『SDGs を問い直す』研究部会(2024年2月)

SDGs を問い直す

Sustainability Development Goals, Re-examined

メンバー

代表

大門(佐藤)毅(早稲田大学)

副代表

野田真里(茨城大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッションおよび研究会(日本語/英語)等

2年目(2024年10月~2025年9月)

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッション(日本語/英語)および研究会等

3年目(2025年10月~2026年9月)

春季大会(日本語)、全国大会(英語)でのセッション開催および研究会(日本語/英語)等、国際ジャーナル(英語)での特集企画や出版等


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目

春季大会、全国大会でのセッション開催等

2年目

春季大会、全国大会でのセッション開催等

3年目

春季大会、全国大会でのセッション開催、および英文による学会誌での特集企画や出版等


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

ダイバーシティ推進にかんがみ、英語による研究部会活動を促進し、外国人会員の参加や若手研究者とくに女性会員の国際的な活躍を推進する。賛同に女性会員が多数おり、外国人会員や若手会員にも参加いただいている。各年次の大会等で開催するセッション等の半分は英語とし、学会誌での特集企画や出版等も英語で企画する。


『SDGs を問い直す』研究部会
代表:大門(佐藤)毅(早稲田大学)




『移住と開発』研究部会(2024年2月)

移住と開発

Migration and Development

メンバー

代表

加藤 丈太郎(武庫川女子大学)

副代表

  • 生方 史数(岡山大学)
  • 二階堂裕子(ノートルダム清心女子大学)

活動開始から活動終了までの予定

1年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

  • 全国大会「ラウンドテーブル」 外国人技能実習制度を通じた技能移転をめぐる課題と可能性:ベトナムにおける社会的ニーズと技能実習生の生活戦略
  • 第1回研究会 日本への移住経験は発展途上国社会にどのような影響を及ぼす(した)のか
  • 第2回研究会 中国から日本への労働移動の教訓を探る

2年目(2024年10月~2025年9月)

  • 第3回研究会 Migration and Development Studiesにおける分析枠組みの検討(1)
  • 第4回研究会 Migration and Development Studiesにおける分析枠組みの検討(2)
  • 第5回研究会 理論と実証データをどのように結びつけるか
  • 春季大会and/or全国大会での発表 Migration and Development Studiesにおける分析枠組みを活かした報告とする

3年目(2025年10月~2026年9月)

  • 第6回研究会 特集企画・政策提言に向けて(1)
  • 第7回研究会 特集企画・政策提言に向けて(2)
  • 第8回研究会 特集企画・政策提言報告会

成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<今年度>

全国大会においてラウンドテーブルを出す

2年目

春季大会もしくは全国大会で部会メンバーによる発表を行う

3年目

学会誌での特集を企画する、政策提言集をまとめる


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

賛同者の半数が女性会員である。外国人会員のうち非日本語話者でも参加できるよう研究会の一部は英語で行うことも検討する。若手正会員に研究会やラウンドテーブルに積極的に参加してもらう。


『移住と開発』研究部会
代表:加藤 丈太郎(武庫川女子大学)




『国際教育開発における実務と研究の架橋』研究部会(2024年2月)

国際教育開発における実務と研究の架橋

Bridging Theory and Practice in Educational Development

メンバー

代表

荻巣 崇世(上智大学)

副代表

橋本憲幸(山梨県立大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

  • 2022年度から実施してきた勉強会の成果を、全国大会のラウンドテーブルにて発表する。(若手の実務者と研究者による合同セッション)
  • 3ヶ月に一回程度、実務者と研究者による勉強会を開催する(対面とオンライン併用)。2〜3個の研究テーマを決め、小グループに分かれて研究を進める(文献レビューを中心に行う)。
  • 2024年の国際教育協力Weekにてセッションを持ち、小グループでの研究成果を発表・発信する。

2年目(2024年10月~2025年9月)

  • 小グループでの研究成果をまとめ、全国大会のラウンドテーブルにて発表する。(若手の実務者と研究者による合同セッション)
  • 3ヶ月に一回程度、実務者と研究者による勉強会を開催する(対面とオンライン併用)。小グループに分かれて研究を進める(インタビューや質問紙調査など、データ収集を行う)。
  • 2025年の国際教育協力Weekにてセッションを持ち、小グループでの研究成果を発表・発信する。

3年目(2025年10月~2026年9月)

  • 小グループでの研究成果をまとめ、全国大会のラウンドテーブルにて発表する。(若手の実務者と研究者による合同セッション)
  • 3ヶ月に一回程度、実務者と研究者による勉強会を開催する(対面とオンライン併用)。小グループに分かれて研究を進める(データの分析および書籍用原稿の執筆を行う)。
  • 2025年の国際教育協力Weekにてセッションを持ち、小グループでの研究成果を発表・発信する。

成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<今年度>

国際開発学会全国大会でのラウンドテーブル実施、国際教育協力Weekでの発表

2年目

国際開発学会全国大会でのラウンドテーブル実施、国際教育協力Weekでの発表

3年目

国際開発学会全国大会でのラウンドテーブル実施、国際教育協力Weekでの発表、書籍の刊行


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究部会は、若手の研究者および実務者を中心として活動を行うものであり、若手正会員のネットワーク構築と発表機会の提供に資するものである。特に若手研究者にとっては、実務者と出会う機会がそもそも限られているため、本研究部会が出会いと対話の場となることには大きな意義がある。

一方、若手実務者にとっては、学会発表は一人では挑戦し難いものであるため、研究者とともに共同発表や共著論文の執筆等に従事することは心理的負担を減らし得るうえ、実務により得られた知見をアカデミックな議論の俎上に載せて蓄積していくことも可能になり、両者に利する形で相互理解を深めることができると考える。

女性会員の活動推奨に関しても、代表自身も含めて妊娠・出産・育児期にある若手正会員の立場からは、個人での研究活動が著しく制限される時期だからこそ、共同での研究や成果発表の機会と場を用意することの意義を強調したい。本研究部会は、実務者・研究者に関わらず一人ひとりの人間として顔の見える関係を築くことが目的の一つでもあるため、性別を問わず、育児期にある会員が互いに支え合いながら活動を進めていく。


『国際教育開発における実務と研究の架橋』研究部会
代表:荻巣 崇世(上智大学)




『社会的連帯経済』研究部会(2024年2月)

社会的連帯経済

Social Solidarity Economy

メンバー

代表

古沢広祐(國學院大學)

副代表

楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2021年10月から2022年年9月)

準備・実行体制をととのえて、2022年3月より活動開始、3月9日スタート記念イベント後、6回の公開研究会を行った。

  • 第1回4月23日(土曜)連帯経済は地方経済活性化を後押しできるのか
  • 第2回5月28日(土曜)地域通貨によるコミュニティづくり
  • 第3回6月25日(土曜)信用金庫と地域経済
  • 第4回7月23日(土曜)ワーカーズコープと活力ある地域社会の実現
  • 第5回 8月27日(土曜)農福連携による地域の活性化
  • 第6回 9月24日(土曜)「よそ者」と社会的企業

詳細は以下に掲載:

2年目(2022年10月から 2023年9月)

第7回 10月22日(土曜)生産者と消費者の連帯

全国大会プレイベント 「社会的連帯経済(SSE)と国連・ILOの最新の動き」12月2日開催(会員・一般)
日時:2022年12月2日(金曜)18:00〜19:30
会場:御茶ノ水・連合会館(72名収容教室)+ZOOMオンライン
対象:国際開発学会会員および一般参加(公開)

学会大会、企画セッション:12月4日(日曜)12:45〜14:45(学会NLにて報告概要を掲載)
ラウンドテーブル「社会的連帯経済(SSE)の国際動向と日本の動き」
(プログラム)
1)社会的連帯経済とILOの動き(12/2動画記録:シメル・エシム/ ILO協同組合ユニット長)
コメント・質疑応答(高﨑真一/ ILO駐日代表)
2)社会的連帯経済の国内動向(伊丹謙太郎/ 法政大学)
3)研究部会の研究会取り組みー中間総括(古沢広祐/ 國學院大學)
4)コメント(池上甲一/ 近畿大学)

第8回、オンライン公開研究会:テーマ・社会的連帯経済(SSE)の現状と可能性
~最近の国際動向とヘルスセクターにおける主流化の視点から

開催日時:2023年5月19日(金曜)16:00~18:00、zoomオンライン開催

第9回公開研究会、GSEF社会的連帯経済大会(セネガル・ダカール開催)の参加報告など~インフォーマル経済から持続可能な助け合いの地域経済への移行~

2023年6月24日(土曜)13:30~15:30、
開催方法:Zoomとハイブリッド方式で試み、RC研究会との共催にて開催
開催場所:國學院大學渋谷キャンパス 若木タワー5F 509教室

3年目(2023年10月から2024年9月)←今年度

  • 引き続き、公開研究会を開催していく。
  • 関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流を深めていく。
  • 研究成果を学会大会にて企画セッションとして計画したい。

成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<終了>

公開研究会として開催した。

2年目<終了>

2022年12月研究大会にて、プレ企画として国際会合(ILO、連合の協力)を連合会館にて開催するとともに、研究大会では企画セッション(ラウンドテーブル)を開催した。

3年目<今年度>

関連する取り組みを行っている内外の他団体、他組織との連携や交流によって、社会的連帯経済の新潮流を学会内とともに学会外へも発信していく予定。

できれば研究成果を、書籍等として刊行をめざしたい。


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

これまで開催してきた公開研究会では、女性会員や若手研究者の参加が増えてきており、引き続き関心を持ってもらえるようにテーマや内容について配慮していく。

外国人会員については、賛同者の協力などによって働きかけをしていきたい。

社会的連帯経済(SSE)は、国際的な関心の高まりを受けて国内でも動きが活発化してきている。本研究部会では、内外の関係団体との連携や協力を重視して活動してきた積み上げによって、女性会員、外国人会員、若手研究者の関心や奨励に寄与していくことが期待できると考える。

連携・協力としては、当初からソリダリダード・ジャパンや法政大学大学院・連帯社会インスティテュートなど関係団体との関係を強化してきた。国内では、ほかに協同総合研究所、生協総合研究所、協同組合連携機構、日本協同組合学会などとの交流があり、国際的には国連の動きとりわけILOやUNRISDなどとの協力などによる展開もできつつあるので、今後に期待して頂きたい。


『社会的連帯経済』研究部会
代表:古沢広佑(JACSES代表理事、國學院大學客員教授)
副代表:楊殿閣(ソリダリダード・ジャパン)




『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2023年11月)

アフリカ・アジアにおけるものづくり

Study Group on Manufacturing in Africa and Asia

メンバー

代表

高橋基樹(京都大学)

副代表

井手上和代(明治学院大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2021年10月~2022年9月)<終了>

初年度は2022年3月、5月、8月の計3回の研究部会を開催した。概要は以下の通り。

研究部会

2022年3月11日(金曜)9:30~15:30
  • 「南アフリカにおける『ものづくり』とカイゼンを促進する要素」神公明(JICA緒方貞子平和開発研究所専任参事)
  • 「東南アジア洋上の船舶労働: 言語能力・入職経路・労働環境」町北朋洋(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)(有本寛、坪田建明との共同研究)
  • 「アフリカにおける社会的遺児のキャリア形成と職業訓練」朴聖恩(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「COVID-19がインフォーマルなものづくり事業者に与えた経済的影響-ケニアの首都ナイロビに注目して-」松本愛果(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「ウガンダ都市インフォーマル金属加工業における知識の構成 -ものと人の関係に着目して-」山崎裕次郎(名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程)
2022年5月28日(土曜)15:00~17:30
  • 「ガーナのボルガバスケット産業におけるかご編み技術の共有とその広がり―産地内の地域分化に着目して」 牛久晴香(北海学園大学経済学部地域経済学科准教授)
  • 「BOPビジネスの実現に向けたField-based approachの実践」黒川基裕(高崎経済大学地域政策学部地域政策学科教授)
2022年8月6日(土曜)15:00~17:30
  • 「沖縄県の焼物業界における職人・見習いの日常と実践: セネガルのグラフィティ集団を射程に入れて」前田夢子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「激動する4つの潮流:ポストコロナ時代の産業開発支援とものづくり」本間 徹(国際協力機構国際協力専門員)

2年目(2022年10月~2023年9月)<終了>

2年目は4回の研究部会に加えて、全国大会でのセッション開催を企画・実施した。概要は以下の通りである。また、ものづくりに関する知見を深めるため、研究部会のメンバーとともに東大阪市役所、三和鋲螺製作所へ訪問し、担当者への聞き取りと工場見学を行った。

研究部会

2022年10月22日(土曜)15:00~17:30
  • 「モザンビーク都市部における小規模金属加工業の動態:南部マトラ市の金属建具製造に着目して」畔柳理(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
  • 「鉄鋼産業の技術移転研究:韓国ポスコの技術導入からインドネシア移転まで」辺成祐(近畿大学経営学部准教授)
2023年3月18日(土曜)15:00~17:30
  • 「デジタル・グローバル時代の人材育成:アジア・アフリカの現場から考える」栗田匡相(関西学院大学経済学部教授)
  • 「ケニア西部グシイ地方におけるソープストーン彫刻産業の現状」板久梓織(東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程)
2023年4月22日(土曜)15:00~17:30
  • 「ケニアにおける小規模農家のアグリプラットフォーム利用状況の検討」井上直美 会員(東京外国語大学大学院博士後期課程、アジ研連携研究員)
  • 「ナイロビの都市インフォーマルセクターにおけるオンライン・マーケティングの利用」福西隆弘 会員(アジア経済研究所 開発研究センター/開発スクール)

2023年6月24日(土曜)15:00~17:30

  • 「南アフリカに進出した中国系製造業企業における人事管理の現状」シ ゲンギン(立教大学異文化コミュニケーション学部助教)
  • 「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」尾崎隼人 (江崎グリコ株式会社)

企画セッション

  • 日時:2022年12月4日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 会場: 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー 9F 1093
  • 題目:包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から
企画の背景:

アフリカにおける製造業・ものづくりについては、少数の大企業と大多数の小規模零細企業からなる二重構造、また、政府と小規模零細企業の断絶などが議論されてきた。しかし、これらの議論では把握できない状況も指摘されており、ものづくりの現場に立ち返り、担い手の課題や営為の詳細を理解しておく必要がある。本セッションでは、実証調査に基づく研究成果を報告し、既往の議論の問い直しを図る。

報告者:
  1. 高橋基樹(京都大学)「アフリカにおける製造業の「失われた中間」を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から」
  2. 井手上和代(明治学院大学)「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達―企業者的能力に着目して」
  3. 松原加奈(東京理科大学)「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響」
  4. 日下部美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して」

3年目(2023年10月~2024年9月)←今年度

定例研究部会を継続して実施する。

直近のところでは、11月にインドにおけるものづくりの研究者(川中薫/国際ファッション専門職大学、久保田和之/神戸大学経済経営研究所)を招き、「インド編」として研究部会を開催することを検討している。

これに加えて、3年目は部会の最終年度にあたるため、これまでの事例報告等に基づき、論文・書籍刊行の作業を進めていく。


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

3年目<今年度>

各研究部会の公開、HPでの発信および、研究部会や企画セッション報告に関わる論文の雑誌掲載とまとめての書籍刊行を目指す。


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究は、特に大学院生や若手研究者の活動を奨励するために、成熟した研究・分析の結果のみならず、今後さらに発展させようとする計画段階の研究の発表も呼びかけている。

これにより、大学院生や若手研究者を含めた幅広い研究者間の交流に繋がっている。また女性の研究者の報告を積極的に募っており、これまでの期間中、約半数の報告者は女性である(予定も含む)。

また、開催形式をハイブリッド形式で実施することで、対面形式では参加が難しかった育児中や遠方からの出席者、海外赴任中の研究者等にも幅広く参加を呼び掛けることができた。

今後も研究部会を定期的に開催し、学会の内外で、ものづくり研究のすそ野の広がりに繋げていきたい。


『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会(2023年11月)

2023年度活動報告

活動2年目にあたる2023年度は、計4回の研究部会に加え、全国大会でのセッション開催を企画・実施しました。以下に、活動の詳細をご報告いたします。

毎回の研究部会を通じてアフリカ・アジアにおけるものづくりの多様性を再確認するとともに、両地域間の共通性や差異性を知ることが出来ました。

参加者は大学院生や若手研究者を含む大学に所属する研究者のほか、開発機関や民間企業の実務者など幅広く、毎回20名を超える参加者がありました。

また、今年度は、研究会を通じて得られた繋がりを活かして、日本を代表するものづくりのまちとして知られる東大阪市を一部の会員とともに訪問し(市役所のモノづくり支援室/三和鋲螺製作所)、ものづくりに関する知見を深めました。

以上の取り組みを通じて、研究者間の交流に繋がるとともに、ものづくり研究のすそ野が着実に広がってることを実感しています。

第4回研究会

  • 開催日時:2022年10月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「モザンビーク都市部における小規模金属加工業の動態:南部マトラ市の金属建具製造に着目して(仮)」
畔柳理(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程、オンライン参加)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「鉄鋼産業の技術移転研究:韓国ポスコの技術導入からインドネシア移転まで」
辺成祐(近畿大学経営学部准教授)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第5回研究会

  • 開催日時:2023年3月18日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05 
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10 
自己紹介

15:10-16:10
「デジタル・グローバル時代の人材育成:アジア・アフリカの現場から考える」
栗田匡相 会員(関西学院大学経済学部教授)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ケニア西部グシイ地方におけるソープストーン彫刻産業の現状」
板久梓織(東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第6回研究会

  • 開催日時:2023年4月22日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「ケニアにおける小規模農家のアグリプラットフォーム利用状況の検討」
井上直美 会員(東京外国語大学大学院博士後期課程、アジ研連携研究員)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ナイロビの都市インフォーマルセクターにおけるオンライン・マーケティングの利用」
福西隆弘 会員(アジア経済研究所 開発研究センター/開発スクール)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

第7回研究会 (共催:京滋支部)

  • 開催日時:2023年6月24日(土曜)15:00~17:30
  • 実施方法・場所:Zoomとオンサイト(対面)のハイブリッド

プログラム

15:00-15:05
開会
高橋基樹(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

15:05-15:10
自己紹介

15:10-16:10
「南アフリカに進出した中国系製造業企業における人事管理の現状(仮)」
シ ゲンギン(立教大学異文化コミュニケーション学部助教)

16:10-16:20
休憩

16:20-17:20
「ガーナにおけるブラックソープの製法とオペレーション改善」
尾崎隼人(江崎グリコ株式会社)

17:20-17:30
閉会、次回の予定

国際開発学会第33回全国大会企画セッション
「包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から」

  • 開催日時:2022年12月4日(日曜) 12:45 〜 14:45
  • 場所:明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー 9F 1093

企画の背景:

アフリカにおける製造業・ものづくりについては、少数の大企業と大多数の小規模零細企業からなる二重構造、また、政府と小規模零細企業の断絶などが議論されてきた。

しかし、これらの議論では把握できない状況も指摘されており、ものづくりの現場に立ち返り、担い手の課題や営為の詳細を理解しておく必要がある。本セッションでは、実証調査に基づく研究成果を報告し、既往の議論の問い直しを図る。

報告者

  1. 高橋基樹(京都大学)
    「アフリカにおける製造業の「失われた中間」を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から」
  2. 井手上和代(明治学院大学)
    「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達―企業者的能力に着目して」
  3. 松原加奈(東京理科大学)
    「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響」
  4. 日下部美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して」

座長報告:高橋基樹(京都大学)

本セッションには、対面で11名、オンラインで11名の参加があった。本セッションは、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」研究部会の活動を踏まえ、その成果を学会に還元することを念頭に置いて企画したものである。

アフリカ諸国が21世紀初頭からの高度成長を経てかえって強まった資源・一次産品への依存からの構造転換のために、ものづくり・製造業の現状を、実証研究を通じて考察することが要請されている。そこで必要なことは、多くの人が経済活動の担い手として参加する包摂的な開発が実現されてゆくことである。

最初の報告「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」(高橋基樹会員・京都大学)では、ケニア・ナイロビのソファ製造の複数のクラスターを取り上げ、製品について生じた革新的な知識が異なる業者の間で容易に共有される開放的なケースと知識が秘匿される閉鎖的なケースがあることが指摘された。

それは従来の「失われた中間」=二重構造論では捉えきれない多系的な発展とそれに応じた包摂が生じている可能性を示唆するものである。

続く「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」(井手上和代会員・明治学院大学)では、ナイロビの金属加工業の資金調達と企業者能力について、製品と技術(機械化の程度)が異なる二つの地区の業者への聞き取り調査に基づき論じた。

長期資金需要の相対的多さにもかかわらず、金融市場における機会が狭められており、機械化の進んだ事業者も自己資金への依存率が高く、金融機関からの借り入れが限られていることが分かった。

事業者の企業者能力はそうした生産環境の負の要因を補うために発揮されている。

「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」(松原加奈会員・東京理科大学)は、最初にエチオピアの革靴産業と産業政策の歴史を跡付けた。

それを踏まえて、異なる3つの規模の企業が受けてきた支援を詳述し、小企業にも政府による外国援助を活用した支援が及んでいることを指摘する。

各企業は異なる複数の支援を渡りつつ恩恵を受けるものの、逆に支援を渡ることができずに廃業に追い込まれる場合があり、包摂が不均等なかたちで生じていることが示された。

「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」(日下部美佳会員・京都大学博士課程)は、福祉用具に携わる障害者団体の活動に着目し、個々人の技能の熟練及び多能工化と活動参加前の教育や技能の習得とがどのように関わっているかについて考察した。技能形成とものづくりという障害者の開発への主体的な参加が団体の存在によって可能となっている。

各報告に対して黒川基裕会員(高崎経済大学)、渡邉松男会員(立命館大学)から、理論的枠組みを踏まえた議論の陶冶に向けた助言や、考察をさらに深めるための問題の提起がなされた。これらは上記研究部会での議論を進展させるために非常に有益なものであり、本セッションを開催した意義を確認することができた。


2024年度活動計画

今年度はアフリカのものづくりに関する研究成果の発表が多かったため、次年度はアジアのものづくりの事例についても取り上げたいと考えています。

また、2024年度は最終年度にあたるため、ものづくりに関する議論を体系的に整理し、研究成果をまとめていきたいと考えています。

今後の研究会の予定として、ものづくり研究のインド編として2023年12月16日(土曜)に京都大学にて研究会の開催を企画しており、準備を進めています。

詳細については、改めてメーリングリストを通じて皆様にご案内を差し上げます。

『アフリカ・アジアにおけるものづくり』研究部会
副代表 井手上和代(明治学院大学)




『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2024年2月)

社会課題解決のための開発とイノベーション

Innovation and Development for Solving Social Problems

メンバー

代表

新海 尚子:Naoko Shinkai(津田塾大学)

副代表

徐 霈馨:Pei-Hsin, Hsu (Taiwan Forestry Research Institute)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2021年10月~2022年9月)

2021年12月~2021年1月

研究部会メンバーとの日程調査、今後の方針について相談、Zoom準備

2022年1月15日土曜日

研究会 第1回 キックオフミーティング(メンバー紹介、今後の研究部会について)

2022年2月~4月

  • 研究部会メンバーとの次回研究会の内容、および日程調査
  • 研究会招聘講師調整、連絡
  • 第23回国際開発学会春季大会ラウンドテーブル企画
  • ラウンドテーブル企画招聘講師調整、連絡
  • 2023年度研究部会継続準備

2022年5月1日

研究会 第2回 開催(アジアにおける開発とイノベーションについて)
以下、予定

2022年6月4日土曜日

第23回国際開発学会春季大会における「社会課題解決のための開発とイノベーション」について、課題関連の意見交換およびラウンドテーブルセッション;
招聘講師 発表者とタイトル
Title: The application of AI technology to address SDG issues
Presenter: Dr. Vincent Y. Chen, Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan
Title: Gendered Dynamics of Women Migrant Workers in Northern Thailand
Presenter: Dr. Ariya Svetamra, Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University
オンライン打ち合わせ

2022年6月18日土曜日

第23回国際開発学会春季大会における研究部会企画ラウンドテーブルセッション
ラウンドテーブル「Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia」を実施(ファシリテーター:代表者Naoko Shinkai (Tsuda University) および副代表者 Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forestry Research Institute))。

当日参加者と、上記 Y. Chen、Dr. Ariya Svetamraによる講演後、講演者と自由に意見交換を行なった。

2022年7月24日日曜日

研究会 開催(アジアにおける開発とイノベーションについて)

Title: Innovation and Development for Solving Social Problems from AI prospects

Presenter: Dr. Vincent Y. Chen, Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University

Y. Chen氏による、タイトル(AIの観点からのイノベーションと社会課題)について講演頂き、研究メンバーと意見交換を行なった。

2022年8月

2022年度IDSSP-JASID研究セミナー準備。

2022年9月18日日曜日

2022年度IDSSP-JASID研究セミナー、津田塾大学総合政策研究所と共同開催
2022 IDSSP-JASID Research Seminar/The 5th TU-RIPS Seminar on
“Business Innovation during Crises“につき、講演者と代表、副代表で打ち合わせ

2022年9月25日日曜日

2022年度IDSSP-JASID研究セミナーを津田塾大学総合政策研究所と共同開催し、スリランカのスリジャヤワルダナプラ大学の起業センター長Rukmal Weerashinghe氏、人文社会学科長Shirantha Heenkenda氏を迎えて実施された。

2022 IDSSP-JASID Research Seminar/The 5th TU-RIPS Seminar on
“Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance“

講演者:Dr. Rukmal Weerasinghe Professor, Faculty of Management Studies and Commerce Chairperson, Center for Entrepreneurship and Innovation University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka

開会の言葉、コメンテーター:Dr. Shirantha Heenkenda Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka

閉会の言葉、ファシリテーター:新海尚子(本研究部会 代表者)

2年目(2022年10月~2023年9月)

2022年11月〜2023年1月

2年目活動計画 打ち合わせ、国際開発学会春季大会における企画セッション計画、発表者募集

2023年2月〜2023年3月

企画セッションテーマおよび研究部会メンバーより 発表者4名、コメンテーター確定、企画セッションのAbstractと、発表者からのAbstractを収集し大会実行委員会に提出

2023年4月〜2023年5月

大会にて報告する研究成果のため研究調査を進める、報告論文を用意、大会実行委員会に提出

2023年6月10日土曜日

国際開発学会第24回春季大会で企画セッション
“Learning from Current Practices in Sustainable Society”
(使用言語 英語、オンライン)において、4名の研究部会メンバーによる研究成果を発表。同じくメンバーのコメンテーターによるディスカッションも合わせて、本研究部会テーマにおける最近の各地域におけるプラクティスや課題についても話し合った。本研究部会における成果についても話し合った。

”Learning from Current Practices in Sustainable Society”

(1) 企画責任者(Organizer):Naoko Shinkai (Tsuda University)

(2) 司会(Chair/Moderator):Naoko Shinkai (Tsuda University)

(3) Presenter: Pei-Hsin Hsu(Taiwan Forestry Research Institute)
Title: Using reflective methods to develop the indigenous seasonal calendar

(4) Presenter: Rido Thath(CamEd Business School/Royal University of Phnom Penh)
Title: Sustainability of Community Tourism in Cambodia

(5) Presenter: 〇Maria Kristina Alinsunurin (University of the Philippines Los Baños) and Naoko Shinkai (Tsuda University)

Title: Micro and Small Enterprise Practices in the Philippines: Navigating Resilience and Sustainability Challenges Amidst the COVID-19 Pandemic-A Case of Eco-tourism Sites-

(6) Presenter: 〇Bangkit A. Wiryawan (Diponegoro University) and Esther Sri Astuti (Diponegoro University)

Title: The role of innovation and entrepreneurial spirit on sustainable SME growth amidst Covid-19 pandemics

(7) 討論者(Discussant):Shirantha Heenkenda (University of Sri Jayewardenepura)

3年目(2023年10月から2024年9月)←今年度

2023年11月〜2024年1月

3年目活動計画 打ち合わせ

2023年12月

国際開発学会全国大会におけるセッション発表もしくは国際開発学会春季大会におけるセッション発表予定。

2024年1月~6月

開発とイノベーションにおける試みについてー成果まとめ発表

2024年7・8月

開発とイノベーションにおける試みについてー成果をまとめる予定。


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<終了>

国際開発学会第23回春季大会ラウンドテーブル「Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia」を実施

研究部会、津田塾大学総合政策研究所共催IDSSP-JASID/TU-RIPSセミナー”Business Innovation during the Crises:no trade-off between human rights and business performance“

2年目<終了>

国際開発学会第24回春季大会企画セッション”Learning from Current Practices in Sustainable Society”で研究部会メンバー4名による発表。

3年目<今年度>

国際開発学会全国大会もしくは春季大会において発表予定。また成果をまとめる予定


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究部会の代表者および副代表者は、女性会員であり、またメンバーのうち半分以上が外国人会員である。

研究部会でセッションを企画する場合は、なるべく若手研究者が、研究成果を発表するように心がけている。

外部専門家の招聘についてメンバー全員に伺う中で、女性会員や外国人会員の意見を取り入れられるよう、意見が出てきた場合には反映するようにしている。


『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2023年2月)

活動報告

Research Group: ”Innovation and Development for Solving Social Problems”                  

The research group (RG) on Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP) was launched early 2022 with the objective of tackling common issues observed in the world and sharing solutions and lessons learned in the process of innovative approaches that can be applicable elsewhere.

We had several events in 2022.

We organized a roundtable session for the 23rd JASID Spring Conference and invited two professors, one from Taiwan and another from Thailand, to share their experiences. Dr. Vincent Y. Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University from Taiwan explained the application of AI for environmental protection in tourism development and Dr. Ariya Svetamra at the Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University demonstrated the use of FPAR(Feminist Participatory Action Research) to cope with the issue of violence toward female migrant workers. This session was consisted of two parts, lectures, and discussions. In the latter part, participants expressed their opinions for these lectures and shared their own experiences. Both speakers and participants are from outside Japan and attended the session virtually. The session was facilitated by the Chairperson of this RG, Dr. Naoko Shinkai at the Department of Policy Studies, Tsuda University and the Vice-Chair, Dr. Pei-Hsin Hsu at Taiwan Forestry Research Institute.

After this, we had a small seminar with Dr. Chen to follow up some details on his project in July.

We also hosted a webinar, a research seminar on Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance in September, 2022. This seminar was co-organized with the Research Institute for Policy Studies, Tsuda University (TU-RIPS). We invited two guest speakers from Sri Lanka, Dr. Rukmal Weerasinghe, Professor, Faculty of Management Studies and Commerce, and the Chairperson of the Center for Entrepreneurship and Innovation, University of Sri Jayewardenepura, and Dr. Shirantha Heenkenda, Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences, University of Sri Jayewardenepura. The Chairperson of this RG and the Director of TU-RIPS, Dr. Naoko Shinkai, made opening remarks and served as a facilitator

The details can be found from the websites below:

The seminar flyer:

The report of this seminar:

In 2023, we plan to have seminars and a session about innovation and development at the JASID conference. Since most of the RG’s members reside overseas, we will continue our activities virtually.

We appreciate your support and look forward to your participation.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/Innovation and Development for Solving Social Problems
代表:新海尚子(津田塾大学)/Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




『倫理的食農システムと農村発展』研究部会(2024年2月)

倫理的食農システムと農村発展

Ethical Agri-food Systems and Rural Development

メンバー

代表

池上甲一(近畿大学)

副代表

牧田りえ(学習院大学)


活動開始から活動終了までの予定

1年目(2020年10月から2021年年9月)

オンラインによる研究会を計画通り4回開催した。第1回:「フード・アクティヴィズムの論じ方」(2020年12月27日)、第2回:「食料主権とアグロエコロジー」(2021年3月12日)、第3回:「持続可能な農産品サプライチェーン構築と倫理的生産活動の支援」(5月15日)、第4回:「JICAインドネシア・スラウェシ貧困対策支援農村開発計画の経験」(7月31日)。

2年目(2021年10月から2022年年9月)

オンラインによる研究会を5回開催した。第1回:「倫理的生産者と倫理的消費者をつなぐ試み」(2021年10月10日)。第2回:「愛媛県今治市の食と農のまちづくりが示唆するもの」(2022年1月8日)、第3回:「ミルパとプルケー、メリポナ蜂:メキシコの小農とアグロエコロジー」(6月11日)、第4回:「CSAの現段階とTEIKEIの展開過程」(7月2日)、第5回:「宮城県・鳴子の米プロジェクトがめざす農と食のコミュニティ―日本版CSAの特徴をどうとらえるか?―」(7月10日)。

3年目(2022年10月から2023年9月)

全国大会でラウンド・テーブルを開催。2023年8月に今治市の研修ツアー開催。オンライン研究会を3回開催予定(第1回は7月1日、企業CSAについて)。

4年目(2023年10月から2024年9月)←今年度

従来と同様の非会員の一般参加も認める公開のオンライン研究会を4回程度開催するほか、学会誌に特集として寄稿することを目指す対面式の研究会を数回開催する。


成果の公表予定

<学会での発表、学会誌での特集企画など>

1年目<終了>

なし

2年目<終了>

他学会での論文掲載・投稿

3年目<終了>

2022年の全国(秋季)大会においてラウンド・テーブルを開催した。

4年目←今年度

学会誌の特集を企画する。


女性会員、外国人会員、若手研究者(若手正会員)の活動奨励策

本研究部会の副代表は女性であり、また賛同者にも多数の女性会員が名を連ねている。若手研究者の報告を支援するために、旅費の支給を予定していたが、これまではオンラインの研究会だったので、実施できていない。

しかし本年度は対面式の研究会も組み込み、face to faceの良さを生かした丁寧な議論を行いたい。外国人会員の報告についても積極的に取り入れ、研究の成果公表につながるような議論を期したい。


『倫理的食農システムと農村発展』研究部会
代表:池上甲一(近畿大学名誉教授)




第34回全国大会のお知らせ【第1報】

春季大会が終わったばかりですが、今年度の国際開発学会第34回全国大会につきまして、ご連絡を差し上げます。以下のように開催を予定しております。例年より1か月程度早い開催となります。期日等をご確認ください。

開催概要

  • テーマ「複合的危機下における連帯と共創」
  • 日時:2023年11月11日(土曜)および12日(日曜)
  • 場所:上智大学 四ツ谷キャンパス
  • 方式:対面(一部オンライン)
  • 大会HP: 近日公開予定

スケジュール予定

  • 6月30日:発表希望者の学会入会申請期限
  • 7月5日:発表申込開始
  • 8月5日:発表申込締め切り
  • 8月31日:採否結果通知
  • 9月初旬:参加登録開始
  • 9月下旬:報告論文(ショートペーパー、フルペーパー)提出締め切り

発表申込要項

1)口頭発表・ポスター発表(日本語、英語)

  • 発表者は、会員(2022年度と2023年度までの会費が支払い済)であることが必要
    – 学会入会申請:
    – 会費支払サイト:
  • 1名につき、1論文・1発表まで(ファーストオーサーとして)可
  • 提出論文はファーストオーサーではなく登壇をしない場合は2本の提出可
  • 共同研究者・共著者は学会員であることが望ましい
  • 学生会員は応募時に指導教員の推薦状が必要(様式自由)
  • 要旨はA4 – 1枚、発表言語ごとに以下の文字数制限に従って作成すること
    – 日本語の発表の場合:日本語(400〜800字)
    – 英語の場合:英語(200〜300 Words)
  • 2023年度入会者は、2022年度会費の支払いは不要

2)企画セッション・ラウンドテーブル(日本語、英語)

  • どちらも代表者は、会員であることが必要(入会申請・会費支払サイトは上記参照)
  • 代表者は、司会・コメンテーター・報告者・登壇者の了承を事前に得ること
  • 代表者以外は非会員の登壇も可能だが、学会への入会を強く推奨する
  • 企画セッション:
    各発表者の発表要旨に加え、企画全体のタイトル、趣旨や司会、コメンテーター、報告者等を要旨と合わせて1つのファイルにし、代表者が応募すること
  • ラウンドテーブル:
    企画セッション同様、企画全体のタイトル、趣旨や登壇者を1つのファイルに取りまとめ、代表者が申し込むこと

発表申込

  • 申込期間:2023年7月5日~8月5日まで(予定)
  • 申込方法:大会ホームページ(近日申し込み用ページを公開予定)

本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



『若手による開発研究』研究部会(2023年11月)

活動報告

活動最終年度である本年度は、第33回全国大会におけるラウンドテーブル発表に加えて、1回のオンラインイベントと、4回のオンライン研究会を開催しました。

それに加えて、開発学会京滋支部が主催する大学院生向けの研究会にて若手部会のメンバー複数人が研究発表を行いました。  

全国大会でのラウンドテーブルでは、それぞれ異なる研究分野を持つ若手研究者が集まる本研究部会の特徴を生かし、個別事例とその一般化のバランスをどのようにとるかという問題意識を持って発表を行いました。

オンライン研究会では、昨年度から行ってきた学会発表セッションの内容についての議論などに加えて、メンバーの単著の出版経験をシェアする会も行いました。

さらに、昨年度に引き続き、研究部会メンバーだけでなく開発学会の会員全体に開かれた研究会も開催し、活動の幅を広げてきていました。  

研究部会の活動最終年度に初めて対面での活動ができたことで、若手メンバー同士の交流を促進するという研究会の目標もある程度達成することができました。

さらに、来年度以降も引き続き若手メンバーによる研究部会活動を行うために、来年度以降の若手メンバーを中心とした新規研究部会立ち上げのためのノウハウの伝達も行いました。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(上智大学)




『若手による開発研究』研究部会(2023年2月)

活動3年目を迎えた本研究部会の、昨年度の活動内容と今年度の活動計画を報告させていただきます。

昨年度は、当研究部会のメンバーを中心に第32回全国大会にてラウンドテーブルを開催しました。これに加えて、会員全体に開かれたオンラインイベント1回と、研究部会メンバーによるオンライン研究会7回を開催しました。全国大会におけるラウンドテーブルの開催という目標を達成し、また定期的な研究会の開催も継続することができました。また本年度については、既に2022年12月の第33回全国大会にてラウンドテーブルを開催しております。

本研究部会の活動も3年目に入り、メンバーの中にも博士課程を終えた人も複数出てきました。今年度は、新たに修士課程や博士課程に入った会員を中心に、より多くのメンバーを巻き込んだ活動をしていくことを目標とします。そのために、開発学会全体に開かれたイベントの開催などを積極的に実施していきます。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(上智大学)




『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会(2023年11月)

研究部会概要

「人間の安全保障(human security)」の概念は、国家の安全保障を補完するものとして、人間一人ひとりの安全と安心に着目する。

そして、人びとの生存・生活・尊厳に対する脅威(threat)や危険(hazard)そのものを軽減(mitigation)するために保護をいかに進めるか、また人びとの強靭性(resilience)を高めて社会環境に適応(adaptation)できるようにエンパワーメント(empowerment)をいか進めるか、という視点から安全を捉え直した概念である。

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障(human security of children)」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的な枠組みを構築することを目指して研究活動を進めてきた。

近年、国際開発の潮流となっている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、「誰も置き去りにしない(Leave no one behind)」という原則のもと、人間の安全保障の概念と課題を共有している。

SDGsへの取組みにおいて、国際開発論と「人間の安全保障」研究は、近年より近接しつつある学問領域だと言える。

「子どもの安全保障」への開発アプローチの可能性を模索しながら、国際開発論のなかで「子ども」を位置づけようとする。

国際開発論でも「人間の安全保障」研究においても子どもに焦点を絞った研究は少なく、また様々な学問分野からの分野横断的な取組みが求められていることから、「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会を運営することの意義が高い。

年に4回程度の研究会を開催し、そこでの研究成果に基づき、国際開発学会の全国大会および春季大会で個人発表、企画セッション、ラウンドテーブルを提案してきた。

しかし、2023年度については、十分な活動を実施することができなかった。

活動実績(2022年11月から2023年11月)

なし

『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会
代表:勝間靖(早稲田大学)




【重要】全国大会での発表を目指して入会される方へ

国際開発学会では、全国大会・春季大会で発表申し込みを行えるのは会員(正会員、学生会員、名誉会員)のみとなっております。

この発表申し込みには個人での口頭・ポスター発表及び企画セッション・ラウンドテーブルの提案が含まれます。

2023年11月11・12日に開催される第34回全国大会で発表することを目指して新規に入会される場合は、下記の日程にご留意のうえ、期日までにオンラインシステム上での手続きをお済ませいただくようにお願いいたします。

全国大会発表希望者向け・入会申請スケジュール

1)新規入会申込

6月30日(金曜)までに新規入会申込を完了(締切厳守)

(*申請に必要な書類、手順は、入会案内 を参照)

2)審査・承認

翌日以降に常任理事会を開催し、入会申請の審査・承認を行います。

週明けに届いた入会申請は審査の対象外となり、第34回全国大会において発表する資格を得ることはできません。

3)初年度会費

入会承認後、初年度会費の請求書が発行されますので速やかに会費をお支払いください。

会員マイページからクレジットカードでお支払いいただくことをお勧めします。

初年度会費支払を完了(申し込みが常任理事会で受理され、会費が支払われたことが確認される)まで、大会発表申し込みサイトにアクセスできる会員IDが発行されません。

4)会員番号の付与

入金確認後に会員番号を付与し、会員サービスが開始されます。会員番号の通知メールがとどきましたら、大会発表申し込みサイトから、大会発表の申込手続きを行なってください。


本件にかんするお問い合わせ先

国際開発学会・本部事務局




報告募集「第34回全国大会・ブックトーク」8月12日締切(会員限定)

国際開発学会 第34回全国大会(11月11日及び12日、上智大学)にて開催予定のJASIDブックトークの報告者を募集いたします。

下記をご一読のうえ、ふるってご応募いただければ幸いです。

趣旨

JASIDブックトークは、会員が自著を紹介するセッションです。書籍の内容紹介にとどまらず、企画のきっかけから執筆過程の苦労や工夫、読者層や販売動向に至るまで、「出版」をトータルに語っていただきます。担当編集者にも登壇いただき、著者と出版社の双方の視点からご報告いただきます。

本セッションは、出版をご検討中の会員に参考としていただくとともに、本のつくり手(著者・出版社)と読者(セッション参加者)のコミュニケーションを通して、学会における出版の活性化や質の向上を図ることを目的としています。

なお、本セッションは研究報告を目的とするものではなく、あくまで出版をめぐるストーリーの紹介を目的とするものです。この点をご理解の上、ご応募ください。

概要

  • 報告書籍は、会員の著作(刊行後2年以内を目途)とします
  • 応募時点で未刊行でも、大会当日までに刊行予定であれば結構です
  • 質疑応答を含めて、発表の時間は30分程度を予定しています(採用冊数が増える場合には短くなることもあり得ますのでご了承ください)
  • 報告は著者と出版社の担当者(編集や営業など)のペアで行っていただくようお願いします
  • ご参加いただく出版社の方が非会員の場合、その方はゲスト扱いとなりますので大会参加費をお支払いいただく必要は生じません

報告には、基本的に以下の内容を含めていただきます。

書籍の概要(テーマ、読者層、内容概略)

  • 出版の動機・出版が決まった経緯
  • 執筆・編集の過程における苦労や工夫、変化
  • どういった販売戦略で、どのような読者層に売れているか
  • 本書の学会への貢献、国際開発に果たす役割

なお、今回のブックトークは、2023年11月12日(日曜)[大会二日目] 午前の最初のセッションでの対面での実施が予定されております。時間に限りがありますので、恐縮ながら応募者が多数の場合には、報告書籍を選考させていただく可能性がございます。

プロポーザルに加え、セッション全体として書籍のテーマやジャンル、著者のご所属や出版社に偏りはないかなどを総合的に判断させていただきます。ご了承のほど、お願いいたします。

応募要項

募集締切は、2023年8月12日(土曜)23:59です。

他のセッションでの発表を申し込まれる場合でもブックトークへの応募は可能です(ブックトークとは重ならない時間帯に発表セッションが組まれます)。

ご応募の際には、以下のプロポーザルのご提出をお願いいたします。

  • 書誌情報(著者・タイトル・出版社・刊行年月・判型・ページ数・定価)
  • 書籍概要(500字程度で内容概略・目次)
  • 著者(氏名・所属)
  • 担当編集者(氏名・所属)
  • ブックトークで特にアピールしたいポイント

• ご応募いただく前に、必ず出版社の編集担当者の方とのご相談をよろしくお願いいたします。また、本ブックトークの趣旨にならい、出版社の方と一緒に行っていただく報告が優先的に採択されることを、ご承知おきください。

• コメンテーターの目処(採択決定後、9月上旬までにご自身で内諾を取っていただきます。内諾を取る際には、学会当日に学会以外のご予定が入っていないことを確認してください。学会での他のセッションでの発表、座長等とは重ならないように当方で調整しますが、それ以外の予定との調整依頼は受け付けません)

• 書籍販売コーナーの設置については、詳細が決まり次第、大会実行委員会からのご連絡となります。

採択された報告者には、追ってコメンテーター宛てに書籍(未刊行の場合はゲラ)のご送付をお願いします。

応募フォーム


本件にかんするお問い合わせ先

学会誌編集委員会・ブックトーク担当
(佐藤寛、島田剛、芦田明美、道中真紀)

  • [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第34回全国大会:発表申し込み期限(8月5日)のリマインド【第3報】

11月11・12日に予定をしております上智大学での第34回全国大会について、発表の申し込み期限は8月5日(土曜)までとなっております。

皆様の発表申し込みをお待ちしています。

▼詳細はこちらをご確認ください。


本件にかんするお問い合わせ先

第34回全国大会実行委員会
実行委員長:小松 太郎(上智大学)

  • jasid2023fall [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



第33回全国大会(明治大学)のお知らせ

現在、12月の全国大会に向けて準備を進めております。初めてのハイブリッド方の大会で、かつ極めて多くの発表申込があり、無事に実施できるか、毎日祈るような気持ちで準備をしております。

以下のページに情報を掲載していきますのでご覧いただければ幸いです。

第33回全国大会・実行委員会
実行委員長:島田剛(明治大学)




大会組織委員会からのお知らせ(2022年11月)

現在、12月3、4日に開催予定の第33回全国大会の準備が佳境に入っている。既に発表申し込みが締め切られ、プログラム編成がおおむね完了している。コロナ禍により、2020年度より、全面オンラインの大会が5回続いたが、第33回大会は、対面とオンライン併用で、久しぶりに会員が直接交流する機会となる見込みである。アクセスのいい都心での開催であることも幸いしたのか、非常に多くの発表申し込みがあった。多くの会員が久しぶりに対面で交流する機会となることが今から楽しみである。

また、今期大会組織委員会では、大会実行委員会の負担を減らし、より大会の内容充実に注力していただけるよう、大会運営管理のためのコンピュータシステムの導入を進めており、第33回全国大会の発表申し込み、参加登録から実用化している。33回大会実行委員会には移行期の試行錯誤をしていただいているが、ある程度定型化してくれば、このシステムによって実行委員会の運営業務がスリム化されるだけでなく、参加者にとっても、手順が容易になるものと期待している。

また、第33回全国大会終了後は、2023年に国際教養大学で開催が予定されている第24回春季大会の準備を本格化するために、大会組織委員会委員・幹事と実行委員会の間で協議し、体制を整える予定である。

大会組織委員会
委員長・山田肖子(名古屋大学)




地方展開委員会からのお知らせ(2022年11月)

「出前講座2022」をご活用ください!

会員間の交流の促進を目的に出前講座を設置しています。

現在、北海道、東北、関東、関西、中国、四国地域の20名の講師が登録をしています。講師の専門分野は政治、経済、農業、地域・社会、教育、医療と多岐にわたり、カバーする地域も東南アジア、南アジア、アフリカとバライエティに富んでいます。

是非、この機会に出前講座を授業に活用し、会員同士の交流を深めてみませんか?

詳細は地方展開委員会ホームページをご覧ください。

地方展開委員会
委員長:佐野麻由子(福岡県立大学)




2022年度・活動報告『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会(2022年11月)

活動報告

春季大会(2022年6月18日)では、「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会による第3回目のラウンドテーブルを実施した。本研究部会においては開発の持続性だけでなくレジリエンスという観点からも開発やSDGs概念の有効性や課題に関し考察を重ねてきた。

本セッションでは前2回のラウンドテーブルでは焦点化されなかった「移動する人々」に着目し、ウィズコロナの今日的な状況の中で、生活基盤に「移動の要素」を抱える人々のレジリエントな様相、SDGsの課題について議論した。

来る全国大会(2022年12月4日、5日開催予定では)本研究部会による第4回目のラウンドテーブルを実施する予定である。テーマは「食のレジリエンスとSDGs」ということで、専門家を招聘し、オンラインのラウンドテーブルで議論する予定で現在準備を進めている。


今後の予定

3年目(2022年10月から2023年9月)
開発のレジリエンスとSDGs提言作成等成果の取りまとめ

開発のレジリエンス、SDGsに関連したテーマに関心をお持ちの会員はぜひご参加いただきたい。引き続き活発な議論の展開に努めていきたい。

参加申込・連絡先

東京大学グローバル地域研究機構 持続的開発研究センター
センター長 関谷 雄一

  • sekiya [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

『開発のレジリエンスとSDGs』研究部会
代表:関谷雄一(東京大学)




2022年度・活動報告『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会(2022年11月)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

すでに報告したとおり、2022年6月18日(土曜)9:30-11:30、第23回春季大会(福岡県立大学、オンライン)において、「子どもの安全保障〜障害のある子どもの保護とエンパワーメント」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。しかし、その後は、代表と副代表の異動があったことも一つの要因となり、研究会を実施できていない。

『子どもの安全保障への開発アプローチ』研究部会
代表:勝間靖(早稲田大学)




2022年度・活動報告『若手による開発研究』研究部会(2022年11月)

活動2年目を迎えた、本研究部会の本年度の活動計画を報告させていただきます。  

昨年度は、当研究部会のメンバーを中心に第31回全国大会、第22回春季大会にてラウンドテーブルを開催しました。

これに加えて、8回のオンライン研究会を開催しました。  

活動初年度であった昨年度は、全国大会、春季大会におけるラウンドテーブルでの発表という目標を達成し、また原則月に一度研究会を開催するという本研究部会の活動の基本的体制が整えられました。

今年度はこうした活動を継続しつつも、対面での研究会の開催、若手部会メンバー以外にも開かれたオープンな形式での研究会の開催など、新たな取り組みにも挑戦していこうと考えております。

『若手による開発研究』研究部会
代表:宮川慎司(東京大学・院)




JASID第25回春季大会:発表申し込み開始のお知らせ【第2報】

第25回春季大会HPが公開されています。

第25回春季大会の発表申し込みを開始いたしました。

例年通り、

(1)口頭発表(自由論題)、

(2)ポスター発表、

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

を募集いたします。

(1)、(2)、(3)とも、皆様の日頃の研究成果にもとづく発表を広く募集します。発表言語は日本語もしくは英語とします。奮ってご応募ください。

★申し込み受付期間: 2024年2月16(金曜)~3月25(月曜)

(1)口頭発表

学会員が申請し、個人もしくは複数人で発表頂きます。当日登壇できるのは学会員に限定されます。共同研究者は学会員であることが望ましい。発表時間は20分です。

(2)ポスター発表

学会員が申請し、ポスターを用いて研究内容を発表頂きます。発表者と聴衆が直接、自由に対話できます。

(3)企画セッション・ラウンドテーブル

  • 企画セッションは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて複数の研究報告を行います。申請の際に、座長1名、コメンテーター2名を提案頂きます。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体および登壇者それぞれの発表要旨を提出頂きます。
  • ラウンドテーブルは、学会員が企画・申請し、特定のテーマについて、座長、話題提供者の発表のもと、双方向的な討論を行います。専門性の点から有益かつ必要な場合に限り、非会員の報告も可能です。セッション全体の長さは2時間です。申込の際には、全体の要旨を提出頂きます(登壇者の発表要旨は任意)。

1.発表申込について

発表申込の関連情報は、大会HP内の以下のページにまとめております。発表を検討されている方は内容をご確認頂き、申込手続きを進めて下さい。

★発表申込概要

URL:

発表区分により、発表者の条件は異なります(詳細は大会運営内規の別表を参照)。

内規:

発表申し込みできるのは、以下の会員です。

【現会員】

発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

会費が未納の場合は、
から会費を納入のうえお申し込みください。

【新規会員】

2024年3月7日(木曜)までに入会申込を完了していること。

入会承認後に速やかに年会費を支払い、発表申込期間終了日の3月25日時点で、2023年度までの年会費の支払いがSMOOSYで「入金済み」と表示されていること。

入会申し込みに関しては、こちらをご確認ください。

2.発表申込先

  • 発表の申込は、以下の「発表申込URL」からオンラインでご提出ください。
  • お申込みに際し、申込用のアカウントを取得していただきます。URL先のマニュアルをご確認いただき、登録をお願いいたします。2022年度全国大会・2023年度春大会・全国大会に申し込みをされたことがある方は、既にアカウントを持っていらっしゃいます(その場合も、アカウント情報の確認を求められる場合があります)。
  • 申込用のアドレスは、学会のマイページにログインいただく際に利用いただいているメールアドレスをご利用ください。本サイトは、学会のマイページの会員情報と紐づいており、同じメールアドレスを使用することで、お申込時に氏名や所属先等の情報をご記入いただく必要がなくなります。
  • オンラインセッションでの発表をご希望の場合には、申込み時に希望発表形式を問われますので「オンライン発表」をご選択ください。

★発表申込URL:

3.大会の開催形態について

  • 第25回春季大会は、昨年度春季大会・全国大会に続き対面開催とし、ハイブリッドでの実施は致しません。
  • パラレルセッションのうちの一部をフルオンライン開催と致します。こちらについては、海外・遠方等の理由がある場合、オンラインにてご参加頂くことを可能な限り調整致します。
  • 大会会場にてオンラインセッションに参加頂く場合は、ご自身のパソコン・タブレット等からログインして頂きます。

4.大会参加について

  • 大会参加申込は4月初旬から開始する予定です。
  • 大会参加費は、クレジットカード払いのみとさせていただきます。
  • 大会報告論文集の印刷の配布はありません。参加費を支払った方のみ、論文集を事前にオンラインで入手することができます。

5.今後のスケジュール

★発表申込締切:3月25日(月曜)(厳守)
・大会参加登録開始:4月上旬
・採否結果通知:4月下旬
・大会参加登録締切:5月15日
・報告論文提出期限:5月22日


本件にかんするお問い合わせ先

第25回春季大会実行委員会
大会実行委員長:阪本公美子(宇都宮大学)
事務局長:飯塚明子(宇都宮大学)、藤井広重(宇都宮大学)

  • jasid2024spring [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



2022年度・活動報告『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会(2022年11月)

Activity Report in the FY 2022

(Oct. 2021-Sept. 2022)

IDSSP (Innovation and Development for Solving Social Problems) was launched in January 2022 after its establishment was approved in the 32nd Annual Conference of JASID in Nov. 2021. This research group was created to provide a platform for researchers in the field of international development to exchange ideas and share knowledge on the process of solving social issues, which are commonly observed in the World, and conduct inter-disciplinary research on applicable innovations. Since half of our members reside outside of Japan, all activities have been conducted online.


In Jan., 2022, a kick-off meeting was held and members were introduced. We also planned our activities for the financial year 2021-2022.

Between Feb. and April, 2022, we prepared for a round table session in the 23rd Spring Conference of JASID. We chose guest speakers and topics, and communicated with guest speakers to organize our session.

In June 2022, a roundtable session, titled “Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia“, was held during the 23rd Spring Conference of JASID. In this roundtable session, we discussed commonality and differences of social issues in Asia and the use of multifaceted approaches in problem-solving. We invited two guest speakers, Dr. Vincent Y-W Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan, and Dr. Ariya Svetamra, Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University, Thailand.

Dr. Chen presented on “The Application of AI Technology to Address SDG issues” and demonstrated the application of Artificial Intelligence (AI) to protect green sea turtles in Xiao Liuqiu island, Taiwan, and how to develop sustainable tourism and communities for nature conservation.

Dr. Svetamra presented on “Gendered Dynamics of Women Migrant Workers in Northern Thailand”, described the severe conditions, which migrant women in Northern Thailand had to face in their lives, and explained the application of FPAR (Feminist Participatory Action Research) to create their opportunities in the future. In the discussion session following two talks, participants shared the issues and knowledge in tourism development and international migration.

The vice representative, Dr. Pei-Hsin Hsu, and the representative, Dr. Naoko Shinkai, co-chaired this roundtable session.

 In July 2022, we had a research meeting with Dr. Chen to follow up on the issue of innovation and development from AI prospects.

In September 2022, a joint seminar, 2022 IDSSP-JASID research seminar/The 5th TU-RIPS seminar on “Business Innovation During the Crises: no trade-off between human rights and business performance “was held.

This seminar was co-organized by IDSSP and the Research Institute for Policy Studies, Tsuda University. In this seminar, two professors from Sri Lanka, Dr. Rukmal Weerasinghe, Professor, Faculty of Management Studies and Commerce and the Chairperson, Center for Entrepreneurship and Innovation, University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka, and Dr. Shirantha Heenkenda, Dean, Faculty of Humanities and Social Sciences University of Sri Jayewardenepura, Sri Lanka made presentations.

Dr. Weerasinghe provided a talk on the innovative business operations in Sri Lanka in a state of multiple crises, economic and financial crises, and pandemic, and illustrated how the right of employees was preserved.

Following the talk by Dr. Weerashinghe, Dr. Heenkenda made a speech and added the legal background of human rights in business in Sri Lanka and called attention to possible human rights risks during the crises. In the discussion session after two talks, we reviewed essential factors in leading and developing business in difficult times without sacrificing human rights.

In addition, we had a preparatory meeting with guest speakers and core members before each event and two supplemental research meetings with core members.

『社会課題解決のための開発とイノベーション』研究部会/
Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP)
代表:新海尚子(津田塾大学)/
Representative: Naoko Shinkai, Tsuda University




第23回春季大会の開催報告と総括

第23回春季大会報告

第23回春季大会は2022年6月18日(土曜)に、福岡県立大学を開催校としてオンライン(Zoom)で実施されました。

福岡県立大学が立地する福岡県田川市は、旧産炭地として日本の近代化、戦後復興を支えてきたものの、1960年代のエネルギー転換を受け急激な衰退を経験し、鉱害からの復旧、新たな産業づくりによる安定した生活基盤の確保など地域再建を続けてきた「課題先進地域」です。この地でこれからの時代の開発、国際協力を考える学会を催すことができ、大変嬉しく思います。

今大会では、大学を超えて「チーム福岡」として実行委員会を組織し大会に臨みました。山あり谷ありの準備の六ヶ月ではありましたが、御縁に恵まれ、国際開発学会第23回春季大会の全てのプログラムを無事実施することができました。参加者の皆様、学会関係者の皆様、そして、地域の皆様のご支援に心より感謝申し上げます。

当日は225名の方に参加登録いただき、4つの企画、7つのラウンドテーブル、7つの個人発表において、それぞれ活気ある議論が交わされました。

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」では、筑豊(田川郡川崎町・田川市)で地域づくりに奮闘する関係者を招き、オンライン越しではございましたが、2030年に真の持続可能な社会をつくるために必要なことについて、専門分野の異なる参加者の皆様と議論を深めることができたと思います。

本大会が「学会員が少ないから…」「地方だから…」と学会開催に二の足を踏んでいる皆さまの背中を押すものになれば望外の喜びです。

大会実行委員長
佐野麻由子(福岡県立大学)

プレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」

【第1部】
「日本の地域と国際開発をつなぐ“よりよい生”-金沢大会からのバトンを受け継ぐ」

  • 佐野麻由子(国際開発学会第23回春季大会実行委員長/ 福岡県立大学) 
  • 和田一哉(国際開発学会第32回全国大会実行委員長/金沢大学)

【第2部】
基調講演および座談会「生が営まれる場としての地域-筑豊・田川-」

登壇者(1)杉本利雄氏(ラピュタファーム代表)
「“生”をつなぐ宿り木としてのラピュタファーム-筑豊・田川の新しい“地域ブランド”ができるまで」

登壇者(2)佐野典久氏(佐野畳屋三代目店主)
「畳からつながるよりよい暮らし-生きてるだけで儲けもの」

本セッションは、(1)炭鉱だけではない筑豊・田川の魅力を感じていただくこと、(2)海外のフィールドと日本の地域とを往還し国際協力の想像力を高めていただくこと、(3)個々人の日常の実践がカギを握る個人化時代の開発のあり方、その中でもSDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める条件を議論することを目的に企画された。

第1部では、金沢大会の和田実行委員長より、日本の地域に目を向けるこが先進国・途上国問わず「よりよい生」を考える一歩になるというメッセージを頂いた。

第2部では、杉本利雄氏、佐野典久氏に、活動に至った経緯、活動を支える思い等についてお話をうかがった。

杉本氏は、ラピュタファームの経営を通し、地域に対するネガティブなイメージを払拭し、筑豊の魅力を発信し続けてきた。質の良い農作物であっても地名を聞くと美味しそうに思えないという消費者の反応、地元での産業廃棄物施設操業の危機などマイナス要因が、「バイキングや加工品を通して地域のイメージを刷新しよう」「自然を残すだけでなく活用しよう」と奮起する契機になった。

また、地域内外の他業種の仲間との関わりや「元お客の従業員」との試行錯誤の中でヒット商品が生みだされたエピソードなど、地域・業種・生産者/消費者の関係を超えて活動が展開されていることが紹介された。

佐野氏は、畳学校で国産イグサの良さを知って以来、イグサ生産者と消費者をつなぎ、畳をつくるだけでなく古畳を解体して土に戻す活動を行ってきた。閉鎖されることになった精米所を引き取りそこでとれた米糠を土づくりで活用したり、土づくりの傍らでアルバイトの学生のために野菜を作ったりする等のユニークな循環型社会実現の例も紹介された。

「求めるべき真の自由についてどのように考えるのか」というフロアからの質問に対して、「真の自由は、行きたいときにみんなで支えあって授業参観に行けること。それを許容する社会」とこたえていたのが印象的だった。

お二人に対しては「勇気づけられた」「楽しそうな仕事ぶりに励まされた」「捨てようと思ったものを蘇生して楽しく活用するのが田川モデル」等、多数のコメントが寄せられた。日常のなかで個々人がよりよい生を実践することが重要な意味をもつ今日、「楽しい」「お互い様」「足るを知る」が、SDGsの実現可能性、継続性、波及性を高める秘訣であると感じた。

(佐野麻由子)


セッション報告A(6月18日土曜日 Saturday 18th June 2022)

【午前の部I】Morning Session 9:30-11:30 (GMT +9)

A1. 地域から考えるオルタナティブ開発―近代的開発実践・モデルの超克に向けて―

  • 座長:真崎克彦(甲南大学)
  • 討論者:平山恵(明治学院大学)
  • 秋吉恵(立命館大学)

「アフワット:パキスタンにおける社会的連帯経済の実践-互酬性が貧困削減に果たす役割」

高須直子(立命館アジア太平洋大学)

「地域コミュニティの『ありのまま』と多遍性(pluriversality)をどう捉えるか―館ヶ丘団地における人々のかかわりと価値創造からの考察」

藍澤淑雄(拓殖大学)  

国際開発学会「市場・国家との関わりから考える地域コミュニティ開発」研究部会の企画セッションである。最初の座長による趣旨説明では、西洋近代型の「普遍」的とされる進歩観と一線を画した、オルタナティブ開発のあり方が概説された。

高須会員の報告では、パキスタンのイスラム金融マイクロファイナンス組織、アフワットの事例が、社会的連帯経済モデルに依拠しながら取り上げられている。地域コミュニティに存する伝統的「協同性」が、いかにアフワットの無利子融資の拡大や政府の政策形成の成功を後押ししてきたのかを軸として、報告がなされた。

討論者の平山会員のコメントでは、イスラム世界で遍く見られる喜捨の伝統に絡めて「協同性」が論じられ、アフワットが、被支援者が支援者に転じることもあるユニークな社会連帯経済の一例として、広く知られていくことの意義が述べられた。

藍澤会員の報告は、東京都八王子市の館ヶ丘団地で学生たちと行ってきた地域コミュニティ振興活動の紹介である。高齢化が進む同団地での自治会住民と学生のかかわりの中から防災の仕組み作りが始まった事例について報告がなされた。

この経験を踏まえて、西洋近代的な「普遍的」社会づくりモデルでは見えてこない、人びとのありのままの暮らしに寄り添う「多遍的(pluriversal)」な生活支援のあり方が論じられた。

討論者の秋吉会員からは、藍澤報告の事例に引きつけて、地域コミュニティの支援活動での支援者と被支援者との関係が、いかに変容的なものへと発展し得るのかが解説された。またそうして、地域にある潜在的な共同性が解き放たれる仕組みが示された。

以上の通り両報告を通して、支援者と被支援者の壁が低くなることで、地域に存在する価値観や暮らしを引き立てたオルタナティブ開発が立ち上がってくる様子が明らかにされた。本セッションには常時25 名前後の会員に参加いただいた。

(真崎克彦)


【午後の部I 】Afternoon Session I 12:15-14:15 (GMT +9)

A2. 企画”Soft Skills and Employability in the Face of Asymmetry between the Labor Market and School Education: Soft Skills Training and Development in Africa”

労働市場と学校教育の非対称状況におけるソフトスキルと雇用可能性―アフリカにおけるソフトスキル訓練と開発―

  • 登壇者: エストレルヤド エマヌウェル(名古屋大学)・チャロエンシルプ ピンマダ(名古屋大学)・近藤菜月(名古屋大学)・山崎裕次郎(名古屋大学)
  • 司会: 山田肖子(名古屋大学)
  • 討論者: 高田明(京都大学;非会員)・島田剛(明治大学)

本セッションでは、アフリカの労働者のソフトスキルについて4名の報告が行われた。

初めに司会の山田会員より、ソフトスキルの概要、途上国の産業人材育成における重要性が説明され、第一報告(山崎)では、インフォーマル・セクターの労働においてソフトスキルがいかに活用されているのかの事例を報告した。第二報告(近藤)では、ガーナの大学卒業生のキャリアからソフトスキルの重要性とキャリア形成におけるその役割について議論した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田明氏(非会員)より、インフォーマル・セクター内での差異、顧客からの視点、短い就業年数の理由、学校のカリキュラムとの関係について今後深めるべき点をご教示いただいた。

島田会員からソフトスキルと専門的技能の重要性の比較、雇用可能性に対する自己評価の要因、起業の動機についてより考察ができると示唆をいただいた。

続く第三報告(チャロエンシルプ)では、ゲームを用いた行動モデリングトレーニングによって、労働者にソフトスキルを習得させる新しい方法を紹介した。

第四報告(エストレルヤド)では、第三報告で紹介したゲームを用いたソフトスキルトレーニングについて実施した内容を紹介し、トレーニングの結果、実施前と比べて、参加者のソフトスキルに統計的に有意な正の変化が見られたことを報告した。

上記の報告に対し、コメンテーターの高田氏より、観察学習以外の学びへの視点、ゲーム作成・実施における対象者の文化への配慮、実際の仕事への相関について示唆を頂いた。

島田会員から、ゲームベースのトレーニングが企業内研修として発揮する効果や、参加者の学校教育歴による結果の差異について今後考察を深める点をご助言頂いた。

なお、本セッションの報告の一部では、名古屋大学の研究グループが実施しているSKY(Skills and Knowledge for Youth)プロジェクトのデータを使用している。

(山田肖子)


【午後の部Ⅱ】Afternoon Session Ⅱ 14:30-16:30 (GMT +9)

A3. RT: 地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」

  • 司会:木全洋一郎(JICA)
  • 発表者:富山泰庸(ロッツ株式会社)、山本あやみ((特非) 砂浜美術館)、 柳澤龍((一社)ドチャベンチャーズ)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)

本セッションでは、2021年全国大会のラウンドテーブルでの議論を踏まえ、陸前高田、高知、秋田の各現場からの中継により、新たな地域活性化の実践事例を共有し、今後の国際開発アジェンダのあり方について、約30名による議論が行われた。

はじめに、富山氏より、東日本大震災での医療支援を契機に、将来にわたってまち全体を健康にすべく、薬局、高齢者リハビリ、オーガニックカカオからチョコレート製造販売と多様な事業が紹介された。地元・日本のための事業が、フェアトレードのカカオを使うことで途上国の児童労働問題の解決にもつながっている。

次に、山本氏より、建物のない、美しい砂浜そのものを美術館にしている取り組みが紹介された。ありのままを価値とすることに共感した元青年海外協力隊の方と、ガーナ、ケニア、モンゴル各地の自然の中でのTシャツアート展を共同実施している。

柳澤氏からは、五城目町の廃校のシェアオフィスで、地域に根ざした土着のベンチャー事業が紹介された。まち全体をシェアビレッジとしたオープンにし、「世界一子供が育つ町」として、地域からの学びをデザインしている。敢えて社会全体の課題ではなく、局地的な願いに寄り添って場を作っていくことで、地域変容を見届けている。

フロアからは、よそ者の役割や都会と地方との関係性を前提にした地方間競争への懸念といった質問が出された。

議論を通じて、3つの事例とも、都会と田舎という対立構造ではなく、地域を同じテーブルに乗せて、それぞれが「オンリーワン」の魅力で人を惹きつけているという共通点が見えてきた。また、実践者はその地域でなくてはならないということではなく、どの地域でもオンリーワンを発見しているという意味において、途上国の地域開発にも通ずる視点が提供された。

地球規模の開発アジェンダは「課題」志向で見出されるが、日本の地域におけるアジェンダは「創造性」から見えてくる。この間の橋渡しこそが、国際開発に携わる今後の役割として提起された。

(木全洋一郎)


セッション報告B

B1. 子どもの安全保障

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 司 会:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)
  • 発表者:池田直人(難民を助ける会)・田中敏裕(日本ブータン友好協会)
  • 討論者:勝間靖(早稲田大学/国立国際医療研究センター)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

2022年6月18日(土曜)9:30-11:30、第23回春季大会(福岡県立大学、オンライン)において、「子どもの安全保障〜障害のある子どもの保護とエンパワーメント」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が、企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、池田直人(難民を助ける会)が「パキスタンにおける障がいのある子どもたち」と題して、田中敏裕(日本ブータン友好協会)が「障がいのある子どものスポーツ参加」と題して発表した。質疑応答と議論が活発におこなわれた。参加者は、パネリストのほか、8名であった。

(勝間靖)


B2. 企画・信頼と開発協力

  • 企画責任者:石塚史暁(JICA)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 討論者:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)

発表者:

  1. 開発協力における「信頼」とは―ODA案件の比較分析の試み―
    石塚史暁(JICA)
  2. ボホール灌漑事業における「信頼」の考察-開発協力と「信頼のジレンマ」-
    杉山秀男(JICA)
  3. インフラ整備への開発協力と信頼
    橋本大樹(JICA)
  4. ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と「信頼
    左近文子(JICA)

冒頭、座長より、実務家自らが「信頼」のように扱いにくいテーマを研究対象として手掛けることの意義を述べた。その後、次の4本の発表があった(石塚「開発協力における『信頼』とは」、杉山「ボホール灌漑事業における『信頼』の考察」、橋本「インフラ整備への開発協力と『信頼』」、左近「ガーナ共和国におけるJICAボランティア事業と『信頼』」)。

杉山は開発協力の複数の当事者間での信頼を両立することのジレンマ、橋本は大規模インフラ協力の意思決定において信頼が影響を及ぼせる領域の大きさ、左近はJICA海外協力隊が配属先との間で蓄積する信頼のストック等をそれぞれ扱った。

石塚発表は、これら事例分析の総合的な結論として、当事者間の「信頼」は開発協力の効果や持続性を下支えし、開発協力の積み重ねは当事者間の信頼蓄積に貢献するという、両者の概念が相互に影響を及ぼしあっていることを指摘した。

討論者及び参加者からは、次のような質問・コメントが寄せられた。

開発協力の主体は、自ら当事者となる信頼に加え、第三者をつなぐ信頼にも注目すべきではないか。開発協力の主体は、相手からの信頼に加え、自らの相手に対する信頼を意識すべきではないか。開発協力によって相手国の信頼を買うことは可能か。海外協力隊員が得た現場での信頼は、日本の国レベルの信頼につながるか。「信頼のジレンマ」は、信頼のレベルが浅いことによるものと考えられないか。

現場での関係者との信頼構築に加え、開発協力の制度にも改革が必要な点はないか、相手国と日本の間の信頼は、相手国と他ドナーの間の信頼と比べ、違いはあるか、コンサルタントや民間企業も、開発協力の当事者であり、分析対象に加えるべきではないか、など。

セッション参加者は約40名で、議論は大変活発であった。この分野に対する高い関心も感じられたので、今後の信頼研究のさらなる深化を期待したい。

(佐藤仁)


B3. RT:翻訳しにくい開発のことば

  • 企画責任者:佐藤仁(東京大学)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:松原直輝(東京大学大学院)、藏本龍介(東京大学)、橋本憲幸 (山梨県立大学)
  • 討論者:大山貴稔(九州工業大学)

私たちが開発を語るときに用いる言葉はどこから来て、どこで、どのような意味を生み出すのか。開発にかかわる概念の射程の検討を通じて、それらの概念の組み合わせからなる開発学の場所性を議論するのが、このRTの目的である。

本セッションでは、日本語として国内で流通している「開発」にかかわる3つの概念を例に取り上げて、翻訳の問題を検討した。具体的には、松原直輝(東京大学大学院)が「現場主義」を、藏本龍介(東京大学東洋文化研究所)が「土木」を、 橋本憲幸(山梨県立大学)「人づくり」を検討した。

松原会員は、特に緒方理事長時代のJICAによる現場主義の実態分析に基づいて、本部と現場という日本的な組織構造から、「現場」概念の固有性をあぶりだした。

蔵本会員は「土木」の概念史をたどり、寺社建造などの場面で用いられていた「普請」が、明治期に土木に置き換えられた背景や、泥臭さを強調する日本の技術協力と土木概念の関係について論じた。

橋本会員は、「人づくり」が国内開発の文脈から報じた後に、特に途上国での人材育成で盛んに用いられるようになった一方で、対先進国には用いられないという非対称性に着目し、この概念がもつ道徳性と教育との関係について論じた。

これに対して、討論者の大山貴稔(九州工業大学)は、これらの概念が用いられる文脈に応じて意味合いを反転させている点に注目し、概念に埋め込まれた世界認識の整理を行った。そして、概念の翻訳過程に注目することに、どのような学術的貢献を期待できるのかを問うた。

この問いかけを皮切りに、フロアからも多数のコメントや質問が寄せられた。「翻訳しにくい開発のことば」は、今回取り上げたもののほかに数多く、今後も、バラエティーを増しながら、開発におけるアイデアの文脈性と普遍性を検討していく必要性が確認できた。セッションの参加者は概ね40名前後であった。

(佐藤仁)


セッション報告C

C1. RT:日本の国際協力NGOの過去、現在、そして挑戦–
NGOデータブック2021と市民活動年表(国際協力分野)の調査・執筆から見えてきたこと

本RTを企画したのは、以下の二つの出版とそれに伴う調査・分析である。

一つは、国際協力NGOのネットワークの国際協力NGOセンター(JANIC)が2022年3月に出版した「NGOデータブック2021」である。1996 年から『NGO データブック』 としてJANICが NGO に関する 5 年毎の調査を開始し、2011年からは外務省の委託事業になっている。

今回の調査対象とした424 団体の約51%、216 団体から有効回答を得て分析を行ったが、前回の有効回答数の二倍近いので、より正確にNGOの現状に迫ったと想定される。この企画・調査・執筆・監修に楯、長谷川、重田、大橋が関わり、外務省のHPで公開されている。

もう一つは、大阪ボランティア協会が2014年に編集発行した「日本ボランティア・NPO・市民活動年表」(明石書店)の1880~2010年を対象とした国際協力分野の改訂と、2011~2020年の出来事の追加に、長谷川、楯、大橋が携わり、同じ22年3月に刊行されたその「増補改訂版」だ。

これらから見えてきた日本の国際協力NGOの歴史的変化と現状を、長谷川と楯が発表した。

まず長谷川が、「日本の国際協力NGOの歴史と今」と題するプレゼンを行い、日本の国際協力の1960年代からの歴史を6つの時期に分けて説明し、90年代をピークに新規NGOの創設数が10年ごとに約半減していること、一方でソシアルビジネス的なものが増えていることを示した。

そして、現状については現地のパートナー団体を通じての活動が増えていること、活動地域はアジアが少し減り、代わりにアフリカが増えていること、活動では人権や国内課題が増えていること、個人会員数が増えていること、市民社会スペースの縮小がグローバルな問題であることを示した。

続いて楯が、「日本の故高裁協力NGOの財務と人材」というタイトルで三点に関して報告した。まずNGOの財務に関して、NGOの資金は政府資金の増加だけでなく自己資金の増加があること、しかし相変わらず資金規模の二極化が続き、コロナで56.4%が負の影響を受けており、自己資金を伸ばしたのが主に大手によるものと指摘している。

続いてNGOの人材については、人材確保が課題と多くのNGOが述べているが、他セクターでも同様であり、高齢化こそがNGOが直面する独自の課題であるとした。最後の「財務と人材に関する展望と課題」では、労働環境は整いつつあるが、待遇はまだ不十分であること、NGOの存在意義の見直しと自己成長が必要とまとめた。

これらの発表に対する討論者JICAでNGO支援を担当している日浅美和・国内事業部市民参加推進課長、NGO向けのODA資金やその管理費がNGOに与えた影響について関心を寄せる国際開発センター社会開発部の高杉真奈次長、そして欧米や東南アジアのNGOや政府との関係に詳しい高柳彰夫フェリス女学院大学教授だった。会場からの質問もあり、充実したやり取りとなった。

(以上)


C2. RT:移動する人々のレジリエンスとSDGsー移民・難民・遊牧民を中心にー

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 報告者:関谷雄一、マイヨール ロドリグ(民間TVディレクター)、キム ヴィクトリヤ(立命館大学)、湖中 真哉(静岡県立大学)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本セッションは「開発レジリエンスとSDGs」研究部会による第3回目のラウンドテーブルで、前2回のラウンドテーブルでは焦点化されなかった「移動する人々」に着目し、ウィズコロナの今日的な状況の中で、生活基盤に「移動の要素」を抱える人々のレジリエントな様相、SDGsの課題について議論を行った。

始めに関谷が企画・研究部会の主旨説明と、日本における国内避難民のレジリエンスとSDGsに関する課題提供をした。

続いてマイヨール氏(非会員)から、民間放送局の取材現場の視座から見える、日本国内の外国人移民のレジリエンス、政策の課題に関する報告がなされた。

キム氏(非会員)からは、日本における移民の統合過程に関し、結婚移民女性のレジリエンスに焦点を当てた報告がなされた。最後に湖中会員からは東アフリカ遊牧社会からみた移動とレジリエンスに関する報告がなされた。

各報告後に野田会員から報告者に対し質疑がなされ、議論が展開された。

各報告で取り上げられた問題に共通する論点として、グローバルな課題であるSDGsという枠組みに対応する主体として、前提とされているのは国民国家であり、「移動する人々」は自ずとそこから取り残されていることが、それぞれの問題や課題と向き合うことに、どう影響しているのかというものがあった。

各報告者から質疑に対し、それぞれの文脈で応答がなされたが、そこに通底していた論点としては、「移動する人々」の視座に立ったそれぞれの解決法が望まれており、そこには既存の枠組みでは解決できない課題があり、それぞれに個別かつ具体的な当事者性に目を向けることが重要であることが確認された。

(関谷雄一)


C3. RT: “Prospects in Innovation and Development for Solving Social Problems: Learning from Cases in Asia”

  • Organizer: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Chair/Moderator: Naoko Shinkai (Tsuda University)、Pei-Hsin Hsu (Taiwan Forest Research Institute)
  • Presenter: Vincent Y. Chen (Minghsin University/National Taiwan University), Ariya Svetamra (Chiang Mai University)
  • Discussant: Guestspeakers and all the participants

 This roundtable session was organized by the research group on Innovation and Development for Solving Social Problems (IDSSP) of JASID, which was launched in January 2022. There are social problems, which have been observed for decades, and we encounter some of those problems commonly in the world. This session aimed to learn from successful cases of tackling those common social issues in Asia, share knowledge, and find commonality and differences in social issues and the process for solutions. 

 Two guest speakers were invited to talk about their experiences of solving social problems. First, Dr. Vincent Y. Chen at the Department of Leisure Management, Minghsin University of Science and Technology & Institute of Fisheries Science, National Taiwan University, Taiwan presented the application of Artificial Intelligence (AI) to prevent the harassment of green sea turtles in Xiao Liuqiu island, Taiwan, and develop sustainable tourism.

Next, Dr. Ariya Svetamra at the Department of Women’s Studies, Faculty of Social Sciences, Chiang Mai University demonstrated the struggles and risks of migrant women in Northern Thailand and how Feminist Participatory Action Research (FPAR) was applied to understand the realities of migrant women and discuss the structure of gender dynamics for creating their opportunities in the future.

After their presentations, all the participants were invited to ask questions, express their opinions about the lessons learned, and share their knowledge.

 This roundtable session was co-facilitated by Dr. Naoko Shinkai at the Department of Policy Studies, Tsuda University, the Chairperson of this research group and Dr. Pei-Hsin Hsu, at Taiwan Forestry Research Institute, the Vice-chair of this research group.

(Naoko Shinkai)


セッション報告D

D1. 企画・JASID ブックトーク

  • 司会進行:
    島田剛(明治大学)
    芦田明美(名古屋大学)

本セッションではブックトークとして、以下の4冊の本の紹介が著者および出版社の編集担当者よりなされた。セッションの中では各著者から出版にいたったきっかけ、経緯や苦労が共有された。また、編集者の方の工夫されたこと、今後出版するにはどのようにしたらよいかなどの助言がなされた。参加者は延べ約60名にのぼり活発な議論がなされた。


報告書籍: Mine Sato, Nobuo Sayanagi, Toru Yanagihara. 2022. Empowerment through Agency Enhancement: An Interdisciplinary Explorations. Palgrave Macmillan

  • 報告者: 佐藤峰(横浜国立大学)
  • 担当編集者:河上自由乃(Springer英文書籍出版担当)
  • 討論者: 佐藤寛(アジア経済研究所)

1980年代以降の開発援助の政策と実施においては、「主体の働きかけ(主体性)を支援するモデル」を採用しようというみが、政策および実践においてなされてきている。しかし、人を「主体的で自律的存在」として扱えば「主体的な課題対処プロセス」が無条件に始まるわけでなく、そこに至る「主体性の回復と醸成のプロセス」が存在する。

現状では、関連学術領域では、定義や測定の議論が多く、現場では暗黙知や経験則はあるが体系立った整理はなく理論との対応付けも十分に進んでいない。この問題意識に基づき、本書では、主に3つの文脈(参加型開発、普及プログラム、社会サービス)での主体性醸成に関与する要因とメカニズムの理解に焦点を当て、経済学・心理学・人類学の立場から続けてきた共同研究の成果を共有する。

報告書籍: 人権の哲学:基底的価値の探究と現代世界

  • 報告者: 木山幸輔(筑波大学)
  • 担当編集者: 斉藤美潮(東京大学出版会)
  • 討論者: 関谷雄一(東京大学)

本書は、人が人であるがゆえに持つ人権、その正当化の根拠を探り、現代世界への含意を示すものである。本書はその探求を、以下の順番で行う。政治的人権構想と自然本性的人権構想の対立における後者の擁護、自然本性的構想において擁護されるべき構想としての二元的理論の提示、二元的理論の示唆の特定、当該示唆の国際開発援助構想への適用、という順序である。

本書はまず、ロールズ、ラズ、ベイツ、グリフィン、センをはじめ、極めて多様な道徳・政治・法哲学者が参与してきた人権に関する論争を、特に自然本性的構想と政治的構想との論争として捉え、その分析を行う。本書が分析の中で擁護するのは、現在人気があるとは言い難い自然本性的構想の方である。

そして、人間が人としてもつ利益に依拠するものと人権を捉える自然本性的構想、その最善の理論として、人々が同定した善に従って生きることと、平等に扱われることを2つの基軸とする二元的理論を描き出す。そうした知見を背景として、特に国際開発・援助構想に対して評価を与えることを念頭に、社会経済的権利とデモクラシーへの権利、そして国際的関係における人権の適切な描き方を提示する。

最後に、現在影響力を持つ国際開発・援助構想に関する幾つかの論点に対し、描き出された人権構想をもとに評価を加え、私たちが開発・援助を構想する上で望ましい像を描き出す。

報告書籍: 日本の「非正規移民」:「不法性」はいかにつくられ、維持されるか

  • 報告者: 加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者: 今枝宏光(明石書店)
  • 討論者: 日下部尚徳(立教大学)

本書籍は、日本に暮らす非正規移民における「不法性」を問うた実証研究の成果である。移住は送り出し国・受け入れ国の間で発生する事象である。開発の文脈では送り出し国の事情が捉えることが多い。

受け入れ国側から移住を捉えた本書を持って、国際開発学会員に新たな視点を提供したい。元相談員として筆者が抱いた問いを出発点として、1)移民はなぜ「不法」になるのか、2)何が非正規移民の「不法性」を維持させるのかという2つのリサーチクエスチョンを掲げ、質的研究方法を用い、38名の非正規移民をはじめ計69名へのインタビュー、のべ175箇所の参与観察を行った。

報告書籍: デジタル技術と国際開発(リチャード・ヒークス著、竹内知成監訳、ICT4D Lab訳)

  • 報告者: 竹内知成((一社)ICT for Development)
  • 担当編集者: 道中真紀(日本評論社)
  • 討論者: 高田潤一(東京工業大学)

本書は英国マンチェスター大学のRichard Heeks教授の著書「Information Communication Technology for Development」(2017年、Routledge社)の翻訳本であり、国際開発における情報通信技術(ICT)利用に関する初の日本語専用教科書になります。

ケニアのモバイルマネー「M-Pesa」に代表されるように、途上国においてもデジタル技術を活用したサービスが普及し、国際開発においてもデジタル技術の活用が注目を集めています。また、SDGs達成に向けて公的機関のみならず民間企業も取り組みを進める中でICTの活用が進んでおり、様々な組織においてイノベーションやDXというキーワードが使われるようになっています。

こうした背景から、これから求められるのはICTを目的達成の為に活用できる人材であり、技術的な知識と社会課題の両方を理解し、技術分野のエンジニアと社会課題分野の専門家や政策決定者とを橋渡しできるハイブリッドな知見や、どういった要因がICT利活用の成功と失敗を決めるのか、成功率を高める為には何が行われるべきかを様々な観点から理解する力も求められます。

本書はそういった人材の育成に最適な教科書であり、社会課題の解決にテクノロジーの活用が重要性を増している現在、国際開発業界のみならずIT業界で社会課題を解決しようとする人達にとっても役立つ一冊です。

(島田剛)


D2. 「研究×実践」委員会主催企画:ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」について

ラウンドテーブル「災害の現場における実践と研究との連携」 は、「研究×実践」委員会主催の企画としてとして継続的に実施されているもの。前回のJICAの「クラスターアプローチ」をテーマに「援助」にフォーカスを当てたセッションに続き、今回は「災害」に絞り込んだ議論を行った。

浜名弘明会員より「コンサルティングファームからの防災分野における研究×実践」と題して都市OSの適用についての実践例の紹介がなされたのち、芝浦工業大学の市川学准教授より「災害時保健医療福祉活動⽀援システムと災害情報」と題してAIやデータサイエンスの研究成果を活かした災害支援システムの可能性が提示された。

この2つの報告に対して、ユーザーサイドからの視点として、佐藤峰会員より「地域防災への自発的な取り組みと課題:横浜市西区羽沢西部自治会を例に」と題して元横浜市西区羽沢西部自治会長・現第四区地区者協会長の米岡美智枝氏の作成されたスライドを用いた報告がなされ、またカマル・ラミチャネ会員より、とりわけ障害者の視点からみたシステムの使い勝手についてのコメントがなされた。

上記の報告を踏まえて活溌な議論が展開された。とりわけ、「システムの運営をするのは誰か?」という点に議論が集約された。この問いはすなわち「誰が収益を得て、費用負担するか?」という問いに変換されるわけだが、例えば、防災システムによって顧客の情報を把握できるメリットをもつ保険会社や、防災システムによって資産価値の向上が見こまれるデベロッパーに参加してもらうといった具体的なアイディアが検討された。

一見すると、途上国の開発イシューとはかけ離れた議論のように見えるものの、議論をしてゆくなかで、結局は行政のコーディネーションや、費用負担の意志決定といった、開発につきまとうイシューそのものが本質であることが確認された。

(小林誉明)


D3. 教育/子ども(個人)

  • 座長:北村友人(東京大学)
  • 討論者:黒田一雄(早稲田大学)、内海悠二(名古屋大学)

発表者

1.「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」

阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、津田勝憲(宇都宮大学)

2.「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」

小松太郎(上智大学)

3.「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」

朝倉隆道(広島大学)

本セッションでは、以下の3件の研究発表が行われた。いずれも教育や子どもに関する重要なテーマを扱い、学術的また実践的な示唆に富む研究であった。

阪本公美子会員・大森玲子会員・津田勝憲会員(いずれも宇都宮大学)による「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康に関する予備的報告―ダルエスサラームとプワニ州における質問票調査より―」は、阪本会員が代表して発表を行った。

タンザニアの地方都市における小学生96名を対象に、①雨季と乾季の食品・食品群別摂取頻度、②野生食物の摂取頻度、③健康状況、④食品群・野生食物の摂取頻度と、健康の関係について質問紙調査を行い、子どもたちの食習慣パターンを明らかにした。

小松太郎会員(上智大学)による「新制度論による紛争後社会の教育改革分析」では、ボスニアを事例として、政治学等の研究で用いられる3つの新制度論(社会学的新制度論、歴史的制度論、言説的制度論)を援用して、紛争後社会の教育改革の分析・説明を行った。

紛争後社会の復興において、多様なアクターが関与しながらいかにして制度が形成され、機能するようになるのかを、異なる視点から分析することで明らかにした。今後の実証研究にも期待を抱かせる、優れた分析であった。

朝倉隆道会員(広島大学)による「日本の非政府アクターによる教育輸出―公文教育研究会を事例に―」では、民間企業を中心とした非政府アクター(non-state actor)が国際教育協力に参入し、教育サービスを提供する新展開が進む状況のなかで、そうした企業(この研究の事例としては公文教育研究会)が用いる戦略について検討した。

事例分析を通して、供給側の形成するイメージや言説が、受容する人々の想起する教育への期待や幻想をかき立てようとしていることを明らかにした。

これらの研究発表に対して、討論者の黒田一雄会員(早稲田大学)と内海悠二会員(名古屋大学)から的確かつ刺激的なコメントが提起され、また参加者からも重要な質問や指摘がなされ、活発な議論が交わされた。

それらの論点は、理論と実践を架橋することの重要性や難しさに関する指摘から、研究の方法論に関するものまで幅広く、それぞれの発表者が研究のさらなる発展を目指すなかで参考になるものであったと確信している。

(北村友人)


セッション報告E

E1. 環境(個人)

  • 座長:藤川清史(愛知学院大学)
  • 討論者: 豊田知世(島根県立大学)、山口健介(東京大学)

発表者

1.「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について」

久保英之(地球環境戦略研究機関)

2.「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」

安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原 宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)

3.「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」

小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)

環境セッション(E1)での報告は次の3本であった。

1.久保英之(地球環境戦略研究機関)「熱帯地域における気候変動緩和策としての植林事業の方法論について、2.安達一郎(JICA)、檜枝俊輔(日本工営)、中川原宏昭(日本工営)、櫻井幸子(日本工営)「新興国における環境政策・制度の発展と課題について-タイとベトナムでの先駆的事例分析を踏まえて-」、3.小松豊明(特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会/ルーテル学院大学)「国際開発とソーシャルワークの距離感と接近の可能性」。

これらの報告に対する討論は、豊田知世(島根県立大学)と山口健介(東京大学)にお願いした。

植林活動は地球温暖化防止活動として注目されるが、同時に地域の貧困削減等の社会経済活動でもある。久保報告は、材木利用による所得向上が目的にもかかわらず、しばしば木材需要先が確保されていないことや、事業期間が短期間なので、間伐・伐採・再植林のサイクルが事業に組み込まれていない等の問題があることを指摘し、ベトナム(政府主導)とマダガスカル(JICA)での成功例では、こうした問題が解決されていると述べる。

これに対して討論者からは、民間企業と連携しての実施の可能性があり、REDD+やVCSの認証制度との整合性も重要だろうとのコメントがあった。

安達報告は、途上国では産業振興政策が優先され、環境保存政策は後回しにされているというのが従来の認識であったが、近年は経済成長と環境保全対策の両立は可能という「エコロジー近代化論」に基づいた、従来型の規制的手段ではない先駆的な環境政策もタイやベトナムで見られると述べる。

これに対して討論者からは、政策の設計段階で市民を巻き込むことを前提としていても、運用上で市民を巻き込めるのか、規制を受ける企業側の協力は担保されるのか等のコメントがあった。

小松報告では、国際開発事業と国内の社会福祉・ソーシャルワークの分野は、かなり共通した活躍をしているものの相互理解が進んでいないと述べる。ソーシャルワーク側からは国際開発を「国際ソーシャルワーク」と捉える一方で、国際開発の分野では社会福祉ないしはソーシャルワークへの関心は薄いとのことである。

討論者からは、国際ソーシャルワークの範囲を明らかにする必要があり、双方の接点を作るためにはどうすればよいかの提案をしてほしい等のコメントがあった。

(藤川清史)


E2. 開発(個人)日本語

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • 討論者:高橋清隆(恵泉女学園大学)、嶋田晴行(立命館大学)

発表者

1.「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」

石黒馨(神戸大学)

2.「中国における開発研究―その特徴と可能性―」

汪牧耘(東京大学)

3.「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する―経済制裁から長期のベーシックインカム財源保障・給付条件整備援助へ」

岡野内正(法政大学社会学部)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。第1は、石黒馨による「カンボジア農村女性の幸福度と社会関係資本」であった。社会関係資本についての研究は多いが、途上国の農村女性を対象にしたものは少ないので、その空白を埋めることを意図していた発表であった。

幸福度と主観的健康を区別して調査した結果、幸福度の向上には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、家計所得、主観的健康度などが影響するのに対し、主観的健康の改善には、家族への信頼、金銭貸与、社会参加、子供の生存人数などが影響するとされた。

これに対してコメンテーターの高橋清貴から、村の属性や、各種のコンテクストによって状況は変わるのではないかといった指摘がなされた。

第2報告は、汪牧耘の「中国における開発研究」であった。西欧から入ってきた「開発研究」が中国にどのように受け入れられてきたかという大変興味深い研究発表であった。汪によれば、西欧の研究が普遍的発展モデルを提示する傾向があるのに対して、中国での研究はより実践的であるとまとめられた。

コメンテーターの嶋田晴行からは、事前に詳細なコメントが提示されており、日本と中国の類似性や相違性も含めた幾つかの指摘がなされた。汪は返答として、中国が海外の研究者たちと交流することにより、中国自身の経験を明確化させることができ、それが重要であるとの指摘もあった。

第3は、岡野内正による「ターリバーンとともにアフガニスタンでSDGsを達成する」であった。発表に際し、画面共有がうまくできなかったが、岡野内の主張としては、ベーシックインカムによって、(1)健康状況の改善、(2)経済の改善、(3)コミュニティの活性化が、もたらせたと指摘された。

コメンテーターの高橋清貴からは、アフガニスタンが抱えるさまざまな課題が根深いものであるために、今後とも考察していくべき点は多々ある旨の指摘がなされた。

座長としての感想を一言。全体に事例研究としては3報告とも特徴があり個性的であったが、今後、事例の研究意義をより明示的に提示できれば、それぞれの研究発表はさらに有益になるであろうと思われる。

(斎藤文彦)


E3. 社会/経済(個人)

  • 座長: 會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)、栗田匡相(関西学院大学)

発表者

1.「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化―食の入手・消費・共有に注目して―」

伊藤紀子(農林水産政策研究所)

2.「COVID-19のエジプト経済への影響」

岡室美恵子(星城大学)、染矢将和(名古屋大学)

3.「長期における新技術の導入・標準化・衰退」

宮田幸子(立命館大学)、澤田康幸(東京大学)、高倉一真(東京大学)

本セッションでは、発展途上国の社会・経済問題に関する3つの報告が行われた。

第1報告は、伊藤紀子(農林水産政策研究所)「インドネシアとケニアの農村における農家の社会関係と食慣行の変化 ―食の入手・消費・共有に注目して―」で、主にインドネシアの農村調査に基づいて食事内容や共食の慣行についての分析結果が報告された。

コメンテーターの小國和子氏(日本福祉大学)からは、共食儀礼が子供の栄養状態に与えたインパクトや、データ収集方法についての質問・コメントが挙げられた。他にも、現地における共食儀礼の詳細についての質問があった。

第2報告は、岡室美恵子(星城大学)「COVID-19 のエジプト経済への影響」で、エジプトのマクロ経済状況を概観した後、クロスカントリーによるCOVID-19の経済成長への影響分析の結果に基づき、そのエジプト経済への影響をシミュレートした結果が報告された。

コメンテーターの栗田匡相氏(関西学院大学)からは、データの制約に伴う計量分析モデルの妥当性や論文の構成についてコメントがあった。他にも、COVID前後の比較をすることで計量分析の精度を上げられる可能性が指摘された。

第3報告は、澤田康幸(東京大学)「長期における新技術の導入・標準化・衰退」で、インドネシアのダム建設に伴う住民移転と養殖業への参入の決定要因に関する長期の計量分析結果が報告された。

コメンテーターの栗田氏からは分析結果の解釈や住民移転が選好パラメータに与える心理的影響の可能性などについてコメントがあった。他にも、住民移転に伴う補償金が技術導入に与えた影響についての質問があった。

(會田剛史)


セッション報告F

F1. Community Development

  • Chair: Koichi Ikegami (Professor, Emeritus, Kindai University)
  • Discussant: Emi Kojin (IDE-JETRO), Daisuke Sasaki (Tohoku University)

Presenters

“The evolution of community-based tourism in Vietnam – a critical review of policy and research-”

Nguyen Quang Tan (Okayama University), Fumikazu Ubukata (Okayama University), Nguyen Cong Dinh (Hue University)

“Influences of economic development among traditional mountain area – Case studies on remote tourist destinations in Shiga prefecture, Japan”

Kiyoto Kurokawa (Ritsumeikan University)

The session F1 “Community Development” comprised two presentations on local tourisms. The number of participants was approximately 20.

Nguyen Quang Tan presented a case study on community-based tourism (CBT) in Vietnam. First, he analyzed tourism policy documents by a four -component framework, namely demands, decision, outputs, and impacts.

As a result, he revealed that the process of tourism policy was divided into three periods, and the position of the CBT was still low for the government. Second, he showed the result of analysis of the peer-reviewed English articles by the qualitative thematic analysis (QTA) method.

After he categorized them into three groups in terms of CBT perspective, he pointed majorities were ‘Development Supporters’ which put priority on an economic aspect. Other two categories, ‘Protectionists’ claiming importance of a cultural viewpoint and ‘Community Developers’ lying between the both categories were few.

His main finding was the conformity of policies and studies. Emi Kojin commented three points; (1) unclear purpose and assumption of the study, (2) importance of narrowing down the area of policy (i.e., concentration on tourism policy), and (3) questions on economy-oriented policy and researches.

Additional comment by a chair was a risk of bias caused from analyzing only English literature.

Kiyoto Kurokawa explained the various local treasurers and a local tourism project planned at the ancient emperor palace of Shikaraki situated in Shiga Prefecture. According to his presentation, Shiga Prefecture is rich in local treasurers, ranging from nature parks to cultural heritages as well as traditional folk crafts, but they could not attract many domestic tourists because of low visibility.

A local tourism project based on the historical backgrounds might change such situation because of increase in demand of cultural tourism.

Daisuke Sasaki commented the necessity of verifying the conclusion in an evidence-based manner, and suggested effectiveness of Tourism Destination Competitiveness (TDC) for compensating for this weakness.

Even though the demand of local tourism such as nature-based and cultural one is increasing instead of mass-tourism, there are a lot of tourism sites in the local area. The question is how tourists decide their destination. The TDC approach can open a new perspective for researchers and practitioners related with a tourism sector.

(Koichi Ikegami)


F2. Education (Individual) *English

  • Chair: Taro Komatsu (Sophia University)
  • Discussant:Mikiko Nishimura(ICU)、Katsutoshi Fushimi (JICA)

Presenter

“The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil”

Leite Dalmon Danilo (Kobe University)

“War Trauma and Education―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―”

Mari Katayanagi (Hiroshima University)

“Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers”

Melisa Fabella (Ritsumeikan University)

This session was attended by some 20 participants. There were three presentations as below.

Leite Dalmon Danilo (Kobe University): The Implementation of Practices Related to Student Achievement by Municipal Governments in Brazil

The proposed research intends to fill this gap in the literature by analyzing the practices of effective
municipalities in primary education in Brazil by using the “district effectiveness framework.”

The expected outcomes for this research include the analysis of the implementation of “effective district
practices” by municipal secretaries of education in Brazil that are considered “effective”.

This should contribute to the literature by expanding the range of contexts in which effective district practices can be used to describe the mid-level government practices associated to higher student achievement.

Moreover, it will provide new evidence that Brazilian policymakers and those from other low- and middle-income countries can use to improve their government practices.

A commentator suggested, among others, that the study take into consideration local contextual factors that may affect the study topic.

Mari Katayanagi (Hiroshima University): War Trauma and Education ―A Case Study of Bosnia and Herzegovina―

The study aims to interrogate the effects of war trauma on school education and learning in the case of Bosnia and Herzegovina.

The data were examined using qualitative narrative analysis, questioning how children were psychologically affected by war, what consequences were observed in their education, and how they have coped or were coping with the consequences.

The study concludes that children become particularly vulnerable when they are separated from their families; when the uncertainty of the future increases and credible threats to life are felt, children lose their motivation to study; education assists in holistic development and the attainment of resilience to overcome challenges, including psychological ones; and attention must also be paid to cultural specificities and attitudes towards psychological care and treatment.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis, literature gap and research ethics, which were answered by the presenter point by point.

Melisa Fabella (Ritsumeikan University) Long-term Impact Evaluation of Conditional Cash Transfer Program on Poverty: Evidence from the Philippine Fishers

The research evaluated the long-term impact of the CCT program (4Ps) on poverty and examine its alignment with the SDG No. 1, which was to eradicate extreme poverty.

The study reveals that the program has reduced poverty among the poor across time. This study has also found some issues within the dataset that should be addressed such as data outliers and inconsistencies with other impact evaluation studies in the country.

Furthermore, in order to keep the program`s effectiveness through time, critical impact monitoring and evaluation should be continuously done to ensure that the people, especially the poor and the marginalized sector, can truly benefit in the program.

A commentator asked for clarification regarding the data analysis procedure. There was also a brief discussion regarding the impact of the program on education as it was the session’ theme.

(Taro Komatsu)


F3. Economy / Society (Individual)

  • Chair: Masato Noda (Ibaragi University)
  • Discussant: Yasushi Katsuma (Waseda University), Takao Toda (Meiji University)

Presenter

1. “Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance: A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investment”

Soulivanh CHANSOMBUTH (Ritsumeikan University)

2. “Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?”

Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University), Naoko Takasu (Ritsumeikan Asia Pacific University)

当セッションでは、第1報告として、Soulivanh Chansombuth 会員(立命館大学)、第2報告としてNaoko Takasu会員 およびTatsufumi Yamagata会員(ともに立命館アジア太平洋大学)から次の報告がなされた。参加者は24名であった。

第1報告では、Economic Analysis on Socio-Economic Growth by the Impact of Official Assistance A Case Study of Laos’ Tertiary Education Relation to Growth; Knowledge of Electronic and Entrepreneur in the Field of Electronic Investmentと題し、オーストラリアの援助がラオスの高等教育を通じて経済成長もたらす影響等について、産業人材の開発に着目した分析がなされた。

また、第2報告では、Distribution of COVID-19 Vaccines to 49 Sub-Saharan African Countries: Which Vaccines Go Where and How?と題し、サブサハラアフリカ地域におけるCOVID-19ワクチン接種の現状と課題について、UNICEFのCOVID-19 Vaccine Market Dashboard等のデーターをもとに分析がなされた。

質疑応答では、第1報告に対して討論者の戸田隆夫会員(明治大学)から分析方法の妥当性等について、座長の野田からはドナーとの関係や評価等について質問・コメント等がなされた。

第2報告に対して、勝間靖会員(早稲田大学)からCOVAX等によるワクチン分配等について、戸田会員からサブサハラ地域の多様性とワクチン等について質問・コメントがなされた。続いて、参加者による活発な議論が時間いっぱいまでなされた。大変充実したセッションとなり、関係各位に感謝申し上げる。

(野田真里)




第23回春季大会・優秀ポスター発表賞

2022年度春季大会のポスターセッションでは、16件の意欲的な研究報告がありました。オンライン開催を考慮して、昨年度の全国大会に引き続き、今回もビデオ掲載による発表の形式となりました。

ポスターセッション発表に対する賞選考委員会および常任理事会での厳正な審査の結果、下記の作品が優秀ポスター賞として選出されました。

優秀ポスター発表賞

 松田華織・会員

 “An Analysis of Access to Education for Children with Disability in Indonesia”

 太田洋舟・会員

「モルディブ共和国における「ムスリムネス」の多様性に関する一考察―首都マレ圏のスポーツ活動を行うムスリム女性を事例として―」

賞選考委員会
委員長・三重野文晴(京都大学)




第33回全国大会(明治大学)のお知らせ

今年の国際開発学会・全国大会を12月3日(土曜)および4日(日曜)に、明治大学(お茶の水・駿河台キャンパス)で開催させていただけることになりました(会場の都合から、4日にプレナリー、総会、ポスター発表を予定)。現時点では対面とオンラインの併用により実施していく予定です。

1.テーマについて

今回の大会では「グローバル危機にどう立ち向かうべきか ー 紛争・食糧高騰・飢餓」をテーマにしました。今、世界は新型コロナ禍に始まり、その後の世界的な物価高、さらにはウクライナ侵攻後の小麦などの食糧価格の上昇、そしてアフリカの角における飢餓など、次々に新たな危機が押し寄せてきています。

いずれの危機も一つの国では対処するのが難しい国を超える課題であり、一人ひとりの人間の生活が脅かされているという人間の安全保障の危機とも言えます。

これらの危機はまた、一つの学問分野だけでは対処が難しい問題でもあります。国際開発学という学際的なアプローチではどのような問題の捉え方ができ、どのように解決できるかを話し合える場になればと思っています。


2.対面・オンライン併用での開催の難しさについて

6月現在の状況であれば対面での開催が可能ですが、今後、再び感染の増加がないとは言い切れません。そのため、対面での開催と同時にオンラインでも開催できるように準備を進めています。準備を始めてみて、どちらにも対応できるようにという準備はとても難しいと感じています。不確定な未来の状況に対して、全てのケースに対して準備をすることはなかなかできそうにないからです。

参加いただける方々にできるだけ満足いただけるようにしたいと思いつつ頭を悩ませながら対応しているというのが現状です。

大会の実施にあたっては多くの学部の学生たちに手伝ってもらう予定です。新型コロナ禍の状況では、これらの学生に無理はさせられないですし、またスタッフ側とはいえ学生に対する感染症対策は学会として責任をもって実施していきたいと思っています。皆さまにもご協力いただければ幸いです。


3.会員の交流会などについて

新型コロナ禍により色々と制約のある中での開催となりますが、会場の近くの神田・神保町・お茶の水はとても魅力的な街です。源氏物語絵巻や解体新書が店で販売されるような場所は世界でも神保町ぐらいしかないのではないでしょうか。ぜひ学会の合間に街歩きなども楽しんでいただければと思います。

残念ながら新型コロナ禍対策のため、学内における飲食を伴う懇親会は認められていないのですが、会員間で話し合う交流会はしたいと思っています(そしてぜひ神保町の喫茶店、カレー店(洋風カレーのみでなく、本格的な南インド、スリランカ、バングラデシュのカレー店)や、インドネシア、アルゼンチン、ロシアなどの料理で語り合いたいものです)。

今回の大会は対面を再開し、学会員が交流できる場になればと思っています。以下の体制でお迎えできるように準備をしております。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。

大会実行委員長・島田 剛(明治大学)


第33回全国大会・概要

  • 日程:2022年12月3~4日(土・日)プレナリー、総会、ポスター発表は4日を予定
  • 会場:明治大学(対面とオンラインを併用して開催)
  • テーマ: 「グローバル危機にどう立ち向かうべきかー 紛争、食糧高騰、飢餓」

実行委員会

事務局長

  • 高橋 華生子(明治大学):会場運営担当
  • 林 愛美(明治大学,大阪公立大学):オンライン担当
  • 三牧 順子(明治大学):会場運営担当
  • 李 洸昊(早稲田大学):会計担当

アドバイザー

  • 小林 尚朗 (明治大学)
  • 笹岡 雄一 (明治大学)
  • 長畑 誠  (明治大学)
  • 源 由理子 (明治大学)

*役職内の並び順は50音順

第33回全国大会・実行委員会
実行委員長:島田剛(明治大学)




大会組織委員会からのお知らせ(2022年8月)

2022年6月18日に福岡県立大学を中心に準備してきた第23回春季大会が成功裏に終了した。 2022年の第33回全国大会は、12月3、4日に、明治大学(神保町キャンパス)で実施予定である。アクセスのいい都心での開催となるので、多くの会員が対面で交流する機会となれば幸いである。

また、今期大会組織委員会では、大会実行委員会の負担を減らし、より大会の内容充実に注力していただけるよう、大会運営管理のためのコンピュータシステムの導入を進めており、第33回全国大会の発表申し込み、参加登録から実用化の予定である。これにより、実行委員会の運営業務がスリム化されるだけでなく、参加者にとっても、手順が容易になるものと期待している。

大会組織委員会
委員長・山田肖子(名古屋大学)




「研究×実践」委員会からのお知らせ(2022年8月)

活動報告

  • これまでと同様、春期大会においても「研究×実践」委員会主催のラウンドテーブルを企画した。「災害の現場における実践と研究との連携」 と題し、災害について議論した。詳細はRTのニューズレター該当部分に記載。
  • 月例の会合を拡充し、外部からのリソースパーソンを招いての拡大定例会を開催した。インキュベーションプログラムを実践している富岡功氏よりリーンスタートアップについて報告をいただいた。
  • その内容へのレスポンスから、全国大会でのセッションのテーマとして「開発とビジネス」を再検討するような内容のものを検討することとなった。

「研究×実践」委員会
委員長:小林誉明(横浜国立大学)




地方展開委員会からのお知らせ(2022年8月)

地方展開委員会は、2022年6月18日、第23回春季大会でラウンドテーブルセッション「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」を開催しました。2021年全国大会のラウンドテーブルでの議論を踏まえ、陸前高田、高知、秋田の各現場から中継でお伝えしました。

その後に開催されたプレナリーセッション「知っちょるよ、もうやっとるよSDGs」とあわせて、「地方」で生活する個の目線から「課題解決から始まる開発ではなく、地域の可能性や夢分析から始まる開発へ」、「支援する人・される人を前提とした開発ではなく、支援者であるという前提を相対化した先にある当事者として共に地域の可能性・夢を実現する開発へ」というパラダイムシフトの重要性を提示することができました(詳細は、RT、プレナリーセッションの報告をご覧ください)。

地方展開委員会
委員長:佐野麻由子(福岡県立大学)