお待ちしております。

第2回「国際協力プロフェッショナル検定試験+試験対策Webコース」概要

  • 受講期間:2023年8月7日(月曜)~26日(土曜)
  • 試験日程:2023年8月26日(土曜)14:00~15:15
  • 場所:オンライン
  • 受講料:35,000円(税込)
  • お申し込み先:
  • お申し込み受付期間:6月1日(木曜)~8月4日(金曜)

オンライン説明会日時

  • 6月11日(日曜)14:00~15:00
  • 6月23日(金曜)17:00~17:45
  • 7月10日(月曜)18:00~18:45
  • 7月20日(木曜)18:00~18:45

説明会参加申込


本件に関するお問い合わせ先

株式会社パデコ PADECO Academy

  • padeco-academy [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-5733-0855
  • 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19新御成門ビル



参加募集「国連OG・OBによる大学生・院生のための国連入門講座」8月28~31日開催(会員・一般)

AFICS-J(国連システム元国際公務員日本協会)が主催する第3期「国連職員を目指す学部生・大学院生のための実践講座」の参加者を募集しています。

国連機関で働いてみたい、でも、国連職員の実際の仕事とは何か、どうすれば国連で働けるのか分からないという大学生・大学院生のために、元国連職員が入門的な実践講座を開催します。国連組織についての知識は不要です。

対象は理系・文系の学生と大学院生。三大都市圏以外の県の学生を歓迎しますが、大都市圏や海外での留学生も受け入れます。募集人数は約40名。締め切り後、応募書類で選考しますが、講義は日本語で行い、英語力は選考の条件としません。

講座はZoomを利用したオンライン形式で、4日間計8コマ。毎回異なる講師がオンラインで講義60分、質疑応答・討論30分で実施します。参加者間のネットワーキングを促すため、講義終了後、参加者がランチを取りながら交流をする時間を設けます。日程は以下です。

開催日程

  1. 8月28日(月曜)9:00-10:30
    第1回:国連職員への道(講師:外務省国際機関人事センター長山口忠彦)
  2. 8月28日(月曜)10:40-12:10
    第2回:総務に関する国連の仕事(講師:元UNIDO/UNHCR滝澤三郎)
  3. 8月29日(火曜)9:00-10:30
    第3回:人道に関する国連の仕事(講師:元UNHCR小尾尚子)
  4. 8月29日(火曜)10:40-12:10
    第4回:人権に関する国連の仕事(講師:元OHCHR小野島吾郎)
  5. 8月30日(水曜)9:00-10:30
    第5回:持続可能な開発/SDGs/気候変動に関する国連の仕事(講師:元UN森田宏子・元UNFCC三輪恭子)
  6. 8月30日(水曜)10:40-12:10
    第6回:平和に関する国連の仕事(講師:元UNDP井上健)
  7. 8月31(木曜)9:00-10:30
    第7回:教育に関する国連の仕事(講師:元UNHCR箱山登美子)
  8. 8月31日(木曜)10:40‐12:10
    第8回:ジェンダーに関する国連の仕事(講師:元UNDP大崎麻子)

参加費は無料です。応募は2023年8月11日24:00までに、(1)略歴(高校以上の学歴とあれば職歴)、(2)何に特に関心をもっているのか、(3)なぜ国連で働きたいのか、(4)その他伝えたいことなどをA4で1枚にまとめて以下のメールアドレス までメールで提出してください。応募書類は選考目的以外には使用しません。選考結果は8月18日までに講義のZoomリンクと共にメールで連絡します。

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

本件にかんするお問い合わせ先

東洋英和女学院大学
滝澤三郎

  • [at]
    (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



社会的連帯経済研究部会 共催セミナ「農と食に見る社会的連帯経済」3月26日開催(会員・一般)

社会的連帯経済研究部会・みんなのSDGs共催セミナー「農と食に見る社会的連帯経済」

みんなのSDGsでは、環境・経済・社会にまたがるテーマとして、サーキュラ―エコノミー(循環経済)と社会的連帯経済をとりあげ、連続でセミナーを開催しています。

第1回(2023年10月)には、「誰一人取り残さないキュラーエコノミーに向って~社会やひとの視点からみた社会的連帯経済~」と題して、二つのアプローチの基本を学び、関連する「社会やひと」に関わる課題について議論しました。

第2回(2024年1月)には、「誰一人取り残さないサーキュラ―エコノミーに向かって~社会やひとの視点からみた食と農の課題~」と題して、食と農に関するサーキュラーエコノミーに 焦点をあて、社会やひとの視点から見つめました。

まず食と農のサーキュラーエコノミーの概要を学び、続いて地域での実践事例をもとに、ライフスタイルを含めた社会やひとの課題について考えました()。

シリーズ第三弾として、前回と同じ食と農に焦点を当てながら、社会的連帯経済を学ぶセミナーを企画しました。

社会的連帯経済(SSE)は、協同組合や共済組織などが中⼼となって多様な経済主体と連携しつつ新しい持続可能な経済社会の構築を⽬指す国際的な連帯運動です。

2023年4月18日には、国連総会で「持続可能な開発に向けた社会的連帯経済の推進」が決議されています。

開催概要

  • 日時:2024年3月26日(火曜)18:30 – 20:30
  • 方法:Microsoft Teamsオンラインセミナー
  • 主催:社会的連帯経済研究部会・みんなのSDGs

プログラム

第一部:プレゼンテーション

1) 世界と日本の食と農に関する政策の動向と社会的連帯経済
古沢広祐氏(国学院大学客員教授、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)代表理事)

2) 生協が進める体験農園と都市における農的空間: 生活クラブ神奈川が運営するみんなの農園
小口広太氏(千葉商科大学人間社会学部准教授、アジア太平洋資料センター(PARC)理事)

3) ブラジルのフェイラリブレ(自由の市<いち>)と社会的連帯経済を推進する大陸間ネットワーク(RIPESS)
田中滋氏(アジア太平洋資料センター理事・事務局長)

第二部:ディスカッション

モデレーター: 大橋正明氏(SDGs市民社会ネットワーク)、神田未和氏(国立国際医療研究センター)

申し込み方法

ご参加希望の方は、下記リンクからお申込み下さい。

参加ご登録いただいた方に限り、ご希望される方に動画の事後配信(1か月程度)を予定しております。


本件にかんするお問い合わせ先

みんなのSDGs 国立国際医療研究センター 国際医療協力局
藤田雅美

  • mfujita [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



関西支部(2022年11月)

2022年度活動報告

関西支部では国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を招聘し、現在世界的な問題となっているコロナ禍、また、ポストコロナにおける国際開発・国際協力に関する議論を精力的に展開していくことを2022年度は目的としている。2022年9月に計3回(第161回から第163回)の研究会を開催したので、その内容について以下の通り報告する。

第161回研究会

  • 日時:2022年9月22日(木曜)18:00-20:00
  • 言語:英語
  • 発表テーマ:Influence of Technological Advancements on Sustainable Graduate Employability: Case of Bangladesh
  • 発表者:Dr. Md. Jahangir Alam, Associate Professor, Department of Japanese Studies, University of Dhaka
  • 参加人数:45名

概要

本研究会では、ダッカ大学のMd. Jahangir Alam博士を招聘し、「Influence of Technological Advancements on Sustainable Graduate Employability: Case of Bangladesh」をテーマに講演をしていただいた。

Alam博士はコロナ禍を通じた教育のデジタル化が、学校教育におけるアクセス・質の改善、教育内容の質的向上に資することについて言及した。

一方で、調査対象としたバングラデシュの高等教育において教育のデジタル化が進みつつある中で、ICTの普及状況や需要者側のICT利活用能力に関して格差が生じていることを挙げ、これらは学生の学習成果向上を妨げてしまう可能性があると強調した。

教育のデジタル化に関する政府の政策や現状、教員のICT利活用能力、ICT普及の都市農村格差などを中心に、多岐にわたる論点から活発な議論が行われた。本研究会はAlam博士の講演並びにその後の議論を通じてバングラデシュにおける教育のデジタル化の展望と課題について深い知見を得ることができた大変意義深い研究会となった。


第162回研究会

  • 日時:2022年9月27日(火曜)18:00-20:00
  • 言語:英語
  • 発表テーマ:Decarbonization Pathways in Lao PDR
  • 発表者:Dr. Phouphet Kyophilavong, Dean, Faculty of Economics and Business Management (FEBM), National University of Laos
  • 討論者:Dr. Kenji Nozaki, Professor, Faculty of Economics, Takasaki City University of Economic
  • 参加人数:34名

概要

本研究会では、ラオス国立大学のPhouphet Kyophilavong博士を招聘し、「Decarbonization Pathways in Lao PDR」をテーマに講演をしていただいた。Kyophilavong博士は地球の二酸化炭素濃度や表面温度の上昇、エネルギー利用過多に触れ、気候変動によるリスクや課題について言及した。

また、ラオスは1990年代以降、経済発展を続けている一方、貧富の格差や環境破壊等の問題を抱えており、COVID-19の影響も踏まえて国家レベルで脱炭素化に向けた政策を実行していかねばならないことを強調した。

講演後は、高崎経済大学の野崎謙二博士に討論者として登壇いただき、ラオスにおける第二次産業の展望や中国との関係、経済的持続性についての議論が行われた。その後、参加者からも中小企業や農村部での脱炭素化の展望や、国家のCO2削減政策の現状などを中心に多岐にわたる論点について質疑がされ、活発な議論が行われた。

本研究会はKyophilavong博士の講演並びにその後の議論を通じてラオスにおける脱炭素化に向けた課題とこれからの展望について深い知見を得ることができた大変意義深い研究会となった。


第163回研究会

  • 日時:2022年9月28日(木曜)18:00-20:00
  • 言語:英語
  • 発表テーマ:Lao Education Policy Planning and Implementation Progress Linked to SDGs
  • 発表者:Dr. Bounpanh Xaymountry, Director-General, Department of Planning, Ministry of Education and Sports (MOES), Lao PDR
    Mr. Anoupheng Keovongsa, Deputy Director-General, Department of Planning, Ministry of Education and Sports (MOES), Lao PDR
  • 討論者:Mr. Yasumasa Nagaoka, JICA Education Policy Advisor, Lao PDR
  • 参加人数:36名

概要

本研究会では、ラオス教育スポーツ省の国立大学のBounpanh Xaymountry博士とAnoupheng Keovongsa氏を招聘し、「Lao Education Policy Planning and Implementation Progress Linked to SDGs」と題した講演をしていただいた。

Xaymountry博士はラオスの2021年から2025年における国家教育プランについて、SDGs、とりわけSDG 4との関連性に触れながら説明をした。また、オーストラリア政府やUNICEFからの支援を受け策定した前述の教育プランの実施については、COVID-19の影響を大きく受けていると強調した。

Keovongsa氏は、ラオスにおけるGlobal Partnership for Education (GPE)の現状と展望について講演を行った。GPEのフェーズ2では5つのGPEの成果を目標として指標化し、4つの目標が達成され、現在のフェーズ3では、教育の公正性、質保障、学習成果に関する目標を立てているとした。加えてCOVID-19の影響に対応したGPEプロジェクトが進行している点も言及した。

講演後は、JICA教育政策アドバイザーである長岡康雅氏を招聘し、ラオスの国家教育政策とGPEについて議論を深めた。長岡氏は国家政策とGPEにより教育状況が改善されてきた一方で、今なお政策と現状には乖離があること、COVID-19の影響を大きく受けていることについて言及した。

その後、参加者を交えた活発な質疑応答も行われ、本研究会はラオスにおける国家教育政策とGPEについて深い知見を得ることができた大変有意義な研究会となった。

関西支部
支部長:小川啓一(神戸大学)




2022年度・活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2022年11月)

活動報告

春季大会(2022年6月18日)では、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会による第3回目のラウンドテーブルを実施した。本研究部会においては開発の持続性だけでなくレジリエンスという観点からも開発やSDGs概念の有効性や課題に関し考察を重ねてきた。

本セッションでは前2回のラウンドテーブルでは焦点化されなかった「移動する人々」に着目し、ウィズコロナの今日的な状況の中で、生活基盤に「移動の要素」を抱える人々のレジリエントな様相、SDGsの課題について議論した。

来る全国大会(2022年12月4日、5日開催予定では)本研究部会による第4回目のラウンドテーブルを実施する予定である。テーマは「食のレジリエンスとSDGs」ということで、専門家を招聘し、オンラインのラウンドテーブルで議論する予定で現在準備を進めている。


今後の予定

3年目(2022年10月から2023年9月)
開発のレジリエンスとSDGs提言作成等成果の取りまとめ

開発のレジリエンス、SDGsに関連したテーマに関心をお持ちの会員はぜひご参加いただきたい。引き続き活発な議論の展開に努めていきたい。

参加申込・連絡先

東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター
センター長 関谷 雄一

  • sekiya [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




2022年度・活動報告『社会的連帯経済』研究部会(2022年11月)

活動報告(2021年10月~2022年9月)

2021年10月研究部会として発足、準備・実行体制を整えて、2022年3月より活動開始しました。以下、2021年10月~2022年9月までの活動について報告します。

スタート特別研究会:2022年3月9日(水曜)15:00~17:00

オンライン開催

  • 基調報告:「社会的連帯経済(SSE)の現在と未来 ー日本と世界の動向から」
  • 講師: 伊丹謙太郎(法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授)
  • 司会進行:古沢広祐(国際開発学会「社会的連帯経済・研究部会」代表)
  • コメンテータ:研究部会関係者

*(講師の伊丹教授は、特別研究会後に国際開発学会に入会され、研究部会の活動に参加、協力頂いています)


第1回研究会:4月23日(土曜)15:00~17:00

テーマ:連帯経済は地方経済活性化を後押しできるのか

  • 講師:廣田裕之(スペイン社会的通貨研究所共同創設者)
  • コメンテータ:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

講師の廣田先生を囲んで研究交流、約1時間。

*参考「パラダイムシフト──社会や経済を考え直す」廣田裕之、最近の記事()


第2回研究会:5月28日(土曜)15:00~17:00

テーマ:地域問題解決のツールとしての地域通貨―その思想と歴史

  • 講師:泉留維(専修大学経済学部教授)
  • 司会進行:古沢広祐

第2回研究会のYouTube配信

前半の報告部分の録画をしばらく公開します。以下、同様

  • YouTubeライブリンク()

第3回研究会:6月25日(土曜)15:00~17:00

テーマ:社会的連帯経済のための草の根金融

  • 講師:多賀俊二(草の根金融研究所「くさのーね」代表、中小企業診断士)
  • 司会進行:古沢広祐

第4回研究会:7月23日(土曜)15:00~17:00

テーマ:市民が自由に協同組合をつくることができる時代に向けて―労働者協同組合法が市民社会、協同組合にもたらすもの―

  • 講師: 三浦一浩 (公益財団法人生協総合研究所 研究員)
  • 司会進行:古沢広祐(国際開発学会 社会的連帯経済研究部会 代表)

第5回公開研究会:8月27日(土曜)15:00~17:00

テーマ:「食文化・農業遺産を契機とする地域おこしの展開~能登の里山・里海ほか、各地の取り組み事例から~」

  • 講師:大和田順子(同志社大学 政策学部・総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーションコース 教授、

    地域づくりの視点やSDGs的展開を含め、地域文化、農業遺産などの事例、都市と農村の関係交流など、豊富なご経験、諸取り組みなどについて、ご報告いただきました。


    第6回公開研究会:9月24日(土曜)15:00~17:00

    テーマ:「地域創生にとりくむローカルベンチャー、社会的企業」

    • 講師:大友和佳子(JA共済総合研究所地域再生基盤グループ研究員)・小林峻(合同会社colere代表)
    • 参考情報:合同会社colere地域の挑戦を育むチャレコミ ()
    • 司会進行:古沢広祐

    *研究会のこれまでの活動と案内等は、Noteサイトにて公開中:

    『社会的連帯経済』研究部会
    代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)




国際女性デー シンポジウム「学校における月経のヘルスプロモーション」3月9日開催(会員・一般)

国際女性デーに合わせて、ジェンダー平等にむけた一歩として、学校のトイレ内に生理用品が用意されている環境をつくり、月経教育を強化することの必要性と課題について考える国際シンポジウムを、大阪大学 MeWプロジェクト主催で開催します。

本シンポジウムでは、 世界的な⽉経をめぐ るジェンダー平等のムーブメントを牽引しているコロンビア⼤学公衆衛⽣⼤学院のソマー教授をお招きし、 看護学がご専⾨の埼⽟県⽴⼤学元副学⻑兼学部⻑の鈴⽊名誉教授、 学校での⽣理⽤品無償提供を開始した明⽯市市⺠⽣活局⻑の箕作⽒にご登壇頂き、 プレゼンテーションに続いて、パネルディスカッションを行います。

開催概要

  • 日時:2024年3月9日(土曜) AM 10:00~11:30
  • 方法:ハイブリッド(オンライン配信)
  • 会場:大阪大学中之島センター 10F 佐治敬三ホール
  • 定員:先着80名
  • 言語:同時通訳付き
  • 主催: 大阪大学 UNESCOチェア MeWプロジェクト
  • 共 催 : 大阪大学 感染症総合教育研究拠点(CiDER)
    大阪大学 ダイバーシティー&インクルージョンセンター
    大阪大学 人間科学研究科附属未来共創センター

プログラム

登壇者

  • Sommer Marni先生(コロンビア大学公衆衛生大学院 教授)
  • 鈴木幸子先生(埼⽟県⽴⼤学元副学⻑ 兼 看護学部⻑、名誉教授)
  • 箕作美幸 局長(兵庫県明石市 市民生活局長 )

開会のご挨拶:

  • 井上惠嗣理事(大阪大学 理事・副学長、ダイバーシティ&インクルージョン・SDGs 担当理事)
  • [ビデオメッセージ] 山本 ベバリー・アン理事(大阪大学 理事・副学長、国際(教育)担当理事/ 大阪大学UNESCOチェア代表)

モデレーター:

  • 杉田映理(大阪大学人間科学研究科教授 / MeWプロジェクト代表)

申し込み方法

対面でのご参加は、お申し込み順の先着80名様とさせて頂きます。

オンラインでご参加の方も、上記よりお申込みください。ウェビナーのリンクを後日お送りします。

※申込み〆 切: 3⽉ 6⽇(水曜)


本件にかんするお問い合わせ先

大阪大学 UNESCOチェア MeW Project

  •   [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第23回春季大会の開催報告と総括

第23回春季大会報告

第23回春季大会は2022年6月18日(土曜)に、福岡県立大学を開催校としてオンライン(Zoom)で実施されました。

福岡県立大学が立地する福岡県田川市は、旧産炭地として日本の近代化、戦後復興を支えてきたものの、1960年代のエネルギー転換を受け急激な衰退を経験し、鉱害からの復旧、新たな産業づくりによる安定した生活基盤の確保など地域再建を続けてきた「課題先進地域」です。この地でこれからの時代の開発、国際協力を考える学会を催すことができ、大変嬉しく思います。

今大会では、大学を超えて「チーム福岡」として実行委員会を組織し大会に臨みました。山あり谷ありの準備の六ヶ月ではありましたが、御縁に恵まれ、国際開発学会第23回春季大会の全てのプログラムを無事実施することができました。参加者の皆様、学会関係者の皆様、そして、地域の皆様のご支援に心より感謝申し上げます。

当日は225名の方に参加登録いただき、4つの企画、7つのラウンドテーブル、7つの個人発表において、それぞれ活気ある議論が交わされました。

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」では、筑豊(田川郡川崎町・田川市)で地域づくりに奮闘する関係者を招き、オンライン越しではございましたが、2030年に真の持続可能な社会をつくるために必要なことについて、専門分野の異なる参加者の皆様と議論を深めることができたと思います。

本大会が「学会員が少ないから…」「地方だから…」と学会開催に二の足を踏んでいる皆さまの背中を押すものになれば望外の喜びです。

大会実行委員長
佐野麻由子(福岡県立大学)

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」

【第1部】
「日本の地域と国際開発をつなぐ“よりよい生”-金沢大会からのバトンを受け継ぐ」

  • 佐野麻由子(国際開発学会第23回春季大会実行委員長/ 福岡県立大学) 
  • 和田一哉(国際開発学会第32回全国大会実行委員長/金沢大学)

【第2部】
基調講演および座談会「生が営まれる場としての地域-筑豊・田川-」

登壇者(1)杉本利雄氏(ラピュタファーム代表)
「“生”をつなぐ宿り木としてのラピュタファーム-筑豊・田川の新しい“地域ブランド”ができるまで」

登壇者(2)佐野典久氏(佐野畳屋三代目店主)
「畳からつながるよりよい暮らし-生きてるだけで儲けもの」

本セッションは、(1)炭鉱だけではない筑豊・田川の魅力を感じていただくこと、(2)海外のフィールドと日本の地域とを往還し国際協力の想像力を高めていただくこと、(3)個々人の日常の実践がカギを握る個人化時代の開発のあり方、その中でもSDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める条件を議論することを目的に企画された。

第1部では、金沢大会の和田実行委員長より、日本の地域に目を向けるこが先進国・途上国問わず「よりよい生」を考える一歩になるというメッセージを頂いた。

第2部では、杉本利雄氏、佐野典久氏に、活動に至った経緯、活動を支える思い等についてお話をうかがった。

杉本氏は、ラピュタファームの経営を通し、地域に対するネガティブなイメージを払拭し、筑豊の魅力を発信し続けてきた。質の良い農作物であっても地名を聞くと美味しそうに思えないという消費者の反応、地元での産業廃棄物施設操業の危機などマイナス要因が、「バイキングや加工品を通して地域のイメージを刷新しよう」「自然を残すだけでなく活用しよう」と奮起する契機になった。

また、地域内外の他業種の仲間との関わりや「元お客の従業員」との試行錯誤の中でヒット商品が生みだされたエピソードなど、地域・業種・生産者/消費者の関係を超えて活動が展開されていることが紹介された。

佐野氏は、畳学校で国産イグサの良さを知って以来、イグサ生産者と消費者をつなぎ、畳をつくるだけでなく古畳を解体して土に戻す活動を行ってきた。閉鎖されることになった精米所を引き取りそこでとれた米糠を土づくりで活用したり、土づくりの傍らでアルバイトの学生のために野菜を作ったりする等のユニークな循環型社会実現の例も紹介された。

「求めるべき真の自由についてどのように考えるのか」というフロアからの質問に対して、「真の自由は、行きたいときにみんなで支えあって授業参観に行けること。それを許容する社会」とこたえていたのが印象的だった。

お二人に対しては「勇気づけられた」「楽しそうな仕事ぶりに励まされた」「捨てようと思ったものを蘇生して楽しく活用するのが田川モデル」等、多数のコメントが寄せられた。日常のなかで個々人がよりよい生を実践することが重要な意味をもつ今日、「楽しい」「お互い様」「足るを知る」が、SDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める秘訣であると感じた。

(佐野麻由子)


セッション報告A(6月18日土曜日 Saturday 18th June 2022)

【午前の部I】Morning Session 9:30-11:30 (GMT +9)

A1. 地域から考えるオルタナティブ開発―近代的開発実践・モデルの超克に向けて―

  • 座長:真崎克彦(甲南大学)
  • 討論者:平山恵(明治学院大学)
  • 秋吉恵(立命館大学)

「アフワット:パキスタンにおける社会的連帯経済の実践-互酬性が貧困削減に果たす役割」

高須直子(立命館アジア太平洋大学)

「地域コミュニティの『ありのまま』と多遍性(pluriversality)をどう捉えるか―館ヶ丘団地における人々のかかわりと価値創造からの考察」

藍澤淑雄(拓殖大学)  

国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の企画セッションである。最初の座長による趣旨説明では、西洋近代型の「普遍」的とされる進歩観と一線を画した、オルタナティブ開発のあり方が概説された。

高須会員の報告では、パキスタンのイスラム金融マイクロファイナンス組織、アフワットの事例が、社会的連帯経済モデルに依拠しながら取り上げられている。地域コミュニティに存する伝統的「協同性」が、いかにアフワットの無利子融資の拡大や政府の政策形成の成功を後押ししてきたのかを軸として、報告がなされた。

討論者の平山会員のコメントでは、イスラム世界で遍く見られる喜捨の伝統に絡めて「協同性」が論じられ、アフワットが、被支援者が支援者に転じることもあるユニークな社会連帯経済の一例として、広く知られていくことの意義が述べられた。

藍澤会員の報告は、東京都八王子市の館ヶ丘団地で学生たちと行ってきた地域コミュニティ振興活動の紹介である。高齢化が進む同団地での自治会住民と学生のかかわりの中から防災の仕組み作りが始まった事例について報告がなされた。

この経験を踏まえて、西洋近代的な「普遍的」社会づくりモデルでは見えてこない、人びとのありのままの暮らしに寄り添う「多遍的(pluriversal)」な生活支援のあり方が論じられた。

討論者の秋吉会員からは、藍澤報告の事例に引きつけて、地域コミュニティの支援活動での支援者と被支援者との関係が、いかに変容的なものへと発展し得るのかが解説された。またそうして、地域にある潜在的な共同性が解き放たれる仕組みが示された。

以上の通り両報告を通して、支援者と被支援者の壁が低くなることで、地域に存在する価値観や暮らしを引き立てたオルタナティブ開発が立ち上がってくる様子が明らかにされた。本セッションには常時25 名前後の会員に参加いただいた。

(真崎克彦)


【午後の部I 】Afternoon Session I 12:15-14:15 (GMT +9)

A2. 企画”Soft Skills and Employability in the Face of Asymmetry between the Labor Market and School Education: Soft Skills Training and Development in Africa”

労働市場と学校教育の非対称状況におけるソフトスキルと雇用可能性―アフリカにおけるソフトスキル訓練と開発―

  • 登壇者: エストレルヤド エマヌウェル(名古屋大学)・チャロエンシルプ ピンマダ(名古屋大学)・近藤菜月(名古屋大学)・山崎裕次郎(名古屋大学)
  • 司会: 山田肖子(名古屋大学)
  • 討論者: 高田明(京都大学;非会員)・島田剛(明治大学)

本セッションでは、アフリカの労働者のソフトスキルについて4名の報告が行われた。

初めに司会の山田会員より、ソフトスキルの概要、途上国の産業人材育成における重要性が説明され、第一報告(山崎)では、インフォーマル・セクターの労働においてソフトスキルがいかに活用されているのかの事例を報告した。第二報告(近藤)では、ガーナの大学卒業生のキャリアからソフトスキルの重要性とキャリア形成におけるその役割について議論した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田明氏(非会員)より、インフォーマル・セクター内での差異、顧客からの視点、短い就業年数の理由、学校のカリキュラムとの関係について今後深めるべき点をご教示いただいた。

島田会員からソフトスキルと専門的技能の重要性の比較、雇用可能性に対する自己評価の要因、起業の動機についてより考察ができると示唆をいただいた。

続く第三報告(チャロエンシルプ)では、ゲームを用いた行動モデリングトレーニングによって、労働者にソフトスキルを習得させる新しい方法を紹介した。

第四報告(エストレルヤド)では、第三報告で紹介したゲームを用いたソフトスキルトレーニングについて実施した内容を紹介し、トレーニングの結果、実施前と比べて、参加者のソフトスキルに統計的に有意な正の変化が見られたことを報告した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田氏より、観察学習以外の学びへの視点、ゲーム作成・実施における対象者の文化への配慮、実際の仕事への相関について示唆を頂いた。

島田会員から、ゲームベースのトレーニングが企業内研修として発揮する効果や、参加者の学校教育歴による結果の差異について今後考察を深める点をご助言頂いた。

なお、本セッションの報告の一部では、名古屋大学の研究グループが実施しているSKY(Skills and Knowledge for Youth)プロジェクトのデータを使用している。

(山田肖子)


【午後の部Ⅱ】Afternoon Session Ⅱ 14:30-16:30 (GMT +9)

A3. RT: 地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」

  • 司会:木全洋一郎(JICA)
  • 発表者:富山泰庸(ロッツ株式会社)、山本あやみ((特非) 砂浜美術館)、 柳澤龍((一社)ドチャベンチャーズ)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)

本セッションでは、2021年全国大会のラウンドテーブルでの議論を踏まえ、陸前高田、高知、秋田の各現場からの中継により、新たな地域活性化の実践事例を共有し、今後の国際開発アジェンダのあり方について、約30名による議論が行われた。

はじめに、富山氏より、東日本大震災での医療支援を契機に、将来にわたってまち全体を健康にすべく、薬局、高齢者リハビリ、オーガニックカカオからチョコレート製造販売と多様な事業が紹介された。地元・日本のための事業が、フェアトレードのカカオを使うことで途上国の児童労働問題の解決にもつながっている。

次に、山本氏より、建物のない、美しい砂浜そのものを美術館にしている取り組みが紹介された。ありのままを価値とすることに共感した元青年海外協力隊の方と、ガーナ、ケニア、モンゴル各地の自然の中でのTシャツアート展を共同実施している。

柳澤氏からは、五城目町の廃校のシェアオフィスで、地域に根ざした土着のベンチャー事業が紹介された。まち全体をシェアビレッジとしたオープンにし、「世界一子供が育つ町」として、地域からの学びをデザインしている。敢えて社会全体の課題ではなく、局地的な願いに寄り添って場を作っていくことで、地域変容を見届けている。

フロアからは、よそ者の役割や都会と地方との関係性を前提にした地方間競争への懸念といった質問が出された。

議論を通じて、3つの事例とも、都会と田舎という対立構造ではなく、地域を同じテーブルに乗せて、それぞれが「オンリーワン」の魅力で人を惹きつけているという共通点が見えてきた。また、実践者はその地域でなくてはならないということではなく、どの地域でもオンリーワンを発見しているという意味において、途上国の地域開発にも通ずる視点が提供された。

地球規模の開発アジェンダは「課題」志向で見出されるが、日本の地域におけるアジェンダは「創造性」から見えてくる。この間の橋渡しこそが、国際開発に携わる今後の役割として提起された。

(木全洋一郎)


セッション報告B

B1. 子どもの安全保障

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 司 会:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 発表者:池田直人(難民を助ける会)・田中敏裕(日本ブータン友好協会)
  • 討論者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

2022年6月18日(土曜)9:30-11:30、第23回春季大会(福岡県立大学、オンライン)において、「子どもの安全保障〜障害のある子どもの保護とエンパワーメント」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が、企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、池田直人(難民を助ける会)が「パキスタンにおける障がいのある子どもたち」と題して、田中敏裕(日本ブータン友好協会)が「障がいのある子どものスポーツ参加」と題して発表した。質疑応答と議論が活発におこなわれた。参加者は、パネリストのほか、8名であった。

(勝間靖)


B2. 企画・信頼と開発協力

  • 企画責任者:石塚史暁(JICA)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 討論者:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)

発表者:

  1. 開発協力における「信頼」とは―ODA案件の比較分析の試み―
    石塚史暁(JICA)
  2. ボホール灌漑事業における「信頼」の考察-開発協力と「信頼のジレンマ」-
    杉山秀男(JICA)
  3. インフラ整備への開発協力と信頼
    橋本大樹(JICA)
  4. ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と「信頼
    左近文子(JICA)

冒頭、座長より、実務家自らが「信頼」のように扱いにくいテーマを研究対象として手掛けることの意義を述べた。その後、次の4本の発表があった(石塚「開発協力における『信頼』とは」、杉山「ボホール灌漑事業における『信頼』の考察」、橋本「インフラ整備への開発協力と『信頼』」、左近「ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と『信頼』」)。

杉山は開発協力の複数の当事者間での信頼を両立することのジレンマ、橋本は大規模インフラ協力の意思決定において信頼が影響を及ぼせる領域の大きさ、左近はJICA海外協力隊が配属先との間で蓄積する信頼のストック等をそれぞれ扱った。

石塚発表は、これら事例分析の総合的な結論として、当事者間の「信頼」は開発協力の効果や持続性を下支えし、開発協力の積み重ねは当事者間の信頼蓄積に貢献するという、両者の概念が相互に影響を及ぼしあっていることを指摘した。

討論者及び参加者からは、次のような質問・コメントが寄せられた。

開発協力の主体は、自ら当事者となる信頼に加え、第三者をつなぐ信頼にも注目すべきではないか。開発協力の主体は、相手からの信頼に加え、自らの相手に対する信頼を意識すべきではないか。開発協力によって相手国の信頼を買うことは可能か。海外協力隊員が得た現場での信頼は、日本の国レベルの信頼につながるか。「信頼のジレンマ」は、信頼のレベルが浅いことによるものと考えられないか。

現場での関係者との信頼構築に加え、開発協力の制度にも改革が必要な点はないか、相手国と日本の間の信頼は、相手国と他ドナーの間の信頼と比べ、違いはあるか、コンサルタントや民間企業も、開発協力の当事者であり、分析対象に加えるべきではないか、など。

セッション参加者は約40名で、議論は大変活発であった。この分野に対する高い関心も感じられたので、今後の信頼研究のさらなる深化を期待したい。

(佐藤仁)


B3. RT:翻訳しにくい開発のことば

  • 企画責任者:佐藤仁(東京大学)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:松原直輝(東京大学大学院)、藏本龍介(東京大学)、橋本憲幸 (山梨県立大学)
  • 討論者:大山貴稔(九州工業大学)

私たちが開発を語るときに用いる言葉はどこから来て、どこで、どのような意味を生み出すのか。開発にかかわる概念の射程の検討を通じて、それらの概念の組み合わせからなる開発学の場所性を議論するのが、このRTの目的である。

本セッションでは、日本語として国内で流通している「開発」にかかわる3つの概念を例に取り上げて、翻訳の問題を検討した。具体的には、松原直輝(東京大学大学院)が「現場主義」を、藏本龍介(東京大学東洋文化研究所)が「土木」を、 橋本憲幸(山梨県立大学)「人づくり」を検討した。

松原会員は、特に緒方理事長時代のJICAによる現場主義の実態分析に基づいて、本部と現場という日本的な組織構造から、「現場」概念の固有性をあぶりだした。

蔵本会員は「土木」の概念史をたどり、寺社建造などの場面で用いられていた「普請」が、明治期に土木に置き換えられた背景や、泥臭さを強調する日本の技術協力と土木概念の関係について論じた。

橋本会員は、「人づくり」が国内開発の文脈から報じた後に、特に途上国での人材育成で盛んに用いられるようになった一方で、対先進国には用いられないという非対称性に着目し、この概念がもつ道徳性と教育との関係について論じた。

これに対して、討論者の大山貴稔(九州工業大学)は、これらの概念が用いられる文脈に応じて意味合いを反転させている点に注目し、概念に埋め込まれた世界認識の整理を行った。そして、概念の翻訳過程に注目することに、どのような学術的貢献を期待できるのかを問うた。

この問いかけを皮切りに、フロアからも多数のコメントや質問が寄せられた。「翻訳しにくい開発のことば」は、今回取り上げたもののほかに数多く、今後も、バラエティーを増しながら、開発におけるアイデアの文脈性と普遍性を検討していく必要性が確認できた。セッションの参加者は概ね40名前後であった。

(佐藤仁)


セッション報告C

C1. RT:日本の国際協力NGOの過去、現在、そして挑戦–
NGOデータブック2021と市民活動年表(国際協力分野)の調査・執筆から見えてきたこと

本RTを企画したのは、以下の二つの出版とそれに伴う調査・分析である。

一つは、国際協力NGOのネットワークの国際協力NGOセンター(JANIC)が2022年3月に出版した「NGOデータブック2021」である。1996 年から『NGO データブック』 としてJANICが NGO に関する 5 年毎の調査を開始し、2011年からは外務省の委託事業になっている。

今回の調査対象とした424 団体の約51%、216 団体から有効回答を得て分析を行ったが、前回の有効回答数の二倍近いので、より正確にNGOの現状に迫ったと想定される。この企画・調査・執筆・監修に楯、長谷川、重田、大橋が関わり、外務省のHPで公開されている。

もう一つは、大阪ボランティア協会が2014年に編集発行した「日本ボランティア・NPO・市民活動年表」(明石書店)の1880~2010年を対象とした国際協力分野の改訂と、2011~2020年の出来事の追加に、長谷川、楯、大橋が携わり、同じ22年3月に刊行されたその「増補改訂版」だ。

これらから見えてきた日本の国際協力NGOの歴史的変化と現状を、長谷川と楯が発表した。

まず長谷川が、「日本の国際協力NGOの歴史と今」と題するプレゼンを行い、日本の国際協力の1960年代からの歴史を6つの時期に分けて説明し、90年代をピークに新規NGOの創設数が10年ごとに約半減していること、一方でソシアルビジネス的なものが増えていることを示した。

そして、現状については現地のパートナー団体を通じての活動が増えていること、活動地域はアジアが少し減り、代わりにアフリカが増えていること、活動では人権や国内課題が増えていること、個人会員数が増えていること、市民社会スペースの縮小がグローバルな問題であることを示した。

続いて楯が、「日本の故高裁協力NGOの財務と人材」というタイトルで三点に関して報告した。まずNGOの財務に関して、NGOの資金は政府資金の増加だけでなく自己資金の増加があること、しかし相変わらず資金規模の二極化が続き、コロナで56.4%が負の影響を受けており、自己資金を伸ばしたのが主に大手によるものと指摘している。

続いてNGOの人材については、人材確保が課題と多くのNGOが述べているが、他セクターでも同様であり、高齢化こそがNGOが直面する独自の課題であるとした。最後の「財務と人材に関する展望と課題」では、労働環境は整いつつあるが、待遇はまだ不十分であること、NGOの存在意義の見直しと自己成長が必要とまとめた。

これらの発表に対する討論者JICAでNGO支援を担当している日浅美和・国内事業部市民参加推進課長、NGO向けのODA資金やその管理費がNGOに与えた影響について関心を寄せる国際開発センター社会開発部の高杉真奈次長、そして欧米や東南アジアのNGOや政府との関係に詳しい高柳彰夫フェリス女学院大学教授だった。会場からの質問もあり、充実したやり取りとなった。

(以上)


C2. RT:移動する人々のレジリエンスとSDGsー移民・難民・遊牧民を中心にー

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 報告者:関谷雄一、マイヨール ロドリグ(民間TVディレクター)、キム ヴィクトリヤ(立命館大学)、湖中 真哉(静岡県立大学)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本セッションは「開発レジリエンスとSDGs」研究部会による第3回目のラウンドテーブルで、前2回のラウンドテーブルでは焦点化されなかった「移動する人々」に着目し、ウィズコロナの今日的な状況の中で、生活基盤に「移動の要素」を抱える人々のレジリエントな様相、SDGsの課題について議論を行った。

始めに関谷が企画・研究部会の主旨説明と、日本における国内避難民のレジリエンスとSDGsに関する課題提供をした。

続いてマイヨール氏(非会員)から、民間放送局の取材現場の視座から見える、日本国内の外国人移民のレジリエンス、政策の課題に関する報告がなされた。

キム氏(非会員)からは、日本における移民の統合過程に関し、結婚移民女性のレジリエンスに焦点を当てた報告がなされた。最後に湖中会員からは東アフリカ遊牧社会からみた移動とレジリエンスに関する報告がなされた。

各報告後に野田会員から報告者に対し質疑がなされ、議論が展開された。

各報告で取り上げられた問題に共通する論点として、グローバルな課題であるSDGsという枠組みに対応する主体として、前提とされているのは国民国家であり、「移動する人々」は自ずとそこから取り残されていることが、それぞれの問題や課題と向き合うことに、どう影響しているのかというものがあった。

各報告者から質疑に対し、それぞれの文脈で応答がなされたが、そこに通底していた論点としては、「移動する人々」の視座に立ったそれぞれの解決法が望まれており、そこには既存の枠組みでは解決できない課題があり、それぞれに個別かつ具体的な当事者性に目を向けることが重要であることが確認された。

(関谷雄一)


C3. RT: “Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia”

  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Presenter: Vincent Y. Chen (Minghsin University/National Taiwan University), Ariya Svetamra (Chiang Mai University)
  • Discussant: Guestspeakers and all the participants

 This roundtable session was organized by the research group on Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP) of JASID, which was launched in January 2022. There are social problems, which have been observed for decades, and we encounter some of those problems commonly in the world. This session aimed to learn from successful cases of tackling those common social issues in Asia, share knowledge, and find commonality and differences in social issues and the process for solutions. 

 Two guest speakers were invited to talk about their experiences of solving social problems. First, Dr. Vincent Y. Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan presented the application of Artificial Intelligence (AI) to prevent the harassment of green sea turtles in Xiao Liuqiu island, Taiwan, and develop sustainable tourism.

Next, Dr. Ariya Svetamra at the Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University demonstrated the struggles and risks of migrant women in Northern Thailand and how Feminist Participatory Action Research (FPAR) was applied to understand the realities of migrant women and discuss the structure of gender dynamics for creating their opportunities in the future.

After their presentations, all the participants were invited to ask questions, express their opinions about the lessons learned, and share their knowledge.

 This roundtable session was co-facilitated by Dr. Naoko Shinkai at the Department of Policy Studies, Tsuda University, the Chairperson of this research group and Dr. Pei-Hsin Hsu, at Taiwan Forestry Research Institute, the Vice-chair of this research group.

(Naoko Shinkai)


セッション報告D

D1. 企画・JASID ブックトーク

  • 司会進行:
    島田剛(明治大学)
    芦田明美(名古屋大学)

本セッションではブックトークとして、以下の4冊の本の紹介が著者および出版社の編集担当者よりなされた。セッションの中では各著者から出版にいたったきっかけ、経緯や苦労が共有された。また、編集者の方の工夫されたこと、今後出版するにはどのようにしたらよいかなどの助言がなされた。参加者は延べ約60名にのぼり活発な議論がなされた。


報告書籍: Mine Sato, Nobuo Sayanagi, Toru Yanagihara. 2022. Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Explorations. Palgrave Macmillan

  • 報告者: 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 担当編集者:河上自由乃(Springer英文書籍出版担当)
  • 討論者: 佐藤寛(アジア経済研究所)

1980年代以降の開発援助の政策と実施においては、「主体の働きかけ(主体性)を支援するモデル」を採用しようというみが、政策および実践においてなされてきている。しかし、人を「主体的で自律的存在」として扱えば「主体的な課題対処プロセス」が無条件に始まるわけでなく、そこに至る「主体性の回復と醸成のプロセス」が存在する。

現状では、関連学術領域では、定義や測定の議論が多く、現場では暗黙知や経験則はあるが体系立った整理はなく理論との対応付けも十分に進んでいない。この問題意識に基づき、本書では、主に3つの文脈(参加型開発、普及プログラム、社会サービス)での主体性醸成に関与する要因とメカニズムの理解に焦点を当て、経済学・心理学・人類学の立場から続けてきた共同研究の成果を共有する。

報告書籍: 人権の哲学:基底的価値の探究と現代世界

  • 報告者: 木山幸輔(筑波大学)
  • 担当編集者: 斉藤美潮(東京大学出版会)
  • 討論者: 関谷雄一(東京大学)

本書は、人が人であるがゆえに持つ人権、その正当化の根拠を探り、現代世界への含意を示すものである。本書はその探求を、以下の順番で行う。政治的人権構想と自然本性的人権構想の対立における後者の擁護、自然本性的構想において擁護されるべき構想としての二元的理論の提示、二元的理論の示唆の特定、当該示唆の国際開発援助構想への適用、という順序である。

本書はまず、ロールズ、ラズ、ベイツ、グリフィン、センをはじめ、極めて多様な道徳・政治・法哲学者が参与してきた人権に関する論争を、特に自然本性的構想と政治的構想との論争として捉え、その分析を行う。本書が分析の中で擁護するのは、現在人気があるとは言い難い自然本性的構想の方である。

そして、人間が人としてもつ利益に依拠するものと人権を捉える自然本性的構想、その最善の理論として、人々が同定した善に従って生きることと、平等に扱われることを2つの基軸とする二元的理論を描き出す。そうした知見を背景として、特に国際開発・援助構想に対して評価を与えることを念頭に、社会経済的権利とデモクラシーへの権利、そして国際的関係における人権の適切な描き方を提示する。

最後に、現在影響力を持つ国際開発・援助構想に関する幾つかの論点に対し、描き出された人権構想をもとに評価を加え、私たちが開発・援助を構想する上で望ましい像を描き出す。

報告書籍: 日本の「非正規移民」:「不法性」はいかにつくられ、維持されるか

  • 報告者: 加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者: 今枝宏光(明石書店)
  • 討論者: 日下部尚徳(立教大学)

本書籍は、日本に暮らす非正規移民における「不法性」を問うた実証研究の成果である。移住は送り出し国・受け入れ国の間で発生する事象である。開発の文脈では送り出し国の事情が捉えることが多い。

受け入れ国側から移住を捉えた本書を持って、国際開発学会員に新たな視点を提供したい。元相談員として筆者が抱いた問いを出発点として、1)移民はなぜ「不法」になるのか、2)何が非正規移民の「不法性」を維持させるのかという2つのリサーチクエスチョンを掲げ、質的研究方法を用い、38名の非正規移民をはじめ計69名へのインタビュー、のべ175箇所の参与観察を行った。

報告書籍: デジタル技術と国際開発(リチャード・ヒークス著、竹内知成監訳、ICT4D Lab訳)

  • 報告者: 竹内知成((一社)ICT for Development)
  • 担当編集者: 道中真紀(日本評論社)
  • 討論者: 高田潤一(東京工業大学)

本書は英国マンチェスター大学のRichard Heeks教授の著書「Information Communication Technology for Development」(2017年、Routledge社)の翻訳本であり、国際開発における情報通信技術(ICT)利用に関する初の日本語専用教科書になります。

ケニアのモバイルマネー「M-Pesa」に代表されるように、途上国においてもデジタル技術を活用したサービスが普及し、国際開発においてもデジタル技術の活用が注目を集めています。また、SDGs達成に向けて公的機関のみならず民間企業も取り組みを進める中でICTの活用が進んでおり、様々な組織においてイノベーションやDXというキーワードが使われるようになっています。

こうした背景から、これから求められるのはICTを目的達成の為に活用できる人材であり、技術的な知識と社会課題の両方を理解し、技術分野のエンジニアと社会課題分野の専門家や政策決定者とを橋渡しできるハイブリッドな知見や、どういった要因がICT利活用の成功と失敗を決めるのか、成功率を高める為には何が行われるべきかを様々な観点から理解する力も求められます。

本書はそういった人材の育成に最適な教科書であり、社会課題の解決にテクノロジーの活用が重要性を増している現在、国際開発業界のみならずIT業界で社会課題を解決しようとする人達にとっても役立つ一冊です。

(島田剛)


D2. 「研究×実践」委員会主催企画:ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」について

ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」 は、「研究×実践」委員会主催の企画としてとして継続的に実施されているもの。前回のJICAの「クラスターアプローチ」をテーマに「援助」にフォーカスを当てたセッションに続き、今回は「災害」に絞り込んだ議論を行った。

浜名弘明会員より「コンサルティングファームからの防災分野における研究×実践」と題して都市OSの適用についての実践例の紹介がなされたのち、芝浦工業大学の市川学准教授より「災害時保健医療福祉活動⽀援システムと災害情報」と題してAIやデータサイエンスの研究成果を活かした災害支援システムの可能性が提示された。

この2つの報告に対して、ユーザーサイドからの視点として、佐藤峰会員より「地域防災への自発的な取り組みと課題:横浜市西区羽沢西部自治会を例に」と題して元横浜市西区羽沢西部自治会長・現第四区地区者協会長の米岡美智枝氏の作成されたスライドを用いた報告がなされ、またカマル・ラミチャネ会員より、とりわけ障害者の視点からみたシステムの使い勝手についてのコメントがなされた。

上記の報告を踏まえて活溌な議論が展開された。とりわけ、「システムの運営をするのは誰か?」という点に議論が集約された。この問いはすなわち「誰が収益を得て、費用負担するか?」という問いに変換されるわけだが、例えば、防災システムによって顧客の情報を把握できるメリットをもつ保険会社や、防災システムによって資産価値の向上が見こまれるデベロッパーに参加してもらうといった具体的なアイディアが検討された。

一見すると、途上国の開発イシューとはかけ離れた議論のように見えるものの、議論をしてゆくなかで、結局は行政のコーディネーションや、費用負担の意志決定といった、開発につきまとうイシューそのものが本質であることが確認された。

(小林誉明)


D3. 教育/子ども(個人)

  • 座長:北村友人(東京大学)
  • 討論者:黒田一雄(早稲田大学)、内海悠二(名古屋大学)

発表者

1.「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」

阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、津田勝憲(宇都宮大学)

2.「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」

小松太郎(上智大学)

3.「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」

朝倉隆道(広島大学)

本セッションでは、以下の3件の研究発表が行われた。いずれも教育や子どもに関する重要なテーマを扱い、学術的また実践的な示唆に富む研究であった。

阪本公美子会員・大森玲子会員・津田勝憲会員(いずれも宇都宮大学)による「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」は、阪本会員が代表して発表を行った。

タンザニアの地方都市における小学生96名を対象に、①雨季と乾季の食品・食品群別摂取頻度、②野生食物の摂取頻度、③健康状況、④食品群・野生食物の摂取頻度と、健康の関係について質問紙調査を行い、子どもたちの食習慣パターンを明らかにした。

小松太郎会員(上智大学)による「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」では、ボスニアを事例として、政治学等の研究で用いられる3つの新制度論(社会学的新制度論、歴史的制度論、言説的制度論)を援用して、紛争後社会の教育改革の分析・説明を行った。

紛争後社会の復興において、多様なアクターが関与しながらいかにして制度が形成され、機能するようになるのかを、異なる視点から分析することで明らかにした。今後の実証研究にも期待を抱かせる、優れた分析であった。

朝倉隆道会員(広島大学)による「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」では、民間企業を中心とした非政府アクター(non-state actor)が国際教育協力に参入し、教育サービスを提供する新展開が進む状況のなかで、そうした企業(この研究の事例としては公文教育研究会)が用いる戦略について検討した。

事例分析を通して、供給側の形成するイメージや言説が、受容する人々の想起する教育への期待や幻想をかき立てようとしていることを明らかにした。

これらの研究発表に対して、討論者の黒田一雄会員(早稲田大学)と内海悠二会員(名古屋大学)から的確かつ刺激的なコメントが提起され、また参加者からも重要な質問や指摘がなされ、活発な議論が交わされた。

それらの論点は、理論と実践を架橋することの重要性や難しさに関する指摘から、研究の方法論に関するものまで幅広く、それぞれの発表者が研究のさらなる発展を目指すなかで参考になるものであったと確信している。

(北村友人)


セッション報告E

E1. 環境(個人)

  • 座長:藤川清史(愛知学院大学)
  • 討論者: 豊田知世(島根県立大学)、山口健介(東京大学)

発表者

1.「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について」

久保英之(地球環境戦略研究機関)

2.「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」

安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原 宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)

3.「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」

小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)

環境セッション(E1)での報告は次の3本であった。

1.久保英之(地球環境戦略研究機関)「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について、2.安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」、3.小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」。

これらの報告に対する討論は、豊田知世(島根県立大学)と山口健介(東京大学)にお願いした。

植林活動は地球温暖化防止活動として注目されるが、同時に地域の貧困削減等の社会経済活動でもある。久保報告は、材木利用による所得向上が目的にもかかわらず、しばしば木材需要先が確保されていないことや、事業期間が短期間なので、間伐・伐採・再植林のサイクルが事業に組み込まれていない等の問題があることを指摘し、ベトナム(政府主導)とマダガスカル(JICA)での成功例では、こうした問題が解決されていると述べる。

これに対して討論者からは、民間企業と連携しての実施の可能性があり、REDD+やVCSの認証制度との整合性も重要だろうとのコメントがあった。

安達報告は、途上国では産業振興政策が優先され、環境保存政策は後回しにされているというのが従来の認識であったが、近年は経済成長と環境保全対策の両立は可能という「エコロジー近代化論」に基づいた、従来型の規制的手段ではない先駆的な環境政策もタイやベトナムで見られると述べる。

これに対して討論者からは、政策の設計段階で市民を巻き込むことを前提としていても、運用上で市民を巻き込めるのか、規制を受ける企業側の協力は担保されるのか等のコメントがあった。

小松報告では、国際開発事業と国内の社会福祉・ソーシャルワークの分野は、かなり共通した活躍をしているものの相互理解が進んでいないと述べる。ソーシャルワーク側からは国際開発を「国際ソーシャルワーク」と捉える一方で、国際開発の分野では社会福祉ないしはソーシャルワークへの関心は薄いとのことである。

討論者からは、国際ソーシャルワークの範囲を明らかにする必要があり、双方の接点を作るためにはどうすればよいかの提案をしてほしい等のコメントがあった。

(藤川清史)


E2. 開発(個人)日本語

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • 討論者:高橋清隆(恵泉女学園大学)、嶋田晴行(立命館大学)

発表者

1.「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」

石黒馨(神戸大学)

2.「中国における開発研究―その特徴と可能性―」

汪牧耘(東京大学)

3.「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する―経済制裁から長期のベーシックインカム財源保障・給付条件整備援助へ」

岡野内正(法政大学社会学部)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。第1は、石黒馨による「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」であった。社会関係資本についての研究は多いが、途上国の農村女性を対象にしたものは少ないので、その空白を埋めることを意図していた発表であった。

幸福度と主観的健康を区別して調査した結果、幸福度の向上には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、家計所得、主観的健康度などが影響するのに対し、主観的健康の改善には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、子供の生存人数などが影響するとされた。

これに対してコメンテーターの高橋清貴から、村の属性や、各種のコンテクストによって状況は変わるのではないかといった指摘がなされた。

第2報告は、汪牧耘の「中国における開発研究」であった。西欧から入ってきた「開発研究」が中国にどのように受け入れられてきたかという大変興味深い研究発表であった。汪によれば、西欧の研究が普遍的発展モデルを提示する傾向があるのに対して、中国での研究はより実践的であるとまとめられた。

コメンテーターの嶋田晴行からは、事前に詳細なコメントが提示されており、日本と中国の類似性や相違性も含めた幾つかの指摘がなされた。汪は返答として、中国が海外の研究者たちと交流することにより、中国自身の経験を明確化させることができ、それが重要であるとの指摘もあった。

第3は、岡野内正による「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する」であった。発表に際し、画面共有がうまくできなかったが、岡野内の主張としては、ベーシックインカムによって、(1)健康状況の改善、(2)経済の改善、(3)コミュニティの活性化が、もたらせたと指摘された。

コメンテーターの高橋清貴からは、アフガニスタンが抱えるさまざまな課題が根深いものであるために、今後とも考察していくべき点は多々ある旨の指摘がなされた。

座長としての感想を一言。全体に事例研究としては3報告とも特徴があり個性的であったが、今後、事例の研究意義をより明示的に提示できれば、それぞれの研究発表はさらに有益になるであろうと思われる。

(斎藤文彦)


E3. 社会/経済(個人)

  • 座長: 會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)、栗田匡相(関西学院大学)

発表者

1.「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化―食の入手・消費・共有に注目して―」

伊藤紀子(農林水産政策研究所)

2.「COVID-19のエジプト経済への影響」

岡室美恵子(星城大学)、染矢将和(名古屋大学)

3.「長期における新技術の導入・標準化・衰退」

宮田幸子(立命館大学)、澤田康幸(東京大学)、高倉一真(東京大学)

本セッションでは、発展途上国の社会・経済問題に関する3つの報告が行われた。

第1報告は、伊藤紀子(農林水産政策研究所)「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化 ―食の入手・消費・共有に注目して―」で、主にインドネシアの農村調査に基づいて食事内容や共食の慣行についての分析結果が報告された。

コメンテーターの小國和子氏(日本福祉大学)からは、共食儀礼が子供の栄養状態に与えたインパクトや、データ収集方法についての質問・コメントが挙げられた。他にも、現地における共食儀礼の詳細についての質問があった。

第2報告は、岡室美恵子(星城大学)「COVID-19 のエジプト経済への影響」で、エジプトのマクロ経済状況を概観した後、クロスカントリーによるCOVID-19の経済成長への影響分析の結果に基づき、そのエジプト経済への影響をシミュレートした結果が報告された。

コメンテーターの栗田匡相氏(関西学院大学)からは、データの制約に伴う計量分析モデルの妥当性や論文の構成についてコメントがあった。他にも、COVID前後の比較をすることで計量分析の精度を上げられる可能性が指摘された。

第3報告は、澤田康幸(東京大学)「長期における新技術の導入・標準化・衰退」で、インドネシアのダム建設に伴う住民移転と養殖業への参入の決定要因に関する長期の計量分析結果が報告された。

コメンテーターの栗田氏からは分析結果の解釈や住民移転が選好パラメータに与える心理的影響の可能性などについてコメントがあった。他にも、住民移転に伴う補償金が技術導入に与えた影響についての質問があった。

(會田剛史)


セッション報告F

F1. Community Development

  • Chair: Koichi Ikegami (Professor, Emeritus, Kindai University)
  • Discussant: Emi Kojin (IDE-JETRO), Daisuke Sasaki (Tohoku University)

Presenters

“The evolution of community-based tourism in Vietnam – a critical review of policy and research-”

Nguyen Quang Tan (Okayama University), Fumikazu Ubukata (Okayama University), Nguyen Cong Dinh (Hue University)

“Influences of economic development among traditional mountain area – Case studies on remote tourist destinations in Shiga prefecture, Japan”

Kiyoto Kurokawa (Ritsumeikan University)

The session F1 “Community Development” comprised two presentations on local tourisms. The number of participants was approximately 20.

Nguyen Quang Tan presented a case study on community-based tourism (CBT) in Vietnam. First, he analyzed tourism policy documents by a four -component framework, namely demands, decision, outputs, and impacts.

As a result, he revealed that the process of tourism policy was divided into three periods, and the position of the CBT was still low for the government. Second, he showed the result of analysis of the peer-reviewed English articles by the qualitative thematic analysis (QTA) method.

After he categorized them into three groups in terms of CBT perspective, he pointed majorities were ‘Development Supporters’ which put priority on an economic aspect. Other two categories, ‘Protectionists’ claiming importance of a cultural viewpoint and ‘Community Developers’ lying between the both categories were few.

His main finding was the conformity of policies and studies. Emi Kojin commented three points; (1) unclear purpose and assumption of the study, (2) importance of narrowing down the area of policy (i.e., concentration on tourism policy), and (3) questions on economy-oriented policy and researches.

Additional comment by a chair was a risk of bias caused from analyzing only English literature.

Kiyoto Kurokawa explained the various local treasurers and a local tourism project planned at the ancient emperor palace of Shikaraki situated in Shiga Prefecture. According to his presentation, Shiga Prefecture is rich in local treasurers, ranging from nature parks to cultural heritages as well as traditional folk crafts, but they could not attract many domestic tourists because of low visibility.

A local tourism project based on the historical backgrounds might change such situation because of increase in demand of cultural tourism.

Daisuke Sasaki commented the necessity of verifying the conclusion in an evidence-based manner, and suggested effectiveness of Tourism Destination Competitiveness (TDC) for compensating for this weakness.

Even though the demand of local tourism such as nature-based and cultural one is increasing instead of mass-tourism, there are a lot of tourism sites in the local area. The question is how tourists decide their destination. The TDC approach can open a new perspective for researchers and practitioners related with a tourism sector.

(Koichi Ikegami)


F2. Education (Individual) *English

  • Chair: Taro Komatsu (Sophia University)
  • Discussant:Mikiko Nishimura(ICU)、Katsutoshi Fushimi (JICA)

Presenter

“The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil”

Leite Dalmon Danilo (Kobe University)

“War Trauma and Education―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―”

Mari Katayanagi (Hiroshima University)

“Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers”

Melisa Fabella (Ritsumeikan University)

This session was attended by some 20 participants. There were three presentations as below.

Leite Dalmon Danilo (Kobe University): The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil

The proposed research intends to fill this gap in the literature by analyzing the practices of effective
municipalities in primary education in Brazil by using the “district effectiveness framework.”

The expected outcomes for this research include the analysis of the implementation of “effective district
practices” by municipal secretaries of education in Brazil that are considered “effective”.

This should contribute to the literature by expanding the range of contexts in which effective district practices can be used to describe the mid-level government practices associated to higher student achievement.

Moreover, it will provide new evidence that Brazilian policymakers and those from other low- and middle-income countries can use to improve their government practices.

A commentator suggested, among others, that the study take into consideration local contextual factors that may affect the study topic.

Mari Katayanagi (Hiroshima University): War Trauma and Education ―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―

The study aims to interrogate the effects of war trauma on school education and learning in the case of Bosnia and Herzegovina.

The data were examined using qualitative narrative analysis, questioning how children were psychologically affected by war, what consequences were observed in their education, and how they have coped or were coping with the consequences.

The study concludes that children become particularly vulnerable when they are separated from their families; when the uncertainty of the future increases and credible threats to life are felt, children lose their motivation to study; education assists in holistic development and the attainment of resilience to overcome challenges, including psychological ones; and attention must also be paid to cultural specificities and attitudes towards psychological care and treatment.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis, literature gap and research ethics, which were answered by the presenter point by point.

Melisa Fabella (Ritsumeikan University) Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers

The research evaluated the long-term impact of the CCT program (4Ps) on poverty and examine its alignment with the SDG No. 1, which was to eradicate extreme poverty.

The study reveals that the program has reduced poverty among the poor across time. This study has also found some issues within the dataset that should be addressed such as data outliers and inconsistencies with other impact evaluation studies in the country.

Furthermore, in order to keep the program`s effectiveness through time, critical impact monitoring and evaluation should be continuously done to ensure that the people, especially the poor and the marginalized sector, can truly benefit in the program.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis procedure. There was also a brief discussion regarding the impact of the program on education as it was the session’ theme.

(Taro Komatsu)


F3. Economy / Society (Individual)

  • Chair: Masato Noda (Ibaragi University)
  • Discussant: Yasushi Katsuma (Waseda University), Takao Toda (Meiji University)

Presenter

1. “Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance: A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investment”

Soulivanh CHANSOMBUTH (Ritsumeikan University)

2. “Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?”

Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University), Naoko Takasu (Ritsumeikan Asia Pacific University)

当セッションでは、第1報告として、Soulivanh Chansombuth 会員(立命館大学)、第2報告としてNaoko Takasu会員 およびTatsufumi Yamagata会員(ともに立命館アジア太平洋大学)から次の報告がなされた。参加者は24名であった。

第1報告では、Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investmentと題し、オーストラリアの援助がラオスの高等教育を通じて経済成長もたらす影響等について、産業人材の開発に着目した分析がなされた。

また、第2報告では、Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?と題し、サブサハラアフリカ地域におけるCOVID-19ワクチン接種の現状と課題について、UNICEFのCOVID-19 Vaccine Market Dashboard等のデーターをもとに分析がなされた。

質疑応答では、第1報告に対して討論者の戸田隆夫会員(明治大学)から分析方法の妥当性等について、座長の野田からはドナーとの関係や評価等について質問・コメント等がなされた。

第2報告に対して、勝間靖会員(早稲田大学)からCOVAX等によるワクチン分配等について、戸田会員からサブサハラ地域の多様性とワクチン等について質問・コメントがなされた。続いて、参加者による活発な議論が時間いっぱいまでなされた。大変充実したセッションとなり、関係各位に感謝申し上げる。

(野田真里)




新刊案内 『レジリエンスは動詞である─アフリカ遊牧社会からの関係/脈絡論アプローチ』(京都大学学術出版会)

私ども科研費チームは、欧州大学院大学のグレタ・センプリチェ研究員、米国エモリー大学ピーター・D・リトル教授との共編著で、Reconsidering Resilience in African Pastoralism: Towards a Relational and Contextual Approachを昨年刊行しましたが、この度、同書の和訳版『レジリエンスは動詞である─アフリカ遊牧社会からの関係/脈絡論アプローチ』を京都大学学術出版会から刊行しました。

今日、「レジリエンス」は「SDGs」とともに、人新世の地球を救う鍵のように言われておりますが、外部からは脆弱でレジリエンス強化の対象と眼差され続けてきたアフリカ遊牧民の側から、揺らぐ生の脈絡に応じた日々のダイナミックな実践—すなわち動詞—こそがレジリエンスに他ならぬことを明らかにし、政策と実践の転換を促した国際共同研究の成果です。

本書のエピローグは、英国サセックス大学のイアン・スクーンズ教授が執筆しており、各章を評価しながら総括しています。ご高覧いただければ幸いです。

日本語版 『レジリエンスは動詞である─アフリカ遊牧社会からの関係/脈絡論アプローチ』(京都大学学術出版会)

英語版 Reconsidering Resilience in African Pastoralism: Towards a Relational and Contextual Approach (Trans Pacific Press)

(* [at] の部分を@に修正してご使用ください)




開催案内「JICA緒方貞子平和開発研究所ブックローンチセミナー」4月22日開催(会員・一般)

昨年10月、研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析」は、Springer社より英文書籍”Introducing Foreign Models for Development: Japanese Experience and Cooperation in the Age of New Technology”を出版いたしました。

つきましては、4月22日(月曜)15時より、ブックローンチセミナーをオンラインにて開催いたします。

本書の編者らが書籍の概要を紹介するとともに、海外から専門家をお招きし、経済開発におけるラーニングと知識共創の新たな視点や実践的アプローチ、SDGsとデジタル化の時代におけるラーニングなどについて議論します。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

開催概要

  • Date and Time: April 22, 2024, 15:00-16:30 (JST)
  • Format: Online participation (Zoom)
  • Language: English (Japanese interpretation available)
  • Fee: Free

Program:

  1. Opening Remarks
  2. Book Overview
  3. Expert Comments: International Experiences on Knowledge Cooperation (including Video Message)
  4. Discussion and Q&A

Speakers:

<Opening Remarks>

  • Akio Hosono, Senior Research Advisor, JICA Ogata Research Institute

<Presenters>

  • Izumi Ohno, Professor Emeritus, National Graduate Institute for Policy
    Studies (GRIPS) and Senior Research Advisor, JICA Ogata Research Institute
  • Kimiaki Jin, Chief Advisor, Quality and Productivity Improvement (Kaizen) Project in South Africa, JICA

<Moderator>

  • Junichi Mori, former Chief Technical Advisor for the Skills for Prosperity Programme in Malaysia, International Labour Organization (ILO)

<Discussants>

  • Joonghae Suh, Senior Fellow Emeritus, Korea Development Institute (KDI)
  • Stephan Klingebiel, Head of Inter and Transnational Cooperation Research Program at the German Institute of Development and Sustainability (IDOS), Visiting Professor at the University of Turin and Ewha Womans University, Seoul
  • Toru Homma, Senior Advisor to the CEO, AUDA-NEPAD (Senior Advisor on Private Sector Development, JICA)

<Video Message>

  • Getahun T. Mekonen, Certified Kaizen Principal Consultant, Ethiopia

申し込み方法

ご参加は以下のサイトからご登録ください。
/jica_ri/news/event/


本件にかんするお問い合わせ先

JICA緒方貞子平和開発研究所

  • dritrp [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



地方展開委員会からのお知らせ(2022年8月)

地方展開委員会は、2022年6月18日、第23回春季大会でラウンドテーブルセッション「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」を開催しました。2021年全国大会のラウンドテーブルでの議論を踏まえ、陸前高田、高知、秋田の各現場から中継でお伝えしました。

その後に開催されたプレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」とあわせて、「地方」で生活する個の目線から「課題解決から始まる開発ではなく、地域の可能性や夢分析から始まる開発へ」、「支援する人・される人を前提とした開発ではなく、支援者であるという前提を相対化した先にある当事者として共に地域の可能性・夢を実現する開発へ」というパラダイムシフトの重要性を提示することができました(詳細は、RT、プレナリーセッションの報告をご覧ください)。

地方展開委員会
委員長:佐野麻由子(福岡県立大学)




開催案内「国連放牧地と遊牧民の国際年2026年に向けた国際セミナー・ワークショップ」5月11・12日開催(会員・一般)

この度、二つの研究助成プロジェクトの共催で、2024年5月11日(土曜)・12日(日曜)に、法政大学市ヶ谷キャンパスにて、国連の「放牧地と遊牧民の国際年2026年(UN IYRP 2026)に向けて、オックスフォード大学からアリエル・アハーン講師とトロイ・スタンバーグ主任研究員をお招きして、国際セミナーとそのサイドイベントとなる国際ワークショップを開催致します。

2022年3月に開催された国連総会において、2026年を「放牧地と遊牧民の国際年」とすることが全会一致で宣言され、日本政府もこれに向けた動きを支持してきました。

同宣言は、地球の地表面積の半分以上は放牧地が占めており、かつ、急速な砂漠化に苦しんでいることを指摘しました。

また、放牧地と遊牧民は、現在各地域で緊急の課題に直面しており、SDGsの達成のためには、持続可能な放牧地と遊牧の実現に向けた取り組みを急速に拡大する必要があることが承認されました。

日本では国連IYRP2026の認知度は低く、SDGs達成のために遊牧民と放牧地が果たす重要な役割も十分に認識されていません。

同宣言では、遊牧は多様な生態系、文化、アイデンティティ、伝統的知識、自然と共存してきた歴史的経験と結びついた、ダイナミックで柔軟性に富んだ生業であると認められています。

したがってIYRP2026年に向けて、放牧地と遊牧に関連する研究分野による学術的な対話を促進することが期待されています。

本セミナーとワークショップでは英国の内陸アジア研究者と日本のアフリカ研究者(村橋勲、佐川徹、島田剛、阪本拓人・榎本珠良、目黒紀夫、橋本栄莉)がそれぞれ報告を行い対話します。

講演・質疑応答言語は英語です。フライヤー、プログラム、参加方法、アクセス等の詳細につきましては下記ウェブページをご参照下さい。

参加お申し込みの締め切りは2024年5月3日(金曜)です。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
*詳細は変更になる場合がありますので、随時ホームページをご参照ください。

国際セミナー案内ウェブページ

国際セミナー-国連「放牧地と遊牧民の国際年2026年/

国際ワークショップ案内ウェブページ

国際ワークショップ-国連放牧地と遊牧民の国際年2/


本件にかんするお問い合わせ先

科研費基盤研究(A)23H00031、JSPS国際共同研究プログラムJPJSJRP20211705

  • localizationtoafrica [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内:「人新世」から世界を問う

世界情勢が混沌化する中で、マクロな視野からの見直しが重要です。

時間スケールを拡張した人類史的視点から世界動向を論じ、国連SDGsの意義についても言及しています。

以下、一般向け普及書を刊行しましたのでご紹介します。

『 今さらだけど「人新世」って?―知っておきたい地球史とヒトの大転換点 』WAVE出版(2024/03/19刊)

本書は「人新世」時代を生きる私たち人間が、この先いったいどうなっていくのかについて、地球史とヒトの進化を振り返り、急速に発展する最新技術とのかかわりに触れ、さまざまな思想をもとに、近未来から遠未来まで展望します。

複雑かつ混迷を深める現代世界を立体的・重層的に掘り下げ、困難な時代状況を見すえて、未来への展望をどのように見出すかについて、巨視的視野から描き出しました。

ぜひ多くの方々に、人新世という大転換期がはらむ奥深い問題への関心を共有いただき、お目通し頂けますと幸いです。

(はじめに、終わりに、紹介)

人新世の名称、国際地質科学連合の小委員会で最近否決されたのですが、地質学の概念をこえて、その意味する内実が、改めて問われています


本件にかんするお問い合わせ先

 古沢広祐・研究室

  • furusawa [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



採用公募「SDGsジャパン事務局スタッフ募集」

SDGs市民社会ネットワークでは、SDGsに関する政策提言を担当する職員を募集しています。

今年の国連未来サミット、来年の日本政府のVNRが主な関与の対象です。

正規職員あるいは業務委託契約職員のどちらかの形での採用を考えています。

関心がありそうな方に共有いただけますと幸いです。

一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)事務局スタッフ募集

「誰一人取り残さない」SDGs達成に向けた、市民社会のネットワーク構築および政策提言活動に関心のある方、一緒に働いてみませんか。

一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)では、下記の通りスタッフを募集します。

募集概要

  • 人数:1 名程度
  • 雇用形態:契約職員
  • 雇用期間:2024年4月1日~2025年3月31日(ただし最初の3カ月間は試用期間とし、3ヵ月終了後に本契約を判断する)
    ※勤務状況、業務の進捗状況等を踏まえ、双方の合意により契約を更新します(1年ごとの有期契約)
    ※2年目に正職員の登用の可能性有り
    ※業務開始日については相談に応じます
  • 勤務日:月~金曜日のうちの週4日前後(土・日・祝日・年末年始休)
  • 勤務時間:9:00-18:00(昼食休憩1時間、実働8時間)
    ※イベントや会議での休日出勤や、時間外勤務あり(その場合は振替休日の取得により対応)
    ※状況に応じて、テレワーク勤務あり
    ※前後2時間の時差出退勤制度あり
  • 給与:年齢・経験や能力を考慮の上、当法人規程による給与を支払う。
  • 手当:通勤手当支給(上限有り)
  • 保険等:健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険加入
  • その他:年次有給休暇あり(6カ月継続勤務し、8割以上出勤した場合)

勤務内容

SDGsジャパン事務局業務全般に関すること。

(1) 「誰一人取り残さない」SDGs達成のための政策提言活動。

  • SDGsジャパンが作成する政策提言文書のとりまとめ
  • 会議やセミナー開催の企画運営
  • その他関係する会議やイベント、セミナーへの参加と議事録取りまとめ など

(2) NPO・市民活動団体、国会・地方議員や政党、行政や企業と協働し、SDGsを達成することを目的としたセミナー、ワークショップ、研修などの企画、運営、コーディネート及び業務に関連する事務。

(3) SDGsジャパン会員とのコミュニケーション。

  • 会員団体とのコミュニケーション、各種問い合わせ対応
  • 会員団体及び支援者・機関向けの制作物の作成 など

勤務地

千代田区飯田橋1-7-10 山京ビル本館605(状況に応じて在宅ワークは応相談)
※新型コロナウィルス等感染症対策のため、団体として在宅勤務を決定した場合は、在宅で勤務していただきます。

応募者に求める経験や資質

  • 「誰一人取り残さない」SDGsの達成にむけた市民社会の取り組みに共感をもっており、政策提言における市民参加やネットワーク形成に関心があること。
  • 論理的思考と事務処理能力に長け、社会人経験が3年程度あること。
  • 事務作業を厭わず、少人数チームの中で円滑な人間関係を築くことができるコミュニケーション能力があること。
  • マイクロソフト「ワード」「エクセル」「パワーポイント」の扱いに習熟し、Eメール対応の実務での使用経験があること。
  • 日本語での業務が滞りなくできること(事務所内での基本使用言語は日本語です)。
  • 英語での業務ができる方を優先します。

※2024年4月からの勤務が可能(応相談)で、職務に求められる知識・技能のある方を優先します。

応募方法

応募を希望される方は、下記メールアドレス宛てにタイトルを「職員の応募について」と明記の上、以下の提出書類と合わせてご応募ください。

ご提出いただいた経歴書、志望動機書はお戻ししませんので予めご了承ください。

  • 経歴書(様式自由)
  • 志望動機書(当団体のウェブサイトをご覧いただき、志望動機とこれまでのご経験がどのように応募職種に生かせるかを2000字以内で明記してください)

採用方法

  • 第1次選考:経歴書、志望動機書
  • 第2次選考:面接(対面を基本としますが、現在海外在住など遠隔地にいらっしゃる方にはオンラインによる面接を行います)

応募期間

随時

※採用者が決定次第、応募を締め切ります。適任者がいない場合は、応募期間を延長します。


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)
担当:新田

  • nitta[※] [※]を@に変更してください。
  • 電話番号:03-5357-1773(月・水・木)10:00-17:00電話受付
  • 住所:千代田区飯田橋1-7-10山京ビル本館605



新刊案内・Publications「Temp」

この度、国際協力NGOセンター(JANIC)のシンクタンク部門、THINK Lobbyより、研究誌『THINK Lobbyジャーナル』第2号が発刊されました。

第2号では、「複合危機下の開発協力」を特集テーマに据え、市民社会の視点から貧国撲滅や平和構築等の国際課題に取り組んできた研究者による研究ノート/調査報告/書評に加え、昨年改定されたODA大綱に関する外務省を交えた座談会記事や昨年のG7広島サミットでの市民社会組織による活動報告等を収録しています。

もくじ

巻頭挨拶「開発協力大綱改定にみる国際協力の本質とNGOの役割」

座談会記事「日本の開発協力の未来を探る 開発協力大綱改定は我々に何を示唆するのか」

コラム「社会価値と企業価値の両立へ 新たな企業観を『実装』するために」

研究ノート「SDGsの中間年を迎えて『我々の世界を変革する』ための課題」
研究ノート「2つの危機下の世界のODA」

調査報告「複合危機下の国際協力途上国の債務問題と市民社会の役割」
調査報告「複合危機下の国際協力-保健分野を含めて-」
調査報告「在住外国人支援のアクターとしての社会福祉協議会と国際協力NGO/NPO―『多文化ソーシャルワーク』の先へ―」
調査報告「『伝統的』ドナーから『新興』ドナーへ 北と南のNGOの関係の再構築の試み」
調査報告「The Experience of Becoming a Refugee: Evacuation and Resettlement of Afghanistan Citizens in Japan」
調査報告「日本における女性の政治参加の現状と課題~G7サミットの機会を活用した市民社会による提言活動~」

報告記事「アジアセンター 第8回国際会議:『アジアにおける選挙と民主主義』に参加して」

活動報告「G7広島サミットに向けたC7およびG7市民社会コアリション2023の活動」
活動報告「Defending Democracy and Civic Space in Asia (DDCSA) and Tokyo Democracy Forum (TDF)」
活動報告「THINK Lobby Corporate Social Justice Project Report 2023」

書評「山形辰史著 『入門 開発経済学グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション』(2023)」

編集後記「『複合危機下の開発協力』はどうあるべきか?」

本文入手方法

論文データベースサイト「J-STAGE」(PDFおよびHTML形式)

電子版は以下、J-stageサイトから無料で閲覧・ダウンロードいただけます。

第3号への投稿募集中

第3号への掲載原稿の締め切りは、2024年9月30日です。

*まずは「投稿規定/執筆要綱」および「査読体制」をお読みください。応募いただいた原稿については、本号特集の構成などを総合的に勘案し、編集委員会で掲載可否について審査のうえ、後日編集責任者から採否について連絡いたします。なお、執筆内容について事前に相談を希望される方は、投稿文の仮タイトルと要旨を 600~800字程度でまとめ、お名前・ご所属・連絡用メールアドレスを明記した上で、以下事務局まで電子メールでお問い合わせください。

皆さまの研究成果の交流の場として、今後とも本誌をご活用いただけますと幸いです。


本件にかんするお問い合わせ先

『THINK Lobbyジャーナル』発売・発行・編集制作
編集・発行:NPO法人 国際協力NGOセンター
発行所:出雲出版(島根県出雲市下横町350)

  • admi [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



世界銀行セミナー「開発・気候・生物多様性のための森林グローバルチャレンジプログラム」4月10日開催(会員・一般)

世界銀行では新たに「グローバル チャレンジ プログラム」(GCPs:Global Challenge Programs)を展開しています。

これは、途上国政府に対する融資・助言・技術協力を提供する国際復興開発銀行(IBRD)/国際開発協会(IDA)、途上国で展開する民間企業による事業に対する投融資・助言を提供する国際金融公社(IFC)と保証を提供する多数国投資保証機関(MIGA)が一体となって、地球規模の課題への取り組みをさらに前進させるために官民セクターのソリューションをより迅速かつ効果的にとりまとめ、より多くの融資、より多くのパートナーシップ、より多くの知識を求めるニーズに対応します。

GCPsでは、複製かつ拡張可能なアプローチにより、各国がより迅速かつ効果的に開発成果を達成できるよう支援し、持続可能な開発目標 (SDGs) の達成に貢献します。最初のGCPsとして6件が選定され、そのうちの一つは「開発・気候・生物多様性のための森林」をテーマとするプログラムです。

この度、クリスチャン・ピーター世界銀行環境・天然資源・ブルーエコノミーグローバルプラクティス プラクティスマネージャーの来日の機会を捉え、クリティカルな森林バイオームにおける持続可能な森林経済の構築に向けてどのようなアプローチをとろうとしているのか、また、GCPが本分野において資金提供・支援を行う官民セクターの様々な団体とどのようにパートナーシップを構築できるかについてご紹介します。使用言語は英語(日本語への通訳なし)です。

開催概要

  • 日時:2024年4月10日(水曜)午後0時~午後1時(日本時間)
  • 方法:ハイブリッド(webex)
  • 詳細:

プログラム

報告

クリスチャン・ピーター
世界銀行環境・天然資源・ブルーエコノミーグローバルプラクティス プラクティスマネージャー

コメント

森尚樹
地球環境戦略研究機関(IGES)ファイナンス・タスクフォース プロフラムディレクター

報告者紹介

The World Bankクリスチャン・ピーター
世界銀行環境・天然資源・ブルーエコノミーグローバルプラクティス プラクティスマネージャー

環境、保全、天然資源管理において30年以上の経験を有する。1998年、世界銀行入行。アフリカ地域総局、ラテンアメリカ・カリブ海地域総局、東アジア・太平洋地域総局において、環境・天然資源管理の専門家として本部および現地事務所において融資業務に従事してきた。ドイツのゲオルグ・アウグストゲッティンゲン大学で森林科学・管理学修士号を取得。

申し込み方法

ご参加は以下のサイトからご登録ください。


本件にかんするお問い合わせ先

世界銀行東京事務所
大森

  • komori [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内「Reforms in Public Sector for Curbing Corruption in Bangladesh.」

Bangladesh is a growing economy with 180 million population in south-asian region. It got independence in 1971 with a bloody civil war which caused huge damaged in infrastructure and production system. After independence, Bangladesh progressed lot in human development and economic sector with help of other developed nations. But the main problem of this nation towards development is overwhelming corruption. This paper will discuss on corruption problem of Bangladesh, reasons behind corruption, reforms initiative taken by the government and provide some suggestion to solve this problem.

Main Problem of Bangladesh in the Way of Development:

Bangladesh achieved high level growth in last few decades. But during this period, this nation has been also suffering from rampant corruption in all level specially in public sectors. It is now the main problem in country’s progress and create hindrance in the way of development. “Just under 70 percent of youths described corruption and nepotism as the main obstacles to the country’s development in a recent survey conducted by Citizen’s Platform for SDGs, Bangladesh” (Mahmudul, 2023). According to Transparency Internationals (TI), a German based international Non-Governmental Organization, renowned for it its efforts for curbing corruption in worldwide “Corruption erodes trust, weaken democracy, hamper economic development and further exacerbates inequality, poverty, social division and environment crisis” (IT).

In TI run Corruption Perception Index (CPI) ranking, Bangladesh became most corrupted country for five consecutive years from 2001 to 2005. In contrary, during this period, it improve in terms of scores from 0.4 at 2001 to 24 at 2009. After that, its anti-corruption progress became stagnant and still it’s score 25 at 2022 and it’s ranking was 12th most corrupted country. It means, despite rapid economic growth, Bangladesh failed to deal with it’s main problem.

もくじ

Part-1: Reasons Behind of this Problem in Bangladesh:

Firstly, continuous political instability.

Secondly, corrupted political ruling parties.

Thirdly, lack of leadership.

Fourthly, culture.

Fifthly, regional influence.

Part-2: Reform Initiatives for Curving Corruption in Bangladesh:
Signed and ratified the International Conventions.

Establishing ‘The office of the Comptroller and Auditor General (OCAG)’.

Establishing ‘The Anti-Corruption Commission (ACC)’.

Enacted ‘The Right to Information Act-2009’.

Established ‘National Integrity Strategy (NIS)’.

Initiative for ‘Digital Bangladesh’.

Part-3: Possible Solutions to Curve the Corruption in Bangladesh:

A) Political Will.

B) Empowered Institutionalization.

C) Social Movement.

D) Enhancing Transparency and Accountability.

E) Deepening Democracy.

F) Utilizing the Global Experience.

G) Digitization.


本件にかんするお問い合わせ先

Monirul Islam
Master’s Student (2nd Year)
Department of International Business Law,
Graduate School of International Social Science,
Yokohama National University, Kanagawa, Japan

Mobile: 08040750987