『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2022年5月)

活動報告

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」では、2022年3月11日(金曜)に第1回研究部会を開催いたしました。本研究会は始まったばかりということもあり、成熟した研究・分析の結果のみならず、今後さらに発展させようとする計画段階の研究の発表も呼びかけ、多岐にわたる報告が行われました。

当日は30名が参加し、活発な議論がなされました。「ものづくり」をテーマに質疑を通じて多角的な視点が提示され、大学院生や若手研究者を含めた研究者間の交流にも繋がりました。研究部会はできる限り頻繁に開催し、学会の内外で、ものづくり研究のすそ野の広がりに繋げていければと願っています。

本研究部会の概要は以下の通りです。

  • 開催日時:2022年3月11日(金曜)9:30~15:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(京都大学稲盛財団記念館3階中会議室)のハイブリッド。

発表内容

  • 「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」
    神公明(JICA緒方貞子平和開発研究所 専任参事)
  • 「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」
    町北朋洋(京都大学東南アジア地域研究研究所 准教授)(有本寛、坪田建明との共同研究)
  • 「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」
    朴聖恩(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 博士課程)
  • 「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」
    松本愛果(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 博士課程)
  • 「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成-ものと人の関係に着目して-」
    山崎裕次郎(名古屋大学大学院国際開発研究科 博士後期課程)

活動予定

※第2回の研究会は、5月28日(土曜)を予定しています。

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




開催案内「【中高生リサーチキャンパス】国際協力入門講座(全8回)」第1回: 2/23~(会員・一般)

地球的課題を解決するため、子どもたちにもさまざまな教育がなされています。企業やNGOなどの出張授業もその1つ。その後、子どもたちの行動変容に結びついているでしょうか。

「運動」は、みんなで同じ方向に向かってアクションを起こすこと。「運動」を進めるために必要なのが「情報」。

子どもたちが調べ、個人の中に蓄積された情報をデータベース化し、全国の子どもたちが使えるようにする試みが「リサーチ(調査)運動」です。

本講座は8回連続となっており、国際協力の問題がおおむねカバーされるようになっています。この中で、子どもたちが「リサーチ運動」のしくみを知るだけでなく、子どもたちの言葉で調査項目を作り、保護者、友人、学校の先生に世界の現状を語りながら回答を依頼していきます(テーマは「共感性」「自立性」「自分ごと化」などを予定)。

全国から集まった回答は研究所が集計し、別日に報告会を設定します。
「インプット」「アウトプット」「チェック」のサイクルで実際に社会貢献活動を行ってもらう講座です。ご家族、ご親戚などと一緒にご参加ください。

開催概要

■日程(前半)

  • 第1回 2月23日(金曜・祝日)10:00~12:00 「調査運動とは」
  • 第2回 3月23日(土曜)10:00~12:00 「児童労働」
  • 第3回 4月21日(日曜)時間近日公開 「貧困」
  • 第4回 5月25日(土曜)10:00~12:00 「紛争と人道支援」

※第5~8回は7~10月下旬頃を予定しています。
※1回のみの参加も可能です。

■参加対象:中高生

※興味があれば小5~大人の受け入れ可能です(1家族チケット1枚でOK)。
※総合学習などで国際協力の授業をする教員の方は無料で傍聴できます。

■費用:各回3,000円(税込)

※報告書、報告会含む

申し込み方法

下記よりチケットを購入してください。

各回、前日24時まで。定員になり次第締切。


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所 吉浜

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:090-1242-1058/06-6943-9490



第32回全国大会セッション報告

11 月 20 日 (土曜)/ Sat. Nov. 20th, 2021

午前 I セッション/ Morning Session I 9:00-11:00 (GMT +9)

A1. 医療

  • 座長:松山章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:明石秀親(国立国際医療研究センター)、青柳恵太郎(メトリクスワークコンサルタンツ)

発表者

  1. 「パンデミックにおける医薬品へのアクセス― COVID-19との闘いにおける国際的な公正さとは―」
    勝間靖(国立国際医療研究センター(NCGM)グローバルヘルス政策研究センター(iGHP))
  2. 「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐって―」
    新本万里子(広島大学)
  3. 「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響 ― トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析 ―」
    島村靖治(神戸大学)
  4. 「ベトナム中部における妊産婦の検診・出産における医療施設選択行動の分析」
    佐藤希(愛知学院大学)

本セッションでは、「パンデミックにおける医薬品へのアクセスーCOVID-19 との闘いにおける国際的な公正さとはー」(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター・勝間靖)、「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐってー」(広島大学・新本万里子)、「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響―トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析―」(神戸大学・島村靖治)、「ベトナム中部における妊産婦の健診・出産における医療施設選択行動の分析」(愛知学院大学・佐藤希)の4件の発表が行なわれた。

勝間氏の発表は、COVID-19の医薬品、とくにワクチンをめぐる国際的格差の背景と公正に向けた取り組みの状況と課題を分析した、感染症パンデミック時代にタイムリーで重要な問題提起である。

新本氏は、文化人類学者マーガレット・ミードがかつて研究を行なった地域で行なわれた調査地からの報告であり、丁寧な聴き取りによって、女性の妊娠、出産を取りまく社会・文化的背景が近代化の中で変容しつつあることを描きだしている。

島村氏は、COVID-19パンデミックがベトナム中部地域における住民の医療サービスの利用にどのような影響を与えたかを、医療施設の受診記録を分析することで明らかにすることを試みた。この時期に大変貴重な研究であり、今後さらに追加されるデータの分析も待ち望まれる。

佐藤氏は、同じベトナム中部地域において、妊産婦の医療施設設選択行動、とくに1992年に導入された公的医療保険制度の加入の有無も考慮し調査、分析を行なった。中所得国における医療保険がサービス利用にどのような影響を与え、またどのような課題があるのかを明らかにすることは、他地域や国々にも有意義である。

コメンテーターは、国立国際医療研究センターの明石秀親氏と、METRICS WORK Consultantsの青柳恵太郎氏の2人がつとめ、各研究報告に対してより理解を深めるとともに、今後、研究を更に発展させるためのヒントとなるような質問やコメントが行なわれた。

初日朝一番のセッションであったが、20名近くの参加者があり関心の高さがうかがえた。

(松山章子)


B1. インフラと草の根開発

  • 座長:林薫(文教大学)
  • コメンテーター:花岡伸也(東京工業大学)、重冨真一(明治学院大学)

発表者

  1. 「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入―シャムナゴール郡の事例から―」
    山田翔太(立命館大学大学院)
  2. 「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築 ― ナムニアップ1水力発電プロジェクトに関わる少数民族の移転事例 ―」
    筒井勝治(ニュージェック)、冨岡健一(GUDC)、村上嘉謙(関西電力)
  3. 「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」
    福林良典(宮崎大学)、木村亮(京都大学大学院)
  4. 「フィリピンのインフラガバナンス / Infrastructure Governance of the Philippines: Has “The Golden Age of Infrastructure” come?」
    伊藤晋(新潟県立大学)

本セッションではインフラ開発・支援に関する4件の報告が行なわれた。

第1発表の山田翔太会員による「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入」では、バングラデシュの飲料水供給に取り組むNGOの課題を取り上げた。

本研究は、多くのNGOが飲料水支援をしているが、維持管理は受益者に任せており、NGO自身の水質調査やモニタリングは不十分であることが報告された。これに対し、需給状況、水質低下の原因などの点について議論が行なわれた。

第2発表では、筒井勝治会員、富岡健一会員、村上嘉謙会員による「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築」について報告が行なわれた。ラオスではゴミ処理場の容量が不足しており、資機材の不足、人材不足、意識の低さも問題となっていることが報告された。

ダム建設とごみ処理の関係について指摘がなされたが、報告者からは、水力発電プロジェクトのコンポーネントとして実施されたことに意味があるとの回答がなされた。

第3発表の福林良典会員、木村亮会員による「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」では、福林会員より途上国の農道や生活道路の5割以上の通行困難な状態な状況で、住民主体でどのように整備ができるかについての問題提起が行なわれた。

技術的制約も考慮してどの程度まで住民参加が可能か、オーナーシップの醸成はどのように確認できるかなどについて議論が行なわれた。

第4発表の伊藤晋会員「フィリピンのインフラガバナンス」は、フィリピンでは民間投資(PPP)が重視されてきたものの、進捗は思わしくなく、また公共投資も停滞していることが報告された。

実施機関のキャパシティー強化、PPPのさらなる活用と制度改善などが必要であると結論づけた。政治的なプロセス機能していないこと、ガバナンスが弱体で、民間が乱立、癒着が横行していることが問題ではないかという指摘があり議論が行なわれた。

以上、4件の報告に共通している問題は、社会システム、コミュニティーの対処能力、一人一人の意識などのすべてのレベルでの能力の向上が必要であるということである。キャパシティーは決して静的なものではなく、つねに生成発展している。これらの試みや調査研究のさらなる発展を望みたい。

(林 薫)


C1. RT「人の移動と開発―送出国にもたらす影響―」

  • 企画責任者:加藤丈太郎(早稲田大学)
  • 司会:金澤真実(上智大学)
  • 発表者:加藤丈太郎、バズラチャルヤ・ディヌ(Nepal Policy Research Institute)、田中雅子(上智大学)、石井洋子(聖心女子大学)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)、米倉雪子(昭和女子大学)

本ラウンドテーブルは、個人や家族などミクロレベル、地域社会や特定の階層や集団などメゾレベルへの人の移動の送出国への影響を紹介することで、受入国の論理で展開されがちな移民をめぐる議論に一石を投じることを目指した。当日は3組の報告があり、約15名の参加が参加した。

最初に、加藤丈太郎会員(早稲田大学)が「COVID-19感染拡大による技能実習制度への影響―送り出し側の視点から」と題して発表した。「移住インフラ」を用いて、送り出し機関職員9名へのインタビュー結果が分析され、受入国の規制が送出国に影響を与える状況が報告された。

つぎに、バズラチャルヤ・ディヌ会員(Nepal Policy Research Institute)・田中雅子会員(上智大学)が「「親の移住が『残された子ども』に与える影響―ネパールの事例」と題して発表した。日本で就労する親の子どもが多く通う学校でのインタビュー調査をもとに、外国就労中の親の不在が子どもの学業や心理的側面に及ぼす影響が、ケーススタディを元に報告された。

最後に、石井洋子会員(聖心女子大学)が「在外ケニア人が出身国へもたらすインパクト―アメリカ・メリーランド州での人類学的調査をもとに」と題して発表した。在米ケニア人が政府とは異なる形で母国に暮らす人びととつながりを持っている様子が述べられ、「移民力」という概念から、母国・ケニアの未来を照らす存在としての可能性が報告された。

討論者の米倉雪子会員・齋藤百合子会員からは、他の属性の移民・他国との比較の必要性など、分析を深めるための視点がコメントされた。本ラウンドテーブルの成果は『国際開発研究』2022年度第1号特集企画をはじめとする論文執筆にいかされる。

(加藤丈太郎)


D1. RT「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 司会:関谷雄一
  • 発表者:関谷雄一、大門毅(早稲田大学)、大谷順子(大阪大学)、乙部尚子(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本ラウンドテーブルは、2021年度より新たにスタートした「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の主催によるものである。同研究部会では新型コロナ禍で「取り残される人々」に対して、人間の安全保障の観点を踏まえつつSDGs目標の達成度や残されている課題に関して議論を続けている。

春季大会で行なわれた第1回目のラウンドテーブルでは、「開発レジリエンスと新型コロナ時代のSDGs」という題目のもとで議論が行なわれ、成果として新型コロナ禍により改めて、SDGsが途上国の問題ではなく私たち自身の問題であることを再確認し、SDGsを巡る言説の危うさにも言及がなされた。

また、インフォーマリティー(許容された違法性)や、「取り残された人々」に着目することの重要性も再確認された。第2回目RTの目標としては、パンデミック以後の時代を焦点に、開発、レジリエンス、SDsに関わる議論を展開した。

前半は4人による研究報告がなされた。関谷雄一からは「ハイブリッド調査の模索」、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)からは「新型コロナウィルス禍に於けるジェンダーと労働問題」、大谷順子会員(大阪大学)からは「中国の事例から考える」大門毅会員(早稲田大学)からは「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」という題目でそれぞれ報告があった。

その後、討論者である野田真里会員(茨城大学)からのコメントがあり、それに応答する形で、報告者と聴講者が交わる形での討論が展開された。

オンラインのつながりがもたらす研究調査のレジリエンスとは何か、パンデミックで益々脆弱な立場にある女性の状況、それに連動する女性の社会参画に対する低い社会認識をいかに改善するか、専門家ムラ・権威主義・同調圧力に抗し、オルタナティブな考え方や取り組みをいかに促すか、目標設定としては参加が容易だが、危機的な問題へのアクションにはなかなかつながらないSDGsとどう向き合っていくか、といった課題が残されていることが確認された。

(関谷雄一)


E1. Education

  • 座長:澤村信英(大阪大学)
  • コメンテーター:荻巣崇世(上智大学)、芦田明美(早稲田大学)

発表者

  1. “Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”
    Takao Maruyama (Hiroshima University)
  2. “Student Mobility to Japan in the Age of COVID-19 ―A Matter of Degree ―”
    Lauren Noelani Nakasato (Waseda University), Nobuko Kayashima (JICA Ogata Sadako Research Center)
  3. “Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon”
    Jean-Baptiste M.B. SANFO (University of Shiga Prefecture)

本セッションでは、以下の3件の発表があった。参加者は25~30人、コメンテーターは芦田明美(早稲田大学)および、荻巣崇世(上智大学)の各会員である。いずれの発表も本学会にとって重要な研究トピックであった。

(1)「Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”」(広島大学 丸山隆央):

開発援助機関がいかにデータとエビデンスにもとづきプロジェクトを改善、拡大することができるのか、インドのNGO Prathamを事例として検討し、どのようなレッスンが他の援助組織にあるかを考察したものである。実践者と研究者の協働によりプロジェクトを拡充させていく例であるが、二国間援助機関や国際機関、あるいは小規模なNGOにとって、どれほど応用が利くのかなど、議論が交わされた。

(2) 「Student Mobility to Japan in the Age of COVID=19―A Matter of Degree―」(早稲田大学 仲里ローレンほか):

コロナ禍において、世界的な留学生の動向と日本への移動を比較し、いかなる要因が影響を与えているかについて、検証するものである。パンデミック前後の留学生数の増減を、学位取得を目的とするか否かにより分類し、インタビューデータも活用し、分析している。学位取得型の留学に着目するなかで、修士と博士、あるいは専攻による差異がどのようにあるのか、日本で学位取得型の留学生が増えた背景などについて質疑が行なわれた。

(3) 「Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon」(滋賀県立大学 Jean-Baptiste SANFO):

アフリカ仏語圏4か国を対象として、初等学校における都市農村の学習到達度の格差の要因を量的分析により明らかにしようとしている。その要因として、測定可能な(tangibleな)要因・特徴とそうでない(intangibleな)ものに着目し、それぞれでどれほどこの格差を説明できるかを検証している。格差のパターンが対象国により、いかなる違いがあるのか、ジェンダーや学校規模、公立・私立による差などに関して、議論が行なわれた。

(澤村信英)


午後 I セッション/ Afternoon Session I 12:00-14:00 (GMT +9)

A2. 企画「コロナパンデミックを踏まえたインフラ分野における途上国支援」

  • 企画責任者:川辺了一(国際協力機構)
  • 司会:小泉幸弘(国際協力機構)
  • 発表者:金子素子(アルメックVPI)、久保彩子(国際協力機構)、田中圭介(国際協力機構)、藤田朗丈(ボストンコンサルティンググループ)、松原康一(日水コン)、松本重行(国際協力機構)
  • 討論者:松丸亮(東洋大学)、花岡伸也(東京工業大学)

2020年初めから全世界に広がった新型コロナウィルスは、2021年の今なお、世界経済、国際政治に多大な影響を与え、市民生活にも大きな変化をもたらしている。とくに、衛生環境が十分整っていない途上国の市民は、この感染拡大リスクに晒されており、医療分野や公衆衛生分野の支援が多く展開されている。

また、これを機に、途上国の市民においても、衛生環境の改善、ソーシャルディスタンスの確保、デジタル技術の活用等についての認識が変化しており、インフラ分野の協力では、この変化を踏まえたアプローチが求められる。

かかる背景を踏まえ、JICAでは、都市開発分野、公共交通分野、水・衛生分野について、今後の協力方針の検討に向けて「全世界COVID-19等感染症に対する都市環境改善プログラム形成準備調査」、「ポストコロナ社会の公共交通事業のあり方に係る情報収集・確認調査」、「水供給・衛生分野の新型コロナウィルス対策の教訓と必要な支援方策の検討」等の調査を実施している。

本セッションでは、これら調査結果等を報告するとともに、インフラ分野の途上国支援における今後の協力方針や新たな支援アプローチについて、コロナ禍を踏まえ「変わること」「変わらないこと」を中心に意見交換を行なった。

都市開発分野については、「多極分散」「近隣住区」の重要性が再確認された。また、公共交通分野では、その必要性は変わらないものの、公共交通の安全性確保にあたり、「交通安全」に加え「感染予防」が重要となることが確認された。水・衛生分野では、「健全な水道事業体経営」の重要性は変わらないものの、「脆弱層への手洗い促進」の重要性が確認された。

また、参加者からコロナ禍におけるリモート協議の有効性と限界について言及があり、ポストコロナにおいては、現地渡航とリモート協議の適切な併用が重要となることを確認した。そして、最後に、今後も議論を継続していくことを確認した。

(川辺了一)


B2. 教育Ⅰ

  • 座長:吉田和浩(広島大学)、
  • コメンテーター:森下拓道(JICA)、劉靖(東北大学)

発表者

  1. 「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響 ―ミャンマー連邦共和国小学5年生の事例―」
    牟田博光(国際開発センター/大妻女子大学)
  2. 「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題 ―カリキュラム開発者,教員,生徒へのインタビュー調査から―」
    日下智志(鳴門教育大学)
  3. 「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下における保護者の子どもへの家庭学習支援―国際比較調査の結果から―」
    谷口京子(広島大学)
  4. 「ネパール基礎教育における修学実態の分析 ― 留年は退学の主たる原因か ―」
    江嵜那留穂(愛知淑徳大学)

本セッションはコメンテーターを森下拓道会員、劉靖会員にお願いし、吉田和浩座長のもと、4本の発表を行なった。計39名の参加者があった。

まず、牟田博光会員が「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響」について、ミャンマーの小学5年生を事例として発表した。学力が低い子ほどミャンマー語が母語かどうかで大きく影響を受けるなど、学力、学校への好感度の高さへの家庭言語の説明力の高さを明らかにした。

参加者からは、少数民族にもミャンマー語との類似性に大きく差があることが指摘されるなど、活発な質疑応答がなされた。

つぎに、日下智志会員が「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題」について発表した。教科内容的に普遍性の高い数学について、コミュニティーのニーズに対応し、またそれと連携することができていない実態が明らかになった。

コミュニティーの範囲と定義、また、普遍性が高い一方で5進法を使う現地の考え方と教科書の違いなど、さらに検討を加える余地について質疑応答があった。

3番目に、谷口京子会員が「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下の子どもへの家庭学習支援」について19カ国の国際比較調査の結果をもとに発表した。保護者の電子機器を使う自信度と学習支援には有意な関連性が認められた。一方で、日本では家庭での学習支援時間が対象国中で最も短かった。

質疑では、電子機器以外の学習手段、また電子機器の多様性についても考慮する必要性などが指摘された。

最後に、江嵜那留穂会員が「ネパール基礎教育における就学実態の分析」として、従来の横断的データが、留年が退学の主たる要因であると主張するのに対し、縦断的(個別事例の経年調査)から、留年せずに退学する児童、留年経験はあるが修了する児童が多い実態を明らかにした。

質疑応答では留年者、中退者の学年別の考察、さらには個別事例から得られた情報の発展的な設問に応用する余地などが指摘された。

(吉田和浩)


C2. 保健・栄養

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • コメンテーター:古川光明(静岡県立大学)、池見真由(札幌国際大学)

発表者

  1. 「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康 ―南東部リンディ市におけるパイロット質問票調査―」
    阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、Parinya Khemmarath(宇都宮大学)
  2. 「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査―消費における近代と伝統の共存―」
    伊藤紀子(農林水産政策研究所)
  3. 「ザンビアの都市部におけるCOVID-19の障害者団体への影響―障害者の対処に焦点をあてて―」
    日下部美佳(京都大学大学院)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。

第1に阪本公美子、大森玲子、Parinya Khemmarathによる「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康」である。

この報告には、小学生たち自身の認識を問う意図があった。朝の体調不良などを訴える子供たちも少なくなく、また市内に通う小学生たちを対象に調査したにもかかわらず、野生の野菜や果物を摂取している場合も多いことなど、興味深い発見があった。とくに後者については、コメンテーターの池見真由から、経済的・社会的階層との関係性についての指摘がなされた。

第2に、伊藤紀子による「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査」では、食料消費の変化が食料安全保障に及ぼす影響などを意識した調査の結果、「伝統食」や「近代食」について、それぞれの特徴が存在していることが分かった。

池見からのコメントをふまえ、共食することが多いアフリカでの食文化において、「伝統食」や「近代食」の区別のありかたや、またこの2つのハイブリッド化についても議論された。

3つ目は日下部美佳による「ザンビアの都市部における COVID-19の障害者団体への影響」では、コロナ禍においてザンビアの障害者団体の運営にどのような影響が出ているかという、あまり日本では情報が得られない事柄についての基調な報告がなされ、(1)外国支援者との関係性の変化、(2)資金の多角化によるリスク分散、さらに(3)情報格差、といった視点からの考察がおこなわれた。

古川光明はコロナ禍の調査ではあるが、サンプル数の少なさ、評価基準や評価枠組みなどをどう考えるか、といったコメントがなされた。

全体に、コロナ禍という状況下において日本人研究者による訪問調査が難しいなか、多様な方法で調査を行なっていることには感銘を受けた。それゆえ3つの報告とも、今後のさらなる進展がおおいに期待できる。

オンライン開催となったこのセッションにおいても、手話通訳の実施やチャットを活用した意見交換などの工夫がなされ、学界全体にとってもコロナ禍後への示唆が大きかった。

(斎藤文彦)


D2. Community and Development in Asia(英語)

  • 座長:豊田利久(神戸大学)
  • コメンテーター:高木泰士(東京工業大学)、荒神衣美(アジア経済研究所)

発表者

  1. “Regional Distribution of Foreign Direct Investment in Indonesia: An Insight from Provinces and Sectors”
    Al Muizzuddin Fazaalloh (Nagoya University)
  2. “Consideration of Possible Tsunami Impact in the Coastal Areas of Pakistan by Numerical Modeling and Geographical Information Techniques”
    Babar Ali (Pakistan Meteorological Department / Toyo University), Ryo Matsumaru (Toyo University)
  3. “A Traditional Community House for the Ethnic Minorities in Central Vietnam ―A Qualitative Study on Ten Years of Community Management-”
    Akiko Iizuka (Utsunomiya Univeristy), Ayako Fujieda (Kyoto Seika University), Ueru Tanaka (Setsunan University)

発表1は、インドネシアにおけるFDIの決定因を、33州のパネルデータ(2010-2018)によって、産業全体および4産業部門(農業・製造業・公益産業・サービス業)別に分析した内容である。

産業全体では一人当たりGDP、 賃金、貿易開放度、都市化指標等が有意な正の効果を示す。他方、産業部門別では決定因に大きな違いがあることが示される。集積経済の効率性が達成されるようにFDIの誘導政策が必要であるとの結論も示す。製造業を1つのセクターとしていることの限界などの有益なコメントが与えられた。

発表2は、アラビア海に面したパキスタン沿岸部の津波リスクを数値モデリングとGISの手法でシミュレーション分析したものである。1945年に生じた大津波に関する2つの先行研究に基づくシナリオを考える。

津波の到達時間が早いので早期警戒の効果は大きくない。同じ沿岸部でも地理的条件が違い、西部は比較的津波被害が小さいが、東部は低地で産業・人口も密集しており被害が甚大になる。

過去に観測されたMw8.2の地震によって起きた津波高12mではなく、Mw9.2の地震による津波高16mに備える必要があるとする。これに対して1945年のデータの精度や津波高の現実性の検証の必要性などが指摘された。

発表3は、コミュニティ・ハウスの住民自身による工夫された管理が、農山村の持続的発展に重要な役割を果たすことを示す。

ベトナム中部の少数民族が居住するホン・ハ(Hong Ha)地区には、外部からの支援で建てられたコミュニティ・ハウスがいくつか存在する。京都大学とフエ大学のグループが共同設立したハウスは、地域住民によって自発的に改善・管理がなされている事例である。

当初は、災害避難と環境管理を主な目的に建てられたが、現在は、宿泊可能なエコツーリズムの拠点として収益をもたらし、またカフェを運営して住民の集う拠点となっている。住民自身によるコミュニティの自発的発展の重要性を示した。

このセッションは、経済、社会、工学分野の開発に関する事例を扱う学際的な構成となっており、まさに、この学会の縮図を感じさせるものであった。参加者数は15~20名であった。

(豊田利久)


E2. Agriculture

  • 座長:島村靖治(神戸大学)
  • コメンテーター:會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)、倉田正充(上智大学)

発表者

  1. “Women’s Socio-Economic Empowerment Through Agricultural Cooperatives: Case Study of Mali”
    Asmao Diallo (Doshisha University)
  2. “Determinants of Farm Households’ Vulnerability: A Case Study of Municipality of Dingalan, Aurora Province, Philippines”
    Masahiko Jin (Nagoya University, Former student)
  3. “Assessing the Performance of Agricultural Insurance Programs Using Korten’s Model of Fit: A Comparative Study of Japan and the Republic of the Philippines”
    Armand Christopher Rola (Doshisha University)

本セッションは、開発途上国の農業に関連する3つの報告が行なわれた。

第1の発表(Asmao Diallo)では、マリにおける農業協同組合(cooperatives)を通じた女性のエンパワーメントを主に、融資へのアクセス、市場へのアクセス、トレーニングのための機会の3つ視点から、質的な手法による検証が行なわれた。

コメントとして、男性の協同組合との違いや土地の所有権制度について質問が出されたが、発表者より詳細な説明がなされ、参加者の理解がより深まった。

第2の発表(Masahiko Jin)では、フィリピンにおける農業家計の脆弱性の決定要因を量的な手法により探求し、非農業就業や果樹栽培、家畜の保有が脆弱性の緩和に寄与していることが示された。一方でコメントとして、地域で共通する傾向のある(covariate)リスクと、各家計に特有の(idiosyncratic)リスクの明確な定義を確認する質問が出された。

また、リスクに対する事前的な対処(risk management)と事後的な対処(risk coping)とを峻別して、結果を解釈すべきという意見も出された。それぞれのコメントに対して発表者からの補足的な説明があり、有益な議論が交わされた。

第3の発表(Armand Christopher Rola)では、混合法(mixed method)を用いたフィリピンにおける農業保険と日本の農業保険(農済)との比較分析が行なわれた。

コメントとして、比較対象の選び方の妥当性やサンプリング方法の正当性、そして、分析結果の真偽性を確認する質問が出されたが、発表者によりひとつひとつ丁寧な追加説明があり、多くの疑問点が解消された。ただし、日本の農済についての分析については少し課題を残した。

そして最後に、発表者同士での質疑応答の時間もあり、とくにリスクに対する対処方策について活発な議論が行なわれた。

(島村靖治)


プレナリーシンポジウム14:20-17:05 (GMT +9)

『おんぼらーっとしまっし。石川仕立ての創成と共生、そして開発』

  • 企画責任者:和田一哉(金沢大学)
基調講演
  • 「FAO世界農業遺産事業の概要と農村開発への可能性」
    遠藤芳英(FAOローマ事務局)
  • 「持続的発展のための人材育成:世界農業遺産(GIAHS)『能登の里山里海』と『フィリピン・イフガオの棚田』の連携事業」
    中村浩二(金沢大学)
話題提供
  • 「地域資源の再評価と地域づくり -東洋大学能登ゼミの経験から-」
    髙橋一男(東洋大学)
  • 「自然資源経済と“輝く農山村”の創成-個性的な“顔(FACE)”を大事にする自治的地域づくりへ-」
    寺西俊一(一橋大学)
  • 「見渡せる範囲の実践共同体-コスタリカと能登で学んだこと-」
    北村健二(金沢大学)
  • 「ごちゃまぜのまちづくり」
    清水愛美(佛子園理事・Share金沢)
パネルディスカッション 
  • 司会・ファシリテーター:宇野文夫

戦後間もない頃から長きにわたり、開発(Development)と言えば経済成長(Economic Growth)とほぼ同義であった時代がある。しかし、周知のとおり、その後、徐々にその言葉の意義が問い直され、「人間開発」という言葉が表れるなど、人間の生活の質、そして「より良い生」とは、ということが問われるようになっていく。

さらに言えば現在、人が「より良い生」を送るにはどうすれば良いか、それを実現するための社会の在り方とは、という問いが課題になっていると考えられる。言い換えると、「開発」は人類の普遍的課題である、というのがそもそもの問題意識である。

それゆえに、石川という一地方から「開発」の意義を問い直すことにこそ価値はあるとの考えのもとに、本セッションは企画された。

現在の社会は、効率化、規制緩和、都市への人口集中、その一方で地方の過疎化という状況にあると言える。これは経済効率一辺倒の流れ、とも言い換えられる。しかし、そのような流れとは一線を画し、地方に本質的な価値を見出そうという動きが、他方で存在する。

それは、「失われつつある何か」の価値を再検討しようとする動き、と換言できるかもしれない。ここでいう価値、価値観といった言葉は、その社会で重視すべきことは何か、あるいは社会はどうあるべきか、といった問いに答えるための基礎となるものが想定されている。

このような問題意識を検討すべく、まず2本の基調講演によって石川という地方の現状について「世界農業遺産」を切り口に把握した。そして、4本の話題提供とパネルディスカッションを通じ、失われつつある価値あるものとは何か、そのような価値観を醸成するためのヒント、社会の在り方、そして「より良い生」とは何か、をテーマに議論した。

真の「開発」とは、そして我々が目指すべき社会とはいかなるものかという壮大な問いに関して活発な議論が交わされた。

(和田一哉)


11月21日(日曜)/ Sun. Nov. 21st, 2021

午前 II セッション/ Morning session I 9:30-11:30 (GMT +9)

A3. RT「日本国内の課題解決にODA人材は貢献しうるのか ―途上国の教訓・ネットワークを国内に、国内の教訓・ネットワークを途上国へ―」

  • 企画責任者:河野敬子(海外コンサルタンツ協会)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:平林淳利(JICA)、千田雅明(パシフィックコンサルタンツ)、細江絵梨(根浜MIND)
  • 討論者:高野翔(福井県立大学)

実務者からの情報発信強化および、研究者との交流によるODAの質的改善を目的とした、ECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し、今回3回目の開催となった。

今回は、日本国内の社会的課題が深刻化するなか、1)ODA人材は国内の課題解決の役に立てるか?「何に」「どのように」役に立てるか、2)国内の取り組みを、途上国への技術協力のさらなる充実につなげることができるか、といった2つの問いを軸に事例発表を交え、ディスカッションを行なった。

平林氏の発表では、まちを元気にする支援として、岩手県釜石市におけるJICAの取組みの紹介と、JICAの今後の国内連携強化の可能性について報告があった。

千田氏の発表では、国内でのコンサルティング業務の転機となった東日本大震災の復興にかかわる業務や、その経験を生かした途上国での災害復旧支援業務、また、その両者の経験を活かした国内外を結ぶプロジェクトの紹介があった。

細江氏の発表では、釜石市の「オープンシティ戦略」に基づく根浜地域において、地域の外と中をつなぐコーディネータの役割を通して、課題解決に重要な「対話」や「意思決定」について紹介があった。

高野氏からは、これまでの経験を踏まえたまちづくりを実践・研究している立場から、ODA人材を「風の人」、その土地に根付いた地域の人を「土の人」と表現し、風の人が土の人の属性を少しでも持つことが重要であること、自分事と捉えて取り組むこと、自治体とのネットワーク構築、JICA海外協力隊の活用、働き方改革を実現するための仕組みづくりが大切であるとコメントした。

ディスカッションでは、国内外問わずこれからは「教訓」を「共有」し、「共感」を得ることでモチベーションを上げ、そのような人材で地域に根差したムーブメントを作っていくことが大切ではないか、また、その経験を含んだ事例を世界に向けて発信することも重要だろうといった議論があった。

40名前後の参加者をえて、ラウンドテーブルらしい活発な議論が行なわれた。

(河野敬子)


B3. 環境・復興

  • 座長:安達一郎(JICA研究所)
  • コメンテーター:佐々木大輔(東北大学)、石渡幹夫(JICA)

発表者

  1. 「パキスタン気象局技術グループ職員の専門知識共有に関する考察」
    内田善久(東洋大学大学院/国際気象コンサルタント)、松丸亮(東洋大学)
  2. 「グローバル化におけるネパールの災害復興のネットワーク―ネパールの被災地パタンと在日ネパール人コミュニティの関係から―」
    竹内愛(南山大学)
  3. 「ラオス国山岳民族モン族の移転に伴う灌漑水田の開発と生活の変化 ― 山地の陸稲から低地の水田へ ―」
    冨岡健一(GUDC)、筒井勝治(ニュージェック)、村上嘉謙(関西電力)
  4. 「インドネシアにおける泥炭地管理の制度的課題:西カリマンタン州パワン・クプル泥炭ドームを事例として」
    久保英之(地球環境戦略研究機関)、Arief Darmawan(インドネシア国ランプン大学)

本セッションは(環境・復興)となっていたが、当日の報告は防災がメインで、一点社会配慮に関する報告となった。報告の内容は、泥炭地管理から、ダム移転に関する少数民族の保護といったバラエティに富むもので、方法論含めて幅広かった。ただ、共通して現場でのさまざまな課題への取組みに関する研究であり、実務からの報告である。

また、泥炭地管理といった課題、震災復興に向けての取組み、気象局のキャパシティ、そして住民移転の報告すべてにおいて、現地のローカルナレッジや、先方関係機関の知恵やキャパシティの重要性を取り上げていることである。

コメンテーターからは、示されている結論や分析方法に対する指摘や、とくに実務研究としてどういった方法論を用いて分析を行なっていくのかという提起があった。

現場報告では、こうしたことがあったという調査報告的な側面が強くなりがちななかで、研究としての方法論の模索を行なっていくことが重要である。また、今回のセッションにおいては、開発協力のなかで、より現場でのキャパシティやナレッジの重要性が確認されたと言える。

(安達一郎)


C3. 産業・経済・労働

  • 座長:小國和子(日本福祉大学)
  • コメンテーター:佐藤裕(都留文科大学)、牧田りえ(学習院大学)

発表者

  1. 「グラミン銀行は何をもたらしたのか―マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々―」
    鰐部行崇(法政大学大学院)
  2. 「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」
    榊原正幸(総合地球環境学研究所)、笠松浩樹(愛媛大学)、山口勉(エスペックミック)
  3. 「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察―持続可能な開発の視点から見る伝統保存の意義―」
    田中志歩(広島大学大学院)

本セッションでは、3本の個別報告が行なわれ、最多で38名の参加があった。

鰐部行崇会員による「グラミン銀行は何をもたらしたのか――マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々」では、グラミン銀行の歴史を遡り、1983年から2019年の財務資料の分析と債務者の語りから、グラミン銀行が激化する競争環境を背景に資本主義的経済活動を強化していった様と、その中で負債が膨れ上がり「借金人間」が生み出されたプロセスを批判的に考察した。

コメンテーターの佐藤裕会員からは、節構成に関する助言、関連文献の紹介、「成功」と「失敗」の判断においてMF/MCの運営がさまざまなアクターにもたらす、意図せざる結果にも着目する必要性が提示された。

榊原正幸会員による「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」では、零細小規模金採掘が大気の水銀汚染の主たる汚染源となっている状況を説明し、問題低減の道筋を明らかにする手立てとして、住民、民間、研究者などさまざまなステークホルダーの対話と協働の場となるトランスディシプリナリー実践共同体の結成と、その協働を通じて権力の非対称性を低減し、フォーマルなマルチセクター間協働へと発展させる可能性を、具体例にもとづき提示した。

コメンテーターの牧田りえ会員からは、これら実践の学術的示唆として、実践共同体の概念的構成をより深める必要性が提示された。

田中志歩会員による「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察――持続可能な開発の観点から見る伝統保存の意義」では、カワウソ漁を行なうA村10世帯に対する詳細な聞き取り調査から、現地におけるカワウソ漁の位置づけやその経年変化の一端が描写された。

コメンテーターの牧田会員からは、個々の情報の面白さの先に、いかなる学術的な問いが立てられるのか、そのリサーチクエスチョンの明確化に向けて助言がなされた。

最後に全体での質疑応答がなされ、チャットや口頭で複数のコメントが寄せられた。

(小國和子)


D3. 市民社会

  • 座長:林裕(福岡大学)
  • コメンテーター:華井和代(東京大学)、西浦昭雄(創価大学)

発表者

  1. 「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」
    古川光明(静岡県立大学)
  2. 「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」
    森尾貴広(筑波大学)
  3. 「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか―ラテンアメリカ5カ国の比較検証―」
    河内久実子(横浜国立大学)
  4. 「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」
    栗原俊輔(宇都宮大学)

オンライン開催となったため、本セッションの4名の発表者もオンラインでの発表となった。そのような状況においても、4名による報告は有意義で活発な議論を喚起した。

発表1:古川光明氏(静岡県立大学)は「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」と題して、紛争影響国の分断された社会におけるスポーツ大会が各層における平和と団結に貢献することを、事例に基づいて報告した。

発表2:森尾貴広氏(筑波大学)は、「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」において、日本が主導するアフリカ開発会議(TICAD)が、日本企業のアフリカ進出に対して複数の国へ同時に進出する傾向を明らかにした(西部アフリカを除く)。

発表3:河内久実子氏(横浜国立大学)は、「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか:ラテンアメリカ5カ国の比較検証」と題して、米国の平和部隊がラテンアメリカ諸国から追放された背景と動機の解明を、国際政治環境に目配りしつつ、米国の公文書等に依拠した考察として報告した。

発表4:栗原俊輔氏(宇都宮大学)は、「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」と題して、宇都宮大学で実施するJICA草の根技術協力事業評価のなかで、学生とスリランカ紅茶プランテーション農園青年層による参加型モニタリング・評価が、相互に学びと自信を与えたことを報告した。

市民社会セッションでは、華井、西浦両コメンテーターによる鋭く、かつ生産的な指摘、そして、参加者との活発な質疑応答によって、問いの在り方や研究の意義、研究手法と結果等、有意義で今後の更なる研究の深化に向けた貢献がなされた。

また、本セッション自体もオンラインであったが、栗原報告は報告内容そのものがオンラインでの事業評価を考察するなど、現代の世相を反映するものであった。

(林 裕)


E3. 企画 “International Development Cooperation of Japan and South Korea -New Strategies for an Uncertain World-”

  • 企画責任者:Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University)
  • 司会:Tatsufumi Yamagata
  • 発表者:Tatsufumi Yamagata, Shinichi Takeuchi (Tokyo University of Foreign Studies / IDE-JETRO), Huck-ju Kwon (Seoul National University), Jisun Song (Korea National Diplomatic Agency), Hyomin Jung (Kyoto University), Motoki Takahashi (Kyoto University), Eunju Kim (Hansung University)
  • 討論者:Toru Yanagihara (Takushoku University)

本セッションは、以下の本の出版を契機として開催された。

Huck-ju Kwon, Tatsufumi Yamagata, Eunju Kim and Hisahiro Kondoh eds., International Development Cooperation of Japan and South Korea: New Strategies for an Uncertain World, Palgrave, 2022。

本書は、当学会と韓国国際開発協力学会(KAIDEC)との協力プロジェクトの成果であり、2022年初めに出版予定である。

本セッションは、編者の一人である山形辰史が座長を務め、本書の執筆者のうちの数名が報告を行なう形態をとった。行なわれた報告は以下のとおりである。

  1. 山形辰史(立命館アジア太平洋大学)「序章および終章」
  2. 武内進一(東京外国語大学/ジェトロ・アジア経済研究所) “Policy Concepts and Normative Rationales in Japan’s Foreign Aid: Human Security, TICAD, and Free and Open Indo-Pacific.”
  3. Huck-ju KWON (Seoul National University) “Reflection on a normative rationale for Korean ODA policy: Duty, self-regards and obligation.”
  4. Jisun SONG (Korea National Diplomatic Agency) “Foreign Aid as Foreign Policy Instrument and its Institutional Development: Case Study of South Korea.”
  5. 鄭 傚民(京都大学)”Quest for Combination of Economic Development and Poverty Reduction: Dual Features of Japan’s Aid in the post-Cold War era and After.”
  6. (6) Eunju KIM (Hansung University) “Balancing Universal Values and Economic Interest through Development Cooperation in Korea.”

討論者は、柳原透会員(拓殖大学)であった。

序章では問題意識として(1)日韓のODAの共通のメカニズム、(2)日韓ODAの究極目的、(3)日韓ODAの今後の戦略を問うた。それに対して終章では、(1)援助を受け入れて産業発展を行なった経験と、その経験を基にした周辺アジア諸国への国際協力、がメカニズムとして指摘された。

(2)については、国際公共財の構築が目的とされ、(3)に対しては、産業発展のための官民連携を行なう際にも、民間側の制約に官側が縛られるのではなく、むしろ民間側のスコープを広げるべきであることや、共通点の多い日韓ODAが戦略的に強調行動をとった場合のシナジーの大きさが指摘された。

これに対して柳原会員は、(1)(2)(3)それぞれの結論が可能性の指摘に止まっており、十分な説得材料に欠けることを課題として挙げた。

(山形辰史)


午後 II セッション/ Afternoon Session II 12:15-14:15 (GMT +9)

A4. RT「開発協力事業における評価の方向性」

  • 企画責任者:佐藤洋史(国際協力機構)
  • 司会:佐藤洋史
  • 発表者:鴨谷哲(JICA)、川本華子(JICA)、秋元祥恵(JICA)、富田洋行(JICA)、大川太郎(JICA)
  • 討論者:伊藤 晋(新潟県立大学)

本セッションでは、開発協力事業における評価の今後の方向性および、あるべき姿に関する議論を深めるため、4つのテーマについて6名の報告者からの話題提供を受け、討論者・参加者を交えた議論が行なわれた。

冒頭、本ラウンドテーブルの企画者である佐藤より、ラウンドテーブル企画の背景、目的について説明した。

最初の発表として、鴫谷哲氏より、本ラウンドテーブルの他の報告内容を含むJICAの事業評価の昨今の取り組みを俯瞰する報告がなされた。

つづいて、川本華子氏より、ルワンダにおける教員間の校内相互研鑽強化プロジェクトの効果発現に至るプロセスを遡り、DAC評価項目とは異なる視点で事業を振り返りながら、今後の類似事業の形成・実施に向けての教訓が報告された。

その後、秋元祥恵氏、吉岡佐知子氏より、Theory of Change (ToC)を用いた、目標達成に向けた事業の変化の軌跡の検証結果を踏まえた留学生事業の評価の在り方について報告された。

最後に、富田洋行氏、大川太郎氏より、開発課題別の事業戦略の強化・推進に向けた最新の取組み状況と、今後の評価上の対応課題等について報告された。

報告の後、討論者である新潟県立大学の伊藤晋会員より、プロセスの分析を実施するうえでの課題、TOCを活用する際の限界や、新たな事業マネジメントにおけるクラスター評価と内包される個別事業の評価との関係、これら新たな取り組みを、さまざまな制約のなかでどのように実施していくか等についてコメント、議論が行なわれた。

また、参加者からも、新たに追加された整合性評価を実施する際の留意点について質問が挙がるなど活発な議論が行なわれた。

(佐藤洋史)


B4. 教育Ⅱ

  • 座長:關谷武司(関西学院大学)
  • コメンテーター:笹尾隆二郎(アイシーネット株式会社)、石田洋子(広島大学)

発表者

  1. 「日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―」
    萱島信子(JICA)、杉村美紀(上智大学)
  2. 「中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―」
    羅方舟(大阪大学大学院)
  3. 「コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性-ネパールでの協力事例から-」
    三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)

萱島信子会員(国際協力機構緒方研究所)と杉村美紀会員(上智大学)から、『日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―』について発表いただいた。ODAによる留学生招聘の辿ってきた道筋を、史資料と統計資料の分析から明らかにし、今後の発展に向けての示唆を得ようとする報告であった。

コメンテーターである石田洋子会員(広島大学)からは、これらの事業の達成度や、受入人数の増減にある背景、今後も続けることの意義などについて質問があり、発表者からマレーシアの例などを踏まえた説明がなされた。

つぎに、羅 方舟(大阪大学 人間科学研究科)会員から『中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―』について発表があった。本研究の目的は、中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画を明らかにすることであり、多様な進路選択とキャリア計画を、留学生の個人的経験と関連づけながら分析した。

コメンテーターの笹尾隆二郎会員(ICネット株式会社)から「アフリカ人の留学先として中国を取り上げたこと、加えて、教育面に限定されていない学生の留学後の進路選択やキャリア計画をとりあげたことで新規性があり、興味深い課題設定がなされている」とのコメントが寄せられた。

3つ目の発表は、三宅隆史会員(シャンティ国際ボランティア会)から『コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性―ネパールでの協力事例から―』が発表された。本発表では、コミュニティ学習センタ ー(CLC) の自立発展性を確保する支援のあり方はどうあるべきかを研究課題として、ネパールでの協力事例を基に考察が行なわれた。

コメンテーターである石田洋子会員から自治体との連携などが質問され、発表者からスケールアップと資金確保が課題として挙げられることなどが報告された。

(關谷武司)


C4. 企画「アフリカ遊動社会におけるレジリエンス変容の探究―人道支援・開発ギャップ克服に向けて―」

  • 企画責任者:湖中真哉(静岡県立大学)
  • 司会:湖中真哉
  • 発表者:島田剛(明治大学)、孫暁剛(静岡県立大学)、佐川徹(慶應義塾大学)、波佐間逸博(東洋大学)、湖中真哉
  • 討論者:柳原透(拓殖大学)

本企画セッションは、東アフリカ遊動社会を対象として、彼らの社会におけるグローバルな領域とローカルな領域の接合状況に着目しながら、彼らのレジリエンスの在り方を探究することを目的とし、そこから開発と人道支援の可能性を探った。おもに扱われたのは、気象的リスクと紛争リスクである。

最初の島田剛による報告「気候変動による災害のアフリカの経済成長、 農業、紛争への影響と、援助の役割:1961-2011のパネルデータによる計量分析」では、アフリカ全域における気候変動による災害の影響を解明し、マクロな視点からレジリエンス課題の大枠を概観した。

第2の孫暁剛による報告「水資源の開発と利用に見られる遊牧民のレジリエンス」では、ケニアの遊牧民レンディーレ社会における水資源の利用を事例とし、遊牧民が新しい技術や資源を積極的に取り入れていることが解明された。

第3の佐川徹による報告「生業多様化とレジリエンス─東アフリカ牧畜民が漁労をはじめた論理」では、エチオピアの農牧民ダサネッチ社会において漁撈へと生業が多様化した背景を理解するためには、関係論的な視座が不可欠であることが示唆された。

第4の波佐間逸博による報告「構造的暴力に対抗するレジリエンス ─遊牧の人為的危機に直面したウガンダの牧畜社会におけるシティズンシップの実践─」 、および第5の湖中真哉による報告「遊牧社会における内在的なレジリエンスの在り方と開発・人道支援 ─ケニア・サンブル社会における紛争と国内避難民の事例から─」は、ともに紛争リスクに対するレジリエンスを扱っており、遊牧社会の内在的なロジックを探った。

柳原透より全体に対してコメントがあり、レジリエンスの定義、内在性、対象となる社会集団の単位等が議論され、また、レジリエンスのモデルが整理された。フロアからは資料評価をめぐっての質問があった。

最後に、レジリエンスの研究においては、イーティックな視点とイーミックな視点の共存が必要であることなどが指摘され、学際的なレジリエンス研究の必要性が確認された。

(湖中真哉)


D4. RT「研究と実践のインターフェースを探る―研究×実践委員会主催ラウンドテーブル―」

  • 企画責任者:小林誉明(横浜国立大学)
  • 司会:小林誉明
  • 発表者:小林誉明、志賀裕朗(JICA緖方研究所)、ラミチャネ・カマル(筑波大学)、佐藤峰(横浜国立大学)、浜名弘明(デロイトトーマツコンサルティング)、功能聡子(ARUN)

研究と実践との関係について議論するための場を提供すべく、春の大会に続いて、研究×実践委員会が主催したラウンドテーブルである。「研究と実践のインターフェースを探る」と題し、“研究と実践との幸せな結婚”はありえるのか?“を議論した。

小林会員による全体像の見取り図が示された後、各登壇者(委員)から、それぞれの考えるインターフェースの具体例が提示された。

その後、フロアからは活溌な意見が繰り出された。例えば、メインストリームの実践のあり方に対して代替案を出すような研究があってもよいのではないかという意見が提出され、研究者と権力の側との距離感について意識することの重要性が再認識された。

また、研究のたねにはならないようなものを吸収する仕組みが研究者側にあってもよいという意見は、研究者側の受け入れの姿勢を問うものであり、一方、大きな組織の場合、実務家のリテラシーに比較して研究者の権限が弱くなっているという事案も示され、実務家の側のあり方も問い直される機会となった。

末筆ながら、筆者は、プレナリーセッションにて北村健二先生が指摘されていた「見渡せる範囲の実践共同体」、つまり「小さくてもよいので、その人の次の一歩を支援」するような実践というものに、大きなヒントが隠されているように感じた。

実践の現場はそれぞれのセクターのなかにあり、例えば研究者が所属している大学でいえば、教育の現場がまさにそうなのではないかと感じた次第である。

(小林誉明)


E4. Peace, Democracy and Global Divide

  • 座長:花谷厚(JICA)
  • コメンテーター:片柳真理(広島大学)、重田康博(宇都宮大学)

発表者

  1. “Global Citizenship Education – Youth work in an undemocratic society― AIESEC – an international student organization in Vietnam ―”
    Nguyen Thanh Van (Sophia University)
  2. “Indigenous Self-determination in Cherán, Mexico: Organised Distrust as a Democratic Practice”
    Erick Cosme Gomez (Hiroshima Jogakuin University)
  3. “Transcending the Global-Local Divide: A Framework for Analyzing Technocracy in Peace Work” 
    BALLESTEROS, Marie Donna (Nagoya University)
  4. “Formulation of Practical Model in Poverty Reduction by Microfinance―Analysis of Case Study in India-”
    Hiromi Inami (JDI)

本セッションでは標題テーマのもと、4件の報告が行なわれた。 コメンテーターは、広島大学大学院・片柳真理教授(報告1.および3.)、宇都宮大学・重田康博教授(報告2.および4.)が務められ、座長は、JICA緒方研究所の花谷厚が務めた。

報告1は、社会主義体制下にあるベトナムにおける地球市民教育(GCE)の可能性について研究したもの。国際学生団体であるAIESEC活動経験者に対する調査を通じて、同団体での活動が、経験者の国際的・社会的問題への理解を深めるとともに、社会貢献活動への参画、リーダーシップ育成に貢献していることが確認され、ベトナムにおいてAIESECがGCEの一つの有効な機会を提供し得ることが示された。

報告2では、メキシコ中西部の先住民族の町チェランにおける住民自治のメカニズムを、ローザンバランの「対抗民主主義」の視点から分析した。チェランの4つのコミュニティにおける観察を通じて、審判・監視・否定の「組織化された不信」(organized distrust)が、地域の民主的統治に有効な役割を果たしていることが示された。加えて平和構築論への含意として、信頼とともに不信のメカニズムを構築することの重要性が指摘された。

報告3では、平和活動を支援する国際社会とローカル組織間の関係を、「テクノクラシー」の浸透に注目して論じた。フィリピンで平和活動に従事する市民社会組織(CSO)とドナー等外部組織間の関係分析を通じて、平和活動におけるテクノクラシーの分析枠組を提示した。

報告4は、インドの「女性自営者協会(SEWA)」を対象に、同団体の行なう融資・起業支援活動が、受益者女性の生計・生活に与えた影響について評価した。メンバー女性への聞き取りに基づき、融資や訓練を通じて受益者の生計が改善するだけでなく、家庭内・対流通業者関係において、発言権を増していることが報告された。

コメンテーターからは、RQ、分析枠組み、調査対象選定理由等をより明確にすべきとの指摘のほか、報告2.については「組織化された不信」の他の紛争影響国への適用可能性について意見が交わされた。フロアからは、報告4.のSEWAの活動実態や運営方針について質問があった。

全体を通じて、グローバルに共通する課題に対してローカル組織による独自の取組みの有効性・可能性が示された有意義なセッションとなった。

(花谷厚)


午後 III セッション/ Afternoon Session III 14:20-16:20 (GMT +9)

A5. 企画「ODAを活かしてCollective impactを実現することは可能か?―JICA「クラスター・アプローチ」を通じた共創の試みとその課題―」

  • 企画責任者:永見光三(JICA)
  • 司会:小林 誉明(横浜国立大学・JASID研究×実践委員会委員長)
  • 発表者:室谷龍太郎(JICA)、吉田友哉(JICA)、永見光三(JICA)
  • 討論者:功能 聡子(ARUN)、キム・ソヤン(東京大学・西江大学)

本ラウンドテーブルでは、ODA・開発援助機関の役割が、個別事業の実施に留まらず、多様なパートナーと協働してのCollective impact創出へと変化しているという認識のもと、JICAが始めているグローバル・アジェンダ(GA)および、クラスター・アプローチの取り組みについて、その意義や課題について議論した。本ラウンドテーブルは、国際開発学会の「研究×実践」委員会の活動の一環として企画された。

JICAから参加した室谷室長がクラスター・アプローチの概要を説明したうえで、吉田会員・永見会員とともに、平和構築、保健医療、防災のそれぞれの分野での取組み・検討状況を紹介した。

この取組みについて、討論者3名からコメントや問題提起があった。功能氏は、SSIR(スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー)の議論も紹介しつつ、エクイティ(公平・公正)の視点の重要性を指摘し、Collective impact成功の5条件(共通のアジェンダ、共通の測定システム、相互に補強し合う取り組み、継続的なコミュニケーション、活動をサポートするバックボーン組織)を満たす構造づくりにJICAがどのような役割を果たすか、という問題を提起した。

キム会員からは、このような変革をなぜ今、何のために取り組むのか、クラスターによって役割分担が固定化されることはないか、どのような制度改革が考えられているか、という指摘があった。

大山会員からは、組織内でのクラスターの位置づけと制度変更の可能性、JICA側の支援策の整理に被援助側の視点を取り込む方法、Collective impact実現のためにアクターの継続的な関与を促す仕組み、といった点への指摘があった。

聴衆からの参加も含めた意見交換では、JICA内の制度的な変更の検討についても共有されたほか、日本の経験に拘りすぎずにどのようなベスト・ミックスを実現するか等が議論された。

司会の小林会員は、研究者がクラスターの検討の段階から貢献できる可能性を示唆しつつ、引き続き実践的な改革のためにも研究者と実務者の議論を続けたいとしてセッションを終えた。

(小林誉明)


B5. RT「『開発』の多重性―アジア・アフリカから語り始める―」

  • 企画責任者:汪牧耘(東京大学)
  • 司会:近江加奈子(国際基督教大学)
  • 発表者:綿貫竜史(名古屋大学)、須藤玲(東京大学)、神正光(元名古屋大学学生)

本ラウンドテーブルは、「若手による開発研究」部会による企画セッションである。「開発とは何か」という古くて新しいテーマに対して、「非欧米社会」に立脚する若い世代の研究者なりに改めて問題提起をしようとした、野心的な計画だといえる。

そこで、5人の若手研究者が、東ティモール、バングラデシュ、中国、日本、フィリピンと南アフリカから見た「開発」の多重性を共有した。それは、単一言語や国際的な観念上の約束だけでは回収できない多様な「開発」のあり方を横並びするだけではない。

多様なあり方の関連性を見出し、さらに、ひとりの若手研究者としてどのように「開発」に向き合っていくかという点まで踏み込んだことで、有意義な議論になったと考える。

なかでも、(1)開発をめぐる知識と実践が「言語」によって区切られている現状と、(2) 開発を目指す「豊かさ」の先にあるもの、という2つの論点をめぐって、登壇者は意見を活発に交わしていた。

具体的には、「開発」を研究していくにあたって、ある国や地域の人びとの年齢、人口規模、時代体験や時間感覚などの視点の重要性が言及された。また、尊厳の奪還、アイデンティティの追認、素朴の維持、人間性への回帰などといった、非物質的な「豊かさ」が現実的に「開発」の語り方を形づくっているような実態もあぶり出されている。

本セッションでは合計30人ほどにご参加いただいた。フロアから、障がいを持つ人が求める開発、開発と近代化の線引き、さらに開発の次に語り始めるべき議題など、示唆に富むコメントが多く示された。

開発に携わる人びとが「開発」を語ろうとする意欲と、語り方を洗練していく必要性を実感したところ、「若手による開発研究」部会のこれからの活動に着手するヒントを得たといえる。今後、若手の開発研究者が共同研究を通して、既存の「開発」の語りを相対化し、アジア・アフリカからの知見を体系的に構築していくことを望む。

(汪牧耘)


C5. 企画「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」

  • 企画責任者:佐藤峰(横浜国立大学)
  • 司会:佐藤峰
  • 発表者:菅野智子(横浜国立大学)、Yesmen Kazia(横浜国立大学)、Saidur Rahman(横浜国立大学)、牛夢婷(横浜国立大学)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)

今回は、横浜国立大学佐藤峰研究室として企画セッション「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」を行ないました。

セッションでは、司会の方で企画の説明をしたのちに、当事者のウェルビーイングの戦略もしくは、新たな社会課題の認識に関わる発表を行ないました。前半の二つの発表では、より新しい社会課題と当事者の課題認識に焦点を当てて論じました。

第一発表(菅野智子)では、トンガ王国における生活習慣病の文化的に適切な対処を、第二発表(Yesmen Kazia)は、バングラデシュにおける大卒女性の就活における障壁、および当事者の認識を取り上げました。

後半の二つの発表では、より社会課題の当事者による対処や戦略に視座をシフトしました。第三発表(Saidur Rahman)では、バングラデシュの都市部における女性縫製工場労働者のウェルビーイング戦略について、第四発表(牛夢婷)は、中国における、文化的に非常に特徴がある、性的マイノリティの「カミングアウト戦略」を取り上げました。

討論者には日本福祉大学の小國和子先生をお迎えし、ふわりとした口調ながら、かなり本質的なコメントをいただきました。とくに、well-being概念をinteractiveに生成されるものとして、そのdynamismを事例から詳細に出していくことは、それぞれの現場における課題に対してcontextualにappropriateな解決策を検討していくことにつながるのではないかというコメントは本質をつくものでした。

その後、25名ほどの参加者からのご意見もいただきながら、かなり充実したセッションをすることができました。学生と指導教員という組み合わせでのセッションをすることには、ご批判を受ける可能性もあり、非常な躊躇がありましたが、いろいろと反省点もありながら、結果としてはやってよかったなと思っています。

金沢大学は父の母校なので、学生達と行けたら本当によかったので、オンラインになったのは、少し残念ではありましたが、自分の指導の限界も痛感でき、そのことも含めて大変によい機会をいただきました。

お忙しいところコメンテーターをお引き受けいただいた小國先生には重ねてお礼を申し上げます。

(佐藤峰)


D5. RT・地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」

  • 企画責任者:佐野麻由子(福岡県立大学)
  • 司会:木全洋一郎
  • 発表者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)
  • 討論者:佐藤仁(東京大学)

本ラウンドテーブルセッションは、日本の地域づくりと国際開発という視点から今後の国際開発アジェンダを問い直すことを目的とし、パネリストを含め38名程度が参加した。

木全会員は、1990年代から2010年代の日本の地域と国際開発を巡る議論として、(1)日本の知恵や経験を活用した途上国開発、(2)国際協力を通じた日本の地域づくりを経て、今後は(3)グローバルなトレンドにおける新しい日本の地域づくりを捉えた国際開発のあり方そのものの転換の必要性について、陸前高田市のポスト復興のまちづくりを例に提起した。

梶会員は、高知県の中山間地域の地方再生に携わる立場から、日本・途上国ともに地方においては、「地方創生」や「SDGs」という言葉に違和感を覚えており、それが地域の自己肯定感の低下につながっていることを指摘した。

この点において構造的に国内外の地方に共通軸を見出し、地域の自己肯定感の醸成により、途上国/日本の双方にとって有用な新しい開発のあり方を探究する意義を問いかけた。

工藤会員は、直線的な発展史観に基づく開発/ポスト開発の議論に対して、地域には各々の発展の姿があるとする空間的な発展史観を踏まえつつ、敢えて複数の地域を繋ぐ通域的な学びの場を設定することで、異なる発展のあり方に触れて価値観の揺らぎが起こり、自らの自立的な発展への模索につながることを、秋田県五城目町と南アフリカでのフィールドワークを例に述べた。

佐藤会員からは、「外を知っているからこそ、自国を深く理解できる。構造的な権力関係に対し、ローカルな視点に依拠した新たな知見をもって対峙することができる。学会は自己肯定感を高める知識を提供できるのではないか」等のコメントが出された。

参加者からは、「虫の目をもつ地域に暮らす研究者」の可能性、媒介者・翻訳者の役割の重要性、消費主義から外れた地域関係の構築、地方における「内なる国際化」等についての意見や質問が出された。

本セッションを通して、固有の風土をもつ地域が共通課題でつながることや通域的な学びが、地方の劣等感の解消、中心都市との権力関係の解消、新しい知見の獲得において効果的であり、今後の国際開発アジェンダを考えるヒントになりうることが確認できた。

(佐野麻由子)


E5. RT “Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic”

  • 企画責任者:Masato Noda (Ibaraki University)
  • 司会:Masato Noda
  • 発表者:Dy Samsideth (Ministry of Education Youth and Sport: MoEYS, Royal Government of Cambodia), Yuto Kitamura (The University of Tokyo), Chhinh Sitha (Cambodia Education Research Council), Ashida Akemi (Waseda University), Takayo Ogisu (Sophia University), Bo Chankoulika (MoEYS), Yasushi Hirosato (Sophia University), and Ngov Penghuy (Royal University of Phnom Penh)

本セッションは、Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic: Industrial Human Resource Development and Right to Educationと題し、日本とカンボジアの共同研究として、カンボジア教育青年スポーツ省(MoEYS)からもリサーチ・パートナーを招聘して開催された。英語を使用言語に、参加者31名により活発な議論がなされた。

第1報告では、座長の野田が本研究の概要として、SDGs, Education and Teacher Reform toward 2030 in Cambodia-Issues and New Challenges under COVID-19 Pandemic-と題し、発表を行なった。

第2報告では、Dy Samsideth (MoEYS)より教育総局次長としての政策立案の視点から、Teacher Training and Professional Support System in Cambodia – Under the Covid-19と題し、発表がなされた。

第3報告では、北村友人会員(東京大学)、Chhinh Sitha(Educational Research Council, MoEYS)、芦田明美会員(早稲田大学)により、教育現場・教室の視点から、Examining the Quality of Education in Cambodia via a Review of Classroom Activities and Interactionsと題し、発表がなされた。

第4報告では、荻巣崇世会員(上智大学)より、専門家の学習共同体(PLC)を軸に、Theorizing Teacher Learning through Collaboration: Implications for PLC in Cambodiaと題し、発表がなされた。

本セッションは、科学研究費補助金(基盤C)「カンボジアにおけるSDGs達成にむけた教員改革-産業人材育成と学ぶ権利の保障」(代表:野田真里)の成果による。

(野田真里)


午後 IV セッション/ Afternoon Session IV 16:25-18:25(GMT +9)

A6. 開発をどう見るか

  • 座長:久木田純(関西学院大学)
  • コメンテーター:関根久雄(筑波大学)、山田恭稔(中央大学)

発表者

  1. 「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協力とその評価」
    藤掛洋子(横浜国立大学)
  2. 「『地域社会の組織力』をどう見つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査手法構築に向けて―」
    重冨真一(明治学院大学)
  3. 「『見る』という普遍言語-写真を『読む』ことを通じて考える-」
    平田オーエン慈花(HAPTICS)
  4. 「開発における自律概念の再考―を基礎とした自律と関係性を基礎とした自律の視点から―」
    近江加奈子(国際基督教大学)

時間的制限があったが、4名の発表者の開発についての多様な視点からの考察に対して有意義で示唆に富む議論を行なうことができた。

発表1:藤掛洋⼦氏(横浜国⽴⼤学)により「 パラグアイ農村⼥性⽣活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協⼒とその評価」と題して、コロナ禍におけるオンラインでの開発評価の試みに関する報告が行なわれた。オンライン・フィールドワークも含め、どのようにカウンターパートや参加者との信頼を構築するのかなどの問いが出された。

発表2: 重冨真⼀氏(明治学院⼤学)により「『地域社会の組織⼒』をどう⾒つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査⼿法構築に向けて」と題して、農村の内発的・持続的な開発には地域社会の組織力が重要であり、それをどのように分析し見える化するかについての報告がなされた。リーダー交代など属人的な変化をどう見るかなどの問いが出された。

発表3:平⽥オーエン慈花氏(HAPTICS)により「『⾒る』という普遍⾔語-写真を『読む』ことを通じて考える」と題して、国際開発が価値を問うものであり、見る力が重要であるとの視点から報告が行なわれた。共通感覚やラポールの形成、見ると読むの概念の違い、開発実践は働きかけることによって成り立つのではないかなどの問いが出された。

発表4:近江加奈⼦氏(国際基督教⼤学)により「 開発における⾃律概念の再考―個人を基礎とした⾃律と関係性を基礎とした⾃律の視点から―」と題して、開発における自律の概念は個人を基礎としており、西洋近代市民社会の人間像を押し付けたのではないか、関係性を基礎とした自律の再認識が重要ではないかとの視点から報告がなされた。有効な開発のための自律とは何か、脱開発論につながる議論ではないかなどの問いが出された。

(久木田純)


B6. 企画「JASIDブックトーク」

  • 座長:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)、道中真紀(日本評論社)
  1. 清水展・小國和子/編『職場・学校で活かす現場グラフィー:ダイバーシティ時代の可能性をひらくために』(明石書店、2021年2月刊)
    ・報告者:小國和子会員(日本福祉大学)、大江道雅氏(明石書店) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)
  2. 飯塚倫子/編著『<善い>ビジネスが成長を生む:破壊と包摂のイノベーション』(慶應義塾大学出版会、2021年11月刊)
    ・報告者:飯塚倫子会員(政策研究大学院大学)、木内鉄也氏(慶應義塾大学出版会)
    ・討論者:高田潤一会員(東京工業大学)
  3. 大谷順子/編『四川大地震から学ぶ:復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』(九州大学出版会、2021年9月刊)
    ・報告者:大谷順子会員、高欣会員、陳逸璇会員、王芸璇会員、李婧会員(以上、大阪大学)、奥野有希氏(九州大学出版会) 
    ・討論者:飯塚明子会員(宇都宮大学)
  4. 佐藤由利子/著『日本の留学生政策の評価:人材養成、友好促進、経済効果の視点から〔増補新装版〕』(東信堂、2021年11月刊)
    ・報告者:佐藤由利子会員(東京工業大学)、下田勝司氏(東信堂) 
    ・討論者:黒田一雄会員(早稲田大学)
  5. (1)重田康博・太田和宏・福島浩治・藤田和子/編著『日本の国際協力 アジア編:経済成長から「持続可能な社会」の実現へ』(ミネルヴァ書房、2021年6月刊)
    (2)阪本公美子・岡野内正・山中達也/編著『日本の国際協力 中東・アフリカ編:貧困と紛争にどう向き合うか』(ミネルヴァ書房、2021年8月刊)

    ・報告者:阪本公美子会員(宇都宮大学)、重田康博会員(宇都宮大学) 
    ・討論者:大橋正明会員(聖心女子大学)
  6. 岡野内正/著『グローバル・ベーシック・インカム構想の射程:批判開発学/SDGsとの対話』(法律文化社、2021年6月刊)
    ・報告者:岡野内正会員(法政大学) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)

JASIDブックトークは、会員が自著を担当編集者とともに紹介するセッションです。第5回となる今回も、書籍の内容紹介にとどまらず、出版企画が生まれた経緯、執筆・編集における苦労や工夫、主要読者層や販売動向、国際開発への貢献といった、いわば「本づくりそのもの」を、著者と出版社の双方の視点から語っていただきました。

約45名のご参加のもと、上記6冊の書籍につき、たいへん充実した報告・討論・質疑応答が展開されました。

(道中真紀)


 C6. RT「子どもの安全保障―日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち―」

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学)
  • 司会:勝間靖
  • 発表者:高柳妙子(早稲田大学)、中村安秀(日本WHO協会)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

第32回全国大会の2日目、2021年11月21日(日曜)16:25-18:25、「子どもの安全保障〜日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。参加者は、20名ほどであった。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、中村安秀会員(日本WHO協会)「生まれてくる子どもの安全保障〜日本における母子手帳の経験から」と題して発表した。

日本における乳幼児死亡率を見ると、1948年の61.7(千人あたり)から2019年の1.9と大幅に改善している。しかし、無職の世帯は、11.4(2015年)と高く、社会的に周縁化されている。

その原因として、所得の低さ以外に、日本語能力の不足や社会的ネットワークの欠如からくる保健医療・栄養に関する情報不足も考えられる。母子健康手帳は日本語のほか、9カ国語に翻訳されて国内で使われており、妊産婦への保健医療・栄養の情報の普及に役立っている。

つぎに、高柳妙子会員(早稲田大学)が「沖縄に住むムスリムの子どもたち」と題して発表した。沖縄科学技術大学院大学の研究者のうちムスリムの方から紹介を受けて、スノーボール・サンプリングでインタビューが実施された。

子どもが沖縄の公立校に通うなか、体育で水着が着用できなかったり、給食の代わりにハラール弁当を食べたり、決まった時間に祈祷するなど、特別なニーズがあることが示された。それに対して、学校が多様性を尊重しながら、柔軟に対応できているかどうかなど、今後の研究課題が示された。

質疑応答と議論が活発に行なわれた。今後の研究課題として、「母子健康手帳を、従来からの妊産婦中心から、子ども中心に転換できるか?」「子どもの安全保障と、子どもの権利との関係を明らかにするような議論が必要」などが提案された。

(勝間靖)


E6. Social Development

  • 座長:伊東早苗(名古屋大学)
  • コメンテーター:田中雅子(上智大学)、:金 昭延 (Sogang Univeristy)

発表者

  1. “An Investigation of the Entrepreneurial Motivations and Environmental Factors influencing Entrepreneurship in Sub-Saharan Africa”
    1 Nathanael Nzoughe Ngome (Chuo University)
  2. “Gender and Sexual Diversity and Understanding Development: A Direction for Redesigning Post-Pandemic Development Paradigm”
    2 Takeshi Daimon-Sato (Waseda University)
  3. “The impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice: A case study of the health sector in Cambodia”
    3 Ziying Liu (Kobe University)
  4. “The impact of COVID-19 crisis in Japan: Gender and the world of work”
    4 Naoko Otobe (Consultant on Gender, Work and Development)

The four presentations in this session addressed four different issues pertaining to social dimensions of development. Methodologically, the presentations drew on both quantitative and qualitative analyses. Given time limitations, it was difficult to engage audience in general discussions relevant to all the four presentations. Instead, separate discussions focused on the four individual issues were held between presenters, discussants, and myself as the chair. The session was attended by about twenty people.

The first presentation by Nathanael Nzoughe Ngome was about people’s motivation to start an enterprise in Sub-Saharan Africa, exploring what circumstances influence their decisions. A number of questions and comments were given by one of the discussants concerning the nature of the enterprises discussed as well as the structure of the paper presented.

The second presentation by Takeshi Daimon-Sato was based on his ‘Grant-in-Aid’ research project on sexual orientation and gender identity in Thailand and Malaysia. A discussion centring on his research methods ensued, and several suggestions were made to modify them. Interestingly, the presentation referred to an alternative vision to the SDGs framework that would incorporate individual freedom ‘to be left alone’. (We would have liked to follow up on this point if we had more time available.)

The third presentation by Ziying Liu was on the impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice in Cambodia. A discussion followed concerning to what extent the rural poor in Cambodia have the substantive choice over health facilities and whether their choice, if any, can be equated with their trust in the facility.

The fourth presentation by Naoko Otobe was on the impact of Covid-19 crisis on gender and work in Japan. One of the discussants suggested several analytical dimensions to be looked at to make the research more exploratory.

(伊東早苗)


ポスターセッション

  1. “Analysis of Foreign Direct Investment on Child Working and Schooling in Secondary Education: Evidence from Cambodia”
    Ryoma Kanazawa (Kobe University)
  2. “Educational Reform of School Diversification and Its Consequences on Educational Stratification in the Republic of Korea: focusing on students’ choice of high school type”
    Seil Kim (Kobe University)
  3. “Effects of Armed Conflicts on Access to Education: The Case of the 1990s Cambodian Civil War”
    Eunho Kim (Kobe University)
  4. “An Analysis of Municipal Governments’ Education Practices on Primary School Children’s Learning Achievement in Brazil”
    Dalilo Leite Dalmon (Kobe University)
  5. “Maternal Employment, Household Division of Childcare and Children’s Development Outcomes in Uganda”
    Li Shumin (Kobe University)
  6. “Do Socioeconomic Factors Prevent Smallholder Farming Children from Enrolling and Attaining More Years of Schooling in Mozambique?”
    Nelson Manhisse (Kobe University)
  7. “An Analysis of Children’s Learning and Development Standards in Lao PDR”
    Xiadong Meng (Kobe University)
  8. “Analysis of ICT Use for Primary School Students’ Learning Outcomes in Ethiopia”
    Ryuto Minami (Kobe University)
  9. “Analysis on the Situation of Early Childhood Education in Lao PDR during COVID-19 Pandemic”
    Masaya Noguchi (Kobe University)
  10. “The Effect of Early Childhood Education on Reading Motivation of 15-Years-old in the Republic of Korea -Based on 2018 PISA data-”
    Natsuko Ogura (Kobe University)
  11. “Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN”
    Traitip Siriruang (Tokyo Institute of Technology)
  12. “What Determines Children’s Access to Early Childhood Education in Bangladesh”
    Kohei Uno (Kobe University)
  13. “Trajectory of Home Learning Environment over the Preschool-aged Period in Bangladesh”
    Kexin Wang (Kobe University)
  14. “An Analysis of Household Spending on Pre-Primary Education in Kenya”
    Ayumu Yagi (Kobe University)
  15. “An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR”
    Taiga Yano (JICA / Kobe University)

第32回全国大会・実行委員会
委員長:和田一哉(金沢大学)




研究ワークショップ「アジアの移民政治を考える」1月16日開催(会員・一般)

研究ワークショップ:アジアの移民政治を考える

アジアにおける移民を巡る政治について考察するワークショップとなる。

発表1では、2023年にカンボジアで実施された選挙を対象に、選挙管理の現状や日本の支援、周辺国への出稼ぎ労働者の投票、カンボジア国内のベトナム系住民の関わりについて考察する。

発表2では、日本と韓国を対象にしたサーベイ実験を用い、移民政策の変更に対する人々の支持について考察する。ここでは、政府の声明が、移民受け入れ国における人々の移民に対する認識に大きく影響を与えるということが議論される。

開催概要

  • 日時:2024年1月16日(火曜日)13:00 – 14:30
  • 方法:対面
  • 会場:早稲田キャンパス3号館 11階 1116演習室
  • 言語:日本語
  • 主催:科学研究費助成事業 基盤研究(B):「メコン河流域内「越境移民」の空間的相関と域内セーフティネット構想の研究」

プログラム

13:00 – 13:05 はじめに
鈴木淳平(早稲田大学)

発表1:カンボジアの選挙制度概要、選挙管理の現状と課題、日本の協力等について

13:05 – 13:35
辰巳知行(JICAカンボジア選挙管理委員会能力強化アドバイザー)

13:35 – 14:45
Q&A

発表2:Public Reactions on Migration Policy Shifts in New Immigrant
Destinations (NIDs): Evidence from Framing and Conjoint Experiments in East Asia

13:45 – 14:15
ウ・ユジン(一橋大学)ソン・ジェヒョン(関西大学)

14:15 – 14:25
Q&A

14:25 – 14:30 おわりに
長辻貴之(早稲田大学)

参加方法

参加を希望される方は以下のメールアドレスにご連絡下さい。

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

本件にかんするお問い合わせ先

早稲田大学 政治経済学術院
長辻貴之

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



開催案内「JICA緒方貞子平和開発研究所ナレッジフォーラム」3月11日開催(会員・一般)

世界の雇用動向に懸念の声が高まっています。人口増加により、労働力の供給は増加しますが、それに見合う雇用を実際に創出し得るかという点が注目されています。

特にアフリカでは、将来的に労働力人口の爆発的な増加が見込まれており、国連の中期予測で2010~2050年の間に世界全体で労働力人口が約15億人増加することが見込まれていますが、そのうち10億人がアフリカの労働力人口の増加によるものです。

これらの労働力を取り込む包括的な成長(inclusive growth)が実現できるかが重要な課題となっています。ロボットやAIに関する技術の進展、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを踏まえた経済構造やサプライチェーンの変化、グリーンエコノミーへの移行が世界の雇用にどのような影響を与えるのかも未知数です。

JICA緒方研究所とコロンビア大学政策対話イニシアティブは、このような雇用問題について、さまざまな有識者と連携し、多角的な研究を行っており、研究成果は書籍として取りまとめられる予定です。

本フォーラムでは、研究代表でノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツ氏、およびアクバル・ノーマン氏、アルジュン・ジェヤデブ氏を迎え、本研究の成果報告として、世界経済と開発における雇用問題、開発途上国が直面する産業構造の変化、サービス業や農業主導の雇用と生産性向上の可能性、人口動態の変化と雇用創出に向けた政策、国際社会の役割などについて講演していただきます。

イベントの詳細は以下のリンクをご覧ください。
 

お申し込みはこちら


本件にかんするお問い合わせ先

JICA緒方貞子平和開発研究所
(担当:梶野)

  • dritrp[at](* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



活動報告『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2022年2月)

「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」は、2022年度より設置を認められた。

経済開発にとってばかりでなく、社会開発、人間開発、そして伝統の再創造にも大きな意味を持つアフリカ・アジアにおけるものづくりについて、今後、大いに論じていきたい。

同研究部会の第1回の研究会を、2022年3月11日(金曜)に開催する予定としている。研究会の詳細については、決まり次第、国際開発学会MLにて皆さんにご連絡申し上げる。

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
代表:高橋基樹(京都大学)




JICA緒方貞子平和開発研究所ナレッジフォーラム「日本が選ばれる国になるために -インドネシアにおける国際労働移動メカニズムからひも解く-」12月8日開催(会員・一般)

JICA緒方貞子平和開発研究所ナレッジフォーラム「日本が選ばれる国になるために-インドネシアにおける国際労働移動メカニズムからひも解く-」

本フォーラムでは、特定技能制度による日本への移動労働者数を今後5年間で7万人にするという積極的数値目標を掲げるインドネシアを事例として取り上げます。

2017-2022年のインドネシアからの国際労働移動者に関するパネルデータに加え、政府、訓練・送出機関、リクルーター、そして海外就労予定者へのヒアリング調査から捉えた国際移動メカニズムの現状と課題に着目し、主要な受け入れ国のなかでの日本の位置づけや、関係者が考える「安全で魅力的な移動ルート」についての研究結果を報告します。

また、パネルディスカッションでは研究結果を基に、現状では「選ばれにくい」日本の位置づけを打破するために必要な取り組みについて意見交換し、「魅力的で安全な移動ルート」を確立するために重要な視点について議論を深めます。

開催概要

2023年12月8日(金曜)16:00-18:00、Zoomウェビナー
※事前申し込み制です。下のリンク先ページの最下部「お申し込みはこちら」からご登録ください。

申込締切:2023年12月7日12:00(正午)


本件にかんするお問い合わせ先

JICA緒方貞子平和開発研究所 

  • dritrp [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



新刊案内:大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』

大谷順子編著『子育ても、キャリア育ても ― ウィズ/ポストコロナ時代の家族のかたち』九州大学出版会 2023年

  • A5判 234ページ 並製
  • 価格:2,200円 (消費税:200円)
  • ISBN978-4-7985-0353-0 C3036

内容紹介

超少子高齢化がすすむ日本では、女性は多くを期待されている。出産育児とキャリア形成は両立できるのか。子育ては個人が負うべきものなのか。男女の別や世代を問わず、社会の構成員がおのおのの生を充実させるには、社会はどうあるべきか。

本書では、国際保健学・母子保健学、国際開発教育の背景を持つ研究者らが、身近な例からこの課題について論じる。キャリアと次世代育成の両方を尊重しながらどのように人生設計に取り組むべきか、若い世代に示唆を与える。

帯より

自分らしく生きるために、SDGsのもと「誰一人取り残さない」社会を目指す現代(いま)、新しい人生設計を考える若い世代へ―― 悪戦苦闘しながら子育てとキャリア形成を両立してきた著者たちが贈る、未来を切り開くためのメッセージ。

目次

まえがき

第1部 授かる

第1章 人口学からみる少子高齢化社会と共生

はじめに
1.子育てと共生
2.人口学からみる
3.女性の就労と出産・育児の選択と子育て支援
おわりに ペアレンティング(parenting)と子育て(child rearing)

  • コラム1:少子化をとりまくデータ

第2章 グローバルヘルスとSDGs–コロナ禍の妊娠・出産・子育て

1.ミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へ–「誰ひとりとして取り残さない」というSDGsの理念
2.SDGSと性差
3.日本発、世界に拡がる母子健康手帳
4.多文化共生–エスニック・マイノリティのヘルス
5.新型コロナ感染拡大時代–2020年初めから
おわりに

  • コラム2:UNESCOによる包括的性教育(CSE)

第3章 東京、上海、香港の独身女性の結婚、家族、道徳観

はじめに
1.東アジアにおける結婚の特徴
2.各都市の国家政策–結婚の2つのモデル/3都市で出会った女性の具体例/3つの都市における異なる
結婚モデルの説明/独身女性、家族の責任と道徳的価値
おわりに

第2部 支える

第4章 日本における乳幼児期の子育て支援–当事者研究・参与観察

はじめに
1.参加事例–公共イベント/商業イベント
2.超少子高齢化社会で子どもを持つ
3.産後うつ病
4.母乳育児
5.働く母親の子どものための保育園
おわりに

  • コラム3:妊娠と出産の人類学
  • コラム4:防災と母親

第5章 発達障害を日本社会がどう扱うか–生産性、インクルージョン(包摂性)、人間の価値に関する視点から

はじめに
1.政府の見解
2.メディアの見解
3.アドボケート(支持者)と教育者
4.母親の見解
おわりに

  • コラム5:幼保園 就学前の子育て環境
  • コラム6:現代の多様化する幼児教育

第3部 育てる

第6章 「ユニバーサル社会」の子育てとは–With-Coronaの状況に直面した教育学者である父親としての雑感

はじめに 子育てのプロって誰?
1.子育ての中で「褒められる男」?!
2.急変する社会状況がもたらす教育課題
3.深刻な教育格差
4.子どもたちは幸福なのか?
おわりに 固定観念にとらわれない子育て

第7章 医師の職場環境とキャリア形成–大学病院における女性医師の環境を通して日本における育児と医療を考える

はじめに
1.社会の年齢構成の変化に伴う医療への要請
2.医師の働き方と女性医師–医師の年齢と男女の比率/医師の男女の比率と就業/育児中の医師の職場環境/医師の働き方の改善に向けた課題/医師の働きがい・モチベーション/医師の勤務と家族構成
3.無意識の思い込み(バイアス)–Unconscious Bias
おわりに

第8章 台湾における女性専門職のワーク・ライフ・バランス–葛藤、心身の健康状態を中心に

はじめに
1.統計学における男女格差–高等教育機関における学生の性別分布/医学生の性別分布/高等教育機関における教員の性別分布/医師の性別分布
2.男女格差が生じる原因と影響–家庭教育の過程/学校教育の過程/キャリア形成/仕事と家庭の間での葛藤/夫婦関係、独身と独身女性への潜在的差別/妊娠と出産
3.結論と提言–職場における母性保護(maternal protection)制度の改善/労働時間管理/育児・介護制度

第9章 多様な社会における共生–或る女性のライフストーリー

はじめに
1.多様な社会における共生:或る女性のライフストーリーと気づき–大学時代:アジア諸国を歴訪/専門家の経験:ラオスでの保健医療協力/留学の経験:ベルギー/出産の経験:米国/子育ての経験:スウェーデン/ワーク・ライフ・バランスの経験:沖縄/学校教育の経験:沖縄
2.多様な社会と日本の若者
3.共生のための助言
おわりに 他者と繋がるきっかけとしてのボランティア

あとがき

編著者

大谷順子(おおたに じゅんこ)

まえがき、第1章、第2章、第4章、コラム2-6、あとがき

大阪大学大学院人間科学研究科教授・国際交流室室長。
ハーバード大学公衆衛生大学院MPH(国際保健学)・MS(人口学)。ロンドン大学経済政治大学院・同衛生熱帯医学大学院PhD。世界銀行、世界保健機関(WHO)、九州大学を経て、2008年に大阪大学に着任。2014-2017年、大阪大学東アジアセンター長(上海拠点)兼任。

主な著書

  • 『事例研究の革新的方法‐阪神淡路大震災被災高齢者の五年と高齢化社会の未来像』九州大学出版会、2006年
  • 『国際保健政策からみた中国―政策実施の現場から』九州大学出版会、2007年
  • Older People in Natural Disasters, Kyoto University Press, and Trans Pacific Press, 2010
  • 『四川大地震から学ぶ―復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』九州大学出版会、2021年
  • Reconstructing Resilient Communities after the Wenchuan Earthquake, Lexington: Roman & Littlefield, 2023.
  • Handbook of Disaster Studies in Japan, MHM Limited & Amsterdam University Press, 2023.

分担執筆者

小川寿美子(おがわ すみこ)

第9章

名桜大学人間健康学部教授。大阪大学大学院医学研究科修士課程修了(ウィルス学)、アントワープ熱帯医学研究所修士課程修了(公衆衛生学)。博士(人間科学、大阪大学)。琉球大学医学部保健医療学講座助手、JICA/WHOプライマリ・ヘルスケア(PHC)専門家(ラオス)等を経て現職。

主な著書

  • Okinawa’s Post-War Health Recovery and Development 青山社、2009年
  • 『国際保健医療のキャリアナビ』南山堂、2016年
  • 『やんばる 世界を拓く』沖縄タイムス社、2022年

北村友人(きたむら ゆうと)

第6章

東京大学大学院教育学研究科教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学大学院Ph.D.(教育学)。国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局教育担当官補、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授、上智大学総合人間科学部准教授を経て、現職。

主な著書

  • 『国際教育開発の研究射程─「持続可能な社会」のための比較教育学の最前線』東信堂、2015年
  • Memory in the Mekong: Regional Identity, Schools, and Politics in Southeast Asia (co-editor), Teachers College Press, 2022

城戸瑞穂(きど みずほ)

第7章

佐賀大学医学部教授。博士(歯学、九州大学)。九州大学大学院歯学研究院准教授を経て現職。2016~2017年、佐賀大学男女共同参画室室長、2017~2019年、同大学ダイバーシティ推進室室長、2020~2022年、同大学附属図書館副館長をそれぞれ兼任。2007年、資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞。2017年、厚生労働省女性医師キャリア支援モデル普及推進事業、2019-2024年、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」にそれぞれ参画。

馬場幸子(ばば さちこ)

コラム1

大阪母子医療センター母子保健調査室室長、大阪大学大学院医学系研究科招へい准教授。博士(医学、大阪大学)。カロリンスカ研究所PD。大阪大学大学院医学系研究科医学科国際交流センター副センター長を経て現職。

Nakano, Lynne Yukie(中野幸江)

第3章、第5章

香港中文大学文学院日本研究学系教授・系主任、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授。イェール大学Ph.D.(人類学)。

主な著書

  • Community Volunteers in Japan: Everyday Stories of Social Change, Routledge, 2004
  • Making Our Own Destiny: Single Women, Opportunity, and Family in Shanghai, Hong Kong, and Tokyo, University of Hawaii Press, 2022

鄭雅文(Yawen CHENG)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院公共衛生学系教授、同学院健康政策・管理研究所所長・公共衛生学部長・教授、大阪大学大学院人間科学研究科招へい教授、台湾公共衛生学会理事。ハーバード大学公衆衛生大学院ScD(疫学)。2012年、ドイツ連邦共和国労働安全衛生研究所研究員。

主な著書

  • 《致命粉塵 : 石綿疾病,工業發展史中的職業病風暴》台北: 台灣職業安全健康連線、2017年
  • 《職災之後 : 補償的意義、困境與出路》高雄 : 巨流圖書公司、2019年。

瞿瑞瑩(Jui-Ying CHU)

第8章

国立台湾大学公共衛生学院健康政策・管理研究所修士。台北馬偕紀念医院漢方・産婦人科・小児科医師。社団法人台湾中医臨床医学会常務監事。


本件にかんするお問い合わせ先

大阪大学大学院人間科学研究科
大谷順子

  • [at]  (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



オンライン公開研究会「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」9月25日開催(会員・一般)

社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題

9/5特別公開セミナーでは、「UNRISD(国連社会開発研究所)によるSSE(社会的連帯経済)関連の活動と最新情報」をテーマに、Ilcheong Yi さん(UNRISD)から大変有意義な報告をして頂きました。

世界的にSSEが認知され重要度が高まる中で、日本で認知度が低い点が指摘されました。日本は、協同組合、NPO、社会開発活動が世界的にも活発であるにも関わらず、それらを統合する社会的連帯経済の視点が弱い理由は、何故なのでしょうか?

この問題の背景を考察しつつ、「社会的連帯経済の国際的制度化と日本の課題」をテーマに栗本昭(日本協同組合連携機構、JCA)氏より、長年のご活動と国際的ネットワークの経験から、課題克服のために何が必要で何をすべきについて、お話を伺います。

また協同組合と社会的連帯経済を長年研究してきた富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏に、コメンテーターをお願いしております。

開催概要

  • 日時:2023年9月25日(月曜)17~19時
  • 方法:オンライン(zoom)
  • 参加費:無料

参加方法

以下に記入してお申し込みください。

プログラム(予定)

報告:「社会的連帯経済(SSE)の国際的制度化と日本の課題」
栗本 昭 氏(約40分)
コメント:富沢賢治(一橋大学名誉教授)氏(約20分)

その後、全体討論・質疑を行います。
司会進行:古沢広祐(SSE研究部会)

報告者、コメンテーターの紹介、資料

栗本 昭 (くりもと あきら)氏

日本協同組合連携機構(JCA)

(2015~2020年 法政大学大学院・連帯社会インスティテュート教授)
(2012年より国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋調査委員会委員長)

著書・論文・報告など:

「持続可能な社会実現に貢献する協同組合」(栗本 昭、JAcom,2020)

「労働組合と協同組合の連携に関する世界の動向」:栗本 昭(2020)

「協同組合の連帯経済へのアプローチ」(栗本 昭)2007年
西川 潤 編著『連帯経済 グローバリゼーションへの対案』第6章

富沢 賢治(とみざわ けんじ)氏

一橋大学名誉教授、協同総合研究所副理事長
詳細は「富沢賢治のホームページ」参照:

参考資料「社会的連帯経済とはなにか 協同組合運動の新理念」


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会SSE研究部会
古沢研究室

  • furusawa [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

*その他、SSEに関連するイベント案内3件(9月中旬~):
(1)「GSEF2023(グローバル社会的経済フォーラム)ダカール大会報告会」
・日時:2023年9月16日(土)13:30開場/14:00~16:30 詳細は以下参照:

(2)共生社会システム学会2023年度大会(in宇都宮大学)
大会シンポジウム:9月16日(土曜)14:00~18:00
「ポスト福祉国家とサードセクターを考える―社会的事業体の新たな可能性―」
詳細は、以下を参照:

(3)資本主義再考【RC研II】公開研究会(9/18)のご案内
*「『脱成長のポスト資本主義』をめぐって」
【日時】 9月18日(祝月)13:30-17:30
【開催形式】:リアルとZoomハイブリッド、公開:要参加申し込み
開催:國學院大學&オンライン、無料、詳細は以下参照:




関西支部:2021年度活動報告(2021年11月)

関西支部では、国際開発の課題克服に貢献しうる研究を展開していくことを目的に、2021年度は国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を、国際機関、政府機関、学術機関から招聘して研究会を中心に活動を行った。

本支部が開催する研究会では、現在、世界的な問題となっているコロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力に関する議論も精力的に展開した。具体的には、第149~156回の研究会をオンライン(Zoom)で開催したので、その内容について、以下のとおり報告する。

第149回研究会

  • 日時:2021年8月10日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Innovation and New Partnerships in International Development after the Post-Covid World
  • 発表者:Dr. Mariko Gakiya, Former Shine Advisory Board Member, Harvard T.H. Chan School of Public Health
  • 参加人数:32名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ハーバード大学の我喜屋まり子博士を招聘し、「Innovation and New Partnerships in International Development after the Post-Covid World」をテーマに講演をしていただいた。我喜屋博士はまず、グローバル社会においての重要課題である人的資源開発、国際開発、パートナーシップ強化に関する国際的動向について説明し、持続可能な開発と福祉をめざし「学習から技術革新・協調・パートナーシップ、そしてより質の高い公益財」にいたる社会システムが形成されつつあることについて言及した。

また、COVID-19感染拡大後の傾向として、オンラインによる多様な学習機会の整備、経済成長を見据えたニーズの高いスキルを習得できる学習環境の拡大、官民など多様なアクターの連携強化を挙げた。とくに、パートナーシップ強化に関してはSDG 17がパートナーシップの活性化を掲げている点、技術革新や国際開発は協調関係のなかで加速する点、加えて信頼関係構築の重要性を明らかにした最新の研究報告をふまえ、多様性・公正・インクルージョンを考慮した組織形成の必要性を強調した。

講演後には我喜屋博士と参加者とで多岐にわたる話題に関して活発な議論が行われただけでなく、我喜屋博士から若手研究者に対してグローバルに活躍するためのアドバイスが語られる場面もあり、参加者が新たなポスト・コロナ時代の技術革新、パートナーシップ、人的資源開発について深い知見を得た大変貴重な機会となった。


第150回研究会

  • 日時:2021年8月17日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education Under the COVID-19 in Yemen
  • 発表者:Dr. Hamound Al-Seyani, Advisor, Ministry of Education, Yemen
  • 参加人数:34名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、イエメン教育省アドバイザーとして長年イエメンの教育発展に寄与されているHamound Al-Seyani博士を招聘し、「Education Under the COVID-19 in Yemen」をテーマに、イエメンにおける教育制度・状況について新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大以前・以後の両観点から講演をしていただいた。

冒頭では、同国における社会問題は、紛争を筆頭にCOVID-19感染拡大以前から中高等教育の就学率の低さや全教育段階での男女差、校舎の再建、教員のストライキなどといったかたちで教育にも大きく影響してきたことが説明された。

つづいて、コロナ感染拡大以後のイエメンについて言及し、第一波(2020年4月)、第二波(2021年2月)に続き、現在の第三波とイエメン全土で感染拡大しているCOVID-19が、国民の社会生活に深刻な打撃を与えていることは明らかにされているものの、政府発表の感染者数や死亡者数は実際の10%以下であるという指摘がなされた。

また、同国教育省もCOVID-19感染拡大による教育のアクセス・質への影響を問題視しており、サナとアデンにある南北両政府は共通したコロナ対策教育プランを策定し、コロナ禍においての教育改善に尽力していると強調した。とりわけ重要な課題として、学校閉鎖期間も教育環境を担保できるICT導入を挙げ、SDGs達成には多くの支援が必要であることを訴えた。

講演後にもイエメンの複数政府での政策遂行やout of school childrenの軍への入隊についてなど多岐にわたる参加者の質問に明快に回答がなされ、参加者がイエメンの教育現状について理解を深める意義の大きい研究会となった。


第151回研究会

  • 日時:2021年8月24日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Ugandan Journey to Achieve SDGs under the COVID-19
  • 発表者:Dr. Albert Byamugisha, Senior Technical Advisor, Office of Prime Minister, Uganda
  • 参加人数:32名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ウガンダ内閣府のシニア・アドバイザーをされているAlbert Byamugisha博士を招聘し、「Ugandan Journey to Achieve SDGs under the COVID-19」をテーマに講演をしていただいた。

Byamugisha博士は、ウガンダ政府がこれまでにSDGs達成に焦点をおいて政策立案・実施を行ってきたことに触れ、政府組織の形成、国家・地方レベルでのリーダーシップ養成、国際機関や民間セクター・地域社会とのパートナーシップの強化などの多様な政策の結果、2030年までの達成目標の50%超を現時点で達成されており、アフリカ52か国中18位と評価されていることを強調した。

現在のCOVID-19感染拡大の影響としては、経済成長率の前年比3.9%減少に加えてロックダウンによるオンライン教育や在宅の推進、労働時間の減少、移動の減少などを挙げ、とくに社会の格差を深刻化させた点が憂慮されると指摘した。

一方で、COVID-19によるさまざまな社会変化は持続可能な社会やバランスの取れた経済成長の重要性を市民に訴えかけるものでもあったとし、今後も2030年の目標に向けてコロナ感染拡大からの復興プランの実施、SDGs関連政策のe-ガバナンスや地方分権を促進していく方針を示した。

関西支部が今年度のテーマとして掲げている「コロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力」について、ウガンダ政府の内閣府アドバイザーと実際に議論を交わすことができた本研究会は、参加者にとって大変意義深い場となった。


第152回研究会

  • 日時:2021年8月27日(金曜)17:00-18:00
  • 発表テーマ:SDG4 and National Policy Implementation under the COVID-19 in Cambodia
  • 発表者:Mr. Sothea Lim, Director-General, Ministry of Education, Youth, and Sports, Cambodia
  • 参加人数:28名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、カンボジア教育青少年スポーツ省政策計画局の総局長として長年にわたってカンボジアの教育政策と計画に携わっておられるSothea Lim氏を招聘し、「SDG4 and National Policy Implementation under the COVID-19 in Cambodia」と題する講演をしていただいた。

はじめに、MDGsからSDGsへの転換のなかで、カンボジアの国家戦略Vision 2030がどのようにSDGsの達成に寄与していくのかが説明された。とくに、教育セクターは、国家戦略において重要な人的資源開発に貢献する分野であり、カンボジアではSDG4達成に向けた教育戦略やロードマップが作成されていると紹介があった。

また、国家レベルの中長期目標を展開するだけでなく、地方・学校レベルでの短期の計画と連携しながら政策を進めていくことの重要性が指摘され、カンボジアにおける教育省と地方行政の繋がりが紹介された。

つづいて、Lim氏はそうしたビジョンの実現をめざすなかで、COVID-19に教育省としてどのように対応していくのかという展望について解説した。SDG4が掲げる公正なアクセスや質の高い教育を阻む課題に対して、テレビやラジオ、ウェブを通じた遠隔授業体制の拡充や学校・教員への積極的なサポートなどの実施策が挙げられた。

また、子どものワクチン接種の推進や健康を守るためのガイドラインを作成することで、コロナ禍が明けた後に子どもたちが安心して教室へと戻ってくることができるようにと準備が進められていることに言及された。

講演後にも参加者からの積極的な質問に対して一つ一つ丁寧に回答がなされ、参加者がカンボジアにおける教育戦略の動向に理解を深める意義深い研究会となった。


第153回研究会

  • 日時:2021年9月7日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education in Emergencies: Education for Refugee and Migrant Children in Egypt
  • 発表者:Ms. Marie Kunimatsu, Education Officer, UNICEF Sudan
  • 討論者:Dr. Asayo Ohba, Associate Professor, Teikyo University 
  • 参加人数:43名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、現在ユニセフ・スーダン事務所で勤務されている國松茉梨絵氏を招聘し、「Education in Emergencies: Education for Refugee and Migrant Children in Egypt」をテーマに、國松氏のユニセフ・エジプト事務所での経験に基づいた緊急時の教育支援について講演をしていただいた。

講演ではまず、緊急時の教育や緊急事態に関する定義や背景について、またエジプトにおける難民の現状と緊急時の教育支援について説明がなされた。國松氏は、緊急援助には突発的なものと長期的なものの大きく2つがある点、ユニセフはその両援助を行っている点に触れ、援助時における他のセクターや機関、NGOとのパートナーシップの重要性についても強調した。

エジプトの場合、難民の約半数がシリア難民であり、エジプト政府はシリア難民の子どもたちの公教育システムへの統合に積極的な姿勢を見せているものの、シリア式の教育制度に基づくコミュニティ・スクールへのニーズも高い点を指摘し、緊急時の教育支援の課題と展望について参加者に多くの知見を与える講演となった。

講演後には討論者として大塲麻代博士を迎え、コミュニティ・スクール閉鎖の背景や國松氏自身のユニセフでの経験についてなどの質問・議論がなされた。今回の研究会は、参加者43名と多くの学会員にとって高い関心のある議題であり、アフリカにおける緊急支援、教育開発に携わるお2人を招聘した大変貴重な機会であった。


第154回研究会

  • 日時:2021年9月14日(火曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Education in Myanmar under the COVID-19 and Military Coup
  • 発表者:Dr. Natsuho Yoshida, Assistant Professor, Takasaki City University of Economics
  • 討論者:Ms. Thet Mon Myat Myint Thu, Lecturer, Yangon University of Education
  • 参加人数:26名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、高崎経済大学の吉田夏帆先生とヤンゴン教育大学のThet Mon Myat Myint Thu先生を招聘し、「Education in Myanmar under the COVID-19 and Military Coup」をテーマとした講演会を開催した。

吉田先生はまず、ミャンマーにおけるCOVID-19感染拡大の影響として、対面授業の中止と公立学校においてのオンライン授業の未実施について言及し、公立・私立・インターナショナル校での教育格差の拡大が問題視されていることを背景とした、子どもたちの学習に対するCOVID-19感染拡大と軍事クーデターの影響についての研究発表をされた。

吉田先生は本研究の結果として、社会経済的地位の低い家庭の子どもは高い家庭の子どもよりも初等中等学校を退学しやすく、貧困家庭であればあるほど子どもたちの教育機会へのCOVID-19感染拡大と軍事クーデターの影響が大きくなる可能性を示した。

また、Thet Mon Myat Myint Thu先生は、社会経済的地位の差による基礎教育の格差拡大についての吉田先生の議論に同意したうえで、児童労働の増加や早婚、ICT設備の不足などの課題も挙げた。また、市民の反軍事政権運動として、教職員・児童・生徒・学生が学校や大学への出勤・通学を拒否しているという状況についても強調した。

その後の質疑応答ではミャンマーにおける教育の現状や今後の展望についてなど多くの質問が挙がり、COVID-19感染拡大と軍事クーデターがいかに教育の機会と質に多大な影響を与えているか、多くの知見を深める有意義な研究会となった。


第155回研究会

  • 日時:2021年9月23日(木曜)9:00-11:00
  • 発表テーマ:World Bank Support under Covid-19 in Latin America
  • 発表者:Dr. Marcelo Becerra, Senior Economist, World Bank
  • 討論者:Mr. Danilo Leite, Former Director, Ministry of Education, Brazil
  • 参加人数:31名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、世界銀行シニア・エコノミストのMarcelo Becerra博士を招聘し、「World Bank Support under Covid-19 in Latin America」をテーマとして講演をしていただいた。

まず、Becerra博士はラテンアメリカ・カリブ諸島におけるCOVID-19危機と学校閉鎖について言及し、ラテンアメリカは影響が多大だった地域の一つであり、学校閉鎖がニカラグアを除くすべての国で実施され、1億7千万人の子どもに影響があったことを述べた。

そのような多大な影響に対し、各国政府並びに国際機関などはラジオやその他媒体を用いて教育を継続させるため尽力してきたものの、インターネット環境が整った家庭は限られており、とりわけ脆弱な子どもたちの教育格差を拡大してしまう点を考慮すると、オンライン授業を対面授業の完全な置換として導入することは困難であると強調された。

講演後には討論者として、元ブラジル教育省局長のDanilo Leite氏を迎え、コロナ感染拡大下においていかにして子どもたちに質の高い平等な教育機会を提供できるのか、また世界銀行はこのコロナ感染拡大によるプロジェクト実施の困難性にどのように対応しているのかなど多岐にわたる議論が交わされた。

本研究会はラテンアメリカ及びカリブ諸国でのCOVID-19の教育への影響とそれに対する世界銀行の支援について理解を深める大変貴重な機会となった。


第156回研究会

  • 日時:2021年9月30日(木曜)17:00-19:00
  • 発表テーマ:Prospects and Challenges of Japanese FDI in Bangladesh
  • 発表者:Dr. Abdullah Al Mamun, Assistant Professor, University of Dhaka
  • 討論者:Dr. Shiro Nakata, Senior Economist, World Bank
  • 参加人数:102名
  • 言語:英語
概要:

本研究会では、ダッカ大学のAbdullah Al Mamun博士を招聘し、「Prospects and Challenges of Japanese FDI in Bangladesh」をテーマに講演をしていただいた。

Mamun博士は、バングラデシュにおいて拡大傾向にある日本の海外直接投資(FDI)がもたらす効果として、雇用の創出、インフラの開発、経済成長、貧困の軽減などを挙げ、これらはバングラデシュの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与するという展望について言及した。

また、日本側にもたらされる効果として、東南アジア諸国連合諸国並びに南アジア地域協力連合諸国とベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)の関係強化、公海や航空ルートの利用拡大、豊富な天然ガス・水・肥沃土の利用、巨大な労働市場を背景とする低コストによる生産、著大な消費者市場の存在を強調した。

日本によるFDIの課題としては、バングラデシュの低い「ビジネスのしやすさ指数」(世界銀行発表)、期待ギャップ、輸入時の電子送金の不可、銀行における海外企業への貸付制限、税制制度などがあるとした。

講演後には、世界銀行シニア・エコノミストとしてバングラデシュの支援に携わってこられた中田志郎博士を迎え、日本からバングラデシュへのFDIを中心に、多岐にわたる論点について活発な議論が行われた。本研究会はMamun博士の講演並びにその後の議論を通じ、てバングラデシュにおける日本のFDIの展望と課題について深い知見を得ることができた大変意義深い研究会となった。

関西支部
支部長・小川啓一(神戸大学)
副支部長・關谷武司(関西学院大学)




活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2021年11月)

「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の活動としては、来る11月20・21日に開催予定の国際開発学会第32回全国大会において実施する、ラウンドテーブルに向け準備を進めてきた。  

11月20日の午前のセッションで行なわれる予定のラウンドテーブル「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」は、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会による、第2回目のラウンドテーブルとなる。

今年の春季大会のラウンドテーブルの議論をふまえ、全国大会ではパンデミック以後の時代に焦点をあて、開発レジリエンスとSDGsの課題について、大門毅会員(早稲田大学)、大谷順子会員(大阪大学)、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)そして、関谷雄一(東京大学)から話題提供をし、討論者に野田真里会員(茨城大学)を迎え、フロアも交えて双方向的な討論を展開する。

話題提供者の発題は下記のとおりである。

  • 関谷雄一「ハイブリッド調査の模索:レジリエントな研究調査を目指して」
  • 乙部尚子「新型コロナウイルス禍に於けるジェンダーと労働問題」
  • 大谷順子「中国を見て考える」
  • 大門毅「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」

主要な論点としては、下記のような点が挙げられるだろう。

  1. パンデミック以後の開発レジリエンス
  2. パンデミック以後のSDGsの課題
  3. 貧困、格差、インフォ―マリティーのなか、取り残された人々の今後
  4. その他の課題

皆さんのご参加をお待ちしております。

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




公開ワークショップ「親子deリサーチ」3月25日開催(会員・一般)

国際協力に携わられている方で、ご自身や社会の子どもたちにも国際問題に目を向けてほしい方にお勧めです

1948 年以来、働く人たちの社会運動を支えてきた(公社)国際経済労働研究所が主催する、これからの国際社会を生きる子どもたちに知っておいてほしい国際協力の方法を、「運動」という観点で話し合うワークショップです。

「運動」とは何かを知り、そのなかでも、氾濫する情報に惑わされず正しい情報を得て国際協力につなげていく「調査運動」の方法を提案します。

SDGs、ウクライナ情勢のニュースなどを通じ、子どもたちにとっても国際問題を身近に感じやすくなっているのではないでしょうか。まずは自分の関心のあるできごとに「どうしたらかかわれるのか」「自分にできることだけをやっていて問題が解決するのか」という疑問をもってもらい、その解決方法の一つ「調査運動」を知ってもらう、体験してもらう半日です。

前半は授業形式ですが、後半はワークショップの参加者全体を1つの「社会」とみたてて、参加者の関心のある問題を発表し、パソコンやスマホ、本などを駆使しながら、参加者同士で助け合って情報を集めます。子供に照準を合わせ、大人はサポートに回っていただきますが、大人の方たちも初めて聞く話が多いのではないかと思います。

普段目にする情報について、「データの見方」も説明します。ネットの情報は物事のほんの一部でしかなく、「みんなで調べる」ことで様々な見方、正しい情報、たくさんの情報が得られるのだと知ってもらいます。

「調査運動」に1人でも多く取り組めば、世界はきっと変えられる。春休みに皆さんで一緒に考えてみませんか。

日時・プログラム

2023年3月25日(土曜)
13:00ー14:00(第一部:授業形式)
14:00ー15:00(休憩)
15:00ー16:30(第二部:ワークショップ)
※途中退室可。途中からのご参加は難しいためお控えください。

進行・スピーカー

吉浜智美(国際経済労働研究所 研究員)

参加対象

  • 国際協力に興味のある小5~高校生とその親(パソコンの操作が可能であればお1人での参加も可能です)
  • 「調査運動」に興味のある一般の大学生、社会人
    ※大人の方もご参加いただけますが、話す言葉は参加者の中で一番年齢の低い方に合わせますので、ご了承ください。
    ※内容は参加者によって大きな変更はありません。

実施方法

Zoom(参加者にURLをお送りします)

費用

チケット制

・同じ世帯は2名まで(親子以外に、きょうだいも可)1チケットで参加可能。
・無料・500円・1,000円から任意でお選びください。無料チケットは5組限定。

定員

20名程度

申込フォーム


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 090-1242-1058



参加者募集:開発と社会学ゼミ・第11期(会員・一般)

開発と社会学・11期(開社Ⅺ)~グローバルサプライチェーンの社会学~

下記の要領で「ゼミナール・開発と社会学」(第11期)の参加者を募集します。ご関心のある方はご応募下さい。ただし本ゼミナールは全10回完結のコースであり原則として全回出席が条件です。数回だけの参加は固くお断りします。

募集要項

主宰者

佐藤寛(開発社会学舎)

ゼミナールの目的

他者および自分自身の「よりよい生活」を目指して繰り広げられる『開発/開発援助』という社会現象を、社会学的な視点を活用しながら多角的に考えていきます。今期のメインテーマは「グローバルサプライチェーンの社会学」です。

開催場所

新型コロナ感染症の蔓延状況によりますが、基本的には東京都内の会議室を用いて実際に会合する(リアル参加方式)予定です。ただし4月のプレゼミはオンラインで開催します(ZOOMリンクは後日参加者に送付します)。

募集定員

  • リアル参加:20名程度
  • バーチャル参加:10人程度

*バーチャル参加:日本国内にいない、東京近郊にいないなどの特別の理由でゼミ会場に物理的に参加することが困難な方は、バーチャル参加の機会を提供します。ただし、課題図書等の分担はリアル参加と同一です。なお、ゼミの開催時刻は日本時間午後2時から6時までが基本ですので、海外からの参加の場合は時差にご注意ください。またバーチャル参加の場合はzoomを利用しますが、幹事の負担を軽減するため報告時以外「見るだけ参加」が基本となります。

開催日程

2023年5月~12月の土曜日、2時から6時半まで。

  • 全10回:原則として三週間に一回(例外あり)
  • 対面開催:各回のトピックスは参加者と相談の上変更の可能性があります

プレゼミ[自由参加]:4月29日(土曜)「ラナプラザ事件(2013年・バングラデシュ)の世界史的意味」
第1回:2023年5月13日(土曜)「進化は普遍か」
第2回:2023年6月 3日(土曜)「グローバリゼーションとサプライチェーン」
第3回:2023年6月24日(土曜)「倫理的な調達は可能か(1) バナナ」
第4回:2023年7月15日(土曜)「倫理的な調達は可能か(2) チョコレート」
第5回:2023年8月5日(土曜)「持続可能なコットンとは何か」
≪夏休み≫
第6回:2023年9月16日(土曜)「パーム油と認証ポリティクス」
第7回:2023年10月7日(土曜)「大農園と農業労働者 茶、大豆、サトウキビetc.」
第8回:2023年10月28日(土曜)「工業的農業・工業的畜産業とサステナビリティ」
第9回:2023年11月18日(土曜)「ブラッドダイヤモンド(紛争鉱物)の倫理性」
第10回:2023年2月16日(土曜)「『水と油』の関係」

応募資格

開発学会の会員であることは必要条件ではありません。
a)上記日程のうち最低7回以上出席出来ること
b)以下のどれかに当てはまること
(1)開発問題に社会学的な視点から取り組みたいと考えている人
(2)援助実務を経験し、開発事業に社会学的視点を取り入れる必要性を感じている人
(3)開発問題、開発援助問題を社会学的な研究対象にしたいと考えている人

ゼミナールの運営方法

各回のテーマに応じて課題図書を指定します(日本語、英語)。これを事前に読み、各自がテーマについて考察してきた結果を報告し、全員で議論する演習形式を取ります。
課題図書のレジメは輪番制により全員が担当します。毎回全員が課題図書を読んでくることが前提で、単に話を聞きに来るだけのセミナーではありませんので、強い熱意のある方だけを募集します。
なお、課題図書は各自調達が原則ですが、入手しにくいものについては適宜PDFで参加者に共有する場合もあります。

応募方法

  1. 氏名
  2. 所属
  3. 年齢
  4. 連絡先(住所あるいは携帯電話番号)
  5. メールアドレス
  6. 志望動機(50字程度)
  7. 関心のあるテーマ

参加希望者は上記項目をグーグルフォームに明記の上、お申し込みください。

応募締め切り

2023年5月1日(月曜)午後5時(必着)とします。
ただし、定員に達した場合は期日前に締め切ることがあります。

参加合否

応募者多数の場合は、志望動機等を勘案の上参加者を決定します。合否については、5月3日(水曜)までに電子メールで応募者に通知します。

参加費

3000円(会場費・資料コピー代等)。最初の参加時に徴収します。

課題図書

参加者全員が事前に読んでくることが前提です。4回目以降の課題図書は参加者決定後に各自に通知します。

プレゼミ(完全オンライン・4月29日)

この回に限り希望者は全員参加可能です。参加希望者には個別にURLをお送りします。参加者は事前に以下の書籍を読んできてください。

  • 長田華子『990円のジーンズがつくられるのはなぜ?: ファストファッションの工場で起こっていること』合同出版(2016)
  • また、可能であれば以下の映画(ビデオ)を視聴しておいてください。
    Made in Bangladesh 2019映画/Watch Made In Bangladesh Online | 2019 Movie | Yidio

第1回 (5月13日) 進化は普遍か

  • ピーター・ボウラー『進歩の発明~ヴィクトリア時代の歴史意識』平凡社(1995)
  • 梅棹忠男『文明の生態史観』中公文庫(1974)

第2回(6/3)グローバリゼーションとサプライチェーン

・David Mirillo, From Walmart to Al Qaeda: An Interdisciplinary Approach to Globalization (1st Edition) Greenleaf publishing 2015
・Mike Berners-Lee , How Bad are Bananas? Profile Books 2010

第3回(6/24)倫理的サプライチェーンは可能か

・Barrientos, Dolan Ethical Sourcing in the Global Food System Earthscan, 2006
・石井正子『甘いバナナの苦い現実』コモンズ(2020)


本件にかんするお問い合わせ先

開発社会学舎
佐藤寛

ご質問等ありましたら 下記メールアドレスまでお問い合わせください。ただし、参加回数(7回以上)の制限についてのご相談はできません。なお、本ゼミナールは「開発社会学舎」が主催するものですので、アジア経済研究所へのお問い合わせはご遠慮下さい(佐藤寛は3月末にアジア経済研究所を定年退職しました)。

  • satokan999 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



【小5~高校生対象】オンラインセミナー『「世界の中の私」ー「自分がやろう」から「みんなでやろう」へー』8月26日開催(会員・一般)

下記、【小5~高校生対象】のオンラインセミナーのご案内です。

ご家族、ご親戚、ご友人で該当する方がいらっしゃればぜひご案内ください。

親子でのご参加も大歓迎です。

SDGsの取り組み、寄付、ボランティアを効率的に問題解決に向かわせるためには、「誰かがやってくれる」を「自分がやろう」、「自分がやろう」を「みんなでやろう」に変換するしくみがカギです。

アカデミックなデータを使いながら、市民自身の手でこの社会をより住みやすくする「調査運動」を紹介します。

ワークではSDGs6「安全な水とトイレを世界中に」を題材に、みんなで情報をもちよったその先のアクションを具体的に考えます。子供のころから「運動」というしくみを理解することで、「なぜ勉強するのか」「どう働くのか」のヒントにもなります。

開催概要

  • 日時:2023年8月26日(土曜)10:00~12:45(休憩あり)
  • 実施方法:Zoom(参加者にURLをお送りします)
  • 定員:20名程度
  • 費用:500円(税込)
    ※先着5組無料
    ※チケット制です。チケット1枚でご家族何人でもご参加いただけます。

申込方法


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



参加者募集:「移住と開発」研究部会・第1回研究会 2月12日開催(会員・一般)

コロナ禍を契機にJICAやNGOなど国際開発に携わってきた組織が日本国内に暮らす外国人(移民)を支援する動きが広がっています。SDGsにおいても、ゴール8、10などで「移住労働者」が具体的に取り上げられるようになりました。

しかし、日本においては移民研究と開発研究がこれまで別個に発展しており、相互の結びつきはまだ強いとは言えません。そこで、移住もしくは開発に興味のある方たちが集い、議論を行うためのプラットフォームとして、2023年10月より、国際開発学会にて、「移住と開発」研究部会が始動しました。

この度、第1回研究会を行う運びとなりましたので、ご案内申し上げます。

第1回研究会は、「移民(外国人)の日本への移住経験は送り出し国社会にどのような影響を及ぼす(した)のか」を大きなテーマとし、関連する実践・研究を研究部会メンバー2名が報告します。

国際開発学会の会員でなくても、どなたでも参加いただけます。ただし、参加には申込みが必要です。皆さまのご参加をお待ちしています。

開催概要

  • 日時:2024年2月12日(月曜・祝)14:00-16:30(終了後、近隣で懇親会を予定)
  • 方法:対面を中心としたZoomとのハイブリット形式
  • 会場:武庫川女子大学 中央キャンパス 中央図書館棟6階 C601教室
    (最寄駅 阪神電車「鳴尾・武庫川女子大前」駅 徒歩8分)
    *大阪梅田から20分、神戸三宮から25分で着きます
  • 定員:対面は25名
  • 対象:国際開発学会会員、テーマに関心のある方(非会員の参加も歓迎します)
  • 参加費:無料

プログラム

「移住と開発」研究部会 研究会の始動にあたって

生方 史数(岡山大学)

報告1
「『失踪』からのベトナムへの帰還―元技能実習生における主体性」

加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

ベトナム人技能実習生の「失踪」が社会課題として盛んに報道されている。しかし、「失踪」者がいかなる「主体性」をもって日本で生きていたのか、また、ベトナムに帰国後、どのように生活を営んでいるのかは十分に明らかにされていない。

本報告は2023年8-9月にベトナムで行ったインタビューの結果を元に、元ベトナム人技能実習生がたどった軌跡を「主体性」の観点から検討する。

報告2
「介護労働に従事する移住女性の生活戦略」

二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

再生産労働の国際分業とともに国際移動の女性化が進行するなか、日本国内の急速な少子高齢化と労働力不足の深刻化を背景に、介護施設で就労する外国人女性が増加の一途を辿っている。

本報告では、中国地方の介護施設で働くミャンマー人女性に焦点を当てて、彼女たちがどのような動機から日本での就労を選択したのか、また、この経験をどのように捉え、いかなる将来展望を抱いているのかについて検討する。

モデレーター

佐藤 寛(開発社会学舎、アジア経済研究所名誉研究員)

申し込み方法

Google Form()にてお申し込みください。

*2月10日(土曜)18:00締め切り


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会「移住と開発」研究部会
加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

  • jotaro33 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



ウェビナー『第15回適正技術フォーラム』3月25日開催(会員・一般)

インドネシアにおける革新的協同組合の可能性
-〈ユニバーサル・コープ〉をめざして-

今日の世界の貧困と格差の問題をもたらしている根本的原因のひとつが、資本主義的企業において、資本家・経営者が収益の配分を含む経営権を握っていることにあるのはいうまでもありません。また、そこで働く人々は、組織に支配された、従属的な働き方を余儀なくされます。一方、協同組合は、より民主的な経営と主体的な働き方を可能としますが、現状の制度の下では、多くの場合、その業種や規模は限定的です。

第12回適正技術フォーラムで提案された〈ユニバーサル・コープ〉は、資金のある人は資金を、技術のある人は技術を、事務能力のある人は事務能力を、体力のある人は体力を・・と、参加者がそれぞれ提供できるものを出し合って事業を行い、その貢献度に応じて、収益の配分決定を含む経営権を分かち合う、新しい原理の協同組合です。折しも、インドネシアで昨年施行された協同組合中小企業大臣令が、ユニバーサル・コープに接近した協同組合の方式を打ち出していることから、現地でそのような組合を実際に設立する準備も進んでいます。

今回のフォーラムでは、今日の世界が直面する、貧困と格差、人間・労働疎外、環境・資源などの問題を乗り越えて、持続可能な世界を形成するに当たり、そのような革新的協同組合が持つ可能性について考えます。

開催概要

  • 日時:2023年3月25日(土曜)14:00~16:45(オンライン開催)
  • 参加費:無料
  • 定員:70名
  • 主催:適正技術フォーラム

プログラム

14:00~14:05
オープニング

14:05~14:50
『インドネシアの協同組合・中小産業の膨大な集積とその可能性』
講師:水野広祐(インドネシア大学教授/京都大学名誉教授)

14:50~15:35
『〈ユニバーサル・コープ〉と〈適正な技術選択〉が開く世界』
講師:田中直(適正技術フォーラム共同代表)

15:35~15:40
休憩

15:40~16:45
パネルディスカッション・質疑
モデレーター:古沢広祐(國學院大學研究開発推進機構客員教授)

お申込方法

〇適正技術フォーラム会員の方

メールタイトルを「第15回適正技術フォーラム参加申し込み(会員)」として、お名前明記の上、以下のメールアドレスまでメールでお申込み下さい。

〇一般の方

メールタイトルを「第15回適正技術フォーラム参加申し込み(一般)」として、お名前、ご所属、メールアドレスを明記の上、以下のメールアドレスまでメールでお申込み下さい。※折り返し事務局よりご参加要領をお知らせいたします。

info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)


本件にかんするお問い合わせ先

適正技術フォーラム(Appropriate Technology Forum Japan)

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3875-9286
  • 〒110-0003 東京都台東区根岸1-5-12 井上ビル



オンラインシンポジウム「東南アジア移民送り出し国の労働法制@上智大学」11月16日開催(会員・一般)

ソフィア・オープン・リサーチ・ウィークス2023

東南アジアの移民送り出し国の労働法制

  • 日時:2023年11月16日(木曜)13:00-16:00(開場 12:50)
  • 対象:高校生・大学生・大学院生・研究者・一般
  • 言語:日本語・英語(同時通訳あり)
  • 参加費:無料
  • Webinar申し込み:
    (動画の後日配信なし)
  • 主催:上智大学アジア文化研究所
  • 共催:科研費研究「移民女性のReproductive Justice:法と制度の活用による妊娠と出産の制限からの解放」

プログラム

司会・進行:田中雅子(上智大学)

1.移民労働者の権利保障に関する送り出し国の役割:ベトナム、ミャンマー、カンボジア出身者と送り出し国のステークホルダーへのインタビューから

針間礼子(Mekong Migration Network)

2.インドネシア移民女性の婚姻・妊娠とイスラーム法

佐伯奈津子(名古屋学院大学)

3.移民労働者の権利擁護における支援団体の介入を阻む障壁:日本の事例から

斉藤善久(神戸大学)


本件にかんするお問い合わせ先

上智大学アジア文化研究所

  • i-asianc [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話:03-3238-3690



全国大会プレイベント 「社会的連帯経済(SSE)と国連・ILOの最新の動き」12月2日開催(会員・一般)

グローバル経済下、格差・貧困・労働現場の困窮化の進展に対して、新たな働き方や労働現場の再編成の動きとして、社会的連帯経済(SSE)が内外で注目されています。

本企画では国際労働機関(ILO)本部企業局協同組合ユニット長 シメル・エシム氏より、ILOのSSEに関する最新の取り組み状況(2022年ILO総会SSE一般討議、国際展開)を報告して頂きます。日本からは労働運動の中核を担う連合(日本労働組合総連合)の新たな取り組み状況について紹介頂きます。

質疑・コメントでは、協同組合関係で最近施行された労協法の動向、過疎・高齢化に直面する地方・地域おこしの取り組み、国際的には途上国支援でも注目されているSSEの展開動向について等、幅広い積極的な意見交換を期待しております(※本プレ企画後、12月4日の大会企画セッションでも上記の議論を深める予定です)。

開催概要

  • 日時:2022年12月2日(金曜)18:00〜19:30
  • 会場:御茶ノ水・連合会館(72名収容教室)+ZOOMオンライン
  • 対象:国際開発学会会員および一般参加(公開)
  • 参加費:無料
  • 主催:国際開発学会/社会的連帯経済・研究部会
  • 後援:ILO駐日事務所

プログラム

司会進行:伊丹謙太郎(法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授)

  1. 主催者挨拶(古沢広祐、SSE研究部会代表)
  2. ILO駐日事務所(後援者)挨拶とILO企業局協同組合ユニット長エシム氏の紹介(高﨑真一駐日代表)
  3. 特別講演:シメル・エシム氏「SSEと国連・ILOの最新動向」(30分、映像込)
  4. 日本における連合の新たな取り組み紹介
    連合広報・教育局長 西野ゆかり氏、(20分)
  5. 質疑応答・コメントなど(約30分)

申込方法

以下より参加申し込み下さい(zoomアクセス案内は前日までに連絡)


本件にかんするお問い合わせ先

SSE研究部会事務局(ソリ-J)

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
参考
大会企画セッション(別途、申込み要)

12月4日(日曜)12:45〜14:45
ラウンドテーブル「社会的連帯経済(SSE)の国際動向と日本の動き」
プログラム
1)社会的連帯経済とILOの動き
(12/2動画記録:シメル・エシム/ ILO協同組合ユニット長)
コメント・質疑応答(高﨑真一/ ILO駐日代表)
2)社会的連帯経済の国内動向(伊丹謙太郎/ 法政大学)
3)研究部会の研究会取り組みー中間総括(古沢広祐/ 國學院大學)
4)コメント(池上甲一/ 近畿大学)
*質疑応答・全体討論
司会:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン事務局長)
会場:御茶ノ水・明治大学リバティタワー(9F1096教室、140名収容)
対象:国際開発学会会員




「組合によるエンパワーメント:インドSEWAの運動から学ぶ」12月11日開催(会員・一般)

組合によるエンパワーメント:インドSEWA(自営女性協会)の運動から学ぶ

自営女性協会(Self Employed Women’s Association: SEWA)は、零細自営業女性の労働組合として、1972年にインドのグジャラート州で誕生した。貧困女性にも融資を行うSEWA銀行の他、組合員が仲間を組織化する手法でインド各地に支部を設立し、政策提言にも積極的な役割を果たしている。ひとりひとりの組合員をエンパワーするSEWAの活動から、日本のインフォーマル・セクターで働く女性や若者の運動へのヒントを得る。

開催概要

  • 日時:2022年12月11日(日曜)14時‐16時30分
  • 方式:オンライン(zoom)
  • 対象:上智大学学生・教職員、一般
  • 協力:はたらく女性の全国センター(ACW2)
  • 主催:上智大学グローバル・コンサーン研究所(IGC)

登壇者

  • 喜多村 百合(元筑紫女学園大学教授、現在同大学非常勤講師、教育学博士)
  • 伊藤 みどり(はたらく女性の全国センター(ACW2)元共同代表、介護福祉士)
  • 大須賀 彩夏(上智大学総合グローバル学部4年、労働組合でインターンを経験)

司会・進行

  • 田中雅子(上智大学グローバル・コンサーン研究所 所員)

お申し込み


本件にかんするお問い合わせ先

上智大学グローバル・コンサーン研究所(IGC)

  • Eメール:i-glocon [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3238-3023



オンラインセミナー「移住女性とSDGs:『妊娠・出産への対応力』向上」11月17日開催(会員・一般)

移住女性とSDGs:「妊娠・出産への対応力」向上オンラインセミナー

開催概要

  • 日時:2022年11月17日(木曜)13:00-15:30
  • 対象:自治体、国際交流協会、監理団体、登録支援機関の職員、日本語学校・専門学校・大学の教職員、一般
  • 定員:先着50名(グループワークまで参加する方のみ、お申込みを受付けます。メディアの方は別途メールでご連絡ください)
  • 言語:日本語
  • 実施方法:申し込み締切後、計60分程度の事前講義動画のリンクと資料をお送りします。事前にご視聴ください。
  • 参加費:無料
  • 主催:科研費研究「移住女性とSDGs」プロジェクト
  • 後援:岐阜県、独立行政法人国際協力機構 中部センター

プログラム

13:00 開会あいさつ、趣旨説明
田中 雅子(上智大学)

13:20母子保健行政について
丹羽 由香里(岐阜県子ども・女性局子育て支援課主幹 兼 母子保健係長)

13:35 事例報告
1)外国籍住民へ対応
安藤 美春(岐阜県可児市健康増進課 母子保健係長)
2)技能実習生の妊娠・出産への対応
北島 あづさ(岐阜一般労働組合 執行委員長)
3)DV・女性相談窓口での妊娠・出産対応
杉戸 ひろ子(そうみ―移民女性自立の会)

14:15 休憩

14:20 グループワーク 「より良い対応を考える」
シナリオをもとに、地域の社会資源を考えながら、関係者の役割について少人数でディスカッション

15:00 全体共有および質疑応答

15:30 閉会
(16:00まで、任意で参加者交流会)

申込フォーム

  • 申込締切日:2022年11月7日(月曜)正午 12:00

本件にかんするお問い合わせ先

科研費研究「移住女性とSDGs」プロジェクト
田中雅子

  • researchsrhr [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:090-9149-9195



「国際協力のカギ『調査運動』を考えよう」10月8日開催(会員・一般)

今回で4回目を迎える好評の公開セミナーです。SDGs、エコなどよりよい社会を作るためのたくさんの方法がTVやスマホを通じて流れてきます。しかし、「自分にできることから始める」だけで、目標は達成できるのでしょうか。

SDGsもエコも、みんなが同じ目的に向かって、荷物を分け合って持つ世界的な「運動」だという「しくみ」を理解しながら取り組むことにより、個人、学校、企業、国がバラバラに取り組む何倍もの成果につながります。

特に国際協力を勉強している、実務に従事している、発信しているマスコミの方などには、「自分にできることから」を「みんなでやろう」に発想を変換していただきたいです。

1948 年以降、働く人たちの社会運動を推進してきた(公社)国際経済労働研究所が、基本的な「運動」の考え方から、運動を加速するためのコツ(「調査運動」)をお伝えします。双方向に会話しながら、ぜひ皆さんの意見を聞かせてください。

開催概要

■日時:2022年10月8日(土曜)13:30~15:00
■スピーカー:吉浜智美(国際経済労働研究所 研究員)
■参加対象:国際協力に興味のある学生・社会人の方
■実施方法:Zoom(参加者にURLをお送りします)
■費用:チケット制(無料・500円・1,000円からお選びください。無料席は定員10名)
■定員:20名程度
■申込フォーム: 


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜智美

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3760-1039(研究所)
  • 電話番号:090-1242-1058(当日連絡)



第13回適正技術フォーラム『 デジタル化と人間・社会の変容 』10月8日開催(会員・一般)

スマホやパソコンが街にあふれ、日々膨大な情報がネット上でゆきかい、人工知能がいたるところに組み込まれ、自動運転やメタバース等の普及も見込まれています。

それらは社会に進歩と革新をもたらし、経済を発展させるものとして受け止められていますが、私たちの仕事や生活をどのように変え、人間の能力、人格形成、人間関係等にどのような影響を及ぼし、総じて人間とその社会を本当に豊かにするものなのかどうかは、明らかでありません。

今回のフォーラムでは、適正な技術選択をめざす観点から、これらの新しい技術群がもたらす正の面と負の面に光を当てながら、デジタル化と人間・社会の変容の全体像にせまり、それにいかに向き合うかを考えます。

開催概要

  • 日時:2022年10月8日(土曜)14:00~16:30
  • 会場:オンライン(Zoom)開催
  • 定員:60名
  • 参加費:無料
  • 主催:適正技術フォーラム

プログラム

14:00~14:05
オープニング

14:05~15:00
『 ICTと人間の幸福な関係を築くには 』
講師: 佐倉統氏(東京大学大学院教授)

15:00~15:45
『 デジタル化の両義性を考える - 疎外への罠か、自由獲得のツールか 』
講師: 田中直(適正技術フォーラム共同代表)

15:45~15:50
休憩

15:50~16:30
パネルディスカッション・質疑
モデレーター:古沢広祐(國學院大學研究開発推進機構客員教授)

講師・モデレーターのプロフィール

佐倉 統(さくら・おさむ)

東京大学大学院情報学環教授。理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー。1960年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。もともとの専門は進化生態学・霊長類学であるが、環境問題、人工生命、脳神経科学、AIとロボットなど、進化論を中心とした科学論、科学技術社会論に研究を広めている。

主な著書に『科学とはなにか-新しい科学論、いま必要な三つの視点』(講談社ブルーバックス)、『人と「機械」をつなぐデザイン』(東京大学出版会)、『「便利」は人を不幸にする』(新潮選書)など。

田中 直(たなか・なお)

適正技術フォーラム共同代表。1976年、東京大学工学部卒業後、石油会社で石油精製プロセス管理、情報処理、バイオテクノロジー、排水処理等の業務に従事する一方、1987年の設立当初から35年間(1999年より専従)、国際協力NGO、APEXの代表・代表理事を務める。理学博士。

著書に『適正技術と代替社会-インドネシアでの実践から』(岩波新書)、『現代適正技術論序説-近代科学技術に代わる技術体系をめぐって』(社会評論社)、編著書に『転換期の技術者たち』、『第三世界の問題を考える』(剄草書房)、『エネルギー問題-工業化社会の自然と労働』(社
会評論社)など。

古沢 広祐氏(ふるさわ・こうゆう)

國學院大學研究開発推進機構客員教授。(NPO)「環境・持続社会」研究センター代表理事。大阪大学理学部(生物学科)卒業、京都大学大学院農学研究科(農林経済)研究指導認定。農学博士。國學院大學経済学部(経済ネットワーキング学科)教授を定年退職後、客員教授。

著書に『食・農・環境とSDGs : 持続可能な社会のトータルビジョン』(農山漁村文化協会)、『みんな幸せってどんな世界』(ほんの木)、『食べるってどんなこと?』(平凡社)、『地球文明ビジョン』(NHKブックス)他。

お申し込み方法

ATFJ会員の方

メールタイトルを「第13回適正技術フォーラム参加申し込み(会員)」として、お名前明記の上、info@までメールでお申込み下さい。

一般の方

メールタイトルを「第13回適正技術フォーラム参加申し込み(一般)」として、お名前、ご所属、メールアドレスを明記の上、下記メールアドレスまでお申込み下さい。折り返し事務局よりご参加要領をお知らせいたします。


本件にかんするお問い合わせ先

適正技術フォーラム事務局

  • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号:03-3875-9286
  • 〒110-0003 東京都台東区根岸1-5-12 井上ビル



ウェビナー「『ビジネスと人権』への取り組み」

日本でもビジネスにおける「人権」の重要性が指摘され始めていますが、オランダの児童労働デューデリジェンス法、欧州委員会の環境・人権に関するデューデリジェンスの義務化の動きなど、欧州では既に企業に対してサプライチェーン上の人権遵守が求められています。

本セミナーでは、オランダ及び欧州におけるビジネスと人権に関するルール化の最新動向や、いち早く人権人種を打ち出すことにより、商業的にも成功したオランダ企業トニーズ・チョコロンリーの取り組み、さらに日本における消費者教育の取り組みを紹介します。

日本の消費者市場においても「人権」は今後重要になると可能性が高い中、欧州の先行事例に学び、今後のビジネス展開のヒントを得る絶好の機会と存じます。ぜひご参加ください。

開催概要

  • 日時: 2022年9月28日(水曜)16:30~ 18:00(日本時間)
  • 会場: オンライン開催(ZOOMウェビナー)
  • 言語:日本語/英語(同時通訳)
  • 参加費:無料
  • 主催:駐日オランダ王国大使館、一般社団法人ソリダリダード・ジャパン

スピーカー

  1. フィレス・フットハルト氏(オランダ外務省 経済ガバナンス・通商政策局義務デューデリジェンス・コーディネーター)
  2. エンゾ・ファン ザンテン 氏(トニーズ・チョコロンリー キーノート・ヒーロー)
  3. 米山眞梨子 氏(消費者庁 消費者教育推進課 課長補佐)

パネルディスカッション

モデレータ

佐藤寛 氏(アジア経済研究所上席主任調査研究員 / ソリダリダード・ジャパン共同代表)

パネリスト

  1. 河口眞理子 氏(不二製油グループ本社㈱ CEO補佐 / 立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科・特任教授)
  2. 佐藤有希子 氏(認定NPO法人ACE(エース)ソーシャルビジネス推進事業チーフ)
  3. ハモンド・メンサ氏(国際NGOソリダリダード 西アフリカ・カカオプログラム担当)

申込み

にご記入の上、お申込みください。(〆切 9月27日)


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



「国際協力のカギ『調査運動』を考えよう-SDGsの前に私たちが知っておかなければならないこと-」8月6日開催(会員・一般)

SDGs、エコなどよりよい社会を作るためのたくさんの方法がTVやスマホを通じて流れてきます。しかし、これらが「運動」という観点から語られることはほとんどありません。

「自分にできることは何だろう?」と考えることはすべての出発点ですが、個人、学校、企業、国と、それぞれがバラバラに「自分にできること」をやっているだけで、果たして私たちは生き延びられるのでしょうか。「資本主義」とは違う、世界のみんなで「生き合う」ための新しい軸、「運動」という仕組みを使って、「自分にできることから」を「みんなでやろう」に変換すれば、できることは何倍にも広がります。でも、具体的にどうやったらいいのだろう?

1948年以降、働く人たちの社会運動を推進してきた(公社)国際経済労働研究所が、「運動」を使った国際協力の方法、そのなかでも単なる「調査」ではない「調査運動」の活用方法を提案します。これまで数回実施してきた内容に実務面での情報をプラスし、パワーアップして毎月定期開催します。ワークもありますので双方向に会話しながら楽しく学べます。

開催概要

2022年8月6日(土曜)13:30~15:00

2022年9月3日(土曜)13:30~15:00

以降、10/1、11/12、12/3実施予定。準備が整い次第、ご案内します。

実施方法

Zoom(参加者にURLをお送りします)

参加費

770円(税込)

  • セミナー費:550円、支払システム利用料:220円
  • コンビニ、ペイジー払い可

定員

20名程度


本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所 吉浜智美

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 電話番号(研究所):03-3760-1039
  • 電話番号(当日):090-1242-1058



オンライン「社会的連帯経済に関する勉強会および研究会」7月23日開催(会員・一般)

2022年7月23日(土曜)に開催予定の「連帯経済勉強会」および「社会的連帯経済研究会」についてご案内いたします。

「連帯経済勉強会」2022 第4回勉強会(有料)

  • 日時:2022年7月23日(土曜)13:00~14:30
  • テーマ:ワーカーズコープと活力ある地域社会の実現
  • ねらい:労働者協同組合(ワーカーズコープ)の仕組みと取り組みを理解し、地域経済活性化における労働者協同組合法の意義、地域での暮らしや働きを支える空間、市民同士の相互扶助など、社会課題の解決におけるワーカーズコープの役割について学びます。
  • 講師:相良孝雄(日本労働者協同組合「ワーカーズコープ」連合会理事)
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
  • 主催:一般社団法人ソリダリダード・ジャパン

申込方法:

下記ご案内ホームページをご参照ください。
*「連帯経済勉強会」2022(全7回)開催案内:

「社会的連帯経済」研究部会・第4回研究会(無料)

  • 日時:2022年7月23日(土曜)15:00~17:00
  • テーマ(仮):市民が自由に協同組合をつくることができる時代に向けて―労働者協同組合法が市民社会、協同組合にもたらすもの―
  • 講師:三浦一浩 (公益財団法人生協総合研究所研究員)
    モデレーター:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • 共催:国際開発学会社会的連帯経済研究会、一般社団法人ソリダリダード・ジャパン

申込方法:

参考情報:

  • 社会的連帯経済シリーズ:ソリダリダード・ジャパン ポットキャスト ()
  • 社会的連帯経済 – JASID Official Website:
  • 国際開発学会「社会的連帯経済」研究部会|note

皆様のご参加、心よりお待ちしております。


本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



国際協力のカギ 「調査運動」を考えよう-SDGsの前に私たちが知っておかなければならないこと-

SDGs、エコなどよりよい社会を作るためのたくさんの方法がTVやスマホを通じて流れてきます。しかし、これらが「運動」という観点から語られることはほとんどありません。

「自分にできることは何だろう?」と考えることはすべての出発点ですが、個人、学校、企業、国と、それぞれがバラバラに「自分にできること」をやっているだけで、果たして私たちは生き延びられるのでしょうか。

「資本主義」とは違う、世界のみんなで「生き合う」ための新しい軸、「運動」という仕組みを使って、「自分にもできる」を「みんなでやろう」に変換すれば、できることは何倍にも広がります。でも、具体的にどうやったらいいのだろう?

1948 年以来、 働く人たちの社会運動を支えてきた(公社)国際経済労働研究所が、「運動」を使った国際協力の方法、そのなかでも「調査」ではない「調査運動」の活用方法を提案します。

「調査運動」に1人でも多く取り組めば、世界はきっと変えられる。一緒に考えてください。

開催概要

  • 日時:2022年7月9日(土曜)13:30~15:00
  • 実施方法:Zoom(参加者にURLをお送りします)
  • 費用:770円(税込)
    ※コンビニ、ペイジー払いがご利用いただけます。お支払方法は参加者にご連絡します。
  • 定員:20名程度

申込方法

下記いずれかの方法でお申し込みください。

  1. 申込フォーム 
  2. メール 
    件名に「7/9セミナー申込」と書き、お名前、ご所属、緊急時の電話番号を明記して、下記メールアドレスまでご送付ください。

本件にかんするお問い合わせ先

(公社)国際経済労働研究所
吉浜智美

  • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
  • 03-3760-1039(研究所)
  • 090-1242-1058(当日連絡)



新刊案内:『変容するアジアの家族:シンガポール、台湾、ネパール、スリランカの現場から』

田村慶子・佐野麻由子編著,2022年,『変容するアジアの家族:シンガポール、台湾、ネパール、スリランカの現場から』明石書店.

本書の概要

本書は、(公財)アジア女性研究・交流フォーラム(KFAW)アジア研究者ネットワークに集った研究者による共同研究の成果として刊行されました。KFAWアジア研究者ネットワークは、北九州および近郊に在住するさまざまな分野の研究者や実務者が、アジア地域を中心とする研究・実践活動の成果を共有する場として2009年に結成されました。

本書では、シンガポール、台湾、ネパール、スリランカという4つの国と地域を事例として、政治的領域、経済的領域との関わりを視野に、家族形態、家族の機能、性別役割分業、家父長制に基づく家族の価値観など、多様な側面から家族の変容を分析しました。

これらの国・地域には面積も人口も小さいものの、程度の差こそあれ、(1)急激な少子化ないし少子高齢化、(2)拡大家族から核家族へという急激な世帯規模の縮小、(3)出稼ぎによる家族の離散や外国人ケア労働者によって支えられる家族機能というグローバル化のなかでの家族の変容を経験しているという共通項があります。

本書で取り上げられた事例には、少子高齢化や家族のケアだけでなく、同性婚、生殖医療、メリトクラシー、障害者家族のような、これまでアジアの家族についての議論で取り上げられることが少なかった切り口を含んでおり、今日的なアジアの家族の変容を示すものとなっております。是非お手にとってご覧ください。

目次

刊行のご挨拶
はじめに[田村慶子・佐野麻由子]

第1章 シンガポールの「疲弊する」家族と女性[田村慶子]
〈コラム1〉単なる補佐役ではなく運営の主体として――インドネシアのカカオ農園で働く女性たちから得た教訓

第2章 シンガポールの教育・子育てに関する政策と価値観――メリトクラシーとジェンダーの観点から[坂無淳]
〈コラム2〉娘の選択――結婚するか独身のままか

第3章 重い家庭の負担からの逃避――台湾の家族と女性[田村慶子]
〈コラム3〉台湾における外国人労働者と家族の変容
〈コラム4〉日本で働くフィリピン人女性家事労働者の(ディス)エンパワーメント

第4章 男児選好にみるネパールの家族の変容――階級別の分析からみえた経済発展下での個人化の兆し[佐野麻由子]
〈コラム5〉児童婚の根絶を

第5章 現代スリランカの家族の変容とジェンダー――障害者家族のケアの例から[古田弘子・鹿毛理恵]
〈コラム6〉パキスタンにおける児童婚・早婚

おわりに[田村慶子・佐野麻由子・織田由紀子]
著者紹介


本件にかんするお問い合わせ先

佐野麻由子(福岡県立大学)

  • sanomayu [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

明石書店ウェブサイト




ソリダリダード・ジャパン『全7回・連帯経済勉強会2022』(会員・一般)

グローバル資本主義の限界が指摘される中、世界的に「連帯経済」が注目されていますが日本国内における認知度はまだまだ高くありません。ソリダリダード・ジャパンは昨年度から「連帯経済」に関する基礎知識の普及のための勉強会を開催しており、今年度は日本国内の地域活性化と連帯経済の関係に焦点を当てた内容で進めていきたいと考えています。

資本効率を優先する企業は、労働力と市場を求めてグローバルにビジネスを展開します。一方で、コスト面等で劣る日本国内の生産拠点は閉鎖され、少子高齢化や人口流出により縮小する地方市場から撤退する企業も増えています。グローバル化・市場経済化の進展に伴い、国内の地域経済は徐々に弱体化しています。このような中、利潤の最大化のみを目的としない「連帯経済」による地域経済活性化の取り組みが始まっています。

本勉強会では、地域活性化に向けた実践を行っている方、地域活性化のための新たな連携の形を模索されている実務者・研究者の皆様にも参考になる内容です。

なお、本勉強会とセットで、国際開発学会の「社会的連帯経済」研究部会とのコラボレーションで研究会も実施します。研究会では、本勉強会で取り上げるテーマについて、研究者を中心に更に議論を深めていきます。本勉強会の参加者は、国際開発学会の研究会にも参加することができます。

開催概要

開催日時

2022年4月23日(土曜)~10月22日(土曜)毎月第四土曜日(全7回)
第1回は15:00~17:00、第2回~第7回は13:00~14:30。
なお、第2回以降は同日の15:00~17:00に国際開発学会の「社会的連帯経済」研究部会と共催で研究会も実施します。

開催形式

ZOOMを利用したオンラインウェビナー(申込者には後日受講方法をご案内します)

定員

各回50名(定員に達し次第受付終了とさせていただきます)

受講料

  • 第1回(4月23日)は無料
  • 第2回~第7回のパック料金:12,000円(学生割引7,000)
  • 第2回以降、各回の受講料:2,500円(学生割引:1,500円)

※国際開発学会会員特典は、学生割引と同額になります。
※受講料の支払期日は、開催日の前日となります。原則として、お支払いの確認後にZOOMリンクを送付いたします。

申込方法

本勉強会の申込は以下のURLより「参加申込書」を取得し、必要事項をご記入のうえ、下記メールアドレスに添付ファイルとして送付してください。
0bll2kfojmytq1r/%E5%8F%82%E5%8A%A0%E7%94%B3%E8%BE%BC%E6%9B%?dl=0

  • メール送付の際は、件名を【「連帯経済勉強会」2022応募】としてください
  • 学生割引をご利用の方は学生証又は在学証明書の写しもご提出ください
  • 国際開発学会会員特典ご利用の方は、会員番号の記入が必要となります

参加申込書送付先メールアドレス:

  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

応募メールをいただきましたら、3 営業日以内に応募受付完了メールをお送り致します。応募受付完了メールが届かない場合は上記までご確認のご連絡をお願いいたします。

申込締切

  • パック割引の場合:5月16日(月曜)
  • 各回受講の場合:開催日の1週間前まで

全体スケジュール

◆第1回 4月23日(土曜)連帯経済は地方経済活性化を後押しできるのか

ねらい:21世紀に入り、「社会的連帯経済」の活動は再び注目されています。ここでは用語の整理や様々な活動展開の潮流について解説し、スペインでの実践事例を手掛かりに、地域経済活性化において「連帯経済」が果たす役割について学びます。

  • 講師:廣田裕之(スペイン社会的通貨研究所共同創設者)
  • コメンテータ:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第2回 5月28日(土曜)地域通貨によるコミュニティづくり

ねらい:地域通貨の仕組みと、地域通貨というツールを通じて、地域の活動を促し、新たな関係性を構築していくメカニズム、>それが地域社会に与えるインパクトを学びます。

  • 講師:柳澤大輔(面白法人カヤック 代表取締役CEO)
  • コメンテータ:古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第3回 6月25日(土曜)信用金庫と地域経済

ねらい:地域に密着した金融メカニズムとしての信用金庫の仕組みを理解し、地域の情報や特徴を熟知した金融が、地域経済活性化に果たす役割について学びます。

  • 講師:新田信行(開智国際大学局員教授・一般社団法人ちいきん会代表理事)
  • コメンテータ:多賀俊二(草の根金融研究所「くさのーね」代表、中小企業診断士)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第4回 7月23日(土曜)ワーカーズコープと活力ある地域社会の実現

ねらい:労働者協同組合(ワーカーズコープの仕組みと取り組みを理解し、地域経済活性化における労働者協同組合法の意義、地域での暮らしや働きを支える空間、市民同士の相互扶助など、社会課題の解決におけるワーカーズコープの役割について学びます。

  • 講師:相良孝雄(日本労働者協同組合「ワーカーズコープ」連合会理事)
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第5回 8月27日(土曜)農福連携による地域の活性化

ねらい:過疎化が進む地方では、地域活性化に多様なアクターの動員が求められています。一次産業と福祉の連携は相互補完的な関係を築き上げることが可能であり、新しい生産活動の形態として期待されています。農福連携の実践事例から新しい連帯経済の可能性について学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第6回 9月24日(土曜)「よそ者」と社会的企業

ねらい:日本国内で昨年生まれた赤ちゃんは過去最少の約84万人にとどまっており、少子化、地方の人口減少は深刻度を増しています。そうした中で、地方の活性化のための「関係人口」の重要性が脚光を浴びています。地域での経済活動に貢献する「よそ者」の関わりについて学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

◆第7回 10月22日(土曜)生産者と消費者の連帯

ねらい:生産者と消費者の連帯は、連帯経済の古典的な事例です。地産地消の取り組みが地域経済活性化にもたらす効果、地域社会の総合的な関わり、食の豊かさに結びつく農業や食品サプライチェーンの現状について学びます。

  • 講師:調整中
  • コメンテータ: 古沢広祐(国際開発学会社会的連帯経済研究部会代表)
  • モデレーター:佐藤寛(アジア経済研究所・上席主任調査研究員)

本件にかんするお問い合わせ先

一般社団法人ソリダリダード・ジャパン事務局

  • 案内状%E3%80%8C%E9%80%A3%E5%B8%AF%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%80%8D%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%A1%88%E5%86%85%E7%8A%?dl=0
  • japan-info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第1回「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」3月11日(会員・一般)

3月11日(金曜)に「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」の第1回研究部会を開催いたします。
プログラム等の詳細は以下のとおりです。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

  • 日時:2022年3月11日(金曜)9:30~15:30
  • 方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド。
    オンサイトの会場は京都大学稲盛財団記念館を予定(COVID-19の感染状況によって変更あり)

プログラム

9:30-9:45
開会の挨拶、趣旨説明
(高橋基樹、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

9:45-10:00
自己紹介

10:00-10:55
「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」
神公明(JICA緒方貞子平和開発研究所専任参事)

<休憩>

11:05-12:00
「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」(※有本寛、坪田建明との共同研究)
町北朋洋(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)

12:00-12:55
「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」
朴聖恩(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)

<昼食>

13:35-14:30
「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」
松本愛果(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)

14:30-15:25  
「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成 -ものと人の関係に着目して-」
山崎裕次郎(名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程)

15:25-15:30
閉会の挨拶、次回の予定


本件にかんするお問い合わせ・お申込み先

『アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会』
幹事・井手上和代(明治学院大学国際学部)

研究会に関する問い合わせ・申し込みは、下記メールアドレスにご連絡いただきますよう、お願い申し上げます。後日、Zoomの招待URLをお送りします。

  • ideue [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)