宇都宮大学「2024年度・第25回春季大会開催のお知らせ」6月15・16日開催

2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

地域発! 国際協力と共創の実践~グローバル・グローカルな人材育成
Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local
Context; Global & Glocal Human Resource Development

  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮予定
  • 方式:対面(一部オンライン)
この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮のLRTや餃子、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

【スケジュール】

  • 2月 1日:ホームページ公開予定()
  • 2月中旬:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締切
  • 4月上旬:大会参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月15日:大会参加登録締切
  • 5月22日:報告論文提出締め切り

【発表申込要項】

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • ・発表者は、国際開発学会会員であることが必要
    学会入会申請:
    会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること

※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。
なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。

※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する
  • 企画セッション:各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること
  • ラウンドテーブル:企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

【発表申込】

  • 申込期間:2024年2月中旬~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

キャンパス内には「宇都宮大学まなびの森保育園」があり、当日の学童保育(0歳~小学6年生)にも対応可能です。詳細は追って案内します。

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学共同教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン科学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊地翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於茄(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

 


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



2024年度第25回春季大会(宇都宮大学)開催のお知らせ

The 25th JASID Spring Conference

地域発! 国際協力と共創の実践
グローバル・グローカルな人材育成

Realizing International Cooperation and Interactive Co-creation in Local Context: Global & Glocal Human Resource Development
  • 日時:2024年6月15日(土曜)春季大会、16日(日曜)エクスカーション予定
  • 場所:宇都宮大学 峰キャンパス、足尾・宇都宮(予定)
  • 方式:対面(一部オンライン)

この度、上記の概要にて栃木県の宇都宮大学にて春季大会を開催します!

宇都宮大学では、教育・研究・地域貢献を有機的に活かした国内外における国際協力や共創にかかわるグローバル・グローカル人材育成を実践しており、プレナリーでもその一部をご紹介します。

また栃木県には、公害の原点ともいえる足尾銅山があり、国際開発を議論するにあたって伝えるべき日本の経験である公害について学ぶ場としてエクスカーションの訪問先として計画中です。

宇都宮(エクスカーションの可能性もあり)のLRTや餃子や、日光や那須などの栃木県内のご観光などもあわせて是非ご堪能ください。

第25回春季大会・実行委員会
委員長:阪本公美子(宇都宮大学)


スケジュール

  • 2月 1日:HP公開予定()
  • 2月 1日:発表申込開始予定
    [2月下旬:発表希望者の学会入会申請期限※]
  • 3月18 日:発表申込締め切り
  • 4月初旬:参加登録開始
  • 4月下旬:採否結果通知
  • 5月上旬:報告論文(ショートペーパー4頁、フルペーパー16頁)提出締め切り

発表申込要項

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • 発表者は、会員であることが必要
学会入会申請・会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要
  • 要旨は、A4 – 1枚、日本語の発表の場合は、日本語(400〜800字)で、英語の場合は英語(200〜300 Words)で作成すること
※ 発表者は、申し込み時点で会員であり、かつ会費を未納していないこと。なお、新規の会員申し込みをしてから学会として諾否を審議するのに2週間を要するため、申込期限の遅くとも2週間前には会員申し込みを完了していること。
※ また会費未納の方は、ご発表予定の場合、早めに納入の完了をお願いいたします。

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する

企画セッション:

各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること

ラウンドテーブル:

企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

発表申込

  • 申込期間:2024年2月1日~3月18日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

国際開発学会・第25回春季大会実行委員会

実行委員長:

阪本公美子(宇都宮大学国際学部・教授)

事務局長:

  • 藤井広重(宇都宮大学国際学部・准教授)
  • 飯塚明子(宇都宮大学留学生国際交流センター・准教授)

実行委員:

  • Arjon Sugit(宇都宮大学国際学部・助教)
  • 重田康博(宇都宮大学国際学部・客員教授)
  • 松尾昌樹(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 高橋若菜(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 栗原俊輔(宇都宮大学国際学部・教授)
  • 丸山剛史(宇都宮大学教育学部・教授)
  • 大森玲子(宇都宮大学地域デザイン学部・教授)

学生実行委員:

  • 匂坂宏枝(宇都宮大学国際学研究科・博士課程)
  • 菊池翔(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • 福原玲於奈(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Frimpong Andrew Charles(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)
  • Polgahagedara Don Pubudu Sanjeewa(宇都宮大学地域創生科学研究科・博士前期課程)

第25回春季大会にかんするお問い合わせ先

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



京滋支部(2024年2月)

代表メンバー(第12期:2024年度)

支部長

渡邉 松男(立命館大学)

副支部長

斎藤 文彦(龍谷大学)

幹事

山田 翔太(立教大学PD)


2024年度の支部活動スケジュール

  • 若手研究者を対象とする研究成果・計画報告会(秋・春)
  • 研究会、シンポジウムの開催
  • 支部による調査・研究の実施
  • 当該地区の国際開発・協力に関わる人材の連携強化と情報共有
  • その他、必要な活動

女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

若手研究者の春季大会・全国大会への発表と大学の枠を超えた研究協力を促すことを目的に、研究成果・計画報告、交流会を実施している。

2023年度は4月23日(日曜)に京都大学にて、学生会員(博士前・後期課程)およびPD、助教レベルの会員による15の研究成果および中間報告が行われた。

特に関東地区の学生会員数名が対面で報告を行うなど、地域を問わず会員に研究成果の機会を提供する形となった。

外国人会員の活動については、京滋支部地域の各大学院所属の留学生に対し入会勧誘を行い、上記報告会への参加、発表を促している。

4月の報告会では、8件の発表が外国籍会員によるものであった。


京滋支部
支部長:渡邉松男(立命館大学)




【会員限定】入退会員のお知らせと会員数動向(2024年2月)

第242回・常任理事会承認

入会審査なし


第243回・常任理事会承認

正会員

山田 真人(特定非営利活動法人聖母)、沼尻 卓也(福井大学)、髙木 明里紗(独立行政法人国際協力機構)、樋口 裕城(上智大学)、藤井 広重(宇都宮大学)グエンフン トゥハン(アジア成長研究所)、DONLIN Nalehuaʻo Puna Eunice(ハワイ大学マノア校)、チョウ アンキ(国際基督教大学大学院)、児玉 千佳子(一橋大学大学院)、小林 由季(株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)

学生会員

岡庭 尚代(東京大学大学院)、RAJAPAKSHA Chanuthi Jayangani(横浜市立大学大学院)


第243回・常任理事会承認

正会員

池田 吉宏(本田技術研究所)、比留間 洋一(静岡大学)、藤井 智也(国連資本開発基金)、芦田 雄太(国連難民高等弁務官事務所マレーシア)、坂口 真康(兵庫教育大学)、山崎 陽子(独立行政法人国際協力機構)

学生会員

PURWANTI Yuniasih(神戸大学大学院)、日上(篠原)奈央子(広島大学)、千葉 文(横浜国立大学大学院)、平山 友里夏(国際教養大学)、ZOUGMORE Armel(神戸大学大学院国際協力研究科)、Kim Nakyung(神戸大学大学院国際協力研究科)、西村 航成(京都大学)、Bengo Nadia Marilia de Abreu(Kobe University)、Elazhary Tasneem Ehab Abdelfattah(神戸大学大学院国際協力研究科)、アフリディ ムビン カーン(Graduate School of International Cooperation Studies, Academic office)、新山 繕章(国際基督教大学)


退会者

岡田 謙介、遠藤 千晶、波佐間 逸博、藤原 章正、北村 恭朗、METARAGAKUSUMA Andi Patiware 、大宅 由里子、橋口 幸正


会員数

合計:1588名(2024年 1月 27日現在)

(内訳:正会員 1393名、名誉会員 7 名、学生会員 188名)

*上記人数は初年度会費を未入金の新入会員を含まない。


住所など不明会員について

以下の会員は住所などが不明となっており、現在連絡が取れない会員の方々です。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご本人に本部事務局まで連絡するようお伝えください。よろしくお願い申し上げます。(以下、敬称略)

郵便物不達・住所不明(22名)

石田 光彦、廣里 恭史、尾上 みか、SARMA Kumar Sanjoy、人見 俊輝 、王 一聰、 ONAJAH Gongonyi Amos 、会津(瀧本) 菜穂 、小池 拓実 、服部 孝政 、西尾 悠太 、松田 葉月 、森本 佳月、中村 史、島部 惠子、工藤 正樹、辻本 温史、李 嘉悦、金 恩昊、KIM Seil、CHANSOMBUTH Soulivanh、松井 梓

*郵便物の送付を希望しない方は本部事務局までお知らせください(すべての情報は会員マイページまたはウェブサイト上でデータ公開しています)

メールアドレス不明(10名)

縄田浩志、根橋玲子、柿﨑恵、田口博之、宮澤尚里、田中博子、中澤芽衣、加藤恵実、神代ちひろ、近藤清夫、米良彰子、宮本寿美、飛永絵里、広田秀樹、高澤直美

*会員マイページの利用にはメールアドレスが必須となります(会費支払も会員マイページから決済可能です)。重要なお知らせも配信されますので、必ず受信できるメールアドレスの登録をお願いします。メール配信を希望しない方は、本部事務局まで文書でお知らせください。


本部事務局
事務局長:星野 晶成 (名古屋大学)




[BO-4] 関西支部

支部長:小川啓一(神戸大学)

関西支部の設置目的

関西支部では、過去20年以上にわたり国際開発研究を専門とする研究者や国際援助の分野で活躍する実務者を数多く招聘し、研究会を定期的に開催してきた。

また、2020年度以降、開催形式をオンラインやハイブリット形式にすることで、発展途上国を含め各国から政府関係者、研究者、国際機関職員を含む多様な講演者を招き、毎回30名以上の学会会員(学生を含む)が活発に議論をする場を提供している。

こうした背景を踏まえ、2024年度も引き続き国際開発・国際協力に関する様々な分野の専門家を招聘し、研究会を定期的に開催することで、国際開発の課題克服に貢献しうる研究を展開していくことが、関西支部の主な目的である。

具体的には、2021年度から研究会で取り上げている世界的な問題である「コロナ禍・コロナ後における国際開発・国際協力」に関する議論を精力的に展開する。

また、その他のリスク・マネジメントや人間の安全保障、環境問題を含むグローバルな国際開発の問題に対し学際的アプローチが可能な関西支部の拠点校(神戸大学大学院国際協力研究科)の特色ある体制を最大限に生かして活動を行う。

更に、2024年度はこれまでの実績をもとに関西の他大学の若手研究者・外国人研究者も含めた研究者間の交流を一層努めることを目標とする。

期待される成果

研究会に参加した若手会員が研究意欲を刺激され、積極的に国内外の学会での発表や査読付きの学術雑誌への投稿を行うようになることで、国際開発研究の新たな進展が期待される。

また、研究会を通して国内外の第一線で活躍されている講師と若手研究者がネットワークを構築し、若手研究者の将来の国際開発分野における活躍につながることも期待される。

加えて、全研究会を英語による開催とすることで、日本人だけでなく外国人研究者が講演・議論に参加できる環境の形成、多角的な視点から問題を捉える批判的思考の形成、多様な研究者によるネットワーク構築への寄与も期待される。

関西支部へのお問い合わせ窓口

関連情報



京滋支部(2023年11月)

2023年度の京滋支部の活動は以下のとおりです。

京滋支部研究報告会

2023 年4月23日(日曜)、京都大学稲盛財団記念館にて、若手研究者を対象にした研究報告会をハイブリッドで開催しました。

当日は、学生会員(博士前・後期課程)および PD、助教レベルの会員による 15 の研究成果および中間報告が対面で行われました。

本年の特徴として、関西圏だけでなく、関東地区の学生会員数名が学会の交通費助成を利用し対面で報告を行いました。所属大学の地域を越えて、若手研究者に研究成果や進捗状況を共有する機会を提供し、互いに議論し交流する場となりました。

これも支部の重要な役割の一つと認識しています。

京滋支部研究会

2023年6月24日(土要)、「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」との共催で、研究会を京都大学稲盛財団記念館にてハイブリッドで開催しました。

当日は、同研究部会および京滋支部からそれぞれ一つずつ発表を行いました。京滋支部として江崎グリコ株式会社尾崎隼人氏を招き、「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」をテーマに発表してもらいました。

尾崎氏が海外青年協力隊員として赴任時に撮影したビデオも交えたブラックソープの製造過程、生産現場のカイゼンによる効率化の紹介と、製造過程で生じる廃棄物の再利用という環境配慮への含意も示されました。

本発表は「アフリカ・アジアにおけるものづくり研究部会」のテーマにも通じるもので、発表に続く質疑応答では活発な意見交換がなされ、相互にとって有意義な研究会となりました。

なお本支部では、2023年度から、龍谷大学斎藤文彦会員が副支部長に就任しました。

京滋支部
支部長:渡邉松男(立命館大学)




関西支部(2023年11月)

2023年度、関西支部ではハイブリット形式またはオンライン形式による定期的な研究会の開催を計画しました。

本支部が開催する研究会では、国際開発・国際協力に関するさまざまな分野の専門家を招聘し、現在世界的な問題となっているコロナ禍、また、コロナ後における国際開発・国際協力に関する議論を精力的に展開していくことを目的としています。

研究会の開催によって期待される成果は主に次の2点です。第一に、研究会が開催する最先端のトピックに関する講演や議論に参加することにより、とりわけ若い学生会員が研究意欲を刺激され、積極的に国内外の学会での発表や査読付きのジャーナルへの投稿を行うようになることで、国際開発研究が活性化されていくことです。

第二に、研究会を通して、国内外の第一線で活躍されている講師と若手研究者が学術的なネットワークを構築し、若手研究者の将来の国際開発の分野における活躍につながることが期待されます。

活動報告

上記活動計画に基づき、2022年10月から2023年9月まで、計4回の研究会を開催したため、その内容について以下の通り報告します。

第164回研究会

日時:2023年6月22日(木曜)15:00-17:00、言語:英語

  • 発表テーマ:International Cooperation in Education Research: Insights from RISE-Ethiopia Research on Teacher Value-Added Analysis
  • 発表者:Dr. Moses Oketch, Professor, Institute of Education, University College London
  • 討論者:Dr. Nozomi Sakata, Assistant Professor, Hiroshima University
  • 言語: English
  • 場所:神戸大学大学院国際協力研究科大会議室(ハイブリット)
  • 参加人数:24名(講演者、司会者含む)

概要

本研究会ではロンドン大学教育研究所(Institute of Education, University College London)のOketch教授を招聘し、「International Cooperation in Education Research: Insights from RISE-Ethiopia Research on Teacher Value-Added Analysis」と題した講演をしていただきました。

Oketch教授は、まず教育改革による教育の公平性(equity)の向上に着目し、その達成における教員の役割の重要性を述べました。

生徒の学力レベルを問わず個々の学力を上げる教師こそが、公平性を高める良い教師(effective teacher)であるとの見解を述べました。

また、そのように生徒の学力を高める教員の働きをTeacher Value-Addedと定義しました。

近年実施されたResearch on Improving Systems of Education (RISE)に基づく学力調査と、その前身であるYoung Livesの学力調査結果を用いて、エチオピアにおけるTeacher Value-Addedに焦点を当てた分析結果が報告しました。

まず、Young Livesのデータを用いて、エチオピアの初等教育に在籍する大多数の生徒が求められている学力に達していないという現状を示しました。

次に、Teacher Value-Addedの観点から、学力の高い生徒の学力向上に寄与する教員と、学力の低い生徒の学力の向上に寄与する教員、全ての学力レベルの生徒の学力向上する教員、学力向上にほとんど寄与しない教員がいることをグラフとともに示しました。

今後、Teacher Value-Addedの高い教員に着目し、それらの教員がどのような教員であるかをより詳細に探ることが教育の公平性を高めるうえで重要であるとし、更なる研究の必要があると締めくくりました。

講演後には、討論者の坂田博士(広島大学)をお招きし、教授法の観点から分析の限界や今後の期待を共有いただきました。加えて、参加者からも積極的に質疑が挙がり、活発な議論を持つことができました。

本研究会はOketch教授の講演及びその後の議論を通じて教育の公平性を達成するための教員の重要性、とりわけ、Teacher Value-Addedの重要性を知る大変意義深い機会となりました。

第165回研究会

日時:2023年6月30日(金曜)13:00-15:00、言語:英語

  • 発表テーマ: Examining the Technical Efficiency of Higher Education Institutions in China: A Multistage Dynamic Network DEA Approach
  • 発表者:Dr. Kok Fong See, Associate Professor, Economics Program, School of Distance Education, Universiti Sains Malaysia
  • 言語: English
  • 場所:神戸大学大学院国際協力研究科大会議室(ハイブリット)
  • 参加人数:20名 (講演者、司会者含む)

概要

本研究会ではUniversiti Sains Malaysiaの教授である See博士を招聘し、「Examining the Technical Efficiency of Higher Education Institutions in China: A Multistage Dynamic Network DEA Approach」と題した講演をしていただきました。

講演のはじめに、See博士は世界大学ランキングに代表されるように、高等教育機関の質を数値化・可視化することの重要性を述べました。

高等教育機関の質は様々な尺度にて測られるが、See博士は中でも特に大学の効率性に着目し、その効率性をTechnical Efficiencyと定義しました。

効率性を最大化する方法として、アウトプットに合わせたインプットの最小化、インプットに合わせたアウトプットの最大化の2つの方法があるが、高等教育機関においてインプットである教員や施設の縮小はできないことからアウトプットの最大化が命題であるとSee博士説明しました。

また、その高等教育機関のアウトプットとなる指標として①Researching (パブリケーション数、研究用施設数等), ②Teaching(教員数、教育用施設数等), ③Grant Application(研究費の申請数等)の3点を挙げ、Data Envelopment Analysis (DEA) Approachを用いて、その3点を指標化し、中国の高等教育機関の効率性を数値化したことを、See博士自信の研究を基に設営しました。

See博士の本研究は、その3点から構成される総合点による中国国内の高等教育機関の効率性の比較を可能にした他、効率性を高めるために注力すべき点の可視化に成功したことを示しました。

今後より多くの指標をTechnical Efficiencyとして組み入れられること、他の教育レベルでも適応可能であること、国内のみならず国際比較へも発展させられる可能性があること、高等教育機関のマネジメントや政策提言に利用可能であることを述べ、更なる研究の発展可能性と意義を共有しました。

本研究会はSee博士の講演及びその後の議論を通じて、高等教育機関の効率性を測るDEA Approachについて学び、高等教育機関の効率最大化について考える大変意義深い機会となりました。

第166回研究会

日時:2023年8月22日(火曜)15:00-17:00、言語:英語

  • 発表テーマ:Challenges of Sustainable World Heritage Tourism: Case of Luang Prabang in Lao PDR
  • 発表者:Dr. Vilayphone Somsamone, Vice Dean, Department of Economics and Tourism, Souphanouvong University
  • 言語: English
  • 参加人数:23名 (オンライン)

概要

本研究会ではSouphanouvong Universityの教授である Somsamone博士を招聘し、「Challenges of Sustainable World Heritage Tourism: Case of Luang Prabang in Lao PDR」をテーマに講演していただいた。

本講演は、ラオス北部に位置する「世界遺産の街」ルアンパバーンの観光業の現状と課題に焦点を当てて進められた。現状として、古都ルアンパバーンは、その文化的重要性から街全体がユネスコにより世界遺産登録されている。

また、手つかずの山々や滝等、豊かな自然にも恵まれており、欧州をはじめとする世界各国から観光先としての注目も浴びている。

一方で、海外観光客にとってルアンパバーン内の交通の利便性の低さや、宿泊先の少なさが課題となっている。課題の背景として、海外観光客に対する宿泊サービスに関する法の制限や、世界遺産保持のための都市開発に制限があることが挙げられる。

特に、世界遺産の街として景観を保つ必要性から、過度な道路の拡張や建物の建築はできず、観光業の発展を期待する市民や、訪れる観光客の需要との間にずれが生じている。

現在、ルアンパバーンでは「ずれ」への対応として、ハイキングや、自転車でのツーリング等、自然に優しいエコツーリズムに力を入れている。

本研究会はSomsamone博士の講演及びその後の議論を通じて、世界遺産の維持と都市開発との両立について考える大変意義深い機会となった。

第167回研究会

日時:2023年9月28日(木曜)17:00-19:00、言語:英語

  • 発表テーマ:Will trade liberalization help to reduce poverty and inequality in LDCs?
  • 発表者:Dr. Phouphet Kyophilavong, Dean/Professor, Faculty of Economics and Business Management, National University of Laos
  • 討論者:Dr. Viriyasack Sisouphanthong, Associate Professor, Faculty of Economics and Business Management, National University of Laos
  • 言語: English 参加人数:48名 (オンライン)

概要

本研究会では、ラオス国立大学経済経営学部のPhouphet Kyophilavong教授を招聘し、「Will trade liberalization help to reduce poverty and inequality in LDCs?」をテーマとした講演が行われました。

本講演でPhouphet教授は、世界貿易分析プロジェクト(GTAP)モデルを使用して、WTO加盟後のサービス自由化がラオスの経済、貧困、所得格差に及ぼす影響を分析し、その結果を説明しました。

Phouphet教授は、WTO加盟とサービスの自由化が実質GDPと福祉との間に統計的に有意な相関があることを推定しました。

さらに、単純労働者の賃金上昇が不平等を軽減することも示した。したがって、ラオス政府は、ラオス経済を改善し、貧困と不平等を削減する上で、WTO加盟、特にサービスの自由化に取り組むべきであることを強調しました。

講演後は同大学のViriyasack Sisouphanthong准教授を討論者としてお招きし、世界貿易分析プロジェクト(GTAP)モデル、間接的な観光業の影響、ラオスにおけるこれからの貿易自由化など、いくつかの重要な質問を提起しました。

また、参加者からも活発に質問が挙げられ、Phouphet教授の研究プロジェクトや貿易自由化について議論を深めました。本講演は、後発開発途上国の貿易自由化と貧困と不平等の削減との関係について理解を深める貴重な機会となりました。

関西支部
支部長:小川啓一(神戸大学)
副支部長:關谷武司(関西学院大学)




【会員限定】入退会員のお知らせと会員数動向について(2023年11月)

(同不順・敬称略)

第239回・常任理事会承認

正会員

米山 泰揚(世界銀行)、長辻 貴之(早稲田大学)、松田 葉月(東京大学)

学生会員

新規入会者なし

第240回・常任理事会承認

入退会審査なし

第241回・常任理事会承認

正会員

渡辺 広毅(国際協力機構)、德永 健太郎(神奈川県庁)、藤田 輔(千葉商科大学)、武藤 亜子(独立行政法人国際協力機構)、相川 明子(独立行政法人国際協力機構)、原 昌平(独立行政法人国際協力機構)、川崎 典子(宮崎大学)

学生会員

中田 茉衣(SOAS University of London)、手島 宗宏(オックスフォード大学)、佐藤 佑樹(宇都宮大学大学院)、ヤオジーリン(神戸大学大学院)、GAO Yinkan(神戸大学大学院)、PHOMMACHAH Nilaphy(名古屋大学大学院)、ANDRIANI Vania Putri(東京大学大学院)、小田島 ナウラ(筑波大学)


退会者

内海 成治、久保田 真弓、中川 淳司、降幡 博亮、中山 祐介、大宮(里見) 陽子、辻 一人、福田 能文、元持 幸子、JITSUTTHIPHAKORN Utumporn、鈴木 智良、近藤 裕基、梅野 知子、中富真理子、畑 杏奈、ZOHRA Khanam、田口博之、谷田貝 ほなみ、余 劲、内藤早百合、飯塚 敦、土岐 典広、藤本厚、河口 真一郎、田中 由美子、稲葉 和夫、川北 菜月、EDLER Kenna Lee、鄭 翔太、Pham Thi Lac Thu、SAY Sokunpharoth、INTHAVONGSA Souksamay、李 影周、KHAN Agha Babar Ali、吉 心語、孫 暢、XU Caihua、MI Moe Thuzar、VANH Leego、吉田 圭助、小林 正一、西田(宇山)かや子、伊藤 拓次郎、青柳 恵太郎、三次 啓都、堀江 新子、吉田 明子、藤家 雅子、石川 広久、古賀 俊行、上野 修平、前田 康雄、米良 彰子、伊藤 早百合、津江 篤典、山田 均、大芝 博明、平林 淳利、西尾 彰泰、山田 英嗣、森 裕介、AKKEMIK Kucuk Ali、増見 エミ、中村 二朗、MAHMOOD Md Sultan、柿﨑 恵、田村 哲也、WIRYAWAN Bangkit Aditya、松崎 成義、DELGERMAA Jargal Saikhan、MUCHETU Rangarirai Gavin、李 淑敏

*なお、退会者のうち33名については、2年間会費未納を理由とする退会処分による。


会員数

合計:1589名(2023 年 10月 18日現在)

(内訳:正会員 1400名、名誉会員 7名、学生会員 182名)

*上記人数には初年度会費を未入金の新入会員、および休会中の会員を含まない。


住所など不明会員について

以下の会員は住所などが不明となっており、現在本部事務局よりご連絡が取れない会員の方々です。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご本人に本部事務局まで連絡するようお伝えください。よろしくお願い申し上げます。(2023年7月15日現在。以下、敬称略)

郵便物不達・住所不明(11名)

森本 佳月、中村 史、島部 惠子、中川 真帆、工藤 正樹、辻本 温史、李 嘉悦、諾 明、金 恩昊、KIM Seil、CHANSOMBUTH Soulivanh

*郵便物の送付を希望しない方は本部事務局までお知らせください(すべての情報は会員マイページまたはウェブサイト上でデータ公開しています)

メールアドレス不明(10名)

広田 秀樹、齋藤 哲也、宮本 寿美、近藤 清夫、神代 ちひろ、加藤 恵実、中澤 芽衣、岡室 美恵子、宮澤 尚里、細井 義孝

*会員マイページの利用にはメールアドレスが必須となります(年会費の支払いも会員マイページから決済可能です)。重要なお知らせも配信されますので、必ず受信できるメールアドレスのご登録をお願いします。メール配信を希望しない方は本部事務局まで文書でお知らせください

本部事務局
事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




【重要】2024年度・学生会員の資格確認手続き(9月17日締切)

2024年度の会員種別の継続・変更

学生会員の方へ

学生会員には、毎年8~9月に次年度の学生会員としての資格確認を実施しています。以下のいずれかに該当する学生会員は、下記の申請期間内に10月1日以降も学生であることがわかる証明書(学生証のコピー等)を以下の手順で提出してください。

対象者

以下に該当する学生会員は、回答期限までに必ず手続きを行なってください。

  • 会員マイページにアップロードされている学生証の有効期限が2023年9月末までの学生会員
  • 会員マイページにアップロードされている学籍証明書類(学生証を含む)に有効期限の記載がない学生会員
  • 会員マイページの〔最終学歴>卒業・修了(予定)年月〕が2023年9月末以前の学生会員

申請期間

2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)*締切厳守

申請方法

以下の申請フォームより手続きをお願いいたします。

[JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/
Verification of Student Member Eligibility
※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守

2023年10月1日以降でなければ最新の学生証をアップロードできない方

回答期限内に上記申請フォームを通じて、学生証の提出が遅れることを本部事務局までお知らせください。
※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守

〔ご注意〕

9月末時点で、本部事務局に事前のご連絡・ご相談がなく、10月1日からの学籍を確認できなかった学生会員は、新年度(10月)より会員種別が自動的に正会員に切り替わります。

それに伴い、年会費が5000円から1万円に変更となります(会費の請求は2024年4月初旬に行う予定です)。

すでに学籍を離れている方

次年度より正会員に変更予定の学生会員は、以下の申請フォームにて2023年10月の在籍状況を申告してください。

その後、会員マイページにログインして学生証ファイルを削除し、所属先情報の更新をお願いします。

[JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/
Verification of Student Member Eligibility
※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守


指導教員の方へのお願い

留学生かどうかにかかわらず、学生会員は学会の制度や仕組みについて不案内な方も少なくありません。

ご自身の指導学生が当学会の学生会員として在籍している方は、学生会員の資格継続手続きについて、ご指導をお願いいたします。


正会員で、学生会員への変更を希望する方

以下のURLに記載されている会員種別に関する条件について今一度目を通して頂き、学生会員としての資格を満たしているかどうか、ご確認ください。

学生会員資格の適用条件

Q:正会員ですが、大学生になりました

Q:学生から社会人になりました

Q:休学しますが、学生会員のまま在籍できますか?

正会員→学生会員への変更手続

学生会員としての条件を満たしており、2024年度(2023年10月1日以後)の会員種別を学生会員に変更したい会員は、以下の申請フォームより学籍の証明手続を行なってください。

なお、社会人学生には、正会員での所属をお願いしています。

[JASID_ FY2024] 学籍確認フォーム/ Verification of Student Member Eligibility
※回答期限:2023年9月17日(日曜)*締切厳守


すべての会員の皆さまへ

所属先・住所等の更新のお願い

会員情報に変更がある方は、会員マイページにご登録中の情報の更新をお願いいたします。とくに、所属機関の変更に伴ってメールアドレスが使用できなくなることのないようお願いいたします。所属機関や郵便物送付先住所のほか、研究分野等についても、最新の内容にアップデートをお願いします。

なお、所属機関の変更によって現在のメールアドレスが使用できなくなる場合は、事前に、ログイン用のメールアドレスを別のアドレスに変更してください。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局




【重要】2024年度・会費減額申請の受付(9月17日締切)

平素より国際開発学会の活動に多大なるご協力を賜り、深く感謝申し上げます。

先般、ニューズレター第34巻3号にてお知らせしたとおり、10月1日より始まる2024年度においても、会員の年会費減額制度を実施することとなりました。

【重要】総務委員会・本部事務局からのお知らせ

制度の利用には申請期限内に本部事務局に対して申請が必要です。
正会員、学生会員ともに申請のあった会員のうち、
常任理事会にて承認を受けた会員のみに適用されるものとなります。

2024年度(2023年10月1日~)の年会費の減額を希望する会員は、本部事務局に対して申請期限内に申請が必要です。

下記の条件、申請方法をお読みいただき、申請フォームに必要事項をご記入の上、かならず期限内にお申込みください(期限後の申請は受け付けられません)。

応募要項

1.対象者と金額

(1)正会員:

常勤職を有していないため経済的に困窮を極める正会員を対象に、年会費(1万円)を半額(5000円)に減額

(2)学生会員:

経済的困窮を極める学生を対象に、年会費(5000円)を2000円に減額

2.申請条件

2022年度および2023年度の会費支払いが完了していることが条件となります(ただし、学生会員で2022年度会費支払いが免除となった人は、免除をもって会費を支払ったとみなします)。

3.申請受付URL

[JASID_FY2024]学会費減額申請フォーム /
Application Form for Membership Fee Reduction

4.申請期間

2023年8月15日(火曜)~2022年9月17日(日曜)*締切厳守

5.申請後の流れ

締切後、本部事務局で申請内容を精査して常任理事会での承認を得たのち、結果について10月中旬以降にご連絡します。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局
申請に際してご不明な点等がございましたら、本部事務局までお問い合わせください。




12 期1号理事候補者選挙の開票結果の御報告(2023年8月)

第 34 回会員総会(2023 年 11 月)から 3 年後の会員総会までを任期とする第 12 期 1 号理事候補者の選挙を、 日本時間の 5 月 9 日(火曜) 8 時から 23 日(火曜) 17 時まで、下記のとおり電子投票にて実施いたしました。

投票率は11.5%となり、前回の2020年の選挙11.9%を僅かに下回りました。会員の皆様には、ご協力を頂きありがとうございました。

以下に、1)理事選挙の経過、2)開票結果、3)1号理事候補者、4)選挙管理委員会からの申し送り事項について報告いたします。

1.1号理事候補者選挙の経過

2020 年 12 月の総会にて選挙管理委員会の承認を頂き、選挙管理委員4名体制でスタートしました。過去2回の投票率は、2017年9.9%、2020年11.9%と高くはなく、選挙管理委員会の活動として、投票率を上げることだけを目標とすることには限界がある考えました。そこで、学会理事の仕事および選挙の仕組みのvisibility を上げて学会の活動自体に会員に関心を持ってもらうことを目指して、若者の視点で広報企画・発信をしてもらうべく、選挙管理委員会の幹事を学生会員から2021年5月に公募しました。その結果幹事4名が加わり、2023年5月までの間に、委員会委員長(会長や理事)へのインタビュー動画の配信、ツイッターでの発信、選挙のしくみやシステムの利用マニュアルなどのHP作成などの活動を展開しました。

また、2014年(この時に電子投票シスエムを導入)、2017年、2020年に利用していた選挙システムとの契約が終了することから、新たな選挙システムに切り替える必要がありました。学会本部事務局の協力を得ながら、選挙管理委員会でWEB選挙システムのサービスを持つ数社から情報収集を行い協議をした結果をふまえ、国際文献社を選定しました。2022年夏ごろから国際文献社と密な調整をしながら国際開発学会に合わせたカスタマイズを進めていきました。あわせて投票マニュアル(PDF)や投票方法の動画を日本語と英語で作成しました。

正式なプロセスとして、2022年 12月の総会にて1号理事候補選挙を実施することを報告し、これに基づき、2023年 1月に選挙実施を公告するメール(和・英文)を会員あてに送付するとともに、国際開発学会のホームページに同内容を掲載しました。さらに2月 1日付のニューズレターVol. 34, No.1(通巻第127号)にて選挙告示を掲載しました。 2022年 12月 4日時点で会員の資格を有し、その後退会した者、休会申請した者を除いた名簿を 2023年 4月 9日付(電子投票 実施の30日前)で確定しました。そして、電子投票の公告を 5 月 1 日付ニューズレター No.2(通巻第 128 号)で行いました。学会ウェブサイトから被選挙者名簿と電子投票マニュアルをダウンロードできるようにするとともに、ML にてその旨を配信しました。

電子投票は、予定どおり5月9日(火曜)8時から23日(火曜)17時まで実施されました。選挙期間中、選挙管理委員が交代制でヘルプデスクを設置しました。投票開始日の当日にWEB選挙システムのURLと個々人のパスワードが配信されましたが、一部の会員がメールを受けとれないという状況があり、その対応をいたしました。

開票は5月23日(火曜)18時に選挙管理委員・幹事および学会事務局長立ち合いのものと、東京の学士会館会議室にて行われました。

以下、投票状況とあわせて報告いたします。

2.開票結果

投票率、投票者数等は、次の表のとおり。

  2023年 (今回) 2020年 2017年 2014年 2011年 2008年
選挙権保有者数 (a) 1,557 1,607 1,669 1,677 1,626 1,574
投票者数 (b) 179 191 165 325 285 249
投票率 (b/a) 11.5% 11.9% 9.9% 19.4% 17.8% 16.0%

【注】2008年と2011年は紙による投票。2014年は紙と電子投票の併用。2017年、2020年、2023年は電子投票のみ。

3.1号理事当選者

開票結果に基づき、18名を当選者として本部事務局に報告し、会長名で本部事務局が打診したところ、16名内諾、2名辞退となりました。そのため、選挙管理委員会は本部事務局の連絡を受け、補欠候補予定者を追加当選者とし、その該当者3名を本部事務局に連絡し、本部事務局はその3名について打診をして内諾を得ました。その結果、以下の会員が 1 号理事候補者の当選者となりました。
 なお、選挙管理委員会は追加当選者の次に得票数が多かった同点4名を補欠候補として本部事務局に連絡しました。

氏 名(50音順)

*カッコ内は所属先

  • 伊東 早苗(名古屋大学)
  • 小川 啓一(神戸大学)
  • 小國 和子(日本福祉大学)
  • 川口 純(筑波大学)
  • 北村 友人(東京大学)
  • 黒田 一雄(早稲田大学)
  • 樹神 昌弘(神戸大学)
  • 坂上 勝基(神戸大学)
  • 佐藤 仁(東京大学)
  • 佐藤 寛(開発社会学舎)
  • 澤村 信英(大阪大学)
  • 島田 剛(明治大学)
  • 杉田 映理(大阪大学)
  • 高田 潤一(東京工業大学)
  • 高橋 基樹(京都大学)
  • 藤掛 洋子(横浜国立大学)
  • 松本 悟(法政大学)
  • 山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)
  • 山田 肖子(名古屋大学)

4.選挙管理委員会からの申し送り事項

今回の選挙で利用したWEBシステムは、3年後の次回の1号理事候補選挙にも引き継がれることを報告いたします。今回、得られた経験を3年後の選挙に引き継いで、会員の多様な意思がより反映できる理事会となることを目指したいと考えております。

2023 年 5 月 23 日
国際開発学会 選挙管理委員会

  • 委員長:杉田 映理 (大阪大学)
  • 委員: 岡部 恭宜(東北大学)
  • 委員:仲佐 保(シェア=国際保健協力市民の会)
  • 委員: 鍋島 孝子 (北海道大学)
  • 幹事:Fanantenana Rianasoa Andriariniaina
  • 幹事:藤山 美律
  • 幹事:神正 光
  • 幹事:松田 華織

選挙管理委員会
委員長:杉田映理(大阪大学)




第24回春季大会セッション報告(プレナリー、ポスター発表)

[PL] プレナリーセッション

[PL-01] 世代間のつながりとサステイナビリティ – 何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

登壇者1

工藤尚悟(国際教養大学国際教養学部グローバルスタディズ領域・准教授)

“Role of Intergenerational Ties in Sustainability: What to Sustain, What to Revise, and What to Pass Across Generations?”

登壇者2

Divine Fuh(Director of Institute of Humanities in Africa, Associate Professor at the Department of Anthropology, University of Cape Town)

“Making New Dances: Sustainability Thinking and the Opportunity for Decolonial Japanese Thought”

登壇者3

千葉加恵子(国際教養大学国際教養学部グローバルコネクティビティ領域・准教授)

“What Should We Sustain? Voices from Local Women”

登壇者4

丸山英樹(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科・教授)

“The Role of Non-formal Education in Enhancing Sustainability”

  • ファシリテーター:近江加奈子(国際基督教大学アーツ・サイエンス研究科博士課程)

セッションサマリー

1987年に持続可能な開発が提唱され、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして経過してきている。本セッションは、持続可能な開発概念の中心にある、世代間のつながり(intergenerational ties)に焦点を当て、開催地である秋田の風土、アフリカにおける脱植民地化の動きと日本文化、農村社会における女性の声、そしてノンフォーマル教育の枠組みにおけるサステイナビリティについて、各登壇者より報告があった。

はじめに工藤より、グローバルに語られる持続可能な開発概念において目標とされる項目がローカルの文脈で解釈されるとき、そもそも人と自然の関係性が個別の地域性に依拠しており、そのときに風土という自然感に注意を払う必要があるという問題提起をした。

その上で、先行世代から何を継承し、現行世代において何を見直し、将来世代に何を手渡していくべきなのかについて、専門や拠点とする場所の異なる3名の登壇者より報告をしてもらった。

ケープタウン大学のFuh准教授は、アフリカにおける脱植民地化の議論を日本の文脈に当てはめ、日本文化に固有な表現の中に見出しながら、サステイナビリティを批判的に検討する必要性を主張した。

特にある部族においてあらゆる種類のダンスの模倣が得意だった女性の話を紹介し、その部族において誰も彼女自身のダンスを見たものがいなかったという比喩を用いて、自らの文化に固有な言葉を用いることの重要性を挙げた。

千葉准教授は、秋田の民俗や女性の暮らしに焦点を当てた文化人類学的なフィールドワークを元に、国内地方の農山村において女性の声が如何に文化的に隠されたものとされてきたのかを示した。

伝統的な社会におけるジェンダーロールの再考を論じると同時に、先行世代から現行世代への民俗文化の継承の重要性と困難さを指摘した。

丸山教授は、教育におけるフォーマル・インフォーマル・ノンフォーマルの違いを明確にしつつ、それぞれのフォーマットの教育スタイルがどのようにサステイナビリティに貢献しうるのかについて論じた。そのなかでもノンフォーマル教育の視点からの考察を共有してもらった。

会場からは、異なる専門性を持つ研究者が協働するときに、どのように個々の持つ認識論の違いを乗り越えていくのかや、農村社会において隠された声(hidden voice)とされてしまいがちな女性の意見を拾い上げる仕組みをどのように構築しうるのか、国内大学院に固有な研究室文化における先輩と後輩の間における世代間のつながりについての指摘など、世代間とサステイナビリティに限らず、国内外の文脈を広く捉えた質問が出された。

今大会の開催地である秋田は、人口減少と高齢化が全国で最も早いペースで進んでおり、世代間のつながりを通じた資源や文化の継承が重要な課題となっており、こうしたテーマを、普段は途上国の現場を飛び回る研究者や実践者の方々と議論する機会を当地の秋田で持つことができた意味は大きい。

途上国においても出生率の低下と長寿化の傾向はすでに確認されており、人口減少と高齢化が将来的に国際協力や開発学においても重要なテーマとなると予測される。

こうした国内地方が抱える課題への解決策を見出す手続きのなかで、途上国とつながりながら論点を整理し、双方向に学び合いながら対応を模索していくような、新たな関係性の構築が示唆されるセッションとなった。

報告者:工藤尚悟(国際教養大学)


[P1] ポスター発表

    [P1-01] 国際協力における社会的インパクト評価のあり方検討〜財源基盤のない組織が評価を実践するために〜

    佐藤 夢乃(関西学院大学大学院)

    [P1-02] 自治体ネットワークによる持続的な能力向上と技術の普及をめざす開発協力のマネジメント~「タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケア普及プロジェクト」の事例整理~

    鈴木 知世(国際教養大学学部生、タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクトコーディネーター)、山口 佳小里(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官)、沖浦 文彦(東京都市大学都市生活学部教授)

    [P1-03] 怒りと情熱—世界銀行内部に残された知恵—

    玉村 優奈(東京大学)

    [P1-04] ショックを用いる貧困表象の道徳的・政治的悪性に関する一考察:貧困表象への留意のために

    木山幸輔(筑波大学)

    [P1-05] 「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想-愛知用水と愛知海道の関係性に着目して

    柴田 英知(歩く仲間)

    [P1-06] 開発途上国における課題解決能力向上に着目した教育支援に関する研究-ネパール公立学校の中学生を対象として-

    三笘 源(九州大学大学院)

    [P1-07] Exploring Teacher’ s Perception of Play-Based Learning in ECE: A Case Study of Bangladesh

    Kohei UNO(Graduate School of International Cooperation Studies)

    [P1-08] An Analysis of Home-based Discipline on Children’ s Foundational Learning Skills in Malawi

    Chang SUN(Kobe Univ.)

    [P1-09] An Analysis of the Effect of a School Violence on Learning Achievement in Primary Education in Colombia

    Rika SUGIURA(Kobe University)

    [P1-10] An Analysis of Community Participation and Learning Achievement: A Case of Kenyan Primary Education

    Yuka FURUTANI(Kobe University)

    [P1-11] Analysis of Household Educational Expenditure under Free Pre-primary Education Policy in Kenya

    Ayumu YAGI(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)

    [P1-12] Analysis of Short-term and Mid-term Association between Early Childhood Education and Academic Achievement in Uganda

    Kaori Uchiyama(Kobe University)

    [P1-13] Influence of School Autonomy on Learning Achievement in Senegal: Multilevel Analyses Using PASEC Surveys

    Yudai ISHII(Kobe University)

    [P1-14] タンザニアの学童の野生食物・食品群摂取と健康―中部・南東部内陸/海岸沿い3村の事例から

    阪本 公美子(宇都宮大学国際学部)、人見 俊輝(宇都宮大学国際学部)

    [P1-15] 里地里山の多面的な評価基準に関する一考察~中山間地で実践される維持・管理の取り組み事例を通じて~

    根岸 宏旭、徳永 達己(拓殖大学)

    [P1-16] 東アジアにおける環境大気モニタリングネットワークの比較評価

    竹内 友規、藤江 幸一、迫田 章義(放送大学)

    [P1-17] ベトナム北部・中部・南部の持続可能なライフスタイルに関する定性調査

    吉田 綾(国立研究開発法人国立環境研究所)


    その他の座長報告




    第24回春季大会「優秀ポスター発表賞」選考結果

    第24回春季大会において、柴田英知会員に優秀ポスター発表賞を、玉村優奈会員に優秀ポスター発表奨励賞を授与

    第24回春季大会において、柴田英知会員(報告タイトル:「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー)に優秀ポスター発表賞、玉村優奈会員(報告タイトル:怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵)に優秀ポスター発表奨励賞を授与しました。

    優秀ポスター発表賞

    『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

    柴田英知会員

    優秀ポスター発表・奨励賞

    『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

    玉村優奈会員

    2023年度春季大会のポスターセッションでは、17件の意欲的な研究報告がありました。

    報告内容は教育開発分野を中心に認知論、コミュニティーケア、インフラ開発、生態・環境や生活観察など多岐にわたり、また、報告者も半数強の大学院生に加えて、大学教員、社会人会員からの参加も多数あり、ポスターセッションの裾野が広がりつつあることが感じられました。

    2人の受賞者は賞選考委員会による審査の結果、主題の独創性や堅実な資料調査手法などが評価され、選出されました。

    ポスター発表セッションの参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました。 

    賞選考委員会
    委員長:三重野文晴(京都大学)




    【重要】総務委員会・本部事務局からのお知らせ(2023年8月)

    1.2024年度年会費減額について

    • 10月1日時点で70歳未満の正会員、学生会員が対象で、自己申告制となります。
    • 2023年10月1日時点で年齢が70歳を超える正会員は本制度とは別の減額制度(1万円→5000円)が適用されるため、この制度の申請対象外となります。
    • 申請にあたっては2022年度および2023年度の会費支払いが完了していることが条件となります(ただし、学生会員で2022年度会費支払いが免除となった人は、免除をもって会費を支払ったとみなします)。

    減額の適用を希望する方

    申請期間内の申請が必要です。下記期間外の申請は受け付けません(締切厳守)。ただし、会費請求時点で特別な理由が起きた場合には、例外的に減額をすることがあります。

    対象者

    • 正会員常勤職を有していないため経済的に困窮を極める正会員を対象に、年会費(1万円)を半額(5000円)に減額
    •  学生会員:経済的困窮を極める学生を対象に、年会費(5000円)を2000円に減額

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)〔予定〕

    申請方法

    • 申請受付フォームのURLを記載したMLを、申請受付開始日に(8月中旬予定)に配信します
    • 希望者はMLに記載されている手順に従って申請期間内に申請してください
    • 受付締切後に常任理事会で審査を行ない、結果を10月に通知いたします

    2.学生会員の資格確認

    学生会員に対して、毎年8~9月に学生会員の資格確認を実施しています。

    以下のいずれかに該当する学生会員は下記の申請期間内に10月1日以降も学生であることがわかる証明書(学生証のコピー等)を以下の手順で提出してください。

    対象者

    • 会員マイページにアップロードされている学生証に記載の有効期限が【2023年9月末】以前
    • 会員マイページの最終学歴>卒業・修了(予定)年月が【2023年9月末】以前

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)〔予定〕

    申請方法等

    • 申請受付フォームのURLを記載したMLを、申請受付開始日に(8月中旬予定)に配信します
    • 対象の会員はMLに記載されている手順に従って申請期間内に申請してください
    • 2023年10月1日以降でなければ最新の学生証をアップロードできない方は、申請フォームを通じて提出が遅れることを申請期間中に本部事務局までお知らせください
    • 9月末時点で本部事務局が10月1日からの学籍を確認できなかった学生会員は、新年度(10月)より自動的に会員種別が正会員に切り替わります。それに伴い、年会費が5000円から1万円となります(会費の請求は2024年4月初旬に行う予定です)

    指導教員の方々へお願い

    留学生かどうかにかかわらず、学生会員は学会の制度や仕組みについて不案内な方も少なくありません。ご自身の指導学生が学生会員として在籍している方は、学生会員の資格継続手続きについて、ご指導をお願いいたします。

    3.会員種別の変更

    新年度から会員種別の変更が生じる場合、手続きが必要な場合がございます。 以下のURLに記載されている会員種別に関する条件について今一度目を通して頂き、学生会員は学生会員としての資格を満たしているかどうかご確認をお願い致します。

    学生会員資格の適用条件

    以下のURLをご確認ください。

    学生会員→正会員への変更

    • ご自身の会員マイページに掲載の学生証ファイルの削除と所属先情報の更新をお願いします
    • そのうえで、学生資格の確認申請受付フォームにて次年度は正会員に種別変更する旨を申請してください
    • 申請受付フォームは、そののURLを記載したMLを、申請受付開始日に(8月中旬予定)に配信します

    正会員→学生会員への変更

    学生会員としての条件を満たしており、2024年度(2022年10月1日以後)の会員種別を学生会員に変更したい会員は「2.学生会員の資格確認」を読み、学籍の証明手続を行なってください。なお、社会人学生には、正会員での所属をお願いしています。

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)〔予定〕

    申請方法

    「2.学生会員の資格確認」に準じます。 同じ申請フォームで受付しますので、MLの読み落としがないようご注意ください。

    4.休会申請の受付

    本学会では2023年度より休会制度を導入し、連続して最大4年間休会することが可能となっています。

    休会期間中は会員サービスが休止となり、学会誌やMLの送付停止、大会での応募や発表ができません。また、理事候補者選挙の被選挙権および投票権も停止されます。休会制度については以下のサイトをご覧ください。

    休会制度

    対象者

    • 名誉会員を除く全会員種別が対象
    • 申請にあたっては2022年度および2023年度の会費支払いが完了していることが条件

    申請期間

    2023年8月15日(火曜)~9月17日(日曜)〔予定〕

    申請方法

    • 申請受付フォームのURLを記載したMLを、申請受付開始日に(8月中旬予定)に配信します
    • 希望者はMLに記載されている手順に従って申請期間内に申請してください

    5.年会費の滞納による退会処分について

    国際開発学会では、年会費の滞納が2年続いた会員は理事会で退会処分とすることとなっています。対象者に対して、8月中旬に封書で郵便振替用紙を送付しますので、未払い会費を速やかにお支払いください。

    なお、未払い会費に対する国際開発学会の請求権は退会処分後も存続いたします。退会を希望する際は未払い会費をご精算のうえ、退会手続きをお願いいたします。

    〔退会後の未払い会費の取扱いについて〕

    6.会員情報の更新のお願い

    会員マイページに、Researchmap等のURLを記載する項目を近日中に追加する予定です。 準備が整いましたら、MLにて告知をいたしますので、URL情報の登録をお願いいたします。


    ご不明な点等がございましたら、本部事務局までご連絡ください。 詳細が決まり次第、メーリングリストを使ってお知らせします。

    第11期総務委員長・池上 寬(大阪経済法科大学)
    第11期本部事務局長・志賀裕朗(横浜国立大学)




    京滋支部(2023年8月)

    既報のとおり、2023 年4月23日(日曜)に京都大学稲盛財団記念館にて、京滋支部研究報告会をハイブリッドで開催した。

    当日は、学生会員(博士前・後期課程)および PD、助教レベルの会員による 15 の研究成果および中間報告が対面で行われた。

    特に関東地区の学生会員数名が対面で報告を行うなど、京滋地域を越えて若手研究者に研究成果の機会を提供する形となった。

    また 8 件の発表が外国籍会員によるものであった。

    また6月24日(土曜)には、ものづくり研究部会との共催で、研究会を京都大学稲盛財団記念館にてハイブリッドで開催した。

    京滋支部としては、江崎グリコ株式会社尾崎隼人氏による発表「ガーナのブラックソープガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」を企画した。

    発表では、尾崎氏が海外青年協力隊員として赴任時に撮影したビデオも交えたブラックソープの製造過程、また生産現場のカイゼンによる効率化、また原料となるカカオ生産時の環境への含意も示された。

    発表に続く質疑応答では活発な意見交換がなされ、有意義な研究会となった。

    京滋支部
    支部長:渡邉松男(立命館大学)




    【会員限定】入退会員のお知らせと会員数動向について(2023年8月)

    (同不順・敬称略)

    第236回・常任理事会承認

    正会員

    永田 謙二(JICA)、EDWARDS Brent Donald(早稲田大学)、MISHRA Vivek(Kizuna Legal)、船木 賢一郎(公益財団法人結核予防会)、米村 明美(関西外国語大学)、石丸 大輝(JICA)、ZAVARCE VELASQUEZ David Carlos(東北大学)、堀 美幸(JICA九州)、谷口 裕亮(松山短期大学)

    学生会員

    BHATT Bhuwan Shankar(国際基督教大学大学院)、CABRERA OSORIO Luis Francisco(名古屋大学大学院)、安部 喜敬(広島大学大学院)、横川 野彩(神戸大学大学院)、金井 貴佳子(慶應義塾大学大学院)、小池 拓実(神戸大学大学院)、末田 椋資(神戸大学大学院)、水呉 真侑子(神戸大学大学院)、HASSAN Rakibul(神戸大学大学院)、渡辺 彩(法政大学大学院)

    第237回・常任理事会承認

    正会員

    三宅 智保(JICA)、永田 禎章(JICA)、趙 珺、ARIF Hamed(九州大学)、小野 由美子(早稲田大学)

    学生会員

    平岡 周(神戸大学大学院)、西川 英実佳(神戸大学大学院)、寺田 瑛梨 (上智大学)、FIKADU Asmiro Abeje(九州大学)、ORANGI Peter Nyamwaya(九州大学)

    第238回・常任理事会承認

    正会員

    伊東 さなえ(京都大学)、岡崎 善朗(早稲田大学)、平川 太一(八千代エンジニヤリング)、安倍 士(アルメック)、星野 晶成(名古屋大学)、奥成 波音(三谷産業株式会社)、石田 光彦(アビームコンサルティング株式会社)、二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)、シ ゲンギン(立教大学)、小松 愛子(UNDP)、松下 慶寿(エジプト日本科学技術大学)、坂本 元(在ブラジル日本国大使館)、林 俊行(ニイカエナジーコンサルタント)、宮林 由美子(早稲田大学)

    学生会員

    山口 菜々果(大阪大学大学院)、小松 勇輝(大阪大学大学院)、YETISGIN Tugrul(拓殖大学大学院)、ZHU Ningxin(立命館大学大学院)、長野 貴斗(京都大学大学院)、ISLAM Sheikh Rashid Bin(神戸大学大学院)、
    王 岩(東北大学大学院)、WANG Ze(東京大学大学院)、佐藤 雄太(東京大学大学院)


    退会者

    酒井ひかり、甲斐田 直子、吉田智佳子、山崎 裕次郎、菊地香、河村 由美子、湯本 浩之、森下泰至、ALASHI H. A. Mohamad、関恒樹、SAELIM Kednapa、枝元美帆、岸 磨貴子*、宗広 裕司*、湯本浩之*

    *印は年度末(9月)まで在籍後の退会。


    会員数

    合計:1670名(2023 年 7月 15日現在)

    (内訳:正会員 1437名、名誉会員 8名、学生会員 225名)

    *上記人数には初年度会費を未入金の新入会員、および休会中の会員(26名)を含まない。


    住所など不明会員について

    以下の会員は住所などが不明となっており、現在本部事務局よりご連絡が取れない会員の方々です。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご本人に本部事務局まで連絡するようお伝えください。よろしくお願い申し上げます。(2023年7月15日現在。以下、敬称略)

    郵便物不達・住所不明(25名)

    西田(宇山) かや子、伊藤 拓次郎、堀江 新子、中川 真帆、氏橋 亮介、工藤 正樹、梅野 知子、津江 篤典、辻本 温史、MAHMOOD Md Sultan、YTOKAZU MINAMI Gustavo Raul、WIRYAWAN Bangkit Aditya、李 嘉悦、菅原 亮太、諾 明、川北 菜月、李 影周、李 淑敏、金 恩昊、KIM Seil、鋪田 今日子、中村 史、島部 惠子、MUSUKUMA Obrian Chisela、ALASHI H. A. Mohamad

    *郵便物の送付を希望しない方は本部事務局までお知らせください(すべての情報は会員マイページまたはウェブサイト上でデータ公開しています)

    メールアドレス不明(12名)

    宮澤 尚里、細井 義孝、広田 秀樹、齋藤 哲也、宮本 寿美、米良 彰子、近藤 清夫、神代 ちひろ、加藤 恵実、中澤 芽衣、柿﨑 恵、田村 哲也

    *会員マイページの利用にはメールアドレスが必須となります(年会費の支払いも会員マイページから決済可能です)。重要なお知らせも配信されますので、必ず受信できるメールアドレスのご登録をお願いします。メール配信を希望しない方は本部事務局まで文書でお知らせください

    本部事務局
    事務局長:志賀裕朗(横浜国立大学)




    【重要】全国大会での発表を目指して入会される方へ

    国際開発学会では、全国大会・春季大会で発表申し込みを行えるのは会員(正会員、学生会員、名誉会員)のみとなっております。

    この発表申し込みには個人での口頭・ポスター発表及び企画セッション・ラウンドテーブルの提案が含まれます。

    2023年11月11・12日に開催される第34回全国大会で発表することを目指して新規に入会される場合は、下記の日程にご留意のうえ、期日までにオンラインシステム上での手続きをお済ませいただくようにお願いいたします。

    全国大会発表希望者向け・入会申請スケジュール

    1)新規入会申込

    6月30日(金曜)までに新規入会申込を完了(締切厳守)

    (*申請に必要な書類、手順は、入会案内 を参照)

    2)審査・承認

    翌日以降に常任理事会を開催し、入会申請の審査・承認を行います。

    週明けに届いた入会申請は審査の対象外となり、第34回全国大会において発表する資格を得ることはできません。

    3)初年度会費

    入会承認後、初年度会費の請求書が発行されますので速やかに会費をお支払いください。

    会員マイページからクレジットカードでお支払いいただくことをお勧めします。

    初年度会費支払を完了(申し込みが常任理事会で受理され、会費が支払われたことが確認される)まで、大会発表申し込みサイトにアクセスできる会員IDが発行されません。

    4)会員番号の付与

    入金確認後に会員番号を付与し、会員サービスが開始されます。会員番号の通知メールがとどきましたら、大会発表申し込みサイトから、大会発表の申込手続きを行なってください。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・本部事務局




    第34回全国大会のお知らせ【第1報】

    春季大会が終わったばかりですが、今年度の国際開発学会第34回全国大会につきまして、ご連絡を差し上げます。以下のように開催を予定しております。例年より1か月程度早い開催となります。期日等をご確認ください。

    開催概要

    • テーマ「複合的危機下における連帯と共創」
    • 日時:2023年11月11日(土曜)および12日(日曜)
    • 場所:上智大学 四ツ谷キャンパス
    • 方式:対面(一部オンライン)
    • 大会HP: 近日公開予定

    スケジュール予定

    • 6月30日:発表希望者の学会入会申請期限
    • 7月5日:発表申込開始
    • 8月5日:発表申込締め切り
    • 8月31日:採否結果通知
    • 9月初旬:参加登録開始
    • 9月下旬:報告論文(ショートペーパー、フルペーパー)提出締め切り

    発表申込要項

    1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

    • 発表者は、会員(2022年度と2023年度までの会費が支払い済)であることが必要
      – 学会入会申請:
      – 会費支払サイト:
    • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
    • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
    • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
    • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要(様式自由)
    • 要旨はA4 – 1枚、発表言語ごとに以下の文字数制限に従って作成すること
      – 日本語の発表の場合:日本語(400〜800字)
      – 英語の場合:英語(200〜300 Words)
    • 2023年度入会者は、2022年度会費の支払いは不要

    2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

    • どちらも代表者は、会員であることが必要(入会申請・会費支払サイトは上記参照)
    • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
    • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する
    • 企画セッション:
      各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること
    • ラウンドテーブル:
      企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

    発表申込

    • 申込期間:2023年7月5日~8月5日まで(予定)
    • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

    本件にかんするお問い合わせ先

    第34回全国大会実行委員会
    実行委員長:小松 太郎(上智大学)

    • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    Q:障害者割引はありますか?

    Answer

    当学会に年会費の障害者割引の制度はございません。

    しかしながら、学会活動への参加において「合理的配慮」が必要な場合は、本部事務局にご相談ください。可能な限り対応してまいります。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発学会・本部事務局




    優秀ポスター発表賞

    目的

    国際開発学会の研究大会におけるポスターセッションでの卓越した研究者の研究発表を表彰することにより、研究水準の向上をはかり、もって国際開発研究の発展に資することを目的とする。

    賞の種類

    「優秀ポスター発表賞」及び「優秀ポスター発表奨励賞」とし、また、「優秀ポスター発表賞」審査委員会が必要性を認識し、3 分の2以上の賛成により追加的に賞を設置することがある。

    受賞資格

    第2条に掲げる賞の対象となる者の資格は、国際開発学会研究大会時におけるポスター発表者の会員(学生会員を含む)とする。

    審査基準

    審査は研究内容、ポスターの提示方法、口頭説明(質疑を含む)のそれぞれの質を総合的に判断して行う。

    受賞者数

    受賞件数は若干数とする。

    審査委員会

    審査委員会は国際開発学会賞選考委員と賞選考委員会が指名する若干名の委員を加えて大会ごとに組織される。審査委員長は審査委員会の3分の2の賛成を持って選出する。

    審査方法

    各大会におけるポスターセッション発表時間に審査委員が全てのポスターを見るとともに口頭説明を一定時間聞き、審査する。

    表彰

    審査委員会は、選考経過および選考理由を付して大会期間中に速やかに受賞者を公表する。


    過去大会の受賞者

    第34回全国大会(2023年)

    八郷真理愛

    『発達障害のつくられ方-個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ-』

    奨励賞
    • 佐藤美奈子
      『僧院が担う新たな社会的包摂機能-ブータン王国における仏教とウェルビーイング-』
    • 井川摩耶
      『太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性-援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目して-』

    第24回春季大会春季大会(2023年)

    柴田英知

    『「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想ー愛知用水と愛知海道の関係性に着目してー』

    奨励賞
    • 玉村優奈
      『怒りと情熱:世界銀行内部に残された知恵』

    第33回全国大会(2022年)

    小林匠

    『ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響-ブシェニ県とワキソ県の事例から』

    奨励賞
    • 石井あゆ美
      『日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—』

    2022年春季大会

    松田華織

    An Analysis of Access to Education for Children with Disability in Indonesia”

    太田洋舟

    モルディブ共和国における「ムスリムネス」の多様性に関する一考察―首都マレ圏のスポーツ活動を行うムスリム女性を事例として―」

    2021年全国大会

    矢野泰雅

    『An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR』

    奨励賞

    • Traitip Siriruang
      『Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN』

    2021年春季大会

    白井恵花

    『重度障害者の生存の難しさ-ネパール地方都市とその周辺地域から見えてきたこと―』

    奨励賞
      • 大門毅
        『「アラブの春」とは何だったのか-革命 10 年後のチュニジアから―』
      • Wang Kexin
        『Home Learning Environment for Early Childhood Development Outcomes in Bangladesh』

      2020年全国大会

      近藤加奈子

      『利用からみる住民の水の選好―モザンビーク農村における水源の多様性と選択に着目して―』

      奨励賞

      • 隅田姿
        『日本教育における持続可能な開発のための教育(ESD)とグローバル市民教育(GCED)-学習指導要領の内容分析―』

      2019年全国大会

      Wang Kexin

      『Household Financing on Secondary Education in Cambodia: An Analysis of Household Over-indebtedness on Public Schooling and Supplementary Tutoring』

      Thomas Kloepfer

      『大麻草産業化による貧困削減のための規制と政策:西ネパール山岳コミュニティーの事例』

      奨励賞

      • 羽間久美子
        『タイにおけるSufficiency Economy Philosophyに基づいた教育の効果と課題』

      2019年春季大会

      山口(上舘)美緒里

      『初等教育におけるICTを活用した遠隔教員研修の成果と課題―バングラデシュのNGO校におけるe-learning研修を事例として―』

      奨励賞

      • 田中志歩
        『バングラデシュ丘陵地帯の少数民族における教育開発の可能性と課題―小規模少数民族クミによるノンフォーマル教育学校運営の事例より』
      • 太田美帆
        『陸前高田とゼミ活動の8年間―変わりゆくニーズとの試行錯誤の軌跡―』

      2018年全国大会

      Yiqiong Mai

      『The Influence of Interactive Learning Materials on Self-Regulated Learning Processes and Outcomes of Primary School Teachers in Mongolia』

      奨励賞

      • 飛田八千代
        『セネガルにおける食料消費の傾向について―サンルイ市の女性消費者調査より―』
      • 薗畠ひとみ
        『熱帯地域における廃棄物起因のベクター発生対策に関する研究―パナマのデング熱とジカウィルス感染症を中心に―』
      • 畑杏奈
        『Examining the Relationship between Parent Characteristics and Parent Involvement in Early Childhood Education in Cambodia』

      2018年春季大会

      奨励賞

      • 木村文哉
        『性別の違いと競争的環境の関係に関する比較実験―ミャンマーインレー湖上の住民を対象として―』

      2017年全国大会

      奨励賞

      • 松原加奈
        『エチオピアにおける革靴製造企業―従業員の技術の形成に着目して―』
      • Seonkyung CHOI
        『Impact of Education Paths in Secondary and Tertiary Education on Labor: Market Performance in South Korea: Focusing on TVET High School Graduates』

      2017年春季大会

      奨励賞

      • 三好友良
        『タイにおける地域包括ケアシステムの構築に向けた動き―LTOPプロジェクトサイトの事例を中心に― 』
      • 孟暁東(Xiaodong MENG)
        『Parental Involvement in Early Childhood Education in Lao PDR: Case of Vientiane Province』

      2016年全国大会

      牧貴愛

      『タイにおける優秀教師群像(2)―「Prawat Khru(教師列伝)」の内容分析―』

      2016年春季大会

      奨励賞

      • 高橋香名
        『Impact of Groundwater Development Project on Child Schooling in Rural Zambia』

      2015年全国大会

      奨励賞

      • 金子佳世
        『ブルンジ共和国看護師に求められるCompetency』
        [共著者:Juma NDARAYE; Illuminée NAHABAGANWA; Fabrice KAKUNZE; 古川佳恵]
      • 入江憲史
        『世界遺産における湿地帯保全に対する人々の態度研究:ラオス国ルアンパバーンの事例を用いて』
        [共著者:山口しのぶ、高田潤一]

      2015年春季大会

      奨励賞

      • 清野佳奈絵
        『イタリアにおけるバングラデシュ人移民の社会経済状況:ローマ市に暮らすバングラデシュ人移民を事例に』

      2014年全国大会

      中村洋

      『牧畜民のレジリエンスを分ける要因とは?:モンゴル国ドンドゴビ県で2009年から2010年に発生した災害後の牧民の資産回復過程の分析』

      奨励賞

      • 朝隈芽生
        『イランにおけるアフガニスタン難民の教育:若者のアイデンティティ形成に着目して』

      2014年春季大会

      奨励賞

      • 山口健介・渡辺俊平
        『産業地域の「適応」:集積論の分析視角』

      2013年全国大会

      大谷順子・張玉梅

      『中国四川大地震による中国の社会変容に関する考察:2008年汶川地震と2013年雅安地震』

      奨励賞

      • 山本香
        『シリア難民による学校運営と教員の役割:トルコ共和国アンタキヤ市の事例から』

      2013年春季大会

      田中樹・伊ヶ崎健大

      『作物収量の向上と風食抑制を同時成立させる砂漠化対処技術とその普及』

      奨励賞

      • 佐々木夕子・田中樹
        『西アフリカ・サヘル地域の村落における社会ネットワーク構造と女性世帯の生存戦略』

      2012年全国大会

      奨励賞

      • 篠原亜絵
        『東ティモールにおけるコーヒー生産者協同組合のパフォーマンスと家計への影響』
      • 野村理絵
        『ケニアにおけるマサイ女子生徒の学習動機に対する教師の影響』
      • 吉田綾
        『アジアの途上国におけるE-waste インフォーマルリサイクラーの社会・経済状況』

      2012年春季大会

      奨励賞
      • 佐藤希
        『女性組織が女性のジェンダー意識変容に及ぼす影響:ネパール、パタン市を事例に』
      • 日向淳
        『災害時における「外部者」の役割:内発的発展論の視点から』
      • 山田悦子
        『国際連合安全保障理事会決議1325 :平和構築における国連による女性への政策に関する考察』



      複数年度の会費未払がある場合

      会員マイページで会費支払をするとき、複数年度の会費に未払がある方は、年度ごと(請求書ごと)に決済手続きをする必要があります。

      新しい請求書から順に複数の請求が表示されています。

      このため、1件目の請求書の決済を済ませただけでは全額をお支払い頂いたことにはなりませんので、決済後に未払の請求書が残っていないことをご確認ください。


      本件にかんするお問い合わせ先

      国際開発学会・本部事務局




      会長からの手紙(2023年2月)

      第11期の2年目を振り返って

      国際開発学会の皆様、こんにちは。今年も、昨年度と同じように学会活動の1年間を振り返ったハイライトをみなさんにお届けします。これは、各委員会の活動報告を行う総会にご参加いただけなかった会員のみなさんに対して、学会活動の要点をお知らせするものです。

      昨年度の活動としてまずお伝えしたいのは、ロシアのウクライナ侵攻に対して学会として声明を発出し、日本と英語でHPに掲載したことです。学会として政治的な声明を出すことについては理事会の中でも賛否がございましたが、多くの皆様の賛同を得ることができたこと、そして何よりも、学会として世界のアクチュアルな問題への対応方法を常任理事の間で議論できたことが大きな収穫だったと思っています。今後も世界が難しい局面に入るごとに、学会としてどのように立ち居振る舞いをすべきなのか、議論してまいりたいと思います。


      さて、第11期はvisible, inclusive, entertaining の旗印を掲げて、2年目を無事に終えることができました。総会を明治大学にて対面で実施できたことは何よりうれしいことでしたし、400名以上の参加登録があったことは、みなさんがこの大会を待ち望んでいたことの表れでもあると思います。発表の合間に廊下やホールで見かけたおしゃべりの環、学会賞受賞者のスピーチやそのあとの写真撮影と談笑、旧友との思いがけない再会など、対面開催ならではの偶発的な喜びに満ちた大会でした。実行委員長の島田剛先生とスタッフの皆様に改めて御礼申し上げます。

      執行部の今年度の活動は、着手した活動をしっかりと定着させ、安定軌道に乗せることに力点をおきました。いくつか特筆すべき活動をあげるとすると、次のようなものがあります。

      まず、Visibleについては、選挙管理委員会のイニシアチブにより、学生会員の主導によってYouTubeやツイッターの発信を実施しました。また、人材育成委員会では継続的に(学部生向け)論文コンテストを実施し、前年度より多くの10篇の応募をいただき、その中から3篇を学会誌に掲載しました。学部生の開拓は未来の開発研究者・実務者を育てるうえで大切な事業であります。

      学会賞の方も、応募数が昨年度5件から、今年度13件と激増し、良質の作品を審査して3点に賞が出せたことは大きな成果でありました。社会連携委員会では、今年も外務省主催のグローバルフェスタにも出展し、「国際協力におけるキャリア形成」というセッションを設けて、若いみなさんを中心に100名の参加者を得ることができました。HPやメーリスを中心とする広報委員会の業務は、visibleであり続けるために重要な役割を果たしています。たとえば10月1ヶ月間のサイト全体のページ表示回数は約50,000回に上りました。

      Inclusive については、まず地方展開委員会の活動をあげなくてはなりません。地方展開委員会では、2021年の全国大会、2022年の春季大会でラウンドテーブルセッション 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」 を企画し、 福岡、高知、岡山、岩手、秋田に拠点をおく学会員、地域づくりという関心を同じくする非学会員とのネットワーク構築に貢献しました。この委員会が縁となり、2022年春の福岡大会に続き、2023年春の秋田大会へと地方での学会開催の輪を広げることができました。

      また、科研費(国際情報発信強化)を用いた特集号の編集体制の確立、原稿集め、査読、そして次号に向けた国際ワークショップ(@チュラロンコン大学)の段取りができたのも大きな成果でした。この科研費を利用した外国人会員のさらなる開拓、日本留学帰国組とのネットワーク化など、inclusive の範囲を海外に展開していきたいと考えています。

      また、様々な障害をおもちの会員にできるだけ大会に参加してもらえるよう、ニーズの把握を務めたのもの今年の活動でした。次年度は、合理的な配慮に関するタスクフォースを設けて、アドホックではない配慮のあり方について議論し、その成果を実施したいと考えています。

      最後にEntertaining については、引き続き学会誌の魅力を高めるための新たなデザインの検討を行いました。特に、次年度は英文特集号が加わる節目の年でもあります。表紙のデザインは会員の皆様に参加型で投票していただきました。3月には新しい表紙での最初の雑誌をお届けできると思います。どうかお楽しみに。


      このほかにご報告すべき活動として、研究×実践委員会では2021年全国大会において、JICAが新たに推進しようとしている「クラスター・アプローチ」に対して研究者や委員会メンバーが意見を述べるラウンドテーブルを開催しました。この試みはJICA側からの評価も高く、その後2022年4月まで4回に渡って意見交換会を継続しました。こうした実務者と研究者との成熟した関係が構築できるようになったのは、両者が相まみえる「場」を本学会が長年提供し続けてきたことの帰結といえましょう。

      こうした一連の事業を持続的なものにするためには、事務局が無理なく稼働できる体制が不可欠です。大会運営における特別ソフト confit の導入は、こうした省力化の努力の一環です。これらの着実な前進の背景には、多くの invisible な努力があります。各委員会の委員長や委員の皆さんはもちろんですが、事務局や広報委員会のスタッフは日常的な裏方として日々の業務をこなしてくれています。本当にありがとうございます。

      明治大会でのプレナリーでは「グローバル危機にどう向き合うか―国際開発学の役割」と題して充実した議論を行いましたが、「危機と方向感覚」と題した私の講演に対する反応として、私の尊敬するあるシニアの会員から加藤周一の次のような引用が励ましの言葉と共に送られてきました。これは、加藤が1946年の雑誌『世代』(1946年3月号)に書いたエッセイの一部で、つい昨日まで好戦的だった日本の青年が良心の呵責もなく平和主義者に変わってしまうという日本青年の現状について書いている部分です。

      「かなりの本を読み、相当洗練された感覚と論理を持ちながら、凡そ重大な歴史的社会的現象に対して新聞記事を繰り返す以外一片の批判もなしえない」

      『世代』(1946年3月号)

      論文を書くことは重要ですが、現実世界とのつながりに基づく方向感覚を失いたくないものです。学会は学問成果を取り交わすとこであると同時に、自分たちがどこに向かっているのかを確認する羅針盤のような機能を果たさなくてはいけないのかもしれません。引き続き、会員諸氏の叱咤激励をお願いする次第です。


      第11期の最後となる2022年11月からの1年は、着手済みの変革をさらに開花させ、最終年にはさらによい報告ができるよう努力してまいります。会員の皆様の一層のご支援をお願いする次第です。

      2023年1月
      第11期会長 佐藤仁(東京大学)

      Letter from the President
      Reflecting on the Second Year as the 11th President




      第33回全国大会セッション報告(一般口頭発表)

      A. 一般口頭発表

      A-1. 教育

      • 2022年12月3日(土曜)09:45ー11:45(アカデミーコモン8F 308F1E)
      • 座長:山田 肖子(名古屋大学)
      • ディスカッサント:荻巣 崇世(上智大学)、川口 純(筑波大学)

      発表題目と発表者

      (報告:山田 肖子)


      A-2. Community

      • 2022年12月3日(土曜)13:20ー14:50(リバティタワー7F 10751B)
      • 座長:佐藤 峰(横浜国立大学)
      • ディスカッサント:野田 真里(茨城大学)、近藤 菜月(名古屋大学)

      このセッションには対面で20名、オンラインで14名の参加を得て行われた。座長は佐藤峰(横浜国立大学)、コメンテーターは野田真理(茨城大学)と近藤菜月(名古屋大学)、佐藤峰が担当した。

      まず、第一発表 “Youth Safeguarding Intangible Cultural Heritage in Luang Prabang through Community-centered Innovations”では、ラオスの古都ルアンプラバンにおける、コミュニティを中心とした若者の無形文化資産(ICH)保護の試みについての発表がなされた。野田会員からは、本研究の核となるコミュニティの示すものが明確ではないとの指摘がなされた。

      続いて、SDGsの観点から、「持続可能な開発の第4の柱」としての開発リソースとしてのICHの在り方、経済・社会・環境の持続可能性との関係、ラオスの文化の基盤である仏教との関係について質問がなされた。

      第二発表 “Group Identity and Self-Accountability with Autoethnography: A Privileged Mestizo amidst an Indigenous Community in Mexico”では、研究する側がオートエスノグラフィーを実施することで、より調査される側に対してより倫理的でアカウンタブルでいられるのではないかと言うアイディアが共有された。

      佐藤会員からは、アイディア自体は優れているが、何故オートエスノグラフィーなのか、これがある調査とない調査での比較検討があったほうがより説得力があるのではないかと言う質問と共に、先住民およびメスチーソとしてのアイデンティティの流動性についてなどの指摘もあった。

      第三発表 “Transdisciplinary Community Practice (TDCOP) for Rural Women’ s Empowerment: A Case Study in Gorontalo Province, Indonesia”では、伝統的な手工芸カラウォへの支援を通じて、女性の経済的エンパワーメントや、男性の人力小規模金採掘への参加率低下を目指すプロジェクトが紹介された。

      近藤会員からは、プロジェクトが机やライトなどの物質的支援や技術的側面に焦点を当てているのに対し、伝統的手工芸や人力小規模金採掘に男女が従事する文化的社会的構造の調査とそれに基づくアプローチが必要ではないかという質問などが出された。

      セッション自体はコメンテーターと発表者の対話があり有意義だったが、発表時間を5分短くしてフロアからの質問を受け付けられるとよりよいという印象を得た。

      (報告:佐藤 峰)


      A-3. 平和構築、レジリエンス

      • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(リバティタワー7F 10731A)
      • 座長:志賀 裕朗(横浜国立大学)
      • ディスカッサント:湖中 真哉(静岡県立大学)、関谷 雄一(東京大学)

      発表題目と発表者

      1. 「人道・開発・平和構築のポケットと人道的開発支援の可能性-ティモール島の国境をめぐる考察」
        堀江正伸(青山学院大学)
      2. 「自然資源管理におけるレジリエンス概念の役割について-東アフリカを事例として」
        久保英之(地球環境戦略研究機関)、三浦真理(国際協力機構)
      3. 「複合的災害下におけるパタンに居住するネワール民族の女性自助組織の果たす役割-2015年ネパール大地震と新型コロナウイルスパンデミック以後のコミュニティ復興の事例から」
        竹内愛(南山大学)

      堀江会員は、東ティモールの独立に伴って東西に分断されたティモール島では、東ティモールへは国際社会の注目が集まる一方、東側からの難民も多い西側が話題に上ることはなかったとしたうえで、分断後20年を経て、両地域の人々が国境を越えた新たな経済社会的相互依存関係を生み出していると指摘し、そうした国境を越えた連帯を促す支援のあり方について検討した。

      これに対して、討論者の湖中会員は、「人道的開発」とは、当事者以外の周辺住民等を含むアクターを対象とした社会集団の拡がりを想定した開発のあり方なのか、それとも緊急/平時の二分法に囚われず、時間的な拡がりを想定して、慢性的問題に取り組むことを主張する開発のあり方なのかといった点等を質問した。

      また同じく討論者の関谷会員は、ティモールの事例は、欧米列強が画定した国境に沿って独立国として歩まざるを得なくなったアフリカ諸国の国境線沿いの人々を彷彿させると指摘したうえで、このような歴史を持つ人々にとって、持続的な開発の未来にはどのような落としどころがありうるのだろうか、との問いを提起した。

      続いて、竹内愛会員は、ネパールのパタンにおける女性自助組織である「ミサ・プツァ」が2015年の大地震や新型コロナ感染爆発に際して実施したコミュニティ復興支援活動について報告し、彼女たちが20年にわたる活動を通じて地域行政組織やコミュニティの男性と信頼関係を構築した結果、災害等の緊急状態下で迅速かつ効果的な活動を展開することができたと主張した。

      これに対して、討論者の関谷会員は、カースト制度や男性優位の伝統が根強いネパール社会において、「ミサ・プツァ」は女性が持続的な社会的役割を営むようになる突破口になりうるのか、その活動がネパール社会に根付き、ジェンダーバランスを是正したり、カーストを超えた女性の繋がりに発展したりする可能性があるのか、等の問いを投げかけた。

      最後に、久保英之会員と三浦真理会員は、気候変動の影響を被りやすい乾燥・半乾燥地帯を抱えるエチオピアとケニアを事例として、気候変動レジリエンス概念の政策実施への反映状況を分析し、自然資源管理におけるレジリエンス概念の効果的な活用のあり方について検討した。

      これに対して討論者の湖中会員は、そもそもレジリエンス概念は開発学にどんな新規性をもたらしうるのかを考える必要性を指摘したうえで、気候変動の影響を受ける社会生態システムの内部と外部が連動しながら変化するというシステムの変容可能性を考慮してレジリエンスをどのように定義すべきか、コンテクストが変化しうる状況下において、攪乱要因と社会生態システムの脆弱性を特定することはできるのか、といった問いを提起した。

      このように、本セッションは、ティモール、ネパール、アフリカという多様な地域を対象とした観察結果をもとに、多様な人々が変化する自然社会環境の中で共存していく道筋を考えるうえで根本的に重要な「国境」「レジリエンス」「ジェンダー」等の概念について熟考する貴重な機会となった。座長の時間管理が不適切だったためにフロアとの質疑応答の時間が取れなかったことが悔やまれる。

      (報告:志賀 裕朗)


      A-4. 教育、子ども

      • 2022年12月3日(土曜)15:10 ー 16:40(リバティタワー7F 10751B)
      • 座長:黒田 一雄(早稲田大学)
      • ディスカッサント:山﨑 泉(学習院大学)、小川 未空(大阪大学)

      本セッションは、会場とオンライン併用によるハイブリッド形式で行われ、日本語による2発表により構成された。

      第一に、追手門学院大学の平井華代会員により、「Southから Northへ:フィリピンのNGOの支援事例から得る日本の子ども食堂への示唆」と題した発表が行われた。本研究は、岩手県の子ども食堂の活動と、フィリピン・セブにおける貧困な子ども・家庭を支援するNGOの活動を、インタビューを中心とした質的研究手法により比較する研究であった。

      この研究の独自性は、貧困な子ども支援に先進的なフィリピンから、日本に対する教訓抽出を目的とするというユニークな問題意識から出発していることであり、その試みは発表で示された具体的な提言により、十分に達成されていると見受けられた。途上国の教育を対象とした比較研究の新しいあり方を提示しており、挑戦的な取り組みとなっていた。

      第二の発表は、東洋大学の金子(藤本)聖子会員による、「マレーシアにおける難民の学習環境-クアラルンプール近郊のコミュニティセンターの多様性-」と題する報告であった。マレーシアは難民条約を批准していないながら東南アジア最大の難民受け入れ国となっており、その多くがミャンマーからのロヒンギャ難民である。

      本研究では、クアラルンプール近郊の難民が集中する地域において、難民を対象とした4つのコミュニティスクールでの調査を基にして、難民にとっての教育の役割・重要性を考察しながら、各校に潜む多様な課題が明らかにされた。難民の教育は、世界的な政策課題としてはその重要性を認識されながらも、学術的な研究の乏しい分野であり、今後の一層の展開が期待される。

      この2報告に次いで、学習院大学の山﨑泉会員、大阪大学の小川未空会員(名古屋大学)両指定討論者によるコメントが行われ、それぞれの学術研究としての方法論について活発な議論が行われた。

      (報告:黒田 一雄)


      A-5. 教育

      • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(リバティタワー7F 10761C)
      • 座長:日下部 達哉(広島大学)
      • ディスカッサント:佐野 麻由子(福岡県立大学)、坂上 勝基(神戸大学)

      発表題目と発表者

      (報告:日下部 達哉)


      A-6. Gender, Education

      • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(アカデミーコモン8F 308E1D)
      • 座長:石田 洋子(広島大学)
      • ディスカッサント:島津 侑希(愛知淑徳大学)、崔 善鏡(広島大学)

      本一般口頭発表では、教育開発における重要な課題の一つであるジェンダー平等について、各国における現状とそうした不平等を生み出す要因、或いはCOVID-19の感染拡大による影響などに関する研究発表が行われた。座長は石田洋子氏(広島大学)が、ディスカッサントは島津侑希氏(愛知淑徳大学)及び崔善鏡氏(広島大学)が務めた。

      Jean-Baptiste SANFO氏(滋賀県立大学)の発表、“Factors Explaining Gender Inequalities in Learning Outcomes in Francophone Sab-Saharan African Primary Education”では、サブサハラアフリカ諸国の基礎教育の成果におけるジェンダー不平等について、教育制度や所得の影響に加えて、社会や家族など客観的な測定が難しい要因が影響していることを解明するため、PASECの結果を用いて分析の進捗について報告が行われた。

      Naoko Otobe氏(Gender, Work and Development Expert)の発表、“The Socioeconomic impact of multiple global crisis: Gender dimensions”では、日本国内におけるCOVID-19感染拡大による社会・経済的影響によってより明確になったジェンダー不平等について、政府発表の国内データの分析やOECDデータを用いた国際比較を通して課題を示し、日本政府による対応策と今後の課題について報告が行われた。

      本一般口頭発表には対面・オンラインを併せて約30名が参加した。両発表ともジェンダー平等についてタイムリーで重要な課題を扱っているが、現時点では二次データを用いた分析であり、今後は一次データを用いたより詳細な分析が期待されることなど、活発な議論が行なわれた。

      (報告:石田 洋子)


      A-7. 社会開発

      • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(大学会館3F 第1会議室1F)
      • 座長:木全 洋一郎(JICA)
      • ディスカッサント:松岡 俊二(早稲田大学)、関根 久雄(筑波大学)

      発表題目と発表者

      1. 「潜在的に田園回帰志向を持つ人の要因分析」
        戸川 椋太(立命館大学)
      2. 「人口減少に関する要因研究–マーシャル諸島共和国を事例として–」
        野原 稔和(マーシャル諸島海洋資源局)
      3. 「米国社会における差別問題と負のスパイラル—トランプ政権における国民の分断を中心に—」
        安部 雅人(東北大学)

      本セッションでは、3本の研究発表が行われ、会場16名、オンライン14名の計30名による議論が行われた。

      第1の戸川報告では、日本の大都市圏から地方への移住(田園回帰)を志向する要因として、一軒家の購入や車の所有、農業体験の参加経験、勉強に意欲的の3点を挙げ、若い移住者向けの居住意欲のわく住宅を用意すること、農業体験を通じて特産品の魅力を印象付けることを提言した。

      戸川報告に対し、討論者の松岡会員からは、世界的に人口減少社会になっていく中で社会や家族の在り方が問い直されており、その中で地方移住促進策を捉え直す重要性が指摘された。

      第2の野原報告では、マーシャル諸島共和国で2011年から2021年に人口減少に転じた要因として、平均余命、人口移動、出生率の観点から分析し、0歳代から10歳代の人口が大幅に減少しており、特に0歳代は0歳代から10歳代の人口よりもさらに下回っていることから、出生率が人口減少の一因と結論づけた。

      野原報告に対し、討論者の松岡会員からは、出生率が減少した要因は何か、他の島嶼国の人口動態はどうなっているか、島嶼地域社会の持続性の阻害要因を考えるにはどういった問いを立てるのかといったコメントが出された。

      第3の安部報告では、米国の差別問題の背景として歴史的な白人男性優位社会やコロナ禍による白人低所得者層の失業を挙げ、抗議運動の高まりが更なる警察の治安対策強化や民間人による銃の重武装化につながるとする負のスパイラルを指摘した。これに対し、黒人・アフリカ系の若年層からの教育・就業機会の充実化を提言した。

      安部報告に対し、討論者の関根会員からは、差別問題の構造的問題は教育や収入向上の視点を超越しており、差別する側の視点から、なぜ差別をするのか、そもそも平等とは何なのかを問い直す必要性が指摘された。

      3報告ともこれまでの国際開発学会ではあまり見られない課題設定をしている点に将来性を感じる一方で、必ずしも研究精度の高くない発表もあった。特に学生会員においては、大会での門戸を広げる意味でポスターセッションでの発表を奨励しているが、あえてセッション発表とするには、一定の質を確保すべく指導教官の監督指導の徹底をお願いしたい。

      (報告:木全 洋一郎)


      A-8. 経済と環境

      • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(大学会館3F 第2会議室1G)
      • 座長:豊田 利久(神戸大学)
      • ディスカッサント:黒川 清登(立命館大学)、渡邉 松男(立命館大学)

      このセッションでは、途上国の経済と開発援助資金に関する3つの発表がなされた。その報告と討論の概要は次の通りである。なお、参加者は約20名であった。

      (1) 「中国の国際協力資金が各国のIMFの金融支援プログラム参加に与える影響の検討」

      大森佐和(国際基督教大学)

      最近の中国の開発資金増大がIMFプログラムへの参加に影響するか否かを計量分析した。特に、中国の開発資金がIMFプログラムを短期的にはクラウドアウトしていること、中国と選好(国連投票行動)が離れている国では長期的にIMFプログラムに参加する傾向があること、などが示された。

      討論者から、中国資金の長期的な影響の有無や異なった基準での選好の把握などを分析する必要性が指摘された。

      (2) 「カンボジア銀行業の資本構成:高度ドル化経済における銀行業の計量分析」

      奥田英信(帝京大学)

      銀行経営の健全性を資本構成(資本金の体操資産比率)の決定要因によって解明することを試みた。2011年から7年間のデータを用いた計量分析により、ドル化経済の下で中央銀行の最後の貸手機能に制約があるにもかかわらず、商業銀行がリスクに十分な注意を払っていない可能性を見出した。討論では、ドル化経済と商業銀行の資本構成との関係に関する仮説のより明白な叙述の必要性が指摘された。

      (3)「政府開発援助が直接投資に与える影響-VAR モデルによる検証」

      大野沙織(京都大学)

      主要5カ国のODAが海外直接投資(FDI)に及ぼす効果を2003年-2020年のデータによって計量分析した。主な結果は、ODAは必ずしもFDIに影響を及ぼしていないこと、1990年代のデータで実証されてきた日本のODAの先兵効果は見いだされないことである。討論では、日本の先兵効果が1990年代に終わったとされる理由のさらなる検討や分析手法再考の必要性が指摘された。

      (報告:豊田 利久)


      A-9. 教育

      • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50(リバティタワー7F 10731A)
      • 座長:内海 成治(大阪大学)
      • ディスカッサント:澤田 康幸(東京大学)、平山 恵(明治学院大学)

      12月3日16:50から行われた教育分科会には、会場に25人Zoom参加者約25人と合わせて約50人の参加があり、教育分野への関心の高さが感じられた。

      本分科会では4つの発表が行われた。コメンテーターは澤田康幸先生(東京大学)、平山恵先生(明治学院大学)で、初めの2つの発表を澤田先生、後の2つの発表を平山先生に初めのコメントをいただいた。

      最初の発表は内海悠二(名古屋大学)会員の「アフガニスタンにおける教育に対するコミュニティレジリエンス」であった。これは2014年の社会調査を利用したマルチ分析である。教育に対するコミュニティの役割を女性、児童労働、紛争状況等から分析したものである。澤田先生からは統計分性に関する指摘等があった。現在アフガニスタンは再びタリバン政権となり教女子教育は厳しい状況にあるが、こうしたコミュニティの意向は重要な意味を有すると思われる。

      2つ目の発表は狩野豪(金沢工業大学)・石川健太(マンチェスター大学)会員の「日本のGIGAスクール構想はOne Laptop per Childと同じ道を歩むのか?」で、狩野会員が発表した。2005年から開始されたOLPCの経験から、現在日本で展開されているGIGAスクール構想の課題を分析したものである。標準仕様、教員研修、子どもの学習機会、性別や地域の格差等に考慮する必要性が明らかになった。澤田先生からはOLPCとGIGA構想とは状況が大きく変わっているので、比較対象の正当性への指摘があった。GIGA構想はOLPCのみならず、国際的な比較の中で検討されるべき重要な課題と思われる。

      3番目は藤枝詢子(京都精華大学)会員の「フィジーにおける伝統的住居の建築技術継承の可能性」とい非常にユニークな教育課題である。フィジーのブレという伝統的な茅葺住居は全住居の1%と危機的状況にあり、その建築技術の継承には教育機関による技術教育の役割が重要であり、そのための課題を抽出したものである。平山先生からはこの発表がまとまりのある発表であるため、ご自身の経験した伝統的事業の継承に関する例が紹介された。ネパールの伝統医療、フィリピンの薬草事業、奈良正倉院の校倉津造りの継承の例である。

      伝統技術の継承は国際的な課題であり、国際協力において注目する必要性が高いことが分かった。

      4つ目の発表は、近藤葉月(名古屋大学)会員の「『いずれ自営業者のなりたい』若者たち:ガーナ農村部の学卒者のschool to work transition調査から」で、質問票調査とFG調査からの報告である。学卒者が政府セクターあるいはNGOへの就職を希望しながらも、将来的には自営業を目指していることが明らかになった。ガーナの雇用状況の不安定さが起業家精神を育んでいる状況が示された。平山先生からは、FGインタビューの採用、大学の教員の能力、雇用者側の問題等が指摘された。

      熱心な発表と丁寧なコメントで非常に有意義な分科会になった。座長のミスで会場からのコメント・質問の時間がとれず申し訳なかった。今回の分科会は幅白い教育分野の各地の調査の報告であり、教育開発分野の広がりと深まりを感じた次第である。

      (報告:内海 成治)


      A-10. African Economy

      • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:20(リバティタワー7F 1075 1B)
      • 座長:笹岡 雄一(明治大学)
      • ディスカッサント:武内 進一(東京外国語大学)、福西 隆弘(ジェトロ・アジア経済研究所)

      African Economyのセッションでは、Joseph Enoch Garcon氏が「TICADとアフリカの米セクターの参加型政策形成」Christian Otchia氏が「経済特別区(SEZ)の意味と構造変容」Hoi Yee Regina氏が「アフリカ地方の環境リスク認識」の3つの発表を行った。コメンテーターは武内進一氏、福西隆弘氏であった。

      最初のTICADの発表ではTICADの経緯、米生産についてはアジアの緑の革命や日本の経済モデルとの関係、TICAD型開発理念の意義が語られたが、オーナーシップとパートナーシップの原則が反映されている特徴は首肯されるものの、日本の農業の実績とCARD実施体制に有意な関係はないのではないか、アフリカが力を注ぐべきは米なのかメイズなのかといったコメントがあった。

      SEZについてはアジアやラ米では経済的な効果をもたらしたが、アフリカでは顕著な効果がなかった、ないしその効果は特定地域に限定されていたとの発表であった。なぜアフリカでは効果がなかったのかについてはlocal captureの問題があり、効果のスピルオーバーがアフリカでは低く、従ってマクロの産業構造も工業化などの変化に乏しかったという説明であった。発表趣旨は明確であったが、産業構造の変化はSEZだけで捉えられるのかといった問いや回帰分析で適切な変数について注意を払うべきとのコメントがあった。

      環境リスクはナイジェリア中部の人々の認識について長年のデータ分析から行ったもので、降雨量や時期の集中化による洪水の発生や、気温の変化なども相まって牧畜民の移動や生活の変化をもたらす認識の変化が現れているという趣旨であった。これがフラニ族の移動や周囲の人々との紛争にもたらす影響については今後の課題とのことであった。

      3つの発表とも内容の濃い力作であったが、最初の2つはやや当初の想定に思い込みもあった気がした。最後の発表は降雨量などの物理的なデータと遊牧民の意識とを組み合わせた長期の調査を反映したもので、構想の大きさにとても感心させられた。

      (報告:笹岡 雄一)


      A-11. 援助、環境

      • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50(リバティタワー7F 1076 1C)
      • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
      • ディスカッサント:小林 尚朗(明治大学)、山口 健介(東京大学)

      本セッションでは4本の報告があった。

      まず槇田容子(国立環境研究所)会員から「開発援助における気候変動適応主流化―ボトムアップアプローチの普及について」というタイトルで報告があり、気候変動適応策の策定には、科学主導型のトップダウンアプローチに加えてコミュニティ主導型のボトムアップアプローチを組み合わせたデュアルアプローチが有効であることを指摘し、JICAのプロジェクトを事例にその課題と解決策を明らかにした。

      次に侯テイ玉(お茶の水女子大学)会員から「市民社会の視点から見たミャンマーの経済特区における日本のODA政策と中国の『一帯一路』構想の実践に対する比較について」というタイトルで報告があり、ミャンマーにおける日本、中国それぞれの経済特区に対する開発援助のアプローチの同異を検討し、いずれも市民社会サイドから批判を受けてきたものの、その背景にある政策意図、リーダーシップと人的コネクションなどに違いがあることを指摘した。

      続いて榎本直子(法政大学)会員から「健康的に、地球環境問題の解決を目指した『行動変容』モデルに関する一考察」というタイルとで報告があり、法政大学環境センターによる独自の環境マネジメントシステム「EMS」に注目して、学生アンケート調査を基に行動変容の実態を明らかにしつつ、さらなる行動変容を促す企画を行ったことを紹介した。

      最後に高柳彰夫(フェリス女学院大学)会員から「DAC市民社会勧告の実施:南の市民社会の支援をめぐって」というタイトルで報告があり、DAC勧告を概観した上で勧告採択後に策定中の南の市民社会組織支援のためのツールキットのプロセスを紹介し、日本社会へのインプリケーションについて論じた。

      槇田会員と榎本会員の報告に対しては小林尚朗会員(明治大学)から、侯会員と高柳会員の報告に対しては山口健介会員(東京大学)からコメントがあり、フロアからの質問やコメントも含めて報告者との間で質疑応答が活発に行われた。

      (報告:大塚 健司)


      A-12. Economy and Environment

      • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:20(大学会館3F 第2会議室1G)
      • 座長:小島 道一(ジェトロ・アジア経済研究所)
      • ディスカッサント:柳原 透(拓殖大学)、岡本 由美子(同志社大学)

      発表題目と発表者

      • “Overseas Employment as Means to Sustain Economic Growth and Development: The Case of Overseas Filipino Workers”
        Armand Rolla
      • “Future Estimation of the Amount of Solid Waste in Fiji -Empirical analysis based on quantitative and qualitative analysis”
        高木 冬太(立命館大学)
      • “Addressing the Japanese elderly mobility problems with autonomous vehicle”
        PANDYASWARGO Andante Hadi (Waseda University)

      Three presentations were delivered in the session on “Economy and Environment”.

      Ms. Armand Rola made presentation on “Overseas Employment as Means to Sustain Economic Growth and Development: The Case of Overseas Filipino Workers“. This paper seeks to illustrate how the overseas employment of Filipinos can be both beneficial to the host country and to the Philippines by looking at the various host countries’ demand for labor and the overseas remittances’ contributions to the Philippines’ Gross National Product. Based on historical secondary data, the remittance contributions to the country’s GNP were valued at % in 1984 and grew to as much as % in 2006. In addition, there were only 350,982 Filipinos deployed in 1984 which grew to almost 2.3 million in 2018. Dr. Yumiko Okamoto, a commentor of the session, recommended to compare the magnitude and the role of remittances and foreign aid (grant portion) in the economy of the Philippines, because both of them appear in the current transfer balance of the current account of BOP.

      Mr. Tota Takagi presented “Future Estimation of the Amount of Solid Waste in Fiji -Empirical analysis based on quantitative and qualitative analysis”. The paper estimated future generation of waste in Fiji, using Input-output Table with some assumption on consumption expenditure per tourist, and the number of tourists. It is estimated that waste generation would increase by 20,000 tons per year in 2030, at least compared to the amount in 2018. Mr. Michikazu Kojima, the chair of the session, suggested some further research such as impact of mismanaged waste in Fiji to tourism, comparing economic ripple effect and cost of waste management, and financing mechanism on waste management such as tourist tax.

      Third speaker, Ms. PANDYASWARGO Andante Hadi, made a presentation titled “Addressing the Japanese elderly mobility problems with autonomous vehicle.” The study analyzed the Japanese Study of Aging and Retirement (JSTAR) data and gained insights through multiple correspondence analyses and nonparametric tests. The study found that technology adjustments, such as universal designs, may help ease the use of autonomous vehicles by drivers with lower cognitive and physical functions. However, the steep price of the technology must be aided with innovative business models. Dr. Toru Yanagihara, the commentator, pointed out that regarding transportation modes, it is necessary to consider not only the two extremes, personal vehicle and public transportation, but also various methods in between personal and public transportation. He also pointed out that autonomous driving was a major technological innovation, with maintaining the status quo in daily life and with reducing the psychological resistance.

      (報告:小島 道一)


      A-13. Disasters, Infrastructure, Education

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー8F 1085)
      • 座長:本田 利器(東京大学)
      • ディスカッサント:松丸 亮(東洋大学)、桜井 愛子(東洋英和女学院大学)

      Disasters, Infrastructure, Educationのセッションでは、災害を軸に多岐にわたる発表がなされた。

      “Preparedness of the Coastal Inhabitants of Pakistan towards Natural Hazards”では、パキスタンの4地区を対象とした住民の災害意識や災害情報の入手経路などの調査報告がなされた。当日はそれに加え、脆弱性および災害対応力に対する分析も報告された。会場から全国的な傾向との比較について質問があり、それを含めた分析を進める予定であることが報告された。

      “Barriers to education and lifelong learning of the climate change displaced persons: a case study in Indonesia”においては、インドネシアの教育環境について女子の教育に課題があること等が報告された。また、気候変動対策の政策に対して教育制度が十分に対応できていない現状等が報告された。会場からのコメントとの議論の中では、行政が人々の移動等のデータを収集管理することや高度教育への支援の必要性も言及された。

      “Case study of Biomass Clearance in Dam Reservoir related to Nam Ngiep 1 Hydropower Project in Lao PDR”では、ダム建設に伴うリスクとその対応として、不発弾処理の課題や地方行政の対応の遅さ、地元建設企業への技術指導の課題が紹介された。会場との議論で、これらがラオスだけではなく一般性のある課題であること等が言及された。いずれの発表も時宜を得た発展性のあるものであり、議論も有意義なものであった。

      (報告:本田 利器)


      A-14. Education and Culture

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(リバティタワー9F 1096)
      • 座長:工藤 尚悟(国際教養大学)
      • ディスカッサント:小川 啓一(神戸大学)、汪 牧耘(東京大学)

      発表題目と発表者

      1. 「留学生・日本人学生の個人的体験と教科書をつなげる試み」
        吉田秀美(法政大学)
      2. “Measurement of the level of intangible cultural heritage awareness and knowledge among the local community of Luang Prabang in Lao People’s Democratic Republic”
        Jerome Silla (United Nations University)
      3. ”China’s Belt and Road Initiative and Reshaping Internationalization of Local Higher Education Institutions”
        劉靖(東北大学)
      4. “The factors influencing the diffusion process of the teacher portal use among lower secondary school teachers in Mongolia”
        Yuji Hirai (Tokyo Institute of Technology)

      本セッションでは、以下の4件の発表があり、参加者は10名ほどであった。コメンテーターは、小川啓一(神戸大学)および、汪 牧耘(東京大学)の各会員であった。いずれの報告も国際化や新型コロナ感染症の拡大などで多様化する教育現場のダイナミズムを捉える、重要な研究テーマであった。

      “留学生・日本人学生の個人的体験と教科書をつなげる試み”

      吉田秀美(法政大学)

      アジアからの留学生が増加していくなか、大学教育の現場でサステイナビリティを議論するとき、その背景となる条件に対する異なる意見があることによって、議論の深化が生まれるという内容であった。発表者はこれまで自身の担当する科目にて学生が用いた発表スライドを見せながら、学生の持つ多様性を示した。会場からは、豊富なデータに対するコメントや、一科目のデータからどのようにESD全体への提言につなげていくのかなどの質問が出された。

      “Measurement of the level of intangible cultural heritage awareness and knowledge among the local community of Luang Prabang in Lao People’s Democratic Republic”

      Jerome Silla (United Nations University)

      ラオス・Luang Prabangにて、コミュニティの無形文化財(ICH: intangible cultural heritage)に対するawarenessとknowledgeの理解度を定量的に調査した内容が報告された。具体的にはICHに関する12項目を網羅するアンケートを作成し、Luang Prabangにある29村において435人に対して実施した内容が示された。会場からは、発表者が実施した大規模調査に対するコメントと共に、ICHに関わる政策の意思決定に誰がどのように関わるのかなどの質問が出された。

      ”China’s Belt and Road Initiative and Reshaping Internationalization of Local Higher Education Institutions”

      劉靖(東北大学)

      中国の一帯一路政策における高等教育の国際化について、ドキュメント分析手法を用いて調査した内容が報告された。一帯一路政策は中国の地方大学においても国際化を起こすカタリストとしての役割が期待されているという内容に対して、興味深いという会場からのコメントが多くあった。

      “The factors influencing the diffusion process of the teacher portal use among lower secondary school teachers in Mongolia”

      Yuji Hirai (Tokyo Institute of Technology)

      新型コロナ感染症の拡大によって学校教師の研修制度が実施できなくなるなか、モンゴルではインターネットを介した研修プログラムの普及が進んでいる。本発表は、モンゴルの中学校教師の間でオンライン研修プログラムの普及プロセスを、ウランバートル内の4地区で実施したアンケート調査(835件)のデータを用いて分析した内容が報告された。会場からはクラスター分析の内容に対する質問の他、現地での大規模調査に対するコメントなどが出された。

      (報告:工藤 尚悟)


      A-15. Aid Organization, Economic Growth and Poverty

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー10F 1105)
      • 座長:岡部 正義(共立女子大学)
      • ディスカッサント:高橋 基樹(京都大学)、伊東 早苗(名古屋大学)

      本セッションは2名の会員による報告が行われ、参加者は対面8名・オンライン2名、進行は全て英語で行われた。

      第一報告は、伏見勝利会員(JICA緒方貞子平和開発研究所)による”Ceremonial Implementations at Overseas Locations: A Multi-Case Study of a Bilateral Development Cooperation Agency”

      報告者はまず、様々な事業体が海外展開し、海外子会社や現地海外事務所(OO)を展開する中で、HQから下された事業がOOの実施局面では、“ceremonial implementations”(儀礼的な実施、CI)にとどまっていることの功罪に問題意識を示し、二国間開発協力機関(BDCA)にも該当すると問題提起があった。

      そして、報告者自身の豊富なこれまでの情報の蓄積に加え、OOに勤務する現地スタッフへのインタビュー調査を用いて一次データを構築し、CIが行われる背景やその性格、メカニズムを丹念に分析。HQや本国との関係に緊張性をはらむなかで、CIはセーフガードとしての機能を果たしていることをBDCAの事例でも立証したとする結論が報告された。

      第二報告は、原正敏会員(ビジネスブレークスルー大学)による“A Development Strategy on Middle-Income Trap and Startups Promotion in the Philippines”

      報告者は、高所得国や上位中所得国に移行した域内近隣国の台頭と対照的に、フィリピンが過去三十年にわたり低位中所得国から抜け出せない「中所得国の罠(MIT)」に問題関心を設定する。そして、MITから抜け出せない原因のひとつに、同国ではスタートアップにかかる取引費用・初期コスト等が高いという仮説を開発計画や先行研究から示した。

      世銀のWorld Development Indicatorsから「ビジネスのしやすさ(EDB)」尺度という変数を集計・構築してこれを関心ある独立変数とし、経済成長の尺度として一人当たりGDPに回帰する線形回帰分析を行った。さらに政府文書等の丹念な解釈に基づく定性的分析も実施した。主たる結果はEDBの説明力を示す結果となったとする結論が報告された。

      各報告後、第一報告には伊東早苗会員(名古屋大学)、第二報告には高橋基樹会員(京都大学)がディスカッサントとなって質問や提案事項を議論し、さらにフロア参加者の質問も活発に寄せられ、所期の時間を超えて活発に報告者との間に議論を展開することができ、たいへん有意義なセッションとなった。

      (報告:岡部 正義)


      A-16. 援助機関と現場

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー10F 1106)
      • 座長:源 由理子(明治大学)
      • ディスカッサント:松本 悟(法政大学)、北野 収(獨協大学)

      本セッションの第一報告は、隅田姿(広島修道大学)会員による「開発援助における現地実務者の役割~境界連結者としての貢献~」である。現地に派遣された援助実務者の働き方に焦点をあて、境界連結者(boundary spanner)の概念を使い、現地実務者が果たす役割について検討したものである。報告に対しコメンテーターの松本悟(法政大学)会員から、境界線の両側の視点から見る必要性や現地実務者の役職による違いなどについてコメントがあった。

      続く第二報告は、松原直輝(東京大学)会員による「現場主義の理想と現実~JICAの本部・現地事務所関係から見た組織経営~」である。JICA独立行政法人化にともなう「現場主義」の組織改革プロセスで組織改革の巻き戻しが起きた背景を、地方分権化の議論を分析の枠組みとして考察したものである。

      松本会員からは、効率性に重きをおく地方分権化の枠組みで「現場主義」を検討することの是非、現場を理解した中堅職員の増加との関係性、緒方貞子氏の存在の影響についてコメントがあった。また、隅田報告と松原報告をつなぎ、境界連結者分析と「現場主義」双方から考えるとどうなるのかという問いかけがあり、両者の継続的・発展的な研究への期待が述べられた。

      最後に、第三報告である若林基治(JICA)会員による「開発途上におけるソーシャルイノベーションの実現にかかる開発協力機関の役割について」は、開発途上国のソーシャルイノベーションのためには開発協力機関が一定の役割を果たすという仮説のもと、日本の高専がアフリカにおいて企業、大学等と協力して行ったプロジェクトを事例として仮説検証を行ったものである。

      コメンテーターの北野収(獨協大学)会員からは、かつての技術移転論・普及教育論との違い、語法としてのイノベーションの整理上の課題、イノベーションの目的が成長に限定されることへの懸念、イノベーションにおける市民社会の位置づけなどのコメントがあった。

      フロアからの質問・コメントも含め、3人の報告者ともに可能な範囲でのフィードバックを行いつつ、今後の研究上の課題として捉えていくことが表明された。援助の現場と理論を架橋する研究の更なる発展を期待したい。

      (報告:源 由理子)


      A-17. 経済

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー8F 1083)
      • 座長:後藤 健太(関西大学)
      • ディスカッサント:受田 宏之(東京大学)、會田 剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)

      第一報告:「インドネシアにおける労働市場の構造変化と賃金格差」

      • 報告者:本台進会員(神戸大学)
      • 討論者:會田剛史会員(ジェトロ・アジア経済研究所)

      本報告は、通貨危機後のインドネシアの労働市場に起きた構造変化の分析にフォーカスをあて、その賃金格差への影響を分析したものであった。討論者からは、非常に多くの示唆に富む報告であるというコメントとともに、現在の分析が労働供給側の観点に限定されていることから、ミクロレベルでの賃金の決定要因や、男女間・都市農村間の賃金格差の決定要因の推定など、労働需要側の分析の可能性が示された。

      第二報告:「GVCと自律共生的発展との連携:日系自動車メーカーのASEAN地域活動史の検討」

      • 報告者:竹野忠弘会員(名古屋工業大学)
      • 討論者:受田宏之会員

      本報告は、東南アジアにおける日系自動車メーカーの事業展開を、多国籍企業とローカル企業・産業間連携におけるメリットを、製品・製造設計の観点から検討し、地場企業にとっての「経営発展」の可能性に関してするものであった。討論者からは、東南アジア地域の多様性をどのように考えるのか、さらにグローバル・バリューチェーンの開発的な側面をどのように扱うのか、といった質問があった。

      第三報告:「メキシコにおけるトランジット移民―法整備と現実のはざまで」

      • 報告者:柴田修子会員(同志社大学)
      • 討論者:受田宏之会員

      本報告では、最近の米墨国境における非正規な越境者の急増と、そこにおける非メキシコ人(トランジット移民)の比率の急増という背景の下、メキシコにおける移民・難民に関する法整備の状況と、これとの整合性な政策実践に焦点を当てていた。そこでは、移民をプロセスととらえる視点の重要性や、最終目的地として考えられてきた米国に向けて、トランジット移民が必ずしも直線的な移動経路を取らない多様な実態を、詳細な現地調査でえられた知見に基づいた報告がなされた。討論者からは、こうした、データの取りにくい課題に対して、NGOからアクセスした点に対する評価があった。また、プッシュ・プル要因の中でも、近年高まりを見せているプッシュ要因の重要性、さらにはNGOのアドボカシー活動の影響などに関する質問があった。

      第四報告:「ラオス日系企業工場労働者の生産性改善とピア効果―作業グループにおける性格特性の異質性に着目したミクロ計量分析―」

      • 報告者:栗田匡相会員(関西学院大学)
      • 討論者:會田剛史会員

      本研究は、途上国(ラオス)の工場労働者を対象に、観測不能な「能力」を性格特性(性格五⼤因⼦)で代用とし、こうした能力のグループ内の異質性の労働生産性への影響を推計することで、そのピア効果を検証しようとしたものである。討論者からは、本研究のユニークで意欲的な側面への言及があった。また、理論モデルおよびデータ収集(実験)にいける作業環境に関するにいくつかの重要なコメントがなされた。

      4つの全ての研究発表が、それぞれ大変興味深いものだった。二人の討論者の的を射た建設的なコメントもあり、新たな研究の視点を提供するような有意義なセッションだった。なお、本セッションでは4つの報告があり、それぞれ20分の発表、討論者による5分のコメント、その後の討論者の回答とフロアからの質問を合わせて5分という時間配分となっていたが、やや時間不足な印象があったのが若干残念であった。

      (報告:後藤 健太)


      A-18. 思想、人類学、文化

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー10F 1103)
      • 座長:重田 康博(宇都宮大学)
      • ディスカッサント:橋本 憲幸(山梨県立大学)、木山 幸輔(筑波大学)

      本報告は、一般口頭発表「思想、人類学、文化」セッションについてである。参加者は、4名の発表者、2名の討論者など事務局関係者を含めて約20名であった。

      最初の清水大地(筑波大学大学院)会員の「多元世界におけるアフリカの開発論:ウブントゥ的開発論への展望」は、エスコバルの多元的世界観におけるアフリカのウブントゥ的開発論を ILO、マラウィの事例に考察し、その本質が他者との関係性にあるとした。

      討論者の橋本憲幸(山梨県立大学)会員からは、「ウブントゥ」概念が表象の政治のなかで利用されてきたことを清水会員自身はどう評価しているのかといった質問が出された。

      次の浅田直規(筑波大学)会員の「人類学と開発(学)の交点としての『開発予後』を考える―ルーマニアの児童福祉制度を事例に」は、開発プロジェクト終了後の影響を「開発予後」として、ルーマニアの児童福祉制度/国際援助を事例に調査し、その歴史、児童養護施設の長所と課題を取り上げ、ポスト共産主義の文化からどのように持続するのかが重要だと述べた。橋本会員からは、ルーマニアへの児童福祉制度に対する国際援助が共産主義の文化とどのように結びついているのかという質問があった。

      三番目の宮澤尚里(早稲田大学)会員の「伝統文化の現代的役割―インドネシア・バリ島の事例から」は、インドネシアのガムラン音楽活動は参加者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)にどのような影響を与えているかのアンケート調査を行い考察した。討論者の木山幸輔会員(筑波大学)からは、QOL 増進を目指す「政策提言」の位置付け、ガムランの営みと QOL の因果関係などの質問があった。

      最後の岡野内正(法政大学)会員の「SDGs 思想の歴史的起源―トーマス・スペンス(1750-1814)の自由移民・土地総有・全員参加・住民管理原則に基づくグローバルなベーシックインカム資本主義発展構想」は、総有制法人によるオーナーシップの確立構想を提案しベーシックインカム理念の創設者スペンスの著作などをテキスト分析しグローバル資本主義発展と普遍的人権保障が両立できるかを検討している。木山会員からはスペンスの総有制法人とSDGs や人権の概念との関係、SDGs や人権の「何に」寄与するのかといった質問があった。

      (報告:重田 康博)


      A-19. 保健衛生

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:15(リバティタワー10F 1106)
      • 座長:杉田 映理(大阪大学)
      • ディスカッサント:松山 章子(津田塾大学)、福林 良典(宮崎大学)

      発表題目と発表者

      (報告:杉田 映理)


      A-20. 社会開発、コミュニティ

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー11F 1113)
      • 座長:長畑 誠(明治大学)
      • ディスカッサント:大橋 正明(聖心女子大学)、秋吉 恵(立命館大学)

      発表題目と発表者

      (報告:長畑 誠)


      B. 企画セッション

      C. ラウンドテーブル

      D. ブックトーク、プレナリーほか

      第33回全国大会を終えて




      第33回全国大会セッション報告(企画セッション)

      企画セッション


      B-2.ウクライナ紛争と中東・北アフリカ地域の食糧不安・危機
      ――レバノン・エジプト・チュニジアの事例より

      • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
      • 企画責任者:井堂有子(日本国際問題研究所)
      • 司会:佐藤寛(アジア経済研究所)
      • 討論者:河村有介(神戸大学)

      発表題目と発表者

      1. 「中東・北アフリカ地域における食糧安全保障の共通課題―構造的脆弱性の背景―」
        井堂有子(日本国際問題研究所)
      2. 「レバノンの食料不安―金融危機と難民流入―」
        土屋一樹(アジア経済研究所)
      3. 「エジプトにおける食糧『危機』が直撃する脆弱層」
        岩崎えり奈(上智大学)、井堂有子(日本国際問題研究所)
      4. 「チュニジアにおける食料安全保障の構造的課題と食料主権」
        山中達也(駒澤大学)

      第33回大会全体テーマ「グローバル危機にどう立ち向かうべきか―紛争、食料高騰、飢餓」に呼応する形で、本企画は「ウクライナ紛争と中東・北アフリカ地域の食糧不安・危機」というテーマで4つの報告を行った。

      2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻と黒海封鎖、さらに対ロシア経済制裁は、サプライチェーンを通じて相互依存を深めてきた世界全体に衝撃を与えたが、特に主要穀物を両国からの輸入に大きく依存してきていた中東・アフリカ地域は直接的打撃を受けた。

      本企画セッションでは、中東・北アフリカ(MENA)地域の共通課題とともに、特に注目されるレバノン、エジプト、チュニジアの個々の構造的課題を掘り下げることを目的とした。

      ウクライナ戦争以前から、同地域は2010-11年以降の幾度かの「アラブの春」、広範囲な抗議行動、世界的感染拡大、金融危機、極度のインフレ、気候変動による異常気象といった複合危機にすでに見舞われてきていた。こうした中での黒海封鎖は、この地域の食糧不安をさらに深刻化させ、政治危機を招く要因になりうる。

      第一の発表は、企画の趣旨説明として、約6億の人口を擁するMENA地域に共通する構造的課題の論点整理(気候変動への脆弱性、穀物輸入依存、「社会契約」としての食糧補助金、食糧援助)を行った。この地域では主要穀物(小麦)を国内生産でではなく海外輸入に依存する傾向が強まってきたが、この背景として、農業生産向上を阻む気候・地理条件に加え、広く実施されてきた食糧補助金制度、外部要因としての食糧援助の影響を指摘した。

      第二の発表では、ウクライナ危機以前、レバノンが既に深刻な金融危機(世界ワースト3位内)や政治的混乱、財政破綻等、度重なる危機に直面していたことが解説された。この背景として、脆弱な経済構造(送金・観光経由の外貨頼み、対外債務高)に加え、レバノン人380万~500万人に対してシリア難民150万人とパレスチナ難民1.6万人の受入れ等、元々厳しい状況にあったところ、低い小麦自給率(20%)もあり、黒海封鎖で市民と難民双方の食糧不安がさらに深刻化したことが報告された。

      第三の発表では、小麦輸入大国エジプトの家計調査データ(2010年代後半)の分析から、食糧不安に最も脆弱な層と彼らの生存戦略の詳細が明らかにされた。エジプトの小麦輸入相手先は米国一辺倒から多角化の時代を経て、2020年頃にロシア・ウクライナに集中するようになっていた。食糧補助金の大半を占める小麦のパン配給制度は同国の「社会契約」を象徴してきたが、危機の際には脆弱層の命の綱となってきたことが報告された。

      第四の発表では、革命期チュニジアの政治経済危機に関して、経済構造の諸課題が詳細に解説された。「アラブの春」唯一の成功例とされたチュニジアであっても、残存する縁故資本主義で硬直化した市場とFDIの停滞、30%もの高学歴失業者、インフォーマル部門の肥大化、財政赤字と対外債務の増大、低生産で脆弱な農業部門の現状により、コロナ禍以前において国民の4人に一人が中程度以上の食糧難に直面していた。こうした構造的悪循環を脱するため、国内穀物の半分を生産する小規模農民を中心としたチュニジアの市民社会による食料主権の樹立を求める動きが紹介された。

      討論者からは、地域の共通課題に対して、ロシア・ウクライナ産穀物への過度な輸入依存には経済的要因だけでなく政治的要因もあるのか、なぜ一般的な社会保障制度よりMENA地域では食糧補助金が大きな役割を果たしているのか、との質問がなされた。

      個別発表に対しては、(1) レバノンでのシリア難民受入れ、パン価格引き上げへの国民の反応、国連の支援スキームの多くが現金給付であるのはなぜか、(2) ウクライナ危機がエジプトの社会保障改革に与える影響、(3) チュニジアにおける食料主権の主体は誰なのか、あるべき農業政策(戦略)とはどのようなものか、といった質問がなされ、発表者との議論が続いた。

      初日午前の時間帯であったにもかかわらず、対面・オンライン併せて40名程度の参加を得た。

      (報告:井堂有子)


      B-3.中東における『障害と開発』

      • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
      • 企画責任者:森 壮也(ジェトロ・アジア経済研究所)
      • 討論者:小林 昌之(ジェトロ・アジア経済研究所)、長田 こずえ(名古屋学院大学)、細谷 幸子(国際医療福祉大学)、小村 優太(早稲田大学)、長沢 栄治(東京大学)、戸田隆夫(明治大学)

      発表題目と発表者

      (報告:森 壮也)


      B-4.信頼と開発協力:研究の到達点と今後の課題

      • 2022年12月3日(土曜) 12:50 ー 14:50
      • 企画責任者:石塚 史暁(東京大学)
      • 座長:佐藤仁(東京大学)
      • 討論者:佐藤 寛(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

      発表題目と発表者

      • 大塚 高弘(独立行政法人国際協力機構)
      • 林 伸江(独立行政法人国際協力機構)
      • 大友 彩加(独立行政法人国際協力機構)

      冒頭、座長より本テーマの意義について触れた後、事例分析の結果についての結果について3名(林:留学生受入事業、大塚:ボリビア国水資源管理技術協力、大友:フィリピン鉄道マスタープラン。いずれも所属は国際協力機構)より発表した。

      発表では、いずれも信頼と開発協力に係る問題を、過去の事例分析を通じて扱った。林は関係者間の信頼関係が留学生の満足度に与えた影響、大塚はカウンターパートが頻繁に交代する国・地域における信頼の引継ぎ、大友は過去の実績の蓄積による信頼と案件実施中に新たに構築される信頼の構築過程を統合的に分析した。

      これに対し、討論者(佐藤寛・アジア経済研究所)より、日本の地方部における外国人に対する信頼の問題や、ODAの技術協力スキームにおける信頼の位置づけ、開発協力における信頼の構成要素などについてコメントがあった。加えて、フロアの参加者からも以下のような質問・コメントがあり、座長・発表者を交えて活発な意見交換を行った。

      「信頼」は「安心」や「信用」と区別して議論すべきではないか。

      (留学生の)満足度と信頼はかならず相関するものといえるのか。

      (モノなど)非人間的な要素に対する信頼はありえるか(信頼はどこまで属人的か)。

      日本企業以外が受注するアンタイド案件における日本への信頼はどう考えられるか。

      時代の変化に伴って開発協力における信頼の役割はどのように変化してきたか。

      個人・組織・国という信頼の主体を区別して議論すべきではないか。

      信頼は開発の目的になりえるのか(現場としては違和感あり)。

      信頼の効果を捉えるため信頼が得られなかった案件との比較をしてはどうか。

      セッションで提示された問いの幅は、開発研究における信頼というテーマがさらに深堀すべき要素を多く含んでいることの証左である。今後も、研究を継続したいという気持ちを強くした。なお、セッション参加者は約60名(会場:約15名、オンライン:約45名)で、議論は大変活発であり、この分野に対する高い関心が感じられた。

      (報告:佐藤仁)


      B-5.The ‘Easternisation’ of Development: The politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation

      • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50
      • 企画責任者:伊東 早苗(名古屋大学)
      • 司会:藤川 清史(愛知学院大学)
      • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、KIM Soyeun(Sogang University)

      発表題目と発表者

      1. ”The Easternization of Development: The Politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation”
        伊東 早苗(名古屋大学)
      2. ”The Politics of East Asian Developmentalism: Paradigms, Practices and Prospects of Foreign Development Assistance”
        von Luebke Christian(コンスタンツ応用科学大学)
      3. Huan Meibo(上海対外経貿大学)
      4. Wang Zhao(上海対外経貿大学)

      本企画セッションは、対面とオンライン合わせて約30名ほどの参加者があり、盛況であった。藤川清史会員(愛知学院大学)による司会のもと、4名による研究報告を予定していたが、大会直前になって、急遽、上海対外経貿大学の報告者2名(Meibo Huan氏 およびWang Zhao氏)が不参加となった。

      彼らの報告を期待して参加くださった会員の皆様には、深くお詫びしたい。一方で、報告者2名(Sanae Ito, ”The Easternization of Development: The Politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation”およびChristian von Lübke, ”The Politics of East Asian Developmentalism: Paradigms, Practices and Prospects of Foreign Development Assistance”)の報告後、討論者2名(佐藤仁会長/東京大学、およびSoeun Kim会員/Sogang University)およびフロア全体を巻き込む諸議論に十分な時間を費やすことができ、その意味で、大変有意義なセッションであった。

      2名の報告内容は、ポスト2015時代における開発協力のパラダイムシフトと、近年の、日本、韓国、中国による国益重視型開発協力をめぐる政治的力学を「開発主義国家」概念と合わせて論じるものであった。

      報告者によると、国益重視の開発協力は、「持続可能な開発目標SDGs」を推進する国際社会が民間セクターとの協働を促進する動きと連動している。また、それぞれの東アジア諸国が「非欧米型開発モデル」という言説を掲げ、欧米先進国が先導する開発アプローチに代わる「オータナティブ」を標榜しがちな状況とも連動しているとする。

      具体的な事例として、日本政府による「質の高いインフラ事業」がとりあげられ、日本企業によるインフラ投資を促進するためにODAが戦略的に使われていることを「開発主義国家的な産業政策の復活」として議論した。

      討論者からは「開発の東洋化」という概念にどのような意味があるか、また、国内産業の振興を目的とする産業政策が外交面で開発協力政策と接続する場合の距離感等についてコメントおよび質問があった。さらに、「開発の南化」や「Blended Finance」といった概念に関わる研究と実践上の動向について、知見の共有がなされた。

      フロアからは、グローバル社会の動向と東アジアの動向を区別できるか、開発実践の現場における民間企業の本音はどこにあるか、といった論点が指摘された。また、開発主義国家の定義や、その多様な側面について当該分野の専門家からコメントがあり、学びの多い議論につながった。

      (報告:   )


      B-6.包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
      • 企画責任者:井手上 和代(明治学院大学)
      • 討論者:黒川 基裕(高崎経済大学)、渡邉 松男(立命館大学)

      発表題目と発表者

      1. 「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」
        高橋 基樹(京都大学)
      2. 「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」
        井手上和代(明治学院大学)
      3. 「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」
        松原加奈(東京理科大学)
      4. 「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」
        日下部 美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

      本セッションには、対面で11名、オンラインで11名の参加があった。本セッションは、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」研究部会の活動を踏まえ、その成果を学会に還元することを念頭に置いて企画したものである。

      アフリカ諸国が21世紀初頭からの高度成長を経てかえって強まった資源・一次産品への依存からの構造転換のために、ものづくり・製造業の現状を、実証研究を通じて考察することが要請されている。そこで必要なことは、多くの人が経済活動の担い手として参加する包摂的な開発が実現されてゆくことである。

      最初の報告「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」(高橋基樹会員・京都大学)では、ケニア・ナイロビのソファ製造の複数のクラスターを取り上げ、製品について生じた革新的な知識が異なる業者の間で容易に共有される開放的なケースと知識が秘匿される閉鎖的なケースがあることが指摘された。それは従来の「失われた中間」=二重構造論では捉えきれない多系的な発展とそれに応じた包摂が生じている可能性を示唆するものである。

      続く「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」(井手上和代会員・明治学院大学)では、ナイロビの金属加工業の資金調達と企業者能力について、製品と技術(機械化の程度)が異なる二つの地区の業者への聞き取り調査に基づき論じた。長期資金需要の相対的多さにもかかわらず、金融市場における機会が狭められており、機械化の進んだ事業者も自己資金への依存率が高く、金融機関からの借り入れが限られていることが分かった。事業者の企業者能力はそうした生産環境の負の要因を補うために発揮されている。

      「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」(松原加奈会員・東京理科大学)は、最初にエチオピアの革靴産業と産業政策の歴史を跡付けた。それを踏まえて、異なる3つの規模の企業が受けてきた支援を詳述し、小企業にも政府による外国援助を活用した支援が及んでいることを指摘する。各企業は異なる複数の支援を渡りつつ恩恵を受けるものの、逆に支援を渡ることができずに廃業に追い込まれる場合があり、包摂が不均等なかたちで生じていることが示された。

      「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」(日下部美佳会員・京都大学博士課程)は、福祉用具に携わる障害者団体の活動に着目し、個々人の技能の熟練及び多能工化と活動参加前の教育や技能の習得とがどのように関わっているかについて考察した。技能形成とものづくりという障害者の開発への主体的な参加が団体の存在によって可能となっている。

      各報告に対して黒川基裕会員(高崎経済大学)、渡邉松男会員(立命館大学)から、理論的枠組みを踏まえた議論の陶冶に向けた助言や、考察をさらに深めるための問題の提起がなされた。これらは上記研究部会での議論を進展させるために非常に有益なものであり、本セッションを開催した意義を確認することができた。

      (報告:井手上 和代)


      B-7.開発途上国におけるミクロ実証分析

      • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45(オンライン発表)
      • 企画責任者:島村 靖治(神戸大学)
      • 討論者:樋口 裕城(上智大学)、倉田 正充(上智大学)、會田 剛史(アジア経済研究所)

      発表題目と発表者

      1. 「女性自助組織活動と公的雇用保証政策は女性の民間での雇用にどのような影響を及ぼしたのか?―インド・アーンドラ・プラデーシュ州農村部の事例―」
        佐藤 希(愛知学院大学)
      2. 「地域内における資源配分と消費水準との関係の探求―マラウイの農業用投入資材補助金政策を事例としてー」
        藤田 茜(神戸大学)
      3. 「インドネシア医療ボランティアの活動報酬に対する選好―離散選択実験による実証分析―」
      4. 劉 子瑩(神戸大学)
      5. 「ベトナム中部の村落医療施設における医療従事者の利他性の分析」
        島村 靖治(神戸大学)

      本セッションでは開発途上国におけるミクロデータを用いた実証分析に関する4つの報告が行われた。

      第1の発表では、インド、アーンドラ・プラデーシュ州農村部の女性の自助組織活動と全国農村雇用保障法(NREGA)による雇用保証事業との関係、ならびにNERGAの民間雇用への影響に関する分析結果が報告された。そして、コメントとして、自助組織活動への参加によってNREGAの効果に違いがみられる理由をより丁寧に分析し議論すべきとの指摘があった。

      第2の発表では、マラウイの農業投入資材補助金政策を題材に地域内における資源配分と地域全体の平均的な一人あたり消費水準との関係に関する分析結果が報告された。コメントとしては、地域や地域内における資源配分の捉え方の手法を再検討した上で結論についてもより丁寧に議論すべきとの指摘があった。

      第3の発表では、インドネシア、ジョグジャカルタ郊外で活動する医療ボランティアの活動報酬に対する選好がボランティアの利他性により異なることを見出した分析結果が報告された。一方で、コメントとして、結果の解釈にあたっては純粋利他性と不純利他性の違いを考慮に入れて行うべきとの指摘があった。

      第4の発表では、ベトナム中部の村落医療施設(CHC)で働く医療従事者の利他性の分析を行い、医療従事者の利他性は同じCHCで働く同僚の利他性と強い相関関係があることが報告された。他方、コメントとして、そうした相関が生じる理由がピア効果なのか、社会における職業的なソーティングなのかを峻別すべきとの指摘があった。加えて、医療従事者の人数が増えたCHCほどその効果が大きくなるメカニズムについても探求すべきとの指摘もあった。

      そして最後に、4つの発表すべてについての質疑応答の時間があり、それぞれの研究の今後の発展可能性について活発な議論が行われた。

      (報告:島村 靖治)


      B-8.ジェンダーと開発

      • 2022年12月4日(日曜) 09:30 ー 11:30
      • 司会:高松香奈(国際基督教大学)
      • コメンテーター:菅野美佐子(青山学院大学)

      発表題目と発表者

      1. 「バングラデシュにおけるマイクロファイナンスと女性のエンパワメント」
        本間まり子(早稲田大学)
      2. 「ネパールの家族農業における変化への対応」
        甲斐田きよみ(文京学院大学)
      3. 「南スーダンでの全国スポーツ大会を通じたスポーツとジェンダー」
        古川光明(静岡県立大学)

      ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進は、持続可能な開発目標(SDGs)をはじめ、開発における重要な取り組み課題として認識されている。しかし、SDGsの達成度やジェンダー格差指数が示すように、これらの課題を解決するための取り組みは、未だに十分であるとは言えない。

      こうした状況において、実務者と研究者が活動報告や情報共有、調査や啓発活動のためのアプローチなどを紹介することにより、ジェンダーと開発を考えるうえでの課題や可能性について検討することを目的に「ジェンダーと開発」研究部会が、2022年8月に設立された。

      本企画セッションでは、家父長制下で制約を受けている女性に焦点をあて、研究部会の有志会員が関わってきた事例を紹介した。コロナ禍において、女性は以前より増して不利な状況におかれている。しかし、受動的な弱者として位置付けるのではなく、変化を引き起こす主体として位置付けるために、国際協力を通じ何が出来るのか検討した。

      セッションの冒頭で、司会の高松会員より、研究部会の目的や活動内容の紹介をおこなった。続いて本間会員の発表では、バングラデシュのマイクロファイナンス事業の参加女性たちの融資金の利用について、コロナ禍の影響と関連した現状及び今後の調査計画が共有された。

      甲斐田会員の発表では、ネパールの先住少数民族で最貧困層のダヌワールを対象にした聞き取り調査結果に基づいて、様々な社会経済状況の変化に対する農民の対応を、ジェンダー視点で分析し、性別役割分業やジェンダー規範の影響が報告された。

      古川会員の発表では、南スーダンのジェンダーとスポーツに関連して、スポーツ大会がジュバ女性市民のスポーツ参加やスポーツを継続することの認識への与える効果について、質問票調査を通じた検証がなされた。

      コメンテーターの菅野会員からは、各研究報告に対してより理解を深めるとともに、今後、研究を更に発展させるためのヒントとなるような質問やコメントが行なわれた。セッション参加者のうち、研究部会の新規登録者が数名あり、今後の活動に繋がった。

      (報告:高松香奈)


      A. 一般口頭発表

      C. ラウンドテーブル

      D. ブックトーク、プレナリーほか

      第33回全国大会を終えて




      第33回全国大会セッション報告(ラウンドテーブル)

      ラウンドテーブル

      C-1.授業という開発実践
      ー わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか

      • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
      • 企画責任者:池見 真由(札幌国際大学)
      • 討論者:

      発表者

      • 大山 貴稔(九州工業大学)
      • 松本 悟(法政大学)
      • 栗田 匡相(関西学院大学)
      • 汪 牧耘(東京大学)

      (報告:池見 真由)


      C-2.Adaptive Peacebuilding: A New Approach to Sustaining Peace in the 21st Century

      適応的平和構築:21世紀における持続的な平和への新しいアプローチ

      • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
      • 企画責任者:伏見勝利(JICA緒方研究所)

      発表者

      1. 武藤亜子(JICA緒方研究所)
      2. 立山良司(防衛大学校名誉教授)
      3. 田中(坂部)有佳子(一橋大学森有礼高等教育国際流動化機構グローバル・オンライン教育センター)
      4. ルイ・サライヴァ(JICA緒方研究所)

      本ラウンドテーブルは、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「持続的な平和に向けた国際協力の再検討」の最終成果である学術書籍”Adaptive Peacebuilding: A New Approach to Sustaining Peace in the 21st Century”の発刊前に、研究成果の一部を発表したものである。

      ノルウェー国際問題研究所のデ・コニング博士が主導する概念である適応的平和構築とは、紛争の影響を受けた国の内部で、地元が主導する平和構築を推進するアプローチである。平和構築に関わる外部者は、人々自らが平和を維持するための社会全体のシステムを再構築するプロセスを、促進することが推奨される。ラウンドテーブルでは、次の適応的平和構築の事例を紹介した。

      1. シリア紛争にて、市民が紛争後の復興計画を作成したり国連主導の調停に関わったりした事例(武藤)
      2. パレスチナで、現地の人々との幅広い交流や協力関係を通じ、地元に配慮した治安維持に貢献したヘブロン国際監視団の事例(立山)
      3. 紛争後の東ティモールの「村(スコ)」という場が、退役軍人と人々の間の緊張緩和に貢献した事例(田中(坂部))
      4. モザンビーク紛争に際し、外部ではなく現地の人々が主導した平和構築の事例(サライヴァ)

      適応的平和構築が紛争終結や紛争後の平和の維持に大きく貢献していることや、紛争が続く場合でも、紛争の負の影響の軽減や市民ネットワークの構築に有意義な貢献をしていることが明らかになった。窪田、伏見が討論者を務め、平和構築の多様な道筋、また現地の主体や社会経済的な文脈を考慮に入れる必要性を明らかにした研究成果には、多くの関心が寄せられた。

      (報告:伏見勝利)


      C-3.国際教育開発における専門知
      ー実践の経験値と研究の専門性の架橋を中心にー

      • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
      • 企画責任者:川口 純(筑波大学)
      • 司会:坂田のぞみ会員(広島大学)

      本セッションは、国際教育開発の研究と実践の架橋をテーマに開催された。背景には、本分野において実践と研究が十分に架橋されていないとの問題意識があった。従来、研究者から実践家に対しては、「実証的な研究成果を活かした実践になっているのか」、「教育の専門性を持たない専門家が多く、国際協力の専門性の方が教育の専門性よりも優先されてきたのではないか」などの指摘がなされてきた。

      また、実践家から研究者に対しては、「日本の教育開発研究者は何をしているのか分からない」、「日本から国際潮流を作ることはあるのか」といった批判がなされてきた。

      この様な相互の批判を踏まえて、本セッションでは若手研究者を中心に国際教育開発の研究と実践の架橋について議論が展開された。企画者は川口純会員(筑波大学)、登壇者は 荻巣崇世会員(上智大学)、橋本憲幸会員(山梨県立大学)、非会員の坂口真康氏(兵庫教育大学)と関口洋平氏(畿央大学)の4名で、司会は坂田のぞみ会員(広島大学)が務めた。

      その他、10名程の参加者があり、幅広い角度から闊達な議論が展開された。その中で架橋の質を問う必要性や架橋の目的と方向性についてとりわけ活発に意見が交わされた。また、研究の枠組みを設定するにあたり、実践と研究が置かれてきた時代状況の違いを踏まえながら、個人としての架橋と総体としての架橋のずれに関する丁寧な議論の必要性への言及もあった。

      本分野においては、以前より個人としては実践と研究の架橋が成されていたが、総体としては徐々に希薄化している状況が問題として認識され、実践の経験値の蓄積に対し研究の専門知が果たしうる役割について今後も議論を継続することが重要であるという結論が導かれた。

      具体的な今後の研究の方向性としては、本研究自体に実践家を巻き込みつつ、事実(データ)に基づいたより実証的な研究を展開する必要性が確認された。

      (報告:川口 純)


      C-4.倫理理的食農システムの構築に向けて:
      アグロエコロジーの観点から

      「倫理的食農システムと農村発展」研究部会

      • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
      • 企画責任者:池上甲一(近畿大学名誉教授)
      • 討論者:加藤(山内)珠比(京都大学)、妹尾裕彦(千葉大学)

      本ラウンドテーブル(RT)は「倫理的食農システムと農村発展」研究部会の成果を議論する場として代表の池上が企画した。本RTの意図は、現行の食農システムの抱える諸矛盾を乗り越えるために、アグロエコロジーの観点から倫理的食農システムの構築可能性を論じることだった。

      食農システムを対象とする以上、資材、農業生産、流通、消費というそれぞれの段階が社会的・環境的・経済的公正をおもな要素とする倫理性とどう関連しているのかが主要な論点となる。本RTではこうした趣旨を説明する座長解題と食農システムの各段階に対応する4報告が行われた。

      第1報告・西川芳昭(龍谷大学)「アグロエコロジー研究から見たタネをめぐる主体者の多様性」は、最も基本的な資材である種子の参加型開発を可能にする農業研究のあり方を議論した。

      第2報告・受田宏之(東京大学)「ミルパ、有機市、農民学校:メキシコにおけるアグロエコロジーの実践と課題」は、変革の主体やメカニズムと併せ、政治との関係を焦点とした。

      第3報告・牧田りえ(学習院大学)「有機とローカルはなぜ接近するのか」は、原理的には異なる2つの動きが重なり合う9つの要因を文献研究から解明した。

      第4報告・坂田裕輔(近畿大学)「生産過程の倫理性に対する消費者の関心」は、支払意思額に基づく分析結果から、消費者は商品のこだわりを意識して選択を行うが、一定の社会階層に対するエシカルマーケティングは成立しないと結論づけた。

      討論者の加藤(山内)珠比(京都大学)は第1報告に対して、在来種による人口増への対処可能性と農民による種子選抜の可能性が疑問として提示された。また第2報告について「戦線の拡大」に伴う農民の異質性増大と「集合的な理想」の関連如何を問うた。

      同じく討論者の妹尾裕彦(千葉大学)は第3報告に対して、アグロエコロジーの観点からはローカルの重要性がポイントだとコメントした。第4報告については解析を前提とした改善方向についての示唆があった。最後にRT全体にかかわる論点としてアグロエコロジーを拡げる(べき)範域と有機農業への転換による食料確保への懸念への対応の必要性が提起された。

      (報告:池上甲一)


      C-5.日本型援助理念と政策を問い直す

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
      • 佐藤仁(東京大学)

      本ラウンドテーブルではODAにかかわる理念、原則、政策手段についての3つの視点から、日本に特有の援助理念の再検討を行った。具体的には、自助努力支援(マエムラ会員/東京大学)、要請主義(佐藤会員/東京大学)、開発輸入(キム会員/韓国・西江大学)が報告を行い、これに志賀裕朗会員(横浜国立大学)が討論の口火を切る形でセッションを運営した。

      マエムラ会員は、OECD-DACの議事録分析などを基礎にして、自助努力支援の発想が欧米から斡旋された考え方である可能性が高いことを資料に基づいて提示し、自助努力支援がいつの間にか「国産化」した過程を跡付けた。

      佐藤会員は、相手国からの要請という援助プロセスにおける当たり前の手続きが、日本のODAの原則になった経緯を戦後賠償の手続き論にたどって論じた。

      最後に、キム会員が「開発輸入」という日本独特の援助方式を議題にとりあげ、この方式の「もの珍しさ」が外国人の研究者に発見された点や、中国が同じ方式で援助供与を行うようになったことなど、日本式の政策手段が諸外国に波及した事例を紹介した。

      これらの3報告に対して、討論者の志賀会員からは日本の援助が欧米の aid の理念に翻弄されてきた歴史があったのではないかという興味深い指摘があった。欧米の aid はキリスト教の教えに共鳴する「施し」のニュアンスがあり、それが民間主導でおこなわれた経済協力とは相いれなかった可能性の指摘である。

      日本は賠償に始まる独自の論理と手続きを構築した一方で、DACドナーとしてaid コミュニティーに理解を得る形で援助理念を形成せざるをえなくなった。日本型援助理念とは、援助の定義をめぐる西欧と自国の論理の板挟みになった結果として生み出された産物といえるかもしれない。フロアからは国民の援助理念の受け入れをどう考えるか、現場での援助実践と理念の関係などについて鋭い質問が相次ぎ、議論は大いに盛り上がった。参加者は現地とオンラインを合わせて30名程度であった。

      (報告:佐藤仁)


      C-6.地域の課題解決における国際協力人材の役割

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
      • 企画責任者:矢向禎人(JICA)
      • 司会:河野敬子(一般社団法人海外コンサルタンツ協会:ECFA)
      • 討論者:岸磨貴子(明治大学)室岡直道(JICA)

      発表者

      • 大下凪歩(下関市立大学)
      • 金崎 真衣(環太平洋大学)
      • 井川真理子(株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)
      • 永田友和(高山市海外戦略課)
      • 塗木陽平(JICA)
      • 荻野光司(JICA)

      実務者からの情報発信強化及び、研究者との交流によるODAの質的改善を目的としたECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し、今年度で5年目を迎えた。

      本ラウンドテーブルでは、(1) JICA中国主催の地域の多文化共生の課題に大学生等が取り組む「因島フィールドワーク合宿(学生主体で企画を立案。外国人材を多く受け入れている因島にて外国人材と地元の方との結びつき、異文化理解の促進に向けた取り組みを試行)」および、(2)「ルアンパバ-ン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト(世界遺産の管理・保全のための協力を岐阜県高山市の協力を得て実施)」を事例とし、国際協力人材と日本の地域との関り方、地域の課題解決に果たしうる役割について議論を行った。

      両事例は取り組み内容や目指す成果は異なるが、異文化理解の機会創出という共通性があり、国際協力を活用した異文化理解・多文化共生を育んでいく場の提供の重要性と可能性が見受けられた。一方、両事例による機会創出は時限的で連続性や持続性に留意すべきとの指摘もあり、このような機会をどのように繋げていくかは今後の検討課題である。

      また、両事例に留まらず、各参加者の経験に基づく異文化理解・多文化共生の難しさについても議論が行われた。議論において、国際協力人材が持つ国内外の経験、特に多様な国や人々との交流経験は、「共生」を具体化し進めるための場や機会を提供に活かせるとともに、共に悩むことが出来るという点も国際協力人材の優位性や役割との意見が出された。

      さらに、ラウンドテーブル全体の議論を振り返る中で国際協力という言葉についてもコメントがあり、求められる役割や環境を踏まえ、国際協力は「変化し続けるAgency」として捉え進めていくことの重要性についても意見交換がなされ、今後の国際協力を検討する上で有益なセッションとなった。

      最後に本ラウンドテーブルの開催にご参加、ご支援頂いた皆様にお礼を申し上げます。

      (報告:矢向禎人)


      C-7.食のレジリエンスとSDGs

      第4回「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会ラウンドテーブル

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(オンライン発表)
      • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
      • 討論者:野田真里(茨城大学)

      発表者

      1. 基調講演:菊地良一(和法薬膳研究所) 
      2. 中西徹(東京大学)
      3. 西川芳昭(龍谷大学)
      4. 安藤由香里(大阪大学)

      開発のレジリエンスとSDGs研究部会の第4 回目のラウンドテーブルは、食の問題を取り上げた。SDGs17 の目標の1つが2030年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

      基調講演として、山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

      次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

      討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズコロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

      (報告:関谷雄一)


      C-8.「一般化」の多様性 ー事例を巡る対話を通してー

      「若手による開発研究」研究部会セッション

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
      • 企画責任者・司会:松原優華(東京外国語大学大学院)

      発表者

      • 松原優華(東京外国語大学大学院)
      • 神正光
      • 山田翔太(立教大学/日本学術振興会特別研究員PD)
      • 吉田篤史(京都大学大学院)
      • 森泰紀(同志社大学大学院)
      • 須山聡也(東京大学大学院)

      本ラウンドテーブルは、「若手による開発研究」部会による企画セッションである。本セッションでは、研究における「一般化」への向き合い方という多くの研究者が抱える問題をテーマとし、ディシプリンや研究者個人間での「一般化」の多様性を捉え直し、その中で研究の価値を再考する機会の提供を目的とした。

      本セッションは発表と討論の2部で構成された。前半は、専門分野、対象地域が異なる6人の若手研究者が、(1)それぞれが捉える「一般化」、(2)「普遍性の追求-地域の固有性の追求×個人-世界の一般化のレベル感」から成る4象限で自身の研究スタンスを提示した。これにより、研究者個人間の「一般化」の捉え方の多様性、それゆえの研究スタンスの多様性を示した。

      後半では(1)“良い”「一般化」とは何か、(2)「一般化」の捉え方が異なる中でどのように研究の価値を見出していくのか、15人ほどの参加者による討論を行った。

      討論では、フロアからの「誰に向けての、何のための「一般化」なのか」との指摘から、「一般化」の意義について議論が展開された。その中で、事例から導出できる特殊性を広い文脈に位置づけることが他地域や他分野へと議論を広げる可能性が指摘された。その上で、この作業こそ研究者がすべきことなのではないのかという意見もでた。

      また、「どのように「一般化」するのか」についても活発な議論が行われた。「一般化」の局地である「普遍性の追求」については、事例の特殊性を追及した結果として、偶発的に「普遍性」に近いものが発見される可能性に言及された。この指摘は、事例から意識的に「一般化」する方向が強調されてきたこれまでの研究法の議論とは異なる新たな事例と「一般化」の関係の捉え方といえよう。

      本セッションでは、これまで曖昧なままにされてきた「一般化」の捉えにくさを正面から議論したことで、研究の意義を再考する機会となった。本セッションを皮切りに、「一般化」の考え方の違いから時に生じてきた分野、研究者間の対立を乗り越え、「一般化」の捉え方の議論が活発化することを望む。

      (報告:松原優華)


      C-9.開発における「ビジネス実践と研究」の連携可能性

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
      • 企画責任者:小林 誉明(横浜国立大学)
      • 狩野 剛、功能 聡子、佐藤 峰(横浜国立大学)浜名 弘明

      (報告:小林 誉明)


      C-10.大学におけるアフガニスタン、ウクライナからの避難民受入れ支援と課題

      国際開発関係大学院 研究科長会議 企画ラウンドテーブル

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
      • 企画責任者:岡田 亜弥(名古屋大学)
      • 討論者:

      発表者

      • 神馬 征峰(東京大学)
      • 小正 裕佳子(独協医科大学)
      • 小林 誉明(横浜国立大学)
      • 赤井 伸郎(大阪大学)
      • 金子 慎治(広島大学)
      • 市橋 勝(広島大学)
      • 木島 陽子(政策研究大学院大学)
      • 北 潔(長崎大学)

      (報告:岡田 亜弥)


      C-11.人口減少へ向かう人類社会とサステナビリティ研究

      • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
      • 司会:松岡俊二(早稲田大学)
      • 討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)、石井雅章(神田外語大学)、島田剛(明治大学)

      ラウンドテーブル(RT)「人口減少へ向かう人類社会とサステナビリティ研究」は、司会:松岡俊二(早稲田大学)、話題提供者:浜島直子(千葉商科大学、環境省)、工藤尚悟(国際教養大学)、討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)、石井雅章(神田外語大学)、島田剛(明治大学)という構成で、2022年12月4日(日)12:45-14:45、明治大学リバティタワー1F1012教室にて開催した。参加者は20名程度であった。

      日本の人口は2008年の1億2,808万人がピークで、その後は減少プロセスに入り、コロナ禍もあって、 2021年10月1日には、前年比64.4万人減となった。64.4万人という減少数は、鳥取県人口(55万人)を上回り、ほぼ島根県人口(66万人)に匹敵する規模となっている。

      少子高齢化を特徴とする人口減少は日本だけではなく、中国や韓国などの東アジア諸国でも起きている。2022年7月に発表された『国連人口推計』は、中国の人口は2021年に14億2000万人でピークを迎え、2022年からは人口減少プロセスへ入り、2052年に13億人を割り込み、半世紀後の2078年には10億人を下回ると推定されている。また韓国は、2021年に合計特殊出生率が世界最低のとなり、人口減少が深刻化している。

      人口減少問題は日本や東アジア地域にみられる個別的あるいは特殊的な社会的課題ではない。いま起きている人口減少は人類史的現象であり、人類史の大きな転換点であることが、近年の世界の人口研究によって明確になってきた。

      ワシントン大学の研究グループは、2020年に医学雑誌Lancetに発表した論文で、2064年に世界人口は97億3千万人でピークを迎え、その後は減少へ転換するとした。ホモ・サピエンス登場から30万年、永く続いてきた人類の膨張が終わりにさしかかっている。人口増加を前提につくられた経済社会システムの限界が明らかになり、新たな社会のデザインが問われている。

      本RTでは、人類社会が人口減少・縮小社会へ転換することが、サステナビリティ研究や国際開発協力にとって何を意味し、どのような転換への「備え」が必要なのかを論じた。特に、途上国の開発問題や気候変動などの長期的課題への影響や日本の地域社会の持続性について議論した。

      (報告:松岡俊二)


      C-12.開発経験は共有可能か
      ——日中韓にみる「セマウル運動」を事例に

      「ODAの歴史と未来」研究部会

      • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
      • 企画責任者:汪牧耘(東京大学)

      本企画は「ODAの歴史と未来」研究部会の一環として、開発・援助研究の暗黙的な前提である「経験共有の可能性」を問い直すものである。具体的には、1970年代に始まった「セマウル運動」の経験がどのように日中韓で論じられてきたかを検討し、「経験共有の不可能性」を踏まえた知識生産のあり方を考察した。

      当日、発表者の3人(チョン・ヒョミン氏・近江加奈子氏・汪牧耘氏)は、「セマウル運動」の展開とそれをめぐる日中韓における議論の系譜を共有し、開発経験の価値化・知識化とその共有は常に一種の政治性が伴うことを再確認した。

      援助供与国が自国の開発経験を体系的にまとめる過程で起きる経験の取捨選択を批判・評価するのではなく、さらに「自らの経験をどう共有するか」を思考するのみならず、「自らの経験に対する他の見方をどう発掘するか」という問いに学問的な光を与えることが重要ではないかと提案した。

      討論者(キム・ソヤン氏・志賀裕朗氏)のコメントは議論をさらに前進させた。特に、「知識実践」と「知識共有」の違い、外部者の眼差しと経験の相互作用や、欧米的な開発知の「匿名性」を踏まえたアジア・アフリカという枠の有効性などといった論点は、本企画の思考を精緻化していくための足場となりうる。

      ディスカッションにおいて、松本悟氏、佐藤仁氏、柳原透氏から貴重なコメントを頂いた。特に、経験を(「外部」も含めて多様な視点で」)蓄積し、そして「経験を持つ側」と「その経験を欲しがる側」を結ぶ必要性を示した実践的な視点は示唆に富む。

      また、経験共有の役割が“inspiration”を通して果す可能性に関する指摘も目に鱗であった。今後は、経験の受け止め方をより多くの事例から検討し、開発を推し進めてきた人びとの知性と感情を理解するための観測点となる研究へと、本企画を発展していきたい。

      (報告:汪牧耘)


      C-13.社会的連帯経済(SSE)の国際動向と日本の動き

      「社会的連帯経済」研究部会

      • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
      • 企画責任者:古沢広祐(國學院大學)

      本RTは、前々日に開催された公開プレ企画の内容を共有するかたちで進められた。報告3名、(1)「ILO総会における社会的連帯経済の動向について」(高崎真一・ILO駐日代表)、(2)「社会的連帯経済の国内動向とILOとの連携について」(伊丹謙太郎・法政大学)、(3)「国際動向との関連で研究部会の研究会取り組み(中間総括)」(古沢広祐・國學院大學)、討論者(池上甲一・近畿大学)とともに、SSEの現状と今後について議論した。

      ここでは、プレ企画内容について中心的に紹介したい。 「SSEの役割と可能性を議論」公開イベント概要が、ILO駐日事務所ニュース記事(2023/01/04)でよくまとまっているので以下紹介する。

      ・・・・「社会的連帯経済(SSE)と国際労働機関(ILO)の最近の動き」が12月2日にあり、ILO企業局プログラム・マネジャーのシメル・エシムが基調報告を行いました。学界や協同組合・政府の関係者、労働組合などからおよそ100人が参加しました。

      イベントは、貧困、危機、不平等などの世界的な課題に取り組む手段として、SSEが世界で注目を集める中、日本でさらにSSEを認知してもらい、その可能性を話し合うために開催されました。

      基調報告に立ったエシムは、2022年6月の第110回ILO総会で採択されたディーセント・ワークとSSEに関する決議 を紹介しつつ、アジア太平洋地域にはSSEに関する法的枠組みがほとんどないものの、SSEの価値や原則は各地域の文化に根差していると指摘。コミュニティー型の自助グループや協同組合、アソシエーション、相互扶助組織など同地域のSSEに触れつつ、過去20年間にインド、インドネシア、日本、タイ、韓国などで発展してきた社会的企業の役割についても強調しました。  

      連合の西野ゆかり氏は、フリーランスや配達などを単発で請け負う「ギグ・ワーカー」、個人事業主を含む全ての労働者を支援する連合の取り組み「Wor-Q(ワーク)」を紹介。団体生命共済や総合医療共済など共済制度を通じた支援について説明しました。

      ILO駐日代表の高﨑真一は、「SSEが目指す『社会正義の実現』はILOの設立理念に合致する」と話し、駐日事務所の長年の取り組みとして、アフリカの協同組合のリーダーを日本に招へいする研修プログラム を紹介しました。今回のイベントは12月3日、4日に開かれた国際開発学会第33回全国大会の一環で、オンラインと会場参加を組み合わせて開催されました。・・・・

      –ja/

      関連情報

      • –ja/

      (報告:古沢広祐)


      C-14.水産協力におけるブルーエコノミーの有効性

      • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
      • 企画責任者:河野敬子(一般社団法人海外コンサルタンツ協会:ECFA)
      • 司会:本田勝(JICA)
      • 討論者:松丸亮(東洋大学)

      発表者

      • 三国成晃(JICA) 
      • 世古明也(アイ・シー・ネット株式会社)
      • 寺島裕晃(アイ・シー・ネット株式会社) 
      • 馬場治(東京海洋大学)

      実務者からの情報発信強化及び、研究者との交流によるODAの質的改善を目的としたECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し5年目を迎えた。

      三国氏は「ブルーエコノミーとその推進に向けたJICAの戦略」について発表した。JICAでは、グローバルアジェンダの協力方針の一つに水産資源/沿岸生態系、漁村/沿岸コミュニティ及び地場産業のそれぞれの便益を同時に創出するコベネフィット型の協力アプローチである「島嶼国の水産ブルーエコノミー振興」を掲げている。

      これまでのJICA技術協力プロジェクト、パイロット活動、本邦研修などの経験を「ツールボックス」に入れて共有することでより効率的・効果的な支援ができるのではないかとの提案があった。

      世古氏は「バヌアツ国豊かな前浜プロジェクト」について発表した。資源管理方策とコミュニティ支援方策を連動させる連結方策を含めた総合的なアプローチにより、活動のバランスをとることで、住民による自主的な資源管理と経済活動の多様化、それを支援する行政を目指した。

      寺島氏は、「カリブ島嶼国での重要魚介類のナーサリーグラウンド造成と観光サイトとしての利用」について発表した。重要水産物あるロブスターを安価に増殖させ且つ観光資源にも貢献する試行が行われているが、コミュニティ組織強化や安価な人工魚礁の制作、観光業との連携など課題が山積している。

      馬場氏は、日本の取組みとして「水産業普及指導員とその役割」について発表した。指導員制度は、直接漁業現場に出向いて漁業者と対話をすることで現場の課題を行政ルートでくみ上げる役割を担っており、内発的優良事例の発掘と普及に貢献している。開発援助でも、そのような事例を探し出す能力・行政システムとして本制度の移転に意義があるのではないかと紹介した。

      ラウンドテーブルでは、知見共有のための「ツールボックス」等のアイデアや、現地の方にとってのプロジェクト参加のインセンティブ作りや巻き込み方法等コミュニティ開発に関わること、魚礁の設置や漁船が増えることのデメリットといった環境保全に関わること等、幅広いテーマでのディスカッションを行った。

      (報告:河野敬子)


      C-15.JICA国際協力事業における評価の枠組みとプロセスへの着目について

      • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45 1114(オンライン発表)
      • 企画責任者/司会:佐藤真司(国際協力機構)
      • 討論者:伊藤晋(新潟県立大学)

      発表題目と発表者

      1. 「JICA事業評価の概況と最新課題~プロセスの視点を中心に~」
        古田成樹(国際協力機構)
      2. 「新事業マネジメント方式(クラスター事業戦略)の導入及び評価の枠組み検討について」
        丸山真司・山岡麻美(国際協力機構)
      3. 「ザンビア国現職教員研修制度支援を通じたキャパシティ・ディベロップメントにかかるプロセスの分析」
        伊藤治夫(株式会社アイコンズ)・山口恵里佳(国際協力機構)

      本セッションでは、JICA国際協力事業評価における評価の今後の方向性及びあるべき姿に関する議論を深めるため、プロセスへの着目をキーワードに3つのテーマについて5名の報告者からの話題提供を受け、討論者・参加者を交えた議論が行われた。

      冒頭、本ラウンドテーブルの企画者である佐藤より、ラウンドテーブル企画の背景、目的について説明した。最初の発表として、古田成樹氏より、JICA事業評価の昨今の取り組みを俯瞰する報告がなされた。

      特にJICA事業評価基準の改訂(2021年度)に関し、新たに、事業実施中の対応過程等の視点を取り入れるなど、新規・類似案件の計画・実施に向け、より良い教訓の抽出・活用の促進に取り組んでいる状況について概観が共有された。

      つづいて、丸山真司氏、山岡麻美氏より、グローバル・アジェンダ、クラスター事業戦略と呼ばれる目的・目標及び重点取組の設定を通じた包括的な事業マネジメントの最新状況と、当該戦略事業の評価手法の検討にかかる論点が報告された。

      その後、伊藤治夫氏、山口恵里佳氏より、ザンビアにおける現職教員研修制度支援を通じたキャパシティ・ディベロップメントについて、DAC評価項目とは異なる視点で、事業のプロセスを当事者の語りから振り返りながら、今後の類似事業の形成・実施に向けての教訓が報告された。

      報告の後、参加者からJICAにおけるインパクト評価の実施状況やクラスター事業戦略におけるシナリオのモデル化と受益国における開発計画の関係性に関する質問が寄せられ、指定討論者である新潟県立大学の伊藤晋会員からは、プロセスにも焦点を当てた評価をしていきたいとの点は評価できるとしつつ、事業評価に投入できる資源は限定的なため評価の合理化が必要だろうとのコメントがなされるなど活発な議論が展開された。

      (報告:佐藤真司)


      A. 一般口頭発表

      B. 企画セッション

      D. ブックトーク、プレナリーほか

      第33回全国大会を終えて




      第33回全国大会セッション報告(前夜祭、ブックトーク、プレナリーほか)

      P. 前夜祭

      現代アフリカの開発における課題
      ―危機下の市民生活から

      • 2022年12月2日(金曜)18:00 ー 20:00
      • 企画責任者:林 愛美(日本学術振興会/大阪公立大学)
      • 討論者:佐藤 光(明治大学)、山崎 暢子(京都大学・ハーバード大学)、笹岡 雄一(明治大学)、佐久間 寛(明治大学)

      前夜祭の趣旨は以下の通りである。サハラ以南アフリカの多くの地域では、独立を経験してから60年以上が経った。近年、アフリカ社会は民主化やグローバルな資本主義経済化、そして開発プロジェクトの影響を受けて急激な変化を経験してきた。

      また、現在はCOVID-19という世界的な感染症の危機の只中にある。こうした環境の変化や危機において、開発途上であるアフリカ社会では、支援と開発が必要とされている。しかしそのためには、アフリカの人びとがどのような危機に置かれており、どのような支援が必要であるかをまず明らかにする必要がある。したがって本企画では、現代のアフリカにおける開発と市民生活の課題について、それぞれの研究者のフィールドから報告を行った。

      まず第1発表者の佐藤は、COVID-19の危機に際して生活困窮者が増加する中、アフリカ諸国で社会保障制度の強化が急速に進められている状況に着目し、非民主主義国が多いサハラ以南アフリカにおいて社会保障を整備する上での課題についてジンバブエの事例を取り上げ、民主化が進んだ南アフリカと比較しながら考察を行った。

      第2発表者の山崎は、ウガンダの地方都市において交通インフラ整備といった開発事業が労働移動の契機となって地方の都市化を推し進めた一方、地方住民の生活に大きな影響を与えている点を指摘し、現代の地方都市住民の就労上の課題について論じた。

      第3発表者の林は、ケニア西部の村落部において女性器切除という慣習を廃絶しようとする運動が市民社会組織によって展開されているものの、相互扶助的な地域社会においては両者の間でコンフリクトが生じていることを報告した。  

      以上の発表に対して第1コメンテーターの笹岡からは、特に佐藤に対して民主化過程が社会保障制度の形成にどのようにつながっていくのか、また、外部からの財政的支援とはどのようなものかという質問がなされた。一方、外部支援に頼ることは、アフリカの社会保障制度の構築につながることになるのかという指摘も行われた。さらに、3名の発表の接合がうまく見出されていない点が企画の課題として挙げられた。

      第2コメンテーターの佐久間は、本企画においてアフリカが「危機の大陸」として漠然と想像されているが、研究者はそれが誰にとって、どのような危機であるのかをより具体的に明らかにする必要があると指摘した。そうした作業の先にそれぞれの研究の接合が見出される可能性があるとした。各発表に対してはフロアからも多数の質問が寄せられ活発な議論が交わされた。発表者は新たな課題を得ることができ、充実したセッションとなった。

      (報告:林 愛美)


      D. ブックトーク

      • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(リバティタワー1F 1011)
      • 企画責任者・モデレーター(学会誌編集委員会、ブックトーク担当):芦田明美(名古屋大学)、佐藤寛(アジア経済研究所)、道中真紀(日本評論社)

      本ブックトークセッションでは会員による近刊4冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版にいたったきっかけや経緯、苦労等が共有された。討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者はオンライン・対面双方含め30名以上にのぼり、活発な質疑応答となった。

      D-1.月経の人類学―女子生徒の「生理」と開発支援

      • 2022年6月、A5版、304ページ、3,850円
      • 報告者:杉田映理(大阪大学)、新本万里子(広島市立大学)
      • 担当編集者:大道玲子(世界思想社)
      • 討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)

      月経は、いまやグローバルな課題となっている。国際開発の現場では、女子教育の向上、ジェンダー平等、水衛生分野における女性への配慮、女性のリプロダクティブ・ライツ/ヘルスなどの観点から2010年代前半から月経衛生対処が開発支援の対象とされた。

      月経衛生対処(略称MHM)とは、生理用品へのアクセス、生理用品を取り替えやすいトイレや水回り、生理用品の廃棄設備が整備されており、月経に関する「適切な」知識へのアクセスがある状態を指す。一方、月経はそれぞれの文化に深く根差した慣習やタブーが存在する。MHM支援が広がる潮流のなかで、地域に固有の文化的慣習や月経観は、いま揺らいでいる。 

      本書では、第1部で、月経をめぐる国際開発の動向を整理する。第2部では、世界8か国における女子生徒の月経対処について、ローカルな月経対処の文脈と実態を明らかにする。各地で実施したフィールドワークに基づく情報をもとに、月経対処の「今」を同時期にとらえる。第3部では、第2部でとらえた各地の実態を比較検討することで、国際開発による支援を月経対処に及ぼすときに何を検討する必要があるのか、その示唆を抽出する。


      D-2.紛争後の東ティモールの環境管理:平和構築・国際協力におけるコミュニティの役割

      • 2020年2月、A5版、208ページ、4,450円
      • 報告者:宮澤尚里(早稲田大学)
      • 担当編集者:大江道雅(明石書店)
      • 討論者:石塚勝美(共栄大学)

      紛争直後の東ティモールにおける、3年半のフィールド調査に基づく実証的研究の成果である。紛争後の国家が紛争状態に後戻りしない「平和と安定の国造り」を目指すにあたり、紛争後の環境資源問題に取り組むことの重要性を喚起する。そして、紛争後の平和構築プロセスにおける環境管理の具体的政策の検証結果を考察した。


      D-3.Millennial Generation in Bangladesh: Their Life Strategies, Movement, and Identity Politics

      • 2022年3月、A5版、222ページ、USD 21
      • 報告者:南出和余(神戸女学院大学)
      • 担当編集者:Mahrukh Mohiuddin(The University Press Limited, Dhaka, Bangladesh)
      • 討論者:村山真弓(アジア経済研究所)

      1990年代生まれの現在の若者世代は、バングラデシュ人口の最多世代を占め、同国の政治経済社会の大きな変化を経験している。彼らは1971年のバングラデシュ独立から20年後に生まれ、誕生以来、絶えず開発の取り組みの対象となり、国際援助、グローバル経済、イスラーム化などの直接的影響を受けながら育ってきた。さらに、グローバルな文脈では「ミレニアルズ」と呼ばれる世代である。グローバル化の傾向の中で、彼らは移住や職業の変化を通じて、社会を変革する大きな可能性を占めている。

      本書は、現代バングラデシュの、特に都市部の若者の生活戦略、社会運動、アイデンティティ・ポリティクスについて論じる。グローバル化の様相は社会階層ごとにあまりにも多様であるが、どの階層もその影響を受けている。グローバル化時代における同世代の共通性と多様性こそが同世代の特徴であり、本書はそれを詳細に把握する。

      1990年代生まれの若者世代に焦点を当てることは、バングラデシュ研究のみならず、グローカルな環境における「若者と社会」研究に重要な議論をもたらす。またその民族誌的記述は、バングラデシュの若者のダイナミックな実態を理解する上で読者を惹きつけるだろう。


      D-4.国際協力NGOによる持続可能な開発のための教育: SDGsのための社会的実践を通じた学び

      • 2022年7月、B5判、168ページ、1,892円
      • 報告者:三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)
      • 担当編集者:なし(デザインエッグ社)
      • 討論者:小松太郎(上智大学)

      本書は第一に、日本の国際協力NGOは、多様な 国内事業(教育、広報、情報伝達、社会的実践)を通じていかにして持続可能な開発のための教育(ESD)を推進しているのかを明らかにした。一方、NGOはESDを推進する上での人材・資金・専門性の不足といった課題を抱えている。

      そこで本書は第二に、NGOによるESDの課題を克服するための方策は何かを検討した。これらの研究課題に取り組むことで、学術面においてはESD学習論に新たな知見を提供し、政策・実践面ではNGOのESD活動の質的・量的な強化に貢献することを目指した。


      E. プレナリー

      E-1. 「対話型」プレナリーパネル「グローバル危機にどう向き合うか – 国際開発学の役割」

      • 2022年12月4日(日曜)15:00 ー 16:30(オンライン/リバティタワー1F 1011)
      • 挨拶:源由理子(明治大学)
      • プレナリーパネル:佐藤仁(東京大学)、長畑誠(明治大学)、牛久晴香(北海学園大学)、島田剛(明治大学)

      (報告:源由理子)


      E-2. JASID-KAIDEC Session: Prospects for New Approaches to Promote International Development Cooperation

      JASID/KAIDEC共同セッション「国際開発協力を促進する新たなアプローチの展望」

      • 2022年12月4日(日曜)15:00 ー 16:30
      • 北村友人(グローバル連携委員長)

      国際開発学会(JASID)と韓国国際開発協力学会(KAIDEC)は、これまでお互いの学会年次大会において共同セッションを開催したり、毎年韓国の済州で開催される学術フォーラムに参加するなど、積極的に学術交流を深めてきた。

      しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンラインでの交流は継続しつつも、過去2年間にわたり対面での交流を一時中断せざるを得なかった。それが、今年度のJASID秋季大会で、3年ぶりに対面での交流が可能になったことを関係者一同、何よりも嬉しく感じた。

      今回の学会大会では、JASIDとKAIDECの共同セッション「国際開発協力を促進する新たなアプローチの展望(Prospects for New Approaches to Promote International Development Cooperation)」を開催した。なお、このセッションでは英語が使用され、対面とオンラインのハイブリッド形式で実施された。

      まず、KAIDECのSung-gyu Kim会長(高麗大学)による開会の挨拶が行われ、JASIDとKAIDECの間で築き上げられてきた交流の実績を踏まえつつ、先を見通すことが難しい時代において2つの組織が協力し合いながら国際開発協力のあり方を検討していくことの重要性が強調された。

      Kim会長の挨拶に続き、JASIDとKAIDECからそれぞれ新進気鋭の若手研究者たちによる講演が行われた。まず、KAIDECの国際委員会でChairを務めるKyung Ryul Park博士(KAIST)が登壇し、「Digital Transformation and Sustainable Development Cooperation: the Case of Artificial Intelligence」と題した講演を行った。

      この報告では、これからの国際開発協力において「データ」がいままで以上に重要な役割を果たすと共に、そうした「データ」を分析し、その結果を実践に反映させるうえで、人口知能をはじめとする多様な技術の活用が不可欠であることが指摘された。とりわけ、国際機関によるデータ収集の現状や、国際開発協力の現場におけるデータ活用の具体例など、興味深い事例がいくつも紹介された。

      続いて、JASIDからはグローバル連携委員の荻巣崇世会員(上智大学)が「Education and Sustainable Development Cooperation: Japanese experiences」と題した講演を行った。

      まず、日本の若者たちが国際開発協力をどのように認識しているのかについての分析を踏まえたうえで、とくに教育開発分野を例として日本の国際開発協力がいかに現地との多様なアクターたちとのパートナーシップを大切にしているかが指摘された。

      そのうえで、若者たちの視点を取り入れつつ、国際開発協力における「Global Knowledge Commons」を構築していくことの重要性が強調された。

      これらの講演に続き、聴衆との間で活発な質疑応答のやりとりがなされた。そして、今後も、JASIDとKAIDECの間で学術交流を深めていくなかで、これからの国際開発協力のあり方についてアジアからいままで以上に積極的な発信を行っていくことが大切であることが確認された。

      (報告:北村友人)


      F. 第33回会員総会

      • 2022年12月4日(日曜)16:40 ー 18:10(リバティホール1F)

      ※会員総会のページを参照(要パスワード)


      G. ポスター発表

      • 李 鋒(中央大学大学院)
        「中国における地域の教育格差:ジニ係数の分解分析」
      • 小林 匠(神戸大学)
        「ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響:ブシェニ県とワキソ県の事例から」
      • 宇野 耕平(神戸大学)
        「バングラデシュにおける需要側に着目した就学前教育へのアクセスの分析」
      • 石井 あゆ美(青山学院大学)
        「日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—」
      • 石井 雄大(神戸大学大学院)
        「セネガル初等教育における学習達成に対する自律的学校運営の影響分析」
      • DAAS Yousuf(Kobe University)
        ”The Influence of Mothers’ Education, Childs Labour and Family Income on Expected Education Attainment in Bangladesh”
      • Danilo LEITE DALMON(Kobe University)
        “Factors Influencing the Effectiveness of Municipal Governments in Primary Education Student Achievement in Brazil”
      • 内山 かおり(神戸大学)
        「就学前教育とウガンダ初等教育における学習達成度の関係」
      • 枝元 美帆(立命館大学院)
        「自然災害に対する防災意識を維持する要因 ―滋賀県の意識調査を事例としてー」

      A. 一般口頭発表

      B. 企画セッション

      C. ラウンドテーブル

      第33回全国大会を終えて




      総務委員会からのお知らせ(2023年2月)

      12月4日の第33回会員総会で下表の 2022 年度(2021年10月1日から2022年9月30日)決算報告および2023年度(2022年10月1日から2023年9月30日)予算案が承認されました。以下、決算と予算について説明します。

      1.2022 年度決算(表1)

      表1:決算FY2022

      (1) 収支

      収入に関し、会費収入は予算額より少なかった一方、事業収益とその他収益は予算額を上回りました。会費収入では、正会員および学生会員の支払いが予算額より少なくなりました。正会員で2022年度会費を支払っていない方がいることも挙げられますが、2022年度から70歳以上の会員の減額措置、あるいは4月以降に入会承認された会員については減額措置を導入したことによって、正会員の会費が減少したと考えられます。また、学生会員の多くは会費を支払っていますが、新型コロナウイルスによる影響を受けた学生会員に対して免除措置を取ったため、予算額よりも少ない決算になりました。事業収益に関しては、ある大学が学会誌をまとめて購入したことが要因です。その他収益のうち、研究部会の返金、金沢大学の第32回全国大会の余剰金が全額学会に振り込まれたなどによって、大きく増額することになりました。

      つぎに、支出に関しては、2020、2021年度同様、新型コロナウイルスの影響で一部事業系委員会活動、管理系委員会・本部事務局の活動ともオンラインでの開催がほとんどになったこともあり、事業系委員会では当初予算より約350万円減、管理系委員会・本部事務局では約90万円減の決算となりました。一方、予備費では、第33回全国大会での報告申込および大会参加申し込みのシステム(Confit)の導入と第23回春季大会で赤字決算となりましたので、それを補填するために支出をしました。それらを踏まえても、当初予算より657万円減の1586万円余りの支出となりました。各委員会・本部事務局ごとの支出については、表2をご覧ください。

      表2:財務諸表の注記

      (2) 貸借対照表

      表3:貸借対照表

      一昨年度、昨年度に続き、貸借対照表を作成しました(表3)。 2021年度と比較できるようになっています。まず、資産のうち、未収金のうち学会費に関するものは9月に会員サイトからクレジットカード、あるいは銀行振り込みで支払われた場合、実際に学会の口座に入金されるのが翌年度になるためであり、前年度より大きく増加しています。研究部会については、2022年度を終了したにもかかわらず、9月30日までに返金をしなかった研究部会はなかったので、2022年度の未収金はゼロとなりました。なお、3年間会費未納で退会となる方が少なからずありますが、実質的に退会届を出さずに退会する方たちであり、予算上もそのような方の会費は収入に計上していないため、それらの方からの会費は未収金に入れていません。会費の未収金は、いずれも2022年10月31日に確実に入金するものであり、回収できないリスクのあるようなものではないので、財政上問題ありません。

      つぎに、負債のうち未払金は、9 月の会費支払いの手数料支払いが 10 月に行われることによるものです。2021年度は学会誌の支払いがあったため計上していますが、今回はそのような事態になりませんでしたので、大きく減少することになりました。また、預り金は、新年度の会費を前年度中に支払う会員があるために生じているものです。以上により、負債に関しても、財政上問題のあるものではありません。

      貸借対照表全体を通じて、資産では2021年度と比べて前年度より85万円減少することになりました。しかし、負債は前年よりも238万円減少しています。また、繰越金合計は前年度より約150万円が前年度より増加しました。

      (3) 監査役意見

      石田洋子・西野桂子両監査役に対する説明を2022年10月24日午前10時から11時30分までオンラインで行ないました。両監査役からは事業及び会計が適切に行なわれた旨の報告を受けております。監査報告書(別紙)。

      2.2023年度予算(表4)

      表4:予算FY2023

      (1)収入

      2023年度会費収入については、定款細則の変更により、恒常的な減額制度が導入されました。事前申請の上で承認された場合には常勤職を持たない正会員に対しては半額減額、学生会員は2000円となりました。2021年度から実施している70歳以上の会費半額、4月以降の入会者に対する半額減額措置を踏まえ、会費収入は2022年度決算とほぼ同じ金額としました。

      事業収益およびその他収益のうち受取利息は前年度予算と同額としました。受取利息以外のその他収益については何らかの収益を予定していません。それらを踏まえて、2023年度収入は昨年度決算より約7%減の1361万円余としました。前期繰越金2583万円弱を合わせ、収入合計は3944万円余となりました。

      (2)支出

      支出のうち、事業系委員会の部分については、1286万円を計上しました。そのうち、支部・研究部会については、上限20万円として助成金を渡します(5支部・8研究部会)。大会助成金について、第24回春季大会は秋田の国際教養大学で開催され、交通費などで多くの経費が掛かることが予想されるため、助成金を100万円に増額しています。

      また、学会誌は今年度から3号発行となりましたが、そのうち英文特集号の編集・印刷費は科研費から支出されます。ただし、会員への発送経費の支出が認められていないため、学会から支出することとします。それ以外の委員会では、研究×実践委員会は委員会設置後から新型コロナウイルスの影響でフィールドワークに出ることができませんでした。今年度はフィールドができると考えられるので、手厚い予算措置を実施しました。

      管理系委員会・本部事務局では663万4000円を計上しています。今年度は第12期1号理事候補者選挙が行われます。それに関する経費の計上、会員管理システム、大会管理システムに関する経費が業務委託費に計上しています。それ以外には、人件費は広報委員会や本部事務局の作業によるものです。通信費は新入会員への学会誌送付等を想定しています。会議費・旅費交通費は、対面での会議が再開することを想定して前年度決算よりも多く計上しています。手数料・その他雑費については振込手数料や会費システムの使用料を計上しています。なお、予備費については昨年度同様、300万円を計上しています。

      各委員会の項目ごとの支出予定額については表5をご覧ください。昨年度までの会計では、事業系委員会の会計を事業本体経費と委員会経費と別建てとしていましたが、どちらの項目かであいまいになることもあったので、統一化しました。

      表5:財務諸表の注記(予算)

      以上を踏まえ、支出全体は2242万円余りとなりました。予備費を除くと1949万円余りとなり、昨年度予算とほぼ同額、決算より約400万円増加しております。学会活動を充実させつつも、効率的な支出を考慮しながら運営できるように各委員会をサポートする所存です。

      総務委員会
      委員長:池上寛(ジェトロ・アジア経済研究所)




      【会員限定】常任理事会議事録(第231・232回)

      第231回常任理事会

      • 日時:2022年11月3日(木曜)10時~14時
      • 方法:対面とZoom(オンライン)のハイブリッド
      • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、小林、島田、松本、北村、川口、佐野、志賀、杉田、三重野(以上、常任理事)

      議題

      (1) 審議事項

      1.支部・研究部会助成額の決定について

      池上総務委員長より、2023年度の支部・研究部会の助成額について報告があり、承認された。

      2.定款および定款細則の改正について

      志賀事務局長より、会員制度の変更等に伴う定款および定款細則の改正案が提案され、承認された。

      3.第12期1号理事選挙について

      杉田選挙管理委員長より、第12期1号理事選挙を2023年5月9日から23日の期間に実施するとの提案があり、承認された。また、選挙規程の改正案が提案され、承認された。

      4.2022年度学会賞について

      三重野賞選考委員長より、2022年度学会賞に13 作品の応募があったこと、審議の結果、 学会賞本賞に牛久晴香会員の『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂)、奨励賞に阿部和美会員の『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店)、賞選考委員会特別賞に佐藤峰会員、佐柳信男会員、柳原透会員共著のEmpowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration (Palgrave Macmillan)が選出されたこと、論文部門については該当なしとの結果であったことが報告され、承認された。


      (2) 報告事項

      1. 第33回全国大会

      島田大会実行委員長より、第33回全国大会のプログラム案と準備状況について報告がなされ、承認された。

      2. 入会・退会者の報告と会員数の動向

      志賀事務局長より、新規入会希望者・退会者の報告(新規入会希望者13名、退会者3名)ならびに会員数の動向について報告があった。

      3. 翻訳書の応募者への対応について

      三重野賞選考委員長より、翻訳書をもって学会賞への応募があった場合の対応や、論文賞の今後のあり方についての検討状況が報告された。

      4. ポスター賞選考の準備状況について

      三重野賞選考委員長より、ポスター賞選考の準備状況について報告された。


      第232回常任理事会

      • 日時:2022年11月26日(土曜)10時~11時30分
      • 方法:Zoom(オンライン)による開催
      • 出席者:佐藤(会長)、高田、山田(副会長)、池上、川口、小林、佐野、志賀、島田、杉田、松本(常任理事)

      議題

      (1)審議事項

      1.2022年度活動報告および監査役報告について

      各委員長より2022年度の活動について報告された。また、志賀事務局長および池上総務委員長より、2022年度監査については特段の問題点を指摘されることなく終了した旨が報告された。

      2.  2023 年度活動計画および予算案について

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      3.入退会承認について

      志賀事務局長より、30名の新規入会希望者(正会員8名、学生会員22名)について提案がなされ、承認された。また、1名が退会したことが報告された。

      4.第115回理事会議事および第33回会員総会の議事について

      志賀事務局長より、第115回理事会の議事案および第33回会員総会の議事案について説明がなされ、承認された。




      【会員限定】理事会議事録(第114・115・116回)

      第114回理事会

      • 日時:2022年10月28日(金曜)~29日(土曜)
      • 方法:メールによる開催

      (1)審議事項

      3年間会費未納を理由とする退会処分対象者について:志賀事務局長より、3年間会費未納を理由とする退会処分対象者17名について提案があり、承認された。


      第115回理事会

      • 日時:2022年11月26日(土曜)13時30分~16時30分
      • 方法: Zoom(オンライン)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、佐野、志賀、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)池見、市橋、伊東、大橋、岡部、小川、小國、萱島、澤村、高橋、鍋島、西川、藤掛、藤山、道中、山形(以上、理事)、石田、西野(以上、監査役)、梅村(支部長)

      (1)審議事項

      1.2022年度学会賞について

      三重野賞選考委員長より、2022年度学会賞に13 作品の応募があったこと、審議の結果、 学会賞本賞に牛久晴香会員の『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂)、奨励賞に阿部和美会員の『混迷するインドネシア・パプア分離独立運動―「平和の地」を求める戦いの行方』(明石書店)、賞選考委員会特別賞に佐藤峰会員、佐柳信男会員、柳原透会員共著のEmpowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Exploration (Palgrave Macmillan)が選出されたこと、論文部門については該当なしとの結果であったことが報告され、承認された。

      2.2022年度活動報告、決算および監査役報告

      各委員長より2022年度の活動について報告された。また、志賀事務局長および池上総務委員長より、2022年度監査については特段の問題点を指摘されることなく終了した旨が報告された。

      3.  2023 年度活動計画および予算案について

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      4.2023年度の支部・研究部会への助成額について

      池上総務委員長より、2023年度の支部・研究部会の助成額について報告があり、承認された。

      5.2023年度活動計画案および予算案

      各委員会から2023年度活動計画および予算案について説明がなされ、承認された。

      6.定款および定款細則の改正について

      志賀事務局長より、会員制度の変更等に伴う定款および定款細則の改正案が提案され、承認された。

      7.第33回会員総会の議事について

      志賀事務局長より、第33回会員総会の議事案について説明がなされ、承認された。

      8.第12期1号理事候補者選挙および選挙規程の改正について

      杉田選挙管理委員長より、2023年5月9日から23日の期間に第12期1号理事選挙を実施するとの提案があり、承認された。また、選挙規程の改正案が提案され、承認された。


      (2)報告事項

      1.第33回全国大会の準備状況

      島田大会実行委員長より、第33回全国大会のプログラム案と準備状況について報告がなされ、承認された。

      2.入会者・退会者について

      志賀事務局長より、30名の新規入会希望者(正会員8名、学生会員22名)および、1名の退会者が報告された。

      3.第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞対象作について報告があった。

      その他

      1.合理的配慮について

      障害を有する会員に対する合理的配慮のあり方について議論が行われた。


      第116回理事会

      • 日時:2022年11月4日(日曜)11時45分~12時30分
      • 方法:対面(明治大学 リバティタワー11階 1116教室)による開催
      • 出席者(敬称略):佐藤仁(会長)、高田、山田(以上、副会長)、池上、川口、北村、小林、佐野、島田、杉田、松本、三重野(以上、常任理事)、志賀(事務局長)、池見、伊東、大橋、岡島、岡部、小川、小國、萱島、黒田、佐藤寛、高橋、西川、藤掛、道中(以上、理事)、工藤(第24回春季大会実行委員長)、秋保(本部事務局次長)

      冒頭に、島田剛・第33回全国大会実行委員長および工藤尚悟・第24回春季大会実行委員長の挨拶が行われた。

      (1)審議事項

      1.優秀ポスター発表賞の受賞作について

      三重野賞選考委員長より、第33回全国大会優秀ポスター発表賞受賞作について報告があり、承認された。




      京滋支部(2023年2月)

      2023年度活動予定

      京滋支部では、今年度から斎藤文彦会員(龍谷大学)が副支部長に就任しました。支部長は渡邉が引き続き担当し、以下の活動を計画しています。

      まず研究報告会を春、秋(それぞれ4月、9月を念頭)に開催することを予定しています。若手研究者に発表と交流の機会を提供し、全国大会の報告に繋がることを企図しています。

      また夏には、生産現場見学会を実現したいと考えています。京都・滋賀地区には様々な形態、規模の工場、工房などが立地しています。留学生を含む学生会員などがこれらの生産活動の現場を視察することで、途上国のものつくりに対する含意を得ることを期待しています。

      京滋支部
      支部長:黒川清人(立命館大学)