第34回全国大会セッション報告(プレナリー、ブックトーク、ポスター発表)


プレナリー(対面・オンライン)


日本の開発援助はどこに向かうのか―開発協力大綱の改定を受けて—

  • 2023年11月11日(土曜)13:30 〜 16:30
  • 2-1702 (2号館1702)

【司会】小松 太郎:上智大学総合人間科学部教育学科教授、国際開発学会大会実行委員長

【モデレーター】田中 雅子:上智大学総合グローバル学部教授、国際開発学会大会実行委員会事務局長

基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」

峯 陽一:国際協力機構(JICA)緒方貞子平和開発研究所所長、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授、開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会委員、国際開発学会員

コメンテーター

  • 伊豆山 真理:防衛研究所理論研究部長、専門分野:南アジアの政治・外交・安全保障
  • 佐藤 仁:東京大学東洋文化研究所教授、国際開発学会 会長
  • 松本 悟:法政大学国際文化学部教授、外務省開発協力適正会議委員、国際協力機構(JICA)環境社会配慮助言委員、国際開発学会 常任理事

前半は、峯陽一(同志社大学、JICA緒方貞子平和開発研究所所長)による基調講演「国益、地政学、人間の安全保障―開発協力はどこへ行く?」に続いて、伊豆山真理(防衛研究所)、佐藤仁(東京大学)、松本悟(法政大学)がコメントを述べた。

また、バングラデシュとフィリピンの研究者、ならびにケニアの市民社会組織のオピニオンリーダーからのビデオレターを上映した。

後半は、会場からの質問をもとに、政府開発援助(ODA)と政府安全補償能力強化支援(OSA)の区別、それらのモニタリング過程への相手国政府や市民社会の関与、国際協力に関わる人材を増やすための大学教育のあり方、開発援助の新たな価値の創造に学会や研究者はどう関わっていくかという点などについて、コメンテーターによる討論を行った。

司会は大会実行委員長の小松太郎が、モデレーターは大会実行委員会事務局長の田中雅子(ともに上智大学)が務めた。

上智大学国連WEEKSのポスト企画として実施し、日英同時通訳と日本語字幕による情報保障を行った。上智大学国際協力人材育成センター(SHRIC)からも協力を得た。

大会参加者の他、上智大学国連WEEKSの申込者あわせて約200名が対面で、100名以上がオンラインで参加した。

第34回全国大会・実行委員会
委員長:小松太郎(上智大学)


ブックトーク

  • 日時:2023年11月12日(日曜)09:30 〜 11:30
  • 会場:紀-112 (紀尾井坂ビル112)
  • 聴講人数:50名
  • 企画責任者・モデレーター:佐藤寛(開発社会学舎)、島田剛(明治大学)、道中真紀(日本評論社)芦田明美(名古屋大学)

報告書籍(1)『争わない社会――「開かれた依存関係」をつくる』

  • 発表者:佐藤 仁(東京大学東洋文化研究所)
  • 担当編集者:倉園 哲(NHK出版)
  • 討論者:志賀裕朗(横浜国立大学)

コメント・応答

国家間の戦争、社会の分断、個人同士やネット上の諍(いさか)いなど、豊かになり余裕ができた時代にも争いが絶えないのはなぜか?国からは「自助」を、市場からは「競争に勝ち残ること」を求められて、個人が孤立無援となってしまうのはなぜか?

本書は、その原因が近代人の「自立」への欲求にあったと見て、その陰で見落とされてきた「依存」の可能性を問う試みである。

誤読された進化論、支援国の利益になる対外援助、明治から100年近く闘われた入会権闘争、社会問題の発見を通じて居住地域への帰属意識を育んだ生活綴方までを分析。機能的な中間集団への依存が争いの芽を摘む可能性を示す。領域を横断する考察が切りひらく、社会科学からの挑戦の書。

報告書籍(2)『未来へ繋ぐ災害対策:科学と政治と社会の協働のために』

  • 発表者:松岡俊二(早稲田大学)
  • 担当編集者:渡部一樹(有斐閣)
  • 討論者:木全洋一郎(JICA)

コメント・応答

従来の災害対策では有効に対応できない災害が多発し、従来のやり方では「未来へ繋ぐ災害対策」にならないのではないかという深く本質的な「問い」を踏まえ、どのようにすれば「未来へ繋ぐ災害対策」を創ることができるのかという「問い」に「応えたい」と思い、本書「未来へ繋ぐ災害対策」を編集した。

しかし、本書は「未来へ繋ぐ災害対策」とは何かという「問い」に対する「答え」を提示しない。より正確に言えば、「問い」への唯一の正解や最適解はないし、正解は幾つもあるというのが本書の基本的な立場である。

幾つも存在する正解から、科学と政治と社会は協働して「対話の場」=「学びの場」を形成し、社会的に納得可能な解決策を共創することが必要であり重要だというのが、本書の一貫したメッセージである。

さらに言えば、「学びの場」とはLearning Communityであり、災害対策の新しい知識を創造するという目的をもったコミュニティである。

科学と政治と社会による「対話の場」=「学びの場」が有効に機能するには、参加者のエンパシー能力の形成や境界知作業者の役割が決定的である。

こうした点も、本書の重要なメッセージとして終章で詳しく述べている。

報告書籍(3)『入管の解体と移民庁の創設ー出入国在留管理から多文化共生への転換』

  • 発表者:加藤丈太郎(武庫川女子大学)
  • 担当編集者:黒田貴史(明石書店)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)

コメント・応答

法務省入国管理局は入管法の執行者として自らをあらゆる権力の上位に置いてきた。

2019年4月に、出入国在留管理庁へと格上げされる中、スリランカ人女性の死亡事件が起きた。入管は現在のまま存続して良いのであろうか。

入管を一度解体し、新たに移民庁を創設するアイディアを本書では構想した。第1章から第16章まで16 名の著者(監修者を含む)による論考を収録した。

第1部は「人権無視の外国人管理」と題し、出入国在留管理庁において人権が守られていない状況を主に実務家が事例をもとに示した。

第2部は、「元入管職員の『中の視点』から」と題し、実際に入管に務めた経験を有する元職員が出入国在留管理庁における問題点を「中の視点」から述べた。

特に元東京入国管理局長からは、「交流共生庁」の創設という具体的な案が示された。

第3部は戦後から21 世紀にかけての「入管の歴史」を4名の研究者の論考をつないで追いかけた。

第4部「移民庁の創設に向けて」では、3名の研究者の論考から「民族」概念を問い直し、入管に存在する「レイシズム」を明らかにし、「諸外国の入管・統合政策担当機関」のあり方を整理した。

報告書籍(4)『SDGs時代の評価:価値を引き出し、変容を促す営み』

  • 発表者:米原あき(東洋大学)
  • 担当編集者:鶴見治彦(筑波書房)
  • 討論者:山田肖子(名古屋大学)

コメント・応答

SDGsの取り組みは評価が難しいと言われる。それは、SDGsがこれまでの国際開発目標とは異なる次元で問題提起をしているのに対し、その取り組みを評価する方法や思考が旧次元に留まっているからではないか。

本書では、「評価evaluation」という活動を価値(value)を引き出す(ex-)ための営みと捉えて、SDGs時代に求められる評価の在り方を検討している。

「不確実性のなかで多様な個人や集団が協働して持続可能な社会を構築することが求められる時代」であるSDGs時代の評価には、ふたつのシフトが求められる。

それらは、①評価をPDCAの「C」という一点でとらえる「点の視点」から、PDCAという一連の流れやそのサイクルの積み重ねという「線や面の視点」へのシフトと、②評価を与えられた指標に基づく測定と前提して「いかに測るべきか」(measurability)を問う姿勢から、そもそも評価したい/すべき価値は何なのかという大前提からの問い直し(evaluability)を前提とする姿勢へのシフトである。

本書の各章では、これらのシフトにかかる事例や、これらのシフトに関連する新たな評価理論を紹介している。

報告書籍(5)『SDGsを問い直す ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』

  • 発表者:野田真里(茨城大学)
  • 担当編集者:舟木和久(法律文化社)
  • 討論者:山形辰史(立命館アジア太平洋大学)

コメント・応答

SDGs(2016~2030年)の中間年にあたる2023年、SDGsを問い直す野心的研究として、人間の安全保障上の危機であるコロナ禍の教訓を踏まえ、ポスト/ウィズ・コロナを展望しています。

本書はSDGsの17目標に因んで17の論稿から構成されています。SDGsのゴールの達成状況の分析とともに、今回のコロナ禍によってもたらされた課題を2つの角度から分析しています。

1つは、「取り残される人々」やレジリエンス(強靭性、回復力)の観点です。もう1つは、「ポスト/ウィズ・コロナ」の観点です。

「取り残された人々」が具体的にどのような危機的状況におかれているのか、また、SDGsの観点からどのように取り組んでいくべきなのかを詳細に描いています。

本書では、これまでSDGsについて充分論じられてこなかったテーマ(高齢者、障害者等)やSDGsへの批判的観点を含めて、踏み込んだ検討を行っています。

また本書は国際開発学会員のSDGsに関する2016年からの2つの研究部会(「持続可能な開発とSDGs」、「開発のレジリエンスとSDGs」)の成果でもあり、多くの学会員が執筆しています。

【総括】

本ブックトークセッションでは会員による近刊5冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版に至ったきっかけや経緯、苦労等が共有された。

討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者は常時50名にのぼり、活発な質疑応答となった。

報告者:芦田明美(名古屋大学)

ポスター発表

  • 2023年11月11日(土曜)09:30 〜 13:00(コアタイム11:45-12:45)
  • 2号館5階学生食堂
  1. [1R01] 僧院が担う新たな社会的包摂機能
    ―ブータン王国における仏教とウェルビーイング―

    *佐藤 美奈子(京都大学)
  2. [1R02] Space-Time Analysis of East-West Inequality of Economic Development and Digital Financial Inclusion: Province-level Evidence from China
    *Jiaqi LI(Nagoya University)
  3. [1R03] ミャンマーとバングラデシュにおける SDGsの達成状況
    ー目標1を中心にー
    *頼藤 瑠璃子、*エイチャン プイン(熊本学園大学)
  4. [1R04] ポストコロナにおけるスマートツーリズム:ヨーロッパとアジアの事例比較分析
    *ZHU Ningxin(立命館大学大学院)
  5. [1R05] 高校生は SDGsから何を考えイメージするのか~イメージマップテストを用いた分析~
    *坂根 咲花(関西学院大学大学院)
  6. [1R06] 気候変動の影響が武力紛争を招く社会の脆弱性条件
    *長野 貴斗(京都大学大学院)
  7. [1R07] ガーナにおける就学前教育が与えるスクールレディネスへの影響の分析
    *内山 かおり(神戸大学大学院)
  8. [1R08] Influence of Maternal Decision-Making on Children’ s Years of Schooling in Malawi
    *Yudai ISHII(Kobe University)
  9. [1R09] Analysis of Demand-Side and Supply-Side Factors on Learning Outcomes in Myanmar
    *Htet Myet Aung(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)
  10. [1R10] 地域 SDGsプロジェクト共創を促進するオープンソーシャルイノベーションプラットフォーム事業の実証研究 – 石川県金沢市 IMAGINE KANAZAWA2030パートナーズ事業の分析から-
    *津田 祐也1、*富田 揚子2 ( 無所属、2. 国連大学サステイナビリティ高等研究所)
  11. [1R11] An Assessment of Digital Competence of Freshmen at Top Ranked Public Universities in Bangladesh
    *Rakibul HASSAN(Kobe University)
  12. [1R12] Analysis of Parental Involvement and Secondary School Students’ Academic Achievement in Cambodia
    *SARA Thavrith(Kobe University)
  13. [1R13] 太平洋島嶼国パラオに見る開発の多元性
    ー援助ドナーとの相互依存関係と地域社会に着目してー
    *井川 摩耶(東京大学大学院)
  14. [1R14] Perception of Students with Disability on Inclusivity in Higher Educational Institutes of Bangladesh *Sheikh Rashid Bin ISLAM(Kobe University)
  15. [1R15] 発達障害のつくられ方−個性と障害の境界線をめぐる人々の認識と国際的診断基準のギャップ−
    *八郷 真理愛(横浜国立大学大学院)
  16. [1R16] An Analysis of the Factors Influencing Primary School Students Learning Achievements in Burundi
    *Deo KABANGA(Kobe University)
  17. [1R18] Analysis of Influence of Student and Family Factors on Learning Achievements in the Philippines.
    *Minghao Wang(Kobe Univ.)
  18. [1R17] An Analysis of Teacher Quality and Primary School Students’ Learning Achievement in Cambodia
    *Sreymech HOEUN(Kobe University)
  19. [1R19] フィリピンの若者が困難な状況を乗り越えるためのパターン・ランゲージの作成
    *金井 貴佳子、太田 深月、井庭 崇(慶應義塾大学)
  20. [1R20] バングラデシュにおける普遍的就学前教育政策下での就学前学校の種類の決定要因
    *宇野 耕平(神戸大学大学院国際協力研究科)
  21. [1R21] Assessment of community ICT access and connectivity for development of an intangible cultural heritage digital repository in Luang Prabang
    *Jerome SILLA1, Jun-ichi Takada2, Shinobu Yamaguchi1, Sengthong Lueyang3, Souvalith Phompadith3, Xaykone Phonesavath3 ( United Nations University, 2. Tokyo Institute of Technology, 3. Luang Prabang World Heritage Office)
  22. [1R22] グローバル企業経営戦略・ GVCMとの連携による産業発展に関する「発展経営論」試論
    *竹野 忠弘(名古屋工業大学)

その他

  • 一般口頭発表
  • 企画セッション
  • ラウンドテーブル
  • プレナリー、ブックトーク、ポスター発表



[RG24-4] 開発論の系譜

開発論の系譜

The Genealogy of Development Discourses

代表:大山 貴稔(九州工業大学)

国際開発学会の誕生から30年超が過ぎ去った。このあいだに対外援助を取り巻く国際的アジェンダは激変し、ドナー国を対外援助へと駆り立てる誘因も移り変わり、ドナー国が国内で抱える社会課題も変転してきた。

日本のJICAを例に採ってみても、外国人に向けて国内外で「日本の開発学」を展開したり、外国人材の受入支援に取り組んだりと、従来の取り組みに収まらない新たな兆しが見受けられる。国際開発学会もまた学術的及び社会的な布置の移り変わりと無縁ではいられない。

本研究部会の目的は、日本における国際開発観の刷新に向けて足場を築くことである。日本の対外援助ステークホルダーを取り巻く国内外の時勢の変転を見定めつつ、日本における「開発/発展」論の系譜を多世代かつ多分野から検討することにより、人口減少や財政逼迫、国際情勢の安全保障化など、日本で中期的に向き合わざるを得ない難題に耐えうる「開発/発展」論の再構築を試みる。

メンバーを中心とした定例研究会の継続的な開催はもとより、援助ステークホルダーや学会外の専門家を招いた勉強会ないし聞き取り会なども検討している。

部会活動の成果については、春大会ないし冬大会で企画セッションを設けて学会員への共有を図る。大会での討論を踏まえて、学会誌投稿(または特集号編纂)や編著本などを執筆することで、学会の内外に向けて研究成果を公表できればと考えている。

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ニューズレター:活動報告



[RG24-5] 国際教育開発における実務と研究の架橋

Bridging Theory and Practice in Educational Development

代表:荻巣 崇世(上智大学)

本研究部会では、国際教育開発における実務と研究を架橋し、双方向から国際教育開発という分野を捉え直すことを目的として、(1)若手を中心とする実務者と研究者の対話の機会を設けて相互理解を深めること、また、(2)実務者と研究者の協働によって、これからの国際教育開発の構想を提示すること、の2点の取り組みを行う。

本研究部会の立ち上げに先立ち、主にJICAを中心とする実務者と、途上国の教育研究をしている研究者による勉強会を2022年度より実施してきた。そこでの対話を通して、研究者側はJICAを単体のアクターと捉える傾向があり、その中で実務に携わる実務者の想いや葛藤に十分に目を向けて来なかったことや、逆に、実務者側は、研究者が生み出す知見や批判的検討を実務の中で十分に活かしきれていないことなど、実務(者)と研究(者)の間には「すれ違い」があることが明らかになってきた。

そこで、本研究部会を立ち上げ、より広く実務・研究に携わる会員を巻き込みながら、なぜ・どのように実務(者)と研究(者)がすれ違ってきたのか、また、そもそもこの「すれ違い」は克服すべきものであるのか、という点も含めて、国際教育開発における実務と研究の架橋を実務(者)と研究(者)の双方の視点から検討することによって、これからの国際教育開発という分野のあり方・関わり方を構想したい。議論の成果は書籍として整理し、広く世に問う。

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ニューズレター:活動報告



[RG24-2] ICT と国際開発(ICT4D)

ICT と国際開発(ICT4D)

ICT for Development(ICT4D)

代表:狩野 剛(金沢工業大学)

昨今、国際開発において、DXやイノベーションといったICT(情報通信技術)に関連するプロジェクトが数多く立ち上げられ、官民一体となった活動が活発化している。例えば、携帯電話を中心とするデジタルツールが変える社会行動、ビジネスと開発セクターの共創、多様なセクター(教育・平和構築分野など)でのICT活用やDXなど、様々な事例が生まれてきている。

一方、AIの発展に伴う倫理問題や情報管理、埋まらないデジタル・デバイドなど、課題も山積している。これまでも多くの研究で、拙速なICT化による負のインパクトや数多くの失敗事例など、過度なICTへの期待に対する警笛も鳴らされてきた。

本部会では、ICTやイノベーションの可能性を国際開発の文脈に取り込むことに貢献すると同時に、客観的な立場からICTの限界や配慮すべき点などの課題にも着目し、議論・発信していく場として活用したい。

本部会のメンバーは、国際開発学会において、本部会の趣旨に深く関係した発表を実施してきた。(2022年11月第33回全国大会の口頭発表「日本のGIGAスクール構想はOne Laptop per Childと同じ道を歩むのか?」、2020年第31回全国大会の企画セッション「次世代の平和構築」でのPeaceTechに関する研究発表および口頭発表「国際開発におけるDX推進のボトルネック」等)また、賛同者は当該分野を牽引するマンチェスター大学Richard Heeks教授の著書を「デジタル技術と国際開発(2022年、日本評論社)」として翻訳出版した実績も持つ。

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  • valossible [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
関連情報
ニューズレター:活動報告



【会員限定】入退会員のお知らせと会員数動向(2024年2月)

第242回・常任理事会承認

入会審査なし


第243回・常任理事会承認

正会員

山田 真人(特定非営利活動法人聖母)、沼尻 卓也(福井大学)、髙木 明里紗(独立行政法人国際協力機構)、樋口 裕城(上智大学)、藤井 広重(宇都宮大学)グエンフン トゥハン(アジア成長研究所)、DONLIN Nalehuaʻo Puna Eunice(ハワイ大学マノア校)、チョウ アンキ(国際基督教大学大学院)、児玉 千佳子(一橋大学大学院)、小林 由季(株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)

学生会員

岡庭 尚代(東京大学大学院)、RAJAPAKSHA Chanuthi Jayangani(横浜市立大学大学院)


第243回・常任理事会承認

正会員

池田 吉宏(本田技術研究所)、比留間 洋一(静岡大学)、藤井 智也(国連資本開発基金)、芦田 雄太(国連難民高等弁務官事務所マレーシア)、坂口 真康(兵庫教育大学)、山崎 陽子(独立行政法人国際協力機構)

学生会員

PURWANTI Yuniasih(神戸大学大学院)、日上(篠原)奈央子(広島大学)、千葉 文(横浜国立大学大学院)、平山 友里夏(国際教養大学)、ZOUGMORE Armel(神戸大学大学院国際協力研究科)、Kim Nakyung(神戸大学大学院国際協力研究科)、西村 航成(京都大学)、Bengo Nadia Marilia de Abreu(Kobe University)、Elazhary Tasneem Ehab Abdelfattah(神戸大学大学院国際協力研究科)、アフリディ ムビン カーン(Graduate School of International Cooperation Studies, Academic office)、新山 繕章(国際基督教大学)


退会者

岡田 謙介、遠藤 千晶、波佐間 逸博、藤原 章正、北村 恭朗、METARAGAKUSUMA Andi Patiware 、大宅 由里子、橋口 幸正


会員数

合計:1588名(2024年 1月 27日現在)

(内訳:正会員 1393名、名誉会員 7 名、学生会員 188名)

*上記人数は初年度会費を未入金の新入会員を含まない。


住所など不明会員について

以下の会員は住所などが不明となっており、現在連絡が取れない会員の方々です。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご本人に本部事務局まで連絡するようお伝えください。よろしくお願い申し上げます。(以下、敬称略)

郵便物不達・住所不明(22名)

石田 光彦、廣里 恭史、尾上 みか、SARMA Kumar Sanjoy、人見 俊輝 、王 一聰、 ONAJAH Gongonyi Amos 、会津(瀧本) 菜穂 、小池 拓実 、服部 孝政 、西尾 悠太 、松田 葉月 、森本 佳月、中村 史、島部 惠子、工藤 正樹、辻本 温史、李 嘉悦、金 恩昊、KIM Seil、CHANSOMBUTH Soulivanh、松井 梓

*郵便物の送付を希望しない方は本部事務局までお知らせください(すべての情報は会員マイページまたはウェブサイト上でデータ公開しています)

メールアドレス不明(10名)

縄田浩志、根橋玲子、柿﨑恵、田口博之、宮澤尚里、田中博子、中澤芽衣、加藤恵実、神代ちひろ、近藤清夫、米良彰子、宮本寿美、飛永絵里、広田秀樹、高澤直美

*会員マイページの利用にはメールアドレスが必須となります(会費支払も会員マイページから決済可能です)。重要なお知らせも配信されますので、必ず受信できるメールアドレスの登録をお願いします。メール配信を希望しない方は、本部事務局まで文書でお知らせください。


本部事務局
事務局長:星野 晶成 (名古屋大学)




第24回春季大会セッション報告(プレナリー、ポスター発表)

[PL] プレナリーセッション

[PL-01] 世代間のつながりとサステイナビリティ – 何を引き継ぎ、何を見直し、次世代に何を手渡していくのか

登壇者1

工藤尚悟(国際教養大学国際教養学部グローバルスタディズ領域・准教授)

“Role of Intergenerational Ties in Sustainability: What to Sustain, What to Revise, and What to Pass Across Generations?”

登壇者2

Divine Fuh(Director of Institute of Humanities in Africa, Associate Professor at the Department of Anthropology, University of Cape Town)

“Making New Dances: Sustainability Thinking and the Opportunity for Decolonial Japanese Thought”

登壇者3

千葉加恵子(国際教養大学国際教養学部グローバルコネクティビティ領域・准教授)

“What Should We Sustain? Voices from Local Women”

登壇者4

丸山英樹(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科・教授)

“The Role of Non-formal Education in Enhancing Sustainability”

  • ファシリテーター:近江加奈子(国際基督教大学アーツ・サイエンス研究科博士課程)

セッションサマリー

1987年に持続可能な開発が提唱され、一世代ほどの時間がこの概念を軸とした開発パラダイムとして経過してきている。本セッションは、持続可能な開発概念の中心にある、世代間のつながり(intergenerational ties)に焦点を当て、開催地である秋田の風土、アフリカにおける脱植民地化の動きと日本文化、農村社会における女性の声、そしてノンフォーマル教育の枠組みにおけるサステイナビリティについて、各登壇者より報告があった。

はじめに工藤より、グローバルに語られる持続可能な開発概念において目標とされる項目がローカルの文脈で解釈されるとき、そもそも人と自然の関係性が個別の地域性に依拠しており、そのときに風土という自然感に注意を払う必要があるという問題提起をした。

その上で、先行世代から何を継承し、現行世代において何を見直し、将来世代に何を手渡していくべきなのかについて、専門や拠点とする場所の異なる3名の登壇者より報告をしてもらった。

ケープタウン大学のFuh准教授は、アフリカにおける脱植民地化の議論を日本の文脈に当てはめ、日本文化に固有な表現の中に見出しながら、サステイナビリティを批判的に検討する必要性を主張した。

特にある部族においてあらゆる種類のダンスの模倣が得意だった女性の話を紹介し、その部族において誰も彼女自身のダンスを見たものがいなかったという比喩を用いて、自らの文化に固有な言葉を用いることの重要性を挙げた。

千葉准教授は、秋田の民俗や女性の暮らしに焦点を当てた文化人類学的なフィールドワークを元に、国内地方の農山村において女性の声が如何に文化的に隠されたものとされてきたのかを示した。

伝統的な社会におけるジェンダーロールの再考を論じると同時に、先行世代から現行世代への民俗文化の継承の重要性と困難さを指摘した。

丸山教授は、教育におけるフォーマル・インフォーマル・ノンフォーマルの違いを明確にしつつ、それぞれのフォーマットの教育スタイルがどのようにサステイナビリティに貢献しうるのかについて論じた。そのなかでもノンフォーマル教育の視点からの考察を共有してもらった。

会場からは、異なる専門性を持つ研究者が協働するときに、どのように個々の持つ認識論の違いを乗り越えていくのかや、農村社会において隠された声(hidden voice)とされてしまいがちな女性の意見を拾い上げる仕組みをどのように構築しうるのか、国内大学院に固有な研究室文化における先輩と後輩の間における世代間のつながりについての指摘など、世代間とサステイナビリティに限らず、国内外の文脈を広く捉えた質問が出された。

今大会の開催地である秋田は、人口減少と高齢化が全国で最も早いペースで進んでおり、世代間のつながりを通じた資源や文化の継承が重要な課題となっており、こうしたテーマを、普段は途上国の現場を飛び回る研究者や実践者の方々と議論する機会を当地の秋田で持つことができた意味は大きい。

途上国においても出生率の低下と長寿化の傾向はすでに確認されており、人口減少と高齢化が将来的に国際協力や開発学においても重要なテーマとなると予測される。

こうした国内地方が抱える課題への解決策を見出す手続きのなかで、途上国とつながりながら論点を整理し、双方向に学び合いながら対応を模索していくような、新たな関係性の構築が示唆されるセッションとなった。

報告者:工藤尚悟(国際教養大学)


[P1] ポスター発表

    [P1-01] 国際協力における社会的インパクト評価のあり方検討〜財源基盤のない組織が評価を実践するために〜

    佐藤 夢乃(関西学院大学大学院)

    [P1-02] 自治体ネットワークによる持続的な能力向上と技術の普及をめざす開発協力のマネジメント~「タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケア普及プロジェクト」の事例整理~

    鈴木 知世(国際教養大学学部生、タイ国の自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクトコーディネーター)、山口 佳小里(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官)、沖浦 文彦(東京都市大学都市生活学部教授)

    [P1-03] 怒りと情熱—世界銀行内部に残された知恵—

    玉村 優奈(東京大学)

    [P1-04] ショックを用いる貧困表象の道徳的・政治的悪性に関する一考察:貧困表象への留意のために

    木山幸輔(筑波大学)

    [P1-05] 「愛知用水の久野庄太郎」の地域総合開発思想-愛知用水と愛知海道の関係性に着目して

    柴田 英知(歩く仲間)

    [P1-06] 開発途上国における課題解決能力向上に着目した教育支援に関する研究-ネパール公立学校の中学生を対象として-

    三笘 源(九州大学大学院)

    [P1-07] Exploring Teacher’ s Perception of Play-Based Learning in ECE: A Case Study of Bangladesh

    Kohei UNO(Graduate School of International Cooperation Studies)

    [P1-08] An Analysis of Home-based Discipline on Children’ s Foundational Learning Skills in Malawi

    Chang SUN(Kobe Univ.)

    [P1-09] An Analysis of the Effect of a School Violence on Learning Achievement in Primary Education in Colombia

    Rika SUGIURA(Kobe University)

    [P1-10] An Analysis of Community Participation and Learning Achievement: A Case of Kenyan Primary Education

    Yuka FURUTANI(Kobe University)

    [P1-11] Analysis of Household Educational Expenditure under Free Pre-primary Education Policy in Kenya

    Ayumu YAGI(Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University)

    [P1-12] Analysis of Short-term and Mid-term Association between Early Childhood Education and Academic Achievement in Uganda

    Kaori Uchiyama(Kobe University)

    [P1-13] Influence of School Autonomy on Learning Achievement in Senegal: Multilevel Analyses Using PASEC Surveys

    Yudai ISHII(Kobe University)

    [P1-14] タンザニアの学童の野生食物・食品群摂取と健康―中部・南東部内陸/海岸沿い3村の事例から

    阪本 公美子(宇都宮大学国際学部)、人見 俊輝(宇都宮大学国際学部)

    [P1-15] 里地里山の多面的な評価基準に関する一考察~中山間地で実践される維持・管理の取り組み事例を通じて~

    根岸 宏旭、徳永 達己(拓殖大学)

    [P1-16] 東アジアにおける環境大気モニタリングネットワークの比較評価

    竹内 友規、藤江 幸一、迫田 章義(放送大学)

    [P1-17] ベトナム北部・中部・南部の持続可能なライフスタイルに関する定性調査

    吉田 綾(国立研究開発法人国立環境研究所)


    その他の座長報告




    オンライン「JICE ライターズ・ワークショップ」5月22・23日開催(会員・一般)

    広島大学 IDEC国際連携機構 教育開発国際協力研究センター(CICE)では、オープンアクセスジャーナル『Journal of International Cooperation in Education (JICE)』の26巻(2024年刊行予定)への投稿希望者向けに、ライターズ・ワークショップを開催します。

    本ワークショップは2回で構成され、第1回では参加者に10分間でご自身の研究要旨を発表いただき、エディターからコメントを提供します。第2回では事前にフルペーパーを執筆し、発表いただいた上で、エディターや他の参加者と議論を行います。また参加者(要旨審査あり)には、英文校閲支援(2回分)など掲載に向けた支援もあります。国際ジャーナルでご自身の研究成果を発表したいと考えている方は、ぜひご参加を検討下さい(締切り:2023年5月8日)。

    開催概要

    • 第1回:2023年5月22日(月曜)17:00-20:00・2023年5月23日(火曜)10:00-12:00
    • 第2回:2023年8月または9月(発表者と調整)

    本件にかんするお問い合わせ先

    広島大学 IDEC国際連携機構・教育開発国際協力研究センター(CICE)

    • jice-au [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    新刊案内:ヨルダンにおけるシリア難民への平和の創出に係るインパクト評価』

    国際開発センター(IDCJ)では表記のインパクト評価を3年にわたり実施しておりましたが、この度、最終報告書(論文)が公開になりました。ご興味のある方はご覧ください。

    『ヨルダンにおけるシリア難民への平和の創出に係るインパクト評価』最終報告書

    • 委託者:国際協力機構(JICA)評価部
    • 実施者および報告書執筆者:株式会社国際開発センター(IDCJ)佐々木亮、高杉真奈

    JICAインパクト評価のウェブサイトから全文ダウンロードできます。

    サイトのトップURL

    和文報告書:61頁

    英文報告書:63頁

    なお、報告書の概要は以下からダウンロードできます。これはIDCJ佐々木亮が作成した説明用の非公式資料です(3頁)。


    本件にかんするお問い合わせ先

    国際開発センター(IDCJ)評価部
    主任研究員:佐々木亮(Ryo SASAKI)

    • 〒108-0075 東京都港区港南1-6-41 芝浦クリスタル品川12階.
    • TEL:03-6718-5932
    • FAX:03-6718-0910
    • Website:
    • Email: [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    ハイブリッド「価値を見つめる評価入門研修ープロジェクト評価の基本的プロセスを学ぶ」4月15日開催(会員・一般)

    価値を見つめる評価入門研修- プロジェクト評価の基本的プロセスを学ぶ -(1日間)

    国際協力と地域づくりの融合を推進している「グローカルな仲間たち」では、これまで国際協力で活用されるツール群を国内事例で紹介する研修をしてきました。

    今回は「評価」をテーマに勉強会を開催します。今回は、「評価しにくいもの」をどう評価に落とし込んでいくのかというところにフォーカスを当てた勉強会です。

    国際協力では6つの評価項目(妥当性=関連性、有効性、効率性、インパクト、持続性、整合性=協働性)といった項目が設定されていますが、その項目だけではとらえにくい対象物があるでしょう。芸術や文化、まちなみなど、そのような大切だけどなかなか評価をしにくいものをどうやっていくのかという「答えのない」ものを参加者のみなさんで評価をする講座です。

    難しい用語はつかわずに学生も大人も参加できるようにしますので、ぜひ、評価の使い方や人脈を広げたい方はご参加をご検討いただけたら幸いです。

    開催概要

    • 日時:2023年4月15日(土曜)9:30-17:30(懇親会 18:00-20:00)
    • 場所:リアル会場(東京大学本郷キャンパス周辺を予定)
      *参加者に具体的な場所をお知らせします
      オンライン(Zoom)

    主な内容(予定)

    0. 価値(Value)の設定

    • 評価しやすいもの、しにくいもの
    • 文化、芸術、歴史遺物、街並みについて

    1 評価の設計

    • 評価の目的の確認
    • 評価の視点
    • ロジックモデルによる対象の把握
    • 指標の設定
    • 評価質問の設定
    • 質的データと量的データ
    • データ提供者=サンプル
    • 演習:自分の事業をロジックモデルで整理

    2 質的データの収集と分析

    • インタビュー
    • グループディスカッション
    • ワークショップ(グループアプローチ)
    • その他:GPS/GIS/ PRA/
    • マトリックス法
    • ストーリー分析
    • カテゴリー分析
    • 統合分析(グランデッドセオリー)
    • その他(地図/映像/音楽)
    • 演習:自分の事業でインタビュー表作成

    3 量的データの収集と分析

    • データベース
    • アンケート
    • モバイルの活用
    • テスト
    • データの集約(平均と分散)
    • データ間の比較(t分析、カイ分析)
    • データ間の連関(相関、回帰分析)
    • 構造共分散分析(SEM)
    • 演習:自分の事業でアンケート作成

    4 考察と結論

    • 報告書の構成
    • 報告書の作成
    • 振り返り

    懇親会

    みんなで持ち寄り(または居酒屋等)で懇親会

    進め方

    文化・芸術やその他評価しにくいものの評価を事例として、理論と演習を通じて、評価のプロセス(評価の企画から報告書までの流れ)を紹介します。一日ですので、広く浅く、プロセス=流れの全体を把握することに主眼を置きます。一部、グループになってみんなで実際に手や体を動かして実践します。ポストイットやパソコンを活用します。グループ(2-3名)に分かれて参加型で学んでいきます。

    募集人数

    最少人数:5名(~最大12名)

    参加費

    5000円(テキスト代込)*フルタイム学生は500円

    応募資格

    評価の実務について知りたい方、または評価の基礎を再度学びなおしたい方。理論よりも実務が中心です。パソコンのレベルとしては、ExcelやWordを使える方。(ExcelでSumやAverageを使ったことがある、意味がわかるレベル)

    講師及びリソースパーソン

    三好崇弘

    • 有限会社エムエム・サービス 代表取締役
    • 「グローカルな仲間たちGLFP」主催
    • NPO法人PCM TOKYO監事

    小関直人

    • 劇団銅鑼 劇作家
      評価をテーマにした群像劇『アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~』を企画。2023年3月17日(金曜)~22日(水曜)まで東京芸術劇場にて上演。

    大澤望

    • 株式会社大沢会計&人事コンサルタンツ 取締役
    • 一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ 共同代表
    • 特定非営利活動法人日本評価学会 理事

    本件にかんするお問い合わせ先

    グローカルな仲間たち
    三好崇弘

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    「CESA 2023 orientation meeting」4月7日開催(会員・一般)

    Comparative Education Society of Asia (CESA)’s 2023 conference will be held from 24 – 26 November in Hiroshima, Japan.

    It is an honour for Hiroshima University to host the thirteenth biennial conference of the Comparative Education Society of Asia, which held its first conference in Japan 27 years ago.

    We warmly invite scholars from across Asia and beyond to join us to share their latest research.

    The overarching theme of the conference is Education in the Aftermath of Social Crisis, and our plenary panels will feature eminent Japanese and international researchers discussing challenges for education arising from various contemporary crises, as well as the use and abuse of notions of ‘crisis’ in educational policy-making discourse.

    We welcome individual and panel presentations on a wide range of related themes.

    For those considering registering for this conference, the CESA 2023 Hiroshima committee will hold an orientation session. This will explain the scope and focus of the conference, the registration process, the criteria of for reviewing paper abstracts, and the post-conference academic writing workshop offered by the Journal of International Cooperation in Education.

    It will also provide an opportunity for prospective participants to ask any questions they may have regarding the conference or the registration process.

    All are very welcome to join this session via the Zoom link below.

    Kind regards,
    Kusakabe Tatsuya
    (Hiroshima University)

    7th April (Fri) 18:00-19:30

    ・Greeting Edward Vickers (CESA President)
    ・Explanation session
    – CESA and CESA2023 Tatsuya Kusakabe (CESA Vice President)
    -How to entry to CESA Chiemi Kurokawa (CESA 2023 Committee member)
    -Writers’ workshop Takamichi Asakura (JICE editorial)
    ・QA session

    Zoom URL (JST 18:00-)

    CESA2023 Website (Including query form)


    本件にかんするお問い合わせ先

    Kusakabe Tatsuya
    (Hiroshima University)

    • kusakabe [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    ウェビナー「都市開発のパラダイム転換~未来都市の機能と形態~」4月4・13日開催(会員・一般)

    ECFAでは、昨年に引き続き、(株)レックス・インターナショナル会長、橋本強司氏をゲストに迎え、オンラインセミナーを開催します。今回のテーマは未来都市です。

    開発コンサルティング業界を目指す学生の方、若手の方だけでなく、既に開発コンサルティング業界で働いてい方々にもおすすめのセミナーです。皆さまのご参加お待ちしています。

    開催概要

    日時

    • 2023年4月4日(火曜)15:00-16:30頃予定
    • 2023年4月13日(木曜)15:00-16:30頃予定

    方法

    Zoomを利用したオンライン

    対象

    このテーマに関心がある方。

    ※特に開発コンサルティング業界を目指す学生・若手の方、既に開発コンサルティング業界で働く若手の方におすすめです。

    参加費

    無料

    プログラム

    2023年4月4日(火曜)15:00-16:30

    1.「都市開発のパラダイム転換~未来都市の機能と形態~ 」
    I. 都市化の現状と見通し
    II. 都市の規模、形態と課題

    2.質疑応答

    2023年4月13日(木曜)15:00-16:30

    1.「都市開発のパラダイム転換~未来都市の機能と形態~ 」
    III. 未来都市の課題と展望

    2.パネルディスカッション

    講師

    (株)レックス・インターナショナル会長
    橋本強司(はしもと・つよし)さん

    プロフィール

    1949年 東京生まれ

    1972年 東京大学工学部建築学科卒

    その後、米国南カリフォルニア大学で修士(環境工学)、コーネル大学でPh.D.(水資源計画、経済、オペレーションズ・リサーチ)取得。国際応用システム分析研究所(IIASA;在オーストリア・ウィーン、研究員)、(財)国際開発センター(研究員)、日本工営(株)(企画部副参事、経済部次長、都市・地域開発部次長)を経て、1995年(株)レックス・インターナショナルを設立、代表取締役。

    2001年より2016年まで学習院大学経済学部非常勤講師。2010年より一般社団法人海外コンサルタンツ協会理事。2014年より2021年まで「国際開発ジャーナル」論説委員。37年間にわたり国際協力事業団及び独立行政法人国際協力機構(JICA)による多数の技術協力案件で、総括責任者を歴任。

    専門分野 都市・地域開発、環境、組織・制度、水資源管理、プロジェクト経済他。

    著書

    『これからの開発コンサルティング』(勁草書房)1992年
    『日本を変える 日本人が変わる』(山手書房新社)1995年
    『21世紀のアジア国際河川開発』(勁草書房、共編著)1999年
    『地域開発プランニング―その考え方・手法・海外事例』(古今書院)2000年
    『匿名性とブラックボックスの時代』(文芸社)2006年
    『開発調査というしかけ-途上国と開発コンサルタント』(創成社)2008年
    『開発援助と正義』(幻冬舎ルネッサンス)2013年
    『日本の進む道』(国際開発ジャーナル社)2018年 他

    ■プロジェクト計画・評価関連の論文(英文)多数
    「水資源計画における評価手法」
    「費用分担とプロジェクト評価」
    「複数インフラプロジェクトの評価手法」
    「多目的計画法による水資源配分」 他

    注意事項

    • 実施報告(匿名で質疑応答などをまとめる予定)は公開予定です。あらかじめご了承ください。
    • アーカイブは後日公開します。お顔が写されたくない方はビデオオフでご参加ください。
    • 録音・録画・チャットの保存はご遠慮ください。

    お申込み

    事前に資料を読んでいただきたいため、締切日までにお申込み願います

    • 4/4開催【締切:3/27】
    • 4/13開催【締切:4/5】

    ご参考

    (株)レックス・インターナショナル


    本件にかんするお問い合わせ先

    (一社)海外コンサルタンツ協会
    担当:河野

    • kono [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    参加募集「国際協力を身近に感じるPCM研修」4月1日開催(会員・一般)

    国際協力と地域づくりの融合を推進している「グローカルな仲間たち」では、これまで国際協力の定番ツールPCMの研修を国内事例で実施してきました。

    国内の身近な例で開発問題を読み解くことで、海外経験のあるなしに関係なくツールをみにつけることができ、また日本の開発問題を解決する思考を身に着けることで、世界に通じる応用力を磨くことができます。

    今回は、富山県の氷見で、廃棄される魚の皮を高級レザーに生まれ変わらせるフィッシュレザーを国内外で普及している方(元地域おこし協力隊)とともに、国際協力の事例と国内をブレンドしたPCM研修を開催します。

    国際協力を身近に感じるPCM研修@リアル氷見+オンライン

    開催概要

    • 日にち: 2023年4月1日(土曜)
    • 時間:9:30~17:30(+ 懇親会1時間)
    • 場所: リアル会場(富山県氷見市内・tototo)
      オンライン会場 ZOOM (パソコン画面内)やメタバース空間を活用します。

    特徴

    1. 国際的に活用されている「PCM:プロジェクトサイクルマネジメント」を学ぶ実践的な研修です
    2. 国際協力だけでなく、国内の地方創生も融合させた新しいアプローチ
    3. PCMの強みである世界で通用する論理性(ロジック)や「みんなを巻き込む力=ファシリテーション」を体験。個人的なプロジェクトにも当てはめる実践力を磨きます
    4. オンラインの場合は「完全なるウェビナー」(Web+Seminar)のスタイルで体験します。ウェブを通じたファシリテーションの実例に触れられます。PCMの研修では新しいの取り組みです
    5. リアル参加の方は氷見市内のツアー(協力隊の活動訪問など)をします。またオンラインも「本物の特産品」(下記参照)が自宅に届きます。アフリカの国とのオンライン中継も試みます。

    参加方法、その他、詳しいことは、Webでご確認ください。


    本件にかんするお問い合わせ先

    グローカルな仲間たち
    三好崇弘

    • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    ウェビナー:『フェミニスト外交政策』とは? 3月31日開催(会員・一般)

    ~G7広島サミットに向けての開発協力のジェンダー主流化を考える~

    「フェミニスト外交政策」は、2014年にスウェーデンが採択して以来、G7のカナダ、フランス、ドイツを含む12カ国がフェミニスト外交政策を策定または宣言しており、世界的潮流となりつつあります。

    2022年のG7ドイツ首脳宣言では、持続可能な開発の分野で「フェミニスト開発・外交・貿易政策」が明記され、今年のG7サミットにおいては、G7の公式エンゲージメント・グループであるW7(Women7)が取り組むテーマの一つになっています。

    本セミナーでは、国際NGOプラン・インターナショナルが行ったフェミニスト外交政策に関する調査結果・提言と、今年の3月に策定されたドイツの「フェミニスト開発戦略」について共有し 、フェミニスト外交政策とは何か、G7として日本に求められる政策や取り組みについて、特に開発協力分野に焦点を当てて考えていきます。

    開催概要

    • 日時:2023年3月31日(金曜)17:00~18:00
    • 参加方法:Zoomウェビナー(ハイブリッド形式、参議院議員会館からの配信)
    • 参加費:無料
    • 対象:開発協力関係者、市民社会団体、研究者等
    • 言語:日本語・英語(同時通訳あり)
    • 主催:公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
    • 共催:W7 Japan実行委員会、国際協力NGOセンター(JANIC)ジェンダー平等推進ワーキンググループ

    参加申し込み

    こちらのリンクから3月31日(金曜)16:00までにお申し込みください。

    プログラム(予定)

    司会:長島 美紀(プラン・インターナショナル、W7 Japan)

    開会の挨拶

    1. W7について
    福田 和子(W7 Japan共同代表、#なんでないのプロジェクト)

    2. フェミニスト外交政策調査結果と提言
    長島 千野(プラン・インターナショナル、W7 Japan)

    3. ドイツのフェミニスト開発政策~策定プロセスと戦略の内容~
    ヌンズィ・グリゴレット-ダグヤブ(ドイツ経済開発庁:BMZ)

    4. 外務省の関連取組等の紹介
    (登壇者調整中)

    5. 市民社会団体からのコメント
    キーシー・ジャヤクマー(The Gender Security Project、W7 Japan)
    小松 豊明(JANICジェンダー平等推進ワーキンググループ、シャプラニール)

    6. 国会議員からのコメントと質疑応答
    閉会の挨拶

    ※時間の制約上、質問・コメントは会場の国会議員のみとなっております。ご理解をいただいた上でご参加いただけますと幸いです。


    本件にかんするお問い合わせ先

    公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
    アドボカシーグループ

    • advocacy [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    公開ワークショップ「親子deリサーチ」3月25日開催(会員・一般)

    国際協力に携わられている方で、ご自身や社会の子どもたちにも国際問題に目を向けてほしい方にお勧めです

    1948 年以来、働く人たちの社会運動を支えてきた(公社)国際経済労働研究所が主催する、これからの国際社会を生きる子どもたちに知っておいてほしい国際協力の方法を、「運動」という観点で話し合うワークショップです。

    「運動」とは何かを知り、そのなかでも、氾濫する情報に惑わされず正しい情報を得て国際協力につなげていく「調査運動」の方法を提案します。

    SDGs、ウクライナ情勢のニュースなどを通じ、子どもたちにとっても国際問題を身近に感じやすくなっているのではないでしょうか。まずは自分の関心のあるできごとに「どうしたらかかわれるのか」「自分にできることだけをやっていて問題が解決するのか」という疑問をもってもらい、その解決方法の一つ「調査運動」を知ってもらう、体験してもらう半日です。

    前半は授業形式ですが、後半はワークショップの参加者全体を1つの「社会」とみたてて、参加者の関心のある問題を発表し、パソコンやスマホ、本などを駆使しながら、参加者同士で助け合って情報を集めます。子供に照準を合わせ、大人はサポートに回っていただきますが、大人の方たちも初めて聞く話が多いのではないかと思います。

    普段目にする情報について、「データの見方」も説明します。ネットの情報は物事のほんの一部でしかなく、「みんなで調べる」ことで様々な見方、正しい情報、たくさんの情報が得られるのだと知ってもらいます。

    「調査運動」に1人でも多く取り組めば、世界はきっと変えられる。春休みに皆さんで一緒に考えてみませんか。

    日時・プログラム

    2023年3月25日(土曜)
    13:00ー14:00(第一部:授業形式)
    14:00ー15:00(休憩)
    15:00ー16:30(第二部:ワークショップ)
    ※途中退室可。途中からのご参加は難しいためお控えください。

    進行・スピーカー

    吉浜智美(国際経済労働研究所 研究員)

    参加対象

    • 国際協力に興味のある小5~高校生とその親(パソコンの操作が可能であればお1人での参加も可能です)
    • 「調査運動」に興味のある一般の大学生、社会人
      ※大人の方もご参加いただけますが、話す言葉は参加者の中で一番年齢の低い方に合わせますので、ご了承ください。
      ※内容は参加者によって大きな変更はありません。

    実施方法

    Zoom(参加者にURLをお送りします)

    費用

    チケット制

    ・同じ世帯は2名まで(親子以外に、きょうだいも可)1チケットで参加可能。
    ・無料・500円・1,000円から任意でお選びください。無料チケットは5組限定。

    定員

    20名程度

    申込フォーム


    本件にかんするお問い合わせ先

    (公社)国際経済労働研究所
    吉浜

    • yoshihama [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 090-1242-1058



    受講生募集「オンライン:2023年度春期・緊急人道支援講座」 全13回(会員・一般)

    上智大学では、紛争や自然災害、感染症拡大など、複雑化・深刻化する人道危機に効果的に対応するための基礎的知識やスキルを身に付け、その後のキャリアに生かしてもらうことを目的に「緊急人道支援講座」を開講しています。

    講師は国際機関、NGO、JICA、赤十字、民間など、緊急人道支援の最前線で経験を積んだ方々です。授業は講義と演習を組み合わせ効果的な学びを得られるよう工夫されています。

    今年度4月開講の春期講座(全13回)では、緊急人道支援の原則(中立性や公平性など)や範囲、支援の仕組みやローカリゼーション(現地化)といった最新の動向、保健医療や食料、衛生、教育などの特定課題の基礎的理解を目指します。

    緊急人道支援にこれから関わりたいと考えている方や経験がまだ浅い方、ぜひご応募ください。なお、講座はオンラインで開講します(木曜日の夜間)。国内外のどこからでも受講できます。

    【講座の詳細・お申し込み】

    *申し込み期限:3月21日(火曜)


    本件にかんするお問い合わせ先

    上智大学国際協力人材育成センター(SHRIC)

    • hrc-ic-co [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-3238-4687



    参加募集『若者×政治÷PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント): 国際協力のツールを身近な事例で学ぼう』3月21日開催(会員・一般)

    世界でつかわれる事業構想手法-PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)を 「若者の政治参加」をテーマに参加型で学ぼうぜぃ!

    国際協力と地域づくりの融合を推進している「グローカルな仲間たち」では、これまで国際協力の定番ツールPCMの研修を国内事例で実施してきました。

    国内の身近な例で開発問題を読み解くことで、海外経験のあるなしに関係なくツールをみにつけることができ、また日本の開発問題を解決する思考を身に着けることで、世界に通じる応用力を磨くことができます。

    今回は若手研究者と大学生とともに「若者と政治」をテーマに国際協力のプロジェクトマネジメントツール、PCMを学ぶユニークな会を開催します。

    学生だけでなく大人も参加できますので、ぜひ、国際開発のツールの新しい使い方や人脈を広げたい方はご参加をご検討いただけたら幸いです。

    開催概要

    • 日時: 2023年3月21日(火曜日・祝日)10:00-17:00
    • 場所: 都内(東京大学本郷キャンパス内のラウンジ)及びオンラインのハイブリッド
      *オンライン参加の方は全国どこからでも自宅などからPCでつないで参加できます。
    • 参加費: 学生500円、一般6,000円 教材費込(懇親会はもちよりで開催)

    内容

    1) 国際協力で50年以上にわたりつかわれて、現在では様々な分野で活用されている「PCM:プロジェクトサイクルマネジメント」を学びます

    2) PCMの強みである世界で通用する論理性(ロジック)や「みんなを巻き込む力=ファシリテーション」を体験し、国内外における地域や組織、また個人的なプロジェクトにも当てはめる実践力を磨きます。

    3) 誰でも参加でき、かつ若いひとが楽しんで参加でるように「若者の政治参加」というユニークなテーマで学びます。(特定の政党や思想とは無関係です。)

    4) 会場は、リアルとオンラインのハイブリッドです。(Zoom、MIRO、メタバース )といった、オンラインツールのすべてを活用できる人材を育成します。オンラインとリアルとの融合をする技術力を磨きます。


    本件にかんするお問い合わせ先

    主催: グローカルな仲間たち
    三好崇弘(宮城大学客員教授/ グローカルな仲間たち主宰)
    松原直輝(東京大学公共政策学教育部 博士課程)
    竹内聡汰(明治学院大学政治学科 4月から一年生)

    詳しくは、ウェブをご覧ください。

    ご質問は、グローカルな仲間たち・三好崇弘まで

    • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

    どうぞよろしくお願いいたします。




    『SDGsと地域社会』出版記念シンポジウム「SDGsを地域社会で実現しよう!」

    SDGs の究極の目標は「誰も取り残されない社会」 。そのためには、地域社会で直面している課題を可視化し、住民参加で問題を解決していく必要があります。そこで私たちは、人間の安全保障指標〈宮城モデル〉をつくり、35 市町村ごとに、「命・生活・尊厳」に関わる問題をあぶりだしました 。その成果が、赤石書店より『 SDGs と地域社会』として刊行されました。このシンポジウムでは、指標の概要をわかりやすく説明するとともに、どのようにSDGs の実践を進めることができるか、地域の事例を交え議論します。

    開催概要

    • 日時:2023年3月18日(土曜)午後1時30分〜3時30分(開場:午後1時)
    • 場所:エルパーク仙台6階 スタジオホール(仙台市青葉区1番町4-11-1)
    • 参加費:無料
    • 方式:会場およびオンライン参加(zoom)のハイブリッド
    • 共催:「人間の安全保障」フォーラム/SDGs市民社会ネットワーク
    • 協力・後援:米日財団/宮城県ユニセフ協会/みやぎ生活協同組合/公益社団法人日本青年会議所東北地区宮城ブロック協議会/JICA東北/宮城学院女子大学/宮城大学事業構想学群地域創生学類/人間の安全保障学会/国際開発学会/NPO法人ウィメンズアイ

    申込方法

    *申込締切日:3月17日

    当日の流れ

    • 開会挨拶
    • 基調講演:「SDGsを地域で実現するために」高須幸雄
    • シンポジウム「SDGsを地域社会で実現しよう!」
      『SDGsと日本』に寄稿した宮城県の関係者が中心になり、指標を応用しながら、 「誰も取り残されない地域社会」をどうやって実現させるか、語り合います。子ども、女性、災害など、人間の尊厳にかかわるテーマをとりあげ、気仙沼の実践を紹介し、市民社会と企業のパートナーシップについて、そして宮城県と全国の取り組みがどうつながるかについて、意見を交換しながら議論を深めていきます。宮城県の内部、そして宮城県の内外の実践をつなげ、地域社会でSDGsを効果的に進めていくためのヒントを共有します。
    • 質疑応答
    • 閉会挨拶

    登壇者等

    • 基調講演:高須幸雄(「人間の安全保障」フォーラム理事長、国際連合事務総長特別顧問(人間の安全保障担当)
    • モデレーター:峯陽一(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授、JICA(国際協力機構)緒方貞子平和開発研究所客員研究員)
    • コメンテーター:新田英理子(SDGs市民社会ネットワーク理事・事務局長)
    • 司会:五十嵐光(ウィメンズアイ事務局長)

    シンポジウム・スピーカー

    • 猪股純子(富谷市保健福祉部子育て支援課、とみや子育て支援センター所長)
    • 天童睦子(宮城学院女子大学一般教育部教授)
    • 三浦友幸(プロジェクトリアス代表理事、気仙沼市議会議員)
    • 尾形長治(公益社団法人日本青年会議所東北地区宮城ブロック協議会 2023年度直前会長)
    • 石本めぐみ(「人間の安全保障」フォーラム理事、ウィメンズアイ代表理事)

    本件にかんするお問い合わせ先

    「人間の安全保障」フォーラム

    • hsfkesennuma [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 090-5287-9106

    同志社大学グローバル・スタディーズ研究科
    峯陽一

    • ymine [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    新刊案内: [漫画版] バングラデシュIT人材育成と地方創生

    国際開発学会員の皆さま

    金沢工業大学の狩野剛です。

    JICAプロジェクト・ヒストリーシリーズとして2021年に出版させていただいた拙著「バングラデシュIT人材がもたらす日本の地方創生 —協力隊から産官学連携へとつながった新しい国際協力の形」が日本語と英語で漫画化され、無料公開されましたのでご紹介させていただきます。

    ぜひ研究やゼミ・授業で国際協力の入門教材としてご活用いただけたらと思います。本書のあらすじとしては、以下のとおりです。

    バングラデシュは「Smart Bangladesh」を政策目標の一つとして掲げ、IT産業開発・IT人材育成に力を入れている。一方、IT人材不足と高付加価値産業の育成に悩む日本の地方都市(宮崎市)。本書は、バングラデシュ・日本を舞台にして、青年海外協力隊が始めたムーブメントから受け継がれてきた、バングラデシュのIT国家資格導入、IT人材・産業育成と、日本のIT人材不足の解消という「地方創生」に同時に貢献する、産官学を巻き込んだ現在進行形のバトンリレー。その物語を当時の関係者と共に振り返る。

    活字版は160ページ程度でまとめたものですが、漫画版はそれを30ページ程度に要約したものになります。

    [漫画版(日本語・英語ともにページ内から無料でダウンロード可能です)]

    [活字版]

    また、漫画の印刷版については、私の手元にJICAさんからいただいた在庫が一定数ございますので、ゼミ生への共有など、教育や研究にご活用いただける方には最大で各数部ずつ寄贈させていただくことも可能です。ご希望の方は以下の連絡先まで送付先情報など、ご連絡いただけたらと思います。


    本件にかんするお問い合わせ先

    狩野 剛(金沢工業大学)

    • kanot [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    【募集協力】探究学習&マイプロに取り組む、⾼校⽣・⼤学⽣のための 「ロジックモデル」研修 in/with 福島!

    国際協力と地域づくりの融合を推進している「グローカルな仲間たち」では、これまで国際協力の定番ツールPCMの研修を国内事例で実施してきました。

    国内の身近な例で開発問題を読み解くことで、海外経験のあるなしに関係なくツールをみにつけることができ、また日本の開発問題を解決する思考を身に着けることで、世界に通じる応用力を磨くことができます。

    今回は、福島で震災復興を丁寧にかつ先鋭的に継続しているNPO「Bridge for Fukushima」が主催する講座として、PCM研修を無料で、福島県に関係のある学生(大学生・高校生)に開講されることになりました。

    開催概要

    探究学習&マイプロに取り組む、⾼校⽣・⼤学⽣のための 「ロジックモデル」研修 in/with 福島!

    日時

    2023年3月3・4日(金・土曜)9:30- 17:30

    場所

    • リアル会場 福島県内で調整。*
    • オンライン会場 Zoom パソコン画面内
      参加者はどちらでも選べます。リアル会場については、Bridge for Fukushima事務所(福島市)、スペース⽩⻁町(会津若松市)を予定。希望状況に応じて他エリアにも開設予定。

    特徴

    1) 探求学習&マイプロに直接使える、実際にプロが使っているPCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)をベースとした研修です。座学ではなく、ゲームのような感覚で手や口を動かしながら進める参加型研修です。

    2) 国際的に活用されている「PCM:プロジェクトサイクルマネジメント」を基盤に、国内の地域課題を考えるための地域再生マネージャーの思考「地域ビジネスと組織づくりの2軸4象限」の思考法をとりいれてます。

    3) PCMの強みである世界で通用する論理性(ロジック)や「みんなを巻き込む力=ファシリテーション」を体験し、プロの思考法を身に着けることで、学習のみならず、将来的な様々なプロジェクトにも当てはめる実践力を磨きます。

    4) 会場は、リアルとオンラインのハイブリッドです。(Zoom、 メタバース、Miro)といった、オンラインツールのすべてを活用できる人材を育成します。また、リアルとの融合をする実践力を磨きます。

    5) 修了者はBridge For Fukushima及びグローカルな仲間たち公認の修了書が授与されます。今後、就職や進学でも加点項目となる可能性もあります。必要であれば、日本語及び英語の修了証明を提供します。

    講師

    三好崇弘(グローカルな仲間たち主宰)

    プロフィール

    国際協力のコンサルタント『グローバル人材に贈るプロジェクトマネジメント』(共著)。プロジェクトマネジメントの世界標準化を推進する米国PMI(Project Management Institute)が認定するPMP (Project Management Professional)保持者。横浜国立大学、東京芸術大学、京都大学、龍谷大学、宮城大学などの教育機関や多くのNPO職員への講師経験。
    上記の講師に加えて、当日はファシリテーター(グループワークの進行役)も配置予定です。

    参加資格

    1. 福島県内の高校生・大学生
    2. 福島県外の大学で学ぶ、福島県出身の大学生
    3. 福島県とつながりがある大学生
      (例: サークルなどで福島県の地域活動などに参加しているなど)

    注: 3.については、要相談。応募動機を確認後、対象者かどうか確定します。前向きに検討しますので、ちょっとでも可能性がある方は奮って応募ください。

    参加費

    無料


    本件にかんするお問い合わせ先

    グローカルな仲間たち
    三好崇弘

    参加方法、その他、詳しいことは、Webでご確認ください。

    • miyoshi1970 [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    採用公募:津田塾大学学芸学部「多文化・国際協力学科」教員 

    津田塾大学学芸学部 多文化・国際協力学科では、下記の通り教員(専任講師、准教授または教授)の公募を行います。

    担当科目

    国際ウェルネスに関わる講義、1~4年セミナー。フィールドワーク、大学院での指導。
    なお、一部の科目については英語での授業を担当していただく可能性があります。

    勤務地住所

    〒187-8577 東京都小平市津田町2-1-1 津田塾大学 小平キャンパス

    募集人員

    1名

    着任時期

    2024年4月1日(予定)

    応募資格

    1. 国際ウェルネスの視点で、保健・医療、福祉、ケア、子ども、ジェンダーなどに関わる研究をしている方。
    2. 国際ウェルネスに関わる講義、1~4年セミナー、フィールドワークの指導を担当できる方。
    3. フィールドワークにもとづく人文・社会科学的な研究業績がある方。また、将来的に国際ウェルネスの領域で社会的貢献ができる人材の育成に熱意がある方。
    4. 博士号取得、あるいはそれと同程度の研究業績を有する方。
    5. 本学の建学の精神を理解し、教育・研究にくわえて入試など学内外の業務に貢献していただけること。
    6. 英語による授業ができることが望ましい。
    7. 大学院での指導をできる方。
    8. 国籍は問わない。ただし、日本語を母語としない場合には、業務に支障のない日本語運用能力を有すること。

    雇用期間

    定年68歳

    募集期間

    2023年04月20日 必着


    本件にかんするお問い合わせ先

    応募方法等の詳細については下記をご参照ください。

    • 大学HP:
    • JREC:

    ご関心ありましたら詳細を確認いただき、ぜひ応募をご検討ください。また、適任の方をご存知でしたら、本件についてご周知いただきたくお願いいたします。




    募集案内:CanDoマラウイ・準スタッフ(2023年4月上旬派遣)

    マラウイで初等学校における学校保健の活動に参加する準スタッフを募集します

    アフリカ地域開発市民の会(CanDo)は、ケニア共和国において20年間、住民が主体となった社会開発の協力活動を行ない、教育や健康、安全の問題がより深刻なマラウイ共和国で2018年4月から準備を進めて、活動を展開しています。

    2020年2月に開始した初等学校保護者の参加による教室建設が今春3月に終了の予定で、その後、学校保健の活動の形成に取り組みます。

    日本人・マラウイ人のスタッフと共にこの活動の調査の段階から業務に参加する準スタッフを公募します。

    県の行政官、伝統首長などの地域のリーダー、初等学校保護者をはじめとする地域住民、とさまざまな関係者と話し合い、活動ができます。ご応募を待っています。

    • 募集期間:2023年2月2日~28日
    • 業務開始:2023年4月上旬
    • 業務期間:6か月 *期間を通して専従
    • 募集人数:若干名
    • 勤務地:マラウイ共和国ブランタイヤ事務所およびパロンベ県

    業務内容

    調整員(日本人・マラウイ人)の業務補佐

    村での社会開発事業の調整、行政・地域住民・他機関との折衝、物品調達、活動や会議等の記録、公的支援金等の申請書・報告書のための資料作成、ブランタイヤ事務所の総務、会計事務など

    応募条件

    • 年齢:20歳以上
    • 必要な語学力:英語
      *英語で業務を実施し、話し合いに参加することが必須です。
    • 類似業務経験:不問

    その他必要な経験・能力

    1. 当会の活動原則や事業実施の姿勢について、会報、ホームページ、報告会等を通じて理解・賛同し、業務に反映させる意欲のあること―会員(会員でない方には、採用決定後に入会していただきます)
    2. どんな業務(雑務を含む)にも真剣に、積極的に取り組み、そこから多くを学べること
    3. 将来にわたり、国際協力に携わっていく意志のあること
    4. 他のスタッフとの共同生活、途上国の村落地域での生活に適応できること
    5. 基本的なパソコン操作(Word、Excel)ができること

    待遇

    • 準スタッフ手当の支給(滞在中の通常の食費を賄える金額)
    • 宿舎の提供
    • 海外旅行傷害保険への加入
    • マラウイ国内での業務に関わる交通・通信・宿泊費

    負担していただくもの

    • マラウイまでの旅費、ビザ代、予防接種代
    • マラウイ国内での食費、業務外の交通・通信費など

    持参していただくもの

    • スマートフォンとパソコン

    応募方法

    以下の書類を作成の上、Eメールにて送付してください。

    • 履歴書(書式自由。志望動機と英語力に関する自己評価を明記のこと)
      *勤務開始可能時期を記載してください。
    • 課題作文「アフリカの将来と私」(A4サイズ1枚)
    • 送付先アドレス:tokyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)

    選考方法

    書類審査および面接審査(東京事務所において実施。海外在住などの理由で難しい場合はズームを利用したオンライン)


    本件にかんするお問い合わせ先

    アフリカ地域開発市民の会(CanDo)
    担当:佐久間

    • E-mail: tokyo [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 電話番号:03-3822-1041



    ウェビナー「武力で平和はつくれない〜安保3文書とNGOの役割〜」2月17日開催(会員・一般)

    昨年はウクライナ戦争にはじまり、日本では「安保3文書」閣議決定でこれまでの国のあり方を根本から覆すような大転換が決定されました。政府は5年をかけて防衛費をGDPの2%、2022年度の2倍の額にする計画です。そして、年明けにも岸田文雄首相は英米訪問でこの動きをアピールしています。まさに日本の軍事化が進んでいます。

    この中で、NGOなど市民社会の手で軍事化に反対し、平和に向かう動きを作ろうと、長く休眠状態にあった「NGO非戦ネット(以下、非戦ネット)」を再度立ち上げることになりました。そして、「非戦ネット」の活動の枠組みは2030年まで続けていくことにしました。

    「非戦ネット」() は、2000年代前半のイラク戦争に反対の声をあげるNGOのネットワークとして結成されました。2014年の安保法制反対においても勉強会、集会、意見書提出などを行い、当時は77団体の賛同を得ました。

    活動の再起動のこの機会に、「安保3文書」を理解し、NGOに求められる役割を議論するイベントを実施することにしました。世間では防衛費増額のための増税に焦点を当てた報道が目立ち、軍備増強そのものは大きな問題とされていないように見えます。しかし、軍事力の強化がはたして抑止力になるのでしょうか。いま、紛争地など活動現場の経験に基づいて武力では平和はつくれないと訴えることが、NGOとして大切な役割だと考えています。

    イベントの前半では、「安保3文書」に対して「平和構想」を提言した「平和構想提言会議」メンバーのおひとり、清末愛砂さんから「安保3文書」の問題点と同会議からの提言についてお話しいただきます。後半では紛争地で活動するNGOのメンバーが加わり、現場の活動と経験から見えること、軍事力による抑止という発想をどう考えるのか、それに対してどう行動するのか、ディスカッションを行います。

    NGO非戦ネット・オンラインイベント
    「武力で平和はつくれない〜安保3文書とNGOの役割〜」

    • 日時:2023年2月17日(金曜)19:00〜21:00
    • 会場:オンライン(Zoomウェビナーで開催します)
    • 定員:450名
    • 参加費:無料
    • 参加対象:NGO、政府機関、一般、学生などどなたでもご参加ください。
      *メディアの取材の方は事前にお問合せ先にご連絡いただけますと幸いです。
    • 主催:NGO非戦ネット()
    • 協力:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

    登壇者

    • 清末愛砂 室蘭工業大学大学院教授
    • 鬼丸昌也 認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事・創設者
    • 今井高樹 認定NPO法人日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事

    ファシリテーター
    枝木美香 認定NPO法人アーユス仏教国際協力ネットワーク事務局長

    お申込み

    *締切:2月16日夜

    プログラム(予定)

    第一部:講演
    「戦争ではなく平和の準備を」清末愛砂さん

    第二部:NGOの現場から 
    「テラ・ルネッサンスの事例」鬼丸昌也さん
    「日本国際ボランティアセンターの事例」今井高樹さん

    第三部
    登壇者ディスカッション・Q&A

    ■イベント詳細・ご登壇者プロフィールは以下URL参照


    本件にかんするお問い合わせ先

    NGO非戦ネット事務局
    日本国際ボランティアセンター(JVC)内
    (今井・伊藤)

    • info [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)



    会長からの手紙(2023年2月)

    第11期の2年目を振り返って

    国際開発学会の皆様、こんにちは。今年も、昨年度と同じように学会活動の1年間を振り返ったハイライトをみなさんにお届けします。これは、各委員会の活動報告を行う総会にご参加いただけなかった会員のみなさんに対して、学会活動の要点をお知らせするものです。

    昨年度の活動としてまずお伝えしたいのは、ロシアのウクライナ侵攻に対して学会として声明を発出し、日本と英語でHPに掲載したことです。学会として政治的な声明を出すことについては理事会の中でも賛否がございましたが、多くの皆様の賛同を得ることができたこと、そして何よりも、学会として世界のアクチュアルな問題への対応方法を常任理事の間で議論できたことが大きな収穫だったと思っています。今後も世界が難しい局面に入るごとに、学会としてどのように立ち居振る舞いをすべきなのか、議論してまいりたいと思います。


    さて、第11期はvisible, inclusive, entertaining の旗印を掲げて、2年目を無事に終えることができました。総会を明治大学にて対面で実施できたことは何よりうれしいことでしたし、400名以上の参加登録があったことは、みなさんがこの大会を待ち望んでいたことの表れでもあると思います。発表の合間に廊下やホールで見かけたおしゃべりの環、学会賞受賞者のスピーチやそのあとの写真撮影と談笑、旧友との思いがけない再会など、対面開催ならではの偶発的な喜びに満ちた大会でした。実行委員長の島田剛先生とスタッフの皆様に改めて御礼申し上げます。

    執行部の今年度の活動は、着手した活動をしっかりと定着させ、安定軌道に乗せることに力点をおきました。いくつか特筆すべき活動をあげるとすると、次のようなものがあります。

    まず、Visibleについては、選挙管理委員会のイニシアチブにより、学生会員の主導によってYouTubeやツイッターの発信を実施しました。また、人材育成委員会では継続的に(学部生向け)論文コンテストを実施し、前年度より多くの10篇の応募をいただき、その中から3篇を学会誌に掲載しました。学部生の開拓は未来の開発研究者・実務者を育てるうえで大切な事業であります。

    学会賞の方も、応募数が昨年度5件から、今年度13件と激増し、良質の作品を審査して3点に賞が出せたことは大きな成果でありました。社会連携委員会では、今年も外務省主催のグローバルフェスタにも出展し、「国際協力におけるキャリア形成」というセッションを設けて、若いみなさんを中心に100名の参加者を得ることができました。HPやメーリスを中心とする広報委員会の業務は、visibleであり続けるために重要な役割を果たしています。たとえば10月1ヶ月間のサイト全体のページ表示回数は約50,000回に上りました。

    Inclusive については、まず地方展開委員会の活動をあげなくてはなりません。地方展開委員会では、2021年の全国大会、2022年の春季大会でラウンドテーブルセッション 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」 「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ(実践編)」 を企画し、 福岡、高知、岡山、岩手、秋田に拠点をおく学会員、地域づくりという関心を同じくする非学会員とのネットワーク構築に貢献しました。この委員会が縁となり、2022年春の福岡大会に続き、2023年春の秋田大会へと地方での学会開催の輪を広げることができました。

    また、科研費(国際情報発信強化)を用いた特集号の編集体制の確立、原稿集め、査読、そして次号に向けた国際ワークショップ(@チュラロンコン大学)の段取りができたのも大きな成果でした。この科研費を利用した外国人会員のさらなる開拓、日本留学帰国組とのネットワーク化など、inclusive の範囲を海外に展開していきたいと考えています。

    また、様々な障害をおもちの会員にできるだけ大会に参加してもらえるよう、ニーズの把握を務めたのもの今年の活動でした。次年度は、合理的な配慮に関するタスクフォースを設けて、アドホックではない配慮のあり方について議論し、その成果を実施したいと考えています。

    最後にEntertaining については、引き続き学会誌の魅力を高めるための新たなデザインの検討を行いました。特に、次年度は英文特集号が加わる節目の年でもあります。表紙のデザインは会員の皆様に参加型で投票していただきました。3月には新しい表紙での最初の雑誌をお届けできると思います。どうかお楽しみに。


    このほかにご報告すべき活動として、研究×実践委員会では2021年全国大会において、JICAが新たに推進しようとしている「クラスター・アプローチ」に対して研究者や委員会メンバーが意見を述べるラウンドテーブルを開催しました。この試みはJICA側からの評価も高く、その後2022年4月まで4回に渡って意見交換会を継続しました。こうした実務者と研究者との成熟した関係が構築できるようになったのは、両者が相まみえる「場」を本学会が長年提供し続けてきたことの帰結といえましょう。

    こうした一連の事業を持続的なものにするためには、事務局が無理なく稼働できる体制が不可欠です。大会運営における特別ソフト confit の導入は、こうした省力化の努力の一環です。これらの着実な前進の背景には、多くの invisible な努力があります。各委員会の委員長や委員の皆さんはもちろんですが、事務局や広報委員会のスタッフは日常的な裏方として日々の業務をこなしてくれています。本当にありがとうございます。

    明治大会でのプレナリーでは「グローバル危機にどう向き合うか―国際開発学の役割」と題して充実した議論を行いましたが、「危機と方向感覚」と題した私の講演に対する反応として、私の尊敬するあるシニアの会員から加藤周一の次のような引用が励ましの言葉と共に送られてきました。これは、加藤が1946年の雑誌『世代』(1946年3月号)に書いたエッセイの一部で、つい昨日まで好戦的だった日本の青年が良心の呵責もなく平和主義者に変わってしまうという日本青年の現状について書いている部分です。

    「かなりの本を読み、相当洗練された感覚と論理を持ちながら、凡そ重大な歴史的社会的現象に対して新聞記事を繰り返す以外一片の批判もなしえない」

    『世代』(1946年3月号)

    論文を書くことは重要ですが、現実世界とのつながりに基づく方向感覚を失いたくないものです。学会は学問成果を取り交わすとこであると同時に、自分たちがどこに向かっているのかを確認する羅針盤のような機能を果たさなくてはいけないのかもしれません。引き続き、会員諸氏の叱咤激励をお願いする次第です。


    第11期の最後となる2022年11月からの1年は、着手済みの変革をさらに開花させ、最終年にはさらによい報告ができるよう努力してまいります。会員の皆様の一層のご支援をお願いする次第です。

    2023年1月
    第11期会長 佐藤仁(東京大学)

    Letter from the President
    Reflecting on the Second Year as the 11th President




    第33回全国大会セッション報告(一般口頭発表)

    A. 一般口頭発表

    A-1. 教育

    • 2022年12月3日(土曜)09:45ー11:45(アカデミーコモン8F 308F1E)
    • 座長:山田 肖子(名古屋大学)
    • ディスカッサント:荻巣 崇世(上智大学)、川口 純(筑波大学)

    発表題目と発表者

    (報告:山田 肖子)


    A-2. Community

    • 2022年12月3日(土曜)13:20ー14:50(リバティタワー7F 10751B)
    • 座長:佐藤 峰(横浜国立大学)
    • ディスカッサント:野田 真里(茨城大学)、近藤 菜月(名古屋大学)

    このセッションには対面で20名、オンラインで14名の参加を得て行われた。座長は佐藤峰(横浜国立大学)、コメンテーターは野田真理(茨城大学)と近藤菜月(名古屋大学)、佐藤峰が担当した。

    まず、第一発表 “Youth Safeguarding Intangible Cultural Heritage in Luang Prabang through Community-centered Innovations”では、ラオスの古都ルアンプラバンにおける、コミュニティを中心とした若者の無形文化資産(ICH)保護の試みについての発表がなされた。野田会員からは、本研究の核となるコミュニティの示すものが明確ではないとの指摘がなされた。

    続いて、SDGsの観点から、「持続可能な開発の第4の柱」としての開発リソースとしてのICHの在り方、経済・社会・環境の持続可能性との関係、ラオスの文化の基盤である仏教との関係について質問がなされた。

    第二発表 “Group Identity and Self-Accountability with Autoethnography: A Privileged Mestizo amidst an Indigenous Community in Mexico”では、研究する側がオートエスノグラフィーを実施することで、より調査される側に対してより倫理的でアカウンタブルでいられるのではないかと言うアイディアが共有された。

    佐藤会員からは、アイディア自体は優れているが、何故オートエスノグラフィーなのか、これがある調査とない調査での比較検討があったほうがより説得力があるのではないかと言う質問と共に、先住民およびメスチーソとしてのアイデンティティの流動性についてなどの指摘もあった。

    第三発表 “Transdisciplinary Community Practice (TDCOP) for Rural Women’ s Empowerment: A Case Study in Gorontalo Province, Indonesia”では、伝統的な手工芸カラウォへの支援を通じて、女性の経済的エンパワーメントや、男性の人力小規模金採掘への参加率低下を目指すプロジェクトが紹介された。

    近藤会員からは、プロジェクトが机やライトなどの物質的支援や技術的側面に焦点を当てているのに対し、伝統的手工芸や人力小規模金採掘に男女が従事する文化的社会的構造の調査とそれに基づくアプローチが必要ではないかという質問などが出された。

    セッション自体はコメンテーターと発表者の対話があり有意義だったが、発表時間を5分短くしてフロアからの質問を受け付けられるとよりよいという印象を得た。

    (報告:佐藤 峰)


    A-3. 平和構築、レジリエンス

    • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(リバティタワー7F 10731A)
    • 座長:志賀 裕朗(横浜国立大学)
    • ディスカッサント:湖中 真哉(静岡県立大学)、関谷 雄一(東京大学)

    発表題目と発表者

    1. 「人道・開発・平和構築のポケットと人道的開発支援の可能性-ティモール島の国境をめぐる考察」
      堀江正伸(青山学院大学)
    2. 「自然資源管理におけるレジリエンス概念の役割について-東アフリカを事例として」
      久保英之(地球環境戦略研究機関)、三浦真理(国際協力機構)
    3. 「複合的災害下におけるパタンに居住するネワール民族の女性自助組織の果たす役割-2015年ネパール大地震と新型コロナウイルスパンデミック以後のコミュニティ復興の事例から」
      竹内愛(南山大学)

    堀江会員は、東ティモールの独立に伴って東西に分断されたティモール島では、東ティモールへは国際社会の注目が集まる一方、東側からの難民も多い西側が話題に上ることはなかったとしたうえで、分断後20年を経て、両地域の人々が国境を越えた新たな経済社会的相互依存関係を生み出していると指摘し、そうした国境を越えた連帯を促す支援のあり方について検討した。

    これに対して、討論者の湖中会員は、「人道的開発」とは、当事者以外の周辺住民等を含むアクターを対象とした社会集団の拡がりを想定した開発のあり方なのか、それとも緊急/平時の二分法に囚われず、時間的な拡がりを想定して、慢性的問題に取り組むことを主張する開発のあり方なのかといった点等を質問した。

    また同じく討論者の関谷会員は、ティモールの事例は、欧米列強が画定した国境に沿って独立国として歩まざるを得なくなったアフリカ諸国の国境線沿いの人々を彷彿させると指摘したうえで、このような歴史を持つ人々にとって、持続的な開発の未来にはどのような落としどころがありうるのだろうか、との問いを提起した。

    続いて、竹内愛会員は、ネパールのパタンにおける女性自助組織である「ミサ・プツァ」が2015年の大地震や新型コロナ感染爆発に際して実施したコミュニティ復興支援活動について報告し、彼女たちが20年にわたる活動を通じて地域行政組織やコミュニティの男性と信頼関係を構築した結果、災害等の緊急状態下で迅速かつ効果的な活動を展開することができたと主張した。

    これに対して、討論者の関谷会員は、カースト制度や男性優位の伝統が根強いネパール社会において、「ミサ・プツァ」は女性が持続的な社会的役割を営むようになる突破口になりうるのか、その活動がネパール社会に根付き、ジェンダーバランスを是正したり、カーストを超えた女性の繋がりに発展したりする可能性があるのか、等の問いを投げかけた。

    最後に、久保英之会員と三浦真理会員は、気候変動の影響を被りやすい乾燥・半乾燥地帯を抱えるエチオピアとケニアを事例として、気候変動レジリエンス概念の政策実施への反映状況を分析し、自然資源管理におけるレジリエンス概念の効果的な活用のあり方について検討した。

    これに対して討論者の湖中会員は、そもそもレジリエンス概念は開発学にどんな新規性をもたらしうるのかを考える必要性を指摘したうえで、気候変動の影響を受ける社会生態システムの内部と外部が連動しながら変化するというシステムの変容可能性を考慮してレジリエンスをどのように定義すべきか、コンテクストが変化しうる状況下において、攪乱要因と社会生態システムの脆弱性を特定することはできるのか、といった問いを提起した。

    このように、本セッションは、ティモール、ネパール、アフリカという多様な地域を対象とした観察結果をもとに、多様な人々が変化する自然社会環境の中で共存していく道筋を考えるうえで根本的に重要な「国境」「レジリエンス」「ジェンダー」等の概念について熟考する貴重な機会となった。座長の時間管理が不適切だったためにフロアとの質疑応答の時間が取れなかったことが悔やまれる。

    (報告:志賀 裕朗)


    A-4. 教育、子ども

    • 2022年12月3日(土曜)15:10 ー 16:40(リバティタワー7F 10751B)
    • 座長:黒田 一雄(早稲田大学)
    • ディスカッサント:山﨑 泉(学習院大学)、小川 未空(大阪大学)

    本セッションは、会場とオンライン併用によるハイブリッド形式で行われ、日本語による2発表により構成された。

    第一に、追手門学院大学の平井華代会員により、「Southから Northへ:フィリピンのNGOの支援事例から得る日本の子ども食堂への示唆」と題した発表が行われた。本研究は、岩手県の子ども食堂の活動と、フィリピン・セブにおける貧困な子ども・家庭を支援するNGOの活動を、インタビューを中心とした質的研究手法により比較する研究であった。

    この研究の独自性は、貧困な子ども支援に先進的なフィリピンから、日本に対する教訓抽出を目的とするというユニークな問題意識から出発していることであり、その試みは発表で示された具体的な提言により、十分に達成されていると見受けられた。途上国の教育を対象とした比較研究の新しいあり方を提示しており、挑戦的な取り組みとなっていた。

    第二の発表は、東洋大学の金子(藤本)聖子会員による、「マレーシアにおける難民の学習環境-クアラルンプール近郊のコミュニティセンターの多様性-」と題する報告であった。マレーシアは難民条約を批准していないながら東南アジア最大の難民受け入れ国となっており、その多くがミャンマーからのロヒンギャ難民である。

    本研究では、クアラルンプール近郊の難民が集中する地域において、難民を対象とした4つのコミュニティスクールでの調査を基にして、難民にとっての教育の役割・重要性を考察しながら、各校に潜む多様な課題が明らかにされた。難民の教育は、世界的な政策課題としてはその重要性を認識されながらも、学術的な研究の乏しい分野であり、今後の一層の展開が期待される。

    この2報告に次いで、学習院大学の山﨑泉会員、大阪大学の小川未空会員(名古屋大学)両指定討論者によるコメントが行われ、それぞれの学術研究としての方法論について活発な議論が行われた。

    (報告:黒田 一雄)


    A-5. 教育

    • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(リバティタワー7F 10761C)
    • 座長:日下部 達哉(広島大学)
    • ディスカッサント:佐野 麻由子(福岡県立大学)、坂上 勝基(神戸大学)

    発表題目と発表者

    (報告:日下部 達哉)


    A-6. Gender, Education

    • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(アカデミーコモン8F 308E1D)
    • 座長:石田 洋子(広島大学)
    • ディスカッサント:島津 侑希(愛知淑徳大学)、崔 善鏡(広島大学)

    本一般口頭発表では、教育開発における重要な課題の一つであるジェンダー平等について、各国における現状とそうした不平等を生み出す要因、或いはCOVID-19の感染拡大による影響などに関する研究発表が行われた。座長は石田洋子氏(広島大学)が、ディスカッサントは島津侑希氏(愛知淑徳大学)及び崔善鏡氏(広島大学)が務めた。

    Jean-Baptiste SANFO氏(滋賀県立大学)の発表、“Factors Explaining Gender Inequalities in Learning Outcomes in Francophone Sab-Saharan African Primary Education”では、サブサハラアフリカ諸国の基礎教育の成果におけるジェンダー不平等について、教育制度や所得の影響に加えて、社会や家族など客観的な測定が難しい要因が影響していることを解明するため、PASECの結果を用いて分析の進捗について報告が行われた。

    Naoko Otobe氏(Gender, Work and Development Expert)の発表、“The Socioeconomic impact of multiple global crisis: Gender dimensions”では、日本国内におけるCOVID-19感染拡大による社会・経済的影響によってより明確になったジェンダー不平等について、政府発表の国内データの分析やOECDデータを用いた国際比較を通して課題を示し、日本政府による対応策と今後の課題について報告が行われた。

    本一般口頭発表には対面・オンラインを併せて約30名が参加した。両発表ともジェンダー平等についてタイムリーで重要な課題を扱っているが、現時点では二次データを用いた分析であり、今後は一次データを用いたより詳細な分析が期待されることなど、活発な議論が行なわれた。

    (報告:石田 洋子)


    A-7. 社会開発

    • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(大学会館3F 第1会議室1F)
    • 座長:木全 洋一郎(JICA)
    • ディスカッサント:松岡 俊二(早稲田大学)、関根 久雄(筑波大学)

    発表題目と発表者

    1. 「潜在的に田園回帰志向を持つ人の要因分析」
      戸川 椋太(立命館大学)
    2. 「人口減少に関する要因研究–マーシャル諸島共和国を事例として–」
      野原 稔和(マーシャル諸島海洋資源局)
    3. 「米国社会における差別問題と負のスパイラル—トランプ政権における国民の分断を中心に—」
      安部 雅人(東北大学)

    本セッションでは、3本の研究発表が行われ、会場16名、オンライン14名の計30名による議論が行われた。

    第1の戸川報告では、日本の大都市圏から地方への移住(田園回帰)を志向する要因として、一軒家の購入や車の所有、農業体験の参加経験、勉強に意欲的の3点を挙げ、若い移住者向けの居住意欲のわく住宅を用意すること、農業体験を通じて特産品の魅力を印象付けることを提言した。

    戸川報告に対し、討論者の松岡会員からは、世界的に人口減少社会になっていく中で社会や家族の在り方が問い直されており、その中で地方移住促進策を捉え直す重要性が指摘された。

    第2の野原報告では、マーシャル諸島共和国で2011年から2021年に人口減少に転じた要因として、平均余命、人口移動、出生率の観点から分析し、0歳代から10歳代の人口が大幅に減少しており、特に0歳代は0歳代から10歳代の人口よりもさらに下回っていることから、出生率が人口減少の一因と結論づけた。

    野原報告に対し、討論者の松岡会員からは、出生率が減少した要因は何か、他の島嶼国の人口動態はどうなっているか、島嶼地域社会の持続性の阻害要因を考えるにはどういった問いを立てるのかといったコメントが出された。

    第3の安部報告では、米国の差別問題の背景として歴史的な白人男性優位社会やコロナ禍による白人低所得者層の失業を挙げ、抗議運動の高まりが更なる警察の治安対策強化や民間人による銃の重武装化につながるとする負のスパイラルを指摘した。これに対し、黒人・アフリカ系の若年層からの教育・就業機会の充実化を提言した。

    安部報告に対し、討論者の関根会員からは、差別問題の構造的問題は教育や収入向上の視点を超越しており、差別する側の視点から、なぜ差別をするのか、そもそも平等とは何なのかを問い直す必要性が指摘された。

    3報告ともこれまでの国際開発学会ではあまり見られない課題設定をしている点に将来性を感じる一方で、必ずしも研究精度の高くない発表もあった。特に学生会員においては、大会での門戸を広げる意味でポスターセッションでの発表を奨励しているが、あえてセッション発表とするには、一定の質を確保すべく指導教官の監督指導の徹底をお願いしたい。

    (報告:木全 洋一郎)


    A-8. 経済と環境

    • 2022年12月3日(土曜)15:10ー16:40(大学会館3F 第2会議室1G)
    • 座長:豊田 利久(神戸大学)
    • ディスカッサント:黒川 清登(立命館大学)、渡邉 松男(立命館大学)

    このセッションでは、途上国の経済と開発援助資金に関する3つの発表がなされた。その報告と討論の概要は次の通りである。なお、参加者は約20名であった。

    (1) 「中国の国際協力資金が各国のIMFの金融支援プログラム参加に与える影響の検討」

    大森佐和(国際基督教大学)

    最近の中国の開発資金増大がIMFプログラムへの参加に影響するか否かを計量分析した。特に、中国の開発資金がIMFプログラムを短期的にはクラウドアウトしていること、中国と選好(国連投票行動)が離れている国では長期的にIMFプログラムに参加する傾向があること、などが示された。

    討論者から、中国資金の長期的な影響の有無や異なった基準での選好の把握などを分析する必要性が指摘された。

    (2) 「カンボジア銀行業の資本構成:高度ドル化経済における銀行業の計量分析」

    奥田英信(帝京大学)

    銀行経営の健全性を資本構成(資本金の体操資産比率)の決定要因によって解明することを試みた。2011年から7年間のデータを用いた計量分析により、ドル化経済の下で中央銀行の最後の貸手機能に制約があるにもかかわらず、商業銀行がリスクに十分な注意を払っていない可能性を見出した。討論では、ドル化経済と商業銀行の資本構成との関係に関する仮説のより明白な叙述の必要性が指摘された。

    (3)「政府開発援助が直接投資に与える影響-VAR モデルによる検証」

    大野沙織(京都大学)

    主要5カ国のODAが海外直接投資(FDI)に及ぼす効果を2003年-2020年のデータによって計量分析した。主な結果は、ODAは必ずしもFDIに影響を及ぼしていないこと、1990年代のデータで実証されてきた日本のODAの先兵効果は見いだされないことである。討論では、日本の先兵効果が1990年代に終わったとされる理由のさらなる検討や分析手法再考の必要性が指摘された。

    (報告:豊田 利久)


    A-9. 教育

    • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50(リバティタワー7F 10731A)
    • 座長:内海 成治(大阪大学)
    • ディスカッサント:澤田 康幸(東京大学)、平山 恵(明治学院大学)

    12月3日16:50から行われた教育分科会には、会場に25人Zoom参加者約25人と合わせて約50人の参加があり、教育分野への関心の高さが感じられた。

    本分科会では4つの発表が行われた。コメンテーターは澤田康幸先生(東京大学)、平山恵先生(明治学院大学)で、初めの2つの発表を澤田先生、後の2つの発表を平山先生に初めのコメントをいただいた。

    最初の発表は内海悠二(名古屋大学)会員の「アフガニスタンにおける教育に対するコミュニティレジリエンス」であった。これは2014年の社会調査を利用したマルチ分析である。教育に対するコミュニティの役割を女性、児童労働、紛争状況等から分析したものである。澤田先生からは統計分性に関する指摘等があった。現在アフガニスタンは再びタリバン政権となり教女子教育は厳しい状況にあるが、こうしたコミュニティの意向は重要な意味を有すると思われる。

    2つ目の発表は狩野豪(金沢工業大学)・石川健太(マンチェスター大学)会員の「日本のGIGAスクール構想はOne Laptop per Childと同じ道を歩むのか?」で、狩野会員が発表した。2005年から開始されたOLPCの経験から、現在日本で展開されているGIGAスクール構想の課題を分析したものである。標準仕様、教員研修、子どもの学習機会、性別や地域の格差等に考慮する必要性が明らかになった。澤田先生からはOLPCとGIGA構想とは状況が大きく変わっているので、比較対象の正当性への指摘があった。GIGA構想はOLPCのみならず、国際的な比較の中で検討されるべき重要な課題と思われる。

    3番目は藤枝詢子(京都精華大学)会員の「フィジーにおける伝統的住居の建築技術継承の可能性」とい非常にユニークな教育課題である。フィジーのブレという伝統的な茅葺住居は全住居の1%と危機的状況にあり、その建築技術の継承には教育機関による技術教育の役割が重要であり、そのための課題を抽出したものである。平山先生からはこの発表がまとまりのある発表であるため、ご自身の経験した伝統的事業の継承に関する例が紹介された。ネパールの伝統医療、フィリピンの薬草事業、奈良正倉院の校倉津造りの継承の例である。

    伝統技術の継承は国際的な課題であり、国際協力において注目する必要性が高いことが分かった。

    4つ目の発表は、近藤葉月(名古屋大学)会員の「『いずれ自営業者のなりたい』若者たち:ガーナ農村部の学卒者のschool to work transition調査から」で、質問票調査とFG調査からの報告である。学卒者が政府セクターあるいはNGOへの就職を希望しながらも、将来的には自営業を目指していることが明らかになった。ガーナの雇用状況の不安定さが起業家精神を育んでいる状況が示された。平山先生からは、FGインタビューの採用、大学の教員の能力、雇用者側の問題等が指摘された。

    熱心な発表と丁寧なコメントで非常に有意義な分科会になった。座長のミスで会場からのコメント・質問の時間がとれず申し訳なかった。今回の分科会は幅白い教育分野の各地の調査の報告であり、教育開発分野の広がりと深まりを感じた次第である。

    (報告:内海 成治)


    A-10. African Economy

    • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:20(リバティタワー7F 1075 1B)
    • 座長:笹岡 雄一(明治大学)
    • ディスカッサント:武内 進一(東京外国語大学)、福西 隆弘(ジェトロ・アジア経済研究所)

    African Economyのセッションでは、Joseph Enoch Garcon氏が「TICADとアフリカの米セクターの参加型政策形成」Christian Otchia氏が「経済特別区(SEZ)の意味と構造変容」Hoi Yee Regina氏が「アフリカ地方の環境リスク認識」の3つの発表を行った。コメンテーターは武内進一氏、福西隆弘氏であった。

    最初のTICADの発表ではTICADの経緯、米生産についてはアジアの緑の革命や日本の経済モデルとの関係、TICAD型開発理念の意義が語られたが、オーナーシップとパートナーシップの原則が反映されている特徴は首肯されるものの、日本の農業の実績とCARD実施体制に有意な関係はないのではないか、アフリカが力を注ぐべきは米なのかメイズなのかといったコメントがあった。

    SEZについてはアジアやラ米では経済的な効果をもたらしたが、アフリカでは顕著な効果がなかった、ないしその効果は特定地域に限定されていたとの発表であった。なぜアフリカでは効果がなかったのかについてはlocal captureの問題があり、効果のスピルオーバーがアフリカでは低く、従ってマクロの産業構造も工業化などの変化に乏しかったという説明であった。発表趣旨は明確であったが、産業構造の変化はSEZだけで捉えられるのかといった問いや回帰分析で適切な変数について注意を払うべきとのコメントがあった。

    環境リスクはナイジェリア中部の人々の認識について長年のデータ分析から行ったもので、降雨量や時期の集中化による洪水の発生や、気温の変化なども相まって牧畜民の移動や生活の変化をもたらす認識の変化が現れているという趣旨であった。これがフラニ族の移動や周囲の人々との紛争にもたらす影響については今後の課題とのことであった。

    3つの発表とも内容の濃い力作であったが、最初の2つはやや当初の想定に思い込みもあった気がした。最後の発表は降雨量などの物理的なデータと遊牧民の意識とを組み合わせた長期の調査を反映したもので、構想の大きさにとても感心させられた。

    (報告:笹岡 雄一)


    A-11. 援助、環境

    • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50(リバティタワー7F 1076 1C)
    • 座長:大塚 健司(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • ディスカッサント:小林 尚朗(明治大学)、山口 健介(東京大学)

    本セッションでは4本の報告があった。

    まず槇田容子(国立環境研究所)会員から「開発援助における気候変動適応主流化―ボトムアップアプローチの普及について」というタイトルで報告があり、気候変動適応策の策定には、科学主導型のトップダウンアプローチに加えてコミュニティ主導型のボトムアップアプローチを組み合わせたデュアルアプローチが有効であることを指摘し、JICAのプロジェクトを事例にその課題と解決策を明らかにした。

    次に侯テイ玉(お茶の水女子大学)会員から「市民社会の視点から見たミャンマーの経済特区における日本のODA政策と中国の『一帯一路』構想の実践に対する比較について」というタイトルで報告があり、ミャンマーにおける日本、中国それぞれの経済特区に対する開発援助のアプローチの同異を検討し、いずれも市民社会サイドから批判を受けてきたものの、その背景にある政策意図、リーダーシップと人的コネクションなどに違いがあることを指摘した。

    続いて榎本直子(法政大学)会員から「健康的に、地球環境問題の解決を目指した『行動変容』モデルに関する一考察」というタイルとで報告があり、法政大学環境センターによる独自の環境マネジメントシステム「EMS」に注目して、学生アンケート調査を基に行動変容の実態を明らかにしつつ、さらなる行動変容を促す企画を行ったことを紹介した。

    最後に高柳彰夫(フェリス女学院大学)会員から「DAC市民社会勧告の実施:南の市民社会の支援をめぐって」というタイトルで報告があり、DAC勧告を概観した上で勧告採択後に策定中の南の市民社会組織支援のためのツールキットのプロセスを紹介し、日本社会へのインプリケーションについて論じた。

    槇田会員と榎本会員の報告に対しては小林尚朗会員(明治大学)から、侯会員と高柳会員の報告に対しては山口健介会員(東京大学)からコメントがあり、フロアからの質問やコメントも含めて報告者との間で質疑応答が活発に行われた。

    (報告:大塚 健司)


    A-12. Economy and Environment

    • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:20(大学会館3F 第2会議室1G)
    • 座長:小島 道一(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • ディスカッサント:柳原 透(拓殖大学)、岡本 由美子(同志社大学)

    発表題目と発表者

    • “Overseas Employment as Means to Sustain Economic Growth and Development: The Case of Overseas Filipino Workers”
      Armand Rolla
    • “Future Estimation of the Amount of Solid Waste in Fiji -Empirical analysis based on quantitative and qualitative analysis”
      高木 冬太(立命館大学)
    • “Addressing the Japanese elderly mobility problems with autonomous vehicle”
      PANDYASWARGO Andante Hadi (Waseda University)

    Three presentations were delivered in the session on “Economy and Environment”.

    Ms. Armand Rola made presentation on “Overseas Employment as Means to Sustain Economic Growth and Development: The Case of Overseas Filipino Workers“. This paper seeks to illustrate how the overseas employment of Filipinos can be both beneficial to the host country and to the Philippines by looking at the various host countries’ demand for labor and the overseas remittances’ contributions to the Philippines’ Gross National Product. Based on historical secondary data, the remittance contributions to the country’s GNP were valued at % in 1984 and grew to as much as % in 2006. In addition, there were only 350,982 Filipinos deployed in 1984 which grew to almost 2.3 million in 2018. Dr. Yumiko Okamoto, a commentor of the session, recommended to compare the magnitude and the role of remittances and foreign aid (grant portion) in the economy of the Philippines, because both of them appear in the current transfer balance of the current account of BOP.

    Mr. Tota Takagi presented “Future Estimation of the Amount of Solid Waste in Fiji -Empirical analysis based on quantitative and qualitative analysis”. The paper estimated future generation of waste in Fiji, using Input-output Table with some assumption on consumption expenditure per tourist, and the number of tourists. It is estimated that waste generation would increase by 20,000 tons per year in 2030, at least compared to the amount in 2018. Mr. Michikazu Kojima, the chair of the session, suggested some further research such as impact of mismanaged waste in Fiji to tourism, comparing economic ripple effect and cost of waste management, and financing mechanism on waste management such as tourist tax.

    Third speaker, Ms. PANDYASWARGO Andante Hadi, made a presentation titled “Addressing the Japanese elderly mobility problems with autonomous vehicle.” The study analyzed the Japanese Study of Aging and Retirement (JSTAR) data and gained insights through multiple correspondence analyses and nonparametric tests. The study found that technology adjustments, such as universal designs, may help ease the use of autonomous vehicles by drivers with lower cognitive and physical functions. However, the steep price of the technology must be aided with innovative business models. Dr. Toru Yanagihara, the commentator, pointed out that regarding transportation modes, it is necessary to consider not only the two extremes, personal vehicle and public transportation, but also various methods in between personal and public transportation. He also pointed out that autonomous driving was a major technological innovation, with maintaining the status quo in daily life and with reducing the psychological resistance.

    (報告:小島 道一)


    A-13. Disasters, Infrastructure, Education

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー8F 1085)
    • 座長:本田 利器(東京大学)
    • ディスカッサント:松丸 亮(東洋大学)、桜井 愛子(東洋英和女学院大学)

    Disasters, Infrastructure, Educationのセッションでは、災害を軸に多岐にわたる発表がなされた。

    “Preparedness of the Coastal Inhabitants of Pakistan towards Natural Hazards”では、パキスタンの4地区を対象とした住民の災害意識や災害情報の入手経路などの調査報告がなされた。当日はそれに加え、脆弱性および災害対応力に対する分析も報告された。会場から全国的な傾向との比較について質問があり、それを含めた分析を進める予定であることが報告された。

    “Barriers to education and lifelong learning of the climate change displaced persons: a case study in Indonesia”においては、インドネシアの教育環境について女子の教育に課題があること等が報告された。また、気候変動対策の政策に対して教育制度が十分に対応できていない現状等が報告された。会場からのコメントとの議論の中では、行政が人々の移動等のデータを収集管理することや高度教育への支援の必要性も言及された。

    “Case study of Biomass Clearance in Dam Reservoir related to Nam Ngiep 1 Hydropower Project in Lao PDR”では、ダム建設に伴うリスクとその対応として、不発弾処理の課題や地方行政の対応の遅さ、地元建設企業への技術指導の課題が紹介された。会場との議論で、これらがラオスだけではなく一般性のある課題であること等が言及された。いずれの発表も時宜を得た発展性のあるものであり、議論も有意義なものであった。

    (報告:本田 利器)


    A-14. Education and Culture

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(リバティタワー9F 1096)
    • 座長:工藤 尚悟(国際教養大学)
    • ディスカッサント:小川 啓一(神戸大学)、汪 牧耘(東京大学)

    発表題目と発表者

    1. 「留学生・日本人学生の個人的体験と教科書をつなげる試み」
      吉田秀美(法政大学)
    2. “Measurement of the level of intangible cultural heritage awareness and knowledge among the local community of Luang Prabang in Lao People’s Democratic Republic”
      Jerome Silla (United Nations University)
    3. ”China’s Belt and Road Initiative and Reshaping Internationalization of Local Higher Education Institutions”
      劉靖(東北大学)
    4. “The factors influencing the diffusion process of the teacher portal use among lower secondary school teachers in Mongolia”
      Yuji Hirai (Tokyo Institute of Technology)

    本セッションでは、以下の4件の発表があり、参加者は10名ほどであった。コメンテーターは、小川啓一(神戸大学)および、汪 牧耘(東京大学)の各会員であった。いずれの報告も国際化や新型コロナ感染症の拡大などで多様化する教育現場のダイナミズムを捉える、重要な研究テーマであった。

    “留学生・日本人学生の個人的体験と教科書をつなげる試み”

    吉田秀美(法政大学)

    アジアからの留学生が増加していくなか、大学教育の現場でサステイナビリティを議論するとき、その背景となる条件に対する異なる意見があることによって、議論の深化が生まれるという内容であった。発表者はこれまで自身の担当する科目にて学生が用いた発表スライドを見せながら、学生の持つ多様性を示した。会場からは、豊富なデータに対するコメントや、一科目のデータからどのようにESD全体への提言につなげていくのかなどの質問が出された。

    “Measurement of the level of intangible cultural heritage awareness and knowledge among the local community of Luang Prabang in Lao People’s Democratic Republic”

    Jerome Silla (United Nations University)

    ラオス・Luang Prabangにて、コミュニティの無形文化財(ICH: intangible cultural heritage)に対するawarenessとknowledgeの理解度を定量的に調査した内容が報告された。具体的にはICHに関する12項目を網羅するアンケートを作成し、Luang Prabangにある29村において435人に対して実施した内容が示された。会場からは、発表者が実施した大規模調査に対するコメントと共に、ICHに関わる政策の意思決定に誰がどのように関わるのかなどの質問が出された。

    ”China’s Belt and Road Initiative and Reshaping Internationalization of Local Higher Education Institutions”

    劉靖(東北大学)

    中国の一帯一路政策における高等教育の国際化について、ドキュメント分析手法を用いて調査した内容が報告された。一帯一路政策は中国の地方大学においても国際化を起こすカタリストとしての役割が期待されているという内容に対して、興味深いという会場からのコメントが多くあった。

    “The factors influencing the diffusion process of the teacher portal use among lower secondary school teachers in Mongolia”

    Yuji Hirai (Tokyo Institute of Technology)

    新型コロナ感染症の拡大によって学校教師の研修制度が実施できなくなるなか、モンゴルではインターネットを介した研修プログラムの普及が進んでいる。本発表は、モンゴルの中学校教師の間でオンライン研修プログラムの普及プロセスを、ウランバートル内の4地区で実施したアンケート調査(835件)のデータを用いて分析した内容が報告された。会場からはクラスター分析の内容に対する質問の他、現地での大規模調査に対するコメントなどが出された。

    (報告:工藤 尚悟)


    A-15. Aid Organization, Economic Growth and Poverty

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー10F 1105)
    • 座長:岡部 正義(共立女子大学)
    • ディスカッサント:高橋 基樹(京都大学)、伊東 早苗(名古屋大学)

    本セッションは2名の会員による報告が行われ、参加者は対面8名・オンライン2名、進行は全て英語で行われた。

    第一報告は、伏見勝利会員(JICA緒方貞子平和開発研究所)による”Ceremonial Implementations at Overseas Locations: A Multi-Case Study of a Bilateral Development Cooperation Agency”

    報告者はまず、様々な事業体が海外展開し、海外子会社や現地海外事務所(OO)を展開する中で、HQから下された事業がOOの実施局面では、“ceremonial implementations”(儀礼的な実施、CI)にとどまっていることの功罪に問題意識を示し、二国間開発協力機関(BDCA)にも該当すると問題提起があった。

    そして、報告者自身の豊富なこれまでの情報の蓄積に加え、OOに勤務する現地スタッフへのインタビュー調査を用いて一次データを構築し、CIが行われる背景やその性格、メカニズムを丹念に分析。HQや本国との関係に緊張性をはらむなかで、CIはセーフガードとしての機能を果たしていることをBDCAの事例でも立証したとする結論が報告された。

    第二報告は、原正敏会員(ビジネスブレークスルー大学)による“A Development Strategy on Middle-Income Trap and Startups Promotion in the Philippines”

    報告者は、高所得国や上位中所得国に移行した域内近隣国の台頭と対照的に、フィリピンが過去三十年にわたり低位中所得国から抜け出せない「中所得国の罠(MIT)」に問題関心を設定する。そして、MITから抜け出せない原因のひとつに、同国ではスタートアップにかかる取引費用・初期コスト等が高いという仮説を開発計画や先行研究から示した。

    世銀のWorld Development Indicatorsから「ビジネスのしやすさ(EDB)」尺度という変数を集計・構築してこれを関心ある独立変数とし、経済成長の尺度として一人当たりGDPに回帰する線形回帰分析を行った。さらに政府文書等の丹念な解釈に基づく定性的分析も実施した。主たる結果はEDBの説明力を示す結果となったとする結論が報告された。

    各報告後、第一報告には伊東早苗会員(名古屋大学)、第二報告には高橋基樹会員(京都大学)がディスカッサントとなって質問や提案事項を議論し、さらにフロア参加者の質問も活発に寄せられ、所期の時間を超えて活発に報告者との間に議論を展開することができ、たいへん有意義なセッションとなった。

    (報告:岡部 正義)


    A-16. 援助機関と現場

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:00(リバティタワー10F 1106)
    • 座長:源 由理子(明治大学)
    • ディスカッサント:松本 悟(法政大学)、北野 収(獨協大学)

    本セッションの第一報告は、隅田姿(広島修道大学)会員による「開発援助における現地実務者の役割~境界連結者としての貢献~」である。現地に派遣された援助実務者の働き方に焦点をあて、境界連結者(boundary spanner)の概念を使い、現地実務者が果たす役割について検討したものである。報告に対しコメンテーターの松本悟(法政大学)会員から、境界線の両側の視点から見る必要性や現地実務者の役職による違いなどについてコメントがあった。

    続く第二報告は、松原直輝(東京大学)会員による「現場主義の理想と現実~JICAの本部・現地事務所関係から見た組織経営~」である。JICA独立行政法人化にともなう「現場主義」の組織改革プロセスで組織改革の巻き戻しが起きた背景を、地方分権化の議論を分析の枠組みとして考察したものである。

    松本会員からは、効率性に重きをおく地方分権化の枠組みで「現場主義」を検討することの是非、現場を理解した中堅職員の増加との関係性、緒方貞子氏の存在の影響についてコメントがあった。また、隅田報告と松原報告をつなぎ、境界連結者分析と「現場主義」双方から考えるとどうなるのかという問いかけがあり、両者の継続的・発展的な研究への期待が述べられた。

    最後に、第三報告である若林基治(JICA)会員による「開発途上におけるソーシャルイノベーションの実現にかかる開発協力機関の役割について」は、開発途上国のソーシャルイノベーションのためには開発協力機関が一定の役割を果たすという仮説のもと、日本の高専がアフリカにおいて企業、大学等と協力して行ったプロジェクトを事例として仮説検証を行ったものである。

    コメンテーターの北野収(獨協大学)会員からは、かつての技術移転論・普及教育論との違い、語法としてのイノベーションの整理上の課題、イノベーションの目的が成長に限定されることへの懸念、イノベーションにおける市民社会の位置づけなどのコメントがあった。

    フロアからの質問・コメントも含め、3人の報告者ともに可能な範囲でのフィードバックを行いつつ、今後の研究上の課題として捉えていくことが表明された。援助の現場と理論を架橋する研究の更なる発展を期待したい。

    (報告:源 由理子)


    A-17. 経済

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー8F 1083)
    • 座長:後藤 健太(関西大学)
    • ディスカッサント:受田 宏之(東京大学)、會田 剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)

    第一報告:「インドネシアにおける労働市場の構造変化と賃金格差」

    • 報告者:本台進会員(神戸大学)
    • 討論者:會田剛史会員(ジェトロ・アジア経済研究所)

    本報告は、通貨危機後のインドネシアの労働市場に起きた構造変化の分析にフォーカスをあて、その賃金格差への影響を分析したものであった。討論者からは、非常に多くの示唆に富む報告であるというコメントとともに、現在の分析が労働供給側の観点に限定されていることから、ミクロレベルでの賃金の決定要因や、男女間・都市農村間の賃金格差の決定要因の推定など、労働需要側の分析の可能性が示された。

    第二報告:「GVCと自律共生的発展との連携:日系自動車メーカーのASEAN地域活動史の検討」

    • 報告者:竹野忠弘会員(名古屋工業大学)
    • 討論者:受田宏之会員

    本報告は、東南アジアにおける日系自動車メーカーの事業展開を、多国籍企業とローカル企業・産業間連携におけるメリットを、製品・製造設計の観点から検討し、地場企業にとっての「経営発展」の可能性に関してするものであった。討論者からは、東南アジア地域の多様性をどのように考えるのか、さらにグローバル・バリューチェーンの開発的な側面をどのように扱うのか、といった質問があった。

    第三報告:「メキシコにおけるトランジット移民―法整備と現実のはざまで」

    • 報告者:柴田修子会員(同志社大学)
    • 討論者:受田宏之会員

    本報告では、最近の米墨国境における非正規な越境者の急増と、そこにおける非メキシコ人(トランジット移民)の比率の急増という背景の下、メキシコにおける移民・難民に関する法整備の状況と、これとの整合性な政策実践に焦点を当てていた。そこでは、移民をプロセスととらえる視点の重要性や、最終目的地として考えられてきた米国に向けて、トランジット移民が必ずしも直線的な移動経路を取らない多様な実態を、詳細な現地調査でえられた知見に基づいた報告がなされた。討論者からは、こうした、データの取りにくい課題に対して、NGOからアクセスした点に対する評価があった。また、プッシュ・プル要因の中でも、近年高まりを見せているプッシュ要因の重要性、さらにはNGOのアドボカシー活動の影響などに関する質問があった。

    第四報告:「ラオス日系企業工場労働者の生産性改善とピア効果―作業グループにおける性格特性の異質性に着目したミクロ計量分析―」

    • 報告者:栗田匡相会員(関西学院大学)
    • 討論者:會田剛史会員

    本研究は、途上国(ラオス)の工場労働者を対象に、観測不能な「能力」を性格特性(性格五⼤因⼦)で代用とし、こうした能力のグループ内の異質性の労働生産性への影響を推計することで、そのピア効果を検証しようとしたものである。討論者からは、本研究のユニークで意欲的な側面への言及があった。また、理論モデルおよびデータ収集(実験)にいける作業環境に関するにいくつかの重要なコメントがなされた。

    4つの全ての研究発表が、それぞれ大変興味深いものだった。二人の討論者の的を射た建設的なコメントもあり、新たな研究の視点を提供するような有意義なセッションだった。なお、本セッションでは4つの報告があり、それぞれ20分の発表、討論者による5分のコメント、その後の討論者の回答とフロアからの質問を合わせて5分という時間配分となっていたが、やや時間不足な印象があったのが若干残念であった。

    (報告:後藤 健太)


    A-18. 思想、人類学、文化

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー10F 1103)
    • 座長:重田 康博(宇都宮大学)
    • ディスカッサント:橋本 憲幸(山梨県立大学)、木山 幸輔(筑波大学)

    本報告は、一般口頭発表「思想、人類学、文化」セッションについてである。参加者は、4名の発表者、2名の討論者など事務局関係者を含めて約20名であった。

    最初の清水大地(筑波大学大学院)会員の「多元世界におけるアフリカの開発論:ウブントゥ的開発論への展望」は、エスコバルの多元的世界観におけるアフリカのウブントゥ的開発論を ILO、マラウィの事例に考察し、その本質が他者との関係性にあるとした。

    討論者の橋本憲幸(山梨県立大学)会員からは、「ウブントゥ」概念が表象の政治のなかで利用されてきたことを清水会員自身はどう評価しているのかといった質問が出された。

    次の浅田直規(筑波大学)会員の「人類学と開発(学)の交点としての『開発予後』を考える―ルーマニアの児童福祉制度を事例に」は、開発プロジェクト終了後の影響を「開発予後」として、ルーマニアの児童福祉制度/国際援助を事例に調査し、その歴史、児童養護施設の長所と課題を取り上げ、ポスト共産主義の文化からどのように持続するのかが重要だと述べた。橋本会員からは、ルーマニアへの児童福祉制度に対する国際援助が共産主義の文化とどのように結びついているのかという質問があった。

    三番目の宮澤尚里(早稲田大学)会員の「伝統文化の現代的役割―インドネシア・バリ島の事例から」は、インドネシアのガムラン音楽活動は参加者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)にどのような影響を与えているかのアンケート調査を行い考察した。討論者の木山幸輔会員(筑波大学)からは、QOL 増進を目指す「政策提言」の位置付け、ガムランの営みと QOL の因果関係などの質問があった。

    最後の岡野内正(法政大学)会員の「SDGs 思想の歴史的起源―トーマス・スペンス(1750-1814)の自由移民・土地総有・全員参加・住民管理原則に基づくグローバルなベーシックインカム資本主義発展構想」は、総有制法人によるオーナーシップの確立構想を提案しベーシックインカム理念の創設者スペンスの著作などをテキスト分析しグローバル資本主義発展と普遍的人権保障が両立できるかを検討している。木山会員からはスペンスの総有制法人とSDGs や人権の概念との関係、SDGs や人権の「何に」寄与するのかといった質問があった。

    (報告:重田 康博)


    A-19. 保健衛生

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:15(リバティタワー10F 1106)
    • 座長:杉田 映理(大阪大学)
    • ディスカッサント:松山 章子(津田塾大学)、福林 良典(宮崎大学)

    発表題目と発表者

    (報告:杉田 映理)


    A-20. 社会開発、コミュニティ

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45(リバティタワー11F 1113)
    • 座長:長畑 誠(明治大学)
    • ディスカッサント:大橋 正明(聖心女子大学)、秋吉 恵(立命館大学)

    発表題目と発表者

    (報告:長畑 誠)


    B. 企画セッション

    C. ラウンドテーブル

    D. ブックトーク、プレナリーほか

    第33回全国大会を終えて




    第33回全国大会セッション報告(企画セッション)

    企画セッション


    B-2.ウクライナ紛争と中東・北アフリカ地域の食糧不安・危機
    ――レバノン・エジプト・チュニジアの事例より

    • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
    • 企画責任者:井堂有子(日本国際問題研究所)
    • 司会:佐藤寛(アジア経済研究所)
    • 討論者:河村有介(神戸大学)

    発表題目と発表者

    1. 「中東・北アフリカ地域における食糧安全保障の共通課題―構造的脆弱性の背景―」
      井堂有子(日本国際問題研究所)
    2. 「レバノンの食料不安―金融危機と難民流入―」
      土屋一樹(アジア経済研究所)
    3. 「エジプトにおける食糧『危機』が直撃する脆弱層」
      岩崎えり奈(上智大学)、井堂有子(日本国際問題研究所)
    4. 「チュニジアにおける食料安全保障の構造的課題と食料主権」
      山中達也(駒澤大学)

    第33回大会全体テーマ「グローバル危機にどう立ち向かうべきか―紛争、食料高騰、飢餓」に呼応する形で、本企画は「ウクライナ紛争と中東・北アフリカ地域の食糧不安・危機」というテーマで4つの報告を行った。

    2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻と黒海封鎖、さらに対ロシア経済制裁は、サプライチェーンを通じて相互依存を深めてきた世界全体に衝撃を与えたが、特に主要穀物を両国からの輸入に大きく依存してきていた中東・アフリカ地域は直接的打撃を受けた。

    本企画セッションでは、中東・北アフリカ(MENA)地域の共通課題とともに、特に注目されるレバノン、エジプト、チュニジアの個々の構造的課題を掘り下げることを目的とした。

    ウクライナ戦争以前から、同地域は2010-11年以降の幾度かの「アラブの春」、広範囲な抗議行動、世界的感染拡大、金融危機、極度のインフレ、気候変動による異常気象といった複合危機にすでに見舞われてきていた。こうした中での黒海封鎖は、この地域の食糧不安をさらに深刻化させ、政治危機を招く要因になりうる。

    第一の発表は、企画の趣旨説明として、約6億の人口を擁するMENA地域に共通する構造的課題の論点整理(気候変動への脆弱性、穀物輸入依存、「社会契約」としての食糧補助金、食糧援助)を行った。この地域では主要穀物(小麦)を国内生産でではなく海外輸入に依存する傾向が強まってきたが、この背景として、農業生産向上を阻む気候・地理条件に加え、広く実施されてきた食糧補助金制度、外部要因としての食糧援助の影響を指摘した。

    第二の発表では、ウクライナ危機以前、レバノンが既に深刻な金融危機(世界ワースト3位内)や政治的混乱、財政破綻等、度重なる危機に直面していたことが解説された。この背景として、脆弱な経済構造(送金・観光経由の外貨頼み、対外債務高)に加え、レバノン人380万~500万人に対してシリア難民150万人とパレスチナ難民1.6万人の受入れ等、元々厳しい状況にあったところ、低い小麦自給率(20%)もあり、黒海封鎖で市民と難民双方の食糧不安がさらに深刻化したことが報告された。

    第三の発表では、小麦輸入大国エジプトの家計調査データ(2010年代後半)の分析から、食糧不安に最も脆弱な層と彼らの生存戦略の詳細が明らかにされた。エジプトの小麦輸入相手先は米国一辺倒から多角化の時代を経て、2020年頃にロシア・ウクライナに集中するようになっていた。食糧補助金の大半を占める小麦のパン配給制度は同国の「社会契約」を象徴してきたが、危機の際には脆弱層の命の綱となってきたことが報告された。

    第四の発表では、革命期チュニジアの政治経済危機に関して、経済構造の諸課題が詳細に解説された。「アラブの春」唯一の成功例とされたチュニジアであっても、残存する縁故資本主義で硬直化した市場とFDIの停滞、30%もの高学歴失業者、インフォーマル部門の肥大化、財政赤字と対外債務の増大、低生産で脆弱な農業部門の現状により、コロナ禍以前において国民の4人に一人が中程度以上の食糧難に直面していた。こうした構造的悪循環を脱するため、国内穀物の半分を生産する小規模農民を中心としたチュニジアの市民社会による食料主権の樹立を求める動きが紹介された。

    討論者からは、地域の共通課題に対して、ロシア・ウクライナ産穀物への過度な輸入依存には経済的要因だけでなく政治的要因もあるのか、なぜ一般的な社会保障制度よりMENA地域では食糧補助金が大きな役割を果たしているのか、との質問がなされた。

    個別発表に対しては、(1) レバノンでのシリア難民受入れ、パン価格引き上げへの国民の反応、国連の支援スキームの多くが現金給付であるのはなぜか、(2) ウクライナ危機がエジプトの社会保障改革に与える影響、(3) チュニジアにおける食料主権の主体は誰なのか、あるべき農業政策(戦略)とはどのようなものか、といった質問がなされ、発表者との議論が続いた。

    初日午前の時間帯であったにもかかわらず、対面・オンライン併せて40名程度の参加を得た。

    (報告:井堂有子)


    B-3.中東における『障害と開発』

    • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
    • 企画責任者:森 壮也(ジェトロ・アジア経済研究所)
    • 討論者:小林 昌之(ジェトロ・アジア経済研究所)、長田 こずえ(名古屋学院大学)、細谷 幸子(国際医療福祉大学)、小村 優太(早稲田大学)、長沢 栄治(東京大学)、戸田隆夫(明治大学)

    発表題目と発表者

    (報告:森 壮也)


    B-4.信頼と開発協力:研究の到達点と今後の課題

    • 2022年12月3日(土曜) 12:50 ー 14:50
    • 企画責任者:石塚 史暁(東京大学)
    • 座長:佐藤仁(東京大学)
    • 討論者:佐藤 寛(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

    発表題目と発表者

    • 大塚 高弘(独立行政法人国際協力機構)
    • 林 伸江(独立行政法人国際協力機構)
    • 大友 彩加(独立行政法人国際協力機構)

    冒頭、座長より本テーマの意義について触れた後、事例分析の結果についての結果について3名(林:留学生受入事業、大塚:ボリビア国水資源管理技術協力、大友:フィリピン鉄道マスタープラン。いずれも所属は国際協力機構)より発表した。

    発表では、いずれも信頼と開発協力に係る問題を、過去の事例分析を通じて扱った。林は関係者間の信頼関係が留学生の満足度に与えた影響、大塚はカウンターパートが頻繁に交代する国・地域における信頼の引継ぎ、大友は過去の実績の蓄積による信頼と案件実施中に新たに構築される信頼の構築過程を統合的に分析した。

    これに対し、討論者(佐藤寛・アジア経済研究所)より、日本の地方部における外国人に対する信頼の問題や、ODAの技術協力スキームにおける信頼の位置づけ、開発協力における信頼の構成要素などについてコメントがあった。加えて、フロアの参加者からも以下のような質問・コメントがあり、座長・発表者を交えて活発な意見交換を行った。

    「信頼」は「安心」や「信用」と区別して議論すべきではないか。

    (留学生の)満足度と信頼はかならず相関するものといえるのか。

    (モノなど)非人間的な要素に対する信頼はありえるか(信頼はどこまで属人的か)。

    日本企業以外が受注するアンタイド案件における日本への信頼はどう考えられるか。

    時代の変化に伴って開発協力における信頼の役割はどのように変化してきたか。

    個人・組織・国という信頼の主体を区別して議論すべきではないか。

    信頼は開発の目的になりえるのか(現場としては違和感あり)。

    信頼の効果を捉えるため信頼が得られなかった案件との比較をしてはどうか。

    セッションで提示された問いの幅は、開発研究における信頼というテーマがさらに深堀すべき要素を多く含んでいることの証左である。今後も、研究を継続したいという気持ちを強くした。なお、セッション参加者は約60名(会場:約15名、オンライン:約45名)で、議論は大変活発であり、この分野に対する高い関心が感じられた。

    (報告:佐藤仁)


    B-5.The ‘Easternisation’ of Development: The politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation

    • 2022年12月3日(土曜)16:50 ー 18:50
    • 企画責任者:伊東 早苗(名古屋大学)
    • 司会:藤川 清史(愛知学院大学)
    • 討論者:佐藤 仁(東京大学)、KIM Soyeun(Sogang University)

    発表題目と発表者

    1. ”The Easternization of Development: The Politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation”
      伊東 早苗(名古屋大学)
    2. ”The Politics of East Asian Developmentalism: Paradigms, Practices and Prospects of Foreign Development Assistance”
      von Luebke Christian(コンスタンツ応用科学大学)
    3. Huan Meibo(上海対外経貿大学)
    4. Wang Zhao(上海対外経貿大学)

    本企画セッションは、対面とオンライン合わせて約30名ほどの参加者があり、盛況であった。藤川清史会員(愛知学院大学)による司会のもと、4名による研究報告を予定していたが、大会直前になって、急遽、上海対外経貿大学の報告者2名(Meibo Huan氏 およびWang Zhao氏)が不参加となった。

    彼らの報告を期待して参加くださった会員の皆様には、深くお詫びしたい。一方で、報告者2名(Sanae Ito, ”The Easternization of Development: The Politics of East Asia’s Developmentalist Cooperation”およびChristian von Lübke, ”The Politics of East Asian Developmentalism: Paradigms, Practices and Prospects of Foreign Development Assistance”)の報告後、討論者2名(佐藤仁会長/東京大学、およびSoeun Kim会員/Sogang University)およびフロア全体を巻き込む諸議論に十分な時間を費やすことができ、その意味で、大変有意義なセッションであった。

    2名の報告内容は、ポスト2015時代における開発協力のパラダイムシフトと、近年の、日本、韓国、中国による国益重視型開発協力をめぐる政治的力学を「開発主義国家」概念と合わせて論じるものであった。

    報告者によると、国益重視の開発協力は、「持続可能な開発目標SDGs」を推進する国際社会が民間セクターとの協働を促進する動きと連動している。また、それぞれの東アジア諸国が「非欧米型開発モデル」という言説を掲げ、欧米先進国が先導する開発アプローチに代わる「オータナティブ」を標榜しがちな状況とも連動しているとする。

    具体的な事例として、日本政府による「質の高いインフラ事業」がとりあげられ、日本企業によるインフラ投資を促進するためにODAが戦略的に使われていることを「開発主義国家的な産業政策の復活」として議論した。

    討論者からは「開発の東洋化」という概念にどのような意味があるか、また、国内産業の振興を目的とする産業政策が外交面で開発協力政策と接続する場合の距離感等についてコメントおよび質問があった。さらに、「開発の南化」や「Blended Finance」といった概念に関わる研究と実践上の動向について、知見の共有がなされた。

    フロアからは、グローバル社会の動向と東アジアの動向を区別できるか、開発実践の現場における民間企業の本音はどこにあるか、といった論点が指摘された。また、開発主義国家の定義や、その多様な側面について当該分野の専門家からコメントがあり、学びの多い議論につながった。

    (報告:   )


    B-6.包摂的な産業開発は可能か―アフリカにおけるものづくりの現場から

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
    • 企画責任者:井手上 和代(明治学院大学)
    • 討論者:黒川 基裕(高崎経済大学)、渡邉 松男(立命館大学)

    発表題目と発表者

    1. 「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」
      高橋 基樹(京都大学)
    2. 「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」
      井手上和代(明治学院大学)
    3. 「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」
      松原加奈(東京理科大学)
    4. 「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」
      日下部 美佳(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

    本セッションには、対面で11名、オンラインで11名の参加があった。本セッションは、「アフリカ・アジアにおけるものづくり」研究部会の活動を踏まえ、その成果を学会に還元することを念頭に置いて企画したものである。

    アフリカ諸国が21世紀初頭からの高度成長を経てかえって強まった資源・一次産品への依存からの構造転換のために、ものづくり・製造業の現状を、実証研究を通じて考察することが要請されている。そこで必要なことは、多くの人が経済活動の担い手として参加する包摂的な開発が実現されてゆくことである。

    最初の報告「アフリカにおける製造業の『失われた中間』を問い直す―ソファ製造の多系的発展の事例から―」(高橋基樹会員・京都大学)では、ケニア・ナイロビのソファ製造の複数のクラスターを取り上げ、製品について生じた革新的な知識が異なる業者の間で容易に共有される開放的なケースと知識が秘匿される閉鎖的なケースがあることが指摘された。それは従来の「失われた中間」=二重構造論では捉えきれない多系的な発展とそれに応じた包摂が生じている可能性を示唆するものである。

    続く「ケニアの小規模零細金属加工業者のものづくりと資金調達 ―企業者的能力に着目して―」(井手上和代会員・明治学院大学)では、ナイロビの金属加工業の資金調達と企業者能力について、製品と技術(機械化の程度)が異なる二つの地区の業者への聞き取り調査に基づき論じた。長期資金需要の相対的多さにもかかわらず、金融市場における機会が狭められており、機械化の進んだ事業者も自己資金への依存率が高く、金融機関からの借り入れが限られていることが分かった。事業者の企業者能力はそうした生産環境の負の要因を補うために発揮されている。

    「支援を渡る―政府と国際援助機関によるエチオピア皮革産業の現地企業への影響―」(松原加奈会員・東京理科大学)は、最初にエチオピアの革靴産業と産業政策の歴史を跡付けた。それを踏まえて、異なる3つの規模の企業が受けてきた支援を詳述し、小企業にも政府による外国援助を活用した支援が及んでいることを指摘する。各企業は異なる複数の支援を渡りつつ恩恵を受けるものの、逆に支援を渡ることができずに廃業に追い込まれる場合があり、包摂が不均等なかたちで生じていることが示された。

    「ザンビア・ルサカにおける障害者団体の技能訓練と生産活動―技能形成に着目して―」(日下部美佳会員・京都大学博士課程)は、福祉用具に携わる障害者団体の活動に着目し、個々人の技能の熟練及び多能工化と活動参加前の教育や技能の習得とがどのように関わっているかについて考察した。技能形成とものづくりという障害者の開発への主体的な参加が団体の存在によって可能となっている。

    各報告に対して黒川基裕会員(高崎経済大学)、渡邉松男会員(立命館大学)から、理論的枠組みを踏まえた議論の陶冶に向けた助言や、考察をさらに深めるための問題の提起がなされた。これらは上記研究部会での議論を進展させるために非常に有益なものであり、本セッションを開催した意義を確認することができた。

    (報告:井手上 和代)


    B-7.開発途上国におけるミクロ実証分析

    • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45(オンライン発表)
    • 企画責任者:島村 靖治(神戸大学)
    • 討論者:樋口 裕城(上智大学)、倉田 正充(上智大学)、會田 剛史(アジア経済研究所)

    発表題目と発表者

    1. 「女性自助組織活動と公的雇用保証政策は女性の民間での雇用にどのような影響を及ぼしたのか?―インド・アーンドラ・プラデーシュ州農村部の事例―」
      佐藤 希(愛知学院大学)
    2. 「地域内における資源配分と消費水準との関係の探求―マラウイの農業用投入資材補助金政策を事例としてー」
      藤田 茜(神戸大学)
    3. 「インドネシア医療ボランティアの活動報酬に対する選好―離散選択実験による実証分析―」
    4. 劉 子瑩(神戸大学)
    5. 「ベトナム中部の村落医療施設における医療従事者の利他性の分析」
      島村 靖治(神戸大学)

    本セッションでは開発途上国におけるミクロデータを用いた実証分析に関する4つの報告が行われた。

    第1の発表では、インド、アーンドラ・プラデーシュ州農村部の女性の自助組織活動と全国農村雇用保障法(NREGA)による雇用保証事業との関係、ならびにNERGAの民間雇用への影響に関する分析結果が報告された。そして、コメントとして、自助組織活動への参加によってNREGAの効果に違いがみられる理由をより丁寧に分析し議論すべきとの指摘があった。

    第2の発表では、マラウイの農業投入資材補助金政策を題材に地域内における資源配分と地域全体の平均的な一人あたり消費水準との関係に関する分析結果が報告された。コメントとしては、地域や地域内における資源配分の捉え方の手法を再検討した上で結論についてもより丁寧に議論すべきとの指摘があった。

    第3の発表では、インドネシア、ジョグジャカルタ郊外で活動する医療ボランティアの活動報酬に対する選好がボランティアの利他性により異なることを見出した分析結果が報告された。一方で、コメントとして、結果の解釈にあたっては純粋利他性と不純利他性の違いを考慮に入れて行うべきとの指摘があった。

    第4の発表では、ベトナム中部の村落医療施設(CHC)で働く医療従事者の利他性の分析を行い、医療従事者の利他性は同じCHCで働く同僚の利他性と強い相関関係があることが報告された。他方、コメントとして、そうした相関が生じる理由がピア効果なのか、社会における職業的なソーティングなのかを峻別すべきとの指摘があった。加えて、医療従事者の人数が増えたCHCほどその効果が大きくなるメカニズムについても探求すべきとの指摘もあった。

    そして最後に、4つの発表すべてについての質疑応答の時間があり、それぞれの研究の今後の発展可能性について活発な議論が行われた。

    (報告:島村 靖治)


    B-8.ジェンダーと開発

    • 2022年12月4日(日曜) 09:30 ー 11:30
    • 司会:高松香奈(国際基督教大学)
    • コメンテーター:菅野美佐子(青山学院大学)

    発表題目と発表者

    1. 「バングラデシュにおけるマイクロファイナンスと女性のエンパワメント」
      本間まり子(早稲田大学)
    2. 「ネパールの家族農業における変化への対応」
      甲斐田きよみ(文京学院大学)
    3. 「南スーダンでの全国スポーツ大会を通じたスポーツとジェンダー」
      古川光明(静岡県立大学)

    ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進は、持続可能な開発目標(SDGs)をはじめ、開発における重要な取り組み課題として認識されている。しかし、SDGsの達成度やジェンダー格差指数が示すように、これらの課題を解決するための取り組みは、未だに十分であるとは言えない。

    こうした状況において、実務者と研究者が活動報告や情報共有、調査や啓発活動のためのアプローチなどを紹介することにより、ジェンダーと開発を考えるうえでの課題や可能性について検討することを目的に「ジェンダーと開発」研究部会が、2022年8月に設立された。

    本企画セッションでは、家父長制下で制約を受けている女性に焦点をあて、研究部会の有志会員が関わってきた事例を紹介した。コロナ禍において、女性は以前より増して不利な状況におかれている。しかし、受動的な弱者として位置付けるのではなく、変化を引き起こす主体として位置付けるために、国際協力を通じ何が出来るのか検討した。

    セッションの冒頭で、司会の高松会員より、研究部会の目的や活動内容の紹介をおこなった。続いて本間会員の発表では、バングラデシュのマイクロファイナンス事業の参加女性たちの融資金の利用について、コロナ禍の影響と関連した現状及び今後の調査計画が共有された。

    甲斐田会員の発表では、ネパールの先住少数民族で最貧困層のダヌワールを対象にした聞き取り調査結果に基づいて、様々な社会経済状況の変化に対する農民の対応を、ジェンダー視点で分析し、性別役割分業やジェンダー規範の影響が報告された。

    古川会員の発表では、南スーダンのジェンダーとスポーツに関連して、スポーツ大会がジュバ女性市民のスポーツ参加やスポーツを継続することの認識への与える効果について、質問票調査を通じた検証がなされた。

    コメンテーターの菅野会員からは、各研究報告に対してより理解を深めるとともに、今後、研究を更に発展させるためのヒントとなるような質問やコメントが行なわれた。セッション参加者のうち、研究部会の新規登録者が数名あり、今後の活動に繋がった。

    (報告:高松香奈)


    A. 一般口頭発表

    C. ラウンドテーブル

    D. ブックトーク、プレナリーほか

    第33回全国大会を終えて




    第33回全国大会セッション報告(ラウンドテーブル)

    ラウンドテーブル

    C-1.授業という開発実践
    ー わたしたちはどんな「人材」を「育成」するのか

    • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
    • 企画責任者:池見 真由(札幌国際大学)
    • 討論者:

    発表者

    • 大山 貴稔(九州工業大学)
    • 松本 悟(法政大学)
    • 栗田 匡相(関西学院大学)
    • 汪 牧耘(東京大学)

    (報告:池見 真由)


    C-2.Adaptive Peacebuilding: A New Approach to Sustaining Peace in the 21st Century

    適応的平和構築:21世紀における持続的な平和への新しいアプローチ

    • 2022年12月3日(土曜)09:45 ー 11:45
    • 企画責任者:伏見勝利(JICA緒方研究所)

    発表者

    1. 武藤亜子(JICA緒方研究所)
    2. 立山良司(防衛大学校名誉教授)
    3. 田中(坂部)有佳子(一橋大学森有礼高等教育国際流動化機構グローバル・オンライン教育センター)
    4. ルイ・サライヴァ(JICA緒方研究所)

    本ラウンドテーブルは、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「持続的な平和に向けた国際協力の再検討」の最終成果である学術書籍”Adaptive Peacebuilding: A New Approach to Sustaining Peace in the 21st Century”の発刊前に、研究成果の一部を発表したものである。

    ノルウェー国際問題研究所のデ・コニング博士が主導する概念である適応的平和構築とは、紛争の影響を受けた国の内部で、地元が主導する平和構築を推進するアプローチである。平和構築に関わる外部者は、人々自らが平和を維持するための社会全体のシステムを再構築するプロセスを、促進することが推奨される。ラウンドテーブルでは、次の適応的平和構築の事例を紹介した。

    1. シリア紛争にて、市民が紛争後の復興計画を作成したり国連主導の調停に関わったりした事例(武藤)
    2. パレスチナで、現地の人々との幅広い交流や協力関係を通じ、地元に配慮した治安維持に貢献したヘブロン国際監視団の事例(立山)
    3. 紛争後の東ティモールの「村(スコ)」という場が、退役軍人と人々の間の緊張緩和に貢献した事例(田中(坂部))
    4. モザンビーク紛争に際し、外部ではなく現地の人々が主導した平和構築の事例(サライヴァ)

    適応的平和構築が紛争終結や紛争後の平和の維持に大きく貢献していることや、紛争が続く場合でも、紛争の負の影響の軽減や市民ネットワークの構築に有意義な貢献をしていることが明らかになった。窪田、伏見が討論者を務め、平和構築の多様な道筋、また現地の主体や社会経済的な文脈を考慮に入れる必要性を明らかにした研究成果には、多くの関心が寄せられた。

    (報告:伏見勝利)


    C-3.国際教育開発における専門知
    ー実践の経験値と研究の専門性の架橋を中心にー

    • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
    • 企画責任者:川口 純(筑波大学)
    • 司会:坂田のぞみ会員(広島大学)

    本セッションは、国際教育開発の研究と実践の架橋をテーマに開催された。背景には、本分野において実践と研究が十分に架橋されていないとの問題意識があった。従来、研究者から実践家に対しては、「実証的な研究成果を活かした実践になっているのか」、「教育の専門性を持たない専門家が多く、国際協力の専門性の方が教育の専門性よりも優先されてきたのではないか」などの指摘がなされてきた。

    また、実践家から研究者に対しては、「日本の教育開発研究者は何をしているのか分からない」、「日本から国際潮流を作ることはあるのか」といった批判がなされてきた。

    この様な相互の批判を踏まえて、本セッションでは若手研究者を中心に国際教育開発の研究と実践の架橋について議論が展開された。企画者は川口純会員(筑波大学)、登壇者は 荻巣崇世会員(上智大学)、橋本憲幸会員(山梨県立大学)、非会員の坂口真康氏(兵庫教育大学)と関口洋平氏(畿央大学)の4名で、司会は坂田のぞみ会員(広島大学)が務めた。

    その他、10名程の参加者があり、幅広い角度から闊達な議論が展開された。その中で架橋の質を問う必要性や架橋の目的と方向性についてとりわけ活発に意見が交わされた。また、研究の枠組みを設定するにあたり、実践と研究が置かれてきた時代状況の違いを踏まえながら、個人としての架橋と総体としての架橋のずれに関する丁寧な議論の必要性への言及もあった。

    本分野においては、以前より個人としては実践と研究の架橋が成されていたが、総体としては徐々に希薄化している状況が問題として認識され、実践の経験値の蓄積に対し研究の専門知が果たしうる役割について今後も議論を継続することが重要であるという結論が導かれた。

    具体的な今後の研究の方向性としては、本研究自体に実践家を巻き込みつつ、事実(データ)に基づいたより実証的な研究を展開する必要性が確認された。

    (報告:川口 純)


    C-4.倫理理的食農システムの構築に向けて:
    アグロエコロジーの観点から

    「倫理的食農システムと農村発展」研究部会

    • 2022年12月3日(土曜)12:50 ー 14:50
    • 企画責任者:池上甲一(近畿大学名誉教授)
    • 討論者:加藤(山内)珠比(京都大学)、妹尾裕彦(千葉大学)

    本ラウンドテーブル(RT)は「倫理的食農システムと農村発展」研究部会の成果を議論する場として代表の池上が企画した。本RTの意図は、現行の食農システムの抱える諸矛盾を乗り越えるために、アグロエコロジーの観点から倫理的食農システムの構築可能性を論じることだった。

    食農システムを対象とする以上、資材、農業生産、流通、消費というそれぞれの段階が社会的・環境的・経済的公正をおもな要素とする倫理性とどう関連しているのかが主要な論点となる。本RTではこうした趣旨を説明する座長解題と食農システムの各段階に対応する4報告が行われた。

    第1報告・西川芳昭(龍谷大学)「アグロエコロジー研究から見たタネをめぐる主体者の多様性」は、最も基本的な資材である種子の参加型開発を可能にする農業研究のあり方を議論した。

    第2報告・受田宏之(東京大学)「ミルパ、有機市、農民学校:メキシコにおけるアグロエコロジーの実践と課題」は、変革の主体やメカニズムと併せ、政治との関係を焦点とした。

    第3報告・牧田りえ(学習院大学)「有機とローカルはなぜ接近するのか」は、原理的には異なる2つの動きが重なり合う9つの要因を文献研究から解明した。

    第4報告・坂田裕輔(近畿大学)「生産過程の倫理性に対する消費者の関心」は、支払意思額に基づく分析結果から、消費者は商品のこだわりを意識して選択を行うが、一定の社会階層に対するエシカルマーケティングは成立しないと結論づけた。

    討論者の加藤(山内)珠比(京都大学)は第1報告に対して、在来種による人口増への対処可能性と農民による種子選抜の可能性が疑問として提示された。また第2報告について「戦線の拡大」に伴う農民の異質性増大と「集合的な理想」の関連如何を問うた。

    同じく討論者の妹尾裕彦(千葉大学)は第3報告に対して、アグロエコロジーの観点からはローカルの重要性がポイントだとコメントした。第4報告については解析を前提とした改善方向についての示唆があった。最後にRT全体にかかわる論点としてアグロエコロジーを拡げる(べき)範域と有機農業への転換による食料確保への懸念への対応の必要性が提起された。

    (報告:池上甲一)


    C-5.日本型援助理念と政策を問い直す

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
    • 佐藤仁(東京大学)

    本ラウンドテーブルではODAにかかわる理念、原則、政策手段についての3つの視点から、日本に特有の援助理念の再検討を行った。具体的には、自助努力支援(マエムラ会員/東京大学)、要請主義(佐藤会員/東京大学)、開発輸入(キム会員/韓国・西江大学)が報告を行い、これに志賀裕朗会員(横浜国立大学)が討論の口火を切る形でセッションを運営した。

    マエムラ会員は、OECD-DACの議事録分析などを基礎にして、自助努力支援の発想が欧米から斡旋された考え方である可能性が高いことを資料に基づいて提示し、自助努力支援がいつの間にか「国産化」した過程を跡付けた。

    佐藤会員は、相手国からの要請という援助プロセスにおける当たり前の手続きが、日本のODAの原則になった経緯を戦後賠償の手続き論にたどって論じた。

    最後に、キム会員が「開発輸入」という日本独特の援助方式を議題にとりあげ、この方式の「もの珍しさ」が外国人の研究者に発見された点や、中国が同じ方式で援助供与を行うようになったことなど、日本式の政策手段が諸外国に波及した事例を紹介した。

    これらの3報告に対して、討論者の志賀会員からは日本の援助が欧米の aid の理念に翻弄されてきた歴史があったのではないかという興味深い指摘があった。欧米の aid はキリスト教の教えに共鳴する「施し」のニュアンスがあり、それが民間主導でおこなわれた経済協力とは相いれなかった可能性の指摘である。

    日本は賠償に始まる独自の論理と手続きを構築した一方で、DACドナーとしてaid コミュニティーに理解を得る形で援助理念を形成せざるをえなくなった。日本型援助理念とは、援助の定義をめぐる西欧と自国の論理の板挟みになった結果として生み出された産物といえるかもしれない。フロアからは国民の援助理念の受け入れをどう考えるか、現場での援助実践と理念の関係などについて鋭い質問が相次ぎ、議論は大いに盛り上がった。参加者は現地とオンラインを合わせて30名程度であった。

    (報告:佐藤仁)


    C-6.地域の課題解決における国際協力人材の役割

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
    • 企画責任者:矢向禎人(JICA)
    • 司会:河野敬子(一般社団法人海外コンサルタンツ協会:ECFA)
    • 討論者:岸磨貴子(明治大学)室岡直道(JICA)

    発表者

    • 大下凪歩(下関市立大学)
    • 金崎 真衣(環太平洋大学)
    • 井川真理子(株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)
    • 永田友和(高山市海外戦略課)
    • 塗木陽平(JICA)
    • 荻野光司(JICA)

    実務者からの情報発信強化及び、研究者との交流によるODAの質的改善を目的としたECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し、今年度で5年目を迎えた。

    本ラウンドテーブルでは、(1) JICA中国主催の地域の多文化共生の課題に大学生等が取り組む「因島フィールドワーク合宿(学生主体で企画を立案。外国人材を多く受け入れている因島にて外国人材と地元の方との結びつき、異文化理解の促進に向けた取り組みを試行)」および、(2)「ルアンパバ-ン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト(世界遺産の管理・保全のための協力を岐阜県高山市の協力を得て実施)」を事例とし、国際協力人材と日本の地域との関り方、地域の課題解決に果たしうる役割について議論を行った。

    両事例は取り組み内容や目指す成果は異なるが、異文化理解の機会創出という共通性があり、国際協力を活用した異文化理解・多文化共生を育んでいく場の提供の重要性と可能性が見受けられた。一方、両事例による機会創出は時限的で連続性や持続性に留意すべきとの指摘もあり、このような機会をどのように繋げていくかは今後の検討課題である。

    また、両事例に留まらず、各参加者の経験に基づく異文化理解・多文化共生の難しさについても議論が行われた。議論において、国際協力人材が持つ国内外の経験、特に多様な国や人々との交流経験は、「共生」を具体化し進めるための場や機会を提供に活かせるとともに、共に悩むことが出来るという点も国際協力人材の優位性や役割との意見が出された。

    さらに、ラウンドテーブル全体の議論を振り返る中で国際協力という言葉についてもコメントがあり、求められる役割や環境を踏まえ、国際協力は「変化し続けるAgency」として捉え進めていくことの重要性についても意見交換がなされ、今後の国際協力を検討する上で有益なセッションとなった。

    最後に本ラウンドテーブルの開催にご参加、ご支援頂いた皆様にお礼を申し上げます。

    (報告:矢向禎人)


    C-7.食のレジリエンスとSDGs

    第4回「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会ラウンドテーブル

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(オンライン発表)
    • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
    • 討論者:野田真里(茨城大学)

    発表者

    1. 基調講演:菊地良一(和法薬膳研究所) 
    2. 中西徹(東京大学)
    3. 西川芳昭(龍谷大学)
    4. 安藤由香里(大阪大学)

    開発のレジリエンスとSDGs研究部会の第4 回目のラウンドテーブルは、食の問題を取り上げた。SDGs17 の目標の1つが2030年までに「飢餓をゼロに」することであるが、昨今の世界情勢、例えば新型コロナウィルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧供給危機や物価高騰などの諸問題を踏まえ改めて食のレジリエンスとSDGs を様々な角度から検討してみた。

    基調講演として、山形県高畠町の和法薬膳研究所主宰の菊地良一氏から、主としてミネラル濃度の高い食品の重要性と普及に関する実践と重要性に関する報告を頂いた後、中西徹氏からは国際社会における、グローバル金融資本がもたらす食の格差拡大を是正するための有機農業の意義に関する報告がなされた。

    次いで西川芳昭会員からは、農業の産業化と近代化による種子システムの脆弱化に関して現状に関する具体的な説明とともにその持続性を保つために必要な管理の在り方について報告がなされた。さらに、安藤由香里氏からはフードロスをめぐり、フランスおよびイタリアで適用されている社会連帯経済関連法・食品廃棄禁止法の効力、日本への適用可能性について報告がなされた。

    討論者の野田真里会員からは各報告者に対し、それぞれのテーマに関して新型コロナ禍との関係やポスト/ウィズコロナを見据えた展望について問いがなされ、各報告者による応答があった。課題として、複合的なグローバル危機と食のレジリエンスに関し、さらに各テーマに関する追究が必要だという認識が共有された。

    (報告:関谷雄一)


    C-8.「一般化」の多様性 ー事例を巡る対話を通してー

    「若手による開発研究」研究部会セッション

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
    • 企画責任者・司会:松原優華(東京外国語大学大学院)

    発表者

    • 松原優華(東京外国語大学大学院)
    • 神正光
    • 山田翔太(立教大学/日本学術振興会特別研究員PD)
    • 吉田篤史(京都大学大学院)
    • 森泰紀(同志社大学大学院)
    • 須山聡也(東京大学大学院)

    本ラウンドテーブルは、「若手による開発研究」部会による企画セッションである。本セッションでは、研究における「一般化」への向き合い方という多くの研究者が抱える問題をテーマとし、ディシプリンや研究者個人間での「一般化」の多様性を捉え直し、その中で研究の価値を再考する機会の提供を目的とした。

    本セッションは発表と討論の2部で構成された。前半は、専門分野、対象地域が異なる6人の若手研究者が、(1)それぞれが捉える「一般化」、(2)「普遍性の追求-地域の固有性の追求×個人-世界の一般化のレベル感」から成る4象限で自身の研究スタンスを提示した。これにより、研究者個人間の「一般化」の捉え方の多様性、それゆえの研究スタンスの多様性を示した。

    後半では(1)“良い”「一般化」とは何か、(2)「一般化」の捉え方が異なる中でどのように研究の価値を見出していくのか、15人ほどの参加者による討論を行った。

    討論では、フロアからの「誰に向けての、何のための「一般化」なのか」との指摘から、「一般化」の意義について議論が展開された。その中で、事例から導出できる特殊性を広い文脈に位置づけることが他地域や他分野へと議論を広げる可能性が指摘された。その上で、この作業こそ研究者がすべきことなのではないのかという意見もでた。

    また、「どのように「一般化」するのか」についても活発な議論が行われた。「一般化」の局地である「普遍性の追求」については、事例の特殊性を追及した結果として、偶発的に「普遍性」に近いものが発見される可能性に言及された。この指摘は、事例から意識的に「一般化」する方向が強調されてきたこれまでの研究法の議論とは異なる新たな事例と「一般化」の関係の捉え方といえよう。

    本セッションでは、これまで曖昧なままにされてきた「一般化」の捉えにくさを正面から議論したことで、研究の意義を再考する機会となった。本セッションを皮切りに、「一般化」の考え方の違いから時に生じてきた分野、研究者間の対立を乗り越え、「一般化」の捉え方の議論が活発化することを望む。

    (報告:松原優華)


    C-9.開発における「ビジネス実践と研究」の連携可能性

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30
    • 企画責任者:小林 誉明(横浜国立大学)
    • 狩野 剛、功能 聡子、佐藤 峰(横浜国立大学)浜名 弘明

    (報告:小林 誉明)


    C-10.大学におけるアフガニスタン、ウクライナからの避難民受入れ支援と課題

    国際開発関係大学院 研究科長会議 企画ラウンドテーブル

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
    • 企画責任者:岡田 亜弥(名古屋大学)
    • 討論者:

    発表者

    • 神馬 征峰(東京大学)
    • 小正 裕佳子(独協医科大学)
    • 小林 誉明(横浜国立大学)
    • 赤井 伸郎(大阪大学)
    • 金子 慎治(広島大学)
    • 市橋 勝(広島大学)
    • 木島 陽子(政策研究大学院大学)
    • 北 潔(長崎大学)

    (報告:岡田 亜弥)


    C-11.人口減少へ向かう人類社会とサステナビリティ研究

    • 2022年12月4日(日曜)12:45 ー 14:45
    • 司会:松岡俊二(早稲田大学)
    • 討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)、石井雅章(神田外語大学)、島田剛(明治大学)

    ラウンドテーブル(RT)「人口減少へ向かう人類社会とサステナビリティ研究」は、司会:松岡俊二(早稲田大学)、話題提供者:浜島直子(千葉商科大学、環境省)、工藤尚悟(国際教養大学)、討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)、石井雅章(神田外語大学)、島田剛(明治大学)という構成で、2022年12月4日(日)12:45-14:45、明治大学リバティタワー1F1012教室にて開催した。参加者は20名程度であった。

    日本の人口は2008年の1億2,808万人がピークで、その後は減少プロセスに入り、コロナ禍もあって、 2021年10月1日には、前年比64.4万人減となった。64.4万人という減少数は、鳥取県人口(55万人)を上回り、ほぼ島根県人口(66万人)に匹敵する規模となっている。

    少子高齢化を特徴とする人口減少は日本だけではなく、中国や韓国などの東アジア諸国でも起きている。2022年7月に発表された『国連人口推計』は、中国の人口は2021年に14億2000万人でピークを迎え、2022年からは人口減少プロセスへ入り、2052年に13億人を割り込み、半世紀後の2078年には10億人を下回ると推定されている。また韓国は、2021年に合計特殊出生率が世界最低のとなり、人口減少が深刻化している。

    人口減少問題は日本や東アジア地域にみられる個別的あるいは特殊的な社会的課題ではない。いま起きている人口減少は人類史的現象であり、人類史の大きな転換点であることが、近年の世界の人口研究によって明確になってきた。

    ワシントン大学の研究グループは、2020年に医学雑誌Lancetに発表した論文で、2064年に世界人口は97億3千万人でピークを迎え、その後は減少へ転換するとした。ホモ・サピエンス登場から30万年、永く続いてきた人類の膨張が終わりにさしかかっている。人口増加を前提につくられた経済社会システムの限界が明らかになり、新たな社会のデザインが問われている。

    本RTでは、人類社会が人口減少・縮小社会へ転換することが、サステナビリティ研究や国際開発協力にとって何を意味し、どのような転換への「備え」が必要なのかを論じた。特に、途上国の開発問題や気候変動などの長期的課題への影響や日本の地域社会の持続性について議論した。

    (報告:松岡俊二)


    C-12.開発経験は共有可能か
    ——日中韓にみる「セマウル運動」を事例に

    「ODAの歴史と未来」研究部会

    • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
    • 企画責任者:汪牧耘(東京大学)

    本企画は「ODAの歴史と未来」研究部会の一環として、開発・援助研究の暗黙的な前提である「経験共有の可能性」を問い直すものである。具体的には、1970年代に始まった「セマウル運動」の経験がどのように日中韓で論じられてきたかを検討し、「経験共有の不可能性」を踏まえた知識生産のあり方を考察した。

    当日、発表者の3人(チョン・ヒョミン氏・近江加奈子氏・汪牧耘氏)は、「セマウル運動」の展開とそれをめぐる日中韓における議論の系譜を共有し、開発経験の価値化・知識化とその共有は常に一種の政治性が伴うことを再確認した。

    援助供与国が自国の開発経験を体系的にまとめる過程で起きる経験の取捨選択を批判・評価するのではなく、さらに「自らの経験をどう共有するか」を思考するのみならず、「自らの経験に対する他の見方をどう発掘するか」という問いに学問的な光を与えることが重要ではないかと提案した。

    討論者(キム・ソヤン氏・志賀裕朗氏)のコメントは議論をさらに前進させた。特に、「知識実践」と「知識共有」の違い、外部者の眼差しと経験の相互作用や、欧米的な開発知の「匿名性」を踏まえたアジア・アフリカという枠の有効性などといった論点は、本企画の思考を精緻化していくための足場となりうる。

    ディスカッションにおいて、松本悟氏、佐藤仁氏、柳原透氏から貴重なコメントを頂いた。特に、経験を(「外部」も含めて多様な視点で」)蓄積し、そして「経験を持つ側」と「その経験を欲しがる側」を結ぶ必要性を示した実践的な視点は示唆に富む。

    また、経験共有の役割が“inspiration”を通して果す可能性に関する指摘も目に鱗であった。今後は、経験の受け止め方をより多くの事例から検討し、開発を推し進めてきた人びとの知性と感情を理解するための観測点となる研究へと、本企画を発展していきたい。

    (報告:汪牧耘)


    C-13.社会的連帯経済(SSE)の国際動向と日本の動き

    「社会的連帯経済」研究部会

    • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
    • 企画責任者:古沢広祐(國學院大學)

    本RTは、前々日に開催された公開プレ企画の内容を共有するかたちで進められた。報告3名、(1)「ILO総会における社会的連帯経済の動向について」(高崎真一・ILO駐日代表)、(2)「社会的連帯経済の国内動向とILOとの連携について」(伊丹謙太郎・法政大学)、(3)「国際動向との関連で研究部会の研究会取り組み(中間総括)」(古沢広祐・國學院大學)、討論者(池上甲一・近畿大学)とともに、SSEの現状と今後について議論した。

    ここでは、プレ企画内容について中心的に紹介したい。 「SSEの役割と可能性を議論」公開イベント概要が、ILO駐日事務所ニュース記事(2023/01/04)でよくまとまっているので以下紹介する。

    ・・・・「社会的連帯経済(SSE)と国際労働機関(ILO)の最近の動き」が12月2日にあり、ILO企業局プログラム・マネジャーのシメル・エシムが基調報告を行いました。学界や協同組合・政府の関係者、労働組合などからおよそ100人が参加しました。

    イベントは、貧困、危機、不平等などの世界的な課題に取り組む手段として、SSEが世界で注目を集める中、日本でさらにSSEを認知してもらい、その可能性を話し合うために開催されました。

    基調報告に立ったエシムは、2022年6月の第110回ILO総会で採択されたディーセント・ワークとSSEに関する決議 を紹介しつつ、アジア太平洋地域にはSSEに関する法的枠組みがほとんどないものの、SSEの価値や原則は各地域の文化に根差していると指摘。コミュニティー型の自助グループや協同組合、アソシエーション、相互扶助組織など同地域のSSEに触れつつ、過去20年間にインド、インドネシア、日本、タイ、韓国などで発展してきた社会的企業の役割についても強調しました。  

    連合の西野ゆかり氏は、フリーランスや配達などを単発で請け負う「ギグ・ワーカー」、個人事業主を含む全ての労働者を支援する連合の取り組み「Wor-Q(ワーク)」を紹介。団体生命共済や総合医療共済など共済制度を通じた支援について説明しました。

    ILO駐日代表の高﨑真一は、「SSEが目指す『社会正義の実現』はILOの設立理念に合致する」と話し、駐日事務所の長年の取り組みとして、アフリカの協同組合のリーダーを日本に招へいする研修プログラム を紹介しました。今回のイベントは12月3日、4日に開かれた国際開発学会第33回全国大会の一環で、オンラインと会場参加を組み合わせて開催されました。・・・・

    –ja/

    関連情報

    • –ja/

    (報告:古沢広祐)


    C-14.水産協力におけるブルーエコノミーの有効性

    • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45
    • 企画責任者:河野敬子(一般社団法人海外コンサルタンツ協会:ECFA)
    • 司会:本田勝(JICA)
    • 討論者:松丸亮(東洋大学)

    発表者

    • 三国成晃(JICA) 
    • 世古明也(アイ・シー・ネット株式会社)
    • 寺島裕晃(アイ・シー・ネット株式会社) 
    • 馬場治(東京海洋大学)

    実務者からの情報発信強化及び、研究者との交流によるODAの質的改善を目的としたECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し5年目を迎えた。

    三国氏は「ブルーエコノミーとその推進に向けたJICAの戦略」について発表した。JICAでは、グローバルアジェンダの協力方針の一つに水産資源/沿岸生態系、漁村/沿岸コミュニティ及び地場産業のそれぞれの便益を同時に創出するコベネフィット型の協力アプローチである「島嶼国の水産ブルーエコノミー振興」を掲げている。

    これまでのJICA技術協力プロジェクト、パイロット活動、本邦研修などの経験を「ツールボックス」に入れて共有することでより効率的・効果的な支援ができるのではないかとの提案があった。

    世古氏は「バヌアツ国豊かな前浜プロジェクト」について発表した。資源管理方策とコミュニティ支援方策を連動させる連結方策を含めた総合的なアプローチにより、活動のバランスをとることで、住民による自主的な資源管理と経済活動の多様化、それを支援する行政を目指した。

    寺島氏は、「カリブ島嶼国での重要魚介類のナーサリーグラウンド造成と観光サイトとしての利用」について発表した。重要水産物あるロブスターを安価に増殖させ且つ観光資源にも貢献する試行が行われているが、コミュニティ組織強化や安価な人工魚礁の制作、観光業との連携など課題が山積している。

    馬場氏は、日本の取組みとして「水産業普及指導員とその役割」について発表した。指導員制度は、直接漁業現場に出向いて漁業者と対話をすることで現場の課題を行政ルートでくみ上げる役割を担っており、内発的優良事例の発掘と普及に貢献している。開発援助でも、そのような事例を探し出す能力・行政システムとして本制度の移転に意義があるのではないかと紹介した。

    ラウンドテーブルでは、知見共有のための「ツールボックス」等のアイデアや、現地の方にとってのプロジェクト参加のインセンティブ作りや巻き込み方法等コミュニティ開発に関わること、魚礁の設置や漁船が増えることのデメリットといった環境保全に関わること等、幅広いテーマでのディスカッションを行った。

    (報告:河野敬子)


    C-15.JICA国際協力事業における評価の枠組みとプロセスへの着目について

    • 2022年12月4日(日曜) 12:45 ー 14:45 1114(オンライン発表)
    • 企画責任者/司会:佐藤真司(国際協力機構)
    • 討論者:伊藤晋(新潟県立大学)

    発表題目と発表者

    1. 「JICA事業評価の概況と最新課題~プロセスの視点を中心に~」
      古田成樹(国際協力機構)
    2. 「新事業マネジメント方式(クラスター事業戦略)の導入及び評価の枠組み検討について」
      丸山真司・山岡麻美(国際協力機構)
    3. 「ザンビア国現職教員研修制度支援を通じたキャパシティ・ディベロップメントにかかるプロセスの分析」
      伊藤治夫(株式会社アイコンズ)・山口恵里佳(国際協力機構)

    本セッションでは、JICA国際協力事業評価における評価の今後の方向性及びあるべき姿に関する議論を深めるため、プロセスへの着目をキーワードに3つのテーマについて5名の報告者からの話題提供を受け、討論者・参加者を交えた議論が行われた。

    冒頭、本ラウンドテーブルの企画者である佐藤より、ラウンドテーブル企画の背景、目的について説明した。最初の発表として、古田成樹氏より、JICA事業評価の昨今の取り組みを俯瞰する報告がなされた。

    特にJICA事業評価基準の改訂(2021年度)に関し、新たに、事業実施中の対応過程等の視点を取り入れるなど、新規・類似案件の計画・実施に向け、より良い教訓の抽出・活用の促進に取り組んでいる状況について概観が共有された。

    つづいて、丸山真司氏、山岡麻美氏より、グローバル・アジェンダ、クラスター事業戦略と呼ばれる目的・目標及び重点取組の設定を通じた包括的な事業マネジメントの最新状況と、当該戦略事業の評価手法の検討にかかる論点が報告された。

    その後、伊藤治夫氏、山口恵里佳氏より、ザンビアにおける現職教員研修制度支援を通じたキャパシティ・ディベロップメントについて、DAC評価項目とは異なる視点で、事業のプロセスを当事者の語りから振り返りながら、今後の類似事業の形成・実施に向けての教訓が報告された。

    報告の後、参加者からJICAにおけるインパクト評価の実施状況やクラスター事業戦略におけるシナリオのモデル化と受益国における開発計画の関係性に関する質問が寄せられ、指定討論者である新潟県立大学の伊藤晋会員からは、プロセスにも焦点を当てた評価をしていきたいとの点は評価できるとしつつ、事業評価に投入できる資源は限定的なため評価の合理化が必要だろうとのコメントがなされるなど活発な議論が展開された。

    (報告:佐藤真司)


    A. 一般口頭発表

    B. 企画セッション

    D. ブックトーク、プレナリーほか

    第33回全国大会を終えて




    第33回全国大会セッション報告(前夜祭、ブックトーク、プレナリーほか)

    P. 前夜祭

    現代アフリカの開発における課題
    ―危機下の市民生活から

    • 2022年12月2日(金曜)18:00 ー 20:00
    • 企画責任者:林 愛美(日本学術振興会/大阪公立大学)
    • 討論者:佐藤 光(明治大学)、山崎 暢子(京都大学・ハーバード大学)、笹岡 雄一(明治大学)、佐久間 寛(明治大学)

    前夜祭の趣旨は以下の通りである。サハラ以南アフリカの多くの地域では、独立を経験してから60年以上が経った。近年、アフリカ社会は民主化やグローバルな資本主義経済化、そして開発プロジェクトの影響を受けて急激な変化を経験してきた。

    また、現在はCOVID-19という世界的な感染症の危機の只中にある。こうした環境の変化や危機において、開発途上であるアフリカ社会では、支援と開発が必要とされている。しかしそのためには、アフリカの人びとがどのような危機に置かれており、どのような支援が必要であるかをまず明らかにする必要がある。したがって本企画では、現代のアフリカにおける開発と市民生活の課題について、それぞれの研究者のフィールドから報告を行った。

    まず第1発表者の佐藤は、COVID-19の危機に際して生活困窮者が増加する中、アフリカ諸国で社会保障制度の強化が急速に進められている状況に着目し、非民主主義国が多いサハラ以南アフリカにおいて社会保障を整備する上での課題についてジンバブエの事例を取り上げ、民主化が進んだ南アフリカと比較しながら考察を行った。

    第2発表者の山崎は、ウガンダの地方都市において交通インフラ整備といった開発事業が労働移動の契機となって地方の都市化を推し進めた一方、地方住民の生活に大きな影響を与えている点を指摘し、現代の地方都市住民の就労上の課題について論じた。

    第3発表者の林は、ケニア西部の村落部において女性器切除という慣習を廃絶しようとする運動が市民社会組織によって展開されているものの、相互扶助的な地域社会においては両者の間でコンフリクトが生じていることを報告した。  

    以上の発表に対して第1コメンテーターの笹岡からは、特に佐藤に対して民主化過程が社会保障制度の形成にどのようにつながっていくのか、また、外部からの財政的支援とはどのようなものかという質問がなされた。一方、外部支援に頼ることは、アフリカの社会保障制度の構築につながることになるのかという指摘も行われた。さらに、3名の発表の接合がうまく見出されていない点が企画の課題として挙げられた。

    第2コメンテーターの佐久間は、本企画においてアフリカが「危機の大陸」として漠然と想像されているが、研究者はそれが誰にとって、どのような危機であるのかをより具体的に明らかにする必要があると指摘した。そうした作業の先にそれぞれの研究の接合が見出される可能性があるとした。各発表に対してはフロアからも多数の質問が寄せられ活発な議論が交わされた。発表者は新たな課題を得ることができ、充実したセッションとなった。

    (報告:林 愛美)


    D. ブックトーク

    • 2022年12月4日(日曜)09:30 ー 11:30(リバティタワー1F 1011)
    • 企画責任者・モデレーター(学会誌編集委員会、ブックトーク担当):芦田明美(名古屋大学)、佐藤寛(アジア経済研究所)、道中真紀(日本評論社)

    本ブックトークセッションでは会員による近刊4冊の書籍についての紹介が、著者および出版社の編集担当者よりなされ、出版にいたったきっかけや経緯、苦労等が共有された。討論者からは、内容を踏まえての貴重なコメントが提供された。参加者はオンライン・対面双方含め30名以上にのぼり、活発な質疑応答となった。

    D-1.月経の人類学―女子生徒の「生理」と開発支援

    • 2022年6月、A5版、304ページ、3,850円
    • 報告者:杉田映理(大阪大学)、新本万里子(広島市立大学)
    • 担当編集者:大道玲子(世界思想社)
    • 討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)

    月経は、いまやグローバルな課題となっている。国際開発の現場では、女子教育の向上、ジェンダー平等、水衛生分野における女性への配慮、女性のリプロダクティブ・ライツ/ヘルスなどの観点から2010年代前半から月経衛生対処が開発支援の対象とされた。

    月経衛生対処(略称MHM)とは、生理用品へのアクセス、生理用品を取り替えやすいトイレや水回り、生理用品の廃棄設備が整備されており、月経に関する「適切な」知識へのアクセスがある状態を指す。一方、月経はそれぞれの文化に深く根差した慣習やタブーが存在する。MHM支援が広がる潮流のなかで、地域に固有の文化的慣習や月経観は、いま揺らいでいる。 

    本書では、第1部で、月経をめぐる国際開発の動向を整理する。第2部では、世界8か国における女子生徒の月経対処について、ローカルな月経対処の文脈と実態を明らかにする。各地で実施したフィールドワークに基づく情報をもとに、月経対処の「今」を同時期にとらえる。第3部では、第2部でとらえた各地の実態を比較検討することで、国際開発による支援を月経対処に及ぼすときに何を検討する必要があるのか、その示唆を抽出する。


    D-2.紛争後の東ティモールの環境管理:平和構築・国際協力におけるコミュニティの役割

    • 2020年2月、A5版、208ページ、4,450円
    • 報告者:宮澤尚里(早稲田大学)
    • 担当編集者:大江道雅(明石書店)
    • 討論者:石塚勝美(共栄大学)

    紛争直後の東ティモールにおける、3年半のフィールド調査に基づく実証的研究の成果である。紛争後の国家が紛争状態に後戻りしない「平和と安定の国造り」を目指すにあたり、紛争後の環境資源問題に取り組むことの重要性を喚起する。そして、紛争後の平和構築プロセスにおける環境管理の具体的政策の検証結果を考察した。


    D-3.Millennial Generation in Bangladesh: Their Life Strategies, Movement, and Identity Politics

    • 2022年3月、A5版、222ページ、USD 21
    • 報告者:南出和余(神戸女学院大学)
    • 担当編集者:Mahrukh Mohiuddin(The University Press Limited, Dhaka, Bangladesh)
    • 討論者:村山真弓(アジア経済研究所)

    1990年代生まれの現在の若者世代は、バングラデシュ人口の最多世代を占め、同国の政治経済社会の大きな変化を経験している。彼らは1971年のバングラデシュ独立から20年後に生まれ、誕生以来、絶えず開発の取り組みの対象となり、国際援助、グローバル経済、イスラーム化などの直接的影響を受けながら育ってきた。さらに、グローバルな文脈では「ミレニアルズ」と呼ばれる世代である。グローバル化の傾向の中で、彼らは移住や職業の変化を通じて、社会を変革する大きな可能性を占めている。

    本書は、現代バングラデシュの、特に都市部の若者の生活戦略、社会運動、アイデンティティ・ポリティクスについて論じる。グローバル化の様相は社会階層ごとにあまりにも多様であるが、どの階層もその影響を受けている。グローバル化時代における同世代の共通性と多様性こそが同世代の特徴であり、本書はそれを詳細に把握する。

    1990年代生まれの若者世代に焦点を当てることは、バングラデシュ研究のみならず、グローカルな環境における「若者と社会」研究に重要な議論をもたらす。またその民族誌的記述は、バングラデシュの若者のダイナミックな実態を理解する上で読者を惹きつけるだろう。


    D-4.国際協力NGOによる持続可能な開発のための教育: SDGsのための社会的実践を通じた学び

    • 2022年7月、B5判、168ページ、1,892円
    • 報告者:三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)
    • 担当編集者:なし(デザインエッグ社)
    • 討論者:小松太郎(上智大学)

    本書は第一に、日本の国際協力NGOは、多様な 国内事業(教育、広報、情報伝達、社会的実践)を通じていかにして持続可能な開発のための教育(ESD)を推進しているのかを明らかにした。一方、NGOはESDを推進する上での人材・資金・専門性の不足といった課題を抱えている。

    そこで本書は第二に、NGOによるESDの課題を克服するための方策は何かを検討した。これらの研究課題に取り組むことで、学術面においてはESD学習論に新たな知見を提供し、政策・実践面ではNGOのESD活動の質的・量的な強化に貢献することを目指した。


    E. プレナリー

    E-1. 「対話型」プレナリーパネル「グローバル危機にどう向き合うか – 国際開発学の役割」

    • 2022年12月4日(日曜)15:00 ー 16:30(オンライン/リバティタワー1F 1011)
    • 挨拶:源由理子(明治大学)
    • プレナリーパネル:佐藤仁(東京大学)、長畑誠(明治大学)、牛久晴香(北海学園大学)、島田剛(明治大学)

    (報告:源由理子)


    E-2. JASID-KAIDEC Session: Prospects for New Approaches to Promote International Development Cooperation

    JASID/KAIDEC共同セッション「国際開発協力を促進する新たなアプローチの展望」

    • 2022年12月4日(日曜)15:00 ー 16:30
    • 北村友人(グローバル連携委員長)

    国際開発学会(JASID)と韓国国際開発協力学会(KAIDEC)は、これまでお互いの学会年次大会において共同セッションを開催したり、毎年韓国の済州で開催される学術フォーラムに参加するなど、積極的に学術交流を深めてきた。

    しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンラインでの交流は継続しつつも、過去2年間にわたり対面での交流を一時中断せざるを得なかった。それが、今年度のJASID秋季大会で、3年ぶりに対面での交流が可能になったことを関係者一同、何よりも嬉しく感じた。

    今回の学会大会では、JASIDとKAIDECの共同セッション「国際開発協力を促進する新たなアプローチの展望(Prospects for New Approaches to Promote International Development Cooperation)」を開催した。なお、このセッションでは英語が使用され、対面とオンラインのハイブリッド形式で実施された。

    まず、KAIDECのSung-gyu Kim会長(高麗大学)による開会の挨拶が行われ、JASIDとKAIDECの間で築き上げられてきた交流の実績を踏まえつつ、先を見通すことが難しい時代において2つの組織が協力し合いながら国際開発協力のあり方を検討していくことの重要性が強調された。

    Kim会長の挨拶に続き、JASIDとKAIDECからそれぞれ新進気鋭の若手研究者たちによる講演が行われた。まず、KAIDECの国際委員会でChairを務めるKyung Ryul Park博士(KAIST)が登壇し、「Digital Transformation and Sustainable Development Cooperation: the Case of Artificial Intelligence」と題した講演を行った。

    この報告では、これからの国際開発協力において「データ」がいままで以上に重要な役割を果たすと共に、そうした「データ」を分析し、その結果を実践に反映させるうえで、人口知能をはじめとする多様な技術の活用が不可欠であることが指摘された。とりわけ、国際機関によるデータ収集の現状や、国際開発協力の現場におけるデータ活用の具体例など、興味深い事例がいくつも紹介された。

    続いて、JASIDからはグローバル連携委員の荻巣崇世会員(上智大学)が「Education and Sustainable Development Cooperation: Japanese experiences」と題した講演を行った。

    まず、日本の若者たちが国際開発協力をどのように認識しているのかについての分析を踏まえたうえで、とくに教育開発分野を例として日本の国際開発協力がいかに現地との多様なアクターたちとのパートナーシップを大切にしているかが指摘された。

    そのうえで、若者たちの視点を取り入れつつ、国際開発協力における「Global Knowledge Commons」を構築していくことの重要性が強調された。

    これらの講演に続き、聴衆との間で活発な質疑応答のやりとりがなされた。そして、今後も、JASIDとKAIDECの間で学術交流を深めていくなかで、これからの国際開発協力のあり方についてアジアからいままで以上に積極的な発信を行っていくことが大切であることが確認された。

    (報告:北村友人)


    F. 第33回会員総会

    • 2022年12月4日(日曜)16:40 ー 18:10(リバティホール1F)

    ※会員総会のページを参照(要パスワード)


    G. ポスター発表

    • 李 鋒(中央大学大学院)
      「中国における地域の教育格差:ジニ係数の分解分析」
    • 小林 匠(神戸大学)
      「ウガンダの初等教育におけるコミュニティと親の参加が教育の質に与える影響:ブシェニ県とワキソ県の事例から」
    • 宇野 耕平(神戸大学)
      「バングラデシュにおける需要側に着目した就学前教育へのアクセスの分析」
    • 石井 あゆ美(青山学院大学)
      「日本における多様な教育ニーズに即した「包摂的かつ公正で質の高い教育」の実現に向けた課題—神奈川県における外国につながる子どものノンフォーマルな学び場と学校教育との関係性の考察から—」
    • 石井 雄大(神戸大学大学院)
      「セネガル初等教育における学習達成に対する自律的学校運営の影響分析」
    • DAAS Yousuf(Kobe University)
      ”The Influence of Mothers’ Education, Childs Labour and Family Income on Expected Education Attainment in Bangladesh”
    • Danilo LEITE DALMON(Kobe University)
      “Factors Influencing the Effectiveness of Municipal Governments in Primary Education Student Achievement in Brazil”
    • 内山 かおり(神戸大学)
      「就学前教育とウガンダ初等教育における学習達成度の関係」
    • 枝元 美帆(立命館大学院)
      「自然災害に対する防災意識を維持する要因 ―滋賀県の意識調査を事例としてー」

    A. 一般口頭発表

    B. 企画セッション

    C. ラウンドテーブル

    第33回全国大会を終えて




    『ジェンダーと開発』研究部会(2023年2月)

    活動報告

    ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進は、現在、開発における重要な取り組み課題として認識されています。持続可能な開発目標(SDGs)においても、ジェンダー平等と女性のエンパワメントの推進が独立した開発目標として掲げられるとともに、分野横断的な視点としても位置付けられています。

    1970年以降に形成されてきた「ジェンダーと開発」という領域では、開発協力の場において女性を可視化し、グローバルにローカルに、政策、組織、地域社会、世帯レベルで生じている課題をあぶり出してきました。しかし、SDGsの達成度やジェンダー格差指数が示すように、これらの課題を解決するための取り組みは、未だに十分ではありません。

    「ジェンダーと開発」研究部会は、実務者と研究者が活動報告や情報共有、調査や啓発活動のためのアプローチなどを紹介することにより、ジェンダーと開発を考えるうえでの課題や可能性について検討することを目的に、2022年8月より活動をしています。

    初年度は、月例の勉強会(第3金曜日にZoom開催)を開催し、メンバーの研究報告を通じて、研究部会の方向性と2年次以降の共通研究テーマを検討しています。横断的なテーマを持つメンバーの研究を共有するにあたり、「コロナ禍の影響」という共通の視点を用いています。


    勉強会のテーマ(実績)

    • 8月22日:キックオフミーティング
    • 9月16日:安全保障とジェンダー、開発
    • 10月21日:人類学とジェンダー
    • 11月18日:企画セッションの準備(セッションでの報告内容の検討)
    • 12月16日:COVID-19による障害女性の日常生活への影響(バングラデシュの事例)

    また、2022年12月の第33回国際開発学会において、研究部会の有志による企画セッションを開催し、研究部会の紹介及び今後の研究内容の検討を行いました。


    第33回国際開発学会・企画セッション

    「ジェンダーと開発」

    目的

    家父長制下で制約を受けている女性に焦点をあて、研究部会の有志会員が関わってきた女性のエンパワメントの促進事例を紹介。コロナ禍の影響を受ける女性たちを、受動的な弱者として位置付けるのではなく、変化を引き起こす主体として位置付けるために国際協力を通じ何が出来るのか検討する。

    報告内容

    「バングラデシュにおけるマイクロファイナンスと女性のエンパワメント」、「南スーダンでの全国スポーツ大会を通じたスポーツとジェンダー」、「ネパールの家族農業における変化への対応」


    2年次以降は、共通課題を見つけて企画セッションと特集号の掲載に向けた活動を計画しています。ご興味のある方は、事務局・本間までご連絡ください

    『ジェンダーと開発』研究部会
    代表:田中由美子(城西国際大学客員教授・JICA)
    事務局:本間まり子(早稲田大学)




    SRIDジャーナル第24号発行のご案内

    近年、温暖化等の地球環境問題、COVID-19の世界規模の感染拡大、突然のロシアのウクライナへの軍事侵攻、米中覇権争いといった深刻な課題により、政治的・経済的な国際秩序は不安定化しています。そこで今号の特集は「構造的変化が進む世界の危機と国際協力」としました。巻頭エッセイでは特集を念頭に置いた包括的な議論を展開しています。論説では、国際協力の最前線であるアフリカ政治や世界経済に焦点を当てて論じています。また、開発プロジェクトや人材育成での貴重な経験も紹介されています。ブックエッセイ・書評では、経済発展の要因や米国のアフガニスタン政策を論じた書を取り上げました。併せて、バングラデシュの日常生活が 垣間見られるような写真もお楽しみください。

    SRIDジャーナル編集委員長 湊直信

    SRIDジャーナル第24号目次

    SRIDジャーナルとは

    巻頭エッセイ

    高橋一生:分断と絆:逆流する歴史と進展する歴史

    論説・インサイト(特集:構造的変化が進む世界の危機と国際協力)

    遠藤貢:国際政治の構造的変化と危機:アフリカに焦点を当てて
    湊直信:世界の経済秩序の不安定化と危機

    徒然草

    福田幸正:一開発コンサルタントのささやかな喜び

    開発の現場から

    森真一:価値のない「籾殻」を価値のある「燃料」と「飼料」に換えるビジネスの始動

    国際開発ゼミ紹介

    立命館大学経済学部:黒川清登ゼミ

    ブック・エッセイ/書評

    浅沼信爾:経済発展の謎に迫る試み Stefan Dercon, Gambling on Development; Why
    Some Countries Win and Others Lose, 2022, Hurst & Company
    松田教男:ベトナムでの苦い経験は生かされなかった!クレイグ・ウイットロック著『ア
    フガニスタン・ペーパーズ -隠蔽された真実、欺かれた勝利』2022、岩波書店 Craig,
    Whitlock. (2021). The Afghanistan Papers: A Secret History of the War. New York: Simon & Schuster, Inc.

    SRID活動報告

    森田宏子:開発分野で活躍する女性のためのフォーラム
    藤村建夫:国際開発のプロを育てる

    会員紹介

    鈴井宣行さん

    途上国アルバム

    川野亮:バングラデシュ

    編集後記
    投稿規程

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    SRIDジャーナル編集委員会
    中島千秋

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    オンライン「令和4年度NGO研究会『国際協力におけるジェンダー主流化に向けた課題と実践』活動報告会」2月27日開催(会員・一般)

    JANICジェンダー平等推進ワーキンググループでは、「国際協力におけるジェンダー主流化に向けた課題と実践」をテーマとした外務省令和4年度NGO研究会受託事業の一環として、アンケートの報告会および勉強会を通じたジェンダー平等に関する課題の整理とニーズの把握を行い、推奨基準を定めたガイドラインの制作を進めてきました。

    この度、本NGO研究会の活動のまとめとして、国際協力分野におけるジェンダー主流化の動向、NGOの課題を共有するとともに、ジェンダー主流化ガイドラインの紹介のための活動報告会を開催します。ご関心のある皆様のご参加をお待ちしております。

    開催概要

    • 日程: 2023年2月27日(月曜)11:00~12:00
    • 開催方法:オンライン(Zoom)
    • 参加費:無料
    • 主催:JANICジェンダー平等推進ワーキンググループ

    内容

    • NGO研究会活動報告
      国際協力分野におけるジェンダー主流化の動向
      NGOの課題、ジェンダー主流化ガイドラインの説明
      今後に向けての提言
    • コメント・質疑応答

    参加申し込み

    以下のURLからお申し込みください。

    参加申込締め切り:2023年2月23日(木曜)24時


    本件にかんするお問い合わせ先

    公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
    谷島緑

    • m_yajima [at] (* [at] の部分を@に修正してご使用ください)
    • 080-5079-4724