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NL33巻1号

第32回全国大会セッション報告

目次

11 月 20 日 (土曜)/ Sat. Nov. 20th, 2021

午前 I セッション/ Morning Session I 9:00-11:00 (GMT +9)

A1. 医療

  • 座長:松山章子(津田塾大学)
  • コメンテーター:明石秀親(国立国際医療研究センター)、青柳恵太郎(メトリクスワークコンサルタンツ)

発表者

  1. 「パンデミックにおける医薬品へのアクセス― COVID-19との闘いにおける国際的な公正さとは―」
    勝間靖(国立国際医療研究センター(NCGM)グローバルヘルス政策研究センター(iGHP))
  2. 「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐって―」
    新本万里子(広島大学)
  3. 「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響 ― トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析 ―」
    島村靖治(神戸大学)
  4. 「ベトナム中部における妊産婦の検診・出産における医療施設選択行動の分析」
    佐藤希(愛知学院大学)

本セッションでは、「パンデミックにおける医薬品へのアクセスーCOVID-19 との闘いにおける国際的な公正さとはー」(国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター・勝間靖)、「出産をめぐる医療サービスの利用と課題―パプアニューギニア・アラペシュ人女性の出産場所の選択をめぐってー」(広島大学・新本万里子)、「ベトナム中部における新型コロナウィルス感染症の医療サービス利用への影響―トゥア・ティエン・フエ省の医療データベースを使った分析―」(神戸大学・島村靖治)、「ベトナム中部における妊産婦の健診・出産における医療施設選択行動の分析」(愛知学院大学・佐藤希)の4件の発表が行なわれた。

勝間氏の発表は、COVID-19の医薬品、とくにワクチンをめぐる国際的格差の背景と公正に向けた取り組みの状況と課題を分析した、感染症パンデミック時代にタイムリーで重要な問題提起である。

新本氏は、文化人類学者マーガレット・ミードがかつて研究を行なった地域で行なわれた調査地からの報告であり、丁寧な聴き取りによって、女性の妊娠、出産を取りまく社会・文化的背景が近代化の中で変容しつつあることを描きだしている。

島村氏は、COVID-19パンデミックがベトナム中部地域における住民の医療サービスの利用にどのような影響を与えたかを、医療施設の受診記録を分析することで明らかにすることを試みた。この時期に大変貴重な研究であり、今後さらに追加されるデータの分析も待ち望まれる。

佐藤氏は、同じベトナム中部地域において、妊産婦の医療施設設選択行動、とくに1992年に導入された公的医療保険制度の加入の有無も考慮し調査、分析を行なった。中所得国における医療保険がサービス利用にどのような影響を与え、またどのような課題があるのかを明らかにすることは、他地域や国々にも有意義である。

コメンテーターは、国立国際医療研究センターの明石秀親氏と、METRICS WORK Consultantsの青柳恵太郎氏の2人がつとめ、各研究報告に対してより理解を深めるとともに、今後、研究を更に発展させるためのヒントとなるような質問やコメントが行なわれた。

初日朝一番のセッションであったが、20名近くの参加者があり関心の高さがうかがえた。

(松山章子)


B1. インフラと草の根開発

  • 座長:林薫(文教大学)
  • コメンテーター:花岡伸也(東京工業大学)、重冨真一(明治学院大学)

発表者

  1. 「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入―シャムナゴール郡の事例から―」
    山田翔太(立命館大学大学院)
  2. 「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築 ― ナムニアップ1水力発電プロジェクトに関わる少数民族の移転事例 ―」
    筒井勝治(ニュージェック)、冨岡健一(GUDC)、村上嘉謙(関西電力)
  3. 「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」
    福林良典(宮崎大学)、木村亮(京都大学大学院)
  4. 「フィリピンのインフラガバナンス / Infrastructure Governance of the Philippines: Has “The Golden Age of Infrastructure” come?」
    伊藤晋(新潟県立大学)

本セッションではインフラ開発・支援に関する4件の報告が行なわれた。

第1発表の山田翔太会員による「バングラデシュ農村の飲料水供給におけるNGOの乱参入」では、バングラデシュの飲料水供給に取り組むNGOの課題を取り上げた。

本研究は、多くのNGOが飲料水支援をしているが、維持管理は受益者に任せており、NGO自身の水質調査やモニタリングは不十分であることが報告された。これに対し、需給状況、水質低下の原因などの点について議論が行なわれた。

第2発表では、筒井勝治会員、富岡健一会員、村上嘉謙会員による「ラオスの少数民族モン族の移転に関わるごみ処理のマネジメントの構築」について報告が行なわれた。ラオスではゴミ処理場の容量が不足しており、資機材の不足、人材不足、意識の低さも問題となっていることが報告された。

ダム建設とごみ処理の関係について指摘がなされたが、報告者からは、水力発電プロジェクトのコンポーネントとして実施されたことに意味があるとの回答がなされた。

第3発表の福林良典会員、木村亮会員による「NGOによる開発途上国での農道渡河部のアクセス向上に向けた橋梁架設支援」では、福林会員より途上国の農道や生活道路の5割以上の通行困難な状態な状況で、住民主体でどのように整備ができるかについての問題提起が行なわれた。

技術的制約も考慮してどの程度まで住民参加が可能か、オーナーシップの醸成はどのように確認できるかなどについて議論が行なわれた。

第4発表の伊藤晋会員「フィリピンのインフラガバナンス」は、フィリピンでは民間投資(PPP)が重視されてきたものの、進捗は思わしくなく、また公共投資も停滞していることが報告された。

実施機関のキャパシティー強化、PPPのさらなる活用と制度改善などが必要であると結論づけた。政治的なプロセス機能していないこと、ガバナンスが弱体で、民間が乱立、癒着が横行していることが問題ではないかという指摘があり議論が行なわれた。

以上、4件の報告に共通している問題は、社会システム、コミュニティーの対処能力、一人一人の意識などのすべてのレベルでの能力の向上が必要であるということである。キャパシティーは決して静的なものではなく、つねに生成発展している。これらの試みや調査研究のさらなる発展を望みたい。

(林 薫)


C1. RT「人の移動と開発―送出国にもたらす影響―」

  • 企画責任者:加藤丈太郎(早稲田大学)
  • 司会:金澤真実(上智大学)
  • 発表者:加藤丈太郎、バズラチャルヤ・ディヌ(Nepal Policy Research Institute)、田中雅子(上智大学)、石井洋子(聖心女子大学)
  • 討論者:齋藤百合子(大東文化大学)、米倉雪子(昭和女子大学)

本ラウンドテーブルは、個人や家族などミクロレベル、地域社会や特定の階層や集団などメゾレベルへの人の移動の送出国への影響を紹介することで、受入国の論理で展開されがちな移民をめぐる議論に一石を投じることを目指した。当日は3組の報告があり、約15名の参加が参加した。

最初に、加藤丈太郎会員(早稲田大学)が「COVID-19感染拡大による技能実習制度への影響―送り出し側の視点から」と題して発表した。「移住インフラ」を用いて、送り出し機関職員9名へのインタビュー結果が分析され、受入国の規制が送出国に影響を与える状況が報告された。

つぎに、バズラチャルヤ・ディヌ会員(Nepal Policy Research Institute)・田中雅子会員(上智大学)が「「親の移住が『残された子ども』に与える影響―ネパールの事例」と題して発表した。日本で就労する親の子どもが多く通う学校でのインタビュー調査をもとに、外国就労中の親の不在が子どもの学業や心理的側面に及ぼす影響が、ケーススタディを元に報告された。

最後に、石井洋子会員(聖心女子大学)が「在外ケニア人が出身国へもたらすインパクト―アメリカ・メリーランド州での人類学的調査をもとに」と題して発表した。在米ケニア人が政府とは異なる形で母国に暮らす人びととつながりを持っている様子が述べられ、「移民力」という概念から、母国・ケニアの未来を照らす存在としての可能性が報告された。

討論者の米倉雪子会員・齋藤百合子会員からは、他の属性の移民・他国との比較の必要性など、分析を深めるための視点がコメントされた。本ラウンドテーブルの成果は『国際開発研究』2022年度第1号特集企画をはじめとする論文執筆にいかされる。

(加藤丈太郎)


D1. RT「開発レジリエンスとSDGsの今後―新型コロナウイルスパンデミック以後の課題―」

  • 企画責任者:関谷雄一(東京大学)
  • 司会:関谷雄一
  • 発表者:関谷雄一、大門毅(早稲田大学)、大谷順子(大阪大学)、乙部尚子(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)
  • 討論者:野田真里(茨城大学)

本ラウンドテーブルは、2021年度より新たにスタートした「開発のレジリエンスとSDGs」研究部会の主催によるものである。同研究部会では新型コロナ禍で「取り残される人々」に対して、人間の安全保障の観点を踏まえつつSDGs目標の達成度や残されている課題に関して議論を続けている。

春季大会で行なわれた第1回目のラウンドテーブルでは、「開発レジリエンスと新型コロナ時代のSDGs」という題目のもとで議論が行なわれ、成果として新型コロナ禍により改めて、SDGsが途上国の問題ではなく私たち自身の問題であることを再確認し、SDGsを巡る言説の危うさにも言及がなされた。

また、インフォーマリティー(許容された違法性)や、「取り残された人々」に着目することの重要性も再確認された。第2回目RTの目標としては、パンデミック以後の時代を焦点に、開発、レジリエンス、SDsに関わる議論を展開した。

前半は4人による研究報告がなされた。関谷雄一からは「ハイブリッド調査の模索」、乙部尚子会員(ジェンダ-、労働、開発コンサルタント)からは「新型コロナウィルス禍に於けるジェンダーと労働問題」、大谷順子会員(大阪大学)からは「中国の事例から考える」大門毅会員(早稲田大学)からは「レジリエンスの多元的把握と比較制度分析」という題目でそれぞれ報告があった。

その後、討論者である野田真里会員(茨城大学)からのコメントがあり、それに応答する形で、報告者と聴講者が交わる形での討論が展開された。

オンラインのつながりがもたらす研究調査のレジリエンスとは何か、パンデミックで益々脆弱な立場にある女性の状況、それに連動する女性の社会参画に対する低い社会認識をいかに改善するか、専門家ムラ・権威主義・同調圧力に抗し、オルタナティブな考え方や取り組みをいかに促すか、目標設定としては参加が容易だが、危機的な問題へのアクションにはなかなかつながらないSDGsとどう向き合っていくか、といった課題が残されていることが確認された。

(関谷雄一)


E1. Education

  • 座長:澤村信英(大阪大学)
  • コメンテーター:荻巣崇世(上智大学)、芦田明美(早稲田大学)

発表者

  1. “Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”
    Takao Maruyama (Hiroshima University)
  2. “Student Mobility to Japan in the Age of COVID-19 ―A Matter of Degree ―”
    Lauren Noelani Nakasato (Waseda University), Nobuko Kayashima (JICA Ogata Sadako Research Center)
  3. “Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon”
    Jean-Baptiste M.B. SANFO (University of Shiga Prefecture)

本セッションでは、以下の3件の発表があった。参加者は25~30人、コメンテーターは芦田明美(早稲田大学)および、荻巣崇世(上智大学)の各会員である。いずれの発表も本学会にとって重要な研究トピックであった。

(1)「Dynamic Use of Data and Evidence to Improve and Expand Operations for Educational Development: Case Study of Indian NGO “Pratham”」(広島大学 丸山隆央):

開発援助機関がいかにデータとエビデンスにもとづきプロジェクトを改善、拡大することができるのか、インドのNGO Prathamを事例として検討し、どのようなレッスンが他の援助組織にあるかを考察したものである。実践者と研究者の協働によりプロジェクトを拡充させていく例であるが、二国間援助機関や国際機関、あるいは小規模なNGOにとって、どれほど応用が利くのかなど、議論が交わされた。

(2) 「Student Mobility to Japan in the Age of COVID=19―A Matter of Degree―」(早稲田大学 仲里ローレンほか):

コロナ禍において、世界的な留学生の動向と日本への移動を比較し、いかなる要因が影響を与えているかについて、検証するものである。パンデミック前後の留学生数の増減を、学位取得を目的とするか否かにより分類し、インタビューデータも活用し、分析している。学位取得型の留学に着目するなかで、修士と博士、あるいは専攻による差異がどのようにあるのか、日本で学位取得型の留学生が増えた背景などについて質疑が行なわれた。

(3) 「Explaining Rural-Urban Learning Achievement Inequalities in Primary Education in Benin, Burkina Faso, Togo, and Cameroon」(滋賀県立大学 Jean-Baptiste SANFO):

アフリカ仏語圏4か国を対象として、初等学校における都市農村の学習到達度の格差の要因を量的分析により明らかにしようとしている。その要因として、測定可能な(tangibleな)要因・特徴とそうでない(intangibleな)ものに着目し、それぞれでどれほどこの格差を説明できるかを検証している。格差のパターンが対象国により、いかなる違いがあるのか、ジェンダーや学校規模、公立・私立による差などに関して、議論が行なわれた。

(澤村信英)


午後 I セッション/ Afternoon Session I 12:00-14:00 (GMT +9)

A2. 企画「コロナパンデミックを踏まえたインフラ分野における途上国支援」

  • 企画責任者:川辺了一(国際協力機構)
  • 司会:小泉幸弘(国際協力機構)
  • 発表者:金子素子(アルメックVPI)、久保彩子(国際協力機構)、田中圭介(国際協力機構)、藤田朗丈(ボストンコンサルティンググループ)、松原康一(日水コン)、松本重行(国際協力機構)
  • 討論者:松丸亮(東洋大学)、花岡伸也(東京工業大学)

2020年初めから全世界に広がった新型コロナウィルスは、2021年の今なお、世界経済、国際政治に多大な影響を与え、市民生活にも大きな変化をもたらしている。とくに、衛生環境が十分整っていない途上国の市民は、この感染拡大リスクに晒されており、医療分野や公衆衛生分野の支援が多く展開されている。

また、これを機に、途上国の市民においても、衛生環境の改善、ソーシャルディスタンスの確保、デジタル技術の活用等についての認識が変化しており、インフラ分野の協力では、この変化を踏まえたアプローチが求められる。

かかる背景を踏まえ、JICAでは、都市開発分野、公共交通分野、水・衛生分野について、今後の協力方針の検討に向けて「全世界COVID-19等感染症に対する都市環境改善プログラム形成準備調査」、「ポストコロナ社会の公共交通事業のあり方に係る情報収集・確認調査」、「水供給・衛生分野の新型コロナウィルス対策の教訓と必要な支援方策の検討」等の調査を実施している。

本セッションでは、これら調査結果等を報告するとともに、インフラ分野の途上国支援における今後の協力方針や新たな支援アプローチについて、コロナ禍を踏まえ「変わること」「変わらないこと」を中心に意見交換を行なった。

都市開発分野については、「多極分散」「近隣住区」の重要性が再確認された。また、公共交通分野では、その必要性は変わらないものの、公共交通の安全性確保にあたり、「交通安全」に加え「感染予防」が重要となることが確認された。水・衛生分野では、「健全な水道事業体経営」の重要性は変わらないものの、「脆弱層への手洗い促進」の重要性が確認された。

また、参加者からコロナ禍におけるリモート協議の有効性と限界について言及があり、ポストコロナにおいては、現地渡航とリモート協議の適切な併用が重要となることを確認した。そして、最後に、今後も議論を継続していくことを確認した。

(川辺了一)


B2. 教育Ⅰ

  • 座長:吉田和浩(広島大学)、
  • コメンテーター:森下拓道(JICA)、劉靖(東北大学)

発表者

  1. 「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響 ―ミャンマー連邦共和国小学5年生の事例―」
    牟田博光(国際開発センター/大妻女子大学)
  2. 「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題 ―カリキュラム開発者,教員,生徒へのインタビュー調査から―」
    日下智志(鳴門教育大学)
  3. 「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下における保護者の子どもへの家庭学習支援―国際比較調査の結果から―」
    谷口京子(広島大学)
  4. 「ネパール基礎教育における修学実態の分析 ― 留年は退学の主たる原因か ―」
    江嵜那留穂(愛知淑徳大学)

本セッションはコメンテーターを森下拓道会員、劉靖会員にお願いし、吉田和浩座長のもと、4本の発表を行なった。計39名の参加者があった。

まず、牟田博光会員が「教授言語と家庭言語の違いが学力に及ぼす影響」について、ミャンマーの小学5年生を事例として発表した。学力が低い子ほどミャンマー語が母語かどうかで大きく影響を受けるなど、学力、学校への好感度の高さへの家庭言語の説明力の高さを明らかにした。

参加者からは、少数民族にもミャンマー語との類似性に大きく差があることが指摘されるなど、活発な質疑応答がなされた。

つぎに、日下智志会員が「モザンビークの初等教育におけるローカルカリキュラムの可能性と課題」について発表した。教科内容的に普遍性の高い数学について、コミュニティーのニーズに対応し、またそれと連携することができていない実態が明らかになった。

コミュニティーの範囲と定義、また、普遍性が高い一方で5進法を使う現地の考え方と教科書の違いなど、さらに検討を加える余地について質疑応答があった。

3番目に、谷口京子会員が「新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下の子どもへの家庭学習支援」について19カ国の国際比較調査の結果をもとに発表した。保護者の電子機器を使う自信度と学習支援には有意な関連性が認められた。一方で、日本では家庭での学習支援時間が対象国中で最も短かった。

質疑では、電子機器以外の学習手段、また電子機器の多様性についても考慮する必要性などが指摘された。

最後に、江嵜那留穂会員が「ネパール基礎教育における就学実態の分析」として、従来の横断的データが、留年が退学の主たる要因であると主張するのに対し、縦断的(個別事例の経年調査)から、留年せずに退学する児童、留年経験はあるが修了する児童が多い実態を明らかにした。

質疑応答では留年者、中退者の学年別の考察、さらには個別事例から得られた情報の発展的な設問に応用する余地などが指摘された。

(吉田和浩)


C2. 保健・栄養

  • 座長:斎藤文彦(龍谷大学)
  • コメンテーター:古川光明(静岡県立大学)、池見真由(札幌国際大学)

発表者

  1. 「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康 ―南東部リンディ市におけるパイロット質問票調査―」
    阪本公美子(宇都宮大学)、大森玲子(宇都宮大学)、Parinya Khemmarath(宇都宮大学)
  2. 「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査―消費における近代と伝統の共存―」
    伊藤紀子(農林水産政策研究所)
  3. 「ザンビアの都市部におけるCOVID-19の障害者団体への影響―障害者の対処に焦点をあてて―」
    日下部美佳(京都大学大学院)

本セッションでは3つの報告がなされた(以下敬称略)。

第1に阪本公美子、大森玲子、Parinya Khemmarathによる「タンザニアの小学生の食品群・野生食物摂取と健康」である。

この報告には、小学生たち自身の認識を問う意図があった。朝の体調不良などを訴える子供たちも少なくなく、また市内に通う小学生たちを対象に調査したにもかかわらず、野生の野菜や果物を摂取している場合も多いことなど、興味深い発見があった。とくに後者については、コメンテーターの池見真由から、経済的・社会的階層との関係性についての指摘がなされた。

第2に、伊藤紀子による「ケニアの灌漑地域における農家の食料消費の実態や意識に関する調査」では、食料消費の変化が食料安全保障に及ぼす影響などを意識した調査の結果、「伝統食」や「近代食」について、それぞれの特徴が存在していることが分かった。

池見からのコメントをふまえ、共食することが多いアフリカでの食文化において、「伝統食」や「近代食」の区別のありかたや、またこの2つのハイブリッド化についても議論された。

3つ目は日下部美佳による「ザンビアの都市部における COVID-19の障害者団体への影響」では、コロナ禍においてザンビアの障害者団体の運営にどのような影響が出ているかという、あまり日本では情報が得られない事柄についての基調な報告がなされ、(1)外国支援者との関係性の変化、(2)資金の多角化によるリスク分散、さらに(3)情報格差、といった視点からの考察がおこなわれた。

古川光明はコロナ禍の調査ではあるが、サンプル数の少なさ、評価基準や評価枠組みなどをどう考えるか、といったコメントがなされた。

全体に、コロナ禍という状況下において日本人研究者による訪問調査が難しいなか、多様な方法で調査を行なっていることには感銘を受けた。それゆえ3つの報告とも、今後のさらなる進展がおおいに期待できる。

オンライン開催となったこのセッションにおいても、手話通訳の実施やチャットを活用した意見交換などの工夫がなされ、学界全体にとってもコロナ禍後への示唆が大きかった。

(斎藤文彦)


D2. Community and Development in Asia(英語)

  • 座長:豊田利久(神戸大学)
  • コメンテーター:高木泰士(東京工業大学)、荒神衣美(アジア経済研究所)

発表者

  1. “Regional Distribution of Foreign Direct Investment in Indonesia: An Insight from Provinces and Sectors”
    Al Muizzuddin Fazaalloh (Nagoya University)
  2. “Consideration of Possible Tsunami Impact in the Coastal Areas of Pakistan by Numerical Modeling and Geographical Information Techniques”
    Babar Ali (Pakistan Meteorological Department / Toyo University), Ryo Matsumaru (Toyo University)
  3. “A Traditional Community House for the Ethnic Minorities in Central Vietnam ―A Qualitative Study on Ten Years of Community Management-”
    Akiko Iizuka (Utsunomiya Univeristy), Ayako Fujieda (Kyoto Seika University), Ueru Tanaka (Setsunan University)

発表1は、インドネシアにおけるFDIの決定因を、33州のパネルデータ(2010-2018)によって、産業全体および4産業部門(農業・製造業・公益産業・サービス業)別に分析した内容である。

産業全体では一人当たりGDP、 賃金、貿易開放度、都市化指標等が有意な正の効果を示す。他方、産業部門別では決定因に大きな違いがあることが示される。集積経済の効率性が達成されるようにFDIの誘導政策が必要であるとの結論も示す。製造業を1つのセクターとしていることの限界などの有益なコメントが与えられた。

発表2は、アラビア海に面したパキスタン沿岸部の津波リスクを数値モデリングとGISの手法でシミュレーション分析したものである。1945年に生じた大津波に関する2つの先行研究に基づくシナリオを考える。

津波の到達時間が早いので早期警戒の効果は大きくない。同じ沿岸部でも地理的条件が違い、西部は比較的津波被害が小さいが、東部は低地で産業・人口も密集しており被害が甚大になる。

過去に観測されたMw8.2の地震によって起きた津波高12mではなく、Mw9.2の地震による津波高16mに備える必要があるとする。これに対して1945年のデータの精度や津波高の現実性の検証の必要性などが指摘された。

発表3は、コミュニティ・ハウスの住民自身による工夫された管理が、農山村の持続的発展に重要な役割を果たすことを示す。

ベトナム中部の少数民族が居住するホン・ハ(Hong Ha)地区には、外部からの支援で建てられたコミュニティ・ハウスがいくつか存在する。京都大学とフエ大学のグループが共同設立したハウスは、地域住民によって自発的に改善・管理がなされている事例である。

当初は、災害避難と環境管理を主な目的に建てられたが、現在は、宿泊可能なエコツーリズムの拠点として収益をもたらし、またカフェを運営して住民の集う拠点となっている。住民自身によるコミュニティの自発的発展の重要性を示した。

このセッションは、経済、社会、工学分野の開発に関する事例を扱う学際的な構成となっており、まさに、この学会の縮図を感じさせるものであった。参加者数は15~20名であった。

(豊田利久)


E2. Agriculture

  • 座長:島村靖治(神戸大学)
  • コメンテーター:會田剛史(ジェトロ・アジア経済研究所)、倉田正充(上智大学)

発表者

  1. “Women’s Socio-Economic Empowerment Through Agricultural Cooperatives: Case Study of Mali”
    Asmao Diallo (Doshisha University)
  2. “Determinants of Farm Households’ Vulnerability: A Case Study of Municipality of Dingalan, Aurora Province, Philippines”
    Masahiko Jin (Nagoya University, Former student)
  3. “Assessing the Performance of Agricultural Insurance Programs Using Korten’s Model of Fit: A Comparative Study of Japan and the Republic of the Philippines”
    Armand Christopher Rola (Doshisha University)

本セッションは、開発途上国の農業に関連する3つの報告が行なわれた。

第1の発表(Asmao Diallo)では、マリにおける農業協同組合(cooperatives)を通じた女性のエンパワーメントを主に、融資へのアクセス、市場へのアクセス、トレーニングのための機会の3つ視点から、質的な手法による検証が行なわれた。

コメントとして、男性の協同組合との違いや土地の所有権制度について質問が出されたが、発表者より詳細な説明がなされ、参加者の理解がより深まった。

第2の発表(Masahiko Jin)では、フィリピンにおける農業家計の脆弱性の決定要因を量的な手法により探求し、非農業就業や果樹栽培、家畜の保有が脆弱性の緩和に寄与していることが示された。一方でコメントとして、地域で共通する傾向のある(covariate)リスクと、各家計に特有の(idiosyncratic)リスクの明確な定義を確認する質問が出された。

また、リスクに対する事前的な対処(risk management)と事後的な対処(risk coping)とを峻別して、結果を解釈すべきという意見も出された。それぞれのコメントに対して発表者からの補足的な説明があり、有益な議論が交わされた。

第3の発表(Armand Christopher Rola)では、混合法(mixed method)を用いたフィリピンにおける農業保険と日本の農業保険(農済)との比較分析が行なわれた。

コメントとして、比較対象の選び方の妥当性やサンプリング方法の正当性、そして、分析結果の真偽性を確認する質問が出されたが、発表者によりひとつひとつ丁寧な追加説明があり、多くの疑問点が解消された。ただし、日本の農済についての分析については少し課題を残した。

そして最後に、発表者同士での質疑応答の時間もあり、とくにリスクに対する対処方策について活発な議論が行なわれた。

(島村靖治)


プレナリーシンポジウム14:20-17:05 (GMT +9)

『おんぼらーっとしまっし。石川仕立ての創成と共生、そして開発』

  • 企画責任者:和田一哉(金沢大学)
基調講演
  • 「FAO世界農業遺産事業の概要と農村開発への可能性」
    遠藤芳英(FAOローマ事務局)
  • 「持続的発展のための人材育成:世界農業遺産(GIAHS)『能登の里山里海』と『フィリピン・イフガオの棚田』の連携事業」
    中村浩二(金沢大学)
話題提供
  • 「地域資源の再評価と地域づくり -東洋大学能登ゼミの経験から-」
    髙橋一男(東洋大学)
  • 「自然資源経済と“輝く農山村”の創成-個性的な“顔(FACE)”を大事にする自治的地域づくりへ-」
    寺西俊一(一橋大学)
  • 「見渡せる範囲の実践共同体-コスタリカと能登で学んだこと-」
    北村健二(金沢大学)
  • 「ごちゃまぜのまちづくり」
    清水愛美(佛子園理事・Share金沢)
パネルディスカッション 
  • 司会・ファシリテーター:宇野文夫

戦後間もない頃から長きにわたり、開発(Development)と言えば経済成長(Economic Growth)とほぼ同義であった時代がある。しかし、周知のとおり、その後、徐々にその言葉の意義が問い直され、「人間開発」という言葉が表れるなど、人間の生活の質、そして「より良い生」とは、ということが問われるようになっていく。

さらに言えば現在、人が「より良い生」を送るにはどうすれば良いか、それを実現するための社会の在り方とは、という問いが課題になっていると考えられる。言い換えると、「開発」は人類の普遍的課題である、というのがそもそもの問題意識である。

それゆえに、石川という一地方から「開発」の意義を問い直すことにこそ価値はあるとの考えのもとに、本セッションは企画された。

現在の社会は、効率化、規制緩和、都市への人口集中、その一方で地方の過疎化という状況にあると言える。これは経済効率一辺倒の流れ、とも言い換えられる。しかし、そのような流れとは一線を画し、地方に本質的な価値を見出そうという動きが、他方で存在する。

それは、「失われつつある何か」の価値を再検討しようとする動き、と換言できるかもしれない。ここでいう価値、価値観といった言葉は、その社会で重視すべきことは何か、あるいは社会はどうあるべきか、といった問いに答えるための基礎となるものが想定されている。

このような問題意識を検討すべく、まず2本の基調講演によって石川という地方の現状について「世界農業遺産」を切り口に把握した。そして、4本の話題提供とパネルディスカッションを通じ、失われつつある価値あるものとは何か、そのような価値観を醸成するためのヒント、社会の在り方、そして「より良い生」とは何か、をテーマに議論した。

真の「開発」とは、そして我々が目指すべき社会とはいかなるものかという壮大な問いに関して活発な議論が交わされた。

(和田一哉)


11月21日(日曜)/ Sun. Nov. 21st, 2021

午前 II セッション/ Morning session I 9:30-11:30 (GMT +9)

A3. RT「日本国内の課題解決にODA人材は貢献しうるのか ―途上国の教訓・ネットワークを国内に、国内の教訓・ネットワークを途上国へ―」

  • 企画責任者:河野敬子(海外コンサルタンツ協会)
  • 司会:佐藤仁(東京大学)
  • 発表者:平林淳利(JICA)、千田雅明(パシフィックコンサルタンツ)、細江絵梨(根浜MIND)
  • 討論者:高野翔(福井県立大学)

実務者からの情報発信強化および、研究者との交流によるODAの質的改善を目的とした、ECFAとJICA共同セッションは2018年より開始し、今回3回目の開催となった。

今回は、日本国内の社会的課題が深刻化するなか、1)ODA人材は国内の課題解決の役に立てるか?「何に」「どのように」役に立てるか、2)国内の取り組みを、途上国への技術協力のさらなる充実につなげることができるか、といった2つの問いを軸に事例発表を交え、ディスカッションを行なった。

平林氏の発表では、まちを元気にする支援として、岩手県釜石市におけるJICAの取組みの紹介と、JICAの今後の国内連携強化の可能性について報告があった。

千田氏の発表では、国内でのコンサルティング業務の転機となった東日本大震災の復興にかかわる業務や、その経験を生かした途上国での災害復旧支援業務、また、その両者の経験を活かした国内外を結ぶプロジェクトの紹介があった。

細江氏の発表では、釜石市の「オープンシティ戦略」に基づく根浜地域において、地域の外と中をつなぐコーディネータの役割を通して、課題解決に重要な「対話」や「意思決定」について紹介があった。

高野氏からは、これまでの経験を踏まえたまちづくりを実践・研究している立場から、ODA人材を「風の人」、その土地に根付いた地域の人を「土の人」と表現し、風の人が土の人の属性を少しでも持つことが重要であること、自分事と捉えて取り組むこと、自治体とのネットワーク構築、JICA海外協力隊の活用、働き方改革を実現するための仕組みづくりが大切であるとコメントした。

ディスカッションでは、国内外問わずこれからは「教訓」を「共有」し、「共感」を得ることでモチベーションを上げ、そのような人材で地域に根差したムーブメントを作っていくことが大切ではないか、また、その経験を含んだ事例を世界に向けて発信することも重要だろうといった議論があった。

40名前後の参加者をえて、ラウンドテーブルらしい活発な議論が行なわれた。

(河野敬子)


B3. 環境・復興

  • 座長:安達一郎(JICA研究所)
  • コメンテーター:佐々木大輔(東北大学)、石渡幹夫(JICA)

発表者

  1. 「パキスタン気象局技術グループ職員の専門知識共有に関する考察」
    内田善久(東洋大学大学院/国際気象コンサルタント)、松丸亮(東洋大学)
  2. 「グローバル化におけるネパールの災害復興のネットワーク―ネパールの被災地パタンと在日ネパール人コミュニティの関係から―」
    竹内愛(南山大学)
  3. 「ラオス国山岳民族モン族の移転に伴う灌漑水田の開発と生活の変化 ― 山地の陸稲から低地の水田へ ―」
    冨岡健一(GUDC)、筒井勝治(ニュージェック)、村上嘉謙(関西電力)
  4. 「インドネシアにおける泥炭地管理の制度的課題:西カリマンタン州パワン・クプル泥炭ドームを事例として」
    久保英之(地球環境戦略研究機関)、Arief Darmawan(インドネシア国ランプン大学)

本セッションは(環境・復興)となっていたが、当日の報告は防災がメインで、一点社会配慮に関する報告となった。報告の内容は、泥炭地管理から、ダム移転に関する少数民族の保護といったバラエティに富むもので、方法論含めて幅広かった。ただ、共通して現場でのさまざまな課題への取組みに関する研究であり、実務からの報告である。

また、泥炭地管理といった課題、震災復興に向けての取組み、気象局のキャパシティ、そして住民移転の報告すべてにおいて、現地のローカルナレッジや、先方関係機関の知恵やキャパシティの重要性を取り上げていることである。

コメンテーターからは、示されている結論や分析方法に対する指摘や、とくに実務研究としてどういった方法論を用いて分析を行なっていくのかという提起があった。

現場報告では、こうしたことがあったという調査報告的な側面が強くなりがちななかで、研究としての方法論の模索を行なっていくことが重要である。また、今回のセッションにおいては、開発協力のなかで、より現場でのキャパシティやナレッジの重要性が確認されたと言える。

(安達一郎)


C3. 産業・経済・労働

  • 座長:小國和子(日本福祉大学)
  • コメンテーター:佐藤裕(都留文科大学)、牧田りえ(学習院大学)

発表者

  1. 「グラミン銀行は何をもたらしたのか―マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々―」
    鰐部行崇(法政大学大学院)
  2. 「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」
    榊原正幸(総合地球環境学研究所)、笠松浩樹(愛媛大学)、山口勉(エスペックミック)
  3. 「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察―持続可能な開発の視点から見る伝統保存の意義―」
    田中志歩(広島大学大学院)

本セッションでは、3本の個別報告が行なわれ、最多で38名の参加があった。

鰐部行崇会員による「グラミン銀行は何をもたらしたのか――マイクロファイナンスによる成功者と多重債務化する人々」では、グラミン銀行の歴史を遡り、1983年から2019年の財務資料の分析と債務者の語りから、グラミン銀行が激化する競争環境を背景に資本主義的経済活動を強化していった様と、その中で負債が膨れ上がり「借金人間」が生み出されたプロセスを批判的に考察した。

コメンテーターの佐藤裕会員からは、節構成に関する助言、関連文献の紹介、「成功」と「失敗」の判断においてMF/MCの運営がさまざまなアクターにもたらす、意図せざる結果にも着目する必要性が提示された。

榊原正幸会員による「インドネシア共和国・ゴロンタロ州における生態系サービスと在来知を活用した持続可能な新産業の構築」では、零細小規模金採掘が大気の水銀汚染の主たる汚染源となっている状況を説明し、問題低減の道筋を明らかにする手立てとして、住民、民間、研究者などさまざまなステークホルダーの対話と協働の場となるトランスディシプリナリー実践共同体の結成と、その協働を通じて権力の非対称性を低減し、フォーマルなマルチセクター間協働へと発展させる可能性を、具体例にもとづき提示した。

コメンテーターの牧田りえ会員からは、これら実践の学術的示唆として、実践共同体の概念的構成をより深める必要性が提示された。

田中志歩会員による「バングラデシュにおける伝統的なカワウソ漁の考察――持続可能な開発の観点から見る伝統保存の意義」では、カワウソ漁を行なうA村10世帯に対する詳細な聞き取り調査から、現地におけるカワウソ漁の位置づけやその経年変化の一端が描写された。

コメンテーターの牧田会員からは、個々の情報の面白さの先に、いかなる学術的な問いが立てられるのか、そのリサーチクエスチョンの明確化に向けて助言がなされた。

最後に全体での質疑応答がなされ、チャットや口頭で複数のコメントが寄せられた。

(小國和子)


D3. 市民社会

  • 座長:林裕(福岡大学)
  • コメンテーター:華井和代(東京大学)、西浦昭雄(創価大学)

発表者

  1. 「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」
    古川光明(静岡県立大学)
  2. 「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」
    森尾貴広(筑波大学)
  3. 「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか―ラテンアメリカ5カ国の比較検証―」
    河内久実子(横浜国立大学)
  4. 「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」
    栗原俊輔(宇都宮大学)

オンライン開催となったため、本セッションの4名の発表者もオンラインでの発表となった。そのような状況においても、4名による報告は有意義で活発な議論を喚起した。

発表1:古川光明氏(静岡県立大学)は「紛争影響国における全国スポーツ大会の観客への効果:南スーダンを事例として」と題して、紛争影響国の分断された社会におけるスポーツ大会が各層における平和と団結に貢献することを、事例に基づいて報告した。

発表2:森尾貴広氏(筑波大学)は、「日本企業のアフリカ進出に対するTICAD6の影響」において、日本が主導するアフリカ開発会議(TICAD)が、日本企業のアフリカ進出に対して複数の国へ同時に進出する傾向を明らかにした(西部アフリカを除く)。

発表3:河内久実子氏(横浜国立大学)は、「冷戦下における米国平和部隊の追放は何を意味するのか:ラテンアメリカ5カ国の比較検証」と題して、米国の平和部隊がラテンアメリカ諸国から追放された背景と動機の解明を、国際政治環境に目配りしつつ、米国の公文書等に依拠した考察として報告した。

発表4:栗原俊輔氏(宇都宮大学)は、「キャパシティ・デベロップメント事業における参加型評価とモニタリングの可能性:スリランカ 紅茶プランテーション農園コミュニティと大学生の協働事業評価から見えてきたもの」と題して、宇都宮大学で実施するJICA草の根技術協力事業評価のなかで、学生とスリランカ紅茶プランテーション農園青年層による参加型モニタリング・評価が、相互に学びと自信を与えたことを報告した。

市民社会セッションでは、華井、西浦両コメンテーターによる鋭く、かつ生産的な指摘、そして、参加者との活発な質疑応答によって、問いの在り方や研究の意義、研究手法と結果等、有意義で今後の更なる研究の深化に向けた貢献がなされた。

また、本セッション自体もオンラインであったが、栗原報告は報告内容そのものがオンラインでの事業評価を考察するなど、現代の世相を反映するものであった。

(林 裕)


E3. 企画 “International Development Cooperation of Japan and South Korea -New Strategies for an Uncertain World-”

  • 企画責任者:Tatsufumi Yamagata (Ritsumeikan Asia Pacific University)
  • 司会:Tatsufumi Yamagata
  • 発表者:Tatsufumi Yamagata, Shinichi Takeuchi (Tokyo University of Foreign Studies / IDE-JETRO), Huck-ju Kwon (Seoul National University), Jisun Song (Korea National Diplomatic Agency), Hyomin Jung (Kyoto University), Motoki Takahashi (Kyoto University), Eunju Kim (Hansung University)
  • 討論者:Toru Yanagihara (Takushoku University)

本セッションは、以下の本の出版を契機として開催された。

Huck-ju Kwon, Tatsufumi Yamagata, Eunju Kim and Hisahiro Kondoh eds., International Development Cooperation of Japan and South Korea: New Strategies for an Uncertain World, Palgrave, 2022。

本書は、当学会と韓国国際開発協力学会(KAIDEC)との協力プロジェクトの成果であり、2022年初めに出版予定である。

本セッションは、編者の一人である山形辰史が座長を務め、本書の執筆者のうちの数名が報告を行なう形態をとった。行なわれた報告は以下のとおりである。

  1. 山形辰史(立命館アジア太平洋大学)「序章および終章」
  2. 武内進一(東京外国語大学/ジェトロ・アジア経済研究所) “Policy Concepts and Normative Rationales in Japan’s Foreign Aid: Human Security, TICAD, and Free and Open Indo-Pacific.”
  3. Huck-ju KWON (Seoul National University) “Reflection on a normative rationale for Korean ODA policy: Duty, self-regards and obligation.”
  4. Jisun SONG (Korea National Diplomatic Agency) “Foreign Aid as Foreign Policy Instrument and its Institutional Development: Case Study of South Korea.”
  5. 鄭 傚民(京都大学)”Quest for Combination of Economic Development and Poverty Reduction: Dual Features of Japan’s Aid in the post-Cold War era and After.”
  6. (6) Eunju KIM (Hansung University) “Balancing Universal Values and Economic Interest through Development Cooperation in Korea.”

討論者は、柳原透会員(拓殖大学)であった。

序章では問題意識として(1)日韓のODAの共通のメカニズム、(2)日韓ODAの究極目的、(3)日韓ODAの今後の戦略を問うた。それに対して終章では、(1)援助を受け入れて産業発展を行なった経験と、その経験を基にした周辺アジア諸国への国際協力、がメカニズムとして指摘された。

(2)については、国際公共財の構築が目的とされ、(3)に対しては、産業発展のための官民連携を行なう際にも、民間側の制約に官側が縛られるのではなく、むしろ民間側のスコープを広げるべきであることや、共通点の多い日韓ODAが戦略的に強調行動をとった場合のシナジーの大きさが指摘された。

これに対して柳原会員は、(1)(2)(3)それぞれの結論が可能性の指摘に止まっており、十分な説得材料に欠けることを課題として挙げた。

(山形辰史)


午後 II セッション/ Afternoon Session II 12:15-14:15 (GMT +9)

A4. RT「開発協力事業における評価の方向性」

  • 企画責任者:佐藤洋史(国際協力機構)
  • 司会:佐藤洋史
  • 発表者:鴨谷哲(JICA)、川本華子(JICA)、秋元祥恵(JICA)、富田洋行(JICA)、大川太郎(JICA)
  • 討論者:伊藤 晋(新潟県立大学)

本セッションでは、開発協力事業における評価の今後の方向性および、あるべき姿に関する議論を深めるため、4つのテーマについて6名の報告者からの話題提供を受け、討論者・参加者を交えた議論が行なわれた。

冒頭、本ラウンドテーブルの企画者である佐藤より、ラウンドテーブル企画の背景、目的について説明した。

最初の発表として、鴫谷哲氏より、本ラウンドテーブルの他の報告内容を含むJICAの事業評価の昨今の取り組みを俯瞰する報告がなされた。

つづいて、川本華子氏より、ルワンダにおける教員間の校内相互研鑽強化プロジェクトの効果発現に至るプロセスを遡り、DAC評価項目とは異なる視点で事業を振り返りながら、今後の類似事業の形成・実施に向けての教訓が報告された。

その後、秋元祥恵氏、吉岡佐知子氏より、Theory of Change (ToC)を用いた、目標達成に向けた事業の変化の軌跡の検証結果を踏まえた留学生事業の評価の在り方について報告された。

最後に、富田洋行氏、大川太郎氏より、開発課題別の事業戦略の強化・推進に向けた最新の取組み状況と、今後の評価上の対応課題等について報告された。

報告の後、討論者である新潟県立大学の伊藤晋会員より、プロセスの分析を実施するうえでの課題、TOCを活用する際の限界や、新たな事業マネジメントにおけるクラスター評価と内包される個別事業の評価との関係、これら新たな取り組みを、さまざまな制約のなかでどのように実施していくか等についてコメント、議論が行なわれた。

また、参加者からも、新たに追加された整合性評価を実施する際の留意点について質問が挙がるなど活発な議論が行なわれた。

(佐藤洋史)


B4. 教育Ⅱ

  • 座長:關谷武司(関西学院大学)
  • コメンテーター:笹尾隆二郎(アイシーネット株式会社)、石田洋子(広島大学)

発表者

  1. 「日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―」
    萱島信子(JICA)、杉村美紀(上智大学)
  2. 「中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―」
    羅方舟(大阪大学大学院)
  3. 「コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性-ネパールでの協力事例から-」
    三宅隆史(シャンティ国際ボランティア会)

萱島信子会員(国際協力機構緒方研究所)と杉村美紀会員(上智大学)から、『日本のODAによる留学生招へいの歴史―国費留学生とJICA留学生―』について発表いただいた。ODAによる留学生招聘の辿ってきた道筋を、史資料と統計資料の分析から明らかにし、今後の発展に向けての示唆を得ようとする報告であった。

コメンテーターである石田洋子会員(広島大学)からは、これらの事業の達成度や、受入人数の増減にある背景、今後も続けることの意義などについて質問があり、発表者からマレーシアの例などを踏まえた説明がなされた。

つぎに、羅 方舟(大阪大学 人間科学研究科)会員から『中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画―浙江師範大学の学位取得型学生を事例に―』について発表があった。本研究の目的は、中国におけるアフリカ人留学生の進路選択とキャリア計画を明らかにすることであり、多様な進路選択とキャリア計画を、留学生の個人的経験と関連づけながら分析した。

コメンテーターの笹尾隆二郎会員(ICネット株式会社)から「アフリカ人の留学先として中国を取り上げたこと、加えて、教育面に限定されていない学生の留学後の進路選択やキャリア計画をとりあげたことで新規性があり、興味深い課題設定がなされている」とのコメントが寄せられた。

3つ目の発表は、三宅隆史会員(シャンティ国際ボランティア会)から『コミュニティ学習センター(CLC)の自立発展性―ネパールでの協力事例から―』が発表された。本発表では、コミュニティ学習センタ ー(CLC) の自立発展性を確保する支援のあり方はどうあるべきかを研究課題として、ネパールでの協力事例を基に考察が行なわれた。

コメンテーターである石田洋子会員から自治体との連携などが質問され、発表者からスケールアップと資金確保が課題として挙げられることなどが報告された。

(關谷武司)


C4. 企画「アフリカ遊動社会におけるレジリエンス変容の探究―人道支援・開発ギャップ克服に向けて―」

  • 企画責任者:湖中真哉(静岡県立大学)
  • 司会:湖中真哉
  • 発表者:島田剛(明治大学)、孫暁剛(静岡県立大学)、佐川徹(慶應義塾大学)、波佐間逸博(東洋大学)、湖中真哉
  • 討論者:柳原透(拓殖大学)

本企画セッションは、東アフリカ遊動社会を対象として、彼らの社会におけるグローバルな領域とローカルな領域の接合状況に着目しながら、彼らのレジリエンスの在り方を探究することを目的とし、そこから開発と人道支援の可能性を探った。おもに扱われたのは、気象的リスクと紛争リスクである。

最初の島田剛による報告「気候変動による災害のアフリカの経済成長、 農業、紛争への影響と、援助の役割:1961-2011のパネルデータによる計量分析」では、アフリカ全域における気候変動による災害の影響を解明し、マクロな視点からレジリエンス課題の大枠を概観した。

第2の孫暁剛による報告「水資源の開発と利用に見られる遊牧民のレジリエンス」では、ケニアの遊牧民レンディーレ社会における水資源の利用を事例とし、遊牧民が新しい技術や資源を積極的に取り入れていることが解明された。

第3の佐川徹による報告「生業多様化とレジリエンス─東アフリカ牧畜民が漁労をはじめた論理」では、エチオピアの農牧民ダサネッチ社会において漁撈へと生業が多様化した背景を理解するためには、関係論的な視座が不可欠であることが示唆された。

第4の波佐間逸博による報告「構造的暴力に対抗するレジリエンス ─遊牧の人為的危機に直面したウガンダの牧畜社会におけるシティズンシップの実践─」 、および第5の湖中真哉による報告「遊牧社会における内在的なレジリエンスの在り方と開発・人道支援 ─ケニア・サンブル社会における紛争と国内避難民の事例から─」は、ともに紛争リスクに対するレジリエンスを扱っており、遊牧社会の内在的なロジックを探った。

柳原透より全体に対してコメントがあり、レジリエンスの定義、内在性、対象となる社会集団の単位等が議論され、また、レジリエンスのモデルが整理された。フロアからは資料評価をめぐっての質問があった。

最後に、レジリエンスの研究においては、イーティックな視点とイーミックな視点の共存が必要であることなどが指摘され、学際的なレジリエンス研究の必要性が確認された。

(湖中真哉)


D4. RT「研究と実践のインターフェースを探る―研究×実践委員会主催ラウンドテーブル―」

  • 企画責任者:小林誉明(横浜国立大学)
  • 司会:小林誉明
  • 発表者:小林誉明、志賀裕朗(JICA緖方研究所)、ラミチャネ・カマル(筑波大学)、佐藤峰(横浜国立大学)、浜名弘明(デロイトトーマツコンサルティング)、功能聡子(ARUN)

研究と実践との関係について議論するための場を提供すべく、春の大会に続いて、研究×実践委員会が主催したラウンドテーブルである。「研究と実践のインターフェースを探る」と題し、“研究と実践との幸せな結婚”はありえるのか?“を議論した。

小林会員による全体像の見取り図が示された後、各登壇者(委員)から、それぞれの考えるインターフェースの具体例が提示された。

その後、フロアからは活溌な意見が繰り出された。例えば、メインストリームの実践のあり方に対して代替案を出すような研究があってもよいのではないかという意見が提出され、研究者と権力の側との距離感について意識することの重要性が再認識された。

また、研究のたねにはならないようなものを吸収する仕組みが研究者側にあってもよいという意見は、研究者側の受け入れの姿勢を問うものであり、一方、大きな組織の場合、実務家のリテラシーに比較して研究者の権限が弱くなっているという事案も示され、実務家の側のあり方も問い直される機会となった。

末筆ながら、筆者は、プレナリーセッションにて北村健二先生が指摘されていた「見渡せる範囲の実践共同体」、つまり「小さくてもよいので、その人の次の一歩を支援」するような実践というものに、大きなヒントが隠されているように感じた。

実践の現場はそれぞれのセクターのなかにあり、例えば研究者が所属している大学でいえば、教育の現場がまさにそうなのではないかと感じた次第である。

(小林誉明)


E4. Peace, Democracy and Global Divide

  • 座長:花谷厚(JICA)
  • コメンテーター:片柳真理(広島大学)、重田康博(宇都宮大学)

発表者

  1. “Global Citizenship Education – Youth work in an undemocratic society― AIESEC – an international student organization in Vietnam ―”
    Nguyen Thanh Van (Sophia University)
  2. “Indigenous Self-determination in Cherán, Mexico: Organised Distrust as a Democratic Practice”
    Erick Cosme Gomez (Hiroshima Jogakuin University)
  3. “Transcending the Global-Local Divide: A Framework for Analyzing Technocracy in Peace Work” 
    BALLESTEROS, Marie Donna (Nagoya University)
  4. “Formulation of Practical Model in Poverty Reduction by Microfinance―Analysis of Case Study in India-”
    Hiromi Inami (JDI)

本セッションでは標題テーマのもと、4件の報告が行なわれた。 コメンテーターは、広島大学大学院・片柳真理教授(報告1.および3.)、宇都宮大学・重田康博教授(報告2.および4.)が務められ、座長は、JICA緒方研究所の花谷厚が務めた。

報告1は、社会主義体制下にあるベトナムにおける地球市民教育(GCE)の可能性について研究したもの。国際学生団体であるAIESEC活動経験者に対する調査を通じて、同団体での活動が、経験者の国際的・社会的問題への理解を深めるとともに、社会貢献活動への参画、リーダーシップ育成に貢献していることが確認され、ベトナムにおいてAIESECがGCEの一つの有効な機会を提供し得ることが示された。

報告2では、メキシコ中西部の先住民族の町チェランにおける住民自治のメカニズムを、ローザンバランの「対抗民主主義」の視点から分析した。チェランの4つのコミュニティにおける観察を通じて、審判・監視・否定の「組織化された不信」(organized distrust)が、地域の民主的統治に有効な役割を果たしていることが示された。加えて平和構築論への含意として、信頼とともに不信のメカニズムを構築することの重要性が指摘された。

報告3では、平和活動を支援する国際社会とローカル組織間の関係を、「テクノクラシー」の浸透に注目して論じた。フィリピンで平和活動に従事する市民社会組織(CSO)とドナー等外部組織間の関係分析を通じて、平和活動におけるテクノクラシーの分析枠組を提示した。

報告4は、インドの「女性自営者協会(SEWA)」を対象に、同団体の行なう融資・起業支援活動が、受益者女性の生計・生活に与えた影響について評価した。メンバー女性への聞き取りに基づき、融資や訓練を通じて受益者の生計が改善するだけでなく、家庭内・対流通業者関係において、発言権を増していることが報告された。

コメンテーターからは、RQ、分析枠組み、調査対象選定理由等をより明確にすべきとの指摘のほか、報告2.については「組織化された不信」の他の紛争影響国への適用可能性について意見が交わされた。フロアからは、報告4.のSEWAの活動実態や運営方針について質問があった。

全体を通じて、グローバルに共通する課題に対してローカル組織による独自の取組みの有効性・可能性が示された有意義なセッションとなった。

(花谷厚)


午後 III セッション/ Afternoon Session III 14:20-16:20 (GMT +9)

A5. 企画「ODAを活かしてCollective impactを実現することは可能か?―JICA「クラスター・アプローチ」を通じた共創の試みとその課題―」

  • 企画責任者:永見光三(JICA)
  • 司会:小林 誉明(横浜国立大学・JASID研究×実践委員会委員長)
  • 発表者:室谷龍太郎(JICA)、吉田友哉(JICA)、永見光三(JICA)
  • 討論者:功能 聡子(ARUN)、キム・ソヤン(東京大学・西江大学)

本ラウンドテーブルでは、ODA・開発援助機関の役割が、個別事業の実施に留まらず、多様なパートナーと協働してのCollective impact創出へと変化しているという認識のもと、JICAが始めているグローバル・アジェンダ(GA)および、クラスター・アプローチの取り組みについて、その意義や課題について議論した。本ラウンドテーブルは、国際開発学会の「研究×実践」委員会の活動の一環として企画された。

JICAから参加した室谷室長がクラスター・アプローチの概要を説明したうえで、吉田会員・永見会員とともに、平和構築、保健医療、防災のそれぞれの分野での取組み・検討状況を紹介した。

この取組みについて、討論者3名からコメントや問題提起があった。功能氏は、SSIR(スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー)の議論も紹介しつつ、エクイティ(公平・公正)の視点の重要性を指摘し、Collective impact成功の5条件(共通のアジェンダ、共通の測定システム、相互に補強し合う取り組み、継続的なコミュニケーション、活動をサポートするバックボーン組織)を満たす構造づくりにJICAがどのような役割を果たすか、という問題を提起した。

キム会員からは、このような変革をなぜ今、何のために取り組むのか、クラスターによって役割分担が固定化されることはないか、どのような制度改革が考えられているか、という指摘があった。

大山会員からは、組織内でのクラスターの位置づけと制度変更の可能性、JICA側の支援策の整理に被援助側の視点を取り込む方法、Collective impact実現のためにアクターの継続的な関与を促す仕組み、といった点への指摘があった。

聴衆からの参加も含めた意見交換では、JICA内の制度的な変更の検討についても共有されたほか、日本の経験に拘りすぎずにどのようなベスト・ミックスを実現するか等が議論された。

司会の小林会員は、研究者がクラスターの検討の段階から貢献できる可能性を示唆しつつ、引き続き実践的な改革のためにも研究者と実務者の議論を続けたいとしてセッションを終えた。

(小林誉明)


B5. RT「『開発』の多重性―アジア・アフリカから語り始める―」

  • 企画責任者:汪牧耘(東京大学)
  • 司会:近江加奈子(国際基督教大学)
  • 発表者:綿貫竜史(名古屋大学)、須藤玲(東京大学)、神正光(元名古屋大学学生)

本ラウンドテーブルは、「若手による開発研究」部会による企画セッションである。「開発とは何か」という古くて新しいテーマに対して、「非欧米社会」に立脚する若い世代の研究者なりに改めて問題提起をしようとした、野心的な計画だといえる。

そこで、5人の若手研究者が、東ティモール、バングラデシュ、中国、日本、フィリピンと南アフリカから見た「開発」の多重性を共有した。それは、単一言語や国際的な観念上の約束だけでは回収できない多様な「開発」のあり方を横並びするだけではない。

多様なあり方の関連性を見出し、さらに、ひとりの若手研究者としてどのように「開発」に向き合っていくかという点まで踏み込んだことで、有意義な議論になったと考える。

なかでも、(1)開発をめぐる知識と実践が「言語」によって区切られている現状と、(2) 開発を目指す「豊かさ」の先にあるもの、という2つの論点をめぐって、登壇者は意見を活発に交わしていた。

具体的には、「開発」を研究していくにあたって、ある国や地域の人びとの年齢、人口規模、時代体験や時間感覚などの視点の重要性が言及された。また、尊厳の奪還、アイデンティティの追認、素朴の維持、人間性への回帰などといった、非物質的な「豊かさ」が現実的に「開発」の語り方を形づくっているような実態もあぶり出されている。

本セッションでは合計30人ほどにご参加いただいた。フロアから、障がいを持つ人が求める開発、開発と近代化の線引き、さらに開発の次に語り始めるべき議題など、示唆に富むコメントが多く示された。

開発に携わる人びとが「開発」を語ろうとする意欲と、語り方を洗練していく必要性を実感したところ、「若手による開発研究」部会のこれからの活動に着手するヒントを得たといえる。今後、若手の開発研究者が共同研究を通して、既存の「開発」の語りを相対化し、アジア・アフリカからの知見を体系的に構築していくことを望む。

(汪牧耘)


C5. 企画「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」

  • 企画責任者:佐藤峰(横浜国立大学)
  • 司会:佐藤峰
  • 発表者:菅野智子(横浜国立大学)、Yesmen Kazia(横浜国立大学)、Saidur Rahman(横浜国立大学)、牛夢婷(横浜国立大学)
  • 討論者:小國和子(日本福祉大学)

今回は、横浜国立大学佐藤峰研究室として企画セッション「それぞれのウェルビーイングのかたち ―多様化する新興国・途上国での社会課題とコミュニティの現在―」を行ないました。

セッションでは、司会の方で企画の説明をしたのちに、当事者のウェルビーイングの戦略もしくは、新たな社会課題の認識に関わる発表を行ないました。前半の二つの発表では、より新しい社会課題と当事者の課題認識に焦点を当てて論じました。

第一発表(菅野智子)では、トンガ王国における生活習慣病の文化的に適切な対処を、第二発表(Yesmen Kazia)は、バングラデシュにおける大卒女性の就活における障壁、および当事者の認識を取り上げました。

後半の二つの発表では、より社会課題の当事者による対処や戦略に視座をシフトしました。第三発表(Saidur Rahman)では、バングラデシュの都市部における女性縫製工場労働者のウェルビーイング戦略について、第四発表(牛夢婷)は、中国における、文化的に非常に特徴がある、性的マイノリティの「カミングアウト戦略」を取り上げました。

討論者には日本福祉大学の小國和子先生をお迎えし、ふわりとした口調ながら、かなり本質的なコメントをいただきました。とくに、well-being概念をinteractiveに生成されるものとして、そのdynamismを事例から詳細に出していくことは、それぞれの現場における課題に対してcontextualにappropriateな解決策を検討していくことにつながるのではないかというコメントは本質をつくものでした。

その後、25名ほどの参加者からのご意見もいただきながら、かなり充実したセッションをすることができました。学生と指導教員という組み合わせでのセッションをすることには、ご批判を受ける可能性もあり、非常な躊躇がありましたが、いろいろと反省点もありながら、結果としてはやってよかったなと思っています。

金沢大学は父の母校なので、学生達と行けたら本当によかったので、オンラインになったのは、少し残念ではありましたが、自分の指導の限界も痛感でき、そのことも含めて大変によい機会をいただきました。

お忙しいところコメンテーターをお引き受けいただいた小國先生には重ねてお礼を申し上げます。

(佐藤峰)


D5. RT・地方展開委員会主催「日本の地域から問い直す国際開発アジェンダ」

  • 企画責任者:佐野麻由子(福岡県立大学)
  • 司会:木全洋一郎
  • 発表者:木全洋一郎(JICA)、梶英樹(高知大学)、工藤尚悟(国際教養大学)
  • 討論者:佐藤仁(東京大学)

本ラウンドテーブルセッションは、日本の地域づくりと国際開発という視点から今後の国際開発アジェンダを問い直すことを目的とし、パネリストを含め38名程度が参加した。

木全会員は、1990年代から2010年代の日本の地域と国際開発を巡る議論として、(1)日本の知恵や経験を活用した途上国開発、(2)国際協力を通じた日本の地域づくりを経て、今後は(3)グローバルなトレンドにおける新しい日本の地域づくりを捉えた国際開発のあり方そのものの転換の必要性について、陸前高田市のポスト復興のまちづくりを例に提起した。

梶会員は、高知県の中山間地域の地方再生に携わる立場から、日本・途上国ともに地方においては、「地方創生」や「SDGs」という言葉に違和感を覚えており、それが地域の自己肯定感の低下につながっていることを指摘した。

この点において構造的に国内外の地方に共通軸を見出し、地域の自己肯定感の醸成により、途上国/日本の双方にとって有用な新しい開発のあり方を探究する意義を問いかけた。

工藤会員は、直線的な発展史観に基づく開発/ポスト開発の議論に対して、地域には各々の発展の姿があるとする空間的な発展史観を踏まえつつ、敢えて複数の地域を繋ぐ通域的な学びの場を設定することで、異なる発展のあり方に触れて価値観の揺らぎが起こり、自らの自立的な発展への模索につながることを、秋田県五城目町と南アフリカでのフィールドワークを例に述べた。

佐藤会員からは、「外を知っているからこそ、自国を深く理解できる。構造的な権力関係に対し、ローカルな視点に依拠した新たな知見をもって対峙することができる。学会は自己肯定感を高める知識を提供できるのではないか」等のコメントが出された。

参加者からは、「虫の目をもつ地域に暮らす研究者」の可能性、媒介者・翻訳者の役割の重要性、消費主義から外れた地域関係の構築、地方における「内なる国際化」等についての意見や質問が出された。

本セッションを通して、固有の風土をもつ地域が共通課題でつながることや通域的な学びが、地方の劣等感の解消、中心都市との権力関係の解消、新しい知見の獲得において効果的であり、今後の国際開発アジェンダを考えるヒントになりうることが確認できた。

(佐野麻由子)


E5. RT “Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic”

  • 企画責任者:Masato Noda (Ibaraki University)
  • 司会:Masato Noda
  • 発表者:Dy Samsideth (Ministry of Education Youth and Sport: MoEYS, Royal Government of Cambodia), Yuto Kitamura (The University of Tokyo), Chhinh Sitha (Cambodia Education Research Council), Ashida Akemi (Waseda University), Takayo Ogisu (Sophia University), Bo Chankoulika (MoEYS), Yasushi Hirosato (Sophia University), and Ngov Penghuy (Royal University of Phnom Penh)

本セッションは、Cambodia Education and Teacher Reform under COVID-19 Pandemic: Industrial Human Resource Development and Right to Educationと題し、日本とカンボジアの共同研究として、カンボジア教育青年スポーツ省(MoEYS)からもリサーチ・パートナーを招聘して開催された。英語を使用言語に、参加者31名により活発な議論がなされた。

第1報告では、座長の野田が本研究の概要として、SDGs, Education and Teacher Reform toward 2030 in Cambodia-Issues and New Challenges under COVID-19 Pandemic-と題し、発表を行なった。

第2報告では、Dy Samsideth (MoEYS)より教育総局次長としての政策立案の視点から、Teacher Training and Professional Support System in Cambodia – Under the Covid-19と題し、発表がなされた。

第3報告では、北村友人会員(東京大学)、Chhinh Sitha(Educational Research Council, MoEYS)、芦田明美会員(早稲田大学)により、教育現場・教室の視点から、Examining the Quality of Education in Cambodia via a Review of Classroom Activities and Interactionsと題し、発表がなされた。

第4報告では、荻巣崇世会員(上智大学)より、専門家の学習共同体(PLC)を軸に、Theorizing Teacher Learning through Collaboration: Implications for PLC in Cambodiaと題し、発表がなされた。

本セッションは、科学研究費補助金(基盤C)「カンボジアにおけるSDGs達成にむけた教員改革-産業人材育成と学ぶ権利の保障」(代表:野田真里)の成果による。

(野田真里)


午後 IV セッション/ Afternoon Session IV 16:25-18:25(GMT +9)

A6. 開発をどう見るか

  • 座長:久木田純(関西学院大学)
  • コメンテーター:関根久雄(筑波大学)、山田恭稔(中央大学)


発表者

  1. 「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協力とその評価」
    藤掛洋子(横浜国立大学)
  2. 「『地域社会の組織力』をどう見つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査手法構築に向けて―」
    重冨真一(明治学院大学)
  3. 「『見る』という普遍言語-写真を『読む』ことを通じて考える-」
    平田オーエン慈花(HAPTICS)
  4. 「開発における自律概念の再考―を基礎とした自律と関係性を基礎とした自律の視点から―」
    近江加奈子(国際基督教大学)

時間的制限があったが、4名の発表者の開発についての多様な視点からの考察に対して有意義で示唆に富む議論を行なうことができた。

発表1:藤掛洋⼦氏(横浜国⽴⼤学)により「 パラグアイ農村⼥性⽣活改善プロジェクトを評価する―第三の道としてのオンライン国際協⼒とその評価」と題して、コロナ禍におけるオンラインでの開発評価の試みに関する報告が行なわれた。オンライン・フィールドワークも含め、どのようにカウンターパートや参加者との信頼を構築するのかなどの問いが出された。

発表2: 重冨真⼀氏(明治学院⼤学)により「『地域社会の組織⼒』をどう⾒つけるか―参加型農村開発実践のための地域社会調査⼿法構築に向けて」と題して、農村の内発的・持続的な開発には地域社会の組織力が重要であり、それをどのように分析し見える化するかについての報告がなされた。リーダー交代など属人的な変化をどう見るかなどの問いが出された。

発表3:平⽥オーエン慈花氏(HAPTICS)により「『⾒る』という普遍⾔語-写真を『読む』ことを通じて考える」と題して、国際開発が価値を問うものであり、見る力が重要であるとの視点から報告が行なわれた。共通感覚やラポールの形成、見ると読むの概念の違い、開発実践は働きかけることによって成り立つのではないかなどの問いが出された。

発表4:近江加奈⼦氏(国際基督教⼤学)により「 開発における⾃律概念の再考―個人を基礎とした⾃律と関係性を基礎とした⾃律の視点から―」と題して、開発における自律の概念は個人を基礎としており、西洋近代市民社会の人間像を押し付けたのではないか、関係性を基礎とした自律の再認識が重要ではないかとの視点から報告がなされた。有効な開発のための自律とは何か、脱開発論につながる議論ではないかなどの問いが出された。

(久木田純)



B6. 企画「JASIDブックトーク」

  • 座長:佐藤寛(ジェトロ・アジア経済研究所)、道中真紀(日本評論社)
  1. 清水展・小國和子/編『職場・学校で活かす現場グラフィー:ダイバーシティ時代の可能性をひらくために』(明石書店、2021年2月刊)
    ・報告者:小國和子会員(日本福祉大学)、大江道雅氏(明石書店) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)
  2. 飯塚倫子/編著『<善い>ビジネスが成長を生む:破壊と包摂のイノベーション』(慶應義塾大学出版会、2021年11月刊)
    ・報告者:飯塚倫子会員(政策研究大学院大学)、木内鉄也氏(慶應義塾大学出版会)
    ・討論者:高田潤一会員(東京工業大学)
  3. 大谷順子/編『四川大地震から学ぶ:復興のなかのコミュニティと「中国式レジリエンス」の構築』(九州大学出版会、2021年9月刊)
    ・報告者:大谷順子会員、高欣会員、陳逸璇会員、王芸璇会員、李婧会員(以上、大阪大学)、奥野有希氏(九州大学出版会) 
    ・討論者:飯塚明子会員(宇都宮大学)
  4. 佐藤由利子/著『日本の留学生政策の評価:人材養成、友好促進、経済効果の視点から〔増補新装版〕』(東信堂、2021年11月刊)
    ・報告者:佐藤由利子会員(東京工業大学)、下田勝司氏(東信堂) 
    ・討論者:黒田一雄会員(早稲田大学)
  5. (1)重田康博・太田和宏・福島浩治・藤田和子/編著『日本の国際協力 アジア編:経済成長から「持続可能な社会」の実現へ』(ミネルヴァ書房、2021年6月刊)
    (2)阪本公美子・岡野内正・山中達也/編著『日本の国際協力 中東・アフリカ編:貧困と紛争にどう向き合うか』(ミネルヴァ書房、2021年8月刊)

    ・報告者:阪本公美子会員(宇都宮大学)、重田康博会員(宇都宮大学) 
    ・討論者:大橋正明会員(聖心女子大学)
  6. 岡野内正/著『グローバル・ベーシック・インカム構想の射程:批判開発学/SDGsとの対話』(法律文化社、2021年6月刊)
    ・報告者:岡野内正会員(法政大学) 
    ・討論者:佐藤寛会員(アジア経済研究所)

JASIDブックトークは、会員が自著を担当編集者とともに紹介するセッションです。第5回となる今回も、書籍の内容紹介にとどまらず、出版企画が生まれた経緯、執筆・編集における苦労や工夫、主要読者層や販売動向、国際開発への貢献といった、いわば「本づくりそのもの」を、著者と出版社の双方の視点から語っていただきました。

約45名のご参加のもと、上記6冊の書籍につき、たいへん充実した報告・討論・質疑応答が展開されました。

(道中真紀)


 C6. RT「子どもの安全保障―日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち―」

  • 企画責任者:勝間靖(早稲田大学)
  • 司会:勝間靖
  • 発表者:高柳妙子(早稲田大学)、中村安秀(日本WHO協会)

「子どもの安全保障への開発アプローチ」研究部会では、「人間の安全保障」について、子どもに焦点を絞った「子どもの安全保障」の概念について議論し、研究部会メンバーのそれぞれの研究領域における事例研究を発表し、政策提言にもつながるような理論的枠組みを構築することを目指して研究活動を進めている。

第32回全国大会の2日目、2021年11月21日(日曜)16:25-18:25、「子どもの安全保障〜日本において社会的に周縁化されやすい子どもたち」と題してラウンドテーブルを開催(オンライン)した。参加者は、20名ほどであった。

まず、研究部会代表者である勝間靖会員(早稲田大学、国立国際医療研究センター)が企画者として、これまでの研究部会での研究活動を説明し、事例研究を発表するうえでの共通の枠組みを提示した。

そして、中村安秀会員(日本WHO協会)「生まれてくる子どもの安全保障〜日本における母子手帳の経験から」と題して発表した。

日本における乳幼児死亡率を見ると、1948年の61.7(千人あたり)から2019年の1.9と大幅に改善している。しかし、無職の世帯は、11.4(2015年)と高く、社会的に周縁化されている。

その原因として、所得の低さ以外に、日本語能力の不足や社会的ネットワークの欠如からくる保健医療・栄養に関する情報不足も考えられる。母子健康手帳は日本語のほか、9カ国語に翻訳されて国内で使われており、妊産婦への保健医療・栄養の情報の普及に役立っている。

つぎに、高柳妙子会員(早稲田大学)が「沖縄に住むムスリムの子どもたち」と題して発表した。沖縄科学技術大学院大学の研究者のうちムスリムの方から紹介を受けて、スノーボール・サンプリングでインタビューが実施された。

子どもが沖縄の公立校に通うなか、体育で水着が着用できなかったり、給食の代わりにハラール弁当を食べたり、決まった時間に祈祷するなど、特別なニーズがあることが示された。それに対して、学校が多様性を尊重しながら、柔軟に対応できているかどうかなど、今後の研究課題が示された。

質疑応答と議論が活発に行なわれた。今後の研究課題として、「母子健康手帳を、従来からの妊産婦中心から、子ども中心に転換できるか?」「子どもの安全保障と、子どもの権利との関係を明らかにするような議論が必要」などが提案された。

(勝間靖)


E6. Social Development

  • 座長:伊東早苗(名古屋大学)
  • コメンテーター:田中雅子(上智大学)、:金 昭延 (Sogang Univeristy)

発表者

  1. “An Investigation of the Entrepreneurial Motivations and Environmental Factors influencing Entrepreneurship in Sub-Saharan Africa”
    1 Nathanael Nzoughe Ngome (Chuo University)
  2. “Gender and Sexual Diversity and Understanding Development: A Direction for Redesigning Post-Pandemic Development Paradigm”
    2 Takeshi Daimon-Sato (Waseda University)
  3. “The impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice: A case study of the health sector in Cambodia”
    3 Ziying Liu (Kobe University)
  4. “The impact of COVID-19 crisis in Japan: Gender and the world of work”
    4 Naoko Otobe (Consultant on Gender, Work and Development)

The four presentations in this session addressed four different issues pertaining to social dimensions of development. Methodologically, the presentations drew on both quantitative and qualitative analyses. Given time limitations, it was difficult to engage audience in general discussions relevant to all the four presentations. Instead, separate discussions focused on the four individual issues were held between presenters, discussants, and myself as the chair. The session was attended by about twenty people.

The first presentation by Nathanael Nzoughe Ngome was about people’s motivation to start an enterprise in Sub-Saharan Africa, exploring what circumstances influence their decisions. A number of questions and comments were given by one of the discussants concerning the nature of the enterprises discussed as well as the structure of the paper presented.

The second presentation by Takeshi Daimon-Sato was based on his ‘Grant-in-Aid’ research project on sexual orientation and gender identity in Thailand and Malaysia. A discussion centring on his research methods ensued, and several suggestions were made to modify them. Interestingly, the presentation referred to an alternative vision to the SDGs framework that would incorporate individual freedom ‘to be left alone’. (We would have liked to follow up on this point if we had more time available.)

The third presentation by Ziying Liu was on the impact of incentive payment for health workers on patients’ health facility choice in Cambodia. A discussion followed concerning to what extent the rural poor in Cambodia have the substantive choice over health facilities and whether their choice, if any, can be equated with their trust in the facility.

The fourth presentation by Naoko Otobe was on the impact of Covid-19 crisis on gender and work in Japan. One of the discussants suggested several analytical dimensions to be looked at to make the research more exploratory.

(伊東早苗)


ポスターセッション

  1. “Analysis of Foreign Direct Investment on Child Working and Schooling in Secondary Education: Evidence from Cambodia”
    Ryoma Kanazawa (Kobe University)
  2. “Educational Reform of School Diversification and Its Consequences on Educational Stratification in the Republic of Korea: focusing on students’ choice of high school type”
    Seil Kim (Kobe University)
  3. “Effects of Armed Conflicts on Access to Education: The Case of the 1990s Cambodian Civil War”
    Eunho Kim (Kobe University)
  4. “An Analysis of Municipal Governments’ Education Practices on Primary School Children’s Learning Achievement in Brazil”
    Dalilo Leite Dalmon (Kobe University)
  5. “Maternal Employment, Household Division of Childcare and Children’s Development Outcomes in Uganda”
    Li Shumin (Kobe University)
  6. “Do Socioeconomic Factors Prevent Smallholder Farming Children from Enrolling and Attaining More Years of Schooling in Mozambique?”
    Nelson Manhisse (Kobe University)
  7. “An Analysis of Children’s Learning and Development Standards in Lao PDR”
    Xiadong Meng (Kobe University)
  8. “Analysis of ICT Use for Primary School Students’ Learning Outcomes in Ethiopia”
    Ryuto Minami (Kobe University)
  9. “Analysis on the Situation of Early Childhood Education in Lao PDR during COVID-19 Pandemic”
    Masaya Noguchi (Kobe University)
  10. “The Effect of Early Childhood Education on Reading Motivation of 15-Years-old in the Republic of Korea -Based on 2018 PISA data-”
    Natsuko Ogura (Kobe University)
  11. “Friendship Networks of Thai Students and Its Impacts as a Result of a Study Abroad Program in ASEAN”
    Traitip Siriruang (Tokyo Institute of Technology)
  12. “What Determines Children’s Access to Early Childhood Education in Bangladesh”
    Kohei Uno (Kobe University)
  13. “Trajectory of Home Learning Environment over the Preschool-aged Period in Bangladesh”
    Kexin Wang (Kobe University)
  14. “An Analysis of Household Spending on Pre-Primary Education in Kenya”
    Ayumu Yagi (Kobe University)
  15. “An Analysis of Applicability of Self-Determination Theory to Teachers’ Motivation in Public Primary Schools in Lao PDR”
    Taiga Yano (JICA / Kobe University)

第32回全国大会・実行委員会
委員長:和田一哉(金沢大学)

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